07/10/04 平成19年10月4日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会器具・容器包装部会議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 器具・容器包装部会 【日  時】  平成19年10月4日(木) 13:57〜15:27 【場  所】  経済産業省 別館 1014号会議室 【出席委員】  井口委員、河村委員、神田委員、棚元委員、         西島委員、早川委員、堀江委員、望月委員 (五十音順) 【事務局】  國枝基準審査課長、光岡補佐、束野補佐 【議  題】  (1)おもちゃの規格基準の改正について  (2)器具及び容器包装の規格基準の改正について  (3)その他 ○光岡補佐 定刻よりちょっと早うございますけれども、委員の先生方皆さんおそろい ですので、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会、器具容器包装部会を開催させていた だきたいと思います。  本日は、御多忙のところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。どうぞ よろしくお願いいたします。  7月6日付で私ども事務局の交代がございましたので、まず初めに、事務局から御紹 介させていただきたいと思います。  基準審査課長の國枝でございます。  基準審査課長補佐の束野でございます。  私、基準審査課長補佐の光岡でございます。  本日は、菅野委員、品川委員、土屋委員、鰐渕委員より欠席との御連絡を事前に受け ております。現在、器具容器包装部会の委員12名中8名の委員の先生方に御出席いた だいておりますので、本日の部会が成立いたしますことを御報告申し上げます。  参考人としまして、社団法人日本玩具協会より山口事務局長、市川安全・環境委員会 判定会議座長のお二人にお越しいただいております。  それでは、この後の進行は西島部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いい たします。 ○西島部会長 それでは、始めたいと思います。よろしくお願いいたします。  まず初めに、ただいま御紹介がありましたけれども、本日はお二人の参考人の方に御 出席いただいておりますが、参考人のお二方におかれましては、意見を求められた場合 にのみ、また、意見を求められた事項についてのみ御発言をいただくということでお願 いいたします。よろしくお願いいたします。  それでは、早速ですが、本日の配付資料の確認を事務局からお願いいたします。 (配付資料確認) ○西島部会長 よろしいでしょうか。それでは、まず議題1、おもちゃの規格基準改正 について審議を始めたいと思います。  まず、事務局より資料の説明をお願いいたします。 ○光岡補佐 資料1−1から資料1−6までに沿って御説明申し上げます。資料1−1 は諮問書でございますので、めくっていただくと資料1−2、現行の指定玩具一覧表が ございます。食品衛生法では、食品衛生法の規制の対象となる玩具については、食品衛 生法第62条の規定に基づきまして、乳幼児が接触することによりその健康を損なうお それがあるものとして厚生労働大臣が指定するおもちゃについて規制を行っているわけ でございます。資料1−2は、現行の規制の対象を見やすいように一覧表にさせていた だいたものでございます。縦軸が項目でございまして、横軸が材質の区分になってござ います。実は現在の厚生労働大臣が指定するおもちゃについては、一部材質を限定して 規制を行ってございます。  例えば、1番ですと、乳幼児が口に接触することをその本質にするおもちゃにつきま しては、紙から陶器までの9材質でできているおもちゃについては指定玩具の範囲内に 入っていると見るものでございます。ほおずきにつきましては、海ほおずきと言われる ものでございまして、現在はなかなか見掛けるものではございませんけれども、古い指 定でございますので、ほおずきについても現行の規制の中に入っているというものでご ざいます。  うつし絵、折り紙、積み木、これらほおずきも含めて現在のところ材質の指定はない というものでございます。  4番目の起き上がり以下のままごと用具までのおもちゃにつきましては、更に材質が 限定されておりまして、ゴム、合成樹脂、金属についてのおもちゃについて規制がされ ているわけでございまして、3材質以外は現在のところ現行の指定の対象外というもの でございます。  資料1−3でございますけれども、指定玩具の規制については以上のような形で指定 がされているわけでございますが、実は個別に規格基準が定められているわけでござい ます。しかしながら、指定玩具すべてについて規格基準が具体的にあるわけではござい ませんで、うつし絵、折り紙、ゴム製おしゃぶり、塩化ビニル樹脂塗料、ポリ塩化ビニ ル樹脂を主体とする材料、ポリエチレンを主体とする材料について、幾つかの項目につ いて規格基準が現在のところ定められているというものでございます。  今回、おもちゃの規格の改正案を事務局から提出させていただいているものでござい ます。資料1−4の指定範囲の拡大というものでございますけれども、現行の材質によ る規制があったわけでございますが、近年いろいろなおもちゃが市場に出回っているわ けでございまして、必ずしも一定の材質について規制を行うということが適当ではない だろうと考えてございまして、今回は材質についての規制を撤廃するということでござ います。したがって、指定玩具を材質に限らず、指定の対象にするというものでござい ます。  それに伴いまして、ほおずきなどは乳幼児が口に接触することを本質とするおもちゃ という形になりましたので、指定の範囲については乳幼児が口に接触することを本質と するおもちゃの中に直接組み入れるという形で案を提出させていただいているものでご ざいます。  また、うつし絵や折り紙につきましても、4番のゴム、合成樹脂または金属製のもの と材質の限定がなくなりましたので、順番として次に掲げるおもちゃという形で、限定 列挙式に指定されているおもちゃの中に組み入れるとしたいと思ってございます。  また、これらの今まで指定されていなかったおもちゃについても、近年いろいろな形 で商品が市場に出回っておりますので、これらについてもなるべく広く読めるような形 で玩具の範囲を拡大したいと考えてございまして、今回はそれに加えて玩具アクセサリ ーと知育玩具と、これらのおもちゃと組み合わせて遊ぶような玩具についても指定範囲 の中に組み入れることによって、乳幼児が口に接触する可能性のあるおもちゃについて、 広く規制の対象にしていきたいと思ってございます。  ただ、個別の規格基準が下の規格の改正の対象の範囲で、少し限定的になります。し かしながら、この指定の玩具の範囲で規制されたおもちゃにつきましては、注意書きに 書いてございますけれども、規格基準を直接設定しなくても食品衛生法の第6条の準用 規定によりまして「有毒なもしくは有害な物質が含まれ」という疑いがあるものの販売、 製造、輸入、貯蔵、陳列等を禁止することが可能になってございますので、規格基準を 設けなくても一定の規制を行うことができるというものでございます。  個別の規格でございますけれども、現在考えてございますのは、個別の規格の設定対 象でございますけれども、(1)〜(7)の規格を設定しようと思ってございます。ただし、(1) 〜(3)については今までのとおりの規格がございますので、そこは変えませんし、また、 (5)や(6)についても規格の中身を変更しようと思っているわけではございません。(4)につ いて今回は塩化ビニル樹脂塗料を、塩化ビニルだけに限っていた規格をさまざまなおも ちゃの材質が使われているという現状にかんがみまして、塗料全般というよりは、むし ろ塗装に規制の範囲を拡大しようというものでございます。  それから、(7)で新しく金属製の玩具アクセサリーについても規制の対象の範囲としよ うと考えてございまして、これはただ限定的ではありますけれども、乳幼児が飲み込む 可能性のある大きさのものに限るという形で御提案を申し上げているものでございまし て、この大きさにつきましては、気管の一定の大きさのモデルがございまして、その一 定の大きさのゲージを通過する大きさが大体31.8mmを考えてございまして、そのゲー ジを通過するという大きさでございます。これらはISO規格と申しまして、国際標準 化機構で設定されているおもちゃの基準をそのまま参考にして設定しようというもので ございます。  それから、裏をめくっていただきまして、今回、溶出試験として設定しようと考えて ございますのは、鉛とカドミウムとヒ素の個別の溶出試験について規格を設定しようと いうものでございます。従来は重金属ということで、主に鉛の検出を目的としたもので ございますけれども、鉛として1μg/ml以下という基準がございましたけれども、これ を90mg/kgという形に変更させていただきたいと思っております。  また、カドミウムについても75mg/kg、ヒ素については25mg/kgという溶出試験の 規格を設定したいと思っておりますけれども、これはISOの試験の規格をそのまま取 り入れるという形にさせていただこうかと思っております。  ただ、原材料の溶出試験は溶出条件が大きく変わりまして、現行の食品衛生法の規格 基準の原材料の溶出試験については、40℃の水で30分間放置するというものでござい ます。ゴム製おしゃぶりについては多少条件が異なっておりますけれども、40℃4%酢 酸24時間という形になっているわけでございますが、塗装については新たな溶出試験 においては0.07mol/l37℃の塩酸で振とう1時間、静置1時間という形で、より溶出条 件が非常に厳しい状況になっているものでございます。  それから、うつし絵と折り紙とかゴム製おしゃぶりとかポリ塩化ビニルを主体とする 材料とか、ポリエチレンを主体とする材料については、今までどおりの重金属の試験を そのまま使用するということで、全く変更はございません。  試験法につきましては、重金属試験及びヒ素の溶出試験は比色法でございましたけれ ども、これを原子吸光光度法と誘導結合プラズマ発光強度測定法に変更しようとするも のでございます。  これはいろいろと入り組んでございますので、一覧表にいたしましたのが資料1−5 でございます。緑の部分は現行の規格を変更しないものでございまして、赤について今 回変更すると。それから、重金属試験を個別の試験法に変えますので、重金属の部分に ついては削除すると。その代わり、ヒ素、カドミウム、鉛についての個別の試験法を設 定するという形になるわけでございます。  それから、青の部分は規格を新設する部分を示してございます。  細かいことでございますけれども、塩化ビニル樹脂塗料を塗装に変更することによっ て、現在塗料と言いますと、そもそもの原材料に戻らなければいけなかったわけでござ いますが、水際での検査で考えた場合に、塗料に戻って試験をするということは実際的 ではございませんで、製品から塗装を削って試験するというのが実際的でございました ので、この点についてもISO規格に沿って塗装での試験を実施したいと思ってござい ます。  資料1−6でございますが、試験法を組み込んだイメージを現行の告示と改正案の概 要で比較したものでございます。改正案にいたしますと多少見やすいのではないかと思 いまして用意させていただきました。  以上でございます。 ○西島部会長 どうもありがとうございました。  ただいま議題1につきまして、資料に基づいた御説明をいただきましたけれども、こ のおもちゃの基準改正につきまして、先生方から御意見等がありましたら伺いたいと思 いますが、いかがでしょうか。要点は範囲の拡大ということになろうかと思いますが。 ○神田委員 指定範囲の拡大ということで書いてあるとおりだと思いますが、今回改正 するのは現状に合わなくなってきているので、こういった形でということですよね。指 定範囲の拡大という形だと、また現状に合わないときが来るのではないかという思いが したのですが、これで今考えられるものがほとんど網羅されているということだと思い ますが、その確認と、もう一つ、あるいは今想定できないようなものも出てくると思う んですが、そういう場合の拾い上げ方はどうするのかという辺りをお願いします。 ○光岡補佐 今回は中国製のおもちゃなど自主回収という形で、アメリカなどで回収騒 ぎがあったわけでございまして、あのときは木製のおもちゃでありまして、食品衛生法 ですと実は規制の対象外という形になりかねなかったわけでございますけれども、今回 は材質の規制を取っ払うということと、限定列挙でされていました当時のおもちゃの範 囲が極めて古い時代のおもちゃであったということもございましたので、今回、神田先 生の方から御指摘がございましたように、これで全部かというお話になるのかどうか、 これは正直言うとなかなかわからないところでございます。ただ、現在私ども玩具の商 品分類をチェックいたしまして、乳幼児が接触する可能性がある、もしくは乳幼児が使 う可能性のあるおもちゃを比較いたしまして、最も問題のあるようなおもちゃを拾い上 げた結果、知育玩具という言葉で拾い上げれば、大方はカバーできるものだと考えてご ざいます。  併せて、鉛の中毒で問題になりました金属製アクセサリーで、特に乳幼児が使うこと を考えているような玩具についても、規制の対象として安全性の確保に努める必要があ るのではないかと考えまして、このような指定の範囲にさせていただきたいと思ってご ざいます。 ○神田委員 この指定の範囲というのは、定期的に見直すという予定なんでしょうか。 ○光岡補佐 勿論、必要に応じて見直しを図る形には当然なるだろうと思います。また、 指定の範囲だけではなくて、基準についても現在は当面の手当として鉛とかカドミウム とかヒ素についてのみ基準を設定させていただきましたけれども、今後はおもちゃの規 格基準について整備を更に図っていきたいと思ってございます。 ○西島部会長 先ほど事務局の説明の中で、今回のことにつきましてはISOの規格を 参考にしての改正案が示されたわけですけれども、おもちゃの規格につきましては業界 の自主規格としてISO規格を導入したST規格というものがあると伺っております。 そこで今回審議の前に、順序がちょっと逆になってしまい申し訳ないんですけれども、 社団法人日本玩具協会の山口事務局長及び市川安全・環境委員会判定会議座長に参考人 として来ていただいておりますので、ST規格につきまして御紹介をいただいて、それ も含めてもう一度議論したいと思いますので、協会の方から御説明をよろしくお願いい たします。 ○市川参考人 日本玩具協会安全・環境委員会判定基準委員会の座長をやらせていただ いている市川でございます。よろしくお願いいたします。  では、お手元の資料の玩具安全基準STマークについて御説明させていただきます。  まず、1、STマーク制度について御説明させていただきます。日本玩具協会は、玩 具製造メーカーとSTマーク使用許諾契約を取り交わしまして、玩具製造メーカーは新 商品を発売する前に必ず日本玩具協会が指定しております検査機関、ここでは日本文化 用品安全試験所、高分子試験・評価センター等にサンプルを提出いたしまして、検査機 関は日本玩具協会が策定いたしましたST基準にのっとって試験をしていただきます。 その結果、合格という判断をもらいますと、初めてその玩具にSTマークをつけて販売 ができるということになっております。  製品の欠陥による事故が発生した場合、日本玩具協会と玩具製造メーカーの間ではP L賠償補償等の共済がございまして、その中で賠償していくという仕組みになってござ います。  これは昭和46年から今まで堅持されておりまして、現在までに大きな問題は発生し ておりません。  2、ST基準の概要でございます。ST基準は第1部機械的及び物理的特性、第2部 可燃性、第3部化学的特性の3部に分かれておりまして、おのおの防止すべき危害があ ります。まず第1部につきましては、誤飲、小さな部品、口で操作する玩具、防虫材料。 窒息、口内におさまる玩具、部品、薄いフィルム、小さな空間、小さな袋等。次に、異 臭、ひも。切り傷、鋭いエッジ、ガラス、留め具。刺し傷、鋭い先端、針がね。挟み傷、 蝶板、折りたたみ玩具、附属メカニズム、ばね。その他、転倒、目の障害、聴力障害な どの防止すべき危害があると。これに対しまして、ST基準では、まず、小さな部品は 小部品シリンダーに収まってはいけないという基準を設けていると。口内に収まらない よう楕円ゲージ、円ゲージの通過テストを軸として検査をやっていると。その他、鋭い 先端等の試験を行っております。  次に、第2部可燃性ですが、防止すべき危害といたしまして、焼死、火傷等がござい ます。これを防ぐ基準といたしましては、まず、セルロイド状に激しく燃えてはいけま せんよ、あと、扮装用衣装、テント等の炎の拡散速度の制限を行っております。それと、 ぬいぐるみの炎の拡散速度の制限を行っております。  次に、第3部健康被害でございますが、それを防止する基準といたしまして、まず、 使用できる着色料を制限している。次に、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の含有物質 基準、フタル酸基準。それと、うつし絵、折り紙、ゴム製おもちゃの含有物質基準。塩 化ビニル樹脂塗料の含有物質基準。塗装、重金属8元素の基準、金属玩具アクセサリー など、繊維製品、ホルムアルデヒド、シャボン玉液、インク類、おしゃぶり、歯がため などの基準を設けて対応しております。  次に3、STマーク制度の運用状況につきまして、まずSTマーク使用許諾契約者数 は平成19年9月27日現在511社ございます。会員が210社、非会員が301社になっ ております。  STマーク適合性検査年間件数は、平成18年度実績で2万4,364件になっておりま す。  指定検査機関と海外検査機関一覧でございますが、まず、財団法人日本文具用品安全 試験所が東京にございまして、その大阪事業所。それと、財団法人化学技術戦略推進機 構、これは東京にありまして、その大阪事業所。財団法人化学物質評価研究機構東京事 業所となっております。あと、海外に、香港スタンダード・アンド・テスティングセン ター、それと、CMAインダストリアル・デベロップメント・ファウンデーションズ・ リミテッドという2社を海外では指定検査機関としてやっております。  次に4、ST第3部の概要及び食品衛生法との関係でございますが、食品衛生法での おもちゃの規格基準はすべてST基準に盛り込まれております。食品衛生法の改正に併 せて、常に同様の内容となるよう修正しております。これにプラスしてSTの内容を付 加して運用しております。  まず、化学合成品たる着色料は食品衛生法で言っているわけですが、これはSTでは 着色料として扱っております。  次に、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルは、食品衛生法と同等の基準でSTも使ってお ります。  次に、うつし絵、折り紙、STはこれに加えてゴム製おもちゃも行っております。  次に、塩化ビニル樹脂塗料は、食品衛生法に基づいて同じようにSTでも行っており ます。  次に塗装なんですが、これはST独自になりまして重金属8元素について試験を行っ ていると。塩化ビニル樹脂は1.4の項目と同じようにやっております。  次に、おもちゃに用いられる金属は、ST独自になっておりまして、鉛は90mg/kg 以下でなくてはいけませんという基準で現在行っております。  次に、おもちゃに用いられた繊維製品ですが、これもSTではホルムアルデヒドの試 験を行っていると。これは家庭用品品質表示法に基づいて行っております。  次に、シャボン玉液は界面活性剤、蛍光増白剤、重金属、これはJISに基づいた基 準で行っております。  次に、おもちゃに用いられた鉛筆、ボールペン、マーキングペン、クレヨン及びパス、 絵の具、チョーク類の書画用品に使用されているインク類は、重金属8元素に基づいて 塗装と同じくやっていると。プラス着色料の溶出も行っております。  次に、食品衛生法第29条第1項に規定するおもちゃの原材料、うち口に接する可能 性のあるおもちゃに対しましては、基本的に食品衛生法に基づいて行っているというこ とになりますが、STの方は若干範囲を拡大して対応しております。  次に、ゴム製おしゃぶりは食品衛生法に基づいてSTもやっております。  次に、優先的に有害なもの、毒物及び劇物取締法や有機溶剤中毒予防規則等で有害と されているものについては、STでは使用禁止になっております。  次に5、玩具規制の各国比較でございます。まず、EU諸国、この規制方式といたし ましては法規制となっております。法規制の内容でございますが、玩具安全法に玩具安 全規格がプラスされていると。自己適合宣言方式によるCEマークの発布となっており ます。これは、第三者機関に検査の義務はございません。  法規制は有害物質法、鉛、玩具安全法となっております。自主規制はSTの規格とな っております。これは第三者機関による検査の義務はないし、マーク付けの義務もあり ません。  日本、法規制は食品衛生法、玩具規格基準。輸入品に関しましては事実上の第三者認 証となっていると。自主規制でST基準プラスSTマーク制度を行っております。これ は第三者認証方式をやっております。  続きまして、STマークの中立的な第三者機関による評価の歴史的背景といたしまし て、かつて日本の玩具業界は自己規律のもと検出基準の緩い輸出検査、輸出国の安全基 準等の確認を行い、海外での日本製品の性能を維持・発展させておりました。この背景 を基に、国内の玩具安全指定制度を発足し、第三者認証の採用を行っております。  EU加盟国の玩具安全規格は、欧州規格EN71を各国の規格に置換しております。  次に、欧州の玩具規則でございます。これはEU委員会がございまして、ここでEU トイセーフティ・ダイレクティブ、玩具安全指令が出まして、これを各加盟国で玩具安 全法を作成し、それを法施行していくこととなっております。日本玩具協会は海外の情 報も取り入れながら、随時日本のST基準の改定を行ってございます。  以上でございます。 ○西島部会長 どうもありがとうございました。  それでは、ただいまの御説明も含めまして、更に御意見等ございましょうか。 ○神田委員 質問なんですけれども、5ページでSTマーク使用許諾契約者数というの がございましたが、519社ということで御説明があったんですけれども、これは全体の メーカーのうちほとんどのメーカーが入っている数字なのか、全体の中のどのくらいの 数字なんでしょうか。 ○山口参考人 企業数というのはあれなんですけれども、STマークがついている市場 の占有率は正確なデータはございませんが、70〜80%程度と考えております。 ○早川委員 今お話を伺うと、例えば、玩具で乳幼児が口に入れることを主目的にする ようなものに関しては、そのまま食品衛生法の基準が入るということになると思うんで すが、そうでなくて口に接触するおそれがある場合というのは、一体そこからどういう 基準で計算するといいますか、そのまま適用しているのか。  もう一つは、例えば、鉛などは今回独自に出ていますね。それは一体どういう計算根 拠に基づいてこの基準値が決まるのかということをお伺いしたいんですけれども。 ○國枝基準審査課長 多分、それは河村先生の研究班の報告にも少しあるように思いま すが。STですか、失礼しました。 ○山口参考人 今の鉛の90mg/kg、ppmというのは、ISOの基準、EN71もそうなん ですけれども、そのまま持ってきてございます。 ○早川委員 ISOの方は私はわからなかったんですが、それはどういう計算根拠に基 づいて定まったんでしょうか。 ○河村委員 本日の参考資料1−6、平成15年度の厚生労働科学研究費補助金報告書 の155ページです。ここにISOの規格値がどうして算出されたか調査した結果をまと めています。ISOの規格はEN71というヨーロッパの標準規格をそのまま持ってきた ものです。規格値の根拠がどこにも示されておらず、ISOの事務局に問い合わせても わかりませんでした.英国の知人にEN規格の作成にかかわっていた方を紹介していた だいて、やっとある程度わかりました。これを決めたのは1970年代でWHOのTDI 等がまだきちんと決められていない時代でしたので、当時の標準的な金属の摂取量等を 基にして計算しています。また、幼児による玩具の摂取量を8mgと設定していますが、 塗装1平方センチメートルがはがれて飲み込んでしまったとすれば、その量がおよそ8 mgであるということを一つの根拠にしています。当時のEU指令で決められた限度値 とこの摂取量から計算して、鉛については90mg/kg、カドミですと60mg/kgとしてい ます。  これらの規格値について、現行のWHOのTDI等と比較して、妥当かどうか検討し ております。158ページの表10の下部に「(B)/(F)」というのがありますが、(B)が ISOの規格値の場合の摂取量、(F)がWHOのTDIを子どもの体重で計算したとき の摂取量です。、ヒ素とセレンがやや高めですけれど、それ以外のものはいいところでは ないかと思われます。 ○早川委員 そうすると、例えば、先ほど河村先生が言われた塗料1平方センチメート ル、8mgがはがれた場合というのが大体共通した考え方と解釈してよろしいわけです ね。どうもありがとうございました。 ○國枝基準審査課長 STマークの玩具協会からの資料の6ページですけれども、この STの概要と食品衛生法との関係で、一番下の左に「衛生的に有害なもの」というカラ ムの部分ですけれども、多分この規格というのが、いわゆるおもちゃの規格基準との対 象ということだと思いますが、食品衛生法自身ですと、いわゆる有毒なものを含むもの については食品衛生法の第62条を準用した16条がございますので、ここは食品衛生法 の規定はあるということだと思いますので、訂正させていただきたいと思います。 ○西島部会長 そのほかに御質問等ございませんでしょうか。  事務局から何か補足がありましたら、お願いいたします。 ○光岡補佐 本日、御欠席の菅野先生から、今回の塩化ビニル樹脂塗装の重金属試験を 削除した場合に、重金属試験ということですので、鉛とかカドミウムとかヒ素以外の重 金属について検出できなくなるので、「そのほかの重金属」という名称として試験法を残 してはどうかという御意見がございました。御紹介させていただきたいと思います。 ○西島部会長 ただいまの資料1−5で、黄色くなった部分に相当するかと思いますが、 塗装となった部分の重金属を削除するということで現在考えているわけですけれども、 この点について、「そのほかの重金属」として残してはどうかという意見ですが、この点 につきまして河村委員から御意見がありましたら、お願いいたします。 ○河村委員 菅野先生からの重金属試験の問題ですけれども、2つの面から意見を述べ たいと思います。1つは、重金属試験というものがどういうものかということですが、 名前としてはあたかも重金属すべてが測れるかのように見える試験ですが、これはかな り古い時代からある試験で、溶出液に硫化ナトリウムを加えて、硫化ナトリウムと反応 して褐色とか暗い色を呈する金属を検出するものです。鉛が一番感度がよくて、ほかの 金属ですとそれほど感度がよくないということで、現行も鉛として1ppmと規制されて います。この1ppmというのは試験法のぎりぎり検出限度値で、ほかの金属がこれぐら いの量が入っていても検出できません。  実際おもちゃの中に含有される金属ということでは、先程の参考資料1−6、150ペ ージですが、そこに実際の試験結果を示しています。これは国内流通品の試験ではなく て、先ほどお話があった玩具協会がSTマークをつけるために事前に審査したときの結 果ですが、違反だったのはすべて鉛で500検体のうち5検体、1%です。そのほかに基 準以下だけれど検出された金属でも、バリウムを除くと一番多いのは鉛で、その次にク ロムです。それからカドミウム。バリウムは塗料の基材としてほぼすべての玩具に入っ ていますが、基準値から比べればはるかに少ない溶出量です。もともとの規格値が高い ですから。それ以外の水銀とかセレンといった金属は、この500検体でもないですし、 それ以外でもないと聞いております。このように、玩具で特に問題になる金属は鉛で、 これまでも重金属試験という名前ではあったけれども、主に鉛をチェックしていたとい うことです。  重金属試験については、食品添加物の規格でもよく使われていましたが、国際規格で あるJECFA規格において、重金属試験は感度が不十分であるということ、それから金 属が特定できないということで、個別の金属規格に変更することが決められ、切り替え がほぼ終わりました。その際も重金属試験の代替として鉛の規格が設定され、それ以外 の金属は必要に応じてまれに設定されています。重金属試験の代替として鉛の規格を設 定するというのは玩具でも妥当と考えられます。  カドミウムは今までも塩ビ塗料の規格に入っていたということで入っているのだと思 います。それから、クロムについては、入れてもいいかもしれないなと思いますが、玩 具の場合クロムが検出されるときは必ず鉛と一緒ですので、鉛で規制してアウトになる ものであれば、クロムも同時に引っ掛かるのではないかと思っています。  バリウムについては、有害性は非常に低く胃の検診等で硫酸バリウムが使われていま す。そのためにISOでも基準値が1,000ppmという非常に高い値ですので、これを食 品衛生法であえて規制値として入れる必要はないのではないかと思います。  ヒ素については、食品衛生法ではすべての玩具でヒ素の規格が入れられています。経 緯については余り詳しく知りませんけれども、恐らく日本ではヒ素ミルクの事件があっ て、乳幼児用のものに関してはヒ素の規制をきちんとしようということかと思います。 ○西島部会長 ありがとうございました。  ただいまの御説明で重金属につきましては、鉛、カドミウム、ヒ素という個別のとこ ろできちんとすれば問題ないという御発言でしたけれども、先生方、御意見ございまし ょうか。 ○國枝基準審査課長 今回、事務局から御提案させていただいた内容というのが、厚生 労働科学研究の河村先生の研究班の報告ということと、日本玩具協会で先ほど御説明い ただきましたSTの実績を踏まえながら、できるだけ対応できるものは早目にやろうと いうことだったわけですけれども、差し支えなければ、研究班の報告と若干相違してい る部分とか、あるいはISOと研究班で違う部分もございますので、河村先生からその 辺を少し御説明いただけると。今、重金属で一部御説明いただいた部分もありますけれ ども、それも含めて御説明いただけるとありがたいんですけれども。 ○河村委員 主にどの辺りをお話しすればいいか、よくわからなかったんですけれども。 ○國枝基準審査課長 例えば布とか、今回はどちらかというと鉛などの重金属を中心に しておりますけれども、8元素について、そこは先ほど若干御説明していただきました が、材質の問題とか、あるいはそれ以外の有害物質等考えられるようなものとか、そう いったことも含めて。 ○河村委員 わかりました。厚生労働科学研究で乳幼児用玩具の安全性について検討し ておりますが、平成14年と平成15年で重金属のISOの規格について検討いたしまし た。今回特に米国で問題になったのが塗装中の鉛であったということから、その問題が まず導入されるというのは妥当ではないかと思います。その後、平成16〜18年まで特 に金属以外の有機物の規格についての検討を始めましたが、その間欧州標準規格EN71 が大幅に改正されて、非常にたくさんの有機化合物が規制の対象になりました。その辺 の検討を更に続けたいということで今年から改めて研究を始めています。ですから、有 機物に関してはこれから検討して、平成21年までには何とか報告をまとめたいと思っ ています。当面一番問題になっている鉛について、できるだけ早い時期に対応していた だくというのがまず先ではないかと思います。その後、有機物についても順次とり入れ ていっていただきたいと考えておりましす。 ○西島部会長 ありがとうございました。 ○堀江委員 そういたしますと、塗装の件なんですが、塩化ビニル塗装に関しては蒸発 残留物と過マンガン酸カリウム消費量を残しますけれども、ほかの塗装に関してはこの 辺がないというのは今後の検討課題ということでしょうか。 ○河村委員 はい。 ○堀江委員 あと、もう一つ、これは玩具協会さんに教えていただきたいんですが、実 際塗装に使われているものの大半というのは、塩化ビニル樹脂関係と考えてよろしいん でしょうか。 ○市川参考人 塩化ビニル樹脂もありますが、違う塗料もたくさんございます。例えば、 ABS用の塗料などかなりありますけれども、そういう意味でよろしいですか。 ○堀江委員 シェア的にはどうなんですか。量的にやはり一番用いられているのは。 ○市川参考人 塩ビの塗料というのは、材質が塩ビのものにしか使わないのが基本なん です。だから、材質が塩ビ以外のものは違う塗料でやっています。現在、塩ビはかなり 使用量が減ってきておりまして、大体で言いますと70%ぐらいは塩化ビニル以外のもの になっていると考えております。 ○河村委員 玩具の材質については、数年前のフタル酸の問題が起こる前は塩ビの占め るシェアが多くて、玩具のかなりの部分が塩ビで、塗料も塩ビ塗料が使われていました。 けれども、数年前から材質もかなり変わってきて、塩ビではない材質、それはプラスチ ックでほかに変わる場合もあるし、木製品に変わるというものもあるんですけれども、 そのため塗料も変わってきたということです。これまで食品衛生法は塩ビ塗料だけしか 規制してこなかったというのは、そういう経緯です。現在ではそれ以外の塗料が非常に たくさん使われているので、それ以外のものも規制する必要があるだろうということで す。  塗料で何が問題になるかというと、先ほどお話があったように、蒸発残留物等も考え られるんですけれども、一番問題になるのはやはり着色料に使っている無機含量の重金 属、特に鉛が使われているということです。ISO規格でも決めているのは重金属だけ で、それ以外のことは決めていません。欧州標準規格でも、まず最初に重金属を決めて、 今回たくさんの有機化合物が入ってきたという状況です。○西島部会長 ほかに御意 見・御質問よろしいでしょうか。大体御審議いただいたようですけれども、参考人の日 本玩具協会の山口事務局長あるいは市川安全・環境委員会判定会議座長の方から何かほ かにございますか。 ○市川参考人 今回といいますか、最近特に増えている鉛含有に対する玩具のリコール が行われていまして、今回の指定範囲の拡大については、しようがないと考えておりま すが、特に繊維製玩具に関しましては、これまで厚生労働大臣の指定玩具に入っており ませんでした。しかし、日本玩具協会では繊維製玩具についても自主基準を設けまして、 その安全性を確保するために尽力してまいりました。おもちゃの製造基準に定める着色 料の溶出についても、線維は色落ちしやすいものが多いけれども、3歳未満の乳幼児を 対象とする玩具については、着色料の溶出を防止すべく自主基準で対応しております。  一方、3歳以上の玩具につきましては、繊維を素材とする玩具の範囲や種類は極めて 広く、着せ替え人形の衣装などには多くの布地が使用されております。これまで3歳以 上の玩具につきましては、口に入る可能性は低いということで着色料に関する自主基準 を設けておりませんでした。そのため、実態がどのようであるか完全に把握しておりま せん。これまでも着色料が溶出しないものを使用するよう努めてきてはおりますが、す べてをチェックしているわけではないので、今後それらをチェックし、問題があるもの については、溶出の問題がない素材を探し出して切替えを行うにはかなりの時間を有す ると考えております。  今回、厚生労働大臣指定玩具が改正されまして、繊維製玩具が指定玩具の範疇に入り、 製造基準の着色料の規定が適用されるということに対しまして、日本玩具協会は改定の 告示を待つことなく、できるだけ速やかに自主基準を改正し、対応してまいる所存でご ざいますが、先ほど述べましたように、すべての玩具の対応を終えるには相当な時間が 必要であるという点には是非御配慮いただきたいと考えております。よろしくお願いい たします。 ○西島部会長 ありがとうございました。  この適用範囲の拡大に伴って、繊維製の玩具、ぬいぐるみについても適用されるとい うことで、ただいま御説明いただいたような状況になるということですが、それについ て時間的な余裕をいただきたいという御要望かと思いますが、そのほかこの点につきま して、先生方から御意見等ございましょうか。よろしいでしょうか。 ○國枝基準審査課長 実は参考資料1−1の26ページになりますが、おもちゃの製造 基準ということで、今、市川参考人からお話がありましたように、私どもの御提案した おもちゃの指定範囲を拡大するとしたときに、製造基準が自動的に掛かってくるという ことについて、従来STマークでも3歳未満については自主基準を設けて対応しておっ たけれども、それより上、つまり3〜6歳についてまだ十分対応できていない部分があ るということでございます。実は昨日、若干データを送っていただいておりますけれど も、これにつきましてはどれくらいの対応が可能か、日本玩具協会の方からもう少しお 話をお伺いしてみたいというのが一つ。  あと、おもちゃの基準の改定そのものは、先ほども言いましたように、鉛等が中心と いうことでできるだけ早く対応したいという問題もございますので、勿論、それについ てもある一定の準備時間はあると思いますが、それとは別に、STマークについては先 ほど70〜80%対応しているということで、割と速やかな対応ができると思いますが、今 の線維の部分については状況がまずわからないということもあるということですので、 この部分について状況を聞いて、実行可能性も踏まえて私どもの方で対応を考えさせて いただければと思っております。 ○西島部会長 玩具協会の方、とりあえずはそれでよろしいでしょうか。ほかによろし いでしょうか。  それでは、ただいま御説明いただきましたけれども、ぬいぐるみにつきまして厚労省 の方でどのような措置が必要かということにつきまして、更に必要事項について検討し ていただきたいと思います。  それでは一通り第1題目の審議をいただいたようですが、おもちゃの規格基準の改正 については、可として部会報告書の案を作成した上で、次回の部会で報告案を検討する ことにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○西島部会長 ありがとうございます。  それでは、議題1につきましては以上で終了したいと思います。どうもありがとうご ざいました。 (市川参考人、山口参考人 退室) ○西島部会長 続きまして、議題2、器具または容器包装の原材料一般の規格及び器具 または容器包装の製造基準の改正について、審議を行いたいと思います。それでは、事 務局より資料に基づいて御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○光岡補佐 それでは、資料2−1と資料2−2でございますけれども、資料2−2に 基づいて御説明申し上げます。  今回は器具及び容器包装の、特に金属製のメッキでありますとか容器につきまして、 現行の鉛の規制が非常に現実と合わなくなってきているということを踏まえまして、現 状に合わせた形を考慮して、原材料一般の鉛の含有量の規格を引き下げるというもので ございます。  メッキ用スズにつきましては、鉛を0.1%超えて含有してはならないという規制にさ せていただこうかと思います。現行においては5%以上を含有してはならないという規 制になってございます。  それから、10%以上の鉛を含む金属をもって器具及び容器包装を製造または修理して はならないという規制につきましては、同じく0.1%を超えてという形で100分の1以 下に規制させていただこうかと思ってございます。  また、器具及び容器包装のハンダについてでございますけれども、現在は鉛を20%以 上含有してはならないという形になってございまして、更に缶詰用の外部に用いるハン ダについては、98%とか60%まで含有することは差し支えないというただし書きが別途 ついておりますけれども、これも現在JIS規格等の大幅な基準が非常に厳しくなって ございまして、現在流通しているのもの中にはこのようなものも存在しないという可能 性が非常に高いものでございますので、この基準については更に0.2%という形で規制 させていただくというものでございます。  これは器具・容器包装の製造基準の一部に、銅製の器具及び容器包装の規制がござい まして、原則として銅製のものについてはスズメッキ及び銀メッキなどの衛生上危害を 生じるおそれのない処置を施さなければならないという規制がございまして、これはそ もそも非常に古い規制ではございましたけれども、緑青が猛毒だということが信じられ ていた時代に規制がされていたものでございますが、その後、緑青の毒性がそれほど問 題のあるものではないということが明らかになったわけでございます。  ただし、固有の光沢を有し、かつ、さびを有しないものはこの限りではないという、 少し例外規定みたいなものが現行の告知においてまだ残ってございまして、ここにいわ ゆる緑青の抑制をかんがみて例外の固有の光沢を有し、かつ、さびを有しないというも のについての、さびというのは緑青のことだろうと言われておりますけれども、今のと ころ製造時にこんな器具とか容器を製造することはないということもございましたので、 固有の光沢を有し、かつ、さびを有しないものというところは、固有の光沢を有するも のという言葉に置き換えまして、更に高温で使用することにより表面のメッキがはがれ るおそれのあるものはこの限りではないという文言を加えさせていただいているわけで ございます。  この高温で使用することにより表面のメッキがはがれるおそれのあるものを解除致し ておりますのは、いわゆる銅板でできた非常に高温で使うようなものであるとか、それ から、たこ焼き器といったようなものについて、メッキをしてありますとかえってスズ メッキがはがれて、そのまま胃の中に溶け込んでしまうという可能性がございますので、 これも現状と合わないということがございますので、この部分についても手当をすると いうものでございます。  以上、簡単でございますが、御説明を終わります。 ○西島部会長 ありがとうございました。  原材料一般の規格の改正と、製造基準の改正の案につきまして御説明いただきました が、これにつきましては、再度で申し訳ないんですけれども、河村委員がこちらでも研 究されていらっしゃいますので、補足がありましたらお願いいたしたいと思います。 ○河村委員 たびたびありがとうございます。参考資料2−1として、私どもの平成18 年度の報告書をつけていただいております。こちらでなぜ金属製のメッキ用のスズです とか、器具・容器包装を製造または修理するときに用いる金属、もしくはハンダの中の 鉛の含有量を下げるべきか、どのように下げるかということについて記載しているんで すけれども、先ほどの事務局の説明では現状がそうなっているからという話がありまし たが、必ずしもそうではなくて、まず、WHOで1986年に経口で食品を経由して摂取 する鉛の量が非常に高いので、これを引き下げるべきであるという勧告が出されまして、 いろいろなところで検討が進められていたと。食品の国際規格であるコーデックスで 2004年に食品中の鉛汚染防止及び低減化に関する行動規範というのが、これはその前か らずっと検討されていて最終採択されたと。それらの中で、食品も添加物もいろいろな ところで鉛を下げるべきだという話があるんですけれども、特に器具・容器包装につい ては原則として使用しない、できるだけ下げろということがしっかりと書かれていたと いうこともありまして、人為的に加えるというようなことはできるだけ食品用途には避 けるべきではないかということで、原則的には使用しないという書き方もあるかと思っ たんですが、ただ、使用しないと書きますと使用しないイコール検出しないととられて しまいますと、どうしても金属は鉛の不純物がゼロではないものもありますので、微量 まで測ると出てくる可能性もあるということで、どこかで線を引く必要があるだろうと いうことで、いろいろ検討させていただきました。  海外の基準でも数値がきちんと入っているものは非常に少なくて、原則として使用し てはならないという決め方をしているところが多かったんですけれども、米国のFDA の基準の中ではCFRでハンダ中の鉛は0.2%以下という決まりがありまして、それが 一つ参考になったことと、それから、JISの金属の中の鉛含有量を調べまして、食品 用途で使われているような金属の鉛含有量がどれくらいで規制されているかというのを 見ますと、一番高いもので1つ0.1%以下というのがあって、それ以外はもっと低いん ですけれども、そういったものがあったことから、0.1%以下であれば十分対応できるだ ろうということで、この数値を入れています。実際多くの金属製の器具・容器包装は使 わないということで実施されていますけれども、一部、研究班が始まった時点ではまだ あるのではないかということで、業界団体等いろいろ調査してくださったり、御指導を いただいたりして、規格改正が行われるまでにはこういったものは製造しなという方向 でいけるだろうということで、かなり思い切った数値ということで決めさせていただい たものですけれども、これは原則としては使わないという気持ちの表れの数字と考えて いただいていいかと思います。 ○西島部会長 ありがとうございました。  今回の基準の改正も数字的にはこのような大きな変更ということで、その科学的な根 拠について河村委員からも御説明いただきましたが、これにつきまして委員の方から御 質問あるいは御意見がありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よ ろしいでしょうか。  特に私も問題はないかと思います。特に御意見がないようでしたら、これで一応審議 をいただいたということで、器具または容器包装の原材料一般の規格ということと、器 具または容器包装の製造基準については可とするということで、部会報告書案を作成し た上でこれにつきましても次回の部会で報告書案を検討するということでよろしいでし ょうか。 (「異議なし」と声あり) ○西島部会長 ありがとうございます。それでは、議題2につきましては終了したいと 思います。  一応、審議事項としてはその2つでございますが、事務局からそのほかございますか。 ○光岡補佐 ございません。 ○西島部会長 それでは、審議事項は以上ということで、報告事項が1つ残っておりま すので、事務局から御説明をお願いいたします。 ○光岡補佐 それでは、報告事項といたしまして、報告資料で「割りばしに係る監視指 導について」という通知を、まだ案という形で御配付させていただいております。この 通知案につきましては、近いうちに各都道府県、各自治体に発出したいと考えているも のでございます。  この通知については、特に海外産の割りばしの製造過程で使用されている可能性のあ るもしくは使用される可能性のある防カビ剤や漂白剤の安全性確保ということで、平成 15年1月に監視安全課長と基準審査課長の両名の通知で発出しているものでございま して、平成15年に示した通知案については、当時試験法を明示するとともに、暫定的 な限度値というものを当時のFAO/WHO合同食品添加物専門家会合であるJECFAで 設定いたしましたADIの値を基に、1膳当たりの割りばしの溶出量を3分の1にする という限度値で設定されていたものでございます。勿論、当時の考え方としましては、 いわゆる朝・昼・晩ではしを使うということを考えてADIを単純に3分の1にして、 そこを暫定的な限度値とした上で、各事業者にそれを超えた場合には自主的な規制を行 うよう指導してきたというような通知でございました。  その後、監視指導の結果、当時二酸化硫黄だとか亜硫酸塩類については多少検出する こともあったわけでございますけれども、近年その残留実態をかんがみますと、残留量 もかなり減ってきているということもありまして、また、過去に検出したことがあるオ ルトフェニルフェノールについても、検出されたことがその後はないということもござ いまして、割りばしに係る暫定的な限度値を更に引き下げると。よって安全性の確保を 図っていくということで、今回この通知の発出する源になったわけでございます。  当然、試験法も報告資料の参考で、これも河村先生の方で実施していただきました研 究班の報告の中で試験法の改良を行っていただきまして、より感度のいい方法が開発で きたということもございましたので、併せてこの通知を出して、平成15年に出されま した割りばしの監視指導の通知を廃止して、新しい通知でより限度値を厳しくして、か つ、新しい試験方法で実施するというものでございます。  以上でございます。 ○西島部会長 ありがとうございました。割りばしに残留する防カビ剤についての御報 告ですけれども、これにつきまして、先生方から御質問・御意見ございましょうか。 ○神田委員 最後の措置というところで、こういった防カビ剤が検出された場合には、 実質的な措置等を指導するとなっているんですが、実質的な措置等というのは大体どう いうことなんでしょうか。 ○光岡補佐 勿論これは当然生産段階の中でそうした輸入業者から、例えば海外のいわ ゆる製造工場に対して申入れをするとか、現行出回っているようなものについての販売 を中止するとか、そうした諸々の措置を自主的に行ってほしいという意味での指導を各 都道府県等から行うという意味でございます。 ○西島部会長 よろしいでしょうか。  ほかに御意見・御質問ございますか。 ○早川委員 限度値で検出された場合というのは検出下限ということではなくて、定量 下限値以上になった場合ということなんでしょうか。 ○光岡補佐 実を言いますと、平成15年のときも「暫定的な限度値を超えた場合」と いう表現ぶりになってございまして、例えば、亜硫酸ですと12mgを超えた場合という 形になりますし、また、それぞれの……。定量限界でございますか。 ○早川委員 検出されたという言葉の意味は、定量下限値以上を指すのか、それとも検 出下限値以上を指すのか、どちらでしょうかということです。 ○光岡補佐 通知の5ページでございますけれども、定量限界がこれで示されています。 ○早川委員 定量下限ですか。 ○光岡補佐 はい。 ○河村委員 防カビ剤と二酸化硫黄、亜硫酸とでは違う形になると思います。防カビ剤 は検出されてはならないわけですから、この試験法の定量限界を超えて出てきたものは 検出されたものとなります。二酸化硫黄、亜硫酸塩は4mgという基準値があるので、 これが限度値に当たるのだと思います。限度値という書き方はあいまいなので、亜硫酸 の場合と防カビ剤の場合に分けて書くか、もう少し説明を加えておく必要があると思い ます。 ○光岡補佐 もう少しわかりやすい形で記載させていただこうと思います。 ○西島部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは、ただいま御指摘いただいたようなところを修正の上、この報告書を了承す るということにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。  それでは、そのほか、委員の皆様から何か御発言はございますか。  特にないようですので、次回の予定につきまして、事務局から御説明をお願いいたし ます。 ○光岡補佐 次回の器具容器包装部会は、既に御連絡は申し上げていると思いますが、 10月17日水曜日の14時から開催する予定となっております。場所及び議題につきま しては、改めて御案内させていただきたいと思います。 ○西島部会長 それでは、次回は10月17日ということでよろしくお願いいたします。  本日の審議は以上で終了したいと思います。今日はどうもありがとうございました。 (了) 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課     (03−5253−1111 内線2486) - 1 -