第9回ILO懇談会議事要旨
1.日時:平成19年9月12日(水) 15:30〜
2.場所:厚生労働省共用第9会議室(18階国会側)
3.出席者:(敬称略)
(1)労働者側 | |
日本労働組合総連合会国際代表 | 中嶋 滋 |
日本労働組合総連合会総合労働局長 | 長谷川裕子 |
日本労働組合総連合会国際局長 | 生澤 千裕 |
(2)使用者側 | |
日本経団連国際協力センター参与 | 鈴木 俊男 |
日本経済団体連合会労政第二本部長 | 松井 博志 |
日本経済団体連合会労政第二本部国際労働グループ長 | 高澤 滝夫 |
(讃井日本経団連国際第二本部長の代理) | |
(3)政府側 | |
厚生労働省大臣官房総括審議官(国際担当) | 松井 一實 |
厚生労働省大臣官房国際課長 | 南野 肇 |
厚生労働省大臣官房国際課国際企画室長 | 勝田 智明 |
4.議題
(1)報告案件
[1]政府からの報告
ア 第96回ILO総会について
イ ILOアジア地域フォーラムについて
[2]意見交換
(2)協議案件
[1]2007年度年次報告について政府から説明
[2]意見交換
5.議事要旨
(1)議題1 第96回ILO総会について等
松井総括審議官からの挨拶、出席者の紹介に引き続き、政府側より資料1−1及び1−2を用いて第96回ILO総会及びILOアジア地域フォーラムの概要報告がなされた。
【発言概要】
(労働者側)
[1]グリーンジョブについて
本年のILO総会においては、ディーセント・ワークの内容に関わる問題提起として、気候変動を視野に入れて、仕事の中身をエコロジカルなものにシフトさせる必要性・重要性を指摘するグリーンジョブ・イニシアチブが提唱され、ILOアジア地域フォーラムにおいても同様の議論があった。このグリーンジョブ・イニシアチブは非常に注目すべきものであり、これを日本の政労使がどう受け止め、今後どう推進していくのかが課題。
[2]労働安全衛生マネジメントシステム(OSH−MS)について
ISO(国際標準化機構)が独自に労働安全衛生マネジメントシステムの開発を表明したことに対し、政労使三者が一致して反対するという対応ができたのはよい姿である。ただし、アジアの労働安全衛生を確実に向上させるために、今後ILOとしてどのようにこの問題に取り組むのか、新たな労働安全衛生枠組み条約に照らしても議論していく必要がある。
(使用者側)
[1]ILO総会における議論について
本年のILO総会では、技術議題の中でILOの機能・能力の改善にかかる、フィラデルフィア宣言以来特筆すべき「ILOの機能強化」という議題があった。これは、来年の総会の前に理事会の場で議論されることになるが、ILOが一貫性のある仕事を追求することが重要だと思う。
さらに、本年の総会で注目すべき議題として、「持続的な企業の促進」について議論された。今までILOでは、雇用を提供するという「使用者」としての機能に関心が集中していたが、「経営者」としての機能が注目されるようになったということであり、歴史的にみても画期的なことである。
グリーンジョブの議論も、「使用者」としての側面のみでは捉えられない問題である。
産業界でも、最近、取り上げられるようになっているテーマであり、議論することは有益である。
[2]ILOアジア地域フォーラムについて
ILOアジア地域フォーラムについて、会議の論点としては、生産性が上がっても、必ずしも雇用が増えてはいない現状から、何らかのアクションが必要ではないかということであった。しかし、広範な内容に議論が及んだことで、結論がよく見えなかった。また、本フォーラムで事務局から提案があったアジア知識ネットワークの構築については、特段の反対はなかったが、各国から様々な条件づけがあり、まだまだ議論を重ねる必要があるとの指摘があった。今後の進展に注目している。
(政府側)
[1]グリーンジョブについて
グリーンジョブ・イニシアチブは、着眼のすぐれた発想であり、働く側の労働者と、働く場を作る立場の経営者の両方の要請を充たしたディーセント・ワークという議論が深まるテーマとなればよいと思う。
[2]ディーセント・ワークについて
ディーセント・ワークについて分かりやすく周知するため、労使とともに決定した「働きがいのある人間らしい仕事」との表現を用い、協力して周知を図っていきたい。
ディーセント・ワークには「量的な側面」と「質的な側面」があり、大きく捉えれば、開発途上国は量的側面、先進国は質的側面の追求が主課題になるのではないか。ILOとしても、各国の事情に応じて、国ごとにディーセント・ワークに向けた合意形成を図ることを求めている。
(2)議題2 2007年年次報告について
政府側より、2007年の日本政府年次報告案について、資料2−1から資料2−11を用いて説明が行われた後、意見交換が行われた。
【発言概要】
144号条約に係るやりとり
(労働者側)
第144号条約に基づく年次報告案の協議については、検討するための十分な時間をいただきたい。
144号、187号条約、及び198号勧告の訳語についての意見を添付していただきたい。
国際労働基準の促進を図っていくための重要政策は、三者構成主義の趣旨が損なわれることのないようにすべき。
また、ILO懇談会の役割を発展させていくべきで、三者構成の重要性を認識することが重要である。
(使用者側)
報告案は早期に送付していただきたい。144号に基づき、三者構成を尊重した上で、本当の意味での議論をする必要がある。
(政府側)
ILO懇談会は、労使を含めた重要な会議であると認識しており、今後とも適切な対応に努めてまいりたい。
19号条約にかかるやりとり
(労働者側)
19号条約について、外国人労働者問題は本当に深刻化しており、注視している。
87号及び98号条約にかかるやりとり
(労働者側)
政府報告はILOが再三にわたり指摘している勧告の内容を踏まえずに、従来通りの主張を繰り返している。これでは時間と労力の無駄である。ILOからの指摘を受け止めて政府としてどう改善するのかという視点で報告書を作成すべき。
88号及び122号条約にかかるやりとり
(労働者側)
88号条約については、日本の中で相当の議論があったこと、ハローワークが減ってきていることを指摘したい。
122号条約については、今まさに三者構成の審議会の重要性に注目すべき。
−了−
照会先:厚生労働省大臣官房国際課 国際労働機関第2係 03-5253-1111(7310) 03-3595-2402 |