07/08/27 第77回労働政策審議会雇用均等分科会議事録 第77回 労働政策審議会雇用均等分科会 議事録 日時:2007年8月27日(月) 14:00〜16:10 場所:厚生労働省 共用第6会議室(2階) 出席者:  労側委員:岡本委員、鴨委員、斉藤千秋委員、齊藤惠子委員、龍井委員  使側委員:川崎委員、松井委員、山崎委員、山本委員  公益委員:林分科会長、今田委員、奥山委員、佐藤委員、田島委員、樋口委員 ○林分科会長  では定刻を過ぎましたので、ただ今から第77回労働政策審議会雇用均等分科会を開 催いたします。本日は、吉川委員が欠席されております。佐藤委員は後ほどいらっしゃ います。まず、事務局におきまして異動がありましたので、順次、ご挨拶をいただきた いと思います。 ○高倉総務課長  先週の金曜日、24日付で雇用均等・児童家庭局総務課長を拝命いたしました高倉と申 します。どうぞよろしくお願いいたします。 ○定塚職業家庭両立課長  同じく24日付で職業家庭両立課長を拝命いたしました、定塚由美子と申します。ど うぞよろしくお願いいたします。 ○大地均等業務指導室長  同じく24日付で雇用均等政策課均等業務指導室長を拝命いたしました、大地と申し ます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○阿部育児・介護休業推進室長  同じく24日付で育児・介護休業推進室長を拝命しました、阿部でございます。よろ しくお願いいたします。 ○林分科会長  それでは、早速、議事に入ります。本日の議題は、「『事業主が講ずべき短時間労働者 の雇用管理の改善等に関する措置等についての指針(案)』について」です。まず、指針(案) につきましては、8月24日に厚生労働大臣から労働政策審議会長あて諮問が行われまし たので、これを受けて当分科会において審議を行うことにしたいと思います。それでは、 事務局から資料の説明をお願いいたします。 ○高崎短時間・在宅労働課長  短時間・在宅労働課長でございます。お手元にお配りしています資料のNo.1に基づき まして、ご説明させていただきます。資料No.1にありますとおり、正式の名前は長いの ですけれども、いわゆる「パートタイム労働指針」の改正につきましての諮問になりま す。これにつきましては、前回7月19日の当分科会におきまして、事務局より提案い たしました改定指針のたたき台につきまして、当分科会でご意見をいただいたことを踏 まえ、その後、事務局の方で公益の委員とも相談しつつ、8月24日に、厚生労働大臣よ り諮問をさせていただいているものです。中身につきましては、今から読み上げさせま す。 ○富田短時間・在宅労働課調査官  それでは、読み上げさせていただきます。1枚目は諮問文ですので、2ページ目から 読み上げます。  「事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等に関する措置等についての指針 (案)  第一 趣旨  この指針は、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(以下「法」という。)第三 条第一項の事業主が講ずべき適正な労働条件の確保、教育訓練の実施、福利厚生の充実 その他の雇用管理の改善及び通常の労働者への転換の推進(以下「雇用管理の改善等」と いう。)に関する措置等に関し、その適切かつ有効な実施を図るため、法第六条から第十 一条まで、第十二条第一項及び第十三条に定めるもののほかに必要な事項を定めたもの である。  第二 事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等に関する措置等を講ずる に当たっての基本的考え方  事業主は、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する措置等を講ずるに当たって、次 の事項を踏まえるべきである。  一 労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、雇用の分野 における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律、育児休業、介護休業等育児 又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律、雇用保険法等の労働者保護法令は短時 間労働者についても適用があることを認識しこれを遵守しなければならないこと。 二 法第六条から第十一条まで、第十二条第一項及び第十三条の規定に従い、短時間 労働者の雇用管理の改善等に関する措置等を講ずるとともに、多様な就業実態を踏まえ、 その職務の内容、職務の成果、意欲、能力及び経験等に応じた待遇に係る措置を講ずる ように努めるものとすること。  三 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する措置等を講ずるに際して、その雇用す る通常の労働者その他の労働者の労働条件を合理的な理由なく一方的に不利益に変更す ることは法的に許されないこと、また、所定労働時間が通常の労働者と同一の有期契約 労働者については、法第二条に規定する短時間労働者とはならないが、法の趣旨が考慮 されるべきであることに留意すること。  第三 事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等に関する措置等  事業主は、第二の基本的考え方に基づき、特に、次の事項について適切な措置を講ず るべきである。  一 短時間労働者の雇用管理の改善等  (一)労働時間  イ 事業主は、短時間労働者の労働時間及び労働日を定め、又は変更するに当たって は、当該短時間労働者の事情を十分考慮するように努めるものとする。  ロ 事業主は、短時間労働者について、できるだけ所定労働時間を超えて、又は所定 労働日以外の日に労働させないように努めるものとする。  (二)退職手当その他の手当  事業主は、法第八条及び第九条に定めるもののほか、短時間労働者の退職手当、通勤 手当、その他の職務の内容に密接に関連して支払われるもの以外の手当てについても、 その就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して定めるように努めるものとする。  (三)福利厚生  事業主は、法第八条及び第十一条に定めるもののほか、医療、教養、文化、体育、レ クリエーション等を目的とした福利厚生施設の利用及び事業主が行うその他の福利厚生 の措置についても、短時間労働者の就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮した取 扱いをするように努めるものとする。  二 労使の話合いの促進  (一)事業主は、短時間労働者を雇い入れた後、当該短時間労働者から求めがあったと きは、法第十三条に定める事項以外の、当該短時間労働者の待遇に係る事項についても、 説明するように努めるものとする。  (二)事業主は、短時間労働者の就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して雇用 管理の改善等に関する措置等を講ずるに当たっては、当該事業所における関係労使の十 分な話合いの機会を提供する等短時間労働者の意見を聞く機会を設けるための適当な方 法を工夫するように努めるものとする。  (三)事業主は、法第十九条に定める事項以外の、短時間労働者の就業の実態、通常の 労働者との均衡等を考慮した待遇に係る事項についても、短時間労働者から苦情の申出 を受けたときは、当該事業所における苦情処理の仕組みを活用する等その自主的な解決 を図るように努めるものとする」  三 不利益取扱いの禁止  (一)事業主は、短時間労働者が、法第七条に定める過半数代表者であること若しくは 過半数代表者になろうとしたこと又は過半数代表者として正当な行為をしたことを理由 として不利益な取扱いをしないようにするものとする。  (二)事業主は、短時間労働者が、法第十三条に定める待遇の決定に当たって考慮した 事項の説明を求めたことを理由として不利益な取扱いをしないようにするものとする。  四 短時間雇用管理者の氏名の周知  事業主は、短時間雇用管理者を選任したときは、当該短時間雇用管理者の氏名を事業 所の見やすい場所に掲示する等により、その雇用する短時間労働者に周知させるよう努 めるものとする。  第四 適用期日  この告示は、平成二十年四月一日から適用するものとする。」  以上でございます。 ○林分科会長  それでは、この指針案についてご意見がございましたらお願いいたします。特にご意 見はございませんか。では、山崎委員。 ○山崎委員  この指針の2ページの3行目の「三」のところが加わった項目だと思うのですが、そ の2行目に「合理的理由なく一方的に」という言い方があるのですが、これは労働者側、 使用者側それぞれの解釈によって、いろいろな混乱が生ずる恐れがあるのではないかと いう気がします。その混乱が十分担保できるかどうかということ。それから、例えばそ うであっても、合理的な理由の中に均衡の確保が図られる場合というものが含まれるか どうか、ということについてはどうなのでしょう。この辺についても、もしこのままこ の条文を生かすとすれば、Q&Aや解釈を十分やってもらわないと、「一方的な取扱い」 についての解釈によって、かなり混乱が生ずるのではないかという気がするものですか ら、いかがでしょう。 ○林分科会長  事務局から、どうぞ。 ○高崎短時間・在宅労働課長  今、山崎委員よりご指摘のありました点につきましては、合理的な事由というものを すべて網羅的に示すということは、事柄上難しいことですけれども、就業規則の変更に 伴います判例等の蓄積もありますので、その辺りの事例等をできるだけ紹介していく、 あるいはその辺りの考え方をパンフレット、リーフレット、あるいは通達等において示 しながら、現場で混乱することのないように努めていきたいと思っております。いずれ にしましても、「労働者の労働条件を合理的な理由なく一方的に不利益に変更すること」 が許されないということは、それ自体そのとおりですので、それが現実問題として現場 で適用されるに当たり、不要な混乱がないように行政としても最大限の努力をしていき たいと思っております。 ○林分科会長  よろしいでしょうか。それでは、他にご意見がございますか。山本委員。 ○山本委員  「福利厚生」のところですが、現行の指針では施設の利用に限定された内容になって いたかと思いますが、今回は福利厚生の措置全般ということで内容が触れられています。 それについて、実際に事業をしておりますと、パートの方もいろいろな形のパートの方 がいらっしゃいまして、短時間の方もおられれば、短時間でも長期の方もおられるし、 あるいはかなり長い時間で長期の方、短期の方と、かなりいろいろなお立場で仕事をさ れる方がおられます。福利厚生の中身といっても、保養所を使うことですとか、あるい は会社にあります図書等のプレイガイドのようなものの活用ですとか、これの中にはい ろいろなことが含まれると思いますが、今申し上げたように、いろいろな立場の方がお られるので、一律的な取り扱いというのはかなり難しいのではないかと思います。その 辺を十分考慮した内容の表現にしていただきたいと思います。特にパンフレットなどで 説明する場合には、その辺も十分考慮していただき、一律的にはなかなか扱えないとい うところを指摘したいです。 ○高崎短時間・在宅労働課長  ただ今、山本委員からご指摘のありました点につきましては、当分科会におきまして も昨年度来、議論のあったところではないかと承知しております。福利厚生そのものが、 そういう意味では企業の画一的な実施になじまないものであるというのは、そのとおり だと思います。そういう意味で、指針におきましてもその部分につきましては、まさに 今、山本委員がおっしゃったように、パートの方もさまざまだということが、指針上に 「短時間労働者の就業の実態・・・を考慮」するという用語として入っておりますし、 仮に実施するとしましても、そうはいっても違うから何でもありなのかというと、そう ではない場合があるという意味で、通常の労働者との均衡を考慮するということが文言 として入っています。それは、個々の事業所における短時間労働者の就労の実態、ある いは事業主が実施する福利厚生。何を福利厚生とするかについても、一義的には経営の 側でご判断される話ですので、どういう項目かによっても当然違ってくるわけです。い わばそれをマトリックスのように組み合わせる形でバランスの取れたものにするよう努 めていただきたいということを、指針上に書いてあるわけです。今、ご指摘のありまし たようなことについては、福利厚生というものは本来そういう事情を持ったものですの で、我々がパンフレット等を今後作るに当たりましては、今の意見も十分踏まえてこの 指針についての理解を進めていきたいと考えています。 ○林分科会長  他にご意見はございますか。川崎委員。 ○川崎委員  「退職手当その他の手当」という項目なのですが、これは先般のこの会議の場でもか なり議論になったところかと記憶しております。何をこの中に記載するのかということ と、その記載を非常にわかりやすいものにしてもらいたいということがあるのですが、 この中に具体的には短時間労働者の退職手当、それから通勤手当が例示として挙がって おります。この文面をそのまま素直に読むと「職務の内容に密接に関連して支払われる もの以外の手当」なのか、職務に密接に関連して支払われるもの以外の手当てについて も、その次の文の「その他」がどこまで掛かるのかという部分が非常に紛らわしいとこ ろもありますので、まずは手当の位置付けをわかりやすく、混乱を招かない書き方をし てほしいということが一点と、今回、例示の中に入っている部分については過去の経緯 等を踏まえたわかりやすい示し方を配慮いただきたいと思います。よろしくお願いいた します。 ○林分科会長  高崎課長。 ○高崎短時間・在宅労働課長  ただ今、川崎委員よりご指摘のありました指針の書きぶりに関しましては、若干テク ニカルな話で恐縮ですが、退職手当も通勤手当も、その後に「その他」と書いてありま すのは、法令用語的ルールでは「例示」という意味でして、両方ともが職務の内容に密 接に関連して支払われるもの以外の手当の例示として書いてあるということです。法令 的な書きぶりとしてはこういう形で書かせていただくことになると思いますが、意味は そういうことですので、パンフレットやリーフレットにおいてはそういう形式的なこと だけではなくて、その辺りの紛れがないように、混乱が起きないようにきちんと周知な り理解促進に努めさせていただきたいと思っております。 ○川崎委員  よろしくお願いいたします。    ○林分科会長  他にご意見はございますか。松井委員。 ○松井委員  2ページ目の前から5行目の「また」以下のところですが、「所定労働時間が通常の労 働者と同一の」労働者、ここのケースでは「有期契約労働者」についての記述がありま す。前回も私どもから指摘をさせていただいたわけですけれども、ここはやはり仮に国 会等で指摘があったとしても、本来盛り込むべきではないと思います。と申しますのは、 先ほど山崎委員は同じ項目の前段の部分をご指摘されましたが、ここも通常の労働者の 取扱いのことを言っている。「また」以下は、パートタイム労働法の対象者とならないも のについての指摘が書かれているわけです。これはパートタイム労働指針ですから、い ずれも本来は削除されるべきだと、私自身は今もって考え方を変えておりません。特に、 この有期契約労働者について「法の趣旨が考慮されるべき」と書かれておりますけれど も、そこの部分のいわゆる有期の均衡の議論については、労働条件分科会でも議論が行 われまして、労使からの非常に厳しい議論の結果、この点は盛り込まれませんでした。 今、継続審議扱いで、今後の臨時国会等で引き続き議論される中にも盛り込まれなかっ たということを踏まえますと、反対にこのように「法の趣旨が考慮されるべき」である と書かれたとしましても、企業側としては本当は何をやればいいのかという疑念を抱か ないわけではありません。そういう観点から、やはり私どもとしましては、引き続きこ の点については盛り込むことは適切ではないと考えております。そういう意見は申し述 べたいと思います。 ○林分科会長  高崎課長。 ○高崎短時間・在宅労働課長  今の点につきましては、前回の分科会でもそういう意見が出されたことは承知してい るところですが、その際にも私どもからご説明いたしました通り、この「第二」の部分 につきましては、短時間労働者について雇用管理の改善を措置するに当たっての基本的 考え方という部分でして、いわば直に短時間労働者の雇用管理の改善の中身について書 いておりますのは、「第三」以下という形になっております。そういう意味では構造上、 その「第二」の部分で、短時間労働者について措置を講ずるに当たって基本的に何を考 えていただくかということについて書いてある部分であるということを、ぜひご理解い ただきたいということと、その点におきましては、確かに労働条件分科会におきまして もそういう議論があったのかもしれませんけれども、その後パートタイム労働法の国会 審議におきまして、いわば正社員とパートタイム労働者の間に位置付けられております フルタイムの有期契約労働者の方々について、何もない、あるいはそこの部分に外れて しまっているということでは、雇用管理上もうまくいかないのではないかという議論等 もあって、最終的には附帯決議という形で、ここにありますような法の趣旨が考慮され るべきであるという文言で、政府として事業主に対して、きちんと周知しなさいという ことを示しているということです。それらを踏まえまして、私どもとしては今回そうい う形で諮問を申し上げているところです。そういう意味では、その後の経緯および指針 における位置付け方等で、ぜひご理解を賜ればと思います。 ○林分科会長  その他に。山本委員。 ○山本委員  「不利益取扱いの禁止」の(二)ですが、実際に事業をやっております中で、短時間労 働の方々が、この「待遇の決定に当たって考慮した事項の説明」を仮に求めてこられた 場合に、それを理由として不利益な取扱いをするということは、まず考えにくいと思い ます。よほど特殊なケースの場合としてはあるかもしれませんけれども、通常の会社運 営の中では、むしろそういう質問があればそれに対しては積極的に答えるということで、 それを基にして不利益な取扱いに結びつくということは考えにくいと思いますので、あ えて盛り込む必要があるのかどうかということを少しご指摘させていただきたいと思い ます。 ○林分科会長  はい、高崎短時間・在宅労働課長。 ○高崎短時間・在宅労働課長  その点につきましても、前回の分科会においても労使双方よりご意見があったところ ではないかと思います。まさに今山本委員がおっしゃいましたようなことで、事業主の 方が対応していただければ本当に問題がないわけで、私どもは非常に歓迎すべきといい ますか、そうあってほしいと思うことはそのとおりです。その一方で、前回労働側委員 から出されていましたのは、そういう良心的あるいは優良な企業がある一方で、そもそ も聞くことすら非常に勇気を持って言わないと、何か言った瞬間にすぐ、もういいとい うことになってしまうのではないかという、現実にそういう問題も起きているし懸念も あったとすれば、説明を求めることができると書いても、結果としてそういうことで不 利益を被らないということがどこかにきちんと書いてあると、いわばお守りといいます か、最終的な担保になるわけです。そこはまさにそういうご主張は、私が理解するとこ ろ、前回の分科会におけるその場面においては、公益も含めまして、そういうことでは ないかというような意味でのコンセンサスはあったのかなと思っています。何と言いま すか、そういう意味で、あったとしてもなかなか現実問題として説明と言い出すのは難 しいのだろうと思いますけれども、せっかく置いた規定でもありますので、そこら辺の ところはそういうことなのだということで少し近づけるといいますか、そういうような ものとして書かせていただきたいということです。 ○林分科会長  他には特にご意見はありませんか。それでは他にご意見・ご発言がないようであれば、 当分科会として、「事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等に関する措置等に ついての指針(案)」について、おおむね妥当と認めることとし、その旨の報告を私から 労働政策審議会長宛てに報告したいと思います。これについて事務局から案文が用意さ れていますので配付をお願いします。  それではお手元の報告文は案文どおりでよろしいでしょうか。 ○全委員  異議なし。 ○林分科会長  それではこの案文で、私から労働政策審議会長に。失礼しました、松井委員どうぞ。 ○松井委員  案文どおりで構わないのですけれども、本日ならびに前回も私ども事業主側から度々 指摘させていただいた点も十分踏まえた上で、会長にご報告をお願いしたいと思います。 現実に今日議論しました指針につきましても、法律を超える部分も相当あるという認識 をしています。事業主側からすると、法律本体そのものをまず理解して、そして着実に コンプライアンスに基づいて実施していかなくてはいけないという重い責務を負ってい ると理解しています。そういう観点からすると、やはり施行に当たって、わかりやすい 周知を行政にはぜひお願いしたいと思いますし、私ども事業主団体としても積極的に取 り組んでまいりたいと思いますので、その点へのご配慮をぜひお願いしたいと思います。 そういう点があったということでないと、これですんなりオーケーだったと思われると 非常に困るという点だけ付け加えさせていただきたいと思います。 ○林分科会長  一応指針(案)についてはご賛同いただくけれども、それを報告するに当たっては注意 をするというお話でしたので、それではこの案文で労働政策審議会長にそのような趣旨 を踏まえて報告したいと思います。  それでは次の議題に入りたいと思います。その他となっていますが、事務局より説明 事項があるということですので、お願いします。 ○安藤雇用均等政策課長  お手元の資料No.2になります。雇用均等確保対策の在り方に関する研究会報告書をお 付けしています。まず1枚、ポンチ絵が付いていますが、本体をご参照いただきまして、 ご説明申し上げます。  この研究会ですが、本年の1月から5回の研究会を開催してまとめていただいたもの です。男女雇用機会均等に関する現状をサーベイしていただいた上で、当面の取り組む べき課題、政策提言をしていただいたという趣旨のものです。  表紙をめくっていただきまして、参集者名簿がありますが、本分科会委員をしていた だいています佐藤委員に座長を勤めていただき、6名の方々にお集まりいただいたもの です。この研究会報告書ですが、全体では前半の総論部分、それから各論部分に分かれ ていまして、37ページ以降は、この研究会の中で現状分析を主にご担当いただいた3 人の委員の方々に書いていただいたレポートとなっています。こうしたことに基づき研 究会の中でご発表いただいたということで、後段部分については委員の方の個人レポー トという取扱いです。  報告書は36ページまでのところが総論部分ですので、これに基づきましてご報告を 申し上げますと、まず現状と問題点についてのご指摘があります。現状について細かく 見ていただいているのは8ページ以降です。III男女の労働力の現状、就業実態の変化等 となっていますが、ここにまとめてあります。まず労働力の量的・質的変化ということ で、男性の労働力人口については昭和60年との比較で8.5%増加していますが、過去 10年間は減少傾向にある一方で、女性につきましては16.2%の増加と増えています。 また過去10年間については女性も2,700万人台を推移しているといった状況です。ま た労働力率については男性は低下傾向が続いていますが、女性については平成2年をピ ークに横ばいで推移するという動きを示しています。図表2の女性の労働力率について 年齢階級別に見ますと、女性についてはすべての年齢階級で上昇していますが、特にい わゆるM字型と言われるM字の底の部分が大きく上昇しています。しかしながら、こ れを配偶関係別に見ますと、図表3では未婚女性の労働力率は全体として上昇傾向にあ るのに対して、図表4になりますが、有配偶では大きな変化が見られていないというこ とで、全体として見た女性の労働力率の上昇は未婚者層の動きによるところが大きいと いう指摘があります。また図表5は労働力人口の見通しです。雇用政策研究会の報告書 から取ってきたものですが、今後労働力人口の減少が見込まれている中で労働市場への 参加が進むケースというのを見ていただきますと、この一番右側の2本の棒グラフです が、労働市場への参加が進むケースを取った場合には、今後考えられる労働力人口の減 少の半分程度を取り戻すことが可能で、そのうち半数は女性の労働力人口増で埋められ ると期待されているわけです。  また12ページをご覧いただきまして、雇用形態、キャリアパターンの変化というこ とで、女性について見ますと、図表6ですが、正規雇用者数が平成10年以降減少に転 じています。一方で非正規雇用者が増えていて、その割合が高まっています。その下の 図表7の男性についても同様の傾向が見られるわけですが、女性と比較すると正規雇用 者数は多く、比率も高いということです。それから1枚めくっていただきまして、14 ページ、学歴別の就業形態、就業状況を見ますと、短大・高等専門学校卒、大学・大学 院卒という人たちの割合が男女ともに高まってきていますが、女性についての上昇が特 に大きく、短大卒まで含めるとその割合は男性を超えるに至っているという状況です。  また15ページには勤続年数の動きが出ていますが、勤続年数につきましても伸びて きていまして、女性については平成18年は8.8年という平均値になっていますが、一 方男性は13.5年ということで男性と比較するとまだ短いというのが実態です。16ペー ジ、管理職比率も過去大きく高まってきているというところです。管理職はやはり勤続 年数との関係も大きいわけですが、このところ特に係長級を中心に伸びてきていますけ れども、いまだに絶対的なレベルを見ますと割合としては少ないというところです。ま た一方で女性の意識の面から管理職について見ますと、管理職になりたくないと考えて いる女性が約半数いて、その理由としては責任が重くなる。あるいは仕事と家庭の両立 を図れる自信がないというようなことが多く挙げられている状況です。またその下に男 女間賃金格差の推移が出ていますが、これも長期的に見ますと改善してきていますが、 1枚めくっていただきまして図表17に国際比較が出ています。これを見ますと、欧米諸 国と比較すると格差は依然として大きいということです。  また19ページには職業別女性雇用者数の推移。20ページには職業別男性雇用者数の 推移が出ていますが、ここは性別職務分離の状況を見たところです。女性については事 務従事者が最も多いと。次いで専門的技術的職業従事者。また男性については製造、製 作、機械運転および建設作業者が最も多くて、次いで事務従事者、販売従事者と続くわ けです。また女性の就業比率の高い職種はサービス職種、事務職種というところが多く なっていまして、これは図表20ですがブルーカラーの職種での就業比率は低いところ です。また図表21ですが、ここではダンカン指数というものを使って、職業分布の格 差がどうなっているかを見ていただいています。分布が均等ならば0で、全く異なると 100になるという指数ですが、これを見ていきますと、近年におきまして若年層で男女 別の職業分布格差が縮小する傾向が見られるというふうに分析しています。  23ページに参りまして、ライフスタイルと職業キャリアに関してですが、まず第一子 出産を機に約7割の女性が離職している。そして、そのうち3割が就業継続を希望しな がら離職を余儀なくされたという結果が出ています。24ページは就業継続する上で必要 な事項というのが挙げられていますが、一つは子育てしながらでも働き続けられる制度 や職場環境。それからもう一つが、やりがいが感じられる仕事の内容ということで、両 立とやりがいというものが双へきで、次いで育児や介護のための労働時間への配慮、相 談ができる同僚や先輩がいることというようなことが挙げられています。  また25ページをご覧いただきまして、女性の育児休業取得率は、一番新しい数字で 72.3%となっていますが、男性につきましては0.5%ということでまだ低くなっていま す。しかしながら図表26、育児休業取得についての男性の意向を見てみますと、ぜひ機 会があれば取得するという意向を持っている方、また取得する希望はあるという意向を お持ちの方、これを合わせると、半数程度の男性に一応の取得希望はあるというふうに 見られるわけです。26ページをご覧いただきまして、これは育児休業終了後の復職状況 を見ますと、育児休業を取られた女性の約9割が復職している一方で、その後短時間勤 務制度をどう利用しているかというと、さほどの割合の方が利用しているという感じで はないということです。それから27ページ、再就職関係ですが、子どもを持つ女性労 働者について、再就職活動をしていたときに正社員を希望していたという方で、望みど おりに正社員に就けたという方の割合は約半分。離職期間は1年未満のものについては 特に成功率が高くなるという結果が出ています。  28ページで働き方に対する意識を見ていますが、これは男女ともに仕事を優先する働 き方よりも、生活を優先する働き方を望む割合が近年やや高くなってきているという意 識の変化が見られます。その一方で図表31に見られますように、男性の30代の4人に 1人は労働時間が週60時間以上となっているというような実態もあります。また29ペ ージで、夫と妻の生活時間を見ていただきますと、夫の家事関連時間が非常に短いとい う状況が続いています。次のページの30ページでは介護について見ています。これは また事情が少し変わりまして、介護につきましては男女の介護・看護時間についての差 が少なくなっています。また、普段介護をしている方というのは、していない方よりも 男女ともに仕事時間が短くなるという傾向が見られます。  31ページにつきまして、女性の起業についても見ています。女性の起業について見ま すと、女性は男性よりも新規開業者割合が一貫して高い一方で、廃業率も男性の倍とな っているということで、比較的効率的に起業している割には閉めてしまう方も多いとい うことです。  33ページをご覧いただきまして、こうした中で企業における取組というのはどういう ふうに進んでいるかということでありますが、ポジティブ・アクションについては、大 企業はかなりの割合で取り組みをいただいていますが、なかなか中小企業への広がりが 見られないというのが今の状況です。次のページでそのポジティブ・アクションの取組 内容について聞いています。人事考課基準の明確化や女性の積極的採用というようなこ とが行われていますが、女性の活躍推進上の問題点として挙げられている点を見ますと、 まず家庭責任を考慮する必要があるということ。それから勤続年数が平均的に短いとい うことについて多く指摘があります。次に両立支援制度の整備状況、認知状況を見ます と、35ページですが、30人以上の事業所では育児休業制度の規定も整備されてきてい ますけれども、30人未満になると規定整備の割合が低くなっています。また勤務時間短 縮等の措置の制度も4割を超えて増えてはいますが、整備途上という状況です。36ペー ジをご覧いただきまして、その一方で制度の認知度はどうかというと、管理職でも約4 割が制度についてはよく知らないというようなお答えがありまして、課題があるという ことです。  このような形で実態を見ていただきまして、1ページに戻っていただきます。IIの1 のところで現状及び問題点として、申し上げましたような実態から、この研究会の中で は法制度上は男女の均等な機会及び待遇のための整備が図られて、この間女性の労働力 人口は増加、あるいは勤続年数も伸びているという状況が見られますが、一方で男性に 比較すると勤続年数、管理職割合ともにいまだ低いレベルにある。また妊娠・出産を経 ながら職業キャリアを継続するということ、また離職期間を経て再就業をするというこ とが難しいといった形で、実質的な男女雇用機会均等の観点からの課題を指摘していた だいています。また男性にとりましても、恒常的な長時間労働に見られるような主体的 なキャリアパターンの選択と実現が難しいということで、介護問題などもあり、このよ うな働き方についての問題が出てくるだろうという議論もありました。  以上のことから2ページを見ていただきまして、今後目指す方向として、どういうこ とを目指すべきかということですが、再就職支援のみならず、キャリア継続を希望する 女性が働き続けることができるような環境整備が必要だと。さらに男性労働者自身も育 児や介護を行うケース、配偶者が働くケースも増加しているわけですので、すべての男 性労働者がこれまでのような拘束の強い働き方をすることは困難とした上で、男女労働 者がそれぞれのライフステージにおいて、家庭の状況等に応じた働き方が可能となる環 境を提供することが強く望まれると指摘いただいています。そして男女が主体的にキャ リアパターンを選択し、希望するキャリアを実現できる社会。実質的な男女均等が確保 される社会を目指す中で当面取り組む課題として、2ページ目の下の方に書いてありま す4点にわたり施策の提言をいただいています。つまりキャリアの継続が可能となるよ うな環境整備。それと、仕事と生活を調和させつつ働き続けられる条件整備。そして、 これら二つの条件整備を実現するためのツールとしての機能が期待されるものとして、 ポジティブ・アクションの重要性に言及いただきまして、さらに多様なキャリアパター ンの選択が可能となるような条件整備。この4点について3ページ以降で政策の提言を いただいています。  まずキャリアの継続が可能となるような環境整備として3点挙げていただいています。 一つ目が1)「公正な処遇の確保」として、改正男女雇用機会均等法の履行の確保です。 施行5年後の見直しを視野に施行状況の把握と検討、機動的な対応をするように求めら れています。さらに公正な処遇の確保の結果とも言える、「男女間賃金格差の縮小」とい った問題が挙げられていて、また勤続年数の伸長や管理職への登用に加えまして、賃金 決定方法、人事評価の在り方についての詳細な調査分析と、これを踏まえた対応策の検 討といったものが賃金格差の縮小に向けて必要であると言っています。二つ目に「就業 意欲を持ち続けられるような環境づくり」として、現状ではいまださまざまなライフイ ベントを経験しながら継続就業しておられる女性が多いとは言えない。こういう状況の 中で在職中の女性が適時適切にサポートを受けて、キャリアプランを描きつつ、就業継 続意欲を維持できるような相談体制を整備する。またキャリアアップするための能力開 発機会の確保。とりわけ初期キャリア段階での効果的な教育訓練の推進といったことが 挙げられています。3点目として、妊娠・出産、育児等が極端に不利にならないような 人事制度や能力評価制度等について検討すること、またこれらを導入するための支援と いったことが挙げられています。  4ページ目の2)ですが、「仕事と生活を調和させつつ働き続けられる条件整備」とし て3点まとめています。まず長時間労働を前提とする働き方から短時間で効率的な働き 方ができるような仕事の進め方といったように業務配分・遂行管理の見直しなどを進め ることが重要であるということが挙げられています。つまり育児・介護期にキャリアの 中断を余儀なくされず、また中断したとしてもスムーズな復帰が可能となるように、長 時間労働を前提とした働き方の見直しも含めた企業全体としての業務改革への支援が必 要であるというご指摘です。二つ目は「仕事と家庭の両立を図れるような環境づくり」 として、両立支援制度を利用しやすく、復帰しやすい環境の整備が重要であるというこ とから法律の履行確保と職場風土づくりの支援が必要であるとしています。また次世代 育成支援対策推進法に基づく行動計画の策定、実施の促進。それから地域における多様 な保育・介護サービスの整備拡充が求められています。三つ目は「妊娠・出産、育児・ 介護期における働き方の選択肢の増大」ということで、これが妊娠・出産等の際の離職 防止にもつながるということもご指摘いただきながら、勤務時間短縮等の措置の定着、 活用、企業内での雇用形態、職種の変更について、均衡処遇を確保した上で柔軟に行え るような仕組み作りといったようなことが指摘されています。  三つ目の「ポジティブ・アクション」については、これは本来は過去の経緯などもあ りまして、男女労働者の間に生じている事実上の格差、これを解消するために企業が行 う取り組みということですが、これを実施する際にはこれまで述べましたような点に関 する雇用管理の見直しといった視点も取り込むことが重要である。そういった情報提供、 ノウハウ提供が必要というものです。その上で個々のポジティブ・アクションを積極的 に進めるとともに、一般社員に対して周知・啓発を行うとともに、管理職が理解を深め るということが重要であるとご指摘をいただいています。また管理職登用につきまして も、勤続年数伸長の一方で、その割合が伸びていないということから引き続き積極的な 女性の登用に取り組むことが必要であるとしています。  4点目の多様なキャリアパターンの選択が可能となるような条件整備につきましては、 3点挙げています。一つ目は再就職支援で、とりわけ中断期間が長いほど思ったような 再就職ができなくなっているというような実態から、早期再就職のニーズに的確に対応 することが必要だというご指摘をいただいています。それから二つ目はパートタイム労 働者の均衡待遇の推進で、改正パートタイム労働法の着実な施行と、フルタイムで働く 者のパートと呼ばれるような人々に対しても、同法の趣旨を考慮されることが望ましい というご指摘です。それから三つ目は起業支援でありまして、女性の起業についてはや はり男性の場合と比較すると、起業に至るまでの就業経験が必ずしも男性ほど十分でな いといったような実態がありますので、これは引き続き支援が必要であるということを お書きいただいています。  最後にその他としての項目で、職務分離を防止するためにも、学生の就職や就業に関 する意識啓発が必要である。あるいはまた働き方に中立的な税制、社会保障制度等の見 直し検討について、引き続きご指摘をいただいているところです。  今後ですが、この報告書を参考としながら、改正されました男女雇用機会均等法第4 条の下で男女雇用機会均等確保対策基本方針を策定することとしていまして、次回以降 の分科会においてご議論いただきたいと思っています。  以上が研究会報告ですが、続きまして、参考資料の1としてご用意しているものがあ りますので、これも少し簡単にご紹介します。これは平成18年度女性雇用管理基本調 査というもので、発表時期が8月の初めで、研究会を開催した後に取りまとめたもので すので、男女雇用機会均等に関する最新の状況を示すものとしての紹介です。この調査 ですが、調査時点は18年10月現在、つまり改正法施行直前の状況です。この女性雇用 管理基本調査は毎年やっていますが、テーマを若干変えていまして、一番直近で過去に 均等の状況を調査しましたのは平成15年度です。今回の内容を総括しますと、管理職 割合は上昇していまして、均等法施行20年の積み重ねの成果と思われるような部分も ありますが、一方で採用の状況、ポジティブ・アクションといったところについては、 若干一服感が見られたという結果になっています。  概要を付けていますが、4ページ目をご覧いただきます。採用ですが、新規学卒採用 者につきましては、総じて男女とも採用したというところが低下しています。大卒を除 いて事務営業系では女性のみ採用が多くなっておりますし、技術系では男性のみ採用が 多いという傾向が引き続き見られるところです。  また男性のみ採用、女性のみ採用は、規模が小さくなるほど高くなっておりまして、 大企業では比較的バランス良く男女とも採用されている傾向が見られます。男女とも採 用というのが低下した要因につきましては、学歴や区分ごとに異なるものと思われます けれども、6ページを見ていただきますと、例えば男性のみ採用理由といったことも挙 げられていますが、そもそも規模にかかわりなく、女性の応募がなかったという回答が 半数を超えていまして、新卒者の専攻分野と男女の偏りもあるところです。そういう事 情もあるのかなというところもありますし、募集採用人数が1人だったというのは規模 が小さい所ほど多く、採用人数が少ない場合、どうしても結果として、男女とも採用が 困難になるという事情もあるかと思います。  いずれにしましても、もともとの進路選択上の偏りもありますし、あるいは法の趣旨 が十分でなかったのかもしれないというところで、今後も周知・啓発が必要だろうと思 っています。  また今回短大・高専卒についてすごく大きく数字が動いています。つまり短大・高専 卒について、女性のみ採用というのが非常に多くなっていますが、今回の調査から専門 学校・専修学校卒という区分を新たに設けましたところ、数字を見ましたら、従来の調 査では短大・高専卒というところに専門学校・専修学校卒を入れてお答えいただいてい たかと思われる数字の動きが見られました。学校基本調査で見ますと、短大・高専卒は 9割が女性ですので、そういったことがこの数字の動きに影響したかと思っているとこ ろです。  7ページ以降、コース別雇用管理について聞いていますが、近年の動きを見ますと、 コース別雇用管理、大規模企業ではほぼ一定の割合で落ちついていまして、中小規模で の増加が見られています。今回の調査でも産業別には不動産業、教育の学習支援業での 増加が大きくなっていますが、ここでいうコース別雇用管理制度というのは、いわゆる 総合職・一般職というパターンだけではなくて、専門職であるとか、技術職・技能職と いったような、広く言えば職種別雇用管理みたいなものも含めた集団的な雇用管理全般 が対象になっています。言ってみればさまざまなパターンの職種コースの組み合わせが 見られるところです。  今回は総合職について、転勤の有無別にコースを設定しているかどうかということを 聞いてみましたところ、転勤がある総合職、転勤がない総合職、両方を有するという企 業が30.3%ありまして、転勤のない総合職のみを有する企業が14.5%あったといったよ うな結果があります。コースの多様化が進んでいるという印象を受けています。  9ページにコース別雇用管理の見直しについての結果が出ていますが、コースの見直 しについては、やや割合は下がっていますけれども、その見直し内容を見ますと、コー ス転換を双方向にするとか、コースの編成を変えるというのが下がっていて、これは見 直しが一巡したということもあるのかなと考えています。  それから10ページで配置についてですが、これは傾向的な変化はなく、女性の職域 拡大についての取組を見ますと、ポジティブ・アクションに取り組んでいるというとこ ろでは、女性の職域拡大業務があったという答えが多くなっておりまして、相関性が見 られるところです。  昇進についてですが、冒頭申し上げましたように、管理職割合については順調に伸び ています。特に12ページの役職別の女性管理職割合の推移を見ていただきますと、こ れは管理職に占める女性の割合です。特に係長が伸びていまして、他も伸びていますが、 ただ、いかんせん水準としてはまだ低いと言わざるを得ない状況です。特に規模別に見 ますと、300人以上規模での係長相当職の割合が、ここのところやや停滞していたもの が拡大しておりまして、これらが順調に課長、部長と上がっていくかというところは注 目されるところです。  14ページには管理職が少ない、あるいは全くいない理由を聞いていますが、やはり勤 続年数と、恐らくは採用の偏りや配置を含めた教育訓練の不足といったものがあるのか と。その中での実力不足、勤続年数と実力不足というのが大きく挙げられているところ です。  それから15ページのポジティブ・アクションですが、取組状況について伺ったとこ ろ、ポジティブ・アクションに取り組んでいる、あるいは取り組む予定だという企業割 合が下がっておりまして、取り組んでいるというところが、29.5%から20.7%となって います。ただ一方で、取り組む予定はないというところも28.7%から22.3%と下がって いまして、代わりに増えたのが、わからないという答えのところです。まだ先のことは わからないということですので、こうした層に対して積極的に働きかけていく必要があ るのではないかと考えています。  ポジティブ・アクションが必要だと考える理由でありますとか、実際に取り組んだ効 果としては、次のページですが、経営の効率化や生産性の向上、あるいは人材確保、職 務能力によって評価されるのだという意識改革ということなど、企業としてもメリット を感じられる理由が挙げられているところですし、少子化もある程度追い風なのか、労 働力人口の減少が見込まれているから取り組まなければいけないとお答えいただいたと ころが5.9%から15.9%ということで大きく伸びています。  その他取り組み事項につきましては、さまざまな取組が行われていますが、取り組ま ない理由というのも聞いていまして、20ページの図表20ですが、なぜポジティブ・ア クションに取り組まないのかと尋ねますと、「既に十分に女性が能力発揮し、活躍してい るため」という答が、断トツで多いということです。  それから女性の活用のネックとなることは何でしょうという問いに対しましては、「女 性の勤続年数が平均的に短い」、それから「家庭責任を考慮する必要がある」というのは、 規模を問わず一番多い答ですが、これをさらに規模別に見てみますと、22ページにあり ますが、大企業では中間管理職の認識・理解というところを挙げる傾向があります。中 小では例えば時間外労働ですとか、深夜とか重量物とか、そういった労働条件整備の部 分が挙げられるというのが少し特徴的なところです。  次にセクハラ対策です。総じて大企業中心に取組が進んでおりますが、今回男性に対 するセクハラも対象としているところをお伺いしましたところ、大体半数くらいで、法 施行前でしたが男性も対象としているという答を頂いています。  また25ページで、相談実績・事案のある企業割合を聞いてみますと、5,000人以上で は86%の一方で、規模別にきれいに逆相関していまして、なかなか小さいところでは相 談事案自体がないところが多く、体制が機能するということが難しいのかもしれないと 思っています。  それと大企業では逆に取組自体は機能しているわけですが、それだけに実際のセクハ ラの取扱いに困難を感じておられるというのが図表29で、例えば「プライバシーの保 持が難しい」、あるいは「当事者の言い分が食い違う」というように現場でお悩みになっ ておられる。そういう対応のノウハウに対する難しさを感じておられるというのが出て います。  最後に両立関係について若干聞いています。先ほど育児休業取得率、研究会報告の中 にも出て参りましたが、あれは基本的には事業所調査規模5人以上というものでして、 この調査は企業調査で規模30人以上ですので、ちょっと数字としてはつながらないも のですが、これで見ていただきますと、女性の育児休業取得率は88.5%、男性は0.57% ということで伸びています。勤務時間短縮等の措置につきましても51.7%で導入という ことで、これも上昇しておりますし、総じて言えばレベルだけを見ると大企業の方が高 いのですが、伸びというか上昇幅は、むしろ300人以下の中小の方が大きくなっている という傾向も今回見られたところです。以上です。 ○林分科会長  資料についてご説明をいただきましたけれども、ただ今の説明について、質問がござ いましたら、お願いします。はい、樋口委員どうぞ。 ○樋口委員  質問というよりも認識をどう考えたらいいかということで、先ほどの研究会報告で、 10ページに有配偶女性の年齢別労働力率というものが出ていました。これを見ますと過 去20年間にわたって、有配偶についてはさほど労働力率が上がっていないというよう な説明だったと思います。これはよくそのような指摘をされるのですが、経済学では労 働力率というのは労働意欲を示す指標で、労働供給側の態度を示す指標なのだと考えら れております。だとすると、それほど女性の就業意欲は高まってないと受け止められて しまうのですが、私はそれは間違いではないかと思っています。と言いますのも、労働 力率は実際に就業している人と失業者を足し合わせたのが労働力率ということなのです が、その就業の中身を会社で働いている人と自営とか家族従業者というふうに分けてみ ますと、大きく違っている。ちょうど手元に数字があるのですが、会社に勤めている人 たちの比率、雇用就業率というのは、例えば40歳から44歳ですと、過去20年間で17% 上がっています。あるいは45から49歳ですと20%上がっているというようなことで、 会社に勤めている人たちは増えているのです。しかし自営業とか家族従業者、農業を中 心としてその人たちが減っているために、それが相殺した結果として労働力率は変わっ ていないと言われてしまうので、そこは会社に勤める人と自営、家族従業という形で働 いている人は、分けて考えないといけないのではないかと思っています。と言いますの は、私はある意味では非常に重要な意味を持っていると思っていまして、労働力率が上 がっていない、だから女性の有配偶の社会参加というのはそれほど活発化していないと 受け入れられる向きがあるのです。したがってまず女性の認識を高めて、そして雇用機 会を企業として拡大していくべきだとなるのですが、一方会社で働いている人たちの比 率で見ると、もう既に女性の就業意欲はこんなに高いと。ただしそこで問題が起こって きますのは、実は正社員が増えてない。みんな非正社員です。パートとか嘱託労働者、 契約社員、あるいは派遣という形で増えてきているということで、人数の拡大よりは今 雇用の質の拡大、向上というものが求められるのではないか。それに対する対策をどう するのかということをここで議論してほしいと思っているわけです。と言いますのも OECDが昨年出しました新雇用戦略の中で、雇用の量の拡大と質の向上というサブタイ トルで出ていますが、量の拡大をするときには例えばアングロサクソン型の市場改革、 こういったものが必要だと。そこでは小さな政府で市場に任せるということが重要なの だということですが、質の向上は必ずしもそれだけでは達成できないということを言っ ています。そこに政府の役割というものの重要性、政策の重要性といったものがあるわ けで、そこについては王道はなく、それぞれの国が自らに適したやり方を進めていく必 要があると言っているわけです。今回の議論も、その量の拡大と同時に、雇用の質の向 上、雇用条件の改善、働きやすいというようなところ、今までそれが非正社員というと ころで皆表れてきたところを、いかに改革していくのかというようなことが実は日本で 問われているのではないかと思っています。先ほど見ますと労働力率は上がっていない、 増えているのは未婚者だけだということになってくると、ちょっと違うのではないか。 現に会社に勤める人たちは20%上がっているというような認識は、私は必要なのではな いかと思う。これはみんなよく労働力率でとらえるので、あえて問題を提起したいと思 います。以上です。 ○龍井委員  今の樋口委員は非常に重要な指摘だと思っています。私も後半のことは全く同じこと を言おうと思っていました。恐らく最後に説明があったように、今回の報告が均等法を 中心としてこれからの計画に結びつけると考えていったときに、なおさらこの対象とし て女性労働者全体でとらえていくのか。そこでいわゆる正規労働者と非正規労働者と仕 分けをして、データについても見ていかないと。一方で後ほど時間があったら各論に触 れますが、キャリアとか、そういうことの着目が随分されている分析なのですけれども、 片方で何カ所か、例えば女性に対する経営者の見方として、勤続年数が短いというか、 働く年数が短いという実態にあるという前提で、もしも雇用管理を考えるとすると、本 人にそういう意欲があったとしても、そういう機会がない、あるいはそのチャンスがな いという悪循環でいくと、樋口委員がご指摘のように、当面そこで辻褄を合わせたとし ても将来的に、つまり企業にとっては必要な人材、ノウハウ、また働く側にとってはそ れがキャリアとして育成されていくというズレが結局解消されないのではないか。そう いう意味で言うと、これはどうしてもデータ上仕分けをしながら問題を析出するという か、そういう分析の視野が必要なのではないかというのが1点目です。  もう一つは先ほど分析の中で勤続年数のことに触れられていましたけれども、実際上 はこれもどう評価するか。15ページの女性の勤続年数についても、果たしてこれが順調 にいっていると見るのか。これは若干質問にもつながりますが、育児介護休業などの対 象が増えるということで、我々の組合のベースでヒアリングをしているときには、比較 的伸びているという話もあるのです。それが全体で見たときに、これをどう評価するか。 それともう一つ関連で、賃金についても平均賃金の17ページ、賃金格差の問題を男女 の平均でいつもこれをお取りになるのですが、もしできたら用意していただきたいと思 っているのは、賃金階層別というか、平均では確かにこういう推移なのだけれども、こ れは元のデータに基づいて、可能な限りどの賃金階層に集中している度合いが増えてい るか減っているか。平均として見たときにはこうだということと、ばらつきがどうかと いうことが今の勤続年数が高まっていって、場合によってはここでも指摘されているよ うな長時間であったりすることを覚悟しながら、そういうキャリアコースを歩むことに よって賃金が上がっていく人と、それから分析されているようにそのコースについてい けないことによって、低い賃金に置かれている人がずっと推移していって、割合の変化 によってどういう結果が起きているのかは、私はどうしても分布で分析しないと何が起 きているかはわからないので、そこはぜひデータを出していただければと思っています。   ○林分科会長  統計方法についての要望というのが出ていますが、これについては。 ○安藤雇用均等政策課長  ご指摘がありました点も含めまして、次回以降の中でどういうふうに反映できるかに ついて考えさせていただきたいと思います。基本的に今回ご議論いただくのは、男女雇 用機会均等法の下での男性と女性の雇用機会均等確保対策についての議論ですので、そ ういった視点からしますと、先ほど正規・非正規の話がありましたが、これにつきまし ては特に均等法は正規だけの法律ではないということにつきまして、今回の改正経緯の 中でも、ご指摘がありましたところですので、そういったことにつきましても意を用い ていきたいと思います。 ○林分科会長  他にご意見は。はい、鴨委員。 ○鴨委員  別の意見ではないと思いますが、雇用均等確保ということですので、今龍井委員から もありましたように、女性労働者ということを考えたときに、今2人に1人以上が非正 規ということで50%に近い非正規労働者の均等確保をどうしていくのかは、全体の女性 労働者の均等確保の面において、そこを省いた女性労働者というとらえ方になると、今 の日本社会における女性労働者全体の現状と課題というものが、実態とかけ離れてしま うのではないかということを危惧しています。それから例えばこの中で、いったん職の キャリアを中断した女性労働者の再就職のことなどが具体的な現状と問題点ということ で指摘はされていますけれども、今、特に若い人たちの中ではいったん職務キャリアを 中断した以前の段階、既に就業の入り口のところから非正規労働者であるという現状が 50%近くになっているわけです。こういった問題もきちんと触れていかないといけない 大きな問題ではないかということを述べておきたいと思います。以上です。 ○林分科会長  他にご質問、ご意見等ありますか。はい、今田委員。 ○今田委員  報告書ですが、事実について丁寧に分析されて課題を提示されたということで大変勉 強になりますと、一部評価させていただきます。そこで質問なのですが、この2ページ ですが、現状を整理して一番下です。男女が主体的にキャリアパターンを選択しそれぞ れ整理をした上で1)、2)、3)、4)という形で課題を提示されているということなので すが、この整理の仕方がよくわからないというのが質問の趣旨です。要するにこれは最 初の継続という環境整備、それから調和のための環境整備、そしてポジティブ・アクシ ョンで多様なキャリアの選択可能。これは上の議論からなぜこの四つがこういう形で出 てくるのかがすんなり入ってこない。なぜそこにこだわるかというと、これまで女性の 均等とか均等実現のフレームワークというのは、まず先ほどから議論しているような男 女の不均衡の均等の是正という均等実現がまず最初の目標としてあって、それを同じよ うに働くことを職場において実現するためには、生活との両立支援という支援部門が必 要だということで、均等の実現と両立支援という二本立てで今までいろいろな事業が推 進されてきたし、事実、均等の章と両立の章があって、それで章にも表れている。そう いう枠組みこれまできたと思うのです。私などそういう頭でこれまでずっと考えてきた。 そうではなくて、今度は最初に継続というのは何なのか。継続がまず課題としてあって、 次に調和という言葉が出てきてという、明らかにこれまでの枠組みとこの示された枠組 みは中身的には少しずれているというか、変わったというか展開があったというのがあ ると思うので、そこら辺を自覚されてこの報告書を出されたのかというのが非常に気に なるところです。  さらに言うと大きな問題として少子化とか今日的に日本がおかれた状況の中で、女性 を継続雇用する。仕事を継続するということがかなり重要な課題なので、まずこれが継 続ありきということが課題として出てくるというのは何となく理解ができるのですが、 これまでの男女均等の実現というものの枠組みとしては、均等待遇の実現ということと、 それを支援するための両立支援という、この二つの枠組みで推進してきたことからいえ ば非常にわかりにくいということです。さらにもう一つ注文をつけさせていただくと、 私はこの均等と両立がこれまで両輪になっていて、それぞれそれを軸に政策的ないろい ろな試みをやってきた。これから今の時点で重要なのは、この二つを双方的に相互に強 化していくような関係。それぞれが独立ではなくて、そういうことこそ今とても重要で、 今まで例えば佐藤委員もやっていますが、実証研究で明らかになったように、均等をう まく企業の中で実現していることと両立をきちんとやっている、この二つの関係が正の 相関になっていないケースが多いわけです。つまり、男性と同じように働いている企業 では、要するに簡単に言えば女性がなかなか働きづらい。男性もしんどいけれどもとい う、逆に非常に両立を手厚くしているところは、女性と男性の間の実現がなかなか難し い。二つは特別重要で両方やっていかないといけないのですが、もっと重要なのはこの 二つを、要するに正の相関をもっと強めるような関係が重要だということはいろいろな 実証研究で言われていることなのです。今の課題はその関係が重要なので、それこそ次 の均等の実現の枠組みとしては、まさに両立は両立だけで、均等はそこそこにという枠 組みから脱却するということが重要なのではないか。私はそういう問題に関して今思っ ているのです。そういうことから言うとこの報告書は、ポジティブ・アクションとかの 辺りにそういう期待を込めているのか、継続ということの中身に関して、ただ仕事を続 ければいいということでは決してないでしょう。この辺のことをもう少し積極的に議論 をしていただいた方が、せっかくいろいろ知恵を出しておられるので、今説明を伺って いるだけではちょっと今までの一つの質問として今までの枠組みと大きく変わったのか ということと、そうではなくて今言ったような中身がいろいろ議論されたとかそういう こともあって、質問なのか、注文なのかわからないということで、意見・注文をさせて いただきました。 ○佐藤委員  一応、委員会で委員長だったので、私は今田委員が言われるのと趣旨は同じではない かと思います。これまで均等については、法律上もいろいろ進めてきたのです。企業も 取り組んでいただいたし、両立支援の制度も法律的にも充実し企業もやってきたと思う のです。ただ実態を見ると、一つは均等の実現度を何で見るかということもありますが、 例えば賃金の格差がやや改善が少し足踏みですし、特に管理職のところは増えていると ころは増えているけれども、実質そんなに増えていないという点では、制度的な整備は 実質で見ればかなり課題がありそうだと。もう一つは両立支援の制度も制度的には就業 規則に組み込むところも増えてきているのですが、女性の継続就業の実態を見ると、確 かに産前産後休業を取って育児休業を取る人の比率はかなり高くなってきていますし、 育児休業を取った人の復帰率も相当高いのですが、皆さんご存じのようにその前に辞め ているという点では、結婚・妊娠・育児休業で、75%が辞めているという構造は20年 くらい変わっていないという点では、両立支援の制度に乗る人が増えていないというこ とがあるので、ここを両方やらないといけないだろう。ですからキャリアの継続と書い てある1)は、均等の中身の実質化です。もう一つの仕事・生活・調和も、両立支援制 度が使えるような仕事のニュアンスを書いていますから、制度だけではなく実質そうい う制度が使えるような仕組みにしようと。そういうことをやりながら、均等の実質化に ついて言えば、この中を見ると公正な処遇の確保とか、就業意欲を持ち続けられるとい うことが書いてありますけれども、例えば24ページを見るとやりがいが感じられない とあるわけです。確かに採用された、配置されたけれども、例えばその職場での仕事の 与え方とか育成という点では差があって、5年、7年、8年勤めて結婚・妊娠という時期 に、将来見通しないということになると、頑張ろうとなかなかなれない。ですから辞め てしまうというのは、両立支援制度が充実していないというだけではなくて、均等が実 は女性にも将来開けているというようなものがない限り続けようとは思わない。子育て しながら仕事をするのは結構大変なわけです。そうすると頑張れば先が開けているとい う状況がないとなかなか難しい側面もあると思います。ある面で均等が実質化しないと 続けようとならないということで、そこを公正な処遇の確保と同時に、就業意欲を持ち 続けられるようなものが入っていたりとか、不利にならないようなというのがそういう ことで、そういう意味でキャリア継続というのは均等の実質化。それと同時に両立支援 の方は制度だけではなくて事実上そういう制度が使えるような仕事の仕方とか、職場風 土を変えていく。そうすることによって、確かに鴨委員が言われたように入り口のとこ ろで正社員になれない人もいて、それはそれとして議論は別にしないといけないですけ れども、一応正社員で入った人で、本人が希望して子育てに専念するのはいいわけです が、今3割くらいは続けたいと思っている人がいるわけです。この人たちが続けられる ようにする。  それともう一つは自分が進んで子育て期に退職する人もいますので、その後は多様な キャリアパターンで、パート労働もありますけれども、就業形態間の均衡処遇を進める という復帰しやすいような仕組みをつくっていこうと。そういう意味で2ページの1) が均等の実質化、2)が両立支援制度が起こる、制度があるだけではなくて使えるよう な、4)はそういう意味ではいろいろなパートになっても不利がなくて、あるいはパー トになった後正社員に移れるようなというものを読んである。一応枠組みにはなってい るということです。 ○林分科会長  研究会の座長からご説明いただきました。その他に何か。はい、岡本委員。 ○岡本委員  この研究会報告とか先ほどの資料の説明をたたき台として、この基本方針の議論をし ていくという考え方に立てば、私は今回この中にワークライフバランスについての提起 がされているということは大変重要だと思っています。特に働き方への提言ということ も書かれています。私どもは均等法の議論のときに、ワークライフバランスの理念、考 え方を法の理念に入れてほしいということで再三申し上げました。法律には入れること はできないという、議論の中で、基本方針ではそういったことの考え方が入れられない だろうかというような提起を確かさせていただいた記憶もあります。そういった意味で、 この基本方針の議論の中では、このワークライフバランスの働き方への議論というもの をぜひ深めたいと思いますし、深めていただければと注文を申し上げます。 ○林分科会長  斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員  女性雇用管理基本調査の6ページの、男性のみ採用の理由のところで、女性の応募が なかったというのが非常に高いのが気になりました。ポジティブ・アクションを進める 上で、入り口のところで男女が同じように採用されていくというのは重要なのではない かなと思いまして、単純に素朴な疑問で次回以降もしわかれば教えていただきたいので すけれども、女性の応募がなかったというのが、産業内の全体的に横断的にというか非 常に高い率になっています。その応募の方法みたいなものが、なぜ女性が応募しなかっ たのかが単純な疑問になっています。もしわかればで結構ですので次回以降教えていた だければ。恐らく男性のみの募集というのは禁止をされている後の調査なので、そうい うことで女性の応募がなかったということはないと思うのですが、ここで女性が応募し てこなかったということは、それだけ過酷な労働条件が募集要件になっていたのかどう かを単純に知りたいということなので、次回以降わかる範囲で結構なので教えていただ ければと思います。 ○佐藤委員  これは新卒だけではなくて中途も込みですよね。中途も新卒も込みで募集があった企 業にどうだったかと聞いている質問なので、即戦力で採るようなものだとエントリーが ないというのが職種が限定されているとあり得る。この職種でといったときに、もとも と供給がなかったりすることがあるかと。しかし採用を聞いているのが新卒だけではな いですね。というのは結構分けられないかもしれないけれども一応そういう調査票にな っているので。 ○斉藤千秋委員  わかりました。 ○佐藤委員  例えば店長募集というのでやると、経験何年となると男性しかエントリーしないとい うことがあり得る。 ○斉藤千秋委員  要はそういうことを分類立てできないかなと思って。店長募集で店長になぜ女性が手 を上げられないのかという、その要件が経験3年以上というふうになっているとすれば、 3年以上働いている方はいると思うのですが、その店長になる要件がどういうものなの かが、ちょっと細かいかもしれませんが、わかる範囲で結構なのですけども知りたいと いうことです。 ○安藤雇用均等政策課長  この調査自体は対数調査で、自由記入欄というものもないので、その辺のところはわ かりにくいのですが、調査の内容自体は先ほど佐藤委員がおっしゃったように、中途で あったり、新卒でも、いわゆる募集区分、事務系技術系いろいろあると思うのですが、 それごとにそれぞれのすべての職種・コースとも男女とも採用したか、あるいはそうで はなかったか、あるいは職種コースごとに異なるというような答えになっていまして、 そういうことから言いますと、大きな規模のところでも採用を絞り込んでいるときは、 なかなか男女とも採用が難しくなるケースはあるのかと思ったりもします。その一方で 技術系はそもそも応募がないというのもわかるような気がします。ただ、実際のところ 募集採用の仕方を見ていますと、エントリーしてどの段階の状況を把握して答えるかと いうのは、最近随分多様化していまして、どの段階を取って答えるかということについ ては、細かく指定できる正確な調査ではありませんので、それもあるかという気もしま す。 ○樋口委員  単純な質問でよろしいですか。11ページの図表の11です。基本調査です。役職別女 性管理職を有する企業割合の推移、これを見ますと係長・課長・部長を有する企業割合 はそれほど増えていないのに、それを合計すると右上がりのように見えるのです。しか もこの三つを足しても66.6%とならないのですが、どうしてこういうことになるのかな という単純な質問でいいですか。 ○佐藤委員  一番上は役員が入っている、下は役員が入っていない。わからないけれどもデータ的 な違いはそこです。あとは重複している場合はどうなのか。 ○樋口委員  重複すれば減るでしょう。 ○佐藤委員  いずれかだから減るね。ということは役員が増えているのか。 ○樋口委員  女性役員がこんなに増えているということなのですか。 ○佐藤委員  わからない。 ○今田委員  全体は30。 ○佐藤委員  小さいところだと親族で役員をやっている。奥さんが役員とかあるかもわからない。 役員のところは結構女性がいる可能性がある。 ○安藤雇用均等政策課長  すみません。後ほど調べさせていただきますが、このまま統計的に見ますとご指摘に ありましたように、積み上げた残りの部分、あるいはそれ以上の部分が役員だけという 説明になるかと思いますが、確認させていただきます。 ○樋口委員  これは実は重要で、例えば図表の11で女性管理職を有する企業割合は、課長・係長・ 部長そんなに増えていないのです。ところが次のページの図表12を見ますと、役職別 の女性管理職割合は増えている。ということは何が起こっているかというと、一生懸命 女性を活用しているところはますます増やしているのだけれども、そのすそ野が広がっ ていかない。そうなってくると、そのすそ野を活用していない企業にいかに活用しても らうかという施策が必要になってくるということです。 ○佐藤委員  増やしているところは増やしているのだね。 ○樋口委員  多分一生懸命やっているところはますます一生懸命にやっているのだけれども、やっ ていないところは我関せずになっているというふうに見えるわけで、ご検討を。 ○安藤雇用均等政策課長  同じようなことが、もしかしたらポジティブ・アクションでも言えるのではないかな というのが、今回の調査結果の見方かと思っています。 ○松井委員  このいわゆる役職者別の推移が低下傾向にあるのは、もしかすると多くの企業におい て部を廃止したりとか課を廃止したりとか、組織をフラット化してきていることも、影 響があるのかもしれない。ですから反対に部長と呼ばれる人の数が非常に少なくなって いるとか、課長そのものが組織においては存在しないとかですね。ですからこの相当職 と書いてあるので、何となく統計的にうまく読むようにしているのかどうか、そこが少 し難しいのかなという感じがします。ですからこういう統計を見るといろいろ企業の実 態と数値の推移がどうなっているのか、慎重に見ていただければと思います。  それから先ほど斉藤千秋委員が指摘された点は私自身も非常に疑問に感じたところで、 もともとよく大企業などに聞いてみますと、例えば24時間勤務の交代勤務のところで すと、いくら女性も来ていいですよといっても来てくれないと。均等法が義務化されて、 さらに労働基準法上の女性保護規定の深夜業などが廃止されて、それに対して企業なり に女性向けの休憩室を作ったりとか、いろいろ努力したけれども、ふたを開けてみると こういう状況だと。そこにはいくら機会均等ですよといっても進められない問題がある 中にあって、賃金格差があってけしからんとかということではなく、そういう本当に進 まない理由は何なのかということは、十分踏まえて対応をしてもらいたいと思います。  他方、すぐ男女賃金格差でこれはけしからんといわれてしまうと、では苦労して24 時間勤務に就いている人たちはどうなのかということも、男の一人としては言わざるを 得ないというところもありますので、もう一つ、先ほど安藤課長がおっしゃったように、 キャリア選択の入り口の段階でもやはり技術系というところが非常に少ない。そうする と、職業選択以前の学校の選択の問題とかそういう部分も、なかなか女性が同じように 技術系を選択するような教育も受けていないとか、そういう違いがなぜ起きているのか ということも踏まえて対応してもらいたいと思います。それから樋口委員からOECDの 新雇用戦略のご紹介がありまして、量と質の話がありました。私は質を高める必要性を 否定するつもりはありませんが、もう一つ重要なことは、少なくとも量を確保できるこ とは悪いことではないと私は思っています。全部正規・非正規ということで、二分法の 考え方に立って全部正規でなくてはいけないということであるならば、日本の企業がそ れで全部今後もやっていかれるならば、正規だけが非常に少なくて、後はアウトソース するなり日本の国内に仕事が残せないということも考えなくてはいけないと思います。 今、別に行われている最低賃金の議論はその典型例だと思っていますので、外の環境も 十分踏まえた議論をお願いしたいと思います。以上です。 ○龍井委員  別の論点ですが、今田委員の指摘と重なるのかもしれませんが、わかりにくいのはこ の報告の一つのキーワードになっている主体的なキャリアパターンの選択、これは施策 の提案で該当するのは、報告書の6ページ7ページで、各論で言うと再就職先や起業支 援。確かにこういうライフステージ全体を通じて、あるいは個別企業の枠組みを超えて、 そういう枠組みをこの言葉で言うと環境整備・条件整備、つまりそういう社会にすると いうことが、それはそれで必要なことだと思いますが、均等法の直接のターゲットから 言うと、まずは企業内の、とりわけ配置・育成・採用、先ほど話が出ましたが、とりわ け育成・配置等々についての不当な差別をしないというところからスタートするわけな ので、その社会の枠組みの話もさることながら、今そこで見つかっている先ほど来の勤 続の話とか、管理職等の話もみんな連動してくると思うのですが、企業内での均等法の 活用についてそれを実行あらしめる、あるいは障害を取り除くということについて、も う少しウェートがほしい気がするのです。その辺はキーワードの意味がよくわからない のは、主体的に選べる社会を作る、それはここで言っているような(1)(2)(3)の企業の枠を 超えて、これを主体的に選ぶというのはライフステージがどうなるのかわからないのだ けれども、あるいは希望したものと違ったものになったとしても、セイフティネットと して不利にならないというのは一つの考え方だけれども、主体的にパターンを選ぶとい う意味合いが、どうもキーワードとされている割にはイメージがわかないのですが、も しも補足があったら説明していただきたいと思います。 ○安藤雇用均等政策課長  ご指摘のありました、主体的にキャリアパターンを選ぶことができるという部分につ きましては、必ずしも6ページ7ページの4)の多様なキャリアパターンのところだけに かかる話ではなくて、ここでご提示いただいている1)から4)全体だと思っています。こ ういったものがそろって初めて主体的にキャリアパターンを選ぶことができる。このキ ャリアパターンというのは継続就業される方もいるだろうし、転職をしてキャリアを継 続する方もいるだろうし、いったん辞めて戻る方もいるだろう。あるいはその中で起業 される方もいるだろう。そこのところだと思います。 ○龍井委員  すみません。それがどうしてキャリアパターンなのですか。 ○安藤雇用均等政策課長  研究会の中でいろいろな議論があったのですが、いろいろな働き方、あるいは自分の 人生の中での働き方、それをどのような形で組み立てていくかと、そういうことを意味 して書いてあるものだと理解しています。雇用形態とかそういう趣旨の言葉ではないと 思っています。 ○龍井委員  継続しましょう。 ○川崎委員  これは研究会の報告書の2ページの中で、今後目指すべき方向性ということで4点挙 げていただいていますが、この4点を見ていきますと、企業の中では均等法以降ずっと 取り組んできましたと。取り組みをしていくものの、今回のいろいろなデータ分析を見 ても、なかなかそれが実現されていないということが課題として挙げられているのかと 思います。取り組んでいるにもかかわらず、こういったものが進まないという背景は、 例えば男女の役割分担感がどうであるのかとか、あるいは先ほど入り口で例えば技術系 の応募が少ないというのは大体理科系に進む女子学生が少ないという議論もあるという 話がありましたが、企業の中の枠組み以外のところにもかなりフォーカスしてやってい かないと、企業でもずっと取り組みをやってきている中で、優秀な女性社員を育成して もどうしてもいろいろな機会で辞めていく、非常にそれをもったいないと、企業として も非常に大きい損失だと考えているのですが、制度を作っていっても進まないもう一方 の側面は、それ以外のところに解決策をやっていかないといけない部分があると思って います。そういったものはこの分科会の場でぜひ議論の俎上に上げて皆さんと一緒に考 えていきたいと思います。そういった中で多様な働き方といったところが実現していく 中で、結果として男女がいろいろなものの比率の中で同率が本当にいいのかというとこ ろも、もう一方の議論としてあると思っています。今回課題の一番の認識のところで法 律はできました。ただその結果が出たときに男女の差が大きいですねといったところが 出発点として上がっていると見受けられましたが、その目指すべきところも、本当にそ れでいいのかどうかといったところも議論の俎上に上ると思いますので、そんなところ も含めた議論もこの場で皆さんでできればと思いますし、そういったところの参考にな るものを取り上げていただければと思います。   ○佐藤委員  龍井委員が言われたようにキャリアパターンという言葉がわかりにくいかもしれませ んが、企業の中で継続するという選択も取りにくい状況もある。全員継続しないといけ ないという意味ではなくて、現状を見ると辞めた人の3割は続けたいと考えていて、あ るいは中には雇い止めのように解雇されたみたいなのもあるので、継続したい人は継続 できて、もちろん企業が期待するだけの能力を発揮しないと困ると思いますが、もちろ ん積極的に辞めると選択した人が悪いといったわけではなくて、その後復帰しようと思 ったときに難しい状況は改善しないといけないと思います。ですから、多様なキャリア パターンといったときには継続も当然入っている。もう一つは外側の整理も非常に大事 で、最後の方に多少、女子学生の就業先なり進学先の選択も変えていかないと技術系は 特にそうなので、でも、そうしても結果として一定の違いが残るとは思います。それが 別に悪いというわけではない。ただ学科選択については、やや極端すぎますね。もう少 しその辺で意識啓発が必要だと思います。管理職についてはやはり少なすぎるので、半 分がいいとは思いませんが、もう少し継続しない限り管理職が増えないので、管理職の ところは実績が両立支援では大事だと思います。事実上仕事が面白くて、結婚・出産が あっても続けようと思う人を増やさないと管理職は増えないと思いますので、その辺も 整備する必要があると思います。 ○林分科会長  その他ご意見ありますか。 ○龍井委員    提言は私も賛成なのですが、結局おっしゃっているように、ご指摘があったように、 企業内の努力で100%やりましたと、その上でなおかつそういうことが確保されていか ない。あるいは不本意な形でキャリアで言えば継続していかない。いろいろな要素があ るので、まさにここで使われている社会という言葉で対応しないといけないものが必要 なものを洗い出してやるというのは大賛成ですし、やるべきだと思います。ただそこま で本当にできていないのではないかということの仕分けを分析しないと、そこは大体 OKですねという前提でできるかというとそれは違うでしょう。そうでないところも結 構問題はあるでしょう。そこは私もすべてできていない。そこの仕分けをするデータが ないと、仮説の前提がそこにいける場合といけない場合、いけない場合にはこういう支 援とこういう均等法の適用の実効性の効果を上げるためにこうすると、そこは複線で見 ていかないといけないと思います。 ○林分科会長  大変大きなテーマになってきまして、議論が尽きないようですが、何か他に述べてお きたいという意見がありましたらどうぞ。 ○山崎委員  基本調査を見ても例えば規模別に五つの段階に分かれて調査をされているから、大企 業の方は三つくらいの段階に分かれていて、中小の場合は30人未満はないのですが、 300人以上というのは企業数で見ますと1万2,000社くらいしかない。ところが299人 以下になりますと、大体430万くらいあるということで、かなり数的にも違うというこ となのです。どうもこれを見ますと全く施策が大手中心のデータを見るような感じのも のにしか見えない。中小の実態はもっとかなり細かくて泥臭い面がありますので、例え ば方向性にしても委員の方が言われたので学究的な難しさが出ているのですが、企業規 模別に応じた目指すべき方向性、そういうものも、規模別に作って考えていただくとい うのも、一つの方法ではないかと思います。その中の必要なものを取れというのはそれ までのことですが、零細は零細なりの得意な分野がありますので、そういうところにう まく当てはめて活用できるような方向性を規模別に考えていただくというのも、一つの 方法ではないかと思います。 ○林分科会長  松井委員。 ○松井委員  今、山崎委員がおっしゃったことに一点付け加えるとすれば、中小企業あるいは規模 が零細になるほど、制度は持っていなくてもその場における対応というのは、大企業よ りも相当柔軟にやっているのではないかという認識を私は持っています。従いまして、 制度にないと統計を取ることができなくて、中小は進んでいないなどという結論になり かねないとよく感じますので、その実態面の把握もできる限りきめ細かくした上で、山 崎委員がおっしゃったような対応が可能であるならば、その点も踏まえて議論を進めて もらえればと思います。 ○林分科会長  山本委員。 ○山本委員  今の大企業と中小・零細との差の問題に絡むかもしれないのですけれども、私が一番 感じるのはポジティブ・アクションという言葉がどんどん出てくるのですが、恐らく大 企業では当然のボキャブラリーで慣習となっているのかもしれませんけれども、我々中 小の中では積極的なアクションである感じはわかるのだけれど、一体何に対して積極的 なのかという意味合いが全然伝わってこないワードなのです。このことが世の中の常識 のように言われているのだけれど、我々中小の中では「一体何なのだろう」というよう に、その辺の落差を感じるので、もう少し噛み砕いて中小に浸透するような表現にした 方が実効性が上がるのではないかという感じがしました。 ○林分科会長  奥山委員。 ○奥山委員  今のポジティブ・アクションの件なのですが、こちらにいらっしゃる皆さんはご承知 だと思うのですが、均等法の中には平成9年にハラスメントの防止の対策と合わせて法 制度上は出てきた問題で、それ以降、均等月間等にこのポジティブ・アクションの啓発 活動を、平成9年の施行以来ずっと続けてきて、各地の経営者協会とか労働局の担当に よって、かなり進んできているのではないかと思います。実際に各企業規模の中でどれ くらいそれが実行を図れているかは別としまして、このポジティブ・アクションの政策 自身の啓発はだいぶ進んできたかと認識していたのですけれども、今のようなご発言が あると、さらにこの点についてはむしろ中身よりもポジティブ・アクション自身の意義 や目的というものをもう少し進めていかなくてはいけないと思っています。自分も反省 しながら、そういう観点からもご説明していかなければならないと感じました。 ○林分科会長  樋口委員。 ○樋口委員  使用者側から出た意見は、全くその通りだと私も考えておりまして、先ほども申し上 げましたように、例えば男女雇用均等を積極的に進める企業とそうではないところの差 が大きくなってきているようです。このすそ野を広めていくことが課題だとすれば、大 企業だけを対象に議論しても仕方ないので、中小でもどのようにこの問題を咀嚼し、実 行していけるかということが非常に重要なポイントになってきているのかと思います。 そうした場合に、大企業と中小を一律で進めようということよりは、やはり実効性のあ るものを進める上では、中小に対してどのような施策が重要かということについて考え ていくべきではないかと思います。 ○佐藤委員  これは30人以上規模が対象だけれど、資料1を見ると、本社が30人以上という意味 ですか。本社で雇用する常用労働者30人以上と書いてあるから、この調査対象は本社 規模が30人以上ということですか。本社において常用労働者30人以上と書いてあるの ですね。それでいいのですね。そうすると会社規模はもっと大きいということですね。 ○安藤雇用均等政策課長  そうです。 ○佐藤委員  会社全体の規模のクロスではないですね。 ○安藤雇用均等政策課長  本社事業所において、常用労働者30人以上を雇用する企業を対象にしています。 ○佐藤委員  それで、後ろの規模は、これは本社規模ですか。会社全体の規模ですか。 ○安藤雇用均等政策課長  後ろの規模は、本社規模ではなくて会社全体の規模です。 ○佐藤委員  選び方だけ本社規模で選んでいるのですね。 ○安藤雇用均等政策課長  はい。 ○山崎委員  事業所単位ですか。会社単位ですか。 ○安藤雇用均等政策課長  企業単位です。ですが、対象とする企業を選ぶときに、本社事業所が30人以上雇用 しているところを選んだ上で、最後に取りまとめるときには全体の企業規模でくくって おります。 ○佐藤委員  本社30人の会社を選んで、会社全体のことを聞いているのです。 ○樋口委員  本社がどこまで事業所を把握しているかというと、ほとんどしていないのです。特に 細かい点に関しては、本社は本社でやっていますし、事業所は事業所でやっていますか ら。多くの場合、質問するときには、本社で何をしていますかということを質問してい て、事業所については事業所に調査しないと出てこないというのが実態だと思いますけ れど、これはまさに本社についてどうしているかということを聞いている質問だと思い ます。 ○安藤雇用均等政策課長  均等の関係については主に雇用管理制度のことを聞くというのが趣旨ですから、その 場合には企業調査の方がなじむだろうと。逆に、母性健康管理とか育児休業などの制度 の利用状況といったものを聞くときには、事業所調査で組み立てております。 ○山崎委員  これは会社ということではないのですね。企業なのですね。会社は個人事業主がいま すから。 ○安藤雇用均等政策課長  個人事業主は入っていません。 ○林分科会長  それでは、もう特にご発言がないようでしたら時間も参りましたので、本日はこれく らいにさせていただきたいと思います。なお、本日の署名委員は労側が岡本委員、使側 が松井委員にお願いいたします。最後に、事務局より次回の予定について連絡があると のことですので、お願いします。 ○高倉総務課長  次回につきましては、今日の時点では調整中でございますので、追ってご連絡させて いただきます。 ○林分科会長  それでは、活発なご議論をいただきましたが、本日の分科会はこれで終了といたしま す。 照会先:厚生労働省雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課企画法規係(7876) 30