07/09/12 平成19年9月12日薬事・食品衛生審議会 日本薬局方部会議事録について 薬事・食品衛生審議会 日本薬局方部会 議事録 1.日時及び場所   平成19年9月12日(水) 11:00〜   東海大学校友会館「朝日の間」 2.出席委員(13名)五十音順    赤 堀 文 昭、 奥 田 晴 宏、 北 田 光 一、 木 津 純 子、    楠   文 代、 合 田 幸 広、○棚 元 憲 一、 富 田 基 郎、    中 島 恵 美、 橋 田   充、 長谷川 紘 二、◎早 川 堯 夫、    渡 邉 治 雄    (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(1名)五十音順    大 石 了 三  3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、 中 垣 俊 郎(審査管理課長)、   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、 川 原   章(独立行政法人医薬品医療機器総合安全管理監)、   新 見 裕 一(独立行政法人医薬品医療機器総合機構品質管理部長)  他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○審査管理課長 それでは定刻でございますので、ただ今から薬事・食品衛生審議会日 本薬局方部会を開催させていただきます。先生方におかれましては、雨の中また大変お 忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本日は、14名の部会の 委員のうち、現在12名の御出席をいただいております。木津先生も御出席という返事で ございますので、間もなくいらっしゃるのだろうというふうに考えています。なお、大 石委員からは欠席という御連絡をいただいております。  本日は基準に関する審議でございますので、公開で開催させていただくということを あらかじめ御承知おき願いたいと思います。本日の議題におきましては、日本薬局方の 一部改正(グリセリン等)について御審議いただく予定でございます。よろしくお願い申 し上げます。それでは部会長の早川先生、議事進行をよろしくお願いいたします。 ○早川部会長 早川でございます。本日は、委員の先生方におかれましては大変お忙し いところ、日本薬局方部会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。  それでは議事に入らせていただきます。本日の審議事項は一つでございます。日本薬 局方の一部改正(グリセリン等)について御審議をお願いいたしたいと考えております。 では、審議に入りたいと思います。まず、事務局から本日の配付資料の確認をお願いい たします。 ○事務局 それでは配付資料の確認をさせていただきます。まず、本日お手元に配付し ておりますものとして、議事次第、座席表、委員名簿となっております。次に、事前に 配付させていただきました資料としましては、資料No.1-1としまして「日本薬局方の一 部改正(グリセリン等)について」、資料No.1-2といたしまして「分析方法の検討及びそ の結果」、参考資料といたしまして「USP及びEPにおけるグリセリン等の純度規定(ジ エチレングリコール)」、資料No.2-1といたしまして「パブリックコメントの結果」、資 料No.2-2といたしまして「パブリックコメントの結果を受けて修正した箇所」 以上5種類の資料を配付させていただきました。  また、本日の追加配付資料といたしまして、資料No.1-2の4/9ページの訂正を行わせ ていただきましたので、差し替えていただきますようお願いいたします。以上でござい ます。 ○早川部会長 ありがとうございました。先生方、資料はおそろいでしょうか。よろし ゅうございますか。  それでは、審議議題に入りたいと思います。審議事項であります日本薬局方の一部改 正(グリセリン等)に係る案件について、事務局から資料をもとに説明をお願いいたしま す。 ○事務局 それでは、説明させていただきます。本日、御審議いただきますものは資料 No.1-1に示したとおり、日本薬局方の医薬品各条に収載されております、グリセリン及 び濃グリセリンの純度試験にジエチレングリコール及び類縁物質に係る規定を追加する というものです。  まず、今改正案の背景及び経緯について御説明いたします。昨年パナマにおいて約100 名の死者が出た原因が、かぜ薬のシロップ剤にジエチレングリコールが混入していたた めとの発表が本年5月にありました。さらに、歯磨きの中にジエチレングリコールが混 入されていたとしてアメリカFDAが回収を指示し、さらに、これらの歯磨きを使用し ないように警告が出されているところです。日本国内においては、化粧品である歯磨き から同じようにジエチレングリコールが検出され、検出された製品についてはいずれも 原料としてグリセリンを用いており、ジエチレングリコールを混入させたグリセリンが 使用された可能性がありました。そこで、日本においても、本年5月に化粧品及び医薬 部外品について、ジエチレングリコールなどの混入がないか自主点検を徹底するように 指示したところ、11社より中国から輸入した歯磨きにジエチレングリコールが混入した ことが確認されたため、回収させるなどとともに自主点検について徹底をさせていただ きました。  問題となっているジエチレングリコールとはどのような物質かといいますと、まず、 工業用製品(主にプラスチックの原料、不凍液、溶剤)として広く使用されており、性状 は、粘ちょうな無色の液体で甘味があり安価な物質です。また、毒性ですが、人の経口 による推定致死量は体重60kgで100mL程度とされています。皮膚の吸収はほとんどない といわれています。このジエチレングリコールの医薬品などへの混入については、我が 国においてはこれまでありませんでしたが、諸外国においては1937年にアメリカで100 人余りの死者が出ていますほか、その後、ジエチレングリコールの混入による問題が幾 度となく繰り返されてきた経緯があります。このような経緯から、参考資料にあるよう に、USP及びEPのグリセリンにはジエチレングリコール0.1%以下でなければなら ないという純度規定が既に設けられています。一方、日本薬局方にはグリセリン及び濃 グリセリンが収載されていますが、ジエチレングリコールの純度規定はこれまで設定さ れていません。  そこで、今般の海外での混入事例、国内での混入事例に鑑みまして、医薬品などの国 際的な流通が進んだ今日において、このような事態の再発を防ぐこと、安全性を確保す るためのチェック体制の強化を図るために、我が国においてもジエチレングリコールに ついて欧米並の規制を設けることといたしました。具体的には、資料No.1-1に示した改 正案にあるように、日本薬局方グリセリン及び濃グリセリンの純度試験にジエチレング リコール0.1%以下という規定を設定することといたしました。経緯については以上の ようなことであります。  続いて、具体的な試験方法や試験条件について説明いたします。資料No.1-2をご覧く ださい。USP及びEPに規定されております方法は、いずれもガスクロマトグラフィ ーによるもので、ほぼ同様の内容です。今回は既にUSPに規定されている純度試験を 基として日本薬局方における規定を策定すべく検討をしました。分析条件としては、1 ページに記載しているものであり、これはUSPの方法です。カラムとしては、液相に 6%シアノプロピルフェニル94%ジメチルシリコーンポリマー、膜厚3μm、長さ30m、 内径0.53mmで、ガスクロマトグラフィーの条件として、カラム温度100℃付近の一定温 度で注入し、毎分7.5℃で220℃まで昇温、220℃付近の一定温度で4分間保持します。 検出器は水素炎イオン化検出器、検出器温度は250℃、注入口温度は220℃、注入量は 0.5μL、注入法はスプリット法にてスプリット比は10:1、キャリヤーガスはヘリウム、 流速は毎秒38cmです。資料は毎分になっていますが、毎秒の誤りですので訂正をお願い いたします。試料調製としては水溶液という条件です。  その条件により試験を行った結果が2ページ以降に示してあります。これにより試験 をしたところ、まず分離度としてはUSPのシステム適合性に規定されています7.0以 上とはなりませんで、約6.2に留まっています。ピーク対称性も良好なものとはならず、 また、ピークが激しくテーリングしているために検出感度が悪くなってしまいました。 また3ページのクロマトに示したように、右側の下に20ppmジエチレングリコールを添 加した場合、ピークを確認することはできましたが、ピーク面積を読み取ることは困難 なものでありました。  4ページをご覧いただきたいのですが、検量線についても直線性が悪く原点を通って いません。さらに、0.1%の実試料添加サンプルにおいて、試験結果として変動値が35 %以上となっています。4/9ページについては、当日配付資料と差し替えをお願いいた します。おそらく、これらの結果は使用するカラムのメーカー間によるばらつきである と考えられますが、使用可能となるカラムが限定されてしまうなどのおそれが考えられ たため別の試験条件について検討をいたしました。  ここで、日本において広く利用可能な物を規定することを目的といたしまして、日本 国内において汎用されているカラムを用いる試験方法を設定して試験を実施いたしまし た。その分析条件としては5ページに記載してあり、カラムとしては液相に14%シアノ プロピルフェニル86%ジメチルシリコーンポリマー、膜厚が1μm、長さが30m、内径が 0.32mmで、ガスクロマトグラフィーの条件としては注入量を1.0μLとしてスプリット 比を20:1としたほかは、先ほどの分析条件1と同様の条件です。試料調製については メタノールで調製いたしました。  分析条件の主な変更点ですが、液相を6%シアノプロピルフェニルから14%シアノプ ロピルフェニルに変更しています。また、カラムの内径を0.53mmから0.32mmへ、膜厚 を3μmから1μmにそれぞれ変更しています。これらの変更については、日本国内にお いて汎用されているカラムとすることを目的としています。さらに試料調製を、水素炎 イオン化検出器を用いていることより、水からメタノールへと変更しています。  その結果は6ページ以降にあります。まず、分離度として約23となり、ピークの対称 性も非常によくなりました。また、再現性もよく検出感度も良好なものとなっています。 このように、分析条件2において良好なものと結果が出たことから、日本薬局方では分 析条件2の条件を規定することといたしました。  当案に基づいて、実際に市販流通しているグリセリン及び濃グリセリンについて試験 を実施したところ、9ページに示す結果となりました。8検体について試験を行った結 果、いずれも規格に適合していることを確認いたしました。以上、グリセリン及び濃グ リセリンにおけるジエチレングリコールに係る純度規定の追加について説明をさせてい ただきました。なお、この分析データについては、国立医薬品食品衛生研究所の環境衛 生化学部で標価されたものであることを紹介させていただきます。  ここで一点、改正案の修正を行いたいと考えているところがあります。改正案の資料 の3ページの下部の「システムの適合性」中、「システムの性能」においては実測値に 基づいて分離度15以上の案を規定しています。しかし、USPにおいては分離度7.0 以上必要であるとされていて、分離度15というのは非常に大きな数字であることを考慮 し、海外薬局方と整合性を図るために、分離度をUSPと同様に7.0以上としたいと考 えています。また、その下の「システムの再現性」についても実測値に基づき標準偏差 5%以下としていますが、この値についてもUSPと同様に15%以下としたいと考えて います。これは、海外で使用されている試験方法でも分離度が7.0以上、標準偏差15% 以下であるならば正確な測定ができるものと考えたことによります。本件も併せて、日 本薬局方の一部改正について御審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。 ○早川部会長 ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、御意見、御質 問等がございましたらよろしくお願いいたします。 ○中島委員 今、御説明にありました資料No.1-2の5ページでクロマトの条件のところ なのですが、流速38cm/min.とあるのは、これもセカンドの間違いでしょうか。 ○事務局 申し訳ございません。こちらにつきましても、38cm/sec.の誤りですので訂正 をお願いいたします。 ○早川部会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。 ○奥田委員 運用ということになるのかもしれないのですが、今、変更案ということで 分離度と相対標準偏差がUSPに合わせて整合を図ったということでございます。それ で、カラムは具体的には違うわけですが、これは同等の性能が出ていればその結果もJ Pで図ったものと同等のものとして認めるということと理解してよろしいのでしょう か。 ○早川部会長 いかがでしょうか。 ○事務局 はい。日本薬局方の通則の13に、日本薬局方に規定する試験法に代わる方法 でそれが規定の方法以上の真度及び精度がある場合は、その方法を用いることができる という規定がありますので、ここに挙げていますシステム適合性をクリアするような試 験方法でありましたら、そのデータについては受け入れることができると考えています。 ○早川部会長 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。  今の点は私の理解で一番大事なのは、グリセリンと分析したいジエチレングリコール がきちんと分離して定量できるというところであり、実際に出てきた実験結果はカラム によっていろいろ変動すると。実際に、多分常識的には1.5以上あればピークとピーク は分離しているというのが定量する場合の基本です。ただ、1.5と規定してもいいのか もしれないけれども、USPがそのような規定を設けているという整合性を考えれば、 それに合わせるというのがいいのかなという感じだと思います。そういうふうにカラム 自体はフレキシブルにしないと、分離度は非常に大事なのでそこを規定しないと定量性 が失われますが、カラム自体はいろいろなやり方もあるでしょうし、ましてや、アメリ カ、ヨーロッパから輸入してくる物について、このカラムでやらなければ駄目だという 話になると、また非常に大きな問題になるかと思いますので、今のような答えでいいの ではないかと思います。  ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。それでは、ただ今提示されまし た日本薬局方の一部改正(グリセリン等)につきましては御了解いただいたものといたし まして、今後の手続等について事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 はい。日本薬局方の一部改正については、今後、パブリックコメント、WT O通報等を行いまして、手続が済み次第、迅速に一部改正を行うこととしています。通 常行っています追補改正とは別枠の、部分改正として日本薬局方の改正を行うこととな ります。また、薬事分科会に報告をさせていただきます。以上でございます。 ○早川部会長 よろしいでしょうか。それでは、本日の審議事項に関しましては終了い たしました。  続きまして、報告事項に移らせていただきます。それでは、報告事項の第十五改正日 本薬局方第一追補について、事務局から資料をもとに説明をお願いいたします。 ○事務局 はい。説明させていただきます。第十五改正日本薬局方第一追補については、 本年4月24日に当部会で御審議いただき、御了承をいただいたものであります。その後 に行いました意見募集について、寄せられました意見について検討したところ、第一追 補原案を修正すべき点がありましたので、本日、意見募集の際に寄せられた意見及び第 一追補原案を修正した箇所について報告をさせていただきます。  第一追補原案については、厚生労働省のホームページにて5月21日〜6月22日まで 広く意見を求めたところでして、その際に寄せられた意見について配付しています資料 No.2-1「パブリックコメントの結果」に取りまとめています。意見番号01〜12は、寄せ られた意見について検討いたしました結果、第一追補原案を修正するとしたものです。 3枚目からの意見番号13〜37は、意見について検討した結果、第一追補原案のままとし たものであります。原案を修正するとしたものについては、意見番号07のパルナパリン ナトリウムについては資料No.2-2の2ページ(5)に記載していますが、15局に規定してい る基原を第一追補にて変更するというものでしたが、パブリックコメントにより提出さ れた意見を受け検討した結果、科学的な評価を追加して行う必要があると判断して、そ の評価に時間を要することから第一追補では改正しないこととして継続的に審議、検討 をすることとしました。なお、資料に「改正中止」と明記していますが、第一追補にお いては改正しないこととしましたが今後、引き続き審議を行うというものであります。  また、意見番号10のプロタミン硫酸塩については、資料No.2-2の3ページ(9)(10)に記載 しているとおり、注射用水を用いて試験を実施することとしていましたが、提出された 意見について審議、検討した結果、精製水において十分に試験を実施することが可能と 判断したので、注射用水ではなく、水とすることとしました。  その他、誤字、脱字などの記載の整備については適切に対応させていただくこととい たしまして、訂正する箇所については資料No.2-2[パブリックコメントの結果を受けて修 正した箇所]として、修正する箇所を見え消しにて明記してありますので御確認いただ きたいと思います。以上、第十五改正日本薬局方第一追補について説明をさせていただ きました。なお、第一追補については手続を経て今月下旬に告示を行い、来月1日施行 を予定しています。以上でございます。 ○早川部会長 ありがとうございました。それでは、今の説明について御意見、御質問 等がございましたらよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。少し案件がいろい ろありますので慎重に見ていただいて。よろしいですか。字句等の訂正としては、精製 水を水に変える、あるいは、継続的に検討するということであります。特段の御意見が なければ、この報告事項を御了承いただいたということにさせていただきたいと思いま す。  それでは、本日の審議・報告事項が終了いたしましたが、その他事務局から何かござ いますでしょうか。 ○事務局 次回の日本薬局方部会の日程等については、事務局にて調整を行い改めて連 絡をさせていただきたいと思います。以上です。 ○早川部会長 それでは、以上をもちまして本日の部会を終了いたしたいと思いますが、 何か先生方から全般にわたってといいますか、その他、少しお時間もございますので、 コメント、御意見ございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、 委員の先生方、本日はどうも御苦労さまでございました。 ○事務局 ありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 化粧品専門官 辻(内線2743)      - 1 -