07/09/19 第30回中央医療社会保険協議会保険医療材料専門部会議事録 1 日   時  平成19年9月19日(水)10:27〜11:15 2 場   所   厚生労働省専用第18〜20会議室 3 出 席 者  遠藤久夫部会長 室谷千英委員 小林麻里委員 前田雅英委員 対馬          忠明委員 小島茂委員 丸山誠委員 松浦稔明委員 鈴木満委員 竹          嶋康弘委員 渡邉三雄委員 山本信夫委員 松村啓史委員 小野孝喜          委員 松本純夫保険医療材料専門組織委員長           <事務局>          原医療課長 宇都宮企画官 他                 4 議   題   ○特定保険医療材料の保険償還価格算定の基準について 5 議事内容 ○遠藤部会長 それでは、ただいまより第30回中央社会保険医療協議会保険医療材料専 門部会を開催いたします。  まず、委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、全員の委員が御出席されて おります。  それでは、議題に入らせていただきます。  「特定保険医療材料の保険償還価格算定の基準」について、保険医療材料専門組織から 「特定保険医療材料の保険償還価格算定の基準に関する意見」が提出されておりますので、 保険医療材料専門組織の松本委員長より御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願 いいたします。 ○松本委員長 それでは、保険医療材料専門組織から御報告いたします。  資料の材−1をごらんいただきたいと思います。 1 内外価格差について ○ 内外価格差については従来からその問題点が指摘されているところであり、これまで 機能別分類の見直し、外国価格調整・再算定の導入等により、その是正に取り組んできた ところであるが、依然、内外価格差の存在が指摘されている。特定保険医療材料の保険償 還価格(以下「材料価格」という。)については、新規機能区分の設定が必要な特定保険 医療材料(以下「新規医療材料」という。)の材料価格は外国平均価格の2倍以上、既存 の材料価格は外国平均価格の2.0倍(又は1.5倍(一定の要件を満たした場合))以 上の場合に価格調整及び再算定を行うこととなっているが、現行制度がより実効性を有す るものとなるよう内外価格差を更に是正する方向で検討するべきではないか。 ○ 平成18年度改定においては、平成16年度改定に比し対象区分を拡大し、ペースメ ーカ、PTCAバルーンカテーテル、冠動脈ステント等の281区分に対して再算定の該 当性の検討を行ったが、次回改定では効率的な再算定を行うべく、区分の対象を設定する べきではないか。 ○ 内外価格差について、我が国特有の流通システムや審査期間等が材料価格に与える影 響の把握等を踏まえ、適正な内外価格差の範囲や内外価格差の是正に向けた取り組み等に ついての検討を行うべきでないか。 ○ 外国価格報告の状況を踏まえ、より精度高く外国価格を収集するための方策や調査対 象国の妥当性等について、さらに検討すべきでないか。 2 イノベーションの評価について ○ 我が国での新医療機器開発や実用化に対するインセンティブを高めるため、新規医療 材料や改良型医療材料について適正な評価となるよう検討すべきではないか。 3 機能区分の見直しについて ○ 機能区分については、臨床上の利用実態を踏まえる等の観点から、該当製品の存在し ない機能区分の取扱いや、供給が著しく困難なものに配慮した見直し後の価 格設定等、より適切なものとなるよう検討すべきではないか。 4 一定幅について  ○ 既存の機能区分の価格改定方式である市場実勢価格加重平均値一定幅方式における 一定幅は、現行では4%(ダイアライザーは11%、フィルムは5%)と設定されている。 これら一定幅が特定保険医療材料の安定的な供給に果たしている役割に留意しつつ、より 適正なものとなるように改めるべきではないか。 5 その他 ○ 現行では、製造販売業者は不服意見書を提出した場合に限り、保険医療材料専門組織 に出席し、意見を述べることができるが、製造販売業者が希望する場合は、初回において も保険医療材料専門組織に出席の上、意見表明を行うことができることとしてはどうか。  「5 その他」は新しい意見ですが、このようなディスカッションになりました。  以上です。 ○遠藤部会長 松本委員長、ありがとうございました。  それでは、ただいまの御報告に対しまして何か御質問、御意見ございましたらば、御自 由にどうぞ。 ○対馬委員 2ページ目の「4 一定幅について」のところですけれども、「安定的な供 給に果たしている役割に留意しつつ、より適正なもの」というところは、これはどちらの 方を向いて言われているのか。例えば上げるのか下げるのか、それはどうなのでしょうか。 それともそういうことではなくて、また別な観点なのでしょうか。 ○松本委員長 委員会では、当然下げる方向へ。 ○対馬委員 下げる方向ですか。 ○松本委員長 はい。あと、もし上げる方であれば、2に書いた「イノベーションの評価 について」とか、そういうことに対しては、新規性とか、そういうものに対しては上げる べきではないかというディスカッションが行われましたけれども、この一定幅については 下げる方向ということでディスカッションが行われました。  以上です。 ○対馬委員 わかりました。 ○遠藤部会長 ありがとうございます。  ほかにございますでしょうか。 ○鈴木委員 「内外価格差について」の丸の2つ目のところなのですけれども、「区分の 対象を設定するべきではないか。」ということは、281区分をもっと絞り込むというこ とでよろしいですか。 ○松本委員長 はい、そういうふうに考えております。見直しまして、大体あまり使われ ていない区分その他を整理しまして今見直したところで、6割以上の製品がカバーされて いるのではないかというふうなことで、縮小するという方向で検討しております。 ○遠藤部会長 よろしいですか、鈴木委員。 ○鈴木委員 はい。 ○遠藤部会長 ほかにございますでしょうか。  特にないようであれば、1つ私の方から確認させていただきたいのですけれども、1ペ ージの丸の3つ目でありますが、「内外価格差について、我が国特有の流通システムや審 査期間等が材料価格に与える影響の把握を踏まえ」ということでありますが、この文章は、 先ほどの対馬委員のお言葉をかりれば、上げる方向で、あるいは下げる方向でという、ど ちらのニュアンスが強くあるものなのか、ちょっとその辺の状況をお聞かせいただければ と思います。 ○松本委員長 委員会でディスカッションしましたのは、「我が国特有の流通システム」 ということは、海外との流通、卸も含めてだと思いますが、一般経費の見方とかそういう 中間での流通制度というものが委員にはなかなかわかりにくい。そういうことで、もう少 し情報を欲しいというようなことがありました。特にOECD諸国等の違いに関しては、 やはりもう少し委員にもわかるように情報を与えてほしい。  それから、「審査期間等が」ということは、時間があまりかかるために、モデルチェン ジをした場合に、旧世代の価格を決めるというようなこと、特に循環器系のペースメーカ ーその他ではそういう事態が少し起こっておりますので、やはり新しい有用な機器が早く 迅速に審査されるように配慮すべきではないかということがディスカッションされました。  以上です。 ○遠藤部会長 ありがとうございます。実態をもう少し正確にということでありますね。 ありがとうございました。  ほかにございますでしょうか。  よろしゅうございますか。それでは、ほかに質問もないようであれば、引き続き専門委 員から保険医療材料制度に関する意見についての資料が提出されております。これに関し ての御説明をお願いしたいと思います。  松村専門委員、小野専門委員、松本専門委員の順で御説明いただければと思います。よ ろしくお願いします。 ○松村専門委員 専門委員の松村でございます。それでは、資料は中医協材−2−1をご らんだきたいと思います。裏の2ページをめくっていただきますと、今日の私の話の内容 は、この4点です。1つは、医療機器産業の現状の実態を説明いたします。その上で、先 ほどの松本委員長の意見を受けて、イノベーションの評価、それから既存機能区分の適正 化、さらに在宅医療の推進という、この4点に絞って話をしたいと思います。  3ページです。この表は、医療機器と医薬品の違いをポイントを絞って書いたものです が、医療機器のマーケットは国内で約2兆円です。これに比べて医薬品は約6兆円。しか し、このアイテム数、品種が、医療機器は約30万品種あります。医薬品は1万7,00 0品目。したがいまして、医療機器の場合は1品目の売り上げが非常に小さいという特徴 があります。また、ライフサイクルについては、大体1年から2年と、非常に短期でござ います。ここでのイノベーションは非常に多岐にわたっておりまして、また、要素技術の 融合、技術の融合も一つのイノベーションとして考えられます。また、医療機器の一番大 きな特徴なのですが、継続的な改良改善によって新しいイノベーションが起きるという特 徴があります。アウトプットとしては、ドクターのすばらしい手技と優れた医療機器が重 なって初めていい医療ができる、こういう特徴がございます。したがいまして、販売も多 岐にわたっておりまして、トレーニング、それからアフターケアやメンテナンスが必要、 こういう特徴があります。  4ページをおめくりいただきたいと思います。これは現在の世界市場を示したものでご ざいますが、世界市場の医療機器は約20兆円ございます。米国が43%を占めておりま して、日本は11%の比率です。かつては日本はもっとその比率は高かったのでございま すが、近年下がってまいりました。その理由は、この右の表に示すとおりでして、US・ EUは市場が伸びておりますが、日本は横ばい、こういったことから日本のプレゼンスは 下がってきているというのが今の状態でございます。  5ページです。国内の市場状況を示したものでございます。棒グラフは国内出荷額です。 ここでは国内市場と言いかえてもいいかと思います。したがいまして、この棒グラフを見 ますと、この10年来ほとんど伸びておりません。しかし、この赤の折れ線グラフは輸入 比率を示していますが、輸入比率はどんどん高まってまいりまして、約半分ぐらいが輸入 と。この一つの理由は、治療機器はほとんど外国製品が多いということからきているもの でございます。  6ページです。こういった観点を踏まえて、医療材料の診療報酬上の評価について話を したいと思います。これはちょっと基本的なことでおさらいになるかと思いますが、C1、 C2という、新機能・新技術という枠、ここには、先ほど話がありましたが、イノベーシ ョンの評価をもっと加味する必要があるかと思います。Bは特定保険医療材料の分野です。 これは機能区分の適正化という課題があるかと思います。それ以外にA1、A2というく くりがございます。  7ページです。まずC1、C2のイベーションの評価について2点に絞りました。新規 機能区分設定の適用範囲の拡大と明確化ということと、それから保険適用時期の短縮、ス ピードアップ、この2つに絞って話をしたいと思います。  8ページです。このC1、C2の現行の設定基準でございますが、既存の機能区分の定 義(構造、使用目的、医療上の効能及び効果等)から見て、既存の機能区分とは明らかに 異なるものであること。すなわち、全くの新規でないとこのC1、C2にならないという ことになっていますが、先ほど申し上げましたように、全くの新規だけでなくて、医療機 器特有の改良・改善をもっと評価される仕組みを検討したらどうかというふうに考えてお ります。例えば、この枠に書いておりますが、小型化、小児用等への適用、操作性のアッ プ、感染の危険性を低減する、低侵襲の治療がもっと進む、あるいは在宅療養の可能性が 期待できる、こういったことを含めることによって患者のためになる医療機器が開発され るのではないかと考えております。  9ページです。大変申し訳ございません。このページ、ちょっと誤植が2点ございます。 この「新医薬品」のところの点線の括弧があります。「不服有り」、「不服有り」と、両 方とも「有り」になっておりますが、左側は「不服なし」でございます。それからこの右 の「新規医療機器」の方ですけれども、真ん中ぐらいに「決定案の通知」の下に「不服が なし場合」とありますが、「不服がなしの場合」というふうに訂正いただきたいと思いま す。申し訳ございません。  これは簡単に申し上げますと、承認から収載まで、医薬品は原則60日以内、遅くとも 90日以内という規定がございますが、医療機器の場合は希望提出後約8カ月。したがい まして、収載時期については薬と同様になっておりますが、承認から保険適用までは約1 年と、長くかかるという現状の課題がございます。  10ページです。既存機能区分の適正化をまとめたものでございます。構造ですとか機 能が明らかに異なるにもかかわらず、同一の機能区分として評価されている既存製品につ いての機能区分の見直しが必要ではないかということです。例えば末梢留置型中心静脈用 カテーテル、これは腕からの中心静脈の点滴のカテーテルなのですが、現状では、鎖骨下 静脈留置の製品と同じ機能区分で評価される、こういう課題があります。また、もう1つ の黒丸ですが、同一機能区分内の製品で、実勢価格に一定以上の乖離が認められる分野に ついて機能区分の見直しが必要ではないかと考えております。さらには、先ほど松本委員 長の話がありましたが、合理化のために該当製品の存在しない区分は削除する必要がある かというふうに考えております。  最後に11ページですけれども、最後のポイントは在宅医療でございます。在宅医療を 推進するためには評価の見直しが必要ではないかということですが、これは何を申し上げ たいかといいますと、在宅医療を推進するための材料提供の仕組みが必要だということで す。今薬は院外処方ができますが、器材はできるものが非常に少ないということと、それ から保険の評価は非常に複雑だという、こういう大きな課題があります。例えばこの表で 見ていただきますと、一番下ですが、在宅で薬剤を使った場合には、指導管理料、それか ら薬価がついておりますし、院外処方できるという特徴がございます。しかし、この上に ちょっと具体論で書いてありますが、薬をデリバリーする器材は院外処方できないという 現状の課題があります。例えば携帯型ディスポ注入ポンプという製品がございますが、こ れは癌の患者さんに使うものでございますが、材料加算はついているものの院外処方でき ない。もっと複雑なのは、この下の栄養管セットでございまして、在宅成分栄養経管栄養 法というのは材料加算がついておりますが、下の在宅寝たきり患者処置は材料加算がつい ておりません。また、どちらも特定保険医療材料でございませんので、院外処方できない という課題がございます。  次のページに、参考資料として、今現在院外処方できる特定保険医療材料をまとめまし た。たくさんの器材がありますが、院外処方できるのはたったこれだけの品目というのが 今の実態でございます。  一番最後のスライドですが、これは参考資料でございます。先ほどC1、C2という新 規の保険医療材料の話をいたしましたが、これは、平成18年度以降の保険収載分でござ いまして、非常に細かな表で申し訳ないのですが、見ていただきたいのは、非常にまだ数 が少ないということと、真ん中あたりに「承認日〜保険収載」という欄がありますが、上 が16カ月から12カ月、大体1年近く、場合によっては31カ月というものもございま す。優れた医療機器は医療の発展につながりますし、患者さんのためになる。また、医療 経済性を高めることにつながりますので、こういったことも含めて検討してはどうかとい うふうに考えております。  私からは、以上でございます。 ○遠藤部会長 ありがとうございます。  それでは、小野専門委員、引き続きどうぞ。 ○小野専門委員 続きまして、販売業の立場から、一定幅について意見を発表させていた だきます。  既収載の特定保険医療材料の価格は、およそ20万種類を超える医療材料を700余の 機能区分に分類して、材料価格調査をベースにした「市場実勢価格加重平均値一定幅方 式」により算定されております。この方式は、同一の機能区分内で価格競争が促進される ことによって、市場価格を適正に反映する方法と考えております。  一方で、販売業にとっては、同一機能ながら規格の異なるものの品ぞろえ、もしくは緊 急対応のための予備在庫、小口、遠隔地配送、さらには院内使用場所までの配送など医療 現場からのさまざまな要請に対応する必要があります。そのために、在庫費用とか配送費 用等が発生しております。さらに、滅菌品の場合には、滅菌期限切れによる返品や廃棄の 費用も発生しております。  医療材料の安定供給、品質・安全性の確保及び操作方法等の情報提供等の医療機関の要 求に応じて確実に対応するためには、一定幅が不可欠であります。現状では、その率は少 なくとも現行水準を維持することが必要ではないかと思います。  以上です。 ○遠藤部会長 ありがとうございます。  それでは、引き続き松本専門委員、お願いいたします。 ○松本専門委員 専門委員の松本です。松村委員及び小野委員が述べられたこととの重複 は極力避けまして、主として医療材料・医療機器の特性と再算定制度について述べます。  近年開発されました医療機器の多くは、患者の負担を軽減させ、在院日数を短縮できる 低侵襲治療の実現や、過去には不治の病とされました多くの種類の癌や心臓病、脳疾患等 を解決させつつあります。医療機器は、患者のQOLを向上させるとともに、結果として、 医療経済にも大きく貢献してきました。  医療機器には2つの大きな特徴があります。1つは、医療機器の多くは、典型的な多品 種・少量生産であることです。次に、開発には多くの場合多大な投資を伴いますが、一般 的に製品寿命は短く、上市までに長期間を要したが、製品寿命が半年、1年というものも 少なくないことです。  次に、内外価格差と再算定制度についての意見を述べます。欧米で新しく開発され、1 0年から20年前に本邦に導入されました画期的な医療機器は、日本市場に導入されるま でに多大な時間とコストがかかった割には、当時は使用そのものは未開拓のため小さなも のでした。したがいまして、償還価格も、都道府県購入価格という形で、比較的恵まれた ものになっていました。  その後、市場が拡大し、また、為替レート等も変更したため、自然発生的に一部の商品 で内外価格差が発生したことは事実と認識しています。しかしながら、医療制度、薬事承 認制度の違いにとどまらず、物価の違いや社会システム等の違いを考えれば、日本におけ る価格が欧米と同じレベルにはならないことは御理解いただけるものと考えております。  一方、海外で開発され国内で販売されている医療機器のすべてに内外価格差があるとの 誤解もあるのではないかと危惧しております。我が国の医療機器の中には、償還価格その ものがない、もしくは償還価格が手技料に含まれているため、海外の価格よりも安いもの も見受けられます。さらに、2000年以降、数次の改定により、既に相当程度の価格が 引き下げられたものもあります。  内外価格差の問題については、こうした個々の機器の状況を適切に反映した議論が必要 と考えます。  さて、再算定に関しましては、今改定でも再算定が行われることが決定されれば、各メ ーカー、輸入販売業者は信頼ある外国価格のデータの収集に全面的に協力しなければなり ません。ただし、このデータ収集には煩雑さが伴うため、混乱を最小限にするために、従 来と同様な制度の運用が望ましいと考えます。  最後に、言うまでもなく、日本は技術大国であります。したがいまして、先進的な医療 機器を開発するほとんどの技術は我が国は備えております。産官学が協力し、日本のみな らず世界中の患者にとって安全・有用かつ革新的な医療機器の開発が進められようとして いる今、医療機器・材料の償還価格がそれを後押しするようなものになることを強く望み ます。近い将来、日本の医療機器産業が我が国の成長の牽引役になることを願ってやみま せん。ありがとうございました。 ○遠藤部会長 ありがとうございました。  ただいま3人の専門委員の方から御報告いただきましたけれども、これらにつきまして 何か御質問、御意見あれば、御自由にどうぞ。 ○竹嶋委員 松村委員にお伺いしますけれども、最初に「欧米が圧倒する医療機器市場」 というグラフを出していただきましたね。2000年ぐらいから日本は横ばいになってい る。ほかのところは伸びてきた。そしてその次のページに、また同じぐらいのところから 輸入比率が上がってきておりますね。そうすると、全体の経済の中から考えて抑えられて きているのか、あるいは輸入の方で伸びてきて国内のそういう生産が抑えられてきている のかということを1つお聞きしたい。  それから、これは私の知識不足かもしれませんが、「在宅医療を推進するための評価見 直し」という資料を今日お出しになっていらっしゃいますが、こういう資料はほかでも出 たのかもしれませんが、在宅医療に関してのデータというのは、松村さんのところだけで なくて、ほかのところからもやはり出ているのでしょうか。 ○松村専門委員 まず1点目の御質問ですけれども、今竹嶋委員がおっしゃった両方があ ると思います。1つは、価格改定あるいは再算定によって既存のものが下がってきており ます。一方で、治療はどんどん低侵襲治療の方に向かいまして、治療機器は圧倒的に欧米 が凌駕していますので、それが日本に入ることによって、外国製品は伸びますが、国内製 品は既存品ですから保険医療材料の値段が下がる、こういったことで、全体としては横ば いというのが現状かと思います。  次の御質問ですが、こういったデータは各業界は持っておりますので、適宜また言って いただければと思います。 ○遠藤部会長 一つの今確認させていただきたいのですが、ここで言う医療機器は特定保 険医療材料ということではないわけですね。それも含んでいるけれどもそうでないものも あるという、診断機器とかそういうものが入っているということですね。 ○松村専門委員 部会長のおっしゃるとおりでございます。 ○鈴木委員 松村委員に「保険適用時期の短縮」というところで教えていただきたいので すけれども、あるいは事務局がいいのかもしれませんが、薬が60日でこの新規の医療機 器、材料から機器までも含まれるとは思うのですけれども、これが1年というのは、何か 薬と違って治験の条件が大幅に違うのでしょうか。 ○遠藤部会長 これは事務局にお答えいただければと思いますけれども、当然、これは薬 事承認を受けた後からこれだけの違いがあるということですので、薬の方は、ドラッグラ グの問題ということで、承認そのものを早くしよう、それからその後の保険収載を早くし ようという動きがあるわけですが、その保険収載だけを見てもこれだけの違いがあるのは どこに問題があるのかということの御質問だと思いますので、わかる範囲で結構ですので、 事務局お答えください。 ○事務局(宇都宮企画官) 医療課企画官でございます。なぜ材料の方が時間がかかるか ということでございますけれども、一言で申し上げますと、医療機器・材料は、医薬品と 比較して、より多くの要素について検証する必要があるということでございまして、例え ば決定区分の該当性、A1、A2、B、C1、C2あるいはFというようなことですとか、 また、約620種類ほど類似機能区分がございますが、その辺の該当性についての判断と いうようなものもございます。  また一方で、保険適用に係る要素として、科学的根拠、エビデンスというものが重要で ございますが、医薬品の方は基本的に薬学・薬理学的な分野での有効性の判断ということ でほぼ集約されますが、医療機器・材料の場合は、その他物理学・工学的なもの、当然、 外科学・解剖学的なもの等々、いろいろ多岐にわたるので、その辺、やはり時間がかかっ てしまうということもあると思われます。ただもちろん、早期使用ということについて御 要望が非常に強いということで、今後より早期に導入できるようなものについてはさらに 御議論していただきたいというふうに思っております。  それから、1つつけ加えさせていただきたいのですが、松村専門委員の一番最後の参考 資料というところにC1、C2の具体例がございますが、これにつきまして個別には申し 上げませんけれども、けっこうトラブル等によって延び延びになったもの等もございます ので、その辺につきましては、必ずしも手続だけの話ではないということは御理解いただ きたいと思います。  以上でございます。 ○遠藤部会長 ありがとうございます。鈴木委員、いかがでしょうか。どうぞ。 ○鈴木委員 ちょっと別になりますけれども、一定幅なのですが、これは薬にもたしかあ ったように記憶しますけれども、やはり4%でしたか。 ○事務局(宇都宮企画官) 2%でございます。 ○遠藤部会長 よろしいですか。 ○鈴木委員 はい。 ○竹嶋委員 松本委員にお尋ねいたします。「医療機器・材料の特性」の「(2)患者の メリット」ということで、「低侵襲治療の実現」、まさにこのとおりだと思うのです。薬 剤と同じように、診断あるいは治療の機器が人体に入っていくものですから、やはり人に 優しいといいますか、そういう機器をできるだけ開発してほしいのですが、そういうとこ ろを私は日本の非常に技術といいますか、こういうものは立派なものを持っているだろう と、まずはそう思うのです。  そういう中で、過日この中医協でも出ましたが、5番目の「(1)信頼ある外国価格デ ータの収集」というところがございますね。アジアの状況と比べて出ましたね。まず1つ お尋ねしたいのは、20万とか30万とか、先ほど松村委員あるいは小野委員から、医療 機器は品目があるとかいうことで、部分的には違うにしても、その全体の中で観念的に、 やはり内外価格差が大きいという感じが私どもはぬぐい切れないのです。ここのところの データがこれまたなかなか難しいということも、我々自身も調べでわかっておりますが、 委員がここに書いてありますように、医療機器・材料業界が協力をしてデータをちゃんと とりたいということでございますが、そのあたりのところのお考えというか、そういうも のをお聞かせいただきたいと思うのです。 ○遠藤部会長 では、松本専門委員、お願いいたします。 ○松本専門委員 事業の経営者としてお答えさせていただけるなら、あらゆるデータに関 しては、特に秘密があるはずもなく、したがいまして、煩雑ですが、限度があるかもしれ ませんが、できるだけのデータは、かつ信頼性のあるデータは出さないといけないと思い ますし、それは出します。 ○山本委員 松村委員のお出しになった資料の中で、在宅医療の部分がございますけれど も、これからの医療の在り方が、在宅医療を中心に進めていこうという中で、ここにあり ますさまざまな診療報酬等の関係もございますので一概には申し上げられないのでしょう けれども、大変特徴的な例を、例えば11ページに、まずは地域に患者さんがもどってき たときに十分に材料が提供できない体制、手段がないというのは大変困ったことになりま す。そのあたりは今後の議論の中で具体的にどうするのか、ぜひ検討する必要があるだろ うという気がいたします。  もう1点、12ページのところでは、価格についてやはり決められた価格がある中で、 幾つか価格的に逆ざやが出てしまうのがある。前にもこれを申し上げて、いずれ調査をさ れるということで伺っておりますので、そうした意味では、ここにあります自己注射、あ るいは輸液を含めて、例えば輸液の2,010円という価格にしましても、実際問題とし ては大変少ない価格でありますので、そうした点も踏まえて、より調査の結果が反映され るような仕組みにしていただきたいことと、より正確に現状が現れるよう、そういうこと を踏まえてイノベーションを評価しませんと、結果としてはただ主張だけで終わってしま うと思いますので、その辺につきましても、ぜひもう少し突っ込んだ議論といいましょう か、お願いしたいと思います。 ○遠藤部会長 今後の議論の方向性ということのアイデアをお示しになったということで すね。ありがとうございます。 ○対馬委員 今日のお話を聞いて、多少感想的なことを含めて申し上げますと、データが ちょっと少ないのではないかという感じがします。定性的な主張だけだとなかなか議論が、 特に一定幅がどうこうというのは、やはりデータがありませんとなかなかというところも あるわけです。そういう意味では、先ほど業界としてもいろいろなデータを保有している というお話があったので、ぜひそれはそういう方向でやっていただければ大変ありがたい と思います。  あと、これは事務局の方に対するお願いになるのかもしれませんが、今の話とも多少関 連するのですけれども、機能区分が700ぐらいあって、恐らく1つの機能の中にはかな りいろいろなものが入っているのではないか。非常に新しいものがあれば、かなり陳腐化 した技術・機器等も入っているのではないかと思います。それらが実際の価格との関係で 一体どうなっているのか、そのあたりも、もちろん今日ということではなくて結構ですか らお出しいただければと思います。  例えばどういう問題意識かといいますと、医薬品では例えば特許品であってもそうでは なくても、全体的に総価取引が行われていて、2ポイントぐらいずつ下がっていくといっ たことがあるようなのですけれども、医療機器・材料の方であると、新しい製品と比較的 長く使っているような製品でそういった差があるのかないのかを示したデータ・資料は見 たことがないのです。ですから、そういったことも、業界の方でお出しいただけるのか、 事務局の方でお出しいただけるかは、お任せしますけれども、ぜひ出していただければあ りがたい、こういうふうに思います。 ○遠藤部会長 今の御発言につきまして、いかがでしょうか。では、事務局、何かコメン トがあれば。 ○事務局(宇都宮企画官) 手元にはそのようなデータはございませんが、何か探して、 お示しできるものがあればお示しさせていただきたいと思います。 ○遠藤部会長 ありがとうございます。  メーカーサイドで、専門委員として何かございますか。 ○松本専門委員 ある意味では、望むところではないかと思います。委員おっしゃるよう に、やはり昔、10年も前に出したものでいまだに売っているものもありまして、そうい うものは自然と価格は下がっていっています。新しく出したものは、比較しますとやはり いくらか高いということも言えます。しかし、機能別で一くくりになっていますから、償 還価格は1つだということは言えるのではないかと、このように思っています。 ○遠藤部会長 ありがとうございます。 ○小島委員 時間もありませんので1つだけ。小野専門委員のペーパーで指摘されていま す一定幅の件です。現行4%ということですけれども、これは、先ほどの専門組織委員長 の御指摘ですと、専門組織の方の意見では、一定幅については適正化ということです。い わば現行の4%を引き下げる方向でのという、そういう内容だということですけれども、 小野委員は一定幅についてはまあ必要だと、結論的には少なくとも現行制度を維持しろと いう指摘なのですけれども、ここで3つほど大きな理由として指摘をされております。1 番目の丸のところについては、一定幅内での、があるから、それによって価格競争が促進 できるのだと、だからそのために一定幅というのが必要だという指摘、2つ目のところは、 在庫費用なり配送費用等が発生するので、そのためにも一定幅が必要だという理由、3つ 目のところは、品質・安全性の確保、それと情報提供等への対応というような内容からも その一定幅が必要なのだという、3つほど大きく理由として挙げているのですけれども、 この中で、一番本当に一定幅が必要な要因というのはどこなのかという、この辺は優先順 位というか、あるのかどうか。その辺をちょっと質問します。 ○小野専門委員 まず、一定幅なのですけれども、薬の場合2%、材料の場合4%という ことで、なおかつ例外的なものはここに挙げてあるダイアライザーとかその他4種類まで もう収束しています。ここで、薬が2%だから材料も2%という議論が一時あったような 気がするのですけれども、それは結局たくさんの商品について一律に2%に、2%カット するということになるので、まだまだそういう状態ではないかと思います。  今松村委員の方からお話がありましたように、同じ機能区分の中にもいろいろなものが あるわけです。その中で競争を行うということの私の意味は、医療材料というのはもう絶 え間なく改善が進みます。ですから、それにいろいろの付加価値をつけてやっていらっし ゃるのですけれども、そういう努力が、現状価格を天井にして、あとは中でお客さん、ユ ーザー側が選択するときに価値あるものの方が少し高い天井の方に行って、古いものはど んどん下がっていくという格好で今は機能していると、そういうふうに考えています。今 最初に御質問がありましたように、この機能区分の中が一体どういう分布になっているの かとか、そういうものが本当にデータとして、全区分やる必要はないかと思いますけれど も、特定の何か、これはいろいろなところで調べ、まずどこにポイントを絞ったらいいか ということを知った上で、一、二例をやってみるとか何かやってみて、そこで、同じ機能 区分になっているのだけれども、ユーザー方の価値のつけ方が違うということがどういう 状態になっているのかということを調べる必要が必ずあると思います。 今お話しの、も う1つ、一定幅の議論を私は4%に全部維持しろということは言う気持ちはないのですけ れども、一定幅の議論というのは、今申し上げたように、機能区分を細分化するなり、薬 と同じように銘柄別にするとかというようなこととセットして、もしくは並行してそうい う議論をしていただかないと、4%、それをひっくるめてどうするという議論にはちょっ と飛躍があるように思います。  最後の、この書き上げた中でどれが一番重要かというお話ですけれども、販売業という ことに限れば、どれがどれというふうに言いがたいところはあります。ただ、そのおっし ゃる意味の裏側に、市場実勢価格というものそもそもに、そういったいろいろなコストは もう入っていると思われているのだろうと思いますけれども、販売業としては、これらが 全部入っているということで、でき上がった、その一定幅が考えられたときの、こういう ものを見るというふうに制度的にできているので、毎回毎回申し上げていることになりま す。 ○丸山委員 これは産業界から来ている者の意見なのですが、これは今の関連ですが、松 村さんの資料の2枚目に、医薬品と医療機器の対比で違いを述べておられて、実はなるほ どなあと。まあ、薬が非常に特殊であって、医療機器というのはほかの一般産業の状況と よく似た、そのままと言ってはちょっとジャンルが違うかなと思いますが、非常に多品 種・少量でライフサイクルが短い。1年から2年で短いと言う感覚の問題はありますが、 もっともっと短い、2カ月、3カ月でかわる産業界が今非常に多い中で、確かに薬に比べ ると短い。それから、テクノロジーの非常にいろいろな意味でのインテグレーションがあ って出てくる。こういうのはすべて今の日本の一般的なほかの産業界の普遍的な在り方で あって、我々ほかの産業から見ると、初めて同じ土俵のものが出てきたなというのが第一 印象なのです。  この小野さんへの今の小島さんの質問、小野さんの資料を見て、2番目のところに、在 庫費用、搬送費用等々は非常にかかると。まあ、まさにそのとおりであろうと思いますし、 御苦労なさっているのだろうということは思うわけですが、今の日本の国内での物づくり の中で、物づくり革新活動で生きようとしている一つのやり方というのは、いわゆるかん ばん方式等々、必要なときに必要なものをお客様にお届けするというのはもう当たり前の 時代になってきているわけで、予備在庫を持つかどうか、小口というのはもう当然そうな ってくるし、そんなことを考えると、これを嘆いていてもしようがない。一方では、価格 が非常に低下していくというのは、これらもう医療機器の世界だけではなくて、あらゆる ところでそれが起こっているわけで、価格低下にも耐えていかなければいけない。そのた めの品質なりコストなり納期確保なり、そういったことをどうやっていくか、インフォメ ーションテクノロジー等々のそういうことを活用したいろいろな手法が今開発されている ので、医療機器の業界の分野でもそういうことをなさっていると思いますが、ここでこの 2番目にこれを挙げるというのは、もうちょっと許されないかもしれないなという気がす るわけです。一般産業界と同じではないという部分的なものはあろうかと思いますが、ビ ジネスの在り方としては、その辺はもっと、もっともっとやはり努力してやっていく。こ れが一定幅の何かプレミアをつける理由にするのでは、ちょっと日本の医療機器を支える お立場としてはいかがかなという気がいたします。  以上です。 ○遠藤部会長 ありがとうございます。御意見として、また今後の議論の中で反映させて いただきたいと思います。  ほかにございますか。予定していた時間をオーバーしておりますので、まだあるかと思 いますが、本日いろいろな御意見を賜りましたので、今後の議論の中でこういったことを 参考にしていこうということでありますから、またその際に御発言いただければと思いま す。  それでは、本日はどうもありがとうございました。  松本委員長につきましても、長時間ありがとうございました。  それでは、本日の保険医療材料専門部会はこれにて閉会したいと思います。  次回の日程につきまして事務局から何かございますでしょうか。 ○事務局(宇都宮企画官) 未定でございます。決まり次第また御連絡させていただきま す。 ○遠藤部会長 それでは、引き続き薬価専門部会がございますので、よろしくお願いいた します。ありがとうございました。              【照会先】 厚生労働省保険局医療課企画法令第二係 代表 03−5253−1111(内線3276)