07/11/01 平成19年11月1日医道審議会医師分科会医師臨床研修部会議事録        医道審議会医師分科会医師臨床研修部会          日時 平成19年11月1日(木)          14:00〜          場所 東海大学校友会館望星の間 ○医師臨床研修専門官(井内) 定刻になりましたので、ただいまより医道審議会医師 分科会医師臨床研修部会を開催させていただきます。本日は先生方にはご多忙のところ ご出席いただきまして、誠にありがとうございます。本日の議事ですが、医師臨床研修 制度に係る検討についてということで開催させていただきます。本日は大橋委員、長尾 委員、吉田委員が欠席となっております。  それでは議事の進行に入らせていただきます。これ以降は部会長のほうでよろしくお 願いいたします。 ○部会長(齋藤) 初めに議事の進め方、資料について事務局から説明をお願いします。 ○医師臨床研修専門官 まず資料の説明をさせていただきます。お手元に配らせていた だきました資料ですが、議事次第、座席表、委員名簿がございまして、その下に資料1、 報告書(案)がございます。参考1、報告書(案)ということで、資料1の見消バージ ョンを付けさせていただいております。さらに、参考2としまして、山下委員からの意 見書、参考3として、医師養成のためのグランドデザインということで、全国医学部長 病院長会議の提言を付けさせていただいております。さらに参考4、平成19年度に行わ れました研修医のマッチングの結果を付けさせていただいております。不足資料等がご ざいましたら、事務局のほうまでお申し付けください。  本日の進め方ですが、まず参考資料1を使いまして、前回の部会が終わったあと、ご 意見をいただいたもので加筆修正しているところがあります。その部分を中心に、事務 局より簡単に説明させていただいた上で、ご審議をいただければと考えております。 ○部会長 本日の主題は報告書の案についての検討なので、いま言ったような進め方で よろしいでしょうか。いろいろなご意見があると思いますので、その都度活発におっし ゃっていただければと思います。それでは説明をお願いします。 ○医師臨床研修専門官 参考1で説明させていただきたいと思います。前回部会が終わ ったあと、先生方からご意見をいただきまして、修正したものです。今回の説明につき ましては、現状ということよりも、今後の対応を中心にどう書き加わったかということ で説明させていただきます。  まず表紙ですが、4番と5番の順番を入れ替えております。「臨床研修病院の体制等の 充実」を上に持ってきて、「臨床研修制度を含む医師養成のあり方」を5番にさせていた だきました。内容ですが、「はじめに」は、特に大きな変更はないと考えています。  4頁の2.「研修プログラムの改善」というところで、少し説明をさせていただきたい と思います。7頁を見ていただければと思います。今後の対応というところで加筆修正 が加わったところを説明させていただきます。1つ目の○の後半部分です。「一方、研修 を終了した医師に対して中長期的にどのような影響・効果があったかについては、現時 点で評価することは困難であり、引き続き検証する必要がある。このことから、研修分 野やその機関など、研修プログラムの基本的な部分について、現時点においては、現行 の方式を継続することが妥当なものと考える」というものが加わったものです。さらに その下です。「一方、臨床研修病院や大学病院におけるプログラム作成や、指導体制の確 保をより柔軟に行えるようにするとの観点から、当初の12ヵ月においても、必修科目(小 児科、産婦人科、精神科及び地域保健・医療)の研修を一定期間に限って可能とするよ う変更することが、より実情に合っているものと考える」というところが、前回と変わ った点です。さらに8頁、1つ目の○を途中から読ませていただきますと、「ほとんどの 臨床研修病院や大学病院においては、現在の臨床研修においても、種々の文献を検索し 考察するなど、医学的に本質的な理解を行った上で医療が行われているものと考えるが、 その重要性を再認識する必要がある」というもので、趣旨としては前回入っていたので すが、より明確にということで、加筆修正させていただいています。いちばん下ですが、 「へき地等の医療について理解を深め、また医師不足地域において勤務する医師の養 成・確保に資する観点から、地域保健・医療の研修の中で、医師不足地域における病院 での研修が積極的に行われることが望ましい」ということが加わっています。  9頁からは「臨床研修の到達目標の改善」です。10頁は、その中で今後の対応の変更 です。上段の赤の部分ですが、「現在、『新医師臨床研修制度における指導ガイドライン』 (以下、『指導ガイドライン』という)が国立保健医療科学院のホームページ上に公開さ れ、順次更新されているところであり」ということで加筆修正させていただいておりま す。これは明確にどこにあるかということで加筆させていただきました。さらにその4、 5行下の赤の下線部です。「併せて研修においては、臨床現場における退院時サマリーな どの記録を活用して、研修医を様々な角度から評価することが重要であり、研修終了に 必要なレポート等の様式などについては、今後も」ということで、より明確にするため に、文言を付け加えさせていただいております。  さらに12頁ですが、4.「臨床研修病院の体制等の充実」のところです。13頁以降、 今後の対応の1つ目の○のところで、「現在、研修協力施設も併せて考慮することとされ ている『必要な診療科の確保、救急医療の提供、臨床病理検討会開催』などについては、 臨床研修病院に限定することも考えられる」、1つの考え方ということで新たに加えさせ ていただきました。  15頁になります。項目は4番目の「臨床研修病院の体制等の充実」の「指導体制の充 実」です。今後の対応のところは16頁です。1つ目の○のところで、「指導医に過度の 負担がかからず、効果的な指導が行える体制、(いわゆる屋根瓦方式、チーム主治医制な ど)については」ということで、体制の整備で、より明確に趣旨が伝わるように文言を 修正させていただいております。  さらに下、これも「臨床研修病院の体制等の充実」です。「医師の地域偏在と研修医の 募集定員」という中で、今後の対応は17頁です。書き加えさせていただきましたのが 18頁です。「具体的には研修医の募集定員数及び採用実績が当該地域の人口に比し、著 しく多く、かつ人口10万対医師数が全国値を上回るなどの地域における臨床研修病院や 大学病院に対し、募集定員減の要請や募集定員の増員の留保、あるいは当該地域の臨床 研修病院の新規指定を留保するなどの方法が考えられる。また、例えば複数年にわたっ て研修医の受入がない場合など、既に指定されている臨床研修病院の取り扱いについて も検討すべきである」という文言を書き加えさせていただいております。  19頁は、「臨床研修制度を含む医師養成のあり方」です。今後の対応は20頁の2つ目 の○です。「本報告書において、臨床研修における到達目標を適時適切に改善するシステ ムの構築を提言しているところであるが、このような取組を連携協力して行うための体 制を整備することが必要である」ということで、より明確に趣旨が伝わるように修正さ せていただいております。さらに21頁です。「医師としての実践基盤である、科学的な 分析能力、思考能力については、すべての医師が身に付けること、また生涯を通じて研 鑽を積むことが大切であり、臨床研修においても、文献検索や症例検討会などを通じ、 それらの能力の修得に努めることが必要である」。さらに、「より良い医師を養成するた めには、臨床研修を修了した医師が、大学病院や地域の医療機関をまわりながら多様な 経験を積むなど、さらに適切にキャリアを重ねることが重要であり、大学病院や地域の 医療機関で行われるいわゆる後期研修について、その情報を集約し、一元的に提供でき るような仕組みを検討すべきである」という文を入れさせていただいております。  22頁の6.「その他」です。23頁に今後の対応が書かれております。この中の1つ目 の○ですが、「併せて申請手続きや年次報告の負担軽減を図る観点から、提出書類の軽減 方策についても検討すべきである」ということで、より明確になるように書き加えさせ ていただきました。  さらに24頁の7.「おわりに」になります。その中のいちばん下です。「また、臨床研 修が必修化されてから4年目を迎え、既に本制度による修了者も誕生しているところで あるが、本制度の下で研修した医師が、将来様々なキャリアを重ねた段階で、当該医師 に対してどのような影響・効果をもたらしたか、ひいては国民からどのような評価を受 けるかは、中長期的に検証しなければならない重要な課題であることを、すべての関係 者が認識する必要がある」ということを書き加えさせていただきました。これで、大体 の修文した主なところということでご報告をさせていただきました。以上でございます。 ○部会長 ありがとうございました。いまから1時間半以上ありますので、番号順に章 ごとに事務局のほうに読んでもらって、その都度ご意見を伺いましょうか。 ○医師臨床研修推進室長 もう読まなくてもいいのではないでしょうか。 ○部会長 読まなくてもいいですね、もう何回も読んでいますから。  まず「はじめに」のところですが、いかがでしょうか。2、3頁についてご意見がござ いましたらどうぞ。この案はいままでヒアリング、委員会の議論の中で出たいろいろな ご意見をできるだけ、すべてではないと思いますが取り入れていまして、もちろん中に は相反する意見があって、全部は入らないのですが、かなり取り入れていると思うので すが、まだまだ検討する余地があると思いますので、どうぞご自由にご意見をいただき たいと思います。  それでは2番のプログラムの改善のところへ行きましょうか。4、5、6頁と現状が書 いてありますが、そこで何かもう少し表現を変えたいとか、コメントを入れたいという ところがありましたら。 ○山下委員 私の意見ではここがいちばん実務的には大きな章だと思っているのです。 非常にうまくまとめられていて、ご苦労されたということがよくわかるのですが、何を するかが全然わからないのです。いつまでに何をするかが書いていないのです。まず検 証をどうするかというのが書いていない。いつまでにするかというのが書いていない。 確かに中長期的に見て、例えば10年後に日本の医療がどうなっているかというのを我々 は見ながらやらなければいけないですが、10年後にこれがうまくはいっていると思いま すが、うまくいかなかったと言って、時計は戻らないのです。新しい制度で非常にいい 制度ですので、走り出しているわけですから、走りながら改革していく必要があります。  例えばここにも書いてありますけれども、4年経っているわけですから、当事者に関 していうと、研修医自体がどういう意見を持っているか。終了してから2年経っている わけですから、我々の周りにもいっぱいいますから、意見を聞けば、いったい自分が勉 強してきたことがどうやっていかされ、どうなっているのかというのがわかると思うの です。そうすると短期的評価は必ずできるはずなので、1年以内にそれをやって、提言 するということはできると思います。  それに関しての中長期的なことに関して私は賛成です。しかし短期的な評価というの は必ずやらなければ、これだけ大きなシステムで、しかもいい面と悪い面があると思っ ております。いい面はもちろん非常に評価していますが、それについて、具体的に何を いつ、どのようにして検証するかを入れていただきたい。いままでのアンケートはすべ て当事者です。受けている人に話を聞いているわけで、終わった人は2年間分、1万何 千人いるわけですから、そういう人たちにアンケートを取って、後期研修を始め、専門 医の研修を始めたあなたたちにとって、あれはどうでしたかという検証は必ずできるは ずです。  それを踏まえてプログラムを検証ができないから、いまのまま続けるというのは、思 考が停止していると見られてもしょうがないです。ちゃんとそれは検証しますと。検証 した上でこれがいまの時点ではいいのですというのであれば、私はそれはそれでいいで す。やはり変えるべきところは私はあると思います。大きなコンセプトを、この中の今 後の対応というところに入れ込んでいただきたいというのが私の意見です。以上です。 ○部会長 そうですね。いままでも研修医にアンケート調査していますから、それを継 続的に修了者についてもやるということは。研究班でやられているのは、対象は研修医 だけですか。 ○医師臨床研修専門官 はい、現在の調査はまさに研修医だけです。実際研究班のほう でやっていただいているということなのですが、今後いまいただいたような意見も含め まして、臨床研修が終わった人に、どのようなアンケートを取っていくのかというのが 重要な課題だという認識は我々のほうもしております。ただ、なかなかテクニカルに、 臨床研修病院にいる間は、研修医を確実に把握できるのですけれども、それ以降の人た ちをどうやってランダムサンプリングするかとか、手法の問題なども検討課題と考えて います。 ○部会長 それと、この制度の評価は研修医の満足度だけではなくて、どういう医師が できたかということが重要です。国民あるいは社会がどのように評価するかということ を、中長期的になるのでしょうけれども、どのように具体的に調べるのかを考える必要 があります。 ○山下委員 齋藤先生がおっしゃったのは私としても非常に重要なポイントだと思って おります。かなりバイアスのかかった意見は出るとは思いますけれども、それを覚悟し た上で、例えば、研修医を受け入れた病院が前と比べてどうかということが言えるはず ですので。能力が上がっていると、例えば、何か当直していて対応が非常によくなった ということを聞けば、これはやはりコンセプトが生きているのだということが言えます。 もう1つは、いまいろいろと言われていますように、高度で先進的な医療をする医師も、 非常に重要で、日本の医療界を支えているわけですから、手術をして、脳外科や心臓外 科で人を救う医師というのがいったいどういうふうに増えているのか、減っているのか。 これもやはり社会的な評価の中の1つだと思いますので、いろんな評価基準を入れて、 総合的に判断するというのは、これから作っていっていただきたいというのが、先生の ご意見は非常に賛成です。100%100点の評価法というのはどんなシステムでもあり得な いわけで、ただ、やってみないとわからないということがあると思います。 ○篠崎委員 ちょっと具体的な研修プログラムの改善のことについて。これは文章のほ うは事務局、座長のほうにお任せいたしますが、2点、保健所の研修のことと、海外研 修のことについて申し上げたいのです。1つは、医師としての社会的な役割を認識する 上で、保健所実習が大変大事な研修の場であると思っています。全国保健所長会のいま までの調査によりますと、全保健所の70%が研修を受け入れていると。それから研修医 の50%が保健所で研修を受けているということがわかっております。保健所当たりの受 入れ人数では、4、5人前後ぐらいがいちばん数として多くて、研修期間は4週間がいち ばん多い。いまでは医師免許証を持っているからこそできる研修が非常に研修医のほう にも人気が高くて、いい事例も保健所長会の調査等で載っております。ただ、研修医を 受け入れるということは、行政機関の保健所ですので、いろいろ不都合なところもある わけですから、何か報告書の中で、保健所での研修についての重要性を地方自治体にも 理解をしていただいて、研修に積極的に協力していただきたいというようなことを、こ の中に盛り込んでもらえたらどうかというのが1つです。  海外研修につきましては、いままでは、若干ネガティブな要素があって、原則休暇を 取って行かなければいけないという状況になっておりましたが、海外での研修をプログ ラムに入れたいというような話も聞きますし、ある条件を満たせば、もう少し海外研修 を入れることについて柔軟であってもいいのかなという気がします。こういう時代です ので、海外研修などで国際的な視野を持つということも、若い研修医にとってはいいこ となのではないかなと思います。以上2点でございます。 ○部会長 どうでしょうか。いまの2点の篠崎委員のご意見について。 ○山口委員 いまの保健所の研修が非常によいというお話、ここにはへき地の研修がよ いというお話がありましたけれども、しかしいま実際に多くの研修医の研修場所は病院 であって、しかもいま病院は機能分担で、入院治療と外来、在宅治療でかなり大きく振 り分けられている。それから言うと、全体の医療の診療体制の中で、入院治療というこ とには、非常に多くの研修時間を割いてはいますけれども、病院を一歩出てから先どう なったかということに関しては、非常に少ないと思うのです。もちろんへき地も保健所 も大切ですけれども、実際に多く扱っている病院での診療のあとの話というところの、 開業の先生や、在宅の治療なり、そういうところで、治療の一貫性を学ぶということも 非常に重要だと思いますので、私はむしろそちらのほうを推奨したいという感じがする のですが、その辺も、もう少し強調されてもいいのではないかと思います。 ○部会長 医療の多様性をある程度見てもらうということでしょうか。 ○矢崎委員 プログラムの現状と課題の中で、議論の中にあった5頁の下の○で、将来 の専門を既に決定している研修医の中には、自身の直接的な興味と合わない研修が1年 間続き、モチベーション維持が難しいという指摘があると。そのあとに新たに原則に則 り、モチベーションを維持させることが必要だと。これが並列に書かれているけれども、 むしろそのあとのほうにまとめるということで、今後の対応でどうまとめられているか というと、8頁に。 ○部会長 7頁ですね。 ○矢崎委員 7頁に書いてある、一定の期間について、必修科目は1年目に行っていい という、そういう結論として受け止めていいわけですね。2つの指摘があるということ で。 ○部会長 この部分に関しては、いままで必修以外にも認めるべきかとか、さらに基礎 医学もいいのではないかとか、そういうご意見があったと思うのですが、たぶん皆さん の賛同が出るぎりぎりのところは、必修科目かなという。これはあくまでも案です。 ○矢崎委員 先ほどの課題のところはこういうふうにまとめましょうということですね。 わかりました。 ○部会長 いま海外研修の話が出ましたけれども、選択期間に行くということだと思う のですが、これはいかがでしょうか。私の感じでは、もしそういう可能性を認めると、 余裕のある病院などが、1つの目玉として、たくさん集めようとする恐れがないでしょ うか。それはそれでいいとすればいいのですが。 ○相川委員 基本的には、これから中期後期の研修を受ける医師の臨床的な能力を高め ることがこのプログラムの骨子ではありますが、私は地域医療の研修、更には日本国内 に限らず海外も含めて、また一般にいま海外といいますとどうしても欧米ではないかと いうような考えもあるかもしれませんが、欧米に限らず、広く選択期間の間にそのよう な研修がプログラムに入っていることも、多様な臨床医を育成するという面では良いこ とだと思います。 ○部会長 いかがでしょうか。 ○冨永委員 いまの8頁ですが、へき地等の医療について地域保健・医療の件ですが、 私が属している病院の団体は離島やへき地や山の中での医療が多いわけですが、そうい う所で研修をして非常に医療の原点をみたといいますか、本当に全人的に患者と医師と の対応ができる医療を経験する過程がよかった、いままであまり経験していなかったと いうことを言っている研修医が非常に多くいました。鹿児島県の離島や九州の山の中の 小病院は、入院もありますがそこから直接在宅医療もやっていますので、医療として繋 がっているということで、非常に大事なことだと思いますので、ここに書いていただい て大変ありがたいと思っています。 ○西澤委員 海外の研修なのですが、研修の多様性ということではいいと思います。そ のときに、やはり中身と評価をどうするか、国内の場合はやりやすいのですがその辺り を検討して、必要であれば今後の議論にしていただければと思います。 ○矢崎委員 私どもの国立病院機構も、後期研修医のVAホスピタルへの短期留学制度を 行っています。もう2年ぐらい経験していますが、どうしても向こうの医師免許を持っ ていないと、いわゆるここで述べているプライマリ・ケアの段階のことがほぼできなく て、見学に終わってしまうと得るところがありません。そうしますと、向こうの医療シ ステムやいろいろな保健システムのノウハウを見てくるということになってしまうとい うことがあります。相川委員が言われる欧米系でなくて、実際にプライマリ・ケアをで きるような領域で研修できれば、それはいいと思います。その点は各国で医療事情が違 いますので、それを鑑みながら研修で全部1つにまとめるのは難しいかと思います。 ○部会長 そうですね、言葉としてこの報告書の中に書き込めるかどうかということで すよね。 ○篠崎委員 一定の要件があると思います。実際に、臨床研修、海外も入れたものが上 がってきてそれを審査している段階ではありませんが、いままでは駄目だといったから 上がってこなかったと思うのですが、何か要件を付ければいいのではないかと思います。 私が考えたのは地域保健の分野なのですが。 ○部会長 そうしますと、一応研修プログラムのところでは、7〜8頁にあるように、1 年目から必修科目ができるようにするということと、EBMを勉強することが大事だと いうこと。それから、救急と麻酔とは違うということ、いまへき地のことと4点ぐらい 現在のやり方とは違うところが書き込んであると思います。そのようなところでしょう か。  次に3番目「研修の到達目標の改善」です。10頁に今後の対応がありまして、「指導 ガイドライン」のことが書いてあります。もう1つ、今後適時必要な改正ができるよう なシステムを作るということが書き込んであると思いますが、いかがでしょうか。それ から評価のところで、現在のシステムが煩雑であるとか複雑であるということで、もう 少し簡単な様式がないかということも書いてあります。 ○文部科学省医学教育課長 オブザーバーですので、あまり発言をするのもいかがかと 思いますが、一言申し上げたいと思います。研修が終了した時点の評価が10頁の中ほど ぐらいに書いてありますが、1つ非常に重要なことはこの到達目標がすべての研修医が それらを満たしたかどうか、目標に達したかどうかを確認するような仕組みは、やはり 必要なのではないかと思われます。というのは、卒前教育を担っている大学の立場から 言っても、自分たちの教育が結果的にそれぞれ1人ずつの研修医が卒後2年してどうな っているのかをフィードバックしてもらうという仕組みを考えるうえからでも、それぞ れの研修医の2年経った段階での状態を正確に評価しておくことは非常に重要だろうと 思います。そういう点で、すぐには難しいのかもしれませんが、必ずそのような、いわ ば到達目標に到達できていることを確認する仕組みを将来的に考えていっていただく必 要があることと、それを卒前教育の現場にフィードバックする仕組みも是非お願いした いと思います。 ○部会長 具体的には、例えばどのような仕組みがあるでしょうか。 ○文部科学省医学教育課長 1つは、私どもは多くの大学で既に取り入れていますが、 ポートフォリオという形で卒前のモデルコアカリキュラムが医学教育にはありますが、 そこにある内容について到達したかどうかをそれぞれ1人ずつがチェックする仕組みを 卒後も持ち歩いて、それを臨床研修の到達目標も一緒にコンバインして、合わせて最終 的には1人ひとりの卒後2年経った段階での評価が一貫して行える仕組みを作っていた だくなど、いろいろ考えていただきたいと思います。卒前についてはいま申し上げたと おり、多くの大学でポートフォリオを使っていますので、そういうものを継続して使え る仕組みなども一考に値するのではないかと思います。 ○部会長 それは、主に自己評価ですか。 ○文部科学省医学教育課長 自己評価ということになります。それを、また卒業した大 学にフィードバックしていただければ、例えば卒前教育で更に改善すべきことがあった かどうかというのも浮かび上がってくるのではないかということです。 ○山下委員 その評価に関して、教育のところで私も少し考えていたことなのですが、 飛んでしまって申し訳ないのですが、20頁に卒前、初期研修など一連の教育の内容をも う一度見直すという提言がしてありますが、これと絡めて検討いただきたいと思います。 実際に、初期研修の到達目標と医学教育のモデルコアカリキュラムの内容は、8割ぐら いはかなりカバーしているということがあります。そうすると、教育内容を一緒に書い ていただかないと、同じような試験を何度もされることになります。それは無駄とは言 いませんが、医師の国家試験を通った人と通らない人の大きな差はあります。しかし、 アメリカのようにステップをいくつかに分けて、やれることを広げていって教育の内容 を評価していくのは、やはりあまりリダンダンシーが大き過ぎると、受けているほうは 毎回同じことを何度もやられているということで、モチベーションが下がってしまうこ とがあります。ですから、是非教育の内容をもう一度卒前からアドバンスト・オスキー を入れたりして、何かを経験し何かをやれる、何かを知っている段階から、更には卒後 研修でライセンスをいただいたということであれば、それにより高度なことを経験し、 それができるというような評価項目をやっていく。そのためには、相当の手間暇がかか りますので、その辺りのシステム全体をいじくっていただかないと、例えばこの研修制 度のこの部分で2年間だけで評価してくれと言われても、はっきり言って現場はできま せん。ですから、全体の大きなシステムの中で、評価システムも含めて進化させていた だきたいと思います。余計なことですけれども、そのためには人もお金も付けていただ かないと困りますということです。 ○部会長 いかがでしょうか。では、またあとで戻るとして、次の「臨床研修病院の体 制等の充実」にいきます。13頁からは、今後の対応です。ここでいろいろな指定基準の 条件を臨床研修病院に限定するとなると、かなり数は少なくなるのでしょうか。それか ら、経過措置のことも書いてありますね。一方、例えば指定基準の中には、いま非常に 出産の数が減っていて、どこも大変な所はもう少し甘くしたほうがいいのではないかと いう意見もあったと思いますが、細かいことはもちろんここに書き込むわけではないと 思いますが、いかがでしょうか。ここが指定基準ですね。次が、病院の評価のところで、 今後の対応では病院の評価が非常に重要であるということが書いてあります。その次が 指導体制の充実で、指導医の過度の負担のことをどうするかということが書いてあると 思います。 ○篠崎委員 よろしいですか。指導体制の充実のところで、これも先ほどと同じように 事務局と座長に表現はお任せいたしますが、研修管理委員会のことについて触れていた だいたらどうかなと思います。プログラムのいちばん上には研修管理委員会があって、 これは全体の研修をスーパーバイズしているわけですが、先ほどの山下委員のお話にも ありましたように短期的に改善すべき、あるいは改良すべきところがあればそれは時宜 に応じて行ったほうがいいので、そういうためにも研修管理委員会の講習や研修などを この指導体制の充実の中に組み入れたらどうかと思うわけです。 ○部会長 それから、この部分でいちばん大きい医師の地域の偏在と募集定員のことに なりまして、今後の対応で指定基準の見直しと非常に多い地域の定員をある程度制限す るというようなことが書いてあります。この研修医の募集定員と学生の数をなるべく近 づけるというところがいちばん大きい点だと思います。 ○相川委員 前もこの委員会で言ったのですが、臨床研修病院と大学病院とのそれぞれ の定員のことに関して、全体の定員を少なくしようという観点からではなくて、臨床研 修病院においてはいくつかの要件に従ってある程度定員が決まってくることがあります が、大学病院の場合には必ずしもそうではなくて、かなりの定員で募集している所もあ るかと思います。そういう点では、やはり研修の質の点で例えばお産の数が少ない、あ るいは救急受入患者数が少ないような所は、臨床研修病院と大学病院との質が異なって きてしまうようなこともあり、整合性の点でもそのようなところは検討すべきだと思っ ています。一応、この中には多少そのニュアンスでは書き込まれてはいますので、特に どこかで強調するということではありませんが、そのような考え方を私は持っています。 ○部会長 13頁の今後の対応のところに。ここは、臨床研修病院、大学病院という言葉 は入っていないので、ここに含めるかどうかですよね。いま相川委員が言われたのは指 定基準のところだと思いますが。 ○相川委員 そうですね。それが、いまの医師の偏在や医師不足と直接結び付けるとい う考え方ではなくて、研修の質を均一にするという観点からそのようなところを検討し たらいかがかと思っています。 ○部会長 この辺りで、何か事務局からありますか。これは臨床研修病院だけの問題で はなくて、大学附属病院となるとどのように書き込むかというのは難しいかもしれませ んが。 ○医師臨床研修推進室長 13頁のこれまでの議論で、臨床研修の質の維持向上のために、 厚生労働大臣が指定する研修病院のほうは、もう少し指定基準を見直して、表現がいい かどうかはありますが、底上げを図っていくというかよくしていくという意見がある一 方で、大学病院はこの指定基準に直接かからないわけですが、これまでも厚生労働省の 指定病院はこうやっているので大学病院のほうにもということで、情報提供させていた だき、また情報ももらっていますが、引き続き大学病院についてもお願いしていく形で いくのかなと考えています。 ○部会長 そうすると、いまのことと18頁はまた違う観点からのことですよね。ある程 度、地域によってあまり過度に増えないようにしたいというようなことが書いてあると 思いますが、いかがでしょうか。 ○山口委員 臨床研修病院と大学附属病院の募集定員のスタンダードが2つあるという ことについて、研修する側からいうと、むしろ大学病院で症例の経験数が少ないという 不満もかなり出ているわけですよね。それから、もしスタンダードを1つに統一して同 じスタンダードでやるとした場合に、どの程度の影響があるかをある程度検討されてい るのでしょうか。要するに、大学病院の定員をいまの普通の市中病院で、例えば出産の 数がいくつ、救急の数がいくつということで、同じスタンダードでもしやったとした場 合、どの程度の影響が出るのでしょうか。 ○医師臨床研修専門官 すみません、ちょっとすぐにはわからないので。 ○部会長 それは、協力病院無しに単独でやった場合ということですか。 ○山口委員 いや、例えばいまお産の数や救急の数である程度1つのスタンダードを決 めて、そこの募集定員を決めていますよね。もちろん、実際協力病院ということで、カ バーしていない部分もかなり大学病院にはありますから、それを同じようなスタンダー ドでやった場合に、かなりそれなりのばらつきも。協力病院でもきちんと実数ができて いればいいと思いますが、結構たすき掛けの実態はかなり細かく検討しないとわからな い話ではないかと思います。本当に、そこで一般の大きな市中の病院での研修と同じレ ベルの研修環境にあるかということが問題だと思います。 ○部会長 結局、たすき掛けをどこまで認めるかということですよね。 ○山口委員 はい、そうですね。 ○医師臨床研修推進室長 まさにご指摘がありましたとおりで、ちょっとわからないで すと答えましたが、たすき掛けによってというか、いま協力病院も含めて大学病院のほ うでも症例数を確保することに努力されていたり、あるいはベット数に応じて特に患者 数に応じて研修医がどのぐらいという基準があります。これも、たすき掛けという協力 病院との関係もありますので、正確に把握しにくいところがあります。ただ、基本的に はこういう基準でやっているということで示して協力もお願いしていますので、やって いただいていると考えているところです。実態として、もしかして少し症例数が足りな いのではないか、あるいは研修医の数が多いのではないかという指摘がある所などにつ いて、もしそのようなことがあれば一応厚生局などを通じていろいろお願いさせていた だいているというか、いろいろ相談させていただいているというのが実態です。 ○部会長 たしか、以前卒業生の数を上回らないようにしたらどうかという意見もあり ましたよね。飯沼委員、何か意見はありますか。 ○飯沼委員 それは最大の関心事でして、玉手箱から何かが出るような雰囲気で、何か 具体的な話が出てくるのを我々の所では待っているような感じもあります。ですから、 何かが具体的に行動に出てくればいちばんいいのですが、やはり8,600に対して1万 1,300というのはあまりにも多いような気がするので、確か閣議決定もされているので はなかったでしたか。ですから、何か具体的に動いていただけるといいのですが。 ○医師臨床研修推進室長 ご指摘のとおり、政府与党の取りまとめでもこのような指摘 がされています。その中でどのように考えていけばいいかというときに、この部会では 基本的に地域のバランスや分布ももちろんありますが、それよりもやはり総体として研 修の質を向上するような感じで考えていったほうがいいのではないかという指摘が多か ったと思います。基本的には、質の部分では指定基準をもう少し底上げしてとか、厳し くしてとか、あるいはご指摘もあり記載もさせていただいていますが、経過措置はそろ そろはずしてもいいのではないか、というような形で、総体として1万1,300というの が質の向上に従って減っていくような形が出てくるのではないかと考えています。  そのときにやはり注意しなければいけないのは、それぞれの地域の状況やバランスの 問題は、常に頭の片隅に置いて考えていかなければいけないのではないかというような ご意見だったということで、このようなまとめ方をさせていただいています。実際の取 組としては、例示的に記載してありますが、18頁にあるような形で進めていけたらと思 います。それも、18頁のなお書きのところにありますが、実際行っていくにあたっては、 急激な変化はまた違う意味で、地域の医療やそれぞれの病院の機能にも影響を与えるの で、段階的にやっていかなければいけないだろうということも併せて書かせていただい ています。 ○部会長 矢崎委員、何かありますか。 ○矢崎委員 プログラム定員数が実数より極めて多いということで、これを考え直した らいいのではないかと私が最初に発言したのですが、やはりプログラムを審査していま すと、一応は規定に乗っ取って申請されているのですが、詳しく見ると先ほど山口委員 から言われたたすき掛けのケースや、あるいは臨床研修病院でもいろいろな病院との協 力で、一見数は合うのですが果たしてそれが実行可能であるかと。先ほど評価の問題が 出ましたが、少なくともいまプログラムで認定されればもうそのままということではな くて、やはり研修を終わった人がどういう状況かというのは、先ほどの自己評価のシー トでもいいのですが、どこかでチェックする必要があるのではないかということがあり ます。ですから、やはり実施されているプログラムがどのように運用されているかとい う、臨床研修病院の評価はサイトビジットして評価する仕組みがあるのですが、実際の 研修医が実際に規定されているような条件を満たしているかどうかというのは、特にた すき掛けやいろいろな研修病院が協同してやる場合には注意が必要ではないか。  そういうところをしっかり洗い直すことによってプログラムが選ばれるということも あるし、地域との格差が緩和されるかもしれないので、いま言われたように研修プログ ラムの実際の質のレベルをしっかりと見るということで、この問題を解決できないかと 感じるのですが。  例えば、救急、産科の数だけではなく、症例検討会、CPCなど、相当苦心して合うよ うにやっていまして、実際に病院で恒常的に行えているかどうか疑問なところもありま す。そういうこともしっかり視点に入れてプログラムをやっていただければ、地方でも 症例のたくさんあるところでは、プログラムとして生き残るのが随分あるのではないか という印象を受けました。 ○部会長 たしか以前、研修病院の評価を議論したときに、どこが評価するか、フォロ ーアップするかということで、地方厚生局の話は出なかったでしょうか。 ○医師臨床研修専門官 病院の評価は、現行は厚生局から来るのと、あとは報告をもら っているという形になります。あと、いわゆる第三者評価のような形で、国でもない第 三者の方に入っていただく。そういったものを利用するというのは、良いことなのでは ないかというご意見があったと思います。 ○部会長 もう一遍、募集定員の数に戻ります。17頁にあって、参加者よりも募集定員 のほうが3,000名ぐらい多いのでしょうか。ただ、それを質だけでやっていくと、やは りCPCや剖検が不備な中小病院というか、地方の小さい病院が減るわけで、そこの政府 与党の文章で、「大学病院を含む臨床研修病院の定員の是正」というのと、それで絞った 場合は、全く同じではないですね。 ○矢崎委員 そうですね、地方の研修病院で、そういうことを率先してやれるような状 況にはあると思うのですね。ですから、そういう面でやっていただければ地方の臨床研 修も活性化されるのではないかということで、そういうプログラム選定の視点から強く メッセージを発するというのは、1つの方法で、それだと地方の臨床研修病院が落ちて しまう。果たしてそうかどうかというのは、ちょっと検証してみる必要があるのではな いか。 ○山下委員 よろしいですか、いまの議論は、特に矢崎委員がおっしゃった質で制限し ていくというのは、やはり、それが本筋だと思います。もう1つは、システムについて やはり質で切ると、それぞれの地方でも大学病院とか大きな病院はありますから、そこ を中心にして、例えば、中小の病院とのネットワーク化がこれを契機に進むと、いわゆ る、地域医療もみましょう、高度先進医療もみましょうといろいろな病気を診て、CPC でもちゃんとものを考えましょうと、かなり、メニューとしていわば完成してくるよう な気がします。ですから、質を甘くして、例えば、小さい中小の病院というものが管理 型にならないようにするという、ネガティブな面を見るのではなくて、やはり大きい病 院と、ベッド数が少ない病院とのそれぞれ良い面を出し合って、良いお医者さんを作り ましょうという、ポジティブなほうに動くような施策があると良いと感じました。私は 山形におりますが、山形でもそれは可能だと思います。我々が管理型大学病院を中心に したときには、やはり、そういう地域の医療機関に行って、小さい病院で診るというこ とをやって、それは、非常に良い結果を得ていると思いますので、そういうネットワー ク化をすることによって、お互いに良い面を出せるような、だから、そこで質を落とす という意味ではなくて、もっとポジティブな面が出せるのではないかと思います。 ○部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○文部科学省医学教育課長 あまりたびたび申し訳ございませんが、18頁のいちばん上 ですが、「調整に当たっては、研修医の地域毎のバランスが図られるよう、配慮する必要 がある」。そのとおりで、数の問題もさることながら、バランスの問題というのは、非常 に大きいのだろうと思います。そういう点で、非常に極端に言うならば、例えば、ブロ ック別をひいて、ブロックにある大学の卒業生は、そのブロック内で研修を行うという やり方もあるのだろうと思いますが、いずれにせよ、その地域別の定数というものを、 もう少し分析して、マクロな1万1,300と8,600という数だけではなくて、全体として のバランスがとれるように努めるべきではないかと思います。 ○部会長 たしかその地域ごとに定員を決めたらどうか、というご意見もありましたよ ね。 ○西澤委員 先生ちょっと違うことでもいいですか。14頁ですが、前回のときもちょっ と指摘させていただいたのですが、この機能評価を受けている病院のパーセントは前と 変わってないような気がするのですが、間違いなかったのか。  「一方」の所なのですが、自己評価はいいのですが、それ以外の評価というのは、自 主評価以外だから、第三者評価と読めるのですが、第三者評価とすれば、機能評価機構 の評価と読めるのですが、機能評価機構では、いま全国で9,000弱の病院について、2,400 認定を受けているのですね。だとしたら、特に臨床研修病院は、質が高いはずなのに、9% はあまりに低いということで、要するに、9%はどういう数字なのかということなのです。 ○部会長 これは病院の機能評価ではなく、臨床研修体制の評価だと思うのですが。 ○西澤委員 ということは、もう1つの評価ですか。 ○医師臨床研修専門官 すみません、これはまさにあのときのアンケート、そのとき病 院のほうにお聞きしたアンケートで、クエスチョンが「臨床研修についての評価をして いますか」という中で、「自主評価をしていますか」、「それ以外に評価をしていますか」 というアンケートの回答のパーセントそのままです。 ○医師臨床研修推進室長 補足させていただきます。いま部会長からもありましたが、 臨床研修について評価しているかどうか、という聞き方をしているので、それを病院と して評価を受けているかということで、「している」と解答してきた所もあるでしょうし、 ほとんどの所は逆に言うと、病院総体としては評価を受けているがということで、ここ の9%には入ってきてないのではないかと考えております。これは、そういうアンケー ト調査です。前回、ご指摘もありましたので、ちょっと研修病院の一覧と、それから医 療機能評価機構でやっている病院の一覧を右左に並べ比べ、どのぐらい受けているかと いうのをちょっと拾ってみました。拾い違いが若干あるかもしれないので、細かい数字 まではわかりませんが、臨床研修病院の管理型、単独型の病院が現在1,113あります。 そのうち、日本医療機能評価機構で評価を受けているということで、分類はいろいろあ りますが、受けているという病院が、事務局で拾ったら848ぐらいの病院が、単独型、 管理型では医療機能評価機構の評価を受けているという形です。  ただ、先ほども申し上げましたが、これは研修病院として、あるいは研修プログラム や研修内容の評価を受けているわけではないので、参考までにという数値です。  もう1つご指摘がありました最近新たにNPO法人になられた評価をする研究会がある というのも承知しているのですが、そちらのほうは、まだ始まったばかりで、10月の時 点で実際に調査をした病院が20ぐらいと聞いています。まだ、調査しただけなのです。 そのあと認定というか、評価書を出したところは、いくつまでかわからないのですが、 そのぐらいの数だと聞いております。 ○西澤委員 はい、わかりました。ここの9%というのは、非常に不思議な数字なので、 アンケートの結果だと断った上と、もう1つ、機能評価機構と、それ以外のいま言った 新しいものの数がわかれば書き込んでいただければと思います。 ○部会長 それでは次に、5番目の「臨床研修制度を含む医師養成のあり方」という19 頁からの所ですが、今後の対応が20頁からです。ここでは、2つ目の○で、到達目標を 改善するシステムの構築が提言されてまして、それから21頁に、科学的な分析能力、思 考能力が大事だということが指摘してあること。さらには、その初期研修を終えたあと の研修についても、情報をもう少し集約して、全国に提供する仕組みが必要ということ が書いてありますが、何かここでご意見いかがでしょうか。  ほかに、20頁のいちばん下の○の所で、基礎医学の振興の方策についても、一応書い てあります。この点は、課長何かありますか。 ○文部科学省医学教育課長 書き込んでいただいてありがとうございます。ただ、基礎 医学が基礎医学として、単独にいま存在しているということではなくて、臨床をやりな がら基礎医学に入って来られる方も当然おられるわけですので、そういう点では、基礎 医学は文部科学省だけで行うものでもないだろうと、そこら辺が「中心に」と書き込ま れている由縁であるかと思っています。 ○山口委員 2年間の研修が終わったあとのいわゆる後期研修のことについて、書き加 えていただいて非常にありがたいと思うのですが、これは努力目標ではなくて、具体的 に対応しようと思えば、かなりできる余地のある範囲だと思うのですね。だから、その 点で検討だけに留まらず、具体的に例えばいまの延長線上でかなりできる話かと思いま すので、是非、もう少し具体的な案が進むことを期待しております。 ○部会長 ここはどういう仕組みと言いますか、行政がやるのか、あるいは民間の財団 のようなところか、どういう組織がそういうことをやるのでしょうか。 ○山口委員 財団法人もあります。どちらでも、いまの研修病院の1つの質を問うとき に、後期研修にまでちゃんとできるだけのセッティングがあるかどうかという話も当然 あるわけなので、そういう意味で、この初期臨床研修に登場を全くしないところが、後 期研修にだけどっと名乗りを上げて、そこに人が集まるということも、ちょっと考えに くいと思うのです。その意味では、現在の研修病院にさらに後期の研修のプログラムを 提示してもらって、同じ延長線上で1つ情報網があるという話も、やろうと思えばでき るのではないかと思います。 ○医師臨床研修推進室長 この部会で以前にも、山口委員から初期研修だけではなくて、 後期研修も含めた情報が大変重要だとご指摘いただきまして、そのときも若干ご説明し たのですが、例えば、情報提供いただける研修病院や大学病院から情報をいただいて、 厚生局からそのホームページにリンクできるような仕組みは作っているのですが、そう いう仕組みを充実していくとか、あるいは、いまの初期研修と一緒にできるような仕組 みを作るとか、既存も全くないわけではないのですが、一応充実させていくという形で、 具体的に早く取組をというご指摘だと受け止めています。 ○部会長 ほかにいかがでしょうか。  それでは、6番目の「その他」ですが、ここは事務手続が煩雑であるから軽減すると いうことが書いてあります。それから1つ、23頁の2つ目の○で、医学部教育との関係 がありますね。6年生になると、いろいろなこの研修病院を決めるとか、卒業試験や国 家試験で学生も大変ですね。 ○文部科学省医学教育課長 具体的に夏休み期間中にしてほしいという要望は、今日お 配りしている「参考3」というので、医学部長病院長会議のほうからも、たしか出され ていたと思います。参考資料3の26頁(2)の下から5行目ぐらいの所ですが、「マッチ ング先病院情報の開示と施設見学期間の限定」ということで、通常の授業をやっている 期間については、こういうことがないようにしてほしいです。 ○部会長 いま夏季休養期間というのは、8月ぐらいからなのですか。 ○文部科学省医学教育課長 7月末から8月終わりぐらいの期間だろうと思います。各 大学によって、多少セッティングは違います。 ○部会長 そうすると、ここはそのマッチングとのスケジュールとの関係もありますね。 いかがでしょうか。  「おわりに」の所で、最後の○で中長期的な検証の必要性が書き込んであると思いま す。それで、全体を通じて一応、ざっと通ったのですが、いかがでしょうか。各章の整 合性とか、あるいはもう少しはっきりと言ったほうがいいとか、強調したほうがいいと かという所がございますでしょうか。予定としては、今後はいつごろこの報告書を出す 予定ですか。 ○医師臨床研修専門官 今後ですが、まず本日ご議論いただいたことも、さらにこの報 告書の案に書き込んで、これを広く関係者を中心に見ていただく機会を1度作りたいと 考えております。そのあと、その意見も含めましてもう一度、この会で最後に見ていた だいて、この報告書という形にさせていただきたいというスケジュールです。一応、そ の意見を聞く期間を1カ月ぐらいとって、次回、12月10日にできればいちばん理想か なと考えています。 ○部会長 実際にこれがまとまるとして、この中に提言されたことを実行に移すことが できるのは、来年の4月ですか。定員のことは、そんなに急にはいきませんね。 ○医師臨床研修推進室長 仮に12月までに議論がまとまればの話で、さらにその後の話 ですが、これを受けまして、省令なりあるいは通知なり変えられるべきものは、変える ような作業に入っていきます。その中で、すぐにできるものは、平成20年4月から、当 然、経過措置というか段階を踏んでいかなければいけないようなものについては、平成 21年4月から、あるいはそれ以降になる部分も出てくるかもしれませんが、なるべく早 く作業にとりかかって、早くやっていきたいと考えております。 ○部会長 全般を通じていかがでしょうか。 ○山下委員 研修プログラムとかを見直すというような趣旨のお話がもしあったとして、 いまちょっと探せないのですが、到達目標を見直して、それを改定するということも含 んでやるという理解でよろしいのでしょうか。結局、あまりにも細かく多岐にわたり過 ぎていて、これも一緒に見直したほうがいいかと思っているものですから、いかがでし ょうか。 ○医師臨床研修専門官 到達目標に関しましては、まさに様々なご意見がいま出ている ところですので、おそらく、すぐに決まるようなものであれば、先生のおっしゃったイ メージでできるかと思うのですが、少し意見がばらけるようなことがあれば、ちょっと 難しいと思われますので、その辺、適時急いで、可能な限り早くという形でやっていき たい。この到達目標に関しましては、いずれにしても、その医学的な変化等も含めて、 変化が常にあると考えておりますので、随時見直していけるような仕組みを作りたいと 考えております。 ○部会長 いかがでしょうか。本日、ご欠席の委員の方からは、何か特に意見はありま せんでしたか。 ○医師臨床研修推進室長 特にこの場にということではいただいておりません。予めい ただいて反映できるものは、反映させていただいているということです。 ○部会長 それではもし全般を通じても、ご意見がないようでしたら、これで終わりた いと思いますが、事務局のほうから最後に事務連絡はありますか。 ○医師臨床研修専門官 先ほどもお話させていただきましたが、本日の議論を踏まえま して、この報告書案のほうを書き直すというか、加筆修正をさせていただきたいと思っ ております。その部分につきましては、座長と相談させていただいて作るということで よろしいでしょうか。その上で、広く意見を聞くという形をとらせていただきます。ち ょっと具体的な方法はいま検討中ですが、その方法で意見を聞いた上で、次回、12月10 日を予定させていただいております。そのときに、いただいた意見を踏まえまして、ま た議論をいただければと思っております。よろしくお願い申し上げます。事務局からは、 以上です。 ○部会長 参考4の「研修医マッチング結果」というのは、何か説明ありますか。 ○医師臨床研修専門官 ご報告です。 ○部会長 それでは、どうもありがとうございました。 (照会先)                   厚生労働省医政局医事課                      医師臨床研修推進室                    (代表)03−5253−1111                   (内線4123)