07/10/31 中央社会保険医療協議会総会平成19年10月31日議事録 07/10/31 中央社会保険医療協議会          第113回総会議事録 (1)日時  平成19年10月31日(水)9:33〜10:49 (2)場所  厚生労働省専用第18〜20会議室 (3)出席者 土田武史会長 遠藤久夫委員 小林麻理委員 白石小百合委員        前田雅英委員 室谷千英委員  対馬忠明委員 小島茂委員 勝村久司委員 丸山誠委員  高橋健二委員(代 清水) 松浦稔明委員  竹嶋康弘委員 鈴木満委員 中川俊男委員 西澤寛俊委員 邉見公雄委員  渡辺三雄委員 山本信夫委員       坂本昭文専門委員 大島伸一専門委員 古橋美智子専門委員        黒崎紀正専門委員       <事務局>       木倉審議官 原医療課長 宇都宮医療課企画官        八神保険医療企画調査室長 真鍋調査課数理企画官 他 (4)議題  ○医療機器の保険適用について       ○臨床検査の保険適用について       ○先進医療専門家会議の報告について       ○第16回医療経済実態調査速報について(報告) (5)議事内容  ○土田会長  ただいまより、第113回中央社会保険医療協議会総会を開催いたします。  最初に、委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、高橋委員の代理で全日本 海員組合の清水保さんがお見えになっております。また、石井委員は少し遅れる旨の連絡 を受けております。  それから、保険局長は公務のため欠席される旨の連絡を受けており、審議官は公務のた め途中退席される旨の連絡を受けております。  それでは、議事に入らせていただきます。  最初は、「医療機器の保険適用」について議題としたいと思います。  区分A2及びBにつきまして事務局より報告をお願いします。 ○事務局(宇都宮企画官)  医療課企画官でございます。それでは、中医協総−1の資料をごらんいただきたいと思 います。  1ページ目に区分A2(特定包括)(特定の診療報酬項目において包括的に評価されて いる区分)、この10月1日適用開始のものがございますが、ごらんいただきますと、出 ておりますとおり、16件ございます。続きまして、1枚おめくりいただきまして2ペー ジ目、こちらは区分B(個別評価)(材料価格として個別に評価されている部分)という ことで、21件ございます。合わせまして医科は37件でございます。  続きまして3ページでございますが、歯科につきまして、今回A2はございませんでし た。そして区分B(個別評価)でございますが、ごらんの7件が出ております。  以上、医科、歯科、合わせまして44件でございます。  以上でございます。 ○土田会長  どうもありがとうございました。  ただいまの説明につきまして御質問、御意見などございますでしょうか。  よろしいですか。それでは、次の議題に移らせていただきます。「臨床検査の保険適 用」について議題としたいと思います。  同じように事務局から資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。 ○事務局(宇都宮企画官)  資料、中医協総−2をごらんいただきたいと思います。こちらの1ページ目のほうに、 今回の2つの検査がございます。  1つ目、区分E3でございますが、「抗p53抗体」がございます。これは測定方法は ELISA法ということで、主な測定目的は、食道癌・大腸癌及び乳癌における血清中の 抗p53抗体測定、点数170点ということになってございますが、1枚おめくりいただ きまして2ページ目の上のほうの説明をごらんいただきたいと思います。有用性のほうに 書いてございますように、本検査は腫瘍マーカーである抗p53抗体を測定するものであ り、食道癌・大腸癌及び乳癌が強く疑われる患者に対して使用する。癌患者の20〜3 0%において血清中の抗p53抗体が陽性であるが、この抗体は、他の腫瘍マーカーと陽 性率で重なりが少ないということで、組み合わせによる測定が有効であるということでご ざいます。また、特徴として比較的早期の癌、すなわち治療によって根治できる可能性の 高い段階での陽性率が高いということが挙げられる。これらのことから、臨床上有用であ ると考えられるということでございます。  続きまして、1ページ目の下のほうでございますが、やはりE3の新項目で上がってお ります「WT1mRNA定量」という項目がございます。この方法は、リアルタイムRT −PCR法というものでございますが、急性骨髄性白血病の診断の補助または経過観察と してのWT1mRNAの測定ということで、2,000点ということでございます。  これも2ページ目の下のほうの説明をごらんいただきたいと思いますが、現状の急性骨 髄性白血病の再発の診断は、臨床所見に加えまして、血液中、髄液中の異常白血球を形態 的に確認することにより診断されている。しかし、このような方法では、白血病細胞が約 109 個以下に減少すると検出することができなかったということでございますが、本検 査においては、さらにその1,000分の1に当たります106 個の白血病細胞を検出す ることが可能だということで、この急性骨髄性白血病の微小残存病変のモニタリングマー カーとして使用することが可能であるということでございます。非常に好感度にこの残存 病変を検出できるということで、再発の予見あるいはその化学療法の追加をするか、ある いはそこで中止するかという判断などが可能になるという、非常に有用な検査であるとい うことでございます。  以上でございます。 ○土田会長  どうもありがとうございました。  ただいまの説明につきまして御質問などございますでしょうか。  よろしいですか。それでは、本件につきましては、中医協として承認するということで 異議ございませんでしょうか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○土田会長  どうもありがとうございます。  続きまして、「先進医療専門家会議の検討結果」につきまして議題としたいと思います。  事務局より、最初に資料の説明をお願いいたします。 ○事務局(宇都宮企画官)  中医協総−3−1の資料をごらんいただきたいと思います。こちらに、「先進医療専門 家会議における科学的評価結果」といたしまして、今回は、2つの技術につきまして適と いう評価をいただいております。1つ目は、「セメント固定人工股関節再置換術における コンピューター支援フルオロナビゲーションを用いたセメント除去術」ということで、人 工股関節の弛みが適応症となっております。  これにつきまして次の2ページ目をごらんいただきたいと思いますが、こちらのほうに 内容の説明がございます。まず、先進性といたしまして、このコンピューター支援フルオ ロナビゲーションというのは、2方向のレントゲン写真をコンピューターに取り込むとい うことで、以後はその画像をもとに、そのコンピューターが実際に体の中に入っていくそ の器具の位置を3次元で認識することができるということで、これまでは、こういった手 術をするときに放射線をずっと当てていなければいけなかったのですけれども、この2方 向のレントゲン写真4枚撮るだけでできるということで、放射線曝露量が非常に低くなる、 軽減されるということ。それから、正確に器具を移動することができるということで、骨 切除等を追加する必要がなく、侵襲性の非常に低い手術ができるということです。これら のことで、術中術後の大腿骨骨折などの合併症の発症を予防し、より安全な治療ができる、 こういった先進性を持っているということでございます。  その下に概要としてもう少し解説がございますが、このセメント人工股関節が本邦で施 行されてから35年以上経過したということで、現在は、古くなった人工股関節の再置換 術を進めておるというときに、この古いセメントをきちんと除去しなければならないので すが、先ほど申し上げましたように、これまでの技術では、その放射線を当てる量が非常 に多くて、また、さまざまな副作用、合併症のようなものがあったのですけれども、今回 の技術によってそういった障害が取り除かれるようになったということでございます。  そして、次の3ページ目でございますが、この先進技術としての適格性につきまして、 適応症が妥当である等々、一番下の総評でございますが、総合判定として適というのをい ただいております。  そして4ページ目に、当該技術の医療機関の要件として、診療科は整形外科、資格は整 形外科専門医と、これらの要件がございますが、ここで資料の総−3−2のほうをちょっ とごらんいただきたいと思います。前回の総会、先進医療の御報告のときに勝村委員のほ うから宿題をいただいておりましたけれども、こういった専門医の資格について、どのよ うな基準と申しますか、そういうことで選んでいるのかというようなお話がございました。 この総−3−2の1ページ目の1のところに書いてございますように、医政局のほうで、 「医療に関する広告が可能となった医師等の専門性に関する資格名等について」、こちら のほうで挙げられた資格について、専門医として認めると申しましょうか、こちらのほう の要件となり得る資格であるということで取り上げさせていただいております。  具体的には、2ページ、3ページのところに、どういった専門医があるかということで 挙げさせていただいておりますが、この3ページの一番上のところに、今回要件となって おります整形外科専門医というのがございます。  また、今回は、倫理的な問題は特にないということなのですけれども、倫理的に何らか の対応が必要であるという場合に設置します倫理委員会につきましては、この総−3−2 の1ページの2に書いてございます。「倫理委員会の審査体制については、臨床研究に関 する倫理指針の「第3 倫理委員会」に準じた体制であることを申し添える」と、こうい う規定があるということでございまして、これは総−3−2の4ページから別紙2がござ いますが、これが「臨床研究に関する倫理指針」の抜粋でございまして、この資料の6ペ ージ目の真ん中よりやや上のところに「第3 倫理審査委員会」という項目がございます が、こちらのほうにのっとった倫理審査委員会を設けるということでございます。  あわせまして、この総−3−2の1ページの3につきまして、医療安全管理委員会につ いて書いてございますが、「先進医療にかかる届出書等の記載要領」という中で、医療安 全管理委員会につきましてもこれらの基準を示しておるというところでございます。  そしてまた、総−3−1のほうに戻っていただきたいのですが、2番目に適とされた技 術は、「腹腔鏡下直腸固定術」ということでございまして、これにつきましては総−3− 1の資料の5ページのところに説明がございます。最近、高齢者に非常に多く見られる直 腸脱に対しまして腹腔鏡を用いて行う手術でございますが、従来行われてきた開腹手術よ りも患者さんの肉体的負担を軽減した手術を行うことができるということでございます。  5ページの概要のほうにももう少し詳しく書いてございますが、非常に低侵襲で再発の 少ない手術方法であるということで、今回は、適というような評価をいただいております。  これにつきましては8ページの要件のところで、消化器外科専門医等々の要件がござい ます。  以上でございます。 ○土田会長  どうもありがとうございました。  ただいまの説明につきまして御質問、御意見などございますでしょうか。 ○邉見委員  大したことではないのですけれども、5ページに誤植があります。「消石灰」とありま す。 ○事務局(宇都宮企画官)  失礼いたしました。これは「小切開」の誤りでございます。失礼いたしました。 ○土田会長  ほかにございますでしょうか。 ○勝村委員  総−3−2に関しましては、お忙しい中おとりまとめいただきまして、ありがとうござ います。1つ目の専門医の件なのですけれども、私が知りたいと思ったのは、こういう先 進医療の要件の中では、専門性が高いということで、実施責任医師の要件のところに、経 験年数が何年以上であるとか、経験症例数が何件以上だというようなことが記されるわけ ですが、それと同時に、専門医であることという要件も書かれてあることを見て、つまり、 専門医であるということは、そこの中でまた経験年数なり、または症例数なりの条件があ るかもしれないし、専門医であるということは、一般の医師と比べてその点に関してどう いうことを満たしている医師だということになるのか。症例を何件やっているとか、どう いう基準になっているのか全くよくわからないので、その点をもし一覧していただけたら ということのお願いでした。専門医であるということだけで、例えばこれだけのことが担 保されておるというようなことがあれば、その他の要件はどうしていくべきなのかという ことを考えやすくするためにも知りたいなと思いましたので、お忙しいと思いますから、 いつまでにということは言わないようにしますけれども、専門医であるということがどう いうことなのかということを、これを機に国民にも知らせていくというようなことは、先 進医療を進める上でも大事なことなのではないかと思いますので、できればそこを一覧に してほしいということを一応お願いしていたつもりだったのです。 ○土田会長  いかがでしょうか。 ○事務局(宇都宮企画官)  この専門医の基準につきましては、学会によって、また、その専門性によって、基準と いうものが必ずしも1つにすぱっと切れるような一律のものということではなくて、それ ぞれの、もちろん経験年数も違えば、経験症例数も違いますし、また試験を実施している、 その試験もペーパー試験であるとか実技試験であるとか、非常にさまざまな形態がござい まして、それを、もちろん調べることは可能なのですけれども、またそれが日々更新され ているという点もございますので、なかなか一律に一覧表みたいな形で示すことが難しい という点もあるということを御理解いただけるとありがたいのでございますが。 ○勝村委員  前回はそこまで言わなかったのですけれども、一番最初に、もう2年ほど前かな、ちょ っと忘れましたけれども、お願いしたときには、専門医と言っても、科によって、中身は 今おっしゃったように全然違うのだという話を受けて、では、何らかのペーパーだけで専 門医になるというのもあれば、実技がかなりきちんとやられている専門医もあるというこ とだとしたら、そのあたり、どれがどの程度なのかということをまとめていただきたいと いうお願いをしていたのです。同じ専門医と言っても、この専門医は他の要件できちっと しておいてもらわなければいけないなと思うものと、逆に、この専門医の場合ならばすご く信頼できるのだなと思うものと、そこに差があるという状態だと思うのです。そのよう な差はなくなっていくほうが僕はいいと思うのですけれども、そのためにも一度きちんと 現状を、どうなっているのかというのを国民に知らせる意味でも、先進医療を考える場所 ですので、ちょっと情報提供していただきたいなと思いますので、できればお願いしたい と思います。 ○土田会長  勝村委員の発言の趣旨はよくわかるのですが、ただ、これだけの多くの学会についてす べてこういう基準でやっているということを全部出していくというのはかなり作業量がか かりますので、例えばそのうちの幾つかとか、1つか2つか3つか、そういう例を示して、 それでこういうことでやっているという、そういうことでとりあえず次回にでも資料を出 していただきたいというふうに思います。よろしいでしょうか。  いいですか、勝村委員。 ○勝村委員  はい。 ○土田会長  ほかに御意見、御質問ありますでしょうか。  よろしいですか。それでは、今回説明をいただきました技術につきましては、保険給付 との併用を認めるということで、中医協としては特段の意見がないという報告をしたいと 思いますが、よろしいでしょうか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○土田会長  どうもありがとうございました。  続きまして、「第16回医療経済実態調査結果速報」について議題としたいと思います。  本件につきましては、医療機関等調査と保険者調査の2つがありまして、先週10月2 6日に開催されました調査実施小委員会におきまして調査結果が取りまとめられました。 当小委員会の委員長である私のほうから最初に概括した上で、事務局のほうから詳しい説 明をお願いしたいと思います。  それでは、第16回医療経済実態調査の結果速報につきまして報告させていただきます。 この調査は、病院、診療所などにおける医業経営等の実態を明らかにして、社会保険診療 報酬に関する基礎資料を整備することを目的として実施したものでございます。  医療機関等調査につきましては、平成19年6月の状況、また、保険者調査につきまし ては、平成18年度の状況をそれぞれ調査しております。このたび調査に御協力いただき ました医療機関、保険薬局、保険者の皆様方及び関係各位の皆様方には、この場をおかり してお礼を申し上げたいと思います。  また、第16回医療経済実態調査につきましては、先ほど申しましたように、10月2 6日に開催されました調査実施小委員会において審議を行いました。その結果につきまし て、具体的な内容については事務局のほうから報告をお願いしたいと思います。 ○事務局(八神保険医療企画調査室長)  保険医療企画調査室長でございます。それでは、「第16回医療経済実態調査(医療機 関等調査)結果速報」を御説明します。  中医協総−4−1、分厚い資料ですが、これをお開きください。表紙をめくっていただ きまして、「調査の概要」とございます。3番の大きな表に「有効回答率」がございます。 今回、病院で前回よりも有効回答率が若干落ちてしまいましたが、一般診療所、歯科診療 所、保険薬局はいずれも前回よりも高い回答率をいただいております。  早速、内容に入らせていただきます。順次、病院、診療所、歯科診療所、薬局という順 番で御説明をします。10ページに、「【収支状況】 一般病院」とございます。設置主 体別に並んでおりますので、まず全体として12ページの「一般病院(集計1)」で、一 番右、「全体」という欄をごらんください。一般病院の全体でございます。この表で、一 番上に医業収入という欄がございます。右にたどっていただいて、全体の一般病院の医業 収入、前回2年前と比べましてマイナス10.9%となっております。その下5行ぐらい 下に行っていただきますと、医業費用がマイナス8.1%。ずっと下にたどっていただき まして医業収支差額という欄がございます。構成比率のところでごらんいただきますと、 17年6月、医業収支差額マイナス2.3%が、19年6月でマイナス5.6%に拡大を してございます。収入、費用と額が落ちております。一番下に平均病床数という欄がござ います。204病床から今回は190病床に病床数がサンプルで落ちておりますので、そ れも影響しているということを御留意をいただきたいと思います。  設置主体別に見ますと、10ページに戻っていただきますと、医療法人から順次並んで おります。幾つか御紹介をしますと、一番左側、医療法人、同様に医業収入の欄、前回よ りもマイナス8%、医業費用がマイナス9.1%、費用の内訳として、給与費、医薬品費 等々、額が前回よりもマイナスになってございます。結果として、医業収支差額の欄です が、前回1.3%から、19年6月は2.5%となっております。  同様に、国立病院をごらんいただきますと、医業収入の欄、マイナス11.6%、医業 費用の欄でマイナス11.5%、やはり、給与費、医薬品費等、数字が落ちております。 医業収支差額で申しまして、17年6月が0.5%、19年6月は0.3%となっており ます。  同様に、公立病院、同じページで一番右欄ですが、医業収入の欄、マイナス9.7%、 医業費用の欄はマイナス2.8%、医業収支差額の欄まで下りていただきますと、前回マ イナス9.1%が今回マイナス17.4%というようになってございます。  以下、公的病院等々ごらんいただければと思います。  少し進みまして、16ページから、一般診療所でございます。一般診療所につきまして は、個人、それから17ページがその他、その他と申しますのは、医療法人、市町村立等 でございます。それぞれ有床診、無床診に分けてありますが、一般診療所の個人立の有床 診療所で申しますと、同様に、医業収入の欄で前回と比べまして6.4%の増、医業費用 はマイナス3.7%、収支差額の欄ですが、個人立の場合、実額のほうを御説明します。 17年6月、237万4,000円が、19年6月は336万円となっております。  同様に、無床診療所でございます。医業収入の欄をごらんください。4.3%の伸び、 医業費用が8.3%の伸び、同様に、収支差額のところが、前回227万3,000円が 222万6,000円となっております。  注の2のところを少し説明をしておきます。個人立の一般診療所の収支差額でございま す。今実額を申しましたが、ここには開設者の報酬となる部分以外に、建物、設備につい て現存物の価値以上の改善を行うための内部資金に充てられるものが含まれていると考え られます。  17ページ、一般診療所のその他、医療法人立でございます。有床診療所をごらんいた だきますと、医業収入がマイナス3.8%、医業費用がマイナス0.5%、収支差額の欄 ですが、前回10.2%が今回7.1%となっております。  同様に、無床診療所ですが、医業収入が2.4%の増、医業費用が7.8%の増で、収 支差額が、前回13.8%から今回9.3%となってございます。  少しページが飛びます。29ページまで進んでいただきますと、次が歯科診療所でござ います。歯科診療所の個人立、それからその他医療法人立等と分けてございます。個人立 でございますが、医業収入がマイナス2.5%、医業・介護費用が1.4%の伸び、収支 差額の欄をごらんいただきますと、前回135万1,000円が122万9,000円と なっております。  その他、医療法人立等でございますが、医業収入の欄でマイナス0.5%、医業・介護 費用7%、収支差額のほうですが、17.4%が今回11.2%になっているということ でございます。  続いて30ページが保険薬局でございます。保険薬局も、法人立、個人立、分けて御説 明します。法人立ですが、収入の欄、マイナス5.8%、費用の欄ですがマイナス7%、 収支差額のところですが、前回5.4%が6.8%となっております。保険薬局の場合も、 一番下に処方せん枚数がございます。扱い処方せん枚数が、前回のサンプルよりも今回減 っているということに御留意をいただければと思います。  個人立の保険薬局ですが、収入がマイナス14.9%、費用がマイナス17.8%、収 支差額の欄ですが、こちらも金額で申しますと、73万2,000円が83万5,000 円、こちらも処方せん枚数が前回よりも減っているということに御留意をください。  続きまして、31ページから「機能別集計等」とございます。特徴的なところだけ触れ たいと思います。  32ページに特定機能病院が集計されております。医業収入が3.8%の増、医業費用 も4.8%の増です。医業収支差額のところを、構成比率をごらんいただくと、マイナス 8.7%がマイナス9.8%に落ちてございます。  それから34ページ、DPC対象病院を今回初めて拾ってみたものです。数字はもう御 説明しませんので、ごらんいただければと思います。  35ページのこども病院も今回初めて拾って集計をしてみたものでございます。  続けて幾つか機能別に集計をしておりますが、41ページに行っていただきますと、入 院基本料別の収支状況を並べてございます。7対1の病院が、医業収支差額の欄をごらん いただきますとマイナス3%、10対1の病院がマイナス9%といったぐあいになってお ります。  42ページは、同じく入院基本料別ですが、国公立を除いた数字でございます。7対1 はマイナス1.3%、10対1は0.1%等々となっております。  すみません、はしょって申し訳ないのですが、44ページからは規模別の収支状況を並 べております。44ページ、45ページが一般病院全体でございます。左から、20〜4 9床、右に、45ページに行くにつれて規模が大きくなっていくということで、収支差額 の率の欄をごらんいただきますと、20〜49床は、今回1.4%であったのが、50〜 99床になりますとマイナス1.5%、以下右に行くにつれ、マイナス2.1%、マイナ ス4.4%、マイナス5.9%、500床以上になりますとマイナス9.4%と、規模が 大きくなるにつれて医業収支差額のマイナスが大きくなるということが見てとれます。  46ページ、47ページは、国公立病院を除いたものですが、同様に、規模が大きくな ると収支が悪化するという傾向が見てとれます。  48ページからは、診療所の収支状況でございます。48〜53ページが有床診療所、 54〜59ページが無床診療所で、それぞれ個人立、それからその他ということで医療法 人立ということで分けて集計をしてございます。若干サンプルのばらつき等がございます ので、その点留意をしてごらんをいただければと思っております。詳細は省略いたします。  66ページからが院外処方率別の収支状況、それから70ページ以降が保険薬局で、今 回初めてこれもとりました、後発医薬品の調剤割合に応じた収支差額の率を集計をしてお ります。同様に73ページからは、後発品の備蓄割合の程度によって収支差額の状況を調 べたものが75ページまでございます。  76〜80ページは、施設当たりの従事者数を並べたものでございます。  81ページから、職種別の職員の平均給料というものを調べたものを並べてございます。 設置主体別に並べてございます。例えば81ページの右上ですと、サンプルが多いもので、 例えば公立病院の病院長の先生の給料ですが、賞与を1月分に割り返しまして合計をして、 (1)+(2)という欄をごらんいただきますと、163万3,316円。以下、医師、看護職 員等々並べてございます。金額の伸び率を右につけております。  82ページには、やはりサンプル数の多いものとして、医療法人立の病院の職員の給料 ということを、職員、職種別に並べてございます。  84〜86ページが、診療所、歯科診療所の給料ということで並べております。有床診 療所、無床診療所別に並べておりますが、個人立と、それからその他というのが、主に医 療法人立の場合の給料ということで、例えば無床診療所のその他は、医療法人立の院長先 生の給料ということで、84ページの下で、(1)+(2)の欄では、206万5,169円と いった数字が出てございます。  87ページからは、給料の推移の表でございます。  90ページから、療養病床60%以上の一般病院の集計をしておりますが、全体で申し まして、96ページ、療養病床60%以上の一般病院の全体の数字を御紹介しておきます。 96ページの右に「全体」とございます。医業収入がマイナス10.6%、医業・介護費 用がマイナス3%、収支差額は、前回7.9%から今回4.2%ということになっており ます。  98ページからは、療養病床を有しない病院の状況でございます。  106ページからは借入金の状況。  110ページからは、少し収支率の分布をグラフ化したものをつけてございます。  最後に118ページからは、前回からやっております定点観測の調査結果を並べたもの でございます。  ちょっと駆け足になりましたが、医療機関等調査は以上でございます。  続いて保険者調査のほうを説明いたします。 ○事務局(真鍋数理企画官)  調査課数理企画官でございます。資料、中医協総−4−2に基づきまして、保険者調査 の結果速報を御報告申し上げます。  まず1ページでございますが、平成18年度の決算状況につきまして、3,602保険 者を大きな制度別に一覧表にしたものでございます。(1)が収支状況でございますが、 下から3こま目を見ていただきまして、「総収支差 C=A+B」というところでござい ますけれども、ここが各保険者がマクロとして黒字であったか赤字であったかというとこ ろでございますけれども、政府管掌健康保険が1,288億円の黒字、組合健康保険が3, 265億円の黒字、以下、被用者保険は全制度黒字です。国保に行きますと、市町村国保 が204億円の赤字ということでございますが、市町村国保を除きまして全保険者黒字と いうことでございまして、合計しますと5,376億円の黒字となっております。ただ、 前回調査、2年前の16年度決算と比べますと、1,591億円ほど黒字幅は減っている という状況でございます。  その下の(2)の積立金等の状況でございますけれども、ほとんどの保険者は黒字とい うことですので、当然積立金も増えておりまして、一番右の欄で、積立金、全保険者合計 で7兆1,321億円という結果になっております。  続きまして2ページでございますが、土地及び直営保養所・保健会館に関する調査結果 でございます。  恐縮ですが、前回との比較をつくっておりますので、3ページをお開きいただけたらと 思います。まず、回収率でございますけれども、これは100%ということで御回答いた だいております。  (1)が土地の状況ということでございますが、はじめに、表の下の注を見ていただき まして、これは健保組合と共済組合について調査したものでございますけれども、土地を 保有している健保組合は560組合でございまして、割合にして37%となっております。 前回より61組合減っているということでございます。同様に共済組合につきましても、 土地を保有している組合は20組合ということで、割合にして26%でございますが、こ れも前回より減っております。  内訳につきましては、上の表を見ていただきまして、一番目立ちますのが3番の直営保 養所でございますが、これも健保組合でいうと、箇所数で137カ所減っているといった ところが目立つところでございます。  (2)のほうが、直営保養所と保健会館につきまして上物を調べたものでございますけ れども、やはりこれにつきましても、直営保養所・保健会館ともに減っているというとこ ろでございまして、直営保養所・保健会館を中心に整理が進んでいるといった結果になっ ております。  以上でございます。 ○土田会長  どうもありがとうございました。  皆さんの質問等を受ける前に、本件に関連しまして2号側委員より資料が提出されてお ります。  御説明をお願いいたしたいと思います。 ○中川委員  日本医師会の「医療経済実態調査の問題点と医業経営の実態について」という資料をお 出ししていますので、恐縮ですが、それをごらんいただきたいと思います。  まず1枚めくっていただいて、このように整理いたしました。  2ページをお願いいたします。まず、定点調査ではないことの弊害を指摘させていただ きたいと思います。例えばこの表をごらんください。1施設当たりの医業収入、一般診療 所ですが、個人の有床が6.4%プラスになっております。また、その他の無床が2. 4%プラスになっておりますが、従業者数が、個人の有床で10.8人から12.1人に 増え、その他の無床が8.7%から9.4%に増えているのです。従業者数の増加という のは、医業収入に直接関係しますので、これを従業者1人当たりの医業収入、一番右です が、それに換算してみますと、それぞれマイナス5%とマイナス5.2%と、マイナスに なっています。  次、3ページをお願いします。n数が70と少ないのですが、定点調査も行っていただ いていますが、この一般病院の医業収支差をごらんください。一番上の医療法人のところ ですが、非定点では71.5%のプラスになっております。ところが、これを定点にする と、マイナス5.7%ということになります。  次に4ページをお願いいたします。結果の示し方の問題点をさらに指摘したいと思うの ですが、個人と法人を合わせた「全体」の費用や収支差額までも掲載されています。しか し、個人の費用には院長報酬は含まれておりません。個人と法人の収支差も全く意味が違 うので、これは合わせて示す、この右下の線を引いてあるところですが、こういう表示は かえって誤解を受けるのではないかと申し上げたいと思います。  次に5ページをお願いいたします。さらに特殊なケースの処理が必要ではないかという 例です。今回、有床診療所の1施設当たりの収支の状況という、ここに表をつけましたが、 精神科、今回n数が1というところが1カ月間で5,096万円の医業収入があるのです。 こういうところを入れますと、例えば「全体」のところの右側の収支差額、金額で1月で 336万円ということになりますが、この精神科の1施設を外すと299万7,000円 と40万円近くも下がります。こういうのはやはり統計上の外れ値として処理するべきで はないかと思います。また、精神科の上の小児科なども、医業費用は半分になっておりま すし、その下の外科は、収入が2.5倍、費用が3倍という、こういうのがあります。や はりいろいろな処理が必要ではないかと思います。  そして、そこの下にありますが、この調査が6月単月の調査であるということから、小 規模の医療機関はほかの月に発生する費用等を12分の1で記入するということはなかな か難しい。したがって、費用が小さく出やすくて、逆に収支差額が大きく出やすいのでは ないかと思います。  次に6ページをお願いいたします。そこで、私ども日本医師会は、税理士・公認会計士 9,500名の会員のTKC全国会からデータをいただきまして、「TKC医業経営指 標」を使って分析をしております。これをちょっと御紹介したいと思います。  このTKCの医業経営指標は、客体数が多いこと、診療所5,417、病院700、定 点観測で経年変化の把握に適していると思います。また、実調と違い、年間を通じた決算 データで信頼性が高い。さらにこれは毎年の調査で、かつ、会計事務所が月次監査・指導 をしているところで、しっかりしたデータであると思います。実調のほうは非定点ですの で、経年変化の把握には適さないのではないかと考えます。  7ページをお願いします。このTKCの指標によりますと、病院の法人・個人、診療所 の法人・個人、医業収入はすべて減収、経常利益もすべて減益という結果になっています。  次に8ページをお願いいたします。このTKCの指標ですが、医業収入は、以下に示す ように、病院、診療所、法人・個人、すべてのカテゴリーで減収となっています。下の経 常利益率ですが、有床の個人で微増になっているほかはすべて悪化しておるということを 示しております。  次に9ページです。法人の損益分岐点比率を示しました。90%以上は危険、80〜9 0%が普通といった意味で解釈しておりますが、法人の病院全体では、93.7%から9 5.2%というふうに悪化しております。また、診療所は、全体で92.8%から94. 3%、有床診でも94.4%、無床診でも94.3%と、すべて危険水域に入っている。 さらにこれは悪化する傾向にあるということを指摘したいと思います。損益分岐点比率9 0%ということは、収入が10%以上減れば赤字になることを意味しておりまして、1 0%程度の環境変化というのは、今の医療においては十分起こり得るので、健全経営のた めには、本来であれば90%未満であるべきだということを申し上げたいと思います。  次に10ページです。TKC指標からのまとめですが、TKC指標は民間医療機関の実 態をあらわしています。民間の医療機関は、病院、診療所とも、健全経営という面からは 危険水域に突入しておりまして、わずかな変化にも耐えられません。病院、診療所とも、 早急な手当てが必要であると思います。  次に11ページをお願いします。これは実調からの機能別の分析をしてみました。特定 機能病院、DPC対象病院に注目しましたが、まず表の(1)のところをごらんください。一 般病院の医療法人は、一番右のほうに医業収支差率がプラス2.5%の黒字ですが、医業 収入のマイナス8.0%に対して、それ以上の費用削減、9.1%の削減で対応しました。 収入減以上の費用削減を行ったのは、一般病院では医療法人とその他だけであります。(2) の特定機能病院を見ますと、医業収支差率はマイナス9.8%の赤字でした。特に国公立 の赤字が大きいということになりました。(3)のDPC対象病院は、医業収支差率がマイナ ス1.3%の赤字でございました。  12ページをお願いします。中医協でも議論になりましたが、7対1入院基本料に注目 してみました。まず(1)の表をごらんください。一般病院の13対1以上の10対1、7対 1では、配置基準が高まるにつれて、給与費率が49.0%から50.8%、52.5% と高くなっており、7対1の病院では赤字でありました。15対1は、医業収支自体が小 さく、赤字でありました。右にありますが、(2)の特定機能病院では、10対1の給与費率 が高い。52.3%あります。また、7対1、10対1ともに赤字でありました。7対1 入院基本料を算定する病院は、給与費率が高く赤字です。特定機能病院では、医業原価率 も高く、赤字幅が大きくなっています。7対1は、地域医療を混乱させたばかりでなく、 7対1自体の経営も困難にさせているように思います。  13ページ以降は、参考資料としておつけしました。  以上でございます。 ○土田会長  ありがとうございました。  それでは続きまして、日本歯科医師会のほうからお願いします。 ○渡辺委員  それでは、歯科医師会のほうから、今回の調査についての見解を申し上げたいと思いま す。資料を御参照いただきたいと思います。  初めに、調査概要にもありますように、まさにこの医業経営実態を明らかにする調査で あり、次期診療報酬改定についての重要な検討資料であるというふうに考えております。  それから、歯科診療所の場合、個人立はほとんど無床で、経営規模も調査年によってほ とんど変わることはないと考えておりますので、前回との比較した伸び率がそのまま経営 状態の変化と考えられるのではないかと考えています。法人等については、若干その点は 差が出てくることは考えられます。  それから、先ほど日本医師会のほうからも説明がありましたが、収支差額には、個人立 の場合には、院長報酬のほかに多くの実質的には計上されていない費用相当分が含まれる というふうに御理解いただきたいと思います。  先ほど29ページの歯科診療所の報告がございました。そこを拝見しますと、報告があ りましたとおり、医業収入が前回比マイナス2.5%、それから保険診療収入は、それ以 上にマイナス3%。実は、8月の18年度医療費の動向の中で、歯科医療費が前年比マイ ナス700億円、2.8%のマイナスという結果が出ておりました。これからしますと、 その形がこのままマイナス3%という形で出てきたというように考えております。医業費 用は、今回は、前回比1.4%の増でありましたが、これについてはまた後ほど若干の説 明をしたいと思います。その結果、前回比収支差額は、大幅な9%の減になったというの が、この調査の結果で出てきたところであります。  実は、経年的な変化をやはり考えて今回の結果を考えてみたいと考えました。5ページ の表をごらんいただきたいと思います。これは、13回から今回16回までの調査概要を まとめてみたものでございますが、医業収入は毎回減少しております。保険診療収入は、 特に、全体の収入以上に大きいパーセントで減少しております。なお、医業費用につきま しては、今回の1.4%というプラスを除いて、大幅に削減をしております。すなわち、 経費の削減をしてきたということでございまして、当然、経営努力ということはしなけれ ばいけないわけで、この13回、14回、15回を合わせますと、ざっと2割近く削減を 努力してきたということでありますが、今回はもうその限界が来たのではないかというよ うな感じで、1.4%伸びている。また、その中で特に材料費が実質的に伸びていること を見ますと、これは、社会的な原油の値上げ等の影響で材料費等が上がっているというの が実態だろうかと思っています。  その結果、こうした削減にもかかわらず、収支差額が、前回は、大幅な医業費用のマイ ナスによってプラスでありましたが、全体として下がっている。そして今回は大きく9% の最大幅の下げになったということであります。  それで、最終収支差額は、この間、122万9,000円という数字でありますが、院 長報酬のほかには、先ほど報告もありましたように、建物・設備等のその新しい更新のた めの費用、あるいは借入金の返済、これも109ページにありますが、月平均で約23万 円相当の返済をしている。また、個人立ですので、法人等と違って、院長の退職金等、あ るいは法定福利等の分も入れますと、一般病院の勤務歯科医師の給与を大きく下がってお りますし、診療所の勤務歯科医師の給与に近づいていくというような現状であります。  それで4ページにお戻りいただきたいのでございますが、今後、医療安全対策、また高 齢者へ向けての在宅医療等の歯科医療提供のための体制整備、あるいは、材料等の上昇に よる経費の増加等さらに経費の増加が見込まれます。今回の調査の中から、収支状況の結 果からしますと、診療所経営は大変厳しい状況にある。安全で質の高い歯科医療を提供す るためには基盤整備が不可欠でありますので、次期改定における適切な評価が必要ではな いかと私たちは考えております。  以上でございます。 ○土田会長  どうもありがとうございました。  それでは、ただいまの報告を踏まえて議論をお願いしたいと思いますが、ただ、この医 療経済実態調査は、診療報酬の改定率に大きく関係してくる調査でございます。この改定 率につきましては、予算編成過程を通じて内閣が決定するということになっております。 また、中医協においては、その医療経済実態調査等を踏まえまして、改定率に関しまして 議論行い、その結果を厚生労働大臣に意見として進言することができるというふうに規定 されております。したがいまして、調査結果等についてこれから御議論いただく際にも、 その診療報酬改定を取り巻く経済状況等々も踏まえながら御議論をいただきたいというふ うに存じます。  それでは、どうぞお願いします。 ○西澤委員  今会長のおっしゃったことを踏まえまして、一つ私たちの協会を含む病院団体でやった 調査の報告をさせていただきまして、意見を述べたいと思います。申し訳ございませんが、 調査実施小委で資料を出しまして、今日はちょっと用意してございませんので、簡単に口 頭で説明させていただきます。  日本病院団体協議会、すなわち日本の今11の病院団体の入っている団体でございます が、そこで、「病院経営の現況調査」というのを行いました。今日本全国で8,878病 院がございますが、そのうちの2,837病院が回答いただきました。そこで、結果でご ざいますが、医業収支の状況というので赤字か黒字かということをまず聞きました。結果 といたしまして、平成17年度は37%が赤字、18年度は43%が赤字、実に、6%、 赤字病院が増えていたという結果でございます。また、医師募集・看護師募集におきまし てもなかなか困難な状況だったということはありまして、そこの点は省略させていただき ます。  もう1つ非常に大きい問題は、16年度以降に病床休止もしくは返還を行った病院が実 に521病院ございました。これは調査病院のうち19%でございます。しかも、前回の 診療報酬改定があった18年度以降が急増しておりまして、16年以降のほぼ7割が18 年度以降だったということで、前回の診療報酬改定の大きな影響があったと考えておりま す。また、その休止した診療科を見ますと、産婦人科、小児科が非常に多かったというこ とでございますが、そのほかにも、精神科、耳鼻科、皮膚科等、すべての科においてあっ たということでございます。これが前回の診療報酬マイナス改定の影響だと考えておりま す。今回の実調とあわせまして、この点も考慮いただきたいと思っています。  それから、基本問題小委で実調の報告を受けたときに、私たちと同じように、赤字病院 と黒字病院の数の報告をいただいたところでございますが、たしか17年と19年度では、 実調の結果においても赤字病院が43.1%から51.7%に増えたという報告を受けて ございます。  このことを考慮いただきまして、次回の診療報酬改定率に反映させていただければと思 ってございます。 ○土田会長  どうもありがとうございました。 ○山本委員  私ども、今日特に資料をお配りしてございませんが、いただきました実調の結果から私 どもなりに考えましたことがございますので、申し述べておきます。  全体としますと、数字がプラスになっているということ、収支が改善しているのではな いかと見られがちでありますけれども、具体的に、例えば30ページの表をごらんいただ きますと、収支はやはり全体と同じようにマイナス5.8%ということで、全体の収支は 下がってございます。一部プラスになっている部分がございますが、今回調査の幅が大分 広がったということでありまして、調剤報酬だけではない一般の医薬品の部分が入ったの ではないかと考えておりまして、全体として保険収入という部分で言えば、かなりマイナ スになっています。先ほど来説明がございましたように、その中でも、費用について言え ば、収入の減以上に収支をマイナスにしているという意味で、私ども経営努力と言う表現 は適切かどうかわかりませんが、経費を削りながら、その中で何とか対応しているという 実態をぜひごらんいただきたいと思います。  特に問題になりますのは給与費でありますが、17.9%減になっています。つまり、 人件費をかなり削っているわけでありますが、80ページにございますそれぞれの保険薬 局の薬剤師数その他の従業員数をごらんいただきますと、そこでも具体的に人数を減らし ながら中のバランスをとっているということでありまして、私どもの場合には、処方せん の枚数に応じて薬剤師の数が決まってまいりますので、その中で、十分な人を確保しなが ら、かなり厳しい状況で進めている。とりわけ、法人、個人、全体というふうに並んだ場 合に、薬局の実態を俯瞰いたしますと、多くの場合が法人形態をとっております。これは さまざま御議論があろうかと思いますが、個人立よりも法人立が多く、90数%が法人立 になりますので、むしろごらんいただきますのは、法人で比較した上で実態がどうなって いるか、まさに収入と支出のバランスを極めて厳しい状況でとりながら収差を出していま す。  しかも、この辺は、経営的な部分でありますので、医療になじむかどうかはまた問題で ありますけれども、借入金の調査がございますが、かなり大きな借入金を背負っておりま して、もともと脆弱な経済基盤の中で、まさに対金融機関との関係を考えますと、そのあ たりも十分に勘案した上でまさに経費をぎりぎりまで削っているということもぜひ御理解 いただいて、単に収支がプラスになっているということだけで、保険薬局については大変 よいのではないかという評価の仕方ではなしに、全体を見て、経営努力あるいは中での問 題も含めた上で、今後の報酬改定あるいは改定率の議論に結びつけていただきたいと考え ています。 ○土田会長  どうもありがとうございます。  ほかにございますでしょうか。 ○対馬委員  医療経済実態調査の結果等々を踏まえて支払側としても意見を出していきたいと思いま すけれども、もう少し時間をいただきたい。11月の中旬ぐらいまでには私どもの考え方 を提示したいと思っています。今日のところはあまり感想的なことを申し上げても、かえ って方向を誤ってもいけませんので、質問だけにとどめたいと思います。  まず、中川委員からのお話があったのですが、全体的に厳しいと、ないしは全体の統計 のとり方の問題等々も大分指摘がありました。そこは、特に統計のとり方の問題について は、私ども共通な問題意識を持っていますし、またTKCということで、こういった形で 早期に出していただいたということは、まずは評価いたします。  質問は、有床の個人で微増だということなのですけれども、有床診というのはかなり経 営が厳しいので、有床から無床に転換していくという話を私どもよく聞くのですけれども、 今回有床診だけがプラスになったというのは何か理由なり根拠なりあるのでしょうか。  もう1つ、歯科医師会のほうですけれども、渡辺委員から全体的に厳しいというお話が ございましたけれども、歯科医師の数自体がかなり増えているのではないのか、そのあた りが、歯科診療所のこういった収支などを見ますと相当影響しているのではないかと思う のですけれども、いかがでしょうか。 ○土田会長  それでは最初、中川委員、どうぞ。 ○中川委員  微増でして、これが増えたと言えるのかどうかというところで、内容は、データの整理 でこういう結果だということで本日はとどめたいと思います。ちょっと理由はわかりませ ん。 ○土田会長  渡辺委員。 ○渡辺委員  診療所数の増加につきましては、改めて局の方から、どのくらい、何パーセントという のを出していただければよろしいと思いますけれども、ここ数年の流れを見ていますと、 1%切って0.数%という状況ですので、その影響はないとは言えませんけれども、非常 に少ないというふうに考えております。改めてまた局のほうから、実質的なパーセントを 出していただければというふうに思います。 ○土田会長  ほかにございますでしょうか。 ○鈴木委員  今対馬委員の御質問に対してですけれども、16ページと17ページのところをおあけ いただきたいのです。まず、左のほうの個人の有床ですけれども、実は、この有床の届出 の、有床の左側のほうは入院させていない、有床診療所でも入院がないということだと思 います。この右のほうが参考として入院収入ありでございますので、実際上に動いている のは、この有床でも右側だと思います。同様に、17ページの有床の右側を見ていただき ますというと、これは法人立の有床診療所ということになりまして、そこで一番ごらんい ただきたいのは、個人の給与費のところを見ていただきたいのですけれども、給与費が、 有床の個人ではマイナス8.9%、医薬品費ではマイナス20.5%というように、医業 費用が25.6%になっておりますけれども、法人の有床診療所の右のほうを見ていただ きますというと、給与費は前回調査よりもかえって増えておりますし、医薬品費はマイナ ス4.5%でございますけれども、医業費用のこの比率だけを比べると、個人はマイナス 25.6%に対して、法人立はマイナス3.8%でしかないという、こういうところが御 指摘のような結果につながったのだと思います。  要は、経営努力といいましょうか、あるいは法人の有床診療所では、相当人数も多いわ けでありまして、そうなりますと、なかなか職員のリストラもできないというようなこと から、こういう結果になっているのではないかと思います。 ○対馬委員  有床の入院のあり・なしと、それから有床も個人と法人とはちょっと違うのだというこ とをおっしゃった。我々ももう少しよく眺めてみたいと思います。 ○中川委員  今、鈴木委員が申し上げたのは、実調のほうのデータの分析をしているので、対馬委員 の質問は、TKCの指標のところという意味なので、ちょっと今それを確認させていただ きます。 ○鈴木委員  すみません。 ○土田会長  ほかにございますでしょうか。 ○小林委員  多分今のお出しいただいた資料の8ページの経常利益率が、個人の有床の場合に、17. 4%から18.0%になっているというところだと思うので、そこは教えていただきたい と思います。  全体的に費用が、非常に経営が厳しいということだと思うのですけれども、例えば損益 分岐点比率をお出しいただいていると思うのですが、9ページのところでかなり厳しいと いうことだと思うのですけれども、ここで検討しなければいけないのは、多分医療につい て診療報酬が出ているわけなのですけれども、通常の企業と違うところは、市場の中で売 上高を伸ばして、そしてその費用、コストダウンをしてという経営努力を求められるとい うところと、この医療の場合には、一定、診療報酬が決まっていて、その市場の中で医業 をしているわけではないので、市場性のいわばないところで、一定の売上高の中でいかに コストダウンをしていくのかということが求められているということだと思うのです。非 常に危険だということはわかるのですけれども、この中で、固定費の部分あるいは変動費 の部分でどのような経営努力をしていくのかということをあわせて見ていかないといけな いということだと思うのです。  ですから、実調のほうの調査よりもTKCさんのこの調査のデータのほうがいろいろ豊 富なデータを持っているかとも思うのですけれども、実調のほうでも、医業費用の中の変 化というものを見ておりますので、その中で、給与費分、あるいはいわばコントロールで きる費用の部分というところでどういう趨勢になっているのかということを見るのは、そ の意味で意味があることだと思いますので、医業収入の減少の部分と費用の変化の部分を 構成要素別に、コスト構造といいますか、そういうものを見ながら診療報酬改定に役立て ていけばよろしいのではないかと思います。 ○土田会長  どうもありがとうございました。 ○中川委員  最初の質問は対馬委員の質問と重複すると思うので、ちょっとそれは次回までにと思い ますが、コストダウンといいますか、医業費用の削減は、私どもの資料の11ページに示 しましたが、医療法人とその他のところで、収入の伸び、減少以上に医業費用を削減して いるということをお示ししたと思うのです。これはもう御存じのように、医療というのは 労働集約型の分野でございますので、これは人員配置基準その他があって、実は給与費を 中心とした固定費、これはもう削減できない、むしろしてはいけない。これは医療の質、 安全性に直接かかわります。その他いろいろなところで、不要と言いませんが、できるだ けスリム化するような努力はもうし尽くしているという状態だというふうに認識しており ます。  そこで、ちょっといい機会なので小林委員に教えていただきたいのですが、そういうコ ストダウンの努力をしているという前提で、医療機関の損益分岐点比率というのはどのぐ らいが限度かというふうにお考えか、教えていただけませんか。 ○小林委員  損益分岐点の場合には、いろいろな手法が、この場合ですと、やはりここで出されてい る費用の部分といいますか、9ページのところで算式が出ているのですけれども、ここで は「簡易的に」というふうにお書きになっていて、固定費と、それから変動費は材料費と 委託費というふうに算出されているのです。こういうCVP分析といいますか、の場合に は、固定費部分を何に入れるのか、変動費部分というのはクリアにはわからないもので、 かなり仮説に基づいて計算せざるを得ないというところがあるのです。  それで、普通の企業の場合ですと、これは例えば利益計画を立てるときに、どのぐらい の目標売上高を設定すれば目標利益が達成できるかといったところによく使われる手法で して、その意味では、医業側で、どこの部分が本当に固定的で、給与の部分は御指摘のと おり本当に削減できない部分だと、必要な費用であると思いますが、そのほかの部分で、 どの部分を変動費、コントロールできる費用としてカウントしていくのかといったところ が非常に重要なポイントになるのです。いろいろな業種の中でも、いかに固定費を変動費 化していくかというようなところでの経営努力がされているので、その部分で非常に厳し い状況とは思いますが、これはだから、会計的に言うと参考数値という位置づけでしかな いと、そういうふうに思うのです。  ですから、これでどうだというので、何%がいいのだというふうに明確に私のほうから お答えすることはちょっと難しいです。 ○中川委員  ただ、全分野で悪化しているということはお認めいただけますね。 ○小林委員  はい。 ○中川委員  ありがとうございます。 ○勝村委員  日本医師会さん提出のデータの5ページの外れ値にすべきではないかという医療機関が あるわけです。これはどういう医療機関だというふうに考えられるわけなのですか、どう いう理解をすればいいのですか。 ○中川委員  これは事務局からお願いします。 ○事務局(八神保険医療企画調査室長)  先ほど御紹介のあった精神科の件でございます。確かにこの数字が極端に大きく出てお りまして、私どもも実は、最初に思ったのは1けた間違えているのではないかとか、年間 の数字を出していないかとか、そういう意味で調査集計するときにも気になって、ここは 照会をかけました。その結果、数字が大きいのは間違いないのですが、正しく調査票に書 かれてきたということで、外れ値というふうに、外すという理由がないというふうに判断 をして入れてございます。 ○勝村委員  事実として存在しているならば、単にデータから外すのではなくて、こういう医療機関 がどの程度あって、どういう状況なのかということの把握も必要ではないかと思います。 だから、単にデータから外すのではなくて、もし医師会さんのほうも御存じならば、どう いう医療機関でどういう構造でこうなっているのかというのを教えていただければと思い ますが、医師会とは無関係な医療機関なのでしょうか。いずれにせよ、そういうところは ほかにもあるのかどうかとか関心がありますので、だから、データから外すというだけで いいのかということをちょっと問題提起しておきたいと思います。 ○事務局(原医療課長)  ここの医療機関は、ごらんいただきますと、外来収入が非常に大きいということで、実 は、精神科でデイケアとかデイナイトケアという、そういうのをやっておられて、その外 来の患者さんがたくさん来られる。費用から見ても、スタッフも充実している。そういう 中でたくさんの患者さんを外来で診ておられる、そういう医療機関であります。 ○竹嶋委員  勝村委員から、今医師会のほうでもということだけれども、実を言うと、これは私ども が厚労省にお尋ねしたのです、間違いではないかと。まずこの数字があまりにも我々の普 通の常識を外れていると思うものですから、お調べ願いたいということで。これは私ども はなかなかできないですね、医師会員であればできますが、そうでないような場合もあり ますので、これは正確にお答えしておきます。あくまで、資料はやはり厚生労働省はきち っとお出しになって、それを私どもはここで支払側、あるいは診療側、公益委員の皆様方 をまじえて、できるだけその正確な資料に基づいて協議していく。これは国民の皆さんの 医療のためにつながることでありますので、そこだけを強調しておきます。 ○土田会長  ただいまのことは、今医療課長から話がありましたように、確かに1つだけですと非常 に数値が高いわけですが、ただ、説明を受けた限りにおいては、別に誤りではないという ことですから、こういう調査の場合は、そういう誤りのない数値は全部取り入れていくと いうのが原則ですから、統計上の処理あるいは実態調査上の処理については一切瑕疵はな いというふうに判断します。ただ、それが異常値に解釈され得るということについては、 もちろんここで議論されているとおりだと思います。 ○渡辺委員  先ほどの対馬委員の御質問で、ちょっと私の手元のメモで見ますと、診療所の増加なの ですが、15年が前年比1.2%、16年が1.1%、17年が0.3%ということで、 このデータからすると3年で0.86%伸びているというのが診療所数ということで、ち ょっとこれは手持ちの私のメモなので、また改めて正式に出していただきたいと思います が、ある意味で、そういう供給が需要を呼ぶという、この経済的な考え方をすると、その 影響がどうなのか、全体としてプラスなのかマイナスなのか、そこはなかなか難しいとこ ろかというふうに思っております。 ○土田会長  ほかにございますか。  この後基本小委もありますので、そろそろまとめたいと思いますが、一つここで御確認 いただきたいのは、今回の第16回医療経済実態調査の結果につきましては、ここで承認 をいただく必要がございます。したがいまして、基本小委ではそういうことで承認いただ いておりますが、この総会において、この実態調査について中医協として承認をいただき たいということですが、よろしいでしょうか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○土田会長  先ほどの精神科の問題も、そういうものを含めて統計としては処理してきたいというこ とでございますので、御承認いただきたいと思います。どうもありがとうございました。  それから、今後は、今回の調査等を踏まえた議論が改定率に関係してくるというお話を いたしましたが、この後1号側委員及び2号側委員から御意見を提出していただき、それ を踏まえた議論を進めた上で、中医協として意見を取りまとめて厚生労働大臣のほうに進 言したいと考えております。1号側、2号側のほうで、見解あるいはその意見をまとめて 提出していただきたいと思います。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○土田会長  どうもありがとうございました。  それでは、特に御質問等ないようでしたら、これで今日の総会は終了にしたいと思いま す。  次回の予定が決まっておりましたら、お願いいたします。 ○事務局(原医療課長)   まだ決まっておりません。 ○土田会長  ということでございます。  それでは、どうもありがとうございました。引き続きまして基本問題小委員会を開催い たします。     【照会先】       厚生労働省保険局医療課企画法令第1係       代表 03−5253−1111(内線3288)