07/10/31 中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会平成19年10月31日議事録 07/10/31 中央社会保険医療協議会          第105回診療報酬基本問題小委員会議事録 (1)日時  平成19年10月31日(水)10:52〜11:35 (2)場所  厚生労働省専用第18〜20会議室 (3)出席者 土田武史小委員長 遠藤久夫委員 小林麻理委員 白石小百合委員        前田雅英委員 室谷千英委員  対馬忠明委員 小島茂委員 丸山誠委員 高橋健二委員(代 清水)  松浦稔明委員  竹嶋康弘委員 鈴木満委員 西澤寛俊委員 渡辺三雄委員 山本信夫委員       古橋美智子専門委員        <事務局>       原医療課長 他 (4)議題  ○画像診断の評価について       ○処置について       ○地域医療について (5)議事内容  ○土田小委員長  ただいまより、第105回中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会を開催い たします。  まず、委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、高橋委員の代理で全日本海 員組合の清水保さんがお見えになっております。  また、審議官は公務のため欠席される旨の連絡を受けております。  それでは、議事に入らせていただきます。  本日は、最初に、「画像診断の評価」を議題としたいと思います。  事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。 ○事務局(原医療課長)  医療課長でございます。中医協診−1−1と中医協診−1−2の資料をごらんいただき たいと思います。  まず、参考資料のほうのグラフをちょっと見ていただきたいと思います。1ページでご ざいますが、「診療報酬点数上のデジタル加算の割合」ということで、普通のレントゲン を撮りましたときに、デジタル化処理をした場合にデジタル加算というのが算定できると いうことになっておりまして、その算定割合が平成18年において70%を超えていると いう状況でございます。  また、その「デジタル映像化処理加算(年額)とフィルム費用(年額)の推移」でござ いますが、菱形のドットのどんどん伸びているのがデジタル加算の年額でございます。ま た、フィルム代につきましては、やや横ばいないしは若干増加ということで、デジタル化 処理をしてもフィルムがなくなっているわけではないという図でございます。  それから、2ページ目をごらんいただきたいと思います。上の図でございますが、「機 種別検査件数平均」と書いてあります。ここで、ノンヘリカル、シングルヘリカル等々と 書いてありますが、ヘリカルというのはらせんのことでございまして、CTの原理でいき ますと、初めは輪切りに撮っていくというのが、簡単に言えばそういう原理でやっていた のが、ヘリカル、らせん状にずっと撮影をしていく、そういうようなやり方に変わってき たということでございます。そのメリットはいろいろあるわけですけれども、1つは速く 撮影できるということです。それからもう1つは、輪切りでいきますと、撮影したところ の断層分しかわかりませんが、ヘリカルでいくと、画像処理によってかなり無制限に画像 を処理することができる。輪切りの例えば0.1ミリ幅でも出てくるというようなことが できるようになっております。  さらに、検出機のほうが、だんだん多数に一斉に検出できるような形で多数の多列型が 出てきまして、一番下にあります64列のMDCTというのが最新型ですけれども、これ もかなり普及をしてきているという状況になっております。  このような、高機能化とともに、下の図を見ていただきますと、これは肺結核を疑った 患者さんの精密検査をCTで撮りました。実はここに出ております写真が、1回の撮影分 の約3分の1の画像であるということで、1回一連で撮りますと膨大な情報が出てくる、 こういうような状況が今現在の画像診断の中では言われているわけであります。  そこで、このデジタル化処理のメリット等でございますが、3ページ、あわせて説明い たしますと、従来のフィルム撮影でいきますと、1回エックス線を当てますと、それにフ ィルムが感光するわけで、一発勝負といいますか、そのときで全部決まってしまいますの で、撮影条件を厳密に設定をするということで、人の体形とかも含めまして条件設定をし ていくということで、経験も非常に有するということでありますし、それに対しまして、 デジタル処理になりますと、もちろん一定の条件の設定は必要なのですが、それにあわせ て、あとはデジタル化した後にコントラストをつけるとかというような処理が可能でござ いますので、さらに被曝線量を少なくできるというようなことがございます。最終的に、 このデジタル処理した後、そういう条件に合わせてフィルムに出すか出さないか、これは 後でお医者さんが見るときにフィルムの形で見るのかどうかということになるわけですが、 これは、フィルムレスでいきますとモニターが当然必要になりますので、そういう設備投 資が必要になるということでございます。  今回目指したいのはフィルムレス化ということで、先にここで御説明いたしますと、フ ィルムレス化の利点ということですが、フィルムは当然使用しなくなるわけですが、その ためにフィルムという、銀を使ったフィルムでございますので、地球環境へ非常に効果が ある。先ほど言いましたように、最近膨大な情報が出されますので、それに対するフィル ム量というのが相当になる。画像を、現像等をしませんので、即時に利用することができ る。患者さんを紹介する場合に、フィルムという大きなものではなくして、電子媒体、C D−ROMなどに落として画像提供は可能になります。保存による画像の劣化が基本的に はない。電子カルテ等と連携させて業務の効率化が図れる。それから、保管場所が節約で きる、これは大きなものであります。フィルム代の削減でありますとか、膨大なデータ量 への対応等々、非常に利点が多いわけです。  一方、このためには特に病院ではそれぞれの診察室にやはり1台ずつモニターが必要に なりますし、病棟のほうでも読む必要がありますので、そういうところにもモニターが必 要になる。そういう意味では、多数の画像を表示させる、この画像表示装置も非常に精細 な画像表示装置が要りますので、高価であるということで、一定程度の設備投資が必要に なる、そういうことがフィルムレスとしては非常に大きなネックになっているということ でございます。  そこで、本体の資料、診−1−1に戻っていただきますと、1ページ目の「現状と課 題」でございます。(1)のところは、先ほど申しましたように、CTの多列化あるいは MRIの高磁場化などで、高品質の画像が撮れる。さらには、CTでは、時間分解能、短 時間で撮ることによって拍動している心臓のCT撮影が可能になる。  それから(2)には、デジタル映像化処理加算について70%を超えてきているという こと。その一方で、ただ、フィルムレスにはなっていない。  それから(3)、もう1つの画像診断については当然こういう多数の画像を撮るところ では、専門の画像診断をする医師を常勤で雇っていただきますと、この画像診断管理加算 というものが算定できることになっておりますが、先ほど言いましたように、膨大な画像 が出てくるという状況の中で、非常にこの画像診断をする医師の負担が高まっている、ま たは逆に、それが画像診断の質を落としかねないというほど過重な負担になっているとい うのが現況でございます。  そこで、2ページ目でございますが、診療報酬上の評価は、上の「第1節 4」と書い てありますが、これが普通のレントゲンを撮った後のデジタル映像化処理加算、これが現 在あるわけであります。下のコンピューター画像処理加算というのは、CT等を撮ります と、当然デジタル画の情報ですので、デジタル化加算はありませんが、ただ、フィルムを 出さないという前提でやりますと、この60点の加算がとれるという形になっております。  それから、個々の医師ではなくして画像診断を専ら担当する常勤の医師が画像診断を行 った場合には58点という加算がつきますし、さらに、一定の施設基準に適合している場 合、すなわちその医療機関において実施されるすべての核医学診断及びコンピューター断 層診断を、画像診断を専ら担当する常勤の医師が行っているという条件があれば、それに ついてはこの画像診断管理加算、1枚87点ということが加えられるようになっておりま す。  ここで議論していただきたい点は、1点目が画像診断技術、先ほど言いましたように、 多様なものがありますし、さらにはこれを立体化する技術等々も出てきておりますので、 こういう新規技術の評価、あるいは既存技術の評価の見直し等については、医療技術評価 分科会や先進医療専門家会議で検討していただくことにしていますので、その結果をまっ て対応していただきたい。  それから2番目は、デジタル化加算の役割としては、相当程度普及してきたということ で、その技術にかえて、次の段階としてフィルムレスによる画像管理技術というものを評 価していってはどうかということでございます。  また、同時に、先ほどの画像診断を専らやっていただける先生の診断の質を担保すると いう意味でも、体制についてもう少し見直すべきではないか。現在はどういう基準がいい か、これはいろいろと考え方がございますけれども、専ら担当する、すべてやっていると いう状況だけで今現在は画像診断管理加算2というのがついておりますが、もう少しこの あたりを条件づけを整備をしてはどうかと考えております。  資料は、以上でございます。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。  ただいまの説明につきまして御質問、御意見ございますでしょうか。 ○鈴木委員  70%の普及率ということではありますけれども、このものは、ほぼ病院に偏在してい るのだろうと思います。そういたしますというと、プライマリーケアの現場側の事情とい うのはますます乖離していくわけでありますし、そういうところの全体の質の向上という 面を全体的に配慮したような考え方というのをぜひお願いしたいと思います。それができ なければ、ちょっとこれは問題だと思いますし、余計に病院志向が進行してしまうような 気がいたします。  そういう意味で、安易なデジタル映像加算というものは、そういう意味での格差の拡張 につながると思いますので、慎重にしていただきたいと思いますし、なおかつ、その結果 が、こういう質ということで画像診断管理加算の引き上げに伴う原資になるというような ことであれば問題であるというふうに考えます。 ○土田小委員長  ただいまの御意見について、事務局いかがでしょうか。 ○事務局(原医療課長)  JIRA(ジラ・日本画像医療システム工業会)でお聞きしたのですが、一般診療所で は、いわゆるこのデジタル映像化技術の導入をしているところは13%で、87%は導入 されていない。ですから、このデジタル処理加算そのものを設定しても、診療所の場合は、 撮影枚数等の関係もあるのだと思うのですけれども、普及は全然していないのが現状であ ります。  ただ、先ほど言いましたように、これにかえてフィルムレス化のほうに加算をつけると いうことを考えていますので、診療所の場合は、先ほど言いましたように、病院のように あちこちにモニターを置く必要はありませんので、設備投資的には、フィルムレスまで一 気に進むのとデジタル化だけをするのとでは、それほど大きな差はないだろうと思います ので、もしデジタル化をする際には、一気にフィルムレス化まで行っていただければ、診 療所でもフィルムレス加算がとれるということで、現在は普及していないから、逆に言う と、診療所に影響は少ないのではないか。もしデジタル化されるのであれば、フィルムレ ス化までやっていただくと、フィルムレス加算がとれるわけですので、そこの設備投資も、 それほど莫大なその差があるわけではありませんので、その点をよろしくお願いしたいな と思っております。 ○竹嶋委員  フィルム費用がなかなか減らないということで、グラフが1ページに出ていますが、ど うなのですか。平成15年まで出ていますね、「フィルム代 年額」というのが。ここで 大体プラトー(水平)になってきているのだけれども、これから16年、17年、18年、 上のデジタル加算の割合というのは、平成18年まで棒グラフで数字が出ていますね。下 のほうは、16年、17年、18年というのはどういうふうになっているのですか。それ によって急ぐとか急がないとか、また費用の問題があるのでしょうが。 ○事務局(原医療課長)  実は、これは社会医療診療行為別調査の集計方法が途中で変わりまして、ちょっとこの 対応するデータが出せないということですが、平成18年分につきましては、フィルム代 として約400億円という水準だと。横ばいといいますか、という形で推移していると考 えております。 ○対馬委員  医療技術といいますか、画像診断技術、こういったことがどんどん発展しているという こともわかりますし、また、フィルムレス化によるメリットというのも十分わかりますの で、全体的には進めていくのかなと思うのですけれども、ただ、ちょっと懸念しますのは、 私どもにとっても、病院や診療所に行ってフィルムをいただいてきて、それをもとに診断 をいただくというシステムは非常になじみが深いと思うのです。一方で、画像診断が進ん でいってもなおかつフィルムは全然減っていないというのは、何かそこに理由があるのか ないのか。特に私どもからしますと、患者さんにとってデメリットが生じないのかどうか というところが気になりますので、特にフィルムが全然減少していない原因が患者さんと どういうかかわりがあるのかないのか、そこを聞かせていただきたいと思います。 ○事務局(原医療課長)  なぜ減らないかの原因はよくわかりませんけれども、患者さんへの影響という面では、 画像で診断するかフィルムで診断するかということでいけば、大きな問題はないと私ども は考えております。  それから、先ほどおっしゃられましたように、医療機関間での情報の伝達という意味で、 今は、病院同士であれば、先ほども言いましたように、多くはCD−Rなどに落として受 け渡しをしていると聞いておりますので、従来、分厚い袋を持って行くということに比べ て非常にやりやすくなっていると考えております。 ○土田小委員長  よろしいですか。ほかにございますでしょうか。  この件につきましては、診療報酬が医療技術の進歩に対応していくということで、その 評価もそれに合わせて変えていくことは重要な課題であるというように思われます。今回 の画像診断技術が医療に果たしている役割を踏まえながら、その進歩に伴って評価体系を 見直すということも必要な作業だろうと思っております。  事務局におきましては、今日の議論を踏まえて、もう少し具体的な制度設計をお願いし たいと思います。よろしいでしょうか。  それでは続きまして、「処置」を議題としたいと思います。  事務局より説明をお願いいたします。 ○事務局(原医療課長)  処置については、中医協診−2の資料、1枚だけでございます。ここで議論をお願いい たしたいのは、現在第9部の処置の項目にたくさんの処置が並んでいるわけでありますが、 その中で、医師による診断と適切な指導があれば、必ずしも医師あるいは看護師等の医療 職による高度な技術を要せず、患者本人あるいは家人によって行うことが可能な処置も実 は含まれております。  具体的には以下の項目があります。例えば「皮膚が少し赤くなる程度の熱傷」、第1度 の熱傷でありますが、それの極めて狭いものについて、例えば診療報酬の項目でいきます と、J001熱傷処置の100平方センチメートル未満というところに該当するわけです けれども、これなどにつきましては、家庭で軟膏等を塗っておけば、それほど多くの処置、 専門的な処置が必要ないというのが関係学会からも出されておりますし、例えば一番下の 「湿布の貼付」でございますが、これは既に診療報酬の算定の留意事項の中で、患者みず からまたは家人等に行わせて差し支えないと認められる湿布については、あらかじめ予見 される湿布薬を必要量投与するということで、処置は算定してはいけないというふうにも 決められております。  そういう意味で、ここはそれと同じように、そのほかの例えば狭い範囲の軟膏塗布など、 それから眼処置の中の点眼や洗眼、そういうものの処置。眼処置そのものにはそのほかの 処置等も入っておりますので、この項目をなくすという意味ではありませんが、その中で も、点眼や洗眼をやったときについては、それだけではこの眼処置はとれなくていいので はないか。その処置そのものについては、基本的な問題ということで基本診療料の中に含 まれるという整理にしていきたいということが、今回の御提案でございます。  以上でございます。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。  ただいまの説明につきまして御質問ございますか。 ○鈴木委員  この湿布処置みたいに、現在でも算定できないというようなことを、確認のために、も うはっきりだめですよというようなことであれば問題はないと思うのですけれども、本当 に患者さんが御自身でできるのかどうかというようなところ、多少不安なところがありま す。順番は、目であり、耳であり、それから鼻というような感じになりますけれども、衛 生管理だとかあるいは非常に感染性の疾患、目のものもございますでしょうし、耳にもご ざいますと思いますけれども、その辺のときに、自分でやってくださいということで患者 さんは不安にならないでしょうか。例えば器具とかガーゼとか、そういういろいろなもの の滅菌処置とかいうようなことも必要になってくると思いますけれども、それは今は薬局 でそう売っているものかどうかも私は知りませんのですけれども、非常に不安が残ると思 います。 ○事務局(原医療課長)  先ほど言いましたように、医療上必要なものはやっていただいていいのですが、ただ、 そのやっていただいた処置については、基本診療料の中で読み込むということでございま して、患者さんにできないことを患者さんにやれというようなことは、逆に言うと、決し てあってはならないというふうに考えております。 ○土田小委員長  よろしいですか。 ○竹嶋委員  やはり強調しておきたいのは、今鈴木委員がちょっと申しましたが、私も外科系ですが、 軟膏ですね、傷があって、これに軟膏を塗ると。具体的に言えば例えばステロイドのよう なものを塗る場合、これは逆に感染を誘発しますね。そういうときにはステロイドの中に 抗生物質が入ったようなものを使ったりとか、そういうことをやるわけですね。それから、 消毒した上で塗った後にガーゼして、何日間か処置をしてもう感染がないなというときは 軟膏をお渡しします。だから、問題はそういうところをはっきりさせなければなりません。 恐らくこれが出てきた背景は、やはり財源中立の中でどうしていくか、どこを、上げてそ の代わりどこを下げてということだと、もう率直に言ってそうだと思うのです。だけど、 医療の質の守るところは守っていかなければならない。そこら辺の注意は払っていかなけ ればならない。  それから、洗眼にしても、私、これは自宅となると、いろいろな家庭があるでしょうが、 それで本当に自分でできるのかなと。  こういうところは、全部が全部反対するのではないのだけれども、やはり医療行為とし てちゃんとするところはしなければいけないのではないかと、そういうふうに発言してお きます。 ○小島委員  今竹嶋委員が指摘した、別にこれは本人に家庭でやれと言っているわけではなくて、こ の処置について、ここについているような点数を改めてつけなくてもいい、あるいは基本 料、初・再診料のほうに含めたらどうかという提案だと思います。これについては、前回 の診療報酬改定についての基本方針といいますか、社会保障審議会のほうで出ている、こ の中でも4つの視点とかと、その中には、今後重点的に評価すべき分野と、それから効率 化すべき分野というような視点であるとか、そういう意味ではここはいわば効率化すべき ような分野ということで、その分を技術料として評価するようなところについて評価して いくというような、メリハリといいますか、そういうことが必要だろうと思いますので、 ここに出ている点数をすべてこれでなくしてしまって、初・再診料に含めるということが いいかどうかというのは、少しその辺は議論があると思いますけれども、やはりそういう 視点でもう一度ここは点検してみるという必要があるのではないかと思っています。 ○土田小委員長  私が言うことを全部言っていただいたような感じですが、恐らくそういう視点だろうと 僕も理解しております。竹嶋委員のおっしゃったことは、もう当然のことでありますので、 それは今小島委員がおっしゃったように、医療行為として行わないということではありま せんので、その点は確認しておきたいと存じます。  ほかにございますでしょうか。  よろしいですか。時間の方はどうですか。事務局の方でこのあと12時半ぐらいから別 の要件が入っているということですので、まだあと15分ほどございますが、もう1つの 議題の「地域医療」につきましては、ちょっと15分で行うのは無理だと思いますので… …  無理ではないですか、できますか。 ○事務局(原医療課長)  はい、やってください。 ○土田小委員長  では、やりましょう。  それでは、「地域医療」につきまして最初に説明をお願いいたします。 ○事務局(原医療課長)  地域医療について、中医協の診−3−1、診−3−2、診−3−3の資料がございます。 診−3−3の資料は、前回検証部会あるいは総会でお示ししました地域連携診療計画管理 料についての結果検証の調査結果でございます。あと説明資料の中にいろいろとページ数 が出てまいりますので、その図表等は後で参照をしていただければと思います。  それで、今回はここの地域連携クリティカルパスの評価を考えていただきたいというこ とで提案をしております。まず、診−3−2の資料をごらんいただきたいと思います。地 域連携クリティカルパスとは何かということでありますが、そもそもクリティカルパスと いうのは、いろいろな工業界、アメリカの工業界で物を生産するときにどこがネックにな るかというような、そういうところを解決するための指標として、いろいろな部品がいろ いろと組み合わされて製品ができるわけですけれども、そういうようなものをどこに資源 を投入すれば一番早くできるか、あるいは有名なところではアポロ計画などでの大規模な クリティカルパスのものがございます。それに対しまして、90年代ごろ医療機関におい て、医療機関の中で患者さんの治療をしていく上でどういうところを重点的にやっていく か、あるいはどういう、いつの時期になったらどういうことをしていくかと、そういうよ うなものをしっかりと書いていくクリティカルパス、病院内のクリティカルパスというも のが利用されるようになりました。  今回の地域連携クリティカルパスというのは、患者さんが急性期の何か病気を起こされ たときに、入院してきて、その後自宅へ行くまで、あるいは病院を移ってどうなっていく かと、それを一連のものとしてパスをつくる。いつの時期にどのようなことになるかとい うものを地域連携クリティカルパスと言っております。それをつくることによって、患者 さんは、いつごろ自分がどういう治療を受けるか、あるいはどういう訓練を受けるか、あ るいはどういう状態になるかということがある程度の目安ができますし、いつごろ自宅へ 帰れるか等々の目安もできる。それから、病院間で連携してやりますと、受け手側の病院 でもどのような患者が来るかということが明確になってきますので、受け入れが非常にス ムーズになるというようなことの利点がございます。  参考資料の2ページをごらんいただきたいのですが、今回その中でも脳卒中、今現在は 大腿骨の頸部骨折についてこの管理料をつくっておりますが、今回脳卒中にもこれを広げ たいと思っております。脳卒中の、これは医療計画のガイドラインに出ていることであり ますが、今後、脳卒中という非常にたくさんの患者さんが出てくると予測されまして、こ れなどは典型的に地域連携にふさわしい疾患、ふさわしいと言ってはおかしいですが、非 常に対応がぴったりくるものであります。  1番目に、まず発症後速やかに搬送して、専門の診療が可能なところへ運ぶ。発症後2 時間以内の専門的な診療、これは血栓溶解療法ということで、前回t−PAということで 御説明をいたしました。そういうところで早くやっていただく。それから、病期に応じた リハビリテーションということで、廃用症候群の合併症の予防。1番目の丸は、この急性 期の病院でも、発症後早期から急性期のリハビリをやる。それから2つ目が、いわゆる回 復期のリハビリテーションの部分。3つ目が、維持的なリハビリテーションの部分であり ます。このステージに応じたリハビリテーションをしていく。この一連の流れをこういう クリティカルパスというものでつないでいくということが必要になってくるわけでありま す。  3ページ目に、この医療体制を模式図的にチャートでかいてありまして、救急医療から それぞれ回復のリハビリ、あるいは復帰及び維持のためのリハビリ、生活の場における療 養支援等々がございます。  こういう時間の流れがある中で、次の4ページございますが、これは、青森県の下北半 島でつくられた例であります。ここでは、大湊市にございますむつ総合病院と、それから マグロで有名な大間にございます大間病院、それからむつリハビリテーション病院、この 3つの病院が連携して、むつ総合病院と大間病院が急性期の患者を受け入れて、回復期の リハビリはこのむつリハビリテーション病院で担当する、こういうことになっています。 このような、今ここで経過、日付というところがありますが、その日付のところは空欄に なっているわけですが、このあたりに患者さんが入ってきたときに、そこに日付が入って いく。そういうことで、もちろん患者の状態に応じて日付は変更しなければいけないとき も当然あるわけですけれども、基本的には、このパスでは、入院して2週間ぐらいを目標 に急性期の病院で車椅子で移動ができるような形まで持っていって退院をさせる。引き続 きこのリハビリテーション病院では、発症後60日ぐらいを目途に訓練を重ねていって、 いずれはつえ歩行で帰れるぐらいまで回復させようと、こういうようなパスでございます。 こういうようなものがさまざまな地域でいろいろな医療資源にもばらつきがありますので、 日にちをどうする、日数をどれぐらいにするかとか、あるいはその後の訓練の内容等も違 いますが、こういうようなものがつくられているわけであります。  それで、なぜ脳卒中かということですが、これは、ここにありますように、非常に患者 が増え、たくさんおられますし、それから今後高齢化が進めば進むほど、恐らく発症率が 高まっていくだろうということが予測されます。そういう意味では、先ほどから言いまし たように、急性期の発症から自宅へ帰るまでの連携が非常に重要な疾患、またそれをしっ かりすることによって非常に効果が出てくる疾患と考えております。  本体の診−3−1に戻っていただきまして、1ページ目は、今言いましたようなことを ざっと書いておりますし、検証部会での結果として、現在全体の治療日数は短くなったと いうこと、それから、この連携病院と計画管理病院での話し合いも十分にされている。そ れから、実際の診療報酬の対象ではありませんけれども、地域連携クリティカルパスをつ くっておられるものとしては、骨折が一番多いのですが、次に脳卒中も多かったというこ と。それから、今のように1つの病院と1つの受入先ということではなくして、地域全体 でこういうクリティカルパスというのをつくっておられるところもある。それから、ただ 一方で、検証結果からは、特に連携先の病院のほうが退院基準をつくっておられないとい うのがたくさんございますので、このあたりはちょっと問題かなと考えております。  そこで、「課題と論点」ですけれども、大腿骨頸部骨折からもう少し広げていってはど うかということで、特に脳卒中について今回は広げていってはどうか。  この脳卒中については連携が重要でありますし、総治療期間の短縮が期待されるという ことであります。  それから3番目は(3)ですけれども、これは地域全体でこういうクリティカルパスを 使用されている場合の条件設定を、今の施設基準を、このままでは若干いじらないといけ ないところがありますので、そのあたりを考えてはどうか。  それから、全体としてはこれは普及していきますと、クリティカルパスをつくると、こ ういうようなものをつくっていくというところのコストは下がるのではないか。そういう 意味では、適正な評価としてはどうかということ。  それから、先ほど言いましたけれども、計画管理病院ではやっておられますけれども、 連携先でもこの退院基準をつくっていただくようにしてはどうか。  それから、実はこの医療計画、来年度でき上がるわけですけれども、この中で都道府県 で、それぞれの二次医療圏域等で、脳卒中についてはこういう連携等を個別の病院名を挙 げて記載するというふうに聞いておりますので、診療報酬上もその医療計画に定められた、 例えばここで言うと、急性期の病院と回復期の病院、そういうような連携について、そう いうところのみ評価してはどうか、こういうように考えてはどうかということでございま す。  以上でございます。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。  ただいまの説明にありましたように、この地域連携クリティカルパスは今、大腿骨頸部 骨折1つだけでございますが、それを脳卒中まで広げたいということと、その場合の評価 をしたいという問題提起でございました。  御質問、御意見などございましたら、どうぞ。 ○西澤委員  私個人は、このクリティカルパスの普及というのは大賛成ですので、いいことだと思い ます。ちょっと教えていただきたいのですが、現在の大腿骨頸部骨折に限られております が、計画管理病院、あるいは連携医療機関がございますが、現在診療報酬ではどこの点を どう評価しているのかというのをまず教えていただきたい。 ○事務局(原医療課長)  計画管理病院で計画をつくられて退院をされると、そういうときに計画評価料というも のを出して、それから受け側も、普通の病院であれば受けたときに算定する、そういう形 でございます。 ○西澤委員  わかりました。ということは、今は、2つの病院間での受け渡しのときにだけを評価し て「地域連携クリティカルパス」という呼び方をしていると思うのですが、どうしてそれ が「地域」なのかなということと、それから、例えば一つのイメージ図で今回参考資料で、 「地域連携クリティカルパスとは」と書いてございますが、この文章の中でも、1ページ 目の2つ目の黒丸、「急性期病院から回復期病院を経て早期に自宅に帰れるような診療計 画を作成し、治療を受ける全ての医療機関で共有して」ということが書いてございます。 そして、次の3ページの図を見ても、救急で発症してから、リハビリを受けて、それから 退院する、あるいはそれから介護施設へ行く等々、いろいろなところが絡んでいると思っ ています。  やはり、「地域連携」という言葉がつくからには、急性期、救急の病院からリハの病院 だけの評価ではなくて、その先の評価、要するに、在宅医療の評価まで含めたパスという ものがあっていいのではないかなと。今回はすぐにとは言いませんが、将来的には、そう いうものを全部評価するような形のものをつくっていただくといいのではないかなと、本 当の意味での地域連携ということをぜひお願いしたいなと思っています。要望です。 ○土田小委員長  今はそれを含んでの計画を考えているわけですよね。 ○事務局(原医療課長)  多くはやはり家へ帰るということを前提につくっておられる。例えば、やはり帰れない 人も出てきますので、障害が残って例えば療養病床へ行かれる方もおられるかもわかりま せんし、あるいはほかの介護の施設へ行かれる方もおられると思います。ただ、その部分 をどこまで評価するかということは実はありまして、やはり明確に短縮できる効果のある ところということで、急性期から回復期程度のところを、そのあたりまでを評価している というのが現状です。ですから、あともう少し、後の部分も含めて、全体的に効果がある というものがあれば、そのあたりは考えていく必要があるかもわかりませんが、今のとこ ろ、ちょっとそういうものを持っておりません。 ○土田小委員長  よろしいですか。 ○鈴木委員  ちょっと教えていただきたいのですけれども、大腿骨頸部骨折のパスで、いろいろ検証 部会で結果を出されておりますけれども、これの平均在院日数の短縮ということは、これ は有意差があるという、そういう判断なのでしょうか。 ○土田小委員長  これは、今室長がおりませんので明確には答えられませんが……  よろしいですか。医療課長。 ○事務局(原医療課長)  有意差があったかどうかは、ちょっと現時点で確認できません。 ○鈴木委員  いや、私の申し上げたいのは、パスは結構なことだと思うのですけれども、この平均在 院日数ばかりではなくて、もう少し、それこそ患者さんから見て、本当にこれがいいシス テムだと、仕組みだというようなことにならないと意味がないと思いますので。 ○土田小委員長  おっしゃるとおりです。ですから、検証部会でも、もちろん入院期間の短縮はありまし たが、それだけで評価するのではなくて、むしろ患者の立場から見て好ましいというよう な視点が重要だということは検証部会のほうで議論しております。 ○鈴木委員  ちょっとその辺を踏まえまして、もしこのパスに導入というようなことになれば、ぜひ そこのところをお願いしたいと思います。 ○土田小委員長  はい、わかりました。事務局にお願いしておきたいと思います。 ○松浦委員  3ページの図で、急性期のリハビリテーションと、それから次にこちらにリハビリテー ション病院の回復期のリハビリテーションと、こうあるのですが、これは相当違うのです か、施設が、施設に差があるものですか。 ○事務局(原医療課長)  この図ですね。この図のこの上の回復させるリハビリ。 ○松浦委員  急性期のリハビリと回復期のリハビリとあるのです。これはこの患者さんを扱うこの施 設、機能を持っている、この機能に相当の差があるものなのですかね。 ○事務局(原医療課長)  もちろん左の急性期の病院は、前回も言いましたように、例えば24時間でこういう受 入体制をつくるためにさまざまなスタッフ等をそろえておかなければいけない。いわゆる 本当の急性期救急病院、そういうようなイメージですし、そこでやるリハビリテーション というのは、ベッドの上とかベッドサイドでのリハビリが中心になります。それから本格 的な歩行訓練等々に持っていくためには、リハビリテーションを中心とした、今、回復期 のリハビリテーションの病棟を持っている病院、そういうところですので、そこはどちら かというと比較的長めに当然患者がおりますので、そういうような形の対応である。例え ば看護師の構成にしても、急性期は確かに当然たくさんいますけれども、回復期のほうは、 看護師も当然必要ですけれども、それ以上に例えばそういう訓練をするPTさんとかOP さんのほうはスタッフが充実している、そういうような形のイメージだと思います。 ○松浦委員  そうすると、その医療圏の中に、こういう回復期のいわゆるリハビリテーションを専門 にやる病院がない場合にはどういうことになりますかね。 ○事務局(原医療課長)  現在、回復期のリハビリテーション病棟として届け出られているのは約4万床強であり ます。もちろんない場合も恐らく二次医療圏ではあるかもわかりませんけれども、これは 今後必ず必要になりますので、逆に充実させていただきたいと思います。 ○土田小委員長  ただ、今のことに関連して言いますと、この図では、維持期のリハビリテーションは、 依然として介護保険施設になっていますが、これは前回そうやったら、介護保険の方では うまくいかなかったというような実態もありますので、この点については今松浦委員のお 話を含めて、よく対応できるようなシステムを考えていただきたいということをあわせて 申し上げておきたいと思います。 ○西澤委員  3ページですが、「論点と課題」のところ、ちょっと気になるのですが、(4)ですけ れども、いろいろ云々書いてあって、最後に、「患者の自己負担の観点からも適正な評価」 、これはどう読んでも下げると見えるのですけれども、このあたりはちょっと検討いただ きたい。やはりこのクリティカルパスを評価しているのであれば、ここでも下げるという ようなことを書いていただくのはどうかなと思いますので、これは後日また意見を申し上 げたい。  それから6番目、「医療計画に記載のある病院・診療所」、医療計画は今あまり進んで いないとも聞いてございますので、そのあたりの現状とか来年の4月にどうなるかという 実態もぜひここでお示しいただきたいなと思っております。  以上です。 ○土田小委員長  要望として承っておきたいと思います。それを踏まえて検討をお願いしたいということ です。 ○山本委員  参考資料の中に、2ページ目ですけれども、「在宅療養が可能な体制」をつくるという 目的が記載されておりまして、さらに4ページの大間の例でありますと、在宅に移ってか ら服薬を続けるのだということがあります。今求められておりますのは、急性期から回復 期を経て外来に移るという、在宅での療養が必要なわけですから、今後外来の部分につい て検討が進む場合に、こうしたパスの中に薬局についても含めて検討していただくという ことをぜひお願いしたいと思います。 ○土田小委員長  これは一応要望として承っておきます。この図には確かに薬局が出ておりませんので、 そういう機能が必要であれば、そこはまた改めて検討していただくということで承ってお きたいと思います。  ほかにございますでしょうか。  よろしいですか。先ほど最初にちょっと時間のことを申し上げましたので、質問あるい は御意見を言いたい方もちょっと抑えていらっしゃったかもしれませんが、どうも御協力 ありがとうございます。  それでは、今日の基本問題小委員会はこれで終了にしたいと思います。  次回は、2日の金曜日に予定されております。時間は10時からでございます。  それでは、今日の基本小委はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。     【照会先】       厚生労働省保険局医療課企画法令第1係       代表 03−5253−1111(内線3288)