07/09/28 第6回介護施設等の在り方に関する委員会平成19年9月28日議事録 社会保障審議会介護保険給付費分科会      第6回介護施設等の在り方に関する委員会議事録 1.日時及び場所:平成19年9月28日(金)午後2時00分〜3時40分         ホテルメトロポリタンエドモント(2階「悠久」) 2.出席委員:天本、池田、井上、井部、沖藤、川合、神田(牧野参考人)、石川(小 島参考人)、木下、木村、高橋、田中(滋)、田中(雅)、対馬、中田、新田、前田、 山本の各委員  村本委員は欠席 3.議題  (1)これまでの委員会における意見等の取りまとめについて  (2)その他   ○依田総務課長より、人事異動に伴い交代した事務局幹部の紹介、本日の出席状況の報告が行わ れた。 (大森委員長) 皆さんのお手元に資料2というのがあり、この委員会の設置について、どうい うことをやるかということが書いてある。その設置目的があり、健康保険法等の一部を改正する 法律の附則第2条に介護老人保健施設及び介護老人福祉施設の基本的な在り方並びにこれらの 施設の入所者に対する医療の提供の在り方の見直し等を検討することが規定されていて、これを 踏まえて、これからのサービス基準、報酬等について、今後、介護給付費分科会において審議を 行うための基本的な論点の整理等を行うことを目的として、給付費部会の下にこの委員会が置か れた。  今まで、特に療養病床の転換についていろいろ議論いただき、いろんな作業は進んでいるが、 この委員会として介護給付費分科会、親委員会の方へ報告しなければいけない。その報告につい て今まで皆さんからいろいろ意見をいただいている。それを少し整理させていただき、本日はそ れを基に、あるいはそれに加えていただく形で、皆さんから自由に発言いただきたい。それを後 でお謀りし、恐縮ですがとりまとめさせていただいて、介護給付費分科会の方へ報告したいとい うことですので、よろしくお願いいたします。  介護給付費分科会は、本来、介護給付費の報酬について作業をやらなければいけないことが待 っているので、とりあえず論点を整理して報告をさせていただきたい。それが、本日の主たる議 題である。  それでは、一括して事務局から資料の説明をお願いします。 ○矢田地域ケア・療養病床転換推進室長より資料1、資料2、参考資料1、参考資料2,参考資 料3を資料に沿って説明。 (大森委員長) 今、説明あったように、何点かにわたって、相当介護施設の在り方を検討して いくと、住まいの在り方、サービスとの関係の在り方、何よりも医療との関係が出てきて、幅広 く施設の在り方について検討するということになる。今まで出た意見でもこのぐらいのことにつ いて詰めていかなければならない。  本日、ここにとりあえず項目的に整理したものに即して発言いただいても結構だし、加えても 結構です。少し自由に皆さんの意見をいただきたい。思い付いたことで結構ですので、お願いし ます。 (中田委員) 今まで5回、この委員会を開催して、介護施設等の在り方についていろいろ議論 してきた。先ほど冒頭説明があったように、この施設の在り方に関する委員会の目的が資料2に 書いてある。介護老人保健施設及び介護老人福祉施設の基本的な在り方並びにこれらの施設の入 所者に対する医療提供の在り方の見直し等を検討するということで、そのための基本的な論点の 整理を行うとなっている。特に療養病床の配置転換に伴う受け皿施設の在り方について、介護老 人保健施設の在り方の議論というのは、随分やったと思うが、介護老人福祉施設の受け皿施設と しての在り方については、ほとんど議論されてないと認識している。  ところが、前回6月20日の委員会で、この資料によると、追加支援措置という形で、療養病 床転換促進のための追加支援措置(案)というのが出た。その中で、医療法人など営利を目的と しない法人による特別養護老人ホームの設置ということで、医療法人など営利を目的としない法 人による特別養護老人ホームの設置を認めることにより、療養病床の転換先の選択肢を拡大する というのが、唐突に出てきたと私は認識している。そのことが結局報道機関によって大きく、あ たかもこれがもう決まったような報道をされた。  私は、療養病床の受け皿施設の議論というのは、随分なされたと思うが、少なくとも医療区分 1だとか、あるいは医療区分2の30%と言われる利用者が、結局転換先に移るという状況であ る。そしてその方は、多分に経管栄養だとか、喀痰吸引だとか、そういった軽度の医療が必要だ という方が何%かいる状況という、いろんな議論の中で、老人保健施設については、現状の老健 よりも医師の配置だとか、あるいは看護師の配置等々も含めて医療機能の強化された老人保健施 設が必要であるということで、議論の方向性が出てきた。  ところが、現状の老健よりも、医師の配置だとか看護師の配置が薄い、低い、特別養護老人ホ ームの受け皿施設としての議論が、もう全くと言っていいぐらいなされていなかった。  唐突に設置経営主体を拡大すれば、その転換促進が進むかのように、医療法人等による設置を 認めるというようなことが出てきたことで、これはどう考えても議論が本末転倒している。まず、 受け皿づくりはどうするのだ、どういう機能を持つのだということが議論されて、その後こうい う議論が出てくるならいいが、そういうものが全くなされないで、そしていきなり医療法人等に よる特養の設置ということになれば、我々特養関係者は非常に困惑している状況である。したが って、こうした議論の経過の中では、到底、今回の医療法人等による特養設置については賛成で きない立場である。  もう一点は、今回の療養病床転換促進のための追加支援措置(案)として出てきた、営利を目 的としない法人による特養の設置について、従来特養が担ってきた高い公益性の確保の点からも、 これらの設置に非常に疑問がある。  これまで特養ホームは、生活施設として位置づけられてきた。治療施設ではないために、利用 者の全体性だとか、包括的な生活支援を行ってきたが、そこが医療施設とは大きな違いだろうと 思っている。  特養ホームが従来築いてきた家族支援だとか、あるいは地域支援機能、社会福祉法人が社会福 祉法人としての低所得者に対する救済だとか、また、地域ニーズを先取りした先駆的な、開拓的 な、いわゆるサービスの開発と言われる福祉的な視点が、医療のようなある程度確立した領域で の治療運営の発想でなじんでいくものか心配である。  それを、一体何で担保していくのか、やはりきちんとした議論が必要である。  今回の療養病床配置転換支援措置としての議論のないまま、なし崩し的にこれを認めることは、 大変問題が多い。現状ではどうしてもこの問題については反対せざるを得ない。是非、今後もこ のことについてはきちっと議論していただきたいということを冒頭申し上げる。 (大森委員長) その経緯みたいなことについて、何か説明があるか。私たちに権限があってそ れを決めたわけではなく、医療法人に特養設置を認めるというのは、特にここで決めたわけでは ない。 (小関計画課長) 指摘のとおり、前回の委員会において、支援策の1つとして、医療法人が特 別養護老人ホームを経営することができるように、老人福祉法の一部改正をしたらどうかという 提案をさせていただいた。その後、いろいろ関係の方々からも様々な意見を伺っている。これか ら、少し時間があるが、よく相談をさせていただきながら、関係者の合意形成に努めていきたい。 (大森委員長) ということです。 (中田委員) 是非こういうことについて、しかるべきところで議論していただかないと、これ はもう決まったという報道がなされているから、やはり会員等関係者から、かなりいろんな問題 点が指摘されているのでそのことを要望する。 (大森委員長) わかりました。 (木村委員) 論点をまとめていただいて、私どもとしては、これでいいのではないかと思う。  ただ、介護職の医療行為の在り方、介護施設の職員配置の在り方については早急に検討すべき である。特に介護職の医療行為に関する検討というのは、2005年の参議院厚生労働委員会附帯 決議に基づき早急に明確な期限を設けて検討を進めていただきたい。 (大森委員長) どうぞ。 (木下委員) 最初に1ページにある「○ユニットケアの理念・効果・人員体制などを検証すべ きである」というところで、何回か意見したが、実際にはどういう方法でこれを検証していくの か。利用者の現状とか意向というのがいまだに一つも表われてきてない。具体的にいつまでにど ういうことでやろうということを検討すべきだ。既に一部の県では、新規の個室ユニットケアは 認めないというところも出てきている。中央で考えたとおりにいかないということもあるので、 その辺ははっきりと検証すべきである。  ユニットケアについては、どこでも検討するところがないというか、担当部局がやればできる 仕組みになっているようなので、社会保険庁がグリーンピアをつくったときに、健康保険のお金 をそういうところに使うのはけしからぬという意見は随分出たが、お上の言うことに文句を言う なというような態度を、その当時我々は経験しているので、是非そういうことのないようにお願 いしたい。  ここにはないが、コムスンのことで随分世間を騒がしている。介護給付費分科会で、質の担保 をどうするのだという話が出たことがある。  その時に、当時の総務課長は、とにかく質よりも量の整備が先だということで話が進んで、そ のままになってコムスンのような事件が起きた。この辺も今後十分に検討しなければいけないこ とである。  当時は、お金を取ってサービスがないのは沽券に関わるというか、とにかくサービスの量だと いうことで話が進んだので、非常に遺憾である。  2ページ目の「3 介護サービスの在り方について」の2つ目の○に「転換をする時の手続き 制度の簡素化を図るべきである」とあるが、転換するときに限らず、制度自体の簡素化を図るべ きだという意見を言ったことがあるので、転換時に限らず議論したい。  転換については、老人保健施設に転換する場合は8平米というのが、当初は絶対条件になって いたが、老健の8平米というのにどういう意味があるかが、あまり検討されてなかった。介護療 養型医療施設の4人部屋を3人にしてしまえば、1人当たり8平米になるという話だったが、数 だけ8平米であっても、実際に使い勝手がどうなのか。8平米で利用者にどういうサービスがで きるのかということが検討されないで、ただ、8という数字だけが一人歩きしていた。例えば8 平米なら車椅子が自由に使えるとか、そういうことがはっきりわかればよいが、数字だけという のは余り意味がない。  簡素化ということで、介護保険全般にわたり、個別の名称が非常に長くわかりにくい単語であ る。例えば施設で指定介護療養型医療施設というとても長い名前になっているが、状態を全部名 前にする必要はない。なぜ指定がつくのかなというのも最初に話したが、指定しないと介護療養 型医療施設にはなれないので、指定が要るのだという話だった。名称の簡素化というのも必要で ある。  介護老人保健施設についても、別に介護という言葉がなくてもわかるような気がする。  特別養護老人ホームと介護老人福祉施設、名称が2つあるが、実際にどっちがどうなのか、最 初にできたときの法律が違うから名称が2つあるという話だったが、その辺は同じ局の中なので 整理できないのか。  もう一つ、ケアマネの再研修が始まったが、かなり長い時間が費やされている。その間は、こ の人たちは現場を離れるということで、研修の内容も本当に実際必要なのかどうかという検証も 要るのかと思う。  介護サービスで事故が起きた場合は行政へ届けるということで、この内容も何を届けるかとい うのは、地域によってばらばらのようだ。行政に届けた報告書がどういうふうに活用されて、あ るいはフィードバックされているところが全く見えていないので、これが本当に効果のあること か検証すべきだと思う。  今般始まった情報開示について、多分施設サービス機関側は年間50億円程度負担していると 思う。これの効果だが、利用者が本当に利用しているのか。その辺の効果は検証していく必要が あるのかと思う。  その辺が、どんどん仕事は増えていって、現場でケアにかかる時間が減っていくかなという気 がしている。  最近は、介護の労働者が集まらない、施設が定員分開けないという例も出ている。景気がよく なって、全般の賃金が上がってきている状態で、今後介護労働者が集まるのか。在宅についても 施設ではなくて在宅で看ていくという方向が打ち出されている。実際に介護労働者が集まるのか どうかということ、賃金あるいは地域差も含めて、ただただ財政面で介護保険の給付を下げると いうことだけでは今後済まない気がする。その辺の社会全体の構造との関係で検討していくべき だ。  最近、日大の人口研究所が、家族介護力の低下というデータを出している。日本の2005年の 家族介護力は71.8%、これが2050年には40%に下がる。これは家族の介護力ということだけだ が、こういう状態で実際に介護が進んでいくのかということで、外国から入れればいいのではな いかという話がよくある。フィリピンがよく話に出てくるが、これが2005年で200%ぐらいの 家族介護力があるそうだ。これが2050年には100%に下がるということで、海外から安易に介 護力を入れようということもだんだん不可能になってくる気がするので、この介護保険というも のを社会全体の中で広く考えていく必要がある。 (大森委員長) 指摘のうち、量も確保する必要があるが、質をどうやって確保するかというこ とと、今、最後の方で指摘の家族介護力の低下と同時に介護労働の現場の話が相当程度出てきた。 そちらの方はむしろ給付費分科会の本来のテーマであるので、そちらの方できちっと議論するな り、あるいはちょっと先走るようだが、今の報酬で本当にいいかということを含めて、この機会 に検討すべき情勢にあるのではないかと、私も個人的に思っている。したがって、今の発言のう ち、幾つかについては、給付費分科会の方で検討せざるを得なくなる。  名称等については、法律用語になるとわけのわからないものはいっぱいあり、これは役所がよ くないのか、内閣法制局がよくないのかわからないが、ともかく普通の世間ではまず使わない、 通用しないような言葉で言っている。前々から私も気になっている。今の舛添厚労大臣はわかり やすい言葉を使う大臣ではないかと思うので、この機会にそういう名称等についてもわかりやす い表現を工夫していく機会ではないか。   (池田委員) 給付費分科会の方で受けて、きちんとした議論をすることになるので、このまと めでいいと私は思うが、読み方の問題として2つほど気になるところがある。  1つは、一番最後の「介護施設においてもサービス構造に応じて効率的、重層的保険給付体系 としていくべきである」。何かわかったような、わからないような表現である。実はこの保険給 付を重層的にするというのはわかるが、保険給付だけなんだろうかという問題意識が要ると思う。 ちなみに、確かに介護報酬が低きにしして、ワーキングプアー化しているという議論があり、そ れは本当にきちんと検討しなければいけない問題だ。  私は、ほかの国は一体どうなっているのか調べてみた。御存じのとおり、日本の場合は特養で 大体28万円ぐらいの給付である。老健で30万円ぐらいの介護報酬ということになる。ドイツは 23万円なのである。今、全部要介護5のことを言った。フランスは、個別自立手当の性格がち ょっと違うが、10万円を切る。韓国がこの4月に介護保険的なものをつくったが、それが要介 護5の一番重いところで16万円。そうすると、日本は介護報酬がとびぬけて高い。  これは、どういうところに意味があるのかなと考えてみると、割と簡単で、システムが全然違 う。つまり日本の介護保険は、施設給付に関して介護部分については100%介護報酬から払うと いう形を取っている。完全給付である。  ところが、ほかの国は部分給付である。つまり、例えばドイツでは要介護5が23万円の介護 報酬、それで施設がやっていけるのか。やっていけるはずがない。ということは、ケア費用の全 額を払っているわけではない。それは、自己負担という別な形で本人が払っていることになる。  多分これがこれから非常に大きな問題になると思うが、私の考え方としては、日本の介護保険 の介護費用に関しては完全給付という考え方は、ある意味ではぜいたくかもしれないが、非常に すばらしい考え方だ。それは厳守すべきだと思うが、だからといって付加価値サービスの料金徴 収はだめだということにはならないのではないか。  介護報酬を一般的に上げれば、ワーキングプアーが解消されるという単純な話ではなくて、仲 間の財布である介護保険の給付、そのほかに自分の財布から出すものはないのかとか、そういう ふうに考えていかなければいけない。  もっとはっきり言うと、有料老人ホームやグループホームでは、かなりそれがフレキシブルに なっている。であるとするならば、3施設についても最低限の介護費用そのものは介護報酬で保 証するにしても、付加価値サービスについてはある程度自由料金のような形にして、それが3施 設の収入を支える。あるいはスタッフの待遇、賃金というものに反映していく。そういう形を取 らないと、団塊の世代があと15年後に75歳になったときに、制度がもたない状況になるという 問題意識が必要である。  実は介護保険の一番不幸なことは何かというと、介護保険を社会福祉だと思っている人がまだ 多くいることだ。介護保険は社会福祉ではない。これは社会保険である。ところが、言ってしま えば福祉的要素というものを引き継いでいるから、その切り分けがうまくできていない。福祉的 要素が必要な人たちには、それは非常に役に立つが、それが必要でない人たちにとっては、むし ろ過剰給付になってしまうことがある。そこのところの整理をどうするか。この意見の中の1ペ ージの1の4つ目「○例えば、特別養護老人ホームとはケア付き住宅なのか、低所得者のための 福祉施設なのかなど、施設ごとの位置付けを踏まえた検討が必要である」ということが書いてあ る。それは社会福祉施設なのか。それとも介護保険施設なのか。両方ごちゃごちゃになっている ので分けた方がよいという議論もあるので、そこの整理を引き続き給付費分科会でやるべきでは ないか。  もう一つの件は、医療との関係である。ここに書かれていること、それ自身は、私は賛同する が、実態がどうなのか。2000年から今年の4月までの各サービス別の給付の伸びをずっと分析 してみた。そうすると、訪問介護も通所介護もいまだに伸びている。ところが、施行以来全く伸 びていないサービスが2つある。それは訪問入浴介護と訪問看護である。  訪問入浴介護は別にして、訪問看護は極めて重要である。これがないと在宅というのは支えら れないケースは幾らでもある。これが全く伸びていない。これは一体どこに原因があるのか。い ろんな原因があると思うが、この訪問看護を押し上げていく政策誘導を取らない限り、実は医療 との関係はいろんなことを書いても絵に描いた餅になってしまう。  欧米の高齢者ケアを見てみると、中心部隊は明らかに訪問看護婦である。これが中軸になって 動いている。ところが、日本ではそうなっていない。どこに原因があるのか。介護報酬自身はそ れほど低いものではないから、どうも報酬の問題ではなさそうである。そこを具体的に解決する 手立てというものを、きちんとこれからつくっていくべきだ。差し当たりその2点、非常に重要 な点として申し上げたい。 (大森委員長) 事務方、今の指摘の3ページの最後の、歳出構造に応じた重層的保険給付体系 って、若干これを解説すると、今、池田さんがおっしゃたようなことか。それとも何か付け加え ることがあるか。少し難しい表現になっているという指摘だったが。 (天本委員) これはある意味で医療保険と介護保険と年金保険におけるそれぞれの給付に応じ たものを、一体的にトータルケアサービスを、在宅サービスだとそのような形になっている。在 宅の介護保険の給付と施設の介護保険の給付について、例えば医療の面において、施設の場合は 医療サービスまで介護保険給付に含まれている。在宅の場合はサービス構造に応じて医療保険と 介護保険と年金において給付されている。  介護の場合に、これから十分検討していかなければいけない。私には理解し難い。本来なら、 やはり介護給付の中身について、もう一度きちっとした議論をしないと、今回の転換型において も、この医療の部分をどう位置づけるのかという部分が不明確である。  この中においても、介護施設の在り方に関する委員会などにおいても、介護保険給付費分科会 でこれから議論するが、医療のことまでここで議論するのか。医療については中医協という場が あるということなので、要するに給付の中身のきちんとした議論ができてないという部分を、こ れから議論していただきたい。 (大森委員長) 事務方、よいか。   (井部委員) 池田委員が御指摘になった訪問看護のサービスの伸びが低いということは、私に 言われているような気がしている。確かに訪問看護サービスで、訪問看護師の数が伸びていない ことと、訪問看護サービスの利用が少ないということに関しては、これはなぜなのかということ をきちんと調べて、その対策を積極的に取っていくことを考えていただきたい。  そうしないと、医療との関係で、訪問看護師の担う役割が非常に多いわけで、もっと積極的な 対応策をとるための調査というか、対応を行うことを要望したい。   それから、4番の医療との関係について意見を言いたいが、例えば3つ目の「○特別養護老人 ホーム等における医療処置の必要性が高い方へのケアはどのようにすべきか」ということで、確 かに医療処置を必要とする方は、この資料でも経管栄養や喀痰の吸引、膀胱カテーテルといった ようなことが挙げられている。経管栄養あるいは医療をつくるといったような、いわゆる医療処 置が適切なのかどうかで、これは病院の医療の在り方においても検討すべきことではないかと思 う。それはここではないと言われると、ちょっと違うのではないか。つまり、医療処置が本当に 適切に行われて、それが介護サービスに及んでいるのかどうか。あるいは在宅のケアに来ている のかどうかという議論をきちんとしておく必要がある。  もう一点は、4番の2つ目の○である。介護施設の入居者が必要なときには、夜間や救急時の 対応体制、それから急性増悪のときの後方支援病床の確保が必要ではないか。そうした後方支援 病床を確保できる仕組みの必要性についても言及しておきたい。 (大森委員長) 訪問看護が伸びない理由は、全部ではないが、センターに看護師がいなくなっ ている、人がいないという事態が起こり始めている。看護師たちはどこに行ってしまったのか。 いなければ、サービスを行いようもなくなってくる。だから、今のように池田委員、井部委員も 御発言があったように、実態がどうなっていて、どうしてそういう事態なのか。恐らく訪問看護 のようなことがしっかりと形成されていって、きちっとサービスが行われないと、やはり池田委 員からご発言あったように在宅できない。だから、それは事務方の方もきちっと調べてみて、ど こが隘路になっていて、どうすればそれが伸びるのかということを早急に検討すべきである。 (鈴木老人保健課長) 私どもも全く同じ問題意識を持っていまして、今、地域で働いておられ る看護師、もしくは助産師等の平均人数を1,000人当たりで見ると、日本は大体0.4人ですが、 スウェーデンとかフランスだと約その10倍、地域で看護師が働いているので、圧倒的に人数が 足りないのです。  私どもの方も、今年から来年にかけて、委員長がおっしゃったように具体的にどういうところ が増やしていく際にネックになっているのかということを研究しており、モデル事業も含めて、 看護協会や訪問看護事業協会の御協力を得て検討していきたいと思います。 (大森委員長) ほかに、どうぞ。 (山本委員) 1つは、特養に入ると入ったらそこにお任せなのか。というのは、特養に入って いる人たちは介護認定を受けている。そうすると、それぞれの基準があって、それぞれの人々に 対して、要介護1とか2とか3とか出るわけである。そこまではよいが、私が知っているところ で、全員車椅子である。わかりますか、全員車椅子です。車椅子が一番体を悪くするというのは おわかりでしょう。だから、そういう支援に入れば、例えば、まだ20年ぐらいは元気でいける 人が、5年か10年で亡くなってしまう。車椅子が一番体力を落とすものになっている。必要な 人は必要ですよ。ところがみんなだから、そういうのは基準をつくって、こういう人には車椅子 は使用させない。できるだけ動くことである。  だから、そういう基準を施設内でつくるか、そういう制度をつくるか。あるいはこちらで決め た基準をつくるか。どちらかにしないと、何のために施設に入っているのか。そういう点をひと つ考えてもらいたい。  もう一つは、今から検討していくことになるが、書かれてないことが1つある。何かというと 保険料である。御承知のように税制改正になってから、高い人は4倍以上も保険料が高くなって いる。  それから、少ない人で1.8倍ぐらい保険料が高くなる。これは勿論、所得の額によるが、今日 それを話すと時間がかかるので省略する。逆に激変緩和がそういう人たちに反対の影響を与えて いる。だから、調査をして、倍率の高い保険料になるところは、何とか緩和をしないと、これか らそういう施設に対する対象者、あるいはまた保険料を払う人たちに悪い影響を与えることにな る。  調査してみて、本当の激変緩和をして欲しい。激変緩和が逆の激変緩和になっているというこ とがあるので、その辺りをもう一回調査したらどうか。 (大森委員長) 総務課長、何か発言はあるか。 (依田総務課長) 2つありました後の方はまた介護保険課長の方から話があると思うが、最初 のものについては、特別養護老人ホームでは、車椅子に座らせているところがあるということし た。これはむしろ中田委員の方からお話いただいた方がいいかと思うが、寝たきりにせずに積極 的に起こしていくということかもしれない。歩ける方を無理やり車椅子にさせているということ では必ずしもないと思うが、その辺りはよくケアの質について、施設側でもいろいろと考えがあ ってのことであろうと思うので、一概に車椅子に全部乗せているのが悪いということではないと 思います。その辺りはまた施設の方でもお話していただけるとありがたい。 (大澤介護保険課長) 2点目の保険料の話ですが、これについては、本日も御出席いただいて いる田中滋先生に座長をしていただいております、保険料の在り方検討会というところがありま す。その中で、短期的な問題・中期的な問題を含めて、それを真剣に受け止めて議論していただ きたいと思っているので、御理解いただきたい。 (大森委員長) ほかに、前田さん、どうぞ。 (前田委員) 先ほど訪問看護の重要性という話があり、そこに戻らせてもらうが、本日の参考 資料の14ページと15ページに訪問看護に関するデータを今日読んでいて、和歌山県と福井県と いうのが、事業者数は特別多いわけではないが、10万人辺りの看護の訪問回数が極めて多い。 この点について、どういう事情があるのか。事務局ないしは委員の先生方で御存じの方がいまし たら、少し教えてください。 (大森委員長) 事務局の方で、何かあるか。 (鈴木老人保健課長) 14ページと15ページに関する指摘ですが、14ページの方は絶対数とし ての事業所数になっていますので、これは人口当たりというよりは当然人口が多い県であれば事 業所数が多くなります。15ページの方は、高齢者人口10万人当たりの訪問回数ということにな っていますので、人口で割り戻したことになり、両者は一緒ではないということです。多分お尋 ねは、それはそうだとしても、例えば和歌山、福井のように活動性の高いところと、逆に富山、 石川のように非常に低いところがある、その違いはなぜなのかということだと思います。  それは先ほど申し上げた研究なり検証で、恐らくは少し規模を大きくしていって、きちんと地 域の医療機関とともに協力してやっていって、薬局とも協力するという体制ができているところ は活動性が高いと思いますので、その辺を検証させていただけたらと思います。 (大森委員長) どうぞ。 (川合委員) まず1点目、1ページの1つ目の○に「見守り」と書いてあるが、これはどうい う言葉の定義なのか。それが1つです。  それと、いろいろ先生方の御発言をお聞きして、池田先生の訪問看護の重要性は、まさしくそ のとおりだ。今、担当課長が御発言になったから後追いのようになるが、パリアティブケアをし ているところを、この1週間ほど前にヨーロッパ、ロンドン、ダブリンで見てきたが、やはりパ リアティブケアにしても、在宅へと向かっている。  その中で、何が主力かというと、やはり訪問看護である。そういう意味で、私は御提案のあっ たように大規模な調査を、原因が何なのかということを調べていただきたい。  ちなみに、私の法人のことを申しますと、実は介護保険ができる前の方が在宅訪問看護が黒字 でした。それが介護保険ができてから赤字になりました。なぜかというと、これはいろいろ議論 があるところだが、看護職にケアマネージャーになってもらった。そうなってくると、その所長 さんが動けなくなる。それで、訪問看護の回数ががくんと減った。  そういう意味で、私はそういうところの構造的なものもある。  それと、池田先生の2点目、本当におっしゃるとおりだと思うが、ただ、この自己負担の導入 が行き過ぎたときに、いろいろな主張がある。混合診療との問題をどう整合性を付けていくのか。 行き着く先で自由選択になってきたときに、そこまで議論が進むのか進まないのかという点も配 慮しながら議論しないことには、先ほど天本委員がおっしゃったように、医療の問題は医療でと いうことに帰着しない。  それと中田委員がおっしゃった、確かに議論の濃度的には特養が少なくて老健が多かったが、 老健も過去2回発言したように、それと次の10月12日出てくると思うが、8月1日付で座長あ ての意見書を提出いたしました。そこで老健の思いのたけの3分の1、残り3分の2は何だとい うことになるが、3分の1言っているので、10月12日の日にまたその点は話したい。 (大森委員長) どうぞ。 (池田委員) ただいまの発言、大変重要だと思うので、ちょっと付け加えさせていただきたい。 医療は混合医療は禁止されている。介護は混合介護は認められている。大変大きな違いである。 その違いは、簡単に言うと命には値段がない。しかし、生活には値段があるという考え方といっ てもよい。  だから、御指摘のように、言わば1つの基準までは全部保険給付するにして、それ以上は自分 たちの選択と負担で選んでいくというのが、これは生活範囲の話であって、それを医療に安易に 持ち込んではいけない。このことを前提としていて、そちらの方に波及することは非常に避ける べきである。誤解を避けるために付け加えておきたい。 (大森委員長) 先ほど見守りの話が出たが。 (矢田地域ケア・療養病床転換推進室長) 「見守り」の定義についてですが、特別に定義があ るわけではありません。恐らく皆様の御発言の中でも出ている見守りというのは、例えばインフ ォーマルな形での安否確認ですとか、そういうものを指しておられると理解しています。 (川合委員) 池田先生の御発言、本当にそのとおりだと思っている。それと今の定義の点だが、 見守りというのと、これから議論が進むであろう看取りという点を混同した表現が輻湊すると話 がややこしくなるので、その点の定義をきちっとなされているかという確認です。 (大森委員長) どうぞ。 (天本委員) 池田省三先生の意見に私も追加するが、要するに医療と介護というものは根本的 に違う使命がある。そういう意味において、それを一体的に介護保険の給付の中に入れ込むこと 自体、非常に無理がある。要するに、介護施設の中で、本来受けられるはずの医療というものに 制限が入るという構造そのものが見直しされるべきではないか。例えば居宅と言われて、多様な 住宅でも自由に医療が受けられるのに、介護施設に入るということで要介護度ごとに医療までが 制限されてしまう。この仕組みをどうにか見直していただきたい。  それから、今回介護施設の在り方というものは、医療療養病床との関係が非常に大きいわけで ある。医療療養病床の中に医療区分が導入されたということだが、この医療区分導入という部分 において、今、検証しているということで、分科会からは報告があった。  そこの中で慢性期入院医療の包括評価調査分科会の池上分科会長は、介護療養病床というもの が廃止という大前提ではなかった。そういうことで進められた。政策的にこれが強引にその大前 提を覆した形で進んだということをきちんと報告をされている。  したがって、医療療養病床が医療区分1、医療区分2の30%がそのまま介護施設で受けられ るという大前提でこの会が進んでいることに対して、我々日本医師会でも主張しましたように、 医療難民、介護難民という形が生じるおそれがあるということで、政策的判断そのもの、例えば 医療区分1というものは、これは議事録を見ていただければわかるが、決して医療の必要性がな いという形で医療区分1が決められのではなく、単なる医師の関わる時間と医療処置が少ない患 者を医療区分1とした。ところが政策的に医療の必要なしと判断されて値づけがされたことで、 これについての検証はまだ中医協で終わってない。報告だけなされて、順序性においては了解さ れたが、生活機能の評価が不十分である。我々日本医師会においても、高齢者医療の在り方とい うのは、生活を支える医療であるので、介護保険と医療保険の一体的な提供というのは非常に重 要であるという位置づけにしているので、ここの部分については検証をした上で、その受け皿と してどうなっていくか。  現状と、これから将来にわたってというのは、例えば介護職員の医療処置ができるようにする のかという法的な整備の問題もあり、教育の問題も入るだろうし、当然時間がかかる。現状と将 来像をきちんと分けた段階で、段階的に、計画的に、この介護施設における在り方、医療の在り 方というものをきちんと議論していただかないと、現場が非常に混乱すると思われるので、その 点、今後も十分な注意を払って、議論と政策とが連動するようにやっていただきたい。  池上分科会長は、医療区分1の在り方は介護保険施設の医療の在り方と密接に関連するので、 所管する部局に対して整合性・連続性を図るよう要望すると明確に報告をなさっているので、そ の意識は是非忘れないでいただきたい。   (大森委員長) どうぞ。 (沖藤委員) この委員会は、介護型療養病床群を介護施設等に転換するときの在り方を検討し ていると思うが、今日出てきたまとめの2ページの「2 高齢者の住まいについて」とか「3 在 宅介護サービスの在り方について」を見ると、いわゆる在宅復帰というものも視野に置いた病床 転換を考えているのか。  私がわざわざ言うまでもなく、今、一人暮らし、老夫婦世帯、高齢者が高齢者を介護する、病 人が病人を介護するという、老老介護、病病介護と言われるものが増えている中で、まず最初に 在宅以外の、特に(2)の将来像に合わせたケアシステムを検討すべきであるといったときに、一体 どういう内容のものを私たちはイメージすればいいのか。これかちょっとわからない。  特に介護サービスの在り方のところで、自己完結型のケアから地域内完結型のケアに向かうべ きだと書かれていて、それは本当のそのとおりだと私も大賛成だが、現実に私の友人の例などを 見聞きすると、いわゆる妻として家族がいるがゆえに生活援助が大変カットされる。その妻も老 いていて足腰痛くてどうにもならないが、家族がいるのだからという形で在宅がなかなか受けら れない。共倒れ寸前の状態であると聞きくと、やはり病床転換の中で在宅のところを相当詰めて 国民にわかりやすく書いていただかないと、ちょっと不安だ。いわゆる介護型療養病床群が出さ れる。出て行かされて、その後の生活援助的な支援が手薄だということに対する不安というのは、 抜き難く私たちの周囲にある。  それからもう1点、先ほど訪問看護のことが話題になっている。これは転換とは関係ないかも しれないが、在宅で年寄りを診ている者にとって、お医者様の診察というのは非常に重要である。 だから、今、在宅支援診療所が随分できていて、今後、非常に期待されるものであり、医療の部 分での医師の訪問医療にも力を入れていただきたい。  あともう一点付け加えると、リバースモーゲージが出ているが、リバースモーゲージはもう 20年ぐらい前に武蔵野市が始めて以来、いろんな市町村に広がっていないわけで、その原因と しては、いろいろなことが言われている。20年言われてきて広がらないものを、またここで言 葉として入れるというのは、いかがなものか。今後厚生労働省としてリバースモーゲージを積極 的に推し進めていく何らかの方法論をお持ちなのか。あるとすれば教えていただきたい。  以上、生活支援がカットされている現状から、在宅医療の問題、リバースモーゲージのこと、 3つ申し上げた。 (大森委員長) 最後の論点は、武蔵野市は比較的早くから導入したことで全国で有名になった が、今のような御意見であると、この中に括弧を入れて、20年普及しなかったことについても 検討を要すると。 (古都振興課長) 最後のリバースモーゲージにつきましては、今、委員長が言われたように武 蔵野方式とかありましたが、単純なやり方ではなかなか難しいのではないかということで、最近 はいろいろ工夫されています。例えば高齢者住宅財団、国土交通省などが一緒になりまして、お 年寄りに持ち家がある場合、これを若い方に貸家として貸し出し、そして自分自身は町中にある 高齢者向けの住宅に移るなど、所有権は残しながら資産を活用するという方法も、リバースモー ゲージという言葉を少し広めにとって考えれば、こういうことも考えられて、少し進んでいく方 向にあるのではないかと思っています。  いずれにしても、武蔵野方式からのさまざまな反省とか、今、申し上げたような新しい仕組み も出てきていますので、高齢者の住まい方の選択肢を増やすという中で、リバースモーゲージと いうのは議論として考えていってもいいのではないかと思います。  この中でも委員の方から御意見もありましたように、我々としてはそういうもののバリエーシ ョンをいろいろこれから考えていきたい。  先ほど生活面でのお話が少し出ていましたが、これは我々が従前から申し上げているように、 家族がいるから生活援助ができないといったように、一律に決めていることは決してなく、通知 上もきちんとしたケアマネージメントにおいて、家族がいても生活援助が必要かどうか判断して 欲しいということを、我々も常々言っていますので、その辺についても引き続き徹底を図ってい きたい。   (沖藤委員) 今の話はそのとおりだ。今後、政策として決まっていっても、現場に浸透してい ってないということによる不安であると私も承知しているが、やはり現場に浸透してこそ初めて の制度なのである。 (大森委員長) どうぞ。 (田中(雅)委員) 2ページにある介護職の医療行為の在り方については検討すべきとあるが、 是非私どもとしても進めていただきたいと訴えたい。  少し現状に触れるが、平成17年7月に、原則として医行為でないものとして、例えばつめ切 りや軟膏の塗布、服薬の介助など、一定の状況の中で、16の行為が示された。これを踏まえて、 私ども日本介護福祉士会東海・北陸ブロックの7県において、今年の2月に実際の現場における 状況を再調査した。  そうすると、例えば経管栄養ということ自体が医療行為と解釈されている。だが、実際は経管 栄養のための濃厚流動食の準備や実施というのは、介護福祉士が行っている。介護福祉士の比較 的配置替えが少ない特別養護老人ホームでは60%の介護福祉士が行っていたし、また老人保健 施設においても40%、療養型病床群においても49%の介護職がそういったものに関与している。 いずれにしても、そういう多大なデータから見た実態というか、在り方について、本当にあるべ き医療ニーズの高い人たちの本当にあるべき姿を支援していくことを考えていくべきである。  併せてだが、これまでずっと介護人材不足のことを言われている。実際、私どもの周辺におい ても、例えば施設の方の人材不足のために、デイサービス事業を閉鎖するといった事業所も出て きたという声を聞いている。そういうことを考えると、当然量的な不足ということに対する対応 をしなければいけない。一方何よりも昨今言われている終末介護だとか、ある認知症ケアという ことを考えると、質の高い人材の育成ということが大事だ。  あいまいな質の高い人材の育成といったものではなくて、実際、既に国の方で検討している、 介護職のキャリアパスの支援というものを、きちんと制度として国としても支援していただきた い。そのことによって、やはり大事なことは、利用者の方々の安全と安心、高齢者生活を支える ことが可能である。何よりも安心のための介護人材の養成を図っていただきたい。  また、安易に介護労働者が不足だから、どこかから人を寄せるということではなくて、もう既 に潜在の介護福祉士も五十数万人のうちの4割いるという実態があり、さまざまな理由をもって 働けない、あるいは働いていないという実情がある。そのことを考慮しながら、潜在介護福祉士 の活用も図って、キャリアパス支援というものを、国がきちんと制度として進めていただきたい。 (大森委員長) どうぞ。 (天本委員) 追加で、これは本日か昨日だか、厚生労働省が通知で、介護施設の安全対策とし て、この経管栄養などのケア手順の遵守を求める事務連絡を送出している。法律的には資格要件 として、行為としてできないことになっている。それで、安心して働けないわけである。それを、 実態として40%も60%も介護職員がせざるを得ない。これは本当に現場で必要としてやられて いるのだろうが、やはり事務連絡、通知でなしに、きちっと早く対応する。安心して働ける職場 ということで、今でも介護職員は少なくなっている。こういう不安な職場に今後入ってくるはず ない。そういう実態を直視して、具体的に行動をしていただきたい。  そのためには、やはり教育体制でも、法律改正でも、時間がかかる。この手順をきちんと踏ん でいかないで、経管栄養の要介護者を介護現場に、どんどん送ってくるというのは、非常に介護 現場をますます混乱させる。 (大森委員長) どうぞ。 (田中(滋)委員) 資料1の「これまで発言のあった主な意見」は、よくまとめられていると 思うので、原則これで結構だ。ただし分科会に報告する際、次のような点を意識していただきた い。  それぞれの項目立てはいいが、この中には理念レベルの話と、ものすごく実務的なレベルの話 が入っている。例えば「住まいの名称如何にかかわらず、介護サービス・医療サービスの使いや すさは差がない」、これはいつも正しい理念であり、自己完結型、施設完結型から地域内完結型、 これも理念である。  一方、ユニットケアの人員体制を検証すべきとか、手続の簡素化を図る。これは実務の話であ る。それら双方に触れてはいけないと言っているのではなくて、整理されずに混じっている点が 問題である。  それから、喫緊の課題、今のお二人の御指摘になった、あるいは何人かの方が御指摘になった、 介護職の医療行為の在り方などは、急ぐべき話であり、グループホームにおける生活保護支給と 補足給付の整合性、これも急ぐ話である。  一方、さっき池田先生が言われたように、団塊の世代をにらんで、2020年ぐらいを目標とす る話、住まいの全体の整備の方向は長期の話である。施設であっても、地域ケアの一環として、 これは明日つくれと言っても無理なので、少し長期の話がいろいろ混じっている。したがって、 読む方、受け取る方としては、ここは項目別に分けてあるが、理念の話、実務の話、喫緊の課題、 長期の課題が混じっているので、整理すべきである。  文章として1つだけ、3の「転換をする時の手続き制度の簡素化を」は、何から何に転換する と書いてないと、多分療養病床の転換だろうと思うが、介護サービスの在り方という枠組みの中 で転換とは、ほかにも転換はあるので、何から何なのか、ここだけ説明を加えたらいいと感じた。  別なことでもう一個、医療機関による特養という話だが、これは確かに重要なテーマである。 世の中に大切な貢献をしてきた社会福祉法人と、その社会福祉法人の重要な一部である特別養護 老人ホームの話が一方であって、もう一方で、これも池田先生が指摘された普遍的な社会保険制 度の中における介護老人福祉施設が、本当に同じかどうか、両者は違うとは言えないが、片方が 包摂する関係にあってもいいわけである。特養と介護老人福祉施設は、今まで当たり前のように 同じであったが、もしかしたらそれぞれの根拠法の違いも含めて、これからきちんと検討すべき だと、先ほどの中田委員の意見に私も賛成である。   (大森委員長) どうぞ。 (天本委員) 追加で補足給付のことだが、今回介護施設で居住費、食費を外したということで、 これは住宅扶助という問題で、グループホームなどにおいては、これは生活保護費として家賃の 実費を住宅扶助している。これは、かなり限定的に厳格な所得調査というものをしている。  今回の補足給付というものは、申請すると非常にスムーズに受けられるということがあって、 その問題と、もう一つは財源の問題で、生活保護は全額公費、それを保険給付ということの問題 をきちんと整理していただきたい。 (大森委員長) どうぞ。 (木下委員) 今、田中委員から御指摘あったが「3 介護サービスの在り方について」の2つ 目の○に「転換をする時の」と書いてある。ここを削ってもらって、もっと広い意味で、転換も 含めて、制度全体の簡素化ということでとらえていただきたい。  それと、前回は保険局の深田参事官が来られていたが、今回は保険局の方はおられないので、 介護保険で提供する医療と、医療保険で提供する医療の境と格別、どの辺を守備範囲にするかと いうところが、現場では問題となると思うので、その辺の連携がうまくいくようにお願いしたい。  先ほどから在宅支援で、訪問看護が少ない、在宅支援、診療所の問題も出てきたが、訪問看護、 在宅療養支援診療所と医療の療養病床が一体になって地域での在宅サービスの支援チームをつ くるような方策がいいということで、ここは現在は悪くなると急性期病院ということもあるが、 在宅で介護・医療が必要な人は、やはり地域で、近いところで完結するという方法がいいのかな ということで、日本療養病床協会は医療の療養病床が在宅支援の拠点となるべきだという主張を しているので、その辺も考慮していただきたい。  前回の介護報酬改定で、質の向上ということでケアマネージャーの1人当たりの対象人数が減 らされてきたが、これで今後やっていけるのかという問題がある。サービス利用者はどんどん増 えて、ケアマネージャーが増えないとなると、その辺はどうなるかという問題がある。  資格を持っているケアマネージャーを掘り起こせばいいということなのだが、それぞれ理由が あって仕事をしてないというか、看護師さんが多くケアマネージャーを取っている。ケアマネー ジャーの仕事より看護業務に就いているということで、掘り起こせば出てくるものでもないよう な気がするので、その辺のケアマネージャーとしてのサービス提供ができる体制というのをもう 一回考え直してみる必要がある。簡素化ということも含めてケアマネージャーの業務が非常に複 雑、多岐というか、そういうことも整理していく必要がある。 (大森委員長) 大体一巡いたしましたが、大体このとりまとめでいくときのさまざまな御意見 は出していただきましたか。  本日、若干日があるので、後刻事務方の方へメモ等を提出いただいてもよいが、大体これでよ ければ休憩をさせていただきたい。 (天本委員) これからの介護給付費分科会へのお願いだが、そこで実際のサービスの基準とか、 報酬等について議論されるだろうが、その際に、現在の介護施設、これは3つある。介護療養型 医療施設、老健、それから特養。そこにおける医療の提供システムが、例えば特養の場合は、医 師が外部から診療できる。それで医療保険と介護保険は、先ほど言ったようにこの中にほとんど が含まれるが、緊急時は医療の提供がある。  介護給付費の場合は、特定診療費という形で、医療が非常に厚みを帯びて、介護保険の中から 給付されている。その実態そのものをやはり委員の方々、すべて御存じなのかどうか、私も不安 に思う。やはり実態把握というか、それぞれの関係しているところは御存じだろうと思うが、特 養の場合はどうなのか。それがこれからのモニタリングした上で、やはりこれからの介護給付の 中の医療をどうするか非常に重要である。  今までの議論の中でも、既存の老健においてはその中でさまざまな努力をなさって、ターミナ ルもやられている。医療の部分は一生懸命やってらっしゃる。そういう実態も見た上で、それは 本来の介護給付を、むしろボランティアとしてやってらっしゃる部分もあると思うので、そうい う実態というものをまず事務局の方で少し整理して、わかるものは提示した上で、現状のモニタ リングをした上で次の介護施設の在り方というものの議論をしていただきたい。 (大森委員長) 今日出ている参考資料に数値みたいなことは出ているから、今のような実態を 若干でも反映してわかるような、何か記述があれば、ある程度のことはできる。今日、資料が出 ているが、もし工夫が可能なら、そういう工夫をしていただきたい。 (高橋委員) 皆さんの意見がもう出て休憩前なので、ごく簡単に2つだけ言いたい。1つは人 材供給、介護労働者の将来的な供給の問題があるということと、定着をどうやって図っていくか ということがある。そこのところを是非検討していただきたい。  単にただ介護報酬を上げるのではなくて、先ほど池田先生の言ったように、自己負担をどう絡 ませていくかとか、あるいは介護職の仕事の範囲をどう見直していくかを考えて、介護を魅力あ る職場にして、いかに人を増やしていくかがポイントの1つではないか。  もう1つは、皆さん御指摘のあった訪問看護をどうやってこれから進めていくのか。ここがな いと、たぶん医療と介護の間がうまくつながらないことになるので、是非ここのところは給付費 分科会で考えていただきたい。 (大森委員長)  それでは、10分ほど休憩します。 (休 憩) (大森委員長) それでは、そろそろ再開します。  今までいろいろ御意見をいただき、これをこれまでの委員会における意見等という形でとりま とめさせていただきますが、御意見なので、何か特定の方向でとりまとめるのではなくて、先ほ ど田中滋先生から御指摘あったように、できるだけわかりやすい構成を考えて、意見全体を整理 するようなものをつくり出して給付費分科会の方に提出するとさせていただきたいが、この後、 提案がある。  1つは、ここの委員会で集中的に老人保健施設における医療サービスの提供に関して御議論い ただいた。これから5年間の間に療養病床の転換を図っていくという政策課題があり、給付費分 科会としては、転換先の老人保健施設における人的配置基準であるとか、その場合の報酬の単価 等について、早急に検討しなければいけませんので、そちらの方に議論を移したい。分科会の方 はそういう議論をせざるを得ないということと、多分次の分科会で、今日もそういうお話が出て いるので、そうなるものと私は承知している。サービスの質を確保するという話は、今日出まし たように人材をどうやって確保・補充するか、あるいはサービスをどういう形で質のいいものを 供給していただけるか。それと、基準や報酬との関係について、給付費分科会では何らかの形で 検討せざるを得ないのではないかと思っており、したがって、給付費分科会の方としては、もと もとの作業を取り込まなければいけないふうになるのではないか。そのことが1つ。  そうすると、この検討委員会だが、この委員会を今後どうするかが出てきて、若干事前に事務 局とも相談をしました。介護施設全体の在り方というのは、当然今日も出ましたように、医療サ ービスの関係、住まいとの関係、幅広くなっていまして、やや中長期的な課題も含まれており、 少し私ども給付費分科会では手に余るのではないか。もう少しいろいろ関係をきちっととらえて、 しっかりした議論ができるように、幅広く検討するような場が必要である。前々からそのことを 言っているが、社会保障審議会の方にきちっとしたそういう場があって検討することが本筋では ないか、やや私どもの分科会の中にその種の議論を持ち込み過ぎているのではないかと。  私としては、事務方と相談して、今回私どもが検討していろいろ意見が出たものを受け取って、 そこで集中検討し、分科会でしなければいけないような議論はきちっとするが、そういう場を事 務方としてはつくり得るかどうかについて、今日は意見を伺った上で、今後について相談したい と思っている。  この点について、事務方の方からどうか。   (依田総務課長) 委員長の御指摘のとおりに、長期的課題の中には制度改正とか、あるいは他 法令との関係等を含む議論が必要なものも多くあります。これらについて、審議会としてはコム スン問題も含めて、介護保険部会のような介護保険制度全体について検討する場において、引き 続き御議論いただくようなことを考えています。 (大森委員長) 私の承知している限り、介護保険部会は、今、休眠状態でして、部会はあるけ れども、今、委員も任期が切れていて動いていない。本来ならばこういう介護保険部会の方で、 今日出ているような問題を含めて幅広く検討していくのが筋ではないかと思っているので、大方 いろんな関係の方々がまた介護保険部会の方で参加になると思っている。そういう形にした方が いいのではないかと思うが、ある種の提案になっているが、いかがですか。  そうすると、この検討委員会はどうなるかというと、検討委員会としては、せっかく皆さん方 からいろいろ議論をいただいたので、意見とりまとめは介護給付費部会の方に報告をさせていた だきたい。そこから改めて介護保険部会で検討する場合に重要な足がかりというか、参考として そちらへ受け継いでいただく形になるのと思う。ある種の提案ですが、御意見を伺いたい。  もし了解を得られれば、今日出ている意見を、私の方でとりまとめさせていただいて、報告す るということをもって、この委員会そのものは今日で終わることにさせていただくことになる。  介護給付費分科会の方は、早急に分科会としての作業に入りたいと思っている。そのうち、当 面手がけなければいけないことは、給付費分科会の方でも議論させていただくことになる。ちょ っと検討する場を別途きちっと設けるべきではないかという提案だが、そうして、よろしいか。  事務方も、よろしいか。 (「はい」と声あり) (大森委員長) それでは、そういう形で。したがいまして、本日のいろいろな議論としてはと りまとめさせていただいて、なおかつ、多分まだ意見があるかもしれないので、事務方、とりま とめるまでに若干の日があるか。 (鈴木老人保健課長) 給付費分科会は、10月12日を予定しておりますので、その数日前まで でございましたら、御意見をいただければ、委員長とも御相談をしたいと思います。 (大森委員長) できるだけ早くとりまとめて、特段に意見をいただいたようなことも取り入れ たいと思っているので、遠慮せずに意見を寄せていただきたい。  そういうやり方で、よろしいか。そうすると、本日をもって、少なくとも分科会の下に置かれ ている委員会はお開きということにして、検討の場をほかに設けさせていただくことになる。  そうすると、本日は以上で終わることになる。この機会に一言言っておきたいということがあ ればどうぞ。 (川合委員) 先ほど天本委員の方から、お話があった、慢性期入院医療の包括評価調査分科会 の池上報告書、密接に関係している。WAM NETを見ればわかるが、次回資料としていただきたい。 (大森委員長) それでは、本日は以上です。 照会先: 老健局 地域ケア・療養病床転換推進室      TEL 03(5253)1111 (内線2176,2177) - 1 -