07/10/22 診療報酬調査専門組織平成19年度DPC評価分科会 第6回議事録 平成19年度第6回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会議事録 (1)日時  平成19年10月22日(月)15:00〜17:06 (2)場所  三田共用会議所 講堂 (3)出席者 委員:西岡清分科会長、原正道分科会長代理、池上直己委員、        木下勝之委員、熊本一朗委員、小山信彌委員、齋藤壽一委員、        酒巻哲夫委員、佐藤博委員、嶋森好子委員、武澤純委員、        松田晋哉委員、山口俊晴委員、山口直人委員、吉田英機委員        オブザーバー:邉見公雄        事務局:原医療課長、宇都宮企画官、他 (4)議題  1.DPC対象病院のあり方について        2.その他 (5)議事内容 ○西岡分科会長  ただいまから、平成19年度第6回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会を開催さ せていただきます。  本日の委員の出欠状況でございますが、難波委員及び伊藤委員より御欠席との連絡を いただいております。  また、まだ数名お着きになっていらっしゃらない委員の方がおられますが、間もなく おいでになるものと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、まず、資料の確認を事務局からお願いいたします。 ○中田補佐  資料の確認をさせていただきます。1枚目に議事次第、2枚目に委員名簿がございま す。続きまして、資料D−1「平成19年度DPC評価分科会に付託された事項につい て」、資料D−2「DPC対象病院に関する考え方の経緯について」、資料D−3−1 「DPC対象病院の在り方に係る検討の論点」、資料D−3−2「患者の病態に応じた 医療の内容」、資料D−3−3「DPCの基準及び評価の在り方に関する考え方につい て」、資料D−4−1「望ましい要件別の手術・化学療法・放射線治療の割合につい て」、資料D−4−2「病床規模別望ましい要件数」、資料D−5−1「DPC「望ま しい要件」の算定について」、資料D−5−2「DPC対象病院・準備病院における病 床規模について」、以上でございます。 ○西岡分科会長  資料については、よろしいでしょうか。  それでは、議事に移りたいと思います。  まず、事務局から、資料D−1−と資料D−2についての御説明をお願いいたします。 ○中田補佐  それでは、資料D−1と資料D−2を続けて説明させていただきたいと思います。  まず、資料D−1「平成19年度DPC評価分科会に付託された事項について」でござ いますが、こちらは前回の分科会でも提出させていただいた資料でございます。  第1の適切な算定ルールの構築につきましては、前回いろいろ御検討いただいたかと 思います。  第2の対象病院のあり方についてですが、「DPCにおいては、準備病院を含め、約 1,400病院、45万床に達しており、将来のDPCのあり方を踏まえて、DPCの適用が ふさわしい範囲について検討するとともに、平成20年度改定時におけるDPC対象病院 の具体的な要件を検討する必要がある」とございますが、本日はここが主な議題となっ ている次第でございます。  第3の調整係数の廃止等につきましては、次回以降の検討事項になるかと思います。  続きまして、資料D−2「DPC対象病院に関する考え方の経緯について」でござい ます。こちらは、平成15年度、16年度、18年度にDPCの対象病院が拡大してきたとい う流れがございましたので、事務局にてその時々における考え方の経緯についてまとめ させていただいたものでございます。  1としまして、平成15年度におけるDPC対象医療機関でございますが、大学病院、 国立がんセンター、国立循環器病センターなどの合計82医療機関をスタートとして導入 されております。  2としまして、平成16年度の改定時につきましては、平成16年中医協総会用が別紙 としてございますが、その内容を事務局でまとめさせていただいております。1つ目の ○のDPC試行的適用の対象医療機関の考え方といたしまして、(1)〜(3)の考え 方に基づき検討されてきております。  (1)につきましては、当時の調査協力医療機関のうち、一定の基準を満たすという ことで、その一定の基準というものについてはDPCに対して協力する意思のある医療 機関、データ/病床比が概ね3.5以上、データの質が確保されていることでございます。  (2)につきましては、そのデータの質について求められるものといたしまして、(1) 臨床病名とICD10の傷病名との照合、コーディングの正確さ、(2)包括評価の見直しに 必要な診療行為詳細情報(E・Fファイル)の提出などがございました。  (3)につきましては、データ/病床比の考え方でございまして、データ病床比は、 ある一定期間に退院した患者から得られる1病床当たりのデータ数の事ですが、例えば、 400床の病院において、7月から10月の4カ月間に収集されたデータのうち、分析可能 なデータ数が1,830件であった場合につきましては、この式にございますとおり、1,830 ÷400≒4.6がデータ/病床比の計算例ということです。  この平成16年度の検討を踏まえまして、DPC対象医療機関としては合計144医療機 関になっているということでございます。  2ページでございますが、3としまして平成18年度の改定時のものとなります。  DPC対象病院の基準として、DPC対象病院となる希望のある病院であって、下記 の基準を満たす病院であるということで、平成20年度までの経過措置がございますが、 看護配置基準が10対1以上であること、診療録管理体制加算を算定している、または同 等の診療録体制を有すること、標準レセ電算マスターに対応したデータの提出を含め 「7月から12月までの退院患者に係る調査」に適切に参加できることの3つの基準がご ざいました。  これに加えまして、5つの望ましい基準が定められているところでございます。  この18年度の改定を経まして、DPC対象医療機関といたしまして、合計360医療機 関がDPC対象となっているということでございます。  以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。この資料D−1、資料D−2につきまして、御質問やコメ ントはございますでしょうか。 ○齋藤委員  言葉の使い方ですが、「データ/病床比」というのは、「データ/病床」の比という 意味ですか。「病床比」で割るという意味ではないんですよね。分母が「病床比」のよ うに見えるけれども。 ○中田補佐  失礼いたしました。分母は「病床」でございます。 ○齋藤委員  「病床」ですね。ですから、「データ/病床」比と、そう読めばいいわけですね。 ○中田補佐  はい、そういうことでございます。 ○西岡分科会長  この「病床」というのは、「総病床数」と理解するのですか、「一般病床数」という ふうに理解するのでしょうか。 ○中田補佐  ここでのデータ/病床比の計算方法としましては、分母の「病床」は総病床数という ことで計算されております。 ○西岡分科会長  ということでございます。最初の「データ/病床」の比率に関しては、この分科会で は討議したことはなく、初めて出てきた事例でございますが、どうぞ御議論お願いしま す。これは今までの決まったことでございます。よろしいでしょうか。  それでは、続きまして、資料D−3以降の資料について御説明をお願いいたします。 ○中田補佐  資料D−3−1「DPC対象病院の在り方に係る検討の論点」でございます。こちら は、資料D−3−2の図表を横に置きながら見ていただければと思います。  まず、論点の1つ目といたしまして、急性期入院医療の概念としてどのように考えた らよいかということがございます。例えば、急性期とは患者の病態が不安定な状態から、 治療によりある程度安定した状態(治癒・軽快・緩解を含む)までかと思われますが、 そこに至るまでを指すこととしてはどうか。  2つ目といたしまして、DPCの対象としてふさわしい範囲をどのように考えたらよ いかについてです。  こちらの説明に入る前に、医療機関がDPCを導入することの考え得る目的について 述べさせていただきます。1つ目は、科学的・標準的な診療が促進されること。2つ目 は1つ目と関連して、そういったことを踏まえまして、診断群分類等で分類された疾病 情報など診療情報を多くの医療機関から集めるような手段となること。3つ目といたし まして、包括支払制度による検査・薬剤の使用方法等が適正化されること。こういった 大きな3つの目的があるかと思います。  こういった大きな3つの目的を得るためには、今回の検討事項でございますDPC対 象病院を限定するといった方向性とはならない思われますが、DPC対象病院を拡大す るに当たり、例えば対象病院で余りに診療内容がばらついているようなものでは、現在 の包括支払制度がうまく機能しない可能性があるのではないかということで、現在は急 性期入院医療をDPCの範囲としているところでございます。  対象病院が拡大する際に、包括支払制度が不都合になってくるという可能性もあるか と思いますが、それにつきましては、例えば対象病院を絞っていく方がいいのか、その 他に診断群分類というものの考え方を見直して、より精緻化していくなど、制度の見直 しを考えていくのか。それ以外には、例えば広く対象病院を考えた場合には、病院の機 能による分類があるかと思いますが、そういったもので区別して考えるということもあ り得るのではないかと考えております。  そういった中で、例えば患者の病態に応じた医療の内容から、パターンAでは患者の 病態が非常に重くて重度な急性期としての治療が必要な場合、パターンBでは患者の病 態が重度ではなく軽度な急性期の治療でよい場合の様な病態をたどる患者さんがいる中 で、対象病院を拡大した場合には、どのように扱っていったらよろしいのか。診断群分 類を精緻に見直していくのか、ほかにDPC対象の医療機関の性格づけというものがで きるのかどうか。そういったところを御議論いただきたいと思います。  3つ目の論点でございますが、2の検討を踏まえて、DPCの基準及びその評価のあ り方についてどのように考えていったらよいのかということでございます。  資料D−3−3に例を1から3まで挙げさせていただいております。  例1につきましては、先ほどデータ/病床比というものがございましたが、ここでは その簡単な計算例を示させていただいております。  (1)でございますが、データ/病床比の考え方につきまして、「ア」対象期間にD PCの対象となる退院した患者の全データ数/病床のことです。DPCの対象となる退 院した患者の全データ数を病床利用率や在院日数等を用いて算出する場合につきまして は、「イ」の四角の中で示させていただいておりますとおり、例えば、対象期間に病床 利用率を掛けまして、それを在院日数で割れば、おおよその全データ数が出せるのでは ないかということを示させていただいております。  そして、こちらの式を上の全データ数を病床数で割るという理屈に当てはめますと、 データ/病床比というものは、対象期間と病床利用率を掛けたものを在院日数で割った ものとして考えることができるのではないかということを示させていただいております。  (2)でございますが、この式で具体的に対象期間等を定めて計算するとどのように なるのかをシミュレーションいたしまして、例えば、対象期間を7〜10月の4カ月間、 正確には123日とし、一般病床の病床利用率を79.4%――これは平成17年の医療施設調 査から得られたデータを仮に置いておりますが、そして平均在院日数を28日――これは、 特定機能病院の10対1入院基本料の基準在院日数とした場合につきまして、データ/病 床比を計算いたしますと、概ね3.49となるということでございます。  例2でございますが、DPCの基準や評価を考えるに当たりまして、平成18年から導 入されている5つの望ましい基準、こういったものもあわせて考えていくべきかどうか。  (1)につきましては、後で御説明申し上げます前回掲載した資料D−5−1、 (2)につきましては、望ましい要件を満たしている項目の状況について前回提出いた しました資料D−5−1が参照になるかと思いまして、こちらに添付しております。  例3のその他につきましては、例えば、手術や化学療法、放射線療法、全身麻酔、救 急搬送等を実施している医療機関を評価できないかということで上げさせていただいて おります。こちらにつきましては、資料D−4で御説明申し上げたいと思います。  お戻りいただきまして、資料D−3−1の4でございます。その他検討すべき事項に つきまして、事務局から1〜3まで論点として上げさせていただきましたが、それ以外 に、留意・検討等しておくべき事項がございましたら、御意見をいただければと思いま す。  資料D−3の説明については以上でございます。  引き続きまして、資料D−4の説明もさせていただきたいと思います。  資料D−4−1「望ましい要件別の手術・化学療法・放射線治療の割合について」で ございます。  こちらにつきましては、前回、例えば望ましい要件と手術件数などとの関係について 委員の方から宿題をいただきまして、事務局の方でデータをまとめさせていただいてお ります。こちらは平成18年7〜12月の6カ月のデータから、手術、化学療法、放射線治 療の症例を集計しております。  集計の方法といたしましては、1症例について複数回実施した場合も1件としており ます。色の濃い方が準備病院、色の薄い方が対象病院のデータでございます。それぞれ 同じ望ましい要件数で比較できるように、隣同士に並べさせていただいております。  こちらの資料については、望ましい要件を満たしている数が横軸、手術・化学療法・ 放射線治療が縦軸でございますが、やや右肩上がりのような形となっているかと思いま す。しかし、同一の望ましい要件の中で見れば、事務局としては、対象病院と準備病院 で余り差は見られない様に見えますが、そこは御評価いただくべき事項かと思っており ます。  資料D−4−2でございますが、こちらも前回いただきました宿題を踏まえまして、 DPC対象病院及びDPC準備病院における、望ましい要件数と病床数との関係を示し たものでございます。  望ましい要件数が多くなるほど病床数が多い病院がふえてくるといった状況でござい まして、一番右の欄には、病床規模別に見た場合の望ましい要件数の平均値を記載させ ていただいておりますが、DPC対象病院、DPC準備病院も病床数が多くなるにつれ まして望ましい要件を満たす数が大きくなり、病床数に比例して望ましい要件もとりや すいのではないかと考えられます。  資料D−5−1、資料D−5−2につきましては、前回提出させていただきました資 料で、今回の議論の参考となるかと思いまして添付させていただいております。  以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。それでは、今の御説明に関しまして御意見や御質問等をい ただきたいと思います。 ○齋藤委員  式の読み方で、D−3−3ですが、「データ」と書いてあるところと、「全データ 数」と書いてあるところとあって、その意味が全く同じなのかどうかでちょっとコンフ ュージョンしているのと、分母の「病床」というのと「病床数」というのと、これも同 じような言葉が違った表現で出てくるので、その違いがあるのかないのか、教えてくだ さい。 ○中田補佐  事務局としては、「データ/病床比」という一般名称的な使い方をいたしまして、正 確に申し上げますと、「全データ」は、DPC算定病床に入院した患者のうち、調査期 間中に退院した患者さんのデータです。 ○齋藤委員  それは「データ」と同じことですか。 ○中田補佐  はい。 ○齋藤委員  違った言葉だけれど、同じ意味なんですね。 ○中田補佐  「データ/病床比」につきましては、一般的な名称ということで、平成16年の資料に も「データ/病床比」という言葉でありましたので、そのまま使用させていただいてお ります。 ○齋藤委員  「病床数」というのは「許可病床数」ですか。 ○中田補佐  こちらの「病床数」につきましては、医療保険上の病床数ということになっておりま す。 ○齋藤委員  届け出た病院の「許可病床数」ということですか。 ○中田補佐  はい、医療保険として届け出ている病床数でございます。 ○齋藤委員  わかりました。  それから、例1のウのところに、「病床利用率」という指標が入っていますね。これ はDPCの参入条件を考える上でどういう意味のある指標なのでしょうか。というのは、 急性期病院の条件というので、かつて出来高払いでやったときに、「平均在院日数が一 定以下であること」というのが急性期病院の一つの条件だった時期がありましたよね。 そういうことで、急性期をどのように考えるかは別としても、急性期病院の条件として 平均在院日数を見るというのは、最もその基本的な姿勢なのかなということは理解でき るのですが、「病床利用率」という指標がここに入ってくることの意味は、事務局では どのように理解していますか。 ○中田補佐  こちらの「病床利用率」の意味ですが、具体的に、「全データ数」というのは、対象 期間において退院した患者さんの全データ数でございますが、それを仮に「病床利用 率」といった客観的なデータで計算した場合にどうなるかについてシミュレーションす るために「病床利用率」を使っているわけでございまして、この値がそのままDPCの 評価をするための判断になるのかどうかということにつきまして示したわけではござい ません。 ○齋藤委員  実際におられる患者さんの実数の要素をそこに織り込んだと、そう理解されるのでし ょうか、「病床利用率」が入ってくるということは。単なる「許可病床数」だと、ガラ ガラな場合は数値が非常に変わってきますよね。けれど、そうではなくて、ガラガラで も、そこにいる患者さんたちがどういうデータを発信していたかという中身を示してい るわけでしょうね。そう理解しているのですが、それでよろしいですか。 ○中田補佐  はい。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。ほかに御質問等はございますか。 ○木下委員  DPCの基準を、例えばデータと病床の比とか、望ましい要件だけという、極めてラ フなパラメーターで、これを満たされれば大丈夫だとか、大丈夫でないとかということ になるのだろうということかなと、これだけのデータから見ると思うのでありますが、 これからのことを考えていく上で、たびたびお話し申し上げますように、当初の平成15 年に入った病院での、今これは条件しかないわけでありますが、条件が0から5まであ ると。しかし、16年、18年のところでは、それでもやはり望ましい要件数が少ないとこ ろも当然あるわけでありまして、今行われているDPC病院は平均でどうだということ も大事かもしれませんが、こういう条件のもとではDPCは必ずしもふさわしくないの だとか、こういう条件が低いところでも大丈夫なのだとか、そういうことのデータがな いと、これからどうしようかということに関してはわからないわけですね。  そういう視点から考えたときに、調整係数は、平均値としては大体一定しております が、かなりばらつきがあるということから、条件を非常にラフにデータと病床数の比だ けで見ればということですべてがいいのだというところへ持っていくには、ちょっと乱 暴過ぎるような話だと思いまして、すべての病院として、ここは支払いの仕方としての DPCという視点でありますだけに、今申し上げたような、条件によって具体的にどう いう問題が起こってくるかというデータがないと、読みようがないわけですね。その辺 のところはいかがでございましょうか。 ○中田補佐  資料D−3−1の論点1、2、3、4のとおり、まずは急性期入院医療の概念を事務 局の方で提出させていただいております。そこの概念をまず御確認いただきまして、2 番目以降、DPCの対象としてどの範囲までふさわしいのか、また、そうであればその 基準というのはどういうものがあり得るのかと、そういった順序で御議論をしていただ ければ、整理がついてくるのかなと考えているところでございますが、いかがでござい ましょうか。 ○木下委員  そういうことを言う前に、過去にも既に何年間かやっているわけでありますので、デ ータ数にあるわけでありますから、そういうものをベースにしていきませんと、概念だ けでは全く大丈夫だろうかなということしかないわけでありまして、その辺のところを 押さえた上ででないと、今のお話にはつながらないのではないでしょうか。 ○宇都宮企画官  事務局の方の段取りがちょっと悪くて誤解を生んでしまったと思うのですが、木下先 生のおっしゃるデータがなければということは、もちろんそのとおりなのですが、まず 我々としては、1番目として、そもそも急性期入院医療というのはどのように考えるか と。ここについては、一般急性期とか、亜急性期とか、あるいは急性増悪とか、さまざ まな言葉がございまして、それぞれについて各委員の方々も恐らく概念が微妙に異なっ ているのではないかと思われるところでありまして、そこの部分を、まず急性期医療と いうのは何だというところで共通のものを合意いただいた上で、では、それについてD PCの対象としてはどういうところがふさわしいのかと。そして、そういうふさわしい ものについてある程度合意ができたら、あるいは案が幾つかになるかもしれませんが、 それについて今度は具体的に基準というものをどう考えていくかと。そういう手順で御 議論いただけたらと思ったわけでございまして、その辺につきまして最初の説明がうま くいっていなくて、申しわけございませんでした。 ○西岡分科会長  私の方もちょっと司会が悪かったのだと思います。  議論を戻しまして、急性期医療というもの、DPCの病院が対応すべき医療がどうで あるかというところで、まず御議論をお願いしたいと思います。それに附属する条件が、 今のデータ/病院比であるとか、望ましい要件ということになってくるかと思いますの で。 ○酒巻委員  先ほど事務局からD−3−1の資料の説明のときに、これまでDPCの概念として3 つの要件があるということで、科学的根拠、診療情報、包括の要件、この3つについて 言われたように思いますが、もう一回丁寧に説明していただけないでしょうか。 ○中田補佐  先ほど申し上げましたDPCという包括支払制度の目的につきまして、その概念の1 つ目といたしましては、DPCという性格上、他の医療機関との比較を通じて、科学的、 標準的な医療の促進になるのではないかといったことでございます。  2つ目といたしまして、1番目とつながるかと思いますが、多くの医療機関から診療 情報について、こういった制度を通じて収集、分析していくこと。現在、診断群分類に 応じた支払い制度を行っておりますが、その情報を収集、分析してすることにより標準 的な治療につながっていくこと。  3つ目といたしまして、包括支払いという性格上、出来高払いでは、仮に検査・投薬 等につきまして過剰になりがちといった問題があるかと思いますが、そういったものが 適正化されていくこと。  こういった3つの概念があるのではないかと申し上げさせていただきます。 ○西岡分科会長  酒巻先生、よろしいですか。 ○酒巻委員  DPCを始めるに当たってこの3つの目的をするという話は、私自身としては記憶し ているつもりですけれど、DPC病院は急性期を主に扱うというメッセージがどこかの 時点で出たように私は記憶しているだけで、どこの委員会で出たのかわからないのです けれど。そのあたりのところが私たちとしてコンフュージョンしているのかなと思って いるものですから、もしその辺を御承知でしたらご説明ください。 ○西岡分科会長  これは一番最初のときに、急性期医療に対してDPCを導入するというのが大前提に なっていたように記憶しておりますが。 ○酒巻委員  ということは、急性期を扱うということをもう大前提にした制度だったと考えていい わけですね。 ○西岡分科会長  そういう話で進んできていると記憶しております。 ○木下委員  つい先刻、松田先生からもいろいろ御指導を賜って、DPCの本来のあり方は、限ら れた医療資源の中でむだなく適切に使っていくということから、標準化であるとか透明 性を確保すべきであるというのは、極めてもっともなことだと思います。そういう考え 方で既にやってきたにもかかわらず、今、改めてまた急性期について3つの条件を検討 しろというのは、全く意味がわからないのでありまして。  導入のときに既にそのことは終わっているから、こういうことをやってきたのだと。 その結果、既に5〜6年たっている段階で、結果としてこうなっているので、そのとお りすべていいのか、しかし、ある条件のもとではこれは余りスムーズにいっていないも のがあるのだとか、そういうことを御指摘いただいた上で、その急性期といった最初の 条件というものを、こういう病院に関しては必ずしもそれを満たさないのだとか、そう いうデータベースに物事を話していかないと、今また急性期がどうだということをなぜ しなくてはいけないのか、ちょっと理解できないのですけれど。 ○宇都宮企画官  木下委員のおっしゃることはごもっともなのですが、ただ、現実に、急性期の定義と いうものをきちんと決めてこの制度がスタートしたかと申し上げますと、残念ながら、 そこの部分は若干あいまいなところが残ったまま、まず特定機能病院の方から始まった という経緯がございます。  そして、その後、急性期というものについてそれぞれのお考えがありながら、そこの 部分を明確にしてこなかったという状況があるということで、今回、これまで360病院 までふえたところでございますが、さらにその拡大の議論をするときに、この辺できち んと急性期というものについてみんなでもう少し明確にしておかなければ、どこまで拡 大するのか、場合によっては際限がなくなるかもしれないし、場合によっては絞り過ぎ てしまうかもしれませんし、その辺を明確にしたいということで、先ほどの説明がわか りにくかったかもしれませんが、診調組D−3−2の資料で事務局としてはお示しさせ ていただいたつもりでございます。  D−3−1に書いてございますように、例えば、急性期とは、患者さんの病態が、病 気になって悪い状態から、治療によって治ってきて、ある程度安定した状態に至るまで を指すこととしてはどうかと。これが一つの我々の提案でございます。この提案に対し て、これまでのいろいろ議論を見ますと、この絵でいきますと、パターンAのような非 常に重いところを念頭に置いている先生もいらっしゃれば、もうちょっと軽いところま で含んで考えておられる先生もいらっしゃるので、この辺のところをまず整理させてい ただきたいということでございます。 ○池上委員  D−3−2というのは、概念的にはわかりやすいのですが、逆に、どうやって縦軸を 目盛るかというところでわからなくなります。したがって、これは概念の整理にはなら ないと思います。もっと言うならば、DPC分類の中で、例えば白内障に対する片眼の 手術というのは、例えば重篤でないから外すといった、DPC分類の中から幾つかのも のは重篤でないということを判断するか、それとも、こういう統計はまだ見せていただ いていませんが、DPCで在院日数で一定以上とか、あるいはE・Fファイルで一定以 上の実際のコストがかかっているとか、何らかの客観的な方法をとることが考えられま す。  しかし、そうしても、例えばE・Fファイル上コストがかかるとあるDPC分類がわ かったとしても、かなりの病院による標準偏差が大きいと思います。その際、これはそ の病院で治療したからコストがかかっているのかどうかという問題がありますので、こ れをポンチ絵にしたという意図はどういうところにあるのですか。あるいは、D−3− 1のパターンAとBというのは、これによってどうとらえることができるのでしょうか。 ○宇都宮企画官  診調組D−3−2につきましては、皆さんのイメージが共通のものになるようにとい うことで出させていただいたものでございますけれど、確かに先生おっしゃるように、 そういった数値的なデータできれいに出ればよろしいのですが、例えば、今おっしゃっ たようなコストについて、これこれこういう疾患についてこれ以上のコストがかかるも のをDPCにするということであっても、実際に患者さんが入院してどのぐらいのコス トがかかるかというのは当然千差万別でございますし、結果としてコストがどのぐらい になったというのはわかっても、入院の途中で、「ここまでお金がかかったから、もう DPC対象じゃないから出なさい」と言うことはできないわけでして。  そこはもちろん数字で示すことができれば一番クリアなのですが、その前に、概念と してどういうものかということを整理した上で、逆にじゃあこういうラインが考えられ るのだよというふうにした方が、イメージ的に我々としては共通のものが出るのではな いかなと。もちろん、そういうクリアカットにできるデータがあれば話は別なのですけ れど。そういうことで、こちらにお示しさせていただいたということでございます。 ○池上委員  ここでパターンAとBというのは違う切り口で言っているわけですね。パターンAは 在院日数にかかわらず非常に重く重篤ということであって、これは何カ月入院しても当 てはまるわけですね。パターンBはそうではなく、在院日数のことを述べているようで ございますので、これは切り口が全く違うと思います。しかも、この書き方として、 「軽度な治療でよい場合」ということは、私の解釈では、軽度の治療では悪いのではな いかというふうにもとれるのですが、そうではないのであれば、パターンAというのは 重篤度で見る。どうやって重篤度をはかるかはわかりませんが。Bは単に在院日数で見 る。そういう解釈ならAとBの違いはわかるのですけれど、そういうことでよろしいの でしょうか。 ○宇都宮企画官  このパターンAとBは、症状の重さがこの縦軸の方に出ておりまして、それプラス、 一番重いところに至るまでの傾きといいますか、例えば大きな事故に遭ってしまったと か、そういうことで急激に非常に重たい状態になった、そういうものを診るのがパター ンAでございます。そうではなくて、もう少し緩やかに進んでいるのだけれども、比較 的軽い症状について手術をするといったものがパターンBでございます。  そして、例えば、今、DPCの対象とする病院について議論をするときに、高度でか なり重いものを診られる急性期病院に限るべきだと、つまりパターンAを診ることがで きる病院に限るべきだと、そういう説もあれば、必ずしもそうではなくて、ある程度軽 いものであっても、例えば手術を1つの指標にするかとかいろいろそういう問題はある のですが、そういうものに対する治療を行うところも急性期病院としてDPCに加える べきだというような議論もあると。そういったことを模式的にAとBであらわしており ます。 ○池上委員  今おっしゃっていることは、ちょっと違う意味じゃないでしょうか。最初の重篤にな る速度のことをおっしゃっているのですか。 ○宇都宮企画官  速度プラス深さです。 ○池上委員  速度プラス深さということは、例えば、早期がんの場合はどちらになるのですか。 ○宇都宮企画官  早期がんは軽い方ですので、パターンBでもよろしいと思いますが。 ○池上委員  わかりました。では、中程度のがんで、今、症状がないというときはどちらですか。 ○宇都宮企画官  それは確かに細かく分ければ、AとBの2つだけではなくて、CもDもEもあるじゃ ないかということになってしまいますけれど……。 ○池上委員  AとBというのは違う座標軸を見ているんじゃないでしょうかということなんです。 ですから、今の御説明ですと、症状が急激に重篤になるということをおっしゃっている わけですが、急激に必ずしもなる必要はなくて、重篤性だけというのであればまだわか るんです。ですから、Aは重篤性であり、Bは入院期間であるというのだったらわかる のですけれど、そうではなく、その両方を加味した形でAとBをするとわからなくなる ということを申し上げているんです。  もし重篤度の中でやるのだったら、もともとDPCというのは診断群分類と処置分類 ですから、幾つかのDPC分類というのは、パターンAからすると除外する必要が出て くるのではないですかということを最初に申し上げたわけです。 ○西岡分科会長  齋藤委員、お願いします。 ○齋藤委員  このD−3−2を谷にしてしまったので、かえってわかりにくくて、病態の重篤度と いうことから言えば山なのかなという気もするんです。重篤度が大きくなる、それがパ ターンAの大きな山で、その次にパターンBが小さな山、という見方もあると思うので す。そういうふうに並べると、ここからは松田委員に対する質問でもあるのですが、診 断群分類の診断グループというのは、横軸に入院日数をとり、縦軸に出来高をとって、 1つの島をつくるものを診断群分類としているわけですね。私は診断群分類の班長をや らせていただいていますが、そういうものについて前の年のデータなどを組み入れなが ら、1つの島をつくっているものを1つの病名群にすると。そういう立場である程度当 てはまっているのかなということが1つです。  医師会等でDPCの講演をさせていただくと、出てくる非常に多くの質問や御意見は、 「うちの病院は高齢者が多いので、そして複数の病気を持っている人たちが多いので、 どのようにコーディングしていいかわからない」と。そういう病院はDPC病院にはち ょっとふさわしくないのかなと。独立した複数の疾患――胃癌と脳梗塞とか、どっちが どっちの合併症でもないけれど、入院期間ばかりは非常に長くなるというような方は、 しかも高齢者であったりすると、DPCにふさわしくないと。そういう気はいたします。  それで、松田委員に対する質問ですが、診断群分類で病名を決めていくときに、横軸 に在院日数、縦軸に出来高をとって、1つの島をつくるものをグループとすると。高齢 者などは在院日数が非常に長くなるので、その島から外れていってしまうわけですね。 DPCにふさわしい病院というのを、例えば島の中心から2シグマ以上外れた病気が非 常に多いかどうかとか、DPCの原点に話を戻して、診断群分類の分類にぴったりした 病気を扱っている病院がDPCの病院にふさわしいと。そういう取り扱いができないか なという気もしますが、松田委員はこの制度を設計されてきたので、そういういわゆる 島、円サークルの中にほとんどが入る病院をDPCにふさわしい病院とみなしていくと、 そういう考えはどうなのでしょうか。 ○松田委員  これも余り難しく考える必要はないと思うのですが、基本的には1エピソードが明確 なものというのがDPCの対象だと思います。要するに、病名と医療行為の組み合わせ によって入院から退院までが1エピソードとして定義できる、そういう傷病群というの を診断群分類としてつくってきたと考えています。  ですから、例えば胃癌というものに対して胃全摘手術を行ったと。そういう症例につ いて、在院日数と出来高換算でのコストを見ていって、ばらつきの少ないものをまとめ ていくという、そういう作業をずっとやってきたわけですが、そういう意味では、軽度 な急性期、重度な急性期という分け方よりも、1エピソードが明確なものという形で支 払いというものは考えていけばよろしいのではないかなと思います。  それから、先ほどの科学的な検証というところですが、他との比較をする、その中で コスト面あるいは在院日数ではばらつきがすごく出てしまうけれども、例えば、それぞ れの病院がどういう患者さんを診ているかということを比較するという点では、一般病 床の病床数という形でまとめていくことは望ましいことだと思います。多分それだろう と思います。  もう一つ、これは研究班として情報をうまく出せていない部分があって、そこは少し 反省点なのですが、先ほど池上委員が言われたような、例えば白内障をたくさん扱って いるような病院、例えば白血病みたいなものをたくさん扱っている病院というのは、ケ ースミックスが違ってくるわけですね。要するに病態像が違うわけですので。それをう まくコスト的に評価できるようにするためには、多分点数設定というものをうまくやっ ていけばいいのだろうと思います。そういう意味で、軽度の急性期、重度の急性期パタ ーンで対象病院を分けていくというのは、もしかしたら違うのかもしれません。  その下の回復リハみたいなものを少し考えてみたらいいと思うのですが、この場合は やはり1エピソードが明確ではないですよね。人によって長くなったり短くなったりす る。そういうものを無理やりこちらの方に入れてしまおうとすると無理が出てくる。今 回の問題点というのは、そういうケアミックスの病院が入ってきてしまっているという ことだろうと思います。この部分が明瞭になっていない。そこのところではないかなと 思います。 ○齋藤委員  高齢者の疾病というのは、複数の独立した病気があって、しかも慢性で長期化すると。 それはいろいろなところで提言されていますけれど、そういう方たちが多くおられる療 養病床群であるとか、そういうものはDPCにふさわしい病院からは外れるのかなとい う気はするのですが、それでよろしいのですか。 ○松田委員  それは1エピソードを定型化できないものとなってくると思うのですが、診断群分類 的にはその問題は、いわゆる手術コードのところが99とか97になる群ですね。入院して いて、さしたる処置をしているわけでもない、手術をしているわけでもない。手術をし ても、定義表で01、02、03というふうに定義されていないその他の手術をやっているよ うな病院。そういう病院をどのように評価するかということだろうと思いますが、そこ の部分は今私たちも研究班の中で少し検証していますけれど、そこをうまく分離するこ とである程度対応できるのかなと思っています。  これは以前、私大協のデータを使わせていただいて分析したときには、希少性インデ ックスみたいなものをつくって、これは研究班で医科歯科の伏見先生がされたお仕事で すけれど、希少性という観点。それから、東大の橋本先生が網羅性というのをやってい ますけれど、これでやっていくと、大学病院とそれ以外の病院が大分区別できますし、 あとは単科の病院と総合病院は当然区別できますから、そういう2つの軸で施設を見て いく必要があるのではないかなと思います。  要するに、主な分類のかぎとなっているような手術処置をやっていないような病院を どのように評価するかという、そこのところが今少しごちゃごちゃになっていますので、 そこをきれいに見ていくことによって、このパターンA、パターンBのところはもう少 しきれいに数字として出せるのかなとは思います。 ○山口(俊)委員  このパターンA、パターンBというのは、これだけでは全く割り切れないのはだれも 常識で、例えば早期がんの方がいますね、全くお元気で、そして胃の全摘が必要なこと があります。これは非常に重篤なプロシーデュアですね。あるいは、非常に進行してい て、幽門狭窄があって食べられないと。これは非常に重篤な状態ですが、これは広がっ ているから吻合で終わろうと。これは非常に簡単な処置なんですね。  そういうことを考えると、このほかに少なくとも2つのパターンがあって、そんな難 しいことを言うよりも、入院のところの縦の点々は、入院が必要か必要でないかという ことに尽きると思うのです。そのときの患者さんの状態が入院が必要か、そのための治 療は入院が必要なものかどうかに尽きるのであって。あとは右側は長さですよね。です から、もっと単純化してもいいんじゃないかと思います。そういう観点から分けるだけ でも十分じゃないでしょうか。あとは入院日数の問題であって、いつまでも入院が必要 な厚いケアをするような病気というのはそんなにないと思います。そんなふうに感じま したけれど、いかがでしょうか。 ○西岡分科会長  ここが非常に重要なところだと思いますので、どうぞいろいろな御意見をちょうだい できればと思います。 ○山口(直)委員  今年度から入りまして、初めて発言させていただきます。余りよくわかっていないの で変な質問をしてしまうかもしれませんが、松田先生がおっしゃった1エピソードが非 常に明確に定義できるというのはとてもわかりやすくて、なるほどと思うのですけれど、 このエピソードを定義できるかどうかということと、パターンAやパターンBが多分連 続的なものだと思うのです。それで、1エピソードとして明確になるという範囲をどの 辺まで考えられるかというのがよくわからなかったので、教えていただきたいのですが。 ○松田委員  基本的には、入院が必要な状態になってきて、一連の処置が終わって、緩解して帰る という方で、要するに、傷病に対して一般的に行われている医療行為の組み合わせで患 者さんを分類しているわけですので、多分それは臨床現場の状況として、現場の医療像、 診療像として、1エピソードというのはある程度の幅を持ちながらも一定のまとまりを 持っているというふうに認識しています。  ただ、それを外的にどのように評価しようということで、今のはクリパスが使えるも のに関してですけれど、研究班の方ではそのクリパスを収集させていただいて、どのよ うな退院基準でやっているのか、どういう標準的なプロセスでやっているのかというこ とを外的に評価をしようとしております。 ○山口(直)委員  ありがとうございます。そうしますと、最初、歴史的に、大学病院、がんセンター、 循環器病センターから始まったわけですが、だからパターンAが多く結果として見えて いますけれど、今の松田先生がおっしゃったような考え方からすると、二次医療を担当 しているような一般的な病院は十分入り得ると、もっと広い範囲で入り得るという考え 方をして、この面からは余り問題ないと考えていいということでよろしいでしょうか。 ○松田委員  診断群分類の中での日数とか資源投入量の観点である程度まとまりができているので あれば、それは問題ないと思います。  それから、希少性インデックスのことも少し話さなければいけないと思いますが、そ もそも、大学病院、特定機能病院、そして一部の民間病院の中の特定機能病院以外の病 院でも、かなり高度な医療をやっているところがございます。そういうところは、ケー スミックスインデックスとか、あるいはどのぐらいまれな疾患を診ているかということ で評価をしていくと、かなり高い点数がついていきます。その一方で、例えば整形外科 とか眼科に特化した病院というのはそれしか診ていないわけですから、ケースミックス インデックスも低くなる傾向がありますが、それ以上に希少性が非常に少なくなってき ます。  そうすると、例えば、そこで希少性の高い病気を診るために施設面でいろいろなもの を装備するのであれば、そこのところはもしかするともう少しきちんと評価しなければ いけない。そういう意味では、重度なということよりも、もしかするとまれな疾患とい うようなことなのかもしれませんけれど、そういう配慮は多分しなければいけないと思 います。これは機能係数にかかわってくる問題だろうと思います。 ○酒巻委員  そうしますと、1エピソードというお話でこのDPCをつくられたと言いますけれど、 1つの考え方としては、パターンAの方は、エピソードが起こってから入院までの猶予 といいますか、そういうものが非常に逼迫しているということを考えるという手もある わけですね。数値化するということをどこかで考えなければいけないのですけれど、何 をもって数値化するかということが最終的に出てこないと、私もパターンAとBという のは存在すると思うのですが、問題は、それを一体何で表現するのか、それもわかりや すい表現でなければいけないということを考えると、何か文言でパッとわかるものがほ しいという意味なのですけれど。 ○松田委員  まず、パターンA、パターンBというのを私は今日初めて見させていただきまして、 これは研究班の考え方ではございません。多分これは最近いろいろ出ているいわゆる二 階建て論みたいな話だろうと思うのですが、私自身はある程度分類で対応できると考え ています。分類をきちんとうまくつくっていくことによって、軽度な急性期も重度な急 性期も、1エピソードというものがある程度明確であれば、それで分類としては対応で きると思っています。 ○酒巻委員  分類というのは、DPCの分類としてですね。 ○松田委員  はい、DPC分類です。ただ、今問題になっていることは、来年度に向けて、DPC で診療報酬を評価する病院の定義をどうするか、一定の基準をつくりたいということだ ろうと思いますので、その2つは分けて考えていただいた方がよろしいのではないかな と。そういう意味で、今ここに上げられているというのは、DPCで評価するところで ばらつきが出てしまうような病気を多く診ているような病院というものは、今回のこの 評価で対象病院とするのはどうかなと、そういう問題提起なのかなと思ってこれを眺め ていたのですけれど。 ○齋藤委員  今、松田委員が言われた、分類を基本にして、分類をうまく機能させるような病院の 仕組みというのはDPCに一番ふさわしいと思うのです。逆に言うと、診断群分類を今 私が班長になってやらせていただいているときに、一番気遣われるのは、いろいろな病 院のデータが入ってくると、横軸に在院日数、縦軸に出来高量をとったときに、今まで はきれいな島になってくるエピソードあるいは疾病群がたくさんあったわけですね。け れど、それが周りにワーッと雲のようにぼやけて広がってしまって、一体どういう診断 群に位置づけていいのか、雲のような状況が恐らく出てくると思うのです。  そうなると、もうDPCの制度そのものが揺らいでしまうので、診断群分類のサーク ル、あるいは島と言ってもいいですが、そこから不均一な雲をたくさんつくってくるよ うな病院は、DPCにはふさわしくないと。それは先ほど来言っているように、複数の 病気を持っていて、最も医療資源を投入した病気だけとっても、複数の病気でほかの周 りの出来高から大きくずれてくるとか、あるいは高齢者で加齢という要素があるので在 院日数が非常に長くなるとか、そういうものをどのようにしてDPC対象病院から外し ていくのかと。そういう工夫なのだろうと思うのです。そういう点で、例えば平均在院 日数と病床占有率、そこまで絞ってしまうのも現実的には一つの手だてかなと思います。 ○熊本委員  関連したことになりますけれど、パターンA、パターンBという議論ではないのです が、きょうはDPCのそもそもからの議論になっておりますけれど、データも結構出て いるように見えますが、まだ欲しいものがあるということかと思ったのですけれど、そ もそも、16年にデータの質ということも問うたわけですね。それから、18年度でも、適 切にデータを出せるということを言って。今、齋藤先生からありましたように、島がで きる、周りもあるという、そういう本質的な議論とともに、データを出せるかどうかと いう大きなポイントとしての議論もあったかと思います。  そして、この資料を見ますと、データの質に関しては、エラーデータとかそういった ことがいろいろ言われておりますが、実際、DPCが拡大して準備病院が1,400になっ た場合、データが本当に出せているのか。透明性、標準化ということに向かっていくと きに、その病院が適切かどうかということには、そのデータが本当に出せているのかと いうことも非常に議論すべきことかなと思いまして、現在、エラーデータが非常によく 出ているとか、そういう指標などをデータを収集される側としてはお持ちなのか、それ をお伺いしたいと思います。 ○西岡分科会長  これは分厚い報告書に、対象データと実際に採用されたデータがありまして、あそこ の最後の欄にパーセンテージが出ていると思います。少しばらついているところもござ いますが。 ○熊本委員  その理由がどういうことかということも含めて、ハードルは初めは低くても、いろい ろなデータからまた吟味する必要があると思うのですが、その初めの低いハードルを本 当に越えているのかどうか、そういったところも議論できれば、数値的なことができな いかなと思いました。 ○原分科会長代理  質問ですけれど、急性期医療というのは、例えば急性何々病、慢性何々病と全く無関 係に理解すればよろしいでしょうか。 ○西岡分科会長  今の点についてお答え願えますでしょうか。 ○中田補佐  データのエラーにつきましては、現在、19年度のデータを解析中でございます。例え ば18年度のデータにつきましては、実務上は、何かのミスでもあってデータのエラーが あった場合には、事務局の方から病院の方へお返しして、それをどういう理由でエラー になっているのか、そこを直していただいてまた出していただくと、そういうプロセス を繰り返しております。総数に占めるどれぐらいの割合というのは一概には把握できな いところがございます。 ○西岡分科会長  そのときに、かなり指導が行ったところと、そうでないところが出てきますよね。最 終的には80%以上ぐらいのデータが出されているわけですけれど。 ○宇都宮企画官  そういうデータの質の面については、今年度、19年度に手を挙げてきた病院が、最初 は 700数十病院と申し上げたと思いますが、それがデータのやりとりがなかなかできな いとか、そういうことでだんだんドロップアウトしてきて、9月の発表では702と。そ の後も今続いていて、まだ数が確定していないという状況がございますので、そういう 中でもちゃんとデータを出せるようなところをだんだん絞っていっているという現状は ございます。 ○熊本委員  そこに何らかの指標があれば、非常に参考になるのではないかなという思いで発言さ せていただきました。 ○邉見オブザーバー  このポンチ絵の件ですが、同じ病気でも、例えば、人間ドッグで見つかってやる計画 的手術の胆石症と、夜中に発熱で来てレイノルド4徴のあるような人とは、全く違うわ けですね。ですから、スピードというのを入れますと非常にややこしいことになるよう な気がします。同じ病気でも全く違うということになるかと思います。  もう1点は、平成18年度の改定時の望ましい要件の5つですが、私は以前からこれに 対してはおかしいなと思っていたのですけれど、上の2つは病院の性格であって、下の 3つの病理・麻酔・画像診断管理料金は、病院のレベル、格であると。全く違うものが 一緒に入っている。救急はいろいろな条件でやらないところがいっぱいありますね。そ ういうものが混乱する一つのもとになっているんじゃないかと昔から思っていました。  それで、D−4−1の望ましい要件別の割合というのがありますね。この望ましい要 件を満たしている数の3などは、今、準備している病院の方が多い、高いわけですね。 ほかのところはみんな白の方の平均値が高いですけれど、3のところは黒の方が高いわ けですね。こういうところは、例えば我々の病院仲間の自治体病院などは今度370手を 挙げていますけれど、こういうところが入っているのだと思います。いろいろな意味で とれていないと、3つぐらいはあると。麻酔・放射線・病理はあるけれども、議会との 関係とかいろいろなことでおくれていて、まだ自治体病院は38しか入っていませんから、 そういうところはここへ来るとドンとこっちが上がるとか、いろいろな条件があるのだ ろうと私は思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。望ましい条件をまたくり返したいと思います。 ○武澤委員  前の会議のときにも申し上げましたけれど、基本的に診断群分類というのは急性期に 限定する必要はなくて、原理的には診療コストに関するグルーピング(島)ができれば、 急性期から回復期、そして療養期という段階で、それぞれ診断群分類ができると思うの です。それぞれの分類に従って診療報酬等は決定できるので、そもそも論としては、意 味不明な定義に基づく「急性期病院」に限定するということに関しては、急性期病院以 外にも原理的には拡大可能なので、最終的なDPCのでき上がりは何なのかということ を示すべきだろうと思います。ですから、急性期に永久に限定するのか、あるいはリハ ビリも含めてもう少し拡大をしていくのかということに関する議論が必要ではないかと 思います。  「急性期」の話に戻りますけれど、基本的には生命予後に影響するほど重篤であると いうのが急性期の患者さんの特性だと思うのです。ですから、それに合わせて病院とし てそれに対応できるファシリティがあると。幾ら患者が重症でも、例えばカテーテルイ ンターベンションはできないとなると、これはやはり急性期病院ではありません。です から、重症の患者を扱って、なおかつその重症の患者に対応できるという機能を持って いる病院が急性期病院であるというのが概念的な定義です。ですから、最終的にはこれ は数値化しなければいけない。DPCの施設認定基準になるとすると、何らかの形で数 値化する必要があります。そのときの一番いい方法は、さっき松田委員がおっしゃった ように、診断群分類の中でやると。その中に重症度という概念を入れていく必要があり ます。あとは病院の診療機能――例えばICUがあるとか、先ほど邉見委員がおっしゃ いましたけれど、病院のファシリティ、そして患者重症度、この両方を加味して、急性 期病院の数値に基づいた定義をするのが良いと思います。  重症度と急性期の患者さんに対する病院の医療供給能力、この2つから評価すべきで あって、それが入っていなければいつまでたっても急性期病院の定義はできません。眼 科の患者ばかり多いところは当然在院日数も短いわけですし、慢性の患者さんのところ は在院日数が長いわけですから、在院日数だけでは定義はできない。標準的な患者のポ ピュレーションを決めて、それで標準在院日数といえばできるかもしれませんけれど、 そういうことが実際にできるかどうかという問題があります。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。そもそも論の議論と、もう1つは、基本問題小委員会の方か ら付託されております、たくさんの病院が手を挙げておられるときに、どのような形で それにこたえるかという議論と、2つ出てくると思います。そのときの手挙げの人たち に対してのときに、このポンチ絵が出てきたのだと思います。 ○池上委員  そういうことであるなら、まずデータの精度について議論するべきだと思います。そ れについては、前回のこの分科会でたしか課長の方から、今後、包括部分については、 何らかの出来高に請求した場合の情報の提示を今のDPCで請求する病院に対して求め るというお話がありました。例えば、注射とか検査などの大分類に対応して、DPC分 類として一定の枠内でないと、例えば検査はこのDPC分類であったらこの範囲の中に なければいけないと。しかし、検査はほとんど出来高のみなし請求で見るとやっていな いとなると、これは分類の根拠そのものが問題となりますので、そういった観点から、 現在、準備病院として幾つかは基準に満たさないということでリタイアしているという 現状からすると、現在、DPC対象病院においても問題となるような分類のつけ方をし ているところがあるので、そこを精緻化することが第一歩ではないでしょうか。  つまり、データとしてきちっとした裏づけがないところが準備病院から対象病院にな るということは問題があるということが1つと、現在の対象病院でもデータの質に問題 があるところはやはり見直しを強く求める。その2点から話しませんと、ここで急性と か慢性というのはそれぞれイメージが違っていますので、私はこれは短期の入院・長期 の入院というふうに割り切らないとこの問題は解決しないと思います。  というのは、今後の医療の中心は高齢者であって、高齢者は何らかの慢性疾患があっ て、それの急性期の再燃したときがDPC対象病院に入院するという区分けでありまし て、慢性疾患は入院時も退院時も持っているということですので、急性・慢性というよ り、短期・長期という分け方の方がすっきりすると思います。  しかし、それ以前の問題として、最初に御指摘したいのは、データの精度からまず議 論した方が基本小委員会に対する回答になるのではないかと思いますが、それについて はいかがでしょうか。 ○宇都宮企画官  まず、データの精度ということはまさにごもっともで、現在の18年度改定時の基準で も、診療録管理体制加算算定、標準レセ電算マスターに対応したDPCの提出を含め、 この7月から12月までの退院患者に係る調査に適切に参加できること――この「適切に 参加できる」というのは、当然きちんとしたデータを出して参加できるという意味合い を含んでおりまして、このDPCという制度はデータがきちんととれなければ話になら ないので、そこのところはおっしゃるとおりかと思います。  あるいは、16年度でもやはりデータの質ということを言っておりますが、そういうこ とは前提とした上で、では、どの辺で切るのだという話でございまして、それをこちら でパターンA、パターンBという形で示させていただいたわけですが、先ほど松田委員 の方から、1エピソードがはっきりしているというお話がございましたけれど、その1 エピソードというお話と我々がつたない絵で描こうとした、病気になって状態が悪くな って、それがある程度よくなって、しかしある程度安定したらそれは例えば療養病床、 あるいは家に帰るとか外来になると、そこのある程度安定するまでの――それは恐らく 短期間だと思いますが、そこの部分がDPCとして見るべき大きな意味での急性期に当 たるのではないかということで、こちらに書かせていただいたということでございます。 ○池上委員  その点は、慢性期包括評価の立場からすると、どこまでが1エピソードで、急性では なく、短期のDPC対象病院で対応できるかどうかというのは、そことの関係で決まっ てきますので、そこの受け皿との対応でないとこの結論はなかなか出ないと思います。 それはまた地域性もあって、一概に一律に決めることはできないので、それでまずはデ ータの精度という話をしまして、そのデータの精度がこのポンチ絵とどういう関係があ るかはよくわからなかったので、データの精度に限って、740から40病院程度が対応が 不可能で脱落していったという、その辺についてもう少し説明して、場合によってはそ のプロセスをより強化することによって、こうした議論をしなくても、データの段階で ドロップアウトということも考えられるでしょうか。 ○宇都宮企画官  このポンチ絵は、データは全く関係ございません。データの精度についてあらわそう としたものではないので、それについてはこの絵からはおわかりにならないと思います。 今、先生のおっしゃったデータの精度からというのは、まさにそれは前提として、それ と別に、どういう病態を、あるいはどういう状態を見るのが急性期なのだというところ で非常に混乱があるということから、まずそこについての合意をいただきたいというこ とで、この絵を出させていただいたわけでございまして、データの脱落した過程とか、 その精度についての議論ももちろん重要なことだと思いますが、現時点ではまず急性期 の概念、あるいはDPCとしてどの辺まで見るか、その部分についての御議論をまずい ただけるとありがたいと思います。 ○木下委員  最終的な今日の議論の目的というのは、先ほど松田先生がおっしゃったようなことだ と思います。つまり、準備病院がこれだけ多いから、どのようなクライテリアでそれを 入れていくべきかということのための議論だったと思いますが、その意味で、1エピソ ードを基準にというのは極めてわかりやすい話でありますが、ここで困ることは、前回、 前々回もそうでしたけれど、いろいろな病院のばらつきが非常に多いというものをあえ て呼び出してどうなのかということの議論があったと思います。  先生がおっしゃるとおり、ばらつきが多いというのが一番のポイントであって、その ばらつきというのは無駄にもなるでしょうし、何とかそうではない均一的なものにして いきたいという趣旨だろうと思うのですが、では、そのばらつきをどのような指標で見 ていくかというのがまた問題だろうと思います。その場合のばらつきというのは、今、 池上さんがおっしゃったのはデータの精度という意味なのだろうと思いますが、パター ンA、パターンBということの前に、最初に私が申し上げたのは、表現はちょっと違っ ていましたけれど、過去にもう参入している人たちのデータというものでばらつきが極 めて多いということから、こういうのはふさわしくないのではないかと。  では、ふさわしいというのはどういう意味のふさわしさかというと、無駄がなく標準 化・透明性ということが確保される意味においてふさわしいという意味だろうと思うの ですが、我々受ける病院側としますと、こういうやり方で行ったときに、仮にふさわし くないものを今のような視点から入ったときに、果たして病院全体として、経営がうま くないと、支払いの問題でありますから、そういうことは当然考えるわけでありまして、 ふさわしくないけれど入ったと、しかしながら結果として将来的にミゼラブルになって いくのだというのは、むしろ早い方がいいじゃないかということになるわけであります ので、そういう視点から、データベーシスで考えていくというステップの方が、パター ンA、パターンBを考える上でもより指標になるのではないかなということで、その辺 は池上先生がおっしゃったことと私は基本的に同じ考え方を持っています。 ○宇都宮企画官  今のデータで見てばらつきというお話ですが、望ましい要件の算定状況などを見ると、 こちらの表でごらんいただいたように、ばらつきは確かにございます。しかし、例えば、 診調組D−4−1のデータを先ほどお示しさせていただきましたが、望ましい要件を満 たしている数と、手術・化学療法・放射線治療の占める割合、この比較を準備病院と対 象病院でしてみてもそれほどの差はないわけです。これは19年度準備病院が入っていな いので、今年度手を挙げたところはよくわからないのですが、少なくとも18年度準備病 院とはそれほどの差はないと。  それから、以前出させていただきました診調組D−5−1の2枚紙の資料でございま すが、この3ページのところでも、これも以前お話ししたかと思いますけれど、「病院 類型別と調整係数の関係について」という調整係数で見たものですが、(1)の15年度対象 病院の特定機能病院と(2)の16年度は確かにばらつきがある程度見えますが、(3)の18年度 対象病院についてごらんいただきますと、大体1.0のあたりに集約していて、ちまたで 言われるほどの強いばらつきというのはそれほど観察されないのではないかと。 これだけで見て、全然ばらつきがないと言うつもりはありませんが、つまり、どのよ うな指標で見るかということについてもいろいろ変わってくると思いますけれど、確か に特定機能病院とは違う病院がたくさん入ってきたということから、15年度対象病院と は違うであろうと。それはそうなのですが、今後、DPCをどこまで対象にするかとい うときには、むしろ今のこういうデータをごらんいただけば、新しい病院が以前の病院 と大きく違っているとは必ずしも言えないのではないかと。そういうときに、ではどこ まで対象にするのだと、そういう議論にしていただきたいということでございます。 ○木下委員  よくわかりますが、逆の言い方をすれば、このようなパラメーターでは余り差が出な いのだと。つまり、それは基準になるような要件にはなっていなくて、これからは先ほ どのような精度のところから、こういうものは問題だ、ばらつきが大き過ぎるというの は、こういった指標だけでは必ずしもうまくいかないところがあると、そういう見方を すべきでありまして、これでは差がないから大丈夫だということにはならないだろうと 思います。  ですから、そういう意味からしますと、気になりますことは、15年、16年、非常に大 きな病院のところと、今回は100床前後のところから入るということでは、そこは手術 とか化学療法や放射線療法などは恐らくやらないところだろうと思いますし、そういう 病院に関しては基準が違ってくるのではないかなと思いますだけに、本当に望ましい、 ふさわしい範囲をどうするかというところの新たな基準というものを考えていく上では、 データを見ないと、それでは何でもいいではないかとなってしまうのは危険ではないか なと思いますので、押さえるべきは押さえた上でディスカッションする方がいいのでは ないかと思います。 ○西岡分科会長  そこのところで前回も議論になったのですが、どういうパラメーターがいいのかとい うのが、今のところこういったパラメーターしか出てきていないので、もしさらに加え られるものがありましたら、御提案いただきますと、次回にはそれをもとにしたデータ が出てくると思うのですけれど。 ○池上委員  それに関して、私もこれがいいかどうかわかりませんけれど、網羅性ということを松 田先生はおっしゃったのですが、その網羅性ということを単にそれだけ見るのであれば、 極めて頻度は少ないが係数的には比較的重いDPC分類を行っているかどうかというこ とで見ることができるわけですね。ただ、そういう希少性があって、全体にDPC分類 の患者は日本で例えば0.1%以下という分類で請求している病院はどういう病院かとい うアプローチは可能かもしれませんが、そういうことを希少性という言葉でおっしゃっ ているのでしょうか。 ○松田委員  これは前の前の研究班で、僕らももう7年目になっていますが、そのときに既に報告 書で出させていただいていますけれど、これは医科歯科大学の伏見先生がやられたお仕 事ですが、分類の中で、全国でどのぐらい発生しているのか――絶滅危惧種のシャロン の係数というのがありますが、あれをそのままこちらの方に応用して、各病院がどのぐ らいまれな疾患を見ているのかということを係数化したものです。  要するに、白内障をたくさん見ている病院は、白内障というのはまれな病気ではない ですから、当然、希少性というのは低くなります。逆に、例えばいわゆる神経難病みた いなものとか、循環器などで例えば先天性心奇形の手術をやっておられる病院というの は、少ない病気をたくさんやっていることになりますから、そういうところは希少性が 高くなる。そういう希少性インデックスというものをつくっておられる。  それと、網羅性というのは、DPCの中でどの範囲の患者さんを診ているのかという 指標。そういうものを見てやっておりますので、もしよろしければ、研究班のデータと いうのは網羅性は余りないのですが、資料としてお出しすることはできるだろうと思っ ています。  私たちがなぜそこにこだわるのかというと、これは3番の議論になってくると思いま すが、調整係数の話が出てくるわけですけれど、これは研究班の中で東大の橋本先生が きれいに整理してくれているのですが、今の調整係数というのは個々の診療行為のばら つきを反映させてしまっていると。機能係数というのはそうではなくて、各病院が持っ ている機能、それは固定費ですね、資本コストに関係するようなものに関係してくるも のだろうと思いますので、そういう違う種類のものを今議論してしまっているわけです が、そこのところの整理も研究班の中で少し行っていますので、そういう資料も少し出 させていただきます。  そこを議論する上で、9900、9700というのがございますが、これは手術がない、いわ ゆる定義表で定められているようなメインの手術をやっていない、メインの処置をやっ ていない、そういうものについてどういうばらつきがあるのかということを研究班の中 で少し検証していますので、それも次回に資料で出させていただくと、軽度な急性期と か重度な急性期とかという議論につながっていくのではないか。  イメージとしては、事務局がこう考えられたのは、例えば老人などで肺炎等で入って くる場合に、病院によってかなり違うのだろうという、そういうイメージがこれは出て いるものだろうと思うのですが、研究班のところでそういうところを少しやっています ので、データとしてお示ししたいと思います。  ついでに話させていただきたいのですが、先ほど熊本委員が言われたことはとても重 要なポイントだろうと思っています。これから1,400というデータが病院から出てきた ときに、それを例えばどのように効率的にやっていこうとするかというと、今、研究班 の方でも、本体調査の方でも、様式1、D・E・Fファイルというものでうまく対応で きているわけですが、これが実際に実務として走っていくことになったときに、D・ E・Fというものを生きた仕組みにしておかないと、うまくやっていけないと思います。 中身の検証をするときにもプロセスを分析するときにも、どうしてもE・Fファイルと いう話になってきますので。そうすると、こういういろいろなDPCの電子レセプトな ども含めて、調査と支払いとがある程度一体化した仕組みというものをつくっていかな いと、事務的な処理が非常に難しくなってくるだろうなと。  なぜこんな話をしているのかというと、先ほど、手を挙げたけれどおろしているとい う病院がふえていると。これは2つ原因がありまして、1つは、まずベンダーさんその ものが対応できないとE・Fファイルがつくれないというパターン。もう1つは、様式 1がつくれないというパターンで、様式1も一応つくることはできるはずなのですが、 それぞれの施設にその情報の管理がきちんとできる人がいないと、そもそも様式1がつ くれないんですね。ICD10が振れないですから。そのレベルで多分ドロップアウトし ていっている病院があるだろうと思います。  それは確かに一つの指標になってくると思っていまして、これがいいかどうかはわか りませんが、研究班の中では、ICD10の109はどのくらい発生しているかというのを 病院ごとに出してしまったりしていますので、そんなものもよろしければこの次に資料 でお出ししたいと思います。 ○池上委員  後半の部分でおっしゃったデータの問題はぜひ出していただければと思いますが、前 半の部分の希少性に関して言えば、MDCの大分類にすべてにわたる希少性のある疾患 を出さなければいけないという解釈なのか、それとも、例えば整形外科の専門病院であ ったとしたら、整形外科の筋骨格系の中での希少性をカバーしていれば、それでいいの ではないかという解釈もできて。  なぜそう申し上げるかというと、そういう網羅的な機能というのは、医療計画の観点 から、先生も御存じのように、連携の対象として、がんであるとか脳卒中であるとか、 それぞれ異なる機能ごとに拠点を決めていくという場合に、すべての大分類ごとの希少 性を網羅することを病院に求めるというのは、医療計画の方向性とは逆行するのではな いかと思いましたので、その点、希少性というのをもう少し詳しく定義していただけま せんでしょうか。 ○松田委員  希少性はMDC別でもつくれますし、全体でもつくれるし、それで病院を選ぼうとい うことではないだろうと思っていますが、ただ、先生が御指摘されたのは非常に重要な 点だと思うのですけれど、希少性ですべてを評価しようというのではなくて、先ほどの お話の中では、希少性が高い病院を見ているところが、例えばそれに対応した資本コス トみたいなものがかかっているのではないかと、そういう議論を私大協の研究などでは してきましたので、我々が先ほど指摘したのはそういう点でございます。それで今回の これを全部切ってしまうとかそういう話ではないです。ただ、先生がそういう情報が望 ましいということであれば、全体とMDC別の希少性を施設別に出したものを、研究班 の中でいただいているデータだけですけれど、つくれますので、それをお示しすること はできます。 ○池上委員  つまり、私が申し上げたいのは、希少性のデータを提示していただくのだったら、全 体としての希少性と大分類ごとの希少性とでは意味合いが違うので、それは別個に提示 していただいた方がわかりやすいのではないかということです。 ○松田委員  それはもうやっておりますので、そのようにさせていただきたいと思います。 ○齋藤委員  希少性のことですが、DPCの大きな長所は、透明性であるとか、ほかの医療機関と の比較がしやすくなるといったことですけれど、例えばうちの病院は希少な病気なんか 一切ないと、そういうところがDPCにふさわしくないかといったら、例えば100床前 後の希少の病気なんか全然診ないところでも、透明性も欲しいし、ほかとの比較もした いということであってみれば、DPCにふさわしいかどうかということと、希少な病気 を多く診ているかどうかということとは別のことのように思えるのですが、いかがでし ょうか。 ○松田委員  そのように認識していますけれど、ただ、病院のいろいろな種別を見るのに、希少 性・網羅性というものを見ていったらどうかということでありまして、希少性が高い病 院だけをDPC対象病院にするということではございません。 ○齋藤委員  希少性ゼロだって、DPCにふさわしい病院はたくさんあっていいわけでしょう。 ○松田委員  例えば、眼科病院などですとそういう病院は当然あり得ると思います。 ○齋藤委員  そうですね。ありがとうございました。 ○松田委員  それから、先ほど池上先生が言われたことでとても関連して重要なポイントは、今回、 仮にほとんどの病院がドロップアウトしないとすると、平成19年度のデータに関しまし ては、DPCの上6けたのところの手術の有無別に、来年、実名でデータが公開される わけでございますので、そうすると各病院がそれぞれの医療圏でどのような診療を行っ ているかということがある意味でわかるわけでございまして、そういうデータがあると、 これは医政局の話になってくるかもしれませんが、地域連携とか病院の機能分化などを 考える上で非常に重要なデータになってくると思いますので、そのデータをもっていろ いろな議論をまたするということでもよろしいのではないかなと考えます。 ○宇都宮企画官  いろいろと御議論いただいているところですが、DPCの病院についてばらつきがあ るとかないとか、そういう議論の原因というのは、それぞれの方々の思い描くDPCの 対象というものが違うからであるということはまず言えると思います。そのときに、一 つある尺度をつくりたいと思うのですが、ある人は例えばセンチメートルで議論してい るのだけれど、別の人はキログラムで議論しているみたいな、まずその尺度がそろわな いと議論にならないということから、このDPCというのはあくまで急性期包括医療だ ということから、一つの物差しとして、急性期についての考え方をD−3−2のポンチ 絵で示させていただいたということでありまして、このポンチ絵自体が気に入らないと か下手くそとかいろいろあると思いますが、それは別にしまして、先ほどの松田先生の 1エピソードということでもよろしいのですけれど、大きく考えた意味の急性期につい ては、患者さんが病気になるなりして治療を行って、治癒する、あるいはある程度安定 的な状態になる、少なくとも回復期リハとか療養病棟に行くような状態ではないと、そ の部分についてはとりあえず皆さんで認識を共有していただけたらと思います。  その上で、その中でどこまでをDPCで診るのか、どういうものは診ないのかという 議論にしていただけると、これから議論が進むと思うのですが、いかがでしょうか。 ○西岡分科会長  時間もだんだんなくなってきましたので、本当はもっといろいろディスカッションし ていただきたいのですが、今のところ、新しく手挙げをされている方たちに対する方策、 また、既にDPCを適用されている病院や施設もそれに合わなければおりていただかな ければいけないということがございますので、そういう意味で、この急性期包括医療と いうところで、今の企画官の御提案されたようなことで、そこの部分だけはまず合意し ていただいて、さらにそこで1エピソードのものにするのかどうか、あるいはそれをさ らにどのようにするかという議論に続けさせていただけるとありがたいと思うのですが、 いかがでしょうか。 ○池上委員  それについて私は最初に申し上げたように、パターンAとパターンBは違う尺度を見 ているので、病態という単純なものに両者を統合して、パターンAの方が下の引っ込み が大きくて、パターンBの方が少ないという、これ自体が問題であるということを申し 上げているわけです。パターンAというのは重篤度のことを言って、パターンBという のは入院期間のことを言っているので、違うのではないでしょうかということを最初に 申し上げたんです。 ○西岡分科会長  これはまた繰り返してしまいますので、形としては、急性期の処置を行わなければい けないというものを対象とした疾患であって、しかも、比較的入院期間の短いもの、そ れを全体を取り上げるということで、その中で重症度の深さの浅いものと深いものとい うことにしては、企画官、いかがでしょうか。在院日数でというので分ける。この図が 横軸に在院日数があるものですから、わかりにくくなっているのですが。 ○宇都宮企画官  そうですね。その辺は我々も……。 ○小山委員  これは、ポンチ絵とは言われておりますが、私は自分が単純なせいか、よく理解でき ると思います。なぜかというと、DPC対象病院というのは恐らくこの真ん中から下の 病院だと思います。回復リハがひっかかるかもしれませんけれど。その中で、すごく軽 度で回復リハに近いところ、あるいは一番底の重度の急性期というのは結局DPCから 外れますから、この重なっている真ん中辺のところが恐らくDPCの対象になるのだと 私は理解したんです。  先ほどからの議論の中で問題になってくるのは、対象病院の基準を議論しているのか、 対象疾患を議論しているのか、ちょっとこんがらがってきているんです。ある程度オー バーラップするところはあると思いますが、それを何となく1つの絵で出しているのが このD−3−2だと思うのです。  ですから、対象病院の基準はどういう形のものにするのかということの議論を、細か い通知のデータがどうのこうのということではなくて、もうちょっと大きくとらえて、 例えばケアミックスはこういうところでは対象にならないよとか、先ほどベッド数で言 っていましたけれど、例えば50床未満はDPCの対象としてはおかしいと考えるとか、 そういう議論をした方が具体的なのではないかと思います。その上で、今までの360の 病院のデータの中からは、D−3−3に出ているような方式の中から、こういうところ に入ってくる病院を対象病院にしていくといった議論をされた方がよろしいのではない かと思いました。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。そこへ移りたかったのですが、なかなか入れなかったもので すから、申しわけありません。これはDPC本来の議論はずっと続けてやっていくこと になりますのと、もう一つは、今回入ってこられる方に対してどういう施設が望ましい のかということを今日ここで御議論いただけたらと思っています。そして、本質論は、 1エピソードにするのか、あるいは急性期の大きな意味での医療とするのかは別にいた しまして、ここでは急性期の幅広い医療を対象とするということにさせていただき、で は、そうすればどういう病院がふさわしいのかと。そこで、後に続いておりますD−4 以降の資料になってくるわけです。  一つは、データ/病床比はこれでいいのかどうかということ、もう一つは、先ほど邉 見委員からも御指摘がありました望ましい要件をどのように扱うか。そういうことで御 議論をお願いできますでしょうか。 ○齋藤委員  要するに、DPCの病院の持つべき機能というのは、発足時の82の特定機能病院、大 学病院の群で、そこで示されているのは、どういう疾患あるいは病態を持った患者を対 象とするかということと、それらの医療機関がどういう医療供給能力を持っているかと、 そういう2つの軸だと思います。  後の方は、DPCにふさわしいかどうかということの議論からは外して、極端なこと を言うと、5つの項目の中で、ゼロであってもDPCにふさわしい病院というのはたく さんあると思うのです。的確なデータを出して、いわゆる急性期病院、特定のエピソー ドの病院――私のイメージで言えば、日数と出来高の中できちんとした島の中におさま るような疾病を対象とした病院。ですから、島の中におさまる疾病を対象としているか どうかということが主であって、その病院が、例えば病理の専門医がいるかどうかとか、 麻酔の管理料をとっているかどうかとか、それは着物みたいなもので、本質から外れる のではないかなと私は思っております。 ○西岡分科会長  ここで多分皆さん方の共通認識だと思うのですが、いわゆる専門病院の取り扱い、そ して、ケアミックス病院の取り扱いです。これまでのヒアリングにおきましても問題に なってきているのは、どうもケアミックス病院にいろいろ問題が出ているわけですね。 そこのところの取り扱いをどういう形でできるかというので、データ/病床比というと ころでチェックすれば、そこのところが一つ外せるのではないかというのが御提案です。 ○小山委員  D−3−3の一番上のデータ/病床比ですが、今も計算しているわけですけれど、そ れと新しい方式との違いは何ですか。今、計算しているのと何が違うのでしょうか。同 じなんですか。 ○中田補佐  今の御質問は、D−3−3の計算式が、昔のというのは平成16年に出したときのもの と違うのかということですね。 ○小山委員  はい。その前に計算を出していますよね。その計算式と違っていますけれど、どんな 意味があるのか。 ○中田補佐  資料D−2につきまして、平成16年度の基準として、概ね3.5以上と書いてあるの みです。資料D−3−3の計算式は事務局でシミュレーションしたものですが、平成1 6年のものと大きな相違はないと考えています。なお、18年の改定時の抜粋資料を確認 しましたが、18年のときには特にその様な基準について明示はしていなかったという経 緯はございます。 ○西岡分科会長  これは基本的には同じ計算でございまして、そこへ実例として、なぜ3.5だったのか を出さんがためのこういった計算式であったということをお示ししたのだということで ございます。今だと平均在院日数も変わってきていると思いますし、もう少し厳しくな ってくるやもしれないということがございます。これは16年に入られるときにこういう ものが出たということで、これを基本にするということで、あとは先ほど来御議論いた だいております望ましい要件ですね。  あるいは、例えば、手術数であるとか化学療法であるとか放射線療法であるとかとい った形でやられていますが、急性期医療というものの定義がザクッとしたものでなかな か難しいところがありますので、そこを反映させられるようなパラメーターがあれば、 あるいはDPCをやるべき病院として望ましい要件がもっとほかにあるのかどうかです ね。そういうものが出てきますと、もっとはっきりしてくるのかなと思うのですが。 ○小山委員  余り細かいことはやらない方がいいんじゃないかと思います。例えば、救急患者の評 価をどうするか、救急患者はどのぐらいかという話になりますので、これは逆に機能係 数の中で考える考え方の方がすっきりすると思うのです。例えば、全入院患者数の何% 以上の入院患者数がいるのだったら、係数としてこのぐらい与えるという形でやった方 が……。それを最初の病院の入り口のところでとめてしまうと……、入り口のところは あくまでも急性期病院を扱うことという条件だけにしておいた方がいいんじゃないかと 思います。そのほかの細かいところは全部係数のようなものにした方が、入り口は単純 なのかなという気がします。  もう一つ入り口が単純な方がいいと思うのは、先ほどからおっしゃっていますように、 データが全部出てくるわけですね。そうすると、日本の疾患の構成が全部出てくるよう になりますので、できたら全部この対象にしたいなと思います。そういう意味でも、広 げた方がいいのかなと思います。そして、入ったところで、いろいろなことの機能の分 類の中で係数をつけて差をつけていくというやり方の方がいいんじゃないかなと思って おります。 ○木下委員  この議論をするときに、DPCのあり方としては、非常に理想的に透明性とか標準化 ですとか資源をむだにしないようにとか、そういう視点での議論というのは比較的簡単 だと思うのです。将来的にも大病院や大学病院を含めましてそれだけの機能を持ってい るところには、教育、研究、その他いろいろな視点があるだけに、こういう考え方もあ ってしかるべきかなと思っておりますが、最初に調整係数と機能係数というのはどうあ るべきかということが議論されませんと、結果としてどうなるのかと。支払いの仕組み を今やっているのが我々にとって一番大事な問題でありますので、国民の医療供給体制 の中で病院というもののあり方として、そういうふうにしても健全な病院運営ができて、 国民にとっていいのだということになるようなことがベースだと思うのですが、先が読 めない部分が確かにございまして、調整係数が読めるということを前提にして、機能係 数というのはまだわからないのだということになりますと、いずれやめたときにどうな るかというところが実は見えてこないわけですね。  したがって、今安定して「このやり方がいいのだ」と言っているところでも、「えっ、 そんなこととは違うぞ」というのでは困ってしまうわけですので、その辺の明確な方向 性が出た上で、そしてその中でなおかつ機能的にも、つまりあり方としてこういう病院 がふさわしいのだということの方が、支払いが絡まれていないのだったら、どんなやり 方をしようと理想的なことを言っていて、支払いの点も全然問題ないのだということを 前提にしている限りは非常に議論は簡単なのですが、その辺のところが見えてこないだ けに、こういう条件だったらいいのだということはなかなか言いづらいところがあるも のですから、そこを次回にでも避けずにちゃんと表に出して議論していただいた上で、 それだったら安心して我々としてもこういう条件でいきましょう、ということで話が進 められると思いますので、それは最初の条件ではないかと思うのですが、いかがでしょ うか。 ○宇都宮企画官  こういった係数については、木下先生のおっしゃるのも理解できるのですが、ただ、 むしろ逆にどういう病院が入ってくるかということを知った上でないと、どういう機能 というものを評価するという議論がなかなかできないのではないかと思います。ですか ら、それはある程度どういうところまで拡大する、どういう病院を対象にするというこ とを前提にした上ではないかなと考えまして、この議論の次に調整係数の議論という順 番で我々は考えております。 ○木下委員  機能係数をつけるとなれば、たくさんの機能を持っているところがいいに決まってい るわけですよ。ところが、機能を持っていない病院でも急性期を扱うのだと言って入っ てくる可能性は当然あるわけでありますので、その辺の方向性というものが少なくとも ないと見えてこないところがあるものですから。要するに、最初の理念のもとで言うな らば、これは確かにあるべき姿かなということは当然思う部分はあるのですが、しかし、 支払いということになりますと、我々はそういう視点は避けて通れない部分があるもの ですから、ぜひその辺は御配慮願いたいと思います。 ○酒巻委員  DPCの望ましい機能のディスカッションのときに、入り口はある程度緩く、しかし、 評価をしてDPCとしてはふさわしくない病院というものが存在するという前提でこれ を議論するのか。その辺のところも明らかでないと、入り口はあるのですが、その後は どうするのかということがはっきりとディスカッションができないという状況になって いるのですが、そんなことはないですか。入り口論と、その同じ基準でふさわしくない ということも決めていく――つまり、上がった後の話ですが。 ○宇都宮企画官  基準につきましては、入るときに基準があるわけですね。そして、やがてその基準を 満たさなくなってもズルズルというのは、何かおかしい気がしますね。ですから、やは り基準は1つではないかと考えるのですが。 ○酒巻委員  ダブルでは決してなくて、きちっとした基準の上で、入るときも、ここから外れるべ きだというときも同じであるということですね。 ○宇都宮企画官  そこは先生方の御議論ですが……。 ○西岡分科会長  今までの条件で、例えば、看護配置は10対1が望ましいというのは2年間の猶予期間 を置いて入っているんです。ですから、そこで10対1を満たせないような病院はやはり おりていただかなければいけないだろうということは、やはりどこかでやらなければい けないと思います。  今までの基準というのはそんなに高いハードルではございませんので、急性期医療を やるとすれば、それぐらいはというところがありますから、これは私が言うと問題にな ってしまいますけれど、やはりおりる方も考えていただけないと、この制度自身が崩壊 する可能性があるかなと思っているのですけれど。 ○酒巻委員  コーディングの精度ということが一番大きな問題になるわけでして、それ以外の部分 については機能を見ればわかることですが、コーディングの精度ということになります と、相当厳しく見ていかないとわからないというところがありますので、そういう意味 でお伺いしたいと思います。 ○齋藤委員  コーディング精度が非常に重要だというのはまさにそのとおりだと思うのですが、そ の精度を担保するために、例えば10対1の看護基準を持っているかどうかということは かなりギャップがあると思うのです。そして、例えば10対1の基準から外された病院で は出来高に戻りなさいというと、いわゆる急性期の入院医療というものを出来高でどん どん進めていくというのが我が国の医療政策として望ましいかというと、やはり一番望 ましいのは包括の形だと私は思います。その辺の認識をどう位置づけるかという問いか けだろうと思います。 ○西岡分科会長  昨年に続いてことしのヒアリングで委員の方々は多分お感じだろうと思いますが、適 切でない施設もやはりあったと。それが改善されるのであればいいのですけれど、改善 されないとすれば、やはりこのDPCの方向性とは異なってくるだろうということをど うしても考えざるを得ないですね。 ○齋藤委員  そうですね。それはもう出来高のときから、レセプト病名を羅列するとか、そういう 望ましくない請求体制というのはあるわけですね。それをチェックする仕組みは、また それはそれなりに十分検討する必要があるのかなとは思っております。 ○松田委員  実務的には、今年度これだけデータを出していただいている病院の中から幾つかがこ のまま制度に乗るということを前提に参加していただいているわけですので、やはりそ の希望を果たすための基準をつくるということが大事だろうと思います。ただ、そのと きに、今いろいろと委員の先生方のお話を聞いていても、まだかなり検討しなければい けない部分が多いと思いますので、そうすると、少し附帯条件などもつけて、今まで入 っている典型的な病院と同じような基準で見直しを前提として基準を決めるということ をしなければ、今までデータを出していただいている病院も納得されないと思いますし、 ここで何とか到達点を探るということをとりあえずやらなければいけないのかなと思い ます。  いろいろな議論をしていくと、究極の基準をつくるという話をしてしまうと、これは 1年たっても2年たっても終わらないと思いますので、とりあえずこの制度を阻害しな い程度に、将来的に思い描く像を考えたときに、そこに障害にならないような基準を暫 定的につくってということで収拾しなければいけないのではないかなと思います。  そして、それをやる上で、きょう小山委員がおっしゃられたとおり、この絵というの はそれなりにうまくできている部分がございまして、今、事務局としても持っている問 題点というのが、同じDPCだけでも資源投入量がすごく軽いというのが、この軽度な 急性期というところでイメージされているのだと思いますけれど、そこのところをデー タに基づいて分析をするということで、次回以降の議論に資することができるのではな いかなと思います。  それが99とか97で00何とかとなっている分類のところだと思いますので、そこのとこ ろを少し詳しく見て、具体的な議論の題材というのをもしよろしければ私ども研究班の 方で少し準備させていただきます。 ○西岡分科会長  ぜひともそのデータを御提供いただけると非常にありがたいと思います。  うまくまとめていただいたのですが(笑)、ありがとうございます。  これに続いて、また調整係数の議論を次回にお願いしなければいけないと思いますし、 また、DPCの根本論というのはずっと続けてやっていかなければいけないと思います。 これでまとめてしまうというのはまだまだ問題はあるかもしれませんが、新しくDPC に入りたいということで手を挙げておられる病院に対しては、急性期医療というものを このポンチ絵にあるような形での、医療資源が非常にたくさん必要なものと必要でない ものといったところ、それを全部含めた形で急性期と一たん定義するということになろ うかと思います。  そのときに、参入される要件といたしましては、このデータの精度がまず一番問題に なりますが、精度の高いデータが出せるかどうかということと、今まで決めてあります データ/病床比が3.5以上の場合と――これは少し数値は変わるかもしれませんが、そ して18年度導入のときの必須条件を考えていくと。  もう一つは、望ましい条件に関しては、小山委員から非常にいい御意見をいただきま したので、こういったものを機能係数のところに反映できるかどうかという形で持って いってはとも考えますが、いかがでございましょうか。  きょうの御議論も非常に興味深い大事な御議論でございますので、ぜひともこれは続 けていかなければいけないと思っております。そして、次回に松田先生の方から研究班 のデータをいろいろ出していただきまして、このDPCそのもの論、そして調整係数に 関する議論に入っていきたいと思っておりますが、よろしいでしょうか。  勝手にまとめまして申しわけございませんが、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、本日の御議論は以上とさせていただきたいと思います。  次回の予定について、事務局からお願いいたします。 ○中田補佐  次回の開催につきましては、当初、皆様に10月30日を予定していると御連絡しており ましたが、変更となりまして、11月2日、金曜日、15時から予定をしております。場所 等につきましては事務局から別途御連絡させていただきます。皆様に御迷惑をおかけし ましておわび申し上げます。 ○西岡分科会長  それでは、平成19年度第6回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会を終了させて いただきます。本日は、お忙しい中をどうもありがとうございました。                                    −了−   【照会先】         厚生労働省保険局医療課包括医療推進係         代表 03−5253−1111(内線3278)