07/09/12 2007/9/12診療報酬調査専門組織平成19年度DPC評価分科会 第3回議事録 平成19年度第3回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会 (1)日時  平成19年9月12日(水)15:00〜17:02 (2)場所  厚生労働省専用18〜20会議室(17階) (3)出席者 委員:西岡清分科会長、原正道分科会長代理、池上直巳委員、        木下勝之委員、熊本一朗委員、小山信彌委員、齋藤壽一委員、        酒巻哲夫委員、佐藤博委員、嶋森好子委員、武澤純委員、        難波貞夫委員、松田晋哉委員、山口俊晴委員、吉田英機委員、        邉見公雄(オブザーバー)        事務局 原医療課長、宇都宮企画官 他 (4)議題 ○再入院率の高い医療機関へのヒアリングについて (5)議事内容 ○西岡分科会長  ただいまから、平成19年度第3回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会を開催さ せていただきます。  まず、事務局におきまして人事異動がございましたので、紹介をお願いいたします。 ○中田補佐  8月13日付で着任しました医療課課長補佐の中田と申します。よろしくお願いいたし ます。 ○西岡分科会長  委員の出欠状況でございますが、伊藤委員及び山口直人委員より御欠席との連絡をい ただいております。また、本日はオブザーバーといたしまして中医協委員でございます 邉見委員が少しおくれられるということで、もうすぐおいでになることと思います。  次に、本日御出席いただいております6病院の各代表の方の御紹介をお願いいたしま す。 ○中田補佐  それでは御紹介させていただきます。  佐世保市立総合病院院長の齊藤泰さんです。  今村病院院長の野村秀洋さんです。  旭川赤十字病院副院長の牧野憲一さんです。  南風病院副院長の小森園康二さんです。  井上病院院長の田端勉さんです。  埼玉県済生会川口総合病院院長の原澤茂さんです。 ○西岡分科会長  お忙しい中、当分科会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。ど うぞよろしくお願いします。今、各病院の先生方がDPCに関しましていろいろと御苦 労されているということがございます。そういった中身を実際私たちに聞かせていただ きまして、今後の糧にしたいということでこの会を開催した次第でございますので、ど うぞよろしく御協力方、お願いいたします。  まず、資料の確認を事務局からお願いいたします。 ○中田補佐  資料の確認をさせていただきたいと思います。各委員にお目通しいただくために事前 に配付させていただいておりますが、改めまして各机上に資料を配付させていただいて おります。  まず1枚目、議事次第。2枚目、委員名簿がございます。  診調組D−1の資料として、「平成19年度DPC評価分科会における特別調査につい て」がございます。  診調組D−2の資料として、「平成19年度DPC評価分科会における特別調査につい て(再入院率)概要」がございます。  参考資料として、「7〜10月(4カ月間)までの年度別再入院率」がございます。  個人が特定される恐れのある情報が含まれているため各委員の机上のみに配付させて いただいておりますが、各ヒアリング医療機関から提出されました調査票とそれに関連 するデータに係る2つの資料がございます。  ○西岡分科会長  ありがとうございます。資料はいかがでしょうか。そろっておりますでしょうか。  それでは、議事に移りたいと思います。まず事務局から資料の御説明をお願いいたし ます。 ○中田補佐  資料の説明を行わせていただきます。各委員に事前に資料の方を送付させていただい ておりますので、簡単に概略のみ説明させていただきたいと思います。  まず資料診調組D−1「平成19年度DPC評価分科会における特別調査について」で ございますが、こちらの資料につきましては前回の分科会時に提出させていただいた資 料でございます。平成19年度のDPC評価分科会での特別調査として新たな算定ルール の構築を目的にヒアリングを行ってはどうかということを踏まえまして、今回第1回目 として再入院に係る部分につきましてヒアリングさせていただいているという次第でご ざいます。  また2枚目にございますとおり、適切な診療報酬の請求については、次回2回目とし てヒアリングを実施する予定でございます。  この2回のヒアリングを踏まえまして今後、新たな算定ルール等について改めて検討 していただければと思っております。  続きまして資料診調組D−2「平成19年度DPC評価分科会における特別調査につい て(再入院率)概要」でございますが、前回の資料にございましたとおり、ある一定の 基準に従いまして各医療機関にアンケート調査をお願いした結果を取りまとめたもので ございます。  アンケートの調査方法につきましては2番目の調査方法等の(1)にございますとお り、この基準に従って調査票を配布し、回答率は100%となっております。またこの中 から3日以内再入院率等を基準として、6医療機関をヒアリング対象として選出させて いただいております。  アンケート調査による主な再入院の理由につきまして、上記38病院からいただきまし た回答の概要を下にまとめさせていただいております。  主な理由といたしまして、1)でございますが、化学療法による再入院というものが ございます。特にweekly chemotherapyなどで1週間ごとに投与するケース、または3 週間程度かかる化学療法のレジメでも1クールごとに退院して1週間以内に再入院して 次のクールに入っていく。こういった事例がございました。  また2)でございますが、検査入院を行いまして、異常が認められるために治療目的 で再入院されるといった場合でございます。詳細につきましては、特に入院で心臓カテ ーテル検査を行った後に、数日後、インターベンション目的で再入院する。そのほかと いたしましては、睡眠時無呼吸発作の検査入院後にCPAP、こちらは経鼻的持続陽圧 呼吸法でございますが、その導入目的での再入院などのケースがございました。  3)術前検査入院(主に画像診断)を行い、手術日まで一時退院していただき、その 後、手術直前に再入院するといった例がございました。こちらは外科手術前の術前検査 を入院で行いまして、手術日までに日にちがあいているために一時退院といったことが ございました。  4)白内障の手術を片眼で2回に分けて実施するために再入院。  5)術前処理を入院で行い、一時退院して手術のために再入院する。こちらの内容に つきましては、特に糖尿病患者に対する術前の血糖コントロール目的で入院し、一たん 退院してから再度、手術前に再入院するといったことがございました。  6)自院で行えない治療を実施するために一時退院して、他院で受療後に再入院する。 こちらの詳細につきましては、最も多い例といたしましては放射線治療、特にγナイフ による一時退院。そのほかにはPETを他の病院で行うために一時退院するといったも のがございました。  7)患者のQOLのために治療が一区切りつきましたら一度退院する。こちらの詳細 につきましては、特に疾患を問わず、化学療法も含めまして患者のQOLの向上や気持 ちの切りかえのために一時退院していただくといったようなものがございました。  8)週末の救急搬送用に空床を確保する。  9)系列の老健施設などからの急性増悪による搬送に伴う再入院、こういった理由が 主な理由としてございました。  (2)でございますが、今回ヒアリングにお越しいただきました医療機関別の3日以 内及び4〜7日以内の再入院についてまとめさせていただいております。  それぞれお越しいただきました医療機関の病床種別・数、何年度にDPCの対象にな ったのかという施設類型、調査期間中の延べ入院数と3日以内の再入院、4〜7日以内 の再入院で区切りましてデータをまとめさせていただいております。それぞれ全数のデ ータと化学療法等を実施しているものの区分別で示させていただいております。  一番右の欄にあります、参考:当該施設類型における平均再入院率につきましては該 当する施設類型、例えば一番上の段で行けば、18年度DPC対象病院の平均再入院率を 参考までに記載させていただいております。  別添といたしまして今回の調査での再入院の取り扱いに係る定義をまとめております が、こちらは従前より提出させていただいている資料でございますので、詳細は割愛さ せていただきます。  参考資料につきまして御説明申し上げたいと思います。参考資料の1ページ目でござ いますが、こちらは7〜10月、4カ月間の年度別の再入院率について、今回ヒアリング にお越しいただいた医療機関ごとにDPCに加入した時期により把握可能な範囲のデー タについてまとめさせていただいております。  一番下にはDPCの対象病院の全国平均値を示させていただきまして、各病院のグラ フの中にある線が全国平均を示しております。  次のページには、再入院の中で3日以内、4〜7日以内、8〜14日以内、15〜28日以 内、29〜42日以内の区分別に、全体を100%として医療機関ごとにまとめさせていただ いております。  各医療機関から今回の調査の際に御提出いただきました調査票とそれに関連するデー タにつきましては、参考資料として各委員の机上のみにお配りしています。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。ただいまの御説明に関しまして何か御質問はございますか。 よろしいでしょうか。  それでは、御出席いただきました各病院に対するヒアリングを行いたいと思います。 今回の開催に当たりまして、事前に事務局より各委員へ資料が送付されております。既 にお目通しいただいているかと思います。時間も限られておりますので、各委員からの 質問から始めたいと思います。  まず初めに、佐世保市立総合病院に対しましての御質問からお願いしたいと思います。 ○齋藤委員  ほかの医療機関もそうですが、がんの化学療法というのが佐世保市立総合病院の場合 もかなり多いわけですが、これはDPCに参入される前からほぼ同じような入退院、再 入院の傾向だったのでしょうか。それともDPCに参加されるようになって、いろいろ な事情から早期退院、再入院と、そういうパターンになってきたのでしょうか。 ○佐世保市立総合病院長  私ども、18年からDPCに入りましたが、その前からがんの入院患者は多ございまし て、化学療法、放射線治療を中心に県北でやっております。そういうことで前からがん 患者はできるだけ家で過ごすというのが私どもの治療方針となっておりましたので、以 前から週末に帰して週の初めに再入院ということで、がん患者の治療に当たってまいり ました。 ○齋藤委員  がんの化学療法とDPCの問題というのはDPC開始当初からいろいろな角度で、病 院側からも赤字の原因になるとか、そういう御指摘がありましたし、再入院率が高くな るという状況も今回の成績からわかってくると。DPCにおけるがん化学療法の取り扱 いというのはなかなか難しい問題があって、入院して、そして化学療法が終わったとき にもしそこで退院してしまうと、逆にすごく赤字になる可能性があるわけですね。1日 で退院してしまうと、がんの化学療法薬は高いですから。さりとて、患者側から言うと、 がんの化学療法の後で特に処置もなく3日、4日とベッドで寝続けることは、御家族と の触れ合いも減るということも合わせて適当でないだろうと。  DPCにおけるがん化学療法の望ましいあり方というのはどんなものが考えられるの か。これはほかの先生方ももし御意見があれば後ほどでも伺いたいのですが、佐世保市 立総合病院の場合を踏まえて、何か御意見があったら承りたいなと思います。 ○佐世保市立総合病院長  私どもは、がんの化学療法、放射線治療も週末まで治療をやって帰すということで、 そういうがん患者というのは、がんということだけでストレスを感じておりますので、 できるだけ週末は家に帰して元気を回復させたいということで、化学療法が終わって週 末帰すという、これはDPCで収入を上げようということでやっているわけではござい ませんので、その辺がお認めいただければ、私ども、田舎の患者をたくさん抱えていま すので、非常にがんの治療がやりやすくなると思っております。 ○齋藤委員  私自身も別に収益を上げるためにやっていらっしゃると考えているわけではないので すが、これが妥当で望ましい姿なのか。例えば、がんの化学療法は外科手術と同じよう に全部外出しにしてしまうと。出来高にしてしまうというのも制度の構成上はあり得る 話かなということもございますし、例えば3日以内の再入院の場合には、がんの化学療 法の場合、一連の入院であるというふうに見なすというふうなシステムの見直しもあり 得ると思うんですね。  そういうことで、きょう先生方に私個人として教えていただきたいのは、DPCの制 度を前向きに建設的に改善する上で、がんの化学療法の問題はどう扱うのが妥当か。そ の辺、御意見があれば承りたいなと思ったのですが。佐世保の先生はその程度で結構で す。 ○西岡分科会長  またこれに関してはほかの施設からも御意見をちょうだいしたいと思います。 ○池上委員  慶応大学の池上でございます。こちらで3日以内の再入院の割合が平成17年度と比べ て18年は減少しておりまして、文書中の御回答でも減らしたということを書かれていま すが、これは何か御方針に従って3日以内の再入院を減らされたのでしょうか。もしそ うでしたら、その理由をお聞かせいただけますか。 ○佐世保市立総合病院長  DPCに入るときに、DPC対応でいろいろな講習会を病院の中でやりまして、DP Cに入ると、再々帰すのは問題になると。そういうことで、再入院率が高いということ には注意した方がいいというような御指摘を受けました。そういうことで、今までは安 易に再入院を繰り返していた中で、再入院させなくてやれるものはできるだけ減らそう ということで努めてまいりましたが、やはりそんなには減りませんで、17年は10.9が 8.7ということで多少は減っておりますが、ドラスティックに減らすことはできません でした。ただ、そういうふうな減らそうという努力はいたしました。 ○熊本委員  その3日以内のことは私もお伺いしたかったのですが、がん化学療法以外に計画的手 術処置のためというのも、ある程度の数があられるのですが、これは先ほどのD−2の 資料にあって、これは佐世保のことかどうかなのですが、心臓カテーテル後にもすると いうのが例示としてあるのですが、佐世保市立総合病院の場合はそういう心臓カテーテ ルのこともあったのかということと、患者のQOL向上のために一時帰宅ということの 割合が、先ほど池上委員が御質問されたように、17、18で変わったのか。今の心臓のこ ととQOLの向上のためのやつが、17年度、18年度で、変えたとすればこういうところ かなと思ったものですから、その中身についてお伺いしたいと思います。 ○佐世保市立総合病院長  心臓カテーテルを終わって帰すというのも多少あったかと思いますが、ほとんどはほ かの内科系でいろいろな検査をやって診断がついたと。そして外科の方に転科を申し込 んで、その間、患者は一時家に帰してほしいという希望が強くございますから、そして 帰すというのが大部分だったと思います。  QOL改善というのは、がんは家に帰して元気づけるということで、QOL改善につ ながるということで帰しました。そのほかの慢性疾患で長期になって、どうしても家に 帰りたいということで帰しましたところ、具合が悪くなって再入院したというのが何例 かございます。 ○原分科会長代理  1つお伺いしたいのですが、例えば17年度から18年度に再入院率が下がっておりま すが、この間、在院日数というのは変化はございませんか。 ○佐世保市立総合病院長  在院日数は、17年度が15.68で、18年度が16.27ということで上がっております。下 がっていません。 ○松田委員  通常、3日以内ということですと外泊という扱いで対応される場合が多かろうと思う のですが、これはDPCで支払いの対象になる前から、3日の週末に帰すということは、 リセット入院ということでやられていたのか、それともDPCに入ってから、それは外 泊ではなくて入院という形にしたのか、それはいかがでしょうか。 ○佐世保市立総合病院長  それはDPCに入る前から、できるだけ週末、入退院の手続は面倒ですが、退院とい うことでやってまいりました。DPCになったから急にそれを退院ということでやった のではなくて、前からそういう方針でやっておりました。それは患者にできるだけ負担 を少なくするということで、3日間でも退院ということにすれば、その間の負担がなく なりますので、そういう方針でやっておりました。 ○山口(俊)委員  化学療法のことが一番問題だと思うのですが、癌研でいろいろな診療科の先生に聞い てみたら、ほとんど外来でできるということで、ただ、患者さんの状態によって入院せ ざるを得ないものももちろんあるわけですし、スタートするときに、最初の1クールだ け入院したままやるというのは大変多いようです。入院している間、検査とか、処置と か、どういう医療が行われるのか、ちょっとお伺いしたいのですが。余り大したことを やっていないのであれば、私はどちらかというと自宅におられた方がいいのであって、 ウィークリィの化学療法というのはそういうことを目的にそもそも考えられたものだと 思うのですが、いかがでしょうか。 ○佐世保市立総合病院長  私ども、がん診療拠点病院に平成14年になりましたが、20床の外来化学療法センタ ーをつくりまして、大部分は外来で化学療法をやっております。ただ、我々の病院は離 島、五島列島、そういう遠いところの患者をかなり抱えておりますので、なかなか毎日 というのはできない症例がありますし、また、家族が送り迎えというのができる患者も 限られますので、そういう理由からも毎日外来化学療法センターで治療できない症例も あります。  それと、末期になって、がんの進行をとめるということで化学療法をやっている症例 もたくさんありますが、そういうのは週末だけ家に帰して、あとは病院で見守ると。家 族も、家に家族がいないということで、週末は家に帰して、そのほかは病院でというこ とを望まれる例も多いので、私どもはこういうふうな形になってしまいました。 ○酒巻委員  患者さんのQOL向上のためという理由がありまして、そこにがん患者さんも含まれ ているというようなお話でしたが、QOLを評価する幾つかの方法があるのですが、そ ういう点でこれはQOL向上につながったなという事実というか、そういうものはござ いますか。 ○佐世保市立総合病院長  特段、帰して、こういうふうにQOLを評価する項目が改善したというのはやってお りません。 ○武澤委員  全般的に再入院率が高いと思うんです。例えば7日以内とか、3日以内とか。特にそ の中で恐らくがんの化学療法、あるいは放射線療法が一番数的に大きいので問題視され ると思うのですが、先ほどおっしゃいました、例えば患者さんのQOLのためとか、あ るいは離島、遠隔地から患者さんが来ているとかというような理由のために化学療法の 再入院がふえている事例は何%ぐらいあるのですか。クリニカルパスで、どんな患者で も同じように、例えば週末になったら退院するとか、そういうようなことなのでしょう か。それとも、なるべく自宅へ帰すようにして、それでも重症な患者さんや、入院を必 要とするほど重症な患者さんが多いためにこれだけ再入院率が高いというふうに解釈し てもよろしいのでしょうか。その辺、教えてください。 ○佐世保市立総合病院長  実際に担当している者を陪席させていますので、答えさせたいと思います。 ○佐世保市立総合病院内科管理診療部長  佐世保市立総合病院の内科管理診療部長で血液内科をやっております森内と申します が、こういう短期退院のケースは血液内科の事例が特にがん化学療法の中で多くて、あ とは呼吸器内科の肺がんですね。外科の消化器がんの患者さんは頑張って外来化学療法 をされている例が多いです。乳がんの患者さんは、どちらかというと遠隔地の人がそう いう形が多いと聞いています。入院が長くて短期の退院という。それも放射線療法が加 わっているような症例です。  呼吸器がんは、肺がんの方は周りに信頼できる病院がないということと、外来通院を そんなに頻繁にさせ切れないということで、なかなかまだ入院主体で外来主体になって いなくて、外来の化学療法はごく一部の患者さんにしかまだ肺がんの場合はなされてい ません。  血液がんの場合は、いわゆるCHOP療法とかがあるわけですが、もちろん急性白血 病は短期退院しかできませんが、入院患者さんの中央値を見ても70歳なんですね。そう いうことでこっちは、一つは白血球が減って、ようやく白血球が回復して、しかしもう 次の治療が控えているから短期退院にならざるを得ない症例と、高齢を理由に、本当は 1週間以上退院させられるのに、家族が引き取ってくれないと。昼間だれもいないから 家に置いておけないとか、送り迎えがどうとかで、どうしても金曜の夜と月曜の朝しか 無理とか、そういうことで帰せるのに帰れない症例と入りまじっています。  ということで、もちろん今後、少しふやせるのはふやせると思うのですが、それはか なり外来の診療に負担がかかるということで、そこまでの余裕が、特に呼吸器内科とか、 まだないように思えます。 ○武澤委員  呼吸器内科と血液の悪性腫瘍の割合というのは、全体の再入院の中の何%ぐらいを占 めるのですか。 ○佐世保市立総合病院内科管理診療部長  再入院の中のパーセントは覚えていませんが、うちの入院患者の4割以上が呼吸器内 科と血液内科と外科で占められていますので、呼吸器内科と血液内科、大半が肺がん症 例ですから、呼吸器内科と血液内科だけで入院患者の3割ぐらいを占めていますので、 そういった実態が特に周りにないということで、しわ寄せと言いますか、あります。 ○佐藤委員  今のクリニカルパスの件ですが、17年度と18年度で、パスの導入である程度下がっ たということですが、パスの数とか、パスの実施率というのはどの程度くらいか、もし わかればお教え願います。 ○佐世保市立総合病院長  180疾患にクリニカルパスが作成されておりまして、6割がパスを利用しています。 ○原医療課長  2つほどお聞きしたいのですが、週末に帰られることが多いというのですが、病院と して曜日別の病床利用率みたいなものは出しておられますか。 ○佐世保市立総合病院長  今持っておりませんが、私ども急性期の病院で、週末、土日に30人から40人の患者 が搬送されてまいりますので、そういうことで、週末、それに退院という形をとります と、救急患者の対応がしやすくなります。 ○原医療課長  もう一つ、佐世保の場合は全体も高いのですが、3日以内が非常に高いんですね。が んの化学療法で、普通だったら外来でできるものを1泊2日でやったとしたら、間5日 間あくわけですよね。だから3日以内になるというのは余り考えられない。逆に、先ほ ど言われたように、本来なら帰らなくて入院させておけばいいけれども、患者のQOL もあるから週末に帰らせているというのが多いのか。  あと、いただいている資料では、決して血液疾患だけではなくして、乳がんとか、子 宮頸がんとか、いっぱいありますので、必ずしもそれだけではないような気がするので すが、要するに全国と比べて何でそんなに高いのかと。多分、DPCで大事なのはほか の病院との比較だと思うんですね。個別にいろいろやっておられるのはわかるのですが、 では何でほかの病院はそれじゃなくて、何でここの病院だけがこうなっているのかと。 そういう分析が大事だと思うのですが、そのあたり、何か特徴的なものがあるのでしょ うか。 ○佐世保市立総合病院長  化学療法は先ほど述べましたとおりですが、私ども、ここにはありませんが、放射線 治療が週3回で、月水金とかけますと、金曜日に帰すという症例が、この乳がん等では 多いわけです。そういうのも化学療法プラス、この放射線はここに入っていませんが、 そういうのもかなり私ども、放射線治療装置を2台持ってかけておりますので、外来で 近くの方はできますが、遠くの方がどうしてもそういうふうに週末退院するという格好 でやっているために週末に帰るというスタイルになっているんだと思っております。 ○宇都宮企画官  1点だけお願いします。調査に対していただいた回答の中で、「外泊として取り扱うべ き事例も若干含まれていた」という御回答をいただいているのですが、これは具体的に どういう事例についてそのようにお考えか、また何%ぐらいそういうのがあったという ことなのか、教えていただきたいのですが。 ○佐世保市立総合病院内科管理診療部長  パーセントはちょっとわかりませんが、この7日以内入院が8.7%ぐらいありますけ れども、8.7のうちの1ぐらいはあるのかもしれません。それは先ほど申し上げた、D PCが導入されるときに講習会とかで、化学療法の短期の入退院は一応黙認と言います か、そんな形だと聞きましたが、ほかのことでの短期の入退院はだめですよというのは ちゃんと講習で言ったのですが、それが十分に守られていなかったのかなと思える症例 はあったと思います。化学療法でクールとクールの間の短期退院、そういう形以外の再 入院をさせてしまっている科があったみたいです。それは後で聞いたら、済みません、 よく知りませんでしたという話だったのですが。だからそこは徹底ミスと言いますか。 ○西岡分科会長  その講習会というのはだれがやった講習会ですか。院内ですか。 ○佐世保市立総合病院内科管理診療部長  院内です。 ○西岡分科会長  DPCの特別というものではない。 ○佐世保市立総合病院内科管理診療部長  ないです。情報を持ち寄って、それで聞いてきたことをみんなに。特にDPCの導入 に当たっては電子カルテでそのままするようにしましたので、その扱いを含めての講習 会の中でそういう注意事項をお話ししたということです。 ○西岡分科会長  コンサルタントの講習会ですね。まだいろいろとお伺いしたいことがあると思います が、時間になりましたので、佐世保市立総合病院の分はこれで終了させていただきたい と思います。また戻ってお伺いすることがあるかもしれません。  次に慈愛会今村病院の方で御質問をお願いいたします。 ○齋藤委員  先ほど佐世保市立病院に伺ったことと同じような質問なので、要点だけ申しますと、 私も、さっき山口委員が言われたように、やはりがんの化学療法の人はできるだけ家族 と長く触れ合う機会を持った方がいいと。少なくとも出来高のときは、連休のときとか、 あるいは年末年始などは外泊にしないで一たん退院すべきだというのが妥当な指導だっ たと思うんですね。ずっと継続すれば入院基本料は収入になるけれども、それは保険医 療として適切でないということで、だから外泊扱いをもっと行うべきだという考えもか なり慎重でないといけないという見方はあると思うんですね。がんの化学療法の問題は 非常に難しいので、先ほど佐世保の先生に伺ったように、先生、どういうふうに扱うの がいいと思いますか。 ○今村病院長  私も腫瘍外科医ですので、2つ考えられると思います。1つは、術後のアジュバント ケモテラピー。手術した後、進行がんであったから予防的な化学療法が必要だというレ ジメに沿った研究等もございますが、それにのっとったガイドラインに沿った化学療法 ですね。その1つのグループと、もう1つは再発してきたがん、いわゆる末期の状態と か、そういうものに最近は血管内治療とか、あるいは化学療法も結構有効になりました ので、それに対する化学療法と2群に分かれると思うんですね。ですから、御指摘のよ うに、アジュバントケモテラピーの場合はできるだけ外来に持っていくという形でやっ てきておりますので、1週間以内の再入院による治療というのは減ってきております。 ○齋藤委員  進行がんについての化学療法の扱いはどうお考えですか。 ○今村病院長  これは一番問題点がございまして、末期の肝臓がんとか、肺がんとか、呼吸器合併症 を伴う場合、管理が非常に難しくなりますので、それは今は在宅医療が進んでおります とはいえ、まだまだ鹿児島県におきましては呼吸器管理までできる在宅医療の支援病院 というのが少ないですので、入院で治療をという家族の要望が非常に強いという面がご ざいます。  ですから、呼吸器不全を伴う、例えば肺炎を起こしやすいとか、あるいはケモテラピ ーのために白血球減少で感染を誘発しやすい状態にあるとか、あるいは高齢者であると いうファクターが加わってきますと、どうしても入院と。  あるいは、できるだけ在宅で少しでも元気をつけてもらおうと思って一旦帰しても、 周囲の人から、そんな人を退院させるんですかというようなことがあるということから、 1週間以内、5〜6日してからまた再入院とかいうこともあるし、もう1つは、今まで 閉塞していないのに急に胆管が閉塞してしまって黄疸が出始めるとか、熱が出るとか、 そういったものが含まれてくると考えています。 ○齋藤委員  制度としては今のあり方で……。 ○今村病院長  私は分けるべきではないかと。そうしないと、対応に我々としては非常に困っており ます。 ○熊本委員  化学療法で再入院率が高いということですが、外来化学療法に移行して可能な限り努 力したいということをお書きになっていらっしゃるのですが、ただ、先ほどの佐世保の 場合と同じように地域の問題とかあると思うのですが、努力して全国平均にとか、いろ いろなお悩みがあるかと思うのですが、そのあたりも教えていただければ。 ○今村病院長  化学療法は今年度の1月から外来化学療法室を、もともととってはいたのですが、全 面的に稼働させるように努力いたしまして、現在は52%ぐらいは外来でやれるようにな ってきております。ですから、そのあたりも努力だったのかなと思っておりますが、た だ、我々の病院は鹿児島大学の関連施設でございまして、大学で1クールしてから、そ の後私たちが引き受けるというパターンもございまして、そのようなところで少し……。 さっき、癌研等もお話がございましたが、主施設が1〜2クールやる。その間もまだ本 人は余り化学療法のダメージを受けていないという状態で、そういう状態で送られてく るというケースがございますので、本院での化療でダメージを受ける。どうしても入院 が長くなったり、あるいはできるだけ早く帰すためには再入院ということが起こってく ると考えて、それで努力はいたしております。 ○小山委員  ちょっと視点を変えまして、3日以内の救急入院のところで、緊急・救急入院という のが約2割ですよね。 ○今村病院長  5例ですね。 ○小山委員  そうすると、3日以内の入院の中の約2割がこの救急入院ということになりますよね。 これはどういうようなあれが。 ○今村病院長  28例、3日以内13%のうちの緊急入院5例です。これはどういうことかと申しますと、 例えば胆道ステントを入れておりまして、そしてそのまま帰すと。ところが詰まってし まって、高熱を発して入ってくるとか、急変するとか、注入しておりましたチューブが 抜去してしまって、そのために入ってくるという例があとの3例でございます。5例中、 そういうところでございます。 ○池上委員  こちらは今まで7日以内の再入院に着目されてきましたが、先生のところはむしろ8 日以上の再入院、あるいは15日を過ぎてからの再入院の割合が比較的多くて、それにつ いては特に理由が書いてございませんが、消化器系の疾患でがん以外のものがその場合 には多いようでございますが、これの理由は。 ○今村病院長  再入院211例中、計画的再入院152例、72%、そのうち化学療法は127例、84%を占 めております。ですから、主たる要因はがんの化学療法ということになります。それは どういうことかと言いますと、私どもの病院にはがんの化学療法の、いわゆる臨床腫瘍 学会の教育指導医、そういうのが内科2名、外科2名、いわゆる化学療法認定ナース1 名、放射線科における血管内治療の専門医が2名おりまして、どうしても現在、そうい うふうなものに力を入れているというところが一つの大きな原因だと思っております。 ○池上委員  私の質問の仕方が悪かったのですが、がん以外の理由は8日以上の再入院の場合も特 にないということでよろしいのですか。 ○今村病院長  私どものところはIBDの専門医もおりまして、レミケード治療とか、そういうもの を行っております。ですから、潰瘍性大腸炎、クローン腫病、年間133例の入院がござ います。主に鹿児島市内の専門的な治療をやっておりますので、長期入退院があるとい うことで、どうしてもそういう事例が多いということも含まれてまいります。しかし、 主なものは化学療法だということでございます。 ○酒巻委員  いただいた資料によりますと、「化学療法・放射線療法なし」がやや高いというような 数字が出ているのですが、これについては何か内訳等はございますか。 ○今村病院長  全体的に見てみますといろいろなのですが、新生児黄疸の光線療法が7日以内、ある いは3日以内に6例、3例、合わせて8例ございます。そういったものが含まれてきて いるということと、白内障手術患者がございまして、本院に勤めておりました眼科医が 近郊に開業いたしましたので、そこの手術患者を引き受けているということもございま す。そういうものが加味されてきているんだと理解しております。 ○西岡分科会長  今話題が出ましたので少し教えてほしいのですが、新生児黄疸の光線療法、これは私 どものところの小児科医に聞きますと、出産してそのまますぐにそれがわかるので、光 線療法は1入院の間に済ますのが普通であると言われているのですが、先生のところは 何か特別なことがあるのかということが1つと、もう1つ、先生のところで、今話題に 出ました白内障の手術の後の入院、これは急性期病院ではなくて、後方病院がやるべき ことですね。ですから、それがDPCに入ってしまうというのはちょっと理に合わない のかなと思うのですが、いかがでしょうか。 ○今村病院長  それは御指摘のことだと思います。本院が開放型病院をやっておりますので、近隣の 診療所の先生方とお互いに協働しながらやっていくということもございまして、高齢者 の白内障の手術後の患者さんは、月に10例以内でございますが、引き受けております。 そういう事情がまずは白内障にはあるということでございます。  もう1つ、今御指摘の新生児黄疸に関してですが、10.1mg/dl以上、あるいはそれ以 上あるときは、年間300例近い分娩を要しておりますが、そのうち、いわゆる簡易な測 定器ではかるということで、それで高い値が出たときに採血しまして、ビリルビン値を はかりまして、この例数に関しましては大体10.1、10.0、10.33、12.7、10.5、10.8、 それが17.3、18.5、要するに17コンマ以上台に上がってきたということで再入院を決 めております。  そういった意味で、一たん退院させてもお母さん方が心配されるということで、大体 1日の光線療法で効果があるものですから、それで退院させる。退院させてあげると、 やはりまだ心配されてというか、そういう形で連れてこられるということで、これはや むを得ないのではないかと思っているのですが、保険診療はあくまでも治療の必要な新 生児黄疸ということが対象になっておりますので、そのように考えております。 ○宇都宮企画官  調査票の回答で、3日以内の再入院の理由の1番目に「他院での検査・処置」という のがあるのですが、これは本来、対診で対応できるのではないかと思うのですが、そう いうことができない特別な理由があるのか。それともう1つ、一番下のところに「医師 の指示」というのもあるのですが、これもどういうことなのか、その2点、ちょっと教 えていただければ。 ○今村病院長  これは医師の指示で再入院が決定された、必要性があったということでございます。 そういう形で、必要性と言いますと、ここの事例から言いますと、ドレナージが抜去さ れた脱落の疑いがあるということと、イレウスの疑いがあるということで医師の指示が 出たということで、再診察時に来たときに指示があったという意味でございまして、手 術目的とか、そういうのとちょっと違う、処置が必要であるという意味で医師の指示と いうふうに挙げさせていただいております。  退院の検査・処置のためということですが、本院は165床の中小病院でございます。 しかしながら、かなりな機能は持っているのですが、胆道系の治療・処置に対しまして、 ERBDとか、そういったような操作がなかなか本院の力ではできないということで他 院にお願いすると。そうすると、他院も今、急性期病院がほとんどでございますので、 1日、2日で戻ってくると。そのための処置をお願いしているという現実でこのように なっております。現在はできるだけ本院に、その先生に来ていただいて処置をしていた だくという努力はしております。 ○山口(俊)委員  11ページの外科の内訳を見ますと、消化器の腫瘍をたくさんやっておられて、すばら しい実績だと思うのですが、胃がんとか、大腸がんのときのメニューにシスプラチンが 加わっているようなメニューが多いのでしょうか。術後の化学療法ですね。そういうも のであれば、1カ月に1回ぐらいの入院があるというものが多いというのは説明できる と思うのですが、どうでしょうか。 ○今村病院長  胃がんの場合はそれが多いと思います。大腸がんの場合はガイドラインのFOLFO X等が主になっております。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。まだいろいろ教えていただきたいことはあるのですが、時間 になりましたので、今村病院の先生、ありがとうございました。  次に旭川赤十字病院についての御質問等をお願いいたします。 ○熊本委員  旭川赤十字病院では17年、18年を比べますと3日以内がかなり減っているというこ とで、これは週末ということで理由をお書きいただいていますが、たまたま去年10月の ヒアリングでも旭川地区の病院が大分それをやっていたというので、そのことかと推察 しますが、それがDPC病院になって検査目的が減少して、空床対策もDPC対象病院 になってとられたということをお書きになっていたので、そのことをもっと聞きたいの と、3日以内だけではなくて7日以内も減っておりますよね。全国よりもまだ高いとい うことで、その理由はがん療法とか、いろいろなことでまたこれから御質問はあるかと 思うのですが、3日以内の理由は、今、推測で言ってしまいましたが、7日以内の理由 は、何か減るような努力はされたか、ちょっとそのことを教えていただきたいと思いま す。 ○旭川赤十字病院副院長  まず空床対策と。当院が3日以内が多いのは間違いなく短期のものをすべて外泊でな くて退院として扱っているということに尽きます。繰り返しますが、当院ではDPC、 昨年6月から入りましたが、それ以前は外泊ということを行わずに、すべて退院として 短期の外泊も扱っていたということが御指摘のとおり背景にあります。それは救急病院 として、先ほど佐世保の先生もおっしゃっていましたが、例えば週末であれば、当院、 50人ぐらいの新たな入院が発生する場合があります。そのためにベッドを確保したいと いうことで行ってきました。  ただ、DPCになってそれはどう変わったかということですが、実はベッド数は落ち ています。それはDPCに入る以前と比べまして5ポイントほど下がってきているとい うことがあります。  その原因に関してなぜかということを私なりに考えてみたのですが、1つは、いわゆ る検査入院ですね。内科で検査のためだけに何日間か入院して、そして帰しているとい うような入院がどうもなくなっているようだということがあります。ですから、それに 伴ってベッドがあいてきているということです。  診療科によっては意図的に、先ほどちょっと話が出ましたが、心臓カテーテルですね。 以前は1週間ぐらいの期間があっても、それは全部、一連の入院としてずっと入院させ ておいたものが、カテはカテ、その後、PCIはPCIという格好で分けるということ も循環器内科ではするということになって、結構、ベッドがあくようになってきたとい うことで、それを外泊として取り扱っても問題ないという状況に変わってきています。 そういうこともありまして、昨年6月からは外泊ということで取り扱いを変えたという ことで急激に下がっています。  ただ、まだそれでも高いのですが、これに関しましては理由がありまして、当初、ベ ッドの確保ができるのかという不安もあったものですから、周知が甘かったということ があります。具体的に出しますと83件あるわけなのですが、このうち7月が37件、8 月が20件、9月17件、10月9件と次第に下がっています。9月、10月ぐらいの数字で あれば、ほぼ平均的な病院に近づいているのではないかと思っております。  次に7日以内のことに関してですが、これもやはり理由としてはかなり近いものがあ ろうかと思います。4日、5日以前であれば、それも特にがんの末期のような方で何日 間かとにかく家に帰ってきたいという方も全部、外泊でなくて退院にしていたというの を、それを外泊として扱いましょうということも起こってきていますので、そういうこ ともあって7日以内も少なくなったと考えております。 ○酒巻委員  いただいた資料の中に患者のQOL向上のために一時帰宅したという症例がございま すが、言葉としてはQOL向上ですから非常にすばらしいことなのですが、それ自体、 単なる外泊と質的な違いとしてどうお考えになっているかということをお聞きしたいの ですが。 ○旭川赤十字病院副院長  率直に申しまして、外泊でもいろいろなものがまじっていると思います。例えば外科 の方で手術までの間、何日間か何もすることがないし、患者さんもすることがないから 帰りたいと言って帰る場合もあります。本当の意味でのQOL向上と私自身が考えます のは、例えば特に血液がんですとか、肺がん、しかもそれも末期に近づいたような方、 それが化学療法をして白血球が下がって、ようやく上がってきて、次のクールに移る前 に何日間かでも帰りたいと。そういった方が帰った場合には、それはQOLの向上とい う格好で考えていいのかなと思っています。 ○吉田委員  3日以内の再入院で、前回入院において患者の都合により退院したと。これはたくさ んあるのですが、具体的にはどういうものですか。 ○旭川赤十字病院副院長  基本的には患者さんが突然、週末何もすることがないんだったら1回家に帰ってきた いと言って帰られる場合があるわけです。そういったようなことです。 ○吉田委員  それにしても多過ぎますよね。 ○旭川赤十字病院副院長  本来それは外泊とすべきものだと思っています。それは今、修正しています。 ○齋藤委員  そうすると、先生のところでは空床を救急用に確保するために早期退院させる、週末 退院させるというニードは余りなくなっているというふうに理解してよろしいのでしょ うか。 ○旭川赤十字病院副院長  幸か不幸か、ベッドの稼働が下がってしまいましたので、その意味での目的は完全に なくなりました。 ○齋藤委員  外泊にするという考え方もありますが、すぐ入院するような場合は、DPC上は一連 の入院と見なすという取り扱いもあり得ると思うんですね。そういうことについては一 つの妥当な方向だと思われますか。 ○旭川赤十字病院副院長  私自身、出来高のときには、いない間でも15%診療報酬をいただけたものですから、 それをあえて放棄するということは問題ないと思っていましたが、それがDPCという 診療報酬制度になりますと、リセットということになります。そうすると、そこでまた 診療報酬が上がってしまうということで、不当な請求の仕方という認識を持っていまし て、それでやめることにしました。 ○原医療課長  いただいた資料の中でちょっと気になっているのが、0泊入院という言い方がある。 入院期間が1日、1日入院のことなのですが、1日入院というのは決して否定されては いないのですが、例えば化学療法なんかで1日入院というのは、恐らく病棟のベッドは 使うのかもわからないけれども、それは単なる点滴の間、あるいはその後少し休息をと るというためだけにもしベッドを使っているとしたら、やはりそれは入院扱いは多分で きないだろうと思いますので、そのあたりちょっと事務の方と整理を。要するに、外来 扱いで普通はやるべきものではないかなと思います。 ○旭川赤十字病院副院長  その点ですが、実は当院、外来のケモの設備が不十分でありまして、本来、おっしゃ るとおり外来扱いでしたいということで考えております。今、ケモの部分を増改築して おりまして、つくるつもりでいるのですが、最近、ベッドがあいてきたので、あいた空 床を利用して外来扱いで化学療法ができないかということで検討もしたのですが、実は 病床を外来として利用するということは許していただけないんですね、今の診療報酬の 中では。それでそれを断念して、やむなく入院扱いでさせていただいています。ですか ら、外来の化学療法部門ができましたら、それは廃止になると思います。 ○山口(俊)委員  化学療法がちょっと問題になると思うのですが、特に婦人科のweekly TJ療法はまず ほとんど外来でやっていると思うんですね。これは非常に安全な治療ですし、FOLF OXも原則としては外来だと思うのですが、今お伺いすると、外来の施設が十分でない ということが理由で、やむを得ないとは思うのですが、普通の点滴をやるぐらいだった ら、そういう化学療法を中心に優先してやられるような体制をぜひ整えていただいた方 がいいのではないかと思います。 ○旭川赤十字病院副院長  おっしゃるとおり、今、設備をつくるべく、来年には稼働する予定でおります。 ○西岡分科会長  ほかはよろしいでしょうか。では、どうもありがとうございました。  それでは次に鹿児島共済会南風病院の方への御質問をお願いいたします。 ○熊本委員  がんの化学療法の前にという意味なのですが、前回、昨年もお伺いしたときに、今回 のこの資料の中には出ていないですが、さっきの例にもありましたように、循環器疾患 の検査をしてインターベンションするというのがあって、そのことがここの中でかなり、 悪い意味じゃないのですが、いいディスカッションがされた記憶がちょっとあるのです が、それは今回の再入院には変更されたかなんかで余り入っていないのか。今回の資料 には余りそういうことが出ていなかったものですから。 ○南風病院副院長  17年のデータにはそういうふうに非常に再入院率が高いというふうに、MDCの5で すか、出ておりましたが、18年度になりまして、カテーテル検査を担当している医師の 退職に伴いましてカテーテル検査というのがなくなりましたので、その分については循 環器の再入院というのはなくなっております。 ○山口(俊)委員  これもやはり化学療法が多いと思うのですが、この病院でも外来の施設が足りないと いうことが理由なのでしょうか。 ○南風病院副院長  基本的には、うちには外来運営委員会などの化学療法委員会がありますので、順次外 来の方に移行しようということで、現在、1日で終わる化学療法に関しては、1週間で 大体数件ですが、特にジェムザールであるとか、そういうのはだんだん外来に移行して はおりますが、ハード面、ソフト面がまだなかなか充実しておりませんので、今後の課 題と言いますか、準備段階ではあります。 ○山口(俊)委員  ということは、基本的には外来でやれるけれども、今はやむを得ない事情でやってい ると理解してよろしいでしょうか。 ○南風病院副院長  そうです。 ○酒巻委員  いただきました資料では、がん化学療法についての資料が大部分なのですが、実際に 化学療法・放射線療法なしという患者さんの比率もかなりあるようにこの資料には書か れていますが、そのあたりの詳細をお教えいただけますか。 ○南風病院副院長  まず4日〜7日以内の再入院というのが、平成18年度を見ますと23件ありまして、 そのうちの6件。一番多いのが化学療法による有害事象と言いますか、特に好中球減少 によるものが9件、40%ぐらいあって、再入院でGCS−Fを投与しているというケー スがあります。あと多いのが検査後の手術のためということで、検査後、うちの病院で は術前のカンファレンスをやりますので、そこで術日が決定しますので、若干、手術の 日まで日にちがあいた場合には、患者さんの希望では1回退院していただいていると。 そういう例が23件中の6件あります。主なところでは4日〜7日以内ではそういう内訳 になっております。3日以内の再入院に関しては、検査後の一時退院と手術のための入 院というのがありまして、それが7件ほど、やはり30%前後を占めております。内訳的 には4日〜7日と3日以内の件数の割合としては大体同じような割合になっております。 ○原分科会長代理  ちょっとお伺いしたいのですが、きょうおいでいただいた6病院、その中で再入院率 が高い中でちょっと南風病院が特徴があるのかなと思ったのは、3日以内が比較的低く て、それ以降の割合が高いのですが、何かコメントはございますか。 ○南風病院副院長  机上の配付資料がお手元にあると思うのですが、再入院の日にちごとに棒グラフで示 した図4というのをごらんいただきたいのですが、これを見ますと、私どもの病院です と圧倒的に、再入院が大体7日前後に集中しておりまして、その中でも化学療法という のは非常に多い比率になっております。したがって、特に1週間クールの化学療法とい うのが現在、外科と呼吸器内科、ここはほとんど化学療法をしているのですが、中心の レジメンというのがそういうふうになっておりますので、3日以内というよりは4日〜 7日以内の再入院というのが全体の中でも非常に高い比率になっております。 ○池上委員  確かにそうでございますが、再入院の半数以上は8日以上なのですが、今回のこのヒ アリングの主目的とは外れるかもしれませんが、半数以上の8日以上の期間を置いての 再入院の理由としてどんなのが考えられますか。 ○南風病院副院長  8日以上でも主に化学療法が比率的には一番高いと。うちの病院は、お手元の資料の 図1に示すとおり、患者ベースで見ますと27〜28%ががんの患者さんの入院になりまし て、DPCの件数ベースで言いますと41%が悪性腫瘍の患者さんになります。化学療法 だけじゃなくて、だんだん患者さんは悪くなりますので、状態の悪化に伴うような予期 せぬ再入院であるとか、予期された再入院、そういうのが8日以上ではその次ぐらいの 位置を示したというふうに思われます。 ○山口(俊)委員  術前の検査の入院ということですが、例えば胃がんとか、そういうときに術前に入院 してやらなくてはいけない検査というのはどういうものがあるのでしょうか。普通はC Tと内視鏡ぐらいをやれば、ほぼステージが決まって、あとは手術日を決めて入院とい うことだと思うのですが。 ○南風病院副院長  おっしゃるとおりなのですが、鹿児島というところは離島がありまして、いきなり紹 介状を持ってこられて、荷物を持ってこられてそのまま入院というケースが結構あるん ですね。そういう患者さんをもう1回帰すわけにはいかないものですから、外来で一々 胃カメラはこの日に来て、大腸がんの検査はこの日というふうに行かないものですから、 そのまま入院になるケースが非常に多いんですね。ですから、どうしても地域の特性と いうこともありまして、検査入院というのがよそのDPC病院に比べますと多いかもし れません。 ○山口(俊)委員  患者サービスとしては、そういう方が来られたら、その日にすぐ内視鏡とCTをやれ る体制をつくって、お帰りいただいて、手術の前に入院していただくというのがベスト だと思いますので、ぜひ御検討いただければと思います。 ○南風病院副院長  それは重々承知しております。今後の課題だと思います。 ○宇都宮企画官  特に3日以内の再入院の場合に、予期された合併症発症とか、予期された疾病の悪化・ 再発というのが比較的多いように見受けられるのですが、そうすると、そもそも退院さ せたこと自体がどうかなという話になってくるのではないかと思うのですが、この辺の ところはどういう。 ○南風病院副院長  術後に関しましてはイレウスがちょっと目立つような感じですので、退院時には特に 症状がなかったので帰したということで、術前に一応、患者さんの方に説明しておりま すから、そういう範疇で予期された再入院ということで、術後合併症が含まれていると いうふうに思います。 ○西岡分科会長  ほかに御質問はございませんか。松田委員、何かございますか。よろしいですか。武 澤委員、何かございますか。よろしいですか。それでは、どうもありがとうございまし た。  続きまして、井上病院についての御質問をお願いしたいと思います。 ○齋藤委員  井上病院の場合、透析の患者さんがすごく多いということで、その詳細な病名も、前 回入院時、今回入院時といただいておりますが、同じ病名で、イレウスならイレウスで 非常に短期間のうちにまた入院してくるというようなものも見られますし、一般の透析 病院に比べて先生のところの再入院率というのはずば抜けて高いと思うんですね。そう いう点で、退院の基準というものが普通の透析病院と違うのではないかということがこ のデータから見えてくるのですが、その辺、何かお考えはございますか。 ○井上病院院長  井上病院というのは透析専門病院で、127床の病床の中で自院だけで約880名の透析 患者さん、サテライトを含めますと2,000名の患者さんを診させてもらっています。そ うすると、北摂の方でどうしても入院が必要な患者さんが入院施設の井上病院に集まっ てくると。今おっしゃられましたイレウスというのは、これは特殊な症例でございまし て、長期腹膜透析をされて10年以上で血液透析に移られた患者さんですが、被嚢性腹膜 硬化症ということで、最初は中心静脈栄養で腸管休息、そういったことを試み、その後、 腸管剥離術をされた患者さんです。その患者さん、3日以内の再入院の中に2回入って おられるのですが、次の手だてというのが、正直申し上げて外科的な処置もできないし ということで、患者さんが、状態が落ちつけばどうしても退院したいということでの再 入院になっております。  DPC病名がどうしても慢性腎不全に偏るというのは、入院契機病名に関しましては 個別で書いているわけなのですが、週3回の透析をいたしますと、1回の透析で2,000 点。そうすると、2日も入院すると当然、大きな手術とかをされない限りは契機病名で はなくてどうしても医療資源病名ということで、慢性腎不全という病名をつけざるを得 ないというのが現状だと考えております。 ○齋藤委員  DPC導入のときに危惧されたことの1つに早過ぎる退院がふえるのではないかとい うことがあって、先生のところのデータなんかを見ると、多少そういうきらいが否定で きないのかなという気もするのですが、退院の基準とか、そういうようなものはどんな ふうにほかの病院と違うのでしょうか。 ○井上病院院長  退院基準に関しましては、うちのところはもう23個のクリティカルパスを使っており まして、その中に退院基準を入れています。ISO9001の中で指摘された入院計画書の 中に、患者さんに渡す計画書の中にも退院基準というのを設けております。それに対し て、例えばシャント不全であれば、2回穿刺し血液透析ができれば退院。例えば炎症性 疾患であれば、CRPが正常化すれば退院というふうな基準を設けております。  圧倒的に多いという御指摘なのですが、60%が透析の患者さんで、約40%が一般の患 者さんです。トータルで見ますと、3日以内の再入院というのが2.1で、透析の患者さ んが2.7%、そして一般の患者さんが1.2%。1.2%が平均の0.8%に比べると多いかも しれないのですが、決して再入院が全体的に多いというのではなくて、どうしても高齢 化されてきた透析患者さん、そして糖尿病の比率が圧倒的に多くなってきた透析患者さ んということで、透析直後の体調不良で予期せぬ再入院が必要になっている症例が多く 見られております。 ○松田委員  2点、御質問したいのですが、まず1つは、中を見てみますと預かり入院というのが あるのですが、それが何なのかということをまずお聞きしたいと思います。 ○井上病院院長  これは実は糖尿病で腹膜透析をされている患者さんで、視力が悪くて自分でバック交 換できない患者さんです。その患者さんが、家族がどうしても1週間、家の都合で介護 できないということで、預かり入院という形にさせてもらって、その間に必要な腹膜機 能検査とか、透析量の検査という形で対応させてもらっています。 ○松田委員  第2点目なのですが、病名を見させていただきますと、ほとんどが透析関連の合併症。 透析によく頻発するものだと思うのですが、その頻発した合併症の処置・治療が入院の 目的となっているわけですが、実際には医療資源病名で見ると慢性腎不全にほとんどな ってしまうということで、急性期病院のDPCの評価の前提としては、ほとんど入院契 機病名と医療資源病名とが一致している。今回の治療の目的の疾患に対してDPCをつ けるというのがそもそものアイデアだと思うのですが、そうすると、ベースにこういう 慢性腎不全がたくさんある患者さんに対して、DPCを適応することがなかなか難しい のかなというふうなことを先生のところのデータを見させていただいて思ったのですが、 実際、コーディングなんかも非常に苦労されているのではないかと思うのですが、その DPCへの適用という点において、透析専門病院がこのような形で入ってくるというこ とに対して先生のお考えをお聞かせいただけますか。 ○井上病院院長  1回透析を別枠で請求させていただければ、契機病名でDPC病名になると考えてお ります。ただ、どうしても1回透析が、先ほど申し上げましたように、エリスロポエチ ンとか、そういったもの無視の基本料だけでも1回の透析で約2,000点ということを考 えますと、『医療資源を最も投入した病名』が慢性腎不全となり、契機病名では当然やっ ていけないのが現状だと考えております。  例えばシャントを拡張させるPTAというのもあるのですが、PTAを入れるコード もございません。血管結紮術というコードで入れざるを得ないというのも現状で、こう いうふうな専門の疾患に関しては難しいところもあるかと思います。 ○西岡分科会長  むしろそういった場合、DPCに入った方が間違いだったということにはならないの ですか。 ○井上病院院長  そうかもしれません。民間病院というと、急性期病院に残るか、それ以外になるかと いうことを考えたときに、これからの動きが、DPCが急性期病院ということにつなが る可能性もあるのではないかということでDPCの方に平成15年から参加させていた だきました。 ○西岡分科会長  かなり早い時期からお入りになっておられるのですが、DPCの本来の目的からすれ ば違った形であったのかなという気もしたのですが、むしろそれはそれでまた別のカテ ゴリーであった方がいいのかなと思うので、そのあたりは何か特別に、やはりDPCで ないといけないというお考えなのでしょうか。 ○井上病院院長  難しい御質問なのですが、これからの病院というのがどっちの方向に向くかというの はどの病院も不安に思っているところですし、考えているところの中でDPCというの が、先ほど申し上げました、それが一つの急性期病院の生き残る道であれば、そこの方 で手を挙げて、それが不適切であればやめるべきかもしれないのですが、続けていくべ きかなと考えております。 ○酒巻委員  いただきました資料、間が0日と1日というのが12〜13人おられるのですが、見てい ますと、前と後ろの病名というのはかなり関係性があるというふうに見えるのですが、 先ほど齋藤先生も言いましたが、どんなふうに退院の基準というのを決めておられるの かというのをもう1度、確認の意味でもお伺いしたいのですが。 ○井上病院院長  病状が安定した状況という表現になってしまうわけなのですが、それを基準にしてい るわけなのですが。それ以上のことは、申しわけございません。 ○熊本委員  そこの点に関してですが、いただいた資料は自分の病院で診療して、退院されて、ほ かの病院が絡んでいるとか、そういうことは全くないわけですか。先生の病院でこれだ けのいろいろなことを診る診療科があられて、入退院は全部、自分の病院だけのことで のデータですか。 ○井上病院院長  再入院が全部自院かどうかはちょっとわかりませんが、3割ぐらいはサテライトから の入院も含まれております。 ○熊本委員  ちょっと思ったのは、脳幹の脳内出血を起こして1日して、2日あいて、また25日と いうのがちょっと不自然に思ったものですから、ひょっとしたら他の病院に行かれたり とか、そういうケースがあるのかなとちょっと思いました。 ○井上病院院長  これは上位の病院に行って、状態的にはもうこれ以上の治療はできないということで、 こちらの方に入ってこられた。 ○熊本委員  そういう症例かと思ったんですね。したがいまして、同じ病名であっても、よくなっ たから退院させたというわけではなくて、コンサルとかいろいろなことをされて、上位 病院に行かれて、それから戻ってきた症例をずっと診られているという例もかなり……。 ○井上病院長  あります。 ○熊本委員  かなりかどうかわかりませんが、あるようにお見受けしたものですから、質問させて いただきました。 ○井上病院院長  ありがとうございます。 ○武澤委員  127床の病床ということですが、このうち透析に関係する患者さんは大体何%ですか。 ○井上病院院長  6割ぐらいです。 ○武澤委員  4割が全く透析と関係ない患者さんというふうに考えてよろしいですか。 ○井上病院院長  私どもは系列で2つの老健を持っております。その老健に透析施設も併設させて、介 護を必要とするような透析もしているわけなのですが、それ以外の老健の一般の方も入 ってこられますし、それ以外の地域住民の入院というのもございます。 ○武澤委員  合併症を持った透析の患者さんの受け入れ先というのは結構難しいと思うんです。大 きな病院でも拒否することもあるし、先生の病院のように透析を中心にやっているとこ ろに、他の治療施設とか、あるいは透析患者も包括できる専門医がいれば、そこに患者 が集中するというのはわかるのですが、そういう理由で例えば患者の回転を上げなけれ ばいけないとか、退院を早くさせないと次の患者をとれないとか、そういうような状況 はあるのでしょうか。 ○井上病院院長  いつも稼働率が安定しているわけではないのですが、120ぐらいのベッド数のキャパ で行きますと、入院稼働率が高くなったときに、土日の夜間の救急体制というか、肺鬱 血で緊急透析を回さなければいけないとか、そういった患者さんのことを考えて、土日 にできるだけ退院していただくこともございます。 ○武澤委員  救急が多いというのはそういう意味でとってよろしいですか。 ○井上病院院長  はい。 ○西岡分科会長  ほかにございませんか。どうも先生、ありがとうございました。  もう1つ、済生会川口総合病院につきまして、お願いいたします。私から、質問させ ていただきます。この中で、患者の都合により退院したためとか、あるいはQOL向上 のためにという理由のものがかなりを占めていると思うのですが、その中身としてはど んなものなのでしょうか。 ○川口総合病院長  済生会の原澤です。昨年の6月から対象病院になっておりますが、17年度と多分変わ っているところは、03のところが少しオーバーして、07全体ですと37%が39%で、そ れほど再入院の03、04、07というのは変わっていないです。  ところが03がちょっとふえている理由は、もともとうちはがんの手術はしておりませ ん。ただ、ステージ3Bから4という、パワーアドバンスと言いますか、そういうがん の患者さんが肺がんの中で圧倒的に多いです。その症例が約4例ぐらいふえたというこ とと、消化器の、先生が今御指摘の患者さんの都合であるとか、あるいは一時退院した んだけれども腹水がコントロールできずに、あるいは肝性昏睡になったとか、そういう 状態で、意外と横着な患者さんが多くて、どうしても帰ると言ったんだけれども、患者 さんとしては余りいい状態ではない状態で帰って、それでまた再悪化ということで昏睡 状態で入ってくるというような症例が消化器内科で昨年、17年度が3例あったのが、消 化器内科で16例とかなり際立って多くなったんです。そのために03のパーセントが上 がったと理解しております。  先ほどのQOLの問題は、佐世保の病院とほとんど同じで、ステージ3Bから4です ので、4カ月ぐらい、肺がんのケモテラと、うちは放射線もやっておりますので、化学 療法なしということでデータをいただいたのも、2回目は化学療法でなくて導入だけの 放射線治療、リニアックをやるというようなことで入っている症例も入っております。 ○齋藤委員  退院時期の見極めというものがこういうケースで大変重要だと思うのですが、先生方 のところで退院時期の見極めは、例えば担当医の判断なのか、あるいはクリティカルパ スがかなりそういうことにまで及ぶような形でつくられているのか。病院によってはデ ィスチャージナース、退院担当ナースというものを入れてチームとして判断すると。そ ういうような仕組みも取り入れられているところが多いですが、先生のところはいかが でしょうか。 ○川口総合病院長  当院は、先ほどのパスの問題ですが、こういう末期の症例、特に肝性昏睡の肝硬変の 末期とか、そういうのはパスに該当しないんですね。したがって、そういう以外のパス は140種類、60%ぐらいのパスの利用をしております。  後段の方のディスチャージナースについては、入退院調整担当者ということで、かな り前から入院の調整ですね。救急で入院したときのベッドをどこでつくるかとか、そう いうことを中心にやるナースを置いております。副部長格ですけれども。 ○齋藤委員  担当医だけではなくて、看護師の目も入りながら妥当な退院時期をされていると。そ ういうことですね。 ○川口総合病院長  毎月、3カ月以上の在院の患者さんのリストを全部挙げてもらったり、あるいは1〜 2カ月のリストを挙げる、2カ月から3カ月のリストを挙げるというようなことで、そ のときにはドクターに聴取をして、後方病院にないのか。それは当然、MSWも加わり ますが、そういう形で退院調整はやっております。 ○酒巻委員  眼科の手術において、ここでは水晶体再建術というのを出されていますが、全体の中 での3日以内、もしくは7日以内という比率はどのくらい。 ○川口総合病院長  期間内での同様の手術は48症例あります。この調査期間の間の。その中で1泊2日の 入院という形で来ている症例が8例。だから8例分がここに挙がってきておりますので、 全体は48症例が該当しているのですが、03、07の再入院の率が、眼科ではその例が挙 がっております。ほとんど合併症のない人が再入院でやるというような形です。 ○酒巻委員  ほかの病院の先生方にも同じような質問を本当はしたかったのですが、計画的に手術 したり、検査したりして入院するときに、入院計画書を一番最初にとられるときに、ど のようなインフォームドコンセントと言いますか、そういうことをおやりになっている のでしょうか。 ○川口総合病院長  外来で今、それを実際、例えば連携パスをつくってやろうとすることで動いておりま す。ただ、外来と入院の連携パスは現在やっている最中でありますので、調査期間の中 では外来でどこまでとか、あるいは入院でどこまでということは、基本的にはやってお りません。計画的入院ということで、検査前入院というのはほとんどうちの病院はやっ ておりませんので、特に肺がんの症例は、さっきも言ったようにステージ3Bから4で すので、そのとききちんとステータスパフォーマンスを加えてどういう治療をするかと いうことを選択するための入院は前の方でやっております。 ○酒巻委員  ということは、一連の全体の治療計画ということは、第1回目の入院のあたりにおい て既につくられているというふうに考えていいわけですか。 ○川口総合病院長  肺がんの、特に末期がんについてはそうです。 ○原分科会長代理  眼科の手術の確認ですが、1泊入院ということはわかりましたが、一眼をやって、そ の次再入院するのは何日あけるのですか。 ○川口総合病院長  それは患者さんによりけりで、例えば1週間の間にやりたいという人であれば、うち は眼科の手術は火曜と金曜を中心にオペを組んでおりますので、火曜と金曜で、もちろ ん単眼も複眼もそうなのですが、両方一緒にという、1入院の中でやるのは合併症のあ る患者さんのみで、基本的には健常者という扱いで。 ○原分科会長代理  特に03とか、07、どちらへシフトしているということではないと。 ○川口総合病院長  ではないです。 ○池上委員  同じ質問で恐縮ですが、8日以上の再入院の割合が先生のところは比較的多いようで ございますが、8日以上たってからの再入院はどんな患者が多く、またその理由として どういうことが考えられますか。 ○川口総合病院長  全体で再入院率は、ここに出ているように、18年が10.4%で、全国平均よりも少ない です。したがって、03、07で今協議しているのですが、全体の中はこれ以外のパーセン トが再入院をしていると。だけど全体としては10.4%と全国平均の下ですので、きょう は資料を持ってきておりませんが、調べればわかります。 ○西岡分科会長  ほかにございますか。1つ追加で教えてください。先生の方の報告いただいたところ で、他院受診のため一時退院というのはごくわずかでございますね。 ○川口総合病院長  これは1例です。 ○西岡分科会長  これは具体的にはどんなことですか。γナイフか何か。 ○川口総合病院長  γナイフではなくて、うちはCAPDをやっておりませんので、合併症があってCA PDが必要なのを女子医大の方へ送ったという症例です。 ○西岡分科会長  わかりました。ほかにございませんか。よろしいですか。川口総合病院長の先生、あ りがとうございました。  まだ少し時間がございますので、これまでの6施設の先生方、せっかくのチャンスで ございますので、もしお伺いしたいことがありましたら、どうぞおっしゃっていただけ たらと思うのですが。 ○川口総合病院長  済みません、1例だけだと言ったのですが、γナイフの1件が1例ありましたので、 2件ということで修正させてください。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。何かございますか。あるいは、せっかくの機会でございます ので、きょう来ていただきました先生方の方から何かDPCに関して、こういった問題 点があるんだというようなことを御指摘いただければ非常にありがたいと思うのですが、 いかがでしょうか。 ○邉見委員  おくれてまいりまして失礼しました。私、消化器外科医なのですが、イレウスの再入 院が割とございますね。入院のときは問題ないと思うんです。前もっていろいろ計画的 に、先ほど原課長おっしゃったように、前もって検査をするとか、いろいろなことがで きると思うのですが、先ほどから問題になっておりますように、退院が少し全体的に早 いのではないかと。我々は、御飯が食べられて、それが排便される、そこまではできる だけ置くようにしている。帰ってすぐに赤飯を食べる、これはやめろと言っています。 田舎ですから、赤飯を食べるとか、そういうお粥以外の普通の御飯を食べて、そして調 子が悪くなってくるというのは意外といるわけで、消化器外科の退院の基準というのが、 ある程度普通の日常生活の食事になるまでは、私はおらすべきではないかと。消化器外 科医にとって、帰ってすぐイレウスで戻ってくるなんていうのは非常に恥ずかしいこと だと私は思っております。ぜひ退院のところで、その辺のことをお考えいただきたい。 うちの病院ではそのように全員に言っております。御飯が食べられるまではおらせてあ げてくださいと。ちょっとコメントみたいなものです。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。貴重な御意見でございます。 ○木下委員  委員の先生方の御質問やら、各病院の先生方のお答えを伺っておりまして、正直、想 定内であったと思っております。こういうヒアリングでDPCのあり方として望ましい 再入院率にしていこうという努力は当然だと思います。本日お見えいただいた病院は、 大病院もありますが、百何十床というレベルのところもあり、透析病院も入っています。 私たち日本医師会が気にしていることは、今後、あらゆる種類の病院にDPCを採用す る門戸を開こうとしているかということです。本来のDPC病院は望ましい条件を満た した特定機能病院や大病院から始まったと思います。しかし、DPCを採用した病院は 特定機能病院でなくとも、基準に従う努力をしていても、再入院率等の問題は起こり得 る話だと思います。18年度19年度の準備病院のように、15年の基準と異なる病院が数 多く入ることにより、問題があってヒアリングを必要とする病院がふえてくる可能性も あると思います。  DPCを基準どおりにやっていれば、経営的に安心して診療ができて、調整係数は不 必要だということであるならば、問題ありません。しかし、今後、調整係数がなくなっ ていく方向は明らかですから、そういう視点から調整係数が廃止された後も、すべての 病院がDPCでやっていけるのかどうかが問題です。  例えば、先ほどお話がございましたが、入院平均在院日数を減らしていく結果、当然、 空ベッド数が増えます。どうやって空ベッドを埋めていくかという問題がやはり現実と してあるわけです。ベッド数を減らすことを国は考えていることは誰でも知っています。 従って、無理をして空床をうめる努力をしなければならない病院もあるわけで、手を挙 げたこのDPC準備病院を全てDPCを認めれば、再入院率の高い病院もあると思いま す。  病院のすべてがDPCを採用して、標準の平均再入院率でもそれで十分経営は心配な いという体制でなければ、DPCをすべての病院に拡大することは慎重でなければなら ないと思います。  DPC病院で生じる問題の今後の影響を考えつつ、質問と回答を伺っておりましたも のですから、どうしても一言、私の心配をお話申し上げた次第です。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。 ○嶋森委員  私、幾つか気になったことがありまして、離島とかを抱えている病院でDPCとの関 係がうまくいかない。例えば外来でやればいいけれども、先ほど、努力しますとおっし ゃったのですが、荷物をまとめて離島から病院にいらして、その日に帰せないという、 そういう事情がある。小さい病院と地方の病院の中でうまくDPCに乗っていけていな いというか、ずれが生じているという病院が幾つかおありだったようにお聞きしまして、 そういう病院の先生方で、そういうことをどういうふうにこれから考えていったらいい かということの何か御示唆をいただけるようなことがあれば、今後、DPCを考えてい くときにいいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。幾つか離島から患者さ んがいらっしゃるというお話があったので。 ○南風病院副院長  うちは鹿児島市にあるのですが、患者さんは全県から来ますし、離島からも来ます。 紹介先の先生方は大体決まっております。ですから、1つは、うちは地域支援病院でも ありますし、いわゆる連携パスですね。そういうもので、できれば当院に来られる前に、 できるものは全部していただくと。そういうことは一応考えてはいるのですが、なかな か専門的な、内視鏡とか、そういうのが離島でなかなかできにくい状況がありますので、 私、肝臓内科をやっているのですが、外科のカンファレンスでよくそういう患者さんに ついて議論するのですが、なかなかどうしたらいいのかなと。基本的に本島の患者さん は内視鏡ができる施設も多いですから、そこでしてきていただいて、うちに来たらCT を撮って、術前の肺機能検査とか、そういうのはすべて外来でやると。麻酔科受診も外 来でするというような工夫はしておりますが、なかなかその辺は無理に1回帰すわけに もいかないものですから、都会のDPC病院とはちょっと異なる状況はあると思います。  ただ、努力としては、そういう連携パスみたいなものを使って、できるだけ外来でで きるものは開業医の先生の方の紹介の方でしていただこうというふうに努力しておりま す。 ○佐世保市立総合病院長  私ども、五島列島の離島を抱えております。そこは診療所しかございません。17床の ベッドを持っておりますが、医師2人ですべての科を見ているという状況です。ですか ら、我々、そういうところに帰して治療をお願いするということはできませんので、ど うしても病院で抱えて、ある程度の治療をせざるを得ないと。そのときもずっと最初か ら最後まで病院の方ですべてやるということになりますと、長期になりますし、また患 者さんも週末は家族が迎えにくるから帰りたいという方もありますので、今のようなこ とで、私どもの病院が多少それでマイナスになっても、地方のがん診療連携拠点病院で すので、やらざるを得ないと私は考えております。 ○佐世保市立総合病院内科管理診療部長  追加で申し上げさせていただきます。先ほど言い足りなかったのですが、化学療法も 外来でするのは当たり前というふうにおっしゃられましたが、うちは放射線療法ですら 入院で全部やる患者さんがいます。離島であったり、陸続きなんだけれども高齢で毎日 通えないから、おらせてくれと。通ってくださいと言っても、きついから嫌だとか、そ ういう方というのは結構いらっしゃいます。あるいは、すぐ近くに結構大きな病院があ って、そこは放射線施設がありませんから、毎日、放射線治療のためだけに、そこに入 院したままで通ってくる人も何名もいらっしゃいます。  しかし、固形がんだと5週間、耳鼻科だと33回ですから、6週間半以上丸々入院で、 その間、3泊ぐらい帰っても、それは退院扱いにできないとなると、すごい在院日数の 延長につながるということで、現場の医師としては何とかならないかという気持ちが強 いので、何とか言ってきてくれと言われていましたので、一言言わせてください。 ○齋藤委員  先ほどの嶋森委員の御質問とも関連するのですが、今度は都市部で、済生会の原澤先 生に伺いたいのですが、都市部においても、これからの地域医療のあり方というのは病 病連携、病診連携、地域連携クリティカルパスと。そういうものがいろいろな疾病にお いて強化・展開されていくことだと思うんですね。その場合に、DPCも当然影響を受 けて、変容せざるを得ない。場合によると、再入院というものも後方の支援病院との行 き来の中で逆にふえてくる可能性も否定できないかなという気がするのですが、切れ目 のない地域医療連携、シームレスな連携関係を今後強化する中で、DPCというのはど ういうふうに位置づけられるとお考えになるでしょうか。 ○川口総合病院長  齋藤委員の質問はなかなか難しいですが、埼玉は東京に非常に近いところにあります が、余りDPCをやっている病院がありません。したがって、DPC同士で連携すると いうのはなかなか病病では難しいと思うのですが、実は紹介外来制をこの3月からやっ ておりまして、現在、登録医が250名。190何施設でドクターの数は250名ぐらい。登 録医で、ほとんど紹介でうちは外来をやるんだというふうに踏み切って、紹介率60、逆 紹介30ということをクリアすべくやっております。  そのときに、DPCがどこに作用するのかということについては、ここまでは病院が ケモとか、あるいはラジエーションをやって、ケモラジをやって、それ以降は何か重篤 な副作用がない限りは在宅の方で、例えば外来ケモにやれるようなスタイルを登録医の 先生方にやってもらおうというような動きは既にしております。  したがって、そういう方向性であれば診療所の先生と連携もうまくできるし、逆に病 院にとって、機能として、そういう患者さんを送っていただけるのだろうと思っており ますので、そういった意味ではDPCは生きてくるのではないかと思います。 ○小山委員  これはあくまでも個人的な、きょうお話を伺った中の意見として聞いていただければ と思うのですが、今回一番問題になっているのは3日以内の再入院ということが非常に 問題になっているわけですが、この理由として、先生方は患者さんのクオリティという ことをおっしゃっていますが、自分が患者になって入院したことを考えますと、2泊3 日、あるいは1泊2日、家に帰るのが外泊となると荷物を全部置いて帰れるわけですね。 だけど退院となると、全部片づけて帰らなければならないわけですよね。これを考える と、3日以内というのは外泊扱いにしてあげないと、患者さんの方がかわいそうじゃな いかという気がするんです。  皆さん、患者さんのクオリティとおっしゃいますが、家に帰すことはとてもいいこと だと思うのですが、だったら外泊で帰すべきであって、退院という形をとると、小さな 引っ越しを1週間ごとにしなければならないという話になりますので、これはもう1回 考えていただかないと、DPC本来の目的がこのことによって、松田先生が考えられて いる本来の目的から外れていってしまうような議論になって、2年連続でこの問題にな っていますよね。ですので、実際にやる医療機関が、本当に患者さんのためを思った場 合に、3日以内の再入院ということが患者さんにとって本当にいいのかどうかというこ とをもう1回考えていただかなければならないというような気がいたしました。これは 個人的な意見です。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。多分、委員の先生方、一番それが頭にあるのではないかと思 っております。 ○池上委員  私はちょっと別な観点から全体的にお聞きしたいことなのですが、再入院の場合、本 来、完全に経営的なことだけから考えますと、1回目の入院の期間がDPCの25パーセ ンタイル以内であるかどうかということが、リセット効果があるかどうかでありますの で、今回は再入院率ということだけに着目したのですが、非常にざっくりで結構でござ いますが、もし1回目の入院は25パーセンタイル以内であったかどうかということを、 印象でもよろしいのでお伺いできればということが1点。  逆に、15日以上を過ぎてからの再入院というのは、予期せぬことでアウトカムとして むしろ問題というふうにお考えかどうかという、この2点について、最初にあらかじめ 質問に用意しておけばよかったのですが、おわかりの範囲でお答えいただけますか。 ○西岡分科会長  手元の資料で見ていただきますと、25パーセンタイルでないのも結構含まれているん ですね。 ○池上委員  これは資料を見ればわかるのですが、せっかくおいでいただいているので、そのこと を意識されているかどうかということと、15日過ぎてからの再入院というのは、基本的 に予期せぬものとお考えで、アウトカムとして必ずしも好ましくないと考えていらっし ゃるかどうか。 ○西岡分科会長  きょう来ていただいている先生方で、何かこれに関しましてお答えできるところはご ざいますか。旭川の先生、いかがでしょうか。 ○旭川赤十字病院副院長  25パーセントタイルということは、入院期間1のことですね。例えば化学療法で当院 で行っています1泊とか0泊というのは、当然これはそれ以内ということになりますの で、そういったものに関しては当てはまると思います。ただ、7日以内に約240例ある わけですが、そのうちの、正確には数えていませんが、半分ぐらいは少なくとも25%よ り超えたところでの再入院だと思っております。 ○西岡分科会長  あともう1つの御質問ですね。15日超えた場合ですね。間隔が2週間以上超えた場合 は余り好ましくない再入院であるという、何かそういうことに関して御意見はございま すか。例えばマンスリーのケモセラピーの場合は超えてくるわけですけどね。特に御意 見はございますか。よろしいですか。ありがとうございます。  ほかに、きょう来ていただいている先生方の方で何かこれはということがございまし たら。 ○今村病院院長  診療の担当者といたしましては、どうしてもDPCに入り切れないところの枠組みと 言いますか、そのあたりをもう少し明確にしていただけると、少しそのあたりの選択肢 が出てくるのではないかと感じております。そうしないと、どうしてもDPCに当ては めようという動きで今までやってきたわけですが、その中で平均在院日数は着実に減っ てきております。私のところも、平成17年度が17.77だったものが、18年度の7月か らDPCを導入いたしましたら、15.幾らに下がっております。現在は14.09日で動いて おります。そういう仕組みだからそうなるのは当然だと思うのですが、ですから、その 中で在院日数を余り縛り過ぎますと、そこで皆さん、工夫をし過ぎるという、表現はお かしいのですが、そういったところにどうしても行くのではなかろうかなというのが、 私、院長として感じてきているところです。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。貴重な御意見だと思います。 ○南風病院副院長  先ほど、再入院に関して外泊の方が好ましいのではないかというお話が出ましたが、 外泊というのは、療担規則か何かでできないというか、そういうことはないのでしょう か。2泊以上は、冠婚葬祭以外はしてはいけないとか、そういうことが保健所の解釈の 問題とかがあって、そこはいつも院内でもめているところなんですよね。そこのところ はクリアしていただいたら、わざとリセットをかけているわけではないので、外泊がで きないからわざわざ1回退院してもらっていると。そういうケースもかなりあると思い ます。 ○西岡分科会長  これは事務局の方からお答えさせていただきます。 ○中田補佐  事務局の方からお答えさせていただきます。外泊につきましては、ただいまお話のあ った冠婚葬祭等の特別の理由がなければできないのかという御質問かと伺いましたが、 我々の療担規則上では、そういった特段の理由というものはございません。したがいま して、そういった理由にかかわらず、外泊が必要でございましたら、そういった外泊の 対応はできるといったようなことでございます。 ○南風病院副院長  鹿児島県は保健所の指導で、冠婚葬祭以外はしてはいけないという指導を受けるんで すね。そういう指導をされると、DPC病院としては非常に苦しいところがあって、こ れは全国で統一されていないのでしょうか。 ○西岡分科会長  保健所が言うのですか。 ○南風病院副院長  保険者の方から。審査委員会の方です。済みません。保険組合からそういうふうに言 われると。要するに支払い側から。DPCとは関係ないのですが、非常に難しい。 ○西岡分科会長  吉田委員、お願いいたします。 ○吉田委員  多分、そういう縛りはないと思います。社保庁が悪いのではなくて、各地区によって 相当差があるんですよ。ですから、そういう場合には必ず厚労省にお聞きいただいて、 確認してください。 ○南風病院副院長  それで一応、医事の方が、そういう指導があったものですから、リセットかけざるを 得ないというか、そういうケースもあります。 ○旭川赤十字病院副院長  私、感じておりますことを1つだけ言わせていただきたいのですが、この資料D−2 の一番最後のページの(6)自院で行えない治療を実施するために一時退院してと。例 えばγナイフですとか、PETですとか、そういった医療を行った場合に、現行では一々 退院しないと実際のところできない。そういった意味での再入院ということが実は起こ る可能性がある。  当院、実は一番困ったのが、当院は化学療法はできるのですが、放射線治療ができな い施設です。そういったときに、ラジエーションが必要な患者さん、基本的には転院し ていただいているわけなのですが、相手先の病院のベッドの関係とか、そういったこと でなかなか移れないというような場合に、なかなか当院としては対応に苦労するという ことが起こっています。他院でPETを行うときも同じです。そういったときの扱いを 明らかにしていただければということは思っております。 ○西岡分科会長  これは前回から我々の方の宿題になっておりまして、多分、次回の改定のときにはそ れがはっきり答えが出るというふうに考えています。 ○齋藤委員  これも私見ですが、保険診療における入院というのは、入院中に医療給付が確実に行 われると。それが大前提だと思うんですね。ですから、確かに荷物を持って帰るのは気 の毒だという見方は、1日、2日ならありますが、ただ、DPCの再入院率を減らさん がために1週間でもずっと外泊にしておくとか、そういうようなことが横行し始めると、 出来高との整合性がだんだん失われてくるかなという気もするんですね。入院医療と保 険診療の体系においてですね。その辺はぜひ慎重に外泊と退院・再入院との扱いを検討 する必要があろうかなと思います。それから、DPCの上で取り扱いを1入院と見なす とか、そういうこともあり得るかなという気はいたします。 ○山口(俊)委員  いい機会ですので、御出席いただいた先生の御意見を伺いたいのですが、きょうお伺 いしていると、化学療法に関しては外来でいいんだろうと。ただ、いろいろな事情があ って、特に外来の施設がちゃんとしていないとか、離島の問題もあります。術前の検査 も当然入れているわけではなくて、いろいろな事情があって、いろいろなことが解決し たら全部外来でできるというスタンスとお伺いしたのですが、問題は、そういうことは すべて実現して、外来の加療の体制が整って、術前の検査も全部外来でできるようにな ったときに、病院として空床ができてしまって経営が成り立たないとか、そういう状況 はないのでしょうか。つまり、今のままDPCを続けると、どうしてもベッドをやめて しまうとか、そういうことにならざるを得ないのではないかと思うのですが、そのあた り、御意見を伺えたら率直なところを言っていただければありがたいのですが。 ○佐世保市立総合病院長  今の段階ではそういうようなことを考えていないのですが、ただ、私どもは離島とい うことで、外来化学療法センターが充実しているのですが、できない患者がかなりおり ますということはお考えいただきたいと思います。 ○今村病院長  一番懸念しますのは、大都市、例えば鹿児島市であればDPC病院で在院日数が減っ てきて、お互い競争し合って、お互い連携し合ってということがいいと思うのですが、 地方の公的病院、民間の大きな病院等、急性期をやる上においてDPCを導入すること は、先生からの御指摘のようにかなり厳しい問題が出てくると思います。ですから、何 もかも急性期をやるのはDPCだということが起こってきますと、地方の医療は大変な ことになるのではないかと、やっている自身として、だんだん病床稼働率も少しずつ下 がりますし、これは当然、効率化を求めればそうなると思うんですね。  ところが片方では、高齢者がどんどんふえてまいります。そうすると、手術対象者が 本当に年々、極端に言いますと、80歳の人まで今、どんどんチャレンジする時代になり ましたね。癌研等もそうだと思うのですが、そういう年齢になってきますと、地方ほど それが非常に影響を及ぼしてくると。ではそういう人たちを地方で集めて手術するかと なりますと、その後のフォロー病院がなかなか厳しい状態に陥るということで、この問 題が大きな問題として残っているなと常々考えているところでございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。まだいろいろ御意見を承りたいのですが、予定いたしました 時間になりました。本日の議論はこれで以上とさせていただきたいと思います。きょう は本当に先生方、ありがとうございました。  事務局の方から連絡事項がございますので、お願いします。 ○中田補佐  次回の開催につきましては、9月27日、木曜日、14時からの開催を予定しておりま す。正式に場所等が決まり次第、追って事務局から御連絡させていただきます。 ○西岡分科会長  どうぞよろしくお願いします。それでは、平成19年度第3回診療報酬調査専門組織・ DPC評価分科会を終了させていただきたいと思います。本日はどうもありがとうござ いました。各先生方、御協力ありがとうございます。 (了)        【照会先】         厚生労働省保険局医療課包括医療推進係         代表 03−5253−1111(内線3278)