07/11/12 診療報酬調査専門組織平成19年度DPC評価分科会 第8回議事録 平成19年度第8回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会議事録 (1)日時  平成19年11月12日(月)15:00〜16:40 (2)場所  三田共用会議所 講堂 (3)出席者 委員:西岡清分科会長、原正道分科会長代理、池上直己委員、        伊藤澄信委員、木下勝之委員、熊本一朗委員、小山信彌委員、        齋藤壽一委員、酒巻哲夫委員、佐藤博委員、嶋森好子委員、        武澤純委員、松田晋哉委員、山口直人委員、吉田英機委員、        オブザーバー:西澤寛俊氏        事務局:原医療課長、宇都宮企画官、他 (4)議題  1.DPC対象病院のあり方等に係る提案書(案)について        2.7月から12月までの退院患者に係る調査について(中間報告)        3.その他 (5)議事内容 ○西岡分科会長  ただいまから、平成19年度第8回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会を開催さ せていただきます。  本日の委員の出欠状況でございますが、難波委員及び山口俊晴委員より御欠席との連 絡をいただいております。  なお、本日は、オブザーバーといたしまして、中医協委員でございます西澤委員に御 出席いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、まず、資料の確認を事務局からお願いいたします。 ○中田補佐  それでは、資料の確認を事務局からさせていただきます。  まず、議事次第、委員名簿がございます。次に、資料D−1−1「診療報酬調査専門 組織・DPC評価分科会提案書(案)」、資料D−1−2「(データ/病床)比に係る 整理」、資料D−1−3「病院類型別手術・化学療法・放射線療法・救急車搬送いずれ か有と(データ/病床)比の関係」、資料D−1−4「(データ/病床)比3.5未満及 び全症例に占める手術・化学療法・放射線療法・救急車搬送いずれかを含む割合別医療 機関数」、資料D−2「平成19年度DPC導入の影響評価に関する調査結果および評価 −中間報告概要(案)」、資料D−3「7月から12月までの退院患者に係る調査につい て(7〜8月分中間報告)」でございます。それから、各委員の机上のみでございます が、前回までの資料を置かせていただいております。  以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。資料につきましてはよろしいでしょうか。  それでは、議事に移りたいと思います。初めに、事務局から資料D−1の説明をお願 いいたします。 ○中田補佐  事務局から、資料D−1に基づきまして御説明申し上げます。  まず、資料D−1−1「診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会提案書(案)」で ございます。  こちらは、最後の別紙についておりますが、平成19年度に中医協基本問題小委員会よ りDPCに関して付託された事項について検討した結果、以下のとおり当分科会から中 医協基本問題小委員会へ提案するというものでございます。  第1でございます。適切な算定ルール等の構築についてということでまとめさせてい ただいております。前々回より再入院に関する検討を行っていただきましたが、再入院 率及び診断群分類の決定方法について、特別調査及び関係医療機関との意見交換(ヒア リング)を実施し、適切な算定ルール等に関して検討を行った結果を踏まえて、以下の とおり取り扱うこととしてはどうかということでございます。  1、同一疾患での再入院に係る取り扱いについて。  (1)3日以内の再入院――これは病棟間の転棟に伴う再転棟も含む場合でございま すが、臨床現場の実態として、実質的に一連の療養として支障がないものと考えられる ことから、1入院として取り扱うこと。  (2)4〜7日以内の再入院については、今後引き続き調査・検討を継続すること。  (3)本来であれば外来で実施できると思われる治療でも、入院医療で行われている 例については、今後、実態の調査・検討をしていくこと。  2、診断群分類の決定方法についてでございます。  (1)DPCにおける診療報酬明細書の提出時に、包括評価部分に係る診療行為の内 容がわかる情報も加えること。  (2)適切な診断及び治療を行うために、院内で標準的な診断及び治療方法の周知を 徹底し、適切なコーディングにつながるような体制を確保すること。  第2、DPC対象病院のあり方についてでございます。  原則としまして、この前の検討の経緯を踏まえてまとめさせていただいているもので ございます。  DPCは、急性期入院医療を実施している病院を対象とするものである。  こちらにつきましては、参考としまして平成15年の閣議決定ですが、「急性期入院医 療については、平成15年度より特定機能病院について包括評価を実施する。また、その 影響を検証しつつ、出来高払いとの適切な組み合わせの下に、疾病の特性及び重症度を 反映した包括評価の実施に向けて検討を進める」ということで取りまとめられておりま す。  今後のDPC対象病院の拡大に当たり、急性期の考え方を取りまとめるとともに、D PC対象病院の基準に関し、論点の整理等を行い、複数の基準案を提示させていただく こととしたので、これを参考に中医協基本問題小委員会においてご検討いただくことを お願いするということでございます。  1、急性期の考え方でございます。こちらは前回より検討いただきまして、「急性期 とは、患者の病態が不安定な状態から、治療によりある程度安定した状態に至るまでと する」ということでまとめさせていただいております。  2といたしまして、DPC対象病院の基準案についてでございます。  (1)平成18年度の基準に関する考え方についてでございます。  論点1、平成18年度の基準については、平成20年度以降のDPC対象病院に対しても 満たすべき基準とするべきである。  参考といたしまして、平成18年度基準を記載しております。  ア.看護配置基準が10:1以上であること。  イ.診療録管理体制加算を算定している、又は、同等の診療録管理体制を有すること。  ウ.標準レセ電算マスターに対応したデータの提出を含め、「7月から12月までの退 院患者に係る調査」に適切に参加できること。  こういったものにつきまして、前回の検討では、20年度以降も満たすべきであるとい うことで取りまとめられたかと思います。  (2)データの質に関する考え方についてでございます。  DPC対象病院において、急性期入院医療における治療から退院までの1入院に係る 適切なデータを提出できること等、データの質を確保することが重要である。  DPC準備病院は、「7月から12月までの退院患者に係る調査」――本体調査と略さ せていただきますが、こちらに参加し、一定期間、適切に当該データを提出できること 及び一定以上の(データ/病床)比があることをDPC対象病院となる要件とするべき である。  データの提出期間について、論点2−1としまして、「一定期間」については、「1 年間(4カ月分のデータ)」または「2年間(10カ月分のデータ)」のどちらのデータ 提出期間とすべきかということがございました。  参考といたしまして、今回の本体調査につきましては、各年度において通年でデータ を収集しておらず、7月から12月までの6カ月のデータを収集しているという状況でご ざいます。  1つ目の○でございますが、提出期間を「1年間」とした場合、DPC対象病院の参 加の判断を12月まで行うには、実際には10月までのデータしか利用できず、4カ月分の データを利用することになるということでございます。  2つ目の○でございますが、提出期間を「2年間」とした場合、前年度の全6カ月分 のデータと当該年度の4カ月分の合計10カ月分のデータを利用することになるかと思い ます。  前回の検討を踏まえまして、1年間(4カ月分のデータ)とする場合の留意点につい てまとめさせていただいております。  1つ目は、平成19年度の1年間(4カ月分のデータ)のデータを利用することにより、 平成18年度及び平成19年度準備病院ともにDPC対象病院の参加の可否の検討対象とな り得るのではないか。  2つ目は、平成19年度の1年間(4カ月分のデータ)のデータだけでは、データの 質・量の確保が不確実になる恐れがあるのではないかということがあったかと思います。  続きまして、2年間(10カ月分のデータ)とする場合の留意点でございます。  1つ目は、データの質・量を確保する観点から、より長期間、適切にデータを提出で きているか確認した方がよろしいのではないか。  2つ目は、病床数が少ない医療機関にとっては、より長期間、データを提出できるこ とよって、データのばらつきを少なくすることができる。  3つ目は、平成19年度準備病院については、平成19年度からのデータしか提出してい ないため、DPC参加の可否の判断は、平成20年度以降となる。  このような御意見があったかと思います。  続きまして、適切なデータの提出についても前回御議論いただきました。  1つ目は、「適切にデータを提出できる」とは、提出期限の厳守及びデータの正確性 等を求めることとする。例えば、適切に診断群分類が決定されていることや薬剤の使用 量の入力ミス等がないことなどを求めてはどうかという御議論があったかと思います。  2つ目は、既にDPC対象病院となっている医療機関に対しても、同様に適切なデー タの提出を求めるとともに、データの質に重大な疑問等があった場合については、当分 科会でその原因等について調査し、改善を求めることとしてはどうかということでござ います。  続きまして、(データ/病床)比につきまして、論点2−2としてまとめさせていた だいております。  (1)(データ/病床)比については、平成16年度に要件としていた「3.5(7〜10 月の4カ月の期間で算出した場合)」相当としてはどうかということが上げられており ました。  (2)(データ/病床)比を算出するに当たり、対象とする期間として、先ほど申し 上げました「1年間」とするのであれば、ア.として、平成19年度「7〜10月の4カ月 分」のデータとなりますので、それを踏まえて3.5とする。  イ.として、「2年間」であれば、平成18年度「7〜12月の6カ月」及び平成19年度 「7〜10月の4カ月」をあわせて10カ月分のデータとなりますので、この場合は8.75と することとしてはどうかという論点を上げさせていただいております。  こちらの(データ/病床)比につきましては、1枚紙の資料D−1−2「(データ/ 病床)比に係る整理」でまとめさせていただいております。以前の分科会でも提出させ ていただきましたが、確認のためこちらに示させていただいております。  1つ目といたしまして、(データ/病床)比の考え方でございます。  ア.対象期間において退院した患者の全データ数/病床のことを(データ/病床)比 として定義しております。  イ.全データ数を算出するためには、「対象期間×病床数×病床利用率」を在院日数 で割り、それを用いて(データ/病床)比にする。ウ.として、最終的には「対象期間 ×病床利用率」を在院日数で割れば、(データ/病床)比とみなすことができるのでは ないか。  例えば、病床利用率が高く、在院日数が短くなれば、その(データ/病床)比は大き くなるような形で作用するということでございます。  ここでの病床数につきましては、前回、全病床数ということで計算すると申し上げた かと思いますが、事務局でいま一度確認したところ、病床数につきましてはDPC算定 病床数という形で取り扱っておりましたので、ここで改めて申し上げたいと思います。  2つ目の具体例についてでございます。  対象期間を例えば7〜10月ということで123日あるとした場合の具体例ですが、例え ば、一般病床の病床利用率が79.4%、平均在院日数が28日として割り返した場合につき まして、その(データ/病床)比はここで例示している3.49となるということでござい ます。  資料D−1−1にお戻りいただきまして、(3)DPC対象病院の基準案についてで ございます。  これまでの検討を踏まえまして、DPCの対象病院が拡大されれば、医療資源の投入 量や扱う患者の病態の多様性が増すこと等が予想されますが、DPC対象病院の基準に ついては、以下の2通りの案が考えられるということで、前回の分科会で検討をいただ いたかと思います。  基準案1につきましては、軽症の急性期入院医療も含めてDPCの対象とする案でご ざいます。こちらは、先ほどの論点1、論点2−1、論点2−2に係る要件をDPC対 象病院の基準としてはどうかということでございます。お手元の資料D−1−3、資料 D−1−4もごらんいただきながらお聞きいただければと思います。  資料D−1−3の表の見方でございますが、前回御説明申し上げましたとおり、横軸 に(データ/病床)比、縦軸に手術・化学療法・放射線療法・救急車のいずれかの割合 をとったもので、この4つのグラフは、15年度DPC対象病院、16年度DPC対象病院、 18年度DPC対象病院、18年度DPC準備病院、この4つの病院類型で区分させていた だいております。  また、データにつきましては、平成17年度のDPCデータを用いて試算したものでご ざいます。  基準案1の賛成意見についてでございます。  1つ目として、DPC導入による医療の効率化、透明化等のメリットを多くの急性期 病院に広げるべきではないか。  2つ目として、DPCの趣旨として、急性期入院医療を標準化する観点からは、軽症 の急性期も含めた入院医療を対象とすべきではないか。  反対意見といたしましては、DPCは、従来、特定機能病院を初めとして導入されて おり、多くの軽症の急性期を扱う医療機関については、DPCの対象としてふさわしく ないのではないかという御意見がございました。  基準案2でございます。こちらは、ある程度以上の重症の急性期入院医療をDPCの 対象とする案でございます。先ほどの論点1、論点2−1、論点2−2に係る要件に加 えまして、急性期入院医療のうち、ある程度以上の重症の急性期入院医療をDPCの対 象病院とするために、例えば手術件数等をDPC対象病院の基準としてはどうかという ことでございます。  賛成意見についてでございます。  1つ目は、DPCでは診断群分類に応じて平均的な診療コストを反映した包括支払い 制度であるため、一定程度以上の病態を扱う医療機関を対象とする方が望ましいのでは ないか。  2つ目は、手術等の指標は、一定程度以上の重症の急性期入院医療を担う医療機関の 指標として妥当ではないか。  3つ目は、手術等の指標を明示することで、DPCとして目指すべき目標のようなも のとなり、望ましいのではないか。  反対意見についてでございます。  1つ目は、標準化の観点からは、むしろ、軽症、一般的な傷病を扱う医療機関にこそ 広げるべきではないか。  2つ目は、連続性のあるデータを用いて基準とすることについては、それ以上と以下 の医療機関の特徴を明確に区分することは難しいのではないか。  3つ目は、化学療法、放射線療法を指標とすることについては、臨床現場では、原則 として外来治療へシフトしている中で、逆行する方向にインセンティブが働く。  4つ目は、救急搬送等の具体的な要件を用いることについては、不必要な医療を助長 することになるのではないか。  具体的に申し上げますと、資料D−1−3、資料D−1−4をごらんいただきたいと 思いますが、こちらの手術・化学療法・放射線療法・救急車の割合については、縦軸に ございます3つの線でそれぞれ区分を例示しております。  具体的な数値につきましては、資料D−1−4でございます。こちらは前回お出しさ せていただきましたデータとは数値が異なっておりまして、その理由といたしましては、 分母の病床を全病床ではなくDPC算定病床数で割り返した場合の数でございます。  (1)ですが、この定義に基づいて3.5未満の医療機関は合計8。  (2)ですが、その手術・化学療法・放射線療法・救急車のいずれかを含む割合について は、ここで示させていただいているとおりでございまして、右にある数字については累 積の合計数でございます。50%未満では137、45%未満では累積で67の医療機関がこれ に満たないというデータの示し方でございます。 資料D−1−1にお戻りいただきたいと思います。  第3の調整係数の廃止及び新たな機能評価係数の設定についてでございます。  こちらは前回検討いただきまして、平成20年の改定時までは調整係数が存続すること としているが、それ以降については、調整係数を廃止し、それにかわる新たな機能評価 係数について検討することとなっている。  平成20年度以降、速やかに、以下の点を踏まえながら係数の具体案の作成に向けた検 討を行う必要があるということでございます。  1点目は、「望ましい要件」については、要件としてではなく、むしろ、係数として 評価することを検討するべきではないか。  2点目は、医療機関の機能を反映することのできる係数等について、例えば以下の点 を含めて検討するべきではないかという御意見がございました。  1つ目は、救急、産科、小児科などのいわゆる社会的に重要な診療科であるが、不採 算となりやすい診療分野について評価できる係数について検討するべきではないか。  2つ目は、救急医療体制の整備など、高度な医療を提供できる体制を確保しているこ とを評価できる係数について検討するべきではないか。  3つ目は、高度な医療を備えることについては、地域においてその必要性を踏まえた 評価を反映できる係数について検討するべきではないか。  主にこのような御意見があったかと思います。  資料D−1の御説明は以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。これは、基本問題小委員会から当分科会に対して付託され ました3点の事項について、これまで御議論いただいたまとめでございます。  順番に御議論をお願いしたいと思います。初めに、適切な算定ルール等の構築につい てでございます。これは1ページ目に相当するものでございますが、これにつきまして はもう既に御了解いただけたと思っております。もし何か御質問等がございましたら、 どうぞ。  なければ、これはこういった形で報告させていただきたいと思います。  次に、DPC対象病院のあり方についてでございます。  まず、2ページ目で、急性期のあり方についても既にお認めいただけた、合意してい ただけたことだと理解しております。  また、DPC対象病院の基準案2でございますが、18年度の3つの要件をそのまま新 たなDPCに参画する病院に適用するということで、これも御了解いただけているもの と考えております。よろしいでしょうか。  次に、3ページ、データの質に関する考え方でございます。ここではかなり御議論い ただきましたが、まだこれまでの御議論では、きっちりとした結論は非常に出しにくい のかもしれませんけれど、ここの部分が両論併記のままで残っております。  「DPC準備病院は、「7から12月までの退院患者に係る調査」に参加し、一定期間、 適切に当該データを提出できること及び一定以上の(データ/病床)比があることをD PC対象病院となる要件とするべき」という、この「一定期間」というものに対しまし て、これも両論併記のままで残っております。これにつきまして追加の御意見等がござ いましたら、ぜひともお願いしたいと思います。 ○池上委員  4ページの上から4行目の最後の「DPC参加の可否の判断は、平成20年度以降とな る」という文章は、内容的には正しいのですが、以下のことを追加するとよりはっきり しますので、「可否の判断は平成20年度以降になり、実際に対象となるのは診療報酬の 改定にあわせれば平成22年度以降になる」と……。 ○西岡分科会長  これは前回のときにかなり御議論いただいた点ですので、企画官、もしよろしければ お願いします。 ○宇都宮企画官  前回も申し上げましたが、改定のときでなければ対象とならないという限定はござい ません。そのときの状況にもよりますので、ここで「22年以降」と書くのは適切ではな いのではないかと思いますが。 ○池上委員  それを承知しておりまして、「診療報酬の改定にあわせれば」ということを申し上げ たのです。これまでの実績ではあわせていたので、もしそれを踏襲してあわせれば、22 年以降になるということを申し上げたわけです。そして、もしそれがあわせないことも 十分あり得るということであれば、可否の判定は20年以降ですけれど、実際に対象とな るのは21年以降ということならよろしいのでしょうか。 ○原医療課長  平成19年4月の診療報酬改定の一部ですけれど、リハビリについてやりましたので、 次の改定は22年になるかどうかはわからないですよね。そういう意味で、まずは全体の 改定に合わせなければいけないということでは当然ないわけで、財政イーブンでできま すので、そこはこれから基本問題小委員会の中で議論していただけたらと思っています ので、あえてややこしい文章にしなくてもいいのではないかと思うのですけれど。 ○齋藤委員  前回、よんどころのない用事で欠席したので、1年間のデータがよいか、2年間のデ ータがよいかという議論の経緯は私はよくわからないのですが、平成15年に導入の時点 でも、医療機関別調整係数を決めるときに、7〜10月の4カ月で決めるというので、そ れは1年の中での偏った時期だけ取り出して大事なことを決めていくことになるという ことで、医療課長に質問したことがあるのです。  そうしたら、そのときの話では、「今回、平成15年で、導入の試行的な段階なので、 とりあえずとれたデータを4カ月でやってみる」と言われたのですが、そのときに、1 年を通じて疾病構造も病院の収益等も非常に揺れ動くのが今の病院医療の実態ですので、 将来的な長いスパンできちんとデータを集めて、それによって物事を決めていくのがい いでしょうと、そのようにお話しした経緯があります。  そして、今回は、もうそろそろDPCの制度も定常状態、水平飛行の段階にこれから 入っていくということ、それから、医療政策全般について余りに朝令暮改的にちょこち ょこいろいろつまみ食いしながら変えていくよりは、少しじっくりデータを集めて、こ こに2年でも10カ月と書いてありますけれど、本当は12カ月きちんととって、それをも とに物事を考えていくようにしないと、スタートしてからもう既に3〜4年がたとうと しているので、私は、2年なら2年というように、長いスパンで物事を見ていく段階で あろうかなと思います。  1年でないと不都合の病院もあるいはあるかもしれませんが、今までも出来高病院と して立派にやってこられたので、参入にそれほど慌てなくても、無理してお入りになっ ても、かえって苦労する病院も最近は非常に目立っておりますので、少しじっくりした データの集積をもとに決めていくのがよいかなと思っております。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  松田委員、今の件についていかがでしょうか。 ○松田委員  基本的には私たちの方にいただいているデータだけですが、データの分析をずっとや ってきているわけですけれど、やはり1年間では短いなという気がしています。理由は、 いろいろと分析してみているのですが、1年目と2年目で、E・Fをベースにして計算 してみると、調整係数みたいなものが0.2ぐらいずれてきてしまう病院があると。これ は診療行為を変えていないということを前提にして考えれば、傷病構造が変わってきて いるのだろうということになると思うのですが、そうすると、安定的に制度を評価する という今回の中医協の考え方を踏まえると、データの安定性というものをしっかり見て から判断したいというものがあります。  それから、もしかすると私たちにいただいているデータだけがそうなのかもしれませ んが、網羅性という点で、様式1とE・Fなどと突き合わせて見たときに、少し合わな い部分があるので、それは4〜6月までさかのぼってE・Fファイルと突き合わせない といけないと思うのですが、それはやはり長い期間、最低2年間のデータで、ここは10 カ月になっていますけれど、6カ月・6カ月の12カ月でデータを検証して、これから調 整係数をなくすわけですので、そういうことも踏まえると、データが安定しているとい うことがいろいろな係数を考える上では非常に重要になってくると思いますので、私は 2年間のデータをいただいた方がよろしいのではないかと考えます。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。ほかに御意見はございますでしょうか。  池上委員の「いつから入るのだ」というのは、中医協の議論にかかわってくると思い ます。我々の方としては、分析するデータとしては1年間よりも2年間の方が望ましい のではないかという御意見でございますが、それでよろしいでしょうか。 ○池上委員  はい。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  それでは、この分科会としては、「2年間のデータを集積する方が望ましい」という ことをつけ加えさせていただきたいと思います。  次に、(データ/病床)比に関する問題でございます。これについては、16年度がこ ういう形で入られたということでございますので、一部は算定病床の修正がございまし たが、それも受けた形で、これをこのまま踏襲する形で御了承いただければと思います。 ○酒巻委員  その前に、「適切なデータの提出」についてという部分ですが、「適切なデータ」と は何であるかという議論はしなくてはいけないのですけれど、しかし、文言としてはか なり強調した方がよいと思います。なぜかというと、ここのところに正確性やデータの 質そのものが担保されていないと、この制度そのものがやはりおかしくなってしまうと 思いますので、ここは何かうまい方法ででもよいから、強調していただきたいと思いま す。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。非常に貴重な御意見だと思います。あるいは、ここは同じよ うな四角で囲んでいただくかする必要があるかと思いますが。 ○熊本委員  (データ/病床)比ですけれど、資料D−1−4にありますように、16年対象病院、 18年対象病院で3.5未満というところがあるわけですね。今度これを入れることによっ て、次の準備病院のときにするのか、実際に入られている病院に対してはその比が低い ということで、どう考えるのか。そのあたりを教えていただければと思います。 ○西岡分科会長  これはまず御議論いただいた方がいいかなと思います。これは今までの議論でも、今 までDPCの入り口はあったのですが、出口がないという形で進んできておりますので、 忌憚のない御意見を委員の方々からいただけたらと思いますが。  熊本委員としては、基本的にはどうお考えでございましょうか。 ○熊本委員  16年に考えたときにはこれがなかったので、この病院は入られているわけですね。 ○西岡分科会長  いえ、16年はあったんです。これで入っているんです。 ○熊本委員  ああ、その後に動いたということですね。 ○西岡分科会長  はい。 ○熊本委員  そうしますと、例えば、先ほどのデータの適切性ということ等も含めまして、後の文 章にも入っておりまして、この分科会でも検討するということがありましたが、今、西 岡分科会長がおっしゃいましたように、出口ということを2年後とかの単位で見るので はなくて、何らかの時期で、ずっとデータベースで議論されてきていますので、それを もとに判断するということを明確にうたう必要があるのではないかなと思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。今のは非常に重要な御意見だと思いますが、ほかに御意見は ございますでしょうか。  酒巻委員、いかがでございますか。 ○酒巻委員  私も同じ意味でして、この「3.5」というのは当初からずっと続いている基準値です。 そういう意味では、ここを担保していくということは病院としても非常に重要なことだ ろうと。また、この病床比そのものは、ある意味での入院期間が係数の中に含まれてい るわけでして、入院期間を短縮していくようなインセンティブとか、あるいは急性期医 療を扱っていくこととか、そういうものが含まれている数字だと思っていますので、前 の方の概念にも一致していると思いますから、このあたりの数字が妥当だと思います。 ○吉田委員  論点2−2の(データ/病床)比ですけれど、1年間であれば比が3.5、2年間だと 8.75というのは、これは「以上」という意味ですね。それを明記しませんと、3.5以上 なのか以下なのか、当然、以上なのでしょうけれど、「以上」を入れた方がいいと思い ます。 ○西岡分科会長 ありがとうございます。「以上」を入れさせていただきます。 ○池上委員  細かいことですけれど、この「病床」というのは、月間で許可病床と考えていいので しょうか。 ○西岡分科会長  これは事務局の方から、DPCの算定病床ということの御説明をお願いできますか。 ○中田補佐  こちらの「病床」につきましては、DPCを算定している病床数でカウントしており ます。 ○池上委員  DPCを算定する病床が月によって変化する場合は、それの按分ということですか。 ○中田補佐  そういった場合につきましては、また事務局の方で詰めさせていただきたいと思いま す。 ○西岡分科会長  今の池上委員の御発言で私はちょっとびっくりしたのですが、月ごとにDPCの病床 数が変わるという施設は実際にはあるのですか。それはちょっと問題かなという気もい たしますが。 ○中田補佐  事務局から補足の説明でございますが、現状としてはほとんどDPC算定病床は変わ ることはございません。ただ、もともとあった病床をほかの目的に使う場合とか、そう いった理由で算定病床から外れるということが若干あるという程度でございます。 ○西岡分科会長  では、その変動するような施設については、また事務局の方で詰めていただくという ことで、池上先生、よろしいでしょうか。 ○池上委員  はい。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。ほかに御意見はよろしいでしょうか。  今のところの御意見を見ますと、「適切なデータの提出」ということをもう少し強調 してほしいということと、データがそろわない場合の出口の部分も考えてほしいという ことと、「3.5」以上の形でどうかという御意見をいただいておりますが、ほかにいか がでしょうか。 ○酒巻委員  DPC算定病床がどの程度変化しているのかとか、そういう病院数はどのぐらいある かというようなデータは出せるのですか。 ○中田補佐  申しわけございません、今、データをお示しすることはできません。 ○酒巻委員  しかし、実際には存在しているということですよね。理由はどうであれ、ちょっとわ かりにくいだろうと思いますが、動いていってしまうと、当然、この「3.5」という数 字そのもの、あるいは「8.75」という数字そのものも、一体どういう意味合いを持って いるのかという話になりかねないと思います。実態を見てからでないと、病床数の考え 方そのものが非常に難しいことになってしまうので、この「3.5」とか「8.75」につい ては私はこのままでよいと思いますけれど、病床数の考え方そのものについては、少し データをお示しいただくなどして議論に上げていただけないでしょうか。 ○宇都宮企画官  先ほどの表現が多少誤解を招いてしまったのかもしれませんが、実際にはそのような 変更はほとんどございません。例外的に病床転換することがあるという施設がたまにあ るというだけで、毎月病床数が変わるとか、そういうものではございませんので。そし て、万が一そういうところがあれば、それはもちろんピックアップしてきちんと調べる ということになると思いますので、それほど御懸念される必要はないのではないかと思 いますが。 ○酒巻委員  それほど大きな変化があるというわけではないし、年にたまたま1回あったというよ うなことですね。 ○宇都宮企画官  はい。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。もしそういう事例があるとしましたら、また何らかの形でこ の分科会で議論しなければいけないことになるのではないかと考えております。  それでは、ここにつきましては御了解いただけたということで、よろしいでしょうか。  ありがとうございます。  次に、5ページのDPC対象病院の基準案ですが、これは両論併記として私どもでは 出してございますけれど、基準案1として軽症の急性期入院医療も含めてすべてDPC の対象とするというものと、基準案2としてある程度以上の重症の急性期入院医療をD PCの対象とするという、2つの意見でございます。これにつきまして、もう少し議論 をいただけたらありがたいと思います。 ○齋藤委員  DPCを動かしてみて、例えば、情報の透明化であるとか、病院としては診療内容を 厳選しながら吟味してやらなければならないとか、そういういい点が非常にたくさん見 えてきたと思います。ですから、そういう点から言えば、比較的軽症であっても、急性 期の範疇に入るものについては、確かに当初の出発の時点では、特定機能病院で重症が 多かったけれども、最初がそうだったから後々までそれであるべきということは必ずし もなくて、軽症のものであっても、急性期にふさわしい病院があれば含めていくという 方向でよいのかなという気はいたします。もちろん、重症のものは入っても構いません が。  DPCとしてふさわしくないのは、非常に長期化したりして、ケアミックスとか介 護・療養とか、そういうものまで及ぶようになると、もう診断群分類の枠組みそのもの がぼやけてきてしまうということで当惑するわけですが、急性のエピソードを対象とし ている病院が中心であれば、それで今後の方向としては十分ではないかなと思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。ほかに御意見はいかがでしょうか。  武澤委員、逆のお考えだと思いますけれど。 ○武澤委員  前にも申し上げましたけれど、はっきり言って、急性期病院の定義がないわけです。 厚生労働省にもないということになりますと、基準案1のように、まず急性期と言われ る病院に適用してみて、機能評価係数で後から調整するという方法があると思いますの で、基本的には、現在の段階では急性期病院の定義がはっきりしていない以上、基準案 1で行かざるを得ないと思います。  ただ、もう一つ申し上げたいのは、前から申し上げていますように、最終的にどうい うDPCの完成形を目指すのかということを片一方で必ず意識していないと、永久に急 性期病院という名前のもとにそこに限定してしまうのか、慢性期のDPCもあり得るわ けで、全てをカバーする診断群分類による診療報酬制度というのはあり得るわけですか ら、それに関する態度を明らかにする方がよいと思います。そうしないと、局地戦の手 直しだけで終わってしまって、結局、制度がどこを目指したいのかがわからないという ことになると思いますので、その辺を、ここの委員会でなくても、ほかの委員会でもぜ ひ議論していただきたいと思います。 ○酒巻委員  急性期の定義がはっきりしていないとは言いながらも、実際には地域の医療の中では、 最もリスクを負いながら、最後に重い急性期が扱える病院に患者さんが移っていくわけ ですね。その事実は非常に重要なことでして、もし「我が方は急性期である」と自認す れば、それで済むかという問題になってしまうので、私は実は基準案2の方がよいだろ うと思って発言しているつもりなのですが、何らかの格好で急性期病院、そしてきちん と重症を診ていく病院というものをつくり上げていく、それをこの制度の中で入れた方 が、最も最初の出だしのところにかなり近いのではないかと思っています。これは私の 私見ですけれど。 ○嶋森委員  今、在院日数も非常に短くなったり、病院の区分けが少しずつされてきている時期だ と思いますので、私もどちらかというと基準2の方で、ある程度急性期をやる病院とい うのをきちっと特定していかないと、急性期で持ち出ししてやっている病院と、割と軽 い病気を在院日数を短くしてやっている病院との差が余りにもでき過ぎるのではないか と思います。その基準2をどうやってつくるかは難しいのですが、私としては、急性期 を評価するような基準をつくっていただいた方がいいように思います。 ○池上委員  私は基準案1の方が適切だと考えまして、その理由は2点あります。DPCの各分類 に係数を作成したときには、それぞれの出来高の実績を踏まえて係数が作成されていま したので、その出来高のときにコスト保証しているという観点からすれば、既にDPC の係数においてコストは保証されているということです。そうでなかったら、今までの 出来高はコスト保証していなかったということになりますので、そうすると、これまで の体系が問題となってくると思います。  次に、反対意見の中の最後の・に、「不必要な医療を助長することになる」という下 りがありますが、要件を設けると、要件をクリアするための問題が必ずあるのですけれ ど、不必要な医療を助長するだけではなく、当該病院としてそれだけの機能を本来持っ ていないけれども、この要件をクリアするために無理にでも実施することを助長するこ とにもなるという点が危惧されますので、このような外的基準による要件ということに は反対でございます。  急性期のあるべき姿というのは、急性期入院医療を扱う病院のあり方については今後 議論するべきだと思いますが、このような一律の基準で設けるというのは、さまざまな 弊害が出てくることが危惧されます。 ○齋藤委員  DPCは、当初は、82特定機能病院、重症な急性期を中心とした疾病を扱う医療機関 を対象にスタートしたことは紛れもない事実なんです。ところが、やってみると、DP Cにはとてもいいところがたくさんあって、これは軽症の急性期の病気を扱う病院にも 広めることが日本の将来の病院医療にとって望ましいだろ、ということがだんだん明ら かになってきたわけですね。  例えば、軽症な急性期を持つ病院でも、医療について結果責任を持たなければならな い。それから、もちろん情報がきちんとほかと比較される、それが患者も地域連携の担 当医、いわゆるかかりつけ医もそれを共有できるようになるとか、それから、どんどん 医療資源を投下して薬漬け、検査漬けをやったのでは病院はもたないので、検査や薬を 吟味しなければならないと。そういうインセンティブも非常に妥当なものが、軽症の急 性期を扱う病院にも当てはまることが明らかになってきていると思います。  ですから、重症の急性期を扱う当初の82特定機能病院等については、これから調整係 数といういわゆる医療機関係数のようなものをいろいろな条件で、例えば前から出てい る病理医の数とか放射線管理員の数だとか、いろいろな要素を加味して、大学病院を中 心にした高度の重症の医療を行っているところには手厚い係数がつくように、当然工夫 していくべきだと思います。  けれども、それだけに限定しないで、比較的軽い、けれど急性期、例えば急性虫垂炎 とか、そういう一言で言えば短期の入院ですべて9に服するような病気を扱っている病 院も仲間に入れていくことが、将来の日本の病院医療の健全な発展の上では妥当だろう と私は考えておりますので、強いて言えば、基準案1の方に賛成いたします。 ○小山委員  基本的なこの案でいくと基準1になると思いますが、「軽症の急性期」というのと 「ある程度以上の重症の急性期」という、非常にあいまいな、連続性のあるところでも って線はどうやって引くのだろうと思うのです。  私の考えでは、入院をさせるという時点でもってある程度のインセンティブは働くわ けですから、「入院が必要な医療」という形の線引きをしているわけですから、これは 「ある程度の急性期医療」という考え方で統一していいのではないか。ただ、「軽症で 入院」というのはなかなか難しい問題があると思うのですけれど、言い方があれなので、 「入院が必要である」というのはもう一定の判断以上いっていると思います。  先ほど武澤先生もおっしゃっていましたけれど、じゃあ、その後どうするかというの は、係数でもって区別して、例えば手術がある程度以上あったらとかという話ですが、 これも内科疾患でも重症患者は幾らでもいますので、手術だけでは比べられませんけれ ど、ただ、手術であれば、それだけ手間暇かかる準備をする必要があるだろうというこ とで、係数で対応していただくような形の方がいいのではないかと思います。 ○木下委員  将来的に調整係数がなくなって、病院の機能係数ができるという場合に、どうなるか というのはわかっていない段階で、齋藤委員方が御主張なさっているような、理想的に は資源をむだ遣いしないとか、透明性であるとか、標準化であるとか、そういう視点に おいては確かにメリットはわかります。しかし、明らかな事実は、支払い方法であると いうことを抜きには考えられないだけに、病院機能係数ができれば、大病院などはあり とあらゆる機能を持つようになるわけでありますからそこは当然であるとしても、余り 持てないような、軽症・重症というのをどう定義するかはわかりませんが、そういう病 院にとって、新しくできる機能係数で算定したときに、本当にいいのかなと。  そういうことが見えてこない段階で何でもかんでも、理念的なこととしては素晴らし いからこれがいいのだというのは、それは大病院の視点からすればあってしかるべきと 思いますが、日本の国の医療全体を考えたときには、まだそこまで言い切れるかなとい う、その辺のところがよくわからないだけに、軽々に早く何でもというのはどうかなと いう思いでございます。 ○山口(直)委員  私も、基準案1の方がよろしいのではないかと思います。一つは、池上先生がおっし ゃったコスト保証ということについては、私も全面的にそうだと思いますし、もう一つ、 手術をするかしないかという、臨床上の判断がこういう案2のような形で基準に入るこ とは、臨床上の判断に往々にして影響を与える場合が多いのではないかなと感じるのも、 池上先生と同じ意見です。 ○熊本委員  基準案1に賛成したいと思います。今、御意見が出ていましたように、これからどう なるかわかりませんけれど、「望ましい要件」というのが前にあって、あれは入り口で そういうものをしたわけですが、必ずしもあれは何も力がなかったわけですね。それで、 あれをちゃんとすべきだということで、評価係数として見ていこうということで次のス テップになったわけですけれど、今回、入り口でこういうことで基準をかけるよりも、 この手術件数等も、今、御意見がありましたように、いろいろな形で見ていくことがで きるのではないか。  それから、コストに関しては、診断群分類の係数ということでデータの精度を上げて 精緻化していけば十分だと考えられますので、ここの部分は評価係数で見ていけばいい のではないかと思います。 ○伊藤委員  一番気になりましたのは、単科の、例えば眼科などの病院ですと、外れ値になってし まうところが多いのではないか。その外れ値に、基本的には機能評価係数で今の病院の 調整係数が全部評価できるかどうか。できれば一番問題はないだろうと思いますが、あ る一定の線で類型化しないと、入ってきたときにそういう外れ値を外す方法がなくなる のかなというのが一番危惧するところですが、実際にシミュレーションは事務局の方で やられているのではないかと思うのですけれど、そういう問題点は基準案1でやったと きはないのでしょうか。 ○西岡分科会長  これは事務局の方でお答えできますでしょうか。 ○中田補佐  事務局ではちょっと持ち合わせておりませんが、松田先生の方から何かございました ら、お願いしたいと思います。 ○松田委員  前回、私は別の学会が入っていて出席できませんでしたが、前回お配りしたもので、 きょうもお配りいただいています「伏見参考人提出資料」というものの16ページを見て いただくとわかるのですが、ここに多様性指標と資源投下指標、CMIの関係を示した グラフがございます。  今、伊藤委員が御指摘になった施設というのはどういう施設かというと、基本的には 多様性が非常に少なくて、要するに限られた領域の診断群を見ていると。それで見ます と、左の方にそういう病院が、0.4以下とか0.3以下のところにかなりございます。その 中に1つ特定機能病院もございますが。そういうものを見てみますと、かなりばらつい ています。非常に資源を投入しているCMIが高い病院もございますし、1よりちょっ と低いぐらいの病院もあるということですので、この辺をうまく切り口にして評価をし ていけばよろしいのではないかなと考えます。  基本的には、多様性と、どのくらいの重症度の患者さんを診ているかという、CMI を2つの軸で見ていけば、そういう特殊な病院というのは評価できると思いますので。  ということで、一応、分析はできております。 ○酒巻委員  資料D−1−3に散布図が出ていますけれど、今議論になっている基準案2の場合に は、例えば、右下に来るような病院をどうするかという議論をしているのだろうと思う のですが、そういう理解でいいわけですね。 ○中田補佐  資料D−1−3の表の見方については、手術等の割合を縦にとっておりますので、下 の方に来ている病院を今御検討されていると。横軸は(データ/病床)比ですので、左 に行けば行くほど小さくなってくるという形でございます。 ○酒巻委員  私はまだ基準案2の方にこだわっているのですが、左側の軸の「3.5」というところ にも線が引いてありますけれど、どこかには一つのラインがあるのではないかなと思っ ているわけでして、何でもかんでもというのはちょっとかなというのが気持ちの中にあ っての発言です。 ○齋藤委員  この資料D−1−3の縦軸ですが、例えば救急車というのも非常に議論の多いところ で、前回の診療報酬改定のときに、重症の患者が自家用車で来たら算定の対象にならな いのかという議論が非常にあったんです。そういうことを踏まえて、前の麦谷課長が、 確かにおかしな算定方式だと。そんなにひどくなくても、病院は紹介率などを上げるた めに、自家用車ではなくて救急車で来てくださいなんていう、誤った救急車の使い方ま で助長するようなことになりかねないわけですね。そのこと一つ見ても、この縦軸には いろいろ問題があるだろうと。  それから、手術も化学療法も放射線もしないけれども、急性虫垂炎などだったら非常 に丁寧にたくさん診ているとか、市中肺炎をたくさん診ているとか、そういうところが しっかり評価されないといけない。何らかの見方で確かに急性期を慢性期から分けるよ うな線引きというのは、今後、指標として探られるべきかなという気はいたしますが、 今、にわかにこの4指標を縦軸にとったこの図を一人歩きさせることには、かなり抵抗 感があります。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。今まで指標がなかなか出てこなかったものですから、一つの 例としてこういう形で挙げていただいております。救急車の方がいいのか、救急患者の 重症度の方がいいのかとか、いろいろな問題点を含んではいると思いますが。  それでは、大体御議論をいただいたと思いますので、今のいただきました御意見をう まくこの中に入れさせていただいて、この2つの意見があるということで、基本問題小 委員会の方には御提案させていただきます。  3つ目の調整係数に関する問題でございますが、ここでは「望ましい要件」として一 旦つくったのですけれど、必ずしもそれはうまく合致しないということで、むしろ係数 として採用する方向で検討してはどうかという御意見がございます。  それから、各医療機関の機能を反映するような係数をつくってはどうかということで すが、これに関しましてはよろしいでしょうか。まだこれは十分議論が詰まっていなく て、これを提案しますと多分こちらに戻ってくると思いますので、1〜2年かけてこれ をやらなければいけないという形になろうかと思いますが。 ○武澤委員  調整係数は廃止で当たり前だと思いますが、問題は、それに替わる機能評価係数です けれど、調整係数で浮くお金がかなりありますよね。そのお金を全額、機能評価係数の 方に移行できるのかという質問が1つです。  それから、調整係数が廃止されるのは22年ですか。ということは、早急に機能評価係 数の原案というか、概要をお見せしないと恐らく議論が始まらないと思うのです。診療 科別に機能評価係数を入れるとしても、例えば心臓外科の機能評価係数として入れるか どうか知りませんけれど、あるいは医療事故対策とか院内感染対策といった横断的な機 能をどうするかとか、そういう議論をちゃんとしなければいけないと思います。  そのためには、これは松田先生にお願いするしかないと思いますが、研究班の方から 原案を一回提示していただいて、たたき台として、それをみんなで議論していくという 方法をとらないと、最初から議論していきましょうというのでは間に合わないんじゃな いでしょうか。タイムスケジュールがどうなっているかよくわかりませんけれど、とり あえず次の委員会ぐらいに原案を出していただいて、議論するぐらいのスピーディさが 必要なのではないでしょうか。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。貴重な御意見でございます。松田先生、いかがでしょうか。 ○松田委員  前回もお話ししたと思いますが、調整係数と機能係数というのは基本的に性質が違う と思います。調整係数は各医療機関の今の診療行為のプロセスのばらつきをそのまま反 映させてしまっているのですが、機能係数というのはそうではなくて、例えばその病院 がどういう高度な機能を持っていて、それを担保するためにどういう施設を持っていて、 あるいは人員配置を持っていて、どちらかというと資本コスト的な部分を係数で保証す るというものになってくるだろうと思っています。  今、研究班の中では、そういう視点から、財務諸表も含めて、これは研究班の中で橋 本分担研究者が行っているわけですが、そういう研究をやったりとか、あるいは診療プ ロセスそのものの評価をして、そのプロセスの評価をうまく係数化できないかというこ とをやっておりますので、研究班の中でこの分科会にお出しできるようなものをまとめ てみたいと思います。 ○小山委員  これは特定機能病院だけに係るのですが、調整係数が突然ゼロになるということは、 今まで特定機能病院には加算がありましたね。それで、医師の配置が多いということで、 そういう加算もこの調整係数の中に入ってしまっているわけですね。そして、突然ゼロ になってしまうということに対しては、何か考慮されるつもりはありますか。 ○西岡分科会長  たしか特定機能病院の加算が別に一つあったように思いますが。 ○小山委員  それはゼロになっちゃっていますから。DPCになって。調整係数で入っちゃってい ますから。 ○西岡分科会長  調整係数以外にですが。 ○小山委員  いえ、ありません。それが調整係数で反映されているわけですから。 ○西岡分科会長  そこを見ていただけますでしょうか。それが私は気になっていましたので。 ○宇都宮企画官  特定機能病院については、機能評価係数の中に入っておりますので、それをそのまま 使うのか、あるいは多少変更するのかと、そういう話になると思いますけれど。 ○小山委員  それは私は知りませんでしたけれど、どういう名称になって評価係数になってくるの ですか。 ○宇都宮企画官  失礼しました。7対1に限って特定機能病院入院基本料のということです。 ○小山委員  だから、調整係数の中に特定機能病院の入院基本料加算が全部包含されてしまって出 ているので、大学病院がちょっと高いのはそこら辺の算定があるからなんです。それが 一律にゼロになった場合には、そこのところはもう一度考えていただかないといろいろ 問題が生じるかなと思いますので、よろしくお願いします。 ○宇都宮企画官  今のいきなりゼロというお話ですが、調整係数については、いきなりゼロにするのか、 段階的にゼロにするのかとか、その辺についての議論もあると思います。ですから、そ れについてもむしろ先生方に御議論いただいた方がよろしいのではないかと思いますが。 ○小山委員  いきなりゼロにしないというソフトランディングを考えていただくならば、問題なの は、どういう基準でソフトランディングするかだと思います。つまり、今の係数という のは前年度を補償する意味での計算で出てきていますね。そうすると、ソフトランディ ングする場合は、具体的にその方法を考えられていますか。 ○宇都宮企画官  それをむしろ先生方に御議論いただこうかと思っていたのですが(笑)。 ○小山委員  じゃあ、考えていいのね(笑)。わかりました。 ○西岡分科会長  もしできましたら、例えば、松田研究班などからの資料をいただいて、何らかここを 区分けした形で病院機能係数みたいなところに乗せ得るかどうかというのをこの場で検 討しなければいけないと思っています。  それから、先ほどの非常に医療資源を使用するような急性期医療とそうでない医療と の区別も当然やらなければいけないと思いますので、調整係数は廃止するというのはも う決まっておりますので、ただ、あと2年間猶予があるということですので、これにつ いてはかなりエクステンシブに私たちは議論を重ねなければいけないのではないかと思 っていますが。 ○小山委員  私の考えでは、何年かの積み重ねの中で、調整係数がある意味で機能係数の代行をし ているような部分もかなりあると思います。その辺からどういうものをくみ取っていく かというのは、我々は素人ですからわからないので、これも松田先生にお願いするしか ないと思うのですが、調整係数の意味合いはかなりありますよね。  確かに中医協での説明の中では、前年度の収入を補償するという意味ではないかもし れませんが、ここまで4年、5年たってきますと、調整係数そのものにやはり何らかの 数字的な意味が出てきていますので、ただ単にゼロにするということを余りにも声高に 言ってしまうと、現場は非常に混乱することになりますので、慎重にやっていただきた いと思います。 ○武澤委員  その意味でも、機能評価係数のありようを明らかにすべきで、構造的なものの評価と プロセスの評価と成果評価の3つを組み合わせてパフォーマンス評価しなければいけな いわけです。そのパフォーマンスに応じて診療報酬を支払う。これが原則で、その前提 として、標準的な医療コストは、すべて全部保証されると。その上で調整係数が1にな った場合に、機能評価係数でどれだけ上乗せしますかと。例えば10%ですか、20%です か、あるいは5%ですかという議論があるわけです。ですから、そういうことを全部含 めて概要を出していただかないと、こういう議論は起こると思います。  調整係数と機能評価係数は全く性質が違うものですが、その中の一部は当然オーバー ラップして見えることはあると思いますが、コンセプトは全く違いますから、日本のあ るべき医療の中で一体どういう形で質や安全の担保をしていくかということを考えた場 合に、調整係数ではそれはできないわけです。ですから、やはり機能評価係数というこ とを前面に出して、それで議論をしていくことが大事ではないかと思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。ここで調整係数廃止反対ということは出せませんので、これ はもう決まっているわけですね。ですから、いかにいい形のところにまとめていくかと いうことになろうかと思います。 ○宇都宮企画官  先ほどの分科会長のお話で、ちょっと誤解があるといけませんので、文言を正確に申 し上げますと、調整係数については今度の改定までは維持すると、そこはあるのですが、 では、いつ廃止というのは書いていないんです。ですから、先ほど2年後とおっしゃい ましたが、理論的には1年後もいいということなんです。理論的にはです。別にやると 言っているのではなくてですね。ですから、そこは誤解のないようにしていただきたい と思います。  それから、先ほどの小山先生の話に戻りますが、いきなりゼロにするのか、段階的に ゼロにするのか、その方法についてもまだ議論されていないと。ただ、20年改定までは 維持すると、そこまでしかないということですので、そこは誤解のないようにお願いし たいと思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。 ○原医療課長  ついでにお金の話をすると、調整係数を平均値のところに持っていくとお金は出ない わけですね。平均値よりも高いところは収入は当然減りますけれど、低いところは収入 は何もしないでも増えると。ですから、財源は出ないんですね。実はそこが廃止をする ときに非常に大きな問題になってくるのだろうと思います。高いところは一生懸命いろ いろなことをやっているけれども低くなってしまう。  これは非常に被害が出るのも確かだけれど、じゃあ、何もやっていない平均値より低 いところは、そのまま収入が単にふえるだけですので、それをどうするのかという問題 も一方ではあるわけです。そういう意味では、それは取り上げていいのではないかとい う意見もあるでしょうし、そこがプロセスとして十分でないとしたら、それを十分やら せないと標準的な医療に持っていけないわけですから、その手段も、これは別の議論と してはやらなければいけないだろう。ただ、お金の話でいけば、単純にあわせれば余ら ないということだけは御留意してください。 ○西岡分科会長  この議論はかなり詰めなければいけませんし、もちろんいろいろな議論をするための データが出てこないと前へ進まないと思いますので、基本問題小委員会に御報告すると きには、ここにあるような形での第3の部分でのものを報告させていただくということ にとどめさせていただくことになろうかと思います。この分科会では、さらにこの調整 係数、機能係数についての議論を深めていくと。そして、できるだけ早い時点でそれを 提案できるような形に持っていきたいと考えていますが、そういうことでよろしいでし ょうか。  事務局の方もそれでよろしいでしょうか。  それでは、この提案書に関しましてはこの形と、きょう御議論いただいたものを追加 させていただきたいと思います。 ○小山委員  先ほどの質問が中途半端でとまってしまったのですが、「 3.5」のところですけれど、 今、「 3.5」を適用すると対象とならない病院が出てくるというお話でしたが、この対 象とならない病院はいかがする予定ですか。  ということは、もう一つ問題なのは、この一番の基本である看護10対1が到達してい ない病院、あるいは現在到達しなくなった病院が出てきているわけですね。この辺を強 制的に外すのかどうなのか、いわゆる出口のところの議論はここでは一切論じなくてよ ろしいんですね。 ○西岡分科会長  本当はしたいのですが……。 ○中田補佐  まず、1番目の10対1の経過措置の部分につきましては、これは従前より経過措置を 設けて、それを満たしていただくといった形の対応をとらせていただきますので、もち ろんそれに向けて各病院に努力していただいているかと思いますが、もしその基準に満 たない場合には、それ相応の措置が必要ではないかと考えております。  それから、(データ/病床)比 3.5の話につきまして、既に対象病院の中でも満たし ていないところの取扱いにつきましては、我々としてもそういった「3.5 」を満たすよ うな指導をしつつ経過措置を見ながら、各病院に努力していただくような措置が必要で はないかと考えております。 ○西岡分科会長  よろしいでしょうか。これが出口になっていくかと考えます。ですから、DPCは入 り口だけで、出口なしというので来ていたのですが、必ず出口もあるということでお願 いせざるを得なくなってきております。 ○松田委員  1点確認させていただきたいのですが、18年度にいろいろデータを出したり、その参 入条件の議論があったと思いますけれど、今年度の時点で10対1を満たしていない準備 病院については、支払い対象病院にはなれないという理解でよろしいですか。 ○中田補佐  今年度の経過措置が切れた以降、満たしていない病院についてはそのような措置にな るかと思います。 ○西岡分科会長  よろしいでしょうか。では、この分に関しましては報告させていただきます。それか ら、修正に関しましては、きょうの御意見をここに加えさせていただくということで、 それにつきましては私の方に御一任をお願いできますでしょうか。  それでは、御一任いただいたということで、修正を行いまして、基本問題小委員会の 方に報告させていただきます。  では、次に、資料D−2の御説明をお願いいたします。 ○中田補佐  お手元の資料D−2の「平成19年度DPC導入の影響評価に関する調査結果及び評価 −中間報告概要(案)」をごらんいただきたいと思います。あわせまして、資料D−3 「7月から12月までの退院患者に係る調査について」(7〜8月分中間報告)もござい ますが、今回のD−2の資料はD−3のデータ集を踏まえまして、D−2で概要として まとめさせていただいております。D−3につきましてはデータ量が大変多うございま すので、D−2を中心にしてまずは御説明申し上げたいと思います。  第1の調査の目的でございます。DPC導入の影響評価を行うために、診断群分類の 妥当性の検証及び診療内容の変化等を評価するための基礎資料を収集することを目的と しております。  第2の調査方法でございます。平成19年7月から12月までの退院患者について、「診 療録情報」及び「レセプト情報」等を収集することとしております。今回は中間報告で ございますので、7〜8月のデータでございます。  第3の調査対象病院についてでございますが、ここにございますとおり、15年度DP C対象病院は82病院、16年度DPC対象病院は62病院、18年度DPC対象病院は216病 院、18年度DPC準備病院は371病院、19年度DPC準備病院は698病院を対象としてお ります。  8月末の700数病院からは、こちらは698になっておりますが、これは現時点での病院 数でございます。  第4の分析対象データにつきまして、厚生労働省が受領しました7月から8月の退院 患者に係るデータ(約144万件)のうち、包括払いの対象とならない病棟への移動があ った患者等を除外したデータ(約131万件)を分析の対象としております。また、平成 15年度〜18年度の調査データについても同時期のデータを用いて比較対象としておりま す。  こちらの除外対象の基準につきましては、D−3の4ページ目に詳細を載せさせてい ただいておりますので、ごらんいただければと思います。  続きまして、2ページ、第5で主な結果についてまとめさせていただいております。  1、平均在院日数でございます。  (1)平均在院日数の年次推移につきましてまとめさせていただいております。右に 図表1とあるのは下の図表1のことでございまして、別添につきましては資料D−3の ページ数を記載させていただいております。  平均在院日数につきましては、すべての病院類型において平均在院日数は減少傾向に あるということでございます。  (2)平均在院日数の減少の要因といたしまして、こちらは資料D−3の37ページ以 降で詳細をまとめておりますが、平均在院日数の減少の要因につきまして、「診断群分 類ごとの在院日数の変化による影響」と「患者構成の変化による影響」とに分けて分析 いたしましたところ、主に診断群分類ごとの在院日数の減少によるものと考えられたと いうことでございます。  詳細につきましては、資料D−3の37ページにございますとおり、今回、在院日数の 平均の差について、DPCごとの影響なのか、それとも患者構成の変化による影響なの かについて分析しております。分析の詳細については、37ページに記載してあるとおり でございます。  戻りまして、2ページの入院経路につきまして御報告申し上げます。  (1)救急車による搬送の率・患者数の年次推移でございます。  救急車による搬送の率は、平成15年度DPC対象病院は減少傾向であり、それ以外の 病院類型では、増加から横ばい傾向であった。また、1施設1カ月当たりの救急搬送患 者数はすべての病院類型で増加傾向であったということでございます。  3ページでございますが、先ほどの救急車による搬送の率・患者数のデータをこちら で示させていただいております。  (2)緊急入院の率・患者数の年次推移でございます。  緊急入院の率は、平成15年度DPC対象病院は減少傾向であるが、それ以外の病院類 型では増加から横ばい傾向であった。また、1施設1カ月当たりの緊急入院の患者数は、 すべての病院類型で増加傾向であったということでございます。  具体的な図表につきましては、この以下に図表3で示させていただいております。  4ページでございます。(3)他院より紹介有りの率・患者数の年次推移でございま す。  他院より紹介有りの率及び1施設当たりの患者数は、平成18年度DPC対象病院を除 いた病院類型では増加傾向にあったということでございます。  3、退院先の状況でございます。  (1)自院の外来の割合の年次推移でございます。  自院の外来の割合は、平成15年度DPC対象病院は増加傾向であるが、平成16年度D PC対象病院は減少傾向であり、それ以外の病院類型では横ばい傾向であったというこ とでございます。  5ページの図表5をごらんいただければと思います。  (2)転院の割合につきましては、平成15年度DPC対象病院は減少傾向であるが、 平成16年度DPC対象病院は増加傾向であり、それ以外の病院類型では横ばい傾向であ ったということでございます。  4、退院時転帰の状況でございます。  (1)治癒・軽快の割合でございます。  治癒及び軽快を合計した割合はすべての病院類型において横ばい傾向であった。なお、 治癒の割合はすべての病院類型で減少傾向であり、軽快の割合はすべての病院類型で増 加傾向であったということでございます。  6ページの図表7で示させていただいております。  5、再入院率についてでございます。  (1)再入院の割合の年次推移といたしまして、再入院の割合は、すべての病院類型 で増加傾向であったということでございます。  図表8で示させていただいております。  7ページでございますが、同一疾患での6週間以内の再入院の割合の年次推移を比較 したものでございます。同一疾患での6週間以内の再入院の割合は、すべての病院類型 で増加傾向であったということでございます。  8ページでございます。6の患者構成につきまして、MDC別の患者の構成割合は、 すべての病院類型でMDC06「消化器疾患、肝臓・胆道・膵臓疾患」が最も高い割合を 占めており、近年の患者構成の割合には大きな変化は見られなかったということでござ います。  9ページでございますが、第6のまとめでございます。  これまで示させていただきましたデータ、図表等をもとにしまして、事務局でまとめ を作成させていただいております。  すべての病院類型において、昨年度と同様に、平均在院日数は減少傾向であった。そ の要因としては、診断群分類ごとの平均在院日数が減少することによるものであること から、DPCによる効率化が進んでいるものと考えられる。  また、救急車による搬送、緊急入院及び他院からの紹介の患者数は増加傾向であった ことから、重症度の高い患者を避けるような患者選別の傾向が見られておらず、診療内 容に悪影響が認められないものと考えられる。  再入院については、増加傾向であったことから、今回、再入院率が高い医療機関に対 してアンケート調査及びヒアリングを実施した。その結果、同一疾患での3日以内の再 入院については、臨床現場の実態として、実質的に一連の療養として支障がないものと 考えられ、1入院として扱うことが適切であると考えられた。また、4〜7日以内の再 入院の例及び本来であれば外来で実施できると思われる治療でも入院医療で行われてい る例については、今後も実態の調査・検討が必要であると考えられる。  なお、平成15年度DPC対象病院においては、退院先の状況として、自院の外来の割 合が増加傾向であり、転院の割合が減少傾向であったことから、退院患者が同じ医療機 関の外来へ通院している傾向が示唆される。しかし、当該医療機関では、専門外来(外 来化学療法・外来放射線療法等)を実施している割合が多いことも考えられ、その実態 について、今後調査する必要があると考えられるということでございます。  最後の10ページの検討の経緯は、中間報告だけの経緯ではございませんでしたので、 参考という形で載せさせていただきましたが、ここは後で省かせていただきたいと思い ます。  以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。今の御報告につきまして、何か御意見はございますか。 ○齋藤委員  いろいろなデータが出ておりますが、その中で一番目立つというか、ちょっと気にな るのは、図表7で、15年度DPCも16年度DPCも、平成15年には治癒が8〜9%ぐら いだったものが、いずれも平成19年度には5〜4%ぐらいに下がってしまっていると。 これは見方によっては治り切らないうちに退院してしまうことになったのかなという点 が気がかりなのですが、よく見れば、15年度のときに、もう外来で治療してもよい状態 なのに入院し続けていたと。そういう見方もあって、その読みはなかなか難しいのです が、厚労省の方で何か見解はおありでしょうか。 ○西岡分科会長  これは毎回報告しますときに御意見をいただく部分でございます。何かございますで しょうか。 ○中田補佐  齋藤委員がおっしゃるとおり、さまざまな解釈があり得るかと思いますが、確かに一 つとして、急性期病院として次のステージということに適切に行っているということで あれば、こういったデータの推移は合致しているのではないかと考えております。 ○齋藤委員  DPC導入の当初から、いわゆる粗診粗療とか、早すぎる退院というのが慎重論の中 では根強かったわけですね。ですから、そういう点を踏まえると、「それ見たことか」 と見られかねないデータでもあるわけですね。ただ、実態としては、余りそういう弊害 は出ていないということ、そして完全に治り切らなくても十分外来・通院で処理できる という実態が次第に明らかになっていますので、その辺はしかるべく理解しながらうま く説明していただきたいなと思います。 ○宇都宮企画官  まさにこの報告の中に書いてございますように、治癒と軽快をあわせた割合というの は変わっていないということで、ですから、それ以上まだ治療が必要である、重症であ るという患者さんを追い出しているというデータではないので、そういう意味では、こ れまでも外来に、あるいは療養病床などに移すことができたにもかかわらず、まだ残っ ていらした患者さんを適切な形にしたということが想定されるのではないかと考えてお ります。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。ほかに御質問はございませんでしょうか。  形としては毎年同じ傾向のデータが出てきたということで、決して粗診粗療の方に向 かったという形ではないということは明らかだと思います。  また、6週間以内の再入院率も上がってきておりますので、これも議論になるのでは ないかと思いますが、これに関しましては、松田先生の研究班のところへ、さらに詳細 な再入院のデータが最終報告のときに出てくるかと思います。  あるいは、まとめの一番最後に出ております、特に15年度DPC病院の自院への外来 ということ、これも取り上げられる可能性が高い話題で、いつも患者さんを囲い込んで いるのではないかといった御議論をいただきますが、これについては特定機能病院の小 山先生、いかがでしょうか。 ○小山委員  重症患者さんをなるべく早期に退院させるということの中で、1回目の外来は、もう 一度来てくださいと。そして、2回目、3回目以降は地域へ戻すという形のものが非常 に多いと思います。それでもってこういう傾向が出ているのかなと思います。最初の外 来は確かに大学へ戻っていますけれど、それ以降の調査をすれば、ほかの病院と大して 変わらない、あるいは他の病院よりももとへ戻しているということ。  それはどういうところがいいかというと、地域連携を持っていない大学病院はありま せんので、そこを今非常に積極的に動いていますので。ただ、我々も心臓などをやって いてもそうなのですが、手術して10日とかで退院させますと、やはり傷のこととかいろ いろ心配があって、とりあえず1回は来てよと。そして、2回目以降は……という傾向 はありますので、そんなところがその影響になっているのかなという感じはいたします。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。最終的にはさらに実態について調査する必要があるというこ とで、これは確かに小山委員がおっしゃっているような形態が非常に多いのだと私ども は理解しますが、それを何らかの形でどこかで示さないといけないかなと思っています。  ほかに何かございませんでしょうか。 ○武澤委員  ここに書いてあるとおりだと思いますが、特にがんの専門外来ですけれど、化学療法 と放射線療法とがありますが、これは国のがんの対策基本法に従って、拠点病院を中心 にやるということが一つの柱になっていますし、まして、外来と書いていますけれど、 外来の患者を化学療法でやるためには、例えば栄養管理とか在宅医療とか、いろいろな ものが全部必要になってくるわけですね。  それを一般の病院で集学的医療としてできるかというと、できないと思います。です から、それは拠点病院を中心としてやるということになると、特定機能病院やがんセン ターなどに患者さんを専門外来にとりあえず集めて、安定したらまた帰すということが 起こり得るので、専門外来機能は特に強調していただきたいと思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。全体を含めましてほかに御議論はございますでしょうか。  松田先生の方から、今回の調査結果についてコメントなどはございますでしょうか。 ○松田委員  ここに書いてあるとおりだと思いますが、委員というよりは、大学に勤める人間とし て最近少し気になってきているのは、このデータにも出ていますが、大学病院にかかる 患者さんはすごくふえてきているんです。外来も入院もすごくふえてきていて、けれど、 実は研修医を含めて医者の数は減っているという状況が今あって、どこの大学病院もす ごく厳しくなっているという実態がこれによく出ているなと思って、今、このデータを 見ていました。  あとは、今、武澤委員からありましたように、専門外来をかなりやるようになってき ています。検査もそうですし、外来化学療法などもそうですので、そういうところも少 し評価していただいて、自院の外来ということを説明していただいた方がいいのかなと 思いました。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。  それでは、この平成19年度DPC調査の中間報告につきまして、中医協基本問題小委 員会への報告をさせていただきます。これにつきましては私の方に御一任をお願いした いと思いますが、よろしいでしょうか。      (「異議なし」の声あり)  ありがとうございます。  それでは、今日予定いたしておりました議論は以上でございますが、委員の先生方か ら、ぜひともここはもう少し詰めろとか、何かございますでしょうか。よろしいですか。  事務局の方からは特にございませんか。  それでは、今日の議論は以上とさせていただきたいと思います。  事務局から、次回以降の連絡事項等をお願いいたします。 ○中田補佐  次回の開催につきましては未定でございます。決まり次第、事務局から別途御連絡さ せていただきます。 ○西岡分科会長  それでは、平成19年度第8回診療報酬専門調査組織・DPC評価分科会を終了させて いただきます。本日は、お忙しい中をどうもありがとうございました。                                    −了−  【照会先】         厚生労働省保険局医療課包括医療推進係         代表 03−5253−1111(内線3278)