07/10/22 第31回安全衛生分科会議事録 第31回労働政策審議会安全衛生分科会 1 日 時 平成19年10月22日(月)13:30〜15:30 2 場 所 厚生労働省労働基準局第1,2会議室 3 出席者 (委 員)公益代表 平野委員、相澤委員、今田委員、露木委員、中原委員、  名古屋委員 労働者代表 鈴木委員、高橋(孝)委員、中桐委員、仲田委員、  古市委員、眞部委員、芳野委員 使用者代表 豊田委員、中村委員、松井委員、三浦委員、山崎委員 (事務局)青木労働基準局長、鶴田安全衛生部長、坂口計画課長、 平野安全課長、金井労働衛生課長、榎本化学物質対策課長、 野澤計画課調査官 4 議事録 ○分科会長 ただいまから、第31回労働政策審議会安全衛生分科会を開催いた します。本日は内藤委員、伊藤委員、高橋信雄委員が所用のため欠席していま すが、第9条に規定する定足数を満たしていますので当分科会は成立している ことを申し上げます。またこの度、安全衛生部長をはじめ事務局に異動があり ましたので紹介させていただきます。 ○安全衛生部長 8月24日付で安全衛生部長を拝命しました鶴田でございます。 私は労働衛生課長としてこの分科会に出席しておりましたが、6年ぶりでありま すのでまたよろしくお願い申し上げます。交替のありました職員について自己 紹介させます。 ○計画課長 計画課長になりました坂口でございます。どうぞよろしくお願い いたします。 ○安全課長 8月24日付で化学物質対策課長から安全課長に異動になりました 平野でございます。引き続き、よろしくお願いいたします。 ○化学物質対策課長 同じく8月24日付で化学物質対策課長になりました榎本 でございます。よろしくお願いいたします。 ○分科会長 どうもありがとうございました。議事に移ります。本日1つ目の 議題は「第11次労働災害防止計画骨子案について」です。本件は今後、厚生労 働大臣から労働政策審議会会長あての諮問が行われる予定の案件です。まず、 事務局からご説明願います。 ○計画課長 それでは説明させていただきます。お手元の関連する資料は、資 料No.1-1と1-2です。安衛法の第6条で、厚生労働大臣が労働災害防止のための 主要な対策に関する事項等を定めるということで、労働災害防止計画を策定す ることとされていますが、策定に際しては、労働政策審議会の意見を聞くこと とされています。現在の第10次労働災害防止計画は計画年度を平成15〜19年 度ということで策定をしており、その計画に基づき施策等を進めているところ ですが、いま申し上げたとおり、計画期間が平成19年度までとなっております ので、平成20年度を初年度とする第11次労働災害防止計画(11次防)を策定 したいと考えております。先ほど申し上げたとおり、労働政策審議会において、 その計画について今後ご審議をいただきたいので、よろしくお願いいたします。  スケジュール等今後の議論の進め方ですが、本日、資料No.1-1のとおり11次 防の骨子案を示したところです。骨子案という形で、フレームワークですので、 どんな安全衛生対策を盛り込むかについての概略を本日説明して、それを基に、 委員の皆様方に自由にご意見をいただきたいと考えております。本日のご意見 等も踏まえまして事務局で計画の文案を作成し、次回、年末ないし年明けの早 い段階で分科会に本文案をお示ししてご審議をさらに進めていただきたいと考 えています。資料の具体的な内容については調査官から説明いたします。 ○計画課調査官 それでは資料に従って説明させていただきます。第11次労働 災害防止計画(11次防)の作成に当たりまして、いわゆるPDCAサイクルを回す という観点から、11次防を作成する前に10次防のCとA、つまり評価・見直し を行うということで、第10次労働災害防止計画の評価を行っていますので、そ れから11次防の骨子案まで一連で説明させていただきます。  資料No.1-2をご覧いただきたいと思います。この評価につきましては、安全衛 生部として、10次防の各対策について、10次防開始時にどのような課題がある か、10次防でどのような具体的な対策を盛り込み、その実績がどうであったか、 そして、10次防の開始前後で指標値にどのような変化があったか、それによっ て対策の効果をどのように評価できるか、それから、残された課題と今後の対 応を整理いたしました。そのような内部評価を行ったものでございます。  まず資料の2頁をご覧いただきたいと思います。総括評価につきましては、 10次防の目標4つにつきまして現状評価・分析を行っております。概括的にそ れを申し上げますと、(1)の「死亡者数」は、1,500人を下回ることは達成できそ うだという見込みがございます。それに対して(2)「労働災害総件数の20%以上 の減少」あるいは(3)「じん肺等の重篤な職業性疾病の減少」「死亡災害に直結し やすい酸素欠乏症等の撲滅」、(4)「過重労働、職場のストレスによる健康障害等 の着実な減少」については、目標達成はやや難しいという状況にございます。  その要因としまして、まず(2)の労働災害総件数につきましては、第三次産業 における増加が顕著であると考えております。それから(3)で、例えばじん肺に つきましては、金属製造業等で新規有所見者が減少していないということがご ざいます。またメンタルヘルスについては、仕事に強い不安や悩みがある労働 者が減少していない等を挙げております。  これらをはじめとする10次防の各対策についての評価結果は3頁、具体的に は4頁以降にございます。対策が非常に多岐にわたりますので、時間の関係も あり逐一説明することは省略いたしますが、11次防の重点にもつながるような ところについて、いくつか説明いたします。  6頁をご覧いただきます。いちばん上の機械災害につきましては、中ほどの「対 策の効果」にあるように、それぞれ災害は減少しておりますが、絶対数として はまだ多く、引き続き重点として対策の推進が必要と考えております。  今後の課題として4つ挙げてありますが、1つ目と2つ目は、平成18年に安 衛法を改正して努力義務化しました危険性、有害性の調査等、いわゆるリスク アセスメントについて、製造段階あるいは使用段階での取組みをさらに推進し ていく必要があると考えております。また3つ目ですが、労働災害発生状況を 分析する中で災害が多発する機械も明らかになってきている面がございますの で、そういったことについて安全対策の強化を検討するということを挙げてお ります。  9頁をご覧いただきます。いちばん上のメンタルヘルス・自殺対策につきまし て「対策の効果」をご覧いただきますと、精神障害の労災認定者数は、始まる 前の平成14年には100人であったところが、平成18年には205人と倍増して おります。この辺については各事業場でも効果的に対策が推進できていないと 考えられますので、各事業場で取り組める効果的な対策を検討し、普及するこ と。その取っかかりとして「今後の課題」にあるように、相談体制を整備して 早期の気付きを可能とすること、専門機関での対応を促進するための仕組みの 整備を行うこと等を今後の課題と考えております。  10頁です。いちばん上にリスクアセスメントとマネジメントシステムのこと が書かれております。リスクアセスメントの実施率は、直近の数字で把握して いるところでは2割程度しかない。マネジメントシステムについても、下にあ るように、規模が小さくなるに従って導入率が低くなっています。  その辺の原因と課題について後ろのほうに書かれているわけですが、まずリ スクアセスメントについては、人材、ノウハウが不足しているという意見が多 いようですので、その辺の人材養成あるいはマニュアルの作成等を行って、こ んなふうに取り組んだらいいのだというところを示していくことが課題だと考 えております。またマネジメントシステムについても、小規模事業場での導入 率が低いということがございますので、段階的な導入が必要であると課題を捉 えております。10次防の評価は11次防に盛り込むべき対策を明らかにしていく プロセスでもありますので、この結果を踏まえて11次防骨子案を作成したとこ ろです。  それでは資料No.1-1、11次防骨子案について説明いたします。11次防に盛り 込むべき事項をリストアップしたものが資料No.1-1ですが、概ね数字や片仮名の 符号が付されている項目は、最終的に文章化されたときにも見出しになるので はないか。それに対して、ポツを打ってあるようなものは内容になるというイ メージである、そういう感じで捉えていただければと思います。時間の関係で 逐一は説明できませんが、重点的な事項、新しい事項を中心に説明をさせてい ただきます。  1.と2.は前書き的なものと現状の分析で、先ほどの評価もこの一部になると ころです。3.は災防計画の共通の考え方のようなものをここに示したいと思い ます。従来もそれぞれの災害防止計画に狙いや哲学といったものはあったのか もしれませんが、必ずしも明確に示されていなかったのではないかと思ってお りまして、その結果総花的な形に受け止められるということもあったと思われ ますので、そういったことのないよう、1つの考え方を示したいと思っています。  簡単に説明いたします。(1)について、死傷災害はかなり減少に鈍化傾向が 見られて、昨年は若干増加するという結果もある状況です。労働災害全体を一 層減少させていかなければならないというときに、事業場のリスク全体を低減 させていくことが必要だと思っています。一方で死亡災害につきましては、先 ほども申し上げたように着実に減少はしているのですが、なお重篤な災害は多 い。死亡に至らないものを含めて多くあるということで、災害が多発している 作業・設備についてさらに対策を充実・強化すべきものがあれば、それを併せ て行っていく必要があるのではないか、そのような認識で考えております。  (2)はそれについてそれぞれ対策を示したものです。まず前者については、危 険性、有害性の調査等、いわゆるリスクアセスメントを普及徹底していくこと を考えています。後者につきましては、災害が多発しているものについて発生 状況を分析して、対策の強化等について検討を進めていくという手法で対応す ることを考えております。この2つを、いわば労働災害防止のための車の両輪 のように考えていきたいと思います。  (3)につきましては先ほど少し申し上げましたが、災防計画においても目標を 掲げ、段階的、計画的に実施して進捗について評価を行い、必要であれば見直 しを行うというPDCAを回そうと考えています。  続いて2頁の4.計画の期間です。課長からもお話がありましたように、従前 どおり平成20〜24年度の5カ年としたいと思っています。  5.の計画の目標ですが、(1)目標、(2)重点対策目標という2つに分けてござ います。(1)につきましては、対策全体の効果を表す指標について目標を設定す ることを考えております。それに対して(2)については、個別の対策のうち特に 重点的な取組みを行うものについて、行政としてどのような取組みを行うか、 いわゆる行動目標のようなものかと思うのですが、そういったものを示して、 その結果として、どのような点にまで至らせるか、結果の目標というものを示 す。そういったことを行うことによって、関係者がその取組みを十分に認識し て、例えば局署(一線の労働局や監督署)であれば一線の行政をどのように進 めるか。事業場であれば、自分の事業場で安全衛生活動にどのように取り組む かということを十分に認識していただくために示したいと考えています。  引き続いて6.の重点対策です。(1)〜(4)がございますが、(1)と(2)について は、先ほどから申し上げているリスクアセスメント、それから個別対策の充実・ 強化がありますが、それに加えて(3)、社会問題化しているメンタルヘルス対策 あるいは過重労働による健康障害防止対策の推進を重点として考えていきたい と思っています。(4)については、化学物質管理におけるリスクアセスメントの 徹底あるいはモデルMSDSの計画的な作成等の推進を考えております。  7.以降が具体的な対策ですが、新しいものを中心に説明させていただきます。 まず(1)のアは先ほどから申し上げているリスクアセスメントの関係ですが、特 に中小規模事業場の普及促進という点に視点を置いて、典型的な作業等にかか るマニュアルの作成や担当者の養成、そういったことを考えております。  ウについては、労働者の安全と健康を最優先する安全文化の醸成について、 企業トップをはじめとする企業全体への浸透を図ることを考えています。エ情 報の共有化の推進等については、災害事例等の情報を公開することにより、労 働災害防止の重要性等を広く国民、企業に訴えることにより、企業等が積極的 に労働災害防止活動に取り組む環境を整備する、そういったことにつなげてい きたいと考えています。  (2)の特定災害対策ですが、アは機械災害防止対策で、製造者による製造段階、 事業者による使用段階でのリスクアセスメントの促進、それから、製造者がリ スクアセスメントをした場合に、実施した機械について表示する、あるいはそ こで残ったリスク、いわゆる残存リスクについての使用上の情報提供を促進す るための措置を検討していきたいと考えております。さらに、災害が多発して いる機械についての労働災害発生状況等の分析、安全対策の充実・強化につい て検討するということもここで決めております。  イの墜落・転落災害防止対策ですが、墜落・転落災害の占める割合が大きい 建設業等に加えて、他の業種でも発生している墜落・転落災害のうち、例えば 建築物の梁、スレート屋根あるいは荷役作業中の墜落・転落災害防止対策の強 化について検討をし、必要な措置を講じることを考えております。  ウの交通労働災害防止対策ですが、1点としては、運転実態と災害発生の関係 に関する調査結果を踏まえた交通労働災害防止ガイドライン等の周知、それに 加えて、IT技術を利用したトラックの走行状況のリアルタイム把握、運転者へ の安全衛生管理のための指示を行う手法の開発・普及、この2つを考えていま す。  3頁の(3)のアは、製造業対策ということで、先ほど申し上げた機械災害対策 等はこの中に入るわけです。さらに3つ目のポツ、IT技術を利用した安全衛生 管理手法ということを考えておりますが、これは団塊世代の大量退職に伴う安 全衛生管理のノウハウの喪失に対応するため、ICタグ等による情報提供等新た な対策を促進することを考えています。  イの建設業対策ですが、従来からの元方事業者、専門工事業者、発注者等そ れぞれの立場から安全衛生対策を推進することについての指導を行う。それに 加えて、災害の種類別として、墜落・転落災害、建設機械災害、土砂崩壊災害 等という、建設業における三大災害についての対策を盛り込みたいと考えてお ります。  ウの陸上貨物運送事業ですが、これまでの説明に加えて、荷主等に対して労 働災害防止に配慮した発注を求める等、荷主対策も推進したいと考えておりま す。  エの林業対策ですが、死亡災害が多発している伐木作業中のかかり木処理、 つまり伐った木が立木に掛かったまま止まってしまった場合の処理作業につい ての安全対策の強化を考えております。  オの第三次産業ですが、先ほどから申し上げているように災害が増加してい るということで、対策の強化が必要であると考えています。具体的には卸売・ 小売業、社会福祉施設、廃棄物処理業等で多発していたり増加していたり、あ るいは発生率が高いということがございますので、こういったところについて、 リスクアセスメントに加えて、災害事例等を活用した自主的な安全衛生活動の 促進等の対策を図ることを考えております。  (4)の職業性疾病ですが、まずアの粉じん障害防止対策については、じん肺有 所見者が多く発生しているアーク溶接作業、金属等の研ま作業、あるいはトン ネル建設工事等にかかる粉じん障害防止対策を重点として総合的な対策を推進 することを考えております。その中に含まれるものは、トンネル建設工事に従 事する労働者へのばく露の低減のため、効果的な換気の実施等の対策の徹底。 イの腰痛予防対策については、介護作業等を重点とした腰痛予防対策指針の見 直しのほか、腰痛危険性を具体的に認識させる手法の検討、普及、啓発。ウの 振動障害については、振動レベルに応じた作業時間基準に基づく作業管理の周 知・普及を図ること。そのためにメーカー等に対して、振動工具への振動レベ ルの表示の徹底を考えております。エの熱中症対策ですが、具体的な対策を検 討して、いま出されているガイドラインをさらに具体化していきたいと考えて おります。  続きまして4頁、(5)の化学物質対策です。アの石綿障害予防対策につきまし ては、現在例外的に全面禁止措置が猶予されている石綿製品について非石綿製 品への代替化の促進を図りたい。さらに、解体作業等におけるばく露防止措置 の徹底。3点目は要件の見直しが行われた健康管理手帳について、広く周知する ことを考えております。ウの化学物質管理対策としては、欧州において危険有 害性があるとされている化学物質についての計画的なGHS分類、モデルMSDSの 作成、引き続いて国におけるリスク評価を行い、リスクが高い化学物質につい てはその規制等を進めることも考えております。  (6)のメンタルヘルス対策等ですが、まずアについては、事業場内の管理監督 者、産業保健スタッフ等に対してメンタルヘルス不調についての気付き等に係 る教育・研修を行い、事業場内の相談体制の整備を図りたいと考えております。 さらに、メンタルヘルスに係る優良な事業場外資源の確保、利用促進も考えて おります。4つ目として、いろいろな事業場でメンタルヘルス対策を効果的に取 り組んでいる事例を調査し、そういったことが他の事業場でも取り組めるかど うかについて検討を進めていきたいと考えます。  イの過重労働については、まずは長時間労働の抑制の指導がございますが、 平成18年に改正した面接指導の徹底について、産業医選任義務がある事業場に おいては、そこで完全実施する。選任義務のない事業場においては、適切な実 施をするために、地域産業保健センターにおける実施体制の整備を進めていき たいと考えます。  (7)ですが、アについては県ごとにある産業保健推進センターと地域産業保健 センターを有効活用して、あるいはそれらが連携して、産業医の選任の徹底、 産業医活動の充実、産業保健スタッフの活用、そういったことを考えています。 イについては、健康づくり対策にかかる目標の設定と評価の明確化、その計画 的な推進等による健康づくりの普及、定着を図ることを考えています。ウにつ いては、快適職場づくり対策でもありますが、職場の人間関係等ソフト面から の職場の快適化を含めた総合的な快適職場づくりの検討。受動喫煙対策につい ては、徹底し、充実・強化も検討していきたいと考えています。  (8)は安全衛生管理対策の強化についてです。アの安全衛生教育については、 業務に従事した期間の短い労働者の労働災害が増加傾向にあることから、雇入 れ時あるいは作業内容変更時等の安全衛生教育の充実、実施の徹底を考えてい ます。団塊世代の大量退職への対応ということで、熟練労働者からの知識、技 能の伝承の促進ということがございますが、先ほど申し上げた、IT技術等を活 用した対策もこの中に含めていきたいと考えています。イの中小規模事業場対 策の推進については、災害事例等の活用による安全衛生情報の活用によって自 主的な安全衛生活動の促進を図っていただく。それから、中小規模事業場にお ける安全衛生水準の確保・向上のために、外部専門機関等による安全衛生業務 の代行といったことについても今後検討していきたいと考えております。  ウは就業形態の多様化です。派遣労働者の問題については、派遣元・先の措 置義務の徹底を進めていきたい。製造業については、元方事業者による総合的 な安全衛生管理の指針の徹底を考えております。  エの高齢化への対応ですが、加齢に伴う心身機能の低化等を考慮した作業環 境、作業方法の改善、快適職場の形成促進等いろいろな対策が関係してまいり ますので、それらを総合的に推進していきたいと思います。  オはグローバル化への対応です。1点ここでお話しておきたいのは、安全衛生 に関する新たな国際的な知見が得られた場合に、そういった情報の速やかな把 握、的確な対応ができるような体制の構築を考えていきたいと思います。  (9)は効率的・効果的な施策の推進です。イは地域における災害多発業種等対 策。地方の労働局署において、そういったことを重点対象として集中的に指導 等を従来から行っているわけですが、そのことを災害防止計画に位置づけてい きたいと考えています。  エについては、本計画の進捗、成果、目標の達成状況等の評価、その結果を 踏まえた対策の内容、手法の見直し、そういったことを適宜行うことを内容と して考えております。以上で説明を終わります。 ○分科会長 どうもありがとうございました。ただいまの説明についてご意見、 ご質問がありましたらお願いします。 ○仲田委員 これは質問になるかと思います。ご説明の全体的なところで、対 策としての全体的な視点と重点的な視点があり、特に重点的な視点が大事なの ではないかというようなお話があったかと思いまして、それはそうではないか と私としても思っています。そこで、例えば3.の(1)の後段に、個別対策の充実・ 強化が重要な課題だとあるのですが、そういうことをしていくとなると、ター ゲットの絞り込み、という言い方が適切かどうか分かりませんが、そういうこ とが大事になってくるということですが、その絞り込み方ということについて、 現時点でどういう視点をお持ちなのか。件数が多いとか少ないとか、業種。企 業の状態というのですか、大きさや労働者の契約待遇、いろいろあるかと思う のですが、どういう切り口で絞り込んでいこうと思っているのかということが 現時点であれば、お伺いしたいと思います。 ○分科会長 本日ご審議いただくのは骨子案ですので、今おっしゃったような ことをどう考えておられるのか、話を聞いてみたいと思います。 ○計画課調査官 対策の充実・強化の視点ですが、先ほど申し上げたように、 車の両輪はリスク全体を低減させること。この対策は軽いものから重いものま で、どのような災害もすべて対象にしています。しかし、個別の対策を充実・ 強化すると言う限りは非常に重い災害、我々はそれを「重篤な」という言葉で 表現しておりますが、死亡災害や障害が残るといった重篤な災害を対象に、安 全面や衛生面で個別対策の充実・強化を進めていきたいと考えております。 ○分科会長 重篤なもの以外は無視するということではなくて、「重篤」に重点 を置くという思想だと思います。 ○仲田委員 たぶんそのとおりだと思うのですが、その「重篤」を切っていく ときに、どういう視点でそういうものを見ていくのかと思ったのですが、それ はここで自由に意見を出してくれと言われれば、そうなのかなと思っています。  実態を分析するときに、例えば目標の(1)では人数が減っているということな のですが、同じように多い業種で、減ってきてはいてもお亡くなりになった方 が一定数いるということで、亡くなり方というと変ですが、その要因が構造的 にどう変わってきているのか、ただ対策で減ってきているのか。同じ10人の方 が亡くなるとしても、構造要因の変化がその中にあるのではないか。ターゲッ トを絞り込んだ政策を打つときに、同じように考えた延長でずっと行くのであ れば、それはそれなのですが、分析がないと、それが良いとか悪いとかとは言 えないと思ったものですから、もしそういうものがあれば、現時点で配慮して もらえればというのが趣旨です。 ○松井委員 いま仲田委員がおっしゃられたことは大変重要だと思っておりま す。10次防の評価のところで目標の(4)、これは過重労働とメンタルの問題なの ですが、目標の設定そのものが適切であったのかどうか。今後計画を立てると きに、是非そういうことを議論していただきたいと思います。特に労働側の方々 からすると、職場がひどい状況にあるのだから当然だという反論が起きるかも しれませんが、特にメンタルヘルスの問題については、その取組みが進めば進 むほど件数が増えてくるケースもあります。それに対する偏見とか後ろめたさ が職場になくなってくると、自分もそういうものの相談を受けていいのではな いかという気持も強くなると思います。件数が増えたから問題なのかどうかで す。ここの指標としては、最終的には労災認定という数で見ているのかもしれ ませんが、こういう部分については、取組みが進むことと、その効果をどのよ うに測るのかということを今後議論する。仮に今度の11次防の中でこういうも のも目標値に設定するのであれば、そんなことも注意をしていただければと思 う次第です。  もし全般的な件を申し上げるとすれば、この間、いわゆる団塊の世代の大量 退職に備えてさまざまな取組みをするということを、いろいろなところで指摘 してくださったことは大変ありがたいことで、それは感謝御礼申し上げます。 ただ、最後のほうの項目で「高齢化への対応」と書いてあるのですが、高齢化 ということについて企業側の問題意識をまず1点申し上げたいと思います。  昨年から施行されている、いわゆる高齢法による段階的な60歳代前半層への 雇用義務がかかってきているということ。それから、今月から始まっている雇 用対策法において、年齢差別の禁止が義務化されています。企業の問題として は、年齢を基軸とした異なる取扱いが難しくなってきている中において、言っ てみれば、ご高齢になれば、加齢に伴う個人差は非常に大きくなるという実態 があります。そうすると、どういうところが企業として安全な線なのか。今ま でのさまざまな対策は、おそらく「場」の問題についての対策はいろいろ打た れてきていると思いますが、個人、つまり働く方々におけるヒューマンな部分 の個体差に対する対策はあまり十分ではなかったのではないかという認識を持 っております。  11次防を策定していく中において、個体の差、特に加齢によって起こる個人 の差が相当大きくなってくることに対する企業側の雇用責任がかかってきてお り、その部分にどういう形で対応していくのか、そういうことを1つ大きな項 目として取り上げてもらえればと思う次第です。  3点目は国際化への対応です。化学物質のところでそういうご説明が若干あっ たと記憶しているのですが、国際化への対応と言うならば、国内独自で行われ ているものも本来どうあるべきなのかということも、議論の俎上に載せて進め てもらわなくてはいけないと考えております。具体的に言いますと、来年の4 月から、安衛法の規則に基づいて腹囲も測定するということが決まっておりま すが、そこまで事業者責任を負わせることが重要なのかどうかということも考 えてもらわなくてはいけないと思います。日本独自のものはあってもいいと私 は思いますが、いわゆる「いいとこ取り」ばかりはしないでほしい、というこ とだけは申し上げておきたいと思います。 ○計画課調査官 1点目の過重労働、メンタルヘルス対策については、目標を持 ってというようなことの中で、今後の我々の検討の中にはそういったことも当 然出てくると思います。最終的な労災認定者数なのか、それとも取組みで測っ ていくのかという辺りについては、今すでにある程度議論になっておりますが、 我々のほうもちゃんと議論していくことになると思っております。  2点目の「高齢化への対応」につきまして、我々安全衛生サイドにおいては、 例えばリスクアセスメントの施行通達には、高齢者がいる場合には、それを含 めてリスクの低減を考えていきなさいという一般的な考え方があり、そういっ たものは今後も1つ基本になる考え方だと思います。しかし、いろいろな問題 があろうかと思いますので検討していかなければならないと考えております。 ○分科会長 平均値で考えると、かなり危険だというアドバイスをいただいた のですが、そのことについてはどうですか。 ○計画課調査官 高齢化についてですか。 ○分科会長 高齢に限らず、メンタルの話もそうです。時代がどんどん変わっ ているときに、平均値で考えて、これがいいのだという対策は立てられなくな ってくるのではないかということだと思うのですが。 ○計画課調査官 平均値をどこに置くかということです。先ほどのリスクアセ スメントのこともお話しましたが、平均値においては駄目。では、さらにリス クが低い点についてまで下げたときの合理性みたいな問題もあると思いますの で、その辺は難しい問題かと思います。平均であればそれで良いという話では なくて、それよりもリスクの低い点にしっかりと視点を置いてやっていかなけ ればいけないのだと思います。 ○分科会長 難しい問題がありそうですが。ほかに何かご意見がございました らお願いいたします。 ○三浦委員 質問事項になると思うのですが、7.の(2)のイに「新たな足場に関 する規制に基づく」という文章があるのですが、この辺の中身をご説明願いた いのです。 ○安全課長 ご存じのとおり、建設あるいは他の業種でも、墜落災害や転落災 害が死亡災害で大きな割合を占めているので、対策が必要ではないかというこ とになっています。現在、労働安全衛生総合研究所で研究会が設けられて、そ こで足場からの転落や墜落災害について、現在75cmの手すりを設けなければい けないという規制があるわけですが、そういう対策が十分かどうかということ も含めて、そういう災害を防止するための対策について検討されているという 状況にあり、その内容等も含めて、この内容を記述していくのかなと考えてい ます。 ○中桐委員 先ほど計画課長から10次防の総括的なお話がございました。数字 ですとかそういうものを見れば、そういうことになろうかと思うのですが、も う1つ大事なことが10次防にはあったのではないかと思っているのです。この 10次防の期間に、安全衛生法の大きな改正がございましたが、これは哲学も含 めた改正であったのではないかと思っているのです。  それは10次防に出てくる「労使の自主的な」という言葉が必ず付くという考 え方。その考えのもとに「リスクアセスメント」という、これまであまり馴染 みのない考え方を紹介して、それをマネジメントシステムの中で定着させよう とした、そういう5年間だったと思うのです。安衛法の改正というプロセスの 中で、アスベスト問題がありましたから、実際に労使、それから行政も含めて 約1年間、ある意味でそのことに忙殺されて、本来の計画にあった事項に手が 出ないということがあったかと思います。特に行政でいいますと、本来必要な 詳細を決めるさまざまな通達が遅れてしまった。メンタルヘルスの通達も、た しか施行から遅れて、出てきたのは半年後ぐらいでした。この5年間のうち1 年ぐらいはロスをしたというところで、しょうがないのかなというところはあ るわけですが、そういう部分の総括というものを聞きたいと思っているのです。 こういう5カ年計画を作って政・労・使一丸となって目標を達成しようという ことは、ほかの計画もみんなそうなっていると思いますが、それを実現してい くためにやるべきことはたくさんあろうと思うのです。  あるいは一種の安全文化をつくろうというところ。今回の骨子では出てきま せんが、11次防の中でもそこがなければいけない。ではどの水準を目指してい るのかというところで、10次防は明らかにヨーロッパを狙っていたと思うわけ です。期間中にILOのタカラさんという安全局長をお呼びして講演を聞いたと 思います。その際に、日本の安全衛生水準を世界の中で比較した表を出してい ただきましたが、世界で10位ぐらい。日本より先にいるのは全部ヨーロッパの 国々だったというのがショックだったのですが、日本の安全衛生水準は、その 当時、世界では10番目ぐらい。今はどうでしょうか。比較表はありませんが、 そんなに上にあがったとは思えません。11次防も、何を狙うかというところで 比較する他の国があろうかと思うのです。イギリスの水準、EUの水準と比べて どうなのだろう、というようなことを考えながら、いろいろなことを考えない と独り善がりになってしまいます。10次防の総括のときにそういうことを考え ていただいて、では11次防ではどうしようかというところにつなげていただか ないと、自分たちのいる水準が一体どの辺なのだろうという足元が分からない ということになりますので、是非その辺を点検していただきたいのです。  今日も午前中にはじん肺の審議会がございまして、新しい対策要綱を作りま した。現場に持っていったときにどういう問題が起きるかということで質問や 意見がいろいろ出ましたが、そういう問題の立て方をする。計画だけではなか なか見えないことがあるのです。ここで本来議論すべきなのは、現場ではこう なのだからこういうことが必要ではないかと、紙にあることを現場に照らし合 わせてチェックする、ブラッシュアップする、私たちはそういう作業が必要な のではないかと感じております。 ○松井委員 いま中桐委員がおっしゃられた、10次防における取組み、その部 分は11次防でも考え方として貫いていただきたいと思います。安衛法の改正に よって、リスクアセスメントについても企業がより取り組む方向性が出てきま した。また労働安全衛生マネジメントシステムについても、少しですが、前回 の安衛法で取っかかりがついたのだと思います。そういうことからしますと、 基本的には、現場で実際にきちんと取り組める手法というものを多くの職場に おいて根付かせていくことが重要だと思っております。  中桐委員もおっしゃいましたが、安全文化ということを考えるための1つの ツールとして、リスクアセスメントできちんとやっていく。その場合、安全文 化が重要であるということをトップがきちんと認識していませんと下のほうに 浸透していきません。したがって、そういう考え方を11次防の中では是非貫い ていただく。そこの中でそれぞれの職場に応じた取組みをするわけですが、い ろいろ違いがあると思います。ただ、その違いをできるだけ現場でPDCAサイク ルを回しながら解決していく、そういう手法を根付かせていく。その方向性を 持ちつつ新しい計画を立てていただければと思うところです。  細かいところで1つ指摘をさせていただきます。例えば交通労働災害のとこ ろで「リアルタイム遠隔安全衛生管理手法の開発」と書かれておりますが、こ れの関連業界の意見として、国交省でも同じような取組みがされていると聞い ています。そういうことであるならば、それときちんと平仄の合ったようなこ と、あるいは共同で行えるのなら共同で行うということを原則として取り組ん でいただく。国交省ではこうだ、厚労省ではこうだということになって、事業 者として、どちらを向いて行ったらいいのかという難しさが生じないような対 応をしていただきたいと思います。 ○分科会長 座長がそんなことを言ってはいけないのかもしれないのですが。 私は安全衛生システムを作るときから関わらせていただいたのですが、考え方 に関して、あれはヨーロッパの制度なのです。今いろいろなところで取り入れ てアセスメントをやっているのですが、だんだん日本的になって、日本の人の 考え方でできるようになっています。  そういう意味で、この分科会でも何かこういうところに問題があるという提 起をしておいて、日本に本当に合った制度になるといいと思うのです。だから 非常に難しくて、例えば私の専門の火災の分野では、日本や台湾のカラオケの 火災は、かなり大きな問題なのです。ところがアメリカやヨーロッパでは全然 大きな問題ではないものですから、国際の場ではあまり対象にされていない。 しかし私たちは、非常に熱心にそれに対する対策をやってきています。たぶん これは労働のやり方や経営のやり方も、日本の人たちに合わせたやり方をやら なければいけないので、そういうことができるようにすれば、10次防とそれほ ど変わらない案が出てくるのではないかと思います。それはそれとして、皆さ んのほうできちんと肉付けをするときに、あるいはこの分科会にかかるかもし れませんから、そのときには皆さんのお知恵を拝借して、なるべくやりやすい ようにやっていけたらと思うのですが、一つよろしくお願いをしたいと思いま す。 ○高橋(孝)委員 2頁の交通労働災害防止対策にも該当しますし、5頁のグロ ーバル化の対応で、私は運輸関係ですが、国内でいろいろな交通事故があるの ですが、近年ご存じのように、世界のグローバル化の中で物流では、海上コン テナ輸送が主力になっております。10次のときはたぶん5年間の推移だと思う のですが、この10年ぐらいを見ますと、海上コンテナ輸送の事故が、相当出て いると思います。まずこの辺を一度調査いただきたいことと、海上コンテナ輸 送をするときは、現実に運ぶドライバーが荷物の中身はわかるのですが、いろ いろな状況を確認できないというか、世界的な基準がないものですから、そう いった面で本人は当然ですが、どういう状況の荷物を運んでいるのかがわから ないのが事故を起こしますと、ご存じのように大きな加害事故にもなります。 この辺のところが11次に認識があるのかどうかも聞きたいのですが、過去の実 績や交通事故の実態も調べて、私どもの調査では相当あるので、できればそれ も加味していただければという要望です。 ○分科会長 非常にいまの話は微妙な問題で、私は消防庁に長くいたので、事 故があったら消防隊は飛び出すと。そのときにいままでの事例では、運転士さ んに聞いても何を積んでいるのかわからないということが、結構あったわけで す。だからどうやって住民を避難させるべきかどうかすらわからない。先ほど の国土交通省のこともありますが、関係のあるところはきちんとすり合わせを やっていただいてというよりは、何かそういう連絡会議が実際にあるのでしょ う。 ○安全課長 交通労働災害についてコメントします。これは骨子の案にも載せ てありますように、先ほど松井委員がご指摘になったリアルタイム遠隔安全衛 生管理手法の開発・普及は、下の所に関係行政機関との連携という項目を設け ています。まさに交通労働災害は厚生労働省だけではなくて、警察庁、あるい は国土交通省と十分連携をしながら進めていかなければ、きちんとした対策は できないと思っております。またそういうことで、松井委員がご指摘になった 齟齬や不整合が生じないようにしていきたいと思っております。 ○分科会長 ここで書けるところまでは書くと、あとはすり合わせで皆さんと 一緒にやっていくと、そういうことでよろしいでしょうか。 ○安全課長 はい。 ○分科会長 ほかには何かお気付きの点はございますか。 ○中村委員 4頁の産業保健活動と健康保持増進対策ですが、私は産業医として 一生懸命頑張っているつもりですが、厚生労働省側や事業者側が一生懸命いろ いろな活動をしても、雇用者の健康に対する認識や、それに対して答えてくれ る意識もとても大事だと思います。腹囲を測定したりメタボリック症候群対策 を行っても、これは基本的に自ら健康になりたいという気持で、実際にやって いただくのはご本人であるというところで、こちらからばかりに力を入れるの ではなくて、労働者もそれに対してうまく反応してくれるようなうまい方法が、 対策の中に入っていくといいのかなと考えています。  これはメンタルについてもそうだと思います。基本的に健康は自己管理です が、メンタルについても自己管理が中心になっていきますし、その環境を整え ることと自己管理が一体になって、いい対策が打てると思いますので、両方が 一緒に対策として進んでいけるような形の定義ができればいいと思います。 ○分科会長 ほかにございますか。 ○豊田委員 4頁目の(5)化学物質対策関連のウに化学物質管理対策があります が、ここに「有害性に基づく規制等の実施」及び「国際動向を踏まえた規制の あり方の検討」と書かれています。昨今化学物質管理につきましては、1つは化 学産業だけの問題からサプライチェーンの問題に非常に広がっているというこ と。ハザードベースからリスク管理ベースに一層の推進ということで、管理領 域が1つは拡大しているので、単なる規制だけでやっていくのは、いまは限界 にあると思います。そういう意味でここのところは、規制と自主管理を含めた あり方、適切な組合せというか、いわゆるよくベストミックスと言われますが、 そういったところも勘案しながら、このあり方について検討していくことが重 要ではないかと思っています。 ○分科会長 何かこれは大変なのですね。国連番号があって何とか番号があっ て、日本では受け入れないとかいろいろなことがある。これは労働者の立場か らというので、こういう項目を入れておくことによって関連の省庁とのすり合 わせをやると、そのような理解でよろしいですね。  ほかに何かございませんか。これは骨子ですのでいまのうちに発言していた だくと、あとできちんと反映されるとお考えいただけばありがたいです。 ○松井委員 10次防に比べて、項目としては何か大体同じくらいのものが盛り 込まれているのかどうか。確かに今後計画を立てていくときに、いろいろなも のをすべて盛り込んでいわば総花的に作っていくというやり方と、もう1つ本 当の意味での重点だけを立てていくという大きく2種類が考えられると思いま す。骨子のみを拝見しても、これだけの頁数を使ってこれに書き込んでいくと、 また相当大きなものになっていくのではないかという気がします。そういう観 点から、もちろん現状分析がないと計画が立てられないことは十分理解するわ けですが、今後の書き方も含めて、本来わかりやすいものも重要だと思います。  もう1つ、大体調べた限りにおいて、前回の項目は大体網羅されているのか なという感じがしますが、いまの事務方として把握している範囲ではどういう 現状になっているのか、委員の皆さんで少しこの辺の情報を共有したらいいか と思いますので、ご質問をさせていただきます。 ○計画課調査官 いま委員のおっしゃったとおり、ある意味では骨子をご覧の とおり、かなり網羅的、総花的です。そういった意味で、いろいろな危険性、 有害性を持った事業場があるわけで、このすべてに関係するわけではないが、 それぞれ何らかの形で関係があるという意味では、こういったものはある程度 示しておかなければいけないのかなというのが1点あります。  一方で、いまいろいろなことに関して、これはちょっと違うかもしれません が、選択と集中なり何なり、いわゆる重点化が言われることが多い中では、重 点対策というものを骨子にもあるように明示をして、それについてはどのよう な取組みをするのか、どんな点に5年後に行くべき到達点を考えているのか、 そういったことも総花的な中から重点となるものを特記する形で示して、いわ ば重点化も示しているし、かなり網羅的に対策を示すという点も、両方ここで 示していきたいと考えています。 ○松井委員 いまの説明を聞くとなるほどなと思うのですが、仮にこういった 計画が出来上がった後で、ただそれを読む人からすると、それが色分けされて 理解されているかどうかが、少し疑問に感じるところです。ですから、そうい う違いがあるなら違いが分かるような形で、書いていただければと思います。 というのは、今後設定されるであろう、いわゆる数値目標的なものについての 位置付けも、本来議論されなくてはいけないと思います。10次防の総括評価で 見ますと、必ず達成すべき目標という形で何か掲げられているのではないかと 推察いたします。  他方、いま内閣府のほうで議論をしていますワーク・ライフ・バランスの策 定作業部会というのがありまして、そこでの数値目標は、10年後の理想的な場 合にはこうだというような整理もされていると聞いております。ですから、こ の数値目標のあり方、そしてその数値そのものがどういうものなのかという性 格もきちんと踏まえ、委員の中のコンセンサスを得た形で進めてもらえればと 思います。そういう観点から、冒頭高齢者への取組みについてもう少し議論を してほしいと言った背景をさらに申し上げますと、いわゆる60歳代前半層まで も含めた安全面も含めた健康という形でのデータの集積というのは、あまり行 われていなかったのではないかと思います。  先ほど申し上げた高齢法の改正、あるいは雇対法の改正において年齢差別が 禁止されることになっていきますと、もう少しその辺についての知見やデータ の集積をして、その個体の差によってどのくらいの作業ができるのか、それも 大まかの目安を示していくような知見を集積することを、是非お願いしたいと 思います。そうしませんと、今後増えるであろう高齢者に対しての安全な職場 確保がより難しくなっていく可能性を、私どもとしては懸念していますので、 そういう面をもっと研究を進めて、場合によって大まかな仕事ができるライン はどうか。これは個体によって差がありますので、そこにおける敏捷性、運動 能力、あるいは機能等はどのくらい必要なのかということを、まず知見を集積 してもらい、そして先ほど中村委員から健診やメンタルの面での指摘がありま したが、働く人たち本人も自らの健康の状況を知りつつ、こういう仕事ができ るか、あるいはこれだったら高所作業は難しいとか、そういう自覚をもう少し 持ってもらうような取組みを、是非進めてもらえればと思います。それも今後 の計画の中にいい形で盛り込んでもらい、現実に行政を進めてもらえればと思 います。 ○分科会長 大丈夫ですか。何か行動計画のようなもののこれは決定ですか。 ○計画課調査官 先ほど目標のあり方という話がありましたが、一つは目標と いう形で、計画全体の効果、あるいは計画全体の進捗状況を示せるような目標 を掲げたいと。  もう一方で重点対策目標というものについては私のほうで説明しましたが、 行政としてどういうことを行うか、それは事業者、あるいは労働者にとっては どういうことを対策に取り組まなければならないかということを示すことが、 一種の行動目標になると思います。それと、5年後に至るべき到達点をセットで 示すことによって、先ほど必ず達成する目標という話も出ましたが、災害防止 の関係ですから、その意識はやや持たざるを得ないのです。それとともに重点 対策について、この5年間でどういったことに取り組んでいくかということを 示して、途中、あるいは5年後には両方で評価できる、そういったことを考え たい。目標については、そのように考えています。 ○分科会長 ほかには何かありますか。 ○中桐委員 言っておかないと書いてくれないというので言っておきます。先 ほどの問題ですが、実際に11次も10次もとても大きな表になりますが、実際 には自分の該当する職場、ですから、産業をピックアップしていけば、大した ことはないわけです。それが全部入っているので大変な量になっているのです。  また実際の使われ方ですが、私は東京の中央労基署の労災防止指導員ですが、 国の10次防があります。それを基にして、東京の地方労働局が地方労働局の10 次防を作って、またそれを使って私の配属されている中央労基署は、中央労基 署の10次防的なものを作っている。そこでいちばん問題なもの、例えばこの5 年間でいうと「ストップ・ザ・サービス残業」といって、東京のいろいろな所 のサービス残業を撲滅しようというキャンペーンをやりました。そのように使 っているわけですので、このような紙で見ますとすごい量だと思いますが、編 集の仕方でだいぶ見方や使い方も違ってくるでしょうし、逆に新しい区分を強 化してほしいという点でいうと、中小だと思うのです。  これからは日本経団連ベースだと、先ほどの松井委員のお話ですと、一緒に リスクアセスメントなども十分できるのでしょうが、まだまだ中小企業はこれ からです。そういう意味で11次防の焦点は中小だと思いますので、800万もあ ろうかという事業場のリスクアセスメントなりマネジメントシステムを考えて いくならば、中小をフォーカスした区分というか、産業と同じような形でもう 少し強化していただいて、いろいろな国の助成や支援というものもその中で充 実していただかないと、10次防で宣言したものが11次防で中小まで全部到達で きたという5年後を迎えるためには、そういうことも必要なのかなと思います ので、よろしくお願いしたいと思います。 ○計画課調査官 先ほどいまの話のような中小企業対策についてのお話があっ たと思うのですが、あるいはリスクアセスメントなりマネジメントシステムが どのように普及してきているかというようなことについてのお話はあったと思 いますが、評価のところで申し上げたとおり、中小企業における取組みが高く ないということで、例えばリスクアセスメントに関しては、担当者の養成、あ るいは中小企業に多いような作業についてのマニュアルを作成する、あるいは 個別の指導を行うことを内容として考えております。マネジメントシステムに ついても、段階的に取り組めるもの、規模ごとに段階的に取り組めるようなも のを考えていきたいと思います。  さらにメンタルヘルスや過重労働についても、先ほどの説明の中で言った効 果的に取り組んでもらうために、まず相談体制を整備する。それは管理者、あ るいは産業保健スタッフに、そういったことの機能をしてもらう。あるいは、 それを事業場外で取り組めるように、事業場外資源も使えるようにすると。こ れらも中小企業の実態、あるいはそういったところでなかなか取り組めないと いう実態を頭に置いた対策と考えています。その他各対策について、それぞれ 中小企業というものは、意識して取り組んでいきたいと考えています。 ○山崎委員 いまのお話は大変ありがたいのですが、中小企業によってもだい ぶ格差がありまして、大体中小企業の80%は製造で従業員は20人以下、商業だ と5人以下という本当に零細が多いので、そちらのほうに日の当るような細や かなものを考えていただきたいと思います。大体中小企業は、中堅になります とかなり進んでいるのですが、なかなか中小の零細のほうは、全くわかってい ない所が多いものですから、そちらも十分考慮していただきたいと思います。 ○分科会長 ほかにはございませんか。 ○豊田委員 2頁目の重点対策の4番目に、危険・有害な化学物質の適正な管理 及び情報提供の計画的な推進があります。ご存じのとおり今年6月にREACHが あのように施行されていますが、あれに対して輸出する産業界は、いま鋭意い ろいろな対応をやっています。それは表面に出ていくことです。  もう1つ懸念されることとして、REACHが進みますと、いろいろな化学物質の 安全性情報の収集及び発信に関して、世界標準化が加速されるという面がある と思うのです。それに対して現行の我が国はどうかを見ますと、安衛法や化審 法や化管法は、いわゆる縦割りになっていますので、ある面ではデータが寸断 されている状況になっています。ですから、この辺のところも国際共有化対応 ということで、いまから5カ年という長期的な観点に立って、いわゆる国際共 有化対応としての化学物質の安全情報の基盤整備というか、これは厚労省だけ では駄目だと思いますので、環境省や経産省を含めて省庁間が協力し合って、 いまから長期的に対策、戦略を立てていただきたいと思います。 ○分科会長 ほかにはございますか。もう少し時間をかければもっといろいろ なご意見をいただけるのではないかと思いますが、今日はもう1つ議題があり ますので、この件についてはよろしいでしょうか。本日の議論での皆さんから のご意見の内容をすべてというわけにはいきませんが、十分に踏まえまして、 引き続き第11次労働災害防止計画の策定作業を進めていきたいと思いますので、 よろしくお願いします。  次の議題は、「建設業労働災害防止規程変更案要綱」、「港湾貨物運送事業労働 災害防止規程変更案要綱」、「林業・木材製造業労働災害防止規程変更案要綱」、 「採石業労働災害防止規程変更案要綱」についてです。本件は厚生労働大臣か ら労働政策審議会会長宛ての諮問案件であり、当分科会において審議を行うこ ととしたいと思います。それでは、事務局から説明をお願いします。 ○計画課長 お手元の資料番号のNo.2-1、2-2です。No.2-1がいま分科会長から ありました業種別の災防規程の変更案の要綱の審議会長あてへの諮問文と、後 ろに別紙1〜4という形で4つの要綱を付けさせていただいております。  次に資料No.2-2ということで、概要の説明資料を作成してお配りしていますの で、こちらでご説明します。  まず、今般諮問させていただいた経緯、背景について説明します。1の背景に もありますように、労働災害防止規程ですが、これは労働災害防止団体法とい う法律の36条の1項に基づきまして、業種別の労働災害防止協会が労働災害の 防止活動を行うこと等を目的として、各々の会員事業主が行っている事業の実 態に即して、安全衛生等の関係法令による使用者の守るべき最低基準に加えて、 よりきめ細かく具体的に労働災害防止に関わる必要な基準を定めているもので す。したがいまして協会と会員の事業主が、自主的に設定をする規範という性 格のものです。災防団体法の41条の1項にもありますとおり、災防協会の会員 の方々は、当該規程の遵守義務が課せられているものです。  災防規定についてはその設定、あるいはその変更の認可を行う場合について は、災防団体法で厚生労働大臣の認可を受けることが必要で、認可を受けなけ れば効力を生じないものとされています。また、厚生労働大臣、私どものほう で認可に関する処分を行う場合には、労政審の意見を聞かなければならないこ とになっています。  今般、建設業と港湾貨物運送事業と林業・木材製造業、採石業の4つの災防 規程の変更につきまして、各業種の災防協会から大臣あてに認可申請の提出が ありましたので、今般お諮りするという経緯です。なお、この変更案につきま してはそれぞれの災防協会において、関係労働者及び学識の方を代表する方の 意見を聴いた上で、作成をしています。また各協会の本年の総会においても了 解をされています。  次に2の趣旨、主な内容につながってきますが、これについて説明します。 各協会で先ほど申し上げたとおり自主的な設定規範がありますが、今般平成18 年4月から施行されておりますが、安衛法が改正されましたので、先ほど来計 画の中でも話が出ていたリスクアセスメントや過重労働に対する措置が義務付 けられたということで、こういったものを含め各協会において災防規程の見直 しが検討されて、今般の変更申請に至ったということです。主な内容について は、次の頁の各災防規程の主な変更点という所で、別紙の各々要綱のポイント を掲げさせていただいております。  まず建設業の労働災害防止規程が(1)です。主な変更点は、先ほど申し上げた ように他の災防規程にも共通の内容になるのですが、平成17年の安衛法改正に よって努力義務化されたリスクアセスメントの調査、そして義務付けされた長 時間労働者に対する医師の面接指導をはじめとする過重労働対策に係る措置等 を、規程に改めて明示することが第1点。  第2点目は、そこに書いてあるように各種安全基準の追加が規程に追加され るわけですが、具体的には平成15年に策定された、「手すり先行工法に関する ガイドライン」に基づく墜落による危険防止措置等を規程に追加すること等も 含めて、建設業における労働災害の発生状況等に合わせて、そこにあるような 車両系建設機械や木材加工用の機械等による危険防止措置を新たに定めること とされています。  (3)は、各種健康障害防止対策の新設で、これも現行の業務上疾病の発生状況 に鑑みまして、石綿、あるいは粉じん、有機溶剤等による健康障害の防止対策 であったり、ガイドラインに基づく振動障害等の防止対策を定めるというよう な内容になっています。  (2)港湾貨物運送事業の災防規程の関係ですが、(1)は先ほどの建設業のものと 同じくリスクアセスメント、過重労働対策に係る措置を新設とするというもの です。(2)は、危険物、有害物の取扱作業に係る安全基準の追加ですが、これは 危険物等のサンプリング作業を行う場合の静電気の除去等に関する安全面の措 置規程を追加するという内容です。  (3)林業・木材製造業の労働災害防止規程ですが、(1)はまた同じくリスクアセ スメントと過重労働対策の関係です。(2)は林業・木材製造業の作業に係る安全 基準の追加で、1点は蜂刺されの関係で、具体的には要綱にもありますが、アド レナリンの自己注射器の携行等が1点。あとはかかり木処理の作業における安 全対策であったり、あるいは集材用の機械でスイングヤーダというものがある のですが、その機械を使用した作業が増加しているということで、作業方法等 の安全基準を定めるといったもの、あるいはチェーンソー等の取扱作業に係る 安全基準を追加するという内容です。  (4)の採石業の災防規程ですが、まず(1)は先ほどと同じくリスクアセスメント、 過重労働対策に係る措置の新設です。(2)は、安全管理者、衛生管理者等の職務 を確実に実施させるために、その職務を規程のほうに明示するというものです。  (3)の採石事業の関係は、協会に加入するという形にして、まだ日が浅いとい うこともあり、具体的な災害事例や災害原因を把握して、今後の災防対策に資 しようということで、労災が発生した際の状況報告を各企業に義務づけること としています。以上が主な変更点です。  事務局としては災防団体法の38条で、内容が法令に違反していないか、ある いは不当に差別的なものではないかというものについて内容的に審査を行った 上で認可をすることとされています。私ども事務局としましては、いずれもそ のような点で問題ないので適合するということを確認しています。  主な変更点のいちばん下にありますように、各協会としては厚生労働大臣の 認可がおりれば、認可の日から90日後に規程の変更を適用したいという申請が 出てきています。できるだけ早期の実施が期待されていますので、特段問題が ないようでしたら本日お通しいただきたいと思いますので、ご審議のほどよろ しくお願いします。説明は以上です。 ○分科会長 ただいまの説明についてご意見、ご質問がありましたらお願いし たいのですが、よろしいでしょうか。これは先ほどの説明にありましたように、 各団体から提出されていたものですね。 ○計画課長 そうです。 ○分科会長 ご意見がもしないようでしたら当分科会としては、「建設業労働災 害防止規程変更案要綱」、「港湾貨物輸送事業労働災害防止規程変更案要綱」、「林 業・木材製造業労働災害防止規程変更案要綱」、「採石業労働災害防止規程変更 案要綱」について、妥当と認めるという旨の報告を、私から労働政策審議会会 長宛てに行うことにしたいと思いますが、いかがでしょうか。                (異議なし) ○分科会長 それでは、皆さんのご賛同を得られたと解釈しまして、そのよう にさせていただきます。報告については、私に一任させていただくということ でよろしいでしょうか。                (異議なし) ○分科会長 では、そのようにさせていただきます。それでは、部長からご挨 拶をお願いします。 ○安全衛生部長 ただいま建設業労働災害防止規程変更案要綱ほか3つの要綱 につきまして、妥当と認める旨の報告をいただいたことにつきまして、まずも って感謝を申し上げます。これを踏まえ、各労働災害防止規程案について速や かに認可に関する手続を進めてまいりたいと考えています。今後ともご協力の ほど、よろしくお願いします。本日はありがとうございました。 ○松井委員 すみません、議題に上ってなかったので、1点だけお願いを申し上 げたいと思います。先日私どもの会合に、実は労働衛生課長がお越しになって、 THPの指針の見直しを中災防の研究会で行っているというお話がありました。聞 くところによると、それは近日中、あるいは来月になるのかもしれませんが、 いわゆる告示改正のみであるのでパブリックコメントを行って改正していくと いうお話がありました。ただ中身についてTHPがなかなか普及していないのは、 中小企業にとってはヘビーデューティーすぎるという問題を私どもは指摘して、 それは少し改善をされつつあるとは思いますが、仮にそのような状況が例えば 中央会の山崎委員のほうにも十分話があったかどうかは私は知りません。そう いう重要な改正があることについて告示改正のみであるから、分科会にも何も かけなくていいとか議論しなくてもいいという態度は是非やめていただいて、 少なくとも報告をするなり、あるいは分科会で議論しないとしても関係者には 十分周知を図った中で意見を聞いていく、そのような対応をしていただきたい と思います。以上です。 ○分科会長 よろしいでしょうか。 ○計画課長 いろいろ安衛法に基づく指針も多々ありますので、審議会等への 扱いについては、また事務局としても検討していきたいと思います。いずれに してもすべてまたお諮りしてという形になると、計画も含めていろいろ多岐に わたる議事をしていただくことにも問題が出てきます。いま松井委員がおっし ゃったように、それぞれの現場が混乱しないようにということは、私どもとし ても十分配慮してやっていきたいと思います。 ○分科会長 いまの話をここに出すか出さないかはその重要度によるというお 話ですが、そこはまたどなたかの意見を聞いてやっていただければと思います。  先に進むことができそうなので、よろしいでしょうか。議事録の署名は、中 桐委員と豊田委員にお願いしました。皆さん今日はお忙しいところどうもあり がとうございました。これで散会にさせていただきます。