07/11/12 社会保障審議会介護給付費分科会第44回議事録 社会保障審議会 第44回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所 : 平成19年11月12日(月) 午前9時30分から午後0時30分まで グランドアーク半蔵門(4階「富士の間」) 2 出席委員:天本、池田、石川、井部、大島、大森、、沖藤、勝田、川合、神田(代理:牧野参考人)、木下、木村、小島(代理:吉田参考人)、齋藤、高橋(代理:遠藤参考人)、田中(滋)、田中(雅)、池主、対馬、中田、村川、矢田(代理:山本参考人)、山本の各委員 3 議題 <審議事項>  1.療養病床から転換した介護老人保健施設について   (1) 療養病床から転換した介護老人保健施設の施設要件について   (2) 夜間等の看護職員配置について   (3) その他  2.その他 (鈴木老人保健課長)   それでは、定刻より若干早いが、委員の方々がおそろいなので、第44回「社会保障審議会介護給付費分科会」を開催する。  初めに、委員の交代があったので、御報告をさせていただく。  木村裕士委員が退任され、小島委員が新たに委員となった。  なお、本日は、小島委員に代わって吉田参考人が、神田委員に代わり牧野参考人が、高橋委員に代わり遠藤参考人が、矢田委員の代わりに山本弘之参考人が、それぞれ出席されている。  よって、23名全員の委員に御出席をいただき、過半数に達しているので、分科会として成立することを報告する。  また、本日は、保険局総務課医療費適正化対策推進室の大西室長にも同席をいただいている。  それでは、以降の進行は大森分科会長にお願いをする。 (大森分科会長)   それでは、早速、議事に入りたいと思うが、本日の資料について、事務局から確認がある。 ○鈴木老人保健課長より各資料について確認。 (大森分科会長)  よろしいか。「療養病床から転換した介護老人保健施設」というふうに言い方が変わっており、これは前回の分科会で皆さん方に御了解をいただいた言い方だと思う。その中が3つになっており、1つは施設要件について、もう一つは夜間等の看護職の配置について、その他がある。  それでは、この大きな議題の1から始めたいと思う。まず、これについて、資料の説明をお願いする。 ○鈴木老人保健課長より資料1及び別添1から3を説明。 (大森分科会長)   資料1、別添1から3について御説明があったので、しばらくの間、これをめぐり、皆さん方の御質問や御意見を承りたい。  どうぞ、木村さん。   (木村委員)  情報提供いただきたいのだが、資料1の一番最後のページのところで、診療報酬で今、議論されている内容が、先週の11月9日の中医協の診療報酬基本問題小委員会において、疼痛緩和の推進ということで、今回、議論している介護老人保健施設入所者及び療養病床の入院患者に対する医療用麻薬についての議論が始まったということを伺っているが、前回、私が提案させていただいて、医療用麻薬が老人保健施設の中で、今の制度上では非常に使いにくいということがあったので、情報提供いただければと思う。   (大森分科会長)   情報提供をお願いする。 (鈴木老人保健課長)   木村委員から御指摘あったモルヒネ等、麻薬の問題だが、背景としては、今、老人保健施設に入っておられる方でも、例えば外来受診をしたりして、他の医療機関からの処方できる薬というのは主に2つある。1つは抗がん剤、もう一つはエリスロポエチンという造血剤等である。  これに加えて、今、委員から御指摘のあった11月9日の中医協の資料で、モルヒネについても、現在、老人保健施設や療養病床について、実際に受診をしても算定はできないということになっているが、これについては必要とする場合が当然、末期の患者さん等あるので、どうしたらいいかということで問題提起がされているところである。  もし私が間違っていたら保険局の方で御指摘いただければと思うが、今、保険局と我々も話をしているし、中医協の中でも御議論いただいているが、これについては、そういう問題点を踏まえて、現実的な対応ができるように、少しでも前に進めるようにということで御議論をしていただいている。ただ、最終結論はまだ出ていない。 (大森分科会長)   よろしいか。 (木村委員)  前から言っているが、本当に必要な人に必要な薬とか医療、サービスがきちんと行くような形に議論が進むように、中医協の方でも議論していただければと思っているので、よろしくお願いする。   (勝田委員)   利用者の立場として発言させていただきたいが、今、施設要件について、医療ニーズが高い、適切な医療サービスが必要な者の受け皿だということ、看取りまで行うということを御説明いただいた。  私ども利用者の側として一番懸念されるのは、医療として提供されてきたものが、幾ら医学的なサポートが十分できる施設にすると言っても、病院と変わらないような医学的な支援が受けられるのかどうかということ。  そして、手厚い配慮をしても、医療ではなくて、今度はケアになるわけなので、例えば高齢者になると、どうしても体が虚弱になる。先ほど発熱の場合もということが追加されたということだが、例えば肺炎を併発するとかということがあると思うが、そんなときに本当に十分な医療が受けられるんだろうかという懸念がある。そして、介護難民にはならないが、実際、入所したままでどうなるんだろうという不安がとてもある。  それと、もう一つ、今、木村委員さんがおっしゃった、転換型の老健で、薬とか医療、特に認知症の場合のアリセプトの服用などでは、高いということでなかなか出していただけないという現実がある。今後、転換型の老健では、そこはどのような扱いになるのか。薬剤についても、どのように考えておられるのか、そのあたり、お聞かせいただけたらと思う。 (鈴木老人保健課長)   今、2点あったと思うが、1つは、入所施設で適切な医療ケアが受けられるのかどうかという論点だと思う。これについては、私たちが思っているのは、老人保健施設自体、今、医療法の中でも医療提供施設という位置づけであるし、一定以上の医療についてはきちっと包含をされて提供されていることになっている。  今回は更にそれに加えて、夜間の看護の対応であれ、看取りの対応もできるように評価をする方向であるし、また、後とも関係するかもしれないが、常勤の医師がいない時間帯についても、外から他の医療機関の医者が来るという対応についても評価をできるように、現在検討中ということなので、そういう意味では、ちょっと御懸念をされておられた、例えば肺炎となった場合についても、勿論かなり重装備の医療というわけにはなかなかいかないかもしれないが、患者の方や家族の方に御納得いただける医療サービスについては、きちっと対応できるように、我々としても考えていくつもりである。  それから、アリセプトの件だが、これはもしかしたら私よりは保険局から答えた方がいいかもしれないが、最終的には医療保険でどうするかということなので、中医協で御検討いただくということだと思うが、アリセプト自体、もし、認知症、特にアルツハイマー型について、かなりの方が対応だというとこになると、実際に対象となる方がかなり多いということもあるし、それから、価格の問題もあるので、これも勿論、医療ニーズの話があるので、現下にどうこうということは難しいと思うが、御要望があることは我々も聞いているし、議論を続けさせていただきたいと思っている。もし保険局の方で追加があればお願いする。 (大森分科会長)   大西さん、何か御発言はあるか。 (大西医療費適性化対策推進室長)   特にない。 (勝田委員)   今、御説明いただいたが、例えば、資料の中で出されている喀痰とか経管栄養が、大体5人に1人の割合である。新しく転換されたものでも14.何%と2割を超すわけだから、5人に1人がそういうような状態になるわけである。今までよりも手厚くなるんだというふうに御説明されたが、医者の配置が少なくなったり、外から往診が、本当に夜中にでも駆けつけてきてくれるんだろうかという懸念がやはり私たちは拭えない。そのあたりについて十分配慮をしていただきたいというふうに思っている。  そして、アリセプトの服用については、できればもう少し、例えば特養のような扱いができないのかどうなのか、御検討いただけたらと思う。 (天本委員)   利用者さんが非常に心配されるというのは当然だろうと思う。今までは病院という形で24時間、医師と看護師が配置されていたのが、今度は施設ということで、決して手厚くないわけである。そういう意味では、いろんな意味で不安を持たれるのは当然だろうと思う。我々サービスを提供する側もいろんな意味で不安がある。それをいかに解消するかということで、今、議論されているのだろうと私は思っている。  そういう意味において、重装備だったものが軽装備になるということは、今までの議論の中においても、機能を補完するには、やはり外部サービスを利用といったような議論もなされてきたと思う。この中で、急性増悪したときとか、まだまだ議論を深めなければいけない。  お2人、薬剤関係、利用者関係の方から指摘のあったことは非常に重く受け止めて、この審議会でも具体的な形で、今までのような自己完結型に陥らないように、それから、もう一つ、資料の文章にも書いてあるが、個別ケアを目標に、必要な医療が提供できるようなものを、当然、人員配置基準は薄くなるわけだから、いかに外部から補完するかという議論を深めていただければと思う。   (大島分科会長代理)   今の勝田委員の御指摘は、私、長寿医療センター総長という立場でも、非常に大きな問題ととらえている。今、日本全体がすごく大きな医療の転換点にあると思うが、その中で、認知症の問題でもそうだが、今までなかった全く新しいいろんな状況がたくさん出てきていると思う。それに対して、制度だけでなく、そこに関与している医師も含めて、医療人も変わっていかなければいけないという、すごく大きな転換点にあり、現場では、それぞれ、そのような問題意識が今、出かかっているところだというように御理解いただければいいと思う。  私どもも、在宅医療という切り口から、勿論、施設も含めて居宅で安心して医療が受けられるように受け皿をどうやってつくるのかという、受け皿づくりをやっているので、医療側は勿論だが、今のような意見をいろんな場で出していただいて、日本全体で、国民、患者さんも含めて、意識変革を全体が行い、新しい医療提供体制を構築していくのに全員が参加していくことが必要ではないかなと思っている。 (川合委員)   実は、老人保健施設は20年間、受け皿づくりで奮闘してきた。1人の医師で100人の入所者に対して、症状が安定しているといえども急変が起こる。その中でどういう対応をすればいいのか。これはもう8月1日に分科会長あての申し入れ書をお送りしたので、前回の分科会から、よくお読みをいただきたいと申した。委員の方々の共通の認識だというところでお話をする。  我々老健の医師は、20年間ずっとキュアとケアの境目を考えてきていた。1人で何ができるのか、連携がどうできるのかということをずっと考えてきたという自負がある。総論的な話で、今回はとどめ置くが、私はやはり申し入れ書をじっくりお読みいただきたいというのと、前々から何度も申しているが、我々の医療に対する要望書、申し入れ書は、3分の1とか3分の2という表現もしたが、まだ出していない。そこにはきちっとまとめてある。御要望があれば出させていただくが、我々の積年の思いがあるので、それも現実のことといろいろと御勘案をいただければというふうに思う。 (井部委員)   特に看護職員の配置については、今日の議題の2つ目に出ているが、先ほどの課長の説明だと、次回に具体的な配置や、あるいはシフトとしてどのように配置するかといったことについて議論するということをお話しされたが、今日の遅い時間と早い時間の理論値で1.95とか1.03が出ているが、そのほかに看取りの体制をどうするかとか、全体像がちょっとわかりにくいので、これは今日、議論しなくて次に回すということで、そのような了解でよろしいのかどうか。 (鈴木老人保健課長)   ちょっと私の説明が舌足らずだったかもしれないが、評価をすべきものとしては、全員の方がほぼ等しく受けられるような、例えば看護配置のようなサービスがあるだろう、それには物品費もやはり伴う。  もう一つは、個人個人によって、かなり医療ニーズ、例えば看取りのように大きく異なる場合があるので、それは、そういう事象が生じた場合に、きちっと対応できる体制をとって、そういうものに対応していただいたことを評価をしてはどうか。事前にアプリオリに平たく評価をするのではなくてということである。  今、井部委員がおっしゃった、全体の看護の体制をどうするかということだが、もしおっしゃっている意味が、昼間の時間帯も含めて、きちっと回るように評価をすることを考えているのかということであれば、勿論それも含めて、次回、きちっと配置の基準というのを御議論させていただくということだが、一応、今のところは、皆さんが等しく受けられるサービスのところと、大きくニーズが異なるところは分けて評価をするという考え方で考えている。 (大森分科会長)   今日は、分けて考える考え方について、もし御意見があれば出していただいて、次回、先ほど課長がおっしゃったように、全体としての配置等、シフト等も考えないと、見積もれないと思う。   (井部委員)   看護職員の配置は、特定の患者を対象にした評価よりも、全体の体制をいかに整備するかということが重要ではないかと思う。特に看護はキュアの部分とケアの部分と両方に関与する職種であるので、その点では、夜間だけを中心にというよりも、提供体制全体をどう組むかという視点で是非検討していただきたい。 (鈴木老人保健課長)   先ほど申し上げたように、昼間も含めてきちっと回るように、次回、配置基準を示したいと思っている。 (天本委員)   事務局から出た資料というのはあくまでも机上論で、平均値ということだが、特に介護療養型から移るというのは、要介護4、5ということで、急性増悪しやすい方々が多いと思う。その際には、やはり平均値でいかない問題があるわけで、その緊急時の急性増悪したキュアの部分の対応というのが、今まで介護療養型医療施設では、24時間、医師、看護師が常時いるということで保証されていた。利用者としても安心があった。それをいかに、平均値ではなしに、緊急、急性増悪したときに対応するかということから見ると、看護師の問題も医師の問題も、緊急時のどのような対応を報酬の中で担保していくかということは重要だろうと思う。  資料の6ページ目でも、診療報酬というところで、外部の医師が必要な医療を提供する際ということで、医師が1人と仮定されたとしても、365日オンコールで全部体制をするということは、利用者側からも意見が出たが、到底現実的ではない。やはり内部の医師が全部、365日対応できるはずがない。これは労働基準法からしてもおかしな問題になるのではないか。そういう面においても、もう少し細かく、これから議論を深めていただければと思う。  これは医師だけではなしに、先ほど看護協会の方もおっしゃったが、夜中に当然いろんな問題が起こるわけである。その際、この平均値的なもので見られたら対応できないということになるので、その辺をどのように柔軟に医療サービス、医療ニーズに対応する仕組みというのは、定型的なもの以外について、細かく詰めていただければと思う。 (大森分科会長)   中医協の方へ今のような御意見も伝わるだろう。どういう形にしろ伝わるので、介護給付費分科会としてはこれから議論を詰めるが、中医協の議論とうまく合っていかなくてはいけない。今のようなことを含めると、中医協の方はどういう段取りになるのか。   (大西医療費適正化対策推進室長)   関連する論点について、11月、今月から12月にかけて議論をいただく予定になっているとのことである。   (大森分科会長)   そうすると、私どもが最終段階で何か出す前には情報が来ないと困ると思うが、ちゃんとそういう連動になっているのか。向こうが遅れたから、こちらも遅らせるというのは困るので、ちゃんとやっていただきたいというのが私の希望である。   (鈴木老人保健課長)   次回以降、中医協で御議論をいただき次第、それについてこちらにもきちっと報告をしてもらい御相談したいと思っている。   (木下委員)   そもそも介護療養型医療施設の廃止というのが、医療費適正化の観点から、これをなくせば、架空の数字の3,000億円が浮くという話で始まっていることに非常な問題があると思うので、利用される方々に、医療にしろ介護にしろ、基本的にどういうサービスをどこで提供した方がいいかという議論が全くされないできたところにいろんな矛盾が出てきていると思うので、認知症の御利用者の不安とか、いろんなものが出てきて、今、それをどうにか補わなければいけないときに来ていると思うが、それがどうも余りうまくいっていないような気がするので、今後、いろんな状態の方がどこでどういうサービスを受けたらいいのか、ターミナル、認知症、リハビリテーション、いろんなことを含めて、議論を広くしていく必要があるのではないかと思っているので、早急にそういう体制ができることを望む。  先ほどから医師の話が出ているが、前にもお示ししたとおり、老人保健施設で常勤医がいるということは、100人に1人というのは、国が示している年間労働時間1,800時間で計算すると、土曜、日曜、夜はいない、休みも取るということで計算すると、実際に医師がいるのが年間2割の時間帯、それを60床で計算すると12%の時間帯となると、あとの88%は常勤医師がいないということになる。  その医師がいない時間帯をどうするのかというので、往診とかオンコールで補うんだというふうに言われているが、実際にできるかどうかというのは非常に不安があるところだと思う。  前回お話ししたように、そういうときに救急車対応になって急性期病院に行くと、患者さんも不幸なことになるだろうし、不幸というか、望んだ医療をどういうふうに受けられるかということ、費用的にもかかる可能性があるので、その体制をどうするかということが議論されるべきだと思う。  外部導入というのも考え方だと思うが、あるいは老健施設の中に常勤医をもう一人増やした場合に、どういう評価をするかということも考えてもいいのかなと思う。  それと、もう一つ、資料で前回出たと思うが、介護療養型医療施設は病院だから、100人当たり医師3人、老人保健施設になれば100人当たり1人で済むから、医師2人節約できるというか、少ない数でいいということで、全国で平均すると医師がこれだけ余って、それを急性期に回せというようなデータが出ていたが、例えば100床の病院で、医療療養が50床、介護療養が50床と仮定すると、介護療養の50床が老人保健施設に転換する。そうすると、医療療養で50床残るから、ここは病院なので医師は3人要る。老健施設に転換したところは100人に1人だから、50床だと0.5人。合計で3.5人の医師が最低基準で必要になる。今まで病院で一緒に運営したときは医師は3人、半分老健に転換したら3.5人と、医師数はかえって増えるという、これは最低基準の話である。  だから、老健に転換したら医師が減るという理論は成り立たない規模の施設があるということで、200床以上あれば多分、医師数が少なくて済むと思うが、そういう矛盾があるということで、施設規模によっては医師数はかえって増えることになる。何回か前の給付費分科会か、あるいは在り方委員会で出たと思うが、介護療養型医療施設でそんなに大きい施設は余りないということで、それを見ていただければ、実際の医師数がどうなるかということはまた出てくると思う。  先ほどから議論のある麻薬、アリセプトの問題、抗がん剤の問題もあるが、先ほどから言っているように、切れ目なく利用できる体制ということで考えると、麻薬の使用もいいと思うが、今、老人保健施設では抗がん剤は、内服は別枠になっているが、注射は包括の中に入っているということで、現場では非常に矛盾を感じているようなので、そういう点も含めて、どういう問題点があるかというのを洗い直して、保険局、老健局で話し合ってもらう必要があるかなと思う。  アリセプトについても、ただ飲めばいいというだけではなくて、本当に飲まなければいけない人が飲めているかどうかという判断をしないと。認知症だからアリセプトを飲めばよくなるという間違った認識を持っているとまずいので、そこの評価をしっかりするシステムをつくった上で飲めるかどうかということにしないと、無駄が生じるかなという気がしている。  先ほどあった看護配置についても、その状態像と体制によって、どれだけの人数が必要かということで、看護だけでなく、介護もどれだけ必要かということも検討する必要がある。老健施設は基本が3対1の配置だから、それから看護師の数を引いた残りが介護だという考え方はくれぐれもしないでほしいと思っている。 (対馬委員)  私は中医協の委員もしているので、ちょっと申し上げたいと思うが、中医協の議論の中では、特に今回は後期高齢者に対して、どういった診療報酬体系をつくっていくかということが大きな課題の一つである。そうすると、後期高齢者だから、医療もあれば介護もあるということなので、特に在宅支援だとか、特定施設等々も含めてだが、医療の入り方をどうするかということを議論している状況になっている。私どもとしても、介護と医療の関係というのは常に念頭に置きながらやっていきたいと思うが、先ほども出ていたように、保険局と老健局がもう少し連携を取っていただけると大変ありがたいと思う。   (鈴木老人保健課長)   私も中医協にできる限り出ているので、連携を密にしてやりたいと思う。   (大森分科会長)   同じ省の中にあるのだから、そんな指摘を言われるのは恥ずかしいと思っていただきたいと私は思う。   (天本委員)   そのことに関係するが、例えば、この診療報酬の部分は医療保険だからということで、我々の意見が通らないということはおかしいと思う。我々は、この委員会から、どういう医療が必要だというようなことはきちっと提示すべきだろうと思う。医療保険は医療保険の方で、なるべく少なくしようとする。介護は介護の方でなるべく少なくしようとする。その狭間で、実態として、特定施設よりも医療が制限されるといった不幸な事態が起こり得るわけである。現在の老人保健施設においては医療がかなり制限されて、むしろ特定施設の方が医療が必要なものを必要なだけ受けられる体制になっているわけである。  後期高齢者医療保険の中でも、項目として、たしか特定施設など多様な住宅においては議論の対象になっていると思う。そこの中に「施設」という言葉が私は入っていたと思う。当然、その施設の中で、この転換型老健なども含まれるべきだろうと思う。そこの中での医療をどうするかと、私は是非そのような形でお願いしたいと思う。  例えば、診療報酬のところで、常勤医師のいない時間帯というのは、昼間もあるわけである。当然、医師1人であれば、有給休暇も必要であるし、週休2日制も必要なので、いろんなことで実際に勤務する時間帯というのは、1年間の中でも半分前後、あるいは以下かもしれない。その時間にすべてオンコールで対応となると、昼間であれば行きやすい、当然それは評価されるべきだし、外部からも来たら評価されるべきだし、いろんな形でここの点はもう少し、ここの分科会での意見というものを要求して、そこできちっと、中医協は中医協でまた議論いただくということが必要ではないかと思われるので、すべてをお預けということで分断された形で議論すると、現場、あるいは利用者にとっては非常に混乱を招くのではないかと思う。 (大森分科会長)   大変いい御意見だったと思う。ほかにどうぞ。   (川合委員)   やはり8月1日の要望書、申し入れ書は効いたなと感心している。今、大島先生、天本先生がおっしゃっていただいたように、我々はずっと医療を医療機関として提供してきたという自負がある。ただ、御発言のように、かなりの制約がある。その悔しさというのか、同じ医師でありながら、医師免許を持ちながら、特定施設等でこういう医療を受けたのに、老健でリハビリテーションに来たら、急変したときには医療が受けられないのかという御家族からの御不満というのは、我々は慚愧に耐えない思いで日夜聞いている。そういうところで、私は、まだ各論には入らないが、総論的にお2人の先生方、さすが我が同志と思って喜んでいる。   (大森分科会長)   ほかに御意見はないか。第1の議題はよろしいか。どうぞ。   (木下委員)   資料1の最後の6ページ目だが、ここで加算方式で行こうということが提案されているが、加算方式をとった場合に、この加算がなくなるのではないかという不安を持っていることが1つある。現に重度療養管理は、今度廃止されるということが話に出ているので、加算方式でやった場合、在り方委の最後の報告にもあるように、継続して制度が維持できるようにということで、ころころ変わらないように、加算でやるとした場合でも、気分が変わったからやめるよというようなことがないように是非お願いしたい。 (鈴木老人保健課長)   今、御指摘の点だが、今回、我々もきちっと中に入っておられる方に基づいて医療ニーズを算定し、それに伴って必要となる、例えば看護の配置とか、さまざまな物品費、もしくは看取りの量というのを、いわばデータに基づいて算定をさせていただいたので、これを、今御懸念されているような、いきなりやめてしまうとかということではなくて、勿論、新しいデータが出てきて、対応が変わった場合には、実情に合わせて修正、補正をすることはあるかもしれないが、こういうデータに基づいたものを理屈なく我々の方でやめてしまうということはないということはきちっと確認をさせていただきたいと思う。   (大森分科会長)   これは加算方式でいきたいという、加算方式でいくんだという御了解ではないかと思う。 (川合委員)   次の議題ということは、(2)に移るということか。   (大森分科会長)   (1)の議題について御発言がなければ。 (川合委員)   (1)について、別添1の3ページ目の表を見ていただきたいが、課長の御説明では、丸で囲って、3.9倍と6.7倍というところを強調されているが、少数点以下はいろんなファクターが入るのでとおっしゃったので、小数点以下でないところの意見を申し述べたいと思う。  点滴は我々老健の方が、療養型から転換する老健よりも高く残る。モニター測定も高く残る。褥瘡の処置、褥瘡というのは、我々がつくった概念でいくならば、これは低い方がいいのかな、もともと御家庭でつくられたものをよくするというのも我々が努力をしているのかなと思う。疼痛管理、これも既存の我々の方が高い数字が出ている。小数点以下の高いところをいくと、ネブライザー、酸素療法。2つ色をつけているが、私が色をつけるとするなら5つ色をつけたいなと思う。既存の老健の方が、いわゆる医療を濃くしているということである。 (田中(滋)委員)   今の診療報酬との兼ね合いで、資料1の6ページ目の図のところでちゃんと連携せよと分科会長も言われた。私は、それをめぐる議論の中で天本委員が言われた、ここに書かれている「往診(他科)」とは何か、状態のモデルがまだよくわからないことが問題だと思う。そもそも他科がよくわからない。老健施設は別に内科とか外科ではないので、他科とはどういう意味なのか。報酬がつくことは必要条件だが、報酬があればそれで済むというものではないはずである。むしろ、どのようなときに外部サービスが必要になるのか、外部サービスを提供してくれる他科とは何か、地域の急性期病院ではないかもしれないし、あるいは地域の開業医の先生方なのか、地域の医療療養型が提供するのか、具体的にどういうモデルが地域ではあって、これならば右側のモデルでも安心だという、その具体像の提示がない点は、天本委員の言われたとおりである。診療報酬がつけば、あとは勝手にやりなさいではないと思う。そういったモデルの提示がない。  今、話をしている転換は、まさにここがポイントだと思っており、老健と地域とがどう連携できるかの話である。介護療養病床は、自己完結型タイプ1が、新しい自己完結型タイプ2の転換型療養になるのでは何の意味もなくて、入居者の安心をすべて施設内で準備していくことを新しい転換型に求めたのでは、新しい重装備型をつくるだけである。新しい、より地域と連携していくような形で開くモデルでとらえないと、本当の意味で安心感を確保できない。施設の中だけに求めては何の転換でもない。だから、転換型のキーになる、よそから入ってくるのはどういう状態があるかを、私たちも世の中に提示する責務があると考える。 (大森分科会長)   今の点について、課長、どうか。 (鈴木老人保健課長)   まさに、資料1の6ページ目の一番上の点線枠のところ、他科というのは基本的には歯科とか、そういうところを今、この中で言っているが、具体的にどういう場合にどの点数が取れて、どういう条件のときに、どこを広げようしているのかというのを少しわかりやすく、今回は資料を用意していないが、次回以降にまた御説明をして、今日保険局に来てもらっているので、中医協の方にも我々の意見を伝えてもらうとともに、我々の方も、中医協での御議論をきちっと連関した形でお示しをしたいと思っている。   (田中(滋)委員)   歯科が必要だとは、常勤医師のいる、いないとは関係ないと思う。常勤医師がいないときは、要は急性増悪時に対応できる医者という意味で、ここは歯科の話ではない。今、皆さん方が不安感を言っていらっしゃるのは、歯医者がいないから不安だという話をしているのとは違う。   (鈴木老人保健課長)   ちょっと私の言い方が悪かったかもしれない。今、青くなっている「往診(他科)」というのは、今でも認められているものとして歯科等があるということで、逆に点線で書いてあるのは、今あるものに加えて、こういうところを評価する、まさに先生がおっしゃるような急性増悪のときの対応をどうするかということで、この点線の中を、今の青いところがどうなっていて、点線をどうするかというのを次回以降、ちょっとお示しをしたいと思う。   (大森分科会長)   ほかに御意見は。 (山本委員)   資料1の6ページ目についてお尋ねを申し上げたいが、これはもともと医療と介護が一緒になってやっているわけである。だから、それを素直に分けたらいいのではないかと私は思うが、こういうふうに特別に加算をしなければならないという理由はどの辺りにあるのか。制度をつくる側の立場の人たちはそれでいいかもしれないが、支払いをする側にも立っていただかないと、何でも加算すればいいというものではないと思う。だから、当初の医療と介護が一緒にやっていたものが適切でないということになって、分離することに決めたわけである。  だから、6ページ目にいろいろ加算すべきものの条件を書いているようだが、こういうものは今やっているものを素直に分けたら出てこないのではないかと思う。必要なものは当然出すべきだと思うが、支払う側の立場にもなってほしいと思うので、もう一回、この辺り、合理的な検討を加えていただけないかなと思う。当初の考え方に戻れば、必ずしもこういう加算を付けていくというものにはならないと思う。反対しているわけではないが。 (鈴木老人保健課長)   今、山本委員から御指摘があった、何でも加算で評価すればいいというものではなくて、やはり支払い側のお立場にも一定の配慮をすべきだというのはそのとおりだと思う。  ただ、1点だけ申し上げたいのは、勿論、医療のニーズと介護のニーズが、今完全に分離をしているという前提に立つのではなくて、むしろ、例えば、今の介護療養病床にしろ、今の老人保健施設にしろ、その中に介護も医療も両方入り込んでいる、両方とも、介護保険で給付をしているという世界の中で、介護保険の療養病床を23年度で廃止するということなので、これが転換をしていった場合に、受け皿についてどうするかということが課題となっている。介護の療養病床が老人保健施設に転じた場合に、今以上に市町村等の支払い側に御負担をかけるということではなくて、受け皿を用意しつつ、かつ負担にもきちっと配慮してというところで検討させていただいているので、また細かい点は御相談をさせていただくが、我々としても考慮していきたいと思う。 (大森分科会長)   山本委員、よろしいか。 (山本委員)   今日のところはこれで議論しようという気はないが、そういう配慮をしたやり方をすることが必要ではないかなと思うので、その辺りをもう一回検討し直してみてほしいという要望である。 (遠藤参考人)   施設要件のところだが、転換を進めることを前提とするのであれば、今回の提案に書かれているようなことについて、内容的に理解はできる。その上で、資料1の3ページ目に施設要件の例ということで2つ書いてあるが、既存の老健施設との違い等をある程度加味する、役割分担を考えるということであれば、ここに書かれているような要件については、それなりにふさわしい水準があるであろうと思う。その水準の設定については今、申し上げたような趣旨をよく踏まえて検討いただきたい。  それから、仮にだが、例えば転換型老健がその要件を満たさなくなった場合、どのような取扱いにするかということも今後、検討しておかなければならないと思う。  加えて、新しい転換型老健と、既存の老健との間の医療提供の状況というのは、やはり今後、逐次モニタリングしていく必要がある。  最後に、介護施設の在り方に関する委員会であらあらの試算が示されていたと思うが、今回の提案というのは、試算の大枠を維持していく範囲内と考えてよろしいのかどうかを確認させていただきたい。 (鈴木老人保健課長)   今のお話の中で、御質問事項が2つあったと思うが、1つは、要件を満たさなくなってしまった場合にどうするかということだが、要件を満たしていただいた上で加えて評価をするということなので、要件を満たしていただけない場合には、申し訳ないが、この加算というのは算定をできない。ただ、現行の老人保健施設の施設サービス費というのは算定をしていただけるというふうに考えている。  それから、最後のところ、介護の在り方委員会における試算というのは、さきほどちょっと話に出た4,000億、1,000億、3,000億の話で、それについては我々の方で3点詰めなければいけないことがあると思っている。  1つは、最終的に医療療養病床がどれぐらいの数になるのか。もう一つは、実際に療養病床から転換した施設が、こういう転換老健も含めて、どういう施設に転換をするのかということである。この2つは年末に向けて各県で今、鋭意おまとめいただいている地域ケア整備計画の中に出てくるので、それが出てきた段階で数は明らかになる。  一番最後は、療養病床から転換をした老人保健施設に加えて評価をするということになっているので、加えて評価をする分として、どのぐらいを見込むのかという、この3点目である。  この3点が出てくると全体の財政状況について新たな算定ができるので、ある程度目鼻がつき次第、またお示しをして御議論いただきたいと思っている。   (大森分科会長)   遠藤委員、よろしいか。   (遠藤参考人)   結構である。 (中田委員)   別添1だが、施設要件1で、医療機関から入所する者と、それから家庭から入所する者の割合ということになっているが、これは、医療機関からと家庭からというものに限定した理由は何なのか、ちょっとお聞きしたいということが1点と、2ページ目の、そうした場合、倍率がそれぞれ0.9だとか3.2になっているが、医療機関から入所した者、または医療機関以外から入所した者とし場合は、この数字はどの程度変わるものか、ちょっとお聞きしたい。2点。 (鈴木老人保健課長)   家庭からの入院・入所ということだが、別添1の2ページ目で、実際上、それ以外、例えば、特別養護老人ホーム、その他の社会福祉施設、老人保健施設を比較をしていただくとおわかりになるように、現在の老人保健施設と医療区分1と2の30%が入っているであろう、療養病床から転換した老人保健施設について、余り違わないということになる。  それから、勿論、2点目、御指摘があったように、医療機関とそれ以外ということで分けるということも、オプションとしては当然あると思う。ということは、医療機関から来ている者を比較するということだけになってしまい、43.6%と69%ということとなる。むしろ私は今まで老人保健施設が非常に重要な役割を果たしてきたいただいた家庭からの受入れ、それからまた家庭にも帰っていただくということで、家庭を評価していただくというのがやはり適切ではないかということで、今回、こういう形にさせていただいた。 (天本委員)   看取りの問題だが、これから亡くなる方も非常に増えるということで、多様な選択肢があるということで議論されている。後期高齢者医療制度の中で、終末期医療ということで、かなり大きなテーマとして議論をされている。  今回、この転換型老健において、看取りへの対応ということで、この図で見ると、ほとんど介護保険だけで対応というような印象を強く受ける。ここに入所されている方も後期高齢者医療制度の保険料を払っていらっしゃるわけなので、後期高齢者医療制度としての医療を受ける権利は十分あり得る立場の人たちだろうと思う」。  先ほど田中委員がおっしゃったように、自己完結型から地域内完結型にということの1番は、やはり医療の点だろうと思う。基本的には、利用者の視点として、高齢者の状態に即した適切なサービスを提供することが望まれるということで、厚労省として一致した形で進んでいるはずなので、田中委員のおっしゃった地域内完結で、外部利用として施設の入所者も在宅ケアの方も同じように医療、介護サービスが、状態に即した必要なサービスが提供される仕組みへということが、この分科会として基本的なスタンスであるということをきちんと中医協にも伝えていただきたい。  そして、後期高齢者医療の制度と、この介護保険とがどのように整合性を持つのかということは重要な、これから整理しなければいけないことだろうと思うので、ある意味で保険給付がそれぞれ役割分担を、機能を明確化するということは、2つの保険が連携を持つということが非常に重要だろうと思うので、是非こちらの分科会の意見というものを、委員の一つの意見としてではなしに、この分科会全体の意見として取り上げていただきたいと思う。 (大森分科会長)   今の御発言、さきほどの御説明だと、入所者によりニーズが異なるサービスのうち、回復の見込みがなくて、計画があって、同意があると、その3点で一応、きちっとした対応をしたいという御説明だった。当然ながら、この中に、最終段階で医者がどうかかわるかということを含めて議論する。   (天本委員)   当然、だから、診療報酬の中でも、そこの部分は老人医療としての終末期医療とのかかわりがあると思う。それを介護の中で見るということのないような形を、医療課もきちっと受け止めるような形で展開をしていただきたい。   (大森分科会長)   御意見として伺っておく。 (勝田委員)  先ほど来、施設要件の中で、急性増悪の場合にオンコールで来ていただける、往診していただけるとか、それから、夜間の看護師の対応ということだが、実際問題、先ほど大島委員、山本委員、川合委員のお話を聞く中でも、今まで大変御努力いただいている。そして地域の中でも、先生方に御努力いただいているわけである。  地元で、地域ケア整備計画の中でも、今の体制の中で、医者が往診を本当にできるのか。それから、看護師不足で本当に皆さん困っておられる。そういう中で、新たにこういうことをきちっとやるわけだが、私たちの意見として付けたとしても、本来、そういう仕組みを付けない限り、実際に働かないのではないかという不安案がある。  例えば24時間連携診療だとか、なかなかうまくいかないということも縷々聞いているが、システムとして、仕組みとしてどうするのかというところまで詰めないと、実際、私たち利用者としては、とても不安が残る。御意見いただけたらと思う。 (鈴木老人保健課長)   そういうところをしっかりすべきだというのはおっしゃるとおりだと思う。その上で、今回、療養病床から老人保健施設に転換をしていただく場合に、相当の件数として、単体の、例えば60床の療養病床がそのまま全部老人保健施設になるということも勿論あると思うが、我々の聞いている範囲では、かなりの部分では、すべての療養病床が老人保健施設に転換をしてしまうわけではなくて、いわば医療機関の部分は残して、そのほかの部分で今、療養病床になっているところが老人保健施設になるというところがあるので、医療機関に併設をされているという状況になる部分が多いと思う。  そうなると、勿論、全く単体の場合に、きちっと医者が来てくれることをどう保証するかというのは御指摘のとおり大切な問題だと思うが、それとともに、併設の場合に、今、実は、併設の医療機関の医者が老人保健施設に来ても、なかなか算定ができないという問題もあるので、システムとして、そういう問題をどう考えるかというところも含めて、急性増悪の場合に、外から医者が来ていただけるシステムをつくったけれども、実際上、医者が来られないということがないように、実態に応じてきちっと考慮をしたいと思っている。 (大島分科会長代理)  繰り返しになるが、勝田委員の御心配というのは、今日本中を覆っているような心配だと思う。田中(滋)委員が先ほど指摘されたが、医療が非常に大きく変わろうとしているが、病院という単体で完結するような医療ではなくて、地域全体の医療資源をいかにうまく使った医療に転換していくかという、その具体的なモデルなりが示されてこないと、本当の転換にはならない。こういう認識とは、今、医療を行っている側の中にも広がりつつあり、ただ、問題は、現実の変化が早過ぎることである。医療構造だとか疾病構造がどんどん変わっているが、それに対して、制度が何とか追いつこうとしているが、一番遅れているのが、現場だと思う。現場の医者に、こういう制度や状況になったから、あなた方はこうしなければいけないというところまでの強制力というのはない。  片一方で医療崩壊だとかといった問題が出てきていて、医者の方も非常に防衛的な形で動いている。いきなり24時間365日きちんと対応できるように、制度としてきちんと保証できるようなものをつくったから、医者の側も24時間365日きちんと対応するのは当たり前だろう、と言っても、その選択肢は医者の側にある。  したがって、そこのところの意識の問題をどうやって変えていくのかということが、今、強く求められているところである。医療を受ける側にも提供する側にも大きな不安と不満があるということは私なりに理解はしているつもりだが、そこを何とか、医師会などでも非常にそういう危機意識を強く持っているので、医療を行っている側の立場として、何とか変えていかなければいけないと考えている。  またこれも繰り返しになるが、そのためにはやはり国民だとか、実際の患者さんの団体なども、そういうものに自分たちの問題として積極的にアプローチしていただきたいと思っている。 (川合委員)  大島委員がおっしゃっていただいたように、我々は不満と不安でいっぱいである。まず、不満。20年間やってきたことが認められなくなるのではなかろうかというワンウェイシステムがまず不満である。不安は、それがいつまで続くのかなという不安である。そういうことに関しては、先ほど細かいことを申したが、私個人としては、いろんなことに対する反撃というのは性格上合わないので、一応、意見として、私はバーを5つ入れているという意見を申したし、8月1日の申し入れ書というのは皆さんの共通意識になっていただいたと思っている。そういう意味で、不満と不安、大島委員のおっしゃるとおりだと思っている。 (井部委員)  算定要件について、資料1の3ページ目のところで、先ほどからも指摘が出ていることだが、算定要件の(2)だが、療養病床における実施頻度が介護老人保健施設に比べ高い医療処置について、一定以上の割合で入所しているということが算定要件になっているが、この高い医療処置というのは、先ほどのデータから見ると、喀痰の吸引と経管栄養というのが高い頻度で行われているということになるわけであり、そのようなものを一定以上の割合でしていないと入所の基準にはならないとなると、これは私の懸念だが、例えば経管栄養の必要がないかもしれないのに、入所するために経管栄養をあえて行ったりといったことが行われないような工夫が必要であると思う。  医療は必ずしも重装備をすることが人間の生活に幸せをもたらすとは限らないので、医療の重装備を前提とした議論ではなくて、医療の積極的な介入を控えめにした方が人間らしい生活が送れるという視点も忘れないようにしていただきたいと私は思う。 (大森分科会長)   今の井部さんの御意見は、国民というか、患者というか、利用者側の意識を変えるという話を含んでいて、そうでなければシステムなどが動くはずがない。今、医療と医者のことしか見ていないが、それを使う私どもの側の在り方も考えない限り、このシステムがうまくいくはずがないから、今のお話は非常に重要ではないかと私は個人的に思い、いい御発言だったのではないか。 (石川委員)  往診のことについて、ちょっとお話をさせていただきたいと思う。私どもも公立病院を持っているが、都内にあっても医師不足で、なかなか医師が集まらないという状況が続いている。理由は幾つか、一般的にも言われているが、特に小児科だとか、産婦人科だとか、医師そのものが不足をしているということもあるが、なかなか集まらないという状況である。  その理由としては、休日や夜間の宿直を嫌がるという傾向が非常に強く出ている。また、公立病院だとアルバイトができないという、一応、建前上そうなっているので、そういうことも一つ、大きな要因だろうと思っている。また、収入も、いわゆる診療所と比べると、新聞などを見ると2倍ぐらいの開きがあるということで、私どもの公立病院でも、すぐ目の前に診療所が開院されるというような傾向が続いており、いわば病院勤務医が非常に少なくなって、なかなか集まらないというような状況が続いているわけで、特に地方へ行けばもっとひどい状況になるのだろうと思う。  そういうことからすると、いわゆる往診ということになった場合、夜間や休日はやりたがらないというトレンドが根強くあるわけだから、当然、そういうときに往診に行くというインセンティブを働かせることになると、よほどそのための報酬を高くするとか、あるいはまた、開業医であるということ自体に余りインセンティブを持たせないような方向の診療報酬の改定等々を総体的にやっていかないと、この部分だけ成立させようと思っても、なかなか難しいのではないか。実際に制度をつくっても、現場では動かないということは大いにあり得るのかなということで、これは診療報酬体系全体の中で、特に往診ということに集約して言うならば、これをどういうふうに成立させるのかということについては、かなり総合的な議論が必要なのかなと思う。 (大森分科会長)   何か、向こうと合同会議を開く必要があるような雰囲気にだんだんなってきた。   (沖藤委員)  先ほどの井部委員の御意見、それから、大森分科会長が追加でおっしゃってくださったこと、これはまさに私が言いたいと思っていたことである。適切な医療、必要な医療という言葉が先ほどから飛び交っているわけだが、それはそれで大事なことだと思うが、80代、90代の方にとって、どういう生活が一番適切なのかという部分がもっと話し合われてもいいような思いでいる。介護保険なので、介護保険は社会福祉でないと言われればそれまでだが、全体に高齢者のQOL論議が見えにくくなってきているような気がする。ADL論議が中心になってきているような気がして、先ほどからの不安と不満というものも、その辺にあるのではないかという気がする。  具体的な例で言うと、例えば経管栄養をしなければ入院させてあげないと言われて、家族が泣く泣く了承するというような話も巷間聞く話である。それが本当にその人にとってのQOLなのかというと、必ずしもそうとは言えない現実もあるということで、医療が使いにくくなっていると言ったら変な言い方なのだろうが、本当に高齢者にとって必要な人生の質というものが外されていっているような危機感があるので、そのことも追加で申し上げていきたいと思う。  更に、もう一つ、施設から在宅へという方向転換、大きな方向性がある中で、家族は我が家で最後まで看取りたい、高齢者も最後まで我が家にいたいと頑張っている中で、やはりレスパイトケアというのは非常に重要な視点で、これは今回の論議とは関係しないのかもしれないが、ショートステイのような、これまで家族を救ってきたサービスというのがどのように位置づけられるのか、ちょっと知りたいなという思いがある。 (鈴木老人保健課長)   レスパイトケアは、非常に重要だと思う。介護保険の中で、ショートステイという形で、勿論、福祉系の特別養護老人ホームもあるし、老人保健施設もある。それぞれの状況に応じて、ずっと施設にいるというだけではなくて、必要な場合には一定程度、施設の中にお入りいただいて、また、ある程度よくなれば、自宅なり、居宅兼施設にお戻りいただくというところも大切だと思う。今回の直接の議論ではないが、ショートステイの議論は非常に大事だと思う。   (池田委員)  老人保健施設全般ということになるが、療養病床から転換した老人保健施設ができるときに、もう一つ押さえてほしかったなというのがある。それは何かというと、さきほどの重装備の医療はある意味で危険なところもあるということとつながってくるが、老人保健施設というのは確かに病院と在宅を結ぶ中間施設という位置づけから始まった。  だが、実態として、実はもう一つの中間的施設でもあるわけである。それは、在宅と在宅をつなぐ中間施設ということである。だから、ある意味で、嵐が来たときに港に避難するような形で老健があってもおかしくはないということである。  そういう観点から見ると、一番何が欠けているのかというと、これは老人保健施設だけではないのだが、一言で言うと認知症ケアというものがものすごく立ち遅れている。実は認知症というのは、介護の面だけから見てはだめなわけであって、脳科学精神医療、そして介護、総合的に見なければいけない。  多分、今、それが一番できる可能性があるフィールドは老人保健施設ではないかと思うのである。老人保健施設はある意味で、その3つのかなりの部分を持っているわけである。そういったところに着目をして、ちょうど転換という大きな変わり目にあるわけだから、療養病床は老健に来てもらうという視点だけではなくて、この際、何が欠けているケアなのかというふうに考えて、それを仕込むことはできなかったのか。  ちょっと発言が遅過ぎるかもしれないと私は思うが、この間、認知症というものが極めて重要だということは言われ続けながら、実は実態として、認知症施策そのものについては余り前進がないという点から見て、あえてそのことについて触れさせていただいた。 (大森分科会長)   多分、全体の介護保険制度にかかわって、どういうサービスを展開するかというときに、当初、余りそのことを想定していなかったから、急速にそのことを念頭に置いて、制度そのものの存在理由にかかわるような話になり始めていて、できれば、認知症ケアがうまく仕込んでいくことができればよかったかもしれない。全体としては共通の認識になりつつあるが、具体的にそれをどうしていくかという制度設計、運用の問題があるので、それは全体にかかわることなので、改めてテクノートとしておきたいと思う。 (川合委員)  私は本当にそのとおりだと思っている。我々は現場で、前から何度も言っているが、中間懇の中間報告から出発して、いろいろ行ったが、現場で80%近い人が認知症なのである。その人たちにどう対応していくのか。  若干視点が変わるかもしれないが、アリセプトの問題について、高いから老健は使わないというのには私はちょっと憤慨している。アリセプトを我々が現場で使ってみて、軽症の人には適用はあるが、やはりアリセプト神話というのがあり、なぜ使わないんだということに関しては、我々は本当に歯ぎしりしている。センターで御研究されていると思うが、保険適用のないような認知症でも奏功する認知症もある。そういうようなことをきちっと、今、会長がおっしゃっていただいたように、認知症のことについてまとめていただきたいと思う。  ここで若干、大島先生がおっしゃったこと、あるいは池田先生がおっしゃったことと付随して発言を求めたいが、それは、私、何度も言うが、今年の3月31日まで、急性期病院の院長をしていた。そこでは救急車、夜間救急、市からの委託の小児救急もしていたが、勝田委員、沖藤委員、いろんな委員がおっしゃったように、小児救急、夜間の担当をしていて何が一番かというと、三次救命救急、二次救急、一次救急と仮に分けるとするならば、夜間のほとんどは一次救急なのである。  一般の生活が変わってきたのである。共稼ぎであるとか、そういうことになってきて、昔なら昼間来ていただけているような方々が夜間に来る。これは適切な表現でないかもしれないが、眠りかけたら熱があった、行ってみようか。でも、これは昼間の間にそういう予兆があるはずである。そういうことを我々が、第一線の救急病院で教育という言い方はおかしいが、情報共有をしていなかったという反省点はあるかもしれないが、制度をつくる側もそうだが、利用する側も、この制度についてどうなのかということを、こういう場所、あるいは中医協などからの情報発信が少なかったのではないかという気がする。そういう意味で、こちらの委員方がおっしゃっていただいたことは、基本的に我々は、総合的に考えていくべきことだなというふうに思っている。これは小児救急であろうが、老人の急性変化であろうが一緒だと思っている。 (大森分科会長)   ただいま11時ちょっと回ったので、大きな1番目について御発言いたたいてから休憩しましようか。   (山本委員)  資料1の3ページ目の一番上に、一般病院から、もう退院してもいいという方を対象者にすると書いてある。ところが、その次のところでは、老人保健施設で看取りまで見るという。そこら辺りがちょっとちぐはぐのような感じがする。6ページ目の3つ目のところにも、看取り体制を適正に評価すると書いてある。どういう意味なのか。この文章からいくと、一般病床で、あなたは健康で、もう医療の必要はありませんよという人が来て、すぐ看取りが必要になるのかと私は思う。  余りにも軽視しすぎるようなことだが、老健施設というのは、社会的要因という病名で入院していたことは、あなた方がまだ役所に入る前からの話なのである。30年前ごろからそういう病名が付いた。だから、社会的要因で入院している人たちが、そのまま健康でずっとそこにいたのなら、こういうことを書けるかもしれないが、必ず体が弱っているだろう。だから老人になっているのだろう。  そういう人たちのことを考えて医療と介護の分離をやるならばわかるが、何か分離の仕方に少し無理があるような気がする。だから、その辺りをもう少し検討したらどうか。こういうふうに書かれると、もし公表するということになると、6ページ目に終末期における看取りをやると書いてある。3ページ目には一般病床から退院してきた人たちを受け入れると書いてあるわけである。  医療と介護をどういうふうにして分類するかということが明らかでないわけである。ただ、いろいろと書き並べてはいるが、現実的ではない。だから、もう少し、医療は医療でこういうところまで行くんだと、あるいは介護は介護でこういうことで行くんだということが明確に示す方がいいと思う。  私がなぜそれを言うかというと、医療で費用を負担していたものが、介護に戻ってくると、介護保険料に影響してくる。そうすると、介護保険料が高いと言われる声が非常に多くなる。  もう一つは、後期高齢者医療制度が始まることになるわけである。これは我々のところでは保険料が平均で約10万円である。老人の、しかも75歳以上の人たちの年金はそんなに高くない。それらを考えていけば、納得のいく制度をつくる、納得のいく仕組みを考えていくということが必要である。  文章だけで見ると、そんなことは考えていないと思うが、余りピンと来ない内容のようである。こちらをよくすればこちらで負担がかかる、ここをよくすればこちらが手薄になるというのは、これはわかり切ったことである。その辺りを十分考えて、皆さんが喜んでこういう制度を受け入れるということにしなければならないのではないかと私は思うので、保険者の立場から強くお願いを申し上げておくので、検討してほしい。 (鈴木老人保健課長)   そういう立場に立って十分検討したいと思うが、2点だけ。  1点は、一般病床から退院というふうに書いてあるが、これはちょっと書き方が悪かったかもしれないが、一般病床は、今、大体20日を切る平均在院日数である。その間にもうよくなっている方を引き取ろうという意味ではなくて、勿論、よくなった方は御自宅にお帰りいただく。  ただ、その日数ではまだ御自宅には帰れないという方もおられるわけで、今まで療養病床は、退院して、まだ家には帰れない方の受け皿になっていた。その受け皿の介護療養病床を、平成23年度で給付費対象としては廃止をするということなので、先ほど看取りということが出たが、今まで、例えば介護の療養病床では27%の方については看取りをしていたわけなので、今回、新たに何かをつくり出すということではなく、今まで果たしていた機能をきちっと受け止められるものを整備しないと、今まで受けていたサービスが受けられなくなるのではないかということで、ちょっと整理をさせていただいたものなので、御懸念があるような、一般病院から退院する人を全部ここに入れて、介護保険の方でどんどん給付費が膨らんでしまうということは我々としてもないようにしっかり考えたいと思う。 (大森分科会長)   では、木村委員で終わりでよろしいか。それで休憩する。   (木村委員)  先ほど認知症の話が出たが、認知症もいろいろ段階があると思うので、それを一まとめにしてどうこうということは言えないと思う。特に問題行動がある方で医療の必要な人、例えば肺炎になったとか、手術が必要な人が、急性期病院でもなかなか受け取ってもらえないという現状がある。  老人保健施設で認知症を見るということだけで解決する問題ではないと思うので、認知症のランクによって、どこで適切な医療なり介護ができるかを全体的に考えないと、認知症は精神科で見るんだ、ほかは黙ってろとか言われてもできないということで、認知症のケアなり治療なりと、内科的、外科的治療も同時にできる場所を、医療、介護両方でつくっていく必要があるのかなと思っているので、そういう検討をよろしくお願いする。 (大森分科会長)   それでは、今から10分ほど、11時20分再開で、暫時休憩させていただく。 (休  憩) (大森分科会長)   それでは、再開させていただく。  2番目で今日、御議論いただきたいのは、療養室の面積に係る経過措置について、事務局から説明があるので、それについて御意見をいただきたいと思う。それでは、よろしくお願いする。 ○鈴木老人保健課長より資料2を説明。 (大森分科会長)   御意見をいろいろ伺いたいと思うが、その前に、吉田参考人、連合の方から緊急要請が出ているので、これをちょっと御紹介していただきながら、御意見があれば伺いましょう。   ○吉田参考人より意見書を説明。 (大森分科会長)   ちょっと私から伺うが、この面積の測定方法の違いについて、内側を測るのと中心線を測る、どうしてこういう違いが出たのか。普通で言えば、使える範囲のところを部屋の面積とするのが普通ではないかと素人は思うのだが、どうして老人保健施設の場合は中心点になったのか。 (鈴木老人保健課長)   どうしてというのはなかなか答えにくいことで、ただ、廊下にしても、例えば、手すりをどういうふうに算定するかによって、それぞれの局で具体的に、医療機関の場合は当然、医療機関全体として判断をするし、老人保健施設の場合には、出自はやはり福祉施設等との関係もあったので、申し訳ないが、やはり旧来違う測り方になっていたということが実情である。   (大森分科会長)   釈然としないが、そういう経緯だったとのこと。  御意見を伺う。 (木下委員)   資料2で説明があったように、施設の有効利用ということでは、こういう経過措置というか、緩和基準を設けてやるべきだと思う。先ほどから出ているQOL等については、ソフトの面でちゃんとやっていくという、チームケアということに重点を置いてやっていけばいいと思うので、今、示された施設基準の延長は歓迎するところである。もともと6.4平方メートルと8平方メートルでどこが違うのか、実際のケア場面でどこが違うのかという検証はされていないので、ただ数字だけ8だったらいいということではないと思うので、今後、必要があればケアの中身というのも検討するべきではないかと思う。 (天本委員)   確かに療養環境をよくするということは非常に重要だと思う。したがって、医療機関側も努力してきた。特に介護療養型に転換する際も、4.3平方メートルから6.4平方メートルにと、実質こういう測り方の物差しを変えると7.4平方メートルというところで、その5〜6年前に介護療養型ができたときに、既にベッド数も減らしている。そこで借入金をつくって、まだ返済も終わっていないという段階で、更にここでまた借入れを起こすということは、この医療状況の厳しい、介護保険状況の厳しいときに、経営的に非常に困難であるという、まず御理解をいただきたいと思う。  そして、ここにも述べられているように、4人部屋を3人部屋にして費用をかけないとしても、1ベッドなくなるということで、勿論、広くなったことは喜ばしいことだが、デッドスペースという見方もある。いろんな意味において、60名であれば15名の患者さんがどこに行くかという視点も重要な視点だろうと思う。  というのは、現在の介護保険施設の稼働率を見ても、9割以上の稼働率を示しているし、これから後期高齢者、特に90歳以上が非常に増えてくることから考えれば、医療療養病床のみならず、介護療養病床の担ってきた機能、要介護4、5の人たちはますます増えるわけであり、そういう点においても、少しでも数が減らないようにという視点も私は重要かと思う。介護難民が生じないために、あるいは経営が成り立つ形で、重要な社会資源の損失の起こらないような形で、是非御理解をしていただければと切に要望させていただく。  特にケースミックス型といった形で、一般病床と療養病床で経営されているところは、かなり地域に密着しており、そこに入れない人もたくさんいらっしゃる。それを更に減らすということは、地域の方々にとっても非常に大きな問題だろうと思う。  そして、もう一つは、介護保険なので、情報公開という形で利用者さんにも当然その点は説明をするわけなので、判断を利用者にゆだねるという形も、QOLという際にも、医療が身近にあることでのケースミックスの付加価値も大きいわけなので、単純に0.5平方メートル足りないため何人もの患者さんが、要介護者が出て行かなければいけないということは避けて通るべきであろうと思うので、是非御理解をいただきたいし、経過措置の延長というものを図っていただきたいと思う。   (大森分科会長)   連合の大きな方向性としては、ちゃんとアメニティーも確保していく方向であるから、その方向が間違っているわけではなくて、社会的入院もなくしていきたいという、これは掲げられている目標なので、それ自身は私は何ら依存がないところではないかと思っているので、問題は、改修をしなければいけない時期と、現在、相当新しいもので、直ちにそれができるかどうかという細やかな経過措置の是か非かという議論で行っているが、連合の方は、今日説明のあった資料2の4ページ目のようなことについても、もうちょっときちっと考えるべきではないかというお立場か。 (吉田参考人)   2011年度末までに全部をめざすべきであり、経過措置についても十分慎重な立場で整理するべきだと考えている。   (齋藤委員)   利用者の立場で申し上げたい。天本委員からお話があったように、経過措置という意味では十分理解できる。ただし、情報開示をしていただくということは極めて重要であると認識している。更に、お話にあったが、6.4平方メートル、8平方メートル、特養の問題を含めて、なぜそうなっているのかということが少しわかりにくい感じがする。QOLという観点では、恐らく全委員が同じ認識を持っていると思う。あくまでも経過措置であり、将来的には連合のご意見のように、できるだけQOLの確保の観点から、スペースの問題を大きな問題として取り上げていただきたい。その意味で、是非大規模改修、その他の時期をとらえて、十分な御指導をいただくようお願いしたい。   (対馬委員)  病床転換支援金というのがある。これは我々保険者もお金を出して、国も県も出して、全体で年間400億ぐらいだろうか。これを数年間やっていこうという構造になっている。これは医療の方から転換していくということだが、今のように大規模改修しても利用者にとって余りメリットが生じないといったケースに対しても、病床転換支援金が出されるのか、それとも、それはやはり利用者にとってよりよい形の施設になって、そのときに初めて出すということなのか、その点をちょっとお伺いしたい。   (大森分科会長)   お答えできるか。 (大西医療費適正化対策推進室長)   転換支援金の予算措置については、8月末に概算要求をしているが、支援金を出す場合というのは、きちんと改修する場合が基本と考えているが、具体的には、年末の予算、更に執行に向けて交付要綱等で整理する方向になると考えている。   (沖藤委員)  看取りということが言われており、転換型の老人保健施設でかなり看取りが行われるだろうと考えたときに、ここに書かれているのは4人部屋ということで書かれているが、人生の最終場面も4人部屋という考え方なのか、それとも個室というか、そこに家族も来て一緒にというような、そういう個室要件というのはあるのか。最終場面についての療養室のイメージをちょっと聞かせていただけるとありがたい。   (大森分科会長)   何かあるか。   (鈴木老人保健課長)   確かに最期を看取らせていただく場合に、多床室ではなくて、家族の方やお知り合いの方も一緒に最期を迎えられるということは大事なことだと思う。多くの施設で4床室だけではなくて、例えば2床室とか個室をうまくバランスをとってつくっておられるところが多いので、そういう意味では、最期をお迎えになるときにうまく病床を考えていただいて、なるべく御家族の要望に沿うようにということはあると思う。我々もできるだけそうしていただきたいと思っている。  ただ、基準で縛るというのはなかなか難しい面があり、今、介護の療養病床についても27%の看取りをしていただいているが、その場合も、必ずしも個室で看取っているとは限らない場合もあるので、趣旨についてはなるべく病院団体、医師会ともよく話をしたいとは思うが、基準で縛るのはなかなか難しいと思うが、方向性としてはあり得ると思う。 (大森分科会長)   大体、8平方メートルという面積基準にしてもよくわからない。今、8平方メートルと6.4平方メートルを比較しているが、8平方メートルという数値の根拠は何かというのも、本当は議論してほしいなと思っている。今のような沖藤さんの御議論で言うと。ただ、そこまで今日は議論を広げられないので、この2つの扱いについてどうするかと議論している。 (天本委員)  6.4平方メートルというのは、医療の療養病床ではきちっとその面積で法的に認められている。医療療養病床は6.4平方メートルということで、かなり医療依存度が強くて、亡くなる方も多い場所である。だから、老健、特養と比較すると、狭いという感じは受けられると思うが、医療療養病床では6.4平方メートルで法的に認められていることも御理解いただきたいと思う。  それから、大規模改修の際に、新たに地震対策ということで、本当に大規模改修になるということで、かなり費用もかかるということも是非御理解いただきたいと思う。  そして、もう一つ、日本医師会で医療療養病床の医療区分の調査のときに、我々、医療難民とともに介護難民という方々も指摘した。本来ならば介護施設が空いていれば対応できる人たちが、約4万人、当時いらっしゃった。そういう意味で、これから介護施設というのは、もっと増やしていかなければいけないということで、我々の医療機関側からも、医療療養病床で頑張りたいという方々と、新たな老人保健施設に転換して地域のためにまた貢献したいという希望を持っている方々がいらっしゃる。ただし、これが8平方メートルだと、どうしても転換できないといったことで、経営が成り立たないという方々もたくさんいらっしゃるので、是非このような提案を、経過措置というものを延長するよう要望する。 (池田委員)  転換に伴う一定の経過措置は必要だということは当たり前だという前提があるが、むしろ、そもそも論になってしまうが、医療と介護は違うと思うが、施設設備の建設費、改修費というのは一体だれが負担すべきものだろうかということを一回きちんと整理する必要があるのではないかと思う。  差し当たって、その費用を負担するのは事業者だが、事業者はその負担をしているのかというと、実はそうではないわけであって、その費用は何らかの形で捻出されるわけである。つまり、公費で調達するのか、介護保険料で調達するのか、あるいは利用者の負担で調達するのかという分け方ができると思うわけである。  基本的に介護保険は、言ってしまえば生活サービスということで、居住費に関しては、ホテルコスト導入のときに基本的に利用者負担であるとされた。ということは、少なくとも居住にかかわる建設費、改修費というのは、その後の利用者がそれを負担するということ。利用料という形で。どこまでそのバランスで行けるのかはよくわからないということが1つ。  それから、利用者が負担すべきでなくて、これは保険料全体で負担すべきという考え方もあるかもしれない。あるいは、政策誘導的に、ここは公費を投入した方がいいということもあるかもしれない。その辺の分類と整理がきちんとされていないと、ただ転換のために経過的にこれが必要ですということで、それはそれでわかるが、それで済んではいけないだろうなということならば、問題はお金の問題なので、建設費はその後どのように調達されていくのかということである。その辺、何か整理できるのか。  私は必ずしもそれに賛成しているわけではないが、居住費は利用者の負担ということになりながら、実は補足給付という形で保険料がすごくかぶっているというのがある。これはいいか悪いかの問題は別に置いておく。だから、そういう意味で、当面の問題としてはわかるが、本質的な問題として、一体だれが負担するんだというところを少し、施設整備の中の分類整理みたいなものをしていただければありがたいと思う。 (鈴木老人保健課長)   きちっと答え切れるかどうかわからないが、平成17年10月に食費・居住費の給付からの外出しというのをした。そのときに、基本的には居住費については利用者の御負担でということだが、今、池田委員がおっしゃったように、補足給付ということもあるし、それから、現在、お支払いいただいている自己負担とのバランスということもあって、完全にかかっている建物の減価償却の分まで居住費を御負担される利用者の方にチャージできるかということがあったので、明確にどこに線を引くのはなかなか難しいが、原則的にそこからある程度は取ることにしたが、やはり施設側に給付の中から見ていただいている部分もあるということになろうかと思う。  ただ、今回、特に我々の方で、面積ついての経過措置で御議論いただいているのは、例えば平成12年に建ったものだと、平成23年度までということになると、減価償却が済んでいないときにもう一度改修ということになるから、通常、御負担いただいている居住費に加えて、更に改修費用も負担していかなければいけないという考え方になりかねないので、そこをどう考えるかということもあると思う。 (天本委員)  特別養護老人ホームは、御存じかと思うが、今は建っている建物はほとんど、土地も建築費も公的な補助で成り立っている。だから、これだけのものができたのだろうと思う。老人保健施設においても、かなりの補助金で、環境状況をよくしようということで、国の政策として行われている。  医療の場合、ほとんどが診療報酬によって事業主が借り入れてという負担が一番多いところなので、それを更に今回、いろんな形で補助を受けたとしても、たしかこれは補助を受ける場合にはベッド数を少し減らす、10%か何か減らすという要件があったかと思うが、それがないにしたとしても、病院ができ上がった背景というものも是非御理解していただきたいと思う。 (大森分科会長)   ほかに御意見はあるか。 (木下委員)  療養環境の話だが、6.4で十分だと言い張っているわけではなくて、我々の会員病院の中でも、7割以上は8平方メートルというスペースを確保しているので、それぞれの病院がどういう環境でケアをやればいいかということを考えてやっている。  先ほど亡くなるときのお話があったが、4人部屋でそのまま亡くなるというのではなくて、その方がどういう看護や医療を受けて、どういう環境で亡くなるのが一番いいかということを、ちゃんとカンファレンスをやって検討しているというところがとても増えてきている。そういう努力をこれからもしていくべきだと思うので、4人部屋で看取るというようなことは今後だんだん減っていくと思うので、その点は御理解いただきたいと思う。同時にそういう情報公開はやはりしていって、利用者の方にわかりやすくするということは必要だと考えている。 (大森分科会長)   事務局から説明があって、今の御意見もそうだが、経過措置については必要があるのではないかという御意見があったように私は思うが、本日、この場で、経過措置の内容は全部これでOKだと言うのはちょっと早いかなと思う。特に現実に平成24年以降も改修時期を迎えない施設が一部残ることは理解できており、これに対して経過措置と言っているのは、次の改修、大体10年後だろうか。そうすると、経過はいつまでかというのは非常にあいまいなまま続けることにもなり得るので、具体的に、どこかで全体として、私どもの会議としては、一応の合意を見なければいけないが、本日はちょっと決めにくいので、今日出た御意見をちゃんと勘案していただきながら、次回にどういうふうにするかということについて、事務局の方からもう一回、考え方をお示ししていただくという形でよろしいか。御意見は十分承っていると思っているので、そういうやり方を取らせていただければと思っている。 (天本委員)  最後にお願いだが、是非前向きに御検討いただきたいのだが、今、地域ケア整備構想ということで、我々も療養病床転換、老健への転換というものを考える基準の際に、長期計画ということで、24年以降どうなるかということが非常に重要な決断する判断材料になる。そういうことで今回、21年の報酬改定も、20年に具体的に事業計画を考えるためにということで提示していただくよう議論を進めているわけだが、並行して、面積の経過措置というものも重要な判断材料になるということで、早急な判断を仰ぎたい。その際、面積でQOLという議論もされているが、本来ならば、人員配置基準とか、医師数が減るとか、看護師数が減るとか、それも尊厳、生活の質という面においても大きな課題があるわけなので、ハードとソフト、両方の面においても、全施設ではないので、そういうところの配慮を是非お願いしたいと思う。   (大森分科会長)   承った。それでは、この件はそういう形で次回。まだ御意見はあるか。 (中田委員)  先ほど天本委員が、特別養護老人ホームは土地も建物もというふうにおっしゃったが、補助金は土地にはないので、ひとつ訂正をお願いしたいと思う。  今日の議題ではないが、関連があるので、1つ。 (大森分科会長)   一応、今までの議題を打ち切ってしまってからにしたいと思う。よろしいか。次回には一応の事務局としての考え方をお示しするということにしていいか。 (鈴木老人保健課長)   最後に申し上げようと思ったが、次回、12月10日を予定しているが、前回お約束したように、12月10日は、今、田中委員にヘッドを務めていただいている介護サービス事業の実態把握のためのワーキングチーム、これは明日が最終日だが、それについての報告等があるので、また皆さんに御相談させていただくが、次回、完全にこなした上で今回の引き続きの宿題事項を一緒にできればいいが、できなかった場合には、大変お忙しいところを恐縮だが、12月10日の次の週辺りにもう一度させていただくということもちょっと検討させていただければと思っている。   (大森分科会長)   承知した。それでは、この件は以上。  一応、審議事項は終わったが、御意見のある方はどうぞ。 (中田委員)  実は、特別養護老人ホームの設置主体の見直しについて、ちょっと確認させていただきたいのだが、この件については、今分科会の下に介護施設等の在り方に関する委員会が設置され、9月の第6回の委員会だったと思うが、私の方から、介護療養病床の受け皿として、特養の在り方が十分議論されないままにこれを認めるということは賛成できない、もうちょっと議論を深めていただきたいということを申し上げたが、この件について、最近、先送りするとか、あるいは撤回するとかいうような報道もなされているように聞いているが、この件について、厚労省の方針というか、この辺をひとつ確認させていただきたいと思うので、よろしくお願いする。 (小関計画課長)   ただいま御質問いただいた特別養護老人ホームの設置主体の見直しについてだが、療養病床の円滑な転換支援策の一環として、医療法人等による設置を認めることを検討してきたものだが、福祉関係団体等から、特養における入所者の重度化の状況や医療的ケアの必要性等、特別養護老人ホームの在り方の検討がまず必要であるということ、設置主体の拡大は、社会福祉事業、社会福祉法人の根幹にかかわる問題であること等を理由として、慎重な議論が必要であるという強い意見が提出されてきている。このような状況を考慮すると、現状では特別養護老人ホームの設置主体の見直しについて、関係者の合意が得られる状況にはないと考えていることから、次期通常国会に本件にかかわる老人福祉法改正案を提出することは見送ることとする。  なお、特別養護老人ホームを含む介護保険施設の在り方については、これまで介護施設等の在り方に関する委員会において議論されてきたところである。今後、介護保険部会のような介護保険制度全体を検討する場において、更に議論を深めていただく中で、特別養護老人ホームの在り方についても引き続き検討を進めることとしたいと考えている。 (大森分科会長)   今の点についてか。池田委員、どうぞ。   (池田委員)  今の話でわかったのだが、特別養護老人ホーム、これは福祉施設なので、直営もしくは社会福祉法人という限定が入っている。それに異を唱えるつもりはないが、介護老人福祉施設はだれがやってもいいのではないか。そういう考え方にそろそろ切り替える時期に来ているのではないだろうかということをちょっと言っておきたかったので発言した。   (大森分科会長)   この件は、今、事務局から話があったように、多分、介護保険部会のような場で、介護施設全体の在り方の一環としても御議論が進められると思っているので、これで永久にだめにしたという結論ではないのではないかと私は理解しているので、私どもの分科会としては、なお議論を重ねていただくという意味で了承するということか。賛否をということではないから、そういうやり方について、一応説明を受けてとりあえず理解できたと、そういうことか。個人的な意見を言えと言えば、いろいろ意見が出てくると思うが、今のような池田委員の御意見もあるし、それはそちらの方できちっと議論していただくという、そういう閉めでよろしいか。では、この件はそうさせていただく。 (勝田委員)  そもそも、なぜ今、この転換という問題が出てきたかということについて、前回の委員会で矢田室長だったと思うが、医療が4,000億円マイナスになる、そして介護が1,000億円増えて、全体としては3,000億円の削減になるということをおっしゃったが、この計算のそもそも元になっているのは何かを示してほしい。  先ほど山本委員さんもおっしゃったが、そもそも介護の1,000億円、今の計算で言われている1,000億円は、県とか市町村、ひいては介護保険料にはね返ってくるお金だと思う。その辺をどのように考えているのか。  私はたまたま富山に住んでいるが、2〜3日前、来年度の予算で、県の税収で220億円が不足しているというのが出ていた。この上、例えばこの1,000億の県の負担が今のままでいったとしても、あるところの試算によると、県や市町村、それから高齢者の負担が2倍になると言われている。若年は若干減るが、せめて現在の医療における給付負担割合というか、国の負担率は33%ぐらい、それを今回のものに。介護保険の場合は国の負担率というのは2割ぐらいだが、それをせめて医療の国の負担率と同様に。県や市町村や、ひいては私たち利用者の介護保険料の軽減にもつながるかと思うが、その辺についてのお考えを是非示してほしいということ。  それから、全体の計算の、3,000億削減される、医療は削減されるけれども、全体としてはこうなんだと。では、その3,000億円の、どういう計算指数に基づいて出されたのかということをできれば示していただきたいと思う。 (矢田地域ケア・療養病床転換推進室長)   今、勝田委員がおっしゃった、医療の方で4,000億減って、介護の方で1,000億増えて、トータルで言うと3,000億の削減になるというのは、平成18年の当初、療養病床の再編の話が出た初期の段階で、その時点での前提に基づいて試算をしたものである。  それが現在どういう状況になっているかというのは、鈴木課長からお答えしたとおり、今、前提となっている条件として、医療療養病床が幾つになるのかという話とか、医療療養や介護療養から転換した後、今御議論いただいている転換型老健を含めどういう介護保険施設に転換をするのかという話とか、まさに本日の議題である転換型老健としてどのぐらいの報酬になるのかというようなところがまだ前提条件として決まっていないので、そういったところがある程度見えてきた段階で、どういう試算になるのかをお示しをすることにしたい。  それから、もう一点、御指摘があったように、介護保険制度と高齢者の医療制度では、保険料なり、あるいは国、都道府県、市町村の負担割合が制度として異なっている状況になっている。前提として、制度全体、社会保障全体としては、医療、介護を通じ全体としては削減されるということで、この療養病床転換を進めているわけだが、細かく見ていくと、先ほど申し上げたような状況なので、まだ正確にどこのセクターがどういうふうな負担減少になるのかが見えていない状況なので、そうしたこともある程度状況が整った段階でお示しをし、その中でそれぞれ、それなりに合理化が図られる療養病床の再編なので、そうした中で負担割合についてのものもお示しできるのではと思っている。 (勝田委員)  給付負担割合についてはどうか。 (矢田地域ケア・療養病床転換推進室長)   介護保険制度については、御承知のとおり、半分が保険、半分が公費ということになっている。施設の公費負担については、三位一体改革の影響もあり、国が20%、都道府県が17.5%、市町村が12.5%というふうになっている。  一方、後期高齢者医療制度については、若干公費の入れ方というのが細かい試算があって、正確ではないが、一応、50%を公費で見ることになっており、ただ、高所得者については、公費負担を一部入れないという仕組みになっているので、多分、50%を少し切るような形で公費負担があり、それを4対1対1、国が4、都道府県が1、市町村が1ということになっている。満額50%を公費で見るとすると、33%対8.3%対8.3%になっているが、これが全体として少し下がるような形になるかと思う。  一方、保険料の方にも、国保の中に一部国庫負担と都道府県の負担が入っており、こういうものを細かく見ていくと、精査は必要だが、いずれにしても介護保険の方が負担割合が高くて、高齢者医療の方が、例えば国と地方団体を比べると若干の負担割合の違いが出てきており、介護保険の方が地方負担の割合が比較的高いという形になっている。  そういうことになっているが、全体として費用が圧縮される分だとか、介護保険の中での転換については合理化が進むので、そういうことも含めて、国、都道府県、市町村の負担割合がどうなるかということについては、試算ができた段階でお示しをできるのではと思っている。 (勝田委員)  わかりやすいものを出していただきたい。   (天本委員)  今のお答えの中に一部入っているが、介護のうち施設サービスの場合は、負担割合が都道府県が5%増えて、国が5%減っているということもある。例えば、医療療養病床だと、現時点の医療区分1だと単価が7,000円ぐらい、これが介護に移ると1万2,000円ぐらいになるということで単価自体が変わって、負担率も、単純な計算だと施設の場合はかなり都道府県に負担がかかるようになる。それを数字としてきちっとあらわしていただいて、都道府県、市町村でどういう計画で、単純にベッドが移行できればそれでいいのかどうか、そういう全体的な議論もこれから深めていただければと思う。 (池田委員)  関連して、今の問題というのは極めて地域差が大きいということを認識すべきだと思う。その地域差みたいなものを踏まえて、具体的にどうなるんだというふうにとらないと、本当に地域によって違う。例えば、今、勝田さんがおっしゃった富山県の話だが、富山県というのは日本で一番施設給付費がかかっているところである。2番目が徳島県である。定数から言うと徳島県の方が多いが、富山県の方が高いのは、要するに療養病床が多いということが一番大きい。逆に言うと、山形とか、そういうところはものすごく低いので、多分、今度の転換型の問題で、ほとんど財政的に好転するに決まっているという状況になるので、一律に一般的に、地域差を除いて議論すると、ちょっと的外れになるということを申し添えておきたいと思う。   (大森分科会長)   勝田さん、富山県で今のようになっているので、いろいろおっしゃってくださった方がよろしい。  まだ若干時間があるので、どうぞ。 (木下委員)  参考資料2に、介護療養型医療施設における特定診療費ということで、介護療養型医療施設で算定できて、介護老人保健施設では算定できない項目が書いてあるが、9番から11番までにリハビリテーションのことが書いてあるが、先ほどの説明で、転換する老健ではリハビリテーションのスタッフが設置基準にあるので、この部分は評価しないというようなお話だったが、保険局の方では、慢性期のリハビリテーションは介護保険でというような話が前に出ていたので、この部分がなくなるということは、今、介護療養型医療施設でやっているリハビリテーションのサービスがなくなるということになる。継続してリハビリテーションができる制度というものを国は言っているが、それが途切れることで何らかの支障が出るのではないかと考えているので、リハビリテーションの在り方については保険局と老健局で十分な検討がされることを望む。  もう一つ、在宅でいろいろなサービスができるように、今、体制はできているが、実際には余り動いていないということがある。これは、人の問題等でできていないと思う。老人保健施設でもいろいろな医療ができるようになっているが、医師や看護師の配置の問題もあると思うが、100%できているかというと、それもできていない状況にあるので、その辺も勘案して、制度をつくったから全部現場にできるのではないかというのではなくて、人員配置、費用の面も含めて実際に動くような制度にしていく必要があると思うので、御検討をよろしくお願いする。 (鈴木老人保健課長)   後者についてはそのとおりだと思うが、前者について、リハビリテーションだが、老人保健施設は基準としてリハビリテーションのPT、OTを配置することになっていて、その部分については、施設サービス費の中で評価をしている。ただ、療養病床については、基準としてPT、OTを置くことになっていないので、実際にサービスをした場合に評価をすることになっているというふうに、評価の仕方が違う。  したがって、老人保健施設に転換をしていただいた場合には、既に基準として中に評価をしているということなので、私が先ほど申し上げたのは、それを更に特定診療費という形で評価をするというのは二重に評価をすることになるので、そこは御理解をいただけないかということである。 (大森分科会長)   よろしいか。これで閉めなければいけないが、ちょっと私が気になっていることで、この分科会の話ではないが、後期高齢者の医療制度の出発点が、実際の経営負担については1年間凍結ということが出ている。その影響は1,200億ぐらいだが、それをこちらに持ってこないようにしてもらいたい。社会保障制度全体でものすごい切り詰めが起こっていて、更に後期高齢者の部分について社会保障の方へ持ってこないで、別途捻出するというふうに押し返してもらいたい。厚労省としてというのが個人的な意見。今日はその他で何でも言っていいというふうに勝手に解釈しまして、特段に要請をして今日の閉めにいたしたいと思う。 - 1 -