照会先 健康局総務課がん対策推進室
木村(内線2945)
小山(内線2946)

がん対策推進協議会委員からの意見集

〈目標〉

○ これまでの政府におけるがん対策に関する目標についても、基本計画に定める取組を総合的かつ計画的に推進することにより、達成していくべきである。

○ 分野別施策の成果や達成度を計るための指標(個別目標)については今後、調査研究を行い、より良い指標を開発・採用していくべきである。

〈がん医療〉

○ 手術について、我が国の水準は世界の中でもトップクラスであるが、今後とも提供体制等をより一層充実させていく必要があることは言うまでもない。このため、拠点病院の整備等により、更なる推進に努めるべきである。

○ 放射線療法及び化学療法を専門的に行う医師等の必要数について、検討を行っていくべきである。また、がん診療に携わる医療機関等の必要数について、地域別の数値を含めて、検討を行っていくべきである。

○ がん医療やがん検診の質の向上を図るためには、病理診断を専門的に行う医師等が必要であることから、その育成を図るため、研修の実施に努めるべきである。

○ 拠点病院を含めたがん診療を行っている医療機関において、専門性の高い看護師が積極的に配置されるよう、都道府県や拠点病院等に対する説明会等の際には、学会及び関係団体における看護師の資格認定制度の積極的な周知に努めるべきである。

○ がん医療の成果や達成度を計るための指標(個別目標)については今後、調査研究を行い、がんの種類別の治療件数など、合理性のある指標を採用していくべきである。

○ がん診療に携わるすべての医師が緩和ケアに関する知識や技能を身につけられるよう、卒後臨床研修医制度において、緩和ケアの実習を必修とするなど、卒前・卒後教育のより一層の充実に努めていくべきである。

○ 地域の緩和ケア及び在宅医療の連携を促進していき、緩和ケアの提供体制の充実を図るためには、各地域における緩和ケアに関して、医療・介護・福祉・行政などの関係者が定期的に協議する場を設置する必要がある。

○ 緩和ケア及び在宅医療の成果や達成度を計るための指標(個別目標)については、必要なデータを収集し、より良い指標を検討していくべきである。

○ 診療ガイドラインの成果や達成度を計るための指標(個別目標)については、診療ガイドラインに基づき作成されたクリティカルパスの整備を進めることにより、科学的根拠に基づく診療が行われている割合を採用すべきである。

○ 小児がん患者については、医療サービスだけではなく、院内学級等の教育環境の整備や家族の宿泊施設等が必要であり、こうした点についても検討していくべきである。また、治療後の晩期障害を継続的に治療支援できるようにするための検討を行うべきである。

○ 今後、拠点病院の指定要件が厳格になった場合、拠点病院の中には指定解除されるところもあると考えられるが、その場合、各都道府県におけるがん医療の提供体制の後退が懸念される。拠点病院の体制をより一層充実させるためには、拠点病院機能強化事業の充実や国による支援が必要である。

〈がん医療に関する相談支援や情報提供〉

○ 拠点病院においては、相談支援センターを開設後速やかに、がん対策情報センターによる研修を修了した相談員を配置すべきである。

○ パンフレットや患者必携については、企画の段階からがん患者やその家族、遺族や有識者などの意見を聞くべきである。

○ 国立がんセンターは、拠点病院のがんの種類やステージ毎の5年生存率や手術件数、診療ガイドラインの使用状況等の医療を評価する情報を収集し、積極的に提供していくべきである。

○ がん対策情報センターや相談支援センターなど、がん医療に関する情報提供を担う機関の機能の連携と分担について、情報の制作と配布、面談相談と電話相談の役割分担等の点から、有効な在り方を適宜見直すべきである。

〈がん登録〉

○ 拠点病院で行われている院内がん登録の情報については、まとまり次第速やかに公表すべきである。

○ がん登録は、がん対策の企画立案や評価に際しての基礎となるデータを把握・提供するために必要不可欠であることから、法制化を含めた検討が必要である。

〈がんの予防〉

○ たばこ対策は、がんの死亡率を20%減少させるために重要なものであり、喫煙率の低減を数値目標として掲げることが望ましい。また、欧米諸国と比べて、我が国の喫煙率が高いことを踏まえ、欧米諸国にも遜色のないたばこ対策(価格等を含む。)を講じていくべきである。

○ たばこ対策については、地域における具体的取組を紹介することなどにより、国民が参加した形で進められるべきである。

○ 市町村や都道府県、企業など、地域・職域の連携を充実させつつ、たばこ対策やがん検診など、がん予防や早期発見に関する普及啓発事業を推進していく必要がある。

〈がんの早期発見〉

○ 平成20年度以降、糖尿病等の生活習慣病に着目した健康診査については医療保険者が行うこととなるが、がん検診についても、医療保険者が行うことを検討すべきである。

○ 有効な検診方法を確立するために、全国規模での大規模研究を更に進める必要がある。

○ がん検診の受診率を50%以上とするが目標に位置付けられていることから、正確な受診率の把握が可能となるようにすべきである。

○ 受診率の向上を図るためには、国民の意識を向上させるだけでなく、がん検診の実施主体である市町村への支援が必要である。

〈がん研究〉

○ 臨床試験を円滑に行うためには、その体制整備や被験者保護が必要であり、そのための法的整備を考えるべきである。

○ 臨床研究コーディネーター(CRC)について、臨床研究を実施する施設等は、臨床研究におけるその役割の重要性を認識し、職種として十分な評価をすべきである。

〈関係者等の有機的連携・協力の更なる強化〉

○ がん対策をより一層推進させるために、人材の養成等において厚生労働省及び文部科学省は、更なる連携を進めるべきである。

○ がん検診については、受診から精密検査、その後の医療にわたり、住民をはじめ医療機関等地域のおける関係者の連携を構築することが重要である。

〈都道府県がん対策推進計画〉 

○ 各都道府県において、がん患者及びその家族を構成員とするがん対策推進協議会が設置されるようにするなど、都道府県計画にがん患者及びその家族の声が反映されるように促していくべきである。また、積極的に目標の達成状況を公開するように促していくべきである。

○ がん対策情報センターは、各都道府県が策定する都道府県計画を、他の都道府県との比較を含め、国民に分かりやすく情報提供できるように体制を整備するべきである。

○ 「原則として二次医療圏に設置すること」となっている拠点病院、相談支援センター、緩和ケアチーム(複数)については、各都道府県における事情を踏まえ、柔軟な対応を可能とすべきである。

〈がん患者を含めた国民の努力〉

○ がん患者を含めた国民は、がん対策に積極的に参加していくべきである。なお、そのためには、行政機関をはじめ社会全体において、がん患者を含めた国民が自主的にがん対策等に関する知識を学習する活動に対して支援を行っていく必要がある。

〈財政措置〉

○ がん患者を含めた国民が、進行・再発といった様々ながんの病態に応じて、安心・納得できるがん医療を受けられるよう、診療報酬上の評価を適切に行っていくべきである。

〈がん対策推進協議会の今後のあり方〉

○ 基本計画の策定後速やかに、その進捗状況を把握・評価するための体制を、協議会の下に構築すべきである。

〈その他〉

○ 基本計画に基づき、各施策に取り組んでいく際には、がん患者を含めた国民の視点に立った各種事業が実施されるように心がけるべきである。


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