07/11/06 第27回労働政策審議会障害者雇用分科会議事録 第27回労働政策審議会障害者雇用分科会 議事録 1 日 時   平成19年11月6日(火) 13:30〜15:30 2 場 所   厚生労働省 職業安定局第1会議室(13F) 3 出席者   ○ 委員   (公益代表)  今野委員、岩村委員、菊池委員、松矢委員   (労働者代表) 泉田委員、野村委員、長谷川委員   (使用者代表) 飯ヶ谷委員、大島委員、斉藤委員、新澤委員、輪島委員   (障害者代表) 鈴木委員、副島委員、舘委員、松井委員   ○ 事務局       岡崎高齢・障害者雇用対策部長、長門企画課長、田中企画課長補佐       吉永障害者雇用対策課長、濱島障害者雇用対策課調査官       白兼障害者雇用対策課主任障害者雇用専門官、手倉森障害者雇用対策課長補佐 4 議 題   (1)障害者の派遣労働について関係者からのヒアリング         社団法人 日本人材派遣協会  松田雄一 専務理事   (2)難病患者に対する雇用支援   (3)発達障害者に対する雇用支援   (4)今後の障害者雇用対策について検討すべき具体的論点(素案)   (5)その他 5 資 料    資料1 障害者の派遣労働について    資料2 難病患者に対する雇用支援    資料3 発達障害者に対する雇用支援    資料4 今後の障害者雇用対策について検討すべき具体的論点(素案) 6 議事録経緯 ○今野会長   時間になりましたので「第27回労働政策審議会障害者雇用分科会」を開催いたします。 本日の出席状況ですが、佐藤委員、平木委員、高橋委員、豊島委員が欠席でございます。 松矢委員と輪島委員は遅れていらっしゃるとのことです。  本日の議題ですが、お手元の議事次第にあるように、前回の本分科会での議論を踏ま えまして、最初は「障害者の派遣労働について関係者からのヒアリング」をしたいと思 います。それから(2)の「難病患者に対する雇用支援」と、(3)の「発達障害者に 対する雇用支援」の議論をしていただいて、最後に、これまでの議論の論点を整理して いただきましたので、(4)の「今後の障害者雇用対策について検討すべき具体的論点 (素案)」となっていますが、それについてご議論をいただきたいと思います。  まず議題1ですが、先ほど言いましたように、関係者からのヒアリングということで、 障害者の派遣労働に対する障害者雇用率制度の適用の在り方を中心に、社団法人日本人 材派遣協会の松田雄一専務理事から10分ほどお話をいただきます。松田専務はご用があ るということなので、20分ぐらい議論をさせていただいて、トータル30分ぐらいで全体 の議論をしたいと考えています。それでは松田専務、よろしくお願いします。 ○松田専務理事(日本人材派遣協会)   ご紹介いただきました、日本人材派遣協会専務理事の松田です。よろしくお願いしま す。それでは、障害者の派遣労働に係る雇用率適用の在り方について、少しお話をさせ ていただきます。この問題に関しましては、当協会では従前から厚生労働大臣宛に要望 等をお出ししています。そこの中で言わせていただいていることは主に2点です。  最初は、派遣先が障害者である派遣労働者を受け入れた場合、派遣元の実雇用率にカ ウントするだけではなくて、先の実雇用率にもカウントすることにしていただきたい。 俗にダブルカウントという話です。重度障害者等にもありますように、ダブルカウント ということをお考えいただきたい。これについて、派遣業界を優遇するというお話もあ ったと聞いていますが、我々としては一元的にダブルと、元にだけダブルということで はない。先と元で1ずつということであって、業界を優遇するという批判は当たらない という言い方をさせていただいてきています。  2点目は、障害者納付金制度に基づく助成金、これを労働者派遣の実態に合わせて、つ まり、障害者である派遣労働者を指揮命令し、使用している派遣先に対しても、助成を 受けることができるようにしていただきたいと言ってきたわけです。例として申し上げ れば、作業を容易にするための施設・設備、あるいはバリアフリーのための施設、知的 障害者の方の支援でのジョブコーチの配置、こういう話はすべて先で生じる話でして、 言ってみれば、実際に就業しない派遣元ではあまり意味がないというご要望をずうっと 出していました。  今回の雇用分科会の中で、多様な雇用形態等に対応する障害者雇用率制度の在り方と いうことでご検討をいただく中でも、私どもとしては、このような従来からの考え方を 主張いたしましたし、また、本日輪島委員は見えていませんが、日本経団連ともいろい ろ協議して、例えば、内勤者と派遣労働者を分離して算定をするような案ではどうなの だろう、ということもご提示いたしました。ところが結果として、それらは採用しない という形で、皆様ご承知のとおりで、最終的に3つの案のどれにするのかということで、 お話が示されたわけです。  私どもの協会として、これらを十分検討いたしました。内部でもいろいろな議論があ るところではありましたが、結論としては、業界が拡大して社会的影響力が大きくなっ ている今を考えると、私たちが考えていかなければならない方向、それは障害者雇用の 促進であります。  0.5カウントというのを了承するに当たって、カウントが半分になることは障害者の 雇用数を倍にしなければならないわけで、それは非常に大変ですが、やはり派遣先に何 らかのインセンティブがなければ進まない以上、障害者雇用の促進という1点に立って これを了承しよう。いま現在、派遣に対しては、格差社会の元凶などという言い方を初 めとして、逆風が結構吹いているところでして、そういう中、業界が拡大してきたこと もあって、社会貢献の1つとして、障害者である派遣労働者の雇用が進む、これを優先 したいと思ったわけでございます。  ただ、この0.5カウントというものを受け入れるに当たりまして、私どもがお願いし たいのは、まずは派遣先に対する支援の強化です。カウントだけではなくて、障害者が 派遣で働きやすくするためには、いま申し上げたように、いろいろな施設・設備を整え る、あるいは職の再設計を行う、人的支援、ジョブコーチその他を行うことが必要です。 これは先にとって当然経費がかかる話ですので、助成金等で配慮することが必要だろう と思います。  また、受け入れていただく先の従業員の方々がきちんと理解して、円滑なコミュニケ ーションがとれるようにするといった環境整備はどうしても必要でして、先に対して十 分な受入体制の整備、こういうことについての周知・指導も併せて行っていただきたい と思います。私どもとしては、こうしたことをきちんとセットで実施していただくこと を前提に、2分の1カウントを受け入れる表明をしています。これについては是非とも お願いしたいわけでございます。  それから、細かい話で申し上げます。300人以下の中小企業も雇用納付金の対象にする ことが、併せて検討されている状況です。そうした中で、例えば、派遣の2分の1カウ ントの部分が先行して実施された。そういう場合、派遣元が300人までの中小企業に障害 者を派遣したことになりますと、その場合、納付金は納めていないけれど調整金はもら えるのかとか、実施に当たって詰めなければならない事項がいろいろあると思います。 また、300人以下の中小企業で雇用納付金の対象にならないというとき、納付金を納めな いわけですから、派遣先に0.5カウントすることがインセンティブにならない。その間は、 例えば、相変わらず派遣元に1カウントとすると。そんな細かい方法も含めて、実施に 当たっては十分にご検討いただきたいと思います。  さらに、紹介予定派遣についての話も出ていました。紹介予定派遣というのは、障害 者の雇用の安定という立場から見れば、非常に有効な手段だと思われますが、紹介予定 派遣全体の実績が大きく伸びている中で、障害者に関してはほとんど実績がありません。 障害者の場合、健常者よりも期待感が非常に高いと思われますので、特にミスマッチそ の他で、何らかの雇用されないといった事例になった場合、落込みというか、そういう ものの大きさは十分に想像がつきますので、ミスマッチが起きないように、派遣先への メリットの付与、あるいは受入体制の整備について、これも特に十分な援助が必要では ないかと思います。よろしくお願いいたします。  あと1つだけ、余計なことを申し上げます。これは今日の会議とストレートにつなが っているかどうかは分かりませんが、当協会の会長が持論で話をされていることです。 要するに、最近は企業社会の進展が急なのか、あるいは人間自体が弱くなってきている のか、それはわかりませんが、ストレス耐性のない人が急増して、ご承知のとおりで、 メンタルヘルスの問題が大きく取り上げられています。それは昨今の労働事情、長時間 労働があるとか、リストラ、成果主義が導入されている、パワハラ・セクハラがある、 職場の年齢構成のアンバランス、そういったことが原因でメンタルヘルスの問題が起き ていると言われています。これらによって、うつ病その他で職場を離れて、リハビリ出 勤もままならない人が非常に増えています。これは無視できない状況であろうと。こう いう方々を障害者のカウントに加えることにすれば、こうした方々の離職防止にも十分 な効果があるのではないか。  現状で申し上げれば、うつ病などでも障害者手帳がおありであれば、それは当然カウ ントの対象になるわけですが、実際問題として見ると、3級の認定についても非常にハ ードルが高くて難しいと聞いています。こういう方々をカウントに入れることもお考え いただければ、納付金財政にとってはあれかもしれませんが、こういう方々が増えてい る実情を考えると、離職の防止、定着の促進に効果があるのではないかとも考えていま す。最後は余計なことですが、ちょっと申し上げました。以上、とりあえず説明は終わ らせていただきます。よろしくお願いいたします。 ○今野会長   ありがとうございました。それでは、ご質問をお願いいたします。 ○輪島委員   遅れてまいりまして失礼しました。ご説明の中では、セットであればやむを得ないと いうようなお考えを示されたと思いますが、この制度は非常に難しい制度で、派元の0.5 と派先の0.5をカウントで分ける。しかも、特に注意事項でおっしゃった点について言 うと、非常に難しい対応かなと。そもそも派遣法は非常に難しいのですが、この制度を 障害者雇用促進法の中に位置づけると、非常に難しい制度を入れるようなことになるの ではないかと危惧してるわけです。協会としてベストな選択なのか、それとも、多少や むを得ないことなのか。制度を1回入れてしまうと後戻りが難しい気がしますので、本 当にどうお考えになっているのか、もう少しおっしゃっていただければと思います。 ○松田専務理事   いまの輪島委員のご質問でいえば、後者のほうです。決して、絶対賛成ですという話 で申し上げていることではありません。先ほども申し上げましたが、派遣がこれだけ拡 大している中で、社会的存在感が大きくなっていることからすれば、やむを得ず社会貢 献の一種として導入してもいいのではないかという判断でございます。  日本経団連のほうからすると、雇用促進につながるほどの大きなメリットは考えにく いというお話もあったわけですが、当方としては、大企業の雇用率を見せていただいて も、直近の6・1調査でも1.69という形で、1.8に届いていない。あるいは企業別でいえ ば、大企業での未達成企業の割合が6割ぐらいで、いちばん高いということもあります。 それらを考えれば、こういう形にすることで一定のインセンティブが働いて、雇用の促 進に資することになるのではないかと考えています。  ただ、いま言われましたように、実施に当たっては非常に難しい面がたくさんありま すので、これがかなりの効果を生み出せるようなやり方、助成も含めて運用をお考えい ただくことでなければ、単に派遣元が0.5泣いたというか、損したというか、ただそれ だけで終わってしまうということであれば、私どもは、せっかくこういう決断をしたと いう意味がなくなってしまうと考えていますので、その点は十分ご審議いただきたいと 思います。 ○今野会長   ほかにございますか。 ○長谷川委員   私は、この制度は派遣会社にとってはすごくラッキーな制度ではないかと思います。 何故かといえば、内勤と派遣労働者がいたら、それを合算して、1.8に届けばよい。例え ば、派遣先のほうが障害者をほしいと言わない限り。全部断わられてしまうのです。派 遣先の障害者雇用は何かの制度を作らない限り、成り立たないのです。  そういう意味では、私は、本来は派遣先に全部カウントすべき言っているのです。派 遣先が障害者を雇用したいと言わない限り、雇わないわけです。私の持論は、そうする と、派遣会社は、0.5、0.5としたのです。  そういう意味では、社会貢献などというよりは、事業主として派遣先、派遣元の両方 に0.5、0.5とすると少しは障害者の雇用が進むのではないかという感じがします。だか ら、そこはきちんと捉えておいたほうがいいのではないかと思います。派遣元から見る と、何で0.5、0.5なのかということがあるかもしれません。しかし、もともと派遣先が 人をほしいと言わなければ成り立たないビジネスだから、そういう意味では妥当ではな いかと思いました。この審議会の委員全員が、必ずしも0.5で一致しているわけではな いです。私は本来派遣先にカウントすべきものだと思います。 ○松田専務理事   そうですか。いま長谷川委員がおっしゃったように、もちろん派遣先が雇うと言わな ければ進まない話ですが、それを十分承知の上で進めるために何をするのだろうと。私 どもがいちばん考えているのは、障害者の雇用促進を重要に考えれば、どうやったら派 遣先に雇っていただけるのかという話の中で、やはり何らかのインセンティブは必要だ ろう。0.5というカウントもそうだろうし、いま申し上げたように、派遣先にとってかな りの経費がかかるいろいろな問題をクリアする助成、そういうものを併せてきちんと実 施していただく、ということで受け入れていただけるようになるのではないかと考えて います。  例えば、いまいろいろな求人などを見ても、身体障害者募集とか、ただし通勤ができ る人とか、かなりいろいろな制約をつけたような求人がたくさん出ています。言ってみ れば、働きやすいというか、そういう方を雇うという話はたくさんあるのですが、そう でない方の雇用が進まなければ、やはり何らかそういうものが必要だろうということで、 私どもは0.5を呑もうかということに至ったわけです。 ○長谷川委員   そうすると、その0.5というカウントのほかに、環境整備に対しても、派遣元でなくて、 派遣先にも与えるべきということですか。 ○松田専務理事  先にインセンティブを与える。 ○輪島委員  もう一度確認ですけれども。選択肢としてやむを得ないのですが、インセンティブに なるのではないかと、協会としても半信半疑というか。しかし、選択肢としてはそれし かないという話なのか。長谷川委員もおっしゃったように、なるんだろうなという感じ です。進むかもしれないということで、私どもも確証が持てないのです。本当にこの制 度を入れて、派遣元の実雇用率が上がって、そのことによって障害者雇用が進むのかど うか。制度はあとから考えれば作れるわけですが、今度の制度改正によって本当にその ミッションが達成されるのかどうか、得心というか、本当に大丈夫かと、踏み込んでい っていいのかという気がします。最終的に当事者団体がいいとおっしゃるのであれば、 しょうがないかという気がしないでもないのですが、本当にいいのか。私どもとしては、 障害者雇用が進むのか、特に派遣の分野で進むのかという選択が、この制度がベストも しくはベターな選択だと決断し得ないので、是非意見を聞きたいのです。 ○松田専務理事  繰返しになりますが。私どもとしては、進むという確証があるかと言われれば、それ は当然ないと申し上げるしかないですが、やらないよりはましだろうと思います。それ は先ほどご説明したように、まだ雇用率が達成されていない。特に中小企業が悪いから そちらにも広げるという話がありますが、大企業自体でも未達成雇用企業の割合が60% という状況の中で、何らかの格好で動かなければ何も進まないだろうという話の中で、 やはりここは一つ決断するべきと考えたわけです。必ずしも確信があって、やろうとい う話ではありません。  私どもとしても、例えば登録時にいろいろな状況をきちんと確認して、それをお話し て派遣することも考えていきたいと思いますが、ただ、登録のときなどは、障害をお持 ちの方がそれを結構隠されるのですね。要するに、就業に当たって不利に働くことを考 えるのだと思いますが、隠される方があって難しい。また、ありますかと聞くのは、個 人情報との関係で聞けない状況がある中で非常に難しい。ただ、登録に当たっていろい ろなお話をしていく中で、わかる場合はその辺のところをきちんと把握させていただく 活動を強めて、派遣先のほうにきちんとお話をしていく。あるいは今日の資料の中にも 入っていますが、今後、派遣先のほうでも派遣を活用していくことについて、その気は あるといういろいろな調査があった、そう記憶しています。そういう中で、やはり何も しなければ何も進まないのだろうと。  「障害者への配慮等について」というところで、派遣先による施設や設備等の整備が 進めば何かします、あるいは、派遣先の障害者に対する職務の創出とか再設計があれば 進みます、ということを派遣元も考えています。同じように、派遣先でもそのようなこ とがあれば、障害者が派遣労働で働きやすくなると言っています。  これ今日の資料には入っていないのですか。ああ、そうですか。これは何だろう。す みません。これは何か厚生労働省の調査ですよね。 ○岩村委員  ……を使った調査です。 ○松田専務理事  ああ、そうですか。 ○調査官  資料の1の後ろの統計資料をいま。21頁の内容かと思われます。 ○松田専務理事  ということで、そのような意識も芽生えていることもありましょうし、いずれにして も、何もしなければ何も進まないだろう。であれば、我々として、そういうことを考え ることがベスト、ベターではなくても、やむを得ない選択だろうと考えているわけです。 ○長谷川委員  派遣会社の、広告等で、障害者を積極的に雇用することを幅広く広報すると、障害者 派遣が進むと思います。 ○松田専務理事  その辺も検討いたします。ただ、そういう形で登録をする方が増えたとしても、せっ かく登録したのに行く所がないといった話になっても、これもまた逆に問題ですので。 やはり派遣先の確保、あるいは求人の確保をきちんと併せていろいろ考えていく中で、 そうしたことも検討していきたいと思います。 ○輪島委員  事務局に伺いたいのですけれども。いま松田専務がおっしゃった、登録の時点で本人 が個人情報を開示するかどうかの関係ですけれども。派遣法上の理解では、例えば紹介 予定派遣であれば、「あなたは将来職業紹介を予定されてこれから派遣でいくのです」、 ということは事前に説明するわけです。そういう意味では、「あなたは障害をお持ちで、 障害者の派遣の仕組みでいくのです」ということを事前に説明して、故にあなたの障害 程度はどうなのか、手帳はどうですか、業務上の配慮はどうするのか、そこは派遣元に 聞かなければいけない話なので、必然的に、派遣スタッフが登録するときに、隠すとか 伝えられないということはないような仕組みにしなくてはならないと思いますが、それ を制度設計上どう書くのですか。 ○障害者雇用対策課長  ご指摘のとおり、少なくとも派遣元、派遣先に対して、派遣労働者になる方がどうい う状況で働くことができるか、どういう就業が可能かどうかを正確に伝える必要がある だろうと思います。その上で、前提となる職業能力の評価は、派遣元の会社は一般の労 働者に対しても通常やっていると思いますが、障害者の場合については、基本的に無理 に取ることではないにしても、やり取りをした上で詳細な情報を取って、その情報を元 に、派遣先にどういう就業条件で働くことが可能かを伝達する必要があると思います。 したがって、今回障害者の派遣を積極的に考えていく上で、障害の状況、就業能力の評 価ということと、それを派遣先にきちんと伝えることは制度の前提になるものだろうと 考えています。 ○輪島委員  制度の前提になるということは、それをしっかり書き込むということですか。どの程 度書くかは別にしても、そのことは担保されるという意味ですか。 ○障害者雇用対策課長  法制的にどういう形になるか、いろいろ検討する必要があると思いますが、当然その 辺りについて配慮して、制度設計していく必要があると考えています。 ○今野会長  そろそろ時間ですが、もう1つぐらいあれば。では、私のほうから1つだけ、よろしい ですか。もう1つセットでおっしゃられた、派遣先への助成とか支援なのですが、極端 なことを言うと、派遣の場合はいつまでいるかわからないというときに、施設や設備を 支援するのはすごくやりにくそうだと思いますが、通常の雇用と比較したときに、派遣 特有にこういう支援をしたらいいとか、もしアイディアがあったらお聞かせいただきた いと思います。 ○松田専務理事  特に派遣に限って、期間が短いからといったことで特段何かを考えているかというと、 そういうわけではありません。つまり、バリアフリーの設備をしました、それはお金が かかりました、で、半年でいなくなりましたといった場合でも、その設備は残るわけで、 派遣先の会社がその後さらに障害者雇用を進める上で、それが十二分に役に立つと考え ています。  皆様方のご審議の中で、例えば派遣に限って何か。つまり、期間が一定程度短いこと を想定した上で、それに向かって特別何かができるのであれば、皆様のご見識の中でも しそういう話が出てくるのであれば、私どもは非常に有難いと思います。ただ、我々と してはそのように考えていますので、施設・設備のようなものであっても、いなくなっ てしまったらもう使えないわけでは決してないので、障害者雇用の促進という観点から 見ればそれは役に立つと考えます。 ○今野会長  ありがとうございました。それでは時間ですので、この辺で第1の議題を終了したい と思います。ちょっとオーバーしてしまいました。大丈夫ですか。 ○松田専務理事  ありがとうございました。 (松田専務理事退出) ○今野会長  それでは次の議題に入ります。先ほども申しました議題2は「難病患者に対する雇用 支援」、議題3「発達障害者に対する雇用支援」です。この2つについて一括して事務 局から説明をしていただいて、議論をしたいと思います。 ○調査官  事務局でございます。資料2のほうをご覧ください。「難病がある人の支援について」 というペーパーです。  まず、難病についてご説明をいたします。難病は昭和47年に「難病対策要綱」といっ たものが定められ、その中に原因不明、治療方針未確定、後遺症を残す恐れが少なくな い疾病、経過が慢性であり、経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するため 家族の負担が重い、あるいは精神的にも負担が大きい疾病、という形で定義をされてお ります。こうした希少性、原因不明、治療方法未確立、長期療養を必要とする等の要素 を満たすような疾患の中から、診断・治療法等に関する研究である「難治性疾患克服研 究事業」といったものがあり、これの対象となっているものが123疾患となっており、こ れを難病の「特定疾患」と呼んでおります。  この特定疾患の123疾患のうち、治療が極めて困難なもので、医療費も高額であり、患 者の医療費の負担軽減を図るということで、「特定疾患治療研究事業」の対象となって いるものが45疾患あります。こういった123疾患、45疾患のものを難病と呼んでいるわけ です。この「難病対策要綱」に基づき、いま各種の施策を展開しているところです。  次の頁は「難病がある人の雇用支援施策」です。難病は支援をスタートさせてまだ歴 史が浅いということもあり、こういったラインナップになっております。まず1番目は 「難病者の雇用管理に関する情報提供の実施」ということで、平成19年にスタートさせ たものです。これは平成16年〜18年度にかけて、「難病の雇用管理のための調査・研究 事業」を実施いたしました。その研究成果を踏まえ、疾患別の雇用管理ガイドラインと か関連情報に関するサイトを作成し、その就職活動や就業上の配慮についての情報を提 供していこうというものです。高齢・障害者雇用支援機構において実施しているもので す。  2番目は「地域における雇用と医療との連携による障害者の職業生活支援ネットワー クの形成に関する総合的研究」です。これは17年度にスタートさせていただきまして、 19年度現在実施しているところです。医療側にも雇用側にも十分な、職業生活に患者の 方が参入するに当たっての共通認識がないというようなことで、連携も具体的には始ま ったばかりであるという状況です。そういった中で、地域における雇用と医療等との連 携における、社会的支援モデルの枠組みと方法論を明らかにするための実証的な研究を 行っているというものです。これも高障機構において実施しているものです。  若干、そうしたものの成果ですが、4頁です。18年度の委託事業の成果といたしまし て、『難病(特定疾患)を理解するために』といったもの。これは採用時の配慮、働き 続けてもらうための配慮、障害者雇用制度など、こういったものについて内容を固めた ものです。次の頁は『難病のある人の雇用管理・就業支援ガイドライン』という冊子を 作りました。例えば疾患別の代表的な28疾患のガイドラインとか、疾患に共通する基礎 知識と環境整備の内容について取りまとめたもので、近々、高障機構のホームページで 公開予定のこととしております。  また2頁に戻っていただき、「難病患者就労支援モデル事業」を健康局の疾病対策課 で行っているところです。これは障害者の就労支援策を参考に都道府県及び難病相談・ 支援センターが中心となり、難病患者への就労支援事業を実施・評価することとして、 国はその実施状況を各都道府県に還元し、各都道府県独自での取組を促進するというも のであります。4番目は「難病者相談・支援センター事業」といったものを設置をいた しております。これは都道府県単位で「難病相談・支援センター」を設置する事業です。 15年にスタートしたもので、現在47都道府県に設置がなされております。  次に3頁は「難病がある人の職業リハビリテーション利用状況」についてまとめてあ ります。ハローワークにおいて、難病123疾患のうち障害者手帳を取得していない方の 支援について、新規の求職者数が143人、就職件数が36人という状況になっております。 また地域障害者職業センターにおきましては、専門的な職業リハビリテーションを実施 しているところですが、障害者手帳を保有されない難病のある人の状況は、19年度上期 で22人となっております。なお、難病のある人においても、障害者手帳の有無にかかわ らずトライアル雇用とか、ジョブコーチ、障害者就業・生活支援センターの利用が可能 となっております。  資料3は「発達障害者の雇用支援について」まとめてあります。すでにご承知置きの 方も多いと思いますが、発達障害とは「通常低年齢で発現する脳機能の障害」として位 置づけられております。主なものについては、自閉症とか、アスペルガーの障害、学習 障害とか、注意欠陥多動性障害、こういったものがあると言われております。  自閉症とアスペルガーですが、基本的には、コミュニケーションの障害、対人関係や 社会性の障害がある、またパターン化した執行でこだわりがあるといったところが同様 ですが、両者の大きな違いは言葉の発達の遅れがあるのかどうかといった点。アスペル ガー障害の場合は、言語発達に比して不器用といった特徴もあります。学習障害につき ましては、読む、書く、計算する等に障害があると。それからADHDについては不注意、 多動、多弁、衝動的に行動するといったような特徴があります。小・中学校の通常学級 において、文部科学省の調査によれば、こういった児童生徒が6%在籍している、とい うような結果も出ているところです。  次に2頁の雇用支援策です。「発達障害者を対象とした支援施策」といたしまして「 若年コミュニケーション能力要支援者就職プログラム」というものを19年度からスター トさせております。これは発達障害等の要因により、コミュニケーション能力に困難を 抱えている求職者について、その希望や特性に応じた専門支援機関に誘導するとともに、 障害者向けの専門支援を希望しない方については、専門的な相談・支援を実施するとい うものです。こういった方々に対応するために、ハローワークの一般窓口のほうに就職 チュウターを配置するといったことなどを実施しているものです。  2番目は「発達障害者の就労支援者育成事業の拡充」です。これは18年度からスター トさせているもので、19年度において、発達障害者支援センターにおいて、関係者に対 するノウハウ付与のための講習とか、事業主を対象とした雇用管理ノウハウの普及・啓 発を行うためのセミナーを実施するというようなこと、それから発達障害者と支援者に よる体験交流会などを実施しているものです。  3番目は高障機構の障害者職業総合センターにおきまして、発達障害者の就労支援に 関する研究を行うとともに、リハビリテーションの支援技法の開発及びその蓄積を図っ ているところであります。その他発達障害者支援センターの就労支援者担当者等に対す る研修の実施などを行っているところです。なお、発達障害者の職業リハビリテーショ ンの利用状況につきましては、次の頁にございます。  ハローワークにおきまして、発達障害者、手帳を取得していない者ということでまと めてみますと、新規求職者数が284名、就職件数が110名といったところです。また、地 域障害者職業センターで専門的な職業リハビリテーションを実施しているところですが、 障害者手帳のない発達障害者の状況については、平成18年度583人という状況になって おり、いずれも大幅に増加をしているところです。難病と同様に障害者の手帳の有無に 関わらずトライアル雇用やジョブコーチ、それから障害者就業・生活支援センター事業 の利用が可能となっており、ジョブコーチ支援につきましては平成18年度36名、それか ら障害者就業・生活支援センターの利用者数は298人という結果が上がってきております。  7頁ですが、私どものほうで『発達障害のある人の雇用管理マニュアル』といったよ うな冊子とか、『発達障害を理解するために』といったような冊子、こういったものを 作らせていただいておるところです。いずれもホームページのほうからダウンロードを いただける状態になっております。  また発達障害につきましてはご案内の方も多いかと思いますが、9頁です。発達支援 法という法律もございます。これは発達障害の定義は法的の位置づけの確立とか、乳幼 児期から成人期までの地域における一貫した支援などを謳った法律です。内容につきま して10頁に記してありますが、障害者雇用促進法の他にもこういった法律を踏まえて、 施策を展開していく必要があるということであります。その他関連の附帯決議等につき ましては11頁のほうに記してあります。難病発達障害の雇用支援策等につきましては現 状のとおりです。以上です。 ○今野会長  ありがとうございました。それではご質問、ご意見をお願いします。 ○副島委員  難病のところが、どのくらいの対象者がいるのかというところで、全体的なところで す。いまここで手帳を取得している人とか、リハビリテーションを実施した人の状況は あるのですが、全体的にどのくらいの方々が対象になっているのかという数字。同じよ うに発達障害についても、発達障害支援法ができたとしても、実際にリハビリテーショ ンの利用効果がどの辺まであって、就労のほうへ向かって取組の進行、もしくは位置づ けというか方向性、そういうところはどこまでつかまれているのか、そういう状況を教 えてください。 ○調査官  はい、まず最初にお尋ねの難病のある方の全体の数ということです。手元にある統計 が、1頁の特定疾患の123疾患のうち、特定疾患治療研究事業の対象となっている、さ らに難しい45疾患のベースでの、医療費が軽減されるという制度があります。これを受 給するのに受給者証等が必要となってくるわけですが、こういった件数を合計いたしま すと、だいたい58万件ということです。患者数にして58万人ぐらいがいらっしゃるとい うことになっております。全体の数としてはこういう数字がいまのところ押さえられて いる状況です。  発達障害の全体支援に当たって、いまどういう状況にあるのかということですが、こ れは2頁に出させていただいてます。雇用支援策といたしまして、発達障害支援法が制 定されまして、19年度、いろいろな形で私ども新たな取組を含めてスタートさせていた だいているという状況です。  しかしながら発達障害というのは、非常に雇用をしていく上で難しい障害であるとい う認識もしており、特徴的にもいろいろな特徴をもっています。例えばコミュニケーシ ョンという、非常に仕事をやっていく上で重要なポイントといったようなものに障害が あって、なかなかそこのところがうまくいかないといったようなことですとか、対人関 係、社会性といったものもそうだと思います。そのほか学習障害とか、注意欠陥、多動 についても同様なことが言えて、非常にその職場で仕事になじんでいく上で重要な能力 といいますか、そういったところが非常に難しい問題を抱えておられる方々であるとい うことが言えるかと思います。  そいう意味で支援策も具体的にはありますが、スタートさせていただいたばかりであ り、また、支援対象者としても非常に難しい方々であるという状況の中で、現段階、い まの施策を少しずつ展開をしながらも、どういうやり方がいいかということも含めて、 手探りで支援を進めている状況にある、というふうなご説明をさせていただくのが適切 であろうかと思います。 ○障害者雇用対策課長  若干補足させていただきますと、発達障害の方はご自分が発達障害であるという認識 がない方が非常に多いと。幼年期あるいは小学校辺りで早期発見ということでやってお りますが、実際に私どもの主たる対象となります成人した方だと、現実にそれぞれアス ペルガーとか、自閉症とか、なかなかご自分で認識されていない。そういう方々をどう いう形で職業リハビリテーション等々の支援策につれて行くのか、つれて来るのかとい うのが1つの課題だろうと思っております。  もう1つは、多岐にわたる中でなかなか医学的にもまだ概念が定着しきっていないと いうことで、それぞれに対する支援方法もまだ確立しているとは言えないだろうと思っ ております。いま私どもがやっていますのは、発達障害の資料の6頁などにありますが、 ワークシステム・サポートプログラムということで、どういうサポートをすることがい ちばん効果的だろうかと。職業センターのほうでいろいろな形で、どういう形のサポー トが効果的であるかということを、いま実験的にモデルとしてやっているということで す。この辺りのノウハウを蓄積した段階で、各県の職業センター等というものが、さら に対応が可能になるというものがありますので、現時点ではノウハウを蓄積しながらす るという形で、普及させていくかということだろうと思っております。  発達障害と認識していない方をどういう形で支援に結びつけるかということと、そも そもの支援方法をどういう形でバージョンアップしていくのかという、この2点を中心 にいまやっているところです。 ○松矢委員  私は、この発達障害のほうの7頁の『雇用管理マニュアル』を、18年度にまとめるに 当たって、座長を勤めさせていただいた者です。いまも能力開発局のほうで、一般の能 力開発校で発達障害の職業訓練をもっときちんとやっていこうということの、そのマニ ュアルの作成も、いま座長として仰せ付かっております。  発達障害の方々の、こういうふうに研究が進んできて、いろいろな課題が見えてきて いるわけですが、また多くの方が企業に就職されている方もいらっしゃるわけです。そ このところが1つ課題としてあって、発達障害の方々、学習障害とか、自閉症とか、知 的障害を伴わない発達障害の方々については、ようやく当事者の親御さんとか本人の方 々もカミングアウトされて、なぜいままで失敗を重ねてきたのだろうかというところか ら、積極的に雇用の問題とか、社会参加の問題を考える方々も出てきて、そういう意味 で進んできているということが言えるかと思います。  そして文部科学省のほうではご案内のように、今年から特別支援教育が制度的に展開 されて、発達障害、知的障害を伴わない発達障害の方々の教育がスタートしている。し かもいままでと違うのは、幼稚園から高等学校まで、要するに通常学級できちんとケア していこうという形ですので、その問題は社会参加の段階、つまり高等学校を卒業し、 あるいは大学のほうも考えなければいけない段階です。いずれにせよ職業的な参加のと ころで、できれば自分の障害を親子さんも本人も、支援が必要な方はわかっているとい うことになれば、かなり違っていくだろうと思います。  いま、手帳があるかないかという問題ではありますが、そこは手帳なしでもうまくマ ッチングできる方もいらっしゃるわけですから、そういうノウハウをどんどん積み上げ ていくということが重要かと思います。ですからこういうマニュアルを作っていくとい うのも重要ですし、この中には学習障害とか、自閉症であることを明らかにして顔写真 も写っている方々がいらっしゃいます。そういう方々は療育手帳を取っている方もいら っしゃるし、精神保険手帳を取っている方もいらっしゃる。ですから手帳を使う方、特 に広汎性発達障害の場合には精神保険手帳を使うことができますので、その辺のところ は、この障害をどういうふうに理解し受け取めていくかということもかかわっていると 思います。  そういう意味で、これは難病の方々もそうですが、当事者の方々が積極的に職安のハ ローワークの窓口とか、障害者職業センターに出ていっていただいて、働きたいんだと、 こういうような形で一方では進めていかないと、企業だけの理解ではなかなか進まない というとこもあります。企業のほうの受入れは、我々が成功事例をうんと明らかにして いき、手帳がなくてもマッチングしていただくという状況を進めていくということだろ うと思います。  文科省の調査では新しい知的発達を伴わない発達障害の児童生徒が、小・中学校では 6.3%いらっしゃるということですが、そのままそれが職業的な支援が必要なのかどうか というのはまだ未知数であります。でも課題は十分明らかになってきますので、企業の 協力を得ながら社会的な理解を進めていくということがとても重要だと思います。  特に精神障害もそうですが、カミングアウトをしていくというところが、当事者の課 題はそれだけ社会のノーマライゼーションに向かう、あるいはバリアの課題が強い部分 だけカミングアウトできないということなので、かなり精神障害の方々の問題を含めて 社会啓発の力をもっと強めていかないといけないと。企業から見れば、就職後発病した、 特に鬱の方々はカミングアウトしていただければ、雇用率はもっと進むんだろうという 気持をお持ちだけれど、カミングアウトできないというのは、社会の課題でもあります。  我々審議会では、社会に向けてアピールしていかないと進まないと。イギリス、フラ ンスとかドイツとか6%、イタリアが7%というのはそれだけ障害者がカミングアウト しているわけです。実際にマッチングは理想的にはいかないけれど3.何パーセントは進 む、あと残りは納付金というような感じなのです。  6%という数になっているのはカミングアウトしていく、障害者の。つまり割当て制 度は第一次世界大戦から始まった制度ですから、働く力があるかどうかと包括的な概念 でいったのです。日本はそれを身体障害、知的障害、精神障害と積み上げていく難しさ です。社会がそういう一つひとつの障害について、どちらかというと閉鎖的であったと いうことがありますので、日本の場合のノーマライゼーションを阻むバリア、そこをも っと国民全体で解決していかないと課題が解決できない。なかなか1.8〜2.いくつかにい かない。私は概算的には3%ぐらい、オーストラリアぐらいいってほしいと思っていま す。以上です。 ○鈴木委員  難病の方たちの場合は、私たち中途の視覚障害のように仕事をしていてそういった難 病にかかっていき、仕事場に戻れるかどうかと。いわゆる就労というよりは職場復帰が どうやってできるかということが一つ課題かと。それについての部分をどうするかとい うこと。発達障害の方たち、先ほどの難病もそうですが、重なりますが、手帳をお持ち でない人たちを、障害として認定するかどうかの難しさがあって、職場では戻ってきて もいいですよと言うけれど、この人は障害のある人として認定していいのかどうなのか、 という部分が難しい気がします。  そのところのけじめというか、じゃ病気になったからこの人は障害にしちゃおうみた いなことがあっても困るので、その辺の診断書があるとか、手帳があるとか、そういう けじめみたいなものがこれから作られるかどうかということと、それから繰返しになり ますが、中途の視覚障害のように、中途の障害者の受入れというか、理解というか、そ の辺のところの進み具合をどのようにしていくかというのが課題かと思います。以上で す。 ○今野会長  お話を伺っておけばいいですか。よろしいですか事務局。 ○鈴木委員  はい。 ○今野会長  では松井委員どうぞ。 ○松井委員  障害を持った人たちというのはどの部位の障害であっても、軽い人から重度の人まで 非常に幅が広いわけです。例えば身体ですと、かなり寝たきりに近い状態の人でも、例 えばITを使って就労ということに縁がある人も、本人の前向きかどうかということも含 めてですが、可能性があるわけです。しかし、いまここに出ている発達障害、特に多動 性の人たちは、とても就労というよりも、生きていく上での居場所があるかないかとい う、社会で大変な思いをしている人たちが圧倒的に多いということも言えるわけです。  発達支援法の成果として支援センターを地域に設けていただいてますが、例えば相談 の予約をしても3か月あるいは半年先じゃないと順番が回って来ない、みたいな状況に あるわけです。だから医療機関もなかなか診てもらえる所がない。親たちが何があって も、少しの間でも預かってもらう所もなかなか思うようにない。そういう状態の人たち もいっぱいいるわけですよね。発達障害といわれる人たちの中で就労という網にかかっ てくるといいますか、その対象になる人たちは非常に幸せのほうだと、今後どうなるか は別として、いまの時点ではいいほうだと思います。  ただ、これは就労ということには直接なじまない話かもわかりませんが、障害者なが らそういう人たちもいるということを、皆さんに是非ご理解をいただいて、この課を超 えて、厚生労働省として是非。やはり医療とか居場所を含めると、いろいろな制度は独 自性を発揮して地域でやりなさいというのはいいと思うのですが、多動性とか発達障害 者の重い人たちへの支援というのは、国の段階できちんとやってもらわないと、なかな か地域・地方では大変だなと思っているのです。ちょっと外れたかもわかりませんけれ ども、この中にはそういうことがあるということを、是非皆さんにご理解いただきたい と思います。 ○松矢委員  松井委員のご意見、大賛成です。でも、ここで発達障害が課題になっているのは、知 的障害を伴わない方々なのですね。そういう中で、要するに働きやすい、生活しやすい 環境を工夫してつくってさしあげれば、力が発揮できる方がたくさんいらっしゃる。そ こがわからなかったわけですね。ですから、このマニュアルの中でも、こんな工夫をす ると非常に力が出ますと、知的障害がないわけですから。例えば暗黙の社会的なルール というのは非常にわかりづらい。こういうことをきちんとルールとして、マニュアルと してさしあげれば、そのたびに気付いていただくことで、だんだんわかってこられると いう方がいらっしゃるわけですね。  それは学校教育がずっと積み上げていけば、課題はもっと少なくなると思いますが、 いままでそうではなくて。一見ちょっと変わっているなという方が、職業生活の非常に 特別な、そういう意味ではいろいろな課題がある中で、集団生活、社会生活をしない中 ではうまくいかないことになるわけです。やはりそこの解決ということで、かなりたく さんの、学校教育でいくと6点、3点、出ているのです。要するに、これから手厚い支 援をしていくということで、文部科学省は基盤整備をしていくと思うのですが、それと 同じような基盤整備は、働く生活についても必要であるということだと思います。  あと、手帳を必要とするのかどうかというのは、もう少し次の出発点で考えなければ いけないと思うのですが、私としては難病の方とか、いわゆる手帳の対象にはなってい なくて、働く意欲があり、マッチングがうまくいく人については、持論ですが、医者の 診断書付きで職業リハビリテーション手帳みたいなものを職業センターが発行できる。 そうすればカウントできるというわけですね。そういう制度を導入していって、将来的 には、いま法律というのは3障害一体化に向かっているわけですから、包括的な適応に 全部統括していくと、そんな見通しを持っているわけですね。そうすると、おそらく3% ぐらいはいくだろうということなのです。  ですから、そういう意味でも職安や職業センターに働きたいというように言っていた だかないと、その数が把握できないのです。ですから、そこを何とかしていって、「こ んなにたくさんハローワークにいらっしゃっていますよ」とか、「職業センターに来て いますよ。だから、これを解決しなければならない」というようになっていかないとま ずいとは思っています。 ○輪島委員  雇用支援のところで雇用率のことです。私どもの理解は法定雇用率を出す計算式は、 分母に常用雇用労働者と失業者、分子に働いている身体・知的の障害者と、失業してい る身体・知的の障害者と、あと精神を入れているということです。そういう意味で、労 働市場の中にある率を同じだけしましょうということが、基本的な法定雇用率の作り方 だと思っていて、それについて1.8%の割当てがあるということですから、ドイツ・フラ ンスのようにエイヤとやって決めて、それで5%・6%もっていって、しかも第一次世 界大戦以後の戦傷病者からの歴史を持っているものと、労働市場としてどのような雇用 の在り方があるのかというように考えて切り分けている日本の制度とは、同じ割当て制 度を持っているとしても、必然的に違う思想があると考えているので、それが3%ない しそれ以上いくというところは、最終的には労働市場の中でどのぐらいの率があるのか ということを厳密に出している制度のほうが、非常にニュートラルだろうと思っていま す。  その点から言うと、難病と発達障害ですが、これまでは身体障害、知的障害、精神障 害、福祉の制度と雇用の制度を裏腹の関係で持っていて、手帳を持っているか、もしく はそれで相当する人について、持っていれば雇用でしましょうということで、一つひと つ雇用の分野ではそのことに該当するかどうかを認定することによって、つまり直近で は精神障害者が雇用の分野でカウントができるように、一つひとつ中に繰り入れてきた わけです。発達障害や難病ということも含めて、これから雇用の在り方を考えるのであ れば、むしろ福祉の制度からそれをコピーしてくる雇用の制度ではなくて、実際に手帳 制度とはリンクしないで、その人その人がどれだけ仕事ができるかという業務遂行能力 を1人ずつ判断する。  障害者手帳とはリンクしない形にすれば、例えば発達障害の人たちは、むしろコミュ ニケーション能力は非常に難しいわけです。そうすると、業務遂行上はダブルカウント ないしトリプルカウントのような形の業務遂行能力の状態である、というような一人ひ とりの判断を、いまの手帳制度とは切り分けないと難しいのではないか。すぐそのよう にしろとは思っていませんが、将来的に権利条約を批准して、何年か後にある形として は、そのようなことも含めて議論しないと、一つひとつ雇用の場面で、次は発達障害で すね、その次は難病ですね。その納付金を財源にしてモデル事業をやったり、マニュア ルを作っていったりしていくことが、本当に全体の雇用が進むような形になるのかどう かというと、少し疑問があるのではないかとは思っています。 ○今野会長  だいぶ大きい話が出てきたので、いまいろいろな意見が出ましたが、事務局からまと まって何かあったらお願いします。いま松矢委員からも輪島委員からも、例えば法定雇 用率の決定を基本的にどう考えるのかとか、雇用率の範囲というのはどのように考える のかとかなどという非常に基本的な問題が出てきていますが、ここの議題とは少し外れ るので、その点についての議論は今日はやめにしていただきたいと思います。それ以外 の部分で、どうぞ部長。 ○高齢・障害者雇用対策部長  難病、発達障害は、これまで取り扱ってきた3障害と就職という観点から見てどうか ということは、議論は進めていかなければいけないだろうと思います。いま輪島委員か らもありましたように、いますぐ雇用率とのかかわりの中で組み入れるかどうかという ことになれば、まだ議論がそこまで熟していないのかという感じも持っております。た だ、いろいろな状況の中で、将来的にはどうするという方向性があってではありません が、そういったことを含めて議論の場を設けていくことは必要かと。  ただ、一方では難病を持っていたり、あるいは発達障害を持っていたりという方の中 で、現に就職はしたいけれども就職できない方がおられるのも事実です。手帳があれば、 もちろん手帳に基づいて行いますが、そうでない方々について、いまでもいろいろな就 職プログラムの対象にはしてはおりますが、いまのような形で十分なのか、もう少し何 らかの支援が必要なのかということについては、今日の議論も踏まえながら、今回の取 りまとめの中で整理をしていきたいと思っております。 ○今野会長  だいぶご意見をいただいたので、いま部長もおっしゃられたように、今日出た議論の 論点をもう一度整理していただいて、また次の機会に議論をさせていただければと思い ます。今日はもう1つあって、これがいちばん時間がかかりそうなのですが、議題の4 番目の「今後の障害者雇用対策について検討すべき具体的論点」です。これまで議論し ていただいた内容を整理し、論点を整理していただきましたので、その内容を事務局か ら話をしていただいて議論をしたいということです。あとから出ると思いますが、いま 出た例えば難病なども、その後に論点の中に入れていくことになると思います。それで は、まず事務局からお願いします。 ○調査官  事務局でございます。資料4の「今後の障害者雇用対策について検討すべき具体的論 点(素案)」です。論点ごとにまいります。1頁の1番目、「多様な雇用形態等に対応 した障害者の雇用促進」においては、短時間労働に対する対応についてご議論をいただ きました。(1)ですが、短時間の労働を、障害者のニーズ等を踏まえて雇用義務の対象と する。具体的には、雇用義務の基礎となる労働者数に短時間労働者を加え、雇用してい る障害者数に短時間労働の障害者を加えることとしてはどうか、といった論点です。(2)、 カウントの仕方については0.5カウントということ。(3)は、企業の円滑な準備・取組を 促すという視点から、一定の準備期間を設けていくということ。(4)は、分科会の場でも ご議論いただきましたが、周知をしっかりやっていくということ。こういったことにつ いてまとめております。  短時間労働に対する対応として、若干補足の説明をいたします。別紙1、6頁です。 委員の方からの宿題になっていた、「短時間労働者を雇用義務の対象とした場合の実雇 用率の試算」を産業別に、現在、手元にあるデータで私どものほうで試算をしたもので す。試算の考え方ですが、「短時間労働者」と「短時間労働者である雇用障害者数」の 出し方については四角の囲みで書いてあり、※1に短時間労働者である雇用障害者数に ついては9,300という数字、これは平成15年とやや古い障害者雇用実態調査という統計か ら出したものです。これは全産業ベースの短時間の障害者の数ということで、これを使 いながら、これに産業別の短時間の労働者の比率を保険者数に対応した数字を掛算して、 それぞれの産業別の短時間労働者である雇用者数を出していることとしております。  ※2ですが、短時間労働者については、産業別の雇用保険の短時間被保険者に、56人 以上の企業規模の割合が必要になってきますので、全体の常用雇用の保険者数に相当す る数から56人以上の6・1ベースの常用雇用の労働者数に相当する数を掛算して、推計し ているというやり方としております。こういう推計ですので、特に雇用実態調査を活用 しているという点もあって、ある意味ではいろいろな前提を置きながらの推計というこ とになってまいりますが、その試算の結果が次の7頁です。  7頁には産業分類ごとの数字を出しており、雇用義務の対象とした場合、実雇用率が どのような形で変化するかということについて出しています。この試算の方法によると、 全体としてはマイナス0.02ポイントの低下となります。業種別に見ると、飲食店・宿泊 業、複合サービス業といったところを中心に、卸売・小売業、金融・保険・不動産業、 医療・福祉といったところが、ポイント的には大きい形となっております。全体的には 0.02という状況となっております。  もう1つのポイントとして、別紙2、8頁です。短時間雇用の義務化を行う場合に、 実際に事業主の負担が増えるようなケースにおいて、施行期日の公布日と施行日がどの ように変わっているのかということについて調べたものが次のペーパーです。これはい ろいろなケースがありますが、基本的には事業主の負担が伴うケースを抜粋しておりま す。最初の昭和35年に「身体障害者雇用促進法」ができたとき、身体障害者の雇用努力 規定ということでスタートしたわけです。そのときには、公布日施行となっておりまし た。また昭和51年に雇用義務のほかに納付金の制度を創設したときには、公布から施行 までの間が4か月ということでした。  9頁ですが、昭和59年の改正の際に、身体障害者の範囲を、身体障害者福祉法同様に 広げたというケースがありました。この場合には、公布から施行までの間が9か月とい う形となっております。また、平成9年に知的障害者の雇用義務を行ったときには、約 15か月間のギャップがあったところです。近年になって、平成14年に除外率制度を廃止 して、本則から付則に落とすということを行いました。その際には、公布から施行まで の間が23か月という経緯となっております。短時間労働に関する論点整理と、若干、委 員からご質問をいただいたことに対する資料提供については以上です。  次に、資料4の1頁、「派遣労働に対する対応」です。障害者が安心して働き、能力 を発揮するためには、派遣元、派遣先、それぞれが配慮すべき事項、ともに配慮すべき 事項について、明確にしてはどうかという視点。(2)ですが、その役割分担を考慮しなが ら、派遣元事業主や派遣先について支援を行っていくということ。さらに、本日もヒア リングにおいて、ご発言をいただいたことですが、障害者の雇用率制度の適用の在り方 について、本日のヒアリングと皆様のご質疑を踏まえて、また取りまとめてまいります が、いまのところ括弧の中には、これまでご議論いただいた研究会の報告書を踏まえた 対応案について記してあります。また、(4)は紹介予定派遣の場合、雇用促進のモデルが 確立するまでの一定期間、派遣元と派遣先に対する支援を検討してはどうかといった視 点、こういったところについてまとめてあります。  次に「中小企業における障害者の雇用促進」です。まず、雇用支援策の強化です。(1) ですが、障害者の採用や定着に関する情報やノウハウの提供等によって、障害者雇用に 関する不安の解消や、その環境の整備といったものを早急に進めることとしてはどうか といった視点。(2)は、雇用している障害者が離職防止等のため、障害者の雇用管理につ いて相談できるような体制を整備するといった視点。(3)は、ハローワークのチーム支援、 障害者就業・生活支援センター、トライアル雇用、ジョブコーチ支援等といった支援策 についての充実といった視点。(4)については分科会でもご議論いただきましたが、中小 企業の中で経験の乏しい所に対しては、周知・啓発、新規雇用への支援。障害者を既に 雇用している所に対しては定着支援、定着のための雇用管理、ノウハウ提供、納付金制 度に基づく助成金の中小企業への重点化等といった形で、中小企業の雇用状況に応じて 支援策を講じていくといった視点です。  3頁ですが、中小企業が共同で障害者を雇用する仕組みとして、複数の中小企業が事 業協同組合等を活用して、共同して事業を行う場合、当該事業協同組合等において、障 害者を雇用して事業を行うときに、障害者雇用率制度を適用する仕組みを創設してはど うかといった視点。(2)ですが、この場合、やはり安定的な雇用、職場への定着というこ とが非常に大事だというご意見もいただきましたので、実態上生じ得るような課題を把 握、整理しながら検討していくといった視点について挙げております。  3番目は、障害者雇用納付金制度による経済的負担の調整です。(1)ですが、創設以来 30年にわたって、300人以下の中小企業への適用を猶予してきたところです。中小企業 における障害者雇用の状況、雇用が進んでいる企業と進んでいない企業との間の不均衡 を調整するといった必要性も出てきたということで、一定の範囲の中小企業に対し、納 付金制度を適用して経済的負担の調整を行うこととするといった視点。また、(2)ですが、 障害者雇用に伴う経済的負担の調整を行うための雇用納付金制度の適用と、中小企業に 対する支援策の充実を並行的に実施して、障害者の雇用をより効果的に進めていくとい った視点。(3)ですが、企業規模別の障害者の雇用状況や経済的な負担能力等の考慮とい ったことから、一定の範囲の中小企業の中で、当初は比較的規模の大きい中小企業を納 付金制度の対象としていくといったような視点。このような形で論点をまとめておりま す。  3番目です。「福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進」です。(1) では地域の就労支援のネットワークの構築として、(1)、ネットワークを地域ごとに構築 していくことが必要であるといった視点。ネットワークでは、お互いの共通理解を持つ こと。ハローワークや障害者就業・生活支援センターをはじめとする支援に必要な機関 がネットワークに参画することといった視点。(2)ですが、効果的に行われるようにする ために、本人、保護者等、幅広い層に対して、いろいろなことの意識改革、特に中途障 害者に関する理解といったものも、分科会ではご意見を頂戴しましたので、こういうこ とに関して理解・意識改革を図ることとしていく、といった視点などについてまとめま した。  また、今後の就労支援機関の役割の在り方については、ハローワークがマッチングを 担う重要な機関であるということで、チーム支援を着実に実施すべき、そして支援策も 充実、効果的な活用を図ることとしていくといったこと。(2)では、就業・生活支援セン ターは障害保健福祉圏域への設置が必要であるといったことと、専門性の確保、実施体 制の充実・強化といった視点。(3)ですが、地域障害者職業センターの専門性とノウハウ を活かして、地域における専門的人材の育成や、地域の就労支援機関に対する助言・援 助の業務を本格的に実施すべきといった視点についてまとめております。  3番目です。人材の育成・確保についても、ジョブコーチをはじめとして、その他の人 材についても、必要なスキル・能力をレベルごとに明確化していく、あるいは育成方法 等について、さらに検討していくといった視点。(2)ですが、就労支援のノウハウや研修 の実績を有する機関等が率先して、専門的な人材の育成に取り組むということの視点。 (3)では、福祉系の大学の課程や社会福祉士等の専門資格の取得に必要なカリキュラムに おいて、職業リハビリテーションが盛り込まれることが必要ではないか、といった視点 などについてまとめております。  「その他の課題」として、1番目では納付金制度に基づく助成金の見直しをご議論い ただきました。基本的な見直しの方向としては、派遣元、派遣先、短時間労働を雇用す る事業主、中小企業への重点化、物的支援から人的支援への重点化、支給期間、上限額 など、いろいろな形で適正化を図っていく。今後の障害者雇用対策の方向を踏まえて、 適正化を図っていくという視点。さらに、個々の助成金の見直しに当たっては、こうし た重点化を図るといったことを前提としながら、できる限り幅広い事業主が支給対象と なり、きめ細かい対応が継続的にできるよう見直していくといった視点などについて、 ご議論いただきました。  次頁ですが、除外率の引下げです。除外率については、ノーマライゼーションの理念 の下、いろいろな法律の規定等に基づき、段階的に引き下げ、廃止を目指していくとい う基本的方向性の下、検討を進めていくということ。そして、各業種、除外率は設定さ れているわけですが、それぞれ経緯や過程、現状があります。こういった中、社会連帯 責任の理念の下、どういう方法で引き下げていくのかといった視点などについて、ご議 論をいただきました。  また、精神障害者等の雇用支援については、求職者、就職件数が大幅に増加しており ますが、残念ながら企業における精神障害者の雇用は、それほど進んでいない状況にあ るということから、雇用義務化の環境が早急に整うように、予算措置などの雇用支援の 一層の推進、充実を図ることとしていくといった視点。今日、発達障害、難病などにつ いてもご議論いただいたので、取りまとめを図っていきたいと思っております。  4番目は権利条約です。障害者権利条約の締結に向けて、各国の動向などを踏まえな がら関係者の意見を聞いて、制度改正等について検討を進めるべしといった視点。また、 特に新しい概念として、合理的配慮といったものがありますが、労使、障害者団体等を 含めて、考え方の整理を早急に開始していく。あるいは締結に向けた条件整備として、 対応可能なものについては、順次措置をしていくといった視点についてまとめておりま す。  前後して恐縮ですが、もう1つの視点として別紙3です。「中小企業における障害者 の雇用状況の低下の要因について」、分析をすべしというご議論も頂戴しましたので、 私どものほうで若干の材料を用意しております。11頁、12頁に中小企業の動向の状況が ありますので、表の見方を説明します。平成14年に産業分類の改定があり、相当、産業 分類が変わっております。平成5年から平成18年にかけて、製造業はそのまま分類が変 わっておりませんが、例えば運輸・通信というところについては、情報通信というカテ ゴリーができたということ。さらには、サービス業や複合サービス業に移っていった業 種があるということで、なかなか業種別に単純な比較ができないという状況にあります が、対応関係を記させていただいたのが11頁、12頁、13頁です。11頁、12頁については、 いわゆる中小企業の部分です。11頁で「63人〜99人」とあるのは、当時、雇用率が低か ったということがありますので、63人からの雇用義務の制度となっていたため、63人か らの比較となっています。  10頁に、この調査の結果をまとめてあります。障害者雇用状況報告等によると、平成 5年以降、障害者の雇用状況が低下した要因としては、障害者雇用に関する意識、取組 のほか、以下のような点が挙げられると考えております。産業構造が変化する中で、中 小企業全体の実雇用率を大きく引き上げていた製造業の実雇用率が低下しているといっ たこと。そして、中小企業における製造業の占める割合自体も、低下してきているとい うことがいえようかと思います。この辺りは16頁にグラフで記しているところですが、 中小企業の中で、製造業企業が占める割合が年々低下してきているのが、青い折線グラ フでわかると思います。  製造業自体が占める割合も低くなってきたし、昔ほどの雇用の吸収力がなくなってき たということに加えて、2番目で医療・福祉などの業態を除き、企業数割合が増加して きているような非製造業の、障害者雇用の状況が低迷したままであるといったこと。産 業構造が変化する中で、こういったことが雇用状況が低下していることの要因ではない かということで、若干、分析をさせていただいたところです。  最後に資料として付けましたが、これは本日の議論とはちょっと別の議論となります。 平成19年10月30日に発表した、都道府県の教育委員会に対する適正実施勧告の発出に関 する資料を添付しましたので、参考にしていただければと思います。説明は以上です。 ○今野会長  これまでここで議論したものを、全体的に論点を整理していただきましたので、論点 は非常にありますので、重点化しながら第2ラウンドの議論に入っていくと思います。 今日は残った時間で、どこでもいいので、バッと自由に議論をしていただきたい。こう やって全体が整理されて出てきたのは初めてですので、何でも結構です。 ○輪島委員  まずお伺いしたいのは、この論点整理に盛り込まれないと、それ以降のものは検討項 目としては落っこちていってしまうのかということは、どのように考えたらいいのでし ょうか。 ○今野会長  一般論では答えにくいですよね。つまり、基本的にはここで論点整理をして、この範 囲内で議論をしましょうということなのです。ですから、途中で入れられたら混乱する から嫌だというのが私の気持です。ただ、事が重要だったら入れますよね。そういう意 味ですよ。ですから、一般論では答えにくいと。 ○輪島委員  多様な研究会で提起をしておいた、特例子会社を持たないグループ適用であるとか、 研究会ベースではいくつか論点を提起してあったものが、ここから落っこちてしまって いますが、それについてはどのように考えたらいいのか教えてください。 ○今野会長  それはどうですか。何かありますか。 ○障害者雇用対策課長  審議会の議論の中で、特段その辺りは議論になってこなかったということで、今回の 具体的論点の中には入れておりませんが、そういうご指摘があれば、当然、論点の中に 盛り込んだ上で、最終的に審議会のご意見という形で頂戴できればと考えております。 ○今野会長  もしそういうことが必要だったら、もう一度言い直します。もしほかにもあったら、 パッと言っておいていただいたほうがいいと思うのですが。 ○輪島委員  全部言いますか。 ○今野会長  20も30も、いっぱいあるのですか。 ○輪島委員  3つぐらいあるような気がします。 ○今野会長  3つ言ってください。 ○輪島委員  4頁の「その他の諸課題」になるかと思います。1つ目はいま申し上げた大企業では 特例子会社を設立して、雇用の促進について、これまでかなり努力をしていたという点 があります。基本的によく調べてみると、非常に大きな、5,000人以上などという規模で 特例子会社をつくるケースは、何とか進んできていると思いますが、税金などいろいろ な関係で、特例子会社といえども、自分の会社を1つ設立しなくてはなりませんから、そ れなりの手間と資金的なことを、かなりの意思決定をしなければ、特例子会社を新たに 設立するのは難しい。  選択肢として、結局は222社ぐらいですから、数多ある中で220社はできたけれども、 それ以外はなかなか設立までこぎつけるのは難しい状況であるとすると、特例子会社を 選択せずに、どこかの事業会社が特例子会社的なものとみなして、雇用管理をすること ができれば、特例子会社を持たずに、特例子会社的な仕事ができるような機能を持たせ ることが、今後の障害者雇用について言えば、むしろ促進になるのではないか。企業担 当者からは、特例子会社までつくるのは大変だということが間々出てきます。そういう 意味で、特例子会社を持たない制度をご検討いただきたいと思っています。  2つ目は、またこれも特例子会社ですが、特例子会社を設立して何年か経ってくると、 グループの中で言うと、障害者雇用は特例子会社が引き受けてやっているので、親会社 としての意識が低下していくという傾向も無きにしも非ずということですので、特例子 会社で採用されている人たちが、できれば親会社へ転籍をしていくという仕組みにすれ ば、特例子会社は新たに人を採用すればいいわけです。そういう意味で、人材活用・育 成の観点からも、また親会社での意識を継続的に持つという観点からも、なるべく特例 子会社で仕事ができる、能力開発をされた方は、親会社に移っていかれるような仕組み。 これは助成金なのか、能力開発なのかわかりませんが、そういうインセンティブになる ような仕組みも、一部ご検討いただければありがたいと思っています。3点目は、後ほ ど申し上げます。 ○今野会長  1点目がよくわからなかったのですが、既存の事業所に、例えば障害者の方をたくさ ん雇用することにして。 ○輪島委員  既存の事業所に採用されていれば、親会社とどこかの会社に採用されているとみなし て、カウントを1つにする。だから、新しい会社をつくらなくても、既存の会社で障害 者雇用の雇用管理をすることによって、そこを雇用率のカウントの傘の中に入れると。 ○今野会長  それは当然、企業グループ内の会社ですよね。 ○輪島委員  きっとそうでしょう。 ○今野会長  それは考えている。それは何らかの基準を変えて、疑似的に特例子会社として認めろ ということ。そのときに、障害者が何割とか、特例子会社にするときの条件がいくつか ありますよね。それはそのまま適用してですか。 ○輪島委員  制度的には、おそらく認定要件を横滑りしてくればいいと思います。つまり、5人で 重度割合が30%でと、そういう要件は新たな所に掛ければいいと思いますけれども。 ○今野会長  そうすると、あれは広い意味でいくと、ガバナンスの関係も認可事項にいろいろ入っ ていますよね。それも含めて一緒でいいと。では、新規か既存かだけということですか。 ○輪島委員  そうです。 ○今野会長  2番目は、別にいまだってできますよね。ただ、インセンティブを考えるわけですね。 ○輪島委員  1番目との関係がありますから、1番目だと、既存の特例子会社を設立するインセン ティブ、これから新規につくる会社へのインセンティブというのは何かということも切 り分けなければいけませんが、通常いまそれはなかなかできていない。できるようにし たいなと思うためには、何かインセンティブが必要ではないか。 ○今野会長  別に制度的には何の障害もないですよね。 ○輪島委員  助成金、ないし何かのことであれば、制度的な担保は要らないと思います。 ○今野会長  ということは、インセンティブがほしいと。 ○輪島委員  はい。 ○今野会長  はい、理解しました。3点目は、また思い出したら言ってください。ほかにご意見が ありましたらどうぞ。 ○新澤委員  中小企業の立場から話をするわけですが、私ども中小企業はこの問題については不安 と負担の解消、この環境の整備を十分やっていただきたいと。そうでなくても、現状で は中小企業も企業によってものすごい大変な問題がいっぱいあります。  もう1つはペナルティ、納付金の問題です。これはご存じのとおり中小企業というの はほとんどオーナー経営者が多いので、ペナルティ問題はむしろそっちのほうにも納付 することだけにいってしまって、障害者雇用に一生懸命なることを避けてしまうのでは ないか。もちろん社会的な責任は考えているわけですが、我々がそういう立場で見た場 合、案外そういうことについては、逆にこのぐらいでできるなら何か工夫したほうがい いのではないかと。そのほうに走ってしまったら、せっかく。  本当の問題はペナルティを取ることが問題ではないわけで、当然、障害者をいかに1 人でも多く雇うかと。これは業種によってはいま言ったように不安と負担が多いから、 なかなか積極的になれないのですが、実際雇用してみたら案外よかったなどということ は、いろいろあろうかと思うのです。ですから、そういう面での方向付け、啓発、みん なにリードしていただくということですか。そういうことに重点を置かれたほうが、納 付金などという形でなくて、そういうほうに持っていっていただければと思いますけれ ども。 ○鈴木委員  先ほど3の(1)ですか、教育、福祉の連携という部分がありました。先日、こちら のほうで教育委員会の雇用率の発表をしたあとに、新聞などで見ると、いろいろなコメ ントが発表されていた中でちょっと着目したのが、教育委員会で働く障害者の中で、免 許がないから働けないんだみたいなことをおっしゃっているコメントが結構あったので す。そうすると、我々視覚障害など、いろいろ障害のある者は大学に入れないとか。要 するに点字受験を認めていないなどといったところを検討しないでいて、免許が取れる ところへ入れなくて、免許がないから勤められないという論理になってくるわけです。 その辺のところも、ここは教育の分野になっていくのでちょっと違うと思いますが、そ ういったことも踏まえつつ、ネットワークというのであれば、そういったところで教育 が受けられるような体制も、ひいては就労にはつながってくると思うので、その辺のと ころもちょっと加えていただけるといいかな、検討していただけるといいかなと思うの です。  もう1点は、前回でしたか、補助金や助成金の見直しがいろいろあったのですが、も う少しお話があるかと思ったらあれで終わってしまったので、これはもうちょっとお話 合いをしていただけるといいかなということで、その2点です。 ○今野会長  後者のほうは議論していきましょうということですから、前者のほうですが、どうし ますか。ここで議論しにくい。 ○鈴木委員  そうですね。 ○今野会長  つまり、ここで政策を作るというわけにいかないですから、要望するなどという感じ ですかね。 ○鈴木委員  一言ここから何か。 ○今野会長  これは別に結論ではないですから、論点が書いてあるだけなので、その辺は気になっ ているということは、とりあえず入れておいていただくと。でも、極端なことを言えば、 こちらは別に、向こうがどう言おうが「雇用率、守って」としか言わないですよね。 ○菊池委員  この「具体的論点」の所で、障害者自立支援法との関係があまり見えてこない気がし ているのです。例えば在宅就労支援、NPO団体への助成などの障害者自立支援法との関係 のことも、どこかに入れておいたほうがいいのかと思いますが、いかがでしょうか。 ○今野会長  この点どうですか。 ○障害者雇用対策課長  ご指摘のとおり、障害者雇用促進法の中で、在宅就労団体に対する支援等々をやって おりますので、その辺りは次回にでもご報告させていただきながら、最終的には論点等 々の中にということも検討したいと考えています。 ○大島委員  まず、1頁の「多様な雇用形態等に対応した障害者の雇用促進」の(1)短時間労働 に対する対応ですが、先ほど事務局から説明があったように、資料4の7頁に産業別の 影響度合という試算が出ています。それプラス、特に規模別、地域別などにより、もう ちょっと詳細なデータを出すことは可能でしょうか。もし可能であれば、それを基に議 論を進めたほうがいいかと思いました。  もう1点、特に短時間労働者を多く抱える企業というのは、例えば小売関係の企業か らは、障害者の短時間労働希望者はあまりいないのではないか、という声がいくつか聞 いてあるのです。それで、9月18日の分科会では、障害者の求職者のうち、求人ベース で、短時間労働を希望する人が全体の24%であるのに対して、実際の就業率は6.7%の 試算が出ていましたが、求職しても本当に受入企業はないということなのか、企業との 間でミスマッチが起きているというのか、その辺もう少し調べたほうがいいと思います。  3頁、大きな項目で「中小企業における障害者の雇用促進」の中の(3)ですが、「 障害者雇用納付金制度による経済的負担の調整」です。まず、納付金の適用拡大の問題 については、中小企業の多くは納付金を免除されているから、あくまでも障害者を雇用 しなくてもいいと考えているわけではなくて、雇用者の求人をしても応募が少ないとい う現状が多いことを、まず理解していただきたいと思います。  今回の資料で、中小企業の雇用率が下がった大きな原因として、製造業における雇用 の減少が上げられていますが、本当にそれだけが要因なのか。特に中小企業を取り巻く 経済の低迷というのが大きな要因だったのではないでしょうか。そもそも納付金がスタ ートした1977年当時と比べて、現状では、さらに厳しい国際競争に晒されていて、中小 企業を取り巻く環境は大きく変化しています。製造業以外にも、中小企業は総じて経営 的に厳しいことに加えて、中小企業への就業希望者も少なくて、大企業並みに雇用率を 達成するのは難しい状況にあるという現状で、一概に製造業の雇用率が下がったから、 全体の雇用率が下がったと判断できるのかどうかも、もう少し分析していただきたい。  3頁の3「福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進」ですが、障害者を 雇用する際、就業可能な業務内容は障害者個人により異なることが多いと考えています。 企業と障害者のミスマッチを防ぐためには、求職者情報をより細かく設定するなどの内 容面の工夫や、企業担当者の訓練施設や教育機関の見学などの実施によって、企業と福 祉機関、教育機関との相互理解と連携の推進は是非必要だと考えております。それ以外 にも、トライアル雇用などは、障害者雇用の推進のために必要ではあると思います。こ れはあくまでも雇用を前提とした制度であるので、例えばインターンシップなど、雇用 よりもさらに前の段階で、障害者と企業が接触する機会が増えれば、障害者の雇用促進 にもなるのではないかとも考えています。  4「その他の諸課題」の(1)障害者雇用納付金制度に基づく助成金制度の見直しで すが、私ども会員企業からは助成金を申請する際に、制度によってハローワークや高齢 者・障害者機構と分かれていたり、助成金を申請する際の手続が煩雑だったという意見 が寄せられているので、今後はワンストップでの相談体制や申請手続の簡素化などを検 討していただきたいと思います。(2)の除外率の引下げですが、前回の分科会でも申 し上げましたが、業種の特性もさることながら、規模が小さければ間接部門の従業員が ぎりぎりでやっている所が多いので、こうした事業所の現状を踏まえて、一率的な引下 げが可能なのかどうか、もうちょっと慎重に検討していっていただければと思います。 以上です。 ○新澤委員  ちょっと付け加えたいのですが、いま若年労働者が足りないわけですよね。私は福島 県なのですが、高校の新卒が普通だったら100%はなかなかないのです。昨年辺りから、 多少残っても5、6月。要するに若年労働者がほしいということで、100%になるという 現状の中ですから、障害者であっても、若い人ですね。若いというのは10代という意味 ではなくて、老齢化された65歳以上などよりも、仕事によっては若い人でなければとい う仕事もあるし、何せこういう状況ですから人手が足りないということです。そういう 面で、環境さえ整備していただければ、中小企業も私は大いに。  かつての昭和48年のインフレのときに労務倒産が非常にあったわけですが、そういう ときに障害者、あるいはいろいろな面で雇用が増えたということがあります。いまは労 務倒産などという言葉は聞かれませんが、あのときはそういうことで現実、地方では障 害者も随分雇われた例があります。その辺などもちょっと考慮されてやられれば、前向 きで、否定的なことばかり言ったのでは申し訳ないのですが、いいのではないかと思い ます。 ○今野会長  いま大島委員からいくつもの意見があって、ご意見の部分は、今日はお聞きしておけ ばいいということですか。ご質問というか、要望みたいなものもありましたよね。メモ は取り切れなかったのですが、例えばいちばん最初の統計データ、これは何ですか。 ○大島委員  産業別の影響度合についてはあるのですが、規模別とか地域別がない。 ○今野会長  これが可能だったらどうかということですね。そういうのを含めて、一括してお答え いただければと思うのですが、全部メモを取ってありますか。 ○障害者雇用対策課長  大島委員、あるいは新澤委員からいろいろご指摘がありました。1点目のデータの関 係です。企業別のデータについては、本日お配りした資料の中で、17頁、18頁辺りに記 載してあります。従来からお出ししているもので、大企業については総じて雇用率が改 善している中で、やはり299人以下の企業で低下しているというデータになっておりま す。地域別等々、分類できるかどうか、データを揃えて対応できるものであれば、次回 にでもお示ししたいと考えています。  2点目として、求職について、短時間について求職しても、なかなか要望はないので はないかというご指摘もありました。この辺り、現行の制度が、身体あるいは知的の通 常の方については、雇用率の中に入ってこないということもありますので、そういう影 響があるのかどうかという辺りもあるかと思っております。  中小企業の雇用率の低下について、製造業だけが要因かどうかというご指摘がありま した。国際化の影響等々、非常に厳しい面があるというご指摘です。おそらく国際化の 影響を真正面から受け止めたのが、中小企業の中でも製造業の分野だったのだろうと思 っております。そういう意味で、製造業の分野、あるいはもう1つ言えば建設業の関係 というもので、雇用率が低下していると考えています。また、製造業の中でも、詳細を 見ていくと、例えば縫製など、まさに中国等々との競争の厳しい分野ほど低下している という傾向が見られるところです。  そういう意味で、いろいろな要因はあるかとは思っておりますが、私どもで調べた中 では、いま申し上げたような製造業、あるいは建設業も一部ありますが、そういうもの の低下と、その他のサービス業は国際競争という面では影響を受けにくい部分ですが、 従来から雇用率の低かったサービス業を中心として、事業所数が増えている、雇用者数 が増えているという中で、そこの障害者雇用が進んでいなかったという2つの意味があ るのだろうと思っております。  3点目で、ミスマッチ解消のために、ハローワークの職員等々が事業主に対して、いろ いろな形で対応すべきではないか。また、企業担当者等の見学会等での福祉施設、ある いは養護学校等との相互理解を進めるべきではないかという点は、全くご指摘のとおり だろうと思っております。また、トライアル雇用も、非常に障害者の雇用に有効ですし、 来年からは精神障害者向けにトライアル雇用の精神版であるステップアップというもの を、助成金で新たな枠組みを作ろうと思っております。こういう枠組みを使う中で、事 業主の方が無理なく障害者の雇用を進められる環境も、併せてつくっていきたいと思っ ております。  次に、助成金の関係のご指摘がありました。今回の論点整理の中でも、いろいろな形 での申請の簡素化等々について記載しているところです。せっかくの制度ですから、な るべく活用していただいて、障害者の雇用が進められるような形にしたいと思っており ます。財源の問題から、窓口が高障機構、あるいはハローワークと分かれている部分が ありますが、いずれにしてもその辺りは少なくとも情報のワンストップ化というもので、 どういうものが活用できるのかということで、事業主の方にご負担をかけないような形 を考えていく必要があると考えております。  さらに、除外率についてのご指摘がありました。記載してあるとおり、業種あるいは これまでの経過等々の問題があると考えております。ただ、規模の小さい所について影 響が大きいということでしたが、いきなり高いパーセントを落とすということであれば、 それなりの影響はあるかと思っておりますが、段階的に縮小するということであれば、 その段階的に縮小する部分について言えば、規模の小さい企業にはそれほど大きな影響 はないのだろうと。むしろ大企業のほうが影響は大きいのだろうと考えております。そ ういう意味で、全体的には業種等の影響というものを見ていく必要はあるわけですが、 前々回の法改正の中で結論が出ておりますので、どういう形で軟着陸をさせていくのか という観点からご議論を頂戴できればと思っております。  また、新澤委員のほうから、若年者不足との関係で、障害者雇用の可能性があるとい うことをおっしゃっていただきました。いずれにしても、障害者の方々が働ける環境を つくることは非常に重要だと思っております。私どもは雇用率に含めるということで、 雇用を義務化して、事業主にご負担をかけることだけを考えているわけではありません で、助成金等々の措置を講ずることによって、環境を整えながら、障害者雇用をどうい う形で進めていけるかという観点から、論点をまとめさせていただいているところです。 そういう観点からご議論を頂戴できればと考えています。以上です。 ○今野会長  先ほどの宿題の第3点目をお願いします。 ○輪島委員  前回の制度改正で、調整金のところで、特例子会社と親会社の選択制を導入していた だきましたが、いまグループ適用会社が多くなっているので、どちらかに所得が入ると、 1回入ったそのお金を関係会社に分けると、雑所得で半分税金で取られてしまうことに なるのです。調整金を選択制ではなくて、指定の口座にすべて分けて入れていただくと いうことが、非常にテクニカルな重要な点なので、その点を申し上げておきたいと、そ れが3点目です。  もう1点、2頁の「中小企業における障害者雇用の促進」の(4)の下から2行目、「納 付金制度に基づく助成金の中小企業への重点化等」です。前回、事務局から資料が出て きたように、大企業の1.8%と1.52%の乖離のところで8万人、大企業の所で4万人、中 小企業の所で4万人、不足しているというのが、ざっとした状況です。その点で、雇用 促進の一助となる助成金が、このとおり中小企業のほうへ重点化されていくというのは、 ちょっといかがなものか。ファンドとして払っている所に還元されずに、中小企業が重 点化されていくというのは、ちょっとつらいかなと思っています。その点は反対という ことです。 ○今野会長  わかりました。 ○野村委員  4頁の(3)の「就労支援を担う人材の育成」、つまりジョブコーチの関係です。確 かにこういう議論だったと思うのですが、タイトルにあるとおり「確保」、人材の確保 という面での議論というか、少し不足していたのではないかということです。特に供給 源といいますか、そういうところをやみくもにターゲットを広げるのではなくて、絞り 込んで、例えば経験者がたくさんおられるような企業、あるいはそういう方のOBから積 極的にジョブコーチになっていただく等の、ターゲットを絞った確保の求め方といいま すか、そういうことも考えていかないと。ある意味、目標をしっかり持って、いついつ 期限までにジョブコーチを何人増やしていかなければいけないというものをきちんと持 つとすると、そういったターゲットを絞り込んでいくことも、見方としては必要なので はないかということがあります。どうしてもジョブコーチの社会的な認知度が低いとい うこともあるので、そういうことに対してのトライというか、取組も必要なのではない かと思います。 ○長谷川委員  3頁の(2)の(1)の中小企業が共同で障害者を雇用する仕組みで、事業協同組合につ いては、前回のも少し議論しましたが、これはもう少しイメージを出してほしいです。 私は、まだ分からないので納得していないのです。  今日は来ていないのですが、労側委員の高橋委員は、この事業協同組合方式をやった ときに、使用者の顔がよく見えないのではないかと、使用者が不明確ではないかと言っ ていました。事業協同組合を否定するのではないのですが、どうやって行うのかを、も う少し議論してほしいと思います。  あと、今度の短時間労働に対する対応や派遣労働に対する対応は、雇用・就業形態の 多様化が進んで、この10年間で非正規雇用労働者は20%から30%をこえるまでになり、 10ポイントも母数が増えたわけですから、雇用義務の基礎に入れることは決定的な理由 です。そこは、きちんと押さえておく必要があるのではないかと思います。  先ほどの派遣のところでの、助成金の話なのですが、派遣元と派遣先に対する支援に ついては、私は派遣先の支援は必要であるけれども、派遣元は必要ないのではないかと 思っているのです。次回、派遣元と派遣先の支援が具体的にどういうものなのかも出し てください。以上です。 ○今野会長  いまおっしゃられたことの多くは第2ラウンドで議論することだと思います。特にい ちばん最初におっしゃられたことは、一度ちゃんとやらなければいけないのではないで すかね。良いものを考えなければいけないですよ。こういうのが必要であれば、共同雇 用みたいにしないといけないということだったら、何か考えると。ですから、この文章 も「協同組合等」になっているから、いろいろな可能性はあり得ると思っております。  そろそろ時間になりましたが、よろしいでしょうか。今日は、これまで議論した論点、 全体をもう一度、皆さんに議論をしていただきました。今日はこれで終わりたいと思い ます。次回の分科会ですが、11月21日の10時から、厚生労働省5階の第7会議室で行う ことになっております。次々回がその翌週、28日になっていますので、よろしくお願い します。いつもと同じですが、次回および次々回の分科会の出欠の確認の用紙が配付さ れますので、本日ご記入いただくか、あるいはお帰りになってからファックス等で連絡 をいただければと思います。議事録の署名ですが、労働者代表委員は泉田委員、使用者 代表委員は新澤委員、障害者代表委員は松井委員に、それぞれお願いいたします。それ では、今日はこれで終了いたします。 <照会先>    厚生労働省 職業安定局 障害者雇用対策課 調整係     〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2      TEL 03(5253)1111 (内線 5783)      FAX 03(3502)5394