07/09/21 臨床研究登録情報検索ポータルサイト運営委員会の議事録について         第1回 臨床研究登録情報検索ポータルサイト運営委員会                     日時 平成19年9月21日(金)                        14:00〜                     場所 経済産業省別館1042会議室 ○事務局(遠藤)  飯沼委員がまだお見えではありませんが、定刻となりましたし、途中で中座される委 員の方もおられますので、ただいまから第1回臨床研究登録情報検索ポータルサイト運 営委員会を始めます。本日、この委員会の進行を務めさせていただきます、国立保健医 療科学院の遠藤と申します。よろしくお願いします。先生方におかれましてはご多忙の ところ、あるいは大変暑い中で恐縮ですが、よろしくお願いします。  まず私のほうから、今日、ご出席の委員のご紹介をさせていただきます。資料番号が 付いていませんが、2枚目の議題の次に運営委員会の委員名簿をお配りしています。そ れをご覧いただきながらご紹介させていただきます。新木委員、医師会の飯沼委員は遅 れています。伊藤委員、太田委員、木内委員、小林委員、丹後委員、辻本委員、中島委 員、福田委員、最後に南委員です。いま飯沼委員がお見えです。以上、本日は11名の 委員全員にご出席いただいています。なお、ご覧になってわかりますように、本日の委 員会は公開となっていますので、よろしくお願いします。初めに国立保健医療科学院の 篠崎院長より、開会の挨拶を申し上げます。よろしくお願いします。 ○篠崎院長  残暑厳しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。私もまだクールビ ズのままで服装を変えていないのですが、よろしくお願いします。冒頭、ご挨拶を申し 上げるのですが、第1回臨床研究登録情報検索ポータルサイト運営委員会という名の下 にお集まりいただき、どういうことをやるのだろうかと思われている委員の方もおられ ると思いますので、単なるご挨拶ではなくて、若干、私のほうから背景をご説明させて いただきたいと思います。  少々、国際的な話になって恐縮ですが、もともとアメリカで薬の副作用のことが事件 になり、それでいろいろ調べましたら、ネガティブデータを隠してあって、そういう薬 が市販され、重大な副作用が起きたという経緯だそうです。そこで英語圏の雑誌で有名 な『ランセット』あるいは『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン』な ど、そういう民間の英語系の医学雑誌の人たちが自主的に、そういうものが起きないよ うにするためには、こういう臨床試験が初めからちゃんと公開されて論文で出されてい けば、そういうものも防げるのではないかという考えから、主に米国、英国の雑誌の人 たちが集まり、現時点で10いくつの英語圏の雑誌ですけれども、その人たちが集まっ て自主的に始めたというのが事の始まりだそうです。  アメリカですから英語の論文というのは当たり前ですし、アメリカ、イギリス、オー ストラリア等がありますが、例えばフランスの人はフランス語の論文をフランスの雑誌 に載せるのでしょうし、それはこの網に掛からないわけで、ドイツ語も同じです。日本 語も全く同じです。それがそもそもの始まりですが、何もアメリカや英語圏だけの話で はなく世界的な問題だからということで、WHOに話を持ちかけたわけです。ご存じの ようにWHOというのは各国の厚生省が窓口になっていて、それぞれ分担金を払って世 界の厚生省のようなところですが、そこに一枚噛んでほしいという話になったわけです。  そこで、残念ながら亡くなられてしまいましたが、当時のリー事務総長が大変これに 熱心で、こういうことは是非やったほうがいいということから、わずか1年ぐらいの間 ですが、英米系で先にスタートしたプロジェクトをそのままWHOのほうに持ち込み、 WHOの仕事の1つとして取り上げたわけです。  時系列的に申し上げれば、昨年の2月6日にイギリスのロンドンで会議があり、そこ には例えばアフリカの人々を治験から守る会の会長のような方が参加しています。この 人はドクター・ムクンビという人で、モザンビークの厚生大臣、外務大臣、総理大臣を やった人です。ハーグにそういう組織があるそうですが、そこの組織の会長です。そう いう人がメンバーになっているような会が昨年2月6日に開かれました。その次は昨年 4月26日に、スイスのジュネーブで公開討論会が行われました。これには治験、被治験 者のグループ、企業、マスメディア等も入って議論がされました。最終的には昨年5月 のWHO総会で、WHOとしてこれをすることが決まり、いま、こういう状況になって いるわけです。  いちばん大事な項目は、この後、事務局からまた説明があると思いますが、20項目の 項目を研究そのものの最初の段階から公開します。そういうものでないと英語圏の先ほ ど言った一流雑誌は受け付けないという話になっているわけです。いまご説明申し上げ たようにもともとそういう背景で、20項目を登録する機関というのは学者の権威のため の登録機関でもないし、言わば被験者を守るための国民の目によるチェックのための機 関だという位置づけなのだそうです。  去年のWHO総会で、これでいくと決まったばかりですので、まだいろいろなところ で詰まっていない部分があるようです。Primary registerという言葉があります。つま り英米の雑誌に載せてもらうために登録する機関ですが、今日は我が国の3つの機関の 方に来ていただいています。Primaryと言うくらいですから1つだというイメージだと 思います。議論の中では、この資料にも入っていますが、オーストラリアが先行してい ますので、この地域ではオーストラリアの1つでいいではないかという議論もあったよ うです。いまはインターネットで登録しますから、場所がどこにあろうとあまり障害に ならないわけです。でもそれぞれの国の事情もあるし、それぞれの国から出したほうが いいという意見もあり、例えばインドでは1つの組織を決めましたし、中国では1つの 国の機関を決めたようです。したがって、それは最終的にはWHOと日本の場合は厚労 省との間で決めた所が、Primary registerになるということです。  今度は私ども保健医療科学院の問題ですが、そうやってせっかく登録されるというこ とになれば、それは英米の雑誌に載せるための20項目ですが、それは全部英語で書か れていますし、一般の国民にはなかなか読みづらいので、そこを国民が見てもわかるよ うな形にして3機関なら3機関、あるいは1つなら1つになり、そういう所に協力して いただいて私どもに情報をいただきたい。それを保健医療科学院のホームページに載せ ます。それで関心のある国民がいつでも、今、どんな臨床研究が我が国で行われている かが分かるようになる。こういう趣旨のものです。  併せて申し上げますが、この登録機関というのは学者の権威を高めるためのものでも 何でもなくて、国民の目によるチェックのための20項目を記載し、英米の雑誌につな がるための機関であるという意味です。今日は第1回ですし、どんな形で運営していく かということについて、それぞれのお立場からご意見をいただければと思います。また、 いま海外でどんな状況になっているか。あるいはWHOでどういう議論が行われている かについては、後ほど事務局から詳しく説明をさせていただきますので、よろしくお願 いします。 ○事務局(遠藤)  ありがとうございました。委員会に先立ちまして本委員会の委員長をお決めいただく 必要があります。事務局としては聖マリアンナ医科大学薬理学教室教授の小林先生にお 願いたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。                  (異議なし) ○事務局(遠藤)  ありがとうございます。委員の皆様方のご賛同が得られましたので、以降の進行を小 林先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○小林座長  ご指名ですので議事進行を務めさせていただきます。聖マリアンナ医科大学の小林で ございます。本委員会の趣旨については、いま篠崎院長より丁寧にわかりやすくご説明 いただきましたので、おわかりになったと思います。議事に入る前にまず事務局から資 料の確認をお願いします。 ○事務局(遠藤)  配布資料の確認をさせていただきます。議事次第にあるとおり資料1〜4、参考資料1 をお手元に配布しました。一つひとつ読み上げていくだけで時間がかかりますので、誠 に申し訳ありません。個々の説明、確認は省かせていただきます。資料の説明の中で不 足あるいは乱丁などがありましたら、事務局にお知らせをいただきたいと思います。 ○小林座長  よろしいですか。一応、ご確認いただいたということにしたいと思います。引き続き 事務局より本委員会の概要について、ご説明をいただきます。 ○事務局(遠藤)  私から簡単にご説明させていただきます。資料1-1をご覧いただきながら説明を聞い ていただければと思います。先ほどの篠崎院長の挨拶にもありましたように、近年、倫 理的及び科学的な配慮から臨床研究の結果公表がポジティブなものに偏る、いわゆる公 表バイアスというものを避ける。そして被験者募集を促進する観点から、臨床試験登録 制度を整備しようという動きが、国際的にございます。  こうした動きを受け、日本でも臨床研究の登録システムが整備されつつあり、本日ご 出席いただいている大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)、財団法人日本医薬情報セ ンター(JAPIC)、社団法人日本医師会治験促進センター(JMACCT)、この3つの主要 機関があり、それぞれ主に臨床研究、企業治験、医師主導治験を対象に登録されていま す。臨床研究という言葉や治験という言葉が出ていますが、臨床研究は大変広い概念で あり、その中に実際に国の薬の承認を得るということで治験というものがありますが、 また後ほど詳しい説明の必要があれば事務局からご説明します。  こういった3つの機関が、それぞれに活動していただいているわけですが、その3つ の機関がそれぞれ独立に稼働していることから、一般の方々から見て必ずしも使い勝手 がよい状況にはなっていないと思われます。厚生労働省と文部科学省が今年3月に策定 した、「新たな治験活性化5カ年計画」というのがありますが、これにおいても臨床研 究登録データベースの内容を充実して、専門知識を持たない方でも検索しやすく、わか りやすい一元的なサイトを整備することが望まれていると、この計画の中で述べられて います。また複数の登録システムの間で、登録に関して何らかの質的な保証が行われる ことも必要であると考えられています。  そこで国立保健医療科学院では、いまから2年前になりますが、平成17年度から厚 生労働科学研究の一環として、一般の方々が必要とする情報を、正確にわかりやすく提 供することを目指した検索システムを開発しました。具体的には、先ほど申し上げた3 つの機関の登録情報を、単一の検索窓口で容易に検索できる機能に加え、結果をわかり やすく閲覧できるポータルサイトを開設し、その運用を10月から開始したいと考えて います。そこで本日は、現行の登録機関及び科学院の開発したポータルサイトの現状を 説明し、一般の方々にとって、サイトをより一層使いやすいものとするために、皆様方 からご意見をいただければと思っています。以上、簡単ですが目的について説明しまし た。よろしくお願いします。 ○小林座長  ありがとうございました。それでは臨床研究の登録機関の現状について、現在登録を 行っている3つの登録機関よりそれぞれ発表をお願いしたいと思います。まず大学病院 医療情報ネットワーク(UMIN)の現状について、木内委員よりお願いします。 ○木内委員  資料に基づき説明させていただきたいと思います。資料1-2です。臨床試験登録シス テムというのは、インターネットを使って医師や研究者が試験の登録をして、一般市民 または医師が参照するようなシステムです。  次の頁で運用方針ですが、登録として対象の試験はすべての臨床試験が対象です。登 録できる人は臨床試験を行うものすべてであり、特に制限はしていません。登録料は無 料です。登録の期限は臨床試験開始以前を要請しています。要するに試験開始前に登録 してくださいということです。ただし、これは別に義務ということではないので、開始 してしまったから登録というのでも別にそれは構わないということです。検索・閲覧は、 登録したもののうち、公表時期をいつにするかというのを指定できるようになっていて、 それで公表されたものがすべて検索できる。検索を利用できる人はすべての人であって、 検索料等は取っていません。情報更新は定期的に情報の更新を依頼しています。また試 験終了後、結果公開等の依頼をしています。  次の頁でデータの項目等の仕様ですが、英語は必須で日本語がオプションとなってい ます。ただし。現実問題として日本語が入っていないものは1件もありません。という のは、日本語をまず作ってから英語に翻訳するようにしたので、データを両方持ってい るからだと思いますが、そういう状況で登録の必要なデータ項目は、先ほどお話が出た ICMJEとWHOの20項目に対応したデータ項目と、そのほかに臨床試験のデザインの 質向上等を目的にしたデータ項目を何項目か用意しています。これらについては必須項 目とはしていません。WHOによる世界統一試験IDへも既に対応しています。  次の頁でシステム仕様(登録)ですが、登録・公開後も何回も内容の修正は可能です。 ただし修正すると、どこをどう修正したかの記録が公表されるシステムになっています。 そういう運用をしているということです。  次の頁で検索・参照ですが、一般公開後にすべての臨床試験が検索可能で、対象疾患 名、実施地域、対象患者の性別、年齢等の検索が可能です。さらに先ほど申し上げたよ うに登録後の変更履歴もすべて参照が可能となっています。  次の頁で、これは画面ですけれども、左側がUMIN臨床試験登録のホームページです。 赤丸で囲んだところをクリックすると、このような検索画面が出てきて検索を行うこと ができます。  次の頁で、これは検索の結果です。ヒットしたものがこういう形で、要するに臨床試 験の要約データです。試験の名前、対象疾患名、要約等、さらに赤丸で書いてある閲覧 をクリックすると、こういうように詳しい情報が出てくるようになっています。日本人 用の画面は日本語と英語が対訳画面で見られるようになっていますが、英語画面から入 っていくと英語のみしか見られない仕様になっています。  次の頁は、先ほどから説明している更新履歴のところですが、更新履歴をクリックす ると、いつ、何時に更新したのか。さらに閲覧の画面をクリックすると、どこがどのよ うに更新されたかも見ることができるようになっています。  次の頁で、現在、登録数が9月12日現在で761件です。月別の登録件数ですが、ICMJE が登録を要請したのが2005年の7月とか9月ですが、その時期に極端に登録が多いと いう現象があります。その後、厚生労働省のほうで登録の義務づけをしました。厚労省 が出す科研費についてだけですけれども、そういう努力をされたことがあって2006年 の7月とか2007年の3月、4月など、厚労科研の申請が決まる時期にちょっと多いと いうのはあるのですが、全体として少しずつ増えているというのはあると思われます。 ○小林座長  ありがとうございました。次に財団法人日本医薬情報センター(JAPIC)の現状につ いて、太田委員、お願いします。 ○太田委員  私どもの臨床試験情報(JapicCTI)の現状について、ご報告いたします。このJapicCTI の開発についても、先ほどからいろいろな臨床試験を登録するというバックグラウンド の説明がありましたが、私どもも同じような背景から医薬品を使っている試験について、 情報を収集すべきだという意見がございました。私どもに登録されているものというの は医薬品を中心とした試験で、治験が非常に多くなっています。当面の目標としては、 今まで公開されていなかった情報の公開を目指すということで開始いたしました。  平成17年7月に登録公開を開始して、翌年の2月にはIFPMA(世界製薬協)のポー タルサイトから、英語あるいは日本語の両方での公開を開始しています。翌月の3月に 試験の結果も登録、ウェブ公開を開始しました。その後、先ほど言ったように当面は情 報の公開ということであったのですが、製薬企業等からの要望で、ICMJEの投稿資格 のサイトとして認定を取ってほしいということがあり、ICMJEへ申入れをいたしまし た。数カ月かかるという返事をいただいていたのですが、この8月の初めにICMJEよ り返答があり、今後、もはや認定はしなくてWHOに一任したという返事をいただきま した。これは先ほど篠崎院長からいろいろな背景を教えていただきましたが、一部私ど もも勉強不足で、その辺の状況はあまり知らなかったという事情があります。  その同じ時期に厚生労働省から、WHOのPrimary registerの推薦を国内として1箇 所行いたいというお話がありました。私どもも臨床試験、治験を中心とした情報を多数、 企業の方から登録していただいておりますので、項目、その他で多少の不備という部分 はあったのですが、その治験の部分が、国際的な雑誌から置き去りにされることは問題 であるということがあり、私どももWHOの求めるデータを含めるように、いま現在、 システムを変更中です。  実際の検索や登録は、JAPIC医薬品情報データベース「iyakuSearch」という、これ は公開のデータベースですが、ここから実施するようになております。ほとんどのファ イルが無料で検索できるようになっています。そこから登録及び検索を実行していただ きます。検索、登録料は無料です。私どもの組織は財団法人ですが一部会員制をとって おり、会員の方々の基本的な会費、そのほか私どもでいろいろ出版物、データベース等 をやっていますので、その事業のほうからの収益で実行するということで、無料で実施 することにいたしました。  登録票や登録要領については、システムの利用登録者のみが見られるようになってい ます。これはシステム利用登録を郵便で行い、システム利用のためのID番号を郵送す る手続により、登録者の確認を行うと同時に、いたずら的な登録を避けようということ でやっております。その後の手続についてはネット上で実施しています。  治験の登録が多いということがあり、当初、薬事法上の制約が大変心配されました。 それでトップページに、これは宣伝や広告が目的ではないということを理解していただ いてご利用いただく手続をとりました。  検索結果の表示ですが、現在までは登録者が記載した項目のみが表示されるようにな っており、登録項目はWHOの20項目にほとんど近く、1つだけ欠けている部分があり ましたけれども、ほとんど近い項目になっています。登録者によっては記載されていな い項目があり、そういった面から項目が少ないと思われておりましたので、今後は全項 目を表示する形にしたいと思っています。  現在までの登録状況ですが、現在、システムの利用者が79機関、109名あり、実際 の公開数が日本語で427件、英語で180件です。試験の結果は21件、これも日本語で 18件、英語が3件です。  私どものサイトの場合、日本語が必須で英語は副としています。IFPMAからも検索 できるので英語でも登録してくださいとお願いしていますが、基本的な登録はすべて任 意ですので、強制力を持っていないことから強制することはしていません。  どのような試験があるかということですが、ちょっと古いデータになりますけれども、 大体治験を中心にPhaseIVまで、市販後試験までのものが大半です。アクセス数は月に 6,000〜7,000件という状況です。  具体的なJapicCTIの概要ですが、登録される試験の範囲は先ほども言いましたが、 試験薬剤を含めた医薬品を用いた臨床試験となっています。登録項目と内容ですが、こ こに登録票を示しています。この*の付いているものが、いま追加しようとしている項 目です。ただし、今までもこの共同実施者というのは項目は挙げていませんが、実際に は記載されています。試験実施施設も今までも項目名としては挙がっていたのですが、 治験の場合は記載されていないのが現状で、施設名が記載されているものは数件くらい しかないと思います。そのほか目標症例数、予定試験期間といったところが、記載され ていない例が多い項目になります。  私どもの独自の項目としては、数百字以内で記載する試験の概要、医薬品を使用した 試験を対象にしておりますので医薬品の薬効コードを付けるとか、IRBを記載していた だく。あるいは治験届の番号を記入していただく。その他の項目には書きたいことがあ ったら何でも書いていただく仕組みになっています。  この治験届の状況に関しては公開はしておりません。私どものほうで情報を確認する ために記載していただいている項目です。これは治験届をきちんとされていることを確 認した上で登録させていただいているということです。次の臨床試験結果の登録は今回 は省略させていただきます。次の頁は登録申請から公開までの流れですが、これは先ほ ど、どういう登録をするかを簡単に説明しましたので省きます。  次に図がありますが、これがiyakuSearchという、私どもで持っているデータを公開 しているデータベースです。この中でいちばん最後に臨床試験情報というのがあります。 この中に入っていただくと、臨床試験情報のトップ頁が出てきます。ここで、このサイ トはこういうことですよということを理解していただいた上で、検索や登録をしていた だく画面に移ります。次に登録のための必要な書類を取り出すという画面があるのです が、そこは省略します。検索の画面では、検索した結果が一覧として出てきて、この中 の調べたいところをクリックすると、次の頁にある詳細データを表示するようになって います。たまたまこの例では、症例数が入っています。  最後の履歴のところですが、表示している情報は最新の情報を表示しています。過去 の履歴については、ここでクリックしていただくと、前回あるいはその前に登録された ものが表示される形になっています。 ○小林座長  ありがとうございました。続きますが、社団法人日本医師会治験促進センターの現状 について、飯沼委員の代理であられる治験促進センターの田村さん、よろしくお願いし ます。 ○田村氏(飯沼委員代理)  治験促進センターより、簡単に説明したいと思います。既にお2人の先生から詳細な 説明がありましたので、私からはごく簡単に今までの状況と現状について説明したいと 考えています。スライドは2枚目からお話させていただきます。  まず作り上げた経緯ですが、厚生労働省からの要請を受け、ウェブサイトとして構築 をしてきました。対象としては、既に事務局等からも説明がありましたとおり医師主導 治験と、企業治験でも医療機器について、私どものスコープということで構築してきた ものです。現在の登録されている情報ですが、治験促進センターが支援してきた医師主 導治験、医薬品の情報が主で、その登録数は現在12となっています。  次の頁で、先ほどJAPICから説明がありましたが、当方でも少し先立ってICMJEの 認定を受けるためにということで、昨年、アクションを起こしましたので少し紹介しま す。結果的には同じようなことになり、昨年、私どももWHOの項目を盛り込むように ということでウェブサイトを全面改定し、項目を満たしたところを受けて、改定したウ ェブサイトを基にICMJEに認定を申請しています。これが2007年2月です。ICMJE 総会が4月にあるということで、それ以降の回答になるとメールで返ってきていて、そ の関係で4月の中旬ごろに回答が来たところですが、結果は先ほどJAPICからご紹介 があったとおり、ICMJE独自の認定はもうやめてWHOにこの部分を一任するという ことでした。  次の頁で、2つのサイトと少し違うところがありますので、ご紹介したいと思います。 臨床試験の登録の方法についてですが、先ほど来、先生方から説明がありましたとおり、 基本的には研究者からの登録がなされるということですけれども、先ほど申し上げたと おり、私どもは規模があまり大きくないところもあり、まずは研究者からの登録依頼を 受けるところからセンターで情報を入手します。日本語と英語の掲載案を治験促進セン ターが先生と相談しながら作り上げる作業を経て、修正等を行って公開しているという、 きめ細かい作業をしているところです。この目的としては、いまWHOの求める事項を 満たした質の高い内容を、まずは掲載していきたいというところです。当然ながら今後、 例えば数が増えてくれば人的なリソースもありますので、またいいモデルがたくさん掲 載されますので、UMINやJAPICが行っているような方式に移行することを考えてい ます。画面のリストについては残り2つのスライドで簡単に紹介しましたが、既に2つ のサイトのほうから説明がありましたので省略させていただきます。 ○小林座長  ありがとうございました。3つの発表について何かご質問等ございますか。 ○辻本委員  素朴な疑問なのですが、UMINのご報告の最終頁ですけれども、累積登録数というこ とでグラフができています。ここへの登録というのは義務化でないとなると、いま、全 体としてどれぐらいのものが日本中で動いているかの掌握はできていないわけですか。 ○木内委員  できていませんね。それについて推定をした論文を読んだことがあるのですが、1年 間に2,000〜3,000ぐらいではないかということです。実際、登録されている研究は実 はみんないい研究なのです。質の低い研究ほど登録されないので、そこはむしろ、そち らのほうが問題かなという気がします。 ○辻本委員  ありがとうございました。 ○小林座長  ほかにいかがですか。 ○丹後委員  実際に日本で行われている臨床試験の何割が登録されているかというと、まさにこれ は登録システムの品質保証に関わってくる問題として、WHOのほうからもかなり議論 がありまして、ここでもそういう品質保証、つまり100%を目指すようなメカニズムを 作ることを目指して、今後、活動していこうという話が出ています。 ○小林座長  その辺は、またこれからも出るかと思います。ほかにいかがですか。それでは1点、 私からよろしいですか。JapicCTIで1頁目のIIの利用状況の(4)に、試験のタイプ別(2007 年2月データ)というのがあります。そこでI〜IVと書いてあり、括弧の中はII、III、 IVとあります。そうすると現状ではIはないということですか。 ○太田委員  がんなど特殊なもの以外原則としてPhaseIは対象としておりません。制がん剤など の試験の場合にIからという登録があると思います。 ○小林座長  これは、そういう読み方をすればいいということですね。 ○太田委員  はい。 ○小林座長  ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。次に臨床研究登録情報検索ポータルサイ ト開発の現状について、丹後委員よりお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○丹後委員  私のほうから保健医療科学院で現在、どういう形で開発しているかを簡単に報告しま す。資料2です。最初の1枚目をめくっていただき、現状と今後の予定をご覧ください。 ここに実は今日に至るまでの2005年度、2006年度に関して、今日来ていただいている 木内委員、太田委員、医師会の伊藤委員を中心に、3つの機関とうちで登録のあり方に 関する開発の仕方に関し、厚生労働省の特別研究で2年間ほど討議してきましたが、そ の結果として今日を迎えているわけです。去年の報告書に関しては、この赤いものがあ りますので後でご覧いただければと思います。  2005年、2006年は、そういうことで討議してきて報告書をまとめ、その中で、いま 開発している前の試作版を2年間で策定しました。その試作版をベースに本稼働用のシ ステムを作るということを我々は考えています。したがって、先ほどの事務局のご説明 の中であったように10月から稼働するという形ではあるのですが、実際に10月1日か らこのシステムに関する予算が付き、その中で開発プラス、それと併行して稼働してい くということを考えていましたので、今年の8月31日までに3機関からいただいたデ ータをアップロードして、それをご覧いただくという形を取らせていただこうと思って います。したがって本稼働は今のところ3月1日を予定しています。そういう形でいま 考えています。  次の頁はポータルサイト概念図です。これは先ほど事務局から配布されたものと非常 に似ていますが、基本的にWHOの考え方をこのシステムの中に組み入れ、本稼働にな れば、3つの機関からインターネットを経由してデータを毎日吸い上げる形で、保健医 療科学院のデータベースの中に蓄積し、それを国民の方が検索できるシステムを構築し ようという概念図です。  次の頁で3の画面遷移図ですが、これは基本的な検索の仕方のフローチャートがあり ますけれども、左のほうの1.トップ画面というのが、いま予定している臨床研究情報の 検索のトップ画面です。右のほうの検索画面に飛ぶとこういう検索画面が出てきます。 その中で検索をした結果が真ん中の3.検索結果一覧画面というもので、後で詳細をお見 せしますが、この中に、3つの機関の臨床試験の先ほど出た20項目の内容一覧が出てき ます。国民の方がこの試験をもう少し詳しく見たいとなると、3つのセンターごとに詳 細画面を用意していて、それに飛ぶという形のものになっています。  次の頁で(1)トップ画面ですが、こういう形の画面が用意されています。その中で 検索画面が上のほうにあるわけですが、それ以外に臨床試験に関する学習、つまり臨床 試験とは何かということがよくわからない国民のために、いわゆる啓蒙活動などいろい ろなプログラムを入れて、どういうものなのかを理解していただく。さらにはQ&Aと いうものを用意して、疑問に思っているようなことに対する質問と回答があります。こ れに関しては、これを開発していくに従って内容を充実させていこうと考えています。  次の頁で、この検索画面をクリックすると先ほどのいわゆる検索画面が出てきます。 詳細は省略しますが、1つの臨床試験の例えば糖尿病の有無とか、対象疾患はこれこれ ということで検索すると、次の頁の(3)検索結果一覧画面というものが出てきます。 この画面で右のほうにUMIN、日本医師会、JAPICが、赤、青、緑という形でわかるよ うになっています。これは20項目ですから共通のフォーマットで表示するのですが、 いちばん左の詳細をクリックすると、例えばUMINの詳細の画面が次の頁の(4)詳細 画面−(1)(UMIN)という形で出します。次の頁は日本医師会、さらに次の頁はJAPIC です。こういう形で、いま科学院では開発を進めているということです。 ○小林座長  ありがとうございました。ただいまのご説明で何かご質問はございますか。こういう 形になっていくということで、大体、概要をつかんでいただけたのではないかと思いま す。よろしいですか。何でも結構です。ありましたらどうぞ。ないようでしたら後でま たご意見を伺うことがあると思いますので、次に進みます。先ほども少し出ましたが、 登録情報の品質保証について事務局から説明いただけますか。 ○事務局(遠藤)  当該ポータルサイトは、臨床研究に関わる研究者や企業ばかりではなく、主として一 般の方々を対象としていることは既にご説明申し上げたとおりです。一般の方々の視点 に立って、よりわかりやすく臨床研究に関する情報を提供することにあるのですが、そ れに加えて大事なことは、提供される情報の品質が保証された正確なものである必要が あるわけです。このため国立保健医療科学院では、この品質保証に関する検討もしてき ています。この詳細について丹後委員よりご説明をお願いします。 ○丹後委員  詳細に関しては、先ほどお話した赤い報告書の中の45頁に登録データの品質保証に 関する研究ということで、これは去年1年間やったことですが、基本的には先ほどお話 したように、いま現在、日本で行われているすべての臨床試験のうち、何割が登録セン ターに登録しているのか。それをきちんと把握することが、現状を把握する意味での大 事なひとつの調査研究になるのではないかと考えています。  さらにその上に、実際に登録された情報が例えば20項目ありますけれども、20項目 の内容に沿った形できちんとデータがエントリーされているかのチェックも大事です。 もちろんUMINにおいては、そういうことの検討もされているようですが、我々として は3つの機関から得られた情報に関して、20項目の内容が本当にふさわしい内容が入っ ているか。例えば臨床試験の場合にエンドポイントと言って、高血圧関係の治療を行う ことによってどのくらい血圧が下がったか、血圧によって薬の効き目を評価することを 考えたときに、主要評価項目という形で血圧ということを書くのですが、そういったと ころに「血圧」を書かないで単に「有効性」と書いてしまっていたり、そういったかな り曖昧な形で書いてしまうことがある。実際にはもう少し詳しく具体的な項目があるべ きなのですが、そこのところが少し曖昧になっている。そういうところを昨年はチェッ クしていたわけです。そういう、ふさわしい内容かどうかのチェックをする必要がある と考えています。  したがって品質保証と言うと、正しい情報がきちんと登録されているかどうかと、実 際に行われている臨床試験が100%本当に登録されているのかどうかを、きちんとチェ ックしていき、それがちゃんと向上するような仕組みを作っていく必要があると感じて います。簡単ですが以上です。 ○小林座長  ありがとうございます。本当に臨床試験が全部登録されているのかという問題と、 WHOで言っている20項目の書き方が適正かどうかの問題も含めて、いまご説明があっ たわけです。この辺のところでご議論をいただけますか。たぶん治験に関しては届け出 があるから載せやすいのかと思いますが、ほかの臨床研究等になってくると、いまの1 番目のところなどはどうなのでしょうか。理想的には全部やればいいというのはわかる のですが、木内委員、何かその辺でございますか。どう調べたらいいでしょうか。 ○木内委員  それよりも、書かれたものでしか品質情報が得られないので、実際には査察のほうが 重要だと思います。というのは、向こうが出してきたものをこちらは信用するしかない ので、よほど内容がおかしいものなどは向こうに指摘はしていますけれども、現実問題 として出されたものだけからやるというのは難しいと思います。査察と言っても、それ こそ全体の1%ぐらいやるだけでも大分変わってくると思います。 ○小林座長  それは誰がやるということですか。 ○木内委員  1つの案としては、国が出しているものについてまずは国が始めればいいと思います。 ○小林座長  厚労省の科研費とかでやっている研究ということですか。 ○木内委員  それがいちばんやりやすい。ですから研究の契約をするときに、査察することもあり ますよというふうにする。それに例えば文科省が付いて行き、いろいろな財団なども付 いて行くようになれば、それは1つのいい方法だと思います。 ○太田委員  私どもの場合は、先ほども申し上げましたように治験が多いのですが、ただ、登録は 木内委員のところのような科研費だとか研究費をもらってやっているわけではないので、 全く任意の状態です。そこに査察とかは非常に難しい。何かそういった、もう少し違う レベルでの登録する仕組みができていれば、そういった品質保証するための手立ても、 ある程度できるかと思いますが、現状は任意の登録ですし、企業の方にご協力をお願い して努力していただくということしか、私どもとしては言いようがないのです。 ○中島委員  IFPMAとしても強制というのはできない。一定の指針というものは出して、それに 従っていただくという範囲なのです。製薬協もそういうことで、このIFPMAの指針に 極力従っています。できれば公的なサイトにご登録くださいと言うしかないのです。 ○小林座長  治験の場合にはいろいろな問題もあるのかもしれないと思いますが、臨床研究は確か にどのくらい、どこでやっているのかというのは非常にわかりにくいところではあるの です。しかし、現実的にはどこの医療機関でも必ず倫理委員会なり何なりは通している はずなのです。通していないものはほとんどないと思います。そこでチェックすると大 変なことになってしまうと思いますが、数は出てくるのではないかと思います。そのよ うな発想というのはないのでしょうか。 ○木内委員  各医療機関の倫理委員会で情報を持っているはずなので、それを出すような仕組みと いうのを考えるのも、1つの手かと思います。要するに医療機関は知っているわけです。 ○小林座長  そうですね。 ○木内委員  例えば、少なくとも国立病院とか国立大学病院のように国がやっているような所は、 そこの倫理委員会にかかったものについては公開するとか、それは1つのやり方です。 ○小林座長  そうですね。国のいろいろなルールでは必ずそういう委員会を通しなさいとなってい ます。少なくともそういうルールとの整合性を考え可能かも知れないですよね。 ○木内委員  それが他の病院にも広がっていって、医療機関の評価のようなものに、そういうのを 公開するというのが入る流れになっていけば、闇に葬られる臨床研究などが減るかなと は思うのです。 ○小林座長  確かに治験のほうだけで言えば、治験の活性化5カ年計画でも、そういうのを公開す るほうがいいとなっていますよね。しかい、現実的にはいま中島委員が言われたように、 これを強制することはできないとなってきて、結局、実現するにしても時間がかかるこ とになるのかもしれません。 ○中島委員  ただ、企業側のアクションというのを見ると、去年、うちの委員会が会員企業に対し てアンケート調査を行い、応じてもらいましたけれども、その現状では登録しなければ いけない臨床試験がある場合は、ほとんどどこかのデータベースに登録している現状で した。 ○小林座長  なるほど。企業としても、今の20項目にはそんなにこだわるものでもないというこ とですか。 ○中島委員  そうですね。JAPICのデータベースを見てみると、かなり詳細に書かれていて、WHO の20項目に相当近いところまで書いているなという感じはします。もちろん、企業に よってばらつきがあるということはあります。 ○小林座長   福田委員、医師主導治験等でとか、がんに関するものは、ほとんどこういうところ に登録しているのですか。 ○福田委員  私が把握しているのは、自分で座長をやっているジェイコムという共同研究グループ の試験で、33の厚生省の研究班の集合体なのですが、そこでやっている臨床試験は全部 UMINに事前に登録しないと患者登録は始めないとしているので、全ての治験は登録さ れていますが、厚生労働省のがん研究所製品だとか、厚労科研の研究がどの程度登録さ れているかは、たぶん誰も知らないと思います。ただ、研究費の要綱で厚労科研でも募 集の要綱のところではUMINとかJAPICとか、臨床試験登録をするようにという指導 は書かれているので、真面目にやっていれば全部やっているはずですが、誰もチェック はまだされていないと思っています。 ○小林座長  私は皆さん真面目にやっているとは思うのです。ですから、不真面目ということでは なくて、それは強制しないということになるのですか。そうするとなかなか大変ですね。 ○福田委員  建前上は厚生労働科学研究費で臨床試験をやるときは登録をしなさいとなっているの で、建前上は全部やっているはずですが、ただ、誰もチェックはできていない。 ○木内委員  基本的に登録情報は登録をする研究グループが出すものなのです。それで、我々のほ うでは問題点に気づいたときに指摘はしますが、向こうが直さないというのは結構あり ます。でも、それは向うの責任で向うが出しているものなので、先方の同意を得ないで こちらが書き換えるというのは、ちょっときついかもしれないですね。 ○小林座長  無理ですね。 ○木内委員  ですから、もし問題があれば、おそらくこの研究グループが責任を負うべきものなの ですね。 ○小林座長  いまの福田委員のお話で、真面目なところはもうみんなやっている。しかし、漏れる こともあるところはあるということなのですか、新木委員どうなのですか。 ○新木委員  臨床研究の倫理性の確保は大変重要な問題だとは思っています。それを公的な研究費 が出ているもの、またそのほかについてどう考えていくかというのは検討しなければな らないテーマだと思っています。いま臨床研究の倫理指針を検討をしている専門委員会 においても、IRBのあり方、その1つとして情報の公開をどうやっていくのか。さらに それらのうちの臨床研究といっても非常にリスクが低い、侵襲性が低いものから、トラ イアルのような高いものまでいろいろあるので、それらのグレードに応じてどのように 公開をしていくのか、といったことを検討していただいているところです。  いずれにしても、公的研究費が出ている部分については、我々の交付要綱の中でどの ようにそれが守られていくのか、これは研究費を出している立場としてチェックしてい かなければいけないと思っていますし、また、他省庁の分についても臨床研究の倫理的 なあり方である指針をどう守られていくのか、その検討会の結果、また、今日のご意見 も踏まえて働き掛けをしていきたいと思っています。全体の流れとしては公開をしてい く方向ですが、では例えば、米国の雑誌のように日本のジャーナルもそういうことを要 件にしてくれるのかどうかといったこともあり、我々行政だけが一人頑張ってできる問 題でもないと思っています。そういう意味では学会やそのほかの関係者の皆さんにも、 ご協力を今後いただいていかなければいけないのかなと思っています。その辺のやり方、 方法についてはWHOも基本的には世界中任意でやっている制度なので、そういうとこ ろでの議論を参考に、国内のやり方も具体的なところは考えていくのかなと思っていま すが、医療界との協力の下で情報の透明性といいますか、公開性を高めていく必要があ るという基本的な認識もっています。 ○小林座長  我々医科大学におりますと、確かに以前は、倫理委員会にかけるかかけないかも、結 構個々の自由と言ったらおかしいのですが、指針はあっても徹底しないということもあ ったのかもしれません。しかし、雑誌等に論文発表しようとしたときに倫理委員会の承 認とかICが取れていないと載せませんよというのが明確になってきた辺りから、それ はやらなければいけないと研究者が思うようになってきたというところもあります。そ ういう面ではいま新木委員が言われたように、学会とかのサイドからいくことも研究者 には非常に有効なことにはなるとは思います。今後、考えていきたいと思います。  いま品質保証の問題でもうひとつ、20項目の項目の記載がずいぶん違うということが ありました。例えば血圧に関して、本当は降圧効果があったら知りたいところが、単に 有効性と書かれていたりして、その書き方が登録者に任せられている。確かにポータル サイトとして、一般の方がアクセスしてきたときに、有効性ではなんだか分からないと いうのがあるのだと思います。 ○木内委員  一般の方が見るのであれば、この情報は相当書き直さないと。 ○小林座長  例えばどういうところですか。 ○木内委員  そういう人がいるかどうかはあまり、サイエンスライターのような人がこれを見て、 どういうことが分かるかということをやらないと、たんに集めただけでは、一般向きで はないと思います。 ○小林座長  その辺、伊藤委員いかがですか。一般の方々の代表みたいで申し訳ないのですが。 ○伊藤委員  いま私は乳がんの患者会の運営をしていますが、その視線から言うと申し訳ございま せんが、非常に違和感を感じながら聞かせていただいています。  目的は一般の方向けということでされていらっしゃるのですが、そもそも論というか、 根本のところからですが、実際にこういうところに来る方のニーズを考えると、通常病 気がわかる、もしくは再発がわかった時点、切羽詰まった時点で探される方のほうが多 いと思うのです。たぶん一般の方でここに勉強をしに来ようという方はほとんどいらっ しゃらないと思います。  そうすると、そういう方々のニーズはおそらく治療の選択として来ますので、自分が それを受けられるのかどうかですね。だから、その書いてある治験が自分にとって受け られるかどうかとか、どこに行けば受けられるのかとか。確かに臨床試験の存在として はあるけれども、それはいま受付けてもらっているのだろうか、もう既に受付けは終わ っているのだろうかとか、自分にとってはどうなのかという状況だと思うのです。正直、 安全性だとか品質だとか、担保されていて当たり前ぐらいの勢いで、だから私は受けら れるのかどうかと。 ○小林座長  つまり自分が参加することを前提に見てる。 ○伊藤委員  一般の人でそれ以外で、もちろん患者会の運営などをしている人は情報として見に来 るのもあると思いますが、私などはそうです。およそ一般の方が何も関係なくてこのサ イトに来るかというと、ちょっと疑問だなというのがあるのと、あとは折角、いまがん 対策法で福田先生がいらしていますが、がん情報センターでいろいろ動いておられて、 いろいろなサイトを作っておられて、大きな治療の流れの中でここに辿り着く流れがど うデザインされているかだとか、実はそちらのほうが一般の方の目的ということに関し ての視線で見たときに大事なのではないかなと思っています。  このままの内容であれば、その内容を書き直す、もしくは、それが相談できる窓口が あるのも必須ではないかと思います。このままでは一般の患者には無理だと思います。 ○小林座長  その辺はなかなか難しいですね。一般的な立場で。飯沼委員いかがですか。患者の立 場に立つと、確かに難しいとは思うのですが。 ○飯沼委員  大変難しいご質問ですし内容だと思います。先ほどからいろいろ矛盾点と言いますか、 若干申し上げますが、基本的にはいま新木委員が言われたみたいに、厚労省の金澤先生 が委員長の臨床研究の指針の改訂版をいまやっていて、私もそれに参加させていただい ています。そことこことの関係がまず分からない。一般向きというお話はわかるのです が、『Lancet』とか『JAMA』とかは先ほどいろいろな雑誌が出てきましたが、ここへ 登録しなければ、そういう良い雑誌に載る必要条件が満足されていないということと、 どういうつながりがあるかというのも非常に難しい。一般向けに受けるような論文をい ま書いて、大学や何かの昇格のための論文になるはずがないので、日本の教授選考まで 変えなければいけないという話になれば、それは別ですが。この先にあることはネガテ ィブも出さなければならないということになりますから、ネガティブデータでは論文に ならないという日本の風土といいますか、そういうものがあるわけで、なかなかこれは 難しいというのが頭の中では納得のいくところが1つもないわけです。  被験者とか、一般の人に理解していただく、これは非常にいい話なのですが、それと いま申し上げたこととはあまりつながらないのではないかととれます。一般の日本医師 会の会員にこの話をするときに、うちの治験センターは治験センターで、いま田村が話 したようなことを一生懸命にやっていますが、それとこの話とは、会員に理解させる説 明は難しいというふうにいま思っています。しばらく勉強をさせてください。 ○小林座長  確かにネガティブデータが論文になるかどうかというのは結構難しい問題であると思 います。新木委員、倫理指針の見直しとこれがどういう関係にあるのか簡単にご説明下 さい。 ○新木委員  倫理指針の見直しとの関係ですが、今回のサイトは、国民の方に見やすいようなもの ということも含めて、まず試験的に始めて、金澤会長が委員長でやられている倫理指針 の見直しに関する専門委員会の結論により、こちらのほうをもし見直す必要がでてくれ ば、当然それに沿ってこちらのほうも見直していくことになると思いますが、とりあえ ず公衆衛生、保健医療科学院でこういうサイトを始めるというのが1点です。簡単に申 し上げますと、こちらが先行して始めて、状況に応じて変更の必要性があれば、また本 省と保健医療科学院で相談して、それに合わせていくことになろうかと思います。  2点目の世界的な話は次の議題で設定されています。そちらもなかなか複雑なところ ではあります。ちなみに、そちらは世界的な議論では問合せ先なども含めて公開してい くというようになっています。サイエンティフィックなことに関する問合せ先、一般的 なことに関する問合せ先という項目も入っていますので、先ほどご指摘いただいたこと について、自分が参加することについての道がどこまで開けるかといったことは、研究 によってかなりケースバイケースだとは思いますが、対応できるのかなと思って伺って いたところです。 ○福田委員  まさに資料1ー1で右側に書いてあります。臨床研究、臨床治験の事前登録制メリッ トと意義が2つ書かれています。そもそも、これが出てきたいちばん重要なポイントは、 悪い結果でも隠さないということがいちばんです。参加者募集の促進と同時に、実現で きればいいと。この両方が満たされることが当然理想であるわけです。そうすると、ま ずは研究が網羅的に登録されることがいちばん大事というか、先にやらないといけない ことで、次にその内容が正確であることが2番目。3番目に患者、一般国民の人が見て も分かりやすい、それが理想だと思います。  それを一度に全部実現することは、かなり難しかろうというのは皆さんの考えること で、何から順番に実現していかなければいけないかを考えると、まずは網羅的に登録さ れるためにはどうするのか。次に中身です。中身が正確であるというほうが研究者とい うか、専門家がやれることです。一般国民の人、患者に分りやすい文章を書く、分かり やすい表現をとるというのは、1つの重要な技術で、そのためのプロがいるわけですか ら、三段階で考える。最終的にはこの3つとも全部満たされればいちばんいいと思うの ですが、まずは網羅的に登録されることを優先して考えるのであれば、どうすべきかと いうのがたぶん出てくる。  まず、公的な研究費でやられている研究が網羅的に登録されるためには、研究費とい うのは年度ごとに出ますから、毎年年度ごとで更新をするときに、その臨床研究でもら っている研究費に関しては、ちゃんとUMINの登録の番号とか、JAPICの登録番号とか を書きなさいという指導をして、その登録番号が書かれているかどうかを誰かがチェッ クすれば、それがいちばん簡単なわけです。  次に厚生労働省がやるのか医師会にやっていただくのか、誰がやるのかは別にして、 中身を正しくチェックするのを誰かがやる仕組みなのかを考え、かつ、そのプラスでメ ディアとかマスコミにお手伝いいただいて、一般国民とか患者にも分かりやすい表現を とるという段階で進めないと、全部最初からやろうとすると二兎を追う者一兎を得ずで、 役に立たないような仕組みになってしまうような気がします。  先ほどがん対策情報センターのホームページのコメントをいただきましたので、追加 で別の視点のコメントをします。患者が臨床試験に入るかどうかを選択されるときに、 まず、このサイトを見に行くことはあり得ないです。糖尿病の患者は糖尿病に関しての 治療が書いてあるサイトを見に行かれるでしょうし、がんの患者はがんの治療について 書かれているサイトを見に行くはずです。  私はがんの専門家なので考えますと、がんと言ってもがん一般のページを見る人はい なくて、乳がんの患者は乳がんの治療を探しに来るし、胃がんの患者は胃がんのサイト を探しに来る。胃がんの患者が探しに来たときに、胃がんの標準治療はこういうものが あって、こういう段階であればこれが標準治療でいちばんいい治療で、これがオプショ ンがあって、そのオプションの中に新しい薬の臨床試験もありますという形で見せない と、臨床試験は何かあるだろうかと探しに来る人はいない。だから疾患ごとで標準治療 は何か、オプションは何かというサイトをそれぞれナショナルセンターが、がんであれ ば国立がんセンターがやりますが、疾患ごとのサイトから治療のオプションとして探し に来た人がこのポータルサイトに辿り着いて、治療の1つのオプションとして臨床試験 が受けられます。あるいは新しい薬の試験が受けられますという展開で考えないと、た ぶん意味のないものになってしまうだろうと思います。 ○小林座長  ありがとうございました。かなり建設的なお話だとは思います。それでは次の議題に 移らせていただきます。いまのところに関連するところなのですが「ポータルサイトの 国民への普及啓発」について、事務局から説明をお願いしたいと思います。 ○事務局(遠藤)  すでにいまの福田委員ならびに先ほどの伊藤委員からも貴重なご指摘をいただきまし たが、関連する話です。資料の3ー1、これは厚生労働省の治験ホームページ、3ー2、治 験中核病院・拠点医療機関等協議会という資料を用意していますので、これをご覧いた だきながら説明を聞いていただきたいと思います。いずれにしてもポータルサイトを幅 広く国民の皆さんに利用されるためには、このサイト自身の認知が大変大事です。その ためにさまざまな媒体を通じて、今後普及啓発活動を行っていく必要があります。  具体的にはいま申し上げました厚生労働省の治験のホームページであるとか、治験中 核病院・拠点医療機関・臨床研究登録機関などを通じた広報活動。それからもちろんポ ータルサイトへのQ&Aとあるのですが、これを私どもとしては考えています。既に先 ほどのご指摘どおり、そもそも最初からここのポータルサイトに来る人は少ないのでは ないかという大変貴重なご指摘も含めてどのようにして、単なるPRというだけではな くて、アクセスについてのご意見もいただければ幸いでございます。よろしくお願いい たします。 ○小林座長  この辺のところは先ほどの福田委員から言われたところが、1つの回答にはなってし まっていて、患者の立場からすると、この保健医療科学院のポータルサイトに直接アク セスする前に、もう少し違う前段階があってからそこに行くだろう。そういう前段階の ところにリンクをはるとか、そういう方がそこに行きやすいというお話ではあったと思 います。少なくともいまの新木委員のご説明では、このポータルサイトに来た人にはい ろいろなQ&Aを設定したり、厚生労働省のホームページだとか拠点医療機関等のそう いうところの広報としてもこれはやるのですよね。 ○新木委員  ホームページ等でご説明してあるとおり、いろいろなところで、ここに辿り着けるよ うにしなければいけません。お聞きしていて思いましたのは、理想的には標準的な治療 法、その中でこの研究の位置づけができればいちばんいいのだと思います。  いま先行的にがんは始まっていますが、標準的な治療が何かがまだ議論が済んでいな いというのがほとんどの医療分野の状況だと思いますし、ましてや個々の研究がその中 でどう考えられるのか、研究をやっている人は自分の研究を非常に高く評価して、これ が日本の医療を変えるのだ、世界の医療を変えるのだと思っている人もいれば、周りか ら見てそうとは思わない人もいるでしょうし、研究の位置づけというのもこれまた非常 に難しい状況なのです。  長期的な目標としてはそういうことが国民、患者の皆さんによく分かるようなシステ ィマティックな情報提供をしていく仕組みを考え、整えていかなければいけないとは思 ってお聞きしました。当面はそこまでは行かなくてもこのように始めて、いろいろな人 が辿り着けるような情報網を整え、そこに情報の芽を植えていくところから始めていか ないと、始まらないのかなという感じもしてお聞きしたところです。  そういう意味ではいろいろなところでポータルサイト、こういう研究もあるというこ とを、少なくともそれだけはお知らせして、どなたかが加工してそれを見られるような 環境は十分条件ではないのですが、最低限必要条件なのかなと思っています。 ○小林座長  いまのご説明は、こういうポータルサイトを作って、またこういうポータルサイトが あるということを知ってもらうということですね。そこで次にそこをどうするかという 話にはなると、そこにアクセスする人は一般の方もおられるし研究者いる。いろいろな 方がいらっしゃると思うので、その辺のところについても、この10月から仮に動かれ るということですから、またいろいろと考えてみるということだと思います。何かこう やったらいいのではないかというアイディアがありますか。木内委員、何かないですか。 ○木内委員  先ほど申し上げたとおりというとあれなのですが、やはりサイエンスライターのよう な、もう少し優しくものを書いて、それの文脈の中で、例えばこういう研究に参加でき るという形でコンテンツを作るほうにお金を使わないと、なかなか利用されないのでは ないか。それは福田委員の言われている文脈等も同じですね。 ○伊藤委員  国民への普及啓発となっていますが、国民というのも対象が一体どういう国民なのだ という、それによってかなり対策が多様化する。 ○丹後委員  我々が2005年、2006年に考えていた国民というのは、患者さんが中心ではなくて、 むしろ研究者が中心だったのです。研究者、今後臨床試験を実施する予定のある研究者、 そういう人をまず啓蒙するということから始めて、さらにそれから広い国民。そういう ことを意識していたものですから、全くいま言われたような患者がこれを見てどうこう するというような視点はこの中に入っていません。まずは、3つの登録センターのデー タを集めて公開しようということに関して言うと、その考え方は入っていないですね。 したがって、まさにそれをやろうとすると、システム構築に別の要素が必要だとは考え ています。 ○伊藤委員  おそらく先ほど言われたように、疾患によってもだいぶ違ってくると思います。私が 存じ上げているのはがんの領域なのです。そうするとこういうサイトがあったらいいな というのを非常に感じている患者は、普段、患者と接している中でも多いので、是非、 充実をさせていただきたいと思いつつも、では、この国民が。 ○丹後委員  まさにそのとおりです。 ○小林座長  先ほど福田委員が言われたように、そういうところから入っていって、あるいは情報 をまず登録してもらうところから入っていって、その情報が正確になって、それがさら に国民のほうにいって、その治験に参加してもらうということになれば良いと思います。 先程、丹後委員が言われるように、いままではそういうことになっていなかったという ことなので、今後はそういうことも検討するということだとは思います。 ○伊藤委員  あとは一般的なことで言うと、いま言った知らせるというのは、例えばこういうのが ありますよとどこかに知らせるというよりは、ホームページに辿り着いてほしいという ことであれば、それは一般的なところでも言えるのですが、通常は有効な有用なという か、アクセス数の多い、そういう対象の方が見られるようなサイトにいかにリンクを貼 っていくというか、そこからつながってもらうかということが、おそらくいちばんイン ターネットのマーケティングとしては一般的にはよく言われています。 ○丹後委員  患者さんも有効に利用できるのであれば理想的な話なのですが、それ以前に、医療の 社会、新たな治験活性化5カ年計画の趣旨を踏まえ、医学界の中に臨床試験に関する知 識が全然広まっていない。医療のエビデンスを作る臨床試験とは何か、そういうことを きちんと広めるという意味がこの計画の中に入っている。したがって、まず最初に専門 家を教育することが先にありまして、そこから始まめていく必要性があったものですか ら、最初の段階で、最終的な患者まで意識したものを考えたのではありませんし、それ を本当に考えると相当異なった要素を追加しなかればならないということで、ご了解い ただければと思います。 ○伊藤委員  遠い将来のところに、そこまで何かがあると思っていていただけると嬉しいなとは思 います。 ○小林座長  それでは、次の議題に移りたいと思います。先ほどからも出ています国際的な動向に ついてです。この委員会の直接の役割ではないと思いますが、関連する情報として、 WHOが臨床研究情報の登録を進めようとしている動きが先ほど触れられたわけですが、 そのことについて厚生労働省の林さんからご説明をお願いいたします。 ○事務局(林)  臨床研究の登録に関する国際的な動向です。資料4ー1をご覧下さい。ここに本当に 極々簡単にまとめておきましたが、いまWHOが国際臨床試験登録プラットホームプロ ジェクト(ICTRP)を開始して、そこで臨床試験の登録と情報公開の国際基準を策定し ようとしています。これはWHOが新たに自分で登録を開始しようというのではなくて、 2番目に書いてありますが、各国にある既存の登録機関からそれぞれの国が、あるいは 地域の場合もあるのですが、推薦するものをPrimary Registersということで位置づけ ていく。その推薦をいま各国に呼び掛けているところです。  Primary Registersとして各国から推薦されている登録機関が既に4つほどありまし て、資料の4ー4にそのリストを示しています。Australian Clinical Trials Registryと か、Chinese Clinical Trial Registerとかいったところが既に推薦をしている状況にあ ります。米国については資料4ー4の Primary Registersの5行目の所に、(Clinical Trials.gov)というのがあります。ここがもともとPrimary Registersになっていたの ですが、米国内の事情で、現在はPrimary Registersからは外れて、しかしながら (Clinical Trials.gov)に登録されている情報は引き続きWHOには提供しますよとい うことになっていると聞いています。  資料4ー1にお戻りいただいて、Primary Registerについてはいくつかの要件がWHO から示されていて、資料の4ー2がそもそもWHOが始めているInternational Clinical Trials Registry Platform(ICTRP)の趣旨、ミッションがここに書かれているのですが、 臨床研究の全体情報をそのヘルスケアのディシジョンメーキングに関わるような人たち に対して、アクセスできる形にしていく。それによって研究の透明度を高めるとともに、 科学的なエビデンスベースを強固なものにしていくというミッションがここに書かれて います。  資料の4ー3に、Primary Rregisterに求める要件が書かれています。これを見ますと、 このRegisterでは予想される介入型のClinical Trialについてアクセス等をすることと か、それからWHOが中心になってたぶん開発するのだと思うのですが、Clinical Trial Registersのガイドラインの開発に参加をするとか、世界のSOPを備えているとか、そ ういうことが書かれています。  3番目にWHOのTrial Registration Data Setを収集して表示することができるとい うことが書かれていまして、これが篠崎院長の挨拶の中にありました20の必須項目と いうものです。これを資料の4ー5としてお配りしています。  この20の中に、例えば1番目はPrimary Registerの名前と、それから、それぞれの 試験に割り振られるID番号、2番目がPrimary Registerに登録をした日付、4番はそ の資金源を書けということ。5番目には主たるスポンサー。7番目が登録される試験に 対しての一般的な問合せ窓口みたいなもの。8番目がScientific Queriesということで、 治験であればその治験責任医師だとか、臨床研究であればその責任ある研究者の情報を ここに入れます。9番目、10番目がこの試験の表題、名称です。9番目のPublic Title が一般の方にもわかりやすい簡略なタイトル、10番目が正式なタイトルを記入すること になっています。11番目は被験者の方々がどこの国から参加しておられるかということ。 12番目がHealth Conditionですから対象疾患とか、症状の情報。13番目がその介入の 方法。14番目がその試験への患者、被験者の組み込れや除外の基準。15番目が試験の 種類。16番目が最初にその患者が登録された日。17番目が目標症例数。18番目がその 試験がまだその被験者を募集中なのか、それとももう募集が終わったのかどうかという リクルートメントの状況です。19番目のPrimary Outcomeは、その試験の主要な評価 項目になります。20番目が二次的な、副次的な評価項目です。そういう20の必須項目 がこのような形でWHOから示されています。  いまWHOの方はそういう状況なのですが、一方、ICMJE(International Commitー tee of Medical Journal Editors)医学雑誌の編集者からなる国際的な委員会ですが、『ラ ンセット』だとか、『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン』とか、欧米 の一流誌の、ここは11誌と書いてありますが、最新の数字では12紙参加されているよ うですが、その12誌への掲載に当たって、WHOが示しているPrimary Registerに登 録していることというのをその雑誌が論文をアクセプトするかどうかの条件にする、と いうことを表明をしています。これはお配りした資料の4ー6の右側のパラグラフの黄 色いマーカーで印を付けてある所にそういうことが書いてあります。  そういう状況の下で、厚生労働省は、先ほど申し上げたようにWHOからPrimary Registerの推薦を求められているわけですが、今日ご紹介のあったように、日本には主 要な登録機関が3つあり、そこから推薦することを検討していましたが、Primary Registerを仮にどこか1カ所を推薦しますと、いまそれぞれ3機関に登録されている臨 床研究が、ICMJEの論文の掲載において公平に扱われなくなる可能性もあることから、 現時点ではWHOに対する推薦を保留にしている状況です。  今後このWHOのPrimary Registerのあり方だとか、医学雑誌への掲載の関係等に ついて、WHO側とさらに調整を進めていきたいと考えています。現時点の状況のご報 告は以上です。 ○小林座長  いまのご説明に対して、何かご質問等がございますか。そうすると、現状の日本で研 究者はこういう雑誌に載せようと思ったらどうすればいいのですか。 ○事務局(林)  実際にはUMINに登録をされているケースが多いのではないかと思います。 ○小林座長  UMINが認知されているということですか。   ○木内委員  ICMJEのほうから、データの質の話が先ほど出ましたが、実は海外のサイトとも比 較をしたのですが、日本はデータの質は良いですよね。こちらは実は、もしこの話をす ると、登録の事前に相談してそれでという話になっちゃうのですよ。こちらとしては、 とにかく出すデータは研究グループの責任で出すものであって、我々がそれに責任を負 うわけではないのです。けれども、明らかにおかしい所だとか、ミスであるとかに気づ いたら連絡をするという方針です。それはICMJEとも話をして、Clinical Trials.gov とか見ているとわかるのですが、そういう意味で言うと、あまり良くないものが、そし て、向うも直していないです。はっきり言って毎週200件もくるのにチェックして直し などしていないです。だから、そういう意味でいうと、品質保証という意味がだいぶ違 うと思うのです。 ○小林座長  木内委員のおっしゃることから、現状はすごくいいとなりますか。 ○木内委員  そうです。 ○小林座長  でも、現状で良いというのは、もしかしたら日本で良いのだけが載っているというこ とは言えないですか。 ○木内委員  端的に言うと、日本の人は真面目なのですよ。そういう意味でいうと、ICMJEの意 見を聞いても、そういう意味で質に問題があるということは言われていないですよね。 ただ、これは研究のプロトコールをきちんと書くという話なのです。そうすると、必ず しも登録の範囲では収まらない。もっと教育をしていくとか、院内の倫理管理でプロト コールにチェックの体制をどうしていくとか、非常に大きな話になってくると思うので す。 ○小林座長  先ほど丹後委員のほうからも、そういう面で医師の教育など、もっとベーシックなと ころも大切なのだという話をされたと思うのですが、いかがでしょうか。  ところで、WHOが20項目を出してくると、企業にとってはやりにくいということが ありましたが、その言い方はおかしいですね。そういうところがあるからこそ、ちゃん と公開してということになるのだろうと思うのですが、その辺、いまどこかでやられて いるのですか。 ○中島委員  一応、IFPMAとして基準を2005年の9月でしたかに出しています。いちばん最初は 2005年の1月で、こういうようなものを、こういう試験を対象として、こういうタイ ミング、こういうタイミングというのはICMJEが言っている内容なのですが、それに 従いなさいというのを出しているのです。その後この項目的なものについては、その年 の9月だったと思うのですが、こういうような登録の仕方をしなさいと。それは私もそ の後で知ったのですが、WHOの諮問会議でICMJEとWHO、それからIFPMAで合意 した内容、それに基づいているらしいのです。  それでは20項目は登録するのが原則なのですが、なかにセンシティブインフォメー ションという種類のものを規定していまして、これについては、1つもしくは全てとい う言い方をしているのでが、主に知的財産の問題で最初から開示してしまうと、特許が 成り立たないとかいうものが出てくる可能性があるものが5項目ある。それは、もちろ ん試験そのものはちゃんと登録するのですが、その5項目の1つもしくは全ては後で出 していくということでもかまわないという、その余地ですね。余地部分を残す形になっ てはいます。 ○小林座長  そのような話合いになっているのですか。 ○中島委員  そうなのです。ただ、その後、WHOもICMJEも方針がいろいろ変わってきて、や はり最初から20項目出すべきではないか、という方向に変わってきています。 ○小林座長  例えば、それはプライマリーエンドポイントとかそういうところの評価項目ですか。 ○中島委員  そうなのです。 ○小林座長  評価項目って、そんなにセンシティブなのですか。 ○中島委員  いろいろあるのです。 ○小林座長  いろいろあるかどうかはわかりませんが。 ○丹後委員  いまのお話は今年の5月ですか、WHOでそういういろいろな立場の関係者を集めて 議論をして、登録時に公開するのは戦略的な意味で抵抗のある5項目に関しては、公開 時点は少々先延ばしにして、たとえば2年間は非公開にしておくが5年間延長するのは どうか?などの議論がありました。基本的にWHOのスタンスとしては、全部最初から すべての20項目を公開しようと。WHOはそういう方針でいくけれども、それはWHO が提唱しているだけですから、研究者あるいは企業がどうか?となると、それは別な問 題ですよと。ただ、WHOはそういう方針で貫くということのようです。 ○中島委員  そうですね。ほとんどそういうセンシティブインフォメーションなるものは、現実に はJapicCTIを見ていますと、入っているのですよ。結局なぜそういうことをしている かといいますと、例えば適応症を追加するとか、あるいは新しい剤形を特許申請をする というものについては、やはり臨床試験の結果を待たないと特許出願できないケースが あるらしいのです。ですから、そういうごくごく稀なケースについては、最初から情報 が開示されてしまうと特許が成り立たないということがあるので、臨床試験そのものは ちゃんと登録します。だけど、そのところについてはちょっと後で、例えば試験が終わ った段階でとか、そういうところで公開させてほしいということです。 ○小林座長  時期がずれるということですね。 ○中島委員  そうなのです。時期をずらす。隠すわけではなくて特定の項目だけは開示を遅らせる、 そういう余地を残してほしいという主張のようです。 ○木内委員  私は思っているのですが、製薬企業というのは自分のお金で収益を得るために臨床試 験をする。それには倫理性はもちろん求められている。けれども、研究者の研究という のは、たとえ国から研究費をもらっていなくてもほとんどが公的な機関です。私立大学 だって補助金をもらっているわけです。そうすると必ず税金が入っているわけです。  そういう臨床試験が同じポリシーでは公開できないのではないか。やはり製薬会社の やる治験のポリシーと、研究者主導のポリシーというのは違ってくるのではないか。だ けど、それはたぶん項目が早く出せるかどうかの違いだけだとは思うのですが、それは 統一は難しいのではないかと思うのです。WHOがいくら言っても、はっきり言って製 薬会社は関係ないですよね。その国の規制当局が同意をするかですよ。それは製薬会社 の産業育成と国民の安全とのバランスで、どこまで出すかというのは、実は日本で決め ればいいことだと思うのです。  だけどアカデミックの場合には非常にインターナショナルだから世界的な基準があっ てもいいとは思うのです。ただ、ICMJEもああいうふうに宣伝していますよね。そし ていろいろな雑誌がくっついていっているわけですが、やはりICMJEの方針と全く同 じにはしない。登録は要請するけれども事前でなくてもいいとか、ある程度、雑誌によ ってポリシーって違うわけですよ。だから結局は投稿規定と登録の関係なのです。 ○中島委員  私どもは雑誌会社と個別の企業が契約を結んで、プロトコールをあらかじめお預けし ておく、そういうことで、プロトコールの不変性というようなものとかを保証するとい うやり方も一方ではあるのではないか、という話はしております。それはあくまで論文 投稿という観点での対応です。 ○福田委員  1つコメントというか質問なのですが、木内委員が言われるように、研究者主導試験 は知的財産というか秘密にするものは何一つないと思っていますし、公開すべきだと思 っています。  我々ジェイコムの場合は説明文書だけではなくて、患者の希望があればプロトコール を患者に渡す規定になっているので、都合の悪いことは書いてないというか、全部書い てあってそれを見せてやろうとは思っています。ただ、研究者主導試験において、何か 隠さなければいけない余地を残す必要は絶対ないと思います。私よくわからないのです が、この企業の試験で、この20項目の中で、企業が隠したい知的財産に関係するよう なところというのは何か、いま考えながら見ていたので教えていただきたいのです。  だから、まずはおそらく12番のヘルスコンディションで、こういう疾患、こういう 病態に関して、13番目のこういうインターベーションを、要するに新しいアイディアの 治療をやって、そして、アウトカムとしてこういうものを見ているということが分かっ てしまうと、あっ、こういうメカニズムでこういう新しいことを狙っているのだなとい うことが分かってしまうことになる。でも、それは上手にやればいいだけの話で、ヘル スコンディションとインターベーションが分かったとしても、書かないといけないのは キーセカンダリーアウトカムですから、臨床試験で何か秘密にしないといけないものが、 これはあまりアウトカムになるような臨床試験では私は想像できないのです。それは別 にキーセカンダリーアウトカムのところで、この19番、20番で要求されていることを 全部書いたとしても、知的財産は普通の場合は守られるはずだと思うのですが、そうい うものではないのですか。  サイエンティフィックに必要なものが、この中に全部書いたとして、知的財産を脅か すような情報が含まれることになるのかということが、私はよくわからないのです。 ○中島委員  私も実は特許関係の専門家ではないので、どうだろうということは申し上げにくいの ですが、具体的には2005年の4月に同意された項目で、隠すのではなくてあとで開示 するものとしては、10番の試験の正式な科学的表題ですね。サイエンティフィックタイ トルというものです。それから13番のインターベーション。それから17番、これは知 的財産とか関係がないのですが、ターゲットサンプルサイズです。それから、福田委員 のお考えに反するのですが、プライマリーのアウトカムと、それからキーセカンダリー アウトカム。この全てということではなくて、それのどれか。場合によっては全てかも しれない。それは個々の企業の判断です。  ○木内委員  一般の臨床試験と違うのは、実は国は治験の情報をもうみんな持っているのです。 ○福田委員  試験届を出さなければいけないですね。 ○木内委員  試験届を出さなければいけないので、情報は持っているので、何かを隠すことが問題 になるようなものがあるのであれば、国が出したらいいのではないかという気もするの です。だから、その辺が産業育成と国民の健康を守ることのバランスだと思うのです。 ○福田委員  そこは届を守らせる。  ○木内委員  ええ、一般の臨床試験の場合には何もないので。 ○丹後委員  いまの場合、試験届出で国は持っているけれど、一般の人はわからない。そこが問題 なのです。届出先ならみんな見えちゃうわけだから、セットだから、国だけは知ってい るけれども、一般の会社は知らない状況。やはりセンシティブな問題は出てくるという 議論があると思います。 ○中島委員  ただ、当時の状況と少し変わってきているのは、先ごろの治験のあり方に関する検討 会での結論として、IRBをまずそのものを国に届ける。それからIRBの結果の概要につ いてもオープンにしていくという方向が出てきているので、その試験の存在だとか、サ イエンティフィックな意味での審理だとか、それから広い意味での透明性、そういうも のはだいぶ変わっていくのではないかなと。もちろん一気に変わっていくのではないと 思うのですが、ステップワイズにでも透明性なり倫理的な観点でのチェックもしやすい というのは改善されていくのだろうなと思います。  あと、もともと倫理面での確保ということでは、治験届を総合機構に出した段階で、 そこで実はプロトコール上評価されるのです。そういうことで前の試験の結果を踏まえ た新しい試験の着手と、それからその試験の内容との倫理的な面でのチェックというこ とは、現状でもなされていますので、オープン性ということでは総合機構への治験届と いうことで出すのでは十分ではないかもしれませんが、倫理性の確保ということでは国 としてもかなりしっかりやっていますし、それは各医療機関のIRBでもやられていると いうことがありますので、治験に関して言いますと、かなりしっかりとした判断はされ ているのだなとは思います。 ○小林座長  ありがとうございました。本日お話合いいただいた中で、何でもいいと思うのですが、 ほかに何かご質問、コメント等はございますか。 ○福田委員  Primary Registerがほかにもこの保健医療科学院のポータルサイトというのはあり 得るのですか。単独ではないにしても集めてきたものとしてというのはあり得るのです か。 ○事務局(林)  そこはまだ何も決まっていません。 ○福田委員  いちばん現実味があるでしょう。 ○事務局(林)  そこはまだ調整中です。 ○小林座長  それは先ほどのご説明では、いま考慮中ということですね。 ○事務局(林)  はい。 ○小林座長  わかりました。たぶんWHOとの関係のところやPrimary Registerの問題というの はいろいろあると思います。この辺は今後とも厚生労働省で厳しくご検討をいただくと いうことですので、その辺のところのご検討にお任せしなければいけない面もあるとい うか、お願いすることにしたいと思います。ほかに何かございませんでしょうか。全体 を通じてでも結構です。 ○中島委員  ポータルサイトが稼働したら製薬協のほうでも、ホームページにアクセスできるよう な形で貼り出すということは検討していきたいと思います。 ○小林座長  それは先ほどの啓発活動の中の1つに、製薬協も加わっていただくということですね。 ○中島委員  はい、そうです。 ○福田委員  1つ提案すると、一般国民全体というと漠然としていますが、少なくともがんに関し ては、がんの種類ごとで患者会、患者団体がかなり積極的に活動しておられますので、 そこに情報提供でポータルサイトができたので見られますよという情報を提供していた だくと、患者団体のほうのサイトからうまく引っ張ってきていただけるかもしれません。 がんに関してはそれはいい効果です。 ○小林座長  そうですね、がんというのは特別ということではないですが、かなりそういうニュア ンスをもっている疾患だと思いますので、そうなるとこういうポータルサイトが非常に 有効に生きてくるのではないかと思います。ほかにいかがでしょうか。 ○伊藤委員  これは最後のお願い事みたいになってしまうのですが、先ほどのご説明で、いま時点 ではあまり患者向けということではないと思うのですが、どこかに最終受益者が使える ような見通しというか、そういうものをちょっとどこかで残しておきつつ、このポータ ルサイトを作っていっていただければなと個人的に考えています。 ○小林座長  ほかに何かございますか。ないようでしたらそろそろ時間でもございます。本日は本 当に貴重なご意見をありがとうございました。事務局等で今後の運営等の参考にさせて いただきたいということでございますので、今後とも何か気がつかれましたら、事務局 にご連絡いただければと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。事務局か ら何かございますか。 ○事務局(遠藤)  どうもありがとうございました。次回の委員会ですが、これまでのご説明にありまし たように、ポータルサイトが本格稼働に至る、半年後ぐらいを予定はしていますが、た だ、試験運用の具合であるとか、あるいは最後に議論いただきましたWHOの動向など により、予定が前後することは考えられます。また、委員の方々には事務局から事前に 日程調整をさせていただいた上でご連絡をさせていただきたいと思います。 ○小林座長  予定としては来年の3月前後ということですか。 ○事務局(遠藤)  予定としては半年後ぐらいにと思っております。  ○小林座長  本日は長時間にわたりご議論をいただきまして本当にありがとうございました。これ をもって終了させていただきます、どうもありがとうございました。                            照会先                             医政局研究開発振興課 03-5253-1111 内4164