07/11/09 平成19年度第6回雇用政策研究会議事録 平成19年度第6回雇用政策研究会                     日時 平成19年11月9日(金)                        18:00〜                     場所 厚生労働省共用第8会議室(6階) ○諏訪委員 こんばんは。ただいまから雇用政策研究会を開会いたします。座長が別の 会議で少し遅れられるということですので、隣に座っている私が突如、座長代理を命じ られまして、座長代行をしばらくさせていただきます。  本日の研究会におきましては、ご案内のとおり、これまでの5回にわたる皆様の議論 を踏まえて、事務局が「雇用政策研究会報告書骨子(案)」を用意してくださっていま す。そこで本日は、研究会報告書の取りまとめに向けたご議論をお願いしたいと思って おります。まず、報告書の骨子案の内容につきまして、事務局からご説明をお願いした いと思いますが、事務局のほうでお弁当を用意しておりますので、食事をとりながら資 料の説明をお聞きいただければとなっているのですが、それはなかなかやりづらいです ね。それは任意にお任せすることにしたいと思います。それでは、よろしくお願いしま す。 ○蒔苗雇用政策課長補佐 どうもありがとうございました。では、資料の説明をさせて いただきます。  資料は2つございます。1つが、いまお話がありましたように、骨子案です。また、今 日ご欠席の鶴委員からあらかじめ昨日メールでお送りした案に対してのコメントをいた だいておりますので、そちらも参考までに机上に配付させていただいております。では、 報告書の骨子案についてご説明させていただきます。  まず、報告書の全体の構成、柱立てです。「はじめに」と書いてありまして、そのあ と、第1章として「労働市場を取り巻く変化と課題」とあります。1番目の「これまでの 日本経済の変化と雇用情勢の概観」が1頁目に書いてあります。2頁目に「労働市場を取 り巻く変化」、(1)市場を取り巻く変化として企業側の変化と労働者側の変化に分け て整理したあと、そうした両者の変化によってどういった課題が労働市場に生じたかと 整理しております。  4頁目から第2章になります。昨日、座長に相談したところ、「雇用労働社会」という 言葉が若干、「雇用労働」という言葉は雇用だけに限定したイメージを与えるのでちょ っと狭いのではないかという指摘はいただいたのです。事務局でいろいろ考えてみたの ですが、「雇用就業社会」「雇用経済社会」などと言ってもなかなかしっくりくるもの がなかったので、今日は仮置きの形で「雇用労働社会」としていただいておりますが、 こちらについても、ご議論をお願いできればと思っております。そうした2030年のある べき姿を第2章で書かせていただいております。  6頁目は、第3章として、そうしたあるべき姿に向けて今後の雇用施策の方向性という 整理をさせていただいております。1番で雇用施策の基本的な方向性として、当面5年間、 取り組むべき施策の方向性を3点、1つが就業率の向上、2つ目が雇用・生活の安定と職 業キャリア形成による生産性の向上、3つ目がワークライフバランスと整理させていた だいております。一応今日は、骨子(案)が長いので議論を2つに分けてお願いしたい と思っておりまして、第3章の1までを前半としたいと思っております。後半のご議論と して第2番目に書いてあるのが具体的な施策です、という柱立てになっています。  では、1頁に戻っていただきまして、最初からご説明を差し上げます。1頁、「はじめ に」の所です。「報告書の視点」と書いてあります。そこに書いてありますように、20 05年に人口減少社会を迎えた我が国におきまして、2030年の経済社会を見据えた今後5年 の間に取り組むべき施策の方向性を策定するということです。その際の重要な視点とし て、とりあえず今回我々が準備させていただきました視点としては、「若者、女性、高 齢者等の働く意欲を持つ全ての人々が、生涯を通じ、能力を蓄積しつつ、十分発揮し、 仕事や地域への社会参加を行うことができるとともに、その時々のライフステージに応 じて仕事と生活の調和が図られ、かつ公正で多様性に満ちた豊かな社会を実現する」こ と、ということを一応重要な視点として書かせていただいております。「こうした」か ら「実現する」の所で○○社会とありますが、これはサブタイトルになりますので、今 日のご議論も踏まえて、次回、提示させていただきたいと思っております。  第1章、労働市場を取り巻く変化と課題です。1番の第1段落が日本経済の変化、バブ ル崩壊以降の変化について記述しております。第2段落、「こうした」の部分につきま しては、その間の雇用情勢の変化、1998年の大型金融破綻を契機に一時5.5%まで悪化 したのが足下、4.1%まで改善してきているということを書かせていただいております。  2頁目です。労働市場を取り巻く変化としてさまざまあったわけですが、こちらを(1) として、企業側の変化として整理しております。  企業側の変化の1点目です。まず、グローバル化の影響について4、5行でまとめてお ります。グローバル化の変化としましては、そういった変化があることによって企業の 将来予測可能性が低下、あるいは短期的な需要変動が増大、こうしたことに対応するた めに企業がこれまで以上に外部労働市場を通じた雇用量の調整を強めてきた、あるいは、 株主重視といった姿勢が見られてきたということを書いております。  2点目はIT化の影響です。IT化を中心とした技術革新の進展によりいわゆる人材ニー ズが二極化した、高度な人材のニーズが高まる一方で、ここは書き方をまたご議論いた だければと思うのですが、定型的な業務を担う中間層ホワイトカラーのニーズが相対的 に低下した。ニーズが低下しただけではなくて、こうした方々の業務については外部人 材、内部人材ではなく外部人材を使うという傾向が見られるということです。  3点目はサービス産業化の話です。消費者の趣向が多様化、短期化していることに伴 って、そうした豊かな感性を持つ多様な消費者ニーズに対応する労働者のニーズが高ま っているということです。こうした一連の変化を受けて企業のほうは、即戦力志向、あ るいは正社員の絞り込みなどの雇用管理の変化が生じたわけですが、昔に比べて正社員 の割合はどんどん低下してきてはおりますが、そうは言っても、まだ依然として賃金面 での調整を行いながら長期雇用を今後も基本的な方針とするという企業が、第1回目の 資料で用意しましたように、約7割と依然として多数となっていると書かせていただい ております。  2番目に労働者側の変化です。1点目は長寿化です。まず、平均寿命が男性で78.56歳、 女性で85.52歳まで延びたということと、それに加えて、2002年のWHOの統計で健康寿命 も、それぞれ、72.3歳、77.7歳となっています。  労働者側の変化、2つ目のポツです。労働者のキャリア意識醸成の必要性が高まって きている中で、学校教育段階でのキャリア教育、あるいは職業に接する機会の重要性も 一緒に高まってきているということです。  労働者の意識の変化が2つ書いてあります。1つは、自分の能力を活かしたいという人 が上昇する一方で、勤めてからも達成感が感じられないと言って辞める人が増えている という話、あとは、仕事と生活のどちらか一方ではなくて、両方を重視するという人の 割合が増加しているということです。  3頁目です。もう1点、世帯の就業構造において共働きが専業世帯を上回ったというこ とです。こうした企業側の変化、労働者側の変化を受けて、労働市場にどんな変化が生 じたか、課題が生じたかと整理しております。  1点目は、いわゆるパート、派遣、契約社員等といった多様な就労形態の増加が目立 ち、直近では約3割がこうした働き方となっているということです。  2点目はそうした中に含まれますが、いわゆる若年層においてフリーターという方々 が増えて、ピークは過ぎましたが、まだ年長フリーターの部分は改善の動きが鈍いとい うことです。こうした若者の中には雇用に不安を感じたり、あるいは結婚できない者が 多くなっているというところで、若者の間に所得格差の拡大、あるいは格差の固定化と いうことが懸念されています。そうした非正規労働の一方で残された正社員の部分につ きましては、逆に正社員が少なくなったという意味において1人当たりの負担が大きく なりまして、週労働時間が60時間以上の長時間労働が高水準、あるいは健康面、家事・ 育児が短いといった問題が生じてきているということです。能力開発の回で議論がござ いましたが、能力開発機会を見ても、雇用形態においてまず差があるということと、正 社員の中でもその能力開発の多寡や質によって差が生じるということが言われています。  その次のポツは、女性に関して、仕事と両立が困難となっていると書いております。 下から2つ目のポツはいわゆる地域間格差のことで、これまで、どちらかと言うと公共 事業によって支えられてきた地域においては、全体、いま足下回復が続いている中で、 改善に遅れが見られているというところです。  最後は、健康寿命の延伸に伴いまして、職業生活が長期化してきているということで す。  4頁目です。第2章として、あるべき雇用労働社会の姿です。こちらは、「人口減少が 本格化する2030年に向けてのあるべき雇用労働社会の姿を展望する」ということで、一 応我々、8月に諏訪委員のほうでまとめていただいた基軸研の文章も一部活用させてい ただきながら整理しております。  あるべき雇用労働社会の姿としては、そこに書いてありますように、「人材こそ経済 社会の発展の礎であるとの基本的理念の下、安定の確保とキャリア形成、多様性の尊重、 公正の確保といった要件が満たされるような、質の高い労働を提供できる社会の実現を 目指す」ということです。  1点目が安定の確保とキャリア形成です。労働者の生活の安定の面、あるいは技能蓄 積の面から言って、やはり雇用の安定は引き続き重要ですということと、一方で、自ら のキャリアをより開発・向上したいという方々が増えてきたことにも対応して、外部労 働市場を通じたキャリアの発展、安定ということにも対応していこうということです。  2点目が多様性の尊重です。性、年齢、障害の有無を問わず、個人の価値観、あるい はライフステージに応じた多様な働き方の選択が労働者にとって可能になることによっ て能力を十分発揮する。企業にとっても、逆にそれが多様な人材の能力を最大限活用で きるというメリットがあるということです。  3番目が公正の確保です。いろいろな働き方がある中で、それぞれの労働条件が働き 方にかかわらず、公正で中立的な仕組みの下、公正なものとして決定されるということ です。  こうした社会の実現により、生涯を通じて一人一人の労働者がやりがい、あるいは充 実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭生活、地域生活において もライフステージに応じて多様な生き方が選択可能となる結果、豊かで健康的な職業人 生を安心して送ることができるようになるということです。  なお書きにおきまして、雇用対策だけではなく、当然、マクロ経済政策その他の施策 も必要ということを書かせていただいております。あと、「あるべき社会が実現された 場合の労働市場の見通し」です。こちらにつきましては、最終的には2030年の労働力人 口等の数値が入るわけですが、以前、第4回でご議論いただいておりますので、そちら を次回、報告書のときに準備させていただきたいと思っております。  5頁目は、前回、若干議論した論点です。「あるべき雇用労働社会の実現に向けた検 討課題」と整理しております。まず、こうした雇用施策の展開の前提としてそこに書い てありますのが「働く人々は職業人であると同時に生活者でもあり、何よりもまず多様 な価値観を持つ人間であるという基本認識に立つ」、ということと「我が国経済社会の 持続可能性を考慮した産業のあり方、あるいは企業間の過当競争が生み出した弊害など について社会全体で」、この研究会でも議論いたしましたが、「社会全体で検討を深め ていく必要がある」ということで何点か用意させていただいております。そのポツをご 説明いたします。  1つ目が機械化の余地の少ないサービス分野における個々のサービスの必要性の見直 しです。2つ目は、前回、議論いたしましたが、24時間営業の必要性です。3つ目は、 反対にそういった24時間営業をしている背景には逆に消費者のニーズがあるというこ とで、労働者側にもそういったところを少し注意喚起しております。4つ目は、コーポ レートガバナンスの観点から見たステークホルダー間の付加価値の適正配分、いわゆる 労働分配率の議論です。5つ目が、「労働者は生活者でもあり、地域社会の担い手でも あるといった社会的な側面に留意した、企業の社会的責任という観点からの労働者の活 用のあり方の見直し」というのはちょっとわかりにくいかと思いますが、今回、議論の ありましたワークライフバランスにつきましては、ある程度国あるいは地方自治体を支 援して取り組んでいこうということですが、そもそも企業が社会的責任という観点から 自ら取り組むといったことを経営者の方々に促すといったことを書いてはどうかと考え ております。その次のポツですが、中小企業におけるそういった条件の改善ということ に向けて取引先の配慮ということを書いております。その次のポツは、前回、議論した コンパクトシティの論点です。最後に「我が国経済社会の持続可能性を考慮した、我が 国にとって必要な産業を」、何かと言うと、ものつくり、医療、福祉、介護とあります が、そういったものについても議論を深める必要があるのではないかということです。  6頁目から、第3章として「今後の雇用施策の方向性」です。1番目、雇用施策の基本 的な方向性としまして、こうした2030年のあるべき雇用労働社会の姿に向けて、今後5 年程度の間に取り組むべき施策の方向性として3つ立てております。  1点目が就業率の向上です。ここに書いてありますように、「就業を阻害している要 因を取り除き、意欲と能力に応じた働き方を可能とすることにより、就業率の向上を図 ることが重要」ということです。なお書きの部分につきましては、外国人労働のところ で議論いたしましたが、将来の労働力不足の懸念に対して、受け入れたほうがよいとい った意見もございますが、二重構造化の問題ですとか労働条件等の改善、あるいはそれ を通じたマッチングの促進・人材確保阻害というマイナス面もありますので、まずはそ ういった国内にいる労働者の方々の労働参加を実現することが大事ではないかと書いて おります。  2点目が雇用・生活の安定と職業キャリア形成による生産性の向上です。こちらは、一 人ひとりの生産性の向上ということで2行目に書いてありますのは、「職業キャリア形 成の基礎となる生活の安定・向上を図ることは、ますます重要となっている」。その次 の「また」の所ですが、読ませていただきますと、「また、労働は通常の商品の売買取 引とは異なり、継続的な関係を持つものであり、そのことが労働者の能力・生産性とも 深く関係しているという性格を踏まえるとともに、労働サービスを提供する人間が持つ 社会的な側面からみると、組織の中で生産性を高めていくという性格を併せ持つ点も考 慮する必要がある」、ということで労働者の雇用の安定、あるいは生活の安定に配慮し たというところです。「そのため、労使が信頼関係に基づき長期的視点に立った労働条 件の調整に柔軟に対応しつつ、雇用安定機能と人材育成機能を有する長期雇用を基本と することが引き続き重要である。一方で、労働者の意識あるいは働き方の多様化に対応 するために転職などを通じて自らのキャリアを積極的に発展させたいと考えている人々 に対しては、労働市場における雇用可能性を高めて職業キャリアの持続的発展が図られ るような環境整備にする必要がある」ということです。  3点目が多様性を尊重する「仕事と生活の調和が可能な働き方」への見直しです。こ ちらは、ワークライフバランスのことを書いております。7頁目で、多様性というのは 現在でもあるわけですが、現実的には正社員とそうでない方々の間に賃金などの労働条 件、能力開発の機会、あるいは雇用管理の面でやはり大きな差がありますから、そうし たところは事実上、労働者の側で選択できない状況にある。一方で企業がコア人材を絞 ったことによって長時間労働によって健康を損ねている者もいるといったことで、こう したことの両面を見直して、生涯を通じ、ライフスタイルに応じて、多様な働き方が主 体的に選択可能となるとともに、さまざまな働き方が行き来できるように条件整備を進 めることが必要と整理させていただいております。  2番目が、こうした基本的な3つの方向性を受けて具体的な施策を詳しく書き下して おります。2の(1)、就業率の向上の部分です。こちらも何回かに分けて、それぞれ論 点のところで議論いただきましたが、1番目に若者の雇用生活の安定と働く意欲の向上 を書いております。  「新卒一括採用の持つ機能・役割は維持しつつも、新卒採用に限定されない形での若 者の将来性や潜在能力に着目した応募機会の拡大への取組を進める」、あるいは「ニー ト・フリーターの方々の円滑な就労に努める」ということを第1段落で書かせていただ いております。第2段落は、最近の日雇派遣の問題ですとか若者の、要は使い捨てみた いな部分が若干見られますので、そういったところを、やや強いですが、書かせていた だいております。企業側も、少子化が進む中において、経済社会の持続的な発展を支え るといった企業の社会的責任の観点から、中長期的な労働者の職業能力開発や人材育成 など、使い捨てではなく、若者の雇用の安定を図るよう努める必要があり、また、それ らを支援する施策も進めていく必要があるということを書かせていただいております。 あと、こういった施策の展開に当たって、福祉、教育、産業と連携が必要ですというこ とです。施策は、若年についてはそれほど目新しい施策を入れておりませんが、以下の ような施策を書かせていただいております。  8頁目、女性の雇用対策です。女性の意欲・能力を活かしたキャリアの継続と再就職・ 起業の実現ということです。こちらは女性の再就職、できるだけ継続できるようにする ということですとか、あるいは妊娠・出産を経験しながら安心して働き続けることがで きるよう、子育てとの両立を可能とする働き方の見直しといったことを書いております。 施策としては、均等法のお話、ポジティブ・アクションのお話、育児・介護期の環境整 備、再就職支援等を書いております。  3番目、高齢者の部分です。いくつになっても働ける社会の実現ということです。こ ちらは、2012年、5年後には団塊の世代の方々が65歳に到達するということで高齢化が ますます進むということと高い就業意欲を持っているということを書かせていただいて おります。具体的な施策は、前回、議論をいただきましたが、まず、65歳までは高齢法 に基づく確保措置です。2点目は、70歳まで働ける社会の実現に向けて60代半ば以降の 高齢者の方々が働ける職場の拡大、3つ目が労働者の募集・採用における年齢制限の禁 止の取組など、年齢に関わりなく働き続けることが可能となるような社会の構築に向け た取組の推進です。  9頁目の1ポツ目は、前回、高齢者のところでご議論いただきました高年齢雇用継続給 付の見直しのお話、あるいは、将来的に65歳以降への雇用権の適用といったことも念頭 に置きながら「いくつになっても働ける社会に応じた、必要な雇用のセーフティネット の整備」と書かせていただいております。あとは、シルバー人材センターのお話、団塊 の世代の方々に対する対応を書いております。  4番目が障害者あるいは就職困難者の方々の支援です。障害者の方々につきましては、 ウェルフェア・トゥー・ワーク、就労を通じた社会への参加ということで、そこに書い てありますように雇用率制度を柱とした障害者雇用の一層の推進ですとか、福祉・医療・ 教育機関との連携、あるいは関係者の障害者雇用に関する意識改革を書かせていただい ております。あとは、就職困難者の方々、生活保護受給者、母子世帯、刑務所出所者等 の方々にもしっかりやっていくと書いております。  (5)は時間の関係でご議論いただけませんでしたが、いわゆる需給調整の関係です。す べての人々の就業意欲を活かす労働力需給調整機能等の強化です。こちらにつきまして は、柱置きの所で、ミスマッチの拡大を防止して、できるだけ失業を経ることなく雇用 の継続を実現するといったことを図るとともに、誰もが安心・納得して働くことのでき る環境整備を行うという点と、ハローワークの需給調整機能の強化ということを書かせ ていただいております。さらに言うと、これら、雇用保険の話を書いております。  10頁に具体的な施策が書いてあります。1点目は、民間の需給調整を含めた専門性の 高い人材を中心とした外部労働市場の整備、2点目は、ハローワークのサービスあるい はパフォーマンスの向上、3点目は、派遣労働に関する点、4点目は、雇用保険です。  (2)として、生産性の向上・競争力の確保、2点目の柱でして、働く人すべての職業 キャリア形成の促進ということです。1点目が職業キャリアを支援するインフラの充実 ということで、一人ひとりの能力を高めるための前提としてまず職業キャリアを支援す るインフラを重視しましょうということで4点書かせていただいております。  (1)は、民間企業、中小団体、専修学校等を活用した多様な訓練システムの充実強化で すとか、能力評価基準の整備、あるいは能力開発に関する情報収集・提供体制の充実強 化、最後はキャリア形成支援のためのシステムの整備ということです。  (2)が職業生涯を通じたキャリア支援です。こちらは、働く人、個人個人の職業生涯を 通じた持続的な職業キャリア形成の支援という点で整理しております。1点目が、過度 に企業に依存した職業キャリアから自律できる方向への支援です。2点目が、職業生涯 の長期化ということがございましたので、そういった長い生涯における転機キャリアの 節目でキャリアを考える機会、あるいはまとまった能力開発機会の付与ということです。 3点目は再チャレンジ的なものですが、キャリアの中に失敗があったときに再度キャリ ア形成を図れる環境の整備、ジョブ・カード等です。  11頁目は、競争力の向上を担うための高度な人材の確保・育成です。直接、厚労省の 施策というよりは、他省庁の施策も含みますが。1点目は、競争力の基盤となる優れた 人材の育成を目指した大学、大学院改革です。これは、競争的資金ですとか飛び級制度 ですとか、そういったものを念頭に置いております。2点目が産学連携、戦略的な分野 での産学連携です。3点目が産業ニーズにマッチした学校教育・職業教育の強化です。4 点目に外国人労働者の柱を立てております。専門的・技術的分野の外国人の方々の就業 促進と外国人の方々の就業関係の改善です。人材の国際競争力の強化を図る観点から、 専門分野の方々についての積極的な国内での就業の促進を図るとともに、質の高い留学 生の方の確保、あるいは就職支援を進めるということと、国内にいらっしゃる外国人労 働者の方々の就業環境の改善を進めるということです。そこに以下、4点書いておりま す。  1点目が専門分野の方々の就業促進です。2点目が留学生の確保、質の高い方々に留意 した留学生制度の充実です。3点目が留学生の就職の促進です。4点目に、生活者として の外国人に関する総合的対策、改正雇対法における「外国人指針」に基づく就業関係の 改善と書いております。5点目が、前回議論いただきました地域の雇用創出です。地域 は3点ございまして、地域の創意工夫による雇用創出、U・Iターン、弱い地域の支援と いったことです。  12頁は、中小企業や福祉・介護分野の人材確保対策ということで整理しております。 前回、ご議論いただきましたので、我が国を支えている中小企業の活力向上という点と、 一方でニーズが増大する介護福祉分野において、介護分野の利用者から見ても安定的な 労働供給は大事であると書かせていただいております。  施策としましては、そこに書いてありますような生産性向上に向けた雇入れの支援、 あるいは、小杉委員から前回、地域の中小企業において学校等の隙間が出来ているとい うお話がございましたので、こういった教育・訓練制度はできないかということを書い ております。  あとは介護のほうでして、こちらで介護に必要な人材の育成ですとか、かなり労働集 約的になっていますのでIT技術等を活用した業務省力化という部分、あるいは介護の分 野で働く人が将来を見通せるようにキャリアアップの仕組みをきちっと構築していくと いうことです。  4点目が介護分野における多様な人材の参入・参画です。参入と参画の違いは、参入 は、労働力のことを念頭に置いておりまして、参画は、労働力ではなく、その周辺でボ ランティア的に働く方々をイメージしているということです。  最後、(3)の柱がいわゆるワークライフバランスの部分です。ワークライフバランス の部分につきましては、柱書きの所で書いておりますが、性別にかかわらず、誰もが仕 事上の責任を果たしつつ生涯を通じ、ライフステージに応じて、仕事と生活の調和のと れた働き方ができる社会の実現が必要と、これによって健康被害の防止、少子化の流れ を食い止めると。  なお書きの所で企業側のメリットについても一応書かせていただいております。短期 的に見ればコストが強いのですが、こうしたことに地道に取り組むことによって労働者 のめりはりのある働き方が実現するということによる生産性の向上、あるいは優秀な人 材の確保が可能となるという面で企業にもメリットがあるということを書かせていただ いております。  具体的な施策の(1)として、仕事と生活の調和の実現に向けた企業の取組の促進・支援 と労働者に対する意識啓発です。こちらは今、ちょうど内閣府のほうでご議論いただい ていますワークライフバランス作業部会のほうでもご議論されている部分がだいぶ入っ ていますが、そこに書いてありますように、かい摘んで説明します。  全国地方レベルでの国民の理解、あるいは政労使の合意形成の促進、仕事以外の時間 の確保あるいはライフステージに応じた多様な働き方を可能とする雇用環境整備を目指 した制度的枠組の構築です。  3点目は、次世代法に基づく企業行動計画策定の促進のための対策の検討、あとは労 働関連法令の監督・指導の強化、労使の自主的な取組による長時間労働の抑制、年休の 取得促進、あと2つのポツは、過重労働の防止、あるいはメンタルヘルス対策といった こと、あるいは、中高年期に至っても健康で働けるようにメンタル面も含めた健康確保 対策を拡充するということです。最後のポツは、積極的な企業を社会的に評価するとい うことを書かせていただいております。  2番目に労働者が多様な働き方を主体的に選択できるような労働環境の整備としまし て、そこに書いてありますように、労働者が多様な働き方を自ら主体的に選択できて、 ライフステージに応じて行き来できるということが必要だと書かせていただいておりま す。このための施策として、以下に書いてあるような短時間勤務制度などによる柔軟か つ効率的な働き方の実現、あるいはテレワーク、在宅就業の働き方の整備に加えまして、 パート労働法に基づく均衡待遇ですとか、その下のポツの職務、能力、労働時間等に応 じた報酬面などの処遇の確保というのは、パート以外の方を念頭に置いております。そ の次のポツは、有期労働者の雇用管理改善、正社員転換、あとは男性の育休取得、起業・ 創業支援の強化ということです。  最後の頁、14頁です。先ほど「あるべき姿」の所でも検討課題として出ましたが、第 4章でもう1回確認的に「社会全体で検討すべき課題」として、ほとんど重複しておりま すが、書いている部分がございます。2点だけここに新しく追加しているものがござい まして、7点目、8点目です。  まず7点目は、社会保険により生じ得る労働者のコストの差のために安価な労働者を 活用する企業の雇入れ行動の是正です。書き方がまだこなれていないのですが、いわゆ る雇う側から見て非正規が割安と、社会保険の面で見たのはありますので、そういった 部分を是正しないと本当の意味での行き来ができないのではないかという部分で書かせ ていただいております。あとは、前回議論いただきました、働くことに忠実な全社会保 障制度の構築ということです。以上です。よろしくお願いします。 ○樋口座長 ありがとうございます。遅れてまいりまして申し訳ございませんでした。 それでは、ただいま説明のありました骨子(案)についてご議論いただきたいと思いま すが、長い骨子案ですので、ほぼ真ん中の6頁の前まででしょうか、第2章まででまずご 議論いただいて、後半部分で3章についてご議論いただくという手順で進めたいと思いま す。それでよろしいでしょうか。それでは、まず6頁の所まででご指摘いただけますでし ょうか。どうぞ、どなたでもご自由にお願いいたします。もしあれでしたら、鶴委員か ら出ているこれをその6頁までの所でご説明いただけますか。 ○蒔苗雇用政策課長補佐 ではご説明いたします。鶴委員からメインテーブルのほうに 配付させていただいておりますが、骨子(案)のコメントと昨日メールを送った文書に つきまして、今日お配りしたものとは若干違う部分もあるのですが、コメントをいただ いております。全体的な印象は、異論はございませんということですが、2以下で具体 的なコメントが若干ございます。特にいちばん最後に説明しました中長期的な検討課題 につきまして、もうちょっと議論を深める必要があるのではないかということです。  具体的なコメントの1点目は、企業側の変化のところで株主重視の書き方に少し注意 したほうがいいのではないかというご指摘をいただいております。2点目は、いま申し ましたように、検討課題についてさらに議論が必要ではないかということです。特に鶴 委員にご指摘いただいたのは、持続可能性を考慮した必要な産業ということです。確か に産業を見通すというのは大事なのだけれども、今までと違って、的確な予測はなかな か難しいというジレンマがあるというお話をいただいております。  2頁目は、機械化余地の少ないサービスの必要性の見直しということです。ここの点 につきましては、サービスの見直し、需給で介入するよりもむしろ適切な価格付けとい ったほうが大事ではないかとご指摘いただいております。  3点目は、これは労働分配率の所ですが、書き方を少し変えたほうがいいのではない かということです。「企業を取り巻くステークホルダー間の付加価値」「利益の適正な 配分」としたほうがいいのではないかというご指摘です。  次のポツは、企業がどこまでこの問題に配慮するか、我々公の役割が大きいのではな いかというご指摘で、公と民間の役割の更なる議論は必要ではないかということです。  次のポツは過大な消費ニーズのところです。ここも、一方で確かにそういったややマ イナスに見える面もあるのだけれども、それが逆に供給側のイノベーションを促進でき たというプラス面もあるので、そこについてはやはり適正な対価というところできちっ と見ていくべきではないかというご指摘です。  次の6頁の7行目は書き方の問題です。無理矢理働かせるというニュアンスは消したほ うがいいのではないかというご指摘です。  2頁目のいちばん下の所は、労働力需給調整というのがちょっとわかりにくいという か、ピンとこないというご指摘です。とはいえ、これは今まで我々がかなり使ってきた 表現ですので、この点につきましては鶴委員に詳しくご説明し、ご理解いただきたいと 思っております。  3頁目の最後の点は24時間営業のことです。こちらも、前回も議論していただきまし たが、横並び戦略によってやらなければならないかどうかは必ずしも明確ではないので、 鶴委員のご指摘のように修誤したほうがいいのではないかと。あとはコストの問題をご 指摘いただいております。 ○樋口座長 この鶴委員の意見とは関係しなくても結構ですが、どなたからでもご自由 に。 ○清家委員 基本的には現状認識のところにそれほど異論はないのですが、1つだけ、 健康寿命の話が出てきましたよね。寿命とか就労意欲はいいのですが、健康寿命は定義 をめぐって議論の余地があるらしいのです、そのお医者さんとか。だから、あまり健康 寿命というものによりかからないほうがいいのではないかと思いました。むしろ寿命そ のものが延びているということと高齢者の就労意欲が高いということ、あるいは、例え ば理想の引退年齢が遅いとか、たぶんそちらを使ったほうがいいかなと。特に3頁目の いちばん終わりの所に「健康寿命の延伸に伴う職業生活の長期化云々」と出ているので すが、「職業寿命の延伸に伴う」となってしまうと若干違和感がありますので。 ○樋口座長 寿命のと。 ○清家委員 ええ、むしろ寿命とか、そっちのほうがいいかなと。 ○樋口座長 ほかにはいかがですか。 ○山川委員 5頁のコーポレートガバナンスのお話です、鶴委員と概ね同旨なのですが。 コーポレートガバナンスと言うと、アメリカなどでは、要は株主主権論と同視されると いうことがありますので、鶴委員のように書くか、あるいは、もし書くとしたら「コー ポレートガバナンスを考える場合の」などのほうがステークホルダー論を重視するので あればいいと思います。  もう1つ追加ということになるのですが、分配だけの議論でいいのかという問題意識 があります。ブルドックソースの事件などでは、企業価値そのものを向上させるには人 材が重要であるといったような話も出ていたと思いますので、例えば「及び企業価値に おける人材の役割の評価」といったことを入れたほうがより積極的ではないかと思いま す。 ○樋口座長 ありがとうございました。 ○加藤委員 2点ほど挙げます。全体のトーンには全く異論はございませんし、ちょっ と細かいことで申し訳ないのですが、1つは、5頁のポツの中の下から2つ目にコンパク トシティの形成があります。コンパクトシティについては賛成なのですが、これが雇用 とどう関わってくるのかというのがよくわからないなと思いまして、もう少し説明を加 えていただいたほうがいいのかなというのが1点と。  もう1つ、鶴委員が指摘した所と同じ所かもしれないのですが、「経済社会の持続可 能性」という所がありますが、この「持続可能性」という言葉に若干違和感があります。 その成長を牽引していくのかというような意味合いで捉えていくのか、あるいは、「持 続可能性」と言うと、定常的な状態がとりあえず崩れないようなというような意味合い があって財政などでよく使うのですが、発展とか成長とかという言葉のほうが何となく 相応しいのかなという、新経済成長戦略という話もあるようですので、そこについては いかがかと、この2点だけです。 ○樋口座長 ここまでについて事務局から、何かございますか。 ○小川雇用政策課長 基本的には先生方のご意見を踏まえて修正していこうと思います が、例えばコンパクトシティがどのように雇用に関わってくるかということにつきまし ては、本文を書き込んでいく段階でしっかりと書いていこうと考えております。 ○樋口座長 本文を入れると、相当長いものになりそうですね。ほかにどなたか。 ○小塩委員 4頁目の所で「あるべき雇用労働社会の姿」が描かれています。これは大 変結構なことだと思うのです。側面を全部で3つ定義なさっています、安定の確保、キ ャリア形成、多様性の尊重、公平の確保ですが。この3つが実現したときにどのような 雇用労働社会の姿が描かれるのかという点につきまして、4頁の下から2つ目のパラグ ラフですが、「豊かで健康的な職業人生を安心して送ることができるような」とありま す。それは結構なことですが、ちょっとおとなしいというか静学的な感じがして、もう 少しダイナミックな感じが欲しいのです、私の趣味かもしれないですが。個人がそれぞ れ人的資本をもう少し蓄積することができて、しかも、その人的資本を社会全体が正当 に評価して、かつ、それが社会全体に有効活用される、何かそのような社会のほうがい いかなという感じがいたします。それだけです。 ○小杉委員 2点あります。2頁目の「労働者の変化」の2つ目のキャリア意識醸成が即 戦力志向の動きを背景にしているのかどうかというのは、そうとも言い切れないので、 むしろ労働者側が自分のキャリアを重視するプライバタイゼーションと言いますか、自 分自身を重視するといった価値観の動きもあるので、即戦力志向という話とつなげない ほうがいいと思います。これが第1点です。  第2点は5頁目の上から2つ目と3つ目です。まず、「思いを馳せる」というような言葉 を使うべきなのかどうなのかというのは、とても疑問に思います。「消費者ニーズの重 視」というのは、むしろその上の「24時間営業等」の並びだと思うのです。これを1つ にしたほうがいいのではないかというのと。それから前にちょっと申し上げたことの中 で、実は24時間営業の背景には一方で長時間労働者がいるから結果として24時間営業の 所にもみんな行くと、そういう長時間労働の悪循環のようなものがあるのではないかと 思うので、「思いを馳せる」よりはそういうことを書いたほうがいいのではないかと思 うのです。 ○樋口座長 ごもっともと。何かありますか、お二人の。 ○小川雇用政策課長 小塩委員につきましては、4頁の下から2番目のパラをもう少しダ イナミックに書いたほうがいいというご指摘がございましたので、そのように考えてみ たいと思います。  小杉委員のご指摘で即戦力につきましては、こういう表現を削るなり、変えていくと。 5頁につきましては、「思いを馳せる」はちょっと情緒的な表現ではありますので、悪 循環にするのか、それとも上のポツと併せて表現するのか、その形を考えてみます。 ○樋口座長 蓄積した能力についてちゃんと評価されるようなというのは、前回、諏訪 委員からの大学院教育になぜ人があまり来ないのかといったご指摘のところでもあった、 生涯教育でしたか、キャリア教育についてご指摘があったので、そこは是非書いておい たほうがいいと思います。諏訪委員からも。 ○諏訪委員 いやいや、もう今のご質問で。 ○樋口座長 ほかにどうでしょうか。 ○白木委員 ちょっといいですか。 ○樋口座長 では白木委員から。 ○白木委員 5頁目のポツの下から3つ目、「中小下請企業における」の所です。親企業、 取引先の配慮が直接、そういう労働条件向上に向けて考えるかどうかという点ですが、 むしろクッションとして中小企業の存続や競争力向上に向けて考慮すべきだと言ったほ うが、究極的にはそっちにつながるのです。中小企業の雇用をどうするかというのは確 かに非常に大きな課題だと思いますが、ちょっとそう感じました。 ○阿部委員 4頁目の下から2段落目に「こうした社会の実現により」と縷々書いてあり まして、最後に「豊かで健康的な職業人生を安心して送ることができるようになる」と 書いてあるのです。本当になったらいいのですが、ならなかったら大変だなと思うわけ です。それに対する配慮が(1)、(2)、(3)だけでは足りないような気がするので すが、いかがでしょうか。 ○樋口座長 例えば出してもらうと、事務局としても書きやすいのではないかと思いま すが。 ○阿部委員 やはりセーフティネットをどうするかというのが当然あるべきではないか と思うのですが、それが(1)、(2)、(3)でできているとは、私にはまだわからない です。 ○樋口座長 どうでしょうか、いまお二人から出た。 ○小川雇用政策課長 まず、阿部委員の件です。「なる」という言い方の語尾がきつい のかもしれませんから、ここをちょっと弱める、もしくは小塩委員の意見なども入れつ つ、ならないかもしれないということですから、ここは表現に気を付けます。  白木委員のご指摘です。たぶんいちばん下にある「必要な産業」という観点から中小 企業に配慮することが必要だろうというような観点と結び付けることが可能だろうとは 思っております。ですから、必要な産業を維持するためには当然こういった中小下請企 業に対して配慮しなければならないといったロジックのほうがわかりやすいというご指 摘だと思いますので、ちょっとそのように考えてみたいと思います。 ○樋口座長 ほかによろしいでしょうか。私が聞き慣れない言葉なのかなと思ったのは 「雇用労働社会」という言葉なのです。よく使われているのかもしれませんが、あまり わからなかったのです。この「雇用労働社会」という言葉はどういう意味で使っている のでしょうか。 ○小川雇用政策課長 例えばいちばん近くでは、基軸研の中でも「雇用労働社会」とい う表現を使ってはいるのです。確かに雇用労働、いわゆるエンプロイー、雇用者だけと いうような感じで狭く捉えられるというイメージだという、樋口座長もそのようにお考 えだと思うのですが。要するに、経済社会ではたぶん広すぎるというか、経済全体とい うことで広すぎるのかなということで先生から昨日ご指摘いただいて、事務的にも、例 えば「雇用就業社会」「労働・経済社会」などといろいろ考えてみたのですが、どうも 今一つピタっとくる表現を思いつかずに、とりあえず原案維持ということで「雇用労働 社会」という表現にさせていただきましたので、委員の皆様方にご意見を伺えればと思 っております。ですから、要は経済社会の中の労働市場システム及びそれに付随する周 辺的な経済システムというような気持なのですが、その表現として、現在、例えば「雇 用労働社会」として置かせていただいていると。 ○樋口座長 いま基軸研のことでボールを投げられましたが、「雇用労働社会」という のはどういうイメージで。 ○諏訪委員 雇用労働よりは雇用社会と労働社会の両方の。ですから、その間に「・」 があればいいのかもしれないですね。そういうものを入れるのもぎらつくという感じで さらっと書いてあるのですが、雇用と労働と言いますか、雇用とそれ以外の労働との間 の垣根がどんどん曖昧になってきているわけですよね。もっといい言葉があれば、それ に置き換えることは吝かではありません。 ○樋口座長 どうでしょうか。 ○白木委員 言葉の議論であれですが。雇用労働というのは、要するに雇用の中の労働 というように非常に狭い、でも、これは雇用政策研究会ですからそれでいいのかもしれ ないのですが。ただ、概念から考えますと、労働はもっと広い概念ですよね。それから しますと、労働雇用と言うと、座りがいいように私は思います。言葉の言い合いで意味 がないかもしれないですが。 ○樋口座長 労働のほうが先に、用語としては。 ○白木委員 ええ、もっと大きな概念ですから。 ○樋口座長 労働雇用社会ですか。 ○白木委員 もしもこれで違和感がある人がいればですよ。 ○小杉委員 もし労働が雇用を含むものだったら「労働社会」ではまずいのですか。必 要なのですか。 ○樋口座長 ……しいですから。 ○小杉委員 よくわかりませんが。 ○樋口座長 事務局の趣旨としてはいま問題になっているディペンデントコントラクタ ーの話とか。 ○小川雇用政策課長 ええ。ですから、もちろん単なるエンプロイーに留まらず、全体 的に就業率の向上ということで就業者、いわゆる雇用者以外の働いている方も当然、視 点には入っているわけです。ただ、就業労働社会もちょっと変だなと、正直言って、悩 んでいるところです。 ○諏訪委員 定型がないので本当に困るのですが、雇用が就業者の中の大体85%ぐらい でしょう。それで、15%ぐらいが自営業とかその他と考えますと、ある意味で雇用が前 に出るのは実態に合っている、こんな感じがあって「雇用労働社会」となっているので すが、確かに理論的に言えば、労働のほうがより包括的だから、そこが入ると「雇用」 は要らないと、いろいろな意見があり得ると。 ○樋口座長 良案を誰かがしていただくと、事務局としても助かるのではないかと思う のですが。では、これはまたあとで皆さんからご意見をいただくということにいたしま す。 ○小川雇用政策課長 もしも委員の方からいいお考えがあれば、事務局までご連絡いた だければと思います。そうしましたら、事務局としてもまた考えさせていただきます。 ○諏訪委員 いまの4頁の下から1段落目の所では、「雇用労働政策」では「・」を入 れているのですね。ですから考えようによっては、「雇用労働社会」も間に「・」を入 れるというのも1つの妥協案と言いますか、当面の。 ○樋口座長 5頁までのところでまた。 ○玄田委員 すみません、遅れて来たのであまり言うのもどうかなと思ったのですが。 先ほどの阿部委員の3つで果たして健康な職業人生云々というのは足りないではないか というのは、率直に言って、私もそんな気もするし、小塩委員が、何かややダイナミズ ムに欠けるとおっしゃったのも、全く同じようなことを感じました。  では、どういう対案があるかというと、やや抽象的で申し訳ないのですが。例えばい まの労働時間の問題などを考えてみてもそうですが、長時間労働ということがもちろん 問題なのですが、小杉委員のところのオグラさんが最近出した本のように、エンドレス ということが健康的な職業人生にとっては非常に大きな問題で、長いのは長いけれども、 それがいつまでも終わらない感覚を持っているということが非常に悪い意味でのダイナ ミズムをつくっている。そうするとこの3つにもう1つ必要なのは、日常的な用語で言 えば、やはりめりはりではないでしょうか。つまり、もっと別の言い方をすれば、働き 方がややアディクションと言いますか、中毒性というか慣習というか、そういうものに 流されているときに人は非常に健康的に感じませんが。長時間労働だけではなく、フリ ーターなどの問題もそうでしょうし、何となくこの状態がいつまでも続いてしまうとい うこと。ですから、そういうことを避けるということでたぶんキャリアという意味を出 されているのだとは思うのですが、キャリアということの中には長期的な職業人生を自 分でどう意思決定するかという意味が強くある一方で、いま自分自身にどうめりはりを つけていくかというメッセージがこのキャリアという言葉1つで表されているかと言う と、私は、率直に言って、やや心許ない気がしてしまうわけです。  では、具体的に何かと言われると困るのですが、例えば例のアトキンソンのフレクシ ビリティという言葉。数量的フレクシビリティ、質的フレクシビリティ、金銭的フレク シビリティというのが主に企業の雇用戦略としてのフレクシビリティをどう確保するか という問題で使われるのに対して、健康な職業人生としては、労働者個人、雇用者個人 としてのフレクシビリティをどう確保するかということが何かこれからは重要かなと、 どうめりはりをつけるか、意思決定する。ただ、意思決定しても難しいとすれば、その 中毒的な働き方をどう回避するのかということを考えていかないと、雇用政策という面 でいくと、やや足りないのではないかと。  ただ、それをここに書いてある3つのポツのように手短にどう整理するかというと、 私にはわかりませんが、何となく個人としてのフレクシビリティを確保できるような働 き方とか生き方のようなことが入ると、小塩委員には不満足だと言われるかもしれませ んが、ややダイナミックなところが入ってくるかなという感じがします。 ○樋口座長 それは柔軟性と言っていいのですか。 ○玄田委員 柔軟性なのか、めりはりというのは柔軟性ですかね。何か遊びみたいなも の。ゆとりと言うと、またどこかで何か言われそうな感じがするので答えきれないので すが、趣旨としては何かそういう、立ち止まることができるとか、1回カットしてリセ ットするとか、何かそんないろいろなものが含まれているような気がして、単に長く働 く、短く働くということだけではないような気がするのです。ごめんなさい、よくわか らないことを言って。 ○樋口座長 それは、ワークライフバランスともまた違いますか。 ○玄田委員 どうなのですかね。 ○樋口座長 重なる部分がありますし、ちょっと違う気もしますが。ワークライフバラ ンスはめりはりですよね。 ○山川委員 柔軟性と言う場合も、玄田委員がおっしゃったように、企業にとっての柔 軟性ではなくて労働者から見ても柔軟性があるというのは、例の労働時間のときは自律 とか自己管理という言葉で表現したので、それが突然入ってくるのはどうかと思います が、1つは働き方のメリハリがつけられるというのは、「自律」という言葉も使うのか と思います。あれはたしか表現が良くないということで、だんだんといろいろ変わって いったという経緯もあったかもしれませんけれども。 ○樋口座長 事務局は、書く上で困らないように、質問なりしておいたほうが。 ○小川雇用政策課長 玄田委員がおっしゃったところのフレキシビリティー、柔軟性な のですが、多様性の尊重の中に入るという感じでもないのですか。そこはやや違うとい う感じなのでしょうか。 ○玄田委員 多様性という意味がよくわからなくて、つまりいろいろな働き方があって もいいというのが多様性だということも言えるし、1人の人がいろいろな働き方をして もいいというのも多様性だと思うし、そこの時間軸というのはいろいろな取り方があっ て、例えば若いときにはフリーターでも、いくら年をとったら正社員になれるというこ ともあるだろうし。私がわかるのは、何となくアディクション、つまり中毒的でなけれ ばいいのではないかということで、先ほど山川委員が言われた自律的に決められるとい うか、決めることができるというのは、何となく、ああ、そうだなと。再三申し上げて 恐縮ですが、何となくそうなってしまうとか、いつまでも終わらないというのが、いま の働きづらさの原点にあるのではないかと思いましてね。 ○小杉委員 提案なのですが、(2)の「多様性」の所を「多様性と自律性の尊重」とす るといいのではないかと思うのですが。ここの所に書かれていることですよね。選択が 可能になる。 ○__ 文言は入っている。 ○小川雇用政策課長 そこを少し強く書きます。 ○樋口座長 多様性というのは両方あって、働き方の多様性と多様な人材と、ここは両 方かかっているわけですよね。 ○小川雇用政策課長 そうです。 ○樋口座長 だから、自律的な働き方と自律的な個人ということになるのですかね。こ れでいいですか。 ○玄田委員 結構です。難しいので、何かそういうニュアンスのことが書かれるといい のではないかと思っただけで、絶対にこうしなければいけないというのはないので、お 任せします。 ○樋口座長 阿部委員のは、また別のセーフティーネットなど、そういうミニマムな。 ○阿部委員 いまのは事実いいのですが、(1)、(2)、(3)に、相当自分を律して生 きていかなければいけないとか、結構厳しい社会になりそうだというのがあるような気 がして、ちょっとどこかでシェルターみたいなものがあったら、私は個人的にはいいな という気がするのです。 ○小川雇用政策課長 おそらく(1)の安定の確保、外部労働者の整備など、この中にた ぶんセーフティーネットということが入ってくるのかとは思いますが、もう少し書き込 む。 ○樋口座長 これはインセントワークの話でしょう。普通の人が普通に働いて、普通に 暮らしができるものを確保したい。スーパー何々だけではない社会という話でしょう。 ○阿部委員 落ちこぼれてしまったら拾ってあげるという、そういうメカニズムをどこ かに書いておいたほうが私は安心かと思うのですけれどもね。 ○玄田委員 調子に乗ってもう1つ言えば、何となく個人に、そういう意味では1人で頑 張って生きていかなければいけないみたいな感じは確かにあるので、助け合うこと自体。 助け合いというか、何かわからないのですが、相互依存、わからないな。よくわからな いのですが、そういうのが1つの労働社会のビジネスとしても含めて成長していくような 環境作りなのか。NPOなども含めてあると。 ○小川雇用政策課長 ある意味ではここは理念のところですから、ざくっと書いてある わけで、セーフティーネットや政策的なことについては、あとの第3章以下、6頁以降の 各論のほうでいろいろと書かせていただいているという事務局としての整理です。そこ は6頁以降と合わせて読んでいただければと思いますが、前のほうでも入れるものとし て入れるべきものがあれば入れていくということで。 ○樋口座長 ……しておかないと、あとで……あれでしょうから。 ○太田職業安定局長 なお書きの所に、「雇用労働政策の展開」というのがありますか ら、その辺でセーフティーネットも含めて展開するという形を入れることもできるかと 思います。1本柱を立てると、また全体のバランスの問題があると思いますから。 ○樋口座長 後半の6頁以降についてお願いします。 ○清家委員 9頁ですが、団塊の世代のことが2つ出ているのです。「団塊の世代等の優 れた技能集団活用」云々、それから「団塊の世代の旺盛な労働意欲に応える雇用以外の 就業社会」、これは先ほどのところとも関係します。これはたぶんあとのほうは、団塊 の世代が65歳以降になったところ的なイメージですよね。どちらかと言えば、65歳まで は雇用確保措置、ちゃんと普通に働きましょうということで、前のほうはやはり同一企 業内で65歳までしっかり働いて、技能継承。もちろん、それ以降もあるのでしょうけれ ども、それが中心の話かと思うので、その辺が少しわかるように、同じ団塊の世代でも、 ちょっと時期的に違うかなと。  次の10頁ですが、これは趣旨は悪くはないのですが、2つ目のポツで、「派遣労働者 の雇用の安定を図る他」云々とあるのですが、派遣労働者の雇用の安定を図ると言われ ると、つまり派遣労働者を自ら選択している人たちは、安定的な雇用というよりは、む しろ自由に辞めたり参加できたりするのを選択しているのではないのか。つまり、揚げ 足を取られる可能性もあるかなと。むしろ、例えば派遣労働者の能力開発の機会をちゃ んと確保する、あるいは派遣労働者についても、賃金、安全衛生等の条件がしっかり確 保されるなどということが重要だと思うのですが、「派遣労働者の雇用の安定を図る」 と書いてしまうと、ちょっと派遣労働の趣旨と違うのではないですかという議論も出て きかねないので、そこはちょっと書きぶりを変えていただいたらいかがかと思いました。 ○鈴木需給調整事業課長 最初の「雇用の安定を図る」というのは、いま言われている ような日雇派遣などというところで、もうちょっと雇用の安定を高めていこうという趣 旨で書いて、ちょっと表現ぶりがよろしくないかもしれませんので、そこは検討させて いただきます。 ○加藤委員 11頁の(3)のポツの3つ目ですが、これもたぶんあとで書き加えられるのだ と思うのですが、「産業ニーズにマッチした学校教育の強化」は、産業ニーズに学校教 育を合わせなければいけないのかなと思うと、ちょっとつらいところがあるというのが あるのです。その辺についてどうなのかということ。それから、12頁の(6)のいちばん最 後のポツで、「福祉・介護分野における多様な人材の参入・参画の促進」ですが、この 「多様な人材」というのは、どう受け止めるべきか、ちょっとよくわからないものです から、ご説明いただければと思います。以上2点です。 ○樋口座長 これは説明をお願いします。 ○蒔苗雇用政策課長補佐 これは福祉人材の確保指針から持ってきたもので、具体的に これがどこまで対応を指しているかというのはにわかにはわからないのですが、これか らでいけば団塊の世代が新しく入ってくるという意味で、通常、若いころから勤めてい る人とも違って、新たないろいろな人を呼び込むという意味だと。いま詳しくはわかり ません。 ○加藤委員 もしかすると、福祉分野というのはいろいろな資格を持った人が、例えば 医師やそういった人たちだけではなくて、さまざまな形の人が入ってくるという意味な のか、あるいはどうなのか。それ以上に産業ニーズのところが気になっているのですが。 ○小川雇用政策課長 確かに書き過ぎかもしれません。別に産業ニーズに合わせるとい うことはないのですが、一方であまりにも懸け離れているのではないかというご批判も あるということもあって、このように書いたわけですが、もう少し穏当な表現ぶりに。 ○小杉委員 いまの産業ニーズの所でもう1カ所あるのですが、産業ニーズというより は、知識基盤社会とか、新たな必要になっている社会の発展に合わせた人材育成などと いう表現のほうがいいのではないかと思うのです。  もう1つ、7頁の若者のテーマとして、意欲の向上だけが出ていますが、後ろの女性の 所と同じように、意欲と能力はセットにしなければいけないのではないかと思います。 基本的には、エンプロイアビリティーという発想が必要で、意欲だけ高めればいいのだ というものではないのだと思うのです。  それから、後ろのほうのキャリア教育の使い方なども、日本のキャリア教育という場 合、意欲形成ばかりに特化しますが、むしろ多くはキャリア教育の場合にはエンプロイ アビリティーの形成なども出ることが多いので、その辺、意欲だけに偏らない表現にし てほしいと思います。 ○樋口座長 これはご要望ですので、ほかにいかがでしょうか。 ○白木委員 11頁の(4)ですが、これは質の高い人に国内で活躍してもらうという項目が いくつか並んでおりますが、同時に、来てもらうということが前提だと思うのです。こ れは少し労働政策を超える面もあるかもしれないのですが、海外への情報提供によって、 国内にそういう人材に来てもらうという施策も必要ではないかと、日ごろから思ってい るのですが、そういうのを入れられたらどうかと思うのです。 ○尾形外国人雇用対策課長 そういういろいろなやり方があると思いますし、現状にお いて促進が十分ではないという認識で書いておりますので、そういった具体的な方法論 も、併せて加えるような格好にしていきたいと思います。 ○山川委員 13頁の最後の所ですが、どうも労働契約法ができそうだということで、こ うした主体的な働き方の選択をいわば個別的に契約内容に設定していくことは、たぶん 労働契約の役目になると思われます。ただ、これは労働契約法の性格として、監督とか 取締まりでやるものではないから、書き方が難しくなると思うのですが、例えば「労働 契約の明確化の促進および契約紛争の予防や自主的解決の促進」といった、援助的な書 き方になるかと思いますが、要は契約の明確化と紛争予防、自主的解決の促進といった 趣旨のことが、折角法律ができるので、一言あったほうがいいかと思います。 ○山越労働基準局総務課長 今日、参議院のほうに委員会が付託されました。そういう 状況ですので、何らかのことを書くということで、例えば「労働契約法による自主的な 取組の促進」など、何か言葉を工夫してみたいと思います。 ○樋口座長 いま出た法案との関連で、均衡の問題を、就業形態にかかわらずできるの ですかね。どういう表現にすればいいのかはいいのですが、それはもう今回の報告書の 中に織り込んであるのですか。 ○山越労働基準局総務課長 この修正は一昨日、衆議院厚生労働委員会で得られたもの ですので、まだこの中にはそれを踏まえた書き方にはなっていないのではないかと思い ます。その点については検討させていただきたいと思います。 ○樋口座長 これから検討して、追い込む可能性がある。 ○山越労働基準局総務課長 まだ法案も審議が終わっていませんし。 ○樋口座長 これは出るタイミング等もありますよね。これはいつ出すのでしたか。 ○小川雇用政策課長 次回28日に報告書(案)を全文、研究会にお諮りして、いろいろ とご意見があると思いますので、ご意見を踏まえる時間をいただいて、発表というよう になると思います。ですから、12月の上・中旬ぐらいに発表かと考えております。 ○樋口座長 法案が通るかどうかは国会の話で、この我々の研究会としてどういうスタ ンスでこの問題を考えていくかということは、これは自由に織り込めるわけですよね。 ほかにどうでしょうか。阿部委員の先ほどの普通の人が普通に暮らしができるというの は、これでできそうですか。 ○阿部委員 わからないです。でも、もちろん、セーフティーネットがここにあること は確かだと思うのです。先ほど言ったのは、前段でそういうのがなくて、つらい社会だ なと思わせているのがちょっとつらいなということです。 ○樋口座長 ただ、セーフティーネットは、やはり事後的なのですよね。落ちてしまっ た人に対して、セーフティーネットを張るということで、どうすれば落ちないで済むの かというところというのは、やはりセーフティーネットとは別に書くということもあり 得るのではないかと思うのですが。小塩委員、こういったことについて何かありますか。 ○小塩委員 いまの関連なのですが、企業の役割というのは重要だと思うのです。それ で、7頁の(1)の真ん中辺ですが、いまのセーフティーネットは事後的な話ですというこ とで、私はやはり企業がしっかりと雇用を安定させる必要があると思います。それで、 人的資本の蓄積も円滑に進むと思うのです。ただ、(1)の真ん中辺に、「また」以降の文 章があります。これは鶴委員も指摘しているのですが、この文章の言いたいことはよく わかるのです。使い捨てでなくて、雇用者を育成していく必要がありますねということ なのですが、これを企業にお説教のように求めるのは、気持はわかるのですが、ちょっ と無理かなという気がするのです。もう少し政策的に、そのように人的資本、人材を育 成できるように企業を誘導することが必要で、そのような書きぶりのほうがよろしいの ではないかと思います。 ○樋口座長 そうですね。それと、これは雇用政策ではないのかもしれないのですが、 産業政策として、例えば付加価値の高い産業をどう育てて、そこで必要となる人材をい かに提供していくかという流れですか。だから、個別企業の高付加価値化だけではなく、 社会としての高付加価値化を戦略としてどうとっていくかというのも、すごく重要な視 点かと思うのですけれども。 ○玄田委員 いまの関連で、9頁の(5)にいちばん近いかと思うのですが、いま若い人が 特に離転職するということを過度に言われていて、私はそれほど最近、急速に離職が上 がったとは思えないのです。いずれにせよ、意図せざる離職があまりにも増えるのは、 おそらく望ましいことではないであろうと。つまり、就職してみたら、こんな会社だっ たのかとか、採用してみたら、こんな社員だったのかということが、できるだけないよ うにするにはどうするかということで、10頁などにジョブ・カードやジョブパスポート という、労働者側がいったいどういうキャリアを歩んできて、時にはそれを自分自身の 能力を表すものという努力が、いま少しずつ進んでいる一方で、どういう企業なのよと いう、企業のほうの姿がより明らかになるような努力が、いまどういう形でなされてい るのだろうかと。  例えば、いま企業も自分たちが良い人材を確保するために、良いこと、悪いことも含 めて、自分たちがどう姿を示していくのかということを考える過渡期になっていること を考えると、すなわち追い風と考えて、労働者に対するどういう情報を企業側が提供す るのかということを、それこそ企業努力もそうだし、時には官民連携で考える時期に来 ているのではないかと。労働力需給調整の機能強化というのは、やはりお互いもっと見 え合う関係。それによって意図せざる関係解消にならないようにするためには、お互い が何を示していくのかということを考える時期に来ている。そうすると、企業版ジョブ・ カードみたいなものなのでしょうか。ファームカードなのかわかりません。有価証券報 告書に、もっと労働に関する情報、先ほど小塩委員が言ったように人的資源に関する情 報などといったこともあるかもしれませんが、何かそういうことをいま取り組み始める 時期に来ていることを、1行、2行、文言として加えるのも時宜にかなっているのかと、 いま伺っていて思いました。 ○樋口座長 企業の情報開示。 ○玄田委員 そうですね。たしか労働研究雑誌の先月号に堀田聰子さんが書いていたと 思いますが、良いことばかり言っても駄目で、時には厳しいことも言うことがワクチン 効果などと言って、離職を防止すると考えると、いま企業としても何を示していけばい いのかということを模索している時期だと思うので、それに対するいろいろな情報を集 めて、強制することは難しいでしょうけれども、何かそういう適切な企業の姿を示すよ うな方策を考える時期に来ているのではないかと思うのですけれども。 ○樋口座長 いまのは可能ですか。 ○小川雇用政策課長 先ほど玄田委員のおっしゃったことについては、9頁のいちばん 下に「情報提供体制の整備」という文言がありましたが、これで企業情報も含め提供と いう気持ではあったのですが、そこについてはまた書き込んでいこうと考えております。  小塩委員のおっしゃった気持はわかるけれども、ここまでは言えないだろうというこ とですが、ちょっと内容も強いかなとも思いつつ書かせていただいたところです。さす がにちょっとお説教が難しいということであれば、条件整備や誘導などという感じで、 書き方を考えていこうと思います。 ○樋口座長 たぶん政策ツールが見える形にならないかということだと思うのです。も ちろん、具体的な政策は書けないにしても、こんな方法があり得るのではないかという、 そのツールが見えればということだと思うのです。 ○玄田委員 9頁の(4)ですが、「障害者等、さまざまな事情・困難を克服する」という ことで、特に厳しい条件にある人に対するサポートを謳われています。その中で、具体 的に障害者、生活保護受給、母子世帯、それはもちろんそのとおりで、特にいま厳しい 状況にある人のサポートということだと思うのですが、やや厳しい状況にあるという範 囲が本当にここだけに限定できるのだろうかというと、本当はもうちょっと広いのでは ないかと。  例えば、具体的に言うと、本当に厳しいのは障害者手帳を持っていないけれども、非 常に苦しい困難な状況を抱えている人たち。もっと具体的に言えば、大学には進学する ほど余裕はないけれども、普通高校に通っていて、しかもどちらかというと上位校では ない人たちというのは、家庭環境を含めて、生活保護を受けている、受けていないにか かわらず、やはり相当厳しい状況にある方たちがたぶん増えているのではないか。  それはおそらくネットカフェ難民や日雇派遣で不安定な人たちも入るでしょうし、そ こだけでも抱えきれない部分があるのではないかという、直感めいたもので申し訳ない のですが、そう考えると、本当にいま厳しい状況にある人が、どこにどういう姿をして いるのかということの状況把握をしていくことが、政策的な対応以前に、いま相当求め られているのではないか。まだネットカフェ難民などというネーミングはされていない けれども、厳しい状況にある人たちが、一方で日の部分と陰の部分として現れていると いうことは考えてもいいのではないかと思うのですが、どうでしょうかね。  もっと具体的に言えば、この中で文言が出てくるかどうかわかりませんが、社会学の 方がおっしゃるような、社会的に孤立した状況にある人たちというのは、就業支援やキ ャリア形成の以前の段階でのサポートが必要かもしれなくて、それは雇用政策ではない と言えばそのとおりなのかもしれませんが、そういう状況にある人の状況はよくわから ない、というのが現状なのではないでしょうか。 ○樋口座長 しばしば自律というと、経済的自律を念頭に置くのですが、自律支援とい うのは、それだけではないわけですよね。まさにインクルード。 ○小杉委員 玄田委員のおっしゃることは大変よくわかるのですが、たぶん雇用政策で はない部分との関係、最初の6頁で言えば、「なお」書きのあとの部分のような形です ね。いわゆる包括的支援という形でなければ受け止められない。雇用政策一本では駄目 で、雇用政策との隙間に落ちてしまいそうな人たちをどうしていくかという包括的な支 援の視点というようなものがどこかにあればいいのかなと思います。実際に玄田委員が おっしゃったような部分は、やはり低学歴層で早く学校を離れた人たちの就業状態、特 に学校中退がいまいちばん問題だと思いますが、大きな問題を抱えていると思いますし、 そういうところは学校教育から落ちこぼれてしまうというか、ドロップアウトしてしま ったときに、次の支援というものの隙間に落ちてしまう。本人が行動しない限り隙間に 落ちてしまうそうなのですよね。こういうところをどうしていくかという、その視点が たぶん最初の頑張れない状態になった人をどうするかという話だと思うのですが、そこ のところを書き込むとしたら、私は2条の中の1、2、3、4辺り、この「なお」書きの所 をもうちょっと4辺りまでもってこれないかと。包括的に他の政策とも連携して、社会 としての対応を考えていくようなことを、雇用政策の側からほかの政策との連携を図っ ていくなどという形で、入れ込むことはできないかと思うのですけれども。 ○樋口座長 どうですか。 ○小川雇用政策課長 おそらく玄田委員がおっしゃるところ、特に若者についてはニー トというところにたぶんいちばん近いと思うので、ニートについては一応、若年という 受け皿はあるとは思うのですが、それ以外のいわゆる社会的に孤立した、アイソレート な人についてどうするかと。まさにある意味では、労働統計上はおそらく非労働力人口 に入っているような方で、求職活動などはされてこないという方が念頭に置かれている とは思うのです。そこは雇用政策というか、その中での枠では拾い切れないところは多 分にあるかと思いますので、ある意味では小杉委員がおっしゃったように、4頁の「な お」書きで「他の施策との連携」という所がありますので、そこでそういったことにつ いての配慮を書き込むかどうかということなのかもしれないなと、いま小杉委員のお話 を伺って思ったところではあります。純粋に現在、ほとんど福祉の対象、もしくは福祉 に必ずしもなっていないかもしれませんが、非労働力人口に分類されるような方で、特 に求職活動をされていない方について、なかなかアプローチする術がないものですから、 他の施策の連携のところで入るか、もしくは若齢者について言えばニートのところで拾 っているという感じではないかと思います。 ○高倉雇用均等・児童家庭局総務課長 いまの若齢者の就職等で困難な方々のジャンル の中で、まだ十分詰めた議論はしておりませんが、ちょっとご指摘があったので、考え てまた雇用政策課とご相談したいと思っておりますが、紹介だけします。養護施設の子 供たちで、昔はいわゆる孤児の方が中心だったのですが、昨今は児童虐待を受けて、親 子分離で養護施設で生活をしなければならない子供のほうがむしろ増えて、過半数にな るに至っております。そういった方々の自立していく、就職していく部分の支援等につ いては、さまざまな心の傷をずっと負ってきているという意味では、ここで言っている ような障害者とまでは言えず、障害者手帳はないのですが、やはり相当困難な課題を抱 えている方々ですので、もっとそれに即した支援ができないかということを、福祉サイ ドとしてもいまいろいろ検討中のところがあります。何か例示できるようなことになる かどうか、ちょっとまだ十分詰めていないのですが、至急、相談したいと思います。 ○樋口座長 書くのは難しいかもしれないのですが、貧困の問題との関連をどう考えて いくかというところですね。特に生活保護との扶助政策と雇用政策の連動といいますか、 そこのところはすごく重要だし、ウェルフェアとワークの話の中で、いまいろいろ始ま っているわけでしょう。それはいろいろ書いてあるのですが、いまの問題とも関連して ちょっと強くてもいいのかという感じがします。 ○小川雇用政策課長 ウェルフェアとワークは9頁の(4)で書いております。先ほど高倉 課長のおっしゃったようなことも、もしも入れられればここに入れ込むということもあ りますし、書き方についてはちょっと考えてみたいと思います。 ○樋口座長 いまの問題というのは、障害者等とは違うのですよね。 ○加藤委員 例えば(4)はこういう形で、ある意味、いままでの形で障害者等さまざまな 困難を持っている人なのですが、それ以外に(5)でいまおっしゃっていたような話の救え ない方、ニートも含めて、仕事をしたいのですが、うつの状態でなかなか精神的に行け ないような人、あるいは先ほどご紹介がありました児童虐待から親子分離のような子供 たちをどうやるか。そういう(4)とは違うカテゴリーでもう1つ作って、その中で話をし たほうがもしかしたらわかりやすいような気がして、(4)に全部入れることはないような 気がするのですが、いかがでしょうか。 ○樋口座長 いかがでしょうか。 ○小川雇用政策課長 (4)はいわゆる障害者にとどまらず、(4)のいちばん下のポツにある ように、生保の受給者などといった方も入っているということで、いわゆる特に事情が 困難であって、それでも就職を目指す方が(4)。(5)は、それ以外の一般の方という整理で す。ですから、加藤委員のおっしゃったような、例えばうつなどは、うつも精神障害者 も、この中では障害者に入って、雇用政策の中の障害者ということでカバーしておりま す。そういう意味では、福祉・医療・教育機関との連携による障害者の就労支援の中に、 うつによる方の就労支援はたぶん入ってくるのかと。 ○宮野職業安定局総務課長 いまの点ですが、私どもがやっている雇用対策で「障害者」 と言うときには、必ずしもいわゆる障害者手帳を持っている方だけには限定されており ません。障害者雇用率の計算は一定の要件が必要なものですから、手帳を持っている方 という限定がありますが、それ以外のここに書いてあるような対策については、いま小 川課長からありましたとおり、例えばうつ病になった方の再就職の支援、あるいは働い ていた企業への復帰の対策などといったものは、ここにあるように医療関係の方との連 携をとりながら進めていく、ということも進めております。また、最近これもいろいろ 話題になっておりますが、発達障害の方。これはニートの方の中にも、実は発達障害で はないか、あるいはかなり近い状態ではないかという方がたくさんいらっしゃるのでは ないかというところもあります。それもニート対策と障害者の対策のちょうどリンクす る部分でありますが、これもむしろそういった医療関係の方との連携で、そういった方 への就労支援の相談という取組も進めております。そういう意味では、ここにある障害 者という観念はかなり広いもの。ですから、これをもう少し書き込んでいけば、ご議論 いただいたようなことは含まれるということがある程度わかるのかと思っております。 ○樋口座長 たぶんプロが読めばわかるのかもしれないですが、我々から読むと、なか なかわからないところがしばしばあるのです。報告書の想定をするときに、誰が読むの かということで、やはりプロだけが読んでいく問題ではないですから、それがわかるよ うな形で提示するのがいちばんいいのだろうと思いますので、そこはそういう形に。そ ういう広い意味だということが少なくともわからないと、という問題ではないかと思う のですけれども。 ○阿部委員 先ほど私に樋口座長から突き付けられたセーフティーネットは事後的では ないかということがあったのですが、いまの話を考えてくると、事前的なセーフティー ネットもあり得るので、やはり先ほど小杉委員が言ったように、2章の「なお」書きの 部分をもう少し丁寧に書いたほうがいいと思うのです。それは何でそうなったのかとい うと、キャリア論が入ってきたから、たぶん事前的なセーフティーネットが出てきたよ うな気がしていて、もしかしたらそこに注目して書かれるといいのかと思ったのですが、 自分自身にはまだ整理ができていませんけれども。 ○玄田委員 あまり混乱するとあれなのですが、調子に乗って言うと、セーフティーネ ットというから、やはり事後的な落ちるという感じがして、そういう英語があるかどう かわかりませんが、本当はセーフティーケアで、落ちる前にケアするとか、落ちないよ うにケアするというのがやはり事前のイメージなのではないでしょうか。先ほどの障害 者のお話を伺って、なるほどと思いましたが、考えてみると、そういう人たちをケアす ることが、果たしていまの体制で十分なのか、ケアする人材が果たして十分なのかとい うことは、たぶん雇用政策の大きな論点で、5頁の最後に書いてある、介護や医療や福 祉がこれから本当はとても大事な産業であるという意識は、おそらく10年ぐらい前から 言われているにもかかわらず、これが産業としてある意味では拡大していない、場合に よっては非常に就業状況の悪い産業として、多くが避けている。その中で、アドホック にも外国人という話が出てくるのは、やはり健全なストーリーではなくて、これがもし 1つの大きなケアというのが成長産業、雇用機会をつくり出す、そしてディーセントな 働き方のときに、なぜこの部分に成長するポテンシャルがあるにもかかわらず、ケア産 業が発達していかないのかということを考え、そのための策を練ることは、先ほどのソ ーシャルエクスクルージョンの問題の対応にもなるし、安心な国づくりみたいなことに もつながるし、いまの事前的なセーフティーネットというか、ケアなのかわかりません が、そこを何か戦略的に、もっと人材をつくっていくのだということを謳っていくのは 1つの方策かなということを、いま伺って考えました。 ○樋口座長 ということで、皆さんの要望は十分に把握できるような形でお願いします。 ○小塩委員 いまのお話ともちょっと関係があるのですが、いろいろなライフステージ で働きやすい世の中をつくっていきましょうということはちゃんと書かれているのです が、いまの事前的なセーフティーネットを整備するという観点から言うと、ちょっと欠 けているなというところがあります。それは学校から職場への橋渡しというところに対 する政策的なケアだと思うのです。私は労働経済学のプロではないのですが、最近の非 正規労働の実証分析のいろいろな論文を拝見すると、非正規労働になっている人は、初 職がものすごく影響しているのです。初職が無業か、あるいは非正規だと、あとずっと そういう状態のまま続いてしまうという傾向がはっきりしています。やはり出だしが結 構大事ですね。工業高校などというのは、非常に就職は良いようなのですが、普通科で、 しかもあまり成績の良くない子供というのは、就職がなかなかうまくいかないという面 があります。そこでつまずくと、貧困の罠に陥ってしまうということがあって、それこ そ事後的なセーフティーネットのご厄介にならないといけないということがありますか ら、もう少し教育から労働といいますか、その橋渡しに従順的に政策を展開するという ところがどこかに書いてあればいいのではないかと思いました。 ○小川雇用政策課長 7頁の若年者雇用のところで、ある意味でスクール・トゥー・ワ ーク・プランディション、教育から雇用はあまりにも当たり前で、前提としていたのが 明示的に書いていなかったものですから、そこについては明示的に書かせていただこう と思います。 ○樋口座長 明示的に書くという対応で、いまの内容でよろしいかどうかというのは、 玄田委員や小杉委員はどうでしょうか。 ○玄田委員 超越的なことを言えば、これは小杉委員の新しい本だからあれですが、い まの話、スクール・トゥー・ワーク、基本的には高校というのがイメージされていたの ですが、本当はスクール・トゥー・ワークに対して、大学の中で実績関係や長期的な大 学と企業との信頼関係や実績関係をどうつくっていくのか、そこにハローワークが介入 しろと。介入というか、介在しろとは言わないのですが、限りなく昔の高校にいまの大 学も近くなっているのではないか。つまり、実績関係が大事なのは、おっしゃられたよ うに、正社員をするというだけではなくて、なったあとのケアが事実上、長期的に確保 されているから意味があるのであって、果たしていまの大学の全く学生本人と企業だけ で契約を結ぶという確保のやり方でいいのかというのは、本当に大きなテーマだと思う のですが、それが雇用政策の議論かと言われると、私はやや異質な感じもするので、そ れは小杉委員がいろいろご意見がおありだと思うのでわかりませんけれども。 ○小杉委員 最初のところで、意欲だけではなくてエンプロイアビリティだという話は、 まさにそういう意味もあって、教育が実質として能力形成をきちんとする。それは先ほ どの後ろのほうの産業にマッチしたところで書くのではなくて、こっちで書くべきだと 思うのです。エンプロイアビリティをきちんと形成する教育であるべきだし、マッチン グのプロセス、移行のプロセスについての支援、これはいままで高校の場合はかなり教 育がウエイトを占めていましたが、ハローワークもここで役割を果たしてきた。大学に ついては、いま完全にオープンマーケットになってきていて、そこでいろいろなことが 起こっている。そこで、いまのところ私たちの調査の中では、ハローワークは一定の役 割をしていた、学生支援センターで一定の役割をしていて、最も就職が決まらない、あ る意味では最後の砦になっているという機能をうまく果たしてはいるのです。  書くという意味では、教育段階でのエンプロイアビリティをきちんとつくるというこ とと、マッチングのプロセスにおいて、誰がどこでどう対応するのか。大学の例でいく なら、いまかなりオープンになって、インターネットを使ったオープンマーケットにな っている中で、かつて学校の就職支援なり何なりが私立大学ではかなり強かった就職支 援の役割がかなり後退してしまっていて、個人と企業との感じになってきていて、そこ で弱い個人はなかなかうまく乗れない感じが起きている。相談機能なりマッチング機能 なりは、どこで担保するかというのは、学校がやれるところもあるし、学校ではやれな い、ハローワークがやるところもある。これはたぶん両方をうまく連結するのですね。 そこのところを円滑な移行に対して、雇用政策の機能と学校教育の機能とをうまく連携 させていくなどという形がいいのではないか。ハローワークだけでやるというものでは ないと思うのです。 ○蒔苗雇用政策課長補佐 新潟にてジョブカフェをやっていたときに、新潟だけの例か もしれないのですが、新潟大学は前は就職支援部があまりなかったのが、ジョブカフェ 的な取組の中で、一緒にメンバーにも入っていただいて、新しく担当の方を付けたりし て、東京の大学は昔からあったから後退したのかもしれませんが、地方は逆に増えてい る所もあるのではないかと思うのです。学生センターなどいろいろな所で、大学生の方 も来ていただければ対応しているという形になりますので、そこをどこまでやるかとい うと、少し工夫して書かせていただきます。 ○樋口座長 私が感じているだけかもしれませんが、たぶん大学にとっていまいちばん 大きいのは、就職協定がなくなって、どんどん内定時期というか、活動時期が早くなっ て、もう3年生は始まっているわけです。こういう状況が正常な状況なのかどうかとい う、このままでいいのという疑問を持つのです。 ○加藤委員 それについて一言言わせていただきます。実はうちの大学は昔から就職が 強い、大学が就職活動を本当にサポートしていたのですが、最近の就職活動は個人によ って非常に多様化してきてしまって、例えば高校では個人を把握して管理することは可 能なのですが、大学はそれはできないのです。そうなってくると、個人がどうなってい るかという状況を全部把握するためのコストが非常に高くて、とてもできない。学生も 多様化してきて、単一のルールの中で歩いていくわけではないものですから、大学には 頼らない。  恥ずかしい話ですが、今度18日に就職セミナーというのを学部でやるのですが、昔は 500人の枠の中に入れきれないぐらい来たのですが、いまではもう全然人が来ない。自 分でやるからいいと、そのような状況になってしまって、大学で何とかしたいと思うの ですが、なかなか現実には難しいところがあります。それも樋口座長がおっしゃったよ うに、3年のいまの時期から始まるので、正直なところ、追い付けないというのがある と思います。 ○小杉委員 それはたぶん強い大学、弱い大学いろいろあって、規模の大きいところ、 小さいところで、かなりみんな状況が違っているのです。基本的には自由応募市場にな って、インターネットを通じて、全国一律の情報の中で個人が動いている。小さい、弱 い大学は、わりと学生を把握していて、プッシュをしている。大きい、強い大学は、勝 手に動くこともあるし、あまりやらないできた。そういう流れの中にあると思うのです。 ただ、全体のマッチングを支えるのは必要で、それがたぶんハローワークと学校の中の キャリアセンターとの連携の中でやっていく部分ではないかと思います。学校の中のキ ャリアセンターの役割も、いま多くの大学は、1年生の入学のときからキャリア支援に して、3年生、4年生でわからなくならないように、最初からしっかりつかんでおくとい うことをいま始めていると思います。早い時期からのキャリア支援と、個人で動く人た ちに対しての全体的な枠組みと、この2つが今後の方向かと思います。 ○樋口座長 先ほど小塩委員が言われた蓄積した人的資産がちゃんと評価されるように ということなのですが、少なくともいまの大学の問題なのかもしれませんが、大学で何 をやってきたか、特に勉強などということは、ほとんど評価されない。みんな初任給は 一律、こういうやり方はすごく珍しい国になっているのだろうと思うのです。やはり高 い評価を得た人は、高い給与で、初任給にしても入ってくる。これはなかなか評価も難 しいということなのですが、いまのようにこれだけ就職時期が早くなってきている中で、 授業に出てこられない状況を社会が作っていくということ。やはり学生に面接すると企 業から言われれば、その時間は大体行くというのが相場になっていますし、我々だって、 そんなに自信を持って、授業のほうが大切だなどと言えないわけですね。その人の人生 を考えれば、どちらのほうが大切かということになれば、それは自分で決めろという話 しかできないのです。これは個人のぼやきというように聞いてもらってもいいのですが、 こういう状況が毎年毎年続いていくことを、いままで繰り返してきているわけですね。 そういう問題に対して、何かそれぞれの責任ですということでいいのかという気もある のですけれどもね。 ○小川雇用政策課長 そういうレッセフェールにしてしまったがゆえに、いまからずっ と続いていることに。おそらく、中長期課題の中に、そういった問題もあるということ を指摘させていただくと、そういうことは可能かもしれませんので、ちょっとまた考え させていただきます。 ○加藤委員 問題は学部だけでなくて、大学院もそうです。修士の2年の初めというの は、授業が成り立たないのです。ですから、それこそ人的資本の蓄積そのものを阻害し てしまう可能性が、規制緩和によって発生しているというのがありますね。専門教育が 成り立たないのです。 ○白木委員 2点あるのですが、1つはいまの話に絡んで、採用の時期が早くなっただけ でなくて、基本的には企業は採用市場で非常に強い立場にあります。ですから、そのあ との研修をやってしまうのです。採用の時期で面接で時間を取られるというだけならわ かるのですが、そのあとの3年生の終わりごろ、4年生から、授業時間中にもう研修を 始めてしまっているわけですね。私は個人的には、これは越権行為だと思っていますが、 学生はしょうがないから、「いや、今日あれだからゼミ行けません」などと言って、も ちろん向こうを優先していますね。そういう問題があると思います。ですから、面接を 超えて、研修まで学生のときにやってしまっているというのは行き過ぎではないかと思 います。それは1つのあれです。  もう1つは、ちょっと戻りますが、7頁の(1)の「若者の雇用の安定と働く意欲のある人」、 これは要するに若者に対するケアですよね。意欲を高めるなどというお話が書いてある のですが、その中で「また」という所は企業に対して書いているもので、2種類入ってい るのです。私としては、むしろ先ほど小塩委員がちょっとおっしゃった点も関連するの ですが、企業自らが競争力の維持・向上等を図るためには、長期的な視点で、内部で人 材育成をする必要がありますよと。そのためには、具体的にはどうやって人材を内部で 蓄積するかということを考えなくてはいけないと。その1つの方法は、やはりやりがいの ある仕事、面白い仕事を準備し、同時に徐々に面白い仕事ができる。要するにチャレン ジングな仕事をすることによって、内部でキャリアを伸ばしていくと。そういうことを することによって、良い人材を内部でキープし、競争力にもつながりますよというお話 を、この「また」の所をもう少し膨らまして、1の(2)ですか、何かそういう形にしたほう が、長期的にキープし、良い人材を育成していくのは当たり前のことなのですが、再度 ここで強調するという姿勢は必要ではないかと思いますね。 ○阿部委員 いままでと全然違う視点なのですが、10頁のいちばん最初のポツです。ハ ローワークのパフォーマンスのさらなる向上というのはよくわかるのですが、パフォー マンスを上げるためにはどうやったらいいかというのは、わかっている人はわかってい るわけですよね。そうすると、最後のところにきて、パフォーマンスが上がらないよう な人たちは、たぶん最後のセーフティーネットとして雇用保険制度に来るのだろう。そ うすると、雇用保険制度で就職が促進されるかというと、私には甚だ疑問です。ですの で、私は先ほど小杉委員がおっしゃった、ハローワークが最後の砦になっているという ところを、もう少し強調してお書きになったほうがいいと。もちろん書きづらいという のはよくわかります。市場化テストや民営化など、いろいろ出てくるのはあるので難し いのですが、それを外してしまったら、やはり公共職業紹介機関としての役割を全然果 たさないことになってしまうのではないかと思うので、私は「最後の砦」という言葉を お遣いになったらどうかと思いますが、いかがでしょうか。 ○宮野職業安定局総務課長 表現は検討させていただきます。ただ、いずれにしても、 ご指摘がありましたように、そもそも全体として、就職する方の中のハローワークの利 用者はほぼ2割という状況です。その2割の大多数の方は、やはり障害者・高齢者という 就職困難者の方だと思っています。そういう意味で、まさに最後の砦という形になって いることは事実だろうと思いますので、むしろ市場化テストの観点でも、そうした状況 だから、私どもとしては国としてハローワークが全国ネットで必要であるということで 考えておりますので、考え方としては、まさに先生のおっしゃるとおりだと思っており ます。表現は、またご相談をさせていただきます。 ○玄田委員 調子に乗っているものですから、もう1つだけ、若年ではない、ハローワ ークでもないのですが、冒頭で山川委員がご質問になったコーポレートガバナンスに関 連するところで、事業再編、統合、吸収、合併等、今後とも大きく事業再編が起きると きに、それが労働者に何をもたらすのかということは、どこかで言及してもいいのでは ないかと。先ほどエンドレス云々と抽象的なことを申し上げましたが、実際いろいろな JILを含めたシンクタンクの調査で考えると、やはり非常に長時間労働になったり、業 務量が増えたり、もちろん人員整理が起こり得る大きな要因の1つは、この10年間の事 業再編・統合、合併・吸収。また企業組織そのものの大きな変化、ガバナンス構造自体 の変化に伴って起こるということが、これまでの経験で、もちろんそれがすべて労働者 にマイナスに影響を受けたとは言いません。むしろ逆に再編・統合がうまくいくために は、労働者に過度な負担をかけないようにするのが1つの決め手だと思うのです。現実 的には先ほど申し上げたような業務量の増大とか、人員整理とか、事実上の負担を労働 者が負っていた部分は多かったのではないかと。  やはりこういう非常に危機的な状況になっていくと、労働者も事実上、企業側とのバ ーゲニング・パワーが変わるということで、そういう厳しい状況を受け入れざるを得な い。そうなったときに、場合によってはそういう心身面の疾患を含めた大きな問題が起 こるというのは、今後、事業再編・統合の流れは終わったと考えるのは、相当難しいと すれば、ガバナンス構造自体が大きく変わっていくときに、いったい労働者はどのよう に守られるべきかということを、それこそ安定ということを考えるのであれば、具体的 な事例として考えていかないと、もしガバナンスということに言及されるのであれば、 どこかでそういう事業再編・統合の中で、労働者にどういう事実上の権利が守られるべ きか、どのような行政上の関与が雇用政策としてあり得るべきかということを考えるの はどうか、ということを思いました。それはもちろん、ハローワークの機能にもかかわ ってくるのかもしれません。 ○小川雇用政策課長 ファクトとして、事業承継が労働者にどのような影響が生じたか ということについて、手元に資料がありませんので、どれだけそこが書けるかわからな いという点があります。ただ、1点、事業承継法というか、そういう事業承継などが起 こった場合に、労働条件などをどのようにするかということについてのポイントはあり ますので、そういう意味で若干言及するなどということは可能なのかもしれないなとは 思います。 ○山川委員 追加的なことになるかもしれませんが、いまの玄田委員のご指摘は、例え ば2頁の(1)の企業側の変化で、これは鶴委員も疑義を唱えられていましたが、短期利益 重視の経緯と、それだけではなくて、いろいろ企業組織の再編の動きも起こっていると いう形で、もしかしたら組み込めるかもしれないと思うのです。ただ、いま玄田委員の 言っておられたのは、単に企業側だけではなくて、正社員も含めて、変化に堪えられな いと言うと、ちょっと言葉がきついのかもしれませんが、人事管理も産業構造も含めて、 いろいろなことが変化していて、それに対する不安というか、そういうものが正社員も 含めてあるのではないかと。非正社員になったとか、それでしか就職できないというこ とではなくて、安心というのがいろいろ出てくるのですが、その裏にあるのは、全体と してそういう不安感や焦燥感などというものがあるのかという感じがするのですけれど も。 ○樋口座長 それはそうでしょうね。 ○玄田委員 先ほどの事業再編・継承に関しては労働者にいろいろな影響を与えるとい うのは、たぶんJILの調査もあると思いますし、電機連合などいろいろ調査はあると思 うので、ちょっと調べていただいたら。 ○太田職業安定局長 法律的には、労働関係の承継法もありますし、例えば今回のNOVA などの事案でも、ハローワークでいろいろな形での相談をやったり、窓口を設けてやっ ていますし、あるいは企業に対する指導等もやっていますので、そういうのも含めて、 少し書けることを書かせていただきたいと思います。 ○諏訪委員 どのように書いていくかわかりませんが、いままで皆さんの中から出てき たものの中には、やはりトップクラスの日本の将来の付加価値を高めて、競争力を担っ ていくような人材がうまく育っていっているのだろうか。そういうのは大学だとか、大 学院にいるわけですが、それをうまく育てられないでいるのではないか。もう1つは、 他方で沈んでいってしまうような部分に対して、適切にセーフティーネットを張って対 応したり、あるいは事前の防御策や命綱みたいなものをうまく付けてあげられるだろう かという問題の議論をするとともに、ごく普通の人たち、真ん中にいる人たちにも対応 しなければいけない。そういう意味では、雇用政策はすべてに目を向けなければいけな いわけですが、そのプライオリティーをこれからどこに置くかというのが1つの議論な のだろうと思います。  それはアメリカのいろいろな人事管理などの本を読んでいると、トップ企業は2・7・ 1だというように、よく書いてあるのです。日本では2・6・2などと言っていますが、 組織の人材の2割はよくできて、2割は困った存在で、真ん中の6割。アメリカは2・7・1 と、戦略的に決めると。トップ2割に関しては能力開発の機会も与えるし、その代わり、 何が何でも逃さないようにする。下の1割に関しては、何かあったら最初にリストラの 対象だし、本人たちが出ていきたいと言えば、どんどん出ていけるようにしていく。 会社は期待しない。真ん中の7に関しては、それなりに企業の中で扱っていく。  そうすると、日本でもこれからいろいろな形で企業が生き残りをかけて国際競争をや っていく中で、こういう2・7・1みたいなものが出てくるかもしれない。そうすると、 おそらくいま2割ぐらいの60時間以上働いているというのは、ある意味で有能な人たち がかなりここにいると思いますから、これを疲弊させて、日本の場合は大事にして将来 のために育てるというよりは、事実上、使い捨てみたいな動きになっているかもしれな い。これをどうするかもやはり大事だろうし、7と言われている部分の2・6・2というよ り、日本の場合はかなり広めに下のほうを見るようなところがあって、最初から投げて しまっているけれども、本当にそうなのだろうかという、この部分の問題があります。  どうも雇用政策というのは、このような企業側がこれからどんな人事戦略で臨んでい くかという問題と、やはり対応せざるを得ない部分があると思いますので、人事戦略の 流れみたいなものの、あるこういうザッハリッヒな部分を、いまのように書けというわ けではありませんが、触れなくていいのか。それが先ほどから玄田委員や阿部委員やい ろいろな方がおっしゃっている、何か1人で全部やれというのか、そんなものはとても できないし、山川委員のおっしゃるような不安感みたいなものを汲んでいく。  いままではもうみんな入ったのだから、2・6・2などといいながらも、10がそのまま 団子状になって進みましょうよという感じだったのが、すごく変わってきたというこの 辺は、何かあまり書き込んでいないような感じもするのです。何でいま雇用政策で新た に私たちが新しい方向を議論しなければいけないかというと、実はこういう流れがグロ ーバル化の中で起きてきているということがあるのではないか、という感じがしていま す。 ○樋口座長 いまおっしゃった点は非常に重要な点ですし、それについては是非、どの ようにしたらいいか、どのように書き込んだらいいかというのは。 ○小川雇用政策課長 それについては、6頁の方向性の(2)の中で、例えば企業内の話に ついては真ん中ぐらいから、「組織の中で生産性を高めていく性格を併せ持つ点も考慮 する」とあります。「そのため、労使が信頼関係に基づき長期的視点に立った労働条件 の調整に柔軟に対応しつつ、雇用安定機能と人材育成機能を有する長期雇用を基本とす ることが引き続き重要である」と。この辺は、労使の信頼関係や合意の下で、こういっ た調整が必要だということについては気を配ったつもりではあるのですが、もうちょっ と書き込んだほうがいいというご指摘であれば、ちょっとここは考えてみます。 ○樋口座長 私がちょっと気になっていたのは、前半に戻ってしまうのですが、5頁で こう言っていいのかというのが、企業間の過当競争、あるいは付加価値の適正配分とい うのが出てくるのです。概念としてはわかるのです。ただ、これについては昔から議論 のある過当競争とは何か、何をもって適正な配分と考えるのか。ある意味では感覚的な ところ。これを雇用政策研究会で言っていいのかどうかというところは、どちらの結論 でもいいのですが、皆さんの合意を得ておいたほうがいいのではないかと思うのです。 ○小川雇用政策課長 適正な付加価値の配分については、鶴委員からも適正とは何かと いうことでご指摘もありましたし、表現上、何をもって適正とするかというのはなかな か難しい。価値判断が入ってしまうところですから、このところはどうするのか。過当 競争も、過当というのは確かにこれも価値判断が入った言葉ですので、表現ぶりに注意 するということと、報告書をまとめるときには研究会のご意見を伺いながら、どのよう に書くかについてはまたご相談させていただきたいと思います。 ○樋口座長 そうですね。たぶん過当競争がもし本当だとすれば、逆に消費者のほうが これによってメリットを受けているということもあるわけです。だとすると、労働者と 消費者と、どちらに向かった政策をとるのだ、ということが問われてくる話になってく るので、ここについてはいろいろな意見がありそうだなということです。 ○小川雇用政策課長 鶴委員からも指摘があったように、5頁と14頁と、わりとざっくり といろいろ書いたところもありますので、今後フォームも詰めていく中で、ある意味で ダブっているところもありますから、整理して寄せたり分けたりしながら、ここについ ては整理しようと思っております。 ○樋口座長 ほかになければ、時間を過ぎていますので、そろそろ終わりたいと思いま す。次回は、本日いただいたご意見を踏まえて、雇用政策研究会報告(案)を事務局か ら提示いただき、委員の皆様でご議論いただきたいと思っております。次回の開催につ いて、事務局から連絡をお願いします。 ○蒔苗雇用政策課長補佐 次回については、11月28日(水)の午前10時から12時まで、 13階の安定局第1会議室において、研究会報告書の取りまとめとして、報告書(案)を 準備させていただきます。それを基に、いろいろなご議論をいただければと思います。 よろしくお願いします。 ○樋口座長 それでは、夜分遅くまでありがとうございました。本日はこれで終了いた します。どうもありがとうございました。 (照会窓口)    厚生労働省職業安定局雇用政策課雇用政策係    TEL:03-5253-1111(内線5732)