07/09/26 第24回労働政策審議会障害者雇用分科会議事録 第24回 労働政策審議会障害者雇用分科会 議事次第 1 日時 平成19年9月26日(水) 10:00〜12:00 2 場所 経済産業省 共用1028会議室(10F) 3 出席者 ○ 委員 (公益代表)  今野委員、岩村委員、菊池委員、佐藤委員 (労働者代表) 高橋委員、豊島委員、野村委員、長谷川委員 (使用者代表) 飯ヶ谷委員、大島委員、斉藤委員、新澤委員、輪島委員 (障害者代表) 鈴木委員、副島委員 ○ 事務局   岡崎高齢・障害者雇用対策部長、長門企画課長、田中企画課長補佐   吉永障害者雇用対策課長、濱島障害者雇用対策課調査官   白兼障害者雇用対策課主任障害者雇用専門官、手倉森障害者対策課長補佐 4 議題 (1)中小企業における障害者の雇用促進について   [1] 中小企業に対する雇用支援策の強化   [2] 中小企業における経済的負担の調整 (2)障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案について(諮問) (3)その他 5 資料 資料1   中小企業における障害者雇用に関する状況 資料2   中小企業における障害者の雇用促進に関する施策 (中小企業に対する雇用支援策の強化について[1]) 資料3   複数の中小企業が共同で障害者を雇用する仕組み (中小企業に対する雇用支援策の強化について[2]) 資料4−1 障害者雇用納付金制度の概要 資料4−2 障害者雇用納付金制度の障害者雇用における効果 資料4−3 中小企業における経済的負担の調整の実施について 資料5   中小企業における障害者の雇用の促進に関する研究会報告書 資料6−1 障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱(諮問文) 資料6−2 日本郵政公社の民営化に伴う除外率の見直しについて 参考資料1 平成18年6月1日現在における未達成企業の状況 参考資料2 研究会に提出された調査結果等 参考資料3 研究会における主な意見 6 議事経緯 ○今野会長 ただいまより、第24回労働政策審議会障害者雇用分科会を開催します。本 日は平木委員、松矢委員、泉田委員、舘委員、松井委員が欠席です。なお松井委員の代 理として森さんにご出席いただいています。それと公益の佐藤委員については少し遅れ るということです。議題1の「中小企業における障害者の雇用促進について」の[1]「中 小企業に対する雇用支援策の強化」について、まず事務局からご説明いただきます。 ○調査官 お手元の資料をご覧いただきたいと思います。資料1ですが、中小企業にお ける障害者雇用等の現状がどのようになっているかについて、私どものほうで資料をま とめたものとなっています。資料1の1枚目ですが、企業規模別の雇用障害者数というデ ータが出ています。これは301人以上並びに56〜300人のところのデータについては、平 成18年の障害者雇用状況報告より、また参考の50人未満のところのデータについては、 「平成18年事業所・企業統計調査」、これは総務省の調査の速報集計から抜粋している ものですが、私どもが障害者雇用を考えたときの中小企業のレンジがどういうところに あるのか、ターゲットがどういうところにあるのかを、改めて整理させていただきたい ということの参考資料として出させていただきました。  中小企業の数は大変多いのですが、56〜300人のところが大体5万5,000、労働者の数 でいくと700万人といったところです。こういったところが今の雇用率制度の中での1つ のターゲットとなっている状況で、中小企業の中では比較的大きなサイズの企業が検討 の対象になっていることを説明させていただきたいと思っています。  次の頁で既にご存じの方も多いのですが、改めてご説明申し上げると、現在の企業規 模別の実雇用率の状況について左側のグラフで記しています。99人までというところの ひし形の折れ線グラフですが、中小企業というのは、かつては障害者雇用の非常に大き な受け皿となっていたということが言えて、1.8%ぐらいあったものが2%を超える水準 になり、その後、平成5、6年ごろからだんだんと落ち込んできています。直近の平成18 年では1.46%となっている状況です。  また、これよりやや大きな100〜299人の中小企業についても、長期的に見るとやや低 下傾向にあり、平成17年から18年にかけてやや持ち直しましたが、1.27%ということで 大変厳しい状況となっています。そしてご覧のように大企業や全体の水準と比較しても、 かつての水準とは逆転して、今や大企業全体の水準よりも中小企業の水準が低い状態に なっていることが言えると思います。  右側の企業規模別の達成企業の割合について説明します。中小企業の99人まで、ある いは100〜299人といった企業規模が、いちばん上ないしはその次の折れ線グラフで記さ れています。達成企業の割合は低下の傾向にあり、現在、99人までのところで45.2%、 100〜299人のところで43.6%という水準になっていますが、いずれも大企業ないしは全 体との差を縮めるような格好で低下してきていると言えると思います。  次の頁で最初にお出しした資料との関連もありますが、中小企業の企業数の推移とい うデータを、総務省の「事業所・企業統計調査」から出しています。この資料ですが、 企業合計で平成16年の段階で434万程度の企業がある中で、中小企業は99.7%、433万件 を占めている状態になっています。この中小企業の企業数ですが、1986年から2004年の 間、大体100万件ほど減少している状態になっています。この内訳についてやや詳しく 見ていくと、右側のうち小規模企業というところがあります。これは常用雇用で20人以 下の企業ですが、ここのところが477万件から378万件ということで、おおむね100万件 減少しています。中小企業の減少といったところの多くは、中小企業の中の小規模企業、 20人以下の小さいサイズのところの減少によって、これが生じている状況になっている ことが見て取れるデータです。  次の頁で、もう一度雇用状況報告のデータに戻りますが、企業規模別の常用労働者数 の推移です。バブルが崩壊したと言われている平成5年ごろから直近の平成18年までを、 企業規模別に常用雇用数をグラフに記したものです。上から2番目の四角い点の折れ線 グラフが、100〜299人のところ、いちばん下のひし形のグラフが99人までのところです。 平成5年以降、これら中小企業において常用の労働者数が増加していることが見て取れ ると思います。とりわけ平成15年以降、ややその足を速めている状況であると言えます。  次の頁は規模別の障害者の雇用数です。障害者の雇用数については、同じように100 〜299人までの上から2番目の折れ線グラフで、これは傾向的に言うと、若干減少したと ころで少し持ち直しているところですが、全体として平成5年の水準からは減少してい ます。そして99人までのところについてもやや減少している状態になっています。  次に私どもは新規の障害者の雇用数ということで、1年間に新たに雇い入れられた障 害者の雇用数についても、雇用状況報告で報告いただいていますので、それをグラフに しました。このグラフを見ていただくと、いずれも中小企業のところで新規の障害者の 雇用者数は増えています。大企業において最近、急激に増えているわけですが、中小企 業においても新規の雇入れは進んでいる状態になっています。まとめると、全体の常用 労働者数は増え、障害者雇用数は減少、新規の障害者雇用数は増えていますが、それが 障害者の雇用数全体の増加にまで持っていくだけの勢いがない状態です。  次の頁で、法定雇用障害者数別に見た雇用障害者数の状況について説明します。この 表の見方ですが、縦軸に常用労働者数があります。[1]とあるのは法定雇用者数が1名の ケースです。次いで112〜166人のところは2名ですので[2]と振っていて、その後、3人、 4人、5人という形で、それぞれの法定雇用者数に従って帯グラフが作られています。横 軸について0〜100%というのは累積の分布です。したがって[1]の1人の法定雇用を見て いただくと、0人雇用で全く雇用していない所が50%を少し超えていて、1人以上で法 定雇用率を達成している企業が残りであるという見方をしていただければと思います。  これを見ていただくと、0人雇用のところに特に注目していただきたいのですが、や はり中小企業のほうが0人雇用の割合が大きい。特に[1]のところは1人か0人ということ になりますが、その後のところを見ていただいても0人のところの割合が大きい。逆に 達成している所も結構あるということもあり、どうも中小のところにおいては、こうい った雇入れが進んでいる所と進んでいない所の両極端の状態になっていることを示して います。  次の頁で、研究会を開催したときに報告書を資料としてご提供いただきましたが、全 国の中小企業団体中央会のほうで、障害者の雇用実態調査を実施していただきました。 その際の状況について抜粋してまとめています。例えば現在の障害者の雇用状況ですが、 「障害者を雇用している」企業が57%、「現在は雇用していないが、過去雇用していた」 という企業が15%、「これまで障害者を雇用したことがない」という企業が28%という ことで、7割以上の中小企業が現在、障害者を雇用しているか、または過去に雇用した ことがあるという状況です。  今後の障害者の雇入れの意向としては、「現在障害者を雇用している」企業、あるい は「増員を考えている」としている企業が25%、「現状の人数を維持」としているのが 74%あるのに対し、「現在は雇用していないが、過去雇用していた」企業、及び「これ まで障害者を雇用したことはない」企業においては、「新規雇用を考えている」ところ は27%であり、「新規雇用は考えていない」としているものも約66%ある状態です。  今後の障害者の雇入れの意向の中で、法定雇用率等の意識という観点で言うと、「増 員を考えている」企業、及び「新規雇用を考えている」企業においては、「企業として の責任・義務」を意識している所が51%、「法定雇用率を満たすため」としている所が 約39%となっています。こういった企業においては、かなり法定雇用率等の意識が高い ということです。  現在雇用している障害者の評価として、「満足」が約28%、「おおむね満足」が約60 %であり、約90%近い企業において良好な評価をしていただいています。その他、障害 者雇用の阻害要因、障害者の雇用に当たり課題となった事項、配慮している事項等、諸 々の質問等についてアンケート調査による回答をいただいた結果等を記しています。  次は資料2です。私どもは研究会のほうで報告いただいた関係等について、平成20年度 の予算要求の事項等を含め、中小企業における障害者の雇用促進に関する施策を今後も 強力に展開していきたいと考えています。これらをまとめたものがこの資料です。  内容について簡単に触れます。1は、ハローワークを中心とした、地域の関係機関との 連携による「チーム支援」の強化等です。要求金額としては昨年の金額と比較して10倍 程度の要求としています。内容的には2枚めくっていただくと、ハローワークを中心と した「チーム支援」という施策を、いま展開しているところです。障害者一人ひとりの 状況に応じ、ハローワークが主査となり、地域の福祉施設や特別支援学校が副主査とい う形で、一人ひとりのそれぞれの状況に応じた支援チームを構成します。そして就職前 の段階から就職、定着支援の段階まで、それぞれのノウハウや強みを活かしながら、個 々の障害者の支援を継続的に展開していこうという施策を、全国で実施することとして います。  もう一度資料2の頭紙に戻っていただくと、その中で「就労支援チーム」を作るに当 たり、ハローワークのほうから福祉施設や特別支援学校との関係づくりをしっかりとや りながら、信頼関係を結んでいく必要があるし、どういう福祉施設があり、どういうサ ービスを展開しているのかも把握していく必要があると思います。あるいは連絡調整等 も必要になってくるということで、こういった外回りを担当する非常勤の職員として、 「就労支援コーディネーター」を配置する等の体制機能の強化を図ろうとするものです。 そのほか「就職ガイダンス」「管理選考・就職面接会」の実施等により、ハローワーク のマッチング機能の充実・強化を図るというものです。  2は障害者就業・生活支援センター事業の拡充です。障害者就業・生活支援センター は、身近な地域において就業面と生活面を一体的に相談・支援を行うセンターです。こ れは「成長力底上げ戦略」において、全障害保健福祉圏域に設置することとされていま すが、その手始めとして平成20年度の要求では、135センターあったセンターを100セン ター増要求をして、235センターにするという予算要求をしています。そのほか支援対 象者の増加を踏まえ、実施体制の強化として、具体的に対象者の非常に多い所には人員 の過配ができるような要求についても進めているところです。  3は障害求職者と企業とのマッチング支援ツールの整備です。これは中小企業の研究 会や連携の研究会のほうでも報告いただいたものですが、障害者と企業のミスマッチを 解消するために、障害者の適正や能力、アピールポイント等を記述できる「障害者マッ チングシート」を開発する。また一方で、中小企業において自己の企業の体制や状況に ついて知ることができる「障害者自己診断チェックシート」を開発するといった内容に なっています。  4は障害者トライアル雇用事業の拡充で、対象者数を500人増やすことを要求していま す。  5は障害者雇用の底上げのための意識改革・支援ネットワークの形成推進事業として、 2億3,000万円余の要求を行っています。これは近年、障害者の一般雇用への移行や就労 意欲の高まりを背景として、障害者の方も大人になれば働くことが当たり前という意識 を、関係者や国民一般の中に根付かせることを行うために、インターネット等を通じた 情報の共有・流通、優良企業や働く障害者のメッセージを発信していくことを展開して いく。あるいは企業の社会的貢献を積極的に評価できる障害者雇用支援優良企業マーク の導入をやっていく事業です。  6は地域の事業主団体を活用した「障害者雇用に関する意識改革促進事業」の推進で す。もう1つの意識改革の柱として、地域の事業主団体が仲間同士で、障害者雇用の取 組を促進していくことが非常に効果的だと考えられますので、こういった取組を促進し ていただく。また地域の福祉施設、特別支援学校等の関係者との交流をやっていただく ことを通じ、障害者雇用に関する意識改革を進めていくための予算を要求しているとこ ろです。  7は職場適応援助者(ジョブコーチ)ですが、これについても引き続きジョブコーチ を増やしていきたいと考えています。  支援策としては、要求しているものも含めて以上ですが、資料2の残りの2頁に中小企 業における障害者雇用の促進に関する研究会報告書の抜粋を掲載しています。内容的に 申しますと、雇用支援策の在り方として、障害者雇用についての理解の促進、マッチン グ、職場定着に関する支援、また後ほどご説明しますが、複数の中小企業が共同で障害 者を雇用する仕組みというのがあります。今まで説明したところについては3つの柱に 基づき、雇用支援策を展開すべしという報告を頂戴し、それを踏まえて平成20年度の予 算要求等を行っているところです。  資料3ですが、雇用支援策としてもう1つ研究会から報告いただいたところです。複数 の中小企業が共同で障害者を雇用する仕組みです。これは研究会報告の中でも頂戴しま したが、内容的には平成17年の前回の法改正のときの障害者雇用分科会の場でもご議論 いただき、そのほか、それに先立つ研究会の場でもいろいろな形でご議論いただいたと 聞いています。そういう経緯もあり、こういった中小企業が共同で障害者を雇用する仕 組みについて、その検討を行っていくということが、今回の報告書の中でも記述されて います。  現状ですが、個々の中小企業に障害者雇用率制度といったものが、それぞれの事業主 の責務としてかかってきている状況です。しかしながら、中小企業1社ごとの仕事の状 態を見ると、一つひとつの仕事のロットが大企業等と比較すると小さいという特色があ りますので、そうすると1社で障害者1人分の仕事を生み出すことはなかなかできないと 指摘されています。そこで中小企業の方々に組合員として事業協同組合を作っていただ き、そこで障害者を雇用していただく仕組みを考えてはどうか、検討を進めているとこ ろです。  次の頁で、中小企業が協働して障害者雇用を推進するモデル事業を、現在、私どもは 平成19年、20年の事業で進めているところです。中小企業からいろいろな形で仕事を提 供していただき、事業組合のほうに出していただく。協同組合のほうでは障害者雇用計 画の策定や障害者の採用をやっていただき、これらの実践過程における2年間のケース スタディを取りまとめていくことを進めているところです。  次の頁で研究会報告書においては、おおむね私がいま説明したことですが、研究会報 告書の抜粋も記しています。個々の企業では、障害者雇用を進めるのに十分な仕事量を 確保することがなかなか困難であるとか、事業協同組合等を活用して障害者雇用を進め ていくことが有効ではないかと考えられるということで、今後、検討を進めていく必要 がある。また課題等を把握しながら、モデル的な取組を行っていくことも必要であると いった書きぶりになっています。  資料1から3については以上ですが、前回の分科会の場で委員の方から、障害者雇用の 未達成の状況について資料の提供のオーダーを頂戴しましたので、その関係の資料とし て参考資料1ですが、平成18年6月1日現在における未達成企業の状況として、企業規模 別の未達成企業数、あるいは不足数の計といったもののデータについて、現段階で私ど ものほうからご提供できる資料について提供させていただいていますので、参考にして いただければ幸いです。私からの説明は以上です。 ○今野会長 ありがとうございました。いまの説明にご質問、ご意見をお願いします。 ○新澤委員 我々は中小企業における障害者雇用を促進していく努力をしています。し かし、実際に中小企業の側からは障害者の採用や定着に関する情報やノウハウ等が十分 でないなど、障害者に関する雇用環境の未整備が、雇用の阻害要因となっているという ことも多く指摘されています。このため中小企業における障害者の雇用の促進を着実に 図るためには、中小企業の不安と負担を解消して、中小企業が受け入れやすい環境の整 備を早急に行うことが必要かと思います。  環境整備の内容としては、障害者に適した職務を創出したり、あるいは集約するため の方策の検討が不可欠であり、いまお話もいろいろあったわけですが、また障害者雇用 未経験企業や実際に雇用している企業に対する情報あるいはノウハウの提供が重要です。 雇用形態、賃金設定、専任担当者の配置、通勤手段の確保、教育訓練の実施というソフ トの面についても、情報やノウハウを提供して不安を解消することが大事なことだと思 っています。さらに、併せて障害者の作業能力に関する情報提供をしていくことも重要 であると思われます。  このように、障害者雇用を促進するには公的支援の充実が不可欠ですが、公的支援を 考える場合、障害者雇用未経験企業に対する啓発活動や新規採用のハードルを下げる政 策と、実際に障害者の雇用に動き、障害者の定着や活動に悩む中小企業に対する雇用管 理、ノウハウ提供等の政策を明確に区別しておくことが重要であると思います。  私が個人的に経験した例ですが、中小企業というのは100人以内、56〜100人ですが、 私は福島県ですけれども非常に数が少ないですね。50人以下という問題があります。今 まで個々にそういう現場を見ていると、どちらかというと家族的な面ということがいろ いろあり、従業員から賃金が少ないと言われ、隣近所にこういう人がいるんだけど、ど うだろうとか、あるいは親戚にこういう人がいるということで、人数に関係なく家族的 な雰囲気の中で面倒を見た結果、頼んでよかった、雇ってよかったとなる。本人も大変 喜んでやって長続きする例を見ていますので、この際、そういう愛情を込めた障害者雇 用というものを頭に入れていただければと思います。 ○高橋委員 別の観点からですが、中小企業に対して雇用支援策の強化ということで、 資料3の複数の中小企業が共同で障害者を雇用する仕組みのところです。モデル的な取 組を行っていく発想で提起されていますけれども、この場合、研究会報告書の中で「実 態上、生じ得る課題を把握、整理し」と書いてあります。実際問題、中小企業が固まっ て存在していないと、ある地域の中で障害のある方が複数の地域に関わるようになると、 企業がある地域にどれほどあるのかとか、例えばそれが非常に広い範囲になると障害者 の居住ということも関係しますし、通勤等の課題も発生すると思います。その辺のとこ ろの実態上、生じ得る課題の把握、整理というのはどういうことを想定され、今後、そ れに対する公的支援なりをどう考えているのか、お聞きしたいと思います。 ○調査官 例として事業協同組合ということが出されているわけですが、いろいろ地域 的にも広がりがあるでしょうし、企業が固まりとしてどのくらいその地域にあるのか把 握できていないのではないかとの指摘ですが、事業協同組合というスキームは中小企業 の分野では非常に多く活用されている分野です。もともとその地域の企業が基本的に都 道府県単位の許可を前提に集まって、いま、いろいろな事業を展開しています。いちば ん典型的なものは共同購入という形になっているものですが、そのほか事業協同組合以 外のスキームとして、工業団地の中でいろいろな組合を作るとか、商店街の振興会など もスキームとしてあります。地域の中でこういう組合というのは既に存在していて、か つ、ある意味で地域の密閉性があるというかコンパクトな作りになって、それぞれ共同 事業を展開している事実があることをまず理解していただき、要するに事業協同組合等 の守備範囲になるようなコンパクトな地域の中で、雇用を進めていこうという発想があ ることを理解していただきたいと思います。  では実際にどういうものが課題になってくるかですが、制度的な雇用率の作り込みと いったものは別にあるわけです。モデル事業的に言うと、いろいろなタイプの中小企業 が組合員になって、どういう仕事を切り出していただくことができるのか。それを中小 企業の組合の中で障害者の力を活かしてやっていただくのかが、中心の課題となってく るのではないかと見ています。現在、そういうことをモデル事業で検証しているところ ですが、過程の中で我々が想像していた以上にいろいろな内容の検討事項も出てくると 思いますので、十分に詳細な検討を加えながら、より良いものにしていきたいと考えて います。 ○今野会長 よろしいですか。かなりやってみなければ分からないという感じです。 ○佐藤委員 これは中小企業で議論するので、規模というのが結構大事だと思います。 資料1などで企業規模の例が出ていますが、一応、雇用率56人以上で、分子は週30時間 以上ですね。分母もたぶん30時間以上だと思うので、この企業規模は週30時間以上常用 雇用者の規模なのかということです。もしかしたらそうではないのではないか。それが 1つです。  もう1つは、障害者雇用状況報告の提出率です。これは100%ではないと思うのですが、 100%なのかどうか。つまり提出すべき企業が把握できていないと提出率は出ないので すが、どのぐらいなのか。その辺が1つです。  もう1つは、資料2のハローワークを中心としたチーム支援ですが、ほかとの関係で市 場化テストの対象になるハローワークはどうなるのだろうか。一応、民間のほうも障害 者を選別するなということですから、そうすると民間が受けたところのハローワークの 窓口でチーム支援というのはどうなるのか。その辺、検討されていれば検討されている ということでお願いします。  あとジョブコーチのところですが、派遣のほうで今度議論していきますけれども、ジ ョブコーチのいまのシステムで、派遣会社としてジョブコーチを置くときに助成金が出 るような現状になっているのかどうか、それを教えてください。 ○今野会長 いま3点ありましたが、よろしいですか。 ○調査官 企業規模の雇用障害者数の1番目のデータですが、56〜300人、301人以上の ところは雇用状況報告のもので、30時間以上の規模です。30時間以上の労働者を前提と しているものです。 ○佐藤委員 そうすると、いわゆる中小企業でも常用のパートタイマーで30時間以上が 日本は多いですから、そういうパートタイマー込みの企業規模になっていると。 ○調査官 そういうふうになっています。補足率ということですが、補足率については 法律において罰則付で企業状況報告をしていただくことになっていますので、基本的に は100%であると私どもは考えています。 ○佐藤委員 出さなければいけないことになっているから、だから出しているだろうと いうことですね。 ○調査官 義務ということです。次に50人未満のところの常用の概念については、常用 雇用者数ということですので調べてお答えします。 ○今野会長 2番目は市場化テストの件です。 ○高齢・障害者雇用対策部長 事務方としてはいくつか、要するに障害者等を含めて対 象となる2つのハローワークでは、官民それぞれがやることになっています。民のほう がどういうスタイルでやるかについては、むしろ民の工夫ということですが、官でやる 部分については障害者の方へのチーム支援を含めて、ほかのハローワークと同じ形で対 応はしたいと考えています。  ただ、当該ハローワークに置いている官のマンパワーは、通常の同じ規模に比べると 半分になりますので、民のほうがちゃんとやっていただかないと、その部分は落ちる恐 れはあると思います。官がやるべき部分については、ほかのハローワークと同じサービ スは提供したいと思っています。 ○今野会長 最後、ジョブコーチは、いかがですか。 ○調査官 ジョブコーチにつきまして、これはたぶん2号ジョブコーチのことを念頭に 置かれていると思いますが、派遣元事業主にジョブコーチを配置した場合に助成金が出 るかということで、基本的には派遣元事業主も事業主ですので、要件としては当てはま るということになります。 ○斉藤委員 平成20年度の予算要求のところのトライアル雇用ですが、ここの短時間の 使用雇用のところは今までと何か違う適用になるのでしょうか。有期でやるということ で短時間という意味でしょうか。 ○調査官 これにつきましては今までと同様です。 ○今野会長 ほかにございますか。 ○大島委員 中小企業における障害者雇用の促進というのは、商工会議所として前向き に取り組んでいくことに異論はないのですが、中小企業の現状として、日本経済は全体 的に見ると回復基調にありますけれども、地方や中小企業というのは依然として非常に 厳しい状況にあることを知っていただきたいと思います。特に中小企業の約半数は単年 度赤字、7割が累積赤字を抱えていて、売上高の経常利益率が非常に低く、労働分配率 の水準も非常に高い。政府においても中小企業の底上げの必要性が言われていますが、 さまざまな政策が取られてきています。また求人に当たっても、中小企業はなかなか新 規学卒者の確保が厳しい状況にあり、通常の雇用自体に困難を生じているというのが現 状です。障害者雇用に積極的になれるのは、ある一定規模の企業に限られるのではない かと思っています。  障害者雇用促進のための政策についてですが、以上のような中小企業の現状を踏まえ、 企業内の施設のバリアフリー化など、雇用に先立つ職場環境の整備とか、雇用者の職業 能力開発の機会の充実とか、さらに平成20年度の概算要求にあるような障害者雇用を支 援するための環境整備のための支援策を拡充していただきたい。  また中小企業者の声としては、障害者とのマッチングがうまくできていないというこ とも言われていて、これはマッチング機能の改善だけの問題でなく、障害者の方も新卒 求職者同様に大企業指向が強いのではないか。もしそうであれば、こうした問題が改善 されないまま中小企業に義務だけを課すのは、どうかなというふうに思います。  そもそもの話、中小企業の雇用率がなぜ下がったのかという問題ですが、さらに詳細 な分析が必要ではないかということです。特に研究会の報告では、中小企業において平 成5年以降、常用労働者の雇用を維持又は増加させ、一定程度の障害者を新規に雇用し ているものの、それを上回る離職率の発生等があると考えられ、障害者の雇用数が減少 している状況にあると書かれています。なぜ離職率が高まったのか、マッチングが大き な原因となっているのではないかなど、具体的な要因分析をしていく必要があるのでは ないかと思います。 ○今野会長 いまの点、特にいちばん最後の離職率がどうして下がったのかについて、 分析すべきだというご意見でしたが、この点について何かございますか。前半のほうは ご希望というかご意見としてお聞きしておきます。 ○障害者雇用対策課長 離職の理由につきましては次回以降、詳細にご説明させていた だきたいと考えます。基本的には経済状況の悪化する中で、中小企業の負担というもの が先ほどから縷々あったとおり、厳しいものがあったということは一因だろうと思って います。  ただ、一方で産業構造の変化で、旧来型の製造業において非常に障害者雇用率が高か ったということ。中小企業においても非常に高かった。先ほど経年的な企業規模別の数 字なども紹介しましたが、平成3、4年がピークの形になったグラフになっています。昭 和63年に知的障害者が義務化され、知的障害者の部分がオンされたという形でそういう ピークが出ています。製造業の関係ではそういったものも含めて、かなり障害者を中小 企業で雇っていただいていた実態があるかと思います。  そういうものが数的にも減ってきている中で、一方で中小の中でもサービス企業が中 心になってきている。そういう中で、障害者雇用のノウハウが十分に行き渡っていない 面は正直あるのだろうと思います。いずれにしても詳細について分析したものを次回以 降に私どもとしての考え方としてお示ししたいと思います。特に中小における雇用の阻 害要因、あるいは縷々ご指摘があった環境整備について、どういった点が不足している かについて、一応、先ほど説明したとおり項目としては揃っていると考えていますが、 その上で、そういった状況にあることは基本的になかなかご理解いただいていないと思 います。さらに不足している部分はどういったものなのか。そういったものを取り除く ことにより、中小企業においても障害者雇用が促進できるのではないかということです。  なお、中小企業と言っても、障害者の雇用率がかかってくるのは56人以上ということ です。大多数の50人未満の企業には、そういった問題はかかってきませんし、さらに言 えば56人以上の企業でも、300人の大企業の水準にあるものから56人規模の水準にある 企業まで、多種多様な形態、業種、産業等さまざまなものがあると思います。そういっ た中に当てはめた上での障害者雇用の阻害要因について、ご意見をさらに頂戴した上で、 環境整備について私どもとしてできることにどういうものがあるのか、アイデアを出し ていきたいと考えています。 ○佐藤委員 先ほど義務だから提出しているだろうというお話でしたが、雇用率は企業 単位ですね。それと数は30人なのです。そうすると週30時間以上で例えば56人とか、そ ういうデータはないのです。あれば教えていただきたいのですが、たぶん職安で捕捉し ているのは雇用保険の適用事業で、これは20時間以上のが入っているからわかるのです が、30時間というと年金とリンクするのです。これは事業所ですよね。企業単位で週30 時間以上働いている人が何人いるという、ここは対象だという事業所のデータというの はあるのですか。私はないのではないかと思います。  つまり、雇用状況報告を出さなければいけないとか、雇用率で言うと対象になるとか、 そういうのがわかるのか。政策の有効性を確保するときに、どの企業は何人以上という 情報を持っていないのではないかという気がしますが、どうなのですか。 ○高齢・障害者雇用対策部長 基本的には雇用保険のデータで、常用雇用者数。 ○佐藤委員 30時間以上でわかるのですか。 ○高齢・障害者雇用対策部長 要するに一般被保険者数ですればわかるのですが、ただ、 現在の雇用保険システムはご承知のように事業所単位なので、企業単位のシステムには なっていません。したがって複数事業所があるような企業については、ほかの事業所を 把握した上で集計しないと、要するに一覧性のあるものとしては持っていません。した がって私のほうとしては、50以上と思われる企業については必要に応じて、ほかの事業 所があるかどうか等でチェックすることはありますが、全体の一覧表があるかと言われ れば、ないということです。ただ、いろいろな形で地域の企業の状況を見ながら、ボー ダーラインのところ等についてはできるだけきちんと対応するようにしています。だか ら本当に100%かと言われれば、それを確認するデータはありません。 ○佐藤委員 事業主が悪意のある事業主ばかりだとは思いませんが、普通は週30時間以 上なんて考えていませんよね。たぶんフルタイムの労働者数で多くの企業は企業規模を 考えていると思います。そうすると、うちは関係ないというふうになりかねない気がす るので、意識的にやっていないという意味ではなくて、30時間というところで取ってい ますから結構難しい。普通の企業の人材活用の考え方とちょっと違うので、そこの齟齬 というのは、特に非正規が増えている状況では相当大きくなっているのではないか。そ ういう気がしないでもないので伺ったのです。 ○今野会長 それは分母の捕捉が、かなり難しくなりつつある状況になっているのでは ないかと、そういう問題提起ですね。 ○佐藤委員 多店舗化していますよね。1社というよりは複数の事業所で結構非正規で、 例えば30時間以上の人はいるけれども1個1個は小さい。それがすごく増えている。それ は法律上、対象としている企業になるのですが、職安から見てもわからないし、事業主 の方も、うちは関係ないと思っている場合も少なくないかなという気がするので、それ はちゃんとどこかで考えたほうがいい。特に今度20時間というのができてきたりするの で、それを考えてもいいかなということです。 ○輪島委員 佐藤委員のご指摘はそのとおりだと思いますが、いまの報告の書き方は事 業所単位になっているので、企業ごとに来たら企業は自分の事業所ごとの数字を全部挙 げて、基本的には30時間以上も含めて出していますから、報告をする時点では、ほぼ把 握した上で出している。ですから補足率については課題があるにしても、出している時 点ではおそらく全部把握した上で基本的には出しているのではないか。 ○佐藤委員 こちらから報告はいくわけですね。届くわけですね。 ○輪島委員 安定所から郵便で。 ○佐藤委員 その時、届く発送先がどこかということなのです。 ○輪島委員 それは雇用保険のところで見ていて、案内先についてはたぶん全部に行っ ているかと思います。 ○佐藤委員 しつこいようですみません。 ○高齢・障害者雇用対策部長 もちろん、すべての企業、雇用保険の未適用になってし まっている所も含めて考えた場合には、本当に100%かということですが、雇用保険の データは一般被保険者と短時間被保険者を分けて出せますので、それは一般被保険者の ところで見ながら仕分けはしています。  ただ、複数事業所があるところについては本社所轄のハローワークで、全部本当にこ こしかありませんかという言葉で確認しているかというと、そこまでやっていないとこ ろがあります。そういう意味で報告を出す必要がありますよという勧奨が、必ず56人の ところでピシッといっているかと言われれば、そこは我々としては努力はしているけれ ども、ほかのデータと突き合わせてまでのことは難しい。  いま輪島委員が言われたように、出してきたところについては、ここの常用雇用者数 というのはこういう定義ですよと、本当にそれになっていますかということは確認しな がら受け取っていますので、出してきているところの分母が間違っているということは、 ほぼないのではないかと考えています。 ○今野会長 何かいろいろあるけれど、総合的にはあまり心配なさそうですね。100%と は言わないけれども。 ○鈴木委員 先ほど統計というか、いろいろ資料の中で中小が徐々に下がってきている という報告があったわけです。従来はよかったということですが、先ほど委員の発言の 中で単年度赤字、累積赤字等々ということで、その辺のご発言から精査してみると、景 気が悪くなってくると障害者から切られていってしまうのかなという感じが取れるので すが、単純にそういう意味ではないのですか。 ○大島委員 離職率が上がっていったということに対しての要因が、まだはっきり分析 されていないのです。もちろん景気の問題もあるでしょうし、マッチングの問題もある でしょうし、その辺、もう少し詳しく分析されてからということだと思います。 ○今野会長 離職したときに、本当は人が足りなければ人を採るわけですが、景気が悪 くなって採るのをやめる。そうすると離職した人で障害者が多ければそういうことにな るかもしれない。もう少し広めにおっしゃっていたと私は理解していました。 ○鈴木委員 そうですか、失礼しました。 ○今野会長 いずれにしても、もう少し分析せよというお話だったと思います。 ○副島委員 使用者側の話を聞けば、我々当事者側としてはなかなか言いにくいところ があると思いますが、今回のこの調査の内容を見て、障害者雇用をしている企業と、障 害者雇用をしていない企業と、障害者雇用に対する意識づけが違うと思います。例えば 雇用している所についての障害者に対する評価は、良好な評価がされていますよね。で も雇用していない所は障害部分についてすごくこだわりがあって、例えばノウハウがな いとか、こういう環境がないというところにこだわって、障害者雇用が進んでいないよ うな気がしてならないのです。そういうところでは、障害者自体を知らなすぎるのでは ないか。つまり接点がそれまでなかったのではないかと思います。そこのところを何ら かの形で解消できる方法がないか。そこに障害者雇用についてのひとつの考え方がある のではないかと思います。そのときに、雇用のところの数値の中に定着率ということが あまり言われていないのです。だから一旦は雇用した、でもどこまで継続されているの か、定着率はどうなのかというところの調査や、追跡の状況がどうなっているのか質問 したいというのが1点です。  もう1つは、障害者雇用に対しての意識改革で、今回の資料2のいろいろな取組の中 で意識改革が謳われていた。これはすごく我々当事者にとってはありがたいことなので す。特に障害の子供を持つ親さえも、我が子が働くことに対して結構抵抗があるのです。 それともう1つは、福祉施設で応援団であるところの支援者についてもまだ意識が低い のです。そういうところから関係者の障害者雇用に対する意識づけ、もしくはこの大切 さということをどれだけ理解していくかという取組は、すごく大切だと思うので、この 取組の仕方として今回、事業として予算化されたことは我々もすごくありがたいと思っ ています。  ただ、その時に我々雇用してもらう側からすれば、企業に対してどれだけの雇用に対 してのメリットがあるのか、そこで大変な現場の混乱性が伴うのであれば、なかなか雇 用は進まないだろうというところがあったり、もう1つは一般国民の方、特に今回、認 証表示制度という形のこともやられていますね、考えられている。要は日本の場合に、 障害者雇用をやる企業の社会的評価です。これがあまり認められていない。アメリカな どのことを考えたときには、すごくそれが企業責任と同時に国民の信頼性を得て、その 企業の評価につながっているのです。そこのところが日本の場合にはどうしても欠けて いる。そこのところも障害者雇用に対しての意識の低さにつながるのではないかと思う ので、そういうところも少し考えていただくべきではないかと思います。 ○今野会長 いまの点について、いかがですか。 ○調査官 まず冒頭のほうで職場定着率について質問がありましたが、全体として職場 の定着率がどうなっているのかのデータについては手元にありませんけれども、資料2 の後ろから3枚目に職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援というのがあります。 私どものほうではこういうジョブコーチによる支援を、これからまた増やしていこうと 考えているわけです。現在、ジョブコーチは全国で見ると850人ぐらいの数がいますが、 これについて支援実績を追いかけていて、こういったところの定着率はジョブコーチが 入れば84%ぐらいのところまで持ち込めている状態になっています。  しかしながら、トータルでの定着については、ちょっとお答えできる材料が今のとこ ろないような状況ですが、こういういろいろな支援策を、いろいろな形で合わせて定着 率を上げていこうという施策をもって取り組んでいることを、ご理解いただければと思 っています。  もう1つ、理解の促進について特に一般国民、関係者の理解が非常に重要であり、意 識改革が重要である。あるいは企業の中で立派な取組をされている所を誉め称えること が非常に重要であるということを、ご指摘として頂戴しました。私どものほうで先ほど 説明しましたが、平成20年度の予算要求の資料2の2枚目ですが、障害者雇用の底上げの ための意識改革・支援ネットワークの形成推進事業というものが、まさに関係者である とか国民に意識を変えていただくためのものです。企業の中でいい取組をしていただい ている所を、しっかりと社会的評価をしていく事業になっているところですので、こう いったものについて財政当局であるとか各方面のご理解を得られるように努力して、ま ずは取り組んでまいりたいと思っています。 ○今野会長 いま3点ほど言われた後半の2点については、そういう点について今後、も っとしっかり頑張れというお話だったと思います。 ○新澤委員 実際問題、障害者雇用について中小企業の経営者というのは、案外知らな いのだろうと私は思います。1回雇った方、その他現在70数%あるわけですが、あとの 30%は全くです。実際にやってみたらなかなか良かったということが多いのではないか と思います。中小企業者というのは確かに299人以下の従業員ですけれども、実際は20 人、30人の層が多い。その辺をもっと開拓して、数字で1.8%云々よりも、そういうこ とを教えてあげたら、案外かなり雇用者は増えるのではないかと、この会議に今日で3 回ですが出てきているので勉強させられて思った次第です。私自身が中小企業を経営し ていてやってきた中に、大変この話は数字が大きいやらいろいろ何かその辺を教えてい ただいたことは、それだけ皆さん教えるのに人手がないというか、そういう問題はあろ うかと思いますが、社会的にもっともっとPRが足りないかなという印象を持ちました。 こんな席でこんな話をして申し訳ありません。 ○今野会長 今回の資料2にもありましたし、資料2に添付された研究会の報告にもあり ました。したがって、いろいろなことを努力しましょう、その中で「事業主のあなたも 頑張ってください」となっていますので、よろしくお願いします。 ○新澤委員 より一層頑張ります。 ○鈴木委員 先ほどジョブコーチの話が出ていまして、ジョブコーチというか、人に付 いていくのだろうなと思うのですが、そのほかにこれからのあり方というか、先ほど中 小の企業というか、そういう所がいくつか集まって連合体をつくって、そこで雇用する 場合の派遣の方法ですとか、よく言われるのは、障害者だけでなく離職する原因のほと んどが職場の人間関係だったりするわけです。そうすると、そういったことも含めて、 企業主、いわゆる中小企業の社長やおやじみたいな方たちが「困っちゃったな、どうし ようかな」というときの、そちら側への支援、相談なり何なりが受けられる体制もつく っておかないと、雇ってみたけれども、誰に相談するのということが出てきてしまうよ うな気がするので、その辺のところを折角雇っていただいて、企業主や親方の悩みを聞 いてくれる所がどこに存在するのかという部分があるといいなという気がします。 ○今野会長 いまの点はどうですか。 ○調査官 雇い入れた後の障害者に対する支援を、事業主の側でどのようにしていった らいいかという視点についてですが、1つはジョブコーチの制度も必ず障害者本人に対 する支援がメインであることは事実なのですが、実際に職場に定着をしていただくにあ たり、事業主に対してもいろいろな意味でジョブコーチはアドバイスをさせていただい ています。そういう役割もあることをまずご理解いただきたいと思います。個々の障害 者の状態についてですが、そういう意味で定着支援を担当する1つのプレーヤーである 障害者就業生活支援センターなども、個々の障害者の状況を踏まえていろいろな形で助 言等ができるような体制を全国にいま整えているような状況ですので、こういう所にお 声をかけていただきながら、中小企業のほうでいろいろな形で障害者を職場に定着して いただくようなことを考えていただく、ということができるような仕組みにしていきた いと思っております。 ○鈴木委員 もう1点よろしいですか。ちょっと後先になって申し訳ないのですが、ジ ョブコーチの派遣実績の中で、派遣先が大企業の比率と、いわゆる中小の比率とはどれ くらいあるのですか。その辺で中小の方たちがそれを知っているかどうかということに つながるような気がするのですが、その辺はどうですか。 ○調査官 中小企業はどれぐらいの割合で支援にいっているかということですが、私ど ものほうで具体的なデータを持っているわけではないのですが、企業の割合からすれば、 ほとんどは中小企業が対象になっているのではないかといま見ております。数的には中 小企業が非常に多いですし、地域での活躍の状況を見ると、たぶんそうなのではないか と見ております。 ○今野会長 まだご意見があるかと思いますが、次の話題にいきたいと思います。 ○長谷川委員 ハローワークを中心とした自立支援で、障害者の就労支援チームをつく るとなるわけですが、ハローワークはおそらく約600近くありますね。ところが、就業・ 生活支援センターは135センターです。そうすると、すべてのハローワークに障害者就 労支援チームをつくるのかどうなのか。それとも先ほど言った障害保健福祉圏域、そこ だけやるのか。だから、この図を見ると、500いくつのすべてのハローワーク全部でや るのかと思うと、次頁に135センターしかないから、実際、障害者雇用をもっとやろう と思えば、すべてのハローワークで取り組まないとうまくいかないのだと思うのです。 国家的な大がかりな仕事だから。そうすると、私は生活支援センター135というのは少 ないというのがまず第1点です。  それとトライアル雇用も今は8,000人だというのだけれども、今回の予算でどれくら いまで増やすのか。1万人まで増やそうとしているのか。おそらく中小企業はトライア ル雇用をやると、そこから障害者を雇っていくのではないか。助成金もつくわけだし、 そのやり方をもってプッシュしてやらないと、なかなか難しいのではないか。ジョブコ ーチが842人で2号ジョブコーチは23人しかいないわけです。だから福祉から就労へとい う、すごい大上段に前回の障害者自立支援法のときに書いたわりには、具体的な施策が 小さいのです。だから、もっと障害者雇用をやろうとすると、予算規模をもっと大きく とって、一般財源をもっと投入して、例えば1万人のトライアル雇用をやるとかしない と、結果的に何か打ち上げたけれども、実効性が上がらなかったとなるので、3年間ぐ らいの計画でやるということと、中小企業に対するジョブコーチをもっと派遣して、中 小企業を回って、相談してあげるということをしない限り、中小企業はなかなか難しい のではないかと思います。  ただ、障害者が働くときに、中小企業は本当は働きやすいかもしれないのです。顔が 見える規模ですから。大企業はなかなか顔は見えません。事業主の顔が見える所でいる ことは非常にいいことなのです。だからかつて中小企業で障害者雇用が進んだのだと思 います。だから、もっとそこに対して国がいろいろな団体との就労支援チームを活性化 させることだと思います。形式的な支援チームではなくて、実のある支援チームが必要 なのではないかと思います。  もう1つ企業名の公表ですが、私はテレビでやってほしい。テレビで政府公報で大き い字で頑張った所と駄目な所と公表してほしいのと、できたら日経新聞2面、変な広告 よりいいですから、いい所と駄目な所を大きい字で、是非公表していただければ、もっ と効果が上がるのではないかと思います。 ○今野会長 最後の点はご意見としてお聞きしておいて、前半おっしゃられた3点は、 もっと大胆にいけという提案なのですが、何かご意見がありましたらどうぞ。 ○高齢・障害者雇用対策部長 そのように大胆にやろうとは思っています。チーム支援 については全国のハローワークでやることに来年度からしたいと思います。ただ、パー トナーにどこが入るかというのは、ほかのそういうセンターの設置状況にもよりますの で、・センターがある所は当然・センターを含めたチーム支援になりますが、ない所は 別の所とそれぞれその地域に当面ある所とやっていく。・センターについても長谷川委 員からも3年計画ぐらいでと言われましたが、我々としてはそのぐらいのターゲットで全 福祉圏域につくっていくということにしたい。福祉圏域に2つハローワークがある場合も ありますが、それはそれぞれのハローワークが連携しながら、その福祉圏域で同じよう なサービスを提供するということにしたいと思います。  いずれにしても、障害者の問題はこの地域はやっているけれども、この地域はやって いないというのは非常にまずいと認識していますので、まずモデル的にやるのは別とし て、きちんとやるべきものについては全国的にどこでもサービスが提供できるという基 本的な考え方でやっていきたいと思います。 ○今野会長 高橋委員から手が挙がっていますが、次の話題をやって時間が空いたら必 ず高橋委員をいちばん最初にお話いただきますので、申し訳ありませんが、今日はあと 2つ残っていますので、次に入りたいと思います。次は「中小企業における経済的負担 の調整」についてということです。まずこれについて事務局から説明を受けて議論した いと思います。 ○調査官 すみません。その前に鈴木委員から先ほどジョブコーチの支援についてどの 程度中小企業の方々が知っているのかということについてのご質問がありました。手元 に適確なデータがございませんが、もし周知が進んでいないとすれば、我々の1つの課 題であると認識していますので、その辺、対応できることはしていきたいと考えていま す。 ○佐藤委員 いまのことでいいですか。中央会のこの調査を見ると17頁と22頁を見れば、 明らかに中小企業はジョブコーチの認知度は低いですし、利用率も低いので、このデー タで見る限り規模が小さいほどいろいろな施策を知らないし、使っていないです。 ○今野会長 では切らしていただいて、次をお願いします。 ○調査官 それでは資料4-1、障害者雇用納付金制度の概要です。ここからのテーマで すが、中小企業における経済的な負担の調整ですが、その制度の内容について納付金制 度の概要を説明させていただきます。障害者雇用納付金制度は障害者の雇用に伴う事業 主の経済的な負担の調整を図ることと、障害者の雇用水準を引き上げることを目的とし て、雇用率の未達成の企業から納付金を徴収し、雇用率達成企業に対して調整金、報奨 金を支給する。併せて雇用の促進等を図るための助成金を支給するという制度となって います。  図で説明させていただきますと、まず左側の雇用率未達成の事業主、これは常用雇用 301人以上の所に現状は限るということですが、不足1人当たり月額5万円の納付金を徴収 しています。そして、雇用率を達成された事業主に対しては調整金を支給するというこ とで、超過1人当たり月額2万7千円を支給している。また、特に301人以上というところ のレンジには入っていないわけですが、障害者を多数雇用している事業主の中で、障害 者を4%又は6人のいずれか多い数を超えて雇用している事業主については、報奨金とし て超過1人当たり2万1千円をお支払いしている制度です。そのほか助成金を支給させて いただいているという制度になっています。  概要はいま説明したとおりですが、納付金制度の趣旨について、説明させていただき ます。制度の基本的な考え方は、納付金制度は雇用義務とは別に、身体障害者または知 的障害者の雇用に伴う経済的な負担というものに着目して、経済的な側面から事業主の 身体障害者または知的障害者の雇用に関する社会連帯責任の履行を求めようという制度 です。内容的には法定雇用率未達成の事業主から納付金を徴収し、これを原資として身 体または知的障害者を雇用する事業主に対して調整金を支払うということ。そのことに よって事業主の間での障害者の雇用に伴う経済的な負担の平等化のための調整を図って、 障害者雇用に関する事業主の共同連帯責任を円滑に実現していこうとするものです。  基本は納付金を徴収し、調整金を支給するというところにあるわけですが、合わせて 障害者を雇用する事業主に対して助成、援助を行っており、これらを合わせて全体とし て雇用水準を引き上げていこうとするものです。  現在法律においてはどのような書き振りになっているかが次の参考資料です。障害者 の雇用の促進等に関する法律です。53条のところで本則について掲げさせていただいて いるわけですが、基本的に障害者の雇用の義務を負っている企業については、納付金を 納付していただく義務があるということが書かれているわけです。そして、本則とは別 に附則において300人以下の労働者を雇用する事業主に関する納付金の暫定措置という ことで、300人以下の労働者を雇用する事業主については当分の間、納付金は適用しな いという規定を置かせていただいています。これは制度の創設当時に、中小企業はこれ が雇用率が非常によかったということ、もう1つは中小企業の経済的な負担能力を勘案 してこのような附則ができたということとなっています。  次の資料4-2です。障害者雇用納付金制度の効果についても分析をさせていただいて います。別紙1です。雇用義務が創設された昭和52年と現在を比較した場合の企業規模 別の実雇用率の推移です。99人までの所、そして100人〜299人までの所の中小企業の部 分については残念ながら実雇用率は低下しており、次頁を見ていただきますと、最初に 説明をした実雇用率のグラフが出ていますが、中小企業の実雇用率も低下しているとい う状況になっていますし、また水準自体も大企業のものと逆転しているという状況が見 て取れるわけです。  その辺のところを資料4-2の頭紙の1で書かせていただいています。別紙2に法定雇用 の278人〜333人規模の所は法定雇用5人の企業です。ここを278人〜300人の納付金の義 務がかかっていない所と、301人〜333人のかかっている所の2つに区分して分析しまし た。そうしたところ、実雇用で大体0.26ポイント、達成企業の割合で大体5ポイント、 未達成の企業数の割合でも5ポイントぐらいの差が出てきているという状況です。こう いった両者の雇用状況を比較すると、278人〜300人の納付金のかかっていない企業より も、301人〜333人の企業規模の障害者雇用の水準の高い状況が明確となっています。  別紙3です。企業規模別に見た障害者雇用に関する考え方として、大企業の所、1,000 人以上とか301人〜999人の所は「法定雇用率以上をめざす、ないしは維持する」「法定 雇用率をめざす、ないしは維持する」といったようなことを解答していただく企業の割 合が高くなっています。1,000人以上では約9割、301人〜999人の所も大体8割に迫る数 字となっています。これが56人〜300人の所の企業になると、残念ながらぐっと減って、 こういう所が約4割に止どまっている。あるいは特に目標を決めていないという企業が 4割、障害者は雇用しないとする企業も1割以上となっており、この300人の所を境目に、 大きな意識の違いがあるかなということが見て取れるわけです。  資料4-2の頭紙のところで、最後に分析の結論として、障害者雇用の状況や障害者雇 用の考え方における300人の境の所で違いを見てみますと、大企業ではCSRであるとか 特例子会社制度を使うことによって、障害者雇用の状況が改善されてきたということが あったとしても、納付金制度によって経済的負担の調整が実施されてきたことが、障害 者雇用の取組や理解の促進について相当程度効果を上げてきたということが考えられる と結論付けています。  次頁に経済的負担の調整の現状というイメージ図です。18年の障害者雇用状況報告で す。これを基に、現在の納付金、どのように経済的な負担の調整が行われているかとい うことについて、イメージを出させていただいたものです。まず常用雇用者数が301人 以上の上の段に位置する大企業ですが、納付金をお支払いいただいている企業が63.7% ありました。そこから経済的な負担の調整が行われ、1人でも多く法定雇用数より雇っ ていただいている企業は調整金の対象企業となりますので、その企業は21.5%でした。 この間において障害者雇用にかかる経済的な負担の調整が行われているという現状があ ります。  そして、300人以下の所についてはどうかということです。障害者の雇用義務がたつ のは56人以上の所なので、56人〜300人の所を見てみますと、法定雇用率が未達である にもかかわらず、納付がない所については、55.7%の企業がそうであったと。それに対 して逆に法定雇用数を超過していますが、調整金が受け取れていない所が21%あったと いうことです。なお、先ほど説明した報奨金の対象企業は56人以下の所の企業も対象と なっていて、その辺若干わかりやすくこのグラフの中に当てはめたもので、実際には56 人以下の所も対象となっています。大企業から徴収した納付金を原資に報奨金として4 %又は6人のいずれか多い数をクリアできる対象に対し、1.8%の企業にお支払いしてい る状況で、ごく限られた所が対象となっている状況です。  この図から見ていただけるものがあるとすれば、1つは大企業に適用されているが中 小企業に適用されていないという納付金の状況、そしてもう1つは中小企業の中におい ても本来であれば障害者を法定雇用数以上、頑張って雇い入れをしていれば給付が受け られる所が、実際には受けられていないという水平的な不公平の問題といったものがあ るということを、私どものほうでまとめさせていただいたものです。  なお、次頁は障害者雇用調整金と報奨金の比較です。障害者雇用調整金は基本的には 1人でも法定雇用障害者数を超過した場合に、月額2万7千円をお支払いするのに対し、 報奨金のほうは支給要件が4%を乗じて得た年度間の合計数又は72人のいずれかの多い 数を超えて、72人を12カ月で割ると6人になるわけです。これを雇用していることで、 要件としては厳しい内容となっています。ただ、支給実績を見てみますと、中小企業の 数が非常に多いことから、こういった2,600対2,000という社数ということで金額的にも このような形になっています。  次に経済的負担の調整を拡大した場合の影響についてもシミュレーションをさせてい ただいています。この表の見方ですが、301人以上が現状です。これに対し納付金、調 整金組織企業規模を201人〜300人のところにおろした場合、対象となる企業数、超過額 がどうなるかをシミュレーションさせていただいています。仮に納付金が300人〜201人 のところまでおりてくるとすると、全企業としては約7,900の企業が対象となり、納付 金をお支払いいただく所が4,900、そして納付金の対象人数が1万2,000余り、追加徴収 額として大体70億円といった数になる。そして順次101人〜200人が加わると、この行の データが加わってくるというところです。調整金についても同様の見方をしていただけ ればと思います。  次に、資料4-3です。研究会報告書においてどのようなことが書かれていたのかにつ いて説明します。経済的な負担の調整の在り方についての、今後の制度の在り方につい て、最初の○については障害者の就労意欲が一層高まるとともに、福祉的就労から一般 雇用への移行等、多くの障害者が企業での就職を目指す。そうした中で、身近な地域で の雇用機会の確保・拡大に向けて中小企業が役割を果たしていくことは不可欠であって、 ただ、ここ数年は雇用状況は低調であり、今後こういったところを促進していくことが 重要であるといったようなこと。  2番目の○では、納付金の制度において現在300人以下の所が徴収対象となっていない。 そして301人以上の企業で法定雇用率を超えて1人でも多く雇用していれば支給される雇 用調整金が支給されていない。ただ、報奨金というごく限られたご褒美の制度が存在す ることです。この状況は十分なものではないということも評価として報告をいただいて います。3番目の○は、障害者雇用を確実なものとしていくためには、経済的な不均衡 を調整していくことが必要となっていて、300人規模の中小企業においても、納付金制 度の適用対象、すなわち納付金を徴収し、調整金を支給する対象とすることを検討する ことが適当であると考えるという形でご報告をいただく。最後の○ですが、検討にあた っては中小企業の経営実態等に十分配慮しつつ、規模別に見た障害者雇用の状況や経済 的な負担能力を勘案して、実施時期や対象とする中小企業の範囲をどのようにするかと いうこと、そして支援策の集中的な実施といったことも含めて検討していくことが適当 であるという報告を頂戴しています。  次頁はまとめです。研究会の報告書において検討すべきとされた点について、雇用支 援策の在り方も含めて説明しますと、今後の中小企業に対する雇用支援策等の在り方と して、理解の促進、マッチング、定着、複数の中小企業が共同で障害者を雇用する仕組 み。2番目として中小企業における経済的負担の調整の実施についてで、経済的負担の 調整の実施と、経済的負担の調整を実施する企業の規模の範囲、実施する時期について が検討すべきとされたところです。以上です。 ○今野会長 それではご意見、ご質問をお願いいたします。 ○輪島委員 資料4-2の4番にまとめが書いてあります。CSRの観点からの取組みや特例 子会社等の活用等により、障害者雇用の状況は改善された面があるとしても、と書かれ ているのですが、こちらがメインの理由なのではないかと私どもは認識しており、後段 の障害者の納付金制度があるがゆえに進んできたということが、本当にそうなのかどう かということがストレートに言えるのかというと、資料4-2の先ほどご説明にあった納 付金のところ、別紙2の(1)で分析していますが、これは確かにそういうことだと思い ます。状況証拠としてはそうなのかなとは思いますが、これが本当にストレートに効く のかどうかというのは、本当にそうなのかどうかはわからないではないか。  次の次の頁のイメージ図ですが、ここは一応注意を喚起する意味で申し上げておきま す。300人以上の所の調整金の対象企業が21.5、報奨金の対象企業が1.8ということで、 いまの事務局からの説明は1.8という数字が非常に限られているという説明でしたが、 納付金から調整金として支給されている額、約50億円で、報奨金として支払われている のも約50億円なので、企業数としては非常に限られているということは言えますが、額 は大体同じような金額が出ていることも一方での実態だと思います。  参考資料1ですが、これは事務局にお願いをして資料を出していただいたわけですが、 1頁目で、結局1.8%と現在の雇用率1.52の差がどのようになっているのか。何人不足し ているのかということが初めて数字として明らかにされて、結論としては約8万人がそ のギャップだということで、特に56人〜299人の所が4万3,000人で、300人以上が3万 6,000人。つまり中小企業の所で4万人、大企業で4万人雇用されるのが1.8%を達成する ためのターゲットだということがはっきりしたわけです。  もう1頁後ろの2頁ですが、3万8,000社の未達成企業のうち1人不足企業が2万2,000社 で、2人不足企業が7,900社ですから、2万2,000社と8,000社を足すと3万社、つまり3万 8,000社のうち3万社、80%は1人不足ないし2人不足だと。ですから、障害者雇用率を達 成するためのいわゆるターゲットは、やはり1人不足、2人不足の所をどのようにやって いくのかを考えることが、ほぼ8割程度の改善を見られるターゲットになる。そういう ことになると、そこのところで中小の56人〜299人や、大企業をどのように分析するの かということになると、この数字を踏まえて、かつ中小企業の研究会の報告書を踏まえ て20年の予算の状況を見ると、その辺のメリハリがうまくついていなくて、先ほど長谷 川委員がおっしゃったように、トライアル雇用をどのように位置付けるのか、この表に は委託訓練はありませんが委託訓練やジョブコーチなどの政策をどうやって、どこに当 てはめていくのかということが、はっきりそういう意思がこの中には見えないのではな いか。そういったものをクリアにした上で、何年か改善を見る。特にこの2万2,000社の 1人不足2万2,000人の不足状況を、どのように改善するのかを何年かやった上で、経済 的負担の調整をするということであれば、それはそれなりにやっていかなければならな いと思うのです。まずやるべきことはそういうことをしっかりやることが、重要なので はないかと私は思っています。 ○今野会長 いまの点について、それでは先にお話を聞いてしまいましょう。 ○新澤委員 我々中小企業経営者としては障害者雇用を推進することは大賛成であるわ けですが、それに応じない中小企業にペナルティを課すやり方には賛成できないという ことです。自発的な障害者雇用を促進するという効果はその場合は期待できない。そう いう場合は障害者雇用は社会に定着しない。障害者雇用を進めるためにはやはり第一に やるべきことは、企業にペナルティを課すことではなく、先ほども述べましたように、 まず環境整備を整えることが必須です。また、経営者に不安と負担を解消し、経営者が 積極的に障害者を雇用することが大事ではないか。中小企業経営者が前向きになって障 害者を雇用することを十分に理解していただければ、自ずとこの問題は先に進むと思い ます。  そういうことで、これからはペナルティではなくて、お金で解決する、ペナルティを 課すことによってお金で解決するのがよいのだとなりかねない。したがって、障害者雇 用の給付制度については、かえって障害者雇用の阻害要因となりかねないので、そのこ とについては慎重に検討していただければと思います。少子・高齢化で若者の労働力不 足が深刻化している中で、障害者はむしろ潜在的な労働力として、社会的に位置付けら れます。自分の能力を仕事の中で発揮して、それを通して社会の中で生きていくことが 当たり前の社会となるようにしていくにはどうしたらいいか、ということを考えるべき です。  先ほども話しましたように、中小企業社は56人以上100人ぐらいまでは親戚、兄弟、 隣近所、友だち、友人というような職員も多数おりますので、その中でそういう話をし て障害者の雇用をお互いにやっていったほうがベターではないかと思います。 ○森氏(松井委員代理) 日本身体障害者団体連合会の松井委員の代理として来ており ます。日本身体障害者団体では就労問題について大変最近は勉強しているようになって きており、本件の問題についても関係者が集まっていろいろな角度から勉強してきてい ます。そこで、これは大変だと思いますがお願いという形で中小企業への障害者雇用納 付金制度の導入は、是非ともお願いしたいということが出ております。最近、ご案内の とおり、障害者の雇用促進については大変いろいろ各面から検討され、予算化もされて いますが、基本的な側面をご考慮願えればと思っております。もとより雇用義務に課せ られている中小企業については、地域では有力な企業があり、特に地方では中小企業の 障害者雇用の拡大は極めて重要課題だと考えます。しかしながら、今日の説明にもあり ましたように、昭和51年の雇用義務制度創設以降約30年間経っているわけですが、雇用 率は全体としても大企業においてもある程度改善されてきておりますが、残念ながら中 小企業の実雇用率は低下していると思われます。これについては連合会としても大変大 きな意識を持っています。  中小企業の経営は先ほどからも説明があるとおり依然厳しく、その経済的負担能力の 変化はないとのご指摘もありましたが、そのことが事実であるとしても、近年では職域 の拡大、あるいは雇用管理の技術など蓄積されてきていますし、以前よりは容易に障害 者を雇用する環境が整ってきているのではないかと我々は認識しています。  一方においてご案内のとおり、最近は障害者基本法の改正、あるいはバリアフリー法 の改正、あるいは昨年は障害者権利条約がニューヨークで採択されたという障害者に対 する考え方がだいぶ進んできています。特に障害者自立支援法の施行はいうまでもあり ませんが、その基礎は障害者が地域で自立生活を送ることと同時に、社会参加を進めて いるところで、共生社会の実現も1つの目的であると思います。そういう面からも考え たとき障害者が地域で充実した生活を送る、それと同時に働きたいという意思と能力の ある障害者は、雇用就労の場を得ることが求められる。ここ数年、障害者の就労意欲は 高まりを見せています。こうした中で、企業で働きたいという気持を持ちながら、就職 に至っていない障害者の暮らしは厳しさを増している面があります。  したがって、中小企業においてもより多くの障害者を受け入れていただく必要がある と思います。このように納付金制度の導入を暫定的に見送った30年前と、現在とでは大 きく障害者問題の環境は変わってきていると思います。  大企業と中小企業の実雇用率の差は、納付金制度にあることは明らかであり、制度が 創設され約30年間を経過している現在、もはや中小企業の自発的な雇用のみに期待を 寄せた「理解の増進」や「啓発」などの対策を講ずる段階ではなく、「納付金制度」を 適用し、「がんばっている」中小企業には広く「調整金」を給付することによる効果的 な対策を講じていくべき段階にあるといえます。 実はこの30年間、納付金制度の問題の事項が変わっていないというところで、大変私 個人としてもびっくりしているわけです。身体障害者法は基本的には24年からできまし たが、だんだん進んできています。いちばん遅れてきた精神障害者までこういう制度が 通ってきている。この間を考えてみますと違う分野では、例えば我々がいちばん考えて いた障害者の全員入学というのが大変大きなテーマだった。これもいろいろな障害者団 体の運動と同時に、関係者、あるいは国等のご理解で全員修学になったという大きな画 期的なことがあります。また、知的障害者については特にJRの割引制度の問題もありま した。そのようなところも解決した。また、皆さんご案内のとおり、ほとんど考えられ なかった駅にエレベーターができたり、エスカレーターができたり、空港に行けばわか るとおり、障害者に対する配慮はものすごく進んできています。乗るときにも優先的に 扱ってくれたりします。それがいいかどうかは別としても、物的にもいわゆるハード的 にもだいぶ進んできているのではないだろうか。  そのような形で、是非この制度を施行していただいて、いわゆる障害者の雇用が少し でも進んでいただければと思っています。 ○鈴木委員 結論的に言いますと56人以上の企業、私は100人とかのレベルではなくて、 基本的にすべてに対応したほうがいいだろうと考えています。それともう1つは、何か 難しい算式がいっぱいあって、もう少し何人の企業は何人だと明確にして、やってあげ ることのほうがわかりやすいのかと思うのです。  変な話なのですが単価が低いのかなと思います。5万と雇用している側は2万何某とい う、これを倍にしてというか、ごく単純に計算をするのであれば、もう雇用していなけ れば10万円だよと。逆に雇用していればこの2万何某などという数字はあまり設備投資 にも使えないし駄目なのです。それだったら15万円とか、10万円も変な話なのですが、 それぐらい出さないと、例えば車椅子を雇ったときに段差を解消しましょうとか、視覚 障害者を雇ったときに音声の入るのを入れましょうとか、そういったことができないわ けです。だから、この金額ではなくて、これをもう少し上げるべきだなと思うのが2つ 目です。  56人以下の所でも、先ほどちょっと報奨金でしたか、ここは義務はないけれども、雇 ったらいっぱい出すというような、国費を少し入れてでもやっていかないと、この調整 だけでやろうとすると行き詰まると思うので、義務は義務で56人以上全部に課すにして も、もう少し雇ったときの飴と鞭ではないですが、もっとおいしい飴がほしいというよ うな気がします。 ○高橋委員 この件に関してですが、資料4-2の3に、いま300人以上の規模の企業にお いては法定雇用率を目指し、維持するということがあります。そういったところで、そ の1つの効果的な取組みとして納付金制度が非常に効果を上げているとするならば、300 人以下の企業の中で、特に目標は決めていないという企業が4割います。その4割がなぜ 目標を決めていないのかという原因というか、要因をもう少し分析する必要があるかな と思います。そういう意味で意識啓発、あるいは職場環境の支援策が必要ということで あれば、こうした納付金制度は一定の雇用が拡大して進むという1つの策になり得るの ではないかと思います。 ○今野会長 ほかにありますか。副島委員どうぞ。 ○副島委員 いまの障害者雇用についてのデータ、4-2ですが、私ども当事者としては 障害者雇用制度の効果については、このデータをある面では信用したいと思います。現 場の状況は我々には実際にわかりませんが、上がってきたデータから分析した結果のと ころは、我々は尊重したいと思うのです。問題は今回の雇用率のところで考えるに、資 料4-1の中にある障害者雇用の促進等に関する法律が、障害者雇用納付金徴収及び納付 義務、この法律の53条で謳われたときに、暫定措置として300人以下の労働者を雇用す る事業主に対しては、適用しないということが謳われた。実はいま我々の障害者を取り 巻く内容については、障害者自立支援法が施行され、就労に対する強化が相当謳われま した。ただ、この就労に対するこの強化は関係の福祉施設関係等にそれが強いられてお り、支援をする側にはこれだけの強化がされたのに、受け入れ側である企業に対しては 何の状況も伝わっていないのです。そうなると、この法律53条と相俟って受ける側に対 してもやはり雇用に対する意識の向上と雇用義務の施行、それはどうしても両方が相俟 っていないとこの障害者雇用は成り立っていかないと思うのです。どうしても支援者が 一生懸命になったとしても、結局働く企業がないとなると、企業側のメリットを考えた この納付金制度も考えていかなければいけないし、報奨金や調整金が少ないのではない か。本当にこのままストンと流してもいいのではないかというような気持もあるのです が、そこのところは制度上どのような格好になるか、議論をしなければいけないと思う のです。中小企業に対して障害者団体としてはいちばん障害者を雇用してもらう側のい ちばん大きな企業なのです。そこのところに障害者雇用が広がっていかなかったら、残 念ながらいまの就労支援という自立支援法の主柱である所得保障の1個の稼得収入が日 の目を見ないことになってしまう。そういうところを含めて今回の障害者の納付金制度、 障害者雇用に対する納付金制度は、当分の間といっても30年間ずっときているというこ と自身が問題ではないか。もう少し中を精査し、環境が変わり、経済状況も変わったと いうことから、そこのところも見直しをかけていきながら、支援者側、受ける側が車の 両輪としてこの取組みをやっていくべきだと思うのです。 ○今野会長 今日の進め方ですが、時間も限られていますし、かつ非常に難しい問題な ので、今日は思いの丈を言っていただく。それを事務局でもう一度整理をしていただい て、それで次の段階で議論をしていくという進め方をしたいので、思いの丈のある方は どうぞ。 ○輪島委員 副島委員の言われた53条の件はそういう理解もあると思うのですが、私ど もの理解は、前回の自立支援法は障害者雇用促進法の改正と自立支援法をセットにして、 一昨年の通常国会で議論しました。その意味での大きな環境整備は雇用促進法のほうの 手当は、精神障害者の雇用の件について措置をするということで、その意味で措置済み ということではありませんが、前回の大きな法改正のところは、自立支援法で出す仕組 みと障害者雇用促進法は受ける企業側での対応は、セットで議論をしたということにな っています。まだまだ足らないというご指摘はよくわかりますが、一応そういう考え方 は、前々回の法改正の時点ではあったと私どもとしては理解していますので、その点ご 理解をいただきたいと思います。 ○大島委員 300人以下の規模の企業に対する経済的負担という見地からいくと、今後 議論される法的雇用の水準とか、労働者の雇用率に算定するという件なども、この分科 会で議論される一連の対策を総合的に考えた上で、従業員にどの程度の影響があるかが 現時点ではよくわからないというのが現状です。  したがって、まずは障害者雇用の環境整備のための政策を進めるとともに、中小企業 の雇用率が下がっている理由を分析して、その上で納付金制度の適用対象についてとか、 厳しい経済環境を強いられている中小企業の実態を踏まえて、慎重に検討していただき たいというのがお願いです。 ○高橋委員 最初に戻ってもよろしいですか、それはまた別ですか。 ○今野会長 ちょっと待ってください。それではこの今日の2つ目の議題は、今日は大 変たくさんの意見をいただきましたので、先ほど申しましたようにもう一度事務局に整 理をしていただいて、それでまた議論をしたいと思います。最後にまとめて何かがあっ たらお願いします。 ○高齢・障害者雇用対策部長 全体のご意見を踏まえてまた議論していただけるような 整理をしていこうと思います。ただ、ちょっとご理解いただきたいのは、この制度は事 業主に対するペナルティではなくて、雇っていない所からお金を徴収して、より以上に 雇っている所にお金をお支払いする。その全体の公平を図る制度で、取ったものをその ままどこかへ持っていってしまうとか、そういう制度ではないということだけはご理解 いただければと思っています。いずれにしても、今日出たご意見等も含めて、より深ま った議論ができるようにしていきたいと思っています。 ○今野会長 ではそのようにお願いします。では高橋委員、先ほどは失礼しました。短 くお願いします。 ○高橋委員 先ほど中小企業の雇用支援策として共同で複数の事業所が、中小企業を共 同でという、そこにこだわりがあるのですが、確かにこれでは雇用機会の拡大というこ とでは一定数進むだろうと思うのですが、自分が雇用される側となったときのことを想 像すると、果たして雇用の安定が図れるのかというところを、是非検討していただきた いと思います。というのは、雇用先がはっきりしない。事業組合で雇用されるというこ とになると思うのですが、雇用条件をどこと結ぶのか。事業組合と結ぶのかといった働 く側として、労働の安定を含めば本来の自立支援になり得るのかどうか。拡大は進むけ れども、すぐ辞めてしまわざるを得ないという状況が想定できないか。先ほどグラフの 中で規模別障害者の雇用数は減少していって、新規が増えているということは、入った としても辞めざるを得ないという状況が考えられるので、その辺も含めて慎重に検討す る必要があるのではないかと思いました。 ○今野会長 ありがとうございました。 ○新澤委員 その関連ですが、その問題についてはすでに具体的に例えば廃棄物業者が 組合を作って、廃棄物処理の分別とかを障害者がやっているとか、あるいはクリーニン グ屋が何ものとか白ものとかとあって、共同工場をつくって、その中で障害者を雇用す るというようなことはすでにやられています。我々中小企業団体中央会の関連で、そう いう形にすることは現実にあります。 ○今野会長 いずれにしても今日いろいろな方から同じようなことがあって、何で離職 するのだろうかというようなところは、もう少し分析したほうがいいですねということ は統一したご意見ですので、何かの機会があったらそういうデータを集めるか、調査を するということはお願いしたいと思います。  それでは申し訳ないですが次にまいります。「障害者雇用の促進等に関する法律施行 規則の一部を改正する省例案について」ご議論いただきます。まず事務局から説明をお 願いします。 ○調査官 資料6-2、日本郵政公社の民営化に伴う除外率の見直しについてです。日本 郵政公社が10月1日に民営化されます。現在除外率設定業種の郵便局として100分の30の 除外率が適用されているところですが、民営化後の除外率について見直しを行うことが 今回のテーマです。  次頁です。日本郵政公社の民営化のイメージ図が出ています。親会社は日本郵政株式 会社になり、いまの日本郵政公社が郵便事業を行う郵便事業株式会社、郵便局の窓口業 務であるとか、郵便物の集荷業務等を行う郵便局株式会社、並びに銀行業務等を行う株 式会社ゆうちょ銀行、生命保険業務等を行うかんぽ生命保険という形で分割されること になっています。  現在、日本郵政公社については郵便局として30%の除外率をかけることになっていま すが、これは主に郵便の配達等の業務を行っていることを理由に30%を課しているとこ ろです。  今後、会社ごとに分割されると郵便事業会社については国内の物流や郵便の業務を行 います。そういう意味でいままでどおりに30%ということで認めていこう。隣の郵便局 会社ですが、これは郵便窓口業務を行う、あるいは郵便物の集荷業務を行うところです が、集荷業務の業務量等を勘案し、全体としては10%の除外率とし、並びにゆうちょ銀 行、かんぽ生命は民間における生保、銀行等も除外率の適用はないので「適用なし」と いう方向で整理させていただきたいと思います。  施行期日は19年10月1日からの施行にさせていただきたいと思いますので、またご議 論をいただきたいと思います。 ○今野会長 それではご意見、ご質問はおありでしょうか。 ○長谷川委員 郵便企業の30%の除外率は同じような他の運送業務がありますね。そこ と同じ率ですか。 ○調査官 基本的には道路貨物運送業等の除外率と同様ということで、民間並びとなっ ています。 ○長谷川委員 それと郵便局、要するに窓口株式会社ですが、ここで除外率10%とした のはなぜなのですか。 ○調査官 郵便局の業務の中で、国内の物流的な業務として郵便物の集荷業務等が発生 する。その割合に相当する業務量が大体10%に相当するということを、郵政公社、総務 省からヒアリングをして、そのように定めたものです。 ○長谷川委員 こういう所はほかにもあるのですか。窓口の中で集荷があって、その集 荷が除外率10%というのは、いろいろなところの業種と比べたときに、ここは変わらな いという事務局の見解なのですか。 ○障害者雇用対策課長 基本的には業務量を見た上で、実際に担当する者が10数パーセ ントいるということで10%と考えています。同じく除外率10%の産業がその他の運輸に 付帯するサービス業が10%になっていますので、大体これがその他ですので、いろいろ なものがありますが、同様視し得るのではないかと考えています。 ○佐藤委員 宅配事業は除外率は100分の25です。業務内容が同じようなものではない ですか。なぜ30なのか、違うのですか。貨物運送取扱業は25%でいいのですか。貨物運 送取扱業は25%で、郵便業が30というのが、何か同じようなものかと思うのですが。 ○障害者雇用対策課長 基本的には今回の見直しについては全体の産業を並べて見直す ということではなく、日本郵政公社が分割されるにあたって、いまの制度を前提とした 形で除外率を定めたらどうなのかという観点からになっています。もともと郵便局が30 %になった経緯については、もともと国の組織なので除外職員という制度があって、職 員について障害者がなかなか就きにくい職業に就いている方について、除外をするとい う制度があったものを、除外率という制度がいまのノーマライゼーションの関係から適 当ではないので廃止するということで除外率に移行させた。そのときに、もともと40% 相当の方がいらっしゃったということで、当初は郵便局については40%という形で除外 率を算定させていただきました。  それを3年ぐらい前でしょうか、とりあえず見直しということで一率に下げて30%に したという経緯があり、その経緯より若干貨物運送取扱業、集配業務運送は除くとなっ ていますが、若干経緯があるということでわざわざ断っています。いずれにしても、今 回の審議会の中でも除外率について全体的な見直しをお願いしたいと考えていますので、 その上で、今回の制度改正は基本的には現行制度をそのまま適用しただけですので、そ の見直しの中でご議論いただきたいと考えています。 ○佐藤委員 民営化すると郵便局は普通の産業分類でいくと何になりますか。25%と同 じ産業分類になるのではないですか。調査するときの産業分類は何ですか。 ○企画課長 産業分類自体が見直しの時期になっていまして、いままで郵便局というの が1つあったわけです。今度それがいわゆるここで言う郵便事業株式会社的な部分と、 窓口的な部分と少し分かれて整理されるので、そういうことも加味して今回は郵便局と 郵便事業とに書き分けて、道路貨物運送業並びの30と、当面10%にしたものと、そうい う整理をしたという。その辺は産業分類がちょうど改定の時期と微妙に時期がずれてい るものですから、今回はその中でこういう取扱いをさせていただいたということです。 ○障害者雇用対策課長 産業分類については審議会のほうで答申は終わっておりますが、 改定は来年の4月1日になるかと思います。現在のところ改定案としては郵便業というこ とで通常のものとは別の産業分類になると聞いています。 ○佐藤委員 何か変だな。 ○今野会長 ほかにございますか。何か当面の措置という感じも含めてですね。それで はこの分科会としては、いま出ていた厚生労働省案を妥当と認めて、その旨を私から労 働政策審議会の会長に報告申し上げたいと思いますがいかがでしょうか。よろしゅうご ざいますか。                   (異議なし) ○今野会長 それでは案文を配っていただけますか。 ○調査官 はい。 ○今野会長 それではご一読いただけますか。 ○調査官 平成19年9月26日労働政策審議会会長菅野和夫殿。労働政策審議会障害者雇 用分科会長今野浩一郎。障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する 省令案要綱について。平成19年9月26日付、厚生労働省発職高第0926001号をもって、労 働政策審議会に諮問のあった表記については本分科会は下記のとおり報告する。 厚生労働省案は妥当と認める。 ○今野会長 ありがとうございました。ではこれでよろしいでしょうか。それではこの ように報告させていただきます。今日の分科会はこれで終わりたいと思います。議事録 の署名ですが、労働者側代表は長谷川委員、使用者側代表は大島委員、障害者側代表は 副島委員にそれぞれお願いします。それでは今日は終わりますが、次回の日程は10月10 日10時から、厚生労働省の6階です。よろしくお願いいたします。それでは終わります。 ありがとうございました。 <照会先>  厚生労働省 職業安定局 障害者雇用対策課 調整係  〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2  TEL 03(5253)1111 (内線 5783)  FAX 03(3502)5394