07/10/12 2007/10/12診療報酬調査専門組織平成19年度DPC評価分科会 第5回議事録      平成19年度5回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会議事録 (1)日時  平成19年10月12日(金)15:00〜17:04 (2)場所  三田共用会議所 講堂 (3)出席者 委員:西岡清分科会長、原正道分科会長代理、池上直己委員、        伊藤澄信委員、木下勝之委員、熊本一朗委員、小山信彌委員、        齋藤壽一委員、酒巻哲夫委員、嶋森好子委員、武澤純委員、        難波貞夫委員、松田晋哉委員、山口俊晴委員、吉田英機委員        事務局:原医療課長、宇都宮企画官、他 (4)議題  1.平成19年度DPC特別調査(ヒアリング)を踏まえた対応について        2.その他 (5)議事内容 ○西岡分科会長  時間になりましたので、ただいまから、平成19年度第5回診療報酬調査専門組織・D PC評価分科会を開催させていただきます。  本日の委員の出欠状況でございますが、佐藤委員及び山口直人委員より御欠席との連 絡をいただいております。そのほかにまだお着きになっていない委員の方もおられます が、間もなくお着きになることと思いますので、始めさせていただきます。  まず、資料の確認を事務局からお願いいたします。 ○中田補佐  議事次第、委員名簿がございます。資料D−1「平成19年度DPC評価分科会に付託 された事項について」、資料D−2「平成19年度DPC評価分科会における特別調査・ ヒアリング結果概要」、資料D−3「平成19年度DPC評価分科会での特別調査及びヒ アリングを踏まえた対応について(案)」、資料D−4−1「DPC「望ましい要件」 の算定について」、資料D−4−2「DPC対象病院・準備病院における病床規模」で ございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。資料についてはよろしいでしょうか。  それでは、議事に移りたいと思います。  まず、前回、前々回のヒアリングを踏まえた対応について検討し、残り時間で対象病 院のあり方等について御議論をお願いしたいと思います。  それでは、事務局から、資料D−1から資料D−3の御説明をお願いいたします。 ○中田補佐  資料D−1「平成19年度DPC評価分科会に付託された事項について」につきまして は、基本小委よりDPC評価分科会に付託されている事項につきましてまとめさせてい ただいております。  第1の適切な算定ルールの構築についてですが、DPCが導入された医療機関におい ては、再入院率が上昇する傾向が見られることから、これにより医療の質が低下してい ないか、またDPCが適正に運用されているかどうかについて、今後とも継続的に注視 するとともに、適切な算定のあり方等についても検討する必要がある、ということでご ざいます。これについては、前回、前々回より、特別調査及びヒアリング等を実施しま したので、その内容を踏まえ、この後、御議論いただきたく思います。  第2の対象病院のあり方についてですが、DPCにおいては、後ほど資料D−4で御 説明申し上げたいと思いますが、準備病院を含め、約1,400病院、45万床に達しており、 将来のDPCのあり方も踏まえて、DPCの適用がふさわしい範囲について検討すると ともに、平成20年度改定時におけるDPC対象病院の具体的な要件を検討する必要があ るということでございます。  第3の調整係数の廃止及び新たな機能評価係数の設定でございます。  1としまして、平成18年度診療報酬改定における答申及び附帯意見を踏まえ、平成20 年度以降の医療機関係数のあり方について、各医療機関を適切に評価するために、調整 係数の廃止や新たな機能評価係数の設定等について検討する必要がある。  2としまして、現在、DPC対象病院や準備病院においては、特定機能病院からいわ ゆる専門病院まで幅広く含まれており、それらの違いについて適切に評価する仕組みを 検討する必要がある。  以上、分科会への付託事項として第1から第3の項目にまとめさせていただいており ます。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。資料D−1について御説明をいただきましたが、何か御質 問、御意見はございますでしょうか。これはこれまでにもお話が出ていたものでござい ますが、特にこれに関しましてはよろしいでしょうか。  それでは、次の資料D−2の御説明をお願いいたします。 ○中田補佐  続きまして、資料D−2「平成19年度DPC評価分科会における特別調査・ヒアリン グ結果の概要」につきましてごらんいただきたいと思います。  こちらは、前回、前々回、再入院率及び診断群分類の決定方法について、2回の意見 交換、ヒアリングを実施したところでございますが、その中で指摘のあった事項等につ いて概要を取りまとめさせていただいております。  第2ヒアリング対象医療機関といたしましては、別紙1にありますとおり、(1)1 回目は再入院率について、9月12日に実施した6医療機関、(2)診断群分類の決定方 法につきまして、9月27日に実施させていただきました8医療機関の一覧がございます。  第3ヒアリング結果の概要につきましては、以下のとおりまとめさせていただいてお ります。  まず、1再入院率についてでございます。 (1)退院後3日以内の再入院に係る理由については、治療に関するものとして、化 学 療法等の予期されたもの、検査入院後に一旦退院し手術を行うもの、前回入院時の 病態が急変したものなど、その多くのものが計画的又は前回の入院時の病態から予 期される再入院であった。  なお、それ以外に、週末の救急搬送用のための空床確保や患者のQOL向上を目 的としたものもあり、臨床の実態としては一連の入院であると考えることができる のではないか。 (2)ただし、再入院率を下げるために、本来は一旦退院すべき場合にも退院とせず、 例えば外泊としてしまうことは、不必要な入院は行わないという保険医療機関及び 保険医療養担当規則に反する。そこで、ある期間に退院していた場合でも、DPC の取り扱いでは一連の入院と扱うなど工夫が必要ではないか。 こういった論点があったかと思います。 2診断群分類の決定方法についてでございます。 (1)適切な診断群分類の決定について ア 主治医が診断群分類を決定する際に、基本的な診断群分類の適用方法(例:傷 病 名の定義、複数の手術を実施した場合の取り扱い等)の理解が不足していると思 われる事例が見られた。 イ 一部の医師が確定診断に必要な検査を実施せず、科学的根拠に基づかずに診断 を 行っていた事例が見られた。 ウ 院内で標準的な診断基準及び治療プロトコルを用いる等、科学的根拠に基づき 診 断及び治療を実施することに努めるべきではないか。 エ 播種性血管内凝固症候群(DIC)等に見られるように、診断基準が明確とな っ ていない疾病があり、学会等が標準的な診断基準等の運用の取り組みを進めてい く必要があるのではないか。  こういった論点があったかと思います。 (2)DPCレセプトについてでございます。 ア 現状のDPCレセプト上では、診断群分類の根拠となる診療情報がなく、診断 群 分類を決定した科学的根拠について確認できるようにしてはどうか。 イ ツリー図の分岐となる手術・処置等や副傷病に係る情報については、DPCレ セ プト上の診療関連情報に記載することになっているが、例えば薬剤を投与したこ とだけではなく、具体的な使用量がわかるようにする必要があるのではないか。 (3)その他でございます。  出来高算定の部分でも、正しく診療報酬の請求が理解されていない事例(例:創 傷処置と創傷処理の取り扱い等)があり、今後はそういった正しい算定方法の理解 に努める必要がある。  以上のようなにまとめさせていただいております。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。  続いて、資料D−3をお願いいたします。 ○中田補佐  引き続きまして、資料D−3「平成19年度DPC評価分科会での特別調査及びヒアリ ングを踏まえた対応について(案)」でございます。  こちらは、再入院率及びその診断群分類の決定方法につきまして、特別調査及びヒア リングを実施してまいりましたが、その結果を踏まえて、以下の事項に係る考え方につ いて検討を行うためにまとめさせていただいております。  まず、第1の同一疾患での再入院に係る取扱いについてでございます。  1課題につきましては、先ほど申し上げましたとおりです。  2対応案につきましては、(1)特に3日以内の再入院――こちらは病棟間を転棟し たことに伴います再転病棟も含むものとして考えますが、臨床現場の実態として、実質 的に一連の療養として支障がないものと考えられることから、平成20年度改定において、 別紙2のとおり取扱うことについて検討することを提案しております。  別紙2でございますが、同一疾患での3日以内の再入院の取扱いの案をまとめさせて いただいております。  1同一疾患の考え方ですが、初回と2回目の入院で、傷病名の分類番号の上6けたが 同一の場合には同一疾患として扱ってはどうかということでございます。例えば、初回 は胃癌の検査目的で入院したという事例で、2回目に改めて胃癌の手術のために入院し たといった場合です。そうした場合には、14けたでは分類番号は異なりますが、上6け たの胃癌という分類番号が同一であれば、同一疾患として扱ってはどうかというもので す。  2算定方法の考え方です。(1)算定ルールとして、3日以内の同一疾患の再入院に ついては、入院期間を初回の入院日からの起算とするものです。  例えば、(2)胃癌の化学療法で再入院した場合にどのように扱うかをシミュレーシ ョンしたものがございます。現行は、入院期間Iは2日以下で4,971点の様に点数が定 められておりますが、例えば初回の入院が3日間で中2日間退院し、2回目の入院期間 が3日間の場合、現行では初回と2回目の入院をそれぞれ別の入院として取扱うことか ら、初回入院は入院期間Iが2日、入院期間IIが1日として算定し、2回目入院も同様 に算定できます。  3日以内に再入院した場合に、初回入院と2回目入院を一連の入院として取り扱う場 合には、入院期間Iが2日、入院期間IIが4日間分として算定することとなります。退 院していた2日間は、報酬の算定ができない期間であり、2回目入院における最初の入 院は、入院期間IIの4日目として取扱うこととなります。  3診療報酬の請求方法につきまして、初回と2回目の診療報酬額が異なる場合の調整 方法です。(1)は、全14けたが同一である場合には当然調整の必要はないということ です。(2)は、例えば同一疾患の考え方であげた例では、初回が検査入院、2回目が 手術入院ですので、6けた以降の分類番号は変更になり、従前でも、診断群分類の変更 があった場合には同様の調整をしておりましたので、この場合には2回目の入院の退院 日に差額を調整することとなります。  以上が、同一疾患での3日以内再入院の取扱い案の説明でございます。  続きまして、1ページの(2)に戻らせていただきます。ここでは、4〜7日以内の 再入院につきましては、引き続き調査検討を行うこととしてはどうか。  (3)本来であれば外来で実施できると思われる治療でも、入院医療で行われている 例につきましては、今後、実態の調査・検討をしてはどうかについて提案をさせていた だいております。  第2診断群分類の決定方法についてでございます。  1課題については、(1)DPCにおいては、主治医が最も医療資源を投入したもの を「傷病名」として決定し、実施した手術、処置、副傷病及び重症度等によって1つの 診断群分類を決定し、診療報酬の請求を行うこととなっております。しかしながら、現 行のDPCにおける診療報酬明細書――以下、「DPCレセプト」と申しますが、当該 「傷病名」を選択した根拠となる情報を記載する部分が現行ではありませんので、診断 群分類の決定について疑問が生じた場合にそれを確認する方法がないということがござ いました。  (2)診断群分類の決定方法についてヒアリングを行ったところ、主治医が診断群分 類の決定方法を熟知していない場合や必要な検査を実施せずに不十分な科学的根拠に基 づき、不適切と考えられる診断群分類が決定されていた例も見られたということがござ いました。  (3)院内での正しい診断群分類の決定方法に係る情報共有及びチェック体制の不備 が不適切な診断群分類の決定の原因の一つと考えられる例もあったのではないかという ことでございます。  それらを受けまして、2対応案としてまとめております。  (1)平成20年度改定において、DPCレセプトの様式の中に、包括評価部分に係る 診療行為の内容がわかる情報を記載することにしてはどうか。  (2)適切な診断及び治療を行うために、院内で標準的な診断及び治療方法の周知を 徹底し、適切なコーディングにつながるような体制を確保することについて検討しては どうかにつきましてまとめさせていただいております。  第3その他について、  1課題ですが、再入院に係る理由の中で、自院で行うことができない治療(例えばγ ナイフ等の放射線治療等)を他院で行うために、入退院を行っている場合が見られてお りました。  2対応案といたしまして、現状の制度では、自院に入院中の当該患者が他院で治療を 行う必要が生じた場合には、原則転医という取り扱いになっておりますが、効率的な医 療の提供を促進するため、他院で行った治療の算定方法について検討してはどうかとい うことにつきましてまとめさせていただいております。  以上、資料D−3の説明を終わらせていただきます。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。資料D−2とD−3は連携したものでございますので、こ れにつきまして御意見やコメントをお願いしたいと思います。 ○齋藤委員  再入院率が多いということ、それから不適切な病名アップコーディングのヒアリング を2つさせていただいて、そのときに出た意見を大変適切におまとめいただいているな という気がします。そして、それに対する対策も現時点ではベストに近いものかなと。 例えば、レセプトの中により細かい診療情報を盛り込む工夫とか、3日間の外泊であれ ば一連の入院とみなすとか、ベストに近い対応ではないかなと思っております。  ただ、本日の趣旨からは少しずれるかもしれませんが、入院医療というのは、本来、 包括的に評価していくのが適切だと考えますと、今後いろいろな事象に対してあれこれ 制度を手直ししていくと、何年かして非常にややこしいもの変わっていく可能性があり ますので、長期的にはこの包括制度の初期に試されたDRG――1入院の評価というこ とも、本当に不適切なのかどうかということは改めて考えてみる必要があるかなと。  DRGについて慎重論が多かったのは、粗診粗療がふえるのではないかという意見が かなりあって、それはDPCでも当初そういう意見がかなりあったわけですが、やって みると、いろいろな問題はあっても、粗診粗療という形跡は非常に少ないということが 明らかになっておりますので、これらの経験を踏まえて、これは将来の問題ですけれど、 1疾病1入院という方策も、急性期入院医療の評価の選択肢として考える必要があるの ではないか。  それから、今度のヒアリングを通じて、今後、どういう病院が参入に適しているかと いうことは問題になると思いますが、一つは、コーディングを適切にできないというこ とは、社会保険医療の根幹にかかわるものなので、いろいろなチェック機構は必要かな ということがありますし、もう一つは、幾つかDPCの講演会などをやらせていただい て、聞くと、慢性期の患者が多いので、それが反映されないという不満が出ております が、そういうのはむしろDPCに不適切な病院であって、慢性期の包括評価というのも、 池上先生などもいろいろ検討していらっしゃるところでございますから、その辺、はっ きりした区分が一つの区分けのよすがになるかなと思っております。 ○酒巻委員  齋藤委員が言われたことにかなり同意することなのですが、非常によく論点をまとめ ていただいている資料だと思います。  ただ、こうして一つずつ問題点が出るたびにいろいろな対処をしていくということで、 制度全体が余りにも複雑になってしまうということを後々危惧しなければいけないと。 ですから、DPC制度そのものをどの程度の――つまり、せっかく包括しているわけで すから、その包括の制度の枠から出ない範囲とはどの範囲なのかというのは、我々とし てもよく考えながらやっていかなければいけないのではないかなと思います。  もう一つは、小さなことですが、資料D−3の別紙2の4ページの下の「初回と2回 目」というのは、上の側の例の初回と2回目の胃癌検査入院と胃癌手術入院の点数でし ょうか。 ○中田補佐  こちらは、胃癌の化学療法の場合の点数でございます。 ○酒巻委員  そうですか。実は点数が両方とも入院期間Iが同じだったものですから、それでよか ったのかどうかということを確かめたものです。 ○中田補佐  ここの具体的なシミュレーションについては、胃癌の化学療法の場合に、初回入院と 二回目入院を一連の入院とした場合にどうなるかといったことで資料をつくらせていた だいております。 ○酒巻委員  ちょっと追加で。つまり、上6けたが同じ場合には、間2日の入退院については連続 したものとして扱うという意味合いでこの資料がつくられているように思いましたので、 現実にはなかなか複雑な点数化体系になるのではないかと思って、お伺いしました。 ○熊本委員  そこに関連したことで、別紙2の再入院のことですけれど、今、齋藤先生からもお話 があったように、いろいろ手を加えてやっているとだんだん複雑になるという懸念があ りますから、必ずしもこういうことを複雑にしたいという意味ではなくて、シンプルが いいと思うのですが、3日以内をこういう形にしたら、また4日にするということもあ るかと思います。そういう懸念も考えたときの話にもなるのですが、5ページに、改正 後は(1)+(2)+(3)で、2日間を入院期間IIで消費するという考え方になっているのかと思 うのです。  もちろん入院期間IIが多ければそれでいいのかもしれませんけれど、極端に短いのも ひょっとしたらあるのではないかなと、そんな懸念もちょっと思います。そうしたら、 3日だったら4日にしようとか、そういう動機づけになるような、イタチごっこが始ま るような懸念もちょっといたしますので、この(2)の退院した部分を入院期間のところで 計算するかどうかはちょっと考えてもいいのではないかなと思いました。 ○西岡分科会長  これについて何かございますか。 ○中田補佐  今御指摘のあったこの2日間を入院期間IIの中でのみ込むのか、それとも、ないもの としてつなげていくのかといった御指摘かと思いますが、事務局の案では、入院期間II の中でのみ込むような形で提案させていただいております。  ここで御議論いただければと思いますが、臨床医学的な観点から、2回目の入院初日 が入院期間の4日目の病態に相当するのでしょうか、それとも入院期間2日目の病態に 相当するのでしょうか。 ○西岡分科会長  非常に鋭い御指摘で、ここのところを詰めておかなければ、今回は3日以内の再入院 があるのですが、次が4日か5日がドッとふえてきてしまうというイタチごっこになる 可能性があると思うのですけれど。御意見はございませんでしょうか。 ○伊藤委員  この4〜5ページで気になるのが、化学療法の場合は、化学療法の薬の代金ものみ込 むので、入院期間Iのところに高く短くしたのかなというところが、化学療法の場合も こんな形にしてしまうと、前につくったそういう理念が全部消えちゃうのかなとちょっ と懸念があるのかなというので、例としては余り適切ではないのではないかという気は しました。  それから、現場では、3日以内はだめだけれど、4日ならということで、多分、延ば しにいくんじゃないかというのが普通だと思うのです。だとすると、1週間ぐらいまで は全部縮めてもという話にするのであれば、入院期間の中に入れない方が、4日、5日 というところを後を広げていくという意味では楽になるのかなと思ったりもします。 ○中田補佐  今の御指摘の部分でございますが、この2日間の退院している期間は、患者が外泊し ている場合もありますし、例えばヒアリングでは、ほかの医療機関に行って治療してい たという例もあることから、2回目入院の初日は、臨床的にこれは4日目の患者さんの 病態なのかどうか、そういう部分で御意見をいただきたく思います。 ○小山委員  一番大事なのは、単純にしてほしいんですよね。複雑になっちゃうと本当に苦労しち ゃうので。これは最終的には1週間になると思うのです。1週間以内の再入院はもう一 回考えるという形をとったときに、その日数をこの算定の中に入れてしまうと、やはり いろいろ大きな問題が出てくると思うのです。  今、ほかの医院へ行って治療をしてというお話がありましたけれど、これから1,400 の病院になってくるとちょっとわかりませんけれど、現状の病院の中では、そこまで一 個一個チェックしなければならないほどの数ではないんじゃないかなと思うのですが、 その数は掌握されていますか。 ○中田補佐  今、こういった短期間の再入院がどれぐらいの割合で行われているのかという部分に つきましては、正確な数字ではなく概算で恐縮でございますが、同一疾患での6週間以 内の再入院が大体5%を下回るぐらいですので、非常に少ない数であるということでご ざいます。 ○小山委員  そこら辺のところを大きいと見るか小さいと見るかだと思うのですが、5%ぐらいの ために、このシステムの根幹をさわるようなことをするかどうかという判断だと思いま す。その辺は、これは5%は大きいと考えた方がよろしいのですか。 ○中田補佐  ちょっと誤解を受けるような答えで大変恐縮ですが、概算という形で、5%を下回る と申し上げましたが、実際にどれぐらいのパーセンテージかにつきましては、また追っ て調べたいと思います。 ○小山委員  このルールを決めていくときに、メインのところはいじってもいいと思うのですけれ ど、余り枝葉のところをいじってしまうと、かえって使いにくいものになってしまうか なと。そこをくぐり抜ける人が出てくるということになると思うのです。ある程度くぐ り抜けるのはしょうがないかなとは思うのですけれど、それを2%以下にしたいのか、 5%ぐらいでも妥協するのかというところの数字かと思います。 ○宇都宮企画官  今のお話ですけれど、そもそも問題意識として、こういった短期の再入院というもの が大分目につくと。それに対する対策を立てなければいけないということでやってきた ことでございますので、それでヒアリングもしてこういうルールを考えてきたところで、 いや、そのぐらいはもう見逃していいんじゃないかというのも、ちょっとこれまでの議 論と方向が違うような気がしてしまうのですが。  それで、複雑にしてはいけないというお話なのですけれど、これは単に今までリセッ トしていたものを、リセットは認めませんと。そして、その2日間についてはカウント しますというふうにするだけですので、それほど複雑ではないのではないかなと思いま す。  それから、3日以内ということにすると、では、4日目の方にシフトするんじゃない かというお話がございましたが、そうやってシフトする可能性も考えまして、それは資 料D−3の1ページの(2)で、4〜7日以内の再入院についてまた今後調べていきた いということで、そこで変な動きがあるようであれば、そこでまた考えるかなと。ただ、 医療界に対してもうちょっと信頼したいという気持ちもあるので、ここはその辺の様子 を見て、また皆さんで御議論いただければと考えております。 ○小山委員  決して見逃していいということではなくて、今回の再入院で一番問題になったのは、 検査だけして、外泊させて、手術させる、あるいは抗がん剤の治療とかというところが メインでしたよね。そのメインに対する考え方と、先ほどお話しになったような、他院 で治療するために出ていくというものを同一のところで考えていくと、追い方が難しく なってしまうかなということで、決して無視するということではないので、そこだけは 御理解いただきたいと思います。 ○池上委員  別な観点で、1日当たりのコストの発生からして、一旦退院したこの2日間、これは 全くコストが発生していないにもかかわらず、入院期間IIの中に含めるというのは、こ の2日間というのは入院とみなした病状であり、また、病院側においても何らかのコス トが発生するような、一旦退院期間中の治療行為として病院として支出するのだったら この考え方は適当だと思うのですが、もし一旦退院したこの2日間において病院にとっ ての支出がないとしたら、この初日からの入院期間を、一旦退院した期間を通算して計 算するというのは、コストを反映しなくなるのではないかと思うのですが、その点はい かがでしょうか。 ○宇都宮企画官  一つ、コストを反映していないというお考えももちろんあるのですけれど、もう一つ は、特定入院期間を過ぎると今度は出来高になるという、そちらの方との兼ね合いもご ざいまして、間があいて、その分期間が縮まって、いつまでもある程度高いものを算定 できるということの問題についてもやはり考えるべきではないかなと。その辺のところ で、どっち側をとるかという話にもなるのではないかと思うのですが。 ○池上委員  ですから、これは科学的根拠ということをたびたび言われているわけですから、一旦 退院期間中にコストが発生しているのかどうかということについてのエビデンスはある のですか。少なくとも入院とほぼ同様のコストが発生していると。 ○原医療課長  もともと点数を期間を分けて決めているのは、例えば手術をしたら、手術をしてから その前後のコストが、手術0日目、1日目、2日目、どういうふうにかかっていくかと いうのを描きながら、その段階にしているのだと思います。そうすると、例えば手術を してから3日目のコストはこれぐらいということで、それを平均的に階段状にしたと。 そのときに、例えば手術後4日目、5日目にもしいなかったという場合、そこには当然 コストは発生しないけれど、では、次の日に帰ってきたときには病態としては6日目の コストが発生するわけだから、それに沿って計算していけばいいんじゃないかというこ とで、そこにコストが発生してもしなくても、それは結果としては変わりはないんじゃ ないですか。  逆に言うと、病院側にとってみれば、そこにはコストは発生していないのだから、当 然ながら償還されないと。それをならして平均的につくっているはずなので、そういう 意味では、例えば手術後何日目が平均になるのかというと、そこは間はいようといまい と変わらないのではないかと思いますが。 ○池上委員  私が伺いたかったのは、一旦退院した2日間において病院として何らかの費用は発生 しているのかどうかということです。つまり、退院期間中の処方とか、薬剤費であると か、それは退院処方という扱いになるのかどうなのかと。 ○西岡分科会長  処方としては入院のときの処方がそのままひきずって続いているわけで、この部分は 外泊ということで、次のベッドの確保ということで、リザーブ料が必要になってきます ね。そのあたりの考え方になるのでしょうかね。実際の医療供与はその日はやっていな いのでしょうけれど、その方が2日後に戻ってこられるとすれば、その方のためのベッ ドを確保しておかなければいけないということになりますし、医療費そのものは、お薬 などをお飲みであれば、その前の入院のときに出されたものをそのまま持っていかれる ということになりますが。 ○原医療課長  もしこの図で、2日間だけ退院していましたと。そのときは退院時のお薬の処方をす ればいいので、それは出来高でとれますので、それは出来高で評価されることになると 思います。もしその間、お薬を飲み続けるなら。ですから、そこは出来高でとれるよう になっているということです。 ○西岡分科会長  それは退院とした場合ですね。でも、今回のように1入院とするとしたら、それはと れないですね。 ○原医療課長  1入院としてみなすということであって、退院であるとか入院であることには変わり ないわけです。要するに、計算方法として一連の入院とみなすと。その間は入院してい るわけじゃないんです。DPCの経過日数としてどうカウントするかということで、今、 ここを入れるか入れないかという議論だと思うのですが、現実的に入院か退院かという と、その間は退院患者なんです。けれど、また入ってきたときに、それは一連だから、 計算方法としては1日目、2日目、3・4日が抜けて、5日目というふうに数えましょ うと、こういうことを提案していると。  それと、少しお話があった外泊というのは、またこれは概念が違いますので。外泊の 場合はベッドを確保しなければいけないということがありますから、そのベース部分は 今でも基本料部分の15%がとれるようになっていると。そこは外泊扱いなのか退院扱い なのかは違いますので。退院扱いのときは、例えば薬は出せます。出来高でとれるとい うことになっております。 ○池上委員  退院患者であるということは、その間、自院あるいはほかの病院の外来に通院して、 そこで場合によっては抗がん剤の治療も行うことも可能ですということでございますね。 ○原医療課長  そうです。 ○酒巻委員  実は私は2つ疑問があって、そのうちの1つは今氷解したのですけれど、つまり、こ れは2回の入院になりますので、診療録としては2つになるということでいいわけです ね。  もう1つは、これは後々、いわゆる全体の統計といいますか、科学的根拠を持ち出す ためのEFファイルの分析というものに入りますけれど、このときに、再入院として入 ってきたものをどのように再分析してデータを提示していくのかということについては、 何かお考えがありますか。 ○中田補佐  そこのデータの取り方については、先生の御指摘を踏まえまして検討しなければいけ ないところだと思っております。今後、検討していく課題だと思います。 ○西岡分科会長  いかがでしょうか。ちょっとすっきりしたようで、すっきりしないような形になって いて(笑)、今までのデータとかなり変わってきますよね。それをどうするかというこ とですが、何か御意見はございませんでしょうか。これは大事なことですので。 ○酒巻委員  そうしますと、データの提示のときに、例外処理としてこの分だけ、先ほど5%と言 いましたけれど、5%のために別のテーブルをつくって提示しなければいけないという ことになりかねないということも、少し懸念としてあるものですから。 ○宇都宮企画官  その辺はむしろ松田先生の方にお聞きした方がよろしいのではないかと思いますが。 ○西岡分科会長  松田先生、何か御意見はいかがでしょうか。  テーブルはそのままでよくて、後の支払いの段階だけの問題になるのかなと思ったの ですが。 ○松田委員  テーブルはもう同じものでいいと思います。問題は、2回目の入院でこういう事例を どうやって1回目の方にくっつけるかというところだと思いますので、それを、マニュ アルになりますけれど、手作業で運用でやるのか、実際に今も調整とかそういう形でや っているわけですけれど、それは上の6けたが同じだということでスクリーンをかけれ ば、実務上はそんなに大きな作業は発生しないんじゃないかなと思うのですが。 ○酒巻委員  つまり、データ処理のときにはこの間を抜いて、再入院ではなくて、ペタッとくっつ けちゃうというような意味合いですね、先生のおっしゃるのは。 ○松田委員  分析するときはそれでできると思います。問題は、実際の支払いの請求をするときに、 各病院が同じこういうものをくっつけるという作業をやらなければいけないことになり ますので、そこのところをどのようにきちんとマニュアル化するかということだろうと 思います。 ○西岡分科会長  よろしいでしょうか。これはかなり影響が出ると思います。今回行いましたヒアリン グをもとにしますと、こういった形をとらざるを得ないというのはある程度わかるので すが……。 ○小山委員  いろいろな意見が出ていますけれど、今のこの案でとりあえずやってみる必要がある んじゃないでしょうか。そして、先ほど宇都宮企画官がおっしゃったけれど、またその 次に出てきたらまた考えるということで、とりあえず1番の表の6けたのところは同一 入院だよということと、算定ルールとすると、その間も、IIの入院期間、あるいはIの 入院期間に入るよということの中でもって運用してみることが大事だとは思いますけれ ど。 ○齋藤委員  同じような意見ですけれど、ファイルのつくり方とか、それは副次的な問題かなと。 一番大事なのは、細切れ入院がその病院にとって非常に有利に働くような診療報酬シス テムというのは、制度の整合性からいって適切ではないので、診療報酬の算定方式とし ては、とにかく一連の入院としてみなしますと。そういうふうに理解して、それが間に 例えば医療給付のお金が発生しているかどうかとか、そういうことはまたちょっと別の 問題で、一旦退院は一旦退院で、それはそれでいいと思うのですけれど、とにかくDP Cの算定方式は一連として算定しますと。そこを原点にしたらどうでしょうか。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。といったところで、よろしいでしょうか。  では、この新たな算定ルールの考え方でございますが、本日の御議論を踏まえまして、 しかるべき時期に中医協の基本問題小委員会に御報告させていただきたいと思います。 そういう形でよろしいでしょうか。      (「異議なし」の声あり) ○西岡分科会長  ありがとうございます。  それでは、次に、資料D−3の1ページの2の対応案の(2)と(3)につきまして、 何か御意見がございましたら、お願いいたします。  (2)は、4〜7日以内の再入院がふえてくるということがある程度予測はされるの ですが、それについて細かくまた同じような形で調査していくということで、よろしい でしょうか。  それから、(3)の部分がウィークリーレジュメの化学療法などが該当してくると考 えるのですが、これにつきましても、今後の調査として詰めていくという形でよろしい でしょうか。  山口委員、これに関して、前回、先生の方からコメントをいただいておりまして、今、 ウィークリーレジュメというのはできるだけ外来化学療法の方に移っているのだという ことを御指摘いただいていたのですが、こういう形で検討していくということで、よろ しいでしょうか。 ○山口(俊)委員  私としては、本当はレジュメ別に分けるべきだと思うのですけれど、それが今の段階 で整理できないのであれば、やむを得ないと思います。 ○西岡分科会長  ほかに御意見はございませんでしょうか。  では、次の2ページに大きい課題がございまして、診断群分類の対応策でございます が、DPCレセプト様式に包括評価部分にかかわる診療行為の内容がわかる情報を記載 することとしてはどうかということ。  それから、適切なコーディングにつながるような体制を確保すること。  これにつきまして、御意見をお願いいたします。 ○小山委員  (1)の具体的な情報を記載するという、いわゆる症状詳記のようなものを考えては どうかということが1つと、(2)の「適切なコーディングにつながるような体制を確 保する」という言い方ですけれど、これをもう少し具体的に言うとどんなようなことを お考えなのでしょうか。 ○中田補佐  対応案の(1)の部分でございますが、今、症状詳記という御意見をいただきまして、 これはいろいろ技術的な観点もあわせて詰めていかなければならないと思うのですが、 例えば、出来高に相当するような情報を添付できればいいのではないかと。  (2)でございますが、こちらの「体制を確保」につきましては、ヒアリングの中で、 一部の医師が独自の診断を行っているといったこともございましたので、院内の複数の 目で院内で定められているステップを踏んで、適切なコーディングにつながるような体 制、例えばそういうことを行う組織とか委員会とかあれば、今後、適切なコーディング につながるのではないかと考えております。 ○小山委員  例えば、今、保険講習会を年2回やらなければならないということがありますね。D PCの病院はその1回を必ずこのコーディングについてやるとか、そんな体制をつくっ た方がいいというようなお考えなのですか。 ○中田補佐  年に何回かというのはいろいろ御議論はあるかと思いますが、イメージとしてはその ような形で、例えば院内の組織をちゃんとつくっていただいて、情報を共有しながら適 正なコーディングをしていただくと、そういったものをイメージしております。 ○齋藤委員  コーディングについては、この前も申し上げましたけれど、社会保険医療の原点にな ることで、適切にやらなければいけないのですが、この問題はDPCに限った問題では なくて、既に過去40年間の出来高制度でも、不適切な病名とか、レセプト病名という問 題はあって、それについて厚労省は、例えば共同指導であるとか、立入検査であるとか、 いろいろな方法でノウハウを蓄積しておられるので、このDPCのコーディングについ ても、かつての出来高時代の病名と本質的には共通する部分も少なくないのかなという 気はいたしますので、もちろん講習会とかそういう方法もありますけれど、非常に不適 切なものが散見される事例については、いろいろな形での、例えば返還とかそういうこ とも出来高では既に行われているわけですから、方策はあるのかなと考えます。 ○嶋森委員  私は、体制整備ということなので、研修をやるだけではなくて、中でDPCの適切な コーディングができるような、例えば委員会を設置しているとか、むしろそういうふう にしてきちっと標準化したコーディングができるような仕組みを病院の中につくりなさ いと言っていただいた方がいいんじゃないかと思います。 ○齋藤委員  それは言われなくても、保険医療機関として手を挙げるところは、まず最初にやるべ きことですね。それを体制をつくらないでDPCに参入したいというのは、甚だおこが ましいと思います。 ○池上委員  (1)で「診療行為の内容がわかる情報」というときに、DPCというのは Diagnosis とProcedureの組み合わせなので、診療行為の内容というと、Procedureをイメージされ て、つまり検査であるとかそういうことの情報を意味されているのか、それとも、患者 の病態というDiagnosisの方の情報を意味しているのか。これの記載だけだとどうも処 置的なものだけのように思われるのですが、そういうことでよろしいのでしょうか。 ○中田補佐  (1)の「診療行為の内容がわかる情報」につきましては、課題でもございましたと おり、「「傷病名」を選択した根拠となる情報」といったところが想定されてくると思 いますので、患者の病態というよりは、医学的な傷病名を選択した根拠、そういったよ うな情報になるかと思います。 ○池上委員  そうすると、例えば実際の検査の値ということも必要になってくるわけですね。 ○中田補佐  具体的には、検査値まで含めるかどうかというのは御議論があるところかもしれませ んが、今想定しているのは、例えば現状で出来高で上がってくる情報があれば、例えば 主治医がその傷病名を選択した根拠、なぜこういったコーディングになったのかと、そ ういったところをサポートするような情報になるのではないかと考えています。 ○池上委員  その説明ではわからなくて、DPC分類が科学的かどうかということとして、それは 診断の結果ということであれば、何か病理のステージとかそういうことを含めての診断 のことを言っているのか、それとも、この検査をしたから、この検査によって診断の確 定ができたから、だから、その診断をやったということを書きなさいということを言っ ているのかということです。 ○原医療課長  この問題は、そもそも審査のときの情報不足ということから来ていますから、出来高 請求でやっている情報以上のものを求める必要はないと思います。そういう意味では、 検査の結果であるとか、診断根拠というものまでを具体的に示す必要は多分なくて、い わゆる出来高部分の情報があれば、恐らくどういうことをやっているかからもともとの 病気が推測できるということだったので、そんなに負担をかける必要はないと。ですか ら、DPCの請求をされているところは常に出来高でも請求できるように当然なってい るはずなので、その出来高分の情報をつけていただくということが一番簡易な方法では ないかなとは思っています。  ただ、それをどういう形でするかは、その後の処理の問題がありますので、どういう 部分をもらうかということで、今、池上先生がおっしゃったようなその検査をやったと いう事実の結果までを求める必要はないとは思っています。 ○酒巻委員  もう少し整理させていただきますと、つまり、レセプトに出てくる一つ一つの診療行 為のようなものをイメージされていると。それはすべてという意味合いでお考えなのか、 あるいは何らかのセレクションをかけて一部分とお考えなのかというのは、どうですか。 ○中田補佐  逆に、この傷病名を選択した根拠といったことの観点から言えば、部分的に切り出す ことができるのかどうかと。そこのところの御議論が必要かと思うのですが、事務局の 方ではなかなかそういった切り分けというのは難しいのではないかと考えておりまして、 医療機関の手間を考えますと、すべての出来高の情報をつけていただいて良いのではな いかと考えております。 ○酒巻委員  実際、サラリと言っていただきましたけれど、これは手間としてはそれ相応の手間だ と一つは思っているということです。  もう一つは、傷病詳記のことも、今、委員の方から出ていましたけれど、この傷病詳 記についての考え方というのは何かございますか。 ○中田補佐  事務局としては、先ほど申し上げました出来高の情報ということでございまして、病 状詳記等につきましてはこの中では想定してはおりません。 ○木下委員  この場合、そういった診療行為の内容を見て、どういうことだったらいいか、どうい うふうだったらいけないかという、その判断基準は非常に難しいと思うのです。つまり、 こういった診断名でやる場合、包括でありますから、病院でどのような対応をするかと いうと、もちろん最も適切なことと同時に、無駄を省くということもあるわけでありま して、そうすると、その意味で、これを書かせることは書かせるのですけれど、そうい う形で評価するかという、その基準がないと、我々書く方としましてもただ煩雑になる ばかりで、そういうことがないためのこれは包括医療ではないかと思うのですが、どう でしょうか。 ○宇都宮企画官  こちらの情報を記載するというのは、このために殊さらに新たな情報を記載するとい うイメージではなくて、現時点でも、Eファイル、Fファイルとか、そういう情報をい ただいているわけですが、むしろそういったものを活用してというぐらいのイメージで す。新たに負荷をかけて、こういうものを書いていただくということではありません。 ですから、その範囲で審査の方もしていただくということを考えております。 ○吉田委員  それがありまして、例の詳記を書かせるのではなくて、例えばこのヒアリングをやっ た病院がありましたよね。小児科の60%が敗血症とか、急性心筋梗塞で2日しか入院し ていないというのがありましたね。そういうことを見た時点で、審査委員会はそういう 事例だけを返戻しているんです。「本当にこれは急性心筋梗塞ですか」、「小児科で熱 発があって3日入院で、本当に敗血症ですか」という場合には詳記を求めるんです。そ れで私はいいと思うのです。  もう一つ困るのは、左側の方には処置のJコード、Kコードは明記してあるんです。 ところが、実際に右に書く出来高にはないんですね。それで、一回一回、左側の手術名 と右が全く異なるというのがいっぱいあるんです。きょうもありましたけれど、左の方 は前立腺癌なんです。ところが、内容を見ると膀胱腫瘍の手術しかやっていないです。 それで、詳記を見ると、膀胱に小さな腫瘍があって、切除して帰ったと。ところが、診 断群分類は前立腺癌なんです。そういう間違いがありますので。ですから、これは企画 官が言っていますように、Jコード、Kコード両方に書かせれば、ある程度事務的にチ ェックできるんですね。  それから、実際に審査委員として見ていて、とにかく急性心筋梗塞で2日というと疑 問になりますので、そういう場合には返戻して実際の診断項目を書いてくださいと。そ れでいいですよね、現状で。  もう一つは、審査委員会にある程度権限がありませんと、実際の面談では「カルテを 持ってこい」と言えないんです。一々、知事の許可を受けてやるんですけれど、あの辺 を少し簡素化してあげて、DPCに関しての審査委員に対して調査権を多少与えていく。 というのは、実際には厚労省が指導監査をやるんですけれど、あの人数で全国をやるの は無理です。要するに、一般審査委員会でもってある程度権限を与えてやらせる。それ なら医療課長の認可でもいいですね。DPCに関しては、審査委員に対して権限を与え るから、呼んでやれと。47都道府県でできるんです。  それから、DPCですので、特別審査委員会に来る例は少ないと思うのです。額が上 がりませんからね。ですから、47都道府県の一般審査委員会でやりますと。  もう一つの問題は、これは日本だけですが、社保と国保と2つ審査委員会がある。そ れがあるので、社保では非常に厳しくやっても、国保ではわからないのは通してしまえ となってしまうんですね。ですから、同じ病院でも社保と国保で分かれるわけです。そ れがあるので、DPCに関しては審査機構を1個にしろと。しかも、オンラインで出ま すから、そうすると、今までの47は要らないわけです。北海道に1個、東北に1個、関 東・甲信越に1個と、大体8つぐらいの審査機構でいいわけですね。その審査機構に審 査権を与えて、社保・国保関係なく、1個の審査体制でやると。それでやれば、専門家 を置いておいて十分にチェックができる。チェックをしておかしい場合には、あるいは 課長の了解をとって、呼んで指導できる体制をつくれば、ある程度いけるのかなと思っ ています。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。課長、何かコメントはございますか。 ○原医療課長  極めて大きな影響がある話なのでコメントもできないのですけれど、いずれにしても、 それをやっていくには法律改正をしていく必要があるので、それについては十分慎重に 検討すべき問題だろうと思います。先生がおっしゃっている意味は非常によくわかるの ですけれど。ただ、今回はそこまで踏み込んでではなくて、もう少し現実的に、来年度 からやれるところを少し考えていきたい。そういう意味で、どの範囲を情報をもらうか は別にして、それほど手間をかけることなく、ある程度審査に役立つものはいただいて はどうかというぐらいに考えていきたいと思います。 ○吉田委員  最小限、企画官が言われたような、Jコード、Kコードはつけさせられますね。あれ があるだけでも違うんですよ。事務でチェックできますから。簡単なので、それをやっ ていただければ、来年の4月からでもチェックは多少濃厚になりますね。 ○酒巻委員  Jコード、Kコードをつけるのは私も賛成です。ぜひやった方がいいと思います。  もう一つは、こういうふうに細かなデータが出たときに、逆に保険者との間でさまざ まなトラブルに巻き込まれるということもあると思うのです。それはない方がいいと私 は申し上げるわけではありませんけれども、ただ、そこのあたりの保険者と医療機関と の間のさまざまなあつれきというものについても多少目を向けながらこの制度を運用し ていかないと、今度は細かなデータが出たから、さまざま要らぬ問題を持ち出されない ようにということですけれど、そういうことも調整しながらできるように、何らかの通 達を出していただいたり、そうことをしていただきたいと思います。 ○齋藤委員  私も吉田委員の御意見に賛成で、出来高のときは、レセプトを見ておりますと、何の 薬を何錠使ったとか、細かいところが書いてあるので、大体おぼろげながら病相が、症 状詳記はなくてもわかるんですね。けれど、包括化されたソフトを見ても、中身が非常 に見えにくいだろうと思います。そういう点で、審査に当たられる現場の方々の御意見 を十分踏まえて、情報としてレセプト提出側の負担が余りない格好でできるにはどうし たらいいか、細部を詰めていただくのがよいのかなと思います。 ○池上委員  これは電子オンライン請求ということを前提にされているのですか。そうでないと、 EFファイルを紙出力してやるというのは非常に大変だと思うのですけれど、また、照 合も大変ですので、逆に言うとそれが一つのDPC対象病院の条件になってくるのでし ょうから。 ○中田補佐  オンラインに対応していない医療機関についても対応できるような形で検討を進めた いと思っておりますし、これ自体が要件になるということではないかと思っております。 ○松田委員  物事が難しく考えられ過ぎていると思うのですけれど、今の紙のDPCレセプトを見 ていただくとわかるのですが、手術・処置等1、2に関してはもうコードが振られてい るのですが、手術の部分に対するこちらの部分が、手術名だけが書かれていて、それに Kコードが振られていないと。実際に井原先生たちが審査される場合に、この病気に対 してこの手術を行うことが本当に妥当なのか、あるいはこの手術から見てこの上6けた が妥当なのかということを評価するときに、いわゆる定義表というものをそのまま見れ ば、それが妥当かどうかとかをチェックできるわけですが、今、それをやることが非常 に手間になっているわけですね。  ですから、EFファイルというよりも、そこの出来高のところにコードをつけてくれ というのがこの間の井原先生のお願いだったのだと思います。それがあると、定義表と、 例えばDPCの01何とかとあったときに、01という手術に相当しているものがちゃんと 入っているのか、手術・処置等のところの1、1と入っているものに相当する手術・処 置等が行われているのかということがチェックできますので。それもかなり電子的にや れることだと思いますから、そのレベルのことだと認識しています。  ですから、EFファイルのデータをそのまま出すということではなくて、少なくとも 必ず様式のところにKコードを入れてくれと、そういうお願いだと認識しています。 ○原医療課長  もちろんそれもあるのですけれど、例えば複数の病気を持っていて、例えば糖尿病を 持っている、そしてその措置の発作を起こして入ってきたと。そのときはどちらのコー ドを使うのかということになると思うのです。そのときにあくまでもどれにどれだけ資 源を使ったかを書かなければいけないと。そのときに、どちらの病名をとっているかと いうのは、処置とか検査とかをどれだけやったか、そこも見せてもらわないと判断でき ないというところがありますので、そういう意味では、Kコードをつけるだけでは多分 不足するだろうと。そういう意味では、ある程度包括されている部分の出来高情報とい うのはつけてもらうのが妥当ではないか。  そのときに、池上先生が御指摘のように、EFファイルという形のものでは、逆に言 うと、審査側が十分対応できない可能性もありますので、そこはどういう形にするかは 現実的にできる方法で、医療機関としては、先ほど言いましたように、出来高で請求す ることは必ずできるようになっているはずなので、そういう意味では、出来高請求での 情報というのは一番やりやすいのだろうなと考えています。ですから、そこは対応でき る方法について、あるいは負担にならない方法について、もう少し中身的には詰めてい きたいと考えています。 ○池上委員  もう一つだけ、手術や1000点以上の処置はいずれにしても今でも出来高のわけですか ら、2種類の出来高情報が出てくるわけですね。ですから、請求ベースで出来高のもの と、包括はされているけれどEFファイル上の出来高と2種類のものを……。そもそも 請求上の出来高についてはそのまま出来高で払うから、それは今までどおりですけれど、 包括部分についての出来高というのをEFファイルとは切り離して提出しないと、包括 のグルーピングが適切かどうかということは検証できないわけですので、その点はまた 考えなければいけないのではないかという気がします。 ○西岡分科会長  おっしゃっているように、できるだけ簡便な方法で負担がかからない形で、ツリーの 分かれ目がはっきりする、あるいはDPCの決定、コーディングの決定ができる項目を 上げていただくということ。もちろん、EFファイルのところのコードをつけていただ くことも必要になってくるだろうとは思いますが。余り複雑になりますと、レセプトを 2枚出すような形になってしまいますから。  では、これはかなり簡便化された形で検討していただくということで……。 ○松田委員  とりあえず一つやっていただきたいなと思っているのが、レセ電算マスターのところ のコードにKコード、Jコードというのを追加していただくということをやっていただ くと、ベンダーさんの方もやりやすくなると思いますので、ぜひそれは厚労省の方で検 討していただきたいなと思っています。  もう一つは、対応案の(2)のところですが、考えてみると、厚生労働省の方の本体 調査で、様式1DEFファルというのを集めていらっしゃるわけですね。そのEFファ イルと様式1を使って、再コードして分類をやっているわけですが、そのデータと実際 に請求に使われている診断群分類が合っているのかどうかということをチェックすると いうことは可能なのでしょうか。例えば、フランスなどはそういうことをやってチェッ クをしているのですけれど、そういう何か特別な枠組みをつくることができるのかとい うことですが。 ○中田補佐  松田委員から御指摘がございましたEFファイル等の厚生労働省の調査をレセプトの チェックに使えるのかどうかという観点ですが、今回、我々の厚生労働省でやっている 調査の目的は、そういった診療報酬のチェックを行うためといった目的ではございませ んので、この調査の内容を目的外のことに使うということはできないという状況でござ います。 ○西岡分科会長  ほかに御意見はございませんでしょうか。 ○吉田委員  これは公聴会なので、前回のときに相当隠してしまった部分があるのですけれど、実 は東京でいろいろな事例がありますので、東京の基金内で職員あてに、試験ではないで すけれど、例えばこういうDPCレセプトを見せて、どこが間違えているかということ を見つける訓練をして、それがもしよろしければ、各病院で再教育のときにそういうも のを使ってみてもいいと思うのです。そんなに手間はかからないですし、100題ぐらい つくってありますので、それを見せて、A病院が新しくなりたいというときに、そこへ 行って、スライドを見せて、どこが悪いかと。それは80点取らないとだめとか。そうい うことができますので、そういうことも利用していいのかなと思いますが、いかがです か。ただ、これはオフィシャルには出てきませんので。 ○西岡分科会長  厚生労働省がやるというわけにはいかないですよね。この委員会がやるというわけに もいかないし。そういう啓発活動は必要になるでしょうね。 ○吉田委員  今、手を挙げているところは、実際は具体的には厚労省に呼んでやっているんですか。 いずれなりたいと、今、手を挙げていますよね。1,400ある700ぐらい。その時点で、例 えば手を挙げたけれど、そこへ行って、試験じゃないけれど、そういうものを見せて、 80点取らなければだめということはできますか。それをやれば、ある程度選択できるん ですね。東京に資料はありますので。 ○池上委員  EFファイルであり、かつ簡便という、非常に難しい課題ではないかという気がして いるのですが。各DPC分類ごとに、それを裏づけるEFファイルの出来高の必要な部 分というのは、おのずとそれごとに違うわけですね。ですから、DPC分類ごとに必要 な検査の指針をつくらない限り、それを物差しで適切な科学的根拠に基づく分離がなさ れたかどうかということをチェックできないわけですね。ですから、そういう非常に極 端な例だけを対象にするのは別として、コーディングの適切性を見るのだったら、コー ディングの根拠としてこの検査、この処置が必要であるというのを一つずつひもづけし ないと判断が難しいのではないかと思うのですけれど、その点はいかがでしょうか。 ○原医療課長  レセプトを2枚出してもらうのが一番簡単なんです。要するに、出来高で審査してい ただいているわけですから、コーディングが処置があるとかないとかは、それを見たら わかるわけですから。ですから、それが一番簡単な方法だと思っているんです。紙は倍 になりますけれど。けれど、それをEFファイルということにすると、そちらの方がか えって見る方が難しい。ですから、先ほど言いましたように、出来高で請求をしていた ときに、それ以上のことをここで求めたいと言っているわけではなくて、そこでできる ことぐらいはせめてチェックできるようにしてほしいと。そのためにはその情報さえあ ればいいわけですから。  要するに、レセプトを打ち出すことはそんなに手間ではないはずなので、DPCの包 括請求でするのか、その人について出来高請求するのか、常に出来高請求のファイルは 当然あるはずなんです。それをこちらが持ち出してくださいというふうに言うのが一番 簡単だろうとは思っています。ですから、それだけのものが情報として多過ぎるという なら、逆に言うと、そこを削って、これだけ出してくださいと言うと余計手間になるん じゃないかなとも思うのです。  DPCファイルの場合は、この検査をいつ1回やったという情報まで全部入ってきま すので、その経過情報が入りますので、かえって情報量が多いと。そこまでを求めてい るわけではないと。要するに、出来高請求をしている情報以上のことを求める必要はな いと思っています。ですから、池上先生がおっしゃったように、科学的根拠まで求めて いるというわけではない。審査上、ある程度必要なところでやっていただく。そこで疑 問が生じたら、DPCの場合は査定ができませんので、「コーディングはおかしいじゃ ないですか」と返してもらうしかないわけですね。「この点数は高いから削る」とかと いうわけにはいきませんので。そういう意味では、返戻をして、症状詳記して直しても らって出してもらう。そういう手段しかありませんので、そういう意味では、そのチェ ックを何で見るかというときに、出来高のレセプトがあれば、「このコーディングはお かしいね」というのはわかると思います。というふうには考えています。  ただ、それを今言ったようなストレートな形でできるかどうかは、もう少し関係のと ころと話をしないとわからないので、最終的にそうだとはここでは言えないということ です。 ○池上委員  済みません、これで終わりますけれど、DPCの精緻なコーディングが、保険病名か どうかは別として、通常の出来高のときの病名との照合とはかなり精度と手間が違うと 思いますので、それでDPCの精緻なコーディングの適切性を見ることを厳密にやろう とすると、一つずつ対応しないと、明らかにおかしいコーディングというのだけを選び 出すというならよろしいかもしれませんが、精緻にコーディングの適切性を見るためで あれば、通常の今までのレセプトの出来高の場合の診断と比べると、DPCコードの分 類というのはより精緻なものですから、申し上げた次第です。 ○原医療課長  ですから、それは調査の方でやっていただいたらいいので、請求に対する支払いの審 査の問題とDPCの構築するときの精緻さというのは異なってよいと思います。そうい う意味で、その部分が合っているかどうかをEFファイルから検証していただくのは調 査の方でやっていただいたらいいんじゃないかと考えています。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。なかなかまとめにくくなってしまったのですが、ここで出て おりますように、DPCの支払いに関して非常に情報が不足しているということで、コ ーディングの根拠になるような情報を少なくとも出していただくという形でお話を進め るということにさせていただきたいと思います。また、今お申し出がありましたように、 DPCの適切なコーディングを行うための体制づくり、あるいは啓発活動等が行われる ように、今後、検討していくということにさせていただきたいと思います。  もう一つ問題点がございまして、3ページにございます、自院で行うことができない 治療のときに、一度退院してまた入院ということが現実で行われているわけですが、こ れに対する対応策についてはいかがでしょうか。できるだけ1入院の中で処理するとい う形がとれれば一番いいわけですけれど。 ○松田委員  一応、御参考のために、フランスで何がやられているかということですが、フランス の場合は、これを出来高換算をして、その部分をその病院に支払うという形で対応して います。ですから、A病院に入院した患者さんがB病院でその治療を受けた場合には、 一たん、A病院の方でB病院の分まで請求して、A病院からB病院の方にそのお金が行 くと。フランスはそういう形で対応されているようです。 ○西岡分科会長  ほかに御意見はございますでしょうか。  形としてはその形でいいのですが、いろいろな支払いの基準のところの調整がもうひ とつかかってくるのかなとは思うのですけれど。 ○吉田委員  今、γナイフが入っていますけれど、こういう例ってそんなに日本では多くないんじ ゃないかと思います。実際、数%でしょう。相当多いんですか。 ○中田補佐  具体的にこういう例がどれぐらいかはちょっと申し上げることはできないのですが、 今回、アンケートを配らせていただきまして、その回答の中でこういった理由を上げて おられる件数はかなり多かったということでございます。  γナイフもそうですけれど、この間のヒアリングでは、別の医療機関で、γナイフの 治療をして、後の経過だけを自分の病院で診るとかといったことだとか、いろいろなこ とが入っていたわけでございますが、それは本当にDPCにふさわしいやり方なのかど うかはちょっと別ですけれど。 ○西岡分科会長  この形でよろしいでしょうか。支払いの方式について、1入院の中で処理してできる ような形で検討していただくということで提案させていただきたいと思います。  これで前半部分は終わりたいと思います。  このような形で中医協の基本問題小委員会の方にしかるべき時期に報告させていただ きたいと思いますが、これでよろしいでしょうか。  では、そうさせていただきます。  それでは、残りの時間で、資料D−4以下の資料につきまして御説明をお願いしたい と思います。 ○中田補佐  それでは、資料D−4−1、D−4−2をごらんいただきたいと思います。  資料D−1の第2で対象病院のあり方についてという形で上げさせていただきました が、資料D−4−1、D−4−2につきましては、DPCの望ましい要件の算定につき まして、8月29日の基本小委員会に提出させていただいた資料をまず御報告をさせてい ただきたいと思います。  19年度のDPC準備病院の702病院数につきましては、現在の準備病院数のものです ので、今後、変更等がありますことを申し添えます。  資料D−4−1「DPC「望ましい要件」の算定について」でございます。左の欄に 15年度のDPC対象病院、16年度対象病院、18年度対象病院、それに加えまして、18年 度のDPC準備病院、19年度の準備病院、この病院類型毎にデータを集計しております。  一番上の表でございますが、こちらは病院類型別の望ましい基準を算定している病院 数でございます。   1つ目の表でございますが、現在、対象病院になっている360病院、準備病院にな っております1,073病院、あわせて1,433病院を集計しております。平成15年度のDPC 対象病院につきましては、例えば比較的特定集中治療室管理料や救命救急入院料を算定 している割合が準備病院に比べて高い傾向がございます。  2つ目の表につきましては、割合を示したものです。  3つ目の表は、望ましい要件の算定項目数別で集計したものでございます。  15年度DPC対象病院につきましては、すべての医療機関が3以上満たしております が、例えば準備病院の例で見ますと、そのピークが望ましい要件が3のところ、19年度 の準備病院では望ましい要件のピークが2のところにあり、そのばらつきの程度はちょ っと異なっているということがわかると思います。  4つ目の表は、割合を示したものです。  2ページでございます。「望ましい要件」を満たしている数と調整係数の関係につい てをグラフで示させていただいたものでございます。こちらのグラフは、横軸に「望ま しい要件」数、縦軸に調整係数をとりまして、「望ましい要件」数が0〜5の区分ごと に調整係数がどのような分布をしているのかを示したものです。  仮に調整係数が、医療資源の投入量を反映しているという想定で考えますと、例えば、 「望ましい要件」が多くなればなるほど右肩上がりになるのかどうかについては、ここ は0、1、2の区分の度数がちょっと少ないので、統計的な解析としてはどうかと思い ますが、はっきりとした右肩上がりになるのかどうか評価が必要なのではないかという ことで、提示させていただいております。  次の3ページの資料でございますが、病院類型別と調整係数の関係の図でございます。 (1)のグラフが平成15年度の対象病院、(2)が平成16年度の対象病院、(3)が平成18年度の対 象病院で、それぞれ調整係数がどのような分布になっているかのグラフでございます。  ごらんいただきますとおり、特に平成15年度の対象病院につきましては、特定機能病 院が中心でございますが、ほかのグループよりも調整係数がやや高いところでまとまっ ています。それに比べまして、例えば平成18年度の対象病院につきましては、様々な病 院が入ってきているのではと御指摘がある中で、今回の調整係数は 1.0を中心にまとま りを見せているような図が見られるかと思います。こちらの図の解釈につきましては、 前の望ましい5条件別の図と見比べながら、評価の検討が必要ではないかと思っており ます。  続きまして、資料D−4−2でございます。  こちらは、DPC対象病院、準備病院における病床規模につきましてまとめさせてい ただいたものです。こちらも平成19年度の準備病院は702で、過去の変更等があり得る ことを申し添えます。こちらにありますとおり、現在、DPCの対象病院としては360 病院、準備病院は18年度と19年度をあわせますと1,073で、先ほど申し上げたとおり、 1,400程度のものが今、対象の可能性となっております。 平成17年の医療施設調査の全病院数は、約9,000でございますので、準備病院をすべ て含めた数は、準備病院をすべてふくめると、全病院の約15%程度まで占めるような割 合になってきます。それを病床規模別に見ますと、46万床程度となり、全病院の病床数 が90万程度ございますので、病床の規模としては50%を超えるようになります。  2ページですが、平成19年5月1日現在での社会保険事務局への届け出状況のデータ より、こちらはDPC病院における10対1以上の入院基本料の算定状況でございます。 現在は、DPC対象病院の中で10対1を満たすことというのが経過措置の条件になって いるところでございますので、数値が一致していない所がございます。  DPC対象病院、準備病院が全体の病院数に占める割合を、それぞれ7対1の区分、 10対1の区分から切ったものでございますが、例えば7対1をとっている病院の中で見 ますと、DPCの対象病院、準備病院をあわせまして62%程度、10対1では40数%とい う形で、両方を足し合わせまして47%を占めるようになっております。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。この資料につきまして、何か御質問はございますか。 ○熊本委員  単に数字だけちょっと見ますと、18年度、19年度の準備病院は病床数の100床未満と か、中小がかなり増えてきているなと。もう一つは、「望ましい要件」の算定項目数が 少ない病院も、18年度、19年度と増えてきているなと見れるんですね。推測すると、こ の2つに何か関係があるんじゃないかなという気もしますので、できれば、病床数別で の要件を満たしているかどうかを教えていただければと思います。  ただ、以前から、特定機能病院だけではなく、単科に特化したような100床未満の専 門病院も加わってきていて、そういったところでDPCにふさわしい病院もあると思う のです。そこにこの「望ましい要件」の項目で果たしていいのかというのは、ちょっと 違うこともあると思いますので、そういう病院がたくさん入ってこられて、なおかつふ さわしい場合の要件というのが、このままの要件を単にカウントしていくだけでいいの かというのは、ちょっと別の問題があるんじゃないかなと思います。 ○齋藤委員  私は、DPCにふさわしくないという状況がどういう状況なのか、率直に言ってなか なか頭に浮かばなくて、冒頭申し上げたのは、コーディングが適切にできない、ツリー が適切に読めない病院は、やはりDPCに大変向かない病院だなと思いますし、例えば、 病院側から慢性期の患者さんがたくさんいるところはどんどん診療報酬が下がってくる 構造ですから、全くお勧めできないなということはわかるのですが、それ以外のどうい う病院がDPCに向かないのか。その姿というのは余り見えなくて、急性期の入院医療 というのは、包括で評価するというのが一般論としては妥当なのではないかなと今の段 階では思っているわけですが、どなたか、「そうはいっても、こういう病院はDPCに 向かないんだよ」というのがあれば、ぜひ教えていただきたいなと思っています。 ○木下委員  このDPCのようなやり方をするにしましても、医療資源が限られているところで極 めて有効に使っていきましょうということは大前提であろうと思いますが、結果として 病院が成り立たないということは、国民にとってこんな不幸せなことはないわけですね。 したがいまして、まず私は伺いたいことは、例えば、15年、16年、18年の今までDPC を採用した病院それぞれのどのような伸び率になっているかというのをぜひ出していた だきたい。  それはどういう意味かというと、毎年の調整係数があるわけですから、理論的には前 年度の報酬を保証するのだということにすれば下がるはずはないのでありますが、我々 が持っているデータでつい最近見たものでは、特定機能病院はもうダントツに一直線に ふえているわけですね。ところが、一般の病院では、あるところ以来頭打ちをしてしま って、むしろ下がっている実情がございます。そういうことも含めますと、本来、この 特定機能病院を中心にしてDPCが始まったわけでありますから、そういうところは教 育も含めていろいろな意味で特殊な病院だろうと思いますので、したがって、「望まし い基準」というのは5項目ありますが、もうほとんどのところが満たされているという 状況下においては、これは少なくとも今までの状況ではこんなにいいものはないのでは ないかと思います。結果としましても。  しかしながら、今後、それだけのことを見ますと、なぜ18年、19年はこれだけの数が ふえてくるかというと、普通の出来高ではとても成り立たないのだという状況の中で、 見かけ上、DPCの方がいいということがどんどん参入しているような気配がございま す。なぜかというと、全く「望ましい条件」を満たしていないと。にもかかわらず、そ れをしなければならないという状況があるわけでありますので、そういう意味からいた しますと、それぞれ本当にDPCを採用した病院だけで見たときに、どんなトレンドで もって、医療資源というのは当然としましても、病院が成り立っていく上には少なくと も採算が合わなければ始まりませんので、どのような結果が出たか、つまりどれだけ伸 びていくかということはわかるはずでありますので、ぜひ出していただきたいと思いま す。  そして、同じようなことがほかでも可能なのか。条件として5項目のところは全部満 たされているものはそうだけれど、どこか少ないところではそうではないのだというこ と。その辺のチェックはあるのでしょうか。ぜひ伺いたいのですけれど。 ○宇都宮企画官  今の木下委員の「伸び」というのは、収入ということですか。 ○木下委員  はい。病院の診療報酬としての伸びが毎年出ると思いますけれど、それは恐らく特定 機能病院では直線的に伸びているはずなのでありますが。 ○宇都宮企画官  それは個別の病院ではとっていないのですけれど。 ○木下委員  それは見せます。今度、お出しいたしますけれど、そういったことと、それから、一 般病院とでは恐らく違っているはずなのでありまして。 ○宇都宮企画官  個別の病院については、そういうデータはとっておらないのですが……。 ○木下委員  全体として、特定病院にとってこういった5項目を持っている病院、大学病院等に関 しましては、こんなにいいものはないのであって。もちろん努力はしておりますけれど も。 ○小山委員  特定機能病院です(笑)。直線的な伸びはしておりません。前にも医師会との懇談会 の中でそういう指摘を受けたのですけれど、厚生労働省が出している資料からすると、 ほとんどほかの病院と同じような推移をしているのであって、特定機能病院だけが抜群 にいいなんていう統計は……。 ○木下委員  逆に、私が申し上げているのは、そっちの方がけしからんと言っているわけじゃない んです。そういう意味では、一般病院がそうならないのではない、むしろ特定病院が伸 びる形が一番いいわけですよ。基本的には。 ○小山委員  ですから、そう伸びていないということを僕は言いたいわけなんです。伸びていない から苦労しているのだということをぜひ……。誤解を招くような発言がとても困るんで すけれどね。 ○木下委員  だとすると、DPCでもなおかつ問題があるのだということとすれば、どうしてそう なのかということも含めて、今後、これだけ多くの病院が入っていくとすると、特定機 能病院ですらだめなのだということになると、どういうことをすればよりよくなるかと いう御提言をいただきたいんです。 ○小山委員  どうしたらいいかというのはあれですけれど、それなりの努力をしているわけですよ ね。厚生労働省が出している統計でもって、特定機能病院、一般病院の統計は出ていま すけれど、その伸び率というのは、特定機能病院だけが高いという数字はないので、ぜ ひそこは誤解のないようにしていただきたいと思います。  DPCになっていろいろな意味でいい面も非常に出てきているわけですよ。何かいい 面が出てきているかというと、これは松田先生がおっしゃっているように、ほかと比較 することができて、切磋琢磨するという形でもって、医療資源を有効に使うという意味 では、非常にいい形でもって回転してきていると思うのです。いろいろな疾患を比較し て、自分たちのいる立場がわかってきて、「ああ、やっぱりここはだめなんだ。こっち の方がいいんだ」といったことが見えてくるという意味では、僕は大変いい制度が今動 いているのだと思います。 ○木下委員  おっしゃるとおり、いろいろなメリットもありますし、これはすばらしいのだという こと、そういった視点での大学病院を含めて特定機能病院ではよかったという面はある かもしれませんけれど、何を申し上げたかったかというと、18年、19年、準備病院がた くさん手を挙げているという事実について、15年、16年で、本当に最初に意図したもの ではそれなりのことはあったとしても、それと同じように考えていいかということで、 全部これを入れてしまったときに大問題が起こりはしないかということを一番危惧する ために、僕はあえて申し上げたわけです。 ○池上委員  そういう御懸念もあるかと思うのですけれど、既に18年度において216病院を入れて、 そのときに、これは「望ましい要件」であって、「必須の要件」ではないということで、 既成事実として認めた事実がありますので、それでルールをかえるというと、では、18 年度において認めた病院も20年度には認めないということにしないと、公平性に欠ける ことになる。 もう1点、調整係数を3ページで見てみますと、15年度、16年度、18年度の調整係数 の平均値は、多少下がっていますけれど、それほど極端に平均値は下がっていないわけ ですね。ですから、これは異質な病院が入ってきたかどうかというのは、また標準偏差 もそれほど違わないとなると、最初の15年度のものと18年度の病院とでは、異質かどう かというのは、それはほかの面で見たら異質かもしれませんけれど、ここで上がってき た数値で見る限り、それほど異質でないような印象を私は受けました。 ○木下委員  そのとおりでよくわかるのですけれど、つまり、例えば「望ましい要件」を満たして いるものと満たしていないものは、当然、18年のところでもあるわけでありますが、満 たしていないところと満たしているところではどのような差があるかなというのを実は 知りたいわけです。  例えば、18年、19年ですべての項目を満たしているところは、それは望ましいかもし れないわけでありまして、要は、実際そのとおり本当に急性期を扱う大学病院並みのよ うなところというのは大きな病院にもあるわけでありますが、そういうところは望まし いかもしれませんけれど、そうではないところもみんな手を挙げてやっていくと、僕は 非常に危惧していることは、例えば「望ましい条件」が満たされていないところという のは果たして本当にいいのだろうかということも含めて、池上先生がおっしゃることは よくわかるのでありますけれど、不公平さをなくすということはありますが、実態とし て、要件が少ないところでは、必ずしもこのDPCは向かないのではないかというとこ ろだって出てくる可能性もあるわけでありまして、平均値でないものがあるような気が するだけに、最初の15年、16年の発想とは違ってきてはしないかなということがありま すから、そこは明確にした上で、みんなにそれにふさわしいものが入るべきだという、 そういう十把一からげですべて病院はこのDPCでいくのだということは、現在の状況 ではとても心配で、ただ心配だけであればいいのでありますが、実態としてお知らせ願 いたいと思います。 ○齋藤委員  松田委員がしきりとうなずいていらっしゃるので、ちょっと御意見を伺いたいのです が、この「望ましい条件」が非常に少ない病院がDPCに参入してきたときに、理論的 にせよ、どんな不都合が想定できるのでしょうか。 ○松田委員  基本的には、DPCは急性期の医療というものを前提に分類をつくってきていますの で、そこに少し慢性期に近いような病院が入ってくると、それは当然医療資源の投入量 が減ってくる。そうすると、全体的に本当に同じ分類に入ってしまっても非常に高度な 医療をやっているところが少し低く評価されてしまう、それは余り望ましくないことだ ろうと思います。 ○齋藤委員  それは病院が決めて、自分はDPCには向かないなということを知っていただいて、 参入を踏みとどまるということで、適切な区分けができてこないのかなと思うのですが、 どうなんでしょうか。 ○松田委員  僕らは、厚生労働省の本体調査とは別に、DPCの研究班の方に御協力いただいてい る部分のデータしか持っていないわけですけれど、今、それを見ると、一つは分類の問 題があるだろうと思っています。具体的には、例えば手術が9・7であるとか、いわゆ る内科的な入院になってくると思うのですけれど、多分そこのところでかなり差が出て いるのかなと。  いずれにしても、今、研究班の中では、診療プロセスの評価ということをやろうとし ています。ですから、先ほど木下委員が御指摘されたことですけれど、施設主体別にも し診療プロセスの内容に非常に大きな差があって、例えばそれが急性期医療という観点 から見たときに少しどうかなというものが出てきた場合には、そのデータを見ることに よって、少し評価の方法を考えるべきではないかと考えています。 ○伊藤委員  一番気になるのが、一方で調整係数を1にしていくと言いながら、主体が広がると調 整係数1にいくこととだんだん遠くなってくるんじゃないかという気がするのですけれ ど、その辺はどのように考えていらっしゃるのでしょうか。 ○西岡分科会長  松田先生、先生の方を向いて聞かれていたので。 ○松田委員  今、私たちの方で反省をしながらというか、少し批判的研修をしているところは、分 類の妥当性のところです。もし、見ている診断群分類の範囲が違うということで何かい ろいろな問題が出てくるとすれば、それは対応しなければいけないし、同じ分類に関し て施設間で大きな医療資源の投入差がある場合には、それはもしかすると分類が悪いの かもしれないし、あるいはもしかすると施設機能が違うのかもしれない。そういうもの を診療プロセスを用いて分析していこうと思っています。  何がそれでやりたいのかというと、例えば急性期病院を評価するための、そこから機 能係数みたいなものがつくれないか。あるいはそれは加算なのかもしれないし、あるい はそれは何なのかはまだ明確には言えませんけれど、そういうものを別途設定していく ことで、今、調整係数の中に隠れているものを外に出していくという作業が、これから やらなければいけないことではないかなと考えています。  そういう意味では、そういうものが明確にならない状態で支払い対象病院を急速にふ やしてしまうということは、今の段階では少し危ないのではないかなと考えています。 ○西岡分科会長  これはすごく重要な問題なのですが、区分けするところがなかなか明確にならないと いうことと、少なくとも専門病院と一般病院とはやはり区別しなければいけないだろう というのはわかりますが。 ○武澤委員  そもそも論になるかもしれませんけれど、まず、急性期病院の定義があいまいです。 保険局医療課で急性期病院の定義をするわけにはいかないと思うので、やはり医政局が、 関連の施設も含めて、関係者も含めて、急性期病院の定義をまずしっかりしないといけ ないと思います。  もう一つは、DPCが本当に急性期病院だけに限定していいのか。これはまさにそも そも論ですけれど、例えば、コストを保証して、それから機能評価件数で病院の診療に 関して、ペイ・フォア・パフォーマンスで診療報酬を考えるとすれば、これは急性期病 院に限定する必要はないので、慢性期病院にも適用できるし、リハビリテーションなど の亜急性期の病院にもできると思うのです。ただ、具体的でテクニカルな問題はいろい ろあると思いますけれど、この議論はとりあえず今までは急性期病院に限定するという 前提で来ていましたから、恐らく議論の中に入ってこなかったと思うのですが、もう一 度振り返って考え直す必要があるのではないかと思います。 ○西岡分科会長  非常に貴重な御意見で、急性期病院の定義というのが明確になっていないということ は、これはいつも悩んでいるところです。 ○池上委員  この拡大するかどうかというのは、一つは調整係数を完全になくすという前提である と、確かに慢性の病院の扱いが非常に難しくなってきますので、調整係数にかわる機能 係数をどんなものにするかによって、拡大の適切性ということもまた係ってくるので、 機能係数というのはどんなものをイメージされているか、事務局に伺いたいのですけれ ど。 ○中田補佐  機能係数については、これからの御議論ということかと思いますが、今、事務局の方 で何か想定というものは特にございません。 ○池上委員  今の形でのEFファイルを反映した調整係数をなくすという前提に立つと、拡大とい うのは難しいと思うのですけれど、EFファイルを前提としてということであれば、コ ーディングの正確性ということは前提としますが、拡大は特に問題はないと思うのです けれど。ただ、そこをなくして機能係数を新たに考えるというと、どんなものが想定さ れるかについて少し議論しないと、今取り組んでいる課題にも対応が難しいのではない かと思うのですが。 ○松田委員  調整係数というのはそもそも何かというと、多分それぞれの医療機関が行った医療行 為の結果としての調整係数で、そうすると、そこの医療行為が行われたというプロセス を分析することによって、そこから何か係数的なものがつくれるのではないかなと考え ています。  そもそもEFファイルには行われた医療行為がすべて記録されているわけですから、 それをベースにして調整係数を計算しているということは、それぞれの病院が行った医 療プロセスを評価しているということですので、であるならば、そこのところをきちん と分析していくことによって、医療プロセスの分析からそういうものがつくれるのでは ないかというのは、厚生労働省の意見ではなくて、私たち研究班の今のアイデアです。 そういうことで今年度の研究からは、医療プロセスの分析というのを今やらせていただ いているわけですが、そういうところで何かこの分科会の方に研究班として御提案でき るものがあればしたいなと考えています。 ○酒巻委員  ここには多分データは出ていないと思いますけれど、調整係数の平均値というのは年 度ごとに少しずつ動いていますよね。これはだんだん高くなってきているのですか、そ れとも平らなのですか。全病院を平均化したときの数値としては。 ○中田補佐  その辺のデータにつきましては、また事務局の方で用意させていただきたいと思いま す。 ○酒巻委員  なぜこの質問をしたかというと、非常に幅広い病院が入ってくることによって、結局、 どうしても調整係数で調整される幅が大きくなっているということなのかどうなのかと いうのが非常に重要なことだと思ったからでして、その傾向を見ないと、調整係数をど うするかという議論そのものがしにくいのではないかと思いますので。 ○西岡分科会長  それは次回ぐらいにでも出せるものでしたら、出していただけると、参考資料になる のではないかと思いますので。あるいはまた、この問題はこれから何回か議論を重ねて いただきたいと思うのですが、そのときにこういった資料があるといいというお考えが ございましたら、おっしゃっていただけると、準備できるものは準備したいと思います。 余り膨大になるとできないものもあるかもしれませんが。 ○酒巻委員  もともとの「望ましい要件」とは何であるかということに立ち返らなければいけない のですが、これはどういう診療形態として固まりができているのか、それぞれの病院の 特徴のようなものがデータとしては本来は存在しているのだと思います。これをどう表 現していただくかによって僕らも議論ができるわけでして、現在出ている「望ましい5 つの要件」だけでは、さすがに議論が難しいのではないかと思います。 ○西岡分科会長  その5つの要件というのは、前のときにこの会で急性期医療をするとすればこれぐら いが整わなければいけないということで、委員の先生方からお出しいただいたものです。 この中で、例えば救命救急入院というのは、それが地域によって決まっておりますので、 いかに大きな病院であっても、とれるところととれないところが出てきますが、これは 少し別になるかと思いますけれど、それ以外は、急性期医療をするとすれば、これぐら いのものを算定できる病院であってほしいというのが、たしかそのときの議論の結論だ ったのではないかと思います。  さらに、もし急性期医療というところで御提案いただければ、追加なり何なりできて くるのかなと思っていますけれど。 ○木下委員  私も大学病院におりましたときは、まずDPCを採用するかしないかを徹底的に議論 いたしまして、採用するなら、どうやってこれをうまく乗り切ろうかということをどこ の病院でもやったと思うのです。我々も同じでございました。そういう視点に立ちます と、調整係数を非常に意識しておりまして、前は4カ月ございましたか、その間、みん な工夫するわけでありますから、濃密な資料にしようと、これは当たり前の話なのであ りまして、ということをしてやりました。  しかしながら、その結果としては、小山先生は謙虚におっしゃっておりましたけれど、 一般的に平均値をとりますれば、当然それなりのことをみんな頑張っていると思います。 ですから、そういう立場に立てば、自分たちだけがいいのだとするならば、これはそれ なりの効果はあるのですが、ありとあらゆる病院、そこにかなわないものは淘汰されて いっていいのだということであるとするならば、それは論外なのでありますけれど、い ろいろなタイプの病院があるだけに、先ほど武澤委員が言われたように、急性期、慢性 期、さまざまな病院があるし、この前びっくりしたのは、透析病院ですらここに入って いるということもございました。  そういうことを考えたときに、調整係数がなくなったときにどうなるかというのは一 番危惧していることでありまして、今まではいいのでありますが、なくなったときでも、 ゼロであっても、本当に成り立つのかと。今、新しい機能係数というのはどういう意味 合いの機能係数なのか。調整係数に準ずるようなことで、前年の診療報酬を担保するか はともかくとしましても、どこの病院も成り立つということが大前提でありますから、 そういう意味合いとしての機能係数というのはどういう位置づけでできるのかというの は、非常に難しい話だと思います。  ということを考えてまいりますと、くどいようでありますが、特定機能病院というの は私は非常に望ましいのではないかと考えておりまして、本当に特化した病院形態のも のに関しましては、まずはこれはすばらしくうまくやっているなと。しかし、これをす べてのところに行き渡せるというのは、余りにも拙速してはいけないのではないかとい うことがありますだけに、慎重な対応でぜひお願いしたいということと、調整係数はや めても大丈夫だということの担保をしていただくというぐらいのつもりで、補足的な機 能係数で何とかしていくのだというのは、本来おかしな話ではないかと思いますだけに、 そういう視点をぜひ入れた上で、今後、導入していく、しないも含めまして、お考え願 いたいと思っております。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。大分いろいろ御議論をいただきましたが、時間になってま いりました。この問題に関しましては次回も引き続いて議論させていただきたいと思っ ております。もし、こういった資料があればということがありましたら、ぜひとも事務 局の方に御提案をお願いできればと思っておりますので、よろしくお願いします。  それでは、きょうの議論はこれまでといたしまして、事務局の方から何か御連絡事項 がありましたら、お願いします。 ○中田補佐  次回の開催につきましては、10月22日、月曜日、15時から、本日と同じこの会場を予 定しておりますが、追って事務局から御連絡させていただきたいと思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  それでは、平成19年度第5回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会を終了させて いただきます。本日は、お忙しい中をどうもありがとうございました。                                    −了−  【照会先】         厚生労働省保険局医療課包括医療推進係         代表 03−5253−1111(内線3278)