07/10/24 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会平成19年10月24日議事録 ○薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 添加物部会 議事次第   【日時】 平成19年10月24日(水) 13:57〜15:52   【場所】 中央合同庁舎第5号館共用第8会議室   【出席委員】(五十音順)      井部委員、北田委員、佐藤委員、棚元委員、長尾委員、      堀江委員、山内委員、山川委員、吉池委員   【事務局】國枝基準審査課長、光岡補佐、磯崎補佐、小山田専門官 磯崎補佐 定刻より若干早めではございますが、先生方おそろいでございますので、ただ いまより薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会を開催させていただきたいと思 います。  本日は、御多忙のところ、御参集いただき誠にありがとうございます。どうぞよろしく お願いいたします。  本日は、石田委員、井手委員、米谷委員、山添委員より欠席との御連絡を事前に受けて おります。現在、添加物部会の委員13名中9名の委員の先生方に御出席いただいておりま すので、本日の部会は成立いたしますことを御報告申し上げます。  それでは、座長を長尾部会長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたし ます。 ○長尾部会長 それでは、配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。 ○磯崎補佐 本日、先生方のお手元にお配りさせていただきました資料は、議事次第、委 員名簿、資料一覧を一冊にまとめにしましたものが1部。座席表。そのほか議題1の資料 といたしまして、資料1−1として「ナイシンの新規指定の可否に関する諮問書」でござ います。同じ冊子の3ぺージから資料1−2「部会報告書(案)」でございます。25ぺー ジから資料1−3「食品健康影響評価に関する審議結果(案)」になっております。一番 最後の47ぺージが資料1−4「ナイシンの味噌への使用における有用性について」でござ います。  議題2の資料といたしまして、資料2−1「水酸化マグネシウムの新規指定の可否に関 する諮問書」でございます。同じ冊子の3ぺージから資料2−2「添加物部会の報告書(案)」 でございます。15ぺージから資料2−3「食品健康影響評価に関する審議結果(案)」で ございます。  そのほかに報告事項の資料といたしまして、報告資料「食品安全委員会への意見聴取及 び食品健康影響評価の結果について」でございます。  本日お手元にお配りさせていただきました資料は以上でございます。もし不足等ござい ましたらお申し出いただければと思います。よろしいでしょうか。  では、審議に入りたいと思います。 ○長尾部会長 それでは、最初に議題1、ナイシンの新規指定の可否について審議を行い たいと思います。事務局より資料について説明をお願いいたします。 ○磯崎補佐 資料は、資料1−1から始まるものになります。  まず、背景から御説明いたします。ナイシンにつきましては、国際的に安全性が評価さ れ、かつ欧米で汎用されている添加物として、厚生労働省において資料の取りまとめ、指 定手続を進めている品目であり、本年9月26日に当部会において検討を行ったところでご ざいます。その際に幾つかの御指摘を受け、その点について継続審議となっておりました。  指摘事項といたしましては、1点目として、海外での使用実態を踏まえた使用基準の再 整理。2点目としまして、味噌への使用についての有用性の確認の2点の御指摘をいただ いておりました。今回、その取りまとめが完了しましたことから、再度御審議いただくも のでございます。なお、ナイシンの成分規格につきましては、要請者より修正をお願いし たい旨の要望の提出がございました。現在の規格は、乳培地をナイシン生産菌で発酵し製 造する方法を踏まえたものとなっておりますが、これに追加で、糖培地での製造も踏まえ た形に修正してほしいとの要望でございます。この点につきましては、食品安全委員会で の評価にも影響することが考えられるため、現在、食品安全委員会の方と調整を行ってい るところでございます。つきましては、今回の部会では成分規格の部分の審議は行わずに、 次回以降の部会で改めて御審議いただきたいと考えております。  では、資料1−2、3ぺージ目から御説明させていただきたいと思います。部会報告書 の本文と、資料1−4の味噌への使用の有効性につきましては、事前に先生方にお送りさ せていただいた事前送付版から軽微ですが若干修正させていただいております。その点を 御了承下さい。  部会報告書の前回からの修正点でございますが、まず3ぺージ目の2「構造式、分子式 及び分子量」のところで、構造式の下の説明書きの部分で「主たる抗菌性成分は」という 言葉を追加するとともに、菌の学名を修正しました。その他、ペプチドがナイシンAに相 当するということで追記しております。こちらは、本品目の内容をより正確に示すべく修 正させていただいたところでございます。  そのほか、同じぺージの下の4のところでも菌名を修正いたしております。  次に、4ぺージからでございますが、5「食品添加物としての有効性」の下の説明の部 分に、「また、ナイシンは常温及び酸性条件下(pH3で最も安定)の加熱に安定である。」 との記載を追加しております。こちらは、前回の部会におきまして、ナイシンの味噌での 有用性に関する記載の部分でナイシンの熱安定性についての御指摘をいただいたところで ございまして、確認しましたところ、ナイシンは、耐熱性があり、pHで安定との文献が ございました。また、JECFAの規格にも同様の記述がございましたので、それを踏ま えて追記させていただいたものでございます。  同じく、こちらのぺージで(1)、中ほどにございますが、以前、温度を華氏で記載し ておりましたが、摂氏についても併記するようにとの御指摘がございましたので、その点 を踏まえて修正しております。その下、(2)、(3)の修正は修辞上の訂正を行ったも のでございます。  5ぺージにおきましても、以前、華氏で温度記載をしていたものにつきまして、摂氏の 温度も併記しております。また、表3におきまして、菌の学名の記載方法が報告書の中で 統一がとれておりませんでしたので、以前は「CL」と書いていたものを、「L」を消し て「C」とする形で菌名の修正を行っております。  6ぺージにも一部修正がございますが、こちらも菌名の学名の修正でございます。  あと修正を行っておりますのは、11ぺージ、使用基準(案)でございまして、こちらは 前回の議論を踏まえまして、海外での使用実態を踏まえた使用基準(案)ということで修 正させていただいております。こちらは若干見にくいかと思いますので、 12ぺージの表 の方を御覧いただければと思います。以前、「アイスクリーム類、乳飲料、ホイップクリ ーム」としておりましたが、アイスクリーム、乳飲料に関しましては、海外での使用実態 が確認できなかったため削除いたしました。  2つ下の、以前「生菓子」と記載させていただいていた部分に関しましては、EUでセ モリナプディング、タピオカプディングとその同類品という使用基準が設定されておりま した、これを踏まえまして「穀類及びでん粉を主原料とする洋生菓子」と修正させていた だきました。  あと、その3つ下でございますが、以前は「たれ、つゆ、ドレッシング」としておりま したが、つゆにつきましては、これに相当するものの実態が確認できなかったため削除い たしました。たれにつきましては、米国でのソース等への使用に対応するものとして「ソ ース類」という記載とさせていただきました。ソース類にはどのようなものが含まれるか という点につきましては、この表の上の部分でございますが、「ソース類」として、「果 実ソースやチーズソースなどのほか、ケチャップも含む。ただし、菓子などに用いるいわ ゆるフルーツソースのようなものは含まない。」との説明を追記いたしました。米国で用 いられているソースと言われるものには、トマト等の野菜ベースのものですとか、チーズ、 ホワイトソースといった乳ベースのもの、あとバーベキューソースといったものが該当す るということでしたので、それを踏まえた形でソース類と記載しております。  先ほど御説明が抜けてしまいましたが、「穀類及びでん粉を主原料とする洋生菓子」に ついても説明を設けておりまして、こちらについては、「ライスプディングやタピオカプ ディングなどを含み、団子のような和菓子は含まない。」とさせていただいております。  下の表に戻りまして、ソース類のところですが、摂取量の積算におきまして、以前、ソ ース類を入れておりませんでしたので、今回、「たれ」を「ソース類」に修正するに当た り、ソース類からの摂取量を追記いたしました。これに合わせて、ナイシンの摂取量とA DI比の方も修正しております。  規格の方につきましては、冒頭御説明させていただきましたとおり、次回以降の部会で の御審議いただきたいと考えております。  あともう1点、味噌への使用における有用性についてでございますが、要請者からこの 点に関しての説明の提出がございましたので、資料1−4として準備いたしております。4 7ぺージをご覧下さい。まず有用性につきましては、図に示してございますような味噌の 製造工程というのは多くの開放系がありますため、さまざまな微生物の汚染を受ける状況 になっております。麹菌だけでなく、さまざまな微生物によって、最適な生育条件下に菌 が混入しますので、汚染細菌が入って大量に増殖すると、麹菌の生育不良ですとか、異常 な麹の生成、不快な香りの形成、酸敗などが生じまして、結果的に味噌の品質が劣化しま す。また、製麹工程で増殖したBacillusは高濃度の食塩存在下で芽胞を形成し、その多く は最終製品に残存することになってまいります。そこで、ナイシンを味噌の製造工程で使 用することによりまして、このような汚染細菌の制御が可能となり、品質のよい雑菌の少 ない麹生成が可能となります。これによりまして、味噌の低塩化が図れるということと、 あと一般的な食塩含量の味噌においても、Bacillus等の雑菌の少ない製品の製造が可能と なりまして、最終食塩濃度が1〜3%になりますような味噌の市販調理品への利用も可能 になるという利点がございます。  次の48ぺージをご覧下さい。2点目として、ほかの保存料との比較ということで説明 がございます。先ほど上で述べましたような有用性から、製麹工程での汚染細菌増殖抑制 を主目的としており、麹の生育に影響を及ぼさないというのが重要な条件になってまいり ます。よって、ナイシン以外の保存料は、麹の生育に影響を与えるため、成熟までの味噌 の製造工程での使用には適しません。このような点から、ナイシンは他の保存料と比べて も有用性があるとの説明になっております。  次に基準値の設定根拠でございますが、以前にも御議論いただきましたが、9ぺージに あります味噌でのナイシンの効果を検討した試験におきまして、75mg/kgのナイシンを使 用した場合、製麹後には3.7mg/kgまで分解されますが、製麹工程での細菌汚染防止効果を 有するという結果が得られておりますことから、この試験結果でのナイシンの残存量を踏 まえて、味噌で0.0050g/kgという基準値を設定しております。  ナイシンに関しての資料の説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○長尾部会長 それでは、ナイシンについて御意見をお願いいたします。 ○井部委員 使用基準のところで、先ほど御説明があったのですが、私どもがいろいろ検 査していて、食品名が一番悩むところであります。どこまでを言うのかというところです。 ソース類で御説明があったのですけれども、実は、食品表示に関わることが食品衛生法の 中に出ていまして、ソース類というのがあります。それを見ますと、ソース、ピューレ、 ケチャップ、マヨネーズ、ドレッシングまで入っているのです。ですから、「ソース類」 とすると、ここでドレッシングは別になっていますけれども、それも含むことになるかな と。ですから、これは昭和何年かに出ているのですが、それに合わせた方がよろしいのか どうかというところです。同様に、生菓子も実は規定されているのですが、その辺を確認 していただければと思います。 ○長尾部会長 何に規定されているのですか。 ○井部委員 食品衛生法の昭和54年11月8日、環食第299号です。これに食品の基準と いいますか、どこまでを言うかということが出ています。私たちはこれを参考にして検査 しているのですけれども、よろしくお願いします。例えば、サッカリンなどは「ソース」 とありますけれども、それは「ソース類」でなくて、たしか「ソース」と書いてあったと 思うのですが、それはまた別に説明があったと思います。あと、パラオキシ安息香酸も、 たしかソースでなくて、あれは果実ソースという名前で出ています。ですから、それはそ れでいいのですけれども、ソース類とするといろいろなものが入ってくるということです。 お調べ願えればと思います。  以上です。 ○磯崎補佐 その点については確認したいと思います。事前にこちらで確認したところで は、今の使用基準の中に「ソース類」という言葉を用いているものはなく、以前、ポリソ ルベートを御議論いただいた際に、「ソース類」という言葉を初めてつくったという状況 にあり、その際にも、この記述と全く同じものを実は用いております。今回、要請者から、 海外の実態を踏まえるとどういったものを想定しているのかという話を聞きました際に、 野菜ベースのもの、チーズ等の乳ベースのもの、あとバーベキューソースといったものを 想定しているということでしたので、以前ご検討いただいたポリソルベートを振り返って みますと、その際に規定していた「ソース類」の内容に合致するものでしたので、実はそ のままこちらに持ってきたというところでございます。ですから、今のところ、使用基準 中で「ソース類」との記載があるのは、今後指定されるであろうポリソルベートと本品目 ということになってくるところでございます。  生菓子の部分に関しましても、生菓子にどういったものが入るかという議論が確かにあ るところではございまして、今回のように海外の使用基準をうまく日本のものに合致する ように持ってくるにあたっては非常に悩ましいところもございます。ただ、主として海外 で認められているようなプリン類は、穀類とか、タピオカでん粉を、通常は水で戻すなど して、それに砂糖と卵を加えて、そのまま容器に入れて固めるといったものを指すようで す。EUの基準では、これらとその同類品と規定されてはいるのですが、では具体的に何 が入るのかということになりますと、EUでも特段、その同類品にどういうものが入ると いうのを規定はしていないようでございます。ただ、日本で新規にナイシンの使用を認め るにあたって、少なくとも、和菓子のようなものというのは、明らかに世界で初というこ とになる可能性が非常に高いものですから、それを踏まえまして、今回ここにある説明の ような形とさせていただきました。確かに御指摘の部分はちょっと悩ましいところではあ りましたが、海外の基準と完全に合わせるというのは食文化が違う以上、非常に難しいと ころがございまして、多少のでこぼこはあることも踏まえつつこのような内容としたとこ ろでございます。ただ、これに関しましても、より詳細にとか細かくという御指摘等がも しございましたら、もう一度そこも踏まえて検討したいとは思っておりますが、今回この ように記載とした事務局側の考え方は、今ご説明させていただいたとおりでございます。 ○長尾部会長 いかがですか。現在、つくられた案という形でよろしいですか。 ○吉池委員 多少関わることですが、ちょうど今、12ぺージの表のところですので、暴露 量側でのことを少しコメントさせていただきます。多少いろいろな物事の整理にも関わる ことかと思いますので。  そうしますと、まずここでは要請者側からの当初の資料に基づいてということだと思う のですが、平成12年の国民栄養調査の食品分類、あるいはデータに基づいてということに なっておりますが、その後、大きな変更ではありませんが、多少食品分類が変更され、新 たなデータもありますので、もう一度そこでの確認作業というのも必要かと思います。恐 らく大きく数値は変わらないだろうということは予想しております。  また、ここでその他の何とかというのが3カ所ほど出てくるのですが、結局、これらの 分類での摂取量を用いて暴露評価をすると、これは過大推計側に傾くという前提で評価を されているのですが、先ほどの使用基準(案)の食品名の分類等と合わせて、その辺もど こまで食品の範囲を定義して、暴露評価もどこまで細かくするのかということについては、 もう少し検討が必要かなというふうには思っております。 ○磯崎補佐 国民栄養調査が平成12年版となっておりますが、食品安全委員会の評価書の 案で平成12年版になっているということでそれを引用しておりますが、食品安全委員会の 方で、これを平成16年版に修正するような予定もあるように聞いておりますので、その際、 こちらの方も併せて修正したいと考えております。 ○長尾部会長 それでは、この食品に関する記載の仕方に関しては、事務局と関係の先生 とよく相談されて決めていただくということでよろしいでしょうか。ADIに関しては、 訂正して、対ADI比15.0%ですから、これがそんなに大きく変わるということもないで しょうし、どうでしょう。ほかに。この形で、細かい記載の仕方は多少変更が起こるかも しれないけれども、この使用基準でいかがでしょう。御意見をお願いします。 ○北田委員 13ぺージの耐性菌のところですけれども、ちょっと教えていただきたいので すが、味噌中にナイシン産生菌というのはごく普通におるのか。それと、天然にナイシン が含まれておるとすれば、どの程度の範囲で含まれておるのかわかればお願いしたいので すけれども。 ○磯崎補佐 味噌の中からナイシン産生菌が同定されたという研究報告はございますが、 それが本当に一般的な味噌の中で見つかったのかという点はその報告の中からはわかって おりません。あと、濃度に関しましても、その報告の中に明確に記載がなかったので、申 しわけございませんが把握できていない状況でございます。 ○長尾部会長 北田先生、よろしいでしょうか。 ○北田委員 麹の中ではプロテアーゼで分解してしまうということですけれども、それ以 降の乳酸菌、麹以降の製品の中でこういうことが起こっているのかなと。だから、それが どの程度残っていて、それが耐性菌に発展するのかとか、その辺をちょっと危惧していた ので質問させてもらいました。 ○長尾部会長 よろしいですか。 ○佐藤委員 ナイシンそのもの、添加物としてのナイシンとは関係ないのかなと思うので すが、ナイシン産生菌を食品に使用すれば、添加物は添加していない、つまり、無添加食 品の扱いになるという考え方もあるみたいですけれども、菌そのものを自由に使っていい のですか。 ○長尾部会長 ここでは、ナイシンを添加するということの審議をしていまして、菌を加 えるというのはまた別件で、どういうレギュレーションをするかというのは別にしていた だかないと、ここでは一度には審議できないと思うのです。そういうことで事務局はよろ しいでしょうか。 ○國枝課長 結構だと思います。なお、前回の添加物部会で、山内先生から御質問があり ました件にも関連しますけれども、平成17年の6月3日付で、福岡県から乳酸菌の発酵調 味料についての疑義照会というのがきております。この照会の物質はナイシンZでしたけ れども、これを含む調味料について、実際には抗菌活性を期待して売っていることについ てどうなのかということでした。これについては、次の観点で質問がなされています。第 一は、食品に対して調味料として使用されていること。第二は、食品安全委員会で添加物 指定のために評価継続中のナイシンAと類似の構造活性を持つナイシンZを含んでいるこ と。第三は、製粉化前の原料の製造工程において、ナイシンZ生成期を選定した上で、膜 処理により濃縮していること。つまり、ナイシンZ生成を濃縮するというのを前提に抽出 しているということです。第四は、当該製品を食品に使用する濃度範囲で、抗菌活性が認 められたこと。これらから、未指定添加物を含む製剤に該当すると考えるがいかがかとい う福岡市の保健福祉局生活衛生部からの質問でありまして、これについて貴見のとおりで 差し支えないという形で答えております。  したがいまして、実際それが添加されて、その食品で実際にナイシン、これはZですけ れども、これにより期待するような抗菌活性があるようなものを販売するような場合は、 食品衛生法の未指定添加物になる可能性もあります。 ○長尾部会長 それでよろしいですか。 ○吉池委員 11ぺージの脚注部分ですが、当初申請された食品の範囲と、途中から除外さ れたところの範囲がきちんと明示された方がよいかと思います。今、アイスクリーム類、 乳飲料というのが除外から加わったわけですが、その上のところの当初に申請されていた 中身については、豆腐等まででとどまっていて、結局、この「等」の中にアイスクリーム、 乳飲料が入っていると思うのですが、ここは当初申請された食品の内容については、「等」 を使わず、すべて列挙した方がいいと思います。食品安全委員会側のレポートにはそこは 書いてありますが、厚労省側のレポートには当初の申請範囲が明示されていませんので、 ここできちんと示した方がいいと思います。 ○磯崎補佐 わかりました。御指摘のとおり修正したいと思います。 ○長尾部会長 私、産生菌を使うという話で結論がよくわからなかったのですが、事務局 のお考えが。 ○國枝課長 1つは、長尾先生がおっしゃられたように、今回はナイシンAを主とするも のということなので、ここの議論とは別というふうに理解したいということが1つと、そ れからもう1つは、ナイシンAではございませんけれども、ナイシンZについて、そうい ったものを期待して違う名目で得られていたものが、実際はそういうのを期待する内容の ものが含まれていた場合には、未指定添加物で取り締まった例があるということです。 ○長尾部会長 わかりました。事務局としては、今後もそういう方針で扱うというお話で すね。ナイシンが許可されますと、こういうことが増えるかもしれないですね。 ○國枝課長 そうですね。 ○山川委員 そうすると、ナイシンAでないもの、例えば乳酸発酵食品みたいなものを混 ぜたら、それは添加物じゃなくて混ぜて、例えば成分じゃなくて、材料の1つとして混ぜ た食品がこの中でできてきたら、それは添加物としては扱わないと。そうすると、残留基 準のところで、ナイシンAじゃなかったらかからないということになってしまうのですか。 ○國枝課長 今のお話は、要するに、乳酸菌で例えばナイシンと同様な活性を持っている ものがあって、それを使って食品にしていたのが、それが反射的に例えば抗菌活性があっ て長もちするとか、そういうふうになった場合にどうなのかということですか。  これは、個別に実際売られているものがどういう形で売られているかとか、あと、実際 に期待される菌の量が実際の抗菌活性との関係でどうなのかとか、そういった形の部分で 総合的に判断されると思いますので、今ここで、たまたま通常の乳酸菌を使っていたそう いうのを持っていたものと、それから、意図的に抗菌活性のあるものを非常に高めて、実 際にはそれが目的で売られているものとは違うと思いますので、それは個々に判断される と思います。ここで網羅的に回答するというのはちょっと難しいのかなと思っているので すけれども。 ○山川委員 わかりました。 ○棚元委員 有効性のことでちょっと確認したいのですが、最後の資料1−4で説明があ って、納得はしかけたのですが、要するに麹菌を入れたときに、ほかの菌を増殖するため にこれは使いますということですね。そうしますと、この製造工程はよくわからないので すが、麹菌の作用はどのぐらいの期間必要なんですか。というのは、48時間でほとんど活 性がなくなるんですよね。その間、要するに麹菌が増殖に必要なその時間の間は効果を発 揮しないといけない。それからもう1つは、ここに書いてありますが、麹菌を入れる前と いうのは、熱をかけていますからほとんど無菌状態であるというふうに書いてありますね。 その時点で麹菌を放り込んで、48時間の間にその作用が、抗菌活性が製造工程に必要なの かどうかということ。それが第1点。  それからもう1つは、最後のところで、ここで生じた菌が後々、味噌の品質の劣化につ ながりますとか、最終製品に残存してどうのこうのと書いてあるのですが、ナイシンは添 加した後なくなりますから、その後の汚染に対しては効果がないわけですね。そうすると、 この品質が最終的な品質の保証にはならない。その2点をお願いします。 ○磯崎補佐 まず1点目の麹菌がどこまで必要かという話でございますが、必要なのは、4 7ぺージの図にございますけれども、熟成の期間、製麹工程のところももちろんでござい ますが、仕込んで熟成している間も麹菌というのは必要ということになってまいるかと思 います。また、製麹の工程で開放系に一時期なることがありますので、そのときにいろい ろな雑菌が入りますと、麹菌に対してよくない影響を及ぼして生育不良が起きたりするよ うでございます。 ○國枝課長 どれぐらいの時間かというのを。 ○磯崎補佐 どれぐらいの時間かというのは、成熟の期間がどれぐらいかを確認しており ませんので今ここではすみませんがお答えできません。 ○棚元委員 製造工程で雑菌が、どこかから落下細菌なりが入ってくると思うのですが、 それは数は極めて少ないはずです。意図的にほかの菌を加えて大量に菌が入った場合は濃 厚汚染が起こるのですが、その汚染というのは製造工程でそんなに大量にくるとは思えな い。その初期の段階で、無菌状態にあるところに、そういったものは汚染が若干起こった としても、麹菌は大量に加えるわけですよね。そういう中で、汚染菌がそれほど大きな影 響があるのか。それから、48時間の効力しかないものをそこで加えて、そこのわずかな雑 菌を抑えることがどれだけの意味があるのか。そこのところの有効性と汚染との兼ね合い という問題です。 ○磯崎補佐 その点に関しましては、手元に情報なく今ここでお答えできませんので、そ の点は確認させていただくということでよろしいでしょうか。 ○井部委員 それに関連してですけれども、私、味噌をつくったことがあるので、麹をつ くるときは、カビである麹菌がワッと増えます。それで、その酵素を使うわけで、熟成中 はその酵素を利用します、初めの部分ですね。ですから、生育するカビを利用しているわ けではないのです。そこで乳酸菌などが増えて酸を出す。それから今度は酵母がエタノー ルを出すとか、いろいろな菌が関与するわけですから、麹をつくるときに雑菌は確かにい るのです。無菌の麹は使っていないと思います。 ○棚元委員 麹菌自体にも。 ○井部委員 いるのです。もう汚染されているのです。他の原料を入れるときも汚染され ますけれども、それら雑菌を抑えるのにこれを使うと思うのですが。普通味噌は、無菌に しないとだめになった味噌というのはないです。きちんとつくっていれば、すぐ劣化する 味噌というのはないと思うのです。よくカビが生えるとか言いますが、酵母が生えるとい うことはあるのですけれども、Bacillusなどは多分そんなに耐塩性はないと思うので製造 に影響がない。あるとすれば多分、低塩化と書いてありますので、低塩化の味噌について はこの効果は期待できるのかなとちょっと思ってはいますが。 ○棚元委員 そうすると、この記載はいずれにしてもおかしいですね。要するに、この直 後に微生物に汚染されますと書いてあるのですが、本質的には麹菌の中の汚染菌を抑える というふうに記載しないといけないということですか。 ○井部委員 では、どこからそれはきているかというのは厳密には言えないのですけれど も。 ○棚元委員 外部から何か汚染が入ったと。要するに、製造工程で無菌操作じゃないです から、そういった汚染が入るということを防御するというニュアンスでここに書いてある んですよね。 ○井部委員 それはあることで、多分どこの会社も麹をはやすときは無菌でやっていませ んから、いろいろな菌が入ってくるし、もともと麹といって売られている菌に雑菌がいる だろうと思いますので、そういうことかなと思います。 ○棚元委員 ちょっとそこを確認していただいて、この記載を変えていただく必要はある かもしれないですね。  それからもう1つ、いずれにしても、最終製品にはナイシンは効果はなくなりますから、 最終製品には雑菌は当然入ってくるわけで、しかも、これは菌の増殖に非常にいい条件で あるということを明記してあるので、菌はどんどん生えてくる。そうすると、最終製品で 臭いがどうのこうの、酸敗がどうのこうのと書いてある、こういったところは記載を修正 しないといけないと思います。 ○北田委員 今の話ですけれども、9ぺージの方では、恐らくBacillusの芽胞を接種して、 発芽した後のその菌数を調べていると思うのですけれども、それからいくと、47ぺージの 方は、当然蒸煮しますので無菌状態になる。その無菌状態になったところに細菌として入 ってくる。この辺が9ぺージの試験データのあらわし方と47ぺージはちょっと違うのかな と。だから、9ぺージの方は、無菌前にすでにBacillus属に汚染されたような、いわばB acillusが芽胞状態になったことを想定して、蒸煮後の発芽してくるBacillusに対してど の程度抗菌性があるかということを見ているのかなと。それで、47ぺージの記載とちょっ と違うような気がするのですけれども。 ○磯崎補佐 その点はまた整理しまして、有用性のペーパーの記述を再度検討してみたい と思います。 ○長尾部会長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。  そうしますと、「味噌への使用における有用性について」のところはちょっと記載が変 わるかもしれないということですね。それから、使用基準に関しても記載の仕方が変わる かもしれないということで、事務局、これはどうしますか。 ○磯崎補佐 規格の部分は、いずれにしろもう一度御審議いただかなければいけないとい うことになりますので、それまでの間に御意見をいただいた先生方とも調整をして、修正 案を検討しまして、今後規格の検討をする際に最終的に御確認いただくという形にさせて いただければと思います。 ○長尾部会長 そういうことでよろしいですね。では、そういうことで、ナイシンについ てはもう一度審議するということになります。  それでは、次の議題に移らせていただきたいと思います。事務局から御説明をお願いい たします。 ○磯崎補佐 では、水酸化マグネシウムにつきまして、資料2−1に沿って御説明させて いただきます。 まず、本品目の背景から御説明いたします。水酸化マグネシウムにつきましては、平成 14年7月に食品衛生分科会で了承されました国際的に安全性が確認され、かつ欧米で汎用 されている添加物の取り扱いに従い、厚生労働省において資料を取りまとめ、食品安全委 員会へ平成18年3月9日に食品健康影響評価の依頼を行いました。食品安全委員会では、 平成19年6月22日から平成19年8月27日までの間に、計3回にわたり添加物専門調査 会で審議が行われ、その審議を踏まえた報告書(案)が取りまとめられたところでござい ます。  資料につきましては、事前にお送りした資料から、成分規格の定量法の部分につきまし て若干修正を加えさせていただいております。その点はまた後ほど御説明させていただき たいと思います。  では、資料2−2、3ぺージをご覧下さい。本品目の用途は、栄養強化剤、pH調整剤、 色調安定剤等になってまいります。  概要及び諸外国での使用状況でございますが、米国では、本品目はGRAS物質として、 適正使用規範のもと、栄養補助の目的、pH調整剤及び加工助剤としての使用が認められ ております。EUにおきましては、一般食品に必要量の使用が認められておりますととも に、乳幼児用食品の栄養成分としての使用、そして、フードサプリメントに関する欧州連 合指令においても、ミネラルの供給物質として挙げられております。  我が国におきましては、マグネシウム塩の食品添加物といたしまして、こちらに挙げま したような7品目がすでに指定されており、広く食品への使用が認められているところで ございます。  4ぺージの食品添加物としての有効性の部分を御覧ください。水酸化マグネシウムの構 成成分でありますマグネシウムは、骨や歯の形成に必要とされており、体内酵素の働きや エネルギーの産生を助けるなどといった効果を持つ栄養素とされております。平成16年の 国民健康栄養調査におきまして、マグネシウムの摂取量は、国民全体での不足傾向は示さ れていないものの、15歳から49歳といった一部の年齢層において、推定平均必要量を満 たしていないということが確認されておりますことから、栄養強化用途の添加物としての 有用性が認められると考えております。  また、米国におきましては、栄養補助の目的のほかに、pH調整剤及び加工助剤として 用いられておりますことから、我が国においても同様の用途があると推察されるところで ございます。  5ぺージ、食品安全委員会における評価結果案についてでございますが、水酸化マグネ シウムが添加物として適切に使用される場合、安全性に懸念がないと考えられ、ADIを 特定する必要はないと評価した。ただし、小児においてマグネシウムに対する感受性が高 いこと、乳幼児〜小児において食事由来の摂取量が推奨量を上回る可能性が示唆されてい ることから、栄養強化の目的でマグネシウム塩類を添加した場合には、乳幼児〜小児がマ グネシウムを過剰に摂取することがないよう、注意喚起の表示を行う等、適切な措置が講 じられるべきである。なお、JECFAでは、腎機能低下を有するヒトでは有害影響を起 こす可能性が示唆されているが、そのような方々は医学的に適切に指導管理されるべきグ ループであり、今回の添加物としての評価においては注意喚起について言及しないことと した、というふうに評価結果が出されております。  6ぺージの7.一日摂取量の推計等でございますが、こちらも食品安全委員会の評価結 果案における記載でございます。  7ぺージの(1)日本における評価については、平成16年、国民健康栄養調査結果の 概要によりますと、食品から摂取されるマグネシウムの一日摂取量は250mgである。1〜 6歳の乳幼児における食事由来の平均摂取量は158mg、7〜10歳では246mgとなっており まして、各性・年齢に対する推奨量を大きく上回るという結果となっております。一方、 食品添加物の食品向け生産量をもとに算出される一日摂取量につきましては、マグネシウ ムとして6.47mgというふうに推察されておりまして、添加物由来で摂取するマグネシウム は、全マグネシウム摂取量の約2.6%程度と考えられるとされております。また、「日本 人の食品摂取基準(2005年版)」において、通常の食事から摂取する場合のマグネシウム摂 取の上限量は設定はされておりませんが、通常の食品以外から摂取する場合の上限量とし て、成人に対して350mg/日、小児(8歳以上)対して5mg/kg体重/日と設定されております。  米国における評価につきましては、CRNにおける評価では、健康な成人に対してサプ リメントとしての摂取上限として400mg/日とされております。IOMにおける評価では、 青年及び成人の摂取上限量を350mg/日とされておりまして、この値をもとに、1〜8歳、 妊娠時、授乳時のヒトに対しても摂取の上限が設定されております。  EUにおける評価につきましては、英国において、サプリメントからの摂取量について、 ガイドラインレベルを400mg/日というふうに設定されてございます。  8ぺージからの新規指定についてでございますが、使用基準案につきましては、食品安 全委員会における評価結果、米国においてGMPのもとで使用することとされ、特段の使 用基準が設定されていないこと、また、EUおいて必要量を使用することができるとされ ており、特段の使用基準が設定されていないことから、使用基準は設定しないこととする のが適当である。ただし、その添加は食品中で目的とする効果を得る上で、必要とされる 量を超えないものとすることが前提であること、また、栄養強化を目的とする場合には、 乳幼児〜小児がマグネシウムを過剰に摂取することがないよう、「栄養機能食品の表示に 関する基準」に基づいて適切に表示を行うよう、関係業界等に周知することとさせていた だいております。  栄養機能食品の表示に関する基準のマグネシウムに該当する部分を参考として抜粋し て記載しております。使用基準案のただし書きの後半部分は、食品安全委員会における評 価におきまして、栄養強化の目的で添加した場合の乳幼児〜小児への注意喚起等について の評価結果が出ておりますので、それを踏まえた対応として、こちらを挙げさせていただ いております。  成分規格案につきましては、別紙1のとおり設定することが適当であるということで、 9ぺージからが規格案でございます。こちらは、JECFA、FCC、EU規格、局外規 を参考に設定をいたしております。  含量につきましては、すべての規格と同じく95.0%以上としております。  確認試験の(1)のアルカリ性の確認については、JECFA、EU規格で設定されて おりますので、そちらに基づき設しております。  (2)のマグネシウム塩の反応につきましては、すべての規格で採用されていることか ら、こちらも同様に設定しております。  純度試験の(1)遊離アルカリ及び可溶性塩につきましては、EU以外の規格では採用 されております。ここではJECFAとFCCに準拠した形で設定しております。  (2)の鉛につきましては、JECFA、FCCの規格値を採用しております。  (3)の酸化カルシウムにつきましては、JECFA、EU規格の値を採用しておりま して、試験法につきましては、より簡便な局外規に規定されておりますキレート滴定法を こちらでは採用しております。  (4)のヒ素に関しましては、JECFA、FCCでは規定はございませんが、EUと 局外規に規定があるため、こちらに採用しております。  定量法につきましては、事前に送付させていただいた資料から算定のための式の部分を 修正しております。また、値の算出の際に純度試験の(3)にあります酸化カルシウムの 結果が関係してまいりますことから、定量法としても同様にキレート滴定を採用しており ます。  水酸化マグネシウムに関する説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○長尾部会長 それでは、審議に入りたいと思います。御意見をお願いいたします。 ○吉池委員 4ぺージの食品添加物の有効性ということについての表現の話と、もう1つ は、食品行政の中での栄養機能食品としてマグネシウムというのが必要であるということ はすでに議論をされ、制度的にもあるわけですので、その辺についてもやはり触れておか ないと、要は、ここでの数字の多い少ないだけで何かこれが必要だとか有効であるという ようなことが論じられているような印象を受けますので、きちんと厚生労働省の中での今 までの整理について、栄養強化目的でのマグネシウムの位置づけをきちんと書いた方がよ ろしいかと思います。  もう1つは、ここでの数値の整理でありますが、まず表1について、細かいことはまた 直接事務局にお伝えをしますけれども、平均値だけではなくて、摂取量の分布を見ながら 判断をするのがよい。安全委員会側ではそこまでは求められないかもしれませんが、リス ク管理側、あるいは有用性ということを示すためには、そこまでの細かい表になりますが 入れておいていただいた方がいいかと思います。正式な報告書の中にも性・年齢階級別の パーセンテージの分布がありますので、それを入れていただきたいと思います。  論の展開ですが、また細かいことは事務局にお伝えしますが、表1で摂取実態があり、 その次に表2として食事摂取基準でこういう基準があるとした上で、両者の多い少ないの 議論を展開すべきだと思います。それで、ここでの記載ぶりですが、国民平均の平均値で 多い少ないというのはほとんど意味がないことですので、あくまでも性・年齢階級別にど うだということを簡潔に整理すべきかなと。そうすると、食品安全委員会の方の記載には あるのですが、小さい方から言うと、1〜14歳までは、本来は分布を考慮すればいいので すが、平均値で見たとしても、それが推定平均必要量、あるいは推奨量を大きく上回って いるから不足は心配ないだろうと、まずそういうことが重要なこととしてあります。それ に対して15歳以降につきましては、少なくとも平均摂取量について推定平均必要量よりも 多くの年齢階級では低く、全年齢階層で推奨量よりも低いというような事実がありますの で、それをもって新しい基準でもっても、15歳以降についてはマグネシウム摂取が不足さ れる年齢階層がいるという懸念があるといったような、そういう形で再整理をお願いした いと思います。  以上です。 ○長尾部会長 繰り返しになるかもしれませんが、そうしますと、先生のおっしゃるのは、 これを拝見するとちょっとわかりにくいんですね。それで、8ぺージの(参考)で平成13 年の厚生労働省の表が出てきますね。ですから、現在は2005年で、食事以外から成人に対 して350mgというのが、7ぺージに食品安全委員会の評価が。 ○吉池委員 議論が2つありまして、上限値的なところの整理と、あと有用性の整理があ ると思います。後段のところの350mgというのは、あくまでも上限値的なところでの整理 で、後ろに出てきているというふうに思っています。今、私が指摘をさせていただいたの は、なぜマグネシウムが強化目的で議論をされなければいけないのかという、そもそもの 必要性の部分ですので、それは上限値とは別のところで栄養機能食品として必要があると いうことはすでに議論済みなので、この最初のところにもその辺を触れた方がいいのでは ないかという意味合いです。 ○長尾部会長 それで、この上限値というのは平成13年のときの上限値で、今は上限値は 特にないですよね。ただ、食事外からはこのぐらいにした方がいいという値が350mgとい う値で、これは全然違う値ですよね。 ○吉池委員 恐らく、この議論を始めると、栄養機能食品制度そのものを定期的に見直す かという議論になってしまって、食事摂取基準というのは、5年ごとにその都度のエビデ ンスに基づいて整理をするということで、必要があれば栄養機能食品の制度の中で、規格 基準の中での上限量が議論されるべきであって、それを食品安全委員会でも、これもまた 多少の論点になるのですが、もう一度何か出ると食品安全委員会でやるのか、こちら側の リスク管理でやるのか、あるいは栄養機能食品側でやるのかといったときには、やはり現 実は栄養機能食品の議論の中でそこはやるのかなというのが私の認識です。ただ、座長が おっしゃるように、その辺の整理がわかるようには表現をしておいた方がいいかと思いま す。あくまでも食事摂取基準は、その時点での化学的知見に基づいての提示であって、そ れイコールが制度の枠というか、そういうものではないと。 ○長尾部会長 平成13年の栄養機能食品としての上限値というときは、摂取されている方 の中での上限の値であって、これ以上摂るとよくありませんよというアッパーリミットで はないんですね。意味がちょっと。「上限値」という同じ言葉が。 ○吉池委員 私が説明するよりは、行政サイドからその辺の整理をしていただければと思 います。 ○長尾部会長 日本語の意味がちょっと。私が正確に理解していないのかもしれないので すが、2005年版ですと、食事外からのアッパーリミット(上限量)は、350mg/日にしたら よろしいだろうというふうになっているわけですよね、厚生省からのは。7ぺージの(2) の最後のところ。 ○磯崎補佐 栄養機能食品に関する基準の上限量というのは、栄養機能食品からの一日摂 取の目安量として設定されているものになっておりまして、こちらの栄養摂取基準の上限 の350mgというのとはまたちょっと意味合いが違うものになっております。 ○長尾部会長 同じ「上限」といっても、「上限」の意味が違うんですね。ちょっと脚注に でも説明していただかないと、これはわからないですね。 ○吉池委員 極めてわかりにくい話だと思います。食事摂取基準は、あくまでレファレン スとして、そのときどきの化学的知見に基づいて、専門家はそれを参照してもいいですよ という意味で、何らか制度的な拘束力があるものではありません。ですから、それらを参 照して、例えば栄養機能食品の上限値といったものが必要があれば改定されるし、それが 今は問題ないという判断でそのまま300mgということになっているということなので、制 度的には栄養機能食品での上限値300mgというのはそのまま生きているということだと思 います。 ○長尾部会長 生きているわけですね。 ○磯崎補佐 栄養機能食品の表示に関する基準というのは、例えばマグネシウムが強化さ れていますとか、骨・歯の形成に必要な栄養素ですとか、そういうことを表示した食品を 販売する際に、75〜300gの間入っているものであれば、マグネシウムが強化されていると いうことで、そのような表示をしても構わないとしている基準でございます。栄養機能食 品の場合は、個別に国が認可するものではありませんで、この基準に沿っていればこうい う表示をしても構いませんという形の規制といいますか、制度でありますので、そういっ た意味で、栄養機能食品の表示に関する基準の上限量と先ほどの摂取基準の上限とはちょ っと違ってくるというところであります。 ○長尾部会長 わかりました。ほかにはよろしいでしょうか。 ○堀江委員 成分規格の方ですけれども、9ぺージの純度試験のところで「水浴中で5分 間加熱」という表現ですが、ほかのところでは「蒸発乾固」とか「加温して溶かす」とか、 「5分間沸騰させる」ということで、非常に操作的にわかると思うのですが、水浴中とい うのは温度の幅が非常にあると思うのです。ですから、この温度の幅が、通常、検査でや る場合には、「沸騰水中で5分間加熱」とか、あるいは「何十℃ぐらいで加熱」とかとい う表現にした方がよろしいのかなと思います。 ○磯崎補佐 その点はまた佐藤先生ともご相談させていただいて整備したいと思います。 ○長尾部会長 3ぺージの脚注に、1というのがあるのですが、本文の方にこれが入って いますか。どこに3ぺージの1がつくのでしょうか。ありました。必要量ですね。どうも 済みません。失礼しました。  ほかにはよろしいでしょうか。 ○佐藤委員 先ほどの堀江先生の御質問ですが、通常「加熱」とは、溶媒の沸点まで加熱 するというか、通則の方にそのような温度規定があったと思うんです。それで、水浴中で すと水なので、水の沸点まで加熱するというつもりで一応こちらは書いているのですけれ ども、確かにわかりにくいということでもう一回検討します。 ○長尾部会長 ほかにはよろしいでしょうか。  それでは、これは修文の問題があるのですが、これは吉池先生と御相談の上、どうしま しょう。 ○佐藤委員 ちょっと訂正させてください。添加物の通則の14番のところに「水浴中で加 熱するとは、別に規定するもののほか、沸騰している水浴中で加熱することを意味する」 と通則に決まっています。済みません。ただ、通則自体ちょっとわかりにくいかなとは思 うので、また検討したいと思います。 ○長尾部会長 それは修文が必要なんですか。 ○棚元委員 公定書的にはこれは今の文章で正しいということになります。ただ、一般に わかりにくいということになると問題ですが、これは通則ですから、この記載を変えると なると、通則の改正というところからやっていかないといけないかなという気がします。 ○長尾部会長 では、ここではこのままで。  それから、その前に私から1つ。ヒ素に関して、これはEUのヒ素として3mg/Kgで、 そうすると、これはAs2O3として4μg/gで。いろいろな数字が出ているので、局外規では 5ppm以下というのがあって、どういう計算をするとこれがどういう値になっているのか なと思ったものですから。 ○佐藤委員 ざっくり言いますと、ヒ素として3mg/kgというのが三酸化ヒ素として4μg /gに相当するということになっています。酸素の分が重くなるので。ただ、局外規は5pp mですが、通常、ほかの添加物の規格ですべて4μg/gの基準というのを大体持っているの で、ほかの添加物に合わせて4μg/gの方にいたしました。 ○長尾部会長 わかりました。 ○磯崎補佐 それでは、例の先ほど吉池先生に御指摘いただきました有効性の部分につき まして、先生と御相談させていただいて事務局の方で修正をいたしまして、ほかの各委員 の先生方に御確認いただいた上で、分科会へ報告するという手続をとらせていただければ と思いますが、いかがでしょうか。 ○長尾部会長 いかがでしょう。 ○吉池委員 もう1点ございまして、食品安全委員会の方での議論として、通しぺージで 32ぺージですが、今回、厚労省側の報告書案では、幼小児の過剰摂取については報告書で 触れているのですが、もう1点、そこで「なお、JECFAでは、腎機能低下を有するヒ トでは」ということで、そういう人に関しては過剰摂取にならないような注意が必要であ るということが安全委員会でも議論になりました。ただし、安全委員会としては、そこま での管理をする立場ではないので、こういうことがあるということについての議論があっ て、それはリスク管理側に委ねられるべきであろうと。要は、ここでの記載は、そういう 腎機能不全があるような人というのは、医学的な主治医がいて管理を受けているので、き っとそちらの方からいろいろな注意喚起を受けるだろうと。まさにこれは医療で厚生労働 省の世界ですので、食品安全委員会ではここまでになっております。そうしたときに、こ れを受けとめて、厚生労働省側のリスク管理において腎機能の低下がある人についてどう するかということについても、恐らくここで議論をしなければいけないことかと思います。 ○堀江委員 食品添加物でマグネシウム関係はほかにもいろいろあると思うのですが、そ の辺は、このような表現というのは今のところなさっていないわけですよね。そうします と、その辺の整合性というのもあるのかなという感じがいたしますけれども。 ○長尾部会長 事務局、いかがでしょうか。 ○磯崎補佐 今、先生がおっしゃられましたように、確かにマグネシウム関係に関しまし ては、この報告書にもありますように、すでに7品目認められているところでございます。 これらを栄養機能食品に使うということであれば、まさに8ぺージにあるような注意喚起 の記載ということを求めておりますけれども、今現在のところ、腎疾患の患者さんに関す るところまでは、記載は求めていないところではございます。ただ、その上で、もし更に 何か記載するということになりますと、恐らく「栄養機能食品の表示に関する基準」の方 も改定するという話になってくるかと思いますので、添加物だけの話で処理できる問題で はないと思われます。 ○吉池委員 先ほど申しましたように、食品安全委員会のマターではないと。ただし、食 品安全委員会の議論の中でこういうことがJECFAで言われているということは認識を して次に送るということで、安全委員会側はこう記載をしております。私自身も、個々の 添加物の剤としてこれらを論ずる話ではなく、栄養機能食品全体の枠としての議論で、こ こで余り細かい議論をする話ではないとは思うのですが、安全委員会からこちらの方に一 旦受け取ったものですので、こちらの方から栄養機能食品の議論をする側に、こういうこ とも今認識されているという何らかの次へのつながりを持っていただいた方がいいだろう というふうには思っております。 ○長尾部会長 事務局、お願いします。 ○磯崎補佐 今、先生がおっしゃられましたように、こちらの表示に関する基準を考える ところからやらなければいけない話かと思いますので、これに関する規制を担当している 部局に、食品安全委員会からの指摘といいますか、向こうでも検討があったということを 伝えおく形にさせていただくことではいかがでしょうか。その上で、そちらの話が片がつ かなければならないということであれば、本品目の指定の検討も進められないということ になってくるかと思いますが、ただ、今現在のところ、すでに使われている別の添加物が あるという状況でございますので、栄養機能食品に関する検討の方で、今後議論がおこな われる際に本件についても検討の中に入れるべきではないかという形で伝えおく形にいた しまして、本品目につきましては、他の添加物と同じ扱いの中で、この件以外で特に問題 になる点がなく、もし先生方の御了解をいただけるようであれば、このまま指定の検討を 前に進める形とさせていただいてはと思いますが。 ○長尾部会長 そういうことでよろしいと思います。では、よろしくお願いいたします。  ほかにはよろしいでしょうか。  それでは、吉池先生と御相談の上、修文したものを皆さんに回していただくということ で、これは書き方だけの問題ですので、新規指定については可とするということでよろし いでしょうか。  では、そうさせていただきます。  先ほど御説明いただいた今後のスケジュールをお願いします。 ○磯崎補佐 先ほどの有効性の部分に関しましては、吉池先生の方と調整させていただき 内容の修正を行った上で各先生方にお送りいたしまして、先生方から御了解をいただけま したら、食品衛生分科会での審議のほか、パブリックコメント、WTO通報等の所定の事 務手続を開始したいと思っております。 ○長尾部会長 それでは、審議事項は以上でしょうか。 ○磯崎補佐 審議事項は以上でございます。 ○長尾部会長 それでは、次に報告事項をお願いいたします。 ○磯崎補佐 報告事項は、本日お手元にお配りいたしました「食品安全委員会への意見聴 取及び食品健康影響評価の結果について」という一覧表でございます。前回9月の部会で お配りした以降の追加修正点に関しまして御説明いたします。  まず1ぺージ目でございますが、本日御審議いただきましたナイシンにつきまして、添 加物部会での議論の日にちを修正しております。  あと、3ぺージでございますが、水酸化マグネシウムにつきましても本日御議論いただ いたということで、添加物部会での審議の日にちを追加いたしております。  そのほかについては、特段の修正はございません。 ○長尾部会長 何か御意見とか御質問はよろしいでしょうか。報告事項は以上ですか。 ○磯崎補佐 はい。 ○長尾部会長 では、次回の予定をお願いします。 ○磯崎補佐 添加物部会につきましては、第4水曜日の午後を定例開催とさせていただい ておりますので、次の添加物部会は11月28日、水曜日での開催を予定しております。開 催場所、議題につきましては、また改めて御連絡させていただきたいと思います。 ○長尾部会長 それでは、どうもありがとうございました。本日の審議はこれで終わらせ ていただきます。 照会先:医薬食品部食品安全部基準審査課     (03−5253−1111 内線2453) 1