07/10/05 中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会平成19年10月5日議事録 07/10/05 中央社会保険医療協議会          第100回診療報酬基本問題小委員会議事録 (1)日時  平成19年10月5日(金)9:58〜11:57 (2)場所  大手町サンケイプラザ「ホール」 (3)出席者 土田武史小委員長 遠藤久夫委員 小林麻理委員 前田雅英委員       室谷千英委員  対馬忠明委員 小島茂委員(代 飯倉) 丸山誠委員(代 高橋(秀))  高橋健二委員(代 清水) 松浦稔明委員        竹嶋康弘委員 鈴木満委員 西澤寛俊委員 渡辺三雄委員 山本信夫委員       古橋美智子専門委員        <事務局>       木倉審議官 原医療課長 磯部薬剤管理官 上條歯科医療管理官 他 (4)議題  ○産科医療について       ○がん対策の推進について (5)議事内容  ○土田小委員長  ただいまより、第100回中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会を開催い たします。  まず、委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、白石委員が御欠席で、丸山 委員の代理で日本経団連の高橋秀夫さんが、高橋委員の代理で全日本海員組合の清水保さ ん、それから小島委員の代理で日本労働組合総連合会の飯倉裕之さんがお見えになってお ります。  また、保険局長は、公務のため欠席されるとの連絡を受けております。また、審議官は、 公務のため途中で退席される可能性があるというお話を承っております。  それでは、議事に入りたいと思います。  今日は、「産科医療」について議題としたいと思います。前回の診療報酬改定で、「ハ イリスク分娩」等に関する評価を新設するなど、重点的な対応を進めてまいりました。本 年度、そういうことを踏まえてどのような改定を行っていくかということについて事務局 より資料が提出されておりますので、最初に説明をお願いいたします。 ○事務局(原医療課長)  医療課長でございます。中医協診−1−1の資料と診−1−2の資料に沿って説明をさ せていただきます。診−1−2の方は、適宜ごらんいただくように、横に置いて見ていた だければと思います。  それでは、診−1−1の資料ですが、「産科医療について」。まず1つ目に、周産期医 療ネットワークについて御説明をいたします。周産期、リスクの高い妊産婦や新生児など に高度の医療が適切に提供されるよう、ということで、現在「周産期医療システム整備指 針」というものを作成いたしまして、都道府県の中に、中心になります総合周産期母子医 療センター、さらにそれを核としましてネットワークを整備しております。これによりま して、胎児あるいは母体の非常に重症の方の搬送、それから適切な治療というものを連携 をとってやっていくという体制をとっております。ネットワークの概要につきましては、 参考資料、診−1−2の資料の1ページ目につけております。  それから、現行の診療報酬上の評価、ただいま会長から御指摘がございましたように、 正常妊娠や分娩につきましては疾病ではありませんので、療養の給付の対象外であります が、母体や胎児の合併症等の異常がある場合に、診療報酬上、評価をしているところであ ります。従来は、NICU、新生児特定集中治療室についての評価、それから総合周産期、 先ほどの総合周産期母子医療センター等を考えました総合周産期特定集中治療室管理とい うものについて評価をいたしております。この総合周産期の施設といいますのは、母体や 胎児についての集中治療と、あわせて、生まれてきます新生児についての集中管理ができ る体制を整えたところでございまして、それぞれについてこのような評価をしております。  平成18年度、前回の改定において、特にこの出産の前後に異常を生じるリスクが高い 患者の管理について、診療報酬上、高く評価をしたところでございます。  次の2ページをごらんください。具体的には、ハイリスク分娩管理加算として、ハイリ スク分娩管理の対象となる妊産婦、対象疾患としては、そこの「※」のところに書いてあ りますが、妊娠22週から27週の早産の方、40歳以上の初産婦の方、分娩前のBMI が35以上という、非常に肥満度の高い初産婦の方、そのほか糖尿病合併でありますとか、 妊娠高血圧症候群の重症の方、常位胎盤早期剥離、こういうような状況の場合にハイリス ク分娩管理の対象として、分娩管理を行ったときに1日につき1,000点を8日間を限 度として算定することとしております。  これらにつきましての施設の届出状況でありますが、先ほどのNICU単独で出してお られるところは、施設数は若干減りまして、病床数も若干減っております。ただこれは、 下の総合周産期、母体の方とあわせて持っておるNICUがございますので、それを合わ せますと、全体としては微増という感じになっております。また、ハイリスク分娩管理加 算、新しくつくりました項目につきましては、18年の当初で705病院から届出をいた だいております。  そのほか、異常分娩等に係る諸検査につきましても診療報酬の対象としておりまして、 胎児の状態を確認する分娩監視装置による諸検査やノンストレステストなどが評価されて いるところであります。  この検査につきましては、3ページ目でございますが、分娩監視装置による諸検査とい う項目では、胎児仮死や潜在胎児仮死など、陣痛促進を行った場合において分娩監視装置 による継続的な検査についてこのような評価をしております。また、ノンストレステスト でございますが、これはさまざまないわゆるリスクの高い妊娠について、その分娩に関し まして、陣痛促進を伴わなく普通分娩をするわけですけれども、そのリスクが高いという ことで、その状態の観察のために、同様にノンストレステストという形で、一連につき2 00点、週に1回だけという形でこのテストを認めているところでございます。  これらの現状を踏まえまして、課題が幾つかございます。まず一番大きなものは、産 科・産婦人科の医師数の減少であります。参考資料の2ページ目をごらんいただきたいと 思いますが、主たる診療科が産婦人科または産科と届け出ております医師数は、ここでは 平成10年から16年にかけてグラフにしてありますが、このように右肩下がりで減少し てきております。  さらに、産婦人科あるいは産科を標榜する施設がどうかということでございますが、標 榜施設は、図3の方で格子の棒グラフになっておりますが、これが平成8年から17年に かけまして、7,300余りから6,000弱と減ってきておりますし、さらにその中で、 分娩を実施したかどうかというのを聞いておりまして、分娩を実施した施設数は、同じく 4,000弱から3,000弱まで減ってきている、そういう厳しい状況にあるのが現状 でございます。その割合は、産科・産婦人科標榜の医療機関の54%余りから5割を切っ て、平成17年では48.9%だけで分娩をしているということになっているところでご ざいます。  さらに、産科・産婦人科の医師数ですけれども、参考資料の3ページ、図4でございま す。出生は最近全体的に減少傾向になっておりまして、出生の数に対する産婦人科の医師 数はどうかと見ますと、図4の折れ線グラフのところですが、ほぼ横ばい。出生数に対す る産科・産婦人科の医師数は減ってはいない。ただ、下の図5にございますように、例え ば2.5キログラム未満の低出生体重児の出生数が増えてきている。全出生数に対する割 合が増えている。  さらに4ページでございますが、図6、40歳以上の高齢出産、ここではちょっと初産 はとれていないのですが、全体の出生数ですが、これが相当数増えてきているということ で、やはりリスクの高い妊娠・分娩というものが増えている。出生数は変わらないにして も、その中身としてはやはりリスクの高いものが増えてきているということがうかがえる わけでございます。  それから、もとの本体の方に戻りまして、これらのリスクの高い分娩について、一定、 診療報酬上も評価をしたわけでありますが、例えばハイリスク分娩管理加算の対象疾患、 先ほど御紹介いたしましたけれども、そのほかに、前置胎盤でありますとか、心疾患の合 併妊娠等々、非常にリスクの高いと言われている疾患もある。それが現況では対象になっ ていない。さらに、自己免疫疾患であります膠原病やあるいは腎疾患の合併妊娠、これら 妊娠管理そのものが難しい症例もそのほかあるというふうに聞いております。  それから、周産期ネットワークに関しましては、搬送の受け入れが非常に問題になって おりまして、多くはうまくいっているのでありましょうが、なかなか受け入れ先を探すま でに相当な時間を要する場合があるという指摘もございます。  それから、諸検査のところでいろいろと対象をかなり絞ってやっておりますが、そのハ イリスクの分娩管理の対象、すなわち診療報酬で対象としている妊娠等について、必ずし もその検査が十分にできる状況にないという指摘もございました。そのようなことから、 今回は、ハイリスク分娩管理加算の対象の拡大を行ってはどうか、それから、緊急の母体 搬送の受け入れについて、その受け入れが円滑に行われるような評価を行ってはどうか。 さらには、先ほどのハイリスクの分娩管理加算の対象と諸検査の対象が必ずしもうまく整 合がとれていないというところもありまして、そのあたり、もちろん分娩管理と検査と、 内容は違うわけですけれども、その対象患者について少し考えてはどうか。このような点 が論点になるのではないかというふうに考えております。  産科医療につきましての資料の説明は、以上でございます。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。  ただいま医療課長から話がありましたように、正常妊娠、正常分娩というのは医療給付 の対象になっておりませんので、ここでの取り扱うテーマではありませんが、ただ、ただ いま説明にありましたように、非常にハイリスクな分娩・妊娠等が増えておりますので、 ここでの対応というのも非常に重要になってきたというふうに思われます。  そういうことに関しまして御意見、御質問などございましたら、どうぞお願いします。 ○竹嶋委員  医療を提供させていただく立場から意見を述べさせていただきたいと思いますが、今御 説明がありました産科医療についての現状と課題、もう全くそのとおりだと思います。そ して、4ページの最後のまとめのところですが、論点にお示しになっているとおり、ハイ リスク分娩管理加算、その対象疾患の拡大が1つ、それから母体搬送に関しますこの評価、 そのハイリスクの加算、それからノンストレステストなどの対象疾患の整合性、こういう ことにつきましては、全く進めていただきたいと思います。  しかしながら、分娩はハイリスクの問題だけでなく、さっきちょっと座長もおっしゃい ましたように、正常分娩においても容体が変わる場合もあるわけでして、そのあたりのと ころを、やはり現場からは、いつも手厚くといいますか、きちっと普遍的対応にいくよう な形にしていかなければいけないだろうと思うわけです。  一つ、昨年の4月25日に、衆議院の厚生労働委員会におきまして、横浜市立大学附属 市民総合医療センター・母子医療センターの奥田美加医師がここで陳述しておりますが、 その内容で、この施設は本来はハイリスク患者をできるだけ診ていくところだそうですが、 要するに、周りに分娩の施設がないということで、正常分娩の方も来られるわけです。そ れを断ることができないというようなことで入ってくる。ベッドはそれで埋まってしまう というふうなことの陳述をなさっておりますし、それから、私どもが報告を受けています 神奈川県産婦人科医師会のおまとめになりました今年1月の資料の中で、神奈川県には昨 年1年で6施設が閉じた、お産をやらないということで、神奈川県では当然近くの他県に 行かれているという実情もあるということでございます。ここで私は申し上げたいのは、 そういうことでございますので、ハイリスク分娩、これはもう極めて大事でありますが、 本当に私どもいつも言っている、分娩が、いつでもどこでも皆さんが受けられる体制とい うことも必要ではないかと思います。ですから、そこら辺のところにやはりきちっとした 対応をしていくべきだろうということをここで意見を述べさせていただきたいと思います。  例えば現場の産婦人科医師の話では、実際そのとおりなのですが、今、女性の医師の 方々はもう3割超えておられます。特に24〜25歳から40前、30代、要するに御結 婚なさってそれから出産なさる、その時期の産婦人科の女性医師はもう6割を超えておら れる。産婦人科を希望して行かれるわけですね。そういう中で一番問題になるのは、やは りお子さんをお産みになられて、夜勤、深夜帯の勤務、それがやはりできない。これは看 護師の皆さんも、それから介護福祉士の皆さん方も女性が多いですから同じ立場ですが、 特に医師に関しましては、産婦人科は女性医師が多い、そういう特徴があるということで すから、そこのところで非常に医師が少なくなる。私たちは現場でそこをどうしようかと 今考えておりますが、例えばいろいろなことがありますけれども、産婦人科の医師がおら れまして、産科だけは閉じた。そういう方々が、病院に、例えば当直に行くとか、これは 一つの私の頭の中で考えていることですが、我々サイドとしては、そういうこともちょっ と考えてみたりしているのです。  それともう1つ、これは産科だけではありませんで、先ほど言いましたように、女性医 師が多くなってきたということで、私ども、日医は男女共同参画委員会というのをつくっ ておりますが、そこから行政あるいは政府にも申し入れております。やはりそういう方々 が働きやすい環境、これは医師だけではありません、先ほど言いました看護師さんもそう、 介護士さんもそうですが、これは急いでつくらなければいけないなということで、御存じ のように、「医療機能評価機構」というのがございますね、そこに対しましても、医療機 能を評価するときに、私どもの男女共同参画委員会の方から、1番目に、女性医師がゆと りのある勤務体制がとれるようにと、2番目に、子育てしながら勤務できる支援体制、3 番目に、休業後の再支援、つまり、出産してあと1年とかお休みをとって帰ってきますと、 やはりいろいろな技術的にも少しマイナスになっている、そういうものを何とか再支援す る仕組みをつくる、そういう病院を一つ評価の中に入れてくれと、そういうところまで 我々は申し入れています。  そういうことを含みまして、やはり周辺、ハイリスクのそういう施設だけではなくて、 そういうところもやはりしっかり考えていく、評価していくような体制をつくっていくこ とが必要であろうということで意見を述べさせていただきます。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。 ○古橋専門委員  御説明いただきました論点に、賛成の考えに立ちまして発言させていただきます。  まず、ハイリスク分娩管理加算でございますけれども、私どもも現場の医師とか助産師 から、近々でいろいろな意見を聞いておりますが、やはり対象疾患の範囲が非常に厳密で なかなか現場で機能しない、すなわち点数の加算に至らないということです。ハイリスク ということでは、正常に経過していたけれども急変するというようなことも含めますと、 母体に併存している疾患が、現行では糖尿病しか指定されておりません。あとは妊娠に連 なって発生してくるようなものでございますけれども、母体の全身疾患として併存されて いるもので、分娩にリスクをもたらすものはほかにございます。御説明の中には、心疾患 とかあるいは腎疾患とかございましたけれども、産科医の専門的立場から見ますと、もち ろん前置胎盤も説明にございましたけれども、体外受精の妊娠の場合とか、あるいは出血 傾向が高い疾患を持っている方とか、呼吸機能障害があるとか、あるいは肢体の不自由者、 心身の障害を持って、分娩経過に非常にそれがリスクにつながるとか、そういうようなも のも多くある。もう1つは、胎児の異常や多胎もやはりハイリスクに直結していくことが あると判断しております。この対象の拡大が、急ぎ必要ではないかと思います。  もう1点は、母体搬送でございますけれども、最近、総合周産期医療センターなどの実 情を調べてみますと、特に近年搬送依頼が急増しているということを聞いております。そ れは現在の事情の中でもっともと思えます。その場合に、出産時刻には波があり、常に余 分な人数をスタンバイさせるということはなかなかできません。緊急に分娩が増えたよう な場合には、オンコール体制をしいて対応しているそうですけれども、それらの人件費は 皆医療機関の持ち出しになっている。そういう点では、そういう柔軟な体制をしいて受け 入れに尽力しているところには評価をするということも必要ではないかと。  総体的には、産科救命救急機能、いわゆる小児救急が命題になりましたように、産科救 急というような考え方の基盤整備が要るのではないかと思っております。そういう中で、 受け入れ体制を整えて、そして対応の努力があるところについては、やはり特段評価をし ていくことが要るのではないかと。そして、地域との情報交換で、受け入れる側は、一度 も診たことのない人をハイリスクだからといってすぐ受け入れるという意思が意欲的に働 かないのが現実だというようなことも意見としては出されておりました。ただ、産科救急 という概念がきちっと医療提供の中でしいていかれれば、そこがある意味で前進していく のではないかというふうに考えております。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。  大変重要な御指摘だと思いますが、ただ、中医協の領域としてどこまでできるかという のは、もう少し検討を要する課題だろうと思います。  ほかにございましたら、どうぞ。 ○松浦委員  図4に、「出生数と出生1,000人当たり産婦人科医師数」というのが出ていますけ れども、この全出生数に対して、医療的な手当てがなくて正常分娩だけで生まれた人とい うのは、これは全く保険適用にならない部分、正常分娩の件数というのはわかるのでしょ うか、傾向というのは。 ○事務局(原医療課長)  正常、異常というのは非常にわかりにくいのですけれども、帝王切開の率は、ここ数年 ずっと増えてきているということで、病院の産科では2割を超えていると聞いております。 ○松浦委員  この正常分娩だけの数ということは、いわゆる助産師さんだけで対応できるということ なのですね。今例えば助産師さんだけで対応できる、そういう助産師が仮に開業した場合、 そこにお産をすると言っていく、そういう感覚の人たちはもうほとんどいないのではない かと思うのです。必ず医師がいるのです。そうすると、正常分娩がうんと比率が高い、本 当は保険適用になっている、いわゆるハイリスク分娩に分類される部分等が非常に少ない ということであれば、分娩の数が減って医師の数が横ばいだと、こういうものはああそう かと思えるのですけれども、多分そうではなくて、実際にはお産をする人というのは、必 ずお医者さんがいるところでないと行かないと思うのです。そうすると、やはりお産をす る人に対しての医師の数というのはどんどん減っているのではないかと思います。  そういう観点からも、私はどうしてもこの医師の不足というのは、これは新聞にも書い てあるし、早急に考えなければいけない。休眠しているお医者さんの数も、ちょっと全体 に占める割合を出していただきたいと申し上げたのですが、特に産婦人科の場合も、今竹 嶋先生がおっしゃいましたように、お産をして休んでいる女性の医師というのが非常にい らっしゃるようですから、なおさらそのあたりが大事になってくると思います。  診療報酬だけでこの医師不足を手当てをするということはなかなか難しいと思いますの で、ほかにどういう策を厚労省としてとっておられるか、医療課だけでなくて、その策も あわせて説明をしてもらいたい。診療報酬だけでこれを対応しろというのは、率直に言っ て無理だと思います。そのあたりを、今できなければ次回でも結構ですが、本当に厚労省 として、あるいは日本の医療政策としてどういうふうにお考えになっているか、大きなテ ーマですけれども、ぜひひとつお願いしたいと思います。 ○土田小委員長  今大変国民の関心の高いことに対する御指摘だと思いますが、今お聞きになったこと、 お答えできますか。 ○事務局(原医療課長)  医師不足全般に対して緊急医師確保対策でありますとか、総合的に取り組んでいますけ れども、一つの産科医確保の対策として幾つかありますが、例えば産科医になりたくない という理由の一つの大きなものは、訴訟リスクが非常に高いというものがあります。それ に対しては、新救命制度の制度化、あるいは無過失補償制度の推進等々の対策もとってお ります。それから、特に産科の場合は、女性医師の就労支援というのが非常に重要になっ てきますので、女性医師バンク、これは日本医師会さんの方に頼んでつくっていただいて おりますし、あるいはそのほか、院内保育所の整備、女性が就労しやすい環境という意味 では、そういうものの整備も推進している、そういうようなところの対策をとっておりま す。そのほか、産科に限らず、医師確保対策全般についてどのようなものがあるかという ことであれば、また後日資料として御提出をしたいと思います。 ○松浦委員  今お聞きいたしましたけれども、確かにそういう対策というのは一つは考え方として持 っていなければならないことだと思いますが、現状からいうと、ある程度何年までにはど のくらいに回復させると、今の実数がどうだと、今実数もあまり関係ないと、そういうこ とでは極めて国民に対して充実した医療政策をとっているとは言えないと思いますから、 ぜひその辺を、数値を出して、今実数がどうで、自分たちが考えているこういう政策によ ってこれをどの程度回復させることができると、こういうあたりまで詰め込んで一つ議論 といいますか、考えをお示し願えたら、非常に我々も診療報酬も考えていきやすくなるの ですが。 ○土田小委員長  それは恐らく医政局の担当だと思いますが、ただ、非常に重要な御指摘ですので、ぜひ 次の機会に、そういうデータがございましたら出していただきたいと思います。  ただ、今松浦委員からの発言というのは非常に重要だというふうに申し上げましたが、 正常分娩そのものが医療給付の対象になる、これは全く個人的な意見ですが、恐らくそう なればかなり対応が可能な道は開けてくると僕自身は思っています。ただ、ここでいきな りテーマにはなり得ませんので、非常に難しいことだと思いますが、ただ、産科に対して どういう対応が必要かということは、長期的に検討が必要だろうと思っております。 ○対馬委員  今松浦委員から基本的な話が出ましたので、私も基本的にはそのとおりだと思います。 ただ個別論で申し訳ないのですけれども、産婦人科・産科を標榜する施設で実際に分娩を 実施したところが5割を切っているということで、確かに昨今いろいろな報道もされてい ますし、また、先ほど竹嶋委員からもお話しがあったとおり、相当厳しい状況にあるとい うのはわかるのですけれども、標榜して実際には分娩をしていないというのは、看板に偽 りありと言うと語弊はあるかもしれませんけれども、患者の立場からしますと、問題もご ざいますので、御努力をお願いしたいというのが1点です。  もう1点は、これもちょっと個別論になりますが、本文の1ページ目に現行の点数づけ があり、新生児特定集中治療室管理料8,500点、新生児集中治療室管理料8,600 点で、要件はほとんど変わりがないのです。8,500点と8,600点だと、金額では 8万5,000円と8万6,000円なのです。このあたり、どういう意味合いがあるの か。我が国の診療報酬体系が非常にわかりにくい、例えば領収証を見ても、第1子のとき は特定集中治療室管理料、第2子のときには集中治療室管理料だった場合、3割負担で微 妙に金額が違う。そういったこともありはしないかと思いますので、簡素化といいますか、 患者である被保険者、国民にわかりやすい体系ということもぜひ意識してやっていただき たいなと、こういうふうに思います。 ○土田小委員長  これは要望ということでよろしいですね。  今の点に関して、何かありますか。 ○事務局(原医療課長)  先ほどの説明でも少し触れましたが、あくまでこのNICU単独で持っているところ、 上のA302の方ですけれども、これは単独でそれぞれの病院が持っているという部分を 評価しておりますが、A303の方は、先ほどのネットワークの中でそういう位置づけを もってやっている施設、そこにおけるNICUということで、その体制について評価の分 がプラスされている。全体としてのその中でのプラスの点だというふうに理解をしており ます。 ○鈴木委員  10年以上前は、6カ月ぐらいまでの流産というものは、医療の進歩というようなとこ ろもございませんでしたものですから、寿命扱いしたというか、あきらめたとか、ほぼ3 分の1の新生児が亡くなって、そして3分の1は障害が残ってしまい、残りの3分の1が 普通に育つというような状況だったそうです。ところがもう、このところを今でしたら、 非常にやはり生命というようなことの関心が重大になり、なおかつそれが貴重だというこ とはもちろんのことではありますけれども、そういう社会情勢というのでしょうか、認識 が変化しております。昨年の春は福島県で、県立大野病院で刑事訴追がございましたり、 あるいはそういう時代の変遷とともに訴訟のリスクが非常に増大したというようなことに よりまして、24時間、日曜日もなく一生懸命やっている産科の先生方がだんだんあきら めたというのでしょうか、現役を退いていってしまったという風潮は確かにございますの で、こういう診療報酬上の評価では対応し切れない問題というのに対する、先ほども御指 摘ありましたけれども、やはり共通認識というようなものをもう一度確立していかなくて はいけないのではないかというのが1点ございます。  それからあと、「母胎搬送の受入れが円滑に行われるよう」にという、論点の2番に関 しての御指摘をさせていただきたいのは、NICUの問題、先ほどのような背景にござい ますので、緊急で母体の搬送をしていったときの赤ちゃんを助けるためには、それを緊急 に対応できるスペースがないと対応できないわけです。ところが、それを行う現場のNI CUのベッドが常に満員であるというようなことから、この緊急の要請を断るという状況 がこのところ頻発していると思われます。  そのNICUの状況でございますけれども、ほぼ3割がこの1ページ目にございますN ICUの集中治療室管理料というのを算定できる、が該当しておりまして、実は7割の方 がこれをとれない、該当しない患者さんです。つまり、人工呼吸器等を赤ちゃんがつけて いるために、これは体重による算定期間がございますが、3カ月から2週間まで、算定期 間が決まっておりますけれども、その算定期間を超えても動かせない。もう在宅に行くか、 あるいは重症の心身障害児施設で収容してもらうか、その2つの方法しかNICUから出 る方法がないのです。ところが、そこに栓がかかっているために、今度は3割動かすのが やっとで、しかも緊急に対応でき得ないような精いっぱいの状況に現場はあるというよう なことから、私はせめてこの診療報酬上の評価としては、NICUの算定期間を過ぎても、 減算というのでしょうか、半分でも3分の1でも、そういうものが算定できるような形に ならないと、本当に現場はお気の毒だというふうに私は考えております。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。そういうことを含めて事務局の方で検討していただき たいと思います。 ○丸山委員(代理高橋氏)  図3の標榜の問題ですけれども、この標榜している施設数に 対して分娩している施設数の割合がどんどん下がっているということは非常に大きな問題 ではないかなと思っていまして、厚労省としてこの要因をどういうふうに分析されている のかというのはちょっとお聞きしたいなと。継続的になぜ下がってきているのか。  それから、これはほかの診療科にも共通して言えることなのかどうか。そんなことはな いと思うのですけれども、もし産科に特徴的なことであれば、あまりにもこれが下がると、 産科を標榜して、何か一切分娩はしませんということになると、国民に対する誤解を与え てしまうと思うのです。これに対してどういうふうに対策を考えていくのか、その標榜と 実際の分娩の問題をどういうふうに考えるのかということをちょっとお考えがあれば教え ていただきたい。 ○事務局(原医療課長)  産婦人科を標榜していてお産をやらないという理由はなかなか難しいところがあると思 うのですが、1つは、産婦人科医になる方が減ってきているということは、逆に言うと、 産婦人科医の高齢化というのがけっこう進んでいるという面があります。やはりお産を取 り扱うということは、非常に深夜を問わず対応しなければいけない。昔のように医療側の 都合によってお産をするということはほとんどありませんので、ということは、深夜にも 対応しなければいけない。そういうときに、はやり高齢になられると対応が嫌になる。そ れから、最近の訴訟リスクの問題等々、それらが多分重なってきて全体としてこうなって いるのではないかなというふうにも考えられます。ただ、そのあたりを細かく分析した資 料はちょっと手元にございませんので、感想的なことでありますけれども、そういうふう にお答えをさせていただきます。 ○土田小委員長  もう1点質問があったと思います。この分娩数が減少してきているという、この図3の 折れ線グラフの質問ですよね。 ○事務局(原医療課長)  ですから、産婦人科を標榜はしているが、今までお産を取り扱っていたけれども、最近、 例えば高齢のためにもうやめたとか、あるいはリスクも高いので、やはりそこまでやらな いというようなこと、多分そういうような理由があるのではないかということです。 ○土田小委員長  同じ理由に基づくということですね、よろしいでしょうか。 ○丸山委員(代理高橋氏)  それで、この比率がどんどん下がっていくと、結局産科を標榜していながら、実はそこ では分娩できないということがどんどん起きてきてしまうので、国民に誤解を与えてしま うと思うのですけれども、そこら辺はどういうふうに考えたらいいのですか。 ○事務局(原医療課長)  標榜については、産婦人科関係では、産婦人科あるいは産科、婦人科、そういうような 形で標榜ができるわけですけれども、産婦人科と総体的に標榜していて、お産をやらない 婦人科だけを対象としている方がたくさんおられるということだろうと思います。だから、 お産をしなければ婦人科としか名乗ってはいけないというふうな制度にはなっていません ので、現状、こういう形になっているのだろうと考えられます。 ○西澤委員  今までの話にも絡むのですけれども、このデータを見ていると、すべてドクターですが、 産婦人科なのですよね。これ、なかなかデータはないとも聞いておりますが、産婦人科の ドクターの中で、実際分娩を行っているドクターの数がもしどこかで調査してわかってい るのであれば出していただきたいと思います。あるいは産婦人科学会等々でやっているか もしれないので、もしあればの話です。  あと、図2の医師の数ですけれども、これを年代別、それと男女別の資料、これはある はずなので、提出していただければなと思っております。それによって、例えばいろいろ な今課長が説明したようなことの裏づけがとれるのかなと思っています。  もう1つですが、やはり今この産科は非常に問題になっているのですけれども、診療報 酬だけでは片づけられないということで委員からいろいろな問題提起がされていると思い ます。現在、医療計画が行われて、4疾患5事業、これは都道府県でやっていると思うの ですが、それの進捗状況と、この中医協での診療報酬の議論とがどのように今後絡んでい くのかというあたりも、次回でも説明していただければなと思っております。 ○土田小委員長  今、大きく3点出ましたが、そのうち答えられるところがありましたら、お願いします。 ○事務局(原医療課長)  答えられるところはないのですが、お産を扱う医師数というのはわかりません。ですか ら、ここではお産を取り扱う医療機関の数という形でちょっとお示しをさせていただきま した。それから、産婦人科、産科、婦人科を標榜する方々の、特に産科を含むところです ね、この方々の年齢別、男女別のドクター数については後日資料を提出したいと思います。 それから、医療計画の進捗状況は医政局で担当しておられますが、それぞれの都道府県に 行ってやっておられて、今のところガイドラインが示されてそれぞれのところでつくられ ていると思いますが、どこまで進んでいるかの把握はちょっと今の時点ではわかりません けれども、また聞いておきます。 ○土田小委員長  ほかにございますでしょうか。 ○竹嶋委員  今、丸山委員の代理の方がお話しになられましたけれども、それもまた大事なことであ りましょうが、現実問題として私の手元に持っている9月5日時点の資料ですが、これは 厚生労働省も恐らく今お調べになっているのではないかと思うのです。ですから、もうち ょっとしっかりしたデータが出ると思うのですが、9月5日までの状況で、平成18年、 19年、そして20年にこうしようとする予定だと、要するに、分娩を休止もしくは廃止 ということですね、あるいは制限。それが北海道から九州までの全国の病院で142が休 止ということです。そして、制限しようと、それへ持っていこうとするところが34とい う数字。これは、その後厚生労働省がお調べいただいたら恐らくまた再開するところ、ま あそう望むのですが、再開するところ、あるいは体制を変更するというようなところは出 てきているかもしれませんが、直近の私の集めた資料はそういうところなのです。  それで、私が言いたいのは、やはり北海道なんかは15ぐらいなのですかね、多いので すね。いつも言うのですが、地域の差がやはりある。東京は4つぐらいですか、はっきり しているのです。ところが、関西も、兵庫とか大阪は10以上ぐらいあるのです。長野県 は多い、13ですね。そういうふうなところがありますので、やはり地域別のそういうも のを厚生労働省はお調べになっていただいていると思うけれども、また出していただいた らと思います。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。 ○渡辺委員  産科・産婦人科の医師数がすごく減っているという中で、先ほど松浦委員の方からも増 やす一つの具体的な数値も示してほしいというお話がございました。そういう意味で、大 事なことは、研修医の方々が行かないと、いろいろな条件があるということで嫌っている という現状がありますよね。この診療報酬体系の中でそうした研修医を受け入れることに よって研修医を育てるという責任を果たしてくれる病院等への診療報酬上の手当てという ものが実際に具体化されているものがあるのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思うので すが、いかがでしょうか。 ○事務局(原医療課長)  臨床研修病院については、基本料の加算として、若干ですけれどもついているというこ とでございます。  産科・産婦人科に限ってということで申し上げますと、臨床研修はローテーションで全 部やりますので、そういう意味では、臨床研修の病院について入院基本料の加算をわずか ですがつけている。 ○渡辺委員  その点、これは産婦人科が非常に少ないという点を考えますと、そういうところのある 程度の差があってもいいのかなという感じがするのですが、いかがなものでしょうか。こ れは意見として述べさせていただきます。 ○土田小委員長  すぐにはそれは答えられないと思いますが、御意見として承っておきたいと思います。 ○事務局(原医療課長)  医師の臨床研修の場合、ローテーションで産婦人科は必修で必ず回るということになっ ていまして、ですから、もちろん協力していろいろなところをやって、例えば協力型の病 院では産科だけやっている場合もひょっとしたらあるかもわかりませんけれども、そこは 今のところはとりあえず一律的に、中心になるところと協力するところと点数は少し違い ますが、分けてやっています。ですから、そういう意味では、別に全体を回るということ に着目してつけていますので、産科の研修だけに着目するのはなかなか難しいのではない かなと思います。 ○土田小委員長  どうもいろいろありがとうございました。 ○室谷委員  論点の2のところですけれども、こういう形で今社会問題化していますから、診療報酬 で評価を行っていくということは賛成なのですけれども、どういう形で評価をするかとい うことと、もう1つは緊急の場合というのを、ハイリスクと普通の分娩との、緊急と言っ ても普通の場合もあり得ると思うのですね、その場合に、普通の正常分娩の場合は診療報 酬で全く見ていないわけですから、今度診療報酬で見るということになると、診療報酬に 穴があいてしまうという風に感じられるのですけれども、どういうふうに考えていらっし ゃるのでしょうか。 ○事務局(原医療課長)  もちろんこの場合の評価をどう考えていくかは、当然ながら保険診療の対象になる方が 運ばれてきた場合というふうに考えておりまして、極端な場合、例えばお産間近の人がけ がをしたと、それで救急車で来たと。だけど、けがの方は治療したけれども、お産の方は 引き続きお産になって分娩されたという場合は、分娩の部分について保険で見る必要はあ りませんので、その場合の搬送について評価するつもりはありません。 ○鈴木委員  産科の場合は混合診療が現実問題起きているというか、自費の部分とこういう医療保険 の部分とございますので、そこのはざまの部分で多少トラブルがあるようなものですから、 その辺をきちんと整理をしていただきたいと思います。それで、一番わかりやすい例とし ては、今、正常の分娩であれば分娩費は35万円支払われておると思いますけれども、帝 王切開になりますと医療費請求は30万円をはるかに下がりますので、こんな矛盾という のはちょっとあり得ないと思います。その辺の摩訶不思議な状況というのは絶対改善され ないといけないと思いますので、一例として申し上げましたけれども、この場合は医療費 で扱わない財源があるわけですから、その辺の調整といいましょうか、円滑な信頼関係の 構築のために知恵を出していただきたいと思います。 ○土田小委員長  ただいまの御意見について事務方の方は何かありますか。  そういう点について検討いただくということで承っておきたいと思います。  この産科医療につきましては、ただいま国民の関心が非常に高い問題でして、安心でき る産科医療の実現ということは国民からも強い期待が寄せられていると思います。今日の 議論を踏まえまして、次期改定におきましては現在の評価をさらに拡充していくという方 向で事務局においても検討をお願いしたいと思います。  よろしいでしょうか。それでは、次の議題に移りたいと思います。「がん対策の推進」 について議題としたいと思います。  がん対策につきましては、昨年6月に「がん対策基本法」という法律が成立しまして、 これに基づいて去る6月には「がん対策推進基本計画」が閣議決定されました。対策の推 進について強い社会的な要請が寄せられているという状況だと思います。  これにつきまして、最初に事務局より説明をお願いいたします。 ○事務局(原医療課長)  中医協診−2の資料、それから、お手元に1枚で図が「がん対策基本法」、裏に「がん 対策推進基本計画」というものをおつけしております。今、小委員長から御紹介ありまし たように、「がん対策基本法」が成立しまして、その法律に基づきまして「がん対策推進 基本計画」というものが閣議決定されているところであります。今回、これを中心にがん 対策について考えてはどうかというふうに考えておるところでございます。  図の方を簡単にごらんいただきますと、「がん対策基本法」ではがん対策を総合的かつ 計画的に推進するという目的のために、それぞれ国やあるいは地方公共団体の役割等々が 書かれておりますし、さらにその他具体的に何をしていくかと、その目標として、がん予 防でありますとか、がん医療の均てん化の促進、あるいは研究の推進等について定められ ているところでございます。  この法律に基づきまして国の方で「がん対策推進基本計画」をつくっております。内容 はその裏になりますが、さまざまながん対策の局面の中で、特に重点的に取り組むべき事 項ということで、真ん中、少し色がついている3点が述べられております。1点目が放射 線療法・化学療法の推進のため、これらを専門的に行う医師等の育成などが掲げられてお りますし、それから2つ目の重点的事項としては、治療の初期段階からの緩和ケアという ものが取り上げられております。さらに、これらの諸施策を推進するために、ベースにな りますがん登録というものを推進するということで、がん登録には地域がん登録と院内が ん登録がございますが、特に院内がん登録を多くの病院でしっかりやっていただこうとい うことが3点目の重点項目になっております。  そのほか、目標値として、がんの予防として、未成年者の喫煙率をゼロにするとか、あ るいはがんの早期発見のために受診率を50%にするとか、さまざまな数値目標も掲げて 基本計画が出ているところでございます。  また、そのための推進の体制としては、がん医療に関する相談支援・情報提供、現在が ん診療連携拠点病院の構想で広げているわけでありますが、その中に、すべてのところで 相談ができるような体制もやっていこうということがうたわれております。  それでは、本体、中医協診−2の資料について御説明をいたします。  まず1つ目でございますが、今「がん対策推進基本計画」の重点的に取り組むべき事項 の1番目にございます放射線療法・化学療法、これについて考えてみてはどうかというこ とでございます。枠で囲んであります部分は「がん対策推進基本計画」の本体部分から抜 き出したものでございます。今まで日本の場合は非常に外科治療を中心としてがんの治療 が進んできたわけでありますが、それは歴史的にといいますか、病気の状況として胃がん などが非常に多かったと。胃がんというのはやはり手術療法が主となりまして、放射線療 法は効きが悪いわけでありますので、そういう意味では手術が中心になって進んできたの が確かであると。ただ一方、がんの種類も変わってきておりますし、またその他放射線療 法や化学療法なども進歩してきている。そういう中で、諸外国と比べてこの放射線療法及 び化学療法というのが非常におくれているといいますか、進んでいないという現況がある ので、それを専門的にできる医師を養成しようということが書かれております。  さらに、こうしたがん診療を専門的に行う医師が、その専門性を発揮できる環境整備も つくっていく必要があると、このようなことが基本計画の中に書いてございます。  2ページ目をごらんいただきたいと思います。放射線療法についてでございますが、現 状、放射線療法を受けている患者の割合、欧米諸国と比べたグラフをつくっております。 がん患者のうち放射線治療を実施している患者の数、おおむねこういうような形で統計が 出されておりまして、日本の場合は約4分の1の方だけにとどまっております。もちろん、 先ほども述べましたが、がんの種類によっては当然必要ない方もおられますので、直接的 には比較できないわけですけれども、それにしてもやはり低いのは確かであると。  それから、日本の放射線療法、なかなか先ほどの歴史的な経過もあり、その実施する体 制が必ずしも十分ではないと。例えば、ここでは臨床放射線腫瘍学会がお調べになりまし た資料を出しておりますが、放射線治療を実施している施設、全部で712の医療機関ご ざいますが、そのうち実際常勤の放射線治療医がいる医療機関は約3分の1強の274施 設にとどまっております。さらにこの放射線治療担当医そのものの数も少ないわけであり ますが、実はその放射線治療というのは医師だけでは必ずしもできませんで、放射線装置 という非常に複雑な装置、それから目に見えない放射線というもので治療する関係上、そ の精度管理をどうするかというようなところ、さまざまなスタッフが必要になるわけであ りますが、そのための治療計画や治療の品質を確保するための医学物理士でありますとか、 放射線治療品質管理士、こういう方々が我が国では圧倒的に少ないという現況がございま す。  3ページにその医学物理士について少し説明が書いてありますが、この方々は日本医学 放射線学会あるいは医学物理学会というところの正会員の方々、例えば多くは理工学系の 方々が中心でございまして、大体理学・工学の修士ないし博士号を持っておられて、数年 以上、医学の中で経験をされた方、そういう中から試験をするというということになって おりまして、2007年5月現在で全国で319名しかおられません。また、放射線治療 品質管理士の方ですけれども、この方々は主として放射線治療そのもののところの品質を どうするかというところに携わられる方なのですが、先ほどの医学物理士あるいは臨床放 射線技師さんで治療を主としてやってこられた方々を中心に、しっかり勉強した方々に対 して認定をするという形で、2007年1月現在で501名の方が認定をされております。 いずれにしましても、治療施設、全体としては700余りあるわけですけれども、その中 でも十分当然ながら行き渡っていない。  それから、現在主として放射線治療装置としてはリニアックという装置が主流でござい ますが、その普及台数が全国で765台程度でございます。それから、コバルト60遠隔 大量照射装置というのがございますが、これはやや古い型の放射線療法の装置で、あまり 場所的に集中して放射線を当てるとか、そういうような形の装置ではございませんで、大 量にどっと当てるという形の装置でございますが、これは近年とみに減ってきているとい うことになっております。  もう1つの問題点は、もともとの放射線療法そのものがこういう状況でございますので、 特に外来という形での治療がほとんど普及していない状況でございます。それで、放射線 治療の場合は、現在入院して治療をされることが多々あるわけですけれども、その場合に、 その日に1回程度、数分ないし数十分という形で放射線を当てると、そのほかは病室で過 ごしておられると、そういうような形ですので、これはある意味では外来で可能な場合も 多々ございます。しかしながら、その体制が整っていないということから、必ずしも普及 しておりません。  さらに、今後がんなどの疼痛緩和を目的とした放射線療法が増えてくるだろうと、こう いう場合に、特に外来での治療というものが増えてくると考えられております。また、そ れはとりもなおさず、逆に言いますと、患者さんの療養生活の質の向上にも当然つながる わけでありますので、こういう外来の療法というものも充実が求められております。  それから、先ほども少し触れましたが、放射線療法、日々進歩しておりますが、そうい う意味では今現在主流になっておりますリニアック、さらにはもっと新しい放射線療法、 これらが有効性が明らかになってきておりますので、逆に既存の治療効果は相対的に低い ということが明らかになってきております。  これらのことから、放射線療法について、例えば治療計画の策定、あるいは精度管理の 体制、これらを評価して放射線療法の質の向上を図ってはどうか。放射線療法の場合、最 近話題になりますのは過照射、当て過ぎてしまって、放射線を大量に当てますと、当然な がら全身症状が出てまいりますので、ターゲットになるそのがんをたたくだけではなしに、 全身影響も非常に強く出てくるということから、その精度管理というのは非常に重要なわ けでありますが、そういう意味では、そういう体制をしっかりとってもらうことを評価し てはどうかということであります。  それから2点目でございますが、先ほども述べましたが、患者の療養生活の質から、外 来でできるものはできるだけ外来で受けられるような体制、これを評価してはどうかとい うことでございます。  それから3点目は、治療技術の進歩に伴います新規技術、あるいは逆に既存技術の評価 の再評価というような形で、新しい技術、今現在先進医療専門家会議でも先端的なものも 入っておりまして、それらについて導入すべきかどうか、専門家会議の検討なども踏まえ て考えていってはどうかということがございます。  以上が放射線療法でございます。  次に、化学療法についてでございます。4ページでございます。化学療法につきまして は、現在外来でできる体制が整っているところについて、外来化学療法加算の点数を設定 をしております。これらにつきましては、年々増加してきておりまして、ただ、中には外 来化学療法、届出施設数は順調に伸びておりますが、必ずしも専任の医師がいないという ところもございます。国立病院機構の名古屋医療センターの坂先生がお調べになられた資 料を下につけておりますが、坂先生が調べられた266の施設の中で、実際に専任の薬剤 師や看護師を配置しているのが8割弱、あるいは6割弱、また、専任の医師を配置してい るところは3割強程度になっているということでございます。このためには、質の高い外 来化学療法というものを考えていく場合には、やはりせめて専任のこういうスタッフをし っかりとそろえていく必要があるのではないか。そういう意味で、論点のところには、こ のような必要な人材の配置についてもう少し評価をしてはどうかということを書いてござ います。  第2でございますが、緩和ケアに対する評価でございます。枠の中、「がん対策推進基 本計画」の重点取り組み課題の2番目、治療の初期段階からの緩和ケアの実施ということ であります。現在緩和ケアにつきましては、緩和ケア病棟について診療報酬上評価をさせ ていただいているところでございますが、緩和ケア病棟につきましては、診療報酬上は主 として末期の悪性腫瘍及び後天性免疫不全症候群の患者を入院させ緩和ケアを行う病棟と いう形で決めておるところでございまして、その末期の方々を対象として入っているのが 実際のところ現状でございます。ただ、これからは、そういう入院治療だけではなくして、 もちろん治療の初期からというステージの問題と、それからあるいはその場面としての入 院ではないところでの緩和ケア、こういうところが必要になるだろうということが基本計 画でも述べられているところでございます。  6ページをごらんいただきたいと思います。現状と課題でありますが、まず、特に疼痛 緩和になくてはならないのが医療用の麻薬でございます。痛みが強くなればなるほど麻薬 が必要となるわけでありますが、その消費量を比べますと、諸外国に比べて日本は数分の 1程度にとどまっている、普及していないというのが現況でございます。このために、や はり医療用麻薬に対する知識あるいは緩和ケアに関する基本的な知識というものを普及し ていく必要があるのではないかと指摘されております。  また、緩和ケアについて、身体症状の緩和、あるいは精神心理的な問題への援助という ことを含めまして、終末期だけではなくて、治療の初期段階から積極的な治療と並行して 行う必要があるのではないか。  この部分につきましては、次のページの上の方に図がかいてありまして、治療の初期段 階からの緩和ケアの実施ということで、現状は、治療をやるときは治療を専らやっていっ て、ある程度もう治療が終わってしまったという段階になって緩和ケアに移ると、極端に 言えばこういう形になっているのですが、やはりがんの場合は初期から痛みが伴う場合も 多々ございますので、初期の段階からその痛みを取る緩和ケアと、それから、がんそのも のを対象とする治療、これらを並行してやっていく必要があるのではないかというふうに、 ここではシェーマとしてかかれているわけでございます。  それから、現状の3点目の問題としまして、緩和ケア、今現在入院を中心に考えている わけでありますが、さらには当然外来やあるいは在宅療養の方々についての専門的な緩和 ケア、これもしっかりとしていく必要があると考えられております。  7ページの下の方に、少し小さい図でございますが、緩和ケア病棟の発祥の地でありま すイギリスでの緩和ケア病棟の状況と比較をしております。ここでは、緩和ケア病棟の入 院患者の死亡率と、それから緩和ケア病棟の平均在院日数を比較しております。ごらんに なってわかるように、日本では、緩和ケア病棟に入院される方は8割がここで亡くなられ る。生きて退院される方は2割である。それから在院日数も、英国が13日に対しまして 日本では約1カ月半の43日になっております。これは先ほど申しましたように、緩和ケ ア病棟に入るときには、もう積極的ながん治療がない、そういう状況の中で、本当の最後 のターミナルの状況、そういう状況の下で入ってこられて緩和ケアをしている。そのため に、入ったらそのまま亡くなられるまでそこで入院されているという形が非常に多いわけ で、そういう形でこういう形の現況になっているということでございます。  それに対しまして、論点でございますが、8ページでございます。1点目でございます が、このがん性疼痛の緩和目的のために、入院、外来、在宅を問わず、医療用麻薬を適切 な形で投与している場合、これは今標準的に言われておりますのは、WHO方式のがん性 疼痛の治療法というものがございまして、これらにのっとって計画的な医学管理を行って いただいている場合に、こういうような体制の指導も含めて、体制を評価してはどうか。  2点目は、この緩和ケアチームを充実させるとともに、その地域での緩和ケアへのサポ ート、支援を評価してはどうか。それによって、入院から外来、在宅へと、緩和ケアが必 要とされる患者が円滑に移行できるではないかということでございます。  それからさらに、在宅での緩和ケアを推進していく場合に、必ず先ほども申した麻薬を 投与する場合が多々ございますので、その麻薬の管理、これをそれぞれのところでやって いただく必要がありますので、そういう意味では、それにかかわります調剤をいたします 薬剤師などが麻薬管理等についてもその過程を支援する必要があるだろうという点が一つ の論点でございます。  それから、緩和ケア病棟の使われ方、先ほど言いましたように、我が国では多くの場合、 入ったら亡くなられるまでずっといると、そういうような使い方が多いわけでありますが、 そのほかにも、例えば一般病棟や在宅で対応困難な場合に、一時的にこういう緩和ケア病 棟で、症状緩和やあるいは緩和ケアの導入をする。それから、在宅療養の場合に、非常に 状態が悪くなって一時的に入ってこられる、そういうような使い方、こういうようなもの も含めまして、もちろん最期を看取るという場面も含めて、機能をもう少し幅広く考えて はどうかということでございます。このような役割の見直しについても論点として考えて いただいたらどうかと思います。  続きまして第3でございますが、がん診療連携拠点病院についてでございます。このが ん診療連携拠点病院につきましては、今現在、これはがん治療の均てん化のために、全国 でそれぞれ都道府県において中心になるがん診療連携の拠点病院、あるいは地域の中でそ の連携をしていく地域がん連携拠点病院というものをつくっております。現在合わせまし て286カ所が、都道府県の推薦を受けて、国において指定をしているところでございま す。  このがん診療連携拠点病院につきましては、現状のところに書いてありますが、専門的 ながん医療を提供すること、これは当然ながらがん医療そのものの専門性、それから地域 のがん医療連携体制をつくる。がんというのは必ず1カ所だけではできませんので、地域 の中にあるさまざまな病院との連携体制をとって、必要なときに必要な医療が提供できる 体制をつくっていく、その中心になる役割、それから、情報提供や相談支援の実施を要件 として整備されてきておるところでございます。  10ページでございますが、これらの下で、今後、実はがん診療連携拠点病院につきま しては、整備指針、これからさらに充実させていくということで、その中の一つが患者の 視点の重視ということで、相談支援センターの充実ということが言われております。その ための相談支援センターの充実、それから診療の中身としては、手術、放射線療法、化学 療法が総合的にできる集学的治療の実施ができる体制、これらの方向で、このがん診療連 携拠点病院について整備を進めているところでございます。現在、がん診療連携拠点病院 につきましては、入院初日だけに200点ということで評価をしているところでございま す。  ここの問題といたしましては、今新たに機能強化をしていくというところがございます ので、その部分について評価を見直してはどうかということを考えております。  がん対策について、4点目、最後の第4でございますが、これは少し軽度が変わります が、リンパ浮腫の治療に対する評価でございます。リンパ浮腫でございますが、主として 子宮がんや乳がんが特に多いわけでありますが、子宮がんの手術をした後、我が国では、 リンパ節を腹腔内から取る、あるいは乳がんでしたら腋窩からリンパ節を大量にといいま すか、すべて取るというような、リンパ節郭清というものがあわせて行われる場合が多々 ございます。その場合に、当然ながら、リンパ液というのはリンパ管を通ってリンパ節に 集まってきてめぐっていくわけですが、そのかなめになるリンパ節を取ってしまう関係上、 リンパ液がスムーズに流れていかないということになりますと、腋下、脇の部分ですとそ の先にあります腕の部分、それから腹腔内のリンパ節の場合でありますと足の部分、そう いうところにリンパ液が滞ってしまうということで、子宮がんなんかでいきますと、術後 3年までに4分の1程度は軽重は別にして発症するという報告もございます。  また、このリンパ浮腫、下にちょっとこれは極端なひどくなった例でございますが、写 真を載せておりますが、こういうふうに発症してしまいますと完治が難しい。当然ながら、 日常生活にも大きな支障も来します。そういう意味では、これらを発症防止するという意 味では、リンパ液を毎日リンパドレナージ、リンパ液がうまく体の中心の方に流れていく ようにマッサージをする、それらのことをしていく必要がありまして、そういうことを指 導することが重要ではないかと思っております。こういうことによって、日常生活で患者 自身がセルフケアをしていくということをしっかりと指導していくことが重要ではないか と考えております。  そういう意味で、ここでは、そういうようなリンパ浮腫の発症を防止する視点を重視し て、手術後の適切な時期に、患者さんにいずれこういうことが起こってくる可能性がある ということで、そのための防止策の指導、これを保険でも評価してはどうかということが ここでの論点でございます。  ちょっと長くなりましたが、以上4点について御説明をさせていただきました。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。  ただいまの説明につきまして御議論いただきたいと思いますが、ただ、論点が幾つかに わたっておりますので、最初にちょっと整理をさせていただきたいと思います。  この診−2の、上の方に第1、第2というように振ってありますが、それに沿いまして 議論を進めていきたいと思います。まず最初は、化学療法あるいは放射線療法ということ についてどうするかということ、2番目が、緩和ケアをめぐる問題、それから3つ目が、 がん診療の連携拠点病院の強化にかかわる問題、それからリンパ浮腫、その他という4つ に分けて議論していただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。  それでは最初に、放射線療法及びその外来の化学療法ということについて御質問、御意 見等を承りたいと思います。 ○鈴木委員  在宅対応といいましょうか、がん患者さん、私もがんの末期はうちで過ごしたいと思っ ておりますので、化学療法・放射線療法は前提が通院で在宅なものですから、そこの在宅 関連のお話をしたいと思いますけれども、慢性期の病床のところで繰り返し申し上げてい るように、高齢になりますと、やはり独居ですとか老老世帯が増えてまいりますし、75 歳以上では3分の1がそういう状況というのを踏まえたやはりがんの在宅というつかまえ 方をぜひしていただきたいと思います。  化学療法に関する要件でございますけれども、今、専任の看護師さんと薬剤師さんがそ の治療する場所にいるというのが条件になっておりまして、まだそれ自体が足りないわけ ですから、それをもう少し普及した上で、いろいろ、またそのステップアップをしていく 順番ではないかと思います。そういう意味で、化学療法のすそ野を広げるという趣旨から いえば、現行の条件下で化学療法の実施施設の拡充というものを図っていっていただきた いというようなことで、新たに人材を評価するとか、新たにそこに加えるというようなこ とは少しお考えいただきたいというところが私の意見です。 ○土田小委員長  どうもありがとうございます。  もう少しつけ加えておきますと、この放射線につきましては3ページのところに論点が 整理されておりますし、それから化学療法につきましては4ページの下の方に論点が整理 されております。このあたりの論点を中心として議論を深めていきたいと思いますので、 どうぞよろしくお願いします。 ○鈴木委員  論点、ア、イ、ウと3点提示されておりますけれども、基本的に異議はございません。 ○土田小委員長  どうもありがとうございます。 ○渡辺委員  放射線療法と化学療法なのですが、ここに説明がありますように、私も専門的な医師の 養成と同時に、チーム医療としてその環境を整備することに対しての評価は必要だと思い ます。  それで、また報告にもありましたが、放射線療法や化学療法によって全身の症状が出て くる。特に口腔の粘膜にかなりのいろいろな状況が出てまいります。実は、去る2日の毎 日新聞に、静岡県立のがんセンターにおいて、がんの治療をするに当たって、院内の歯科 医師の協力の下に進めているという記事がありました。非常に効果を上げているというこ とが出ております。そういう意味で、こうしたがん治療をしているところにおける、そこ にいる歯科医師との関連がどのようになっていて、その効果がどうなのかということも調 査をぜひしていって、その評価も必要ではないかなというふうに考えております。よろし くお願いします。 ○土田小委員長  どうもありがとうございます。 ○山本委員  化学療法の部分でありますけれども、放射線につきましては私ども多少専門外になりま すので、ここに書いてある御議論はよろしいかと思うのですが、化学療法につきましては、 薬物が当然中心になってまいりますし、大変多様化してきております。しかも、ちょっと 間違えますと大変危険な薬も多いということになりますので、これまで安全管理の面から も薬の管理は薬剤師がかかわるのだということで進めてまいっておりますし、今日お出し いただいている資料によりましても、薬剤師の配置は進んでおりますので、その分は十分 に評価をいただいていると思いますが、今後、さらに多様化していく可能性があるだろう という中で、薬物療法の重要性は大変高まってまいりますし、外科療法とあわせて両方が 両輪になるだろう。そういう中では、現行の状態をさらに質を上げるというこの方向につ きましては、私どもも大変賛成でありますし、ぜひそのような方向でお願いしたい、これ が1点目であります。  もう1点、鈴木委員の先ほどのお話とちょっと相反するかもしれませんが、外来の化学 療法が中心になるという中で、これまで評価の仕方としまして、同じような状況でありな がら十分に評価ができていない、ばらつくようなことがないように、つまり、治療を受け る患者さんにとってきちんと評価ができるような、あるいは作業する者がきちんと評価さ れるような評価の仕方も実は要るのではないかという気がしております。今後議論する中 では、その評価軸といいましょうか、どの作業をどう評価していくのかということをぜひ この中で進めるというようなこともお考えいただきたいと思います。 ○土田小委員長  重要な御指摘だと思います。 ○古橋専門委員  最初の論点の放射線におけます通院療法に関してでございます。診療報酬評価がなされ て体制が整うということは非常にいい方向で、質をよくしていくと思います。ただし、放 射線療法を受ける方々には、やはりその副作用に悩まれることもございますし、照射日に 一定時間の休息とその後の反応の観察等々も要ります。そういう点では、ハードウエアの 体制が要件として整うことと、治療医師のほかに、看護師が専任で置かれ、放射線療法を 受ける方々の生活調整とか、また、特に頭頸部等の照射に関しましては、う歯があるかど うか、口内炎の状況、皮膚炎の状況の把握等々がなされることが重要でございます。特に アメリカなどでは頭頸部の治療等に関しては、う歯のチェックということが非常に重要視 されているというようなこともございます。そういう点では、医師を支えるチームメンバ ーとしての看護師の存在が大変重要だろうと思っております。  もう1つ、化学療法でございますが、これは通院センターというような形で、がんセン ターで、まだまだ少ないと、鈴木委員の御指摘ではございますけれども、大分整い始めて おります。化学療法をお受けになる方々には、副作用と生活調整、その中に不安とか気力 とか食欲等も含みますが、それを24時間の体制の中で夜間電話相談対応ができるとか、 こういうようなことがバックアップされている中でがん化学療法が行われることが必要だ ろうと思います。そういう点では、私どもの調査によりますと、そこに専門性の高い認定 看護師・専門看護師等々がおりますと、これらの事へのプログラム開発とか、患者の状況 の判断とかいうことが進むという実態は出てきておりますので、通院治療の場に専門性の 高い看護師のいる状況がより高く評価されることも御検討いただければというふうに思っ ております。 ○土田小委員長  はい、わかりました。 ○対馬委員  全体的に、放射線についても化学療法についても、論点の方向に沿って検討するという ことでよろしいかと思います。  直接中医協の場の問題ではないかもしれませんけれども、特に化学療法については、イ レッサ等々の副作用の問題もありますので、そういう意味では、逆に安全管理体制といい ますか、患者が不利益をこうむるということのないようにするということも、一つ視点の 中に入れておいていただければと思います。 ○土田小委員長  どうもありがとうございます。ただいま古橋専門委員がおっしゃったことと似ている論 点だろうと思います。 ○前田委員  古橋専門委員のお話にも関連してなのですけれども、全体にかかわる話なのですが、全 体としてこのがんに関して、もちろん専門外であれですが、異存があるわけではない、異 論があるわけではないのですが、点数を上げてレベルを上げていくときに、例えば専門性 の高い看護師さんがいた方がいい、だから点数を高くするというのは、全く異論ないので すが、仄聞するところでは、がんの専門の放射がもっと個別化するともっとそうなのです が、専門の看護師の養成というのはそんなに十分に行われていない。ですから、これ点数 をつけて、医師の問題もある意味で同じかもしれないですが、人をどうするかということ があわせて動いていかないと、強い力で動いていけばいずれはそうなっていくでしょう、 トレンドができるのでしょうが、政策としてはおくれるのではないかということです。  それから、前回水曜日のお話などを伺っていて、看護師の数の問題が出てきましたけれ ども、医師もある意味で同じだと思うのですが、全体としての総数をどう考えて、足りな い部分をどう埋めていくか。この中医協というのは点数の問題であって、その全体の射程 について議論するわけではないのですが、我々は法律、いわばこのごろ弁護士の数がどう なるかというのは大問題でして、その中で、専門性のある人をどの程度にどういう形でど う供給していくかなのです。その関連で、先ほど竹嶋委員、鈴木委員からおっしゃった、 産科に関して訴訟コストがかかることについてどう考えるかというようなことについては、 やはり関係して我々は非常に重く受けとめて考えていかなければいけないと思いますけれ ども、いろいろな問題との関連で、中医協の議論が、ここでできる射程の問題は限られて いるとは思うのですが、それが有効にほかの厚労省の施策と、ほかの松浦委員の先ほどの 御指摘などもあったと思うのですけれども、うまくつながるようにしていただければとい うことを申し上げたいと思います。  以上です。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。 ○古橋専門委員  ちょっといいですか。 ○土田小委員長  短くお願いします。 ○古橋専門委員  今の御指摘、もっともでございまして、専門性の高い看護師が非常に多く教育され社会 に存在しているかといいますと、まだ課題は多いわけでございますけれども、がん診療拠 点病院、現在286ございますけれども、がんに関連いたします専門性の高い認定看護師、 専門看護師の配置は大体71%、に1人以上いることを把握しております。7割以上にな ってまいりました。機運が上がっておりますので、鶏か卵かの議論かもしれませんけれど も、この状況はよりよい患者さんへの支援の体制を構築していく推進力になると考えるわ けでございます。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。 ○鈴木委員  今格差解消が問題になっているのに専門看護師の話は早いと思います。まず、 もう少し確かなところから始めるべきで、がん拠点病院に行き渡るだけの数もいなければ、 いきなり理想を求めても、これは現実的ではないと思います。 ○土田小委員長  多分こういう議論になろうと思って、先ほど最初に整理しようかなと思ったのですが、 遅れてしまいました。つまり、一定の資格を持った看護師さんが、例えば前の褥瘡のとき もそうでしたが、そういうものに対して一定の評価を与えていくという方向については別 に異論はあるわけではありませんけれども、果たしてそれが実際の現場でどれほどの機能 をしているかというところはまた別の問題があるというような指摘もあります。したがっ て、実際の現場の中で、つまりお医者さんと看護師さんの関係あるいは患者との対応とい うところをもう少し見極めていかないと、資格を有しているからということで、それを直 ちに評価するということについてはかなり抵抗があるというふうに承っております。今鈴 木委員から話がありましたように、その辺の問題は非常に微妙ですので、したがって、今 古橋専門委員がおっしゃったような形で、それを直ちに評価するということについてはも う少し検討が必要だろうと私は思っております。これも事務局の方にもう一度検討してい ただきますが、そういうことであるというふうに一応申し上げておきたいと思います。 ○事務局(上條歯科医療管理官)  先ほど渡辺委員の方から御指摘のございました静岡のがんセンターの事例についての件 でございますが、実は、放射線治療を行いましたときに、実際に歯科の症状が出ているよ うなものにつきましては、口腔領域以外でも既に診療報酬上の評価がされておるところで ございます。それで、医学管理の方の評価がされておる課題でございまして、今調査が要 るのではないかというような話でございましたが、診療報酬上の問題としては、既にクリ アがされている課題でございます。  したがいまして、こちらの診療報酬上の課題ということでは調査はあえて現時点では必 要とは考えていないところでございますので、よろしくお願いいたします。 ○土田小委員長  わかりました。歯科の方にすぐはね返ってこないようにということをお含みでの発言だ と思いますが。 ○事務局(原医療課長)  前田委員から御指摘ありました、一般施策と診療報酬との関係ですけれども、例えば今 がんのところをお話ししていますが、この「がん対策推進基本計画」に基づいて、来年度 予算に向けてさまざまな施策をやっております。その中で、私どもがんを担当している部 局と十分話をしながら、診療報酬ではこういう点を評価していこう、一般施策ではこうや っていこうという形で進めております。その他、産科の問題等々につきましても、部内で 何回も打ち合わせをしながらやっておるところで、決して診療報酬だけが突発的に先行し ているわけではないという形で進めております。 ○土田小委員長  それでは、次の方に移りたいと思います。緩和ケアについて御意見、御質問等を承りた いと思います。 ○山本委員  緩和ケアはまさに麻薬の議論でありますので、ここは私どもが積極的にかかわる部分だ と理解しています。もともと、今回の診−2の資料の1ページでありますけれども、医師 だけではなしに、看護師、薬剤師、その他の職種がという、まさにチーム医療で進めるこ とががんの治療に結びつくという観点からしますと、この緩和ケアの中で議論されており ます、例えばWHOの方向に従って今後初期から使っていこうというような麻薬の使い方 も含めて考えるという、この論点にありますことは、私ども十分にこうした評価を進めて いただきたいと思っております。  加えて、論点の(2)にありますような緩和ケアチームの中で言えば、麻薬をどう用量 設定するか、その効果をどう計っていくか、あるいは副作用をどう見るかということにつ きましては、医師あるいは看護師の方々も当然ごらんになっておられるのでしょうけれど も、これは薬剤師の目から見て、副作用のチェック等も含めて言えば、そうしたものにか かわるべきだなというふうに思っておりまして、今後緩和ケアチームを充実させるという 中にあっては、どう麻薬をコントロールするかという問題と、この先、いずれは在宅でも 当然治療を進めるという、先ほど御指摘がありましたので、入院期間も含めて言えば、非 常に短期の入院の中で、緩和ケア病棟である程度の体制をつくった後、在宅へ向かってい くと。そうなりますと、地域では薬剤師がやはりそれにかかわらざるを得ないということ になりますので、ぜひ、病院、診療所の薬剤師がそうした中で働けるようなそうした仕組 みもつくっていただきたいですし、あるいは、入院から外来、在宅に入った場合の橋渡し をする、あるいは逆に外来から入院するときの橋渡しをする、そうした部分で働けような、 あるいはそうしたものを評価できるような評価軸をつくっていただきたいというふうに考 えております。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。 ○鈴木委員  緩和ケアが治療の初期段階から必要であるというようなことは、これはもう絶対賛成で あります。したがいまして、論点の(1)から(4)までに関しましては賛成でございま すけれども、1点申し上げておかなければいけないのは、先ほどNICUの話をしました。 がんの患者さんは不幸にも死という転帰をとるわけですけれども、やはりこの7ページの 棒グラフで、日本が43日で英国が13日でありながら、初期の段階からこういう緩和ケ アの入院をもう少し流動的にするというようなことなのか、あるいはこの43日を13日 にしたいのか、ちょっとそこのところが再度説明を追加していただきたいのです。  あと1点は、調剤に関する、麻薬に関してでございますけれども、診療所の医師でも麻 薬の届出をしていない先生も多いものですから、自分の配偶者がこういう状況になっても どうにもならないで、調剤薬局を駆けずり回って探すわけですけれども、現状では、調剤 薬局で麻薬の処方というのはほとんどないのです。ですから、こういう在宅で緩和ケアを 普及していくということであれば、調剤薬局の協力は不可欠でございますので、この辺は よろしくお願いします。 ○土田小委員長  今2つ問題点が、あるいは御意見が出されましたが、最初の7ページの図の方の説明を もう一度お願いします。 ○事務局(原医療課長)  今現在、我が国で緩和ケア病棟、診療報酬上どういうふうに考えているかというと、繰 り返しになりますが、主として末期の悪性腫瘍及び後天性免疫不全症候群の患者を入院さ せて緩和ケアを行う、そういうための病棟と位置づけがされている。そのために、そのた めもあってか、あるいはもともとそのためにつくってきた経過もあったのか、現在の使わ れ方はこういうのが現状であるということをお伝えしたわけであります。  その上で、では、ターミナルの部分、長期間にわたるターミナルをすべてここで見てい くのかどうするのかということはまた議論をいただけたらと思いますけれども、さらにそ れ以外の使い方もあるだろうということで、例えば、導入初期の、さっきおっしゃったド ウズをどう決めるかとか、その量をどう決めるかとかいうときに入るとか、あるいは在宅 で末期を見ているのだけれども、一定ちょっと必要になる場合とか、そういう場合の使い 方とか、そういうような使い方も今後増やしてはどうかということを御提案をしていると いうことであります。 ○鈴木委員  結構なことだと思います。したがいまして、緩和ケアに給付の制限があるようになりま すというと大問題ですから、ぜひそのところはないようにお願い申し上げます。 ○土田小委員長  2つ目の問題は山本委員に対する質問ということですか。 ○山本委員  ありがとうございました。頑張れということで受け取らせていただきますが、現在、麻 薬の供給ができる体制は、地域差はもちろんございますが、一定の使用状況に応じてはか なり増えておりまして、現在60数%の薬局が麻薬の供給体制を組んでおります。少なく とも、今まで資料にありましたようなこれまでの日本の医療麻薬の使い方の状況から医療 用麻薬の使用量が急に増えておりますが、それには十分対応するだけの設備あるいは施設 は十分にあると思っております。さらにこれから増やしていきませんと、在宅医療が進む 中での麻薬の供給ができない。そういった意味で言えば、薬剤師として、薬剤師会として も、積極的にそれを進めている状況ですので、そうした御心配は多分ないのだろうと、十 分に供給できる体制が組まれていると考えています。 ○土田小委員長  ありがとうございました。 ○渡辺委員  緩和について、患者の家族の立場でちょっとお話ししたいと思います。ここに4項目あ るのは非常に重要で評価したいと思います。特に疼痛の治療について、やはり人間性を保 持しながら、言ってみれば尊厳を保ってという意味合いで、単に痛みを取るための、本当 にもうろうとした中で最期を送っていても人間としては意味がない。やはり、このしっか りした治療法でいかれますと、もう意識を保ちながらぎりぎりのところで疼痛を抑えると いうことができるということです。そういう意味で、そういうことに対しての評価をぜひ つけていただきたいと思います。  それから、先ほどの1点、管理官の方からの歯科がかかわることについてのお話があり ましたが、ちゃんとそれに対応される処置に対しての評価、それは当然だと思いますが、 その術前に、例えば手術などをする前に、この静岡県立がんセンターでは、歯科医が必要 なことはちゃんと口腔の処置をすると、入院期間も短いとかいろいろ効果が出ているとい うことで、専門家がきちっと診るという意味合いが非常に重要だと、そういう意味でチー ム医療というものの評価というふうなことを申し上げたことでございます。 ○土田小委員長  わかりました。 ○対馬委員  疼痛管理の重要性ということでは全く異論はないのですけれども、ただ、この麻薬の消 費量が随分前から日本は諸外国の10分の1程度であるとも言われている、一体日本のこ ういった疼痛管理なり麻薬の使用量なりが前に進んでいるのかどうか、そういうデータを 出していただければありがたい。もちろん今日でなくて結構ですから。中医協の問題では ないかもしれませんけれども、仮に進んでいないということであるならば、何が原因でそ れに対してどういった対策を打っていくべきなのか、先ほどの前田委員のお話もございま したとおり、やはり全体的に見ていくべきだろうと、こういうふうに思いますので、よろ しくお願いしたいと思います。 ○土田小委員長  どうもありがとうございます。  今答えられますか、薬剤管理官。後でなら資料は出していただけますが、今答えられる ようなことがありましたら、お願いします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  特に。資料は準備したいと思います。  以上でございます。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。 ○古橋専門委員  緩和に関してですが、今日の資料の7ページにありますように、私も、もう10年以上 も前ですけれども、あるがんセンターで緩和ケア病棟を開くという経験をいたしました。 その時代から、この7ページの上の図の今後の緩和ケアの在り方について、職員たちは認 識していくことを研修しておりました。ただやはり外科医の中には、緩和ケア病棟を死に 場所だよととらえられて、そこへの移行については、御自身の診療の価値観から、なかな か踏み切れないで葛藤しておられる先生もいらっしゃいました。  8ページの論点の(1)は、医療人が、そういう点での緩和ケアの本来というものをや はり啓発・啓蒙を進めるということと、同時に、ホスピスという言葉が先行してこの領域 がスタートしたというようなことがあって、国民的にも緩和ケアに関する考え方の啓蒙・ 啓発というのは非常に重要ではないかと思います。  それと、論点の(3)でございまして、意見も出ましたが、在宅の訪問看護をいたしま す立場からいたしますと、麻薬を保険薬局から医師の処方を受けて調達したいというとき に、これは麻薬の在庫とか、流通とか、はけないとか、そういう点から対応ができないと いうふうにおっしゃられる保険薬局も少なくないということを経験しております。今山本 委員からもございましたように、このことに関して薬剤師が引き受けるという意識は高ま っているわけですけれども、今後こうしたことに対応していこうとする速度も含めた、実 現というのはどんなふうに目論んでおられるのか。もちろん看護職も、緩和に関する知識、 実践力の高・低があることは承知しております。そこの育成、教育は重要と思っておりま すが、麻薬対応に関しての現実は、薬剤師さんの対応のこともあり、今どんな状況なのか ということも含めて教えていただきたいと思います。 ○山本委員  今後どうしようかと目論むほどのことではなしに、薬剤師として当然のこととして私ど も対応しております。先ほど申しましたように、麻薬の使用の状況を踏まえて、あるいは 麻薬処方せんの発行の状況を考えてみますと、現実にはかなりたくさん出回っております ので、それには十分に対応できているというふうに私ども考えております。この先、より 一層そうした対応できる、そうした体制を組むためにさまざまな努力をしております。麻 薬につきましては大変厳しい管理の中にありましたけれども、不足があったような場合に は近隣の薬局からの調達もできるような仕組みを法律上つくっていただきましたので、こ れまで在庫が不足で調剤ができないといったようなケースは今後解消されると思っており ます。しかも、それぞれの薬局で麻薬を取り扱うための許可を持つことが、今後在宅医療 を含めて重要と考えております。医薬品がなければ薬剤師は医療の現場に立てませんので、 そうした事態がないような形を考えて今進めております。  古橋委員の御指摘のように、では一体どれほどできるのだというのが現実の問題であり ますので、今御指摘のようなことが、かつてはあったということは私も認識しております けれども、現に今そうしたことが起こっているかというと、例えばよく指摘されておりま す、24時間365日、いつでも直ちに供給せよということに対して、すべて可能かとい うことになりますと、これは確かに問題があろうかと思います。しかし通常の形でそれぞ れの患者さんが在宅で治療している中では、麻薬は過不足なく十分に届けられている、提 供されていると理解しておりますので、それをさらに充実していきたいと考えております。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。  それでは、この緩和ケアについては…… ○松浦委員  ちょっと素人っぽい質問を1つさせていただきます。私は麻薬についての知識は全くあ りませんので、ただ一般的に言われておることで、私の知識が正しいことかどうかちょっ とお聞きしたいのですが、痛みどめに麻薬を使って打ちかけますと、その量はもう増える 一方で、それで、これを途中から減らしていったらまた痛みが出てくる。ずっと連続的に もうだんだん次第に増えていって、結局最後は亡くなる。こういうことになるというのが 私の今の知識なのですが、それで間違いないのでしょうか。 ○土田小委員長  これは薬剤管理官、あるいは山本委員。 ○山本委員  松浦委員のおっしゃったような事は、以前にはそうしたことがあったというふうに私も 聞いておりますが、それは私が薬剤師になる前のころの話で、最近では非常に薬の効き方 といいましょうか、要するに、体の中に薬が放出されていく速度がうまくコントロールさ れておりますので、痛みを長時間、非常に微妙なところまでのコントロールができるよう になっております。したがって、以前は瞬間的に効きます効果の続く時間が短いため投与 量が増えるということがあったのですが、だらだらと、と言うと表現が悪いのですけれど も、1日の間、適切な形で効くような設計の医薬品もありますので、そうしたものをうま く組み合わせることによって、必ずしもどんどん量が増えていわゆる耽溺のようなものが 起きてしまうという、そうした懸念は現実にはないだろうと思っています。もちろん、終 末期の本当に最後の最後の段階までは、私も十分には承知しておりませんが、通常に外来 で通院されていてがんの疼痛管理をされている患者さんを扱っている身からしますと、そ れほどひどい状況で量がどんどん増えるといったようなことにつきましては、今はあまり 見かけない状況ですので、その御心配はないのではないかと思います。 ○松浦委員  それでは、いわゆる麻薬中毒、そういうような症状は起こらないのですか、これについ てはどうなのでしょうか。 ○山本委員  今日は私は事務局みたいですね。麻薬中毒をどう見るかということなのですが、当然、 麻薬ですから、精神依存性、薬物依存性が出てまいりますので、そうした意味では、非常 に狭義の意味で見れば、痛みをとめるために麻薬を飲むということになりますと、治療の 一環ではありますけれども、それを中毒という範疇に入るかどうかということであります。 しかし麻薬中毒はまさに治療目的ではなくて、耽溺にあったり、あるいは快楽が目的であ りますので、そうした意味からしますと、治療上必要な薬を一定量飲むこと、飲み続ける ことについて、それを中毒という範疇に入れるのは、いささか私も疑問であります。した がってそうした中毒については、私の経験ではございません。 ○土田小委員長  それでは、次に移りたいと思います。がんの診療連携拠点病院の強化ということで御意 見をいただきたいと思います。  これにつきましては10ページの方に論点が簡単に示されているだけですが、いかがで しょうか。 ○竹嶋委員  拠点病院、280幾つあるということですが、これも、先ほど私が申したことと同じよ うな論調ですが、まだ公平に整備されているという状況ではないということですね。ただ し、これは大変大事なことです。地域によって指定のないところがそういうことでありま すので、この地域間の格差があるということをまず頭に入れておかなければいけない。  そこで、評価そのものを見直していく前に、指定要件ですね、これはやはりいろいろと 考えていかなければいけないと思うのです。一律にはなかなかいかない。そういう見直し を一回図ってほしいと思います。そのときは、集約化ということですか、それだけで見て しまうと、先ほど出ているように、地域によってそのはざまのところが出てくるというこ とですから、そのあたり、せっかくこれをきちっとやっていくわけですから、診療報酬点 数をつけて、そういうところを基本にぜひ置いていただきたい。  最後に、いわゆる地域医療機関とその周りの、地域医療連携支援ですが、そことのまさ に連携のところをキーワードとしてしっかりいっていただきたいと、そういうふうに思い ます。 ○土田小委員長  ありがとうございました。ただ、指定要件については、恐らくここの中医協の扱う領域 ではなくて、むしろ医政局の方の分野だろうと思いますが、そういう御意見があったとい うことで承っておきたいと思います。  ほかにございますでしょうか。 ○丸山委員(代理高橋氏)  これは全般に言えることなのですけれども、ちゃんと評価してくるということは正しい と思うのですが、体制だけでなくて、やはり成果というところを比較的着目して、ちゃん としたPDCAサイクルが回っているのですか、成果が上がったというところから体制を 見直してくるという形の評価を全体に仕組んでいただければと、これは希望です。 ○土田小委員長  これがもし次期の診療報酬改定の項目に入ってきますと、また検証部会の方でそれは取 り上げる可能性もありますので、そういう形で対応していきたいと思います。  ほかにございますでしょうか。  よろしいですか。それでは、その他ということで、このリンパ浮腫の問題も含めまして、 ほかに意見がございましたら、どうぞよろしくお願いします。 ○高橋委員(代理清水氏)  リンパ浮腫の件でございますけれども、論点のところには「患者への防止策の指導」に 対する評価というふうに記載されてございまして、タイトルを見ますと「リンパ浮腫の治 療」というふうになっておりますので、参考までに事務局に御質問させていただきたいの ですが、リンパ浮腫が発症した後にその症状を緩和させるために使用される治療用装具が あると思いますけれども、それに対する評価なり対応はどのようになっているか、お教え いただきたいと思います。 ○事務局(原医療課長)  弾性ストッキングであるとか弾性スリーブという、圧迫をして、そういう場所の方にた まらないようにするという、そういう装具、装具といいますか、用具があるわけですけれ ども、これについては、前回のときもそうでしたけれども、複数の学会から適用について の要望が上がっておりまして、今回も、要望と資料が出されておりまして、医療技術評価 分科会でその検討をしていただくことにしております。 ○土田小委員長  よろしいですか。 ○高橋委員(代理清水氏)  はい。 ○土田小委員長  ほかにございますか。 ○渡辺委員  けさの朝日新聞に、厚労省の研究班が分析したという旨で、がん治療の生存率の発表が ありましたね。確かにこういう国民への情報の提供というのは非常に重要なことだと思い ます。と同時に、正確にこの中身が伝わるということが大事だと思いますので、その点、 これから厚労省においてこうした分析等を進めるに当たって十分注意されていると思うの ですが、その情報を国民の方々にわかりやすくお願いしたいなと思うので、また、それの 活用等についてどのようにお考えになっているのかも、ちょっとお伺いできればと思いま す。 ○土田小委員長  事務方いかがですか。 ○事務局(原医療課長)  健康局で担当しておられる問題なので、さまざまな情報について最終的に国立がんセン ターの方にがん対策情報センターというものをつくって、全国的な状況について情報収集 して分析して開示していくというような体制をとっていこうというふうにしていると聞い ております。 ○渡辺委員  ありがとうございました。局が違って失礼しました。 ○鈴木委員  診療報酬上の本件に対する評価は当然だと思います。 ○土田小委員長  どうもいろいろありがとうございます。本日この議論におきましては、外来における対 応を含めまして、患者の療養生活の質をどうやって向上させていくかということでいろい ろと御意見を承ってまいりました。緩和ケアあるいはがんの拠点病院の取り組みについて も支援する必要があるということで御意見を承ったと思います。  事務局におきましては、今日いろいろ御意見が出ましたが、こういうことを踏まえまし てもう一度論点を整理していただきたい。それで論点を整理してもう一度ここに出してい ただきたいと思います。ただ、今日の議論では、中医協マター以外のいろいろな医政局 等々にかかわる、あるいは健政局にかかわる問題が出てまいりましたが、そういうところ を整理されて、中医協として一体何がどこまでできるかということを中心として論点をま とめていただきたいと思います。  本日用意しております議題は、以上でございます。  このあたりで小委員会は終了したいと思いますが、次回の日程はどうなっていますでし ょうか。 ○事務局(原医療課長)  基本問題小委員会につきましては、次回、水曜日を飛ばしまして10月12日の金曜日 を予定しております。 ○土田小委員長  次の金曜日ということになっているそうです。  それでは、今日の診療報酬基本問題小委員会はこれで終了いたします。どうもありがと うございました。     【照会先】       厚生労働省保険局医療課企画法令第1係       代表 03−5253−1111(内線3288)