07/10/25 第3回 薬剤師国家試験出題制度検討会議事録 薬剤師国家試験出題制度検討会議事録(第3回)       1.日時及び場所   日時 平成19年10月25日(木)13:00〜    場所 厚生労働省専用第18ー20会議室 2.出席委員(16名)五十音順   赤 池 昭 紀   市 川   厚   井 上 圭 三  大和田 榮 治   加賀谷   肇   木 津 純 子   柴 崎 正 勝  白 神   誠   須 田 晃 治   永 井 博 弌   林   正 弘  樋 口   駿   平 井 みどり   森   昌 平   山 岡 由美子  山 本 惠 司   3.欠席委員(5名) 大 野   勲   工 藤 一 郎   望 月 眞 弓  山 元   弘    吉 富 博 則 4.行政機関出席者   関 野 秀 人(薬事企画官)他 4.備考   本検討会は、公開で開催された。 ○井上座長 それでは定刻になりましたので、ただいまから「第3回薬剤師国家試験出題制度検討会」を開会いたします。構成員の先生方におかれましては、ご多忙中ご出席いただき、誠にありがとうございます。  まず、議事に入る前に、本日の委員の出欠状況について、事務局から報告をお願いします。 ○事務局 厚生労働省の関野です。本日もよろしくお願いいたします。本日、先生方の出欠状況ですが、21名の先生で構成しております本検討会におきまして、16名の先生に、ご出席いただいております。残念ながら、欠席の先生方は、大野先生、工藤先生、望月先生、山元弘先生、吉富先生の以上5名です。 ○井上座長 次に、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 まずお手元の資料の確認をさせていただきます。まず、机上配付させていただいております資料のいちばん上が、議事次第になります。その頁の下のほうにも、参考資料含めてリスト化していますが、その下にあります資料を一つひとつ確認させていただきます。座席表がございまして、そのほか資料1「国家試験のあり方に関する論点とその考え方(案)」というものです。資料2といたしまして、カラーの1枚の紙を用意しています。資料3「現行の出題基準における『留意事項』等の取扱い」、資料4「出題の範囲」と左上に書いてある資料です。以上が資料1〜資料4でして、そのほか参考資料が6つほど付けております。参考資料1が本検討会の先生方の名簿です。参考資料2、本検討会の設置要綱でタイトルが「薬剤師国家試験出題制度検討会について」というものです。参考資料3「薬剤師国家試験出題基準」現行のものです。参考資料4として、「薬学教育モデル・コアカリキュラム」、1つで綴じておりますが、後ろのほうに「実務実習モデル・コアカリキュラム」も合わせて綴じています。参考資料5として、前回の第2回の資料としてもお配りしていますが、「医師国家試験の概要について」ということで、資料を付けさせていただいておりまして、後ろのほうに、前回もお示ししました「医師国家試験における出題例」というものも、1つに綴じ込んでいます。最後に、参考資料6ですが、1枚紙として、「本検討会の検討スケジュールについて」ということで、これも前回の検討会で出させていただいた資料となります。本日配布しております資料は、以上です。 ○井上座長 よろしいでしょうか。それでは、議事に入らせていただきます。事務局から連絡事項ありますか。 ○事務局 これから議事に入りますので、傍聴されております方々に申し上げますが、カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、ご協力よろしくお願いしたいと思います。以上です。 ○井上座長 それでは本日は、出題基準の改定に関する事項を中心に検討したいと思います。  まず、前回から少し時間があいておりますので、そのおさらいも兼ねて、資料1「国家試験のあり方に関する論点とその考え方(案)」を、事務局に説明していただきたいと思います。この資料は、第1回の検討会で示された今後検討する項目(案)について、これまでに先生方からいただいた意見を基に、考え方をある程度整理したものですが、本日の議論を活発にするために、書きぶりが少しトーンがわざと強くしてある部分もあると伺っております。事務局の説明を受けながら、気づいた点、追加するべき点、直したほうがいいというような点がございましたら、説明のあとに1つずつ検討していきたいと思います。それでは、事務局よろしくお願いします。 ○事務局 それでは資料1をご覧いただきたいと思います。この資料を使いまして、いま座長のほうからも述べられましたが、これまでの議論を振り返るという部分と、さらにここに書かれました内容について、これから方向づけをしていくために、概ね合意できる所は合意していき、足らない部分は補っていくという形で、進化させていくための資料ということで、ご覧いただきたいと思います。  まず資料の見方ですが、最初の頁にございます1ということで、枠囲みがしてある項目がまずあります。その下に括弧書きでアンダーラインを引いた各項目がそれぞれならんでいますが、この部分に関しましては、第1回の資料でお示しした「検討すべき項目」ということで、掲げさせていただいた事項になります。それぞれに関しまして、過去2回の検討会において、出されました意見を中心に、それぞれ○ということで括らさせていただいて、文章を書き起こしているというものです。  そういう意味で、まだ意見が出されていない部分もございまして、例えば、最初の出題分野の所であれば、これ以外にも全体のバランス、最終的なまとめに関しまして、ほかにも言及しておくべきことがあろうかと思いますので、そういったところは、これから随時補っていくということで、若干現時点では、バランスを変えている部分もありますので、その点はこれから補っていくということで、ご了承いただきたいと思います。  まず、資料1の(1)出題分野の所ですが、出題分野に関しましては、6年制の薬学教育モデル・コアカリキュラム、これは、実務実習のモデル・コアカリキュラムを含めた形でまとめられております各項目、あるいはユニットというものを、基本的には振り分けることで対応できるのではないかという部分です。そして考え方ですが、2つ目の○にありますとおり、薬学教育改革の趣旨を踏まえて、新たな出題分野を構成すべきである、ということで、とりあえず書かせていただいております。(2)といたしまして、新たな出題分野に関する考え方を4つほど書かせていただいております。  まず1つ目ですが、基本的な知識を問う出題と、実践における問題解決能力を問う出題と2つに文章を分けています。まず、基本的な知識を問う出題に関しましては、薬剤師として働くうえで必要な知識を問う「必須問題」、この表現は妥当かどうかまた別ですが、必須問題として解答に関わる時間数が少なくても解ける形とする。そして、もう1つの実践における問題解決能力を問う出題に関しましては、複数の知識、技能及び態度といったものを盛り込んだ総合的な形での「複合問題」とするということで、とりあえず書かせていただいております。  2つ目ですが、それに加えまして、実務実習の成果を問う出題というものについて言及してある部分ですが、実地に関連した「複合的なもの」という出し方もできるということと、その基礎として「必須の知識を問うもの」という、最初の○を受けた形で、「必須問題」あるいは「複合問題」両方の形で出せるのではないかという意味で、2つに分けるということで書かせていただいております。  3つ目の○ですが、前回見ていただきました医師の国家試験のような分け方もできるのではないかということで、「必須問題」と「総論・各論」という切り口の部分、そして、二次元的な関係だったかと思いますが、「一般問題」と「臨床実地問題」という分け方もあり得るのではないかということで、ここに書かせていただいております。具体的に医師の国家試験の概略に関しましては、本日の参考資料5ということで、前回の資料をお付けしていますので、また、ここで書かれておりますような言いぶりあるいは内容、それについては、必要に応じて参考資料5を使って、ご議論いただきたいと思います。  そして、倫理及びヒューマニズムにつきまして、他の出題分野とのバランスがどうしても崩れてしまうようであれば、1つ独立した別の分野とすることによりまして、出題が確保されることが適当である。そういうことで書かせていただいております。  次に2頁目にまいります。(3)問題数についての部分です。ここの最初の○ですが、問題の数ということに関しまして、単純に増やせばいいというのではなくて、むしろ問題の内容というものが、今回の薬学教育改革に相応しいものにすべきという考え方です。そして、問題数に関しましては、試験時間への影響等も考慮しながら検討するということが必要で、単に多くするだけに3日間とすることは、適当でないということです。  ただ一方で3つ目の○ですが、いろいろ検討した結果、問題数を増やすことになった場合、必ずしも2日でなければならないということでもない。それで、ここは両論併記した形になっております。そして、複合的な問題は、どうしても1問にかかります時間、解答に時間を要するために、問題数を絞ることが必要になってくるということで、とりあえず書かさせていただいております。  後ほど、大きな枠囲みをした項目ごとにご議論いただくことになりますが、説明は通してさせていただきたいと思います。  3頁の2「薬剤師国家試験出題基準について」です。  (1)の出題基準の改定に関しましては、6年制になったことを踏まえて改定する必要があるというのが、最初の○です。改定に当たっては、現行の縦割り区分に基づいた知識偏重型の出題では、なんら今と変わらないのではないかというご意見があったかと思います。そして基礎的な知識に関しましては、教科書とか辞書を調べなくてもエビデンスベースで習得している部分が、その部分ということで、実際に薬剤師として、統合的に求められる問題解決能力というものとは区別することができるのではないかということです。  (2)モデル・コアカリキュラムとの関係ですが、これは、薬学教育モデル・コアカリキュラム及び実務実習モデル・コアカリキュラムの領域は全てカバーする必要があるということが、最初に書かれています。製造販売業において薬剤師を要件としております仕事、業務等もございますので、そういったところに関する知識、技能、態度についても問う必要があるということで、書かせていただいております。  (3)体系の部分です。体系については、現行の出題基準に沿って、「大項目」、「中項目」、「小項目」、そして「小項目の内容の例示」という4つのこういった区分で作られておりますが、これに加えまして前書きの部分、文章として書く部分と、あと「小項目の内容の例示」、こういった部分を活用しながら、試験で問うべき知識等の深さも推定できる基準とすることが望ましい、という意見があったかと思いますので、こういうふうな書き方をさせていただいております。  (4)改定作業ですが、まさにこの検討会でご議論いただいている内容になりますが、本検討会で素案づくりを行って、全国の大学の意見を聴取した上で、最終的に本検討会でまとめるということです。この辺りは、参考資料6ということで、今後のスケジュールといたしまして、前回も説明させていただいた部分にも該当いたします。  (5)ヒューマニズムの部分です。筆記試験ということを前提とすれば、なかなかその中で評価することは難しいものの、医療人としての心構えや態度などの習得について問うべきである。要は出題すべきであるというご意見だったかと思います。具体例として、生命倫理や死生観についても含める必要があるということも、ご意見としてございました。  (6)実務実習ですが、これについても出題する必要があるということで、この出題に関しまして、1つ独立したカテゴリーを設けるという意味だと思われますが、カテゴリーとしてしっかりと位置づけられることが望ましいというご意見がございました。  (7)出題の方針です。まず1つ目の○ですが、共用試験(CBT)とは別に、国家試験においても薬剤師として必要な基本的知識に関する出題を行う必要がある、ということで、CBTでやったからといって、国家試験に含めなくてもいいということではないという記述に当たる部分かと思います。  基礎的な知識と実践(臨床)この表現が実践と呼ぶか臨床と呼ぶか難しいので括弧書きといたしましたが、実践(臨床)にかかる知識、技能、態度とを複合的に出題する必要があるというところが2つ目の○になります。  3つ目といたしまして、薬という「もの」と身体という「ひと」の両面を意識した出題を行う必要があるということが、意見としてございまして、創薬も含めた薬物療法を柱として、最終的に患者のことを考慮した場合に、問われるような基礎的な問題、あるいは、統合的な問題といったところが出題されるのが適当であろうという意味で、具体例としてヒューマニズムとか、そういった面も含めて、問う問題も必要だろうということで、ご意見があったかと思っています。そして、作成に関しましては、実務家の教員が関与する必要があるということも、意見としてありました。  5頁目3「試験の実施方法」ですが、まず(1)試験は筆記試験とするということで、書いてございます。(2)実地試験に関しましては、導入することは現実的ではないが、実地にかかる問題、過去に日本薬局方(定性化学)で出されていたような形式かと思いますが、実地問題あるいは複合問題などを採用することにより確認することはできると書かせていただいております。そして、(3)問題の形式ですが、これも(2)とダブりますが、知識、技能、態度を確認するための問題形式としては、実地問題や複合問題も含めることにより、問えるのではないかということです。  (4)に関しましては、「問題解決能力を確認するための問題形式」と書いていますが、これに関しては、実践に即した事例問題等、事例問題に限った話ではないかと思いますので、「等」を加えていますが、そういった事例問題等において、従来の正誤を問うような形式以外に、考え得る対応の中から最も適切なものを選択する問題、あるいは、明らかに誤りである対応や重要度が低い対応を選択する問題が考えられるということで書かせていただいております。  少しわかりにくいかもしれませんので、参考資料5をちょっとご覧いただいたほうがいいかと思っております。お手数ですが、参考資料5をご用意いただけますか。参考資料の16頁をご覧いただきたいと思います。問いの13〜16がございますが、そのうちの(問15)の部分になります。この問題は、5つの選択肢があって、その中で重要度が低いのはどれかというような設問になっています。こういったものが、1つのイメージです。あともう1つ次の17頁ですが、(問18)として、事例のような最初の3行ございまして、産業医の指導として誤っているのはどれかということで、こういう問い方もありまして、今までの薬剤師国家試験にはないような出し方をしている。こういったものを出すことも1つの形式ではないかということです。  資料1に戻ります。5頁の下の(5)ですが、基礎領域と医療の実践領域に関連する複合的出題についてという所です。従来で言う「基礎薬学」に関する知識に基づいて、従来で言う「医療薬学」に関する問題、こういった問題は、出題する必要があるということが最初です。そして、問題作成に当たっては、基礎系と医療系が共同で行う必要があるというのが、2つ目に書かれています。  次の6頁にいきます。(6)回答の形式に関しては、多肢選択方式ということを基本とすることが適当ということでして、(7)にありますその設問肢の数、5択がいいのか、あるいは増やすのがいいのか、この辺りに関しては、これから引き続き検討という書き方に留めています。そして、全回答肢正誤選択方式というのは、1つの問題の中で、4つか5つほどの正誤を問うような問題を入れまして、その正誤の1つの回答として答える形式になりますが、これに関しては、1つの問題で4つの知識を問う形になりますが、今後、先ほど申し上げた必須問題のような形で、1問1答形式のようなものがとりうるのであれば、分解する形にもなりうるのかなということですが、とりあえず、今後、引き続き検討ということです。そして、必ずしも正答が1つでない問題を加えることも適当であるということで、これも先ほどご紹介しました参考資料5「医師の例題」の中で、資料になっておりますので、また、後ほど必要があればご覧いただきたいと思います。  (8)出版物を貸与することによって回答する問題。これは、前回、平成6年にまとめました制度改正の報告書の中で、この部分に関しましては、引き続き検討ということでしたので、この検討会で拾っている部分ですが、これに関しましては、とりあえず、受験者数の規模などからみて、実務上の負担が多大であり、現実的でないというような書き方をさせていただいております。  それから、7頁の4「合格基準について」のところですが、こちらはまだ現時点で議論するのが難しいということもあろうかと思います。これは、まだご意見が出されておりませんので、とりあえず具体的な記述は、空白のままとさせていただいております。少し時間をとりましたが、説明は以上です。 ○井上座長 はい、ありがとうございました。それでは、それぞれの項目に対して、この資料をたたき台として意見、あるいは記述を正す意見、質問などをいろいろ出していただいて、方向性を少しずつ生み出していきたいと思います。まずは、1「出題分野及び問題数について」というところから始めたいと思います。何かご意見はありませんか。  例えば、問題数はいままでの現行どおりでもやっていけるのではないかというご意見もあるかと思いますし、当然、6年制になったのだから増やすべきだというご意見もあるかと思いますが、この辺も検討会で何らかの線を出していく必要があろうかと思いますので、ご意見をどうぞ。この分野に関してはいかがでしょうか。モデル・コアカリキュラムに基本的には従うけれども、それだけがすべてではないということだと思うのですが、そういう意味では、別に議論はこの辺りはないのだと思いますけれど。 ○山岡委員 よろしいですか。モデル・コアカリキュラム全体をというお話なのですが、実はイントロダクションの部分はAとBからなっておりまして、Bはいわゆる薬学入門的な部分なのですね。もちろんコアカリキュラムとしては重要なのですけれども、薬学を順番に勉強していって、実務実習を出てしまった後でそこの入門の部分が必要かというと、それは少し疑問かなと思う。とくにそこの内容は身に付いていて、各分野に知識として入っているべきものなので、Bに関しては特に国家試験に関係させなくてもいいのではないか。Aはすごく大事な部分なので、ヒューマニズムですとか、コミュニケーションは重要ですが、少しコアカリキュラムという考え方ではBの部分に疑問を感じます。 ○井上座長 ありがとうございます。 ○市川委員 確かにそういうことはありますけれども、でも、あの場所、薬学入門というのは薬学概論を含めて、薬剤師はどういうふうに生まれてきたかなどを含めて、薬学の一般的なことも全部入っているのではないかと思います。 ○山岡委員 歴史というのは入っていますね。 ○市川委員 歴史と一般論も入っていますね。いちばん基本なところだと思う。そうではないですか、歴史がいちばんメインですか。 ○山岡委員 歴史が他では出てこないから、他はほとんど重複ですので。 ○市川委員 必ずしも除く必要はないのではないかというのが私の意見です。 ○山岡委員 それはそうですね。ウェートを軽くすべきであると。 ○市川委員 はい、軽くすべきというのはわかります。 ○事務局 こちらの参考資料の4がモデル・コアカリキュラムになっていますので、必要に応じて見てください。 ○井上座長 いまのCBTなんかですと、いまちょうどお話しになっているような部分は、例えばやや軽くしているのですか、それとも、それはイーブン。 ○市川委員 いや、イーブンではないですね。 ○井上座長 イーブンではない。 ○市川委員 数で重さを言うならば、非常に軽くしています。 ○山岡委員 何が難しいかというと、CBTの場合も、いつも問題になるのは深さの問題なのですね。Bのところで出てくるべきものか、それとも、薬学本来の専門分野として出てくるべきものか、そこの部分の線引きが非常に難しいというのもあります。確かに、市川委員がおっしゃるように、歴史は他では出てこないので、あるほうがいいのかもしれないですね。出題する側としては、レベルをどこまでと考えるのが難しいと思います。 ○平井委員 すみません、ちょっと基本的なお尋ねなのですけれども、毎回の試験の中に、必ず全分野から問題を出さなければいけないことになっているのですか。 ○井上座長 そんなことはないでしょう、それはどうですか。どなたがお答えになるのでしょうか。 ○事務局 そこは、後ほど出てきますが、出題基準というか、出題の範囲は全体を網羅しておく必要があるとは思いますが、あとはいまご議論いただいている問題数とのかねあいで、どの範囲で、どれぐらいの割合で出していくかというところで、全体を網羅される場合とされない場合、そこはルール化していく中で決めていけばいいのではないでしょうか。 ○平井委員 毎回すべての範囲から必ず出すということになると、それこそ、そんな限られた問題数ではとてもできないので、その辺をどう表現するか、すごく難しいところだと思います。こんなことを言ってはいけないのですけれど、結局、テクニカルの問題があって、なかなかこの分野に関する問題は作りにくいのはいろいろありますでしょう。  だから、そういうところは範囲に入っていても、必ずしも毎回そこから新しい問題を出していくのではないということが確認されていれば、これは除いてこれは入れるというのをしなくても。するとかえってややこしくなるのではないかと思うのです。 ○井上座長 はい、どうぞ。 ○赤池委員 私も平井委員に近い考えで、私の理解ですけれども、出題基準をなるべく網羅するに越したことはないのですけれども、基本的にはその中から出題してもいいという意味合いだと捉えております。ですから、当然それをすべて満たした形での出題というのは不可能ですし、必要ないと思います。ただ、これはあくまで出題する側の立場でして、学ぶ側から言えば、当然出題基準に相当するところは、どこが出るかわからないわけですから全て学ぶということになってきます。  そうすると、極端な言い方をすると、イントロダクションのところを完全に外してしまうと、「国家試験に出ないからいいや」という極端な話も当然出てきかねないということが生ずると思います。ただ、例えば早期体験学習も含めてイントロダクションの部分は、特に1回生、2回生のこれから専門に行こうという方のモチベーションを高める上では非常に重要な部分になりますので、どのぐらいの割合にするかと言えば、もちろん、そんなに多い必要はないのですけれども、ただ、出題の範囲の中にはやはり入れておいたほうが、いろいろな意味でよろしいのではないかと思います。 ○井上座長 出題の範囲について他にはどうでしょうか。 ○大和田委員 またくり返しになるかもしれないのですけれども、分野なのですが、基礎薬学というのは、新しい6年制の資格試験としては要らないのではないかと私は思います。医療薬学、衛生薬学、薬事関係とかこの3分野で、基礎薬学的なものは、医療薬学というのがいいかどうかわかりませんけれども、そういう中で、薬剤師が必要としている技術なり、何かの関連で出題することにして、新たにそこだけの分野を独立して聞くと、いろいろな知識を調べるのはCBT止まりでいいのではないかと思います。  ですから、基礎を出すなというのではなくて、基礎があっての応用だったり、臨床だったりするわけですから、それはガイドラインに従って基礎的なものも聞く必要があると思うのですが、あえて分野として独立させて、そこの部分だけを聞くというのは資格試験としては如何なものかなと。極端なことを言えば、例えば算数ができるかどうかということで、そういう部分も聞かなくてはいけないということになってしまうので、基礎薬学というのはあくまでも薬剤師が実際にライセンスを使って仕事をするときの基礎ですから、そういうものと関連させて出題すればよいのではないかと。したがって、分野としては外したほうがいいのではないかと思うわけです。  例えば、私どもの大学みたいに学生のレベルが必ずしも高くないとどういうことが起きているかというと、基礎薬学は基礎薬学だけで暗記したり、4年制になってまた基礎薬学の基礎を一生懸命勉強してというような、昨日発表されましたけれど、応用力のない基礎の勉強を実際に行ってしまうということがあって、国家試験からそういうのを外せば、基礎が必ず応用との関連で出されるとすれば、大学教育における基礎の学び方は変わってくるのではないかと。私の主張はそういう背景があってのことです。  基礎が大事でないということは一切なくて、基礎は本当に必要だと思っています。ただ、普通の薬学の先生が考えるような基礎とはちょっと違うかなという気がしますけれども、やはり、薬剤師の化学的、生物学的な基礎というのは、医薬品科学なんかを中心にするような基礎だろうという気がするのですが、そこはいま細かく主張しませんけれども、基礎薬学というカテゴリーの中で知識を独立に問うというのはやめてほしいなという気がします。 ○井上座長 はい、どうぞ。 ○森委員 いまの基礎の部分なのですが、資料1の(2)の1行目に、薬剤師として働く上で必要な知識と記載されていますが、このことを意識して、基礎の問題を出せばいいのではないかと思います。ただ、いまの基礎の問題数、それと割合については検討してもいいのではないかと思います。 ○加賀谷委員 医師国家試験などと同じように、基礎医学という表現を用いない方がいいと思います。もちろん基礎の必要性は感じていますし、「基礎薬学」というタイトルではなくて、別のタイトルで、要するに基礎がわかっていないと応用はできませんよと。先ほど大和田委員がおっしゃったように、「基礎薬学」という書き方でまた国家試験が出てしまうと、いままでの国家試験とあまり変わらないというイメージが強くなってしまうような気がするので、一つその辺を是非考慮いただければと思います。 ○白神委員 大和田委員はこういう場所で非常に勇気あるご発言をされると思っているのですけれど、私の学内の議論だけちょっとご紹介させていただきます。いまのような基礎薬学をこれからの国家試験で出すとすると、5年前、6年前に習ったことをもう一度6年制になって勉強するのかという意見があったのです。そこでちょっとご紹介をさせていただきました。 ○井上座長 でも、それは本来はおかしくて、必要だから1年から教えているわけで、それは6年のときに忘れてしまうほうが悪いのだから、そんな論理って本来はおかしいのではないかと私は思いますけれどね。 ○赤池委員 大和田委員のようなご意見は当然のことだろうと私も思います。ただ、極端な言い方をすると、薬剤師に対する考え方はやっぱり多様にあるということの現れかなと思います。私自身はもちろん大学におりますので、少し極端な考え方の逆になるのかもしれませんけれど。  例えば、医学、歯学等と比較して、いわゆる、医師、歯科医師、薬剤師、看護師の方も含めてということになるのかもしれませんが、その中で、やはりサイエンスというのですか、科学の、ある意味で幅広い素養をきちんと持っているというのは、医療現場の中で薬剤師が非常に際立っていると、私のイメージとしては思っています。また、それは非常に重要な役割を担っている。というのは、やはり薬物シールと言いますか、薬を扱うのですから、そういった知識が全体として当然ないと、実際の応用にも役に立たないことになってきます。  先ほどの話で、確かにそれは低学年でということになるのですけれども、やはり、それを習って、忘れてしまって、なくなって、応用だけになってしまうと、いわゆる、科学者という科学という面から見た意味での薬剤師の力は非常に落ちる結果に、場合によってはなりかねないと思います。そういった意味では、もちろんいままでのように基礎だけ出して、例えば薬剤師の職場にかかる医療、臨床との中で、全然基礎は出てきませんというのはおかしい問題で、そういう意味で複合問題の中で非常に基礎的な問題が当然しっかりと、薬剤師の職場の中で出る形で出題されるべきだと思いますけれども、問題数をどのぐらいにするかとかいうことはちょっと置いておきまして、やはりそういう基礎、科学に関わる出題のカテゴリーは残しておいたほうが、いま私が申し上げましたような、いわゆる科学、あるいは科学者としての薬剤師という側面がしっかりと守れるというのですか、逆にもっと積極的な言い方をすると、まさに6年制になったことによって推進できるのではないかと思いますけれど、これは1人の意見です。 ○市川委員 私も同じ意見なのです。いちばん根本はたぶん基礎と応用をどう考えるかという問題で、ちょっと観念的な話になるかもしれないけれども、私の考えでいくと、応用という1つの学問体系があるとは全然思っていないので、やはり、基礎の究極において応用は存在している。要するに、基礎がベースになっているのは当り前の話かもしれないけれども、そういう意味で応用があるので、徹底的に基礎を突き詰めて、その成果である応用が出てくると思う。薬の最たるものである、あるいは治療が最たるものであるという概念。  ならば、何がこの6年制において大事かというと、要するに、そういうことを絶えず意識しながら、生涯に渡ってどんどん、どんどん進展する学問に対して、それをカバーしていく能力を得ることが6年制にするための1つの大きな役割。それを言い方を変えれば、問題解決能力であるし云々、生涯学習が云々という言葉になるかと思うのですけれども、その部分ではかなり大きかったような気がするのですね。だから、大和田委員のご意見、私もある意味ではわかりますけれども、多くの人は、では、基礎は要らないんだねということになってしまうと、それは薬学の本来のあるべき姿ではないと。だから、言うならば、基礎というのは、出し方は赤池委員と同じ複合とか、その他の問題になるかもしれないけれども、やはり、共用試験においても、現場に出るためにはCBTとOSCEが必要である、要するに知識と技能。知識に関してさらに6年目において、CBTと全然同じではないけれども、いわゆる、違った形で基礎を、基礎という言い方は悪いかもしれないけれども、基礎から応用へいく、限りなきグレーゾーンの辺りに統合型の問題が出てきてもいいのかなという意見です。 ○井上座長 いま皆さんがおっしゃっていることは非常にもっともで、大和田委員がおっしゃっているのももっともだと思うのですね。理想的に、大和田委員がおっしゃる意味で複合問題の中で本当の基礎を取れるとそれでいいのだと思うのですが、実際に複合問題を作ってみて、そのときに、例えば複合問題を作ったときに、基礎のこういう知識が必要だというのを全部複合問題の中に含めるというのは、たぶん技術的にも難しくなってしまう。  そういう複合問題を解かせるためには、やはり基礎という領域を作っておいたほうがいいと私は思うのですけれど。だから、ちょっと1回プラクティカルに複合問題を作ってみることのほうが重要ではないかなという気がします。 ○大和田委員 私は別に複合問題の中でしか基礎を出すなとか言っているわけではなくて、基礎薬学というカテゴリーを外して、臨床薬学の分野の中に何十パーセント基礎薬学的なものを出すという、そういう括りで構わないので、ですから、極端なことを言えば、単体の問題として、臨床薬学のカテゴリーの中で、複合問題とは全く別に、例えばいろいろな抗生物質の化学構造式が並んでいて、マイコトキシンはどれかとかですね、別にそれはそれであって構わないと思っているのですよ。  要するに、基礎的な問題はそういう形でしか出せないとかいうのではなくて、いま私が言ったようなことは、薬剤師だと絶対知っていなくてはいけないわけですね。微生物に対するいろいろな作用、実際に代謝とかいろいろなことを考える上では。ですから、そういうことを単体で出したって構わないので、複合でないと出せないと。 ○井上座長 そういうことになりますよね。例えば酸化還元、そういう類の反応は、いま委員がおっしゃったようなところでポコッと出てくると、いかにも妙な感じがするのですけれど、むしろ、そういうのは基礎に。 ○大和田委員 基礎と言わなくても、なんか適当な、酸化還元が実際に関わる場面をちょっと想定した形で単体で出せばいいのではないかと言っているわけです。そのための酸化還元とか、全く純粋に化学構造的な分類というスタンスで出すのをやめられたほうがいいと。薬剤師の職能試験としてあまり相応しくないと。  割合としては、その辺はCBTの辺りをどのぐらい聞いたかということもあるので、必ずしも拘っていなくて、例えばフィフティー・フィフティーと言っているわけでもないので、その辺は皆さんのディスカッションで決めればいいので、私はとにかく、カテゴリー、基礎薬学という分野で出題するというのはやめたほうが、なんとなくライセンスの試験としては筋が通っているのではないかなと。たぶん、我々がちょっと考えただけでもいっぱい基礎の問題を、薬剤師が実際仕事をする上での、シチュエーションに合せて出題するということは薬学の教員、実務の人はできるのではないかと。その辺りはどうなのでしょうね。 ○平井委員 基礎薬学という言葉を使うと、どうしてもそのイメージが固定してしまうので、だから、医師国家試験というと二次元的になっているから、そういうやり方をしたほうがいいのではないかと。加賀谷委員がおっしゃっていましたけれども、いまの基礎薬学、医療薬学というカテゴリーでやると、やはり前と同じというイメージになってしまうから、新たなネーミングを付けたほうがいいのではないかと。 ○井上座長 名前だけね。 ○平井委員 名前だけと言ったらあれですけれども、先ほど市川委員がおっしゃったことにお言葉を返すようなのですけれども、基礎を突き詰めていったら応用というのではなくて、基礎の上に、実際問題、患者さんとか臨床的な問題も入ってくる、その縦横の関係で初めて応用というのが出てくると思うのですね。  だから、この問題に関してもそれこそ必修問題でなくて基礎問題、発展問題という形でもいいと思いますし、いわゆる、医療薬学の中の問題にしたって、その中で体の作りに関する知識というのは基礎的な問題ですから、そういうふうにするといいのではないかなと思います。 ○市川委員 たぶん、言葉上の問題だと思うので、さっき大和田委員がおっしゃった内容と今、平井委員がおっしゃった内容も私はそれほど違和感はないのですが、いちばん心配しているのは、基礎薬学という言葉は薬学の中で広まっていますが、その内容は様々だと思います。化学といっても化学のどういうことを言っているか、薬あたりまで化学と言っている人もいるだろうし、いろいろな内容があると思います。ですから、その辺をはっきりさせる必要があります。  基礎的知識について、資料3頁の国家試験基準について(1)の3つ目の○のところに、「教科書や辞典などを調べなくても、エビデンスベースで習得している部分が基礎的知識である」という表現があります。基礎的知識は、基礎薬学の内容とそんなには違わない。そうすると、大体同じような意見になるのではないか。おっしゃっているのは出題分野として基礎薬学という言葉はいけないというのであれば、それはそうかもしれない。何かいい言葉があったらそれをつければいいかもしれない。しかし、基礎薬学をやめてしまうと、それを皆さんに、学生さんのほうが理解をしてくれればいいけれども、基礎をほとんどやらなくなっちゃうというのが、将来どういう薬剤師が育つかと考えると私はちょっと危険だという意味で大事だと申し上げたのです。 ○井上座長 基礎薬学という言葉自体はあまり使わないのかもしれないですね。このモデル・コアカリキュラムにしたがって問題が、領域が決まると言っているのだから、基礎薬学という言葉はあまり出てこないと思いますけれど。 ○市川委員 そうですね。 ○大和田委員 いま現行の薬剤師国家試験の出題基準について私は議論しているのですけれども。ですから、基礎薬学はここに出ている基礎薬学のカテゴリーで、そういうことを出すこと自体全然構わないですよね。ただ、出すときのスタンスが薬剤師の実務に従って出してくれればいいので、こういう形でジャンルを作ってしまうと、どうしてもこれだけが単体として知識を問うという形になってしまうので、これを外して従来と同じぐらいのを、臨床薬学か何だか知らないけれども、そこに入れて出せばいいのではないかということで、これについて議論を進めているという理解なのですけれど、それでいいのですか。 ○井上座長 だから、大和田委員はこのコアカリキュラムにしたがってというこの分類も、あまり好ましくないとおっしゃっているのですか。これをそのまま取ってしまうと。 ○事務局 私が言うのは適当ではないかもしれませんが、いまご議論いただいている内容は、資料1の最初の頁の(1)の○2つと、(2)の1つ目の○、ここをまさに集中的に、かなり深いご議論をいただいていると思っています。  そして、意見をお聞きしていて思うのは、(2)の1つ目の○の2段落目にある複数の、複数はともかくとして、知識、技能、態度、一通りですので、ここには基礎も入ると考えれば、こういった問題を出すことに対しては皆さん共通のご意見だと私は解釈をしておりますが、最初の3行のところで、基礎だけを問う問題を出すか出さないかというところが、大和田委員はむしろこれがなくてもいいとおっしゃられているのか、ほかの委員の方はこういった問題も当然、ウェイト、重みはこれから議論するとして、必要になってくるというご議論だったと。  そこら辺がクリアになっていないことと、あと、最初の(1)にある出題分野のところは、これは井上座長がおっしゃられたとおりなのですが、モデル・コアカリキュラムを基本に項目立てをしていくことになるという書き方になっていますので、いままでの基礎薬学、衛生薬学、医療薬学、法規制度といった4つの表現ではなくて、これ、後ほどの資料4にも出てくるのですが、それぞれモデル・コアカリキュラムを示されているAであり、Bであり、Cでずっと連なっている物理、化学、生物を含めた全体のそれぞれ大きな項目が、従来で言うところの4分野に変わるものとして新たに登場してくると考えれば、無理してそれぞれのイメージなり、お考えの違う基礎薬学、あるいは医療薬学という言葉を使わずとも、一通り薬剤師国家試験が問うべき出題の範囲というものは網羅できるのではないかと、そういう考え方でこの辺りの記述は書いているつもりですので、かなり凝集されてきているような意見が交わされていると認識しております。 ○柴崎委員 私もちょっと混乱しています。若手研究者、教員の協力を得て少し問題を考えてみたのですが、例えば、ある官能基を持つ医薬品を乳糖賦形剤として用いると、褐色色素が出てきて色がつく。それには必然的に何らかの理由があるわけで、乳糖が持っている化学的な反応性を考えて、どういう官能基を持った医薬品の場合には、褐色色素が生成するんだということを聞く。このような形をとれば、医療サイエンス的な問題が出来るはずです。  更にもっと基礎までいったら、アルデヒドとアミンの基本的な反応に到達し、つまり調剤の場にまでいきわたるわけです。例えば教科書とかに書いてあることでなくても、ある薬剤師が色が変わったときに、あわてなくても医薬品の構造式を見れば、確かにこれは褐色色素が出てもおかしくないと、そういう判断ができるようなればいいと思います。  さらに、極端に問題を掘り下げていくと、アルデヒドとアミンの反応の機構はどうなのかと、どれが正しいのかということまで到達できるでしょう。現場における問題から、本当にベーシックなところまで入れ込んだ問題をどれだけ作れるかわかりませんけれど、試験の作成は大変難しいと思いますけれど、本当に全部入った形の問題ができればと考えます。大和田委員はいまのはどういうふうにお考えになりますか。 ○大和田委員 私は薬剤学出身なので、いま委員がおっしゃったようなことは、医療というと何となく薬理とかを思いますけれども、薬剤学的な発想ですと、やっぱり構造と物性とかですから、そうすると、反応も含まれますか。 ○柴崎委員 はい。 ○大和田委員 そうすると、すべてではありませんが、基礎と称するもので習うようなことは、その応用の分野が必ず臨床薬学の問題の中に含まれるので、したがって、複合問題として聞くこともできますし、全く単体の問題で、例えばこういうものを混ぜ合わせると着色するのは一体どういう理屈だとか、具体的なシチュエーションで聞くこともできると思うんですよね。それはただ暗記することももちろんできるかもしれませんが、やはり、科学者としてはきちんと背景まで理解した上で解答すると。 ○柴崎委員 そうですね。ですから、そこまでサイエンティストとしての薬剤師のレベルアップを考えるならば、そういう問題の最後の部分に、例えば細かい議論になりますけれども、アルデヒドとアミンの反応機構はどうなるのかと、そこまで入れ込む問題を作成する。そうなってくると5年制になったって、6年制になったって必死になって基礎的な勉強をしてこなかったら問題は解けないと私は思うのですけれど。 ○大和田委員 いや、おっしゃるとおりですよ。ですから、いま実際に、我々の大学のレベルで行われているのはそういうのを全く無視して、ただファーミングのメカニズムとか何とかが一方に置いてあり、又、一方においては実際の調剤の中で起こることとつながっていないので、何のために勉強しているのかよくわからない。つまり、その応用の部分が出てこないわけですよ。ですから、それは、基礎とか、臨床とか、応用とか、基礎とかカテゴリーを分けてしまうからそういう問題になるので、基本的に薬剤師は応用、臨床の世界のことですから、そうすると、その人たちの勉強の仕方は、いま言ったように、基礎的なものをきちんと理解して応用に利用するというスタンスが明確に試験に出てくるようにしたほうがいいのではないかと。 ○柴崎委員 ちょっと私は極論を言うかもしれませんが、私が期待しているのは、仮に褐色色素が生成したときに、薬剤師は自分で理解して満足するということではなくて、例えば患者さんに聞かれたとき、ものすごくやさしく正確に答える。医師が問題提起したときでも、その場ではいわゆる反応メカニズム的にやさしく正確に答えられるような薬剤師を輩出するのが、これからの我々の役目だろうと思っています。ですから最先端の臨床の場での問題と同時に、基礎の問題をさらに深く基礎的なものにしていくことが、そういう薬剤師の輩出には私は役に立つのではないかと思います。ちょっと極論ですけれども、両方大事にしましょうということです。 ○大和田委員 委員のおっしゃっていることは本当によくわかります。ですから基礎的な問題をさらに基礎的にメカニズムまでもっと含めてですね。 ○柴崎委員 今はだから、ちょっと極論を言っているのですけれどね。 ○大和田委員 そういうふうに聞くこと自体は、全然問題がないと思っているのです。教育も、たぶんそのレベルまで大学によってはやるでしょう。ただ、要するに多くの場合は何のためにやっているのかよくわからない。 ○柴崎委員 それは私たち教員の問題であって、例えば有機化学の教員がアルデヒドとアミンの反応を言うときに、医療薬学的な知識があったら、そういうことを少し入れ込みながら講義をすることは不可能なことではないわけです。 ○大和田委員 教員の問題ではありますけれども、現実的にそういうことが長く続いているということがあって、どこかで少しそういうものを変えたいというのがあるのです。委員のような出題がいけないとか全然思っていなくて、むしろそういうのがあって、きちんと基礎的に説明できるような出題をすればいいのです。  そういう出題があったほうがいいと思っているので、今みたいなカテゴリーとして基礎薬学というところでどんなに難しい問題を出しても、そこはつながっていないから、学生のほうとしてはあまり現実感がないわけです。ただ、私はそういう問題を解けないような学生をつくれとか言っているわけでなくて、そういうものを解ける学生をつくりたいのですが、今みたいなシステムだと、たぶんつくれないだろうと思っているのです。 ○井上座長 非常にいい複合問題ができて、それを解くためには、いま柴崎委員が言ったように、非常にベーシックなことがきちっとしていないと解けないのだと、学生も認識するし先生方も認識すれば自然に解決するような気がするのですが、違いますかね。 ○市川委員 私は衛生だから、いまの柴崎委員の内容は、実は衛生では食品の褐変現象といって教えるのです。話ではステーキや魚の照り焼き、パンの褐色やフレーバーの原因として、その反応と喋ります。例えばこれでいくとモデル・コアカリキュラムの36頁のところでも、食品の褐変現象は食品の品質と管理の中に入っています。それはいま先生が言われたとおり、その反応を医療のほうに頭を働かしたら学生はちゃんと説明できるのです。  これが衛生薬学だと思ったら薬剤師の仕事の範囲外と言うかもしれない。それは必ずどの大学でも教えていると思います。そこのところが今の応用の話と基礎の話の非常に大事なポイントかと思います。学生さんに対して、それらがひとつの話として基礎から応用へうまくつながるような教育を、いかにするかということになると思う。先生の問題もあるけれども、問題の出し方として複合的にうまく出せば、いま先生が言われたように基礎からその上の応用で、例えばいまの薬の問題につながるし、一方、衛生の考え方を言えば、食品に褐色が付いてくるのはどうしてなのかという話とつながるということだと思います。 ○須田委員 今までの議論と少しずれるかもしれませんが、観念的なことをちょっと言いたいと思います。従来の薬剤師養成が、要するに大学でもって基礎的な教育が中心で、実務にはほとんど関係のない試験が行われてきた実績があります。それが批判されて6年制という改革が行われたのですが、今までの教育のシステムが薬剤師教育に関してはピラミッド方式を取る。つまり頂点に行くに従って非常に求められていることが細くなってきた。  ところが、いまお話を聞いていると今度はその反動というか、逆ピラミッド型の問題が非常に求められている印象を持つのです。これはメッセージの出し方だと思うのです。基礎は要らないということになると全くの職業人という感じで、大学というよりも専門学校的な色彩が強くなってしまう。6年制という中でもって大学教育が行われて、そして薬剤師が医療人として個性ある職に就くことを将来目指すのであれば、また薬学の将来というものをきちんと目指すのであれば、そういった実務としての部分は外に出てからでも育っていく。しかし、基礎の部分は外で身に付けることは難しいのではないか。だから大学の中でもっとやろうという考え方を私は持っているのです。  そうしたときに、では逆ピラミッド型でもって実務に関するものから基礎を眺めればいいのか。これはスポットで物事を眺めることであって、非常にバランスが悪くて偏ってくる。今あることには対応できるけれども、新たに出てきた問題点に関してどうやってアプローチするのかといったときに、基礎がなければアプローチができない。やはりここだと思うのです。使われる薬剤師から、要するに求められる薬剤師になっていくためには、そういった教育を意識しないと私はいけないと思うのです。  モデル・コアカリキュラムは、そういった意味からすると非常にバランスよく、いろいろな見方ができる区分になっているので、従来のCBTのような知識だけを1分以内で求めるような考え方ではなくて、もう少し問題解決ができるような、いま言った複合問題といったものを出題者が問題を出すことによって、だんだんトレーニングされていく。そうすることによって、逆ピラミッド型と従来のピラミッド型が融合するような問題が、出題されることが可能になってくるのだと思います。いま急に求めてもできないことであり、やはり時間をかけてそういう方向ですり寄っていく。それであれば、いきなり基礎問題という表現の仕方はよくないと思うので、コアカリキュラムに沿って出題をまとめていくほうが、私はいいと思っています。 ○井上座長 よろしいですか。 ○赤池委員 私だけが混乱しているのかもしれませんが、基本的にまず出題範囲としては、いわゆる実務実習も含めた薬学モデル・コアカリキュラムを出題範囲とするということでは、皆さん、ご意見は一致していると思います。そういう意味で、それをどのような出し方をするのか、どこにウエイトを置くかという議論で割れていると私は理解しています。そういった意味でまず出題範囲という点で、こういうモデル・コアカリキュラム、プラスアルファになるのかもしれませんが、そういう形でいくことでは皆さん一致していますから、本質的なところはそう違わないと思います。  もう1つは1頁で、これが今までの議論で出てきているところですが、基本的にその区分をどうするかといった場合に、基礎という言葉があるとややこしいのですが、必修問題的な単純に知識を問う形式の問題と、ある程度いろいろ考えていただく複合というか、長文的な問題の2種類で出すと。そのカテゴリーとしては、先ほどの議論でモデル・コアカリキュラムでいくと、A、Bの部分がある程度入ってくるわけですが、メインはCが専門で、あと実務実習に関わるもの、いわゆる臨床で病院薬局の実務に関わるものと、大きく分かれてくるのかなと思います。  ですから、そういう意味で二次元ないし二次元の片方は、もしかしたらもうちょっと細分化されるのかもしれませんが、そういった形で展開すればいいと思います。あと、今まで議論されていたことはもっと突き詰めていくと、出題基準の問題ではなくて出題者の問題になってくるのかなと思いますが、いかがでしょうか。  こういう所で、プラクティカルなことを言うのは適切でないのかもしれません。ですから基礎という言い方はよくなくて、「専門」という言い方で括ったらよろしいかと思います。つまり実務にいく前は全部専門になるわけです。そこは例えばモデル・コアカリキュラムで言うと、物理系薬学を学ぶところから社会と薬学まで入ってきますので、それは当然範囲に入ってくるわけです。それを出しましょうかと言った場合に、もちろん複合問題という出し方は理想的な形です。それを一定の数、きちっと出すということは必要だろうと思いますが、いま私も出題委員ですので実際に出題する立場から言うと、全部それで出せというと非常に大変なことになりますから、例えば専門知識に関わるところ、あるいは実務に関わるところでも、基本的な知識を問うような単純というか、5肢選択といった問題はある一定の比率で出さないと、おそらく国家試験としては、全体としてこの方が薬剤師としていいかどうか判定するだけの、いわゆるボリュームといったものは出せないのではないかと思います。 ○樋口委員 先ほど来の話を聞いていて、過去にはなかったような議論が出ていてうれしく思っているのです。例えば柴崎委員が提案されたような例示というのは、医療現場にいくと昔から日常茶飯事、輸液を混ぜたりするところではあったのです。それの説明としてああいうふうな説明があるわけです。  実際に実務のを見ても、72頁、73頁の実習項目の中に、73頁の注射剤の代表的な配合変化とかを検出できるとか、原因を説明できるという項目はあるのです。これなどの時にもまさに当たっているのです。ですから、現場で行う実習の中でそういうものをどうやって説明するかといった時には、いま言われたような基礎を学んだ専門性が非常に役に立つ。もしくはそれを使わないと説明できないということです。ですからストーリーを考えて問題を作っていけば、いま、皆さんが議論して意図されているようなものも基礎とか臨床をあまり問わずに、いちばんいい薬剤師の物の考え方のプロセスを作ってやれるのではないかという気はします。 ○井上座長 実際に問題を作っていかないと、たぶんこの議論はなかなか尽きないと思います。そんな問題はある数はできるでしょうけれども、いま赤池委員が言われるように、かなりのボリュームで相当な数を作らなければいけない。しかもそれを1人の人でなくて、もしかしたら複数の人で作っていかなければいけないというときに、どういうふうな組み合わせ、どうやって本当にそれができるのかという問題があります。  理想は確かにそうだと思いますけれども、実際にその辺を具体的に、例えばトライアルみたいな形で少しやってみて、そこで出てきた問題点をどうやったら修正できるか。そういうことをやっていかないと、この議論はいつまで経っても解決しない。複合問題の重要性というのは皆さん一致しているわけだし、そこに基礎を織り込むのだというのもいいのですが、本当にそれがどのぐらいできるのかは、やってみないと動かないのではないかという気が私はするのです。いかがですか。 ○柴崎委員 私も勘違いしていたのですが、いま、1つのポイントになったのは、基礎薬学というカテゴリーで問題を出すか、出さないかというところから話が始まってきて、私もいろいろなことを言ったのですが、そこのところのネーミングの問題が大きな問題になっているような気がするのです。いかがですか。 ○井上座長 ネーミングは、もうないのです。 ○柴崎委員 ないでもいいですけれども。 ○大和田委員 なくても別に何も困らないと言っているのです。 ○柴崎委員 先生は、ちょっと違った言い方をされたという気がしましたけれども。 ○大和田委員 出題すること自体の重要性というのは、みんな同じことを議論しているので、そのカテゴリーを置くかどうかだけなのです。カテゴリーを置けば、そういうグループの人たちがそこをマネージして出題するようになると思いますけど、そういうカテゴリーを置かないと、例えば医療薬学だけのを出すとなると医療薬学というカテゴリーの中で、その人も臨床の人も集まって何だかんだやることになります。サブグループを作るということがあるかもしれないけれど、基本的にどういうカテゴリーで試験を作っていくかということです。 ○井上座長 先生はカテゴリーでおっしゃっているから。 ○大和田委員 中身のことは全く同じことを言っている。これはぐちゃぐちゃ言ってもしようがない。 ○赤池委員 1つ提案があるのですが、資料1の1頁の下から2つ目の○に、医師国家試験のように、「必須問題」と「総論・各論」、「一般問題」と「臨床実地問題」などのような分け方もあり得る、とあります。ここで言う必須問題というのが5肢選択の比較的単純なもので、総論・各論というのが複合問題を含むと思われます。  医師国家試験の場合は、一般問題と臨床実地問題というふうに分かれていますが、薬学の場合には一般問題と少し違ってきて、私の感覚では、薬学の場合にはA、Bに相当するところがモデル・コアの一般かなと思います。そういう意味でここを2つに分けないで、一般問題と例えば専門問題、それから臨床実地問題の3つに分けて、その専門のところを先ほどの物理系薬学から社会と薬学までという形で入れれば、いまのような議論が、少なくとも出題範囲や出題基準としては包括できるのではないかと思いますが、いかがですか。 ○井上座長 そうですね。でもそれは言葉を変えただけで。 ○赤池委員 もちろんそうですけど、それを言われたら身も蓋もない。 ○大和田委員 やはりカテゴリーだから、例えば薬事法規などは全然法制上の問題であって、薬学の基礎とか何とかと関係ありませんよね。ですから、それはそういうカテゴリーにしておく。それから公衆衛生などは一般的な調剤などとは違った意味での薬剤師の役割で、それに関わる基礎も微妙に違ってきますから、それはそれでまた別のカテゴリーを置く。例えば医療薬学というカテゴリーで、その医療薬学のところは調剤を中心とした本当の意味での患者さんを相手にする、薬剤師の職能の部分ということで、薬剤師が知らなければいけない知識や技術を大きくそういうふうに分けたらどうか。基礎、臨床、応用という分け方はやめたほうがいいのではないかというのが、私の意見です。  ですから、この医学部のものとも微妙に違うのです。薬剤師の免許を取って働く、その職能のために学ぶ分野をカテゴリー分けしたので、その中で各々について法制度に基礎があるかどうかわかりませんが、例えば倫理や法学などはもしかしたらその中の基礎になるかもしれない。  衛生だって、いま言ったように生命科学的な基礎も含んできますし、また環境衛生、公衆衛生みたいな部分も入ってくるので、それはそれなりにまた基礎があります。私の言いたかったのはそういうことで、薬剤師の本来であればこれをもらったらできるというところが、病院や薬局での調剤に関わる一般的な薬剤師業務ですけれども、そういうものについてはそれと並べたカテゴリーにして、その中で基礎やら何やらみんな出せばいい。基礎だけ抽出してバーッとする必要はないと思います。 ○赤池委員 私もそれはそう思います。抽出する必要はないですけど、ただ、Cに該当するところというのは、そういう意味で大和田委員の言われている基礎から医療までを含んだ形で入っていますし、ちょっと私自身混乱があるかなと思うのは、出題基準あるいは出題範囲を示すということと、実際に薬剤師の国家試験をして出題するときの問題の作成というところが、少し議論が被っているように思います。  出題基準として提示する場合はモデル・コアカリキュラムがありますので、ある程度このカテゴリーを見て、それからあまり離れないような形で学生に示してあげたほうが、私はわかりがいいと思います。ただ、実際に例えば問題数をどうするか、あるいは出題も分けていきますよね。そういったときには先生がおっしゃっているような具体的なところで、薬剤師国家試験としての位置付けがはっきりわかるような内容にしていくべきだろうと思います。そこは分けたほうがいいかなと私は思いますが、いかがですか。 ○大和田委員 私が先ほどから言っているアイデアというのは、別に私のアイデアでも何でもなくて、例えばアメリカには薬剤師の国家試験はないですけれども、州何とかかんとかの試験などの分け方はそうなっていて、その分け方に応じて出題もパーセントが決まっている。たぶん世界中、どこの国でも薬剤師はそういうふうに分けているのだと思うのです。  ですから。日本もハーモナイゼーションと言うわけではないけれど、私の先輩がアメリカのロードアイランドの薬学校にいますが、彼が日本の薬剤師国家試験の特に基礎の部分を見たときに、これは薬剤師の国家試験ではないと、要するにただの試験だという感じで、それはカテゴリーにすごく関係するのだと思うのです。分け方として、ああいうところに基礎の問題を基礎として突っ込むから、当然そうなってしまうのです。アメリカの場合は別に基礎を聞いていないわけではなくて、要するにアメリカの場合の分類は調剤と製剤、薬物治療と病態生理など、大きくそういうカテゴリーが医療薬学の中に2つあって、その2つの部分にどちらも基礎が入ってきているわけです。 ○柴崎委員 それは、たぶん、日本の医師とアメリカの医師の教育の違いが、そういう薬剤師の国家試験に影響しているのです。と申しますのは、アメリカの場合、メディカルスクールにいく学生というのは、徹底的にアンダーグラジュエイトで有機化学を学んで、極めて高いレベルの人たちだけがメディカルスクールに行けるのです。ですから、怒られるかもしれませんが、日本の医師と比べたときにアメリカの医師というのは有機化学に対する知識が遥かに高い。歴史的に、日本の薬剤師国家試験の問題がアメリカと違うというのは、そういうことも影響しているのではないかと私は思います。  アメリカの薬剤師国家試験と、日本の国家試験を単純に比較するのでなく、そのときにはアメリカの医師と日本の医師の能力も考えないといけないと思います。例えばMITなんかで有機化学のトップ中のトップの連中だけが、善いか悪いかはわかりませんけど、メディカルスクールへの進学が許されているという状況ですから、そうすると医師の有機化学の知識はかなりレベルが高いです。要するに医薬品を化学構造で眺められる医師がかなり多いということです。 ○井上座長 アメリカの薬剤師が化学を知らないだろうという意味ですか。 ○柴崎委員 医学部進学等の条件が影響して、そういう問題に対する比重が減っているのではないかというのが、私のスペキュレーションです。 ○白神委員 非常にプラクティカルな問題なのですが、要は最初に大和田委員が言われたときに、基礎の化学的な問題は出す必要はないというご意見だったと思って、それで非常に勇気あるご意見だと申し上げたのですけど、どうも聞いているとそうではないようなので、要はいまの薬剤師法施行規則で出題範囲は次のようにすると書いてあり、いまの議論ですと、(1)(2)(3)(4)と挙がっているのを、「出題範囲を薬剤師に必要な知識全般とする」と変えればいいだけの話ですよね。実際にどう出すかはまた別の問題のような気もするので、これ以上議論していても先へ進まないような気がします。 ○事務局 資料1のいちばん最初に出てくる出題分野の最初の○の3行のところは、私自身が遠慮して書いてしまったためかもしれませんが、後ほど資料2を見ていただくと、いま言われた4分野という切り口で、今度の新しい出題基準を構成しようということではないイメージで提案しています。本来であれば資料1の最初のところの書き方を、もう少し具体的に言ってしまえば済んだのかもしれませんが、一応、これまでの意見に忠実に書いた形になっていますから、ここまでに止どめました。  具体的な出題基準の内容というのは資料2に示されていますので、この内容について後ほど見ていただければ、おそらくすべての先生が、今までご議論いただいた内容がこういうことなのだろうなと思われると、いまの段階で私は思っています。また後ほど、これについて議論いただければと思います。 ○井上座長 多少問題があるとすると、非常に基礎的な部分を切り離して、そこだけ問う問題は好ましくないとおっしゃっているのが大和田委員で、切り離さないとなかなか難しいのではないかというイメージで捉えて、複合問題の中に全部基礎的な問題を入れてしまうというのは、実際問題としてプラクティカルには難しいかもしれません。 ○大和田委員 いま思ったのは、先ほど言ったように簡単に出しても構わないという。 ○井上座長 それは括りとしては、何となく基礎的な問題になるかもしれません。 ○大和田委員 例えば有機反応のメカニズムにしたって、あるいは立体化学など特にそうですけど、何か必ず臨床に結び付きますよね。あるいは生命現象とか。 ○井上座長 でも、そういう問題しか出せなくなってしまって、わかりません。 ○山本委員 非常に長い時間をこれに費やしている気がします。つまり、この後に出てくるモデル・コアカリキュラムC1、C2という図があって、現在行われている国家試験は私の考えだとC1からC10までのところで、基礎薬学ということで25%出されているわけです。もっと細かく言うと、C1からC3は物理分析で大体7%、有機がC4からC7で10%です。大和田委員は25%がトゥ・マッチであるとおっしゃっているような気がします。どんどん少なくということですが、25%が適正かどうかの話に集中してしまっているような気がします。  現実的には井上座長が言われるように、すべて複合化するのは無理です。ですから後で現実にある25%をどこまで落とすか。あるいは増やすか、そういう話で調整するしかないです。かつ、いまはもう2年制まで教育が進んでいますので、あまり現実と変わるのは好ましくないと思います。 ○林委員 私はこう思います。今の形式は出題委員が独立して出題してる部分が非常に多いわけです。これから先はそういう出題委員もいるかもしれませんが、統合型を作る委員は1つのグループを作るだろうということで、出題の比率に関する問題は解決していくと思います。すなわち大体の比率を決めて独立した問題を作るグループと、総合型問題を作っていくグループ、いわゆる統合型です。これを分けないと、なかなかいい問題は作れないだろうと、出題した経験から、予測します。 ○井上座長 ただ、総合問題がファイナルなものだとすれば、分けて独立に作るという先生方が本当は総合問題が頭の中にあって、それを解決するための基礎だというね。 ○林委員 横の関係は大事です。 ○井上座長 そこをちゃんとしておかないとという気がします。総合問題が本当にうまく成り立つのかなというのが現実の問題として懸念されますので、是非、それは本当にいい問題ができるのかどうか、しかも相当数ですね、とにかく早速にでも取り組んでいかないと、なかなか進まないのではないかと私は思います。  そんなところで最初の議題はこの辺にして、次をやらないと時間がなくなってしまうので、2「薬剤師国家試験出題基準について」というのも、話としては今の中に入っていますよね。 ○白神委員 3頁の(2)の2つ目の○に関連してなのですが、薬学教育が今回、臨床能力強化ということで改定されたと思いますけれども、薬剤師法の1条に言う薬剤師の任務は変更されていないですね。そうすると、そこには調剤と医薬品の販売、もう1つ薬事衛生と書いてあります。ということは国家試験に合格した薬剤師は、薬事衛生に従事する薬剤師としても十分通用することを証明しなければいけないので、そういう意味で、例えば公衆衛生の問題とか、あるいは普通の衛生化学が中心になると思いますけれども、そのあたりのことをどこかに入れていただかないと、まずいと思います。法律のほうが変わっていないのでそういうふうに思います。 ○井上座長 わかりました。それは、たぶんコアカリキュラムの中に含まれています。いま、わざわざ製造、販売業において云々と書いてあるのは、おそらくこういうのがコアカリキュラムの中に含まれていないので、コアカリキュラム以外の部分としては、こういうのも要るだろうというつもりでご発言になったのを入れたのだと思いますが、違いますか。 ○白神委員 これもコアカリキュラムには入っているのです。ただ、今までの議論が病院か薬局で働く薬剤師だけのための国家試験のように聞こえていましたので、そのあたりの言葉が出てきたほうがよろしいかなということです。 ○井上座長 ほかには、この2のことについていかがでしょう。 ○森委員 いまの2の(7)で4頁のいちばん下です。「実務家の教員が試験問題作成に関与する必要がある」、これはごもっともだと思いますが、薬局の実務家教員が少ないのが1つ心配です。それと、これは試験とか作成という話ではないのですが、そもそも実務家教員のあり方を考えていかないといけないと思うのです。というのは薬局に勤めていて辞めて大学に行き、1、2年は実務家かもしれないですが、何年か経てば離れますよね。そういう意味では医学部と環境が違うので、薬局に勤めながら例えば大学の教員としてきちっとできるとか、病院に勤めながらできるとか、そういう仕組みを作っていかないと、いずれ実務家がいなくなってしまうのかなと思います。 ○井上座長 だから、みなし教員みたいなものをもっと増やしていけというご意見だと思います。 ○森委員 そのとおりです。 ○白神委員 例えば薬事関係法規ですと、薬剤師の先生に入っていただいていると思います。これは「実務家の教員」でないといけないのでしょうか。「実務家が」でいいように思いますけれども。 ○市川委員 「教員」は要らないのではないか。 ○井上座長 なるほど。 ○市川委員 教員が国家試験を出すということは誰も決めていないので、本来だったら実務家が出すべきであると、私はいちばん最初に言ったのです。 ○事務局 これまでの意見を踏まえた記述で断片的ですので、本来、最終的に試験作成の委員会を作るのであれば、その中の構成の全体がどうなるかは、いまご意見をいただいたような立場の方が全体に入るような記述になってくると思います。現時点では確かに断片的な記述になっています。 ○井上座長 修正するということで、これは「実務家が」ということで構わないと思います。 ○大和田委員 それだったら、同じように3頁の(4)の出題基準の改定作業のところです。何か大学の先生に聞くような雰囲気のことを書いてあり、それはあってもいいと思いますが、職能団体が外れているというのはおかしいのではないか。 ○井上座長 どこですか。 ○大和田委員 本来だったら、こういうものについては職能団体が見て、良い悪いというのがあっていいのではないかというか、別に職能団体の人を出しても出さなくてもいいのですが、こうした検討委員会の中にも顔を出しておられますし、したがって改定が必要であれば、学校にだけ聞くというのはちょっと片手落ちで、職能団体にもいろいろな研修何とかがあるのです。そういう教育に関わっていろいろやっている部分があるので、そういうところに見てもらう必要があるのではないかと思っているのです。 ○事務局 検討会の運営の関係なので、私のほうからお答えします。ここで言わんとしていることは、基本的には検討会の中でまとめていくということなのですが、職能団体に関しては、お立場としてお2人の委員に入っていただいています。本来、いろいろな名簿作りの段階の話になるのですが、それぞれ現在、お仕事をされている所属の施設の名前を書くことで名簿を作る場合もありますけれども、今回はそれぞれの社団の名前をお借りしてメンバーに入っていますので、それぞれの委員はそこの代表ということで、この検討会の中でそういったご意見を伺えるのではないかと期待しています。  一方、ここの記述は「全国の」というところがポイントで、検討会にご参加いただいている先生方が所属の大学のみならず、全大学に対していろいろな意見を聞きながら、取り入れていこうというところに主眼を置いていますので、実行上は先生が言われたような形になるのではないかと思っています。 ○井上座長 ほかにはいかがですか。 ○森委員 もう1つ教えてもらいたいのですが、出題基準というか出題方針になるのかと思いますけれども、現行、法改正があったとき、新法が施行されて1年経たないと国家試験には出さないということで、旧法で対応しているというようなことを聞いたのです。そこは事実ですか。 ○事務局 これはまた後ほど、資料3のところでご議論いただければいいと思いますが、確かに一定期間、周知期間をとるという基本的な方針は打ち出されています。ただ、これはインターバルが大分短くなってきて、最近の度重なる法改正ということもあるのですが、2年後、3年後というレンジではなく、1年後ぐらいという比較的短い期間で改正後の内容が出題されているケースが、最近の状況だと思います。 ○森委員 法改正もありますし、旧法で勉強してもどうなのだろうということが先ほどあったので、ちょっと確認させていただきました。 ○事務局 そのあたりは実際、大学のほうで何年次に学ぶかということにも関係してきてしまいますので、その状況を見ながら、カリキュラムが単位として終わってしまった後ではなかなか新しいところは出しにくいので、その場合はむしろ旧法のまま出すというのもまたおかしな話ですから、そういった問題は避けるという対応で個別にやっていくのではないかと思います。 ○井上座長 カリキュラムの進行をあまり気にされなくても、国家試験の対策というのはやるわけだから、できるだけ早く対応して。 ○森委員 3年で学んだから出さないということではなくて、現場に合わせて出題してもらいたいと思います ○白神委員 やっぱり、ちょっとそこは。 ○井上座長 無理。 ○白神委員 薬事法規だけは、対策を合わせるというのは。 ○井上座長 そうですか。 ○白神委員 法律が改正される10月とか、それくらいの時期になって、とてもそれをというのは無理です。ある程度の期間は必要だと思います。ただ、旧法を出すというのは今までもされていないと思います。唯一あったのは、調剤報酬の点数がもう変わることがわかっている問題が出たというのがありましたけど、そこは出題者の問題なので。 ○井上座長 でも1年以上置く必要はないでしょう。 ○白神委員 そうですね。 ○井上座長 それは、いま議論すべきことではないだろうと思いますけど。この2番の出題基準については、何かほかにご議論がありますか。1と被っている話なので、2番に関してはこれで大体よろしいかと思います。(5)ヒューマニズムについてとありますが、これも実際にやってみた上で、どうするかの議論にしたほうがいいのではないか。この段階でヒューマニズムを分けるか分けないか、いくら考えてもないですよね。  3「試験の実施方法(問題形式、回答形式を含む。)」ですが、これは医学では今の薬学の場合に比べると、ずっと複雑にやっているわけです。そういうものを薬学も取り入れるかということだと思いますが、基本的には取り入れてよろしいのではないかと思います。何かご意見はございますか。これは薬学に馴染まないだろうとか、そういうのがもしあればご意見として伺いたいと思います。 ○山岡委員 質問ですが、医学部の場合には1点配点の問題と3点配点の問題と、問題の重みがありますよね。薬剤師の国家試験でも、そういうことの可能性もあると思っていていいということですか。 ○井上座長 そういう議論も多少ここでしたと思いますが、回答時間が長くなるとか、複合問題などですと当然そういうことは出てくるのではないでしょうか。あとは必須問題の場合の配点、足切りが非常に高いところに設定されるとか、そういう類のことは、薬学の場合もきめ細かく考えていかなければいけないのではないかと思います。この辺はいかがですか。 ○山本委員 そういったことは、いつごろ方針として固まると考えたらよろしいのでしょうか。 ○井上座長 いかがでしょう。 ○山本委員 いまはディスカッションしていたわけです。 ○事務局 7頁の4の合格基準のあたりで、(1)から(3)の項目の座りは悪いと思いますが、(4)ということで加えていただき、そういった技術的なというか試験の実務的なところも含めてご意見をいただければ、最終的な方向性としてこの検討会でまとめることになるかと思います。 ○山本委員 意見ですが、いま山岡委員が言われたように、前の会でもアイデアが出ましたし今日の参考資料5で出ているわけで、非常にいいアイデアだと思うのです。短い時間で答えられるもの、長い時間で答えなければいけないもの、両方とも必ず覚えていたほうがいい。つまり医学系で言うと80%の正解率を期待しているものと、あるレベルのものと、それはその時にもよるのでしょうが、トータルとしてどのくらいという基準というのは、どうなのでしょうか。今までの同じ2.5分で2点ずつ配点していくのは、それはそれで自然かなと思っていたのですが、こういうものを見てみると、極めてこちら側にアドバンテージがあるような気がするのです。いまのはもちろん意見です。 ○井上座長 いかがですか。よろしいですか。 ○森委員 6頁の(8)ですが、出版物の貸与による回答方式についてということで、前回も出ていましたが、これは記憶ではなくて問題解決能力を確認するのにいい試験です。ただ、確かに私も現実的ではないと思います。そうであれば例えば3枚ぐらい資料を付けて、その中から考えさせるとか、何か一部を情報検索したものを与えて回答させるという形の問題の出し方はできるのかなと思います。 ○井上座長 それはできますね。それは十分できるのではないでしょうか。 ○森委員 そのほうが、ただ記憶だけでなく、きちっと問題解決能力を見るという意味ではいいのかなという気がします。 ○井上座長 本を持ち込むというのはなかなか難しいということだと思いますので、それは十分範囲内だと思います。 ○事務局 実務的な話ですが、その場合は別ペーパーで席上配布ということでなくて、出題の問題の中にそれを溶け込ませた形で作ってもいいということですね。 ○森委員 そうですね。 ○井上座長 別配布では駄目なのですか。 ○事務局 配る資料の数が少ないほうが、間違いがないかなという程度ではありますけれども。確かに医学部でも別紙で、事例問題のようなものは別添の形で資料が付いています。 ○井上座長 3に関しては比較的プラクティカルな問題に近いと思いますので、よろしいでしょうか。次は議題の2「新たな出題基準の改定について」です。新たに策定する出題基準の全体のイメージとその内容などについて、事務局から資料に基づいて説明していただき、意見交換したいと思います。よろしくお願いします。 ○事務局 なるべく簡単にご説明したいと思います。資料2から資料4までの3種類になります。資料2をご覧ください。「新たな出題基準のイメージ」ということで全体の体系を示しました。左側の青いほうが現行の出題基準の構成になっていて、右側のピンクが今度の新しい出題基準のイメージということで並べています。  左側の青いほうですが、現行の出題基準は●で括っているような6つの大きな項目からなっています。留意事項が一通り書いてあり、適用の時期は、平成16年に作っていますので平成17年の試験から用いるということ。改定はおおむね5年を目処にというルールになっています。それ以下、基礎薬学、医療薬学、衛生薬学、薬事関係法規及び薬事関係制度の4つの大きな柱が立っていて、まさにこれが出題の科目ということです。薬剤師法の国家試験に関する規定にも、施行規則上は「科目」という言い方になっていますが、こういう括りになっています。これが先ほど議論があった内容かと思います。その中に、それぞれの概要としてどういうものが含まれるか、そして個別の大項目から始まる、いくつかのキーワードのような形でのカバーすべき範囲が示されている構成になっています。  これに対して新しい基準のイメージが右側ですが、こちらをご説明します。基本的な考え方、留意事項は可能な範囲で気づいた点、必要な点を書いていくことになろうかと思います。適用の時期、改定の時期として年数に関しては○○と括っていますので、このあたりも最終的にはいつの時点から行うかを、ご議論いただいて決めていくことが必要になってきます。  その後、4つ目と5つ目の○がポイントになります。「出題方法」あるいは「出題方針」という言い方で1つ柱を立て、さらに「出題の範囲」ということで1つ項目を立ててはどうかという提案です。出題方法(出題方針)のところにおいては問題の出し方として、基本的な知識を問う場合は必須問題を書くのか。複合的な知識、技能、態度をトータルで問うような問題であれば、先ほど来、ご議論いただいている複合問題を取り入れることを、ここら辺に書くことにより、出題の出し方、考え方を網羅してはどうかということです。ですから、先ほど来ご議論いただいている点は、このあたりで工夫ができる部分ではないかとも考えています。  出題範囲ですが、これは資料4を先にご覧いただきたいと思います。少し厚い横長の資料ですが、とりあえずこれが薬学教育モデル・コアカリキュラム、実務実習モデル・コアカリキュラムに沿って項目を大、中、小、あるいは1つ1つのSDOにすべて網羅した形で、それを説明できる記述を単語化したものということで、ご覧いただきたいと思います。ここに示されているのが、すべてを出す、出さないはまた別の議論として、国家試験で網羅すべき範囲だろうということで掲げています。  ご覧のとおり、いちばん左側にある「大項目」に当たる部分がC1から始まって、これは順序が逆になってしまったのですが、A、Bに当たるヒューマニズムとイントロダクションも30頁以降に付いています。順番が逆なのでヒューマニズムとイントロダクションの部分が、一見、欠けているようにも見えてしまいますが、30頁から始まるところに、一応、それも網羅しています。すべてモデル・コアカリキュラムに出てくる項目を表にしたものですので、一応全部入っているということです。多少ミスタイプとかあるかもしれませんが、網羅しているということでご覧いただきたいと思います。  ですから、この大項目に当たる部分が1つの大きな分野で、今日も議論いただいているような分野という形にすることも可能です。あえて資料4の作り方に加えて、その上位概念として基礎薬学あるいは医療薬学といった言葉を設けなくても、ここに書いてある内容が一通り出題の範囲だと捉えていただき、あとは問題の出し方の中で基礎から実践、臨床に係る部分の問題の出し方をどうするかで、具体的な例題も必要であればそういうものを作りながら、全体の出題基準を構成していく議論をしていただければいいのではないかと思っています。これが資料2、資料4に基づいた出題基準の大枠のイメージです。  次に資料3をご覧ください。これが非常に細かい1つ1つの字句を確認していくための資料になるかもしれません。表になっていて、左側が現行の出題基準における大、中、小項目以外の、いわゆる文章で書かれている部分をそのまま書いたものです。このあたりで、今後の新しい出題基準の中で取り入れていく留意事項、基本的考え方があれば、それはそのまま取り入れていきますし、改めるところは改めるということで、今日のこの場でなくても、今後、ご議論いただくために逐条的にこういう形で表を作りました。  具体例を少し挙げると1頁の(2)です。いま出題分野が4分野あり、分野間の重複がないよう調整することに留意することとなっていますが、むしろ今回の新しい基準の中では複合問題となっているわけですから、こういった配慮は不要なのでこの文章は要らないかもしれません。また(5)にあるように正しいものを問う問題を基本としている運用になっていますが、これについても先ほど資料1で説明したような出し方もあるのではないかということで、ここも改める必要があるとして議論になると考えています。  2頁以降は改めて今日は説明しませんが、こういったところの逐条的なところも最終的に確認いただいて、全体の出題基準における出題の方針というところで、一通りの記述をしていくための材料にしていきたいと思っています。  なお、1点ミスタイプがありますので訂正させていただきます。資料3の3頁ですが、医療薬学の(1)の出題の方針の次にある○の2行目で「問う省令」となっていますが、ここは臨床的なケースということでの「症例」ということで、書き改めていただければと思います。申し訳ありません。説明は以上です。 ○井上座長 ありがとうございます。出題基準のイメージという資料2ですが、いかがでしょう。これは適用の時期ということも決まっているわけではないのですか。 ○事務局 一応、議論していただいた上でということですか。 ○白神委員 出題範囲のところで、ここに「モデル・コアカリキュラムの内容に加えて」と書いてありますが、モデル・コアカリキュラム自体がそれほど詳細な内容を示しているわけではないと思うのです。もちろん表題は書いてあるのですが、その中でどの範囲までやるというのは決まっているわけではないので、これで「内容に加えて」とされてしまうと、たぶん教育現場ではものすごく悩んでしまうのではないかと思うので、この「加えて」の意味以下の部分が、一体どんなことを想定されているのか、ご説明いただけるとありがたいです。 ○井上座長 たぶん、コアカリキュラムがすべてというわけではないよ、というぐらいのイメージではないでしょうか。 ○白神委員 「加えて」という言葉が非常に気にはなるのですけれども。現在のコアカリキュラムはかなり細かい範囲を押さえておられて、かつ、それぞれのSBOはそれほど細かいところまで書いてありませんので、それを大学の中で自由にある程度教えられると思うのですが、そうすると、それに更に外に出る部分というのは本当にあるのか。その辺も含めてこの表現がちょっと気になりました。 ○井上座長 ただ、それがないと、あまりにも限定してコアカリキュラムがすべて、コアカリキュラムがということになるのを多少気にした表現ではないかと思いますが、あまり不適切ならばどうすればいいですか。要らないということですか。コアカリキュラムすべてというイメージを持たせていいのかなという。 ○市川委員 単純に読んでモデル・コアカリキュラムというのは、普通、教育では7割ぐらいがそれに入りますということで、残り3割は違います。各大学の教育理念に従ってください、という記述になっています。そういう言葉で入っているのかなと思います。それを薬剤師として云々ということになっていますが、そういうふうに捉えたらモデル・コアカリキュラムの到達目標というのは、もちろんそこに方略があって大学によって変えるとは思いますが、その深さに関してはあまりここで統一することはないですね。  要するに「加えて」という部分は、たぶん残り3割も全体が入っていて、それぞれの大学が教育したことの内容が問われていますよということになると思います。ですから、それをどうするかは各大学で決めたらよろしいのではないか、そういうふうに捉えています。 ○井上座長 ただ、特別なことをしていると、そこまで試験範囲に入ってしまうのかと言われると、ほかの大学が教えていないようなことを試験範囲の中に入れるということは、もともと無理な話です。だからその辺がなかなか難しい点ではあるとは思いますが、コアカリキュラムがすべてだというふうにしてしまうのは、少し問題があるというぐらいの感じではまずいですか。 ○白神委員 1つは、国家試験自体は薬剤師としての基本的な知識を問うということで、それはこれから変わるのかもしれませんが、そこにあるとすると、それがまさにコアカリキュラムかなという感じもします。ですから、モデル・コアカリキュラムの内容中心に出題するでいいのではないかと思います。 ○井上座長 それはそれで誤解を招かないという点では、むしろそのほうがいいのかもしれません。 ○森委員 逆に、頭の「加えて」まで取ってしまっては駄目なのですか。「薬剤師として求められる知識、技能、態度に関する事項を基本として策定」で、大項目、中項目、小項目が示されるので、それではいけないのですか。そのほうがいいような気が私は個人的にします。 ○井上座長 なるほど。 ○事務局 私の説明が足りなかったのかもしれませんが、新たな出題基準の中に、いまご議論いただいている3行の記述が入るということではなく、こういう方針で資料4を作っていきましょうということで、最終的な出題基準の内容は、資料4で示されている表で付いてくるということでご覧いただければいいと思いますから、資料4のモデル・コアカリキュラムに忠実に作ってあるものに加えて、ほかにいろいろあれば今後肉付けしていくという過程を経て、最終的には資料4に示された形で一通り明記された中で、全体の出題範囲が決まっていくことになりますから、抽象的な表現のまま出題基準に残って、「加えて」でも「中心」でも、それ以外のところがあるけれど具体的に見えないというものにはならない、ということで見ていただければいいと思います。 ○加賀谷委員 先ほどのところで言うべきだったのかもしれませんが、コアカリキュラムの中では薬剤師の適性云々がOSCE等で評価されるのだとは思いますけども、国試には出題されないと思います。そうすると医師国家試験のように禁忌肢の出題が必要なのではないか。これを選ぶような者は薬剤師にしてはいけないのではないかという問題を、是非入れていただけないかと思います。 ○事務局 先ほどの資料1の4の検討項目になります。 ○加賀谷委員 そこのところです。 ○事務局 (3)のところがそれをイメージしています。また引き続きご議論いただければと思います。 ○井上座長 そうですね。いかがでしょうか。 ○木津委員 いまCBTの考えとかも進んでいますけれども、基本的な知識のところをCBTで出ている実務実習に行くまでに、必ずクリアしなければいけない問題というのと、薬剤師にとって必要な問題という、そこの住み分けと言うと変になるのかもしれないですが、たぶんそこのところが実際的には関心の強い部分もあると思います。CBTは普通の勉強をしていれば、新たな勉強をしなくても8割できる問題という規定もある中で、今後、ここのところを明確に出していかないとイメージ的には難しいのかなと思ったので、今後、すごく検討していかないとという、ただそれだけの意見です。 ○井上座長 CBTとは全く別物であって、CBTと重なっても一向に構わないというのが、ここでの何となくのコンセンサスであるように思うのですが、その辺ももう少し明確にしたほうがいいというご意見だと思います。CBTに出しているから、もう出さなくていいというのとは違うと思います。 ○木津委員 全くそういうことではないのですが、こういう議論を聞いている方たちはわかっても、これを受け取った人たちが、たぶんちょっと誤解というか。 ○井上座長 時間がもうほとんどないので、この議論はさらに続けていくことにして、とりあえず先に進むことにします。出題範囲のことに関して膨大な資料があって、ここでいま具体的にどうのということはなかなか難しいと思いますから、事務局から提案があれば、よろしくお願いします。 ○事務局 資料4のこれからの作成の仕方、進め方になってくると思いますが、とりあえず先生方には見ていただいていろいろ肉付けなり、表現が間違っているところ、適切でないところ、まだエスビーオーズのままになっているところがありますので、このあたりはどんどん進化させていく必要があると思っています。加えて、この検討会での議論についてすべての大学に意見を聞くと先ほど申し上げました。その一環として出題範囲という資料4を中心とした内容に関しても、各大学のそれぞれの先生がモデル・コアカリキュラムに即して行っている部分もあれば、それ以外のところもあるかと思います。そういった教育の実態もできるだけ反映させて、最終的に薬剤師の国家試験として、必要な資質を問うための出題の範囲にしていきたいと考えた場合、それぞれ各大学の先生方に意見を求めてはどうかと思っています。  資料4を中心とした資料を各大学のほうにお送りして、それぞれの講座ごと、すべての先生がそれぞれの分野をご覧いただくことになると思いますので、さまざまなご意見をいただき、それをすべて取り入れるということではなく必要なものを取り入れる。またそれぞれ大学のほうで7割がモデル・コアだとして、残りの3割はユニークな教育もされているとすれば、それも一応意見としていただきたいと思います。それが全国統一の国家試験として取り入れて妥当かどうかも検証していきながら、妥当なものはなるべく取り入れることで、この出題の範囲を、より充実したものにしていってはどうかと思っています。繰り返しになりますが、出題の範囲に関してすべての大学にお送りして、意見を求めるというステップを踏んではどうかという提案です。 ○井上座長 いかがでしょうか。 ○白神委員 この全体としてですが、コアカリキュラムはあちらこちらでかなり重なっているのです。例えば薬害を取り上げても薬害のところと、たしか倫理のところですが、そういうところの調整はされておられるのですか。もう1つは、網掛けをされているのは何か意味があるのですか。 ○事務局 説明が足りませんでした。左から始まったいわゆる大、中、小の項目の中に同じものが出てくれば、それは作業上削っていますが、項目が分かれたところで重複しているものは基本的に全部残しています。ですから出題されるときにどちらの項目について問うかということで、それぞれから出てもいいということから、そこは重複をあえて残した形に今のところはしています。  網掛けのところは、冒頭の※で書いておきましたが、モデル・コアカリキュラムにの到達目標において技能、態度という形で行うという整理になっているものに関し、特にキーワードということに変換せずに、到達目標をそのままを書いていますので、ここが最終的な出題の範囲という1つのものにするときには、何らかの表現の変更が必要になると思います。現状、そういうもので色分けをして種別化を図っているということです。 ○井上座長 よろしいでしょうか。いまの事務局の方針で各大学に問いかけるということです。もしよろしければ本日の議題はこれで一通り終わりましたけれども、全体を通してご意見、あるいは今までのところで言い足りなかったことがございましたら、是非伺いたいと思います。 ○平井委員 ここで行われていた議論の内容を、正確に各大学の教員に徹底することが必要だと思います。というのは、大和田委員のお話と柴崎委員のご意見等は非常に共通点が多くて、しかも今の薬学教育の持っている問題点というのを示していると思うので、そういうことを各教員がよく自覚して、それで教育に活かすということを言っていかないと、結局、旧態依然のままでいっては、国家試験の基準だけ変えたとしても教育に全然反映されていないということが起こるかもしれない。そういうのを最も私たちが恐れることですので、是非、その辺をよろしくお願いします。 ○井上座長 そうですね。これはホームページ等にかなり細かく議事録等も載る予定と伺っていますので、熱心な先生方はご覧になると思いますが、それ以外の広報という意味では何かあるのですか。 ○事務局 速記録に近い議事録は、なるべく早く作ってアップしたいと思います。また、いま6年制の関係でさまざまな議論をいただいているフレームがあると思います。学長・学部長会議の場もそうかもしれませんので、そういった機会を通じて、こちらからも情報提供したいと思います。また今回のこういった形で検討をお願いするような際にも、いろいろな議論の経過がわかるように、できれば議事録も含めて付けてお送りするとか、そういう工夫で対処したいと思います。 ○井上座長 ほかにいかがでしょう、よろしいですか。それでは本日の検討はこれまでとしたいと思います。何か連絡事項はございますか。 ○事務局 ありがとうございました。次回ですが、なるべくいろいろな議題で議論すべきところを用意させていただき、できれば年内にもう一度ぐらいというのが当初の予定だったかと思いますので、それに向けて改めてご連絡させていただきたいと思います。 ○井上座長 ありがとうございました。 連絡先: 医薬食品局 総務課 薬剤業務指導官 長谷川(内線2710)