07/09/05 平成19年9月5日薬事・食品衛生審議会生物由来技術部会議事録 薬事・食品衛生審議会 生物由来技術部会 議事録 1.日時及び場所    平成19年9月5日(水) 16:00〜    厚生労働省共用第7会議室 2.出席委員(9名)五十音順    飯 沼 雅 朗、 小 澤 敬 也、○堺   晴 美、 澤 田 純 一、    土 屋 利 江、◎早 川 堯 夫、 山 口 照 英、 吉 倉   廣、 渡 邉   信 (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(6名)五十音順    岡 野 栄 之、 甲 斐 智恵子、 島 田   隆、 西 島 正 弘、 貫 和 敏 博、 山 口 成 夫      3.行政機関出席者    黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、     中 垣 俊 郎(審査管理課長)、   俵 木 登美子(審査管理課医療機器審査管理室長)、    豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、    村 上 貴 久(独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)  他 4.備考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会 生物由来技術部会を開 催させていただきます。  本日は、御多忙の中御参集いただきまして誠にありがとうございます。当部会委員数 15名のうち9名の委員に御出席いただいております。岡野委員、甲斐委員、島田委員、 西島委員、貫和委員、山口成夫委員からは、御欠席という連絡をいただいております。  事務局に人事異動がございましたので御報告申し上げます。医薬品医療機器総合機構の 上席審議役に就任した、村上貴久でございます。なお、事務局でございますが、大臣官房 審議官の黒川につきましては、所用のため、若干遅れて参りますことを、御容赦いただき たいと存じます。  それでは早速ですが、部会長の早川先生、議事進行をよろしくお願いいたします。 ○早川部会長 それでは、まず、事務局から配付資料の確認と資料作成に関与された委員 及び利益相反に関する申出状況について報告を行ってください。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日、席上に、議事次第、座席表、当部会 委員の名簿を配付しております。議事次第に記載されている資料1〜8、それから参考資 料1〜9をあらかじめお送りしています。このほか、資料4-2「諮問書(写)」、資料4-3 「第一種使用規程承認申請書差し替え」、資料5-2「運用通知(案)差し替え」、資料9「事 前にいただいたコメント」、資料10「専門委員リスト」を御用意させていただきました。 不足等がございましたら、事務局までお申し付けください。  それでは、次に、平成13年1月23日の薬事分科会申合せに基づく、資料作成に関係さ れた委員の確認でありますが、本日の審議品目については、関与委員はいらっしゃいませ ん。  また、本年4月23日の薬事分科会申合せに基づく、利益相反に関する申出については、 次のとおりです。議題1「遺伝子治療用医薬品の品質及び安全性の確認について他2事項、 タカラバイオ株式会社のTBI-0301」については、退室委員なし、議決には参加しない委 員なし。議題2「カルタヘナ法第4条に基づく遺伝子組換え医薬品の第一種使用規程の承 認の可否について、メリアル・ジャパン株式会社の猫白血病ウイルス遺伝子導入カナリア 痘ウイルスALVAC(vCP97)」については、退室委員なし、議決には参加しない委員なし。 以上です。 ○早川部会長 本日は、審議事項が2議題、報告事項が3議題、その他事項が1議題とな っております。  それでは、議題1に入ります。議題1に関連しまして、まず遺伝子治療用医薬品の品質 及び安全性の確認に関する制度の概要について事務局から御説明をお願いします。 ○事務局 それでは、御説明させていただきます。今回は、タカラバイオ株式会社の TBI-0301につきまして三つの御審議をお願いすることになります。一つ目が、遺伝子治 療用医薬品の品質及び安全性の確認について、二つ目が、カルタヘナ法に基づく第一種使 用規程の承認の可否について、そして三つ目が、カルタヘナ法に基づく第二種使用等に関 する拡散防止措置の確認でございます。  まず、遺伝子治療用医薬品の品質及び安全性の確認に関する制度、いわゆる「確認申請」 の概要について、資料に沿いまして、御説明させていただきます。  まず、最初に参考資料1「遺伝子治療用医薬品の品質及び安全性の確保に関する指針」 に沿いまして、指針の位置付けについて簡単に御説明させていただきたいと思います。  1ページ目の概要を御覧ください。  まず、「1.目的」でございますが、この指針は、遺伝子治療用医薬品の品質及び安全 性の確保のために必要な基本的要件を定めたものでございます。この指針において製造販 売業者は遺伝子治療用医薬品の品質及び安全性等の確保を期するため、開発している遺伝 子治療用医薬品がこの指針に適合していることの確認を、厚生労働大臣に求めなければな らないこととされております。  「確認申請」で確認すべき内容でございますが、「3.確認申請に当たって添付すべき 主な資料」にございますように、遺伝子導入法の理論的根拠等を含めた製造方法の妥当性、 規格、安定性、非臨床試験による安全性・体内動態等、それから遺伝子治療臨床試験の概 要、製造施設等」についてでございます。なお、この場合の臨床試験の概要と申しますの は、あくまでも計画中のものについてでございまして、適応症、実施施設、被験者の選択 ・除外基準、実施方法、患者以外への遺伝子導入の可能性、倫理的な配慮等を含むもので ございます。  また、確認申請と治験実施、それから承認までの「一般的な流れ」を一番下に簡単に図 で示してございます。製品開発や非臨床試験に関するデータに基づいて今回の確認申請が なされまして、本日のこの部会において、治験に入る前の品質、安全性の確認という観点 から指針への適合性を御審議いただきます。その結果、指針に適合していることが御確認 いただけた場合には、製造販売業者が、薬事法に基づく申請のための「治験」の治験計画 の届出を行うことが認められるということでございます。そしてその後、治験が行われま して、得られたデータ等に基づき、医薬品としての製造販売承認申請がなされますと、審 査を経て、再度、薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会、あるいは医薬品第二部会で御 審議いただくという形になっております。  つまり、今回御審議いただきます指針への適合性につきましては、本部会における審議 の結果が直ちに医薬品等の製造販売承認に結び付くというものではなく、あくまで治験に 入る前段階の、この製品の品質及び安全性の確認であるということでございます。 ○早川部会長 ありがとうございました。ただ今、この部会の位置付け、役割について御 説明をいただきました。繰り返しになりますが、遺伝子治療用医薬品についてのこの部会 の役割は、開発された製品について、治験に入る前に、どのような利用目的のために、ど のような導入遺伝子を使って、どのような製造方法で製品を造るのか、どのような品質特 性解析をして品質管理をしようとするのか、製品の安定性、製造施設・設備はどうかなど を評価、確認する、さらに、非臨床試験データなども併せて考えまして、治験に進むに当 たって、差し支えとなる品質・安全性上の大きな問題点がないかどうか、また倫理上の問 題はないかについて確認する、という役割だということであります。  臨床的な有効性、安全性はこれからの治験の成績を基に評価されるということでありま すし、製品の品質規格や品質管理のあり方についても、最終的には臨床上の所見あるいは 今後の製造実績などを踏まえて、次第に改善され、設定されていくということでございま す。  次に、この品目につきましては、カルタヘナ法の関係でも二つほど審議事項があるとい うことですので、これらについても事務局より御説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは参考資料2、カルタヘナ法の概要を御覧ください。カルタヘナ法と省 略して呼ばれておりますが、正式な名称は、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による 生物の多様性の確保に関する法律」と申しまして、遺伝子組換え生物等の使用等の規制に 関する措置を講ずることにより、生物の多様性を確保することを目的として、平成15年 に制定された法律でございます。  上から三つ目の囲み、「遺伝子組換え生物等の使用等に係る措置」にございますように、 この法律では、遺伝子組換え生物の使用に先立ち、生物多様性影響を防止するための措置 を採ることが定められており、使用形態に応じて第一種使用等と第二種使用等に分類され ております。第一種使用等と申しますのは、環境中への拡散を防止しないで行う、いわゆ る開放系での使用等のことであり、今回のTBI-0301の場合には実際にヒトに投与を行う 治験が開放系に該当いたしますので、第一種使用等に当たるものでございます。そのため、 開発者は事前に使用規程を定め、生物多様性影響評価を添付した上で厚生労働大臣及び環 境大臣の承認を受ける義務がございます。一方、第二種使用等とは、環境中への放出を予 防しつつ行う、すなわち、いわゆる閉鎖系での使用等のことであり、今回の場合には、製 造企業による製造施設内での治験薬の製造等が第二種使用等に該当いたします。開発者は その使用等に際して拡散防止措置を採る義務があり、省令等で定められていない拡散防止 措置については、厚生労働大臣の確認を得た措置を採る必要がございます。なお、カルタ ヘナ法の本文については、参考資料3にございます。  続いて、参考資料4を御覧ください。この資料は、今回のTBI-0301についての三つの 審議事項についての関係について簡単にまとめたものでございます。この図の上半分に記 載しているのが薬事法に関するものであり、医薬品等の品質、有効性、安全性の確保を目 的としております。今回の遺伝子治療用医薬品の確認申請は、品質試験、非臨床試験など の後、治験届の提出前に確認することとなっております。一方、下半分に記載しているの がカルタヘナ法に関する承認・確認事項で、今回御審議いただくのは、治験薬の製造等の 開始前までに行う、第二種使用等の拡散防止措置の確認、治験の開始前までに行う第一種 使用等の使用規程の承認の可否についてです。今回はTBI-0301について、薬事法とカル タヘナ法という観点から、以上の三つの事項について御審議のほどお願いいたします。  なお、カルタヘナ法の第一種使用等の申請に添付する生物多様性影響評価の様式につい ては後ほど御報告いたしますが、本申請についてはその通知に準じております。 ○早川部会長 ただ今御説明がありましたように、この品目は遺伝子治療用医薬品の品質 及び安全性の確認申請に加えまして、遺伝子組換え生物を利用する医薬品ということです ので、生物の多様性の確保に関するカルタヘナ法の確認事項等があるということです。今 回は、タカラバイオのTBI-0301という一つの品目について、三つの事項に関して審議を 行うということでございます。御出席の先生方は、既に制度のことについては十分御承知 のことと思いますが、何か御質問等はございますか。よろしゅうございますか。それでは、 それぞれ一つずつ、順番に審議を行ってまいりたいと思います。まずは、遺伝子治療用医 薬品の品質及び安全性の確認から始めたいと思います。遺伝子治療用医薬品、「TBI-0301」 の品目の内容、審査結果について機構から説明をお願いします。 ○機構 医薬品医療機器総合機構から説明申し上げます。  本剤は、単純ヘルペスウイルス1型-チミジンキナーゼ(HSV-TK)遺伝子、細胞内領域欠 損ヒト低親和性神経成長因子受容体(以下、神経成長因子受容体)遺伝子を含むレトロウイ ルスベクターを有効成分とする遺伝子治療用医薬品です。本剤は、同種造血幹細胞移植後 に再発・再燃又は増悪を来した造血器悪性腫瘍患者に対するドナーリンパ球輸注(DLI) の際に使用されます。  DLIを行いますとGVHDを発症する可能性がありますが、重症度の高いGVHDに 対しては十分満足のいく治療方法が確立されていないのが現状です。本遺伝子治療は、こ のDLI後のGVHDを制御することを目的としています。  本遺伝子治療の内容を具体的に説明いたします。  本剤をドナーリンパ球にex vivoで導入した後、発現産物の一つである神経成長因子受 容体をマーカーたん白質として遺伝子導入細胞を選択し、それを培養・増幅して、DLI 用のリンパ球として患者に投与いたします。投与後に、重症度の高いGVHDが発症した 場合には、医薬品であるガンシクロビルを投与いたします。そういたしますと、遺伝子導 入細胞では、もう一つの遺伝子発現産物であるHSV-TKによりガンシクロビルが細胞毒性 を有する活性型に変換されることから、選択的に細胞死が引き起こされ、GVHD症状が 沈静化することが見込まれるというものです。  本剤は、イタリアのモルメド社からタカラバイオが輸入し、それを用いて治験実施施設 がリンパ球に遺伝子導入をし、患者に投与いたします。  本剤の臨床での使用経験として、本邦では筑波大附属病院において、同様の遺伝子治療 が実施中でありまして、海外では、別効能ではありますが、治験や臨床研究が実施されて おりまして、いずれも現時点で大きな副作用を認めておりません。  本剤の製造方法については、増殖能を有するレトロウイルスの出現が最小化するように 構築されておりまして、仮にそれが出現したとしても検出できるように配慮がされており ます。また、製造に用いられる原材料につきましては、その残留量も踏まえまして安全性 が確認されております。  本剤の規格及び試験方法については、□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□ □、□□□□□□□□□□、□□□□□□などが設定されておりまして、安定性について は□□で、□□□有効とされています。また、遺伝子導入細胞につきましても、□□□□ □、□□□□□□□、□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□、□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□などの規格が定められているほ か、□□□□□□□□□□□□□□が測定されます。  非臨床安全性に関しましては、指針に基づき、増殖性レトロウイルスの出現の可能性、 細胞傷害性、染色体への遺伝子組み込み、がん原性、遺伝子が過剰に発現したときの安全 性、免疫原性などの項目について検討がされ、本剤により調製された遺伝子導入細胞は、 導入遺伝子が正常に機能すること、遺伝子導入することで標的細胞に異常を与えないこと が確認されております。  非臨床における効能を裏付ける試験としては、□□□□□□や、□□□□□□□などを 用いた試験が実施されておりまして、ガンシクロビルを投与することにより細胞の自殺シ ステムが機能することが確認されております。また、体内動態に関しては、□□□や□□ □などの動物を用いた検討や海外の臨床データに基づく考察が行われております。  総合機構での事前審査における主な論点を三点、御紹介させていただきます。  一点目は、遺伝子導入細胞の調製を治験実施施設で行うことで一定の品質が確保できる かということでございました。治験開始前までに治験実施施設において実地の試験製造を 行い、精密な手順書を完成させることを申請者より徹底させることを前提に、総合機構は、 現時点で治験実施に特段の問題はないものと判断いたしました。  二点目は、レトロウイルスベクターを用いることによるがん化の可能性でございます。 問題のあったフランスにおける遺伝子治療のプロトコールと比べ、対象患者の年齢、導入 遺伝子、標的細胞、がん化の懸念が生じたときの対処方法、臨床研究などでの使用実績の 点から見て、安全性はより高いと考えております。さらに、がん化のリスクに関して患者 に十分な同意説明が行われ、治験終了後もがん化に関する長期のフォローアップが実施さ れることを条件として、治験を実施するに当たり特段の問題はないものと判断しておりま す。  三点目は、インフォームドコンセントなどについてでございます。本剤以外の治療選択 肢について患者に十分な情報提供を行う必要があること、同意説明文書は分かりやすい文 書を用いて患者の理解に努めること、ガンシクロビルはサイトメガロウイルスの感染症の 薬剤でもあるため、サイトメガロウイルスの感染が発生した際の治療薬の適切な使用につ いては、治験プロトコールの上で明確にすること、などに留意することによって、本遺伝 子治療の実施は、倫理上、許容し得るものと判断しています。  以上をまとめますと、総合機構は、専門委員に意見を伺った上で、増殖性ウイルスやが ん化に関するリスク等への対応とそれを踏まえた患者への情報提供、致死的なGVHDが 沈静化できる可能性があるというベネフィットなどを総合的に判断しまして、現時点の科 学的水準から見て、本剤の品質及び安全性は確保されていると判断いたしました。  なお、本剤の専門協議に御参加いただきました専門委員は、配付資料10にございます とおり、本日御出席の小澤委員、山口委員を始め6名の委員でございます。  御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○早川部会長 ありがとうございました。本審議事項については、今日は御欠席ですが、 岡野先生から事前に御質問をいただいております。事務局より御紹介をお願いいたしま す。 ○事務局 事務局より岡野先生からの質問を読み上げさせていただきます。一つ目とし て、資料9にあるように、事前審査報告書の16ページの「染色体への遺伝子組み込み」 についてです。本剤を用いて調製された遺伝子導入細胞3検体についてのLAM-PCR法によ り行われたクローナリティに関する検討結果で、特定クローンの選択的な増殖を示唆する バンドが検出されなかったからといって、本剤による染色体組み込みによるがん原性が担 保されたわけではないものと考える。17ページに記載があるように、例えばプロトオン コジーンEvi1の近傍挿入部位によっては、がん原性を示す場合が、解析数を増やすこと により出現する可能性がある。その場合、本剤がHSV-TK遺伝子を有しているadvantage をいかし、ガンシクロビル投与により、がん化した細胞を殺すことができるかどうかが、 有害事象対策として重要であると考える。このようなデータがあるかどうかについて申請 者に御返答いただきたいと考える。  二点目が、事前審査報告書の26ページの「その他」の部分の記載の5行目です。「確 認申請の段階においては、品質と安全性が十分に予測されていれば、必ずしも医薬品の承 認申請と同様の詳細な要求事項を満たす必要はなく」とあるが、この記載における予測は どのような判断基準に基づくか、説明を補充されたい。  以上の点について適切にコメントいただければ、「安全性については[1]ウイルスベクタ ー及び導入遺伝子の特性を踏まえ、RCRの出現、細胞障害性、染色体への遺伝子組み込 み、発現産物の異常発現、がん原性、免疫原性等の観点から現時点で想定されるリスク検 証が行われていること…中略、等から、総合的に判断し、一定の範囲で安全性は確保され ていると考える。」という結論には賛同いたします。このような質問、コメントをいただ いております。 ○早川部会長 この件について、機構からコメントをお願いします。 ○機構 岡野先生からいただいているコメントに対しまして、一点目ですが、ガンシクロ ビル投与によりがん化した細胞を殺すことができるか、そのようなデータがあるかという 御質問について、申請者に確認いたしました結果、臨床でこの細胞ががん化したケースが ないため、これを示せるデータはないということでございました。しかしながら、正常な HSV-TK遺伝子が組み込まれ、それが発現している細胞であれば、理論的には、ガンシク ロビルを投与することによって細胞を消失させることが可能と考えられ、少なくとも安全 面の一つにはなっているものと考えています。現状としましては、LAM-PCR法を用いて長 期にクローナリティをモニタリングすることによって対処していくことが、最大の重要点 であろうと判断しておりまして、また一般的であろうと考えております。一点目について は以上です。  二点目ですが、機構の事前審査報告書に対する指摘等について、補足説明させていただ きます。確認申請の段階では、治験の進行に伴って、より綿密に設定されるべき品質規格 がまだ定まっていないこともありまして、必ずしも承認申請と同様の詳細なデータを満た すことができないという実情を説明させていただいたものです。使用されている原材料に ついて、ウイルス安全性上、問題のないものと判断しております。  具体的な説明を申し上げますと、本剤(ベクター)の製造において、「□□□□□□□□ □」と「□□□□□□□□□□」が使用されております。□□□□□□□□□については、 米国で医薬品として承認されているものですし、いずれも、米国の規制に基づいて採取さ れた血液、内容は日本の生物由来原料基準にも適合するものですが、これに由来し、血液 製剤における一般的なウイルス不活化処理であります液状加熱処理(60℃、10時間)が施 されていることが説明されていましたが、一点、ウイルス不活化工程評価、すなわちウイ ルスクリアランスについての情報を申請者は入手できておりませんでした。この点につい て書かせていただいたものですが、しかしながら、その後の遺伝子導入細胞の調製過程に おきましても十分に希釈・除去されますし、いずれの原材料も安全性は高いと考えており ます。  岡野先生からいただいたコメントについて、機構の見解は以上のとおりです。 ○早川部会長 岡野先生からの最初のコメントで、細胞ががん化する可能性がある、それ に対して、ガンシクロビルを投与して殺せることが考えられるが、そういうデータをメー カーが持っているかについては、メーカー自体はデータを持っていないということです。 関連して何かコメントがありましたらお願いいたします。小澤先生、何かございますか。 ○小澤委員 タカラバイオの方で、そういうデータを持っていないというのは変だなと思 ったのですが、恐らくベクターを提供するモルメド社の方で、これは随分昔のプロトコー ルですので、当然、前臨床でやってあるはずの実験なのです。遺伝子発現していれば、普 通、きちんとガンシクロビルで死んでくれますので、更にモルメド社のデータをください と言えば、当然、そういうデータはあるはずだと思います。ともかく、余り問題はないこ とだと思います。 ○早川部会長 これは多分二つありまして、導入した細胞が殺せるかどうかということで はなくて、がん化した細胞があるか、そのがん化した細胞を殺せるか、岡野先生の御質問 はそういう御質問だと思います。 ○機構 先生の御指摘のとおりでして、遺伝子導入した細胞が、□□□□□□□□□□□ □□□□□□□、□□□□□については、細胞の規格にも設定していまして、それは大丈 夫です。導入することによって細胞ががん化するという現象はまだ見られていないので、 そのようなデータは持ち合わせていないということです。 ○小澤委員 機能としては動くでしょうから、問題ないと思います。 ○早川部会長 理論的には、がん化した細胞は死ぬでしょうということですね。ほかに何 かコメントはありますか。よろしいですか。二点目についてはいかがでしょうか。機構の 説明としては、規格及び試験方法等は、治験の進行とともに整備されていくものであるの で、確認申請の段階では、治験に移る前に品質、安全性上の大きな問題はないかを確認す るという趣旨である、そういうお答えであったかと思います。よろしいでしょうか。 ○山口(照)委員 それで結構だと思います。これまでも、HGFなどの遺伝子、プラスミ ドの場合でも、暫定基準を認めるという形でやっておりましたので、それは治験の進行に 伴って整備していかれるということだと思います。 ○早川部会長 関連してでも結構ですし、その他の御質問、コメントでも結構ですが、委 員の先生方からお願いいたします。 ○飯沼委員 細胞を殺すのにガンシクロビルを使うというお話ですが、アシクロビルでは なくて、ガンシクロビルである理由は何ですか。 ○機構 その点については機構の審査の中でも確認しておりまして、モルメド社の方で も、アシクロビルとガンシクロビルの比較はしています。その結果、アシクロビルよりも ガンシクロビルの方がより低濃度で細胞増殖抑制を起こして、その作用がHSV-TK陽性細 胞においてより特異的だったことから、この系を選択したものであります。また、タカラ バイオとしても、遺伝子治療の臨床研究等でその使用実績があったことから、この薬剤を 用いる方がよいだろうという判断で、HSV-TK/ガンシクロビルの系を選択しております。 ○早川部会長 殺細胞効果がガンシクロビルの方が強かったということだと思います。ほ かにいかがでしょうか。 ○澤田委員 移植をした後の問題ですが、基本的な疑問です。移植した細胞が増えてくる ということだと思うのですが、そのときに、前にあった本来のリンパ系の細胞は、この治 療の場合にはほとんど残っていないと考えてよろしいのですか。それとも、両方増えてキ メラになった状態を想定した方がいいのかどうか。 ○機構 基本的には両方の細胞、両方のリンパ球が存在している状況ということです。 ○澤田委員 がん細胞を叩くので、かなり強烈なことを普通はやります。そのときにまた ステムセルが残っていて生き返ってきて、本来のリンパ系の細胞とドナーのリンパ系の細 胞が同時にいるという状況で、どうなっていくか。 ○早川部会長 多分、叩き切れないので少しはいるのでしょうが、基本的には叩いて輸注 するのではないかと思います。 ○小澤委員 普通のマイエロアブレイティブな前処置を行った場合は、レシピエントの、 ホスト由来のリンパ球はいなくなり、ほぼドナー由来のリンパ球だけになっているはずで すが、ミニ移植のような軽い前処置を行った場合には、しばしばミクストキメラの状態に なって、ホスト由来のリンパ球もしばらくは残っています。その場合は、DLIを行って いくとすべてドナーの方に置き換わっていって、完全キメラになってくるのです。ですか ら、混合キメラの状態というのは一時的であって、ほとんどは全部ドナーのリンパ球にな ると考えてよいと思います。 ○澤田委員 ほとんどのリンパ系の細胞がもしドナー由来だとすると、一生その人のリン パ系はTKを持つという状況になる、そういう理解でよろしいのですか。 ○機構 最初に移植をして、その後に再発した患者さんにドナーリンパ球のみを投与する という形になっていますので、最初に移植した分の細胞からのリンパ球も出てくるとは思 います。最終的にドナー由来のリンパ球に置き換わるとは思うのですが、そのときの HSV-TK保持率については分かりません。 ○澤田委員 一番知りたかったのは、もし10年くらいのスパンで見ていくと、ほとんど その方はTK有りの人なのかどうか、そういう状況なのですが。 ○早川部会長 小澤先生、何かございますか。 ○小澤委員 DLIで投与するリンパ球はそれほど多い量ではありませんから、入れた後 は体内ではごくわずかだと思うのです。それをフォローアップしてどれくらい長持ちする かというデータがあるかどうかは知らないのですが、体内では相当希釈されているので、 基本的に入れた時点でもそれほど多くはないでしょうし、それほど長持ちするような気は しません。DLI自体は一時的な効果をねらったものです。 ○機構 海外の臨床データですが、患者さんへの本遺伝子導入細胞輸注後28か月までは 発現している細胞を確認できたというデータはあります。 ○澤田委員 部分的にTKポジティブのリンパ球は残っている、そういう解釈でよろしい のですね。それ以外は、本来のその人由来のリンパ系。 ○小澤委員 移植後経過でいくと、急性のGVHDが出るころは、ドナー由来の投与した 成熟リンパ球がしばらく働いています。それから、day100以降が慢性GVHDの時期に なってくるのですが、その時期は、今度は移植した造血幹細胞から立ち上がってくるドナ ー由来Tリンパ球の方に置き換わってくるのです。ですから、当初のday100くらいまで の時期とそれ以降とは少し違います。  要するに、最初のころは、入れた成熟リンパ球がしばらく存在して、そのときに acute GVHDを起こすのです。しばらくすると、今度は移植した造血幹細胞に由来する リンパ球が立ち上がってきて、それが場合によっては慢性GVHDを起こしたりする。そ ういう二相性のような感じになります。ですから、患者さん由来のリンパ球がまた立ち上 がってくることはないです。 ○早川部会長 置き換わるということですね。あとはガンシクロビルを入れるタイミン グ。GVHDが重症になってくることとがんを殺せるかということのバランス。 ○小澤委員 DLIで使ったリンパ球がGVHDを起こした場合ですね。 ○早川部会長 そうですね。御疑問があればどうぞ。 ○澤田委員 もし万一うまくいってガンシクロビルを投与せずに済んだ場合に、一生、遺 伝子を持ち続けるという状況になるわけですね。それで、少し気になったのは、患者さん の説明でその辺をもう少しきちんとした方がいいのかなと感じたもので、ICを取るとき にその辺も説明された方がよろしいかなと思いましたので、コメントしました。 ○早川部会長 作用的なことと、最終的には患者さんの不利益にならないような形でのI Cの取得を望むというコメントだったと思います。それでよろしいですね。ほかにいかが でしょうか。  それでは、その他のコメントや御意見がないようでしたら、議決に入りたいと思います。 本品目につきましては、指針への適合性が確認されたとしてよろしいでしょうか。  それでは、「遺伝子治療用医薬品の品質及び安全性の確認について」本品目の指針への 適合性が認められたものといたしまして、薬事分科会に報告させていただきたいと思いま す。  引き続きまして、「カルタヘナ法の第一種使用規程の承認の可否」の質疑応答に移りた いと思います。品目の内容、審査結果について機構から説明をお願いします。 ○機構 カルタヘナ第一種に関して、御説明申し上げます。カルタヘナ法上の規制の対象 となる遺伝子組換え生物に該当いたしますのは、本剤の有効成分である非増殖性レトロウ イルスベクターでございます。また、カルタヘナ法上の宿主に該当いたしますのは、野生 型モロニーマウス白血病ウイルスです。  第一種使用には、治療施設における遺伝子治療行為が該当いたします。第一種使用規程 といたしまして、閉鎖系での細胞調製方法、投与後3日間の患者さんの個室内管理、管理 期間中の患者の血液、体液、分泌物、排泄物及びそれらに接したものの廃棄・処理方法、 患者の追跡調査方法などが決められております。  生物多様性影響評価においては、他の微生物を減少させる性質、病原性、有害物質の産 生性、核酸を水平伝達する可能性などからの考察を踏まえまして、第一種使用規程に従っ て使用した場合には、本組換えウイルスにより生物多様性影響が生じるおそれはないと判 断いたしました。  なお、第一種使用に係る専門協議の専門委員は、資料10のとおりです。御審議のほど、 よろしくお願いいたします。 ○早川部会長 この審議事項につきましては、本日御欠席の島田先生から事前にコメント をいただいておりますので、事務局より御紹介をお願いします。 ○事務局 事務局より島田先生のコメントを読み上げさせていただきます。「本申請で使 用が予定されている遺伝子組換え生物は、遺伝子治療用ベクターとして最も古くから使用 されている典型的なMLVレトロウイルスベクターである。特に、このウイルスベクター SFCMM3は、組換えの起こり難い第3世代のパッケージング細胞により作製されており、 また安全キャビネット内で遺伝子導入を行うex vivo遺伝子治療であることから、理論的 にも実際的にも生物多様性への影響が生ずる可能性はないと考えられる。更に、全く同じ ウイルスベクターの第一種使用が既に我が国で承認されている。以上から、本ウイルスベ クターのカルタヘナ第一種使用は問題ないと判断する。」というコメントをいただいてい ます。 ○早川部会長 それでは、ほかの先生方から御意見、コメントをお願いいたします。 ○渡邉委員 確認ですが、本遺伝子組換え生物は自立的な増殖能を欠損した組換えである と。それ以外に関しては野生型と生理・生態学的特性は同じであるというのは、もう確認 されているのですか。 ○機構 非増殖性のところと導入した遺伝子を発現するところ以外については宿主であ る野生型のモロニーと同じかというただ今の御指摘ですが、それを実証したデータにつき ましては特段持ち合わせてはおりません。 ○早川部会長 渡邉先生が御質問されたのは、組換え生物を非増殖性にしたというのはい いのですが、それ以外のところで野生型に比べて特別何か変わったことがあるのか、ある いは可能性としてはあるのか。もしそれがあるのであれば、もしかしたら多様性評価に考 えなければいけない要素である、こういうことでございますね。ですから、そこをお答え いただければよろしいのではないでしょうか。 ○渡邉委員 補足しますと、一つ気になりましたのが13ページの表現で、最後の方のパ ラグラフですが、「本遺伝子組換え生物が自立的増殖能を欠損している点を除いて、I-3 「生理・生態学的特性」に記載した性質は同等であると考えられる」と書いてあるのです。 「考えられる」というのが何となくあいまいな言葉で、同等であるならあるとはっきりし た方がよろしいかなと思ったので、そういうデータがもしあるなら、ここの表現は「考え られる」というあいまいな表現ではなくて、「同等である」とした方がすっきりしていい のかなと思って、そういう質問をしたのです。 ○機構 ここで申し上げている生理・生態学的特性というのは、エンベロープを介して細 胞に感染してプロウイルス化するという、レトロウイルスの特性の部分が同等であるとい うことです。この細胞は増殖能を欠損していることから、すべてを網羅的にウイルスの特 性というところでの解析はしておりませんが、少なくともウイルスとしての生活環という ところでは同等と判断して、この記載になっています。 ○早川部会長 よろしゅうございますか。 ○渡邉委員 そこが分かるように明確になっていればいいと思いますが、結構です。 ○早川部会長 部分的に考えられるとしか書けないところもあるとは思うのです。実験的 に両方並べてすべてを検証することはできない。 ○渡邉委員 いろいろ難しいところがあることは分かっています。ただ、ほかのウイルス ではない方の微生物ではかなりそこを厳しく評価されるときがあるので、念のためと思い まして。 ○機構 記載の作成に当たりましては、研究の方も参考に記載させていただいた部分もあ ります。 ○早川部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。  それでは、議決に入りたいと思います。本品目のカルタヘナ法第4条に基づく第一種使 用等に関する使用規程を承認して差し支えないものとしてよろしゅうございますか。  それでは、その旨を、薬事分科会に報告させていただきます。  それでは、この品目の最後の事項になりますが、「カルタヘナ法に基づく第二種使用の 拡散防止措置の確認」について、品目の内容、審査結果について機構から説明をお願いし ます。 ○機構 第二種使用等拡散防止措置に関する確認申請について、説明申し上げます。本剤 の輸入に際しまして、国内で受入試験として□□□□□□が実施されますことから、第二 種使用の確認申請に至ったものでございます。本組換えウイルスは、非増殖性で病原性を 持たないものの、エンベロープの特性により人やマウス等への感染性を有し、申請者はそ の使用区分をその他(カテゴリー2相当)と分類しておりますことから、本部会で御審議い ただくものです。  施設は適切に整備されておりまして、発生する廃液などについても高圧蒸気滅菌等の方 法により適切に不活化処理されることが示されております。総合機構は、専門委員に御意 見を伺った上で、組換え生物の第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置が適切であ ると判断いたしました。  なお、第二種使用等に係る専門協議の専門委員は、資料10のとおりです。御審議のほ ど、よろしくお願いいたします。 ○早川部会長 それでは、委員の先生方から御意見、コメントをお願いいたします。いか がでしょうか。よろしゅうございますか。  それでは、議決に入りたいと思います。本品目のカルタヘナ法第13条に基づく第二種 使用等に関する拡散防止措置が確認されたものとして よろしゅうございますでしょうか。  それでは、その旨を、薬事分科会に報告させていただきたいと思います。  次に、議題2に入りたいと思います。まず、農林水産省から概要の説明をお願いします。 ○農林水産省 農林水産省でございます。今般、動物用の遺伝子組換え生ワクチンのカル タヘナ法に基づく第一種使用規程の承認申請がなされましたので、申請の内容について御 説明させていただきます。  事前に配付しています資料4の表紙をめくっていただきますと、審議経過票が付いてい ます。遺伝子組換え生物等の種類の名称は、猫白血病ウイルス由来防御抗原蛋白発現遺伝 子導入カナリア痘ウイルスALVAC(vCP97株)(FeLV-env,gag,pol,Canarypox virus)、申請 者名は、メリアル・ジャパン株式会社です。詳細につきましては、生物多様性影響評価書 に基づいて御説明させていただきます。  「評価書」とタグが付いているところの1ページ目を御覧ください。まず、宿主につい てですが、ALVAC(Canarypox virus)という株です。これは、カナリア痘ウイルスの強毒株 を鶏胚線維芽細胞(CEF細胞)で200代継代した弱毒生ワクチン株を、更にCEFで4代 プラーククローニングして、5代継代後に得られたウイルスです。そのほか、培養細胞と して、CEF細胞を使用しています。  2ページ目ですが、宿主の使用等の歴史及び現状です。ALVAC株については、狂犬病ウ イルス、あるいはウエストナイルウイルスの組換え生ワクチンの宿主として、既に海外で は使われているところです。また、当該猫白血病の組換え生ワクチンについても、29か 国で承認、市販されているところです。  次に、宿主の生理学的及び生態学的特性ということで、まず、イの基本的特性です。3 ページ目ですが、本宿主ポックスウイルスにつきましては、人を含む哺乳動物の細胞内で は感染はしますが、初期の段階で複製が停止して、感染性ウイルスが産生されない不全感 染の様式をとるということです。  ロの生息又は生育可能な環境の条件ですが、カナリア痘ウイルス全般として、ウイルス は単独で自然界には存在できませんで、感受性の培養細胞が鳥類由来の細胞に限られるこ と、また、アビポックスウイルスの中でも宿主特異性があるということが言われておりま す。環境中での単独での生存は難しいというところです。  4ページ目ですが、宿主の繁殖又は増殖の様式です。5ページ目の生殖の様式というと ころですが、先ほど申し上げましたとおり、当宿主ウイルスについては、鳥類由来の細胞 では感染性ウイルスが複製される増殖性感染を示しますが、哺乳動物由来の細胞では、感 染は起こりますが、成熟・感染性ウイルスは複製されないアボーティブな感染となりまし て、ウイルス排泄や同居感染は成立しないということが言われています。  交雑性につきましては、強毒のカナリア痘ウイルスと宿主ウイルスを共感染する試験を 行ったところ、共感染したものは検出されなかったということです。また、猫につきまし ても、内在性レトロウイルスの存在は知られておりますが、レトロウイルス遺伝子の増殖 部位が核内であること及びALVACは内在性ウイルスの補完に必要なLTRの配列を持た ないことから、共感染による交雑性の可能性はないと考えられるということです。  ホの宿主の病原性についてですが、カナリア痘ウイルスの野生株については、カナリア 及びスズメの仲間が自然宿主でして、それらの局所又は全身に発痘を引き起こし死に至ら しめるということです。本宿主細胞については、もともと弱毒の生ワクチンの株を継代し たものということで、カナリア痘を接種しても致死性がなく、局所の反応のみで済むとい うことで、強毒株のような致死的な病原性は確認されていないということです。また、哺 乳動物であるマウス、モルモット、ウサギ、猫及び人に対しても、接種部位における軽微 な炎症反応以外の病原性は確認されていないということです。  7ページ目ですが、宿主の有害物質の産生性です。この宿主由来の発現蛋白について、 データベースにおいて検索を行ったところ、アレルゲン性及び変異原性を示すような物質 はないことが報告されています。  8ページを御覧ください。2番の遺伝子組換え生物等の調製等に関する情報です。まず、 供与核酸に関する情報ということで、本組換え生ワクチンに使用される供与核酸は、猫白 血病ウイルス、Glasgow-1株に由来するenv遺伝子、gag遺伝子、pol遺伝子の一部を用 いています。また、調節系として、ワクシニアウイルス由来のH6プロモーターを用いて います。  使用する発現カセットとして、一つは、env遺伝子を入れ込んだ発現カセットで、これ には先頭にH6プロモーターを付けたものの後にenv遺伝子を付けたものです。もう一つ は、gag/pol遺伝子の発現カセットで、これには同様に先頭にH6プロモーターを付けた ものの後にgag/pol遺伝子を付けたものです。  10ページですが、構成要素の機能です。H6プロモーターについては、ウイルス感染 初期及び後期の遺伝子の転写調節を行う機能を有しています。env遺伝子は、ウイルスの エンベロープの糖タンパクをコードしている遺伝子です。gag遺伝子は、ウイルスのコア タンパク質をコードしている遺伝子、pol遺伝子は、gag遺伝子の前駆体を分解するポリ メラーゼの遺伝子をコードしている領域です。  また、この目的遺伝子は宿主ウイルス、ALVACのオープンリーディングフレームのC3、 C5の部位に挿入されまして、このC3、C5の部位についてはAnkyrin repeat protein をコードした領域であるということです。  次に、11ページ目、ベクターに関する情報です。本遺伝子の移入に用いるベクターに ついては、env遺伝子の発現カセット、gag/pol遺伝子の発現カセット、それぞれで設定 されていまして、それぞれ、pUC9やpBS-SK等の市販されている大腸菌のベクターが 使用されています。これらのベクターについては、全遺伝子配列が決定されており、病原 性、伝染性は知られておらず、接合伝達性は低い種類として一般に認識されているもので あります。  13ページ〜17ページまで、調製の方法等について具体的に記載しているところです。 16ページに宿主への具体的な挿入の仕方が記載されていますが、発現カセットプラスミ ドをリン酸カルシウム法でCEF細胞にトランスフェクトするとともに、レスキューウイ ルスとして宿主ウイルスを感染させ、細胞質内で相同組換えを起こさせることでALVACに 目的遺伝子を挿入するという方法をとっています。  19ページを御覧ください。細胞内(宿主体内)に移入した核酸の存在状態及び当該核酸 による形質発現の安定性です。宿主細胞と組換えウイルスを犬の細胞、猫の細胞及び鶏の 細胞に感染させて増殖性等について比較したところ、組換えウイルスは宿主細胞と同様に 鶏の細胞では増殖性の感染を示しますが、犬、猫由来の細胞では複製がされませんでした。 また、水中における生存性の態度についても、宿主ウイルスと組換えウイルスで差がなか ったということです。CEF細胞で5代継代後における発現の安定性についても確認をし ているところです。  20ページを御覧ください。(6)宿主又は宿主の属する分類学上の種との相違です。増 殖様式ですが、組換えウイルスと宿主ウイルスについては同等の増殖性を示すということ です。21ページ、接種動物の遺伝子に組み込まれる可能性ですが、ポックスウイルスに ついては、ほかのDNAウイルスと異なり、核内に入らずに細胞質内で増殖をするという 性質がある関係で、宿主動物の染色体内に当該組換えウイルスの遺伝子が組み込まれる可 能性はないということです。  病原性ですが、本組換えウイルスは宿主ウイルスと同様に哺乳類の体内では複製ができ ないということで、ターゲットアニマルである猫における病原性はないということです。 カナリアにおきましても組換えウイルス感染による全身性の発症は認められず、接種局所 に一過性の軽度な炎症が見られる程度のものであるということであります。有害物質の産 生性等については、宿主と同様に問題となるようなものはないということです。  感染性ですが、22ページになります。組換えウイルスの接種局所での生残性について 検討しました。猫に組換えウイルスのワクチンを接種後、接種局所からウイルスの検出を 行い、接種後2日程度の生残が見られたということです。内在性ウイルスとの組換えの可 能性ですが、先ほど申し上げましたとおり、内在性のレトロウイルスに必要なLTRの配 列を持っておりませんので、完全長のウイルスを作るようなことはないということです。  強毒のカナリア痘ウイルスとの共感染による組換えの可能性ですが、これについても、 実験感染の結果、組換えが起こることはないということが記載されています。体外への排 泄及び同居感染性についても、実験的に猫への感染を行った結果、唾液、尿、直腸内容、 あるいは鼻汁、糞便等から本ウイルスは検出されておらず、同居感染性も見られなかった ということです。  自然界での生存能力ですが、本ウイルスについては、先ほど申し上げた宿主と同様に、 単独で自然界には存在できませんで、かつ感受性の培養細胞が鳥類由来のものだけである こと、アビポックスウイルスの中でも宿主特異性があることから、自然条件下で感受性細 胞及び感受性動物と接触し長期にわたって生存する可能性は極めて低いということです。 また、22℃の蒸留水中での生存性、あるいは耐熱性の試験で、組換えウイルスと宿主動物 を比較していますが、これについても、いずれも差はないという結果です。  次に、遺伝子組換え生物等の使用等に関する情報ですが、これについては従前お配りし た資料と後段でお話する運用通知の内容が変わった関係で差し替えさせていただきたい と思っています。本日お配りしました資料4-3を御覧いただきたいと思います。最初のペ ージに新旧対照表を記載しています。  まず、使用等の内容としては、従前は「遺伝子組換え生ワクチン及び当該生ワクチンの 成分であり生活力を有する遺伝子組換え微生物の運搬及び保管」と記載していましたが、 これについて、単に「運搬及び保管」という記載にしています。[2]の治験の届出に基づい た使用については変更はありません。[3]の薬事法の製造販売承認に従った使用についても 変更はありません。 [4]については、従前は「遺伝子組換え生ワクチンの接種」と使用の内容を記載しており ましたが、これについても、「遺伝子組換え生ワクチンの」という文言を削除しています。 また、この後に、「(食用に供される場合を除く。)」という一文を入れています。今般の ワクチンについては猫に対するワクチンですので、基本的に食用に供されるものではない ということで、従前は使用等の内容の[7]に付随する行為として、「本生活力を有する遺伝 子組換え微生物を保有する接種動物は食用に供さないこと」という文言を入れておりまし たが、ここを削除して、代わりに[4]の後ろにこのような文言を入れています。  [5]は使い終わったワクチン瓶、あるいはワクチン、それからシリンジ等の処分に関する 記載です。[6]については、従前は「生活力を有する遺伝子組換え微生物の廃棄」としてい ましたが、変更し、「[5]以外の廃棄」という形にさせていただいています。これについて は、接種された動物で生活力を有するようなものがある場合には、廃棄に対して対象にな るということであります。最後に「[1]〜[6]に付随する行為」となっています。  これ以降、資料4-3で説明させていただきたいと思います。25ページを御覧ください。 (6)国外における使用等に関する情報ということで、本ワクチンについては、先ほど申し 上げたとおり、2001年から29か国で承認されていまして、これまでに670万ドーズ使用 されています。また、現在までに確認された副作用の報告件数は、総供給量の0.003%と いうことです。(7)として、接種動物の体内における挙動に関する情報を追加しています。 [1]として、ワクチンの消長に関する情報です。これは2日程度ということです。また、ウ イルス血症は起こらないということです。[2]として、排泄物、血液・体液等からの拡散に 関する情報です。これについては拡散はないということです。[3]として、垂直感染の可能 性に関する情報です。これについても、猫の体内での増殖はないということで、胎児への 垂直伝播の可能性はないということです。[4]野生動植物への伝播の可能性についても同様 に、猫における増殖及び排泄は見られないことから、環境中への拡散の可能性はないとい うことです。  第二として、項目ごとの生物多様性影響の評価ですが、1番目の他の微生物を減少させ る性質については、哺乳動物では不全感染であるということ、あるいは内在性レトロウイ ルスとの共感染による組換え、強毒カナリア痘ウイルスとの共感染による組換えはないと いうことで、他の微生物を減少させる性質に起因するような野生動植物等は特定されず に、この使用規程どおりに使用すれば生物多様性に影響はないということです。病原性に ついても問題はないということで、本規程を守る限りは問題はないとされています。有害 物質についても同様です。核酸を水平伝達する性質についても、基本的には共感染の可能 性がないので、本規程どおりの方法をとれば問題はないとされています。  最後に、31ページ目、第三として、総合評価ですが、第二の項目ごとの評価の内容か ら総合的に評価をして、当該遺伝子組換えウイルスを第一種使用規程に従った使用を行え ば生物多様性影響が生ずるおそれはないということです。  また、資料4の最初の審議経過票に戻っていただきたいと思います。本申請については、 本年3月15日、及び6月5日の動物用組換えDNA技術応用医薬品調査会において審議 され、今般上程されるものであります。本ワクチンについては、この承認を受けた後に治 験を開始し、治験終了後、正式な動物用医薬品の申請がなされる予定となっております。  説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○早川部会長 ありがとうございました。猫白血病ウイルス由来防御抗原蛋白発現遺伝子 導入カナリア痘ウイルスALVACについての第一種使用等に関する承認の可否ということ であります。何かございますか。 ○吉倉委員 質問ですが、一つは、カナリアポックスが哺乳動物の細胞に感染したとき、 どこの段階で増殖が止まるのですか。 ○農林水産省 申請者に確認したいと思います。 ○吉倉委員 なぜ聞くかというと、ワクチンを受けた猫がうろつき回りますね。それで、 交通事故などで倒れますと、ハトが猫を食べるかもしれない。要するに、カナリアポック スを接種した動物ではウイルスは増えないのですが、その動物をトリが食べたときにどう なるか。ほかのケースがもしかしたらあるかもしれないから、調べてもらえたらと思いま す。食べて移るというケースは、以前、バブーンの白血病ウイルスがネズミか何かで見付 かって、確か食べたせいではないか。逆だったかもしれませんが、よくあるのです。 ○農林水産省 ありがとうございます。基本的に、このワクチンの接種局所の生残性につ いては2日程度という短い期間でもありますので、その間についてということになるかと 思いますが、増殖がどこで止まるかについては確認させていただきたいと思います。 ○早川部会長 よろしくお願いします。 ○澤田委員 確か、トリには感染性はないのですよね。食べて感染するという意味は。 ○吉倉委員 そうではなくて、感染した猫をトリが食べて。 ○澤田委員 DNAの段階という意味ですね。 ○吉倉委員 どこで止まっているかによるのですが、バディング辺りだと移るかもしれな い。別にそれほど真面目な質問でもないのですが、聞いておいてください。 ○早川部会長 2日か4日のうちに食べられたらという話だと思います。もちろん、トリ が食べて感染するという前提も入ります。いずれにしても、調べられることは調べてくだ さい。ほかにいかがでしょうか。渡邉先生、よろしいですか。 ○渡邉委員 野生型と組換え体との同等性、同一性をそれなりにきちんと調べているので 非常にいいのではないかと思っています。 ○早川部会長 今回は並行してきちんと調べているということですね。ほかにいかがでし ょうか。よろしいですか。  それでは、議決に入ります。本件について承認可とすることでよろしいでしょうか。  それでは、本品目のカルタヘナ法第4条に基づく第一種使用等に関する使用規程を承認 して差し支えないものといたしまして、薬事分科会に報告させていただきたいと思いま す。  次に、報告事項に移りたいと思います。まず、報告事項の議題1について農林水産省よ り御説明をお願いします。 ○農林水産省 農林水産省より御説明いたします。資料5-2です。本通知は、農水省が所 管します動物医薬品としての遺伝子組換え生ワクチンに係る第一種使用規程の承認申請 について、手続を規定したものです。  まず、事前にお渡ししました案に若干修正が入っていますので、三点ほど、新旧対照表 において変更点を御説明いたします。一点目は、2ページ目の評価書への情報の記載につ いて、別表第一に掲げる情報及び、下線部の第3の1の(2)の、接種動物の挙動に関する 情報も加えております。二点目は、追加的な情報である接種動物の挙動に関する具体的な 情報について、書きぶりと記載する場所を指定しました。三点目は、第一種使用等の内容 について、記載項目自体は変わっておりませんが、カルタヘナ法施行規則備考での記載ぶ りに準じて簡略化しました。以上です。  それでは、運用通知の本体の概要を御説明いたします。別紙1ページ目から御説明いた します。第1の趣旨ですが、農水省では既に農作物に係る通知が規定されており、運用も しておりますが、今回、動物医薬品であり、その適切な使用を求められることと、接種さ れた動物体内の挙動も把握する必要性があるということで、新たに組換え生ワクチンに関 しての運用通知を発出することにしました。本通知については、遺伝子組換え生ワクチン ですが、製品としての生ワクチンのみならず、当該ワクチンの成分であり、接種動物体内 でも生活力を有する遺伝子組換え微生物も含めて定義することとしています。  第2の手続に関する事項ですが、ここについてはリスク管理を担当する消費・安全局農 産安全管理課が窓口と承認手続をいたしますが、リスク評価については同局の畜水産安全 管理課の薬事担当が生物多様性影響評価の取りまとめを行うこととしています。学識経験 者の意見聴取については、薬事分科会、生物由来技術部会、及び動物用組換えDNA技術 応用医薬品調査会で御検討いただくこととしています。標準処理期間は6か月です。  2ページ目の第3、申請の内容に関する事項でございます。本通知では、(2)に、生物 多様性影響評価書での追加的情報の収集において、遺伝子組換え生ワクチンが接種動物を 介して環境中に放出されることが想定される場合、[1]〜[5]の情報を項目として定めていま す。6ページの別表第1に新たな項目として(7)を設け、「接種動物の体内における挙動 に関する情報」を記載させることとしています。  3ページに戻ってもう一度説明いたします。2の第一種使用規程承認申請書の記載事項 ですが、「遺伝子組換え生物等の種類の名称」については、他の遺伝子組換え生ワクチン と明確に区別できる名称を定めることとして、核酸供与体、供与核酸遺伝子が導入された 微生物に関する情報並びに導入遺伝子名、宿主の学名、識別記号を記載することとしてい ます。  第一種使用等の内容ですが、当該生ワクチンの使用の目的からして薬事法等の関係法令 との整合性を取る必要があることから、薬事法における治験実施計画書等に従った使用、 薬事法第14条3項、承認申請書に従った使用を含めることとして、[1]〜[7]までの一連の 使用に該当するものはすべて記載することとしています。また、接種動物体内で当該生ワ クチンが生存し、食用に供される可能性がある場合は接種動物を明記させ、この場合、と 畜、加工、流通段階においての生物多様性影響評価も併せて行うこととしています。  4ページ目、添付書類に関する事項についてです。生物多様性影響を効果的に防止する に資する措置の内容を記載した書類ですが、(1)の[1]〜[6]の内容を網羅した緊急措置計画 書を作成し、必ず申請書に添付することとしています。また、(2)のモニタリング計画書 ですが、第一種使用等の方法を限定する場合、申請者が自ら行う場合、これとは別に審査 の途中で学識経験者から必要とされた場合、モニタリング計画書の記載事項に沿って作成 し、添付することとしています。  5ページ目、模擬環境試験に係る第一種使用等の申請に関する事項ですが、その特性が 科学的見地から明らかでない遺伝子組換え生ワクチンの第一種使用等をする場合、一般使 用の申請の前に、第一種使用等が予定されている環境と類似の環境での使用等について情 報収集を行うこととし、模擬環境試験に係る第一種使用規程の使用の方法については、11 ページ目の別表第2に記載していますが、模擬環境試験に係る施設の要件を記載させ、申 請させることにしています。なお、申請の段階で、その特性について十分な情報が収集さ れている場合、当該試験の必要はございません。  第4の体制の整備に関する事項ですが、第一種使用等による生物多様性影響の防止に関 する事項について検討するための委員会の設置と、構成、検討事項、管理責任者等の選任 を規定しています。  6ページ目以降については、別表第1で、左欄の生物多様性影響評価実施要領別表第一 に掲げる情報収集ごとに、具体的な記載方法を右欄のとおりまとめています。以上です。 ○早川部会長 ありがとうございました。ただ今の報告事項について、何か御質問等があ りましたらお願いします。 ○土屋委員 動物の場合の薬で、第二種使用等の確認申請というのは、現段階ではいらな いのですか。 ○農林水産省 動物用医薬品の第二種使用の確認申請は出ています。審査の場合、調査会 において審査していただき、農林水産省の大臣確認を出しています。 ○早川部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、ただ今いただ いた報告事項については御確認いただいたものといたしたいと思います。  報告事項の議題2について事務局より御説明をお願いします。 ○事務局 事務局より御説明させていただきます。参考資料7を御覧ください。ウシ等の 反芻動物に由来する原材料については、5ページ目にあります「生物由来原料基準」の中 の第4の1、反芻動物由来原料基準において使用可能な原産国及び部位を(2)、(3)で定 めており、これらに適合しない原材料を用いた医薬品等の製造販売を禁止しているところ です。  ただし、6ページにあります(5)の規定により、治療上の効果が当該原材料を用いるこ とによるリスクを上回る場合その他必要な場合において、(3)に示す原産国等に適合しな い原材料をやむを得ず使用する場合においては、その妥当性について、承認書に記載した 上で、その使用を認めているところです。  本日は、その妥当性について、お配りしている資料6のとおり、評価票が該当企業より 提出されたことから、御報告を行うものでございます。  資料6を御覧ください。対象となる品目は、カナダ産及び米国産ウシ由来原材料を使用 したもの2成分(エプタコグ アルファとインスリン リスプロ)でございます。この2成分 について、企業からそれぞれ提出された評価票及び添付文書を資料6としてお配りしてお ります。以下、品目ごとに御説明させていただきます。  まず1品目目でございますが、1枚めくっていただきまして、「ノボセブン」と書いて あるものを御覧ください。1品目目、ノボ ノルディスク ファーマ株式会社の注射用ノボ セブンです。一般名はエプタコグ アルファです。効能・効果は血液凝固第VIII因子又は第 IX因子に対するインヒビターを保有する先天性血友病及び後天性血友病患者の出血抑制 であります。  本品については、希少疾病用医薬品に指定された品目であること、ワーキングセルバン クが50年、マスターセルバンクが数百年の在庫があること、原材料の切替えにより品質 の担保が困難であることなどから、原材料の切替えは非常に困難なものとされておりま す。  ウシ等由来原材料が「使用される原材料/製造工程」については、本品の製品の精製工 程の一部のイムノアフィニティークロマトグラフィー工程の抗体を作製する際のマスタ ーセルバンク、ワーキングセルバンクにカナダ産又は米国産ウシ由来原料を使用していま す。  「品質におけるリスク」の欄ですが、マスターセルバンク、ワーキングセルバンクいず れもカナダ又は米国でBSEが発生する以前に作製されたものであり、血清は特定危険部 位に該当しません。また、製品のリスク評価の概算値は-12であり、リスク評価の目安で ある-3を大幅に下回っております。  「同種同効薬」のところに記載がありますように、同種同効薬としてファイバというも のがありますが、ノボセブンを完全に代替するのは困難とされております。  次のページに移っていただきまして、「本剤の医療上の有用性」についてです。インヒ ビターを保有する血友病患者のバイパス止血療法に用いられる希少疾病用医薬品である こと、本剤により、インヒビターを保有する血友病患者の止血療法が可能になり、学校や 職場への参加が可能になるなど、QOLの著しい改善をもたらしたこと、代替となり得る 可能性のある、ファイバと比較して、ウイルス感染のリスク、投与量、投与時間等で利点 がある等、バイパス止血製剤の選択肢の一つとして不可欠であることが記載されておりま す。  次に、「切替えが困難な理由」については、マスターセルバンクの切替えを行うと、現 行製品との同等性/同質性の担保が非常に困難であること、海外において、本剤にカナダ 又は米国産の原材料を使用していることにより原材料の切替えを要求された国がないこ と、日本への供給量は世界の2%程度であり、そのために専用の設備を準備することはほ ぼ不可能であることが記載されております。  1ページおめくりいただきまして、「妥当性」の欄についてですが、BSEのリスクと して、製品のリスク評価値は-12であり、一定の安全性を確保する目安とされている-3 を大幅に下回っていること、本剤の製造工程で希釈されること、血清は使用禁止部位では なく、カナダでのBSE発生の10年以上前に採取されたものであること、プリオン不活 化工程としてTSEクリアランスを実施し、それ以外にも複数のクロマトグラフィー処理 を行っていることが記載されております。  一方、切り替えることのリスクとして、マスターセルバンクの切替えにより、抗体の性 能の同等性/同質性を保証することが極めて困難であること、国際的に提供されている品 目との同等の取扱いができなくなるため、副作用や安全性情報等の情報共有ができないこ とや欠品が生じるおそれなどがあり、患者に不利益をもたらす可能性があることが記載さ れております。  これらのことを総合的に勘案して評価すると、「総合評価」の欄に記載がありますが、 BSEのリスク、切替えのリスクが本剤の医療上の有用性に与える影響を比較考慮した場 合、現行製品を継続使用することは妥当であると判断されております。なお、本剤につい てはBSEリスクのない製品が研究開発の段階であり、将来的に、その製品の製造販売承 認が取得された後には速やかに切り替えるものとされております。  続いて、2品目目は日本イーライリリー株式会社の注射用ヒューマログ注です。「一般 名」はインスリン リスプロ、「効能・効果」はインスリン療法が適応となる糖尿病であ ります。  本品については、前回の本部会において、切替えを前提で評価を行っていただいたとこ ろですが、申請者によると、欧米においては、製品全体の品質にとって、原材料を切り替 える方がリスクが大きいとされていること、ワーキングセルバンクが200年、マスターセ ルバンクが1000年を超えるほどの在庫があること等から、再度評価をお願いし、原材料 の切替えは非常に困難なものとして再度評価をしていただきたいということがございま した。  ウシ等由来原材料が「使用される原材料/製造工程」については、マスターセルバンク 作製時の培地成分のうち、ペプトンのごく一部に米国産又はカナダ産の胆汁が使用されて いるという記載があります。  次に、「品質におけるリスク」の欄ですが、ペプトンは米国及びカナダでBSEが発生 するより10年以上前に作製されたものであり、胆汁は特定危険部位には該当しません。 また、製品のリスク評価の概算値は-17であり、リスク評価の目安である-3を大幅に下 回っております。  「同種同効薬」としては、インスリンやインスリンアナログが考えられますが、これら に切り替えることにより、良好な血糖コントロールに支障を来すリスクがあるとされてお ります。  「本剤の医療上の有用性」の欄ですが、本製品が投与できず、高血糖が無処置の状態で 続くと悪心、嘔吐等を起こし、重篤な機転を取ることがあるため本剤は医療上重要である とされております。  また、「切替えが困難な理由」についてですが、本品は世界共通の製造所で同一規格に より製造されている。このため、マスターセルバンクの切替えには各国の規制当局の同意 が必要になる。一方、欧州においては、マスターセルバンクの切替えにより本製品の品質 ・有効性・安全性に大きな影響を与えるおそれがあるため、現状のマスターセルバンクを 使用することの方がリスクが低いとされており、米国においてもマスターセルバンクの切 替えは指示されていないところです。また、日本への供給量は世界の4%程度であり、日 本独自の開発及び製造をすることは非常に困難であることが記載されております。  「妥当性」の欄ですが、BSEのリスクとして、製品のリスク評価値は-17であり、一 定の安全性を確保する目安とされている-3を大幅に下回っている、本剤の製造工程で胆 汁は相当量希釈される、胆汁はBSE感染リスクがない部分である、また、カナダ産ウシ 由来原料はカナダでBSEが発生する10年以上前に採取されたものである等が記載され ております。  これらのことを総合的に勘案して評価すると、「総合評価」の欄にありますが、BSE のリスク、切替えのリスクが本剤の医療上の有用性に与える影響を比較考量した場合、マ スターセルバンクの切替えリスクは既存品を使い続けたときのBSEのリスクよりも高 く、マスターセルバンクの切替えを行わないことが妥当であると判断され、また、BSE のリスクよりも医療上の有用性が上回ると判断されております。以上です。 ○早川部会長 ありがとうございました。ただ今の御報告に対して、委員の先生方から何 かコメント、御意見がありましたらお願いします。 ○土屋委員 教えていただきたいのですが、イーライリリーのところで、「投与経路によ るリスクの減少」と「使用期間によるリスク」の-2と+2というのは規定に当てはめてだ と思うのですが、これを少し説明していただけますか。 ○事務局 先生がおっしゃっているのは、「品質におけるリスク」の「投与経路によるリ スクの減少」と「使用期間によるリスク」の-2と+2ということでよろしいでしょうか。 ○土屋委員 はい。 ○事務局 こちらについては、平成15年の検討会において、投与経路等についてのリス クの値が示されています。まず、使用期間の方のリスクですが、こちらについては長期投 与するものはリスクが高いということで、リスクの値をプラスするということが規定され ています。また、投与経路についてですが、いろいろな投与経路がありますが、基本的に は投与経路によってリスクが異なるということがあります。本剤については皮膚に注射す るものですので、直接脳内に投与したり血管に投与するものよりもリスクが低いことを勘 案されて、リスク評価の値が-2ということになっています。これらを総合して判断して、 合計値が-17ということになっています。 ○早川部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○土屋委員 別の話になるかもしれませんが、有効性のところの定量的な評価というのは 難しいのでしょうか。いわゆる、企業が申請するに当たって、ディスカウント&ベネフィ ットを数値で出した方が申請して通りやすいなど、目安になるので、レギュラトリーサイ エンスの話に近いのですが、数値化していただけるといいというお話があります。中身が それぞれ違う因子になっているものを一律に足していいものかどうかというところが難 しいところなのでしょうね。 ○早川部会長 非常に変数が多いですから難しいと思います。 ○土屋委員 全体の何パーセントは何がかかわるなど、いろいろ考えないといけないです よね。 ○早川部会長 今はとりあえずリスクの問題かと思います。リスクがこれほど良い値が出 なくて、ぎりぎりのところで有効性との関係でどのように判断するかという話はあると思 いますが、これらのケースについてはそこまでというか、一般論として。有効性をやり出 すと、極めて複雑な数式になってしまいますので。ほかにいかがでしょうか。  よろしければ、ただ今報告いただいた事項については御確認いただいたということにし たいと思います。  報告事項の議題3について事務局より御説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、報告事項の議題3について事務局より説明させていただきます。資 料7を御覧ください。先ほど来ありましたが、カルタヘナ法の第一種使用等については、 その使用規程を定め、生物多様性影響評価書等を添付して、主務大臣、医薬品の場合には 厚生労働大臣、環境大臣の承認を受ける義務があるとされているところでございます。こ の承認申請書の提出先については、参考資料5の医薬食品局長通知で既に示されておりま すが、具体的な様式についてはこれまで示されておりません。今回、タカラバイオの品目 において第一種の使用規程の申請がありましたから、これにどういう形で生物多様性影響 評価を添付するかをお示しした通知の案を御報告させていただいているところです。以上 です。 ○早川部会長 ただ今の御報告について何かコメント、御質問等はありますでしょうか。 ○澤田委員 気が付いたのですが、7ページと13ページで内容がずれている点がありま したので、確認していただいた方がいいかと思います。例えば、7ページの生物多様性影 響評価の、他の微生物を減少させる性質の(1)は、13ページでは「微生物」になってい るのですが、7ページでは「野生動植物等」になっているので、変だなと思いました。病 原性もそうです。ここは入れ間違えた可能性があるのではないかと思います。 ○審査管理課長 御指摘ありがとうございます。 ○早川部会長 これは確認していただいて、訂正していただければと思います。ほかにい かがでしょうか。よろしいでしょうか。 ○小澤委員 この第一種申請のところは、いつも何となく違和感があるところなのです。 第一種申請ということですので、環境中にある程度拡散していることが前提になってい て、それで生物多様性にほとんど影響はないという議論がされると思うのです。一方で、 できるだけ遺伝子組換え体が外部に出ないように、例えば患者、被験者などを封じ込めた りするわけですが、どこまで厳密に封じ込める必要があるのかが少し分かりにくいところ があるのです。一方では拡散するのはやむを得ない、しかし、できる限り外に出ていかな いようにする議論も一方でしているわけです。両者をどのように調整するのか、すっきり しないところがいつもあるのですが。 ○早川部会長 吉倉先生、何かコメントはありますか。 ○吉倉委員 良いコメントかどうか分からないのですが、そもそもは今の感染症法の中で 隔離という言葉が一切使われないのです。隔離をしないことになっているわけです。そう すると、本来は多分、病室で使うのに二種利用に限りなく近いわけです。二種利用だと隔 離になるわけです。そういうことで、確か最初に議論したときには、一種利用で片付けな いとどうしようもないということがあった。苦しいところだと思います。 ○小澤委員 患者が解放されるのは、排泄物等から検出されなくなってからですね。でも、 第一種使用であれば。 ○早川部会長 本質的には第一種だったから歩き回ってもよろしいということではある のでしょうが、念には念で、検出されなくなるまでというのが一方ではあるのです。多少、 ジレンマですね。ただ、すっきりとこうだとは、安全パイを取れば、やはり検出している 間は病室にいてくださいと。 ○小澤委員 アメリカなどは、カルタヘナは関係ないから、ある意味で議論になりません が、拡散防止という意味では、相当いい加減にやっています。外来治療に近いような形で。 その辺が日本は非常に厳格な印象があります。やはり今の形で当面は続けていくというこ とですね。 ○山口(照)委員 今の小澤先生のお話ですが、中国ではオンコリティックベクターはもう 承認されていますので、もし中国に行って投与を受けると投与されたことが不明なまま帰 国されることになり、ベクターの放出があっても対応できません。余り日本だけきつく縛 り過ぎるのもどうかなと前から思ってはいるのですが、ICHの遺伝子治療WGではその ような議論はされています。 ○吉倉委員 今のことですが、結局、医薬品としてしまえばカルタヘナ・プロトコールの 中では除外される可能性があります。条項がありますから。ですから、それを日本が言う だけなのか、あるいはWHOか何かに。カルタヘナ・プロトコールの中では、ほかにレギ ュレーションがあるものについては除外しているので、それで医薬品は除いているので す。ここの中ではなくて、いわゆるカルタヘナ議定書。その辺をもう少し積極的に日本で やる必要があるのではないかと思います。 ○早川部会長 それはまた、事務局の方でも検討していただいて。 ○審査管理課長 勉強させていただきます。 ○渡邉委員 今、吉倉先生がおっしゃったとおりで、カルタヘナ・プロトコールでは医薬 品の方は除外されています。ですから、本来、このようなものは必要ないようなところは あるのですが、日本政府は少しそこに入り込んで、やはりある程度第一種利用というのは 厳密に考えてあるから議論しようということになったのだろうと好意的に見ています。あ る意味では非常によろしいのではないかと思っています。 ○早川部会長 それでは、そこは少し御検討いただくこととします。ほかにいかがでしょ うか。 ○澤田委員 今の議論で、この留意事項自身では第一種使用をしていいというスタンスで 書いてあるわけですね。要は、開放系を否定しているわけではないという理解。ただ、今 回の例ではかなり閉鎖系に近いところでとりあえずやりましょうという理解で、将来的に は全部閉鎖系でやらなければいけないということではないと考えてよろしいのではない ですかね。 ○早川部会長 もちろん、第一種があるということはそういう意味だと思います。開放系 でやることが前提で規程を設けてある。ほかによろしいでしょうか。  それでは、今の報告については、多少事務局に勉強いただく部分もありますが、報告そ のものについては御確認いただいたということといたしたいと思います。  次に、その他事項に移りたいと思います。その他事項の議題1について、事務局から御 説明をお願いします。 ○事務局 お手元の資料8を御覧ください。細胞・組織加工医薬品等については、これま で、平成12年12月26日付けの医薬発第1314号医薬安全局長通知、これは念のため参考 資料9として付けていますが、この通知に基づき品質及び安全性の確保に努めてきたとこ ろですが、昨年、平成18年12月に総合科学技術会議から意見具申があり、細胞・組織を 利用した医療機器等の安全性評価基準が余り明確でないということでした。厚生労働省で は、この部会長である早川先生に主任研究者を務めていただき、明確な安全性評価の基準 を作成するための研究班を設けて検討を進めてきたところです。  今般、自己由来の細胞・組織加工医薬品等の指針案ということでまとまりましたので、 この8月28日にパブリックコメントの手続に入ったところです。その旨を御報告申し上 げたいと思います。なお、パブリックコメントの期間としては、9月28日までの1か月 間です。現在、意見としてはまだ1件だけですが、今後いろいろな方面から意見が寄せら れるものと考えています。出てきた意見については引き続き研究班の方で検討いただき、 またこの部会の方にも御報告申し上げたいと思います。以上です。 ○早川部会長 ありがとうございました。本件については、現在パブリックコメント中と いうことで、広く意見を聴取して取りまとめていくということです。また御報告をいただ くことになるようですが、今の段階で、御説明について委員の先生方から何か御質問、コ メントがありましたらお願いします。 ○山口(照)委員 「厳重管理」となっているので、パブリックコメントをしているのに厳 重管理とは少しおかしいなと思っただけです。 ○早川部会長 パブリックコメント中だから厳重管理でなくていいというコメントであ ります。ほかにいかがでしょうか。 ○土屋委員 幾つか既に機器室にお送りしていまして、内容がたくさんありますので、こ こでは控えさせていただきます。材料を主としたことです。 ○早川部会長 パブリックコメントとして機器室の方で受け取っているということです ね。 ○事務局 土屋先生から1件来ています。 ○小澤委員 タイトルの書き方が少し分かりにくい感じがしました。「(自己)」と書いて あるところが、自己の細胞の方の指針なのか、それとも同種及び自己、両方を扱っている のか、括弧でくくると意図が少し分かりにくいのです。 ○事務局 実は、まず第一弾として、自己由来のものについての明確化を図ったところで す。今後、同種のものについても別途、案を作ることを予定しています。その関係で、今、 「(自己)」という形にしています。 ○審査管理課長 正直、なかなか良いアイデアがなく、もう少しそこは考えさせていただ きます。とりあえずということで、自己の分だけということを意味しようとしています。 ただ、先生がおっしゃるように、特にこの前書き、今読ませていただいたところですが、 「「ヒト由来細胞・組織加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針」の見直しに ついての検討を進めてきたところであり、今般、別添のとおり、ヒト(自己)由来〜」と書 いてしまうと、従来はヒトで自己と同種とみんな入っているものを自己だけに書いたとは 誰も読めないと思いますし、先生がおっしゃるような誤解を生じかねないと思います。タ イトルはまた、研究会の先生方にも知恵を絞っていただいて考えたいと思います。ありが とうございました。 ○早川部会長 同種が次に出てきたときに並べば、区別ができるということだと思いま す。今年度中に同種が出てくる予定ですので、そのときは解決するかもしれません。ほか にいかがですか。 ○吉倉委員 5ページの下にある、フィーダーで異種動物由来の点は、実は私の研究班で やったのですが、これはもしかしたら、このパブリックコメントのときに付けた方がいい かもしれません。というのは、異種移植の場合、国際的に言うと原則的にはインフォーム ドコンセントが要るのです。その辺を皆さんはどう考えられるのか。研究班で作った指針 ではインフォームドコンセントまでは入れていないのですが、どうなのでしょうか。 ○早川部会長 先生の御指摘は二つあると思います。一つは、このパブリックコメントの ときに、フィーダーに関する情報を一緒に流してはどうか。そういうお話がある。もう一 つは、インフォームドコンセントについては、治験以降のことはまた別途取り扱うという ことで、このスコープには入っていないのです。ですから、治験以降は当然インフォーム ドコンセントは入ってくる。そういう理解でよろしいでしょうか。 ○医療機器審査管理室長 先生のおっしゃるとおりで、治験届のところでインフォームド ・コンセントの中身については確認することになります。 ○吉倉委員 それでいいのですが、実際どうなるのかなと思って。 ○早川部会長 これとセットで、細胞・組織利用医薬品・医療機器等の基本的考え方とい うのが別途あるのです。その中で、細胞を採取するときのインフォームドコンセント、倫 理的な問題、使用する段階での倫理的な問題をきちんとクリアするようにと、もう一つの 基本的考え方というガイドラインにはそのことが明確に書かれています。それはそれとし てまたあって、治験以降は当然インフォームドコンセントを自己であっても、同種であっ ても、異種であってもやるというのは大原則ですよね。それでよろしいですか。 ○医療機器審査管理室長 はい。先生がおっしゃるように、ここではフィーダーの品質と 安全性のところの留意事項を引っ張ってきているという認識で聞いています。ただ、おっ しゃるように、パブリックコメントの参考情報としては情報が提供できるように、参考情 報として情報は追加しておきたいと思います。 ○早川部会長 先生、よろしいですか。 ○吉倉委員 おっしゃるのだからいいだろうと思います。 ○審査管理課長 また後で教えていただいて対応したいと思います。 ○早川部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○土屋委員 フィーダーも、3T3のフィーダーと、それから今は自己の脂肪組織の細胞 由来のフィーダーと、いろいろディベロップしていますので、その辺りがコンフューズし ないような、過剰な規制が掛からないようにしていただきたいと思います。  もう一つは、産業化を考えるとアロ移植の方がしやすい。先日もGVHDの間葉系幹細 胞による細胞治療の確認申請が認められました。あれは同種の細胞です。ですから、その 辺もやはり作成を急いでいただいた方がいいと思います。今年中ですか。 ○早川部会長 なるほどと言うべきですね。 ○土屋委員 企業はアロの方に目が行っていますし、意外と早いと思います。自己をしな いで同種で出す企業もあると思います。そうすると、世界に売れるものに。 ○審査管理課長 確かに急ぐのは、急がなければいけないことが多々あって、それはおっ しゃるとおり、あれも急いで、これも急ぎがいいと思いますが、整理をしていく上で自己 の方が整理しやすい部分があって、それを最初にやったということです。これも去年の暮 れ、正確に言うと今年の初めから取り掛かっていただいたものですから、そういう意味で 申し上げると、研究班の先生方には献身的な努力をやっていただいたのだろうと思いま す。今までにないスピードでやってきているところです。もっと急げという話ですから、 それは心に留めておきたいと思います。ありがとうございます。 ○早川部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、ただ今のこと も参考にしながら次に進めていくということだと思います。本事項についてはまた御報告 をいただくということになろうかと思います。  本日の議題は以上ですが、事務局から連絡事項等はありますでしょうか。 ○事務局 次回の部会については、既に御案内のように、11月6日(火)午後2時から開 催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。 ○早川部会長 全般にわたって特に何かありますか。よろしいですか。よろしければ、本 日の部会はこれで終了ということにさせていただきます。活発な御議論をどうもありがと うございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 専門官 田中(内線4221)