07/10/17 平成19年10月17日薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会議事録について 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録 1.日時及び場所   平成19年10月17日(水) 18:30〜   厚生労働省専用第18〜20会議室 2.出席委員(10名)五十音順    飯 沼 雅 朗、 五十嵐   隆、 川 西   徹、 澤 田 純 一、   ○首 藤 紘 一、 土 屋 文 人、 中 澤 憲 一、 野 田 光 彦、    長谷川 紘 司、 村 勢 敏 郎 (注) ◎部会長 ○部会長代理 他 参考人6名   欠席委員(9名) 鈴 木 洋 史、 千 葉  勉、◎永 井 良 三、 成 冨 博 章    西 澤   理、 林  邦 彦、 松 井   陽、 村 田 美 穂、    本 橋 伸 高  3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、   中 垣 俊 郎(審査管理課長)、   松 田   勉(安全対策課安全使用推進室長)、   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、 川 原   章(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全監理官)、   森   和 彦(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、   望 月   靖(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長) 他 4.備  考   本部会は、公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻前ですが、委員の先生方がお揃いですので、部会を始めさせてい ただきます。薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催します。本日は急遽のお願い にもかかわらず、御参集いただきまして誠にありがとうございます。本部会の委員19 名のうち、10名の委員の御出席をいただいておりますので、定足数に達していますこと を御報告いたします。なお、鈴木委員、千葉委員、永井委員、成冨委員、西澤委員、林 委員、松井委員、村田委員、本橋委員からは御欠席という連絡をいただいています。本 日は公開で実施させていただきたいと考えています。  本日、参考人として御出席いただく先生方を御紹介申し上げます。日本大学医学部精 神医学系教授の内山真先生です。東京女子医科大学医学部小児科学教授の大澤真木子先 生です。埼玉医科大学精神腫瘍科教授の大西秀樹先生です。国立がんセンター中央病院 手術部長の下山直人先生です。群馬大学医学部脳神経精神行動学教授の三國雅彦先生で す。国立精神・神経センター精神保健研究所薬物依存研究部長の和田清先生です。さら に申請者として、ノバルティスファーマ株式会社、ヤンセンファーマ株式会社の方に出 席いただいています。  なお、本日は部会長である永井先生が御欠席ですので、部会長代理である首藤先生に 以後の進行をお願いしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。 ○首藤部会長代理 まず事務局から配付資料の確認と、資料作成に関与された委員、及 び利益相反に関する申出状況について報告を行ってください。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日、席上に議事次第、座席表、当部会 委員及び参考人の名簿のほか、資料1はリタリン及びコンサータの取扱いについて、資 料2はうつ病の効能削除の提案と流通管理について、資料3はコンサータの流通管理に ついて、参考資料として学会等からの要望書を配付しています。なお資料2の別冊につ いては大部になりますので傍聴者用の資料には含まれていませんが、傍聴者用の資料に 記載されているヤンセンファーマのホームページに資料が掲載されていますので、そち らを参照してください。カメラ撮りの方については、これで御退席いただくようお願い します。  平成13年1月23日の薬事分科会申合せに基づく資料作成への関与、本年4月23日の 薬事分科会申し合わせに基づく利益相反は、議題1及び議題2とも本日出席の委員、参 考人について退室すべき方はおられません。また議決は部会委員のみで行いますが、議 決に参加できない委員はおられません。以上です。 ○首藤部会長代理 本日は審議事項が2議題となっています。これらの事項を審議して いただくに当たり、最初に事務局から5分程度、きちっと内容を御説明いただきます。 概要を説明してください。 ○事務局 資料1について説明したいと思います。1.はリタリンの効能効果についてで すが、リタリンの効能効果の変遷をまとめています。昭和33年に「うつ病、抑うつ性神 経症」を効能として承認されています。昭和53年には「ナルコレプシー」の効能が追加 されています。昭和54年には再評価結果により、うつの効能を「軽症うつ病、抑うつ性 神経症」に変更されています。平成10年には2回目の再評価結果により、うつの効能が 現在の効能である「抗うつ薬で効果の不十分な難治性うつ病等に対する抗うつ薬との併 用」に変更されています。本日、企業から、うつに係る効能削除についての一部変更承 認申請が提出されました。うつの効能削除に関しては、後ほど企業の方から説明してい ただきます。  2.はリタリン及びコンサータの流通管理についてです。(1)の基本的考え方ですが、 リタリン及びコンサータについて、投薬する医師、医療機関、薬局を限定するとともに、 薬局における調剤の際には、その確認を求めるための流通管理を行っていきたいと考え ています。  具体的な流通管理方法を(2)に書いています。詳しくは各企業からも説明があります が、概要を説明します。(1)医師、薬剤師、法律分野等からの有識者からなる第三者委員 会を設置します。(2)第三者委員会で医師・医療機関・薬局ごとに適正使用がなされるか 否かを検討し、リスト化してもらいます。(3)販売にあたっては、リスト化された医師・ 医療機関、薬局に限定します。(4)処方せんを受け取った薬局は、調剤前に処方せん発行 医師・医療機関がリストに掲上されているかを確認し、リストに掲載されていれば調剤 を行いますが、リストに無い場合は調剤を拒否して企業に連絡します。こういった方法 により、医師・医療機関・薬局を限定して使用してもらうことを考えています。全体の 枠組みとしては、麻薬の流通規制に準じた対応を取るということで考えています。  (3)ですが、このような対応を行ってもらうために、リタリンの一部変更承認及びコ ンサータの承認に当たり、薬事法第79条に基づく承認条件を付し、各製造販売業者には 適正な流通管理の実施を義務づけることを考えています。承認条件としては下の括弧に 書いていますけれども、「本剤の投与が、リタリンにあってはナルコレプシー(コンサー タにあっては注意欠陥/多動性障害)の診断、治療に精通し、薬物依存を含む本剤のリス ク等についても十分に管理できる医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局のもとでのみ 行われるとともに、それら薬局においては調剤前に当該医師・医療機関を確認した上で 調剤がなされるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること。」としています。  参考としてコンサータの経緯を書いていますが、このコンサータは本年8月の医薬品 第一部会において審議され、参考の二つ目の○に書いていますが、ここに書いているよ うな承認条件を付すことで、承認を了承していただいているところですけれども、今回 の流通管理の実施を義務づけるに当たり、承認条件を先ほどの2.の(3)のように改めよ うとするものです。資料1の説明は以上です。  お配りしている資料のうち、参考資料についても簡単に御説明したいと思いますので 参考資料を御覧ください。参考資料の1ページは日本精神神経学会からの要望書です。 これについては後ほど参考人の三國先生より御説明いただきたいと思います。4ページ は日本総合病院精神医学会からの要望書です。リタリンの効能・効果として、ナルコレ プシー以外にも、癌患者の緩和ケアにおけるうつ状態に限定しての適応を残してほしい という内容になっています。5ページは日本小児神経学会、日本小児心身医学会、日本 小児精神神経学会からの要望書です。これについては後ほど参考人の大澤先生より御説 明いただきたいと思います。7ページはリタリン問題を考える会からの要望書です。9 ページの(4)でリタリンのうつ病への適用の早急な削除について要望しています。11ペー ジは市民の人権擁護の会日本支部からの要望書で、コンサータの承認を見直してほしい という要望です。13ページはえじそんくらぶからの要望であり、AD/HDの患者さん が薬物治療を受けられるよう、治療薬の保険適応について要望しており、この中では処 方の制限により、治療を受けられないことを懸念する意見も含まれています。簡単です が参考資料の説明は以上です。 ○首藤部会長代理 今、事務局から説明がありましたが、リタリンに係る申請者である ノバルティスファーマ株式会社から説明をいただきたいと思います。 ○ノバルティスファーマ株式会社 ノバルティスファーマ開発部薬事部の川音と申しま す。本日はお時間をいただき、ありがとうございます。時間も限られていますので早速 説明に入ります。お手元の私どもからの資料2の1ページから2ページにかけて弊社か らの提案の要約が記載されています。弊社からの提案は、うつの効能削除並びに本剤の 更なる適正使用を目的とした流通管理の提案の二つです。  先ほど御案内にありましたとおり、リタリンは国内においては1958年に最初に臨床の 場で使われるようになりました。その後いくつかの変遷はありましたが、現在の効能効 果としては、他の抗うつ薬との併用での難治性又は遷延性うつ並びにナルコレプシーと なっています。一方、海外では現在、67か国で発売されていますが、うつの適応症を有 している国はなく、ナルコレプシー及び小児でのAD/HDでの使用が認められていま す。  国内のうつの適応症については、これまで医療ニーズの高いと言われていた難治性あ るいは遷延性のうつなど、非常に限られた患者さんでの使用に限定して対処してきまし たが、現在では本剤とは作用機序の異なる多くの抗うつ薬が上市され、それらの使用も 定着してきていると考えられますので、海外と同様に本剤の効能からうつを削除した場 合においても、海外と同様の治療選択肢が用意されているという考え方に立ちまして、 特段の支障はないのではないかという判断をしています。  一方、本剤については先生方の御判断で、医療上の必要性から、本剤の薬理作用に基 づく適応外の使用も行われているという理解をしていますが、その中では末期癌患者さ んにおける倦怠感、うつ、あるいはオピオイド治療における眠気の対処について、学会 の先生方を含めて強い要望があるということを理解しています。これらの使用方法につ いては、治療ガイドラインの中でも推奨されており、本日、関連の学会の先生方からも 御意見が述べられると理解しています。そこで弊社としましては、本剤のこのような末 期癌患者さんの使用について、海外での状況及び国内外の文献について調査してきまし たので、報告させていただきます。  海外においては、これらの使用は国内と同様に適応外です。したがって私どもノバル ティスが調べられる範囲においては、どの程度の使用頻度かということについては、具 体的な数字をつかむまでには至りませんでした。  一方、臨床試験の報告ですが、資料の13ページに私どもが国内外の文献を調べた結果 として一覧にまとめました。この中では一般にエビデンスレベルが高いと言われている 二重盲検試験の結果もいくつか報告されていて、一つ目、二つ目に記載した脳腫瘍ある いは癌患者を対象とした倦怠感を指標とした試験においては、比較対象として用いたプ ラセボとの有意差は見られなかったという報告が得られています。そのほかにはそれぞ れ例数は少ないものですが、オープン試験による検討がなされて本剤の有用性が報告さ れています。  以上の報告内容に基づくと、いくつかの有効性を示唆する報告は実際に出されていま すが、最もエビデンスレベルが高いと言われている、癌患者でのプラセボとの比較試験 においては有意差が見られませんので、弊社としては薬事法で求める効能・効果の取得 に値するほどのエビデンスは、現時点では得られていないと考察しています。  もう一つの私どもの提案である流通管理の件に移ります。本剤については不正使用あ るいは乱用の問題が多々報道されていますが、弊社としても適正使用の更なる強化を考 えています。ここまでに厚生労働省、関連学会の先生方との協議を通じて、第三者によ る委員会の立上げを決定しました。第三者による委員会ではナルコレプシーを対象とし て、本剤が使用できる医師、医療機関、薬局の基準を作成したいと考えています。現在、 その詳細を鋭意検討していて、新しい流通管理体制については、できるだけ早く移行し たいと考えています。現在の計画では遅くても来年1月1日までには、ナルコレプシー を対象とした新しい枠組みでの流通管理を開始したいと考えています。  本剤については、既に御承知のとおり市場で使われている薬剤ですので、医療機関、 薬局の特定の作業に入るに当たっては、現在、ナルコレプシーで治療を受けている患者 さんの利便性についても、十分に配慮したいと思っています。この点については第三者 委員会に参画していただける予定の弁護士や、生命倫理関係の先生の御意見をいただき ながら、基準作成の流れの中で十分に検討していきたいと考えています。  また流通管理の確立と並行して、私どもとしては1月1日までの間に、異常発注など のイレギュラーなことがないように卸売販売業者を通じてきちっとした依頼を行い、何 らかの措置を取っていく予定です。これらの措置については適正使用の観点からの対応 ですので、この場を借りて御理解を賜りたいと存じます。  最後になりますが、弊社からの資料の要約の2ページに、行政側へのお願い事として 要望を二点ほど述べていますので、それについて触れさせていただきます。一点目は向 精神薬の不適正使用に関する取締り強化を、是非ともよろしくお願いしたいと思います。 二点目に、本剤のうつの適応症が削除された場合においては、ナルコレプシーのみの適 応内の使用になりますが、その適正診断をしっかりやっていくためには、ナルコレプシ ーの診断、検査について、保険適用の対象として認めていただけるような、特段の配慮 がいただければと存じます。ノバルティスからの報告は以上です。ありがとうございま した。 ○首藤部会長代理 ありがとうございました。続きまして、コンサータに係る申請者で あるヤンセンファーマ株式会社から、御説明いただきます。 ○ヤンセンファーマ株式会社 ヤンセンファーマ株式会社メディカルディレクターの諸 川でございます。今日はこのような時間を与えていただきまして、ありがとうございま す。私どもが申請させていただいているコンサータは、今年8月29日の部会で有効性、 安全性について御審議いただいていますので、本日はコンサータの流通システムについ て主にお話させていただきたいと思います。  コンサータの流通システムのポイントは、第三者委員会を組織し、その審査に基づい て処方する医師、医療機関、薬局をリスト化して管理することにあります。皆様のお手 元にある資料3を御覧ください。別添1から説明します。一番上に「第三者委員会」と 書いていますが、構成は下の点線内の各学会の専門家の先生、日本薬剤師会、第三者的 な立場から御意見をいただく弁護士の先生方で組織されます。  次にAD/HDの診断治療に精通していると判断される医師、この方々は点線内にある 学会の学会員、あるいは本剤の治験において使用経験を持つ医師であろうと思いますが、 この方々に適正使用講習会を受講していただきます。適正使用講習会はヤンセンファー マ又は指定関連学会による開催です。適正使用講習会を受講していただいた後、申請を される医師の方に、使用予定施設登録申請書及び本剤適正使用講習受講証をヤンセンフ ァーマに提出していただきます。弊社では、これを第三者委員会にまとめて提出させて いただき、第三者委員会で、取扱医師として適正かどうかのオーソライズをしていただ きます。その後、適正と判断された取扱医師のリスト化を行います。その後、第三者委 員会には医師の追加、リストからの削除を含む維持管理をお願いすることになっていま す。  別添2を御覧ください。ここでは医療機関及び薬局のリスト化について御説明いたし ます。先ほど別添1で説明させていただいたとおり、第三者委員会でコンサータ取扱医 師のリストが作成されると、自動的にこの取扱医師が所属している医療機関のリストを 作成することができます。ここから、主要医療機関から発行する処方せんが主に調剤さ れている保険薬局を調査し、リスト化を行います。この時にヤンセンファーマの医薬情 報担当者が調剤時の確認とその対応を説明し、それに対して、管理薬剤師による本剤適 正調剤対応確認証を提出していただいた薬局のみを、第三者委員会にリストを提出させ ていただきます。ここでオーソライズされた薬局が、取扱保険薬局リストに最終的に載 ることになります。このリストも定期的に追加、削除を含む維持管理が行われることに なります。  別添3-1を御覧ください。ここでは医療機関あるいは保険薬局から医薬品卸売業者に、 本剤が発注された場合の納入管理について御説明いたします。医療機関あるいは保険薬 局から医薬品卸業者に本剤の発注がなされると、医薬品卸業者は弊社に納入条件の依頼 確認をFaxでします。弊社ではリストに適合しているかどうかを確認した後、適合性 を医薬品卸業者に通知します。適合していれば納入可能通知をして、医療機関あるいは 保険薬局に納入されることになりますし、もし不適合であれば納入はされず、弊社から 医療機関又は保険薬局に納入できないという理由の説明を行います。  別添3-2を御覧ください。ここでは異常発注の監視について御説明いたします。医療 機関から異常発注と思われる発注がなされた場合、たとえリストに載っている医療機関 であっても、通常の発注と比較して大幅な増加が認められる場合を想定していますが、 異常発注が疑われるような発注があったときは、ヤンセンファーマの支店取扱責任者か ら医薬情報担当者に訪問指示が出されます。医薬情報担当者は当該の医療機関を訪問し て、処方の適合性又は発注の確認をします。これでもし問題があったときには訪問記録 を作成・保管し、支店取扱責任者から本社の統活管理者に報告します。ここで異常発注 という判断が行われると納入停止指示を特約店に出して、特約店はこれを受けて医療機 関への納入を停止します。異常発注の発生状況については、弊社から第三者委員会及び 行政当局に定期的に報告させていただく予定です。  別添4を御覧ください。ここでは保険薬局における調剤時の確認と対応について御説 明いたします。取扱医師から発行された処方せんを患者さんがお持ちになって保険薬局 にお出でになると、保険薬局の薬剤師は、処方せんを発行した医師が取扱医師かどうか を確認します。これは弊社に確認が来ます。弊社では適合性を検索して、その結果を薬 局の方に連絡します。ここで適合していれば、調剤がなされて薬は患者さんのところに 渡りますし、もし適合していないということになるとここで調剤が止まって、取扱医師 以外の医師からの処方せんが発行されたという連絡が弊社に来ます。弊社の方では該当 医師に対して、本剤の流通管理方法を説明し不適合である旨を説明します。もし該当医 師がAD/HDの患者さんの診断治療に当たっていて、リストの掲載を新規に希望する場 合には、手続、条件等について説明します。リスト外の医師からの処方せん発行状況に ついては、弊社から第三者委員会及び行政当局に定期的に報告させていただきます。  参考を御覧ください。これは今までの説明内容をまとめたもので、リストの適合性と 流通について記載したものです。上段に医師と薬局の関係、下段に薬局と医薬品卸売業 者の関係を示しています。薬局についてですが、先ほど説明したとおり、本剤はリスト に掲載されている薬局にしか納入されていません。したがって医師と薬局の関係で、ど ちらか一方あるいは両方にリストの不適合があった場合には、本剤は調剤されないこと になります。  例えば上から2番目を見ていただくと、リストに適合している医師から、不適合の薬 局に処方せんが持ち込まれた場合は、そもそも薬局に本剤が納入されていませんので、 調剤はされないことになります。またその下の段を見ていただくと、リストに適合して いない、取扱いをしていない医師から取扱いをしている薬局に処方せんが来た場合には、 薬剤師がリスト収載医師でないことを確認しますので、ここで調剤が止まります。両者 がリストに載っていない場合は薬局に本剤が納入されていませんので、調剤が行われる ことはありません。  下段で薬局と卸売業者の関係を見ていただくと、薬局から卸売業者に納入依頼があっ た場合は、卸売業者は必ず弊社の方に、当該の薬局がリストに掲載されているかどうか を確認することになっていますので、もし適合していれば納入が行われますし、不適合 の場合には卸売業者が取扱薬局でないことを確認して、納入はここで止まります。以上、 コンサータの流通経路とその管理について御説明申し上げました。ありがとうございま した。 ○首藤部会長代理 ありがとうございました。続きまして今日、参考人としてお見えい ただいている小児神経学会の大澤真木子先生から、御説明をいただきたいと思います。 よろしくお願いします。 ○大澤参考人 お手元の参考資料の5ページを御覧ください。日本小児神経学会、日本 小児心身医学会、日本小児精神神経学会からの要望書です。小児における注意欠陥/多動 性障害の治療に対する見解とコンサータ承認についての要望を申し上げます。1.医療上 の必要性についてですが、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)は、多動、不注意、衝動性 を特徴とする発達障害で、その症状は小児期に顕在化し、その有病率は3〜9%と報告 されています。また小児期にAD/HDと診断された患者さんの多くが青年期以降も引き 続き症状が存在したという報告もあり、本病態は小児期にとどまらず成人まで影響が懸 念されており、特に小児期から適切な治療を行なうことの重要性が公知とされています。  AD/HDの治療は薬物療法に加えて本人、家族への心理的サポート、学校など生活環 境調整へのアドバイス、行動療法的アプローチが重要な役割を果たしています。早期に 病態の特徴が確認され、小児期から適切な治療が行なわれると、その予後は良好である ことも報告されており、その治療法の確立は極めて重要と考えられています。欧米の治 療ガイドラインでは小児のAD/HDに対するメチルフェニデートは、第一選択薬となっ ており、AD/HD治療における有効性については厖大なエビデンスがあります。一方、 本邦ではMPHは成人のナルコレプシー、他剤に効果のない難治性・遷延性のうつ病に のみ適応となっている矛盾が存在しています。成人におけるMPH依存や乱用の危険性 が強調されるがために、本当にMPHを必要としている小児のAD/HD患児に適切な治 療が行なわれない可能性が高いことが確認されています。  2.適正使用のためのガイドライン作成ですが、AD/HDに対して適切な診断と治療 が行なわれるためには、一般小児科診療の現場で使用しやすい診断治療ガイドライン作 成は日本小児科学会としても急務と考え、分科会で小児精神神経疾患に関わる日本小児 神経学会、日本小児心身医学会、日本小児精神神経学会の3医学会が、厚生労働科学研 究補助金により平成19年9月28日に「小児科医のための注意欠陥/多動性障害の診断治 療ガイドライン」を発刊いたしております。このガイドライン及び精神神経委託研究費 により平成15年に出版され、18年度に発展的に組織された「AD/HDの診断・治療指 針に関する研究会」により「注意欠陥/多動性障害診断治療ガイドライン改訂版」の両ガ イドラインには、MPHの用法・用量が詳細に明記されており、過剰投与や乱用などを 含めた使用上の注意点についても記載されています。  3.はMPHが適応になることにより予測される効果ですが、AD/HDは、早期に病 態の特徴が確認され、小児期から適切な治療が行なわれると、その予後が良好で、成長 しても薬物依存の傾向は有意に少なく、近年の研究ではむしろ薬物使用や中毒の危険性 に対して予防効果があると報告されており、適応とならないまま不適切な治療が行なわ れることと比較して社会的な利益は大きいといわれています。さらにAD/HDに対する 第一選択薬とされるMPHが、今まで本邦では承認されていなかった矛盾に対し、現在 当局がメチルフェニデート徐放剤を承認に向け御検討されていることは極めて重要と考 えられます。特に徐放剤は一日1回朝服用でよいこと、薬効が急激に消失しないためリ バウンド現象が少ないなど、子どもたちが学校生活を営む上で極めて有益と考えられま す。「AD/HDに有効であることが公知であるMPHは、悩める子どもたちやその御家 族を救うために保険適応とすることを最優先すべきであり、一方、乱用や違法行為を犯 した場合は厳しく取り締まる」ことは学会としても重要と考えます。  4.メチルフェニデート徐放剤の承認に向けてですが、AD/HDの治療に当たる専門 家集団としての3医学会は、現在、検討されているメチルフェニデート徐放剤が承認さ れます事は非常に有り難く、できるだけ速やかに御承認いただくようお願いいたします。  5.ですが、3医学会は、MPHの乱用、不適切な処方など社会的に重要な問題につい て、その対策として適正な制約を課す当局の方針を支持いたします。そのためにはMP H処方を含め、AD/HDの適切な医療を行なえる専門医及び認定医療機関の育成・構築 のためのシステム(第3者機関)を構築するように努力いたします。以上です。 ○首藤部会長代理 ありがとうございました。もう一人、精神神経学会からお見えいた だいている三國先生に御説明いただきます。よろしくお願いします。 ○三國参考人 精神神経学会の三國でございます。参考資料の1ページ、2ページを御 覧ください。経緯と現状ということで、平成19年9月10日に厚生労働省医薬食品局審 査管理課から、ノバルティス社がリタリンについて、適応としての難治性うつ病、遷延 性うつ病を削除したいという申出があるが、日本精神神経学会としての意見をまとめて ほしいという依頼がありました。また、ノバルティスファーマ社からは本剤の効能・効 果から「抗うつ薬で効果の不十分な下記疾患に対する抗うつ薬との併用:難治性うつ病、 遷延性うつ病」、この括弧に書いてある適応の削除を申請することになりましたので、 御協力いただきますよう、よろしくお願いしますという文書が学会に寄せられており、 これらを受けて、9月15日の理事会でリタリン特別委員会を設けることを承認し、設置 して検討してまいったところです。当学会としては情勢の緊急性に鑑みて、関連の諸学 会と調整中でもありますけれども、ここに見解を述べる次第です。  これまでの対応の経過と削除の適否、乱用防止策の検討ということで、A)〜E)まで 分けて述べたいと思います。A)は、リタリンの乱用の実態から日本精神神経学会として も対応が必要であると考えて、2005年の第101回学会総会が埼玉で開催されていますが、 この学会で「リタリンはうつ病治療に必要か」というワークショップを開催し、討議し 続けてきたところです。  その中でB)として、難治性うつ病に対する修正型電気けいれん療法や気分安定薬併用 療法、抗うつ薬との併用療法、認知行動療法のほか、ドパミン作動薬でのオーギュメン テイション療法が確立されつつある現状を考えると、本学会の理事会としては、リタリ ンの効能・効果から難治性うつ病、遷延性うつ病の削除については、以下の一点を除い て異議はないということです。すなわち、進行癌のうつ病・うつ状態に対して、リタリ ンは有用であります。癌助成金による「癌患者の不安抑うつに関する研究」班で作成し た、進行癌患者の大うつ病に対する抗うつ療法アルゴリズムでも、アルプラゾラムとと もにメチルフェニデートが第一選択薬となっており、そのことはPsychitry and Clinical Neuroscienceの53巻(1999年)に掲載されているところです。  また、緩和ケア施設の81%(91施設)がリタリンを使用しているという調査結果もあ り、それについてもJournal of Pain and Symptom Management 33巻(2007)に掲載され ています。  したがって、本学会理事会としては、進行癌患者さんのうつ病に限定した適応を残し て、リタリンの効能・効果としては、ナルコレプシーと進行癌患者のうつ病・うつ状態 に限定すべきと考えます。なお改訂後には、この進行癌患者のうつ病・うつ状態に対す る有効性の詳細な調査をするといったことが、必要であろうと考えています。また、現 行の適応にしたがってリタリンが処方され、明白な効果が認められるに至っている難治 性のうつ病症例の方々がいらっしゃるので、以下に述べるようなリタリンの乱用防止策 によって検討されている登録された医師に限って、他薬剤への切り替えを少なくとも数 か月かけて行う間、リタリンの使用ができるような処置を考慮する必要があると考えて います。  C)は乱用の防止策として、リタリンの適応からうつ病を外すだけでは、自由診療でリ タリンを処方している医師もおり、処方せん数を減らすことはできないと考えられるの で、別の対応が必要であると考えました。そこでいろいろ議論した中で、リタリンを処 方した全症例について販売会社の責任で把握することと、第三者機関で審査・管理する、 そういった方向で乱用を防止していくというのが1)です。2)は麻薬指定とする、3) はメチルフェニデート登録制度を設ける。この三つの案が委員会の中では検討されまし た。その結果、麻薬指定とする案では、使用の必要性のある対象数、つまり、このメチ ルフェニデートが有効である対象数に対して処方数が減ってしまう可能性があるので、 ナルコレプシーや注意欠陥多動性障害、進行癌患者さんの不利益となると考えました。 そこで当面、1)と3)を併せ、患者全数を把握することとし、第三者機関を利用したメ チルフェニデート登録制度を設ける案が適切ではないかと考えました。  D)は、小児期の注意欠陥多動性障害の適応を申請中のメチルフェニデート徐放剤のコ ンサータは、重症うつ病への適応を禁忌としていますが、今後、乱用のリスクは高くな ることが考えられますので、リタリンと同様の対応が必要と考えています。  E)は、リタリンと類似の化学構造を有し、同様の覚醒作用を有するペモリンは、うつ 病及びナルコレプシーの両方に現在適応を有していますので、今のうちにリタリン同様 の対応が必要と考えています。ペモリンの動向に細心の注意を払い、早め早めに厚生労 働省が対応することを希望します。  以上、日本精神神経学会としての見解を具申申し上げます。 ○首藤部会長代理 ありがとうございました。本日の議題は二つあるわけですが、その 二つについて全体的に丁寧な説明をいただいたと思っています。この二つについては最 後に議決に入るわけですが、議題1のリタリンの「うつ」に係る効能効果について、委 員の先生から御質問、御意見をいただきたいと思います。三國先生から御発言いただき ましたが、参考人の下山先生、大西先生にも御意見をいただきたいと思います。 ○下山参考人 日本緩和医療学会の理事として意見を述べさせていただきます。今回、 ノバルティスの方々から御意見をいただいて、日本緩和医療学会においては緊急で現状 調査ということでアンケート調査を行いました。150人の在宅医療、緩和ケア病棟、緩 和ケアチームの責任者を中心とした代議員を中心として、特に末期癌患者さんを扱って いる施設の代表の方にアンケート調査を行っています。  その結果を簡単に述べさせていただきますが、今回のリタリンのうつに対する適応を 外すことは、60%の施設で「大きな影響を受ける」、80%の施設で「かなり影響を受け る」という回答が返ってきました。適応としては、基本的に末期の抑うつというものに よく使用されていますが、先ほど御指摘がありましたように、オピオイド使用の麻薬性 鎮痛薬による眠気に対しても、末期の倦怠感に対しても、現場の意見としては必要であ るという意見で、そういう意味での影響を懸念しています。  そういうところから緩和医療学会としては、今回のアンケート結果を踏まえて、是非、 基本的に癌の末期の患者における抑うつ、オピオイドの眠気、末期の倦怠感に対しての 適応が残せないかということで、要望書としては資料をお出ししていませんけれども、 意見として述べさせていただきました。 ○首藤部会長代理 ありがとうございました。 ○大西参考人 私、日本サイコオンコロジー常任世話人として、癌患者さんのうつ病と 終末期癌患者さんのうつ病を多く診てきた立場より報告します。最近、抗うつ剤は副作 用の少ないものが多く出ており、進行終末期の癌患者さんに使用することも増えていま す。そしてこれらの抗うつ剤は終末期癌患者に対して非常に有効です。ただ、抗うつ剤 の特性というか、投与後2、3週間は効果が出てきません。この間は私ども医師も患者 さんも家族も、治療効果を待つしかないという状態です。  ここで問題が生じてきます。生命予後2、3週間の人が、新たにうつ病と診断された 場合があります。生命予後2、3週間の方に、2、3週間、効果の出ない抗うつ剤を投 与することに意味があるかということです。うつ病という病気は抑うつ気分、興味、意 欲の低下を二大症状として、さまざまな精神・身体症状を呈する症候群です。ただ、患 者さんより話を聞いてみると、とても苦しいという意見が多く聞かれます。この苦しさ から逃れるために自殺という行為に走る人もいることも事実だと思います。人生の最後 の数週間、うつになり、苦しいまま人生を終えるのはとても辛いことだと思います。せ めて最後の一時は苦しみより緩和されて、最後を迎えていただくのが正しい医療の方向 ではないかと思っています。そして、そのような場合に処方されるのがリタリンだと思 っています。  癌医療の現場では、エビデンスレベルは高くありませんが、有効例の報告もあります。 またアルゴリズムも、今説明がありましたようにございまして、アルプラゾラムととも に第一選択薬として使用されています。リタリン処方の頻度は多いわけではなく、必ず しも全員に有効というわけではないと思います。ただ、この薬で人生の最後の一時、う つという苦しい病態より解放されて、穏やかに最後を迎えられる人がいるのも事実だと 思っています。  乱用は許されることではありません。ただ、この薬で人生の最後が穏やかになること で患者さんが救われて、それを看ている家族が、御遺族になってからも最後は苦しくな かったということで救われるのではないかと、私どもは思っています。以上、精神腫瘍 学の現場より意見を述べさせていただきました。ありがとうございます。 ○首藤部会長代理 ありがとうございました。議題1にかかりまして、いろいろ御参考 の意見をいただきましたが、委員の先生方、参考人の先生方から御質問、御意見をいた だきたいと思います。企業からは、うつに係る効能削除の一部変更が出ているわけです。 それと先ほど御説明がありましたように、末期癌患者においての文献的な、あるいは企 業としての御見解もいただいているわけですが、その辺りも含め、ただ今の御意見も含 めまして委員の方々のコメントをいただきたいと思います。 ○川西委員 今ここで、癌患者の末期ということで考えたときに、ナルコレプシーで例 えばリタリンの場合で想定される使用と、これはなかなか難しいと思いますけれども、 使用されると思われる要するに管理の問題と兼ね合わせたときに、相当に癌患者の末期 ということが多いようだと、いろいろ配慮しなければならないことがあろうかと思いま すが、その辺りの想定される数というのは、どう考えられますか。 ○大西参考人 終末期癌患者さんにおいて、うつ病の有病率は生命予後6か月以内とい うところで、8〜24%くらいというデータがあります。ただ、最後の1か月以内という 限定されるときになると、私はちょっと不案内なのですが、ある程度の数はいることは 予想されます。我々も全身状態を考えながら投与しますし、あとけいれんなどを起しや すくなる可能性もありますから、すべての患者さんに投与されるわけではないと思いま す。 ○首藤部会長代理 よろしいですか。 ○審査管理課長 下山参考人、大西参考人から、癌末期患者へのうつ、あるいは眠気、 倦怠感等への使用について、お話をいただいたところです。事務局として法的な整理を させていただきたいと思いますけれども、現在、リタリンに認められているのは、資料 1の1ページの1.リタリンの効能効果についての○の4番目、平成10年3月のところ に記載しているとおり、抗うつ薬で効果の不十分な難治性うつ病等に対する抗うつ薬と の併用ということです。ここから考えますと、オピオイドを投与した場合の眠気や倦怠 感というのは、今認められている範囲の外であるということになっていくのだろうと思 います。  また厳密に申し上げると、抗うつ薬との併用ということになっていますので、いわゆ るうつとおっしゃっている中にも、適応の範囲の外というのも多いのだろうと考えるわ けです。したがって先生方の御意見として、癌末期の患者への投与が必要だということ ではありますが、薬事法的に申し上げると、今認めている外、いわゆる適応外というの がほとんどだろうという整理が、まず一つあります。  次にエビデンスのレベルとしてどうかということですが、文献調査の結果が先ほど報 告されましたけれども、いわゆる比較試験の結果があるような、薬事法での承認のレベ ルのようなものでもないというのが一点ありますし、緩和医療学会が作られたガイドラ インの中でも、リタリンのエビデンスレベルについてはレベルC、すなわちケースレポ ートレベルであるということ。レベルAがメタアナリシス、レベルBがいわゆる比較試 験を中心としたものであるわけですが、レベルCだということが明確にされていて、そ れは学会でもそういう御意見なのだろうと考えるわけです。そういう意味でも、エビデ ンスが足りないということになるのだろうと考えるわけです。  一方において、私が聞いている範囲で申し上げると、緩和医療学会の中でもエビデン スを作りながら、癌末期へのリタリンの投与を検討しようという動きがあるやに聞いて います。具体的に申し上げると、医師主導治験を計画されているというふうにも聞いて いるわけですが、この辺りの事情について下山参考人、大西参考人がご存じでしたら教 えていただきたいと思います。また、仮にそういった医師主導治験が実施されるという ことになると、ノバルティスとしてどのような対応をするのかについても、ノバルティ スからお話していただければと思いますが、いかがでしょうか。 ○下山参考人 緩和医療学会の下山です。今の御意見にありますように、適応外使用と いうものは、うつのみならずほかの適応外で使用しているものが、緩和医療の末期の現 場ではあるという認識の下に、既に学会の内部で医師主導の臨床試験をやっていこうと、 エビデンス作りをやっていくという動きが、今少しずつ起きています。一つはプロトコ ールが一応完成に近づいている部分と、オピオイドの眠気に対する臨床試験の計画が持 ち上がっているという形で、今度の土曜日の理事会の方で最終的に決定はされますが、 エビデンス作りに関しての動きというものが、緩和医療学会の中では既にできているこ とは事実です。 ○ノバルティスファーマ株式会社 ノバルティスに寄せられた質問ですが、医師主導治 験に対して私どもが取り得る対応としては、治験薬の提供というものは取り得る方法か なと思っています。ただし治験薬ということですので、いわゆる市販されているものと は区別が付くような形を取ることが最適と思っていますので、実際の実行に移す際にお いては薬剤の区別が付く方法は何らか検討したいと思っています。 ○首藤部会長代理 ありがとうございました。医師主導治験は幸いシステムも大分整っ てきているわけですが、それを計画中であるということと、その場合には治験薬として の提供は可能であるという御意見をいただいたわけです。そういうことを踏まえて、さ らに皆さんの御意見、いかがでしょう。 ○長谷川委員 形式的には企業より一部変更承認申請が出されたということですので、 企業の方にお聞きしたいのですけれども、非常に綿密な流通管理のシステムをお考えに なっておられる。一方において、うつの効能削除ということを御提案として出されてい ますが、その両方を併用しなければならない。あるいは取り分け流通管理システムをき ちんと作っていただければ、うつの効能を削除しなくてもよろしいのではないかという 考え方があろうかと思います。この辺りについて、両方御提案されたということについ て、いかがですか。 ○ノバルティスファーマ株式会社 ノバルティスから回答させていただきます。うつの 効能を削除する提案と流通制限について、私どもは一つ別に考えていて、有効性、安全 性の評価があり、その中で我々はこれまで提供してきた中で、他の多くの薬剤が用意さ れてきた中では、リタリンというものをうつに使うというのが、日本国内だけ残ってい る状況は海外との整合性のなさがありますので、できましたら海外と同じような薬が揃 ってきた中で、適応症は削除させていただきたいという考えでいます。  一方で、仮に適応症が削除になった場合においても、本剤の特性から見て、適正な流 通管理をすることが重要であろうという考えに至り、できるだけ早くナルコレプシーの 適応においても、流通管理の新しい枠組みに移りたいという考えになっています。 ○首藤部会長代理 ありがとうございました。基本的に流通の問題は次に考えるわけで すが、添付文書の効能・効果はだいたいにおいて難しいのですが、特にこれは難しい書 きぶりの効能・効果で、先ほど課長が説明されたように、これをこのまま残しておくの は難しいということなのかと思いますが、さらに御意見をどうぞ。 ○三國参考人 ただ今の長谷川委員の御質問に関連して、うつ病という病気の治療は、 抗うつ薬をきちんと使うということとともに、うつを起こしてしまうような性格的な特 徴、ストレスに対する対処行動、そういう特徴について患者さんにも知ってもらい、そ れを自分でコントロールしていけるように精神科医が寄り添っていくというのが基本で ある。抗うつ薬をただ使って良くしていくというのではなくて、両方のことが必要だと いうことが基本的にあるのだろうと思うのです。  メチルフェニデートは、服用して数時間で非常に爽快感が、ぱっと出てくるようなこ とが実際にあるということで、なかなか良くならない患者さんにそういうものを使って さっと良くなってもらいたい、医師の側も患者さんもそういったことを期待する部分が 生まれてしまう素地はあるのだろうと思います。もちろん、本当に厳密に適応を選んで、 従来の抗うつ薬を十分量使って、それでも良くならない方について、あるいは認知療法 等をやってもなかなか良くならない例について、例えば入院をしていただく中で短期間 リタリンを使うということはありうるとは思っているのですが、うつの治療の基本が薬 と精神療法、両方をやりながら、じっくりやっていくという意味では、今のところ、そ ういう適応を残すことをしない方がよろしいのではないかと考えるようになってきてお ります。先ほど見解のところで述べましたように、本当に難治の部分に関しても、電気 けいれん療法なり、いろいろな併用療法、気分安定薬等々の併用薬とか、認知行動療法 を使う中で治療法が大分変わってきているということで、精神神経学会としては外すこ とが適切ではないかと考えました。  ただ、先ほどの見解で述べましたように、法的な整備からいうと適応外の部分が多い と課長はおっしゃられるわけですが、大西参考人からも話があったように、癌患者さん で、抗うつ薬を使うときに、どうしても時間的な制約があるということ。もう一つは、 副作用の随分少ない良い薬が出来てきたとは言いながら、吐き気等々の副作用が出てし まって、なかなか使いづらいという例があることは間違いないわけです。初めから十分 量の抗うつ薬が使えないという不耐性の難治例だということが最初から予想されている 例について、リタリン、メチルフェニデートを使うといったことは、非常に合理性はあ ると考えて行われていることだと理解するので、何とかその部分を残していけないかと いうことは考えた次第です。それが医師主導の自主的な研究で、リタリンという薬が持 っている特徴をうまく生かすことができるのだったら、そういった方向でやるのも一つ ではないかと考えているところです。 ○首藤部会長代理 いくつか御意見が出たところで、ただ今三國先生が全体をまとめて くださったところもありますが、さらにいかがでしょうか。それでは、事務局から、議 題1に関して口頭で、仮にこのようなまとめをしたらいいのではないかという提案をし ていただこうかと思います。 ○審査管理課長 まず一点目といたしましては、うつの効能の削除という申請が出てい るわけですし、薬事法上の観点から申し上げますと、それについては異論がないという ことなのかと考えるわけです。一方において、下山先生、大西先生、三國先生から今御 発言があったわけですが、癌末期の患者さんをどうするかという点については、学会で 医師主導治験を御検討いただいているという御紹介でございます。また、この治験が必 ずしも比較試験的なものに、癌末期の患者さんという特殊な状況を考えますと、ならな いのかもしれませんが、そういうものも含めてエビデンスをつくっていただく。さらに は企業にも薬剤提供の点で御協力をいただくということで、いかがでしょうか。 ○首藤部会長代理 今のまとめに関して何か御意見等はございますか。 ( 意見なし ) ○首藤部会長代理 後ほど、ただ今のことをもう少し明確にまとめてもらおうかと思っ ておりますが、議題1に関しては今のようなまとめにしたいということで進めたいと思 います。特にないようでしたら、議題2に進みたいと思います。  それでは議題2、リタリン及びコンサータの流通管理についての御意見を、委員ある いは参考人の方からいただきたいと思います。すでに大澤先生、三國先生からは御発言 をいただいておりますが、これに関しまして最初に、参考人の内山先生に何か御意見を いただこうかと思います。 ○内山参考人 睡眠学会の理事をしております内山と申します。睡眠学会全体としては、 精神神経学会と意見交換をしながら今後とも進めていくという大きな方針があります。  ナルコレプシーにおけるリタリンの使用について簡単に述べたいと思います。ナルコ レプシーは眠気を主体とする過眠症という病気でありまして、全体的に、世界的に見ま すと0.05%くらいの頻度の病気で、ちょうど大体700人に1人から2,000人に1人くら いの頻度でいると言われている疾患です。日本におきましては、非常に小さなコホート での予測値でありますが、700〜800人に1人というようなデータが出ております。恐ら く、1,000〜1,500人に1人くらいのデータが出てくるのではないかと考えられていて、 そのくらいの頻度で起こる病気です。  ナルコレプシーの昼間の眠気を防ぐには精神刺激薬が不可欠です。現在、精神刺激薬 としては世界的に、第一選択がモダフィニルですが、リタリンは第二選択として非常に 重要な位置を占めております。日本では今年の3月に、モダフィニルという新しい薬が 上市されるまではリタリンが第一選択でありましたが、現在はそれが第一選択から第二 選択に移行しつつあります。新しく出来た薬自体は、副作用の点で非常に軽いこと、精 神を発揚させるような作用が少ない代わりに、ある種の患者さんでは効きが弱いという こともあり、未だに、リタリンは世界的に第二選択になっています。  ナルコレプシーにつきましては、使用の中で依存になるということは比較的まれです。 厚生労働省の精神・神経疾患研究委託費による睡眠障害の診断・治療ガイドライン作成 のための班が作った「睡眠障害の対応と治療ガイドライン」の中で、ナルコレプシーを 中心とする過眠症に対するリタリンの使用量は1日量で50mgを超えないこととしてお ります。  このような中で使っておりまして、リタリンの使用中に、抑うつがない患者さんがこ れに対して非常に依存を示すことは比較的少なく、むしろリタリンが抜けていくときの 不快感、あるいはその副作用を訴える患者さんが多いように私は思っております。こう した意味で、診断が適切であれば、過眠症の患者さんのリタリンの使用に関しては、専 門的治療のために、第二選択の薬剤として今後も有用な位置を占めるのではないかと思 っています。  ただ一つ、先ほどノバルティスからの報告にもありましたように、過眠症の診断が適 正に行われないような状況になりますと、非常に心配すべき状況が起こってくると思い ます。過眠症に関しましては非常に明確に診断ができます。それは世界的にコンセンサ スが得られているもので、脳波を用いたMSLT、つまり反復睡眠潜時検査というもの で、1日の平均睡眠潜時が8分以下であったら過眠症とするということで、世界のコン センサスが得られて、国際分類の中にも記されている検査があります。ただ、これがで きる施設が日本で、保険適用が通っていないということで非常に少ない。実際には、研 究費の中で研究の一環として行うとか、病院の厚意で行うという形が現状です。こうい った意味で今後、ナルコレプシーなどの過眠症でリタリンが使われることに関して不適 切な使用を予防する措置としまして、これまで日本睡眠学会から当局にお願いしてまい りましたように、反復睡眠潜時検査についての適切な保険収載をお願いしたいと思いま す。 ○首藤部会長代理 和田先生からもお願いいたします。 ○和田参考人 国立精神・神経センター精神保健研究所の和田でございます。私のとこ ろは2年に1回、全国の入院ベッドを有している有床精神科病院、これは現在全国に 1,650余りあると思いますが、それらに対して、依存性のある薬物で入院された方が何 人おりますかという調査を行っております。この10年間の推移を見た場合、結果的にリ タリンが原因で入院しているケースが、1996年には2例報告されておりましたが、2002 年辺りから少しずつ増えました。2002年で8例、2006年で15例と、特に2006年で一段 と増えたわけですが、どうやら増加傾向にあるということを少し危惧しておりました。 さらに、その15例以外に、リタリンが入院の主原因でないにしても、そもそも薬物がら みで入院している患者さんの中でリタリンの使用例があるという方を見た場合には、 2006年で30例ということで、これもこの10年間を見ますと、1996年はわずか3例でし たから、確実に増えていると言えると思います。  ただ、この調査は強制的な調査ではありません。我々の趣旨に賛同していただいた臨 床医、主治医の方々からの調査用紙に基づく報告ということになります。ですから、調 査としては非常に目の粗い調査ではありますが、逆に、この目の粗い調査で症例として 上がってくるものは、実はもう少し裾野が広いと見るのが一般的かなという見方を私た ちはしております。  また、昨年リタリンで入院したという15例ですが、そもそもリタリンを使うきっかけ となったのはどなたか、どこからリタリンを手に入れたかという話になりますと、15例 中11例は医師から処方されてという結果が出ております。さらに、調査時点の1年間で どこから入手したかということになりますと、15例中3例は1年間使用しておりません ので12例に減りますが、12例中11例はやはり医師からと、ルートがはっきりしている わけです。  リタリンに関して言いますと、適正な診断ができるという大前提がまず必要であると 同時に、2番目の要件として、依存性というものについてきちんと理解している医師に 限定せざるを得ないというのが私の考えている意見です。 ○首藤部会長代理 先ほどの企業からのお考えも含めて、委員から何か質問や意見をく ださい。 ○川西委員 私自身は、お話を伺っていて、基本的にこのように第三者委員会を設けて 特定の、ある部分に精通した者に限定するという考え方は妥当だと思いますが、先ほど のヤンセンの資料で確認したいことがあるのです。別添3-2あるいは別添4で、Web で定期公表という部分。もう一つは、定期的に行政当局に報告ということで、いくつか おっしゃったと思うのですが、その部分が何なのかということをもう一回確認したいの です。 ○ヤンセンファーマ株式会社 別添3-2あるいは別添4に弊社Web、定期公表と書い てあるものがありますが、これは承認条件の中に「流通に関して適切な措置をとること」 という条件をいただいております。弊社といたしましては、コンサータ錠の、メチルフ ェニデートのOROS錠ですが、その適正使用という観点を非常に重視しておりまして、 もし、それに反するようなことがある場合には、やはりこれは、第三者委員会と行政当 局に通知せざるを得ないと思っております。なぜかと申しますと、この第三者委員会に 取扱医師、医療機関及び薬局のリスト管理をお願いしておりますので、不適切な取扱い についての情報がありませんと、リストからの削除ができませんので、これは報告する ということになります。  弊社Web上で公開する情報については、例えば一定期間中に何件そういうことが起 こったとか、どの地方で何件起こったとか、そういう情報を公開することを原則として は考えておりますが、これはまだ検討中でございます。 ○川西委員 第三者委員会の負担が重くなるかもしれませんが、このシステム全体とし て、Webで公開できるというのは、プライバシーの問題もありますし、患者さんが絡 むことですからクリアできない部分もあろうかと思いますが、企業の一連の活動の中に 第三者委員会を設けるということがあります。そういうことも含めて、全体の報告なり 運営状況、例えば薬局と医師との関係がうまくいっているということを記録化するのは、 今の時代ですから当然のことだと思います。監査ではないのですが、最終的にそんな役 割もやっていただくという形にする。要するに、問題が起きたときだけの報告ではなく て。全員の方にそういうことをしていただくのは大変かもしれませんが、そういう機能 も第三者機関に持たせるというシステムの方が、社会的にも納得しやすいところではな いかと思うのですが、いかがですか。 ○ヤンセンファーマ株式会社 今、先生から御指摘がありましたとおり、なるべく第三 者的な立場で、この委員会を運営していただく必要があると私どもも十分承知しており ます。そこで、第三者的な立場から御意見をいただくための弁護士の先生、あるいは薬 剤師会からの先生に委員会のメンバーになっていただくようにお願いしているわけです が、先生がおっしゃるのは、もっとそれ以上の何か機能をということでしょうか。もち ろん、これは何かあったときだけに開かれるわけではなくて、定期的にチェックをして いくという機能を持っていただきたいと私どもも希望しています。 ○川西委員 私は、第三者機関というところが、医師なり薬局なりを特定するというと ころだけの働きのような印象を全体で持っていました。流通までは分からないのですが、 今おっしゃったような全体の報告のところも第三者機関に報告するという形、まあそれ は適正でしょう、という形をとった方がいいのではないですか。多分そういうつもりが あったかもしれませんが、この資料だけではそこまで分からなかったのです。 ○ヤンセンファーマ株式会社 わかりました。大変失礼いたしました。先生の御指摘の とおり検討を重ねているところです。 ○首藤部会長代理 何かほかにございますか。 ○土屋委員 諸般の事情に鑑みると、今回の制限につきましてはやむを得ない対応策だ とは思っているのですが、今回の対応では、調剤拒否という薬局では従来経験していな いことを行うことになりますので。少なくとも私どもとしては、正しい処方せんを持っ た患者さんが何らかの誤りがあって調剤を受けられないという事態は絶対に避けなくて はいけないと、逆に思っているのです。そういった点でこのリスト等を見ますと、細か いですが、何点か確認をしておきたい点がございますので、それを確認させていただき たいと思います。  まずこのリストですが、専門医師が指定されて医療機関が示されるのか。コンサータ とリタリンとでは「医師をリストに載せる」という言い方と「医師と医療機関」と書か れているものがあるのです。今回の資料1によりますと、薬局は処方せん発行医師・医 療機関がリストに掲載されているかどうかを確認するとなっており、両者で表現が違っ ております。医師が出先の複数医療機関で処方せんを出すということはあり得るわけで す。例えば一方の医療機関は登録がされていたけれども、もし一方が登録されていない とき、医師が登録されていれば基本的にいいのだと私は思っているのですが、適合性を 見るのに、医師と医療機関両方が登録されていないといけないのでしょうか。 ○首藤部会長代理 どうお考えですか。 ○ノバルティスファーマ株式会社 私どもの現時点での考え方としましては、学会の方 の御意見をいただきながらになりますが、認定医あるいは専門医の先生方でナルコレプ シーの診断・治療に精通している先生方をリストアップして、その先生方が所属する医 療機関で、さらにナルコレプシーの確定診断がきちんとできるところということも入り ますので、リスト化は両方させていただこうかと考えております。納入につきましては、 医師に納入するのではなくて医療機関に入れますので、そういう意味では、リストを持 つことに意味を持たせていきたいと思っております。 ○土屋委員 今日の資料1の(4)、これを読む限りは医師と医療機関両方が合致しないと いけないというような解釈でしょうか。 ○審査管理課長 おっしゃることはよく分かるわけですが、同姓同名とか、いろいろな 問題が出てまいりますから、それは実際の運用においての議論、すなわち第三者委員会 での議論に任せるということで、いかがでしょうか。ここはそれを議論するようなとこ ろでもないと思うのですが。 ○土屋委員 そういうケースがあるということを十分お考えいただかないと。「主たる」 と「従たる」というところがあったりすることは、これは麻薬でも実際あるわけですか ら、その辺りは少しお考えいただきたいのです。  次はリストの作られ方です。おそらくリタリンの場合は、現に購入した実績のある医 療機関や薬局がノミネートされて、そこから適格性が第三者機関でチェックされた上で リスト化されていくのだと思いますが、ちょっと心配いたしますのは、いわゆる流通で、 製薬企業が把握できていない納入先があるのではないかということなのです。  それはどういうことかといいますと、薬局間譲渡というものがございます。薬局間譲 渡があるというときに、もし今の状態だけで調査をすると、そこはノミネートされてい ないということがあります。現在リタリンを扱うことがあるということで手を挙げて、 「うちでは扱っています」というようなことを言える機会がこのリスト作成上あるのか どうかです。 ○審査管理課長 今後は薬局間譲渡をやめていただくというのがまずあるわけですが、 それ以外に医療機関あるいは医師がこういった手法をとるということについて、厚生労 働省としても通知を出して、都道府県を介して周知徹底させるなりいたします。そうな りますと、私たちも扱っているとか、扱いたい、あるいは処方したいというような希望 があって、それが第三者委員会の中で議論されるということになるのだろうと思います。 ○土屋委員 誤解があるといけないのですが、別に無制限でやろうという話ではなくて、 両方ともリストに載っている薬局間譲渡ということもあり得るものですから、そういっ たことを含めて御検討をいただきたいということです。麻薬につきましても、今制限を 持ちながら基本的にはやるというようなことがあるわけですから、麻薬と同等のような、 少なくとも両方ともリストに載っていないと駄目だということ、それはもちろん分かっ ております。ただ、これを見て、そういうケースが考えられているかどうかが疑問だっ たものですから、確認をとらせていただきました。 ○首藤部会長代理 そういうケースはほかにもいろいろ出てくるのだろうと思うのです が、ザルとか抜道が出ないようにということは十分考えていただければと思います。ま た、そういう御意見は担当課の方に話されるといいと思います。 ○土屋委員 もう一つ伺います。今回承認事項が変更されるわけですが、このことは添 付文書の警告欄に記載していただきたいと思うのです。というのは、ほかの医薬品で、 専門医でなくてはいけないという話はすべて警告欄にあるのです。今回リタリンは医師 と薬局について縛りが付くわけですが、それは分かりやすい所に記載がないと。承認条 件は最後の所、一番見にくい所にあります。他の添付文書との比較ということからいい ますと、添付文書の警告欄にそういうことをきちんと書いていただくことによって、実 質的な意味を持たせることも重要ではないかと思うのです。 ○審査管理課長 添付文書は医薬品とともに動くことを一番の目的とする文書であると 考えますと、リストに載っていない医療機関あるいは薬局には届かないわけです。医薬 品自体が届かない。医薬品に添付する文書も当然届かないわけです。そういう意味で申 し上げますと、これについて麻薬に準じた流通管理を行おうとしているわけですが、こ ういう管理をリタリンとコンサータについてやるのだというのは、添付文書ではない別 の手法をもって周知徹底することが重要である。それを我々もやりたいと思っています し、業者にもその旨指示したいと思います。 ○首藤部会長代理 そういう考えですが、よろしいでしょうか。 ○土屋委員 今、添付文書は公開されているわけですから、添付文書を入手するのが物 を買ったときだけだということは違うのかなという気がいたします。このようになって いるのだということを説明したり教育をしたりするような場においても、そういう所に 書いてあるということは重要なことだと我々としては考えています。薬を適正に使うこ との重要性の中には、このように使用について制限をしながらも、きちんと適正に使っ ていこうという姿勢を示すことも重要な記載であると我々は考えていますし、ほかの薬 はそうなっているので、そのようにしてはいかがかと思うわけです。 ○審査管理課長 趣旨としてそれを周知徹底するということは土屋委員御指摘のとおり だと思いますし、是非、我々もそうしたいと思います。一方において、添付文書に教育 目的があるというような議論をし始めますと議論が尽きないところですので、この場を 通じてお約束するのは、周知徹底するという点については厚生労働省としても意を尽く したいと考えております。 ○首藤部会長代理 周知徹底はきちんとするということでございます。ほかに、いかが ですか。 ○五十嵐委員 コンサータについて質問します。別添3-2にある、発注確認あるいは定 期公表ということですが、会社側として、発注の確認は具体的にどのくらいの割合でな さるのですか。また、その結果を定期公表とおっしゃっていますが、定期というのはど のくらいの割合ですか。これは第三者機関が決めることなのかもしれませんが、会社と してはどのような案をお持ちなのか教えてください。 ○ヤンセンファーマ株式会社 異常発注の監視は、特約店が毎日あるいは週ごと、両方 の間隔で行っております。公表の期間につきましては、現在検討中でございます。 ○五十嵐委員 もう一つ伺います。その報告を、例えば厚生労働省にされるわけですよ ね。その頻度に関して、具体的にはどうお考えですか。 ○ヤンセンファーマ株式会社 それはおそらく各事象ごとに重大性、緊急性が違うかも しれません。また、発生頻度も時期によって違ってくるかもしれませんので、原則的に どの程度の頻度で御報告を申し上げるかということについては、ケースバイケースの条 件も含めて検討させていただきたいと思います。 ○五十嵐委員 是非、それは何らかの形で明らかにしていただきたい。今ここでおっし ゃる必要はないと思いますが、将来、何らかの形で明らかにしていただくことを希望い たします。 ○ヤンセンファーマ株式会社 承りました。おそらく公表の頻度や内容につきましても、 第三者委員会で御検討をいただくことになると思います。 ○川西委員 私の感覚ですと今のようなものは、ある部分、規則はなるべく公表する。 また、実際の中身がどのように行われたかというのは、個人情報にも関わる部分が多少 ともあるから、第三者委員会の方がチェックしたという形にするような運用の仕方なの ではないかというイメージです。これは私の意見です。 ○ヤンセンファーマ株式会社 御指摘ありがとうございます。 ○土屋委員 基本として、コンサータが処方されたときはヤンセン、リタリンが処方さ れたらノバルティスに確認を行うということだと思いますが、両者の判断指標は基本的 に共通である。もちろん処方のあれが違うので、その差があるのは分かりますが、評価 の内容というのかレベルというのか、そういうものは基本的に同じものであると考えて よろしいでしょうか。 ○審査管理課長 両者とも基本的に同じレベルで議論をしていただいている。端的に申 しますと、この分野では麻薬に準じた扱いになっているということだろうと思います。 ○首藤部会長代理 いくつか意見が出ましたので、その辺りを事務局からまとめていた だきたいと思います。 ○審査管理課長 まず一点御確認いただきたいのは、資料1の2枚目の(3)の承認条件、 法的にはこの承認条件というのが基本となります。これに基づいて企業に具体的な方策 を義務づけるということでよろしいかということ。  二点目として、企業から提出された流通管理の案についていろいろ御意見をいただき ました。一つ目はリタリンについて、できるだけ早くやる。遅くとも来年の1月1日に はやる。そして、それまでの間に駆け込みのようなことがあってはいけないので、異常 な発注については十分気をつけるようにということがあるのだろうと思います。二つ目 は、精神神経学会から要望をいただいているように、第三者委員会の独立性の問題があ ります。また、この全体のシステムについて第三者委員会に報告をし議論をしてもらっ て、その意見に基づいて必要な改善を図るということがあるのだろうと考えています。 三つ目は参考人の和田先生から御指摘いただいた、特に医師の研修において、薬物依存 の問題を充実させるということがあるのだろうと考えております。あとは土屋委員から おっしゃられた件、今回の措置の周知徹底を厚生労働省と企業とで行うということがあ るのだろうと考えております。  以上を大きく分けますと、承認条件としてこれでよろしいのかという問題が一点。流 通管理方策については、どんなに遅くとも来年の1月1日までに行い、それまでの間に 特段の注意をする。そして第三者委員会の独立性の問題、全体を報告しその意見に基づ いて適宜改善をする。研修で薬物依存について充実させる。さらに、周知徹底。こうい うことだと思いますが、いかがでしょうか。 ○首藤部会長代理 いくつも大事なことが入っておりますが、議題1、うつの効能効果 の問題は先ほどの方向で進みたいと思っています。それから、今のまとめも、もう少し 短く、簡潔にして文章にして、みんなに見ていただこうかと思いますので、少し時間が ほしいのですが。課長、何かございますか。 ○審査管理課長 それでだいたいよろしいですか。 ○首藤部会長代理 基本的には今の課長のまとめでよろしいかということです。 ○和田参考人 課長がまとめられた後で誠に恐縮なのですが、一つは、取扱医師の基準 案について、二つのメーカーのものを拝見しますと、関連学会員あるいは認定医、専門 医、専門家という縛りが最初に出てくるものですから、果たしてそれは妥当かどうかと いう懸念を私は持っています。重要なのは、注意欠陥多動ないしはナルコレプシーとい うものを的確に診断できる力であって、学会員かどうかという話ではないと思います。 しかも、学会というものは任意で入るところですから、そこで縛りをかけるということ は診療の広がりを狭める可能性も十分ありうる話だと思いますので、その辺りはいかが かと、個人的には考えています。 ○首藤部会長代理 今の和田参考人のお話について、何かございますか。 ○ヤンセンファーマ株式会社 今の和田先生からの御指摘はごもっともなことだと思い ます。私どももそれは十分承知しております。ここに書いてある日本小児科学会専門医 又は日本精神神経学会の専門医。「学会員」だけではなくて「専門医」という縛りが付 いております。あとは「関連学会の学会員であること」。「学会員であること」と書い たのは、関連学会では専門医制度を持っておられるところと持っておられないところが ありますので、一概に全部「専門医」と書けないところもございます。しかし、ここに 書いてあるのはあくまでも案でございまして、この内容でよろしいかどうかも、私ども 企業が決めることではなくて、第三者委員会にお諮りして妥当性を検討していただくこ とになりますので、先生の御指摘も十分反映させていただきたいと思います。 ○審査管理課長 ノバルティスも、ヤンセンも、第三者委員会の構成員は学会の有識者 となっているわけですが、学会というのはAD/HDあるいはナルコレプシーに知見を有 しているのかということの例示です。ですから「学会等のAD/HDあるいはナルコレプ シーに知見を有している者」というような形で改めていただくのが適当かと考えており ます。 ○首藤部会長代理 いかがですか。事務局のまとめの方向で結論づけてよろしいですか。 それでは今の方向でまとめを作ろうかと思いますので、休憩をしたいと思いますが、何 分くらいでしょうか。 ○審査管理課長 では申し訳ございませんが、5分ほど休憩させてください。 ──休憩── ○首藤部会長代理 部会を再開いたします。今お手元に「リタリン及びコンサータに関 する議決」の案が配付されましたので、これを事務局から読み上げていただきます。 ○事務局 それでは読み上げさせていただきます。  「リタリン及びコンサータに関する議決(案)。平成19年10月17日。薬事・食品衛生 審議会医薬品第一部会。  1リタリンの「うつ」に係る効能効果について。リタリンの「うつ」に係る効能効果 の削除に関する承認事項一部変更承認については、異論はない。  2リタリン及びコンサータの流通管理について  (1)リタリンの承認事項一部変更承認及びコンサータの承認に当たり、次のとおり、 薬事法第79条に基づく承認条件を付し、各製造販売業者に適正な流通管理の実施を義務 づけることが適当である。  (承認条件)「本剤の投与が、リタリンにあってはナルコレプシー(コンサータにあって は注意欠陥/多動性障害)の診断、治療に精通し、薬物依存を含む本剤のリスク等につい ても十分に管理できる医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局の下でのみ行われるとと もに、それら薬局においては調剤前に当該医師・医療機関を確認した上で調剤がなされ るよう、製造販売に当たって必要な措置を講じること。」  (2)リタリン及びコンサータの各製造販売業者から提出された流通管理(案)について は、その実施に当たり、次の事項を指示することが適当である。  (1)リタリンについては、できるだけ早く、遅くとも平成20年1月1日までに流通管理 を実施するとともに、それまでの間にあっては、異常な発注については納入を行わない など、販売に当たり特段の注意を払うこと。コンサータについては、発売に合わせて、 流通管理を実施すること。  (2)第三者委員会については、その独立性が確保されるよう必要な措置を講じること。 併せて、流通管理全般について、第三者委員会に報告し、その意見に基づき必要な措置 を図ること。  (3)医師の研修に当たり、薬物依存に係る事項を充実させること。  (3)厚生労働省及び製造販売業者は、第三者委員会によってリスト化された医師・薬 局以外の者による処方及びそれに基づく調剤が行われることがないよう、今回の流通管 理方策を医療機関及び薬局に周知徹底することが必要である。  3その他  (1)終末期癌患者等へのリタリンの投与について、関係学会等が薬事法に基づくいわ ゆる医師主導治験の実施を検討していること、医師主導治験が実施される場合、製造販 売業者が通常製品と明確に区別できる形で製剤を供給する用意があることが表明され た。  (2)上記1、2の議決について、薬事分科会に報告する。」 ○首藤部会長代理 ただ今読み上げていただいた議決案には、先ほどの口頭でのまとめ が十分書かれていると思いますが、委員の先生方から御意見、御質問はございませんか。 当部会として議決案のとおり了解ということでよろしいですね。 ( 了解 ) ○首藤部会長代理 議決案を議決いたしましたので、これを薬事分科会に文書で報告さ せていただきます。本日の議題は以上です。 ○審査管理課長 先ほど御要望があった事項の中で、ペモリンの扱いについてはこの後 担当課から説明させていただきます。また、ナルコレプシーの検査についての御要望に ついては、そういう要望があった旨を私どもから保険局にお伝えしたいと思います。 ○監視指導・麻薬対策課長 先ほど日本精神神経学会の三國参考人の御説明の中で、リ タリンと同様の作用を持つペモリンというものがあるので適切な対応をというお話がご ざいましたので、私から一言申し上げます。  ペモリンにつきまして、作用はメチルフェニデートよりは若干弱いと伺っております し、現段階でいわゆる乱用というようなひどい問題にはなっていないと考えてはおりま すが、三國参考人の御指摘のとおり、その動向について十分注意していきたいと考えて おります。 ○首藤部会長代理 本日の部会はこれで終了いたします。皆さん、どうもありがとうご ざいました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 河野(内線2746)      - 1 -