07/10/22 第2回福祉用具における保険給付の在り方に関する検討会の議事録について 第2回福祉用具における保険給付の在り方に関する検討会 日時 平成19年10月22日(月)10:30〜12:30 場所 全国都市会館 第2会議室 ○古都賢一振興課長 皆さん、おはようございます。定刻ちょっと前でございますが、 早速、第2回「福祉用具における保険給付の在り方に関する検討会」を開催させていた だきたいと思います。本日はお忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとう ございます。  本日の出席状況でございますが、山内委員におかれましては、御欠席の旨、ご連絡を いただいております。  また、東畠委員におかれましては、所用のため12時をめどに途中退席をされるという 御連絡をいただいておるところでございますので、よろしくお願いいたします。  それでは、田中座長、よろしくお願いいたします。 ○田中滋座長 皆さん、おはようございます。前回は立っていらっしゃる方もいました が、今日は全員座れてよかったですね。途中で退席になる東畠さんは、その前にたくさ ん発言していってください。  早速、本日の議題に入ります。まず、事務局から本日の資料の確認と、併せて説明も お願いします。 ○北島栄二指導官 では、資料及び参考資料の御確認をお願いいたします。皆様のお手 元にございます資料の中で、議事次第をめくっていただきますと、メンバー表がござい ます。更にめくっていただきますと、「資料一覧」表がございます。資料に関しまして は、資料1「第1回検討会における主な意見」ということでお出ししております。  具体的には、横表になっております「第1回検討会における主な意見」でございます。 詳細は後ほどお伝えいたしますが、この資料1に関して、全体的にどのようにまとめて おるかということでございますが、論点を挙げさせていただいた事項に対して、委員発 言いただいたものを、今度は事項別に整理をさせていただいております。  事項といたしましては5つほどございまして、左の「区分」の下の方に四角で囲んで おります「情報に関する事項」、これが1点目でございます。内容といたしましては、 価格差等の議論、次のページでございますが、適切な情報の選択の議論、この2点が「情 報に関する事項」として整理させていただいたところでございます。  続きまして、3ページ目でございます。これは2つ目の事項になりますが、「給付方 法に関する事項」でございます。「給付方法に関する事項」の1点目、平均貸与期間等 のお話がございまして、給付方式に触れております。そこが1つ。更に4ページ目、状 態像の予後に応じた用具の給付ということ。論点としては分けておりましたけれども、 実際の議論の中では、給付方法に関する事項として御発言ございましたので、まとめさ せていただいております。  ページ進みまして5ページ目、「価格設定に関する事項」でございます。「価格設定 に関する事項」といたしましては、不明瞭なコストの存在であるとか、人のサービスと 物のサービスを分けていく必要があるのではないかといった課題の中の御議論をいただ いております。  ページ進みまして6ページ目でございます。「サービスの質の向上に関する事項」で ございます。こちらの方でございますが、サービスの質の内容の向上ということでいた だいたものを1つにまとめております。  最後、7ページ目でございます。こちらの方は、まず、事務局の方としてお出しした 課題の案、それ以外に発言の中からいただいた、課題としてとらえたものを並べさせて いただいております。丸に「新」と書かせていただいておるのは、委員の方から御提示 があった課題ということでとらえていただければと思います。それを4つほど並べてお ります。  これが資料1の全体的な流れでございます。それぞれのページに委員の発言内容とい うことでおまとめさせていただいております。多数にわたる御発言ございますので、こ れは後ほど議論の中で御参照していただくことにいたしましょうか。  では、ほかの資料の確認をいたします。参考資料といたしまして、レジュメを挟ませ ていただいておりますが、参考資料1から参考資料4でございます。  参考資料1でございます。こちらは各論点に対する事項、先ほど「情報に関する事項」 から「その他事項」としてございましたが、我々振興課の方で参考になる資料としてお 出ししておる、もしくは前回の御議論の中でいただいた、こんな資料はないかというこ とに対してお出しした資料でございます。  1ページ目には「情報に関する事項」といたしまして、国保連の介護給付適正化シス テム活用例について、適正化計画に関する指針について、お出ししております。  ページをめくっていただきますと、2ページ目でございます。こちらは国保連介護給 付適正化システムの活用例でございます。前回、概要をお伝えしたところでございます が、福祉用具貸与に関する部分ということでお出しをしております。表の方、非常に文 字が小さく、申し訳ございませんが、左から事業所番号、事業所名、更に保険者名、被 保険者名、被保険者に関する属性、支援事業所名、更に品目コードとして、一例でござ いますが、単位数コードが書かれております。商品名を書かれまして、更にそこから提 供されている提供単位数ということで、月額の貸与費ということでございます。こちら に対しまして全国の平均値等があるということでございます。  以下、それぞれの論点の中で参考にしていただきたいということでございますので、 5ページ目になりますと、論点2の事項でございます。それ以下、付けさせていただい ておりますので、適宜こちらの方に御指示いただければ、御説明をさせていただきたい と思います。  参考資料2でございます。こちらは前回に配付いたしました資料4の修正でございま す。正誤表を付けておりますので、そちらの方で御確認をください。  参考資料3でございます。こちらは第1回議事録として皆様の発言をまとめさせてい ただいたものでございます。  最後、参考資料4でございます。こちらは社団法人日本福祉用具供給協会よりお出し いただきました「福祉用具における保険給付の在り方に関する検討会」に係る意見とい うことで、今日も御発言等ございますけれども、その際の参考資料としてお出しいただ いたものでございます。  資料の確認は以上でございますが、不足等がございましたら事務局の方にお申し出く ださい。以上でございます。 ○田中滋座長 ありがとうございます。  まず初めに、今、紹介いただいた資料、参考資料について、質問がありましたらお受 けしましょうか。資料1について、すぐ議論に入ってしまって、もう少し説明があるん ですか。 ○北島栄二指導官 今から資料1に関して私の方でまず御説明差し上げて、参考資料も 併せて説明差し上げて、議論に入っていただくということにしたいと思います。 ○田中滋座長 もう少し丁寧に説明いただく。では、お願いいたします。 ○北島栄二指導官 それでは、続きまして資料1について御説明を差し上げます。これ は1ページ目でございます。「情報に関する事項」として、価格差ではなく、記入ミス や不正請求と推測される外れ値が存在しているのではないかという課題に対しまして御 発言いただいたところでございます。  1点目以降、代表的なものを御紹介いたします。平均値から著しく高い、あるいは低 い外れ値が存在することは不適切ではないかということで御指摘をいただいております。  また、現行制度においても、外れ値について何らかの対応をする必要があるのではな いかということでございます。  先ほど参考資料1でも触れましたが、国保連の介護給付適正化システムで外れ値の実 態と原因について調査をすべきではないかということが上がっております。  それ以下、自由価格を維持するべきであり、よい商品の価格が高いことを必ずしも否 定すべきではないであるとか、価格について十分市場原理が働いていないのではないか という御指摘を受けております。  「情報に関する事項」でまとめさせていただくとして、次の2ページ目の方も資料1 を御説明差し上げます。  適切な情報を得た上で選択を行っているのかというところにつきましては、ケアマネ ジャー、利用者に情報が少ないことは不適切ではないかというような意見がございまし て、それ以外に、利用者が自由価格であることを知らないなど、情報の非対称性につい ての対策が必要ではないか、利用者の選択のためには、価格・品質・事業者のサービス 情報がバランスよく提供されることが必要ではないか等が上がっております。  参考資料1の方に目を通していただければと思います。参考資料1でございます。「情 報に関する事項 論点1」、先ほど御説明差し上げた部分でございますが、重なるとこ ろがございますが、2ページ目の方に移っていただきますと、「情報に関する事項」と いたしまして、福祉用具貸与に関する部分を取り上げさせていただいております。全国 平均値と比べることがこちらの1つのツールでございましょうか、使いますとできます という参考資料でございます。  2ページ目に続きまして3ページ目でございます。こちらの方は、振興課連名で19 年6月22日に出させていただいた「介護給付適正化計画」に関する指針でございます。 介護給付の適正化を図ることにより、利用者に対する適切な介護サービスを確保すると ともに、不適正な給付が削減されることは、介護保険制度の信頼性を高める等を前提と いたしまして、介護給付適正化計画の指針を示させていただいております。  4ページ目、こちらは抜粋になっておりますが、それぞれ都道府県が行う適正化事業 について、また、保険者が行う適正化事業について抜粋させていただいたところです。 都道府県におきましては、国保連との積極的な連携ということを中心として示しており ます。保険者が行う適正化事業については、国保連介護給付適正化システムの活用とい うところで、給付実績を活用した情報を活用し、医療情報との突合及び縦覧点検の結果 に基づく過誤調整等を実施するということでお出ししておるところでございます。  資料1の中の「情報に関する事項」、更に参考資料の御説明を差し上げました。以上 でございます。 ○田中滋座長 どうしますか。全部通して説明した後に質問としてはどうでしょうか。 ○古都賢一振興課長 一度全部通して、御説明いたします。 ○田中滋座長 そうですね。相互に関連するかもしれない。 ○北島栄二指導官 わかりました。それでは、続きまして、3ページ目にお移りくださ い。3ページ目の方でございますが、「給付方法に関する事項」でございます。平均貸 与期間等の課題に対しまして御発言いただいたところでございます。  自由価格制なのに、同じ種類のものや同じ品目のものを何か月使ってもレンタル料が 変わらないことは課題の1つではないか。  メンテナンスの必要性が低く販売価格も低いものを貸与種目として認めているため、 必要以上の給付費が長期にわたって費やされているのではないか。  自由価格を維持すべきであり、よい商品の価格が高いことを必ずしも否定すべきでは ない。  貸与の際の手間賃、コストは商品価格の高低にかかわらずほぼ同じである。  価格の安い商品は販売とした方がむしろ適正ではないか等ございまして、下の方に移 りますと、利用者の利便や給付費の重点化の観点から見て、軽度者が使っているもので 比較的安価なものは販売としてよいのではないか。  つえ、歩行器、手すりなどは購入種目に移行してよいのではないか。  制度改正に当たっては、利用者・事業者の状況を踏まえて、例えば3年程度の経過措 置といったことを考える必要があるのではないかというところでいただいております。  更に、次のページでございます。軽度者が使っているもので、比較的安価なものは販 売種目としてもよいのではないかということを前提としつつ、再掲は飛ばしまして、歩 行器は、再認定の期間でも適応の条件が動く種目である。本来、定期的なチェックは必 要であるが事実上困難である。そのため、予後がわかる専門家が認定にかかわることが 必要である。  状態像の変化についての予後予測が必要である。  移動器具の中には危険性を伴うものもあり、状態像の変化に応じて細かく用具を変え る必要がある。  価格だけをもって介護保険制度上の購入とすることは不適切。  貸与種目と購入種目はフレキシブルに選べるようにすべきではないか。そういった御 意見をいただいております。  こちらに係る参考資料でございます。皆様のお手元の参考資料の5ページ目をお開き ください。こちらは論点の2でございますので、事項的には「情報に関する事項」とい うことでございます。続けて、こちらの方も併せて御説明差し上げたいと思います。  「論点2」を一枚めくっていただきますと、6ページ目に、現行、利用者が情報を得 る、では、どういった情報があるかということでございまして、3つ、福祉用具に関す る、公表されているものとして御紹介しております。1点目が介護サービス情報の公表、 2点目がTAISシステムということでくくらせていただいておりますが、TAISシ ステムのTAISコードの部分と、あと、詳細情報というものでございます。  それぞれ目的がございまして、介護サービス情報の公表は介護サービス事業者の選択 ということでございます。TAISシステムの中の福祉機器に関する部分は、身体状況 に合った適切な福祉用具の選択を支援するということ。更に詳細情報といたしましては、 個別の事例と照合いたしまして、個々の身体状況等を考慮し、適切な福祉用具を選定、 適合する観点から、ケアマネジャー、福祉用具専門相談員等の相談援助業務を支援する ということ。  実施方法として、サービス情報の公表は、原則としてすべての介護サービス事業者に 対して実施をする。TAISシステムの方は、メーカー、輸入事業者の任意となってい ます。詳細情報の方は、介護実習・普及センター等の協力を得ながら任意で入力をして いただいておる。  それぞれ公表に係るポイントといたしましては、3つ目のポツでございますけれども、 介護サービス情報の公表、だれでも比較可能なサービス事業者の客観的な情報を公表し ている。TAISシステムに関しましては、福祉用具ごとのスペックを公表している。 詳細情報に関しましては、福祉用具選定のポイントを公表しています。  公表内容に関しては御参照いただければということでございますが、福祉用具のシス テムの中のTAISシステムの中に1点だけ、TAISコードというものがございます。 これは他の参考資料の中にもございますので、※2で、TAISコードで企業コード5 桁と用具コード6桁からなる管理コードであると、ここは御参照ください。  更に、実施主体でございます。介護サービスの公表は各都道府県、TAISシステム はテクノエイド協会でございます。  受審義務といたしましては、介護サービス情報に関しましては義務、TAISシステ ムに関しましては任意ということでございます。  今、御紹介いたしました3つの情報に関して、7、8、9ページ目まで、概要として 付けさせていただいております。こちらの方を御参照いただければと思います。  続きまして、「給付方法に関する事項」として、論点3でございます。1枚めくって いただきますと、11ページでございます。テクノエイド協会が昨年度まとめました報告 書の中では、車いすと特殊寝台に対してのデータを御提示したところでございますが、 全種目にわたってのデータをということで御希望をいただきましたので、こちらの方に 示させていただいております。  大まかな車いすから移動用リフトまでの分類の中で、横に見てまいりますと、平均利 用期間、平均貸与月額、その2つの数字から出てくる貸与の費用でございます。更には 希望小売価格というものを示しております。  前回ございましたのは、貸与費用と販売費用のバランスのお話でしたので、貸与費用 の方は、平均利用期間に平均貸与月額を掛けまして、更に希望小売価格とのバランスを 取る上で10を掛けさせていただいております。こちらのバランスを見ていただくための マトリックスでございます。  それぞれ利用期間等に関しましての注記事項といたしましては、※1から3まで示し ておりますので、こちらの方も御参照いただけたらと思います。  ページの方、進んでまいります。12ページ目でございます。12ページから15ページ までは、こちらも報告書の中では一部の福祉用具で御案内したところでございますけれ ども、福祉用具種別ごとの利用期間ということで示させていただいております。縦には 終了者の人数、横には利用期間、更に右の縦には継続利用者の割合を示した図でござい ます。こちらの方が代表的なものでございますけれども、全種目に関しまして示させて いただいたところでございます。こちらが「給付方法に関する事項」の参考資料でござ います。  資料1に戻りまして、5ページ目でございます。「価格設定に関する事項」でござい ます。  「価格設定に関する事項」でいただきました意見といたしましては、価格競争におけ る自然淘汰の原理が働かないのは、システム上に若干問題があるのではないか。  適正価格の設定、上限額の設定等、一定の制約のような仕組みを導入してはどうかと いうことが上がっております。  更に、人と物の議論の点では、貸与方式については、人的サービスの価格と物の価格 を合わせた構造であることを加味して検討すべきではないか。  ハードとソフトを分離することは理論的には合理的であるが、質の評価など更に新た な基準を加えたサービス価格構成要素を見るべきではないかということをいただいてお ります。    資料1の6ページ目をお開きください。サービスの質の内容は確保されているかとい う点でございます。福祉用具のマネジメントが不適切なのではないか。導入時にきちん としたマネジメントを行い、利用者の状態像が将来的にどうなるかを時間的視点で把握 する必要があるのではないか。  福祉用具の提供に当たっては、適切なケアマネジメントが必要である。更にOT、P Tを初めとして、多くの者と連携を取りつつ適切な用具を選定する必要があるのではな いか。  サービス担当者会議とモニタリングの活用を行うべきではないか。  福祉用具貸与についても、他のサービスと同様に個別援助計画の作成を行うべきでは ないか。  福祉用具専門相談員やケアマネジャーの力量に余り左右されないように、モニタリン グ実施の際のチェック基準を標準化すべきではないか等が上がっております。  こちらの「サービスの質の向上に関する事項」に係る参考資料といたしましては、17 ページ目と18ページ目でございます。代表的にかかわる専門性を持つ者として、介護支 援専門員及び福祉用具専門相談員がございます。そこの研修体系及び養成の課程という ことで御紹介しております。  17ページ目は介護支援専門員の研修体系でございます。こちらの方で、福祉用具に係 る研修といたしましては、専門研修課程1、これは5年ごとに実施される研修でござい ますけれども、福祉用具・住宅改修研修ということで3時間。福祉用具・住宅改修関係 の知識の向上とその導入・活用の方法のための基礎知識、基本的な視点等を研修を受け ておるということでございます。  更にもう1ページ進んでいただきますと、福祉用具専門相談員の状況について御説明 を差し上げております。福祉用具専門相談員におきましては、前回の資料の中でもお示 ししたところでございますが、その状況ということでお示しをしております。  要件といたしましては、介護福祉士・義肢装具士、保健師等の資格取得者及び福祉用 具専門相談員指定講習の修了者で構成がされておりますが、福祉用具専門相談員の約76 %が講習等修了者で構成されているということでございます。  更には、そちらの指定講習についてということでございますが、都道府県指定の研修 機関により実施をされております。介護保険における福祉用具貸与・販売事業者の人員 基準に定める福祉用具専門相談員の任用資格を取得するために必要な研修ということで、 受講資格としての特に制限はございません。講義と実技を含む全40時間を受講するとい うことでございます。「サービスの質の向上に関する事項」の参考資料でございました。  最後、資料1の7ページ目でございます。「その他事項」として、新規事項というこ とで挙げさせていただいております。1点目、現行の告示種目の整理ということで、使 う人が求める機能や使用される状態像の異なるものが同じ種目になっているのではない か。  ISOの分類で異なっている種目が特殊寝台付属品として、歩行器では目的の異なる ものが同一種目内に存在していることは問題ではないかといただいております。  次の論点でございます。施設における福祉用具の利用について、施設へ入所した際も 居宅のときと同様に利用に当たってのアセスメントや選定相談等、適切に福祉用具を利 用すべきではないかといただいております。  次の論点で、介護支援専門員、福祉用具専門相談員の質の向上ということで、決定は 介護支援専門員にほぼよっているという御指摘であるとか、介護支援専門員、福祉用具 専門相談員は研修会の実施とともに、多くの職種の方々とともに、補完しながら行うべ きではないかといただいております。  最後にいただきました新規事項の論点といたしましては、自己負担率の変更について、 公定価格化すると、メーカーの開発意欲は減退し、品質も下がることとなるのではない か。一定の給付上限額を設定し、超えたら利用者の自己負担率を上げる等、多様な方策 を検討する必要があるのではないかということでいただいております。  資料1及び参考資料の御説明、すべて終えたところでございます。以上でございます。 ○田中滋座長 丁寧な説明ありがとうございました。  これから皆様方の意見を伺うわけですが、その前に、資料に関するテクニカルな質問 がございましたらお願いします。また、関係団体から関係ある部分についてもう少し補 足説明をなさりたければ、それも結構でございます。厳密に質問と意見を分けるのは難 しいかもしれませんが、まず、質問がもしおありでしたらどうぞ。どうぞ、対馬委員、 お願いします。 ○対馬忠明委員 参考資料の2ページ目に、適正化システムというのがあって、ちょっ と字が小さくて見にくいのですが、説明の中では、平均値に対して、それより高い低い というような説明がありました。ちょっとこれを見てもよくわからないところがあるん ですけれども、特に丸で囲った辺りでしょうかね。これは「平均単位数」と書いてある のですが、単位だから、これに10を掛ければ単価が出てくるということなのでしょうか。 ○北島栄二指導官 そうでございます。 ○対馬忠明委員 右側、全国と都道府県があって、全国で言うと平均はこうで、都道府 県単位で見るとこうだと、こういうことですか。 ○北島栄二指導官 それでは、再度御説明を差し上げます。まずは、先ほど見ましたが、 一番上で、左からA事業所という事業所名がございまして、被保険者、属性ございまし て、品目コード以下、商品になっておるところです。商品以下ということで、提供単位 数、実際にA事業所から受けておる提供の単位数ということが1,600単位と書いてある。 それに対しまして、国保連のデータでございますので、全国の平均単位数及び都道府県 の平均単位数が示されておるところでございます。最後には更新の年月ということで入 っておりまして、吹き出しが上下にございますが、下の方をごらんください。同一商品 で利用者ごとに単位数が大きく異なるときは注意が必要である。また、単位数の平均か らの隔たり、乖離が大きい場合には、当該事業所の価格表の確認も必要であるというこ とで、実際に当該事業所の特定もできるというようなつくりになっております。以上で ございます。 ○対馬忠明委員 わかりました。 ○田中滋座長 確かに、私も遠くにしないと見えない。 ○北島栄二指導官 申し訳ありません。 ○田中滋座長 ほかに質問がございますか。どうぞ、東畠委員。 ○東畠弘子委員 今のに関連しての質問ですけれども、この適正化システムでは、貸与 の事業所と貸与されている製品はわかるのですけれども、その事業所が元のケアプラン ですね、要するに居宅介護支援事業所の名前というか、名称までは入っていないという ことなんですか。あくまで貸与の事業所だけの名称ということになるわけですか。 ○北島栄二指導官 お答えいたします。左からいきますと、事業所番号、事業所名とい うことで入っておりますが、それから大きく4つぐらい飛びますと、支援事業所番号、 支援事業所名ということで入っておりますので、実際に担当しているケアマネジャーに 関しても情報が得られるということでございます。 ○田中滋座長 確認ができて結構ですね。  ほかによろしゅうございますか。どうぞ、池田(省)委員。 ○池田省三委員 12ページ以降のグラフの読み方をちょっと説明してもらえませんか。 これはまた虫眼鏡が要る。 ○北島栄二指導官 12ページ目以降、「福祉用具種別ごとの利用期間」ということでお 示ししております。これは、車いす、車いす付属品が12ページに、それ以降は、特殊寝 台、特殊寝台附属品ということでまず見ていただきます。  それで、個別のグラフに関しまして、車いすの一番左上のものを見ます。これは介助 用車いすというものに関してデータを出しています。このデータの出所でございますが、 ※1でございます。平成15年5月から平成18年4月審査分の介護給付費実態調査及び 平成18年度介護保険における福祉用具貸与の実態調査結果を基に厚労省が作成してい るということでございます。ですから、15年の5月から開始された方のデータを経時的 に追ったというものでございます。  縦に関しましては、終了者の人数でございます。介助用車いすを5月に借りられまし た人が1月目に終了をしている数が縦のグラフでございまして、右の方に見ていきます と、継続利用者数の割合ということで、それ以降に継続利用者の割合が何%あるかとい うことを見ているところでございます。 ○池田省三委員 棒グラフが人数で、点の折れ線グラフは割合ということですね。 ○北島栄二指導官 割合でございます。それと、平均利用期間というものが左肩、上の 方にございますので、開始者数とともに御参照いただければと思います。  横には利用期間の月ということで、36月目に至っては、それ以降に借りていらっしゃ る方がいらっしゃいます。※4に記しておりますが、利用期間が35月以上の利用終了者 数については、月次推移が把握できないため除いているということでございます。デー タの幅としては、1から36月目まででございますので、35月以上の方に関しては詳細 なところは追えないということで除しておるということでございます。 ○田中滋座長 よろしいですか。 ○池田省三委員 普通、棒グラフと折れ線グラフ、どっちがどっちかというのが書いて あるのが普通なのに、これは書いていない。 ○北島栄二指導官 不手際がございまして、申し訳ございません。 ○田中滋座長 終了の理由は、状態が改善した方も、逆に亡くなって要らなくなった方 も区別なく、終了者は終了者ですね。 ○北島栄二指導官 そうですね。ここでは終了の理由は追えなく、田中先生おっしゃり ますように、例えば施設利用のために終了もしくは中断したとか、そういった方々もい らっしゃるということは聞いてはおります。 ○田中滋座長 ありがとうございます。また質問がありましたら、いつでも戻っていた だいて結構です。  では、意見を伺う方に移りましょう。前回、事務局より説明があったとおり、今回は 早急に対応できる課題と、今後更に検討すべき課題について意見をちょうだいします。 早目に結論を出せる課題については適宜まとめをつくりたいと考えております。その区 分でよろしゅうございますでしょうか。具体的にこちらが早急な課題というのは、先ほ どの論点で言うと、どれとどれになりますか。 ○北島栄二指導官 「情報に関する事項」辺りは非常に幅広く御意見もいただいて、実 際に御意見いただいたまとまりからしましても、縦にもたくさん意見が並んでおるとい うふうに見えるかと思います。「情報に関する事項」から「給付方法に関する事項」等 は、ある程度の御意見をいただいたというのが、この資料の中でもわかるかと思います。 ○田中滋座長 いいですか。 ○古都賢一振興課長 補足しますと、具体的には論点1、2、3辺りまではかなり御意 見いただいています。一方で論点4、5など、4ページ以降は、まだもう少しいろんな 御議論をいただかなければいけないのではないかということで、4以下のところは仕組 みの問題も含めて、もっといろいろ御意見をいただければありがたいなと思っておりま す。 ○田中滋座長 わかりました。論点の前半部分については結論に向かって御意見をちょ うだいし、後半の方はまだ結論に至るには早いから、もう少し皆様方の多様な意見を伺 いたい、そのような整理だそうでございます。  では、どの問題でも結構ですが、御意見をお願いいたします。木村(隆)委員。 ○木村隆次委員 前回の外れ値の話ですけれども、今回の「情報に関する事項」論点1 の2ページを見て明らかなとおりで、どこの居宅介護支援事業所、またレンタル事業所 が幾らの単価でレンタルしているかということが全国平均と都道府県平均と簡単に比較 するものが出ていますので、これらで、記入ミス等はあるかもしれませんが、速やかに そういうところには、しかるべき指導というのか、ちょっと指導は大げさ過ぎるかもし れませんが、調査等を入れて適正化を図っていくという形のことをやっていくべきだと 思います。 ○田中滋座長 久留委員。 ○久留善武委員 国保連の給付適正化システムの中の参考資料1の2ページ目で、先ほ ど御説明いただいたところですが、全国平均及び各都道府県の平均単位数から大きく乖 離している場合に、異常値(外れ値)として発見をするということになっているのです けれども、それでは、どれぐらい離れた場合にそれを外れ値として抽出しているのかと いうことについては、各都道府県なりに一定の指針が示されているのか、それとも各都 道府県ごとの判断にゆだねられているのか。そこによって外れ値の出し方が異なってく ると思うのですが、そこは具体的にお解りでしょうか。 ○北島栄二指導官 現段階では、活用できるツールとしてお示ししておりまして、実際 に今、久留委員がおっしゃられます外れておる割合というのですか、程度というのです か、そこに関しては、現在のところ、何かの指標を示ししているという状況ではござい ません。 ○田中滋座長 でも、確かに何を外れと呼ぶか迷う場合もあるでしょうね。大事な指摘 です。  池田(茂)委員、お願いします。 ○池田茂委員 価格の面なのですけれども、これはたしか7年か8年前になりますけれ ども、介護保険が始まる前の審議会で言ったと思うのですが、我々業界としては、この 中にも人的サービスと物的サービスと書いてありますけれども、納品・引上げ送料は別 に請求できる仕組みでやってくださいと審議会で言いました。  そのときに、審議会の中で決まったことは、レンタル料の中に組み込んでやってくだ さいということでスタートしたわけです。これでずっときて、長く借りている人には高 くなるのではないかという議論も出ていますけれども、すぐできることではありません が、次の介護保険の改正のときに、納品・引上げ送料を全部レンタル料に入れてしまう というところにちょっと無理があるので、できたら、納品・引上げ送料はレンタル料に 含めない方向で先々考えていただきたいと思います。  それと、もう一点、前回言い忘れたんですけれども、うちの協会の提案の中にも入っ てませんけれども、今回、ベッドと車いすが軽度者対象外になったわけですけれども、 ベッドは電動ベッドを使うと腹筋が弱くなる、車いすは余り使うと足腰が弱くなるとい う理由で外されたと思いますが、今の見方は、利用者だけを見たような介護保険の適用 になっているのです。現実にはそこに介護者がいるわけです。介護者のことは全然考え ていないのですね。これから日本は老人が老人を面倒見る時代に、今もなってきている のでしょうけれども、面倒を見る老人が楽をして面倒を見られるような体制をつくるべ きだ。  ですから、今の福祉用具のレンタル種目は介護を受ける人の立場だけを適用の商品に しています。このようなことを言うと、また介護保険から出費が増えるだろうという意 見もあるかと思いますけれども、介護をする人の立場、ベッドを使うことによって腹筋 は確かに弱まるでしょう、車いすを使うことによって足腰は弱まるでしょう、でも、そ れがあるから介護者は何とか介護できるわけでして、される方の立場ばかりで見ると先 々間違うんではないかと、私はうちの協会を代表して、そういうことをちょっと言いた いと思います。 ○田中滋座長 池田(省)委員、どうぞ。 ○池田省三委員 そもそも福祉用具貸与の対象は何かという議論は本当は一回しっかり してみなければいけないのではないかと思います。  例えば、全自動洗濯機と電子レンジ機、食器洗浄機を福祉用具貸与の中に含めれば、 家事援助系の訪問介護はかなり削減できると思うんです。では、そういったものを給付 対象にしていいかというと、それはおかしいだろうというのは当たり前の話でしょう。  それぞれの市民が自分の責任でもって購入して利用しているというものまでに広げて しまったらば、収拾はつかなくなる。例えばベッドは寝具です。寝具というのは本来、 自己負担が当たり前の話です。しかし、例えばモーター付きで立ち上がりとか、そうい った要介護者固有に必要なものは、それは対象にしても不自然ではないと思う。逆に言 うと、要支援、要介護1ぐらいというのは、少なくともスウェーデンを除いては給付の 対象にしている国などほとんどありません。市民の自己責任でもってやっているという ところの線を崩してしまうと大変なことになるので、池田茂委員のおっしゃっているこ とは十分理解するのですけれども、どうなのだろうか、要介護というところに着目をし て、それに固有なサービス、あるいは用具というものを提供する、その線はやはり曲げ てはならないんではないかと私は思います。 ○田中滋座長 保険給付の在り方に関する議論ですが、ほかにこの問題については。 ○東畠弘子委員 今のお話の関連と、外れ値のことと2点なのですけれども、今のお話 で言えば、たしか介護保険の貸与の種目を決めるときに、1990年代に老人日常生活用具 給付等事業を下敷きにしたということがあります。老人日常生活用具給付等事業では、 自立支援とともに介護負担の軽減というか、日常生活上の便宜というのも目的に入って いたかと思います。  つまり、言いたいことは、12種目を決めたときの時点は、90年代の考えをやや下敷き にしていた部分と、更にそれを理論化したというところがあったと思うのです。介護保 険施行7年がたって、前回も委員の先生からの御指摘にもありましたように、その種目 が妥当なのか、あるいはフレキシブルに使えるようにするのか、両方の検討がいるかか と思います。その辺りは長期的にもう少し議論できる場があるといいのかなというのは、 今のお二方の意見を聞いて私なりに思ったことです。ただ、それは長期的な話で、今の 宿題のもうちょっと短期的な、論点1の情報のツールの話を次にします。  次の話として、国保連の適正化システム、これの外れ値なのですけれども、外れ値と して公表するというのは、先ほど質問しましたように、支援事業所、要するにケアプラ ンとの関係が非常に強いと思いますので、それが出るというのは、どこの事業所かわか るというのは大きな意味はあると思うし、有効なツールだと思うのですけれども、外れ 値は、この場合、著しく高額な外れ値というところでもって言うのか、もともとのテク ノイド協会の調査のときには、平均値より著しく高いのもあれば、著しく低いのもあっ たと思います。前回お話ししましたけれども、著しく低い方は、その理由が何なのか。 質がよくて安いのか、あるいは質が悪くて、安くてとにかく出してしまうか、そこが見 えていないというのがあって、著しく低いことの理由をどこかで見ることはできないか というのが1点と、もう一つは、この適正化システムを仮にツールとして使うとするな らば、著しく低いものについても公表するのかどうかという、これは質問のところです。 以上です。 ○田中滋座長 後段は質問でしたが、何かお考えがおありですか。 ○古都賢一振興課長 外れ値でありますので、なぜ高いのか、なぜ低いのか、それぞれ 合理的理由があるかどうかということは保険者を通じて確認していただいてよいと思い ます。低いというのは実は、基準上規定しております、例えば適宜消毒をしてください という点について、十分でないということがもしあるなら、それは感染の危険性がある ものとしてしっかりやってくださいということは申し上げなければいけないし、一方で、 企業努力でされておられることであれば、それはもうそれ以上、何ら言うことはないの ではないか。要は、外れていることの理由について、合理的理由があるかどうかという ことについて、保険者として確認してもらうのが、この問題については保健運営上、よ ろしいのではないかなと、そういうことを助ける道具があるということを評価すべきと ころではないかと思っております。 ○田中滋座長 木村(憲)委員、お願いします。 ○木村憲司委員 先ほどのお二方の池田委員の発言について、福祉用具のメーカーとし て申し上げたいのは、勿論、介護される方の症状に対応した適切な福祉用具を開発する ということと、もう一つ、これからの問題として、介護される方の労力の軽減といいま すか、そういうことに対しても十分配慮した、両面を持った福祉用具の開発が望ましい というふうに思っておりまして、場合によっては福祉用具を活用することによって介護 者の腰痛について相当な予防ができるとか、そのような効果も福祉用具には含まれてい ると思うので、メーカーとしてはやはり両面から開発をしていきたいというような心積 もりでいる方が大半だと思います。 ○田中滋座長 どうぞ。 ○池田省三委員 ちょっと誤解を避けるために申し上げますけれども、私は介護者の負 担軽減を目的とするべきではないということは一言も言っておりません。それは福祉用 具だけではなくて、通所サービスだって介護者の負担軽減というものがはっきり掲げら れているわけですから、それは当然なことです。さっき、介護に固有なというふうに言 ったのは、それは1つは介護者の負担軽減も入るというふうに御理解いただきたいなと いうことです。  もう一つ、これは厚生労働省の方にお聞きする、もしくはお願いしたいのですけれど も、そもそもこの福祉用具の問題が大きくなったというのは、価格の問題も外れ値の問 題もさることながら、先ほど少し議論になりました、一体、要支援、要介護1の人が福 祉用具を使ってどうなったのかというところの問題が大きかったと思うんです。  鹿児島県が地区別で調べたデータが有名でございますけれども、地域別に見ると、要 支援、要介護1の人の福祉用具の貸与率が高いところ、基本的には車いすと電動ベッド ということになるわけですけれども、明らかに、相関関数で0.7ぐらいだったと思いま すけれども、非常に強い相関関係で、その次の認定更新が悪化しているという数字がは っきり出ているわけです。  そうすると、2005年改正と、その後の介護報酬改定によって、それはどんなふうに変 化したんだろうかということを見ていく必要があるのではないか。データ的にうまくど うやってとれるかどうかというのは、技術的な問題を検討しなければいけないと思うん ですけれども、どんなものだろうか。  ちなみに、トータルで見ると、要介護度別の改善率、維持率、悪化率というのは、毎 年、1年度の変化というものを厚生労働省の方で、ペーパーレベルですけれども、公表 されている。明らかによくなっています。悪化率は減っているのです。だから、使い方 が結構うまくなったのではないかなと思うのだけれども、福祉用具の問題はそういった ところをもう一回おさらいする必要があるのではないか。これはどこかのところで何か うまくできないだろうか。  ちなみに、通所系サービスは2階建ての2階部分については評価報酬というのをつく ることになっていて、それは要介護度の変化を読むというシステムが必要になってくる と思います。通所系サービスに使えるデータではないのですけれども、それと関連して、 さまざまな今、調査研究も進めていらっしゃると思うので、その辺と関連してできない ものだろうかなと思うのですが、いかがなものですか。 ○田中滋座長 今、質問がありました。 ○古都賢一振興課長 福祉用具というものが、被介護者にとっても、あるいは介護者に とっても大変有用なものであると、これは大前提でございます。それが適切に使われて こそ効果を発揮するということでありますので、そういう意味では真に必要な人には必 ず給付をしましょうと、こういう基本路線でございます。  以前は、そのあたりがガイドラインとして少しはっきりしていなかったということで ございましたが、18年度に真に必要な人に福祉用具を提供するというところについては ある程度お示しをできたのではないかと思っております。しかし、今、御指摘のように、 もう一歩踏み込んで、あるいは木村(憲)委員も言われましたように、有用であるとい うことについて、もう少し数字的にも証明していく必要があるのではないか、こういう 使い方をしたら維持改善に大変役立っているとか、そういう理由も含めた調査というも のについては、少し設計も工夫しながら検討してみたいと思います。 ○田中滋座長 伊藤委員。 ○伊藤利之委員 福祉用具が有効に使われたために介護度が改善したということを調べ るとすれば、一人一人きちっと見ていかないと、それはできない話でして、我々が一番 感じていますのは、要支援の人たちと要介護の人たち、重度のほうがむしろ改善率は上 がるのです。要支援の人たちは老化とともに悪化するしかない人たちなのですよ。 ○池田省三委員 そんなことはない。 ○伊藤利之委員 予防することがいろいろ行われることはいいのですけれども、いずれ にしましても、私たちが動いている間は、それほど機能的に悪化していくわけではあり ませんから、要支援の人たちは全体としては悪化する確率が高いんです。それに対して、 医療でリハビリテーションを受けてこられた人たちはいいんですけれども、現状では、 きちんと受けてこなかった人たちもかなりいらっしゃる。そういう方、あるいは家で閉 じこもっていたために廃用になっていった方たちもいらっしゃる。そういう人たちは、 ヘルパーさんが入ること、あるいは福祉用具を入れたりすることによって改善する率が 上がってきますので、全体的な統計だけで改善率を見ることはなかなか難しい面もある んです。  ですから、例えばベッドで言えば、3モーターのものが入れてある。しかし、実際上 は、その昇降装置を全く使っていないとか、本人がベッドから車いすに移るのに手すり は全く使っていないとか、使っているとか、そういうのが実態としてはあると思うんで す。実際上、在宅を回っていると、昇降は使わない人が多いのです。けれども、それが ついている。これは1つの条件にはなると思います。そういう数は出せるのですけれど も、それが有効であるかどうかを数字として出すのはなかなか難しい面もあります。い ずれにしても、ケースをずっと追いかけないと評価はできないだろうと思います。 ○田中滋座長 木村憲司委員。 ○木村憲司委員 メーカーの団体の方の木村が申し上げます。公費でこれだけ福祉用具 が給付されていて、もう既に7年たっているということであれば、福祉用具がどれだけ 有効であるかという検証は、そろそろもう遅いかもしれないぐらいのタイミングである と私も思っておりまして、何がしかメーカー団体、あるいは学識経験者、あるいは行政、 一体となった、福祉用具が有効であったかどうかを数値である程度判断できるような指 標というものも話し合いをしていった方がよろしいかと思います。  ただ、福祉用具というのはあくまでも給付を受けている方の自立を支援し、介護者の 介護度を軽減させるためであって、治療器具ではないので、進行性の病気に対して福祉 用具が有効であったかどうかというような議論だと、福祉用具の有効性というのはちょ っと測りにくいのかなと思います。  池田省三先生の御講演の要旨も私、読ませていただいたのですが、福祉用具の普及率 が高いほど介護度の悪化につながっているということで鹿児島県が例に挙げられていま すよということを、鹿児島県の福祉用具のレンタルをしている事業者の方にお問い合わ せをしたことがあったんですが、その方々のおっしゃるのは、あれは離島の数字も入っ ていて、なおかつ彼らが、数値ではないですけれども、局所的かもしれませんけれども、 感想として持っているのは、進行性の病気の高い地域が多かったということも言ってお りましたので、鹿児島県に限らず、いろんな府県のデータも福祉用具の有効性について 議論するときに、いろいろ情報を行政側からも開示していただいて、公正な議論をさせ ていただきたいと思います。 ○田中滋座長 石川委員。 ○石川良一委員 私のところでは介護予防事業を3か年にわたって実際にやってきたわ けですけれども、結果としては、おおむね介護予防にかかわる費用全体が1年ずつ伸ば されるという、トータルではそのぐらいの効果はあるのだろう。逆の言い方をすれば、 余命が1年ずつぐらい伸びていくぐらいの効果は実際にはあるのだろうというふうにデ ータ上は読み取れるんではないかなと思います。福祉用具との関係からすると、必要以 上の福祉用具を与えることは、結果として状態を悪化させる要因になっていくことはデ ータ上も言えるんではないかなと思います。  今回の1点目の論点ですけれども、外れ値の、これは高いものも低いものもそうです けれども、その要因はきちっと分析はする必要があるだろうと思いますけれども、いず れにしろ、高い外れ値を示しているものについては、きちっと抑止をしていくための指 針をつくっていく必要がある。いずれにしろ、その中身はどうなのかというのは今後の 議論になるかと思いますけれども、まずは、こういったものをきちっと抑止をして指導 していく対象にしていくのだということについては周知ができるのではないかなと思い ますし、その中身については更に要因等、しっかりと分析をしながら、どこまでが外れ 値なのかということについては更に厳密に解析をしていく必要があるのかな、そんなふ うに思います。 ○田中滋座長 久留委員、どうぞ。 ○久留善武委員 先ほどの池田先生のお話も含めまして、やはり廃用症候群的な問題に ついては、確かに一定の部分で必要のないものが供給されたことによっての弊害が出て いるのも事実であろうと思います。  ただ、前回の議論でもありましたが、基本的に介護保険の場合は個別のマネジメント を前提にしておりますので、どんな場合にしても、個々の利用者の状態像及び家族の介 護度等を加味しなから、また福祉用具の場合には住宅環境の要因も入ってきますので、 こういったものもきちんと加味した上で、個別アセスメント、プランニングといったP DCAが回っていかなければいけないということになろうかと思います。  ただし1つ問題なのは、福祉用具の中で、マネジメントをする主体がケアマネジャー と福祉用具専門相談員と周辺にいる専門職があった場合の力量の差がまだあるのと、今 回の改正で6か月に1回はきちんと利用者の居宅を訪問して、ケアマネジャーと貸与事 業者が連携を取ることが組み込まれたわけでございますので、こうしたものをきちんと 実績を追って、その上でどのように改善をしたか。先ほど池田(省)先生がおっしゃっ た鹿児島の例もきちんと追加して調べる必要があるということも、伊藤先生がおっしゃ った個別に見ていく必要があるというのも、前回の制度改正でそこのところを強化した ところでございますので、そこは厚労省として引き続きウォッチをしていく必要がある と思います。 ○田中滋座長 どうぞ、東畠委員。 ○東畠弘子委員 今のお話をずっと伺って、論点1のツール、いわゆる著しく高い低い の外れ値に関しての適正化での情報の公表というところは私自身も納得というか、少な くともそれが機能すれば、どこの事業所の、そしてどこのケアプランを立てたところで とんでもなく高いのか、あるいはとんでもなく安いのかというのがわかると思います。  ただ、そのときにちょっと気になったのは、片や介護サービス情報の公表は、これは 御利用者の手元まで仕組み上は届くというか、見ることができるわけですけれども、適 正化の場合ですと、都道府県、市町村のところまでなのか、あるいは居宅介護支援事業 所、いわゆるケアマネジャーのところまでその情報が届くのか。できることならば、そ うした情報が、御利用者は必ずしもお金ではなかなか判断できないというところは、あ るいは判断材料にはならないというのはあるかもしれませんけれども、少なくとも選定 相談の、選定というか、居宅介護支援事業所のケアマネジャーは御利用者の中核的代弁 者になるわけですから、そこのところまで届くような情報であってほしいなと思います。  それから、今の久留委員のお話に関連いたしまして、この前の改正で六月に1回継続 性の判断というところで、指定基準199条の5に追加はされました。しかしながら、前 回も申し上げましたけれども、何のために福祉用具を選定したのかという、その目的の ところがどうもまだあいまいなところがある。  それはなぜかというと、ケアプランの1表、2表にあるけれども、専門相談員のとこ ろには個別の援助計画、その人に合った計画というものが義務づけられていないわけで あります。そのために、何のためにということの合意も、つまり、だれが選定するのか というところのだれがというところで、どのような福祉用具を何のためにというところ がややあいまいになっているために、今、伊藤先生もおっしゃったような、例えば3モ ーターのもので、実際はそこまで昨日を使っていないよということも状態にあるかもし れない。でも、そのときにそういう計画があれば判断ができるのです。これはすぐには 無理かもしれませんけれども、そういう意味では、もう少し今のマネジメントが、その 人の状態に合ったものが供給されるような仕組みという意味での個別援助計画というの も必要ではないかと思いましたので、ツールの話と個別援助計画と2点です。 ○田中滋座長 適正化計画のデータはどこまで行っているのだろうかと、これは質問で しょうか。 ○北島栄二指導官 質問ととらえさせていただきましてお答えいたします。参考資料1 の2ページ目の御指摘だと思います。実際これは都道府県で、または保険者で活用して いただくというものでございますので、このデータベースに直接利用者がアクセスでき るというたぐいのものではございません。ただし、これを適正化計画の中でどのように 活用するか。例えばでございますけれども、月額のレンタル料の請求額とともに全国平 均値をお伝えするのか、そういった使い方をもって利用者にその情報を提示する可能性 はあるかとは思います。 ○田中滋座長 村尾委員、どうぞ。 ○村尾俊明委員 福祉用具の効果があったかどうかということは、本当にその人に必要 な福祉用具が提供されているかどうかということと、適切に使われているかどうかとい うことに尽きると思うんです。入り口のところが、今、お話があったように、支援計画 表などもありませんから、そこはちょっと不十分ではないかと思います。  福祉用具専門相談員というのも、教育が初心者のレベルを出ていません。だから、現 場でいろいろ訓練をして、ちゃんとやっていると思いますけれども、そこはもう少し技 術や知識がしっかりした者を介在するということが大事だと思います。私たちが背広や 靴を買うときには、しかるべき人がちゃんとかかわります。それで、たくさん持てるわ けです。福祉用具というのは体の一部のようなものですから、それはたった1つか2つ しか持てないわけですから、そこは相当慎重に選ばないといけないと思います。フィッ ティングということがとても重要なのですけれども、その視点が非常に足りないのでは ないかと思います。それがアフターケアだとか、そういうことも全部つながっています から、効果があるかどうかというところは、その視点をちゃんと入れた上で考えていた だきたいなと思います。以上です。 ○田中滋座長 ありがとうございました。お二方から、使い始めのときの決定に大きな 力を持つのはだれか、そこは適切ではないのではないかとの御指摘がありました。勿論、 制度上、最終決定は本人がするにしても、アドバイスを強く行える立場があいまいであ って、しかも計画もよくわからない、そこが問題だと言われました。これらの点につい て、ケアマネ側の木村委員、どうぞ。 ○木村隆次委員 前回すべてお話しさせていただいたことが、今、ほとんどの委員の先 生方がお話しされたことだと思うのですけれども、主な意見の6ページの方に、それが すべてまとめられて書かれていると思います。  導入のところで、状態、状態に応じて、病気の状態もありますから、医師の関与が絶 対必須だと思いますし、それから、この後、質問もさせていただきますが、その前に介 護支援専門員の研修の中、相談員の研修の中に、先ほど説明のあった時間数で果たして きちんとやっていけるかどうかということもありますので、今後の研修会だとか、そう いうことの提言もしたいと思います。  それで、いわゆるOT、PTの方々のかかわりも、きちんと入るような形にしていか ないと、やはり無理だと思います。なぜかというと、体の動きとか、そういうことを十 分わかっているのはその人たちなわけです。ですから、その人たちの関与ということを、 いわゆるPDCAサイクルの中できちんと位置づけて、それで個別援助計画でのトータ ルの目標もあるのですけれども、その目標をかなえるために、福祉用具・住宅改修をな ぜ、どの段階でいれるか、やるかということをきちんとやっていかなければいけないし、 やりっ放しではなくてモニタリングもきちんとやらなければいけないと思います。  そこで教育についてですが、今すぐできることは、今日の参考資料の6ページに紹介 されました、情報公表というところは、事業所がどういうことをやっているかですから 省略しますが、真ん中に示された介護支援専門員ほか国民も使える福祉用具情報システ ムがあります。たしか3年前に福祉用具のガイドラインをつくる、つくらないのときに 同時にやって、これは厚生労働省の肝入りで作成しテクノエイド協会さんが運営してや ってきたものですけれども、これの今のアクセス数とかはわかるのですか。  私は、久しぶりに、これを思い出しました。このシステムがいいなと思うのは、いわ ゆる用具のスペックが公表されていて、皆さん、使ったことがあると思いますけれども、 例えば私の体型に関する数字を入れていきますと、どういう車いすがよいかが提案され ます。今日、私は、右足が不自由な状態で、松葉づえがないと移動できないのですけれ ども、仮に電動車いすとか車いすを使うとなったら、自分のサイズをぽんぽんと入れて いくと、プレゼンテーションしてくれるのです。こういう車いすがいいのですよという ところまで出てくるものです。ですから、そういうものをもっと公に宣伝しないとだめ だと思います。ですから、介護支援専門員はそのとおりですけれども、福祉用具専門相 談員ほか、関係する人たちがこういうツールを使ってどんどんやっていけばいいと思い ます。  それから、6ページの一番右側にある、介護保険対象福祉用具詳細情報ですが3,200 事例というから、最初、私どもの前進である全国会議支援専門員連絡協議会が、協力さ せていただいて、ここまで数字を上げてきたはずですけれども、もっともっと個別性は あると思いますので、ここに現場の介護支援専門員とか福祉用具専門相談員とか、そう いう専門職が書き込みできるようにするとか、そういうことをどんどん加速してやって いってほしいと思います。これは今すぐできることですから、こういうことで、プロセ スをしっかり踏むということを確認して、専門職種を確実にそこに入れていただくこと と、それから、こういう事例を、みんなで使えるというものを公に集めてやるという形 のことを今日は提案したいと思います。アクセス数というか、使い方は、今日、村尾常 務がおいでになるのでコメントをよろしくお願いします。 ○村尾俊明委員 アクセス数の具体的な数字はありませんけれども、商品情報のところ はものすごくアクセスはございます。詳細情報は余り多くないのです。というのは、選 定するとか適応するというのに使おうという意識が働いていないのではないかと思うの です。本当に使えるツールはたくさんあるのですけれども、そこまでに至っていないの かなという、むしろそちらの方が心配なのです。使っていただきたいと思います。大変 評価をしていただいてありがたいと思っています。 ○田中滋座長 情報を伝える仕組みと、それを選ぶ方々への教育が不足しているのでは ないかという両方の御指摘でした。  伊藤委員、どうぞ。 ○伊藤利之委員 入り口のところできちっとした評価をして、計画的に福祉用具を使う というのは理想的ではあります。私どもが横浜でやっている場合でも、住環境の整備等、 大がかりなことをやらなければならないケースに対しては、そういう形を取っています。 あるいは補装具という形でもって出さなければならないような、障害者自立支援法との 関係ではその形をとっています。  しかし、これはものすごくお金のかかる話です。また、福祉用具の使い勝手からして も、それを一々通さなければこれが得られないよという話になったら、これも非常に不 便です。ですから、やるとすればバックアップ・システムなのだろうと思います。そう すると、最初に福祉用具の相談員やケアマネジャーさんたちが困ったときに相談できる。 今のツールもそうですけれども、困ったときにそれを見る、こういう教育をきちんとし ていかないと、多分、ものすごくお金のかかる話になってしまいます。  バックアップの方も、今、私ども医療のサイドでは、いろんなリハビリテーション関 係の病院施設協会やら、PT協会やらOT協会、私ども学会とも共同して、在宅サービ スのためのいろんな仕組みづくりだとか、そういう啓発活動とかをしておりまして、そ うなってきますと、今すぐというわけにはいかないけれども、次第にこれから、そうい うリハビリテーション関係者が地域で働くことができるようになってくるだろうと思い ます。そういうリハビリテーションの視点が入りますと、生活機能を上げていく、すな わち、ある障害があっても、そういう障害のある中でどう生活するか、どう生きるかと いうことについて一緒になって考えていける、そういう状況が生まれてくるはずなので す。  そこで、例えば私が自分の親族だとか仲間たちのところで、こういう方がいらっしゃ れば、当然、福祉用具についても全部相談してしまうわけです。そうなったときに果た して今のような窮屈なやり方でいいのか。レンタルだけでいいのかとか、そういう問題 が出てくるだろうと思います。ですから、むしろそこでは選択制というもの、前にも強 調しましたけれども、基本的には将来的に選択制があるべきだと思います。そういう中 で、自分たちでそれは管理しますからということも含めて、メンテナンスに関しても私 は同じことが言えるだろうと思うのですが、そういうふうにして安くすることもできる よというところは、将来はつくっていただきたいなと思います。  今は入り口のところをきちっとやらないといけないので、村尾委員がおっしゃったよ うに、モニターとしてどこかできちんと、それをやるところをつくらないと、恐らく研 究成果は出てこないですから、福祉用具の効果だとか、そういうものについてはそうい うことをやってほしいのですけれども、そうではないところでは、ちょっとそれは難し い、一遍にはできない話で、バックアップの重層的な仕組みを、今あるものの中で利用 していただけるといいなと思います。更生相談所などというのはどこの県にもあるわけ ですし、都市にもあるわけですから、そういうところを含めて利用できるようになると いいなと思います。 ○田中滋座長 ありがとうございます。そういう相談の仕組み、事前のさまざまな情報 についても、要は利用者が自分の力でする話と、保険給付にかかわる話は完全に一緒で はないですね。池田省三先生がさっき言っておられたように、福祉用具がどう役に立つ か、その使い始めのときにどのような社会的なサポートが必要か、こちらはかなり広く 実施していける。他方、保険が何もかも給付することは成り立たないので、そこは区別 しながら議論が進んでいると思います。両方の側の意見があるので、事務局としても、 在り方論の話と保険給付の話とは整理しておいた方がよろしいですね。  はい、どうぞ。 ○池田茂委員 先ほどからもお話出ていますけれども、平均値から高い、あるいは低い 外れ値が存在することは不適切ではないかということは全くそのとおりでして、厚労省 の方で何がしかのことを考えていただきたいと、業界としても思います。  それと、今の先生のお話に戻るんですけれども、前回も問題になりましたけれども、 たまたま今日、木村(隆)委員が松葉づえを持ってきていますけれども、先ほどの選択 制ですね。前回も松葉づえとか歩行器とか、そういうものはレンタルではなくて販売し た方が良いのではという意見が出ましたけれども、この中にも出ておりますけれども、 すべての商品というといろいろ問題もあるでしょうから、軽度の松葉づえとか、そうい うのからスタートし、どちらか選べる形にした方がいいのではないかと思います。木村 委員だって、あと数か月したら、それは要らなくなるわけですから、買わなくてはだめ といったら捨てることになるわけですから、そういった軽度の福祉機器から選択制を導 入したらどうかと思います。 ○田中滋座長 新しい論点で、レンタルか購入か、あるいは選択制か、この問題につい てはいかがですか。ほかの委員の御意見を伺いたいと思います。何人かの方からは、選 択制がよろしいのではないかとの提案がありました。  伊藤委員、どうぞ。 ○伊藤利之委員 追加で申し上げますが、選択制を取るときには一定の仕組みが必要な んだろうと思います。レンタルの場合には、いつでも返せるからということがあって比 較的気楽にというのも非常にいい点ではあります。ですので、選択制になった場合には、 今、池田(茂)委員がおっしゃったような軽度のものから始めようというのは私もいい と思いますが、基本的にそういうものを給付にするという場合に、自立支援法の補装具 に関係するようなもの、この前出ていた歩行器、そういうようなものに関して言うと、 やはりかなり慎重でなければならないです。そこで、レンタルとは違った、給付にする ときには、やはり一定の、例えば医師の目というか、そういうような関係者の目が必要 だろう。  ただ、補装具はそういうことに慣れている医師がかかわっていることが多いのでよろ しいのですが、介護保険になると、今の意見書を書いている主治医というのは、内科の 先生たちが非常に多いので、困難かなという気はします。ですので、一定の期間使って 給付にするとか、何か客観的な目で見られる条件を、ケアマネジャーさんたちが判断で きる条件みたいなものをつくって、その上で医師の意見書を入れるとか、それだったら 可能性があるかなと思います。だれかの目でとにかく見て、ある程度責任を負ってもら いながらやるということと、もう一つは耐用年数を考える必要があると思うんです。そ うでないと、毎年変えてしまうのだったらレンタルと変わらなくなってしまいます。や はりそれには一定の覚悟を持って給付を選択してもらわないとならないわけで、そこで 医師の意見書もそれなりの覚悟を持って、この人は3年間ぐらい使えるから出しましょ うと、こういう話になるわけでしょうから、そういう条件が一定程度必要だろうという ことだけは押さえた方がいいと思います。 ○田中滋座長 伊藤委員がおっしゃっている給付とは販売のことですね。 ○伊藤利之委員 そうです。 ○田中滋座長 どちらにしても保険は給付されるけれども、販売にする場合にはそうい う注意が必要である。  東畠委員、どうぞ。 ○東畠弘子委員 前回出ました歩行器、歩行補助つえ、手すりを販売に変えたらどうだ ろうかという御意見だったのですけれども、私も福祉用具国民会議というものの実行委 員をしておりまして、そのときに若干ですけれども、皆様方から御意見を伺いました。 ただ、全体の総意としてまとめられているものではなかったので今日は提出しませんけ れども、ある事業者さんからですと、例えば歩行補助車、いわゆるシルバーカーに近い ようなものですと、軽度の人に多いので、利用される方が長期に利用される、しかも頻 繁に機種交換、いわゆる借り換えというのでしょうかね、それはない。つまり、ずっと 使っている状態になる。そういうものであるならば購入、あるいは販売というのも可能 ではないかというのはあるのです。  ただ、心配なところは、先ほど伊藤委員がおっしゃったように、最初のときに試して みないとわからないというところと、あと、現在では購入ないし販売というのも、確か に事業者の要件は福祉用具専門相談員がいるということになりましたけれども、貸与に おいても、これまでのように、本当にうまく選定ができているのか、その後、ちゃんと PDCAが回るようになるかという話も今、課題としてはある中で、購入や販売の事業 者さんがそれをうまくやってくれるのか。うまくというのは、まず最初の選定段階。で すから、何かお試しみたいな使用があるのか、できないかという仕組みがあること。そ して、その後のメンテナンス、ないしは例えば何かあったときに相談ができるという、 そこの仕組みがやはり担保されないと、いいものというか、利用者のためにならないと いうところはどうなのかなというのがちょっと心配です。 ○田中滋座長 売り切りで関係が切れてしまうような売り方は好ましくない。 ○東畠弘子委員 そうです。今はケアマネジャーがいますから、ケアマネジャーと貸与 事業者がいるわけですけれども、そこのところが心配だということです。 ○田中滋座長 木村憲司委員、どうぞ。 ○木村憲司委員 前回も申し上げましたけれども、福祉用具にかかる人身事故がついこ の間も経済産業省から公表されました。メーカーの設計意図どおりの使われ方をしてい ないということもありますけれども、経年劣化によって不幸な事故につながることも必 ずあるわけで、車輪が脱落してしまうとか、ゴムが減っていたとか、そのようなことで あるとか、具体的に先日公表された中に歩行器の事故がありまして、段差に引っかかっ たら歩行器が折れ曲がってしまったという記述があります。その状況についてはまだ詳 しく聞いてはおりませんけれども、万が一それが経年劣化による、保守点検の不備によ る事故であると非常に問題だと思います。  言いたいのは、レンタルであれば、貸与事業者の方がレンタル期間中、保守点検、そ の製品の安全性について責任を持って貸与しているわけですが、売り切りになってしま うと、売って、その後、何年かたったときに、保守点検とか、あるいは製品の不備につ いて、どのようなチェックができるのか。利用者がわからないところで大きな事故につ ながるようなことをどのように未然に防ぐのかということは、売り切りに移行するとき には是非押さえておかなければならないポイントだと思います。 ○田中滋座長 ありがとうございます。  久留委員、どうぞ。 ○久留善武委員 ただいまの問題に関連してですが、まず、基本的に購入かレンタルか という議論は確かにあるのですけれども、介護保険の場合は、最初の制度施行時の考え 方は基本的に原則レンタルで、購入についてはあくまで例外的なものとして幾つかの条 件を付して、これについては購入というふうに整理をしておりますので、その原則論を 外していきなりレンタルか購入かという二者選択ではないような気がいたします。あく までレンタルを前提にしながら、購入を選択できるような方向性が望ましいのではない かという気がいたします。  それから、もう一つ、購入に移行したときに、所有権が利用者に移行してしまいます ので、その場合に、私有財産の形成との絡みで、制度設計上の保険給付の在り方の議論 が1つあろうかと思います。これは住宅改修のときもあった議論です。  それと、もう一つは、個人の所有になった場合に、最終的に今、木村(憲)委員がお っしゃったように、経年劣化の問題が出てまいります。そうしますと、これはパロマの 問題にしても、さまざまに今、起きています。 ○田中滋座長 児童遊園の子どもたちが乗っているブランコなどでも同じように起きて いますね。 ○久留善武委員 そういうのも含めて、経年劣化の問題は、利用者が自らチェックする のはほとんど不可能でございますので、ある時点では伊藤先生おっしゃったように、そ れを説明した上で、本人が納得した上で購入に移行するというのはありかと思います。  もう一つは、所有権が利用者に移行した場合に、最終的に、私どもシルバーサービス 振興会的な考え方で言うと、産業廃棄物なのか、家庭で出る廃棄物なのかの問題で、福 祉用具の廃棄の問題も出てまいります。そういった問題をもろもろ考えますと、レンタ ルというものをある程度原則にしながら、その利用者の状態において、利用者の選択と いうことを前提にしながら購入という道もあるという方向が望ましいのではないかなと 思います。 ○田中滋座長 整理をありがとうございました。  東畠委員、そろそろ時間ですけれども、もう一言ぐらい何かありますか。 ○東畠弘子委員 済みません、一人でしゃべりまくってしまいまして。今のポイントは、 給付をどこまでということと、あと、利用者に適切なものがいくのかという選択と、そ して安全性の担保だと思います。安全に関しましては確かにSGもありますけれども、 昨年度の福祉用具のSGで見ると、歩行補助車、いわゆるシルバーカーが一番多かった ということがあります。とはいえ、シルバーカー自体は比較的軽度の方が買い物等に使 う。では、それをそのまま事故があるのを放置していいのか。そんなことは当然ないわ けですから、どこの段階で、どなたが、御利用者にとって適切なものが供給できるため の仕組みをどこの範囲までするのかというところが、今日のこの議論部分だと思います。  それと、もう一点大事だったのは価格の話です。価格のところは、今、前半の外れ値 の話で終わってしまっていますけれども、私はここで退席してしまいますけれども、今 の自由価格というのが弾力性があるのかないのかというところの検証はあるのか。利用 者にとって、自由価格であるということで、価格が高いとか低いとかいうところが判断 しにくいというところも、たしかテクノイド協会の報告書にあったと思います。この辺 りの価格を今後どう考えるのか。私は今日は出なければならなくて話はできないのです けれども、やはり価格の問題ももうちょっと議論の中にはしていただいた方がいいのか なというのがあります。つまり、価格の弾力性があるのかというところです。 ○田中滋座長 急いでありがとうございました。価格の問題については、最初に池田茂 委員も、レンタル価格の中に物代と人代を分けてはどうかという問題提起がありました。 それについてもどなたか議論いただきたいと思います。別に、それに限らず、何でも結 構です。  池田省三委員。 ○池田省三委員 購入かレンタルかという問題は実は非常に大きな問題に広がる可能性 があると思います。低価格のものだけに絞らずに、むしろ高額のものの方がなじむかも しれないという議論もあります。勿論その場合は全部1割自己負担ということはならな いでしょうが。今、議論しているのは、当面低価格でもって、本人の所有物になって、 それほど問題ないものということでまず整理した方がいいと思う。それ以上に広げると、 すごく大きな議論になってしまう。  限定的に行うとするならば、問題は幾つかあって、使ってみなければわからないでは ないかという、クーリングオフをどうやってきちんと置いておくのかということが1つ、 それは制度的に必要だと思います。  もう一つは、事故が起きる不適切な使われ方をするということですけれども、先ほど 経年劣化のことをおっしゃいましたけれども、要介護高齢者の場合、きわめて長期間使 うわけではないわけで、どの程度経年劣化という問題が起きるのかを教えていただけれ ばありがたい。結局、製造物責任は残るわけでございまして、その製造物責任を明確に して、きちんと、売りっ放しではだめだよというところ、それも1つポイントではない かという気がいたします。  実は、レンタルか、それとも購入かという問題は、保険給付は全部9割でいくのか、 それとも定額制にするのかとか、上限価格にするのかということと非常に結び付いてく るので、恐らく今の段階で、ある意味で問題ないものは購入制にして一向に構わないと 思うのですけれども、それで終わるのではないという問題意識は持っていた方がいいの ではないかなという気がいたします。 ○田中滋座長 ありがとうございます。  対馬委員、どうぞ。 ○対馬忠明委員 今の池田(省)委員の意見に対して私も賛成します。やはり1割負担 の中で市場の価格を見て、選択といっても、なかなか難しい。中医協などの議論、私も 何年かやっているのですけれども、3割負担になったら議論が変わってきたんです。前 ですと、こういった医療サービスは評価すべきだということはイコール上げるべきだと、 こういう話で、1割負担、特に高齢者などはそれで済んでいたんですけれども、最近の 議論は、評価するのはいいのだけれども、しかし、患者負担3割だよね、それでも本当 に評価するのでしょうかという議論と両方の視点から議論できるようになってきました。 ですから、そういうことからいきますと、今の1割負担の中での議論というのは限界が ありますので、やはりある程度、価格の低廉なところに限定してということには私も賛 成します。 ○田中滋座長 中医協での御経験を踏まえた大変貴重な御意見だと私も感じました。  はい、どうぞ。 ○池田省三委員 さっき言おうと思って忘れていたことなのですけれども、適切な利用 のされ方ができるようにしなければならないということと、購入とレンタルの問題はち ょっと意味合いが違うと思います。あからさまに言いますと、現在、レンタルで使われ ている福祉用具が、では、どこまで適切に使われているかというと、かなり疑問がある ことは否定できないことだと思います。そういった現実の中で、購入だけが厳しいチェ ックによって入れてはいけないということになると、ではレンタルの方は一体どうなの だという議論になってしまう。ちょっとずれているような感じがします。つまり、論点 が違うのです。適切にどうやるかということは、レンタルであろうが購入であろうが、 それは全般にかけてやらなければいけないことである。現実、かなりそこのところは穴 ぼこだらけであるにもかかわらず、正論でもって購入というものを否定してしまうと、 それはちょっとバランスを欠いているような、その不安がありましたもので、それを言 うのを忘れておりました。 ○田中滋座長 ありがとうございます。  久留委員、どうぞ。 ○久留善武委員 私もさっきの発言に少し、議事録が残りますので補足いたしますと、 経年劣化の問題は確かに池田先生御指摘のとおり、福祉用具の場合、長期にわたってと いうのはなかなか例がまだ十分にないというのもありますので、むしろ先ほど木村(憲) 委員がおっしゃった、経済産業省から出ている「高齢者等の要介護者等における重大製 品事故発生に関する注意喚起のお願いについて」10月18日付で出されているものです が、事故の内容を見ますと、経年劣化の問題というよりも、むしろ使用方法が十分注意 されていなかったということも非常に多いということもありますので、経年劣化のみな らず、使用方法について、利用者側の方に相当問題がある。ただし、それは池田(省) 先生がおっしゃったように、レンタルだろうが販売だろうが基本的には同じということ でございます。 ○田中滋座長 石川委員、どうぞ。 ○石川良一委員 私どもの方で調べた、レンタルを契約する前にどんなふうに決定をし ているのかということからしますと、かなり柔軟にいわゆる試供期間のようなものを設 けて、利用者に合うような努力は、現場の事業者はかなりやられていると聞いています。 ですから、この辺りについては余りぎちぎちな制度化ということよりは、現場でやられ ているようなもの、これは全国一律にそうなっているかどうかはわかりませんけれども、 私どもが調べた範囲では、そのような方法が取られている。買取りの場合でも同じよう な形になっていくと思いますので、その辺は意外と事業者側も努力をしているのかなと いうのがあります。 ○田中滋座長 ありがとうございます。これも先ほど来出ていましたが、利用者側が市 場経済では工夫をする、それを周りが応援することは当然であります。しかし、それを 全部制度化するかどうかは別の次元の話であるとの区別であります。ありがとうござい ました。  先ほどのレンタル料金の話、池田茂委員に対する何か回答、反論はございますか。ど うぞ。 ○池田茂委員 余り関係ないことですけれども、最近思ったことなのですが、この福祉 機器のレンタル制度は世界に誇っていい制度だというふうに私は思っています。最近、 外国の方がたくさん当社を訪れますが、日本のレンタル制度を説明するとみんな不思議 がるのです。何かというと、まず第1番目に、介護保険の適用になっていますけれども、 我々がお客さんに貸すときに保証金も何も取らないのです。それから、1割自己負担で すけれども、自動引き落としをやっています。海外の人はそれも理解できないです。こ れは、我々企業が役所を信用することと、お客さんも信用しているから成り立っている ビジネスで、どこの国とは言いませんけれども、外国ではこういう制度をやりたくても なかなかできないのではないかと思っております。全然この議論とは関係ありませんけ れども、このレンタル制度は日本独自の、お互いに信用しているから成り立っているの ではないかなと最近つくづく思っております。 ○田中滋座長 日本の市場経済は一般に高信頼の中で、何も福祉用具に限らず、かなり の部分が双方信頼し合って成り立っているという意味では正しいですね。  どうぞ。 ○池田省三委員 介護保険全般が言えるのですけれども、要支援1、2、要介護1、2、 3、4、5という分類はあるのですけれども、もう少し大枠で被援助者というものを考 える必要があるのではないか。  例えば、デイサービスだって、のっぺらぼうにデイサービスなのです。そんなはずは ないのです。一般的に言えば、クラブデイがあって、リハビリデイがあって、ナーシン グデイがあるというふうに、状態像に応じて変わるわけです。  そういった意味では福祉用具もそうであって、確かにさっき伊藤委員がおっしゃった ように、加齢に伴って要介護状態が進行していくというのは否定しがたい事実、全般的 には当たり前の話であります。  ところが、軽度にあっては一番何が問題なのかというと、福祉用具が状態像を改善す るということをそれほど期待しているわけではない。悪化させることを不安に思ってい るのです。だから、そういった意味で、軽度のところの福祉用具というのは、そういっ た観点でかなりきっちりやらなければいけないのではないか。  中度、重度の場合は、むしろその人の生活がいかに利便で負担が少なくなるかという 使い方をするわけであって、それが要介護状態を改善させるかといったら、それは余り 期待していない。  そうした考えを要支援などの軽度の人に適用したらどうなるか。廃用症候群が進行す るかもしれない。かつのっぺらぼうに福祉用具をとらえるのではなくて、それこそクラ ブデイ、リハビリデイ、ナーシングデイというような考え方で福祉用具の使い方をまと めるというか、考えていく、それが必要なのではないかなという気がします。  現実に、通所もそうですし、福祉用具もそうなのですけれども、廃用症候群というの は絶対見逃せない状況です。要するに、土いじりをやっている地域は寝たきり率は明ら かに低いのです。体を動かしていれば低いのです。そういう面で考えていく必要がある 福祉用具をどれだけ締めたところで、介護給付がどれだけ下がるかは知れたものですか ら、財政的に福祉用具をいじめたってしようがないということは十分承知しています。  むしろ、前回も言ったように、それこそ将来の輸出産業としても十分可能性のある、 アジアを対象にした、あるいはアジアに貢献できるということがあるので、そういう観 点から、状態に応じたという、もう少し大枠できちんと整理する必要がある。それを個 々の人間は違いますよと言われたら、それはそのとおりだけれども、そこから何も出発 できない、そういう感じがいたします。 ○田中滋座長 要介護度はいわば手間の程度だけれども、それとは別に、その人の状態 像に応じてサービスや物の使い方を考えようと、これは大きい研究のテーマだと思いま すが、御指摘いただきました。  伊藤委員、どうぞ。 ○伊藤利之委員 現場の話を少しさせていただきますと、決して反論ではないのですが、 福祉用具によって機能が悪化する、それは非常に問題がある、そのこと自体は私も同感 です。そういうような使い方をしてはいけないことは確かです。  ただ、介護保険の導入によって私が臨床の現場で感じているのは、むしろ用具ではな くて、デイサービスだとか、そちらの方なのです。実は、沖縄の実態などを見てきたの ですけれども、例えばおばあやおじいが畑仕事をしている。要支援である。しかし、仕 事をやっているわけです。ところが、デイサービスに仲間が行った。あんたも来いよと 言われて、みんな行くわけです。デイサービスで何をやっているかというと、幼稚園児 を相手にしたようなお遊びをやっている。こういうことが沢山あるのです。  私の外来でも、ちゃんと歩いて来られている人に、「何が目的来られたんですか」と 聞くと、「ヘルパーさんが来てくれて私は暇になった。今までは一人で生活していて暇 がなかったから来られなかったけれど、実はリハビリテーションをきちんと受けたこと がないから、この際だから一回受けてみたい」と来られる。こういうような条件がいっ ぱいあって、そちらの方が大きな要因になっているように思います。  福祉用具そのものはそれほど大きな悪化には作用していないだろうと思うんです。し かし、そのことがないわけではありませんから、あったとすれば問題なので、きちんと 調べる必要があると思いまです。 ○池田省三委員 そのデイの問題というのはまさに、クラブデイなのに別のデイにして しまっているからおかしくなっているのですね。 ○伊藤利之委員 そうです。お客さんがいないものですから、入れたいわけです。そう いうことが起こっているのだろうと思います。 ○田中滋座長 制度を使い慣れてもらうために、最初のうちはどうしてもそういう事態 が起きるのかもしれませんが、改めて考えるべきであると、お2人が言っていただきま した。  ほかにいかがですか。はい、どうぞ。 ○木村隆次委員 話題を少し変えて、さっき伊藤先生がおっしゃった入り口議論のとこ ろで、来年の4月から後期高齢者医療制度が動き出します。今、骨子が出て、そのとお り4月1日からよーいどんで100%動くとは思いませんが、きっかけとして、入院時、 退院時、外来、在宅療養、看取りのところまでステージを分けていろいろ議論して、骨 子が出ていますけれども、退院時に、その人の生活に合わせたということで、入院した ときから評価して、療養の状況だけではなくて、生活ができる状況にすべてマネジメン トしてやっていかなければいけないという形になると思います。  ですから、そのときに、この福祉用具のこととか、住宅改修のこととかもきっちりカ ンファレンスの中に議論が入るように、老健局振興課の方から保険局医療課の方に申し 入れしていかないと、自立できないというか、不安な状態で在宅での暮らしということ になると思いますので、担当課どおしの連携、制度と制度との連携ということも、福祉 用具という1点だけを見るのではなくて、そこのところも行政としてつないでいただけ ればなと思います。 ○田中滋座長 重要な点ですね。今度、入院中のカンファレンスが義務づけられますか ら、その中で退院後の生活に当たって必要なものをきちんと取り入れよということでし た。 ○伊藤利之委員 時間があるようでしたら、ちょっと。そのことで言えば、実は補装具 のことでも同じことが言えるのですが、私たちがこの人に車いすを出すか出さないかと いう判断をするときに、先ほど池田委員もおっしゃいましたけれども、やはり介護者と の関係をどうしても考えざるを得ないのです。  ですので、介護認定との関係で言うと高いレベルになったとしても、非常に危険率が あるという場合には車いすです。これは施設などでは圧倒的にそうでして、廊下に手す りがいくらついていても、歩かせるなんてことはほとんどありません。手すりを持って 歩かなくてはならないような人たちはみんな車いすにしてしまうわけです。人手が足り ませんから、危険だからそうなる。家でも同じことが言えまして、どうしても車いすは 必要ですよという話になる。  ベッドにまでそれが言えるかどうかわかりませんが、いずれにしても大は小を兼ねて しまうものですから、1モーター、2モーター、3モーターという話になれば、3モー ターなら全部OKですよと、こういう話にもなってしまうわけです。  ですので、介護との関係をどういうふうに判断して福祉用具を使うのかということを 考える、そういう仕組みが必要だろうとは思います。ただ、そのときに、医療のサイド のカンファレンスの結果というのは有効ではないか。発症からずっと流れてくる場合の、 そういうケースにおいてはかなり使える仕組みだろうと思います。ただ、在宅生活の中 でどんどん機能が低下してしまったとかという場合にはなかなか使いにくいわけで、そ れは主治医との関係だろうと思いますが、いずれにしても、そういう医療情報が入るこ とによって、危険率が高ければ、ある程度やむを得ない。そのことが要介護度を落とし てしまうこともあり得るのです。そういうのは半分虐待かもしれないのですけれども、 半分やむを得ないという面もありますし、そこのところをどういうふうに見るか。私た ちとしては、やはり危険率を考えると車いすは必要ですよというふうに言わざるを得な いのが実態です。 ○田中滋座長 安全サイドを取ると、どうしても過剰の方に揺れる、これは統計的にそ うなります。 ○伊藤利之委員 ですから、御本人や御家族が、是非それでもやりたいと言った場合に は別ですけれども、そのときにはきちんと注意を申し上げてやっているわけです。だけ れども、そうではない限りは、特に認知症があればそうせざるを得ない。 ○田中滋座長 木村(憲)委員、どうぞ。 ○木村憲司委員 先ほどからベッドの昇降装置が使われていないケースがあるとか、今 の伊藤先生のお話の中でも、1モーター、2モーター、3モーターのベッドがあるとい うお話があったので、あえて申し上げますけれども、3モーターと言っているのは、一 般的にはベッドが垂直にハイ・ローするための3つ目のモーターのことを多分言ってい るのだと思います。  何でベッドが上下するかという基本的なことなのですが、介護する側から患者さんの 寝ている位置は適当に高い方がいいわけです。50センチとか60センチの方が、立った 方が介護するための腰の折りぐあいというのは高い方がいい。  それと、なぜ低い位置が必要かということは、これは今、世界的な傾向なのですけれ ども、ベッドで生活している、あるいは病院で、相当急性期で入院している方で、非常 に多い事故の例はベッドから落ちてしまう落下事故なのです。これに対して病院の中の 医師、看護師は非常にナーバスになっているのですが、落下をしたときに高い位置から 落ちた方がけがが大きいのは当たり前です。  では、どうやって落ちないようにするかというと、理想的なさくをつくって落ちない ようにする。ただ、さくを頑丈にすればするほど、寝ている方の視野は狭くなるし、な おかつ挟み込みの事故というのも残念ながらあるわけです。  今、世界的にベッドメーカーの開発の方向は何かというと、落ちても大丈夫なぐらい に低くなるベッドはないかと、ミニマム・ハイトの競争なのです。10インチを切るとか です。ついこの間まではアメリカのベッドメーカーはそんなことは言っていなかった。 ところが、昨年のヨーロッパの医療機器の展示会などでも、いかに自分のところのベッ ドが低いかという競争になっているぐらい、低いものを求めるというのは、落下に対す る安全性を何とか、けがをしないようにしようということです。  何で自動的に上下するかというのは、今、言った説明でしたら、ベッドの高さをどち らかに固定しておけばいいではないかということになるんですが、座位から立になる、 ベッドから立ち上がるときに、ベッドに腰かけて、かかとを床に着く。そのときにある 程度の低さがないとかかとがつかないから、立ち上がるときに利用者は非常に不安定だ から低い方がいい。そこから立ち上がるときに筋力が不足しているときに、ベッドが上 がることによって、ある程度それを援助することができるためにハイ・ロー装置という ものはあると思って、我々はハイ・ロー機能のスピードなどもいろいろ研究して開発し ているつもりです。それはメーカーの意向です。  もう一つ、池田(省)先生から、福祉用具はこれから輸出産業としても非常に貢献で きるんではないかというお話があったので申し上げますけれども、福祉用具の開発に意 欲的な企業は、先日の福祉機器展などを見ても、年々異業種からの参入があって、福祉 用具の開発をしたいという企業はどんどん増えていると思います。  ただ、その市場がどれだけの伸びを持っている市場なのかというマーケティングでい くと、これは絶対に青天井ではないわけで、社会保障費の削減ということで福祉用具も 2006年4月の制度の変更によって、金額的には非常に下がりました。  2006年4月に軽度者への給付が原則禁止されたということでありますが、猶予期間が 半年あったので、実際に結果が出たのは10月。ですから、資料をいただいている福祉用 具の金額の集計表では、11月以降の計算を基にしなければいけないわけです。そうする と、直近の1年間の比較というのはまだ、10月からですから、現在公表されているのが 7月までなので、今年の直近の7月までの9か月と、制度変更前の9か月と、期間対応 して9か月・9か月で比べると、いわゆる福祉用具の貸与の費用総額として、前年は1, 423億円でした。それが制度改正によって、直近の9か月は1,165億円ということで、 9か月で258億円の費用が減少しているわけです。  ですから、介護保険の費用が節約されていることになるのですが、これを産業的に見 ますと、レンタル事業者の皆さんの売上げは平均して2割の減収になっていると思うん です。ところが、メーカーというのはどうなるかといいますと、前回の改正は原則禁止 になったので、既得権といいますか、現在使われている方ももう使ってはいけませんよ ということで、機器が引き上げられたわけです。引き上げられたものはどこへ行ったか というと、流通業者の在庫になったということで、メーカーにとってはこれが流通の皆 さんの2割減収よりもはるかにひどくて、3分の1ぐらいになってしまった、3分の2 が減ってしまったというような事態になっているということは現実としてあるわけです。  私が申し上げたいのは、福祉用具というのは介護保険だけの制度に依存した経営をす るには余りにも制度リスクが大き過ぎる。ですから、自費でも利用者の方が喜んで買っ ていただけるような機器を開発するという姿勢が非常に必要であるということもあるし、 もし日本でそれだけ通用するのであれば、世界でも売れるんではないかということもあ る。ですから、恨み言を言うのは半分ですが、やはり産業の方向としては、こういう制 度リスクがあるのをよい機会にして、福祉用具の利用の範囲というものをもっと考えた 開発をしていかなければいけない。  あと、また、業界団体として申し上げなければならないのは、これから異業種から参 入するときに、介護保険だけを当てにしていたら非常にリスクがありますよということ は、こういう数字を基に申し上げるべきかなと、蛇足ながら申し上げます。 ○田中滋座長 ありがとうございます。  どうぞ。 ○村尾俊明委員 ちょっと話が変わりますけれども、福祉用具の効用ということで考え ますと、介護を受ける側と介護をする側に有効だというのは言うまでもないんですけれ ども、私は自立の生活に役立つという視点を新しく入れる必要があると思うんです。と 申しますのは、ひとり住まい、2人住まいというのはものすごく増えています。これは 田舎も都市も同じです。家族がいてもやはりひとり住まい、2人住まいになっているわ けです。  それから、古い基準の団地が日本じゅうにあるわけで、そこでいろんな生活の不自由 という、自分で生活したいけれども、できないという人がいっぱい増えているわけです。 階段の昇降が一番問題になっているのです。  日本のサービスはどうしても人的サービスが優先して入りがちですから、お年寄り、 比較的元気な人も、ヘルパーさんが来て料理をつくったり、買い物をしてくれる間はテ レビを見ているとか、そういうことがあるわけですけれども、それは自分でやればいい んです。自分で買い物をして、自分で料理をして、洗濯もすればいいんです。それは福 祉用具があればいいんです。だけど、福祉用具があるからって使えないわけです。それ はやはり住宅改修だとか、まちづくりだとか、どうしても自助具が要るのです。こうい う流れの中で福祉用具が使われる。それはなぜか。自立をする、できるだけ自宅で、住 み慣れた地域で生活をするために福祉用具があるのだと、介護だけではなくてですね。 ベッドでも車いすでも、そういう視点での使い方をもう少し広める必要があると思いま す。  厚労省の人材確保指針が告示されました。その中に、介護の議論のときに相当議論が 出ました。たくさん書いてくれています。ああいう視点をこれから大いに取り入れてい ただければと思っております。以上です。 ○田中滋座長 最後になると思いますが、池田(省)委員、どうぞ。 ○池田省三委員 先ほどの議論とつないでなんですけれども、介護保険は社会保険です から、その事業はローリスク・ローリターンに決まっているわけです。だから、社会保 険の介護報酬でもって、例えば福祉用具産業が飛躍的に利益を得るということはあり得 ない。それは制度的に当然のことです。  だから、私は福祉用具に限らず、介護サービス市場というのをきちんと全体として理 解して運用していく視点が要るのではないかと思います。簡単に言うと、介護サービス 指標というのは二重、三重の構造になっている。基本となるのは社会保険サービスであ る介護保険で、それを補完する社会福祉サービス。これらはいずれにしても準市場で動 くしかないし、介護保険の場合はローリスク・ローリターンのいうことでかなり締めら れる。公費の社会福祉だと、予算主義で運営されますからもっと厳しくなる。これはい いか悪いかの問題は別として、そういう構造にならざるを得ないわけです。  問題は、その上に乗るハイ・クオリティー・サービス、あるいはそういったものを財 政的に保証していく金融商品、いわゆる民間介護保険がそれに近いと思いますが、それ が2階に乗る。これは完全に自由市場です。その自由市場と組み合わせるところが、実 は医療とは決定的に違うところです。混合医療は認められないけれども、混合介護は認 められるということです。  言ってしまえばローリスク・ローリターンの部分で経営そのものはある程度安定的に 動くけれども、収益はそんなに期待できない。その上の部分の市場というものをどうや って活性化していくか。これが実は介護サービス市場の一番大きな問題だ私はと思いま す。みんなそこに目を向けないで介護報酬に期待してきたものですから、ある意味で今、 反動がきているという構造になっているのではないかと思います。  そういうふうに言えば、ハイ・クオリティー・サービスでより品質の高い、ある意味 ではそれは高価格であってもいい、そういうものを開発していけば、日本の市場は2030 年ぐらいで頭打ちになると思いますけれども、韓国、シンガポール、中国では大変なこ とになるわけであって、そこでも役に立つ。現実に介護保険制度そのものを韓国が輸入 してしまいました。そういう意味で、介護報酬のところだけで介護サービス市場論を議 論することはやめて、少し幅広く見た議論がしたいなということであります。 ○田中滋座長 まとめのレクチャーをいただきましてありがとうございます。時間にな りましたので、3分早く始めたにもかかわらず、きっちりと議論いただきまして、あり がとうございます。  最初にお話ししましたとおり、本日の議論を踏まえて、早急に対応できる課題と、今 後検討すべき課題について事務局で整理していただきたいと思います。なかなか大変だ と思いますが、よろしくお願いします。  その他、事務局より連絡がありましたら、お願いします。 ○古都賢一振興課長 大変有用な御議論、まことにありがとうございました。  次回の日程につきましては、皆様の日程等を見て、また座長と御相談の上、決めさせ ていただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。 ○田中滋座長 では、本日の検討会はこれにて終了いたします。繰り返しますが、活発 な議論をどうもありがとうございました。 照会先  老健局振興課福祉用具・住宅改修係  連絡先:03−5253−1111(内3985) - 1 -