07/09/18 第23回労働政策審議会障害者雇用分科会議事録 第23回 労働政策審議会障害者雇用分科会 議事次第 1 日時 平成19年9月18日(火) 15:00〜17:00 2 場所 厚生労働省 共用第8会議室(6F) 3 出席者 ○ 委員 (公益代表)  今野委員、岩村委員、菊池委員、平木委員 (労働者代表) 泉田委員、高橋委員、豊島委員、長谷川委員 (使用者代表) 飯ヶ谷委員、大島委員、新澤委員、輪島委員 (障害者代表) 鈴木委員、副島委員 ○ 事務局   岡崎高齢・障害者雇用対策部長、長門企画課長、田中企画課長補佐   吉永障害者雇用対策課長、濱島障害者雇用対策課調査官   白兼障害者雇用対策課主任障害者雇用専門官、手倉森障害者対策課長補佐 4 議題 (1)多様な雇用形態に対応する障害者雇用率制度の在り方について   [1] 障害者の短時間労働について   [2] 障害者の派遣労働及び紹介予定派遣について (2)その他 5 資料 資料1−1 障害者の短時間労働をめぐる状況について 資料1−2 研究会報告書を踏まえた具体的対応案 資料2−1 労働者派遣制度の現状について 資料2−2 障害者の派遣労働に係る障害者雇用率制度の適用について 資料2−3 障害者の派遣労働をめぐる現状について 資料2−4 研究会報告書を踏まえた具体的な対応案 資料3   多様な雇用形態等に対応する障害者雇用率制度の在り方に関する研究会報告書 資料4   障害者に対する就労支援の推進 〜平成20年度 障害者雇用施策関係予算概算要求のポイント〜 参考資料1 研究会に提出された調査結果等 〜障害者雇用実態調査の分析と短時間労働のニーズ分析〜 参考資料2 研究会における主な意見 6 議事経緯 ○今野会長 定刻になりましたので、ただいまより第23回「労働政策審議会障害者雇用 分科会」を開催いたします。本日は、佐藤委員、松矢委員、野村委員、斉藤委員、舘委 員、松井委員が欠席です。岩村委員は少し遅れてまいります。  議題1「多様な雇用形態に対応する障害者雇用率制度の在り方について」のうち[1]「障 害者の短時間労働について」を事務局から説明をお願いいたします。 ○濱島調査官 資料1-1で、短時間労働についてご説明させていただきます。障害者の短 時間労働をめぐる状況についていくつかのデータを提示しております。まず、雇用保険 一般被保険者数の推移のグラフです。平成8年度から平成18年度にかけて、被保険者数の 推移で、短時間労働は全体として6%程度ということで203万人です。割合的にはさほど 多くはありませんが、この間は増加しております。  その下のグラフは、労働時間別に見た障害者の雇用状況です。労働時間別の雇用状況 を障害種別に見たところ、身体・知的・精神それぞれの短時間労働(20時間以上30時間 未満)は、それぞれ8%、2.8%、4.4%ということで、それほど大きな数字にはなって いない状況です。  それでは、ニーズはどうかということです。障害者の希望する労働時間と、実際の労 働時間を示しております。左から求職者、授産施設等の利用者、現状ということです。 現状は、先ほどのデータを、障害種別を取り払って示したものです。求職者が24%、授 産施設等の利用者が30.3%と、ニーズとして短時間労働がかなり出てきていると見てお ります。  下のグラフは、障害程度別の希望労働時間について取ったものです。重度、中度、軽 度、現状ということで出ております。この中で、障害の程度が重度になればなるほど、 短時間労働に対するニーズが高いことが見て取れようかと思います。  こういう現状全体に占める障害者の短時間労働者の割合はさほど多くない中で、非常 にニーズが高い。しかも、障害の程度が重度になればなるほど、短時間労働に対するニ ーズが高いという現状を踏まえ、研究会の報告書において対応案を検討していただきま した。その具体案が資料1-2に出ております。  まず【現行】についてです。各企業における法定雇用の障害者数及び実雇用率の算定 についてです。現行、実雇用率は週所定労働時間30時間以上の労働者数を分母としてお ります。それに対して週所定労働時間30時間以上の身体・知的・精神の障害者を分子と しております。身体と知的の障害者について、重度の方についてはダブルカウントして おります。これに加えて、新たに週所定労働時間20時間から30時間の重度の身体障害者 と知的障害者、それから精神障害者については0.5カウントということで、この合計を 実雇用率の分子としているのが現行の制度です。  研究会の報告書における具体的な【見直し案】については下の欄です。実雇用率の出 し方のうちの分母は、週所定労働時間30時間以上の労働者数に、週所定労働時間20時間 から30時間の労働者数に0.5を掛けた数字、この和を分母といたします。分子は、週所 定労働時間30時間以上の身体障害者・知的障害者それぞれ重度はダブルカウント、精神 障害者に加え、新たに20時間から30時間の身体障害者と知的障害者の0.5カウントを加 えるという形にしたいということでご検討いただきました。  社会全体の障害者雇用率の設定基準をどうしていくか。現行、障害者雇用率は分母に 週所定労働時間30時間以上の労働者数と、ここにはやや詳しく書いておりますが簡単に 言いますと、失業者の労働者数、そこから除外率相当の労働者数を引いたものを分母と しております。分子は、週所定労働時間30時間以上の身体・知的の障害者の数と、失業 状態にある身体・知的の障害者の数ということで、基本的に30時間以上週所定労働時間 の身体・知的の労働者をベースに雇用率を作っていたというものです。  【見直し案】として、研究会において議論されたものは下の欄です。分母については、 週所定労働時間30時間以上の労働者に加え、週所定労働時間20時間から30時間の労働者 数に0.5を乗じた数、そのほかに失業者を加えて、除外率相当労働者数を引く作りにな っています。分子は、週所定労働時間30時間以上の身体障害者と知的障害者の数に、新 たに週所定労働時間20時間から30時間の重度身体障害者・重度知的障害者の数、それか ら身体障害者・知的障害者の数に0.5を掛けたもの、さらには現行と同様に失業者の数 といったような形でいたしたいという案をご議論いただきました。  なお、障害者の短時間労働については、概ね次の頁にあります研究会報告書の抜粋の ようなことが、短時間の労働について触れられています。(2)の適用時期についても、 こういうことが書かれております。具体的には、特に短時間労働者を多数雇用している ような企業においては、短時間労働が雇用義務の対象となった場合の影響が大きいとい ったこともあり、一定の準備期間が必要であるということにも触れられています。障害 者の短時間労働について、研究会の議論をまとめたところ以上のとおりでした。 ○今野会長 いまの説明について、ご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。 ○副島委員 短時間労働のいまの実際の状況に対してよりも、ニーズがたくさんあると いうことで、我々知的障害者の分野から考えればすごく有利な感じで雇用につながると 思うのです。  いちばん最後に説明された、適用時期等については、企業側の体制づくりの時間が要 るということが、企業側にどのぐらいの期限を考えるような状況でしょうか、それをお 聞きします。 ○高齢・障害者雇用対策部長 どのぐらいが適当かという議論はあると思いますけれど も、私どもとしては、これで議論がまとまって諸条件が満たされると、来年の通常国会 に提出することができます。法案が成立すれば、通常はその年なり、遅くとも翌年4月 からということになるのだと思います。こういう制度で、かつ年度単位ということを考 えると、翌年度からというのはなかなか難しいのかと思っています。少なくとも、もう 1年ぐらいは準備に必要かと思っております。  短時間労働者の雇用数が多い企業ほど、義務数の増え方が人数としては大きくなると いうことです。ただ、そこはある程度義務がかかる中で努力していただくのか、準備が 整うまで待つかということになるのですが、私どもとしてはあまり先ということよりは、 しかるべき時期のほうがいいかと思っています。なお、労使それぞれの考え方もあるで しょうし、そういうものもお聞きしながら、最終的な案は決めていきたいと思っており ます。 ○輪島委員 事務局の説明の中で、いちばん大事な点が抜けているのではないかという ことなので、議論をお聞きしている範囲の中で多少ご理解いただきたいという点があり ます。この多様な研究会について、ヒアリングをしていると思います。そこで一般的な 状況ですけれども、いま部長がおっしゃったように、サービス業であるとか、特に流通 であるとか、デパートであるとか、そういう業種・業態で、短時間労働を非常にたくさ ん使っている業種の代表にヒアリングをしたということです。  そこの実情で試算してみると、現状その会社は2.0%の実雇用率を持っているけれど も、資料1-2にあるようなものに当てはめて、いまの状況で自分の会社の実雇用率を算 定してみると1.6%まで下がる。つまり、いまは1.8%の雇用率を超えて2.0%までいっ ている会社が、この制度を入れることによって1.6%まで下がるという非常に大きな影 響があるということです。  資料1-2の3頁にあるような、研究会の報告書の(2)の適用時期のいちばん上の○の 2行目「多くの企業においては短時間労働という雇用形態で障害者を積極的に雇用して いる状況にはない」ということで、これは先ほど説明がありましたが、いまは雇用率に カウントされないので、実際に多くの企業ではまだ使っていません。特に短時間労働者 を多数雇用している企業、先ほど申しました流通業やデパートという所においては、短 時間労働が雇用義務の対象となった場合の影響が大きいと書いてありますけれども、非 常に大きな実雇用率の低下になるということです。  質問に適切に答えられるかどうかわかりませんが、企業側としては本音で、できるだ け待ち時間が長ければ長いほど猶予期間があるほうがありがたいと思います。そうは言 いながらも、いつまでもというような状況ではないと思いますので、そういう意味では 3年とか5年とかいってみたいという気持はあります。  いまは実際に制度が適用されていませんし、雇用率のカウントがされていないので制 度の枠組みもありません。施行されて短時間労働がカウントされることになれば、取組 みは進んでいくと思いますけれども、実雇用率が下がるという非常に大きな影響がある 業種・業態がありますので、その点について適用時期も含めて慎重に検討していただき たいというのが私どもの基本的な考え方です。 ○大島委員 中小企業の立場から意見を述べさせていただきます。この短時間労働です が、中小企業ではフルタイムで雇用するだけの十分な業務がないとか、経営状況によっ ては非常に厳しく、これ以上人数を増やしたりできない現状があります。したがって、 短時間労働も雇用率にカウントするというのは、中小企業にとっては障害雇用に取り組 みやすくなる側面もあると考えております。例えば、週40時間のフルタイムの雇用は難 しいと考えている事業主であっても、20〜30時間であれば対応できる事業体も出てくる と思います。  ただ、障害者雇用率制度のあり方に関する研究会の報告書でも、いまの意見でもそう だったのですけれども、流通業では短時間労働者を多く雇用している企業が多くて、短 時間労働者が雇用義務の対象となった場合、雇用率の低下というのは大きな影響が出て くることもあります。ただ、今回限りの資料では、短時間労働者を雇用義務の対象にし た場合、短時間労働者全体の人数とか、短時間労働で働く障害者の人数がそれぞれどの 程度増えるかは明らかになっていませんので、企業にとってはどの程度の影響が出るか、 暫定措置もどのぐらいの期間なのかというのは判断のしようがないと思います。  したがって、短時間労働者全体及び働く障害者について全体の人数の把握はもちろん のこと、業種別とか、企業規模別とか地域別、特に業種別の人数を提供していただけれ ば、今後そのような問題がもうちょっとクリアになっていくのではないかと思います。 ○今野会長 結局、特定のセクターで非常に影響度が大きいので、それがどの程度であ るかを一応把握しておきたいという趣旨だと思います。 ○障害者雇用対策課長 具体的な業種別、あるいは企業規模別の数字を前提にしないと なかなか議論が進まないという点はご指摘のとおりだろうと思います。具体的にどこま で数字が出せるかどうかという点はありますが、今回の審議会の議論の中で、一連の全 体の研究会の議論をした後で、再度議論をしていただく場があろうかと思いますので、 そのときには資料という形で整理した上で、改めてご議論いただければと考えておりま す。 ○菊池委員 事務局にお伺いします。ニーズの分析の中で、重度の方が短時間労働を希 望している割合が多いというのは確かにそうかと思うのです。手帳の等級というのは、 必ずしも作業能力の重度とは関係しないということもあると思います。年齢との関係で、 高齢層になるほど、短時間労働を希望しているとか、その辺の年齢との分析をした結果 があれば状況を教えていただきたいと思います。 ○調査官 年齢との兼ね合いということですが、そういう切り口ではまだ分析ができて いません。実際我々が取りましたアンケート調査が年齢別にできるかどうかということ もいまはわかりませんので、我々としては可能な範囲で何ができるかということをよく 検討しながら、出せるものは皆様の前に明らかにしていきたいと思います。いまのとこ ろ明確なお答えができないというのが現状です。 ○菊池委員 わかりました。 ○今野会長 いままでの議論ですと、こういう方向で行ってもいいぞ、ということにつ いては新たな合意ができている。ただ、猶予期間の問題は少し考えようというのが論点 として残っているという感じの議論の状況になっています。 ○新澤委員 中小企業のほうですが、このような問題は我々中小企業者は接点といいま すか、境目で50何人ということでいままではゼロだったのが、これからは1になるとか、 あるいは2になるという問題が出てくると思います。全くそういう心得がなかったので、 そういう受入れ態勢をまず認識するということ。  結果的には、案外いいほうへ行くというか、簡単にいくかもしれませんが、そういう 面でみんなに認識してもらうのにどのぐらい時間があるか。過去に大企業がやったとき にどうだったか、ということなども我々中小企業に多少参考になるかと思いますので、 そういうことを気持の上で今後我々も折に触れ新しい場に出た場合、こういう問題で聞 かれることがあろうかと思いますので、むしろ教えていただければと思います。 ○障害者雇用対策課長 過去の経過措置のもちかたですが、基本的には先ほど部長から ご説明したとおり、法律ができて、その翌年4月が難しいものについてはその翌年とい うことで、2年弱の猶予を持っているケースが多いと思っております。  過去はどういう形で措置を講じたかという辺りについては、次回あるいは次々回辺り のしかるべきタイミングで資料の整理をして、猶予期間の持ち方ということでご提示し た上でご議論いただきたいと思います。 ○長谷川委員 もし間違えていたら間違っていると言ってください。短時間労働者をカ ウントするのはいいと思う一方で、短時間のところだけにシフトするという心配はしな くてもいいのか。企業が、20〜30時間を管理するということなので、障害者をそっちの ほうだけにシフトすることは考えられるのかどうか、それだけお聞きしておきます。 ○高齢・障害者雇用対策部長 企業側の行動をどう考えるかということですが、いまで も雇用保険の適用関係で一般被保険者、要するに30時間以上はカウントしていますし、 それ未満はカウントしないということになっています。心配の趣旨が、障害者を正規雇 用ではなくて、非正規雇用にするのではないかということであるとすれば、実はいまも 雇用保険の適用関係においては30時間以上であれば、正規であるか非正規であるかとい うことについては考慮しない状況になっています。  したがって、今回の改正で、障害者を非正規のほうにということにはならないだろう と。いまでもそうなっているというのは言い方が悪いのですが、そこは時間という観念 でやっています。そういう中で、それぞれの障害者の能力等に応じて適切な処遇をして ください、ということに私どもの立場はなっていると思っています。  もう1つは、いままで32時間とか34時間の方を、あえて企業が28時間とか22時間とか にするかということを考えた場合に、これはカウントの方法を30時間を切った場合には 0.5カウントということを提案しているわけです。逆に32時間であれば1カウントになる のを、わざわざ28時間にすれば0.5カウントになって、障害者は2人になります。 障害者によって、それぞれ配慮する事項が違ったりしますので、そういう中であえて32 時間を28時間にして0.5カウントにするというのは、企業の側からするとかえって面倒 くさいことになるのではないか。むしろ、それは28時間の人を32時間にして1カウント にするというふうにインセンティブとしては働くのではないか。  ただ、18時間とか16時間働きたいという人を、20時間以上にしたがるインセンティブ がもしかしたらあるかもしれませんが、そこのところをどこまで心配するかということ だろうと思います。いまは、少なくとも20時間から30時間というところの企業側のイン センティブがないのをしていくということであります。そこは、私どもとしては障害者 のそれぞれの希望に応じた雇用機会の確保にはつながりますけれども、企業側が短時間 へというインセンティブというのは基本的にはないのではないかと私どもは考えており ます。 ○長谷川委員 私が若いころ、障害者と一緒に働いたことがあります。そのときの彼女 と彼はフルタイマーだったので、それを見ていてすごくきつそうだということもありま した。フルで働ける人もいるし、フルでなくてハーフぐらいの人もいるのだろうと。ま して障害者の前回の法改正のことがあって、福祉から労働をというふうになりましたけ れども、障害者が実際の職場に入ってきたときに、必ずしもフルだけではうまくいかな いだろう。そういう意味では、ハーフとフルを組み合わせていくと、働くほうも受け入 れる側も、企業も一緒に働く労働者もいろいろな合意形成の仕方があるのではないかと 思うのです。  ただ、こういう制度ができると、制度がよく進んでいるときはいいのだけれども、制 度が変な方向へ進むときもあるので、その辺は使用者のほうも納得し、それから障害者 も納得して、これだと障害者が職場へ行ける、働けるということにつながるのではない かということが合意できればいいのではないかと思うのです。  私はこれでいいと思うのですけれども、フルではきついと言っていた人もいるわけで すが、働きたいという希望の人もいるわけです。その辺で障害者と企業のところが、こ れでやってみましょうという合意形成ができればいいかと思います。 ○岩村委員 本日報告書が出ている研究会の座長をやっていた関係で若干コメントをさ せていただきます。先ほど菊池委員が触れられた、例えば高齢者のニーズはどうかとい うことです。事務局からもお答えいただいたように、派遣については今回調査をやって、 そこで年齢で取っているからわかります。パートについては、既存の調査を使ったので、 年齢がどうなっているかというところまでは事務局のほうで調べていただかないとわか りません。  ただ、本日出ている報告書本体の3の4頁で書かせていただきましたけれども、障害者 についても今後高齢化の問題があるので、今回短時間労働の問題を考えるに当たっても、 いま実際に働いている障害者の加齢に伴う問題と、それで短時間労働へのニーズもあり 得るでしょうというスタンスで報告書のほうでは書かせていただいているということで ご理解いただきたいと思います。  長谷川委員がおっしゃるように、研究会の場でも、フルタイムからパートへの代替と いう問題が起きるのではないかということも議論されました。1つは部長が答えたよう に、実際問題として今回短時間労働でもカウントされるのが0.5にとどまるということ ですので、その面からすると代替ということがそれほど起きるかというと、そうまでは いかないのではないかということが1つです。  短時間雇用であれば、就労可能な障害者のニーズというのは拾い上げていかなければ いけないでしょう。いろいろ非難はあるにしても、支援費にしても、自立支援にしても、 制度が切り替わったことによって潜在的需要がものすごい勢いで起きたということもあ ります。短時間労働が0.5でカウントされるということで、企業の側にもインセンティ ブが働き、それが他方でいままで仕事の場に必ずしもうまく出てくることのできなかっ た障害者のニーズも満たすという形で、障害者の仕事の場が広がるということを考えて います。  正規からパートへの代替の問題というのは、より一般的なパートの労働の問題の政策 の枠の中で議論していただいたほうが適切だろうというのが私ども研究会でのスタンス だったと思います。  施行の問題は確かに非常に微妙で、これも研究会でかなり議論させていただきました。 一方で、やる以上はある意味でパブリックポリシーですので、断固としてやらなくては いけないという部分もあり、課長が言ったように他方で企業の実情、あるいは中小企業 の実情等があるので、そこでどう折り合いを付けるかという話だと思います。  研究会報告では、そこまで踏み込んではおりませんし、むしろこの分科会において、 障害者団体も含めて労使で意見を詰めていただいて、しかるべく適切な措置と実施時期 をご検討いただくということだろうと考えております。 ○今野会長 ほかにはよろしいでしょうか。 (特に発言なし) ○今野会長 特にないようですので、もう1つの議題であります[2]「障害者の派遣労働 及び紹介予定派遣について」事務局から説明をお願いいたします。 ○調査官 議論[2]の論点であります、「障害者の派遣労働及び紹介予定派遣について」 資料2-1に基づいてご説明させていただきます。障害者のみならず、労働者派遣制度全 般の現状についてご説明いたします。  最初のグラフは、労働者派遣制度の現状です。派遣労働者数と常用換算の派遣労働者 数について、平成8年度から平成17年度までの数字が出ております。いずれも増加の傾 向にあり、派遣労働者数では255万人、常用換算いたしますと124万人の方々がいまこ の制度を活用して働いています。  実際に労働者の派遣事業という制度はどうなっているのか、ということについて若干 触れさせていただきます。労働者の派遣と申しますのは、自己の雇用する労働者を、他 人の指揮命令を受けて、当該他人のための労働に従事させることであります。ここに3 つの枠が出ております。派遣先と、派遣元事業主と、派遣労働者という形で出ておりま すが、派遣元事業主と派遣労働者の間に雇用関係があります。逆に、派遣労働者と派遣 先の間には指揮命令関係があります。派遣元事業主と派遣先の間には労働者の派遣契約 がある、という基本的な枠組みとなっております。  2番目は、制度の中には適用除外業務があります。港湾運送業務、建設業務、警備業 務については労働者派遣事業を行うことができないといったルールがあります。  3番目は、許可・届出制です。これも労働者派遣事業の特色となっていて、特定労働 者派遣事業、これは派遣労働者が常用雇用の労働者のみであるといった場合については 届出制となっています。また一般労働者派遣、これはいわゆる労働者派遣の中の登録型 というものです。実際に労働者を派遣できるタイミングについてのみ雇用関係を結ぶと いうタイプのもので、これは許可制になっております。  現状ですが、登録型の一般労働者派遣事業については2万3,000事業所、特定の労働者 派遣事業については3万5,000事業所余りで、先ほど申し上げましたように、約255万人 が働いているという状況です。  4番目は、労働者派遣契約です。契約の内容は、派遣元事業主と派遣先との間で、業 務の内容であるとか、派遣就業の場所、期間等の一定事項を定めることとなっておりま す。その上、特定行為の禁止ということで、契約の締結に際し、派遣先が面接、履歴書 の送付を受ける等の、派遣労働者を特定する目的のための行為は禁止されています。  派遣受入期間の制限があります。派遣先が同一の業務に派遣を受け入れることができ る期間は、原則として最長3年に定められています。なお、派遣受入期間の制限のない 業務もあります。ソフトウェア開発等の政令で定める「26業務」等についてはその制限 がない形になっております。  6番目は、雇用契約の申込義務という規定があります。例えば、派遣受入期間の制限 のある業務について、派遣受入期間の制限への抵触日以降も、派遣労働者を使用すると いった場合、イにあるように派遣受入期間の制限のない業務について、同一の業務に、 同一の労働者を3年を超えて受け入れており、その同一の業務に新たに労働者を雇い入 れようとするような場合については、雇用契約の申込義務が派遣先に課せられます。  次の頁は、紹介予定派遣、派遣元事業主の講ずべき措置、派遣先の講ずべき措置が書 かれています。そのうち、派遣元事業主と派遣先の講ずべき措置について、その次の別 紙1についてまとめてみましたのでご説明いたします。  派遣元事業主、派遣先それぞれ派遣労働の場合には指揮命令関係と雇用関係が分かれ ていますので、労働者保護のためのさまざまな法律において、それぞれ派遣元と派遣先 に、いろいろな形で配慮等の義務が課せられているところです。それをまとめたのが別 紙1です。  1番目の就業条件の明確化及び確保という観点では、いろいろなものが派遣元、それ から派遣先にそれぞれ課されているわけです。それぞれ課されているようなものもあれ ば、両方に課されているもの、ウエイトを置いて課されているものがあろうかと思って います。  次の頁においては、労働基準法、労働安全衛生法等の義務についても、派遣元、派遣 先において分担がなされています。それぞれ相手側は労働者ですが、それぞれの項目に ついて分担がなされている状況になっています。  また、こういったことの基本的な考え方については次の頁に記しております。派遣労 働者に係る労働基準法等の適用に関する特例についての基本原則ということで、このよ うな原則に基づいて分担がなされているということです。[1]は、一定の基本規定につい ては、派遣元の使用者だけではなく、派遣先の使用者も労働基準法上の使用者として適 用するといったこと。[2]は、労働時間、休憩、休日等の労働者の具体的就業に関する事 項についての枠組みの設定に関しては派遣元の使用者が、具体的な運用については派遣 先の使用者が責任を負うこととしていること。[3]は、安全衛生に関する事項については、 作業環境の重要な要素である設備等の設置・管理は、業務遂行上の具体的指揮命令に関 係することから、原則として派遣先の事業主が措置義務を負うものである。ただし、一 般健康診断等の雇用期間中継続的に行うべき事項については派遣元の事業主に措置義務 を負わせることとしている等です。こういった原則があるということです。  別紙2は、先ほど触れました紹介予定派遣の仕組みです。紹介予定派遣と申しますの は、労働者派遣のうち、派遣元事業主が派遣労働者・派遣先に対して職業紹介を行うこ と、あるいは行うことを予定しているものをいいます。  左側の円の中に、労働者派遣の三角関係が出ています。プレーヤーは三者です。派遣 元事業主と、派遣先と、派遣労働者です。先ほどご説明いたしましたように、派遣元事 業主と派遣労働者の間には雇用関係が、派遣労働者と派遣先の間には指揮命令関係が、 派遣元事業主と派遣先の間には労働者の派遣契約がという形で、三者がそれぞれ関係を 持っています。  これが紹介予定派遣によると、派遣期間を6カ月以内ということで、その間に派遣労 働者、派遣先に対して職業紹介を行うことにより、直接雇用に移行していく、あるいは 可能性があるというものとなります。直接雇用の関係で、派遣先が雇用主ということで、 労働者との間に雇用関係を結ぶという形になっていくわけです。  実績のところを見ますと、紹介予定派遣で派遣された労働者数は大体3万3,000人とい うことで、これも非常に高い伸びを示しています。紹介予定派遣で、職業紹介を経て直 接雇用になったのが2万人余りということで、これも非常に増えているということです。 いずれにしても、こういう紹介予定派遣の仕組みを障害者雇用の分野にも活用できない かという問題意識の下、研究会でもご議論をお願いしたものです。  派遣労働の現状についてはこのぐらいにして、次は資料2-2で、現状の雇用率制度に おいて、障害者の派遣労働がどのように適用されているのかについてご説明いたします。  1番目の○は、障害者雇用促進法において、常用労働者を雇用する事業主に雇用義務 を課しているということが原則となっています。  2番目の○は労働者派遣の場合は、雇用契約があるのは、派遣元事業主と派遣労働者 との間です。したがって、雇用義務については常用労働者を雇用した場合に、派遣労働 者を雇用する派遣元事業主に対して雇用義務が課されている、というのが現状の制度に なっています。  3番目の○で、雇用率算定上の扱いについては、常用労働者である派遣労働者につい ては、派遣元事業主の雇用義務障害者数の算定基礎、いわゆる分母ですけれども、こち らに算入されることとなります。一方で、障害者である派遣労働者、常用労働者の場合 は、派遣元事業主の雇用障害者数、分子の中に算入されることとなっています。いずれ も派遣元事業主のほうに計算されるという制度となっております。  こうした中、私どものほうで障害者の派遣労働をめぐる現状についてアンケート調査 等を行いました。その抜粋が資料2-3です。障害者の雇用状況と回答事業主における障 害者雇用状況の比較の表をご覧ください。2番目の列の全産業と申しますのは、平成18 年度の「障害者雇用状況報告」による数字です。回答事業主の結果についてはその次の 列で、実雇用率としては0.93%、達成企業の割合は22.8%でした。派遣労働者以外の雇 用率の状況は1.74%で、派遣労働者の状況は0.35%というところでした。派遣スタッフ の部分の実雇用率が非常に低い数字になっております。その雇用者数としても極めて派 遣スタッフのほうが少ないということが言えようかと思います。  下の円グラフについては、障害者である派遣労働者の障害種別内訳です。その少ない 中で、どういう障害者が派遣労働で働いているのかということについて調べました。基 本的には身体障害者が多く、内容的には下肢機能の方が多いといった姿が見て取れる結 果となりました。  次の頁は、障害者の派遣事業における、障害者である派遣労働者の派遣状況です。派 遣元事業主について、障害者の派遣の有無について尋ねたところ、あるという答えをい ただいたのは大体26%、逆に派遣先のほうで受入れの有無について答えを求めたところ 大体20%という結果となっております。  一方で派遣先に、今後障害者の派遣受入れについて活用するかということについて尋 ねたところ、あると答えた所が29%、派遣先に対する何らかの支援があれば活用すると いった所が12%ほどあるということで、やや積極的な回答が返ってきているということ です。  この辺りをまとめますと、派遣労働で働いている障害者というのは極めて少ない、と いう状況ではありますけれども、派遣元、派遣先でも実績が若干あり、ニーズは一定程 度あるのかといったことで、研究会の報告書では報告をいただいているところです。  こういう状況ですけれども、次に、障害者である派遣労働者に対する配慮等の考え方 についてもアンケートを取っています。派遣元事業主と派遣先の役割分担について、派 遣元事業主、派遣先それぞれについて、障害者に対する配慮を聞いてみました。いずれ も若干派遣元のほうがこういう傾向の答えは多いわけですが、派遣元事業主と派遣先が それぞれ分担して行っていくべきとするものが80%を超えている状況にあります。  また、雇用義務・カウントについては若干派遣元と派遣先に差があります。派遣元事 業主においては、現在のままでいいと回答している所が11%。派遣元事業主と派遣先の 分担を考慮し、双方と答えている所が大体66%。派遣先と答えている所が20%となって おります。  派遣先については、現在のままでいいという所が、やや派遣元事業主よりも多い一方 で、全体として回答の傾向は似ているのですけれども、派遣元事業主と派遣先の分担を 考慮して双方と言っている所も、やや派遣元事業主と比較して少ない。ただ、派遣先と 言っている所については、大体同じぐらいの割合ということとなっております。  実際の障害者への配慮等についてどういうものが必要かについても聞いております。 障害者が派遣労働で働きやすくするために重要な事項という形で、派遣元事業主、派遣 先という形で聞かせていただきました。いずれも真ん中の濃い棒グラフのところに出て いるような事項、例えば派遣先による障害者に適する職務の創出、職務の再設計。派遣 先による施設や設備等の整備。派遣先による雇用管理に関するノウハウや職場の上司や 同僚の理解等受入れ態勢の整備などについて、回答をいただく割合が非常に高かったと いうことが言えようかと思います。  その一方で、派遣先については、本来これは派遣元事業主の役割でありますけれども、 派遣元事業主による教育訓練の充実を望む声も多かったということが特色として言えよ うかと思います。  最後に障害者のほうの回答です。派遣元事業主において、あるいは派遣先に応じて改 善などが必要な事項として出てまいりましたのが、派遣元についても、派遣先において も自分に合った仕事の設定が非常に多かったということ。もう1つは、派遣先において 特に望まれているのが、派遣先の社員の理解の向上や、社員間の円滑なコミュニケーシ ョンなど受入れ態勢の整備といったところの回答をする方の割合が多かったということ が言えようかと思います。  障害者の紹介予定派遣に関する考え方については、次の頁で調査の結果を報告してお ります。紹介予定派遣の実施・活用状況について、障害者の場合は派遣元事業主、派遣 先で実施したことがある、活用したことがあると答えていただいた方々は非常に少ない。 どちらかというと、実施したことがない、あるいは障害者である派遣労働者がいない。 活用したことがないという所が圧倒的でした。  しかしながら、紹介予定派遣の実施・活用予定を見ますと、若干予定がある、あるい は活用予定があるといったことを回答してくる割合が高くなってまいります。また、支 援策がある場合となるとニーズが増すとか、活用意向といったことも出てくるという状 況です。現在においては、意向としても割合が少ないという状況ですが、うまく支援策 とニーズを絡み合わせることができれば、ニーズや活用意向も増してくるといった結果 が出てきております。  資料2-4は、研究会の報告書を踏まえた具体的な対応案について記しております。障 害者の派遣労働に対する障害者雇用率制度の適用についてです。個々の企業においての 制度ですが、派遣元事業主、現行は法定雇用障害者数、これは内勤の労働者数に派遣労 働者数を加え、現在は法定雇用率1.8%ですのでこれを掛け算したものです。全体の枠 組みの、法定雇用障害者数の出し方です。  実雇用率の数え方は、分母に内勤の労働者数と派遣労働者数を足し、分子に内勤の障 害者数と派遣労働の障害者数を足したもので実雇用率を算出しております。  見直し案ですが、法定雇用障害者数の出し方は現行どおりといたしまして、実雇用率 の出し方については、内勤の労働者数と派遣労働者数を分母に、内勤の障害者数と派遣 労働の障害者数に0.5を掛けた数字を分子としていただくという案を研究会からご提案 いただいております。具体的な違いは、派遣労働の障害者数を分子で、評価するときに 見直し案のほうは0.5が掛かっていくというものです。  一方で派遣先のほうは、現行においては法定雇用の障害者数については、直接雇用の 労働者数に1.8%を掛けたものです。実雇用率は、直接雇用の労働者数を分母に、直接 雇用の障害者数を分子とするものです。  見直し案については、法定雇用の障害者数を現行どおりとし、実雇用率の数え方は、 分母は直接雇用の労働者数ということで変わりはありませんが、分子については直接雇 用の障害者数に新たに派遣労働の障害者数に0.5を掛けた数字を加えた形になっており、 派遣労働の障害者数×0.5の部分が変更になったところです。いわばもともと派遣元に あった派遣労働の障害者数の評価の部分、これは1と評価していたものを派遣元と派遣 先に分けたものです。  この趣旨ですが、一定の派遣労働に対するニーズ等がある中で、派遣労働がなかなか 進んでいないという状況、このことは裏を返せば派遣労働を希望する障害者がいる場合 に、派遣労働によってはなかなか受入れが進まないということもありますので、このよ うな工夫をしてみてはということで報告書にまとめさせていただきました。  次の参考の頁ですが、障害者の派遣労働に対する障害者雇用率制度の適用の具体例と して、ある派遣元事業主を想定しました。これは内勤400人で、派遣労働者1,000人のケ ースを想定して、この派遣労働者1,000人、うち障害者は10人いることを想定して、派 遣先A、B、Cのそれぞれの会社に労働者を派遣する、障害者も派遣するといったケース の雇用率のカウントの変化について表したものです。  まず派遣先Aですが、A、B、Cの中ではいちばん派遣労働者の割合の低い所です。この うち割合として、障害者100人のうち1人が派遣労働者として派遣されているということ を想定した場合に、法定雇用の障害者数は労働者900人に対して1.8%がかかってくる一 方で、実雇用率のカウントは、もともといる障害者a人に加えて、1人派遣労働者がまい りましたので、1人×0.5というカウントになります。一方、300人の派遣労働者の、派 遣を受けている派遣先Bについては、労働者700人ということですので、法定雇用の障害 者数は700×1.8%と12人ということになります。  一方、実雇用率のカウントについては、もともと労働者の中にいるb人に加えて、派 遣障害者は100人当たり1人ですので3×0.5の1.5分が加わることになります。  Cはいちばん派遣労働者が多いところですが、同様の計算をして、法定雇用障害者数 は変わらないとして、実雇用率のカウントについて、労働者cと派遣労働者の分×0.5 の部分が加わります。派遣労働者が障害者を受け入れれば、受け入れていくほど法定雇 用の障害者数で、分母が増加することがなく、実雇用率が改善できる形になっています。  次の頁ですが、先ほど派遣元事業主と派遣先の障害者に対する配慮に関する役割の分 担について、派遣法等にいろいろな形で示されていると申し上げました。障害者が派遣 労働という形で安心して働いていただけるようにするという観点から、やはり障害者の 雇用管理に関する事項について、派遣元事業主は雇用関係があり、派遣先においては指 揮命令関係があります。このいずれかにおいて配慮するのか、あるいは両方において配 慮するのか、役割分担を障害者の場合についても明確化しておくことが必要だろうと見 ております。  このような場合に障害者雇用対策基本方針、これは障害者雇用促進法の7条において、 厚労大臣が定めることにされていますが、その中で事業主が行うべき雇用管理に関して 指針となるような事項が掲げられています。具体的には配置、教育訓練の実施、安全・ 健康の確保など諸々のことが書かれています。これは次の頁以降に現在どういった形で 告示がなされているかについても出しておりますので、ご参考にしていただければと思 います。  また先ほどご説明したとおり、労働者派遣法等においても、派遣元事業主と派遣先の 義務が出ております。これも参考にしながら、障害者の雇用管理に関し、配慮すべき事 項とか、派遣元事業主及び派遣先の役割分担について検討を行っていくこととすること にしたいと考えております。  最後に2枚めくり、障害者の派遣労働及び紹介予定派遣について、研究会の報告書の 抜粋についてご覧いただきたいと思います。概要はこういったところですが、ポイント として最後に残っております次の頁の6の「障害者雇用における紹介予定派遣の活用」 について、どのようなことが書かれているかを説明しますと、紹介予定派遣については、 まだほとんど実績がない状況の中で、今後はまず、障害者雇用促進のモデルを確立して いくことが重要であろう。モデルが確立するための一定期間については、支援体制や相 談体制の整備等を行いながら、障害者に係る紹介予定派遣を実施する派遣元事業主に対 して、一定の助成措置を講じていくこと等の支援策について検討を進める必要がある、 という形で研究会においてはまとめられているところです。以上、障害者の派遣労働及 び紹介予定派遣についてのご説明です。 ○今野会長 それでは、いまの説明についてご意見を伺います。いかがでしょうか。 ○大島委員 障害者の派遣労働についてですが、障害者である派遣労働者のカウントに ついては、受け入れている事業所が、障害者雇用に関するコストをソフト面、ハード面 ともに担っていますので、障害者を持つ派遣労働者を受け入れている事業所も雇用率に 含めるというのは、非常に有効だと思います。  もう1つの障害者の紹介予定派遣についてですが、報告書にあるとおり、一定の派遣 期間を設けることで企業は障害者の特性、能力等を見極めることができるためというの も、非常に有効な手段になり得ると考えます。ただし、実際に実施に当たっては事業主 に対する一定の助成などの支援策や、紹介予定派遣から直接雇用に移行するに当たって、 派遣会社のメリットになるような施策を打たないと、直接雇用に移行するのはなかなか 進まないのかとも思っています。それでは具体的にどういう施策だというのは、いま考 えつかないのですが。 ○今野会長 いまのお話は今日の資料だと資料2−4にあって、0.5ずつ割りましょうと いう話で、「まあ、いいんじゃない」というのですかね。 ○長谷川委員 本当にそう思いますか。障害者を労働者として受け入れる企業は、よほ どメリットがなければ受け入れないのではないかと思います。ですから、企業の人がそ れでいいと言うのですから、ことさらこだわる必要はないと思いますが。私は派遣会社 は派遣先がよほど障害者を受け入れるメリットがない限り、障害者は受け入れないと思 います。派遣先が、私の所もやはり障害者雇用をしなければいけないから、障害者を受 け入れるようにということで、派遣会社に障害者を積極的に雇いたいというメッセージ が発せられて障害者の派遣が成立するのではないかと思います。  例えば、企業が障害者はコストもかかるし、いろいろなことがあって嫌だというとき に、いくら派遣元が障害者を派遣で受け入れてくれと言っても、派遣先は嫌だと言うの ではないかと思いますが、そのほうがいいというのはちょっとびっくりしたのです。私 は今回の研究会報告に基づいて作った「参考」で、0.5、0.5というのは、ある意味では この計算方式に納得していないのです。派遣労働者について、派遣先の分母と分子にも ちゃんとかかわってくる。だから、分子も分母もちゃんとしておかなければいけない。 派遣元は、もともと紹介ですから、そもそも派遣労働者などはいないわけですから、こ ちらからこちらに紹介できるだけの話なのだから、内勤のところでは実雇用率6.5だと しても、派遣労働者のところに0.5をカウントするのかなというのは、不思議なプラス 式だなと思って、私は納得していないのです。派遣先のところも、必ずしも分母と分子 にかかわっているわけではなく、基本的には常用労働者であろうが派遣労働者であろう が、分母と分子にちゃんと掛けて企業に障害者の雇用を促していくような施策が必要な のではないかと思います。何となくこの数式を納得していないのです。障害者たちはこ れでどうなのかなと思います。ですから、もう少しこの辺は「派遣先の企業はどう思っ ているのか」と聞きたいし、派遣会社はこれがいちばんいいことだと言うに決まってい るのです。  障害者たちも、これで本当に障害者雇用が進むと思うのか、その辺を聞きたいのです。 私の頭が柔軟ではないのか、どうなのか、何となく分母、分子にかからないやり方はい かがなものかと思います。 ○新澤委員 その関連ですが、私どもは福島県郡山の食品工業団地という所にいますが、 今から30年ほど前の昭和51年に創業したのです。当時は非常に雇用情勢が悪かったので す。ハローワークにお願いすると、「こういう方がいますよ」ということで障害者の紹 介がありました。各社何名かずつ雇ったのですが、それがそれなりに非常にいい面があ りました。現在も多少なりとも続いています。  派遣先と派遣元に出てきた問題はどうして出てきたのか。今後そういうことで奨励金 が出るとか、出ないとかということによると、雇う側から見ると、多少問題点というか、 仕事上はよかったこともあったのですが、仲間との問題は若干尾を引いています。そう いう場合にカウントが多ければいいのかなと雇う側から見れば思いますので、一言お話 しました。 ○今野会長 長谷川委員が言われた最初のところは私はわかりにくかったのです。0.5、 0.5で割っているというのは受入れ先というか派遣先に対してインセンティブを与えよ うという趣旨だと思いますが、そんなインセンティブでは足りない。それは0.5、0.5 ではなく、0.2、0.8という趣旨で1.0、長谷川委員が言われるのは1.0かもしれません。 1.0でインセンティブを付けて、その1.0は分母にも持ってこいという趣旨ですか。ち ょっとインセンティブは落ちますよね。0.5のほうがインセンティブは大きい、分母が ないから。 ○長谷川委員 障害者に少し教えてほしいのですが、障害者団体にも「私たちが職業紹 介をやりましょうか、ハローワークよりいいのですよ」という営業が入っていると聞い ているのです。おそらく企業は1.8を何とかしなければいけないのです。1.8を何とかし なければいけない、どういう所から労働者を見つけてくるかというときに、ハローワー クという方法もあるでしょうし、派遣会社からもあるだろうし、別の方法もあると思い ます。企業がとにかく1.8をどうやって達成させるかで、その方法はいっぱいあるでし ょう。もともと派遣会社は手数料を30とか、32取っているわけですから、それで事業が 成り立っているわけです。派遣先にニーズがなければそんなことはありうるはずがない と思います。だから、派遣先がもっと障害者を雇わなければと追い込まれてくれば、CSR なんかでも1.8ないとまずいなと思うようになってくれば、いろいろな方法で労働者を 確保するのだと思います。そのときに、なぜ派遣元に0.5をやらなければいけないかと いうのは、何となく納得できなくて、よく0.5、0.5でというのは。  私が気になっているのは内勤のところに、ちゃんと1.8をきっちり確保する。スター トのところは派遣元、派遣先のほうでカウントしてあったほうがいいのではないかと思 ったのです。でもいろいろな意見があったのでしょうから。私はそう思っただけですか ら、皆さんが「いや、そうではないよ。もっとインセンティブを与えるためには0.5と 0.5が必要だ」と言うのだったら、私がそうだなと思うようなことを聞かせてください。 そうでなければこの数式は全然納得できない感じです。 ○高齢者・障害者雇用対策部長 いま長谷川委員がインセンティブのほうだけを言われ たのですが、分母をどうするかという問題と、分子をどうするかという問題で、長谷川 委員の意見は分母も派遣先へ持っていくという話だとすると、分母を持っていくという のは、実はインセンティブを持っていくのではなくて、義務を持っていくということで す。  この例でいくと、例えば、資料2−4の2枚目の派遣先Cというのは、自分の直営労働者 が400人で、派遣労働者600人を受け入れている所が、法定雇用率は400×1.8ですが、い まの長谷川委員のご意見では1,000×1.8になりますから、義務数がもともと増えるわけ です。そうするとインセンティブの問題ではなくて、義務ごと派遣先へ持っていくとい うことなのです。その考え方もあるとは思うのですが、派遣を受け入れていれば障害者 雇用の義務数が増えるということまでやるかどうかということです。そこを動かすかど うかというのは、研究会でも議論になったのは事実です。労働者を雇っていること自体 は派遣元なので、そこを動かすのはどうかというご意見もあって、そこは動かさないで ということで、インセンティブだけを移す。インセンティブを移す場合に1丸ごと移す か、0.5移すかという議論があって、その際に1全部を移すと、今度は派遣元からすると、 いくら派遣しても自分の所の実雇用率は上がらないのです。内勤スタッフの率は一応400 と1,000にしていますが、普通は400もいないで、派遣元からすると、義務を持っていか ないで実雇用率の計算のほうだけ1持っていかれてしまったら、達成不可能に近くなる 実情だと思います。それでも全体を併せて考えた場合に、どうするかということで、1つ の案として研究会ではまとめています。  もちろん長谷川委員が言っているようなご意見もありましたし、別のご意見もあった 中で、一応1つの案としてまとまったのです。言いたいことは、義務を持っていくかど うかという議論と、インセンティブをどうするかという部分と2つ一緒に考えていただ かなければ派遣の問題は解決しないと思っています。 ○長谷川委員 派遣先Cだと、400の1.8が法定雇用率で、結果的に派遣c+で6×0.5です が、結果的には本当は、そこの事業所の労働者で働いている労働者の数は400+600なの です。だから、400の1.8と400+600の1.8では、本当は障害者を雇用する実際数は多く なるわけです。私は少し正義感を振りかざすと、400+600の1.8のほうは障害者を雇用 する数は多くなるでしょうと。そうしたら企業はそこに努力しなければいけなくなるわ けですから、障害者の雇用は進むのではないですかと、非常に単純なところで言ったの ですが、結果的に400の1.8そのものは変わらなくて、それを派遣から持ってきた場合に、 実際は事業所で1,000人働いているのですが、常用労働者の400だけでやりましょうとい う発想です。いま障害者雇用は進むかもしれません。ただ、障害者全体の雇用数は増え ません。 ○高齢者・障害者雇用対策部長 全体の雇用義務数は、派遣元に付けたのか、派遣先に 付けてあるかで、マクロで見た全体の労働者数と障害者で期待される部分の率は書いて ないのです。それを派遣元に付けるか、派遣先に付けるかいうことだと思います。雇用 していない派遣先に義務を持っていくということまでするかどうか。そういう制度がな いわけではないとは思いますが、研究会の段階では雇用関係がない所に雇用義務を持っ ていくことまでするのはいかがかという議論だと理解しています。 ○岩村委員 いまの長谷川委員のご質問については、部長がお答えになったとおりだと 思います。結局インセンティブを派遣元にも持たせて、派遣先にも持たせないと、たぶ ん動かないのだろうというのが、研究会での1つの見方です。つまり、全部派遣先に持 っていってしまうと、確かに長谷川委員のおっしゃるような予定値的な考え方というの はあるかもしれませんが、派遣元について見ると、少なくとも派遣労働者で障害者を雇 用しようというインセンティブは雇用率制度の中ではなくなってしまうということなの です。それがまずいいかどうかというのが1つです。  もう1つは、分母をどうするかというのは、部長が言われたように、インセンティブ の問題ではなく、雇用義務を誰に負わせるかという話だと思います。雇用義務、つまり 障害者の雇用率制度の中での雇用義務というのが、長谷川委員が言われるようにある事 業所で働いている人、あるいはある企業の場所的な中で働いている人たちに対しての義 務だと考えるのか、それともその企業が雇っている人、雇用していることを指標にして 義務を考えているのか、という問題になります。これは実は障害者雇用率制度のあり方 そのものをどうするかというかなり根本的な問題になるのです。  長谷川委員の言われている見方というのは、雇用ということではなく、ある事業所な り何なりで、現に働いている人をベースにして雇用率の分母を考えましょうという話に なって、実はそうなってしまうと派遣とは必ずしも関係なく、事業所なら事業所の場所 で働いている人全部をつかまえてという話で、徹底して考えなければいけないというこ とになり、制度的には障害者雇用率の根本的な発想を変えるという大きな話だと思いま す。  他方でもう1つ問題になるのは、派遣の法制との調和をどう考えるかという問題があ って、派遣の場合は雇用関係があるのは派遣元との間であって、派遣先とはないという 現行法の派遣法制を前提にすると、派遣についてだけ雇用義務を派遣先に持ってきてし まうのは、現行の派遣法制との間での調和という点でも、かなり大きな問題になり、こ れも障害者雇用率制度の枠の中でだけでの議論ということには、つまり障害者雇用政策 の枠の中だけでの議論ということにはちょっとならないで、より大きな枠の話になるの ではないか。  もちろん、そういう大きな枠の話を、これは派遣そのものの話なので、そちらでやっ ていただく。つまり、ほかの義務も全部一体として含めて、派遣の問題として考えまし ょうというのであれば、それはそれとしてあると思うのですが、それはここで議論する 枠を大きく越えてしまうだろうと考えております。ですから、研究会報告では現行の派 遣法制、それから現行障害者雇用率の基本的な考え方に忠実でありつつ、かつ派遣元に もインセンティブを与え、他方で派遣先にもインセンティブを与えるというので、どう いう方策があるのか。そこをめぐっていろいろ議論をし、結果的には先ほど事務局から ご紹介があったように、分母は動かさずに分子のところで0.5、0.5とし、派遣に関して、 派遣元にも派遣先にも障害者雇用についてのインセンティブを持ってもらう、という考 え方に至ったということです。長谷川委員がおっしゃるのは確かに建前としてというか、 議論はあるとは思うのですが、いろいろな現行法の枠の中で何ができるかという範囲で 考えたときの1つの議論として今日の提案というか、本研究会報告があるということで ご理解いたただければと思います。  先ほど部長からご紹介があったように、研究会の中で、ここに達するまでにいろいろ な議論があったことは確かで、長谷川委員がおっしゃるような考え方も議論されたこと も確かですが、それも踏まえた上での今日のこの研究会報告での説明だとご理解いただ ければと思います。 ○新澤委員 私は我田引水的なことを言いましたが、話はわかりました。職員にこうい うことは理解してもらわなければならないので、健常者でもそういうことはあるのです から、先ほどの発言は取り消して、大いにそういうことを私どもは受け入れていきたい と思います。確かに契約問題もありますものね。 ○今野会長 長谷川委員、先ほど話がありましたが、インセンティブ効果を少し横に置 いておくと、マクロでいうと、法定雇用者数は普遍ですからね。それはいいですよね。 ○長谷川委員 はい。 ○今野会長 あそこをどこにくつ付けるかという話ですよね。 ○長谷川委員 岩村委員の今の話は派遣法の中で雇用者というのは派遣元ですねと。し たがって、法定雇用のところは、派遣元で分母を法定雇用率はとりましょうと。だから、 そこは派遣法の雇用者と派遣元が雇用主だというのは崩すことはできません。その上で そこまで崩すことになるのはそれはそのとおりでしょう。では、障害者雇用をどうやっ て促進していくのかというときに、雇用者に対して1.8、雇用主に対して1.8掛けるわけ だから、派遣元に1.8を掛けたのでは、なかなか進まないという現実の中でどうしまし ょうかと。もう1つ聞きたいのですが、共同化の責任みたいな概念を取り入れたという ことですか。 ○岩村委員 私の理解では、そこまでのものではないと考えています。雇用義務自体は 派遣元ですので、そういう意味では共同雇用責任とかということではなくて、むしろ先 ほど事務局からの紹介にもあったように、インセンティブ論だとお考えいただいたほう がいいと思います。  もう1つは、これは研究会でも議論したところですが、1つは派遣というので、まず障 害者雇用の道を開きたいという部分もあるのです。私ども研究会報告の中にも書いたこ とがあると思います。佐藤委員が前回ご指摘になったところですが、今まで障害雇用そ のものを今まで経験のない企業の方にも、派遣という形で障害者の雇用に取り組んでも らえるのではないか。そこから派遣に限らず、障害者雇用をより一般的に拡大していく 足掛かりができるのではないかという思いも、研究会報告の中ではあるのです。それが 雇用義務というよりは、インセンティブをどうやって与えるかというところで議論して いったとご理解いただければと思います。 ○長谷川委員 そのことは派遣法の中で最も重要なテーマだと思います。派遣元が雇用 主だという派遣の仕組みがあって、法定雇用率も400+1,000の1.8が派遣元にかかるわ けです。そのうちのこの派遣労働者について、派遣元と派遣先で0.5、0.5でどうするの かです。派遣先と派遣元が0.5、0.5というのは、派遣元と派遣先の責任分担ですが、例 えば、ちょっと別なことで言うと、ほかのいろいろな制度の中でも、理論的にそのよう にできると捉えてよろしいのでしょうか。 ○岩村委員 研究会の中でそこまでの議論はしておりません。では、一般の中にこれが どういう含意を持つかということについては、研究会では議論をしていなくて、あくま でも障害者雇用の促進という観点からの議論だけだ、と私は理解しています。  もう一点付け加えると、この新しい考え方で具体化すると、派遣先のインセンティブ でもあるのですが、派遣元に対しても、非常にインセンティブがかかるのです。という のは、今までだと、派遣労働者の中で障害者を1人雇えば1カウントでしたが、今度は0.5 しかカウントされないので、逆に派遣元企業には厳しくなるということも、視野に入れ てご議論いただければと思います。 ○今野会長 派遣会社に対してはインセンティブというか強制力ですね。 ○副島委員 私も詳しいところはよくわからないのですが、結局、障害者雇用の意識を 向上させるために、派遣労働によって障害者雇用をさらに広めていくというところが問 題ですよね。その点では、確かに言われるとおり、派遣元については厳しくなり、派遣 先にとっては有利と出てくるということだから、雇用については広がっていくとは思う のです。そういう面で、これはベストとは思えませんが、今の考え方がベターではない かと思います。  その中で少し懸念されるのは、直接雇用という最優先された義務、雇用のところの概 念が薄くなって、派遣雇用、派遣雇用というほうに流れてくることを止める方法を何か 考えておかなければいけないと思います。そういうところも実はこの下地の中にあって ほしいと思います。 ○今野会長 その点については研究会で何か議論がありましたか。 ○高齢・障害者雇用対策部長 明確に議論されたことはありませんが、0.5というのは、 ある意味ではいろいろな意味合いがあると思います。派遣先から見ると、雇用はしてい ないが、障害者の雇用としてカウントされる面もあります。  ただ、そうは言っても、1ではない。ですから、派遣で全部受け入れようとすると、自 分が雇用しているかではなくて、自分の職場で働いている障害者の数からすると、直接 雇用すれば10人なのに派遣で受けると20人になる、それぞれの障害の程度やタイプによ っていろいろ配慮事項が違う中で、雇用義務を負わないからといって、全部派遣ですと 言って、人数としては倍になるとということを企業の方が本当に思うかというと、そう ではないところがあります。やはりそこは今まで雇用していない所は、いろいろな形の 中で受け入れる部分もあれば、だからといって全部そちらへ流れていくわけでもないと いういろいろな意味の数字かなと思います。研究会の中で明確に議論したかどうかは別 にして、私はそのように受け取っています。全体の判断の中でいかがかということで出 てきているのではないかと思っています。 ○岩村委員 補足ですが、資料3に報告書があって、15頁の真ん中に6の障害者雇用にお ける紹介予定派遣の活用というのがありますが、その上に、研究会でも直接雇用が後退 することは困るということ自体の認識は一致していたと思います。ですから、ここでも、 こういう一文を入れさせていただいています。  補足しますと、そういう意味では0.5、0.5というのは、そういう意味も含んだ数字だ ということでご理解いただければと思います。  もう一点補足しますと、実際に派遣で障害者の雇用が広がるかどうかは、インセンテ ィブ論だけではいかないところがあって、派遣先で障害者を受け入れる体制が整えられ るかどうかも関係してきます。ですから、それもどこかに表現で入れたような気がしま すが、そこも意識はしていました。  逆にいうと、派遣をきっかけに派遣先が障害者雇用を受け入れるような環境を作って くれれば、それが今度は常用雇用なり、直接雇用につながっていく1つのきっかけにな りうることも期待しているとご理解いただければと思います。 ○長谷川委員 この参考の図解の中で、法定協力派遣元に内勤労働者と2人来たという わけですが、そのときの派遣労働者というのは、登録も常用も両方に入れるのかという 話と、派遣先でカウントする場合の派遣労働者というのは常用とか、登録とかに分けま せんね。 ○岩村委員 そこも事務局のほうで正確にお答えいただいたほうがいいと思います。 ○調査官 ただいまのご質問ですが、登録型の中でも、常用換算と呼ばれる概念が先ほ ど出てきましたが、過去に遡って、1年近く雇われているようなケースは常用とみなす ということで、これまで登録型の方であっても常用労働者と見て計算をしてきたところ がありますので、今後もそのような扱いにしていこうと考えております。 ○今野会長 よろしいですか。 ○輪島委員 確認ですが、岩村委員に伺いたいのは、私どもそういう議論の経過の中で、 資料2−4の2頁にある区分けをすると、派遣元の雇用のカウントは、ある意味で0.5泣い ているということなので、基本的にインセンティブだとはあまり思っていなくて、全体 の障害者雇用を進めるために派遣先にインセンティブがないといけないので、そのカウ ントを元でするよりも、先でカウントしたほうが雇用の促進が進むのではないかという 観点で、派遣先に0.5を分けるという意味合いだろうと思っており、あまり派遣元につ いてのインセンティブだというような考え方がなかったので、そういうことならばどう かということです。  2点目は、資料2−3のところに尽きるのだろうと思います。そもそもの原点は資料2 −3のいちばん上にあるように、全産業は1.52という実雇用率を持ってするが、派遣元 の会社は0.93だ。しかし、派遣労働者以外のいわゆる管理部門では1.74という実雇用率 を持っていますが、派遣スタッフのところでいうと0.35、1,000人に3.5人しかいないと いうことですから、実際に障害を持って派遣スタッフが派遣することが実際にはできな いので、トータル派遣元の実雇用率は0.93にしかならない。派遣元の雇用率をどうやっ て上げるのかということが一義的に必要な手立てなのではないか。そういう観点で議論 をしたと経過を認識しているということです。その点で岩村委員が先ほどご指摘になっ た点ですが、2−3で見ると、実態は1,000人に4人しかいない障害を持った派遣労働者の その下を見ると、身体中心であるということなので、制度上、資料2−4の2頁のように、 もしうまく制度上仕組めたとしても、実際として障害を持っている派遣スタッフが少な い。ですから、制度は派遣先にインセンティブを持つように作っても、実際にどのぐら い障害を持った派遣スタッフが、これから育成できるのかというのは、実態としてもな かなか難しいので、これから雇用を進めるという観点での実際論としては、これからど のぐらいそういうスタッフの育成が、もしくは開拓がされて、人材が発掘され、出てく るのかということに少し心配をしています。  私からの質問ですが、最終的に資料1−2で短時間労働の話があって、資料2−4で派遣 の話がありますが、これはそれぞれ別の議論をして、別に作ったわけです。ですから、 資料1−2と資料2−4は別の資料になっていますが、トータルで法律を施行したあと、企 業で実雇用率を計算するときには、資料1−2の下の実雇用率と資料2−4の右側の派遣先 の【見直し案】で両方で作らなければいけないはずなので、それがどうなるのかという のは、あまりよくわからないので、それは後ほど示していただきたいと思います。  ○岩村委員 私がお答えできる部分と、事務局にお答えいただかなければいけない部分 があったような気がします。まず最初のインセンティブ論のところですが、派遣元につ いてはご指摘のように、インセンティブ論というよりは、先ほど会長がおっしゃったし、 部長もおっしゃった義務論だとお考えいただいたほうが正しいだろうと思います。  もともとの議論の出発点はおっしゃるように資料2−3の最初の実雇用率の現況という ことで、特に派遣労働者が非常に少ないというところから出発しているというのも、そ のとおりだと思います。ただ、実際の議論としては、私の理解というか見方ですが、派 遣労働者のほうが少ないから何とかしよう、ということも出発点としてはあったとして も、報告書の中では、それ以外の障害者雇用全体をどうやって推進するのかという観点 からの議論ということで、ある程度書かせていただいているかと思っています。  ご指摘のように、確かに今までは派遣の場合は、身体障害者が中心になって、これか ら実際に派遣元に、さらに義務がより強くかかるという話になると、身体障害者以外で どれだけ障害者が派遣で出てきていただけるかということにもかかってくると思います が、それ自体についても一定の施策なり何なりが必要だろうとは思うわけです。例えば、 報告書の13頁の「今後の障害者雇用対策における派遣労働への対応」でも、派遣先と派 遣元で一定の役割分担などもしながら、その点についても検討しましょうということで 書かせていただいています。短時間と雇用、派遣の組合せがどうなのかということは、 事務局でお願いしたいと思います。  ○障害者雇用対策課長 短時間と派遣について、それぞれ別々の形を予定しております。 基本的には、いま申し上げたようなことをクロスさせるということで、実雇用率の算定 に当たっては派遣先については分子についてプラスになる、あるいは派遣元についても、 分子について0.5カウントということで、例えば重度の方はダブルカウントされますが、 それに対して0.5かかるという形です。  評価はかなり複雑になりますので、今回は別々の形で示しておりますが、全体をまと めるタイミングでは、全体がわかるような形に資料も含めて提出したいと考えておりま す。基本的な考え方での懸念は、パートについて派遣がなされている場合について、0.5 ×0.5で0.25になるのかということだろうと思います。基本的には研究会の決定として は、パートについて派遣がされれば、派遣先、派遣元で0.5カウント、0.5カウントで 0.25カウントずつになる、取扱いになるだろうと感じています。 ○輪島委員 もう一点だけ次回の議論の中に入れていただきたいのは、派遣の仕組みで 資料2−4の中のようなことを前提にしても、派遣先が要らないよというケースがあると 思うので、「要らないよ」と言ったときには。 ○今野会長 「要らないよ」などと言う会社はあるのですか。 ○輪島委員 あると聞いています。法定雇用率が達成しているので要らないと言う可能 性もあるので、そのときに選択肢を取り得るのかどうかということも含めてご検討いた だきたいと思います。 ○岩村委員 実益がよくわからないのです。 ○今野会長 先ほど輪島委員が言われたことと関連するのですが、全体の仕掛けが派遣 先にインセンティブを与えて、派遣先で障害者雇用を増やすという派遣重視がされる。 そうすると、派遣会社というのは、派遣先が欲しいと言えばどうにかするのではないか と思うのです。しかも派遣元は先ほどの強制がかかりますから、現状の段階では身体中 心の人になっていますが、ものすごく広がってくる。違う障害の人にも広がっていくと いうことはシナリオとしてはバックにはあるのではないかというのは私は認識をしてい ます。  そのときに輪島さんがおっしゃられたように、派遣会社がそれに対応するためのスタ ッフ育成が非常に大きなネックになるということであれば、そこを分析し対策を考える ことになると思います。全体のシナリオとしてはそういうことがないと理解しています。 ○泉田委員 初めてなのでなかなか理解が進まないのですが、もともと法定雇用障害者 数括弧の中や、例えば、今の話ですと、内勤の障害者数と、派遣労働者の障害者数を0.5 にして、それを分母で割ってということですので、極端にいえば、やり方は派遣労働者 の障害者ではなく、内勤の障害者数を増やしてもいいのです。  ですから、私が思っているのは、この計算方式が、どうしても派遣労働障害者数を増 やすのであれば、それぞれ分けて掛けるようにしないと、方法としては派遣労働の障害 者を増やさなくても、一緒に掛けて括弧で括って1.8を掛けているというところからい くと、逆に強制力としては弱まるのではないでしょうか。  求めていく方向性を、例えば20時間から30時間の障害者も0.5にして増やしていこ うという考え方はわかるのですが、その人たちではなくて、30時間以上の方をそれぞれ 多く雇用して1.8をクリアすれば済んでしまうということになると、今やろうとしてい る20時間から30時間の方を雇用するということが、なかなか進まないことになります。 これはすぐどうこうしてくださいということではなく、考え方として、もしそこに強制 力を持たせていくとすれば、それぞれ分けて、例えば1.8にするとかということになら ないと、両方に強制力がかからないのではないか、という意見です。 ○今野会長 ほかにございますでしょうか。それでは、かなり時間も迫ってまいりまし たので、この辺で終わりたいと思います。今日はもう1つ、平成20年度障害者雇用施策 関係予算概算要求について、事務局からの説明があります。資料4です。 ○調査官 平成20年度の障害者雇用施策関係の予算概算要求のポイントについて、ご説 明いたします。1頁の「施策の概要」に、若干、今回の予算要求の背景が書かれていま す。まず障害者雇用の現状をハローワークの新規求職申込みや、就職件数が過去最高に なっているということから、障害者の働きたいという意欲がこれまでにもない高まりを みせているということがあろうと思います。  こうした中、本年2月には成長力底上げ戦略において、就労支援戦略において、障害 者の就労支援策が大きな柱として位置付けられています。本年中に「福祉から雇用へ」 推進5か年計画を策定の上、平成19年度〜20年度を集中戦略期間として、就労支援策を 実施していくとされているところです。  また、このことは、「骨太の方針」と呼ばれる「経済財制改革の基本方針2007」の中 にも位置付けられている状況です。こうした状況を踏まえながら、[1]雇用、福祉、教育 等との連携による地域の就労支援力の強化、[2]としては、ここでも議論しておりますが、 障害者雇用促進法制の整備。[3]は障害者雇用の底上げのための関係者の意識改革、[4]障 害の特性に応じた支援策の充実・強化、[5]障害に対する職業能力開発の推進などによっ て、障害者の雇用促進を図ることとしています。平成20年度の要求額は177億円余りで す。  内容について説明いたします。まずIは、雇用、福祉、教育等の連携による地域の就 労支援力の強化です。  1番目は、ハローワークを中心とした、地域の関係機関との連携によるチーム支援(地 域障害者就労支援事業)の強化等です。私どもは地域障害者就労支援事業として、ハロ ーワークが中心となって福祉施設や特別支援学校等の関係機関と連携をしながら、就労 支援チームを編成し、個々の障害者に合った就職から職場定着までの一貫した支援を担 うという取組を行っています。その場合に、関係機関との連絡調整を行う外回りの担当 者が必要になってくるわけですが、そういった役割を担える就労支援コーディネーター を配置することで、体制・機能の強化を図っていこうというものです。  そのほかにも就職等のマッチングに向けて非常に成果を上げている就職ガイダンスや 管理選考・就職面接会を実施することによって、ハローワークのマッチング機能を強化 していくというものです。  2番目は、障害者就業・生活支援センター事業の拡充です。障害者就業・生活支援セ ンターは、障害者の身近な地域において、就業面と生活面の一体的な相談・支援を行う、 あるいは関係者の連絡調整を行っていただいていますが、センターについて「成長力底 上げ戦略」の中で、全障害保健福祉圏域に設置することとされたこと等を踏まえて、設 置箇所数を大幅に増加拡充することを要求しているところです。  内容的には、現行の135センターを235センターにし、100カ所増の要求をしていると ころです。またセンターの支援対象者の増加などを踏まえながら、実施体制を強化して いくことも併せて要求をしています。  3番目は、地域の福祉施設・特別支援学校における一般雇用や、雇用支援策に関する 理解の促進です。これまでは障害者就労支援基盤整備事業という形で行っておりました が、ほぼ前年同額の要求となっています。これは福祉施設や特別支援学校と連携しなが ら、福祉施設の職員、特別支援学校の生徒と保護者を対象に一般雇用や雇用支援策に関 する理解の促進を図るセミナーや事業所見学会、職場実習のための面接会などを実施し ているものです。  4番目は、障害者の就労支援を担う人材の育成・確保のあり方に関する調査研究を地 域において要求しています。これは本研究会の中でもさまざまな点において、特に連携 に関する研究会の中でご議論をいただいたところですが、障害者の就労支援を担う人材 の育成・専門性の向上が必要であろうと。そういった中で、雇用、福祉、教育等の各分 野で就労支援を担う人材について分野横断的な育成・確保のあり方について、いろいろ な見地からご議論をいただくための検討を行っていくための調査研究です。  5番目は、障害求職者と企業とのマッチング支援ツールの整備として、障害者雇用納 付金事業で実施していくことを検討しております。障害者と企業とのミスマッチを解消 するため、研究会の報告書においても言及されたところですが、障害者の適性・能力や 適切な支援方法やアピールポイント等を記述できるようなマッチングシートを開発する とともに、特に中小企業において障害者の雇用の体制・条件整備を促進するための「障 害者雇用自己診断チェックシート」について開発をしていく関係の予算です。  6番目は、障害者トライアル雇用事業の拡充として、対象者を8,000人から8,500人に 伸ばすものです。  次の頁です。IIは、障害者雇用促進法制の整備として、現在、当分科会においても障 害者雇用促進法制の議論をいただているところですが、その検討結果を踏まえて、障害 者雇用促進法制改正ということになりますと、施行のための周知経費等が必要となって まいります。こういったものについても要求をさせていただいています。  IIIは障害者雇用の底上げのための関係者の意識改革です。  その1番目ですが、「障害者雇用の底上げのための意識改革・支援ネットワーク形成推 進事業」という事業を要求しています。これは関係者から国民一般に至るまで幅広い層 が障害者が、大人になったら働くことを当たり前のものとして根付かせていくための、 意識改革を図るためインターネットを通じながら、情報の共有・流通を行っていく。あ るいは障害者雇用支援の優良企業において、いろいろな積極的な働きかけをしていただ く。あるいは元気に働いている障害者からメッセージを発信していただく等により、国 民の意識改革全般を行っていくというものです。  2番目は、地域の事業主団体を活用した「障害者雇用に関する意識改革促進事業」で す。これは地域の事業主団体を活用する形で意識改革セミナーを開催する。あるいは企 業における具体的な障害者雇用の取組を促進するということで、地域の福祉施設・特別 支援学校等の関係者との交流等を通じた意識改革を図っていくという内容です。  IVは障害の特性に応じた支援策の充実・強化です。1番目は、精神障害者の特性に応 じた支援策の充実・強化で、精神障害者ステップアップ雇用奨励金(仮称)の創設等に ついて要求しております。精神障害者の障害特性を踏まえて、一定程度の期間をかけて 段階的に就業時間を延長しながら常用雇用を目指すことができるような制度です。具体 的には10時間以上20時間未満の試行雇用から始めて、1年かけて20時間以上への移行を 目指すことができるような奨励金を要求しています。またハローワークにおいて精神障 害者就職サポーター(仮称)を配置して、精神障害者のカウンセリング機能を強化して いくといったことも要求しています。  2番目は、医療機関等との連携による精神障害者の就労支援の推進として、これまで 昨年同様行ってきた就職活動のノウハウ等を付与するジョブガイダンスを、ハローワー クが医療機関を利用して障害者に実施していくというものです。  3番目は若年コミュニケーション能力要支援者就職プログラムの推進です。これもほ ぼ昨年同様の要求となっておりますが、発達障害等の要因によってコミュニケーション 能力に困難を抱えている求職者について、その希望や特性に応じた専門支援機関に誘導 する。あるいは障害者向け専門支援を希望しない者については、きめ細かな就職支援を 実施するというものです。  4番目は、発達障害者の就労支援者育成事業の推進として、ほぼ前年同様の要求をし ております。これは発達障害者支援センターにおいて、医療、保健、福祉、教育等関係 機関の発達障害者支援関係者に対して、就労支援ノウハウの付与のための講習等を実施 するなどの事業です。  Vは障害者に対する職業能力の開発の推進等を要求しております。ご覧になっていた だければ幸いです。  次に資料5です。平成18年6月1日現在における未達成企業の状況、ならびに次の頁で は、障害者不足数階級別の法定雇用率未達成企業数ということで、データを載せており ます。本研究会においても委員の方々から、いろいろな形で現時点での障害者雇用をめ ぐる状況に関するデータについて検討し、あるいは議論の場に提供していくことを求め られているところです。まず私どもで準備できたものとしては、この2点がありますの で、こういったものについて本分科会に提出し、参考にしていただければ幸いに思いま す。私からの説明は以上です。 ○今野会長 ご質問、ご意見ございますか。 ○輪島委員 資料をご用意いただいてありがとうございました。是非、議論したいと思 いますので、次回、参考資料でも同じものを出していただいて、中小企業の関係は、こ れに沿って多少議論したほうがいいのではないかと私も思っております。今日は資料5 として審議会の資料でしょうが、次回は参考資料でも結構ですから、同じものを出して いただきたいと思います。 ○今野会長 よろしいでしょうか。それでは、本日の分科会はこれで終了したいと思い ます。  本日の議事録署名人は、高橋委員、飯ヶ谷委員、鈴木委員にお願いいたします。次回 の分科会は9月26日水曜日の10時から経済産業省別館の10階の共用1028会議室です。 それでは、本日の分科会は終了いたします。ありがとうございました。 <照会先>  厚生労働省 職業安定局 障害者雇用対策課 調整係  〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2  TEL 03(5253)1111 (内線 5783)  FAX 03(3502)5394