07/08/23 救急医療用ヘリコプターの導入促進に係る諸課題に関する検討会 第1回議事録 第1回救急医療用ヘリコプターの導入促進に係る諸課題に関する検討会          日時 平成19年8月23日(木)          15:00〜          場所 経済産業省別館1014号室 ○佐々木補佐 ただいまから、第1回「救急医療用ヘリコプターの導入促進に係る諸課 題に関する検討会」を開催いたします。メンバーの皆様におかれましては、ご多忙中の ところご出席いただきまして誠にありがとうございます。  会議を始めるに当たり、事務局から資料の確認をいたします。資料1「救急医療用ヘ リコプターの導入促進に係る諸課題に関する検討会について」、資料2「検討会におけ る検討内容について」、資料3「今後の検討事項について」。併せて、「基本資料集」 と称して、小冊子を用意しております。これは、今後の検討でご活用いただくべく、基 本的な事項をまとめたものです。  以上、添付させていただいておりますが、資料の欠落等がありましたら、事務局まで お申し出ください。  議事に入る前に、本検討会メンバーの皆様のご紹介をいたします。茨城県保健福祉部 長泉陽子委員、聖隷三方原病院救命救急センター長岡田眞人委員、日本航空医療学会理 事長小濱啓次委員、福岡県保健福祉部理事兼医監平田輝昭委員、日本医科大学附属千葉 北総病院救命救急センター長益子邦洋委員、社団法人全日本航空事業連合会ドクターヘ リ分科会委員長安川醇委員、日本医科大学主任教授山本保博委員です。その他、帝京平 成大学教授小林國男委員、杏林大学救急医学教室教授島崎修次委員についてはご欠席の ご連絡をいただいております。日本医師会常任理事の石井正三委員については遅れてい らっしゃるということです。  続いて、オブザーバーの方々をご紹介いたします。警察庁交通局交通企画課佐藤様、 国土交通省自動車交通局保障課吉田様、国土交通省道路局有料道路課松本様、航空局管 制保安部保安企画課梶谷様、航空局技術部運航課木内様、海上保安庁警備救難部救難課 池田様、総務省消防庁国民保護・防災部防災課応急対策室大塚様です。  それでは、開催に当たり、事務局を代表して、医政局指導課長の佐藤よりご挨拶申し 上げます。 ○佐藤指導課長 皆様、お暑い中をお集まりいただきまして、本当にありがとうござい ます。私は厚生労働省医政局指導課課長の佐藤敏信と申します。どうぞよろしくお願い します。  ドクターヘリの事業というのは、厚生労働省のほうで平成13年度より「ドクターヘリ 導入促進事業」という名前で事業を実施してきまして、平成19年8月現在で、同事業に よって整備されたヘリコプターは、累計で10道県11カ所ということになっています。  こうした中で、去る6月に、国会議員の皆様方のご努力によりまして、議員立法の形 で「救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法」が成立いた しました。これによりまして予算面はもちろんのこと、都道府県で事業を行っていただ く上での根拠ができたわけで、推進に向けて大きな一歩を踏み出したものと私どもも理 解しております。  こうした中で、本日お集まりをいただいたわけですが、ドクターヘリを今後推進して いく上で、いくつかの問題点があります。あるものは法律的なルールによるもの、ある ものは予算面、経済的なものとさまざまあるわけです。この検討会に限っては、差し当 たり、焦点を絞り込んでご議論をいただきたいと思います。それは何かと言いますと、 大きく2つあると思います。そういう意味で、法律によって一定の期限内に対応が求め られているもの2つに限定して、まずご議論をいただきたいと思います。  1つ目は、法人の登録制度です。これは法律の中にもありましたが、ドクターヘリを 用いた救急医療の提供に要する費用に当てるための助成金交付事業を行う法人を規定し てあるわけです。この法人については、「法施行から1年以内に設置すること」という ことになっておりますので、その具体的基準についてご議論をいただきたいのが1点で す。  2点目は、都道府県における医療計画との関係です。これは医療法という、別に医療 を推進するための各県が推進する法律があるわけですが、その中に、平成20年4月まで に、医療計画の中でドクターヘリも含めた救急医療提供体制について、改めて計画を立 てることとしております。この場合、ドクターヘリがどのように位置づけられるかにつ いても、国としての一定の議論の整理を行っておく必要があるということです。  以上、申し上げた2点というのは、いずれもある程度の期限を決めて、一定の期間内 に早急に決定をして、国民の皆様、都道府県の皆様に知っていただく必要があるという 内容になっています。ですから、この2つに当面は焦点を絞ってご議論をいただきたい と考えております。  もちろん、これ以外にも、冒頭で申し上げたようなルールの問題があります。例え ば、安全に飛行するための問題や、現行のドクターヘリの補助の基準、経済的な問題、 こうしたものも含めて山積はしていますが、まずはこの2点をご議論いただいた上で、 日程等の関係も見ながら、併せてご議論をいただきたいと思います。  冒頭で先のスケジュールを言うのも何ですが、私どもとしては、できれば年内、どん なに遅くても1月か2月までの間に、2点については結論、あるいは報告に近いものをい ただいて、そのあとでもう少し大きな問題、本来解決すべき経済的な問題もありまし ょう、保安の問題もありましょう、そういった問題も引き続きご議論をいただくような 形でお願いいたします。いずれにしても、限られた日程の中ですが、委員の皆様方、オ ブザーバーの皆様方にも種々ご指導をいただきながら、この検討会を進めていきたいと 思いますので、よろしくお願いします。 ○佐々木補佐 続きまして、本検討会の座長についてお諮りしたいと思います。事前に メンバーの皆様方にもご相談させていただいておりますが、座長として、日本医科大学 主任教授の山本委員にお願いしたいと思いますが、いかがですか。 (異議なし) ○佐々木補佐 ありがとうございました。委員の皆様方のご賛同をいただきましたの で、山本委員におかれましては、座長席にお移りいただきたいと思います。座長に一言 ご挨拶をいただいたあと、以後の議事運営をお願いします。 ○座長(山本) ただいま皆様のご賛同を得まして、座長の任を務めさせていただくこ とになりました、日本医科大学の山本です。もちろん私自身、それほどコーディネート がうまい、あるいは座長がうまいというわけではありません。皆様の是非是非のご協力 を得て、この会を当初の目的のために頑張っていきたいと思いますので、皆様のご協力 をいただきたいと思います。また、ご協力をいただくという前提の下で、私は座長の任 を務めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  ただいま指導課長からお話がありましたが、2点という話が出ておりました。この検 討会の主な目的というのは、法律の成立を受けて助成金制度の交付事業のあり方はどの ようにあるべきなのかということにおきまして、皆様の忌憚のないご意見をいただきな がら、制度の施行、あるいは運用に焦点を絞ってディスカッションをしたいと思います ので、是非ご協力をお願いします。  それでは議事に入ります。まず、事務局からこの検討会の設置の趣旨ならびに当面の スケジュールについてお話をいただきます。 ○佐々木補佐 「救急医療用ヘリコプターの導入促進に係る諸課題に関する検討会につ いて」、事務局から資料1を基に、本検討会設置の位置づけ等についてご説明いたしま す。  趣旨ですが、いわゆるドクターヘリコプターについては、国としても「ドクターヘリ 導入促進事業」を進めてきたところです。その中で、本年6月27日にドクターヘリの全 国的な整備を図ることを目的として、議員立法により、「救急医療用ヘリコプターを用 いた救急医療の確保に関する特別措置法」、いわゆる「ドクヘリ法」が成立公布された ところです。  この法律の中では、ドクターヘリ事業に対する助成金の交付事業を担う法人の登録制 度を、法の施行日から遅くとも1年以内までに設置するとされております。そういうこ とで、この検討会におきましては、その制度設置に必要な具体的検討を行っていただく ことになっております。併せて、ドクターヘリの全国的な確保に関し、必要な整理を行 うことになっています。  ですから、検討内容は、助成金交付事業を担う法人制度、その他必要な整理を行うと いうことです。  検討会の位置づけ等については、医政局指導課長による検討会とさせていただいてお ります。更に専門的な調査や検討を要する場合には、必要に応じ作業部会を開くことと しております。また、検討会は原則公開といたします。  本検討会の事務局は医政局指導課にて行います。  開催のスケジュールについては、法の施行日の1年以内に法人登録制度の設置という こともありますので、来年度の4月にスタートできれば非常に美しいのですが、そうい うことも考えまして、これらが厚生労働省令によって基準を策定するという手続により ますので、できれば年内を目途にとりまとめをいただけたらと思います。そういう意味 で、本日は第1回の検討会ですが、検討会を数回程度開催するという形の見込みでさせ ていただきます。  6の備考については、本検討会のミッションは、助成金交付事業の法人登録制度です が、併せて、ドクヘリ法の議論、いわゆる与党ワーキングチームの議論が昨年から行わ れているのですが、その中でドクターヘリの運航費用について健康保険等の適用につい てはいかがかという議論があったところです。  基本資料集の4頁、これはドクヘリ法の附則ですが、「健康保険等の適用に係る検討」 と題しています。結局、ワーキングチームの検討結果を踏まえて法案が作られたわけで すが、その結果、この法律の施行後3年を目途として、いわゆるドクヘリの費用対効果 などを勘案して、別途、これについて検討を行うとされたところです。したがって、こ の検討会におきましては、与党ワーキングチームではいろいろ議論がありましたが、健 康保険等の適用については取り扱わないこととさせていただきたいと思います。  別紙は、検討会のメンバーの方々とオブザーバーの方々の一覧です。  簡単ではありますが、本検討会の位置づけ等については以上です。 ○座長 趣旨、概要等について、何かご質問等がありましたらお願いします。 ○石井委員 この法案に関して、成立の途中でワーキングチームでお話もさせていただ きましたが、日本医師会としては、健康保険適用云々の3年後の見直しに関しては、中 医協マターでやるのであろうと理解しているということだけ付け加えます。 ○座長 その議論があったということはよろしいですね。他にいかがですか。今回の目 的は、時間的な制約のある法人補助事業制度をどのように我々が考えて、制度そのもの のあり方、運用をどのような形でというところをメインにお話をいただきたいと考えて おりますので、是非、ご協力をいただきたいと思います。  それでは次に移ります。第1回目の検討会ですので、これまでの法律の成立過程、あ るいはドクターヘリ導入の推進事業の構成等について、事務局からまずお話をいただき たいと思います。 ○佐々木補佐 ドクターヘリ法の成立の経緯、法の概要、現行で行われているドクター ヘリ導入促進事業についてご説明いたします。  資料は基本資料集です。6頁にドクヘリ法の成立経緯について記載しています。本法 律につきましては、平成18年7月から11月にかけて、与党ドクターヘリワーキングチ ームが計10回開催されました。このときは、ドクターヘリの全国的な配備を目的とし て、いわゆる勉強会風に検討が進みまして、最終的に本案の内容が検討されたところで す。  また、計10回の中では自治体関係者、保険者団体の方々をお招きしてヒアリングも行 っております。その結果、法案の内容が固まり、本年(平成19年)の4月26日、参議 院厚生労働委員会において、同法案を同委員会から提出する旨が決定されました。以 降、参議院本会議、衆議院厚生労働委員会、衆議院本会議と順次法案が採決されて、本 年6月27日に法律公布、一部を除き統一施行という運びに至ったところです。以上が、 法律の成立経緯です。  法律の中身について、概要を説明いたします。基本資料集の1頁、本ドクヘリ法は、 現行のドクターヘリ導入促進事業を踏まえつつ形作られています。  第1条の目的については、「この法律は、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療 が傷病者の救命、後遺症の軽減等に果たす役割の重要性にかんがみ、救急医療用ヘリコ プターを用いた救急医療の全国的な確保を図るための特別の措置を講ずることにより、 良質かつ適切な救急医療を効率的に提供する体制の確保に寄与し、もって国民の健康の 保持及び安心して暮らすことのできる社会の実現に資することを目的とする」とされて います。  定義については第2条ですが、「救急医療に必要な機器を装備し、及び医薬品を搭載 していること」。2つ目は、「救急医療に係る高度の医療を提供している病院の施設と して、その敷地内その他の当該病院の医師が直ちに搭乗することのできる場所に配備さ れていること」。以上、2つのいずれにも該当するものを救急医療用ヘリコプター、す なわちドクターヘリコプターの定義となっております。  第3条では、このドクヘリを用いて医師が速やかに傷病者の現存する場所に行き、そ して必要な治療を行いつつ、速やかに医療機関等その他の場所に搬送するという態勢 を、地域の実情を踏まえつつ全国的に整備することを目標とするとされています。「地 域の実情を踏まえつつ」というのが1つのキーワードです。  地域の実情への配慮ですが、第3条2項にありますように、1つは、「必要に応じて消 防機関、海上保安庁その他の関係機関との連携及び協力」ということで、その他の搬送 手段が念頭に置かれています。また、「へき地における救急医療の確保に寄与するこ と」ということです。第3条の2項の第3号にありますように、都道府県の区域を超えた 連携、即ち広域の搬送が念頭に置かれています。  第4条、第5条は医療法との関連になります。医療法の上部の抜粋については、7頁 に付いております。第4条については、「医療法に規定する基本方針に、救急医療用ヘ リコプターを用いた救急医療の確保に関する事項を定めるもの」とされています。  第5条は、基本方針に即して、かつ、地域の実情に応じて、都道府県が策定する医療 計画に、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に係る目標に関する事項や、 救急医療を提供する病院に関する事項などを記載するということが盛り込まれていま す。  2項は、広域搬送について触れられており、その場合の、他の都道府県との連絡調整 が記載されています。  第6条、第7条は運航に関してです。ここでは関係者の連携と着陸の場所の確保が規 定されていますが、割愛させていただきます。  第8条の補助については、現行の導入促進事業を踏襲してということで、第1項は、 「都道府県は、病院の開設者に対し、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の提 供に要する費用の一部を補助することができる」と。第2項は、それに対して「国は、 予算の範囲内において、その費用の一部を補助することができる」とされています。 具体的な補助率は、別途政令で定められています。政令については、5頁に掲載してお り、2分の1という数字がここに出ております。  第9条から第13条までは、本検討会のいちばんメインとなるところです。「助成金交 付事業を行う法人の登録」制度について触れられています。第9条は、助成金交付事業 については、厚生労働省で定めるものということで、一応基準を作ることを求められ ています。これを行う法人というのは、営利を目的としないということが定められて います。厚生労働大臣の登録、いわゆる登録制度という形態をとることとされていま す。  第2項は、欠格条項的なところですが、登録を受けることができない要件が列記され ています。  交付事業を具体的に行う法人の基準については、3項に列記されています。第1号で は、助成金交付事業に関する基金についても、厚生労働省で基準を定めることになって います。当該基金というのは、助成金交付事業に要する費用に充てることを条件とし て、政府及び都道府県以外のものから出えんされた金額の合計額をもって充てるとされ ています。  2号では、同事業については全国的に適正かつ確実に行うに足りるということで、厚 生労働省が定める基準に適合するということで、また法人の要件が課せられています。  第10条については、法人に対して厚生労働大臣のほうから、業務又は経理の状況に関 する報告や資料の提出を求めたり、必要に応じて指導及び助言を行ったり、場合によっ ては登録を取り消したりするといったことが記載されております。  雑駁ですが、ドクヘリ法の概要については以上です。  引き続いて、関連の法令についてご説明いたします。同じ資料の9頁です。ドクヘリ 法の第4条で定められていましたとおり、厚生労働大臣のほうで、医療提供体制の確保 に関する基本方針を定めることとされており、ドクヘリについて触れております。  11頁が具体的な内容になっています。上段、下段と分かれており、下段が現行、上段 が今般のドクヘリ法の成立を踏まえての改正案です。改正案の1点目は、今般の法律の 成立を記載しています。2点目は、同じく法の第5条に基づいて、医療計画に必要な事 項を定めるといったことを記載しております。3点目は、ドクヘリ法の審議の中でもい ろいろ取りざたされましたが、いわゆる救急搬送と救急医療との連携の確保、メディカ ルコントロール体制の一層の充実・強化が重要だとされていますので、これについて記 載しております。  以上が、改正案のポイントです。これについては7月25日から8月25日を締切りと して、パブリックコメントにかけさせていただいております。それを得まして必要な修 正等がありましたら、それを行って基本方針を確定したいと考えております。なお、基 本方針はドクヘリに限らず、非常に多岐にわたり、大部にわたるものですので、その中 でドクヘリについて特別に触れさせていただいているところを付言させていただきま す。  12頁です。基本方針に基づいて都道府県のほうで医療計画を策定していただくことに なっています。平成20年4月までに、新しい医療計画を策定していただくことになって いまして、その策定に当たっての指針、いわゆるガイドラインを7月20日にお示しした ところです。そこでは、生活習慣病等の4疾病、救急医療や災害医療といった5つの事 業、それぞれ各論ごとに指針を示しております。今回掲載しているのは、そのうちの 「救急医療の体制構築に係る指針」の抜粋版です。ドクヘリの関連部分だけ抜粋してお ります。  ポイントとしては、12頁ですが、搬送手段としては多様化して、その選択がいるとい うことで、ドクターヘリについて触れております。  13頁では、アクセス時間を考慮した救命救急医療の体制の整備ということで、ヘリコ プターの有用性について述べております。  14頁では、メディカルコントロールを協議する場が各地方自治体にあり、それをメデ ィカルコントロール協議会と言われておりますが、その場においてドクターヘリ等の搬 送手段の活用の適否について、定期的に検討することとしております。以上が救急医療 の体制構築に係る指針の関連部分です。  以上でドクヘリ法と関係する法についてのご説明です。 ○座長 ここで一度区切りをつけさせていただきます。いま事務局から、法律成立まで の経過、法律の概要、医療提供体制の基本方針におけるドクヘリの問題、医療計画作成 におけるドクヘリの概要をそのままいただきました。ありがとうございました。どう ぞ、ご質問、ご意見等がありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。 オブザーバーの皆様も何かご意見がありましたら、どうぞご遠慮なくお願いしたいと思 います。 ○益子委員 12頁の「救急医療の体制構築に係る指針」は、いま案の段階で、これから 固めていくということなのでしょうか。 ○佐々木補佐 これは既にガイドラインとしては出来上がっておりまして、1月20日付 で、総論部分については医政局長名の通達、それから、各事業の各論部分については指 導課長名の通知によってお示しさせていただいております。これに基づきまして、各都 道府県において医療計画を策定していただく、そのような手筈になっております。 ○益子委員 ドクターヘリのところで私どもは度々お話させていただいているのです が、搬送の手段としてそれはもちろん非常に重要であるということは、これはもう論を またないわけですが、一方で、医療開始時間の短縮というのが、ドクターヘリの非常に 重要なポイントだと思うのです。そのところが、病院前救護活動で、病院前医療という 視点がちょっと抜けているのかなと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。 ○佐藤指導課長 重要なポイントだろうということは認識しております。ただ、医療計 画というのは、実は4疾病5事業、都合9つぐらいの領域からなっておりまして、搬送 だとか治療の内容そのものについて細かく触れたものではないので、そういう意味で は、全体のバランスの中でドクターヘリだけをたくさん書き込むことができないので、 世の中の人にもごくごく簡単にご理解をいただくとするとちょっとこんな感じになるの かなと。つまり、救急全体の体制の中でも、あるいは、医療全体の計画を立てる中で も、バランスを考えるとこのくらいになるかなということでしましたので。確かに治療 開始時期が早まるとか、細かく書き出すときりがないのですが、その辺はご理解いただ ければと思います。  実は、ほかの法律や政令や省令と違いまして、この作成指針というのは、指導課長通 知でございますので、適宜見直しが可能ですので、今日この時点で、もし仮に、それで もう十分だということであれば、また時期を見て改正なり改定なりをと思います。  いずれにしても、今日これからご議論いただくことは、医療計画あるいは医療法の中 でどう位置づけるかということは別として、世の中には知らしめていきますので、その 際には、それこそドクターヘリを運用するに当たってはこんなことを念頭に置いてくだ さいと。これはドクターヘリという視点から書いてまいりますので、そこでは漏れなく 記載していこうと思っております。よろしくお願いいたします。 ○岡田委員 いまの資料の13頁に、「アクセス時間」という概念が出ています。そこの 「発症から医療機関で診療を受けるまでの時間」というところを、「発症から適切な治 療を開始するまでの時間」とすれば、いま言ったことが済んでしまう文章なのですね。 何も治療する場所が病院でなくてもいいのではないかという。 ○座長 益子委員はそういう意味なのですよ。だから、ドクターが現場に行って、そこ から治療が始まれば、治療そのものが短縮できるという意味で、ここに含まれてもいい のではないかとは思いますね。課長、よろしいですか。 ○佐藤指導課長 少し修正が必要であれば、また。 ○座長 13頁で読み込めるのではないかというご意見で。私もそう思いますので、そう いう形でもいいのではないかというような。益子委員もうなずいておりますので。 ○岡田委員 もう1つ、法律の解釈の仕方なのですけれども、1頁の第2条第2項に書 いてあるように、「その他の当該病院の医師が直ちに搭乗することのできる場所に配備 されていること」ということであれば、場合によっては、消防のヘリコプターのところ に医療機材を持ったドクターたちが待機していた場合は、これに該当するかどうかとい う、ちょっと質問なのですが。 ○佐藤指導課長 役所風にお答えしますと、これは議員立法ですので、役所側が聞かれ てもなかなかお答えしづらいのですが、当初の考え方は、消防防災ヘリとドクターヘリ とは明確に分けようという思いでお作りになったものと私どもは理解しております。そ こは県レベルの運用でどうしていくかはまたこれから考えますし、消防防災ヘリが非常 に病院の近くに設置されており、これもドクターヘリと呼んでいいのかどうかというこ とは、ちょっとまた今後考える。それはこの場で考えていただいてもいいと思います が、どうも議員立法でお作りになるときには、消防防災ヘリとは別のヘリコプターだ、 別の組織に属するヘリコプターだということで立案なさったものと私どもは理解してい ます。でも、何度も申しますように、理論的には幾つもあり得るものだろうと。消防防 災ヘリに限らず、差し障りがあったらお許しいただきたいのですけれども、海上保安庁 のヘリが近くにあって、しかも医者がいつも乗れるように連携が取れている。これは 2条の2項に、1項や2項と読み合わせたときに該当するのかしないのかということになる と、事実上読めるという例も今後出てくるのかもしれません。 ○座長 特に基幹病院のワークステーションを設置しているところがあると思います が、そこに消防ヘリが置いてある場合には、そう読めるのではないかということも出て くるのかもしれませんね。その辺のところも後から話を詰めさせていただきたいと思い ます。今日、消防庁の皆さんは来ておられるのですか。いまの岡田委員のご質問に関し ていかがですか。 ○総務省消防庁(大塚) 消防防災ヘリコプターというのは、そもそも消防の業務、消 火でありますとか救助、それと救急、これは消防法の任務ということで第1条に謳われ ておりますが、それを行うために、各自治体が設置しているというヘリコプターでござ います。その中で、消防法に定める救急業務、これは本来は救急車で行うのですが、ど うしても救急車で行きづらい所、そこに対してはヘリで行っている。先ほどお尋ねの、 ドクターが待機していればどうかと。これはドクヘリと呼ぶのがいいのかどうか、これ はちょっとわかりませんけれども、我々は消防法に基づく救急業務ということで、いち 早く現場に行くということには変わりありませんので、そういうような認識でおりま す。 ○座長 内容的には変わりはないかもしれないというご意見ですね。 ○消防庁(大塚) はい。 ○石井委員 いまの関連で、ちょっと私が答えるべきではないのかもしれませんが、経 緯からいいますと、ドクターヘリという事業をもっと普及を図ろうと。ということは各 県1機。まずそれが行き渡ったところで、その次に、例えば、都道府県によっては2つ 目も欲しいところもあるだろうと。そうではなくて別の県のヘリと合わせてこれでいい のではないかとか、そういう議論が出てくるだろうということは理解した上で、とりあ えず、まず普及を図ろうという概念がここには書かれていると思いますので、あまり読 み込まないほうがいいのではないかなと私は思います。  あともう一点、指針に関しても、これは都道府県で通達に基づいて作る計画の下書き と言っては申し訳ないけれども、そういう非常に大きな参考資料となるものだと理解し ていますので、こちらも、あまりここで読み込むよりは都道府県単位で、地域のMCのと ころで十分に読み込んで、現実的な文言にしていただいて、それがまた全体の厚労省に 反映してくるという形を取っていただけば、平準化と、各県・各地域の実情を反映した 両方の姿が実現するのではないかなと思います。ですから、2点ともこの時点であまり 踏み込まないほうが、むしろよろしいのではないかなと思います。 ○座長 ありがとうございます。もちろんそういう意見もあるなということで、とても 参考になるご意見だと思います。 ○小濱委員 さっきの益子委員の意見に近いのですが、要するに、これは救急医療用ヘ リコプターなのです。要するに患者を治すためのヘリですから、救急医療ということを 基本的に考えないといけないと思うのです。問題は、また厚生労働省と消防庁で話して いただきたいのですが、消防庁の立場としては、救急業務とか救急活動になるのです ね。医療ではないのです。そこが問題でして、やはり患者を助けるという意味において は、いまの検討している項目に関しては救急医療であるということを前提に話を進めな いと、話がおかしくなると思います。消防庁も、このごろ「救急医療」という言葉を使 っておられます。私は一時、こんなの使っていいんですかと言ったら、やはり救命士は 医行為をしますよね。ですから、それに伴って、救急医療という言葉を使ってもいいと いうことで、最近、消防の上のほうの方も「救急医療」という言葉を使われます。それ までは僕らが「救急医療」と書くと、消して「救急活動」と書かれたのです。だから、 活動とか業務となると、それは仕事であって、医療ではないのです。ドクターヘリとい うのは、あくまでも患者を助けるためのシステムで、だから「救急医療用ヘリコプター 」と書いてあるわけですから、その救急医療のために検討していることを中心の問題と して考えていただかないと、話がずれてしまうと思うのです。だから、決して業務では ないということです。医療であるということは基本的に考えていかないといけないと思 うのです。これはちょっと縦割り要素の中でありますので、非常に難しいのですが、業 務というのは仕事になってしまうわけで、医療ではないのです。もちろん医療も仕事な のですが。その辺の。 ○座長 ちょっと待ってください。座長として小濱委員にちょっと質問させていただき ますが、医療というのも業務の1つではないですか。 ○小濱委員 だから、別です。医療というのは患者さんを助けるという意味が入ってい るわけです。医療というのは、患者を治療して治すという意味があるわけです。業務と いうのは、はっきり言って仕事なのです。もちろん医療も仕事ですよ。業務ももちろん 医療に関係しているかもわかりませんけれども、業務という言い方と医療というのと救 急医療とは基本的に違うのです。 ○座長 もう1つ、救急業務、救命士あるいは救急活動というのは、私も、患者を助け るという大前提があるのは当然だと思うのですが、救急業務というのは、そこのところ はあまり考えてはいないということですか。 ○小濱委員 そうではなくて、それも医療だということです。要するにそれも救急医療 であるということを前提にして検討しないと、話がずれこむということを言いたいわけ です。あくまでも現場で医者が治療する、これは治療、すなわち医療ですよね。だか ら、それがベースにありますよということを基本的に考えていかないと、話がずれてし まいますよということを言いたいわけです。 ○座長 わかりました。このドクヘリというのは、真っ先に医師が現場に行って、そこ から医療が始まるという、そこのところの重要性というのを皆さんに認識していただき たいという、そういう意味ですね。 ○小濱委員 はい。だから、救急医療用ヘリコプターになっているわけです。救急医療 用ヘリコプターなので「医療」という言葉は是非使っていただきたいと思います。 ○安川委員 この法律のいろんな条文の解釈は、例えば、この第2条に、「救急医療に 必要な機器を装備し」と書いてありますが、こういう具体的な解釈は、裁判所へ行けば 確定するのでしょうけれども、どういう手続で今後決まっていくのか、ちょっと事務局 のほうからご説明願いたいのですが。 ○佐藤指導課長 そんなに複雑な話ではありません。法律が決まって、そして、どうし ても法的に何か拘束力のある内容のものを決めなければいけないとなると、政令なり省 令なりで決めていくのでしょうね。いちばん典型的な例が、補助率を2分の1みたいな のにしたというのが、やはりある程度社会に対して、政府あるいは都道府県として、こ のくらいやりますということを宣言する意味があるということで、政令や省令に決めら れたのでしょう。  では次のステップ、「救急医療に必要な機器を装備し、及び医薬品を搭載」というも のが政令や省令レベルできちっとルール化されないと、それが損なわれる可能性がある か、重大な国民衛生上の問題があるとなれば、政令や省令に規定されるのでしょう。し かし、一般論で言うならば、ここが、要するに政令・省令レベルで書かれないと、救急 医療用ヘリコプターの運用について重大な問題が生じるとはとても思えませんので、お そらく常識的に、医療人が一生懸命良かれと思ってやってくださっているのでしょうか ら、ここを政令・省令レベルに書き込まないととても運用できないとは思えませんの で、答えは通知であったり、あるいは補助要綱とも申しますが、私どもが予算をつける 際、補助金をつけますが、その補助金の要綱の中で、例えばこういうものが該当します よ、補助金の交付の対象になりますよということを書くことでもって、事実上は大体規 定されていることかなと思います。 ○座長 よろしいですか。我々、大体そうですよね。 ○泉委員 この法律が出来てから、都道府県の立場でどういうふうに取り組むのかとい うのをちょっと議論しておりますが、基本的には都道府県で必要だと思えば導入するよ うにと、その応援はするよというスタンスなのでしょうか。つまり、11頁の基本指針を 見ますと、結局その搬送手段なり救急医療の確保という中のいろんな手段がある中で、 ドクターヘリについても考えなさいというように読めますので、基本的には国が全国的 な整備目標とかを示すのではなくて、各自治体の判断にある程度任されていると考えて よろしいのでしょうか。 ○佐藤指導課長 各県との関係で言えばそういうことになるだろうと思います。どうい う意味かというと、国全体としてどうなのよと。都道府県が買ってくださるとか整備を してくださるとかいうこととは別に、このくらい整備するのが望ましいでしょうねと か、日本の地理的条件だとか、救命救急センターの配備の状況から考えて、このくらい 全国で配備してくれるといいよねという、そのあらまほしき姿みたいなのを、都道府県 の関係とは切り離して別途議論することはあるだろうと思います。  繰り返しになりますが、前段の話、つまり都道府県にmustで、1県で1機絶対買えと か、ある程度の面積だったら2機買えとか、そういうことはこの法律でも言っていない ようですし、また、医療法の医療計画の中でも、それを少なくとも当面強制するという 流れにはなっていないと理解しております。 ○平田委員 うちの県でも、非常に一生懸命活動をしていただいておりまして、そうい う意味では、こういう法律の後ろ支えがあると非常にいいのかなという気がしておりま す。今後、全国的にこれを広めていくというようなことでいろんな形態があろうかと思 うのですが、いずれにせよ、どこの自治体もいま非常に財政難で四苦八苦している。も うそれこそ社会保障費をいかにして自分たちで抑えていくかというくらい非常に厳しい 状況の中で、この問題に取り組んでいくわけなので、先ほど防災ヘリの話もありました けれども、あるものは何でもとにかく有効に使おうよということで、確かに道を誤って はいけないかもしれないけれども、使えるところは大いに利用させていただいてという ことで、全国普及を図っていくというのが、ある意味では現実的な話になるのかなと。 少し思い切って整備できる所は整備していただくという話があってもいいのでしょうけ れども、そこら辺は少し実態に即した形でやはり見ていかないといけないのかなという 気がしております。 ○座長 ありがとうございます。非常に貴重なご意見をいただきました。いまディスカ ッションになっているのは、総論的なところ、経過、法律の概要、あるいは基本計画の 中のドクヘリの位置づけ等々について質問をいただいておりますけれども、いかがでし ょうか。この辺でよろしいですか。ありがとうございます。  それでは次に移りたいと思います。本検討会における検討事項のたたき台について、 事務局はもう既に検討しておりますので、そのたたき台について事務局からご説明をい ただき、それについてのフリーディスカッションに移りたいと思います。まず事務局か ら説明をお願いいたします。 ○佐々木補佐 検討内容について説明させていただく前に、ごく簡単に、ドクターヘリ の導入促進事業の概要について説明をさせていただきたいと思います。基本資料集15 頁をお開きください。この事業については、この1枚紙で大体お示ししております。平 成11年度と平成12年度の試行的事業を終えて、本事業につきましては平成13年度から 本格的に全国展開を始めたところでございまして、平成13年度は岡山県、静岡県、千葉 県等々から始まりまして、18年度は長崎県で導入。そして、平成19年8月現在におき まして、10県・10機にて事業実施に至っております。  注意事項ですが、この事業は、国が行っている補助事業という趣旨でございまして、 実は静岡県におきましては、過去2機分といいますか、2か所について整備されており ましたので、累計的には11か所ないし11機につきまして、これまで事業を実施してき たという言い方ができるかと思います。なお、本年度につきましては、3県ほど実施の 予定があるというふうに伺っております。  そして、予算額でございますけれども、下段にありますとおり、基準額につきまして は1か所当たり年間約1億7,000万円となっておりまして、補助率は2分の1でござい ますから、国としては約8,500万円、都道府県としても約8,500万円といった形で負担 をさせていただいております。そういう構図になっております。  16・17頁は、ドクターヘリに関する写真のイメージでございます。  本事業の実施要綱の概要が18頁にございます。本文につきましては19頁以降に記載 させていただいております。概要のほうに沿ってご説明しますと、本事業の目的は、救 命救急センターにドクターヘリを配備することによりまして、救急患者の救命率の向 上、それから、広域救急患者搬送体制の向上を図るというものです。  運営方針でございますけれども、各地におきまして、地方自治体、それから、医師 会、消防機関等の関係者からなる運航調整委員会を設置し、各種運航に係る調整を行っ ていただくことになっております。併せて、地域住民のご理解をいただく普及啓発事業 を行っていただくことになっております。  人員の確保ですけれども、救急医療専用ヘリコプターのほか、操縦士、整備士、運航 管理者を配備する。そしてまた、同乗する医師や看護師等の確保を行うとされておりま す。  出動又は搬送でございますけれども、消防官署又は医療機関からの要請を原則としま して、その飛行範囲については、県内全域をカバーする。必要に応じて、隣接する県も 対象にするというものです。  現行の整備基準でございますけれども、救命救急センターに隣接するヘリポートを有 していること、関係者がドクヘリについての十分な見識を有していること、設置されて いる地域が事業効果を十分に発揮するところであること、救命救急センターがその運営 に支障を来さず、本事業に協力する体制を有していること、消防機関との連携が緊密で あることが掲げられております。  21頁は、現地での財源別ドクターヘリ費用の内訳です。繰り返しになりますが、合計 約1億7,000万円。内訳としては、ヘリの固定費、ヘリの変動費。それぞれの細かい内 訳については、右のカラムに示させていただいております。それから、医師等の人件 費、運航調節費からなるものでございまして、これを国と県が折半するという格好にな っております。  それから、22頁の実績状況です。ドクターヘリの県別・年度別の搬送件数を示してご ざいます。左から時系列に、いちばん右が18年度のカラムになっております。北海道か ら長崎まで、10県分記載させていただいておりまして、大体年間の搬送件数が300から、 多いところで600という格好になっております。18年度でいいますと、1県当たりの平 均は390件で、1機当たりの平均が350件を超えております。  23頁は、広域搬送に関する状況につきまして、平成18年度の状況をまとめたもので す。隣接県と協定をあらかじめ結んでいるところ、結んでいないところ、いろいろござ いますけれども、例えば上から2つ目の千葉県で申し上げますと、茨城県と協定を結ん でいただいておりまして、年間搬送件数604のうち、県外(茨城県)からの搬送の内訳 は49となっております。その他、逆に県外へ搬送する場合もあるということです。以 下、同様でございます。  24頁は、ちょっとドクヘリとは離れますけれども、参考までに、離島からのヘリコプ ター搬送で医師等が添乗する場合に、国として補助事業をつけているというものでござ いまして、その実績について記載させていただいております。  以降の資料でございますが、ドクターヘリ事業に関する基本的なデータ、それから、 いわゆるドクターヘリの効果に関すること、時間の短縮効果に関する資料、ドクターヘ リ等の国際比較に関する一覧表、あと、救急医療の体制に関する各種資料を掲載させて いただいております。これは参考資料として適宜ご活用いただけたらと思います。導入 促進事業等の概要については以上です。 ○座長 私が先ほど途中で切ってしまったので、こんなふうになってしまって、申し訳 ありません。フリーディスカッションの前に、この促進事業というのはとても大事なと ころでございますので、ちょっと時間をいただきたいと思いますが、いかがでしょう か。いまの説明にご意見、ご質問等がありましたらお願いしたいと思いますが。もう先 生方は十分におわかりになっているところだろうとは思いますが。 ○安川委員 21頁の資料なのですが、例えば年に240回ですとか、いろいろ書いてあり ますけれども、これは現行の事業費の算定の根拠と考えてよろしいのかどうかお伺いし たいのですが。 ○佐々木補佐 そのとおりでございます。 ○益子委員 ちょっと確認させていただきたいのですが、35頁の表で、ヘリポート設置 状況、搬送状況というところがあるのですが、上から4行目の北総病院は、ヘリポート 設置状況、ドクターヘリ運航状況はそれぞれ○になっておりまして、搬送実績949とあ るのですが、これは何かを足したのでしょうか。ドクターヘリの搬送実績ですと、635 ぐらいだったと思うのです。そうすると、それプラス何がここに加わっているのかを教 えていただきたいのです。 ○佐々木補佐 少しお時間をいただいて、確認してもよろしいでしょうか。また後ほど ご回答したいと思います。 ○座長 質問の趣旨はわかりますね。次の機会までにお願いします。 ○石井委員 23頁に、静岡県と愛知県で相互に搬送患者が行き来しているところがある と思うのですが、これは基本的に複数消防車がいるときは、お互いに応援しているもの ですから、このようにダブった形で出てきていると。逆に言うと、現在では静岡県も愛 知県もヘリ1機では2人を運ばないで、応援を求めて2機で出動する体制を取っていま す。そうでないと、重症対応ができないことがわかっていますので、そうしています。 非常に贅沢な話なのですが、そういう状況です。 ○座長 ダブっているところがあるという意味ですね。  それでは、これらの説明を踏まえて、この検討会での討議内容のたたき台について、 事務局から説明をいただきます。 ○佐々木補佐 本資料に戻って、資料2、資料3をお開きください。資料2は、この「検 討会における検討内容について」ということで、冒頭でも指導課長が申し上げましたと おり、期限等もある中で検討内容を絞っている旨です。詳細は割愛します。  資料3をご覧ください。「今後の検討事項について」です。若干繰返しになりますが、 前段の件は、この法律の経緯等を説明しており、その中で助成金交付事業を行う法人に ついて、各種基準を法施行から1年以内に定めることが必要なので、この検討会でその 具体的内容を検討することが必要であることを言っております。  併せて、先ほど来話が出ていますように、都道府県においては、平成20年4月までに 医療計画を策定する必要があるので、医療計画上のドクターヘリの取扱いについて、一 定の整理を行っておく必要があることを言っております。  なお、法の成立において、ドクターヘリ導入の気運が全国的に高まる可能性があると 考えておりますが、一方で、安全面が疎かにされないように、関係者の間で認識を高め ておくことが重要であると、改めて提言します。  各検討事項の項目ですが、I「助成金交付事業を担う法人制度について」です。ここ では、1の課題で述べているとおり、昨年開かれた与党ドクターヘリワーキングチーム の会合の中で、ドクヘリ促進事業に係る都道府県の負担分について、いかに財源を確保 するかが議論の中心になりました。このような中で、法では、現行の補助事業の枠組み とは別途、基金を用いた助成金交付事業制度を設置するということで仕組みが構築され ましたので、本事業の内容をこの検討会で整理していただく必要があるかと思います。 議論としては、助成金交付事業の内容として、その対象としてどのようなものが考えら れるかをご議論いただきたいと思っております。  2は、助成金交付事業を行う法人そのものに関する基準です。これも、先ほどの与党 ドクヘリワーキングチームの議論で、法人の数は全国でたくさん作るものではなく、1 カ所から2カ所程度というイメージで議論が進められました。なおかつ、この法人制度 はいわゆる指定や認可的なものではなく、昨今の行政改革の中で登録制度とされました ので、基準のあり方については詳細な検討が必要です。ご議論としては、当該法人の基 準としてどのようなものが考えられるか、併せて、基金の管理運用のあり方について留 意すべき点にはどのようなものがあるか等を挙げております。なお、参考として法律の 抜粋を下段の枠の中に記載しております。  次の頁ですが、IIは「その他について」です。これも繰返しになりますが、基本方針 に基づいて、都道府県が医療計画を策定することとされています。その医療計画策定と の関係ですが、ドクターヘリの定義を基に、地域によっては先ほどのご議論にもありま したが、ドクターヘリを運航している場合や、救急医療用に消防防災ヘリを確保してい る場合等々、ドクターヘリに準ずる体制を確保している場合もあると承知しておりま す。そういったことから、医療計画上、これらをどう整理するかといったことをご議論 いただきたいと思っております。議論としては、ドクターヘリ等について、医療計画 上、どう整理するかということです。 ○座長 いま、この検討事項についてたたき台を作ってくれないかという話も出て、そ の流れの中での話ですが、いかがでしょうか。 ○佐藤指導課長 ご議論いただく上で参考になる補足をします。冒頭にも申し上げまし たが、これは議員立法という形でできていて、政府提出法案と違い、細部にわたるまで 政府あるいは関係省庁とすり合わせをし、あらかじめ細かく議論をした上で法律ができ ているわけでもありません。いくつかの部分では、議員の先生方のご発議で作られた部 分もあります。例えば、この助成金交付事業を担う法人制度が、そこに当たるだろうと 思います。  資料3の中にも多少書いてありますが、私どもが議員の先生方なり関係者の方々のワ ーキングチームにおける議論から類推しますと、おそらくこの法人制度が発案された背 景はこのようなことだと思います。つまり、ドクターヘリ事業が進まない最大の理由 は、先ほど福岡県の平田理事からもお話がありましたが、おそらく財源であろうと。国 の負担分もあれば都道府県の負担分もありますが、とりわけ都道府県の負担分なのだろ うということです。そうなると、都道府県が負担する運航費が何らかの形で軽減されれ ば、ドクターヘリもどんどん推進されていくだろうというストーリーだったと思いま す。  そうなると、助成金交付事業もあらまほしき姿で言えば、助成金を交付する法人なり 団体が何某かの財源を持っていて、それを全額かどうかは別として、2分の1なのか4分 の1なのかは別として、都道府県に配る形がいいだろうということで企画をされるの だろうと思います。ですから、ここで「助成金交付事業の内容としてどのようなものが 考えられるか」と書いていますのは、法人が運航費用について直接都道府県の負担を軽 減するような交付をするのかどうか、あるいはそれは都道府県で出してもらうのだと、 それはそれとして普及・啓発等があるのではないか。また、基本資料の21頁にあります ような、いままであまり外に出たことがなかったのですが、国と都道府県の予算の基本 になっている積算内訳のようなものを示しましたが、これでカバーしきれない部分があ るのだと。そうだとすると、その部分をこの助成事業で補填することもあるでしょう。 そうなると、普及・啓発などが、まさにこの内訳の中で見ていない部分かもしれませ ん。いずれにしても、この運航費用そのものなのか、あるいは運航費用の外側にある、 言い換えると、税金で補填され得ない部分に補填するのか、一般的な普及・啓発なの か、あるいは消防や海上保安庁になるのかもしれませんが、他の手段との連携にお金を 使うのか。いくつかあると思います。  いずれにしても、もともとは運航費用について補填ができればいい、補助ができれば いいというところからスタートしたように思いますが、そこは皆様方にご議論いただ き、また議員立法を提出された議員の先生方とも並行して話を進めていきたいと思いま す。  ただ、ここでご注意いただきたいのは、普通であれば財団法人などの形で作って、法 律の立て方から見ると、民間企業や個人からお金をいただいて法人の運営、事業を行う 形になっているようですが、企業も含めて経済状態の厳しき折から、十分な法人運営に 資する財源が確保できるのかどうかは不透明です。ですから、鶏が先か卵が先かという 話があって、ファンド・レイジングに成功すれば運航費用も出せるだろうと。お金もな いのに運航費用の補填もするという話はできないでしょうし、逆に、非常に期待できる 財源が限られているので、当面普及・啓発からいきましょうという話になるのかもしれ ません。そこは、確保できるお金が決まらないのに、交付事業の内容を決めるといって も話にならないというご意見もあるかもしれませんが、それはそれとして、1回、2回は 自由にご議論いただければと思います。そういう状況と背景にあったということだけご 理解ください。  もう1点、医療計画策定との関係では、先ほど泉委員からご質問があったこととも関 係しますが、都道府県に対してどこまでMustでやってくださいと言うのか、この部分は 運用でやってもいいと言うのかは、少し整理をしていかなければいけないと思います。 質問の冒頭からありましたが、救急医療ヘリコプターが、この補助事業でいうドクター ヘリだけを指すのであれば、医療計画にいくら書いてもなかなか整備が進まないことに なりますが、そうではなくても当分はいいのだと、例えば消防防災ヘリの有効活用があ り得るのだとか、非常に面積の狭い地域や平野の多い地域で、他県のヘリを活用するこ とで相当対応できるのだということであって、事実上、医療計画上、今この時点でドク ターヘリ導入でなくても耐え得るのであれば、それも許されるのではないかなど、さま ざまな議論があるかと思います。ずばり言いますと、弾力的な運用なり計画の策定も当 面は許していくのではないかと思っています。どの程度までは許され、どの程度までは 難しいのかは、ご議論いただければと思います。 ○座長 全くそのとおりだと思います。ですが、今日はまず夢を語るというか、あまり 細かいところに入っていくと非常に難しくなるので、その辺りを考えながらお願いした いと思います。  フリーディスカッションに入ります。もう少しこういう方向性で、切り方でというの も結構ですし、いま、運航費用の話、普及・啓発の問題、税の補填外の補填等をどのよ うに運用していくのかという話が出ていましたが、まだいろいろなアイデアがあると思 います。どこからでも結構ですので、お願いします。 ○石井委員 中身の話に踏み込む前に、これは日本で初めて、いわゆる公益的な事業に 対する寄付財源、医療の、しかも救急の事業に対する財源を何とか確保したいという願 いが込められているわけですから、あまり最初に細かく切り分けたり、規定を厳しくす ると立ち行かなくなります。折角の善意が現場に届かなくなる可能性があると思うので す。数で言えば、2つ作って別々の標準でやったら、別々の中身の普及が進んだという のも困ると思うのです。まず1つ立ち上げてみて、どのような形になるか、全国一律の 命の重さをどう担保していくかを一緒に相談しながら、次のステップに入っていくのが いいのではないかと思います。  もう1つは、これはここで議論するだけではなくて、海外で言われている税の減免措 置がヘッジされないと、資金の集まり方はうまくいかないと思うのです。午前中、いま アメリカに赴任されている方とそういう話をしましたが、アメリカでは、もしそういう ことをしようと思えばすぐできます。ボードを作り、コミッティを作り、そういう旗を 立てれば、財源が集まって、事業が成立します。そういうやり方と比べると、日本はい ままで役所の予算からどう派生するかという議論だけでしたから、もちろん役所も一緒 に、こういう事業をどう立ち上げて大きなものにしていくかを議論していただければと 思います。 ○座長 税の減免のところまで入っていくと、時間があるのかどうかわかりませんが、 貴重なご意見ありがとうございます。重要なポイントだと思います。 ○益子委員 助成金交付事業の内容のところなのですが、先ほど課長のお話にもあった ように、ドクターヘリ事業が進まない最大の原因は、お金を都道府県がその半分も出せ ないところにあると思うのです。それは、本当にドクターヘリを必要としている地域ほ ど財政規模が小さくて出せないというのがいちばん問題で、ここを何とかしなければな らないのが、この法律のいちばんの根幹だと思うのです。  確かに、厚生労働省の立場からすると、内閣提出法案でなく、財政も確保した上で決 まった法律ではないので、法律が決まったからお金を確保しろと言われても、大変困惑 されているのはよくわかるのです。ただ、寄付をする人の立場になると、ドクターヘリ を飛ばすために寄付をするという趣旨だと思うのです。寄付をしたお金が広報のパンフ レットになったり、病院のヘリポートになったり、消防との連携の費用に消えたりとい うのでは、寄付した人の気持が伝わらないのではないかと思いますので、私は、寄付は 何とか集めて、1機でも2機でもいいから、とにかく運航そのものに使っていく仕組みを 作っていただくことが大事なのではないかと思っています。 ○座長 その趣旨は石井委員と同じようなことで、税のところまで話が進んでいかない と、そこはいまの状態では難しいというところについてはいかがですか。 ○益子委員 税の減免措置は、絶対に必要だと思います。企業が寄付する以上は、それ がないととてもできないと思います。 ○平田委員 先ほど課長から、サイズはどのくらいになるかわからないというお話があ ったのですが、ここで議論する際に、ある程度イメージを作っておかないと、前に進ま ないのではないかと思います。桁が1桁違うことによって、果実はかなり違いますね。 いま、果実が非常に小さいから、100億や200億集めたところで、いま動いている部分が 出てくるのか出てこないのか、少し補助できるのかどうかというぐらいにしかならな い世界になってしまうので、かなりの額を集めないときついのです。それを考えると、 ある程度のイメージを作らないと、無駄な議論になってしまう気がします。  もう1つは、先ほどから議員立法ということが何回も言われていますが、補助金の制 度と並行して寄付金を入れる形の難しさ。補助金を入れて、県が楽になりますと、当然 国だって楽になるべきでしょうという話になるかもしれないし、その辺りで、うまく同 じ名目で県の負担部分だけ小さくする術はあるのでしょうか。 ○佐藤指導課長 1つ目の話は難しいので、2つ目の話からいきます。あまり細かな話を するつもりもなかったし、座長から、1回目ぐらいは「夢のある話」をしようというお 話もありましたので、あまり夢のない話はしたくないのですが、先ほど21頁の図をお示 ししました。国と都道府県の負担があるという話をしましたが、この枠の範囲内で、都 道府県に助成金交付事業から交付すると言うと、今日は総務省の消防庁の方が来ておら れますが、私が総務省の本体だったら、「そうですか。では、交付税の算定基礎の中か ら補助してもらった分は削りましょう」と言われそうな気がするのです。ですから、本 体の部分に補助すると、プラスマイナスで見ると、損したのか得したのかわからない形 になる可能性があるだろうと思っております。なかなか上手な方法はないと思います。  例えば、240回でカウントしているので、240を超える分、例えば300回飛んでいると すると、60回余計に飛んでいて、国からも都道府県からも事実上は補填されていない形 になります。実際は県がかぶったり、運航会社がかぶった分もあると思いますが、60回 については補填するなどという形であれば、補助金や交付税の地財措置に影響を及ぼさ ない形で、第2か第3のお金が入れられる形になるかと思います。どういう方法がある かは、2回目以降にたたき台的なものを示したいと思います。  第1の話は非常に難しく、私どももあれこれ考えてみたのですが、現在の形で基金が 100億ぐらいあって果実を期待して、その中でこのくらいの果実運用益を得てこんな事 業をすると言えるのかどうかというと、本当に言えないと思います。平田委員はよくご 存じだと思いますが、通常の場合、もともとは大体これくらい集めたから法人として認 可をしてくれと言われるのが、これまで財団等を作るときの流れだったので、実は逆転 しているのです。私どもは5億集めたので財団を作りたいと言われると、昔ははいはい と言っていたのですが、最近は5億で何をやるつもりですかと、5億集めてこんな事業 ができますかと、逆に活を入れるぐらいでした。これは順番が逆転しているので、私ど ももこの時点ではいいアイデアはありません。ただ、何度も申しますが、与党のワーキ ングチームが動いているとき、あるいは関係者からご意見を伺っているときは、相当に 夢のある話で、言ってみればこの法人についても含みのある、小さく産んで大きく育て ようというぐらいの意気込みを持って、夢のある法人に育てたいということだったので はないかと理解しております。  例えば29頁などを見ると、国際比較では、財源・費用負担のカラムを見ると、スイス はREGA会費と寄付が中心とか、オーストラリアでは公費、寄付、基金が中心と書いてあ りますので、ヨーロッパの各国にあるような公費も適宜織り交ぜながら、そこに民間の 篤志家の基金も混ぜながら、あるいは会員制のようなものもあるのかもしれませんが、 そういったいくつかの姿を描きながら、将来に夢を持たせ、夢をつないでいくような法 人ということだったのかなと理解しております。  ですから、第1の話で言うと、最初の石井委員のお話ともつながりますが、あまり細 かくは決めずに、小さく産んで大きく育てられるような含みのあるおおまかなルールを いくつか決めて、それからかなという感じでおります。もちろん、全く話が進まないと いうことであれば、並行して議員立法をなさった議員の先生方や関係の方とも、水面下 でもう一度相談したいと思っております。 ○座長 平田委員、何かご意見はありますか。あるいは、平田委員ならどのように考え ますか。課長の席に座っていたら、どのように答えますか。というのは、どのぐらいの 基金でどのような果実でというのは、とても分かるようで分からないところで。 ○平田委員 制度として公が補助する制度を一方でやりながら、かつ、プライベートフ ァクターがそこに寄付を入れることの難しさですね。ヘリコプターを皆さんが公認さ れ、そのあとの運航費用を公が補助していくのであれば、何か仕分けができる気もする のですが、実際にはそういうことはやっていないので、そうなるとここの部分が2つの 形があるのは非常にきついと思います。もし、思い切って作るのであれば、国からもお 金を入れ、財団法人も寄付を集めて一本のプールを作って補助率を上げるとか、そのよ うな形での運用が考えられれば、もう少し壮大な夢が描きやすい気がしたのです。た だ、ここまではっきり決まっているので、その中で泳ぐとなれば、先ほど佐藤課長もお っしゃったように、継ぎ足しの部分で、これを10分の10面倒を見るとか、そういう泳ぎ 方をしながら、うまいこと泳ぐ方法なのかなという気もしております。 ○座長 それも1つのアイデアですね。ただ、これだけで厚労省が全部お金を使ってし まうわけにもいかないわけです。全部使っていたら、大変な予算になってくるのではな いかと、その辺りも当然考えないといけないところだろうと思います。  いま、皆さん29頁を開いておられると思うので、他の国ではどのような形になってい るのかを、諸外国に詳しい岡田委員、小濱委員、何かアイデアがありましたらお話をい ただきたいと思います。いかがでしょうか。 ○小濱委員 あまりこの資料を作っていないのですが、みんな歴史があるのです。みん なでやろうという歴史が積み重なって、いいということでいろいろな制度が出来上がっ ているのです。一応、いままでは促進事業で10カ所あるわけですから、それを基に、い まのドクターヘリ法案ができているわけです。ですから、それを広げるのはこの会だと 思うのです。そのように前向きに考えていかないと、どうしたらいいかだけでは事が進 みませんから、どこかお金をくれる所はあるかなというところから始めるしかないので はないでしょうか。  例えば、自賠責の場合、あそこは特別会計なのでものすごく運用益がありますね。そ の一部をもらうなどといった操作を国レベルでやっていかないと、我々はどうしようも ないです。我々はそういう立場ではないので、その辺りから始めていかなければしよう がないと思うのです。 ○座長 ありがとうございました。岡田委員、29頁の表を見ながら、いかがですか。 ○岡田委員 アメリカに関しては、民間の医療保険では出しています。ただ、アメリカ では人種差別禁止法があって、お金がない人でも要請があると飛ばなければいけない部 分があります。その場合は未収になって、それに関しては、それぞれの運航会社が内部 で調整をしてやっています。  いちばんうまいのはメリーランド州なのですが、財源は両者無料なのです。どこから 財源が出ているかというと、免許更新のときにいくらかの寄付をしないと更新できない 仕組みを作っていて、それが10何機の警察ヘリの運航コストになっているのです。交通 事故対策として始まったので、そのような形で資金を集めています。これは、アメリカ としては非常に珍しい形だと思います。  スイスのREGAに関しては、純粋に民間の寄付団体を作って、長い歴史の中で、最初は 個人が相当赤字をかぶってやってきて、ある程度会員数が増えて、やっといま順調にい っていますが、歴史の中で国民から信頼を受けてきました。どちらもそうなのですが、 必ず免税措置はあります。日本でやる場合も、そこは参考にすべきだと思います。 ○座長 ドイツ、フランスはどうですか。 ○岡田委員 ドイツの場合は、医療保険や国の補助、例えばパイロットの人件費は州が 出すとか、そのような形でいろいろな組合せでやっているようです。フランスは、基本 的に税金で賄って体制を取っています。 ○小濱委員 ドイツは、もともと日本のJAFに相当するところがやっていたのです。し かし、アウトバーンの上にドクターが降りるわけで、それで死亡者が減ると、保険会社 はそれだけ出資が減るわけです。だから、むしろ保険会社がやったらどうかということ で始まっているのです。ADACがもともとお金を出していて、実際は保険会社がやり出し て、それがうまくいったので、いまは国も州もそれに対して補助金を出して動いている のが現状なのです。だから、最初はADACが全部かぶっている形ですが、実際は保険会社 が出していたわけです。保険会社は、死なない分だけ助かるわけですから。 ○座長 いまの日本のJAFは、個人が会員としてお金を出していますね。ADACもそうだ ったのだろうと思いますが。 ○小濱委員 JAFは事故だけですね。人命救助には一切関与しませんね。 ○座長 ADACの会長、ドイツのクグラーという人は、いまは引退しておりますが、とて もいい会長だったと思っております。 ○益子委員 先ほど、課長が気になる発言をされたので、そこを総務省の方に確認した いのです。もともとドクターヘリが普及しないために、都道府県が負担するつらさを少 しでも軽減しようということで、寄付を集めて都道府県を補助しようと。そうしたら、 都道府県の負担分は少なくても、貧しい所は貧しいなりの負担でヘリが飛ぶという趣旨 だと思うのですが、そうしたとたんに、その都道府県に対して、総務省はヘリコプター を飛ばすお金が他から来るのだったら、うちは地方交付税をその分削減すると、先ほど おっしゃいましたね。 ○佐藤指導課長 決まったことではありませんが、可能性はありますという意味です。 ○益子委員 課長が実際そのように言われているということですか。 ○佐藤指導課長 いいえ、まだ全然話はしておりません。 ○益子委員 総務省の方、その辺りはどうなのでしょうか。 ○総務省消防庁 全くその辺りの話は聞いたことはありませんが、現在、私どもの考え の中では、毎年のランニングコストは普通交付税、あるいは特別交付税で措置しており ます。しかし、法人から寄付金が入ったことによって交付税を削るという考えは、いま のところはありません。ただ、それよりもっと先に、ドクターヘリ法ができて、消防防 災ヘリの位置づけをもっとしっかり固めていく必要があると思っております。 ○座長 ありがとうございます。そこまで細かくなると夢がなくなってしまいますの で。 ○石井委員 もう一度「夢のある話」というところに戻ると、いま実際に運用している 地域や施設なりが、いいものだと、皆さんおっしゃっているわけです。諸外国でもここ まで普及しているではないかと。ですから、それを是非ともバックアップしたいとの趣 旨ですから、いいものなのだということを引き続き情報発信していただいて、都道府県 にはいろいろな事情があるのだという話は、しかしながらという形で、命や健康を平準 化した新しいシステムでサポートできるところに持っていくことが趣旨だと思うので す。その手前で、国の財源や地方の財源の中で削れるものはどんどん削ってしまおうと いう話とセットで動いてしまうと、これはどうにもならないと思うのです。  ですから、知恵を絞って、その上で全体で予算の配分をどうするかは、もちろん政府 はやらざるを得ないのだと思います。しかし、国の責任は当然あるわけですから、医療 や命の問題をどこかに投げてしまえば免責されるということは全くないと思いますの で、是非とも前向きの姿勢で一緒に議論していただければと思います。 ○安川委員 21頁の資料は2000年か2001年ごろのデータを基にしているのではないか と推測しています。例えば、ヘリが使うジェット燃料費ですが、これが2002年では1 リッター当たり90円だったのですが、2007年では140円になっています。また、購入 時3億円のヘリが現在6億しているとか、それに伴って減価償却費が4,000万から8,000 万になっているとか諸々あって、21頁ではヘリ変動費は1回当たり65,678円と出てお りますが、今は8〜9万円ぐらいになっているのではないかと推測しております。大変夢 のない話ですが、こういうところも是非ともお考えいただきたいと思います。 ○座長 わかりました。確かに、本当はもう少し膨らんでいるのだということでよろし いですね。 ○泉委員 質問なのですが、いま29頁の資料を見せていただきましたが、この中で利用 料が有料、無料というのがありますね。別にそうすべきだという立場でお聞きするわけ ではないのですが、ドクターヘリについて有料化という議論があったのかどうかをお聞 きしたいと思います。  関連で、法律の中で9条の法人ですが、これは病院の開設者に対して費用に充てると いうことなので、例えば有料化してその分を個人に補填することは、この法律では読め ないということなのでしょうか。 ○佐々木補佐 ドクターヘリについては、個人の有料化は一切議論しておりませんの で、当面は、今後もこの事業を推進するにあたって有料化は考えておりません。それに 伴って、9条の病院開設者の助成金についても、有料化を前提には考えておりません。 ○座長 ほかにいかがでしょうか。いま、議論はIの法人のあり方のほうにいっており ますが、もう1つ、「その他」という2番目の議論にも入っていただければと思います。 それは法人に関するところですが、運用あるいは基準に関しても、いかがでしょうか。 どう整備していくのかです。  事務局はよろしいですか。IIの「その他」、医療計画策定との関係です。この法人の 問題、基準、運用を考える際に、どうしても医療計画策定との関係は当然出てくるわけ で、それをどのように考えていくのかについても、忌憚のないご意見をいただければと 思います。 ○平田委員 非常に現実的な話ですが、法律ができて、既に時間が結構経っています。 このような団体を作るという話になれば、当然関心を持っている所が、うちのような所 はどうなるのでしょうか、とご質問等を投げかけているのではないかと思いますが、そ の辺りはいかがですか。具体個別に述べていただく必要はありませんが。 ○佐藤指導課長 助成金交付事業を行う法人のことですね。現時点ではありません。 ○座長 私個人的に寄付したいという方も、まだ1人もいないのですか。 ○佐藤指導課長 現時点ではいらっしゃいません。私どもの耳が遠いのかもしれません が。 ○石井委員 耳が利きすぎているのかもしれませんが、自賠責の中には既に、ドクター カーなりドクターヘリのための拠出金は、わずかですがあったような気がします。問題 なのは、それをどう広げていくか、または出し得る環境を整えるかどうか、そういうこ とでもあるのかなと思います。  先ほどの財源の話で、税か税でないかの話だけで平田委員はおっしゃいましたが、ガ バメンタルな税のほかにパブリックの概念があって、パブリックのところにはいろいろ なあり方があっていいのではないかと思います。 ○座長 税にはパブリックとガバメントがあるというのは、どういう意味ですか。 ○石井委員 税はガバメンタルですから、それ以外にパブリックなものがあると。 ○座長 税ではない、寄付などの違う集め方があるのではないかということですね。 ○石井委員 それは法人改革の中でも議論されていると伺っております。 ○岡田委員 多少夢のある話というか、某自動車会社が、この前、埼玉県のドクターヘ リ導入に関して、機体を買ってあげてもいいという意見を出したこともあるのです。そ の会社として寄付してもいいと。ただし、受け皿がないものですから。やはり、全くな いわけではないという気はしています。要するに、相当利益を上げている、いまトップ クラスの上位2社ぐらいは、そういうことに関して社会貢献をしたいと多少考えている ようです。 ○座長 そういう会社が各県で出てきたら、それでいいですね。ありがたい話ですね。 ○益子委員 確認したいのですが、財団の基金の集め方、運用方法について、厚生労働 省のお考えは、1,000億とか2,000億の基金を作って、その運用益だけで年間のドクタ ーヘリ運航を賄う仕組みを考えているのですか。 ○座長 そうではなくて、それも1つのアイデアです。 ○益子委員 例えば、20億や30億が毎年集まれば、相当な数飛べるわけです。いま日 本全国に50機飛ばしたとして100億で、国はそのうち半分は負担する覚悟はおありなわ けですから、そうすると残りは50億ですね。その50億を全部都道府県で負担するのは 難しいので、20億や30億が都道府県の分になって、残りを寄付で賄う仕組みにすれば いいわけですから、20億や30億のオーダーで、毎年、全国に50機のヘリが飛ぶ状況は できるわけです。それで毎年回していく形がいいのではないかと、私は思っているので すが、いかがでしょうか。 ○佐藤指導課長 個人的な意見を含めて申し上げれば、大いに結構だと思っておりま す。私どもは、この法人をどういう形で運営するかについて、法律の成立前後で細かく は話をしておりませんでしたので、一般的なパターンとしては基金があって、その基金 の果実、運用益で賄う方法もあるだろうし、毎年確実に、先ほどどなたかがおっしゃっ たようにJAFではありませんが、毎年会費あるいは毎年お約束をしていただいた形で寄 付をしていただくとか、毎年きちんと定期的に財源が確保できる見通しが立つのであれ ば、そういう運用の仕方もあると思います。何度も申しますが、私どもは、ある程度こ んな事業と決めたものが、運用する上で、こういう財源の確保の方法があるということ は、次のステップとしてあるのだろうと思うので、どれにも全くこだわっておりませ ん。 ○座長 それは、オールハンドでどこでもかまわないというところをお願いしたいと思 います。 ○泉委員 これまでのお話としては、県が導入できないのは財源の問題が主だろうとい う前提で来ていて、それは事実ではあるのですが、それだけではないと思っています。 茨城県だけかもしれませんが、お金と同時に、最大のネックは、必要な人員を確保でき る基地病院がないということで、御多分に洩れず医師不足の問題があります。  さらに運航上のいろいろな規制の問題があり、どこまでが運用の問題でどこまでが法 令的な問題か、私もよくわかっていませんが、わかりやすく言えば、ドクターヘリが飛 べば1つ救命救急センターをつくらなくていいと言えば皆さん納得するのですが、夜は 飛べないとか、高速道路や山の中は降りられないという制約の中で、確かに利用した方 にとっては十分な効果があるにしても、それが県民全体にどのくらいの効果を及ぼすの かについて、少し疑問が残っています。  医師不足は大きな話なので別ですが、運用上の規制の問題などは、今年の検討が終わ ったあとでもいいですが、是非ご検討いただきたいと思っています。消防防災ヘリも含 めて、都道府県でフルにヘリを活用できないところが1つのネックだということを、背 景としてご理解いただきたいと思います。 ○座長 ありがとうございます。それについての答えもなかなか難しいだろうと思いま すが、何かご意見がありましたらお願いします。 ○佐藤指導課長 もうあまり長く申しませんが、冒頭にも申し上げたように、私どもは スケジュールの決まっているものは早めにおまとめいただきたいと思っていますが、適 切な言い方かどうかはわかりませんが、余力があれば、運航に関することや運航を支え る基盤的なことについてもこの場でご議論いただいて、この会でそのまま引き続きやる のか、少し組み替えてやるのかどうかは別ですが、これで済みだとは決して思っており ません。適宜、そういう議論もお願いして進めていきたいと思っております。 ○岡田委員 静岡県は、2機を使っております。特に都市部のフライトが多いというこ とはありますが、伊豆半島や北の長野県との県境や、そういう所の医療機関にとって は、相当負担軽減になっていると思います。  現実に、県民の要望としては、そういう所が、絶対に無くしてくれるなと言っている ということは、それなりの効果を県民が認識してきて、そのために税金を払っていいと いう意識が出てきているので、県単事業でうちのヘリは飛んでいます。決して、このヘ リが昼間しか飛べないから効果がないというのではなくて、昼間やっていることによっ て連携がより強くなって、夜間でもいい連携ができていくと思います。場合によって は、こちらからドクターカーで迎えにいったりして、天候不順のときに対応することが でき、それと同時に、病院の集約化ができると思います。医者ももっと集約化してセン ターに集めれば、基幹病院を整備する手段に使えるという理解をしています。 ○座長 それは立地条件で、静岡県と茨城県では違うのかもしれないので、一概には言 えないと思いますが、静岡県ではこうだということです。  そろそろ時間もなくなってきておりますが、今回は第1回ですので、私が最初に「夢 のある話」をと言ってしまったので、今回はこのぐらいにして、次回から個別の問題を もう少し深くディスカッションしたいと思います。よろしいでしょうか。  それでは、次回からの検討課題について、そして、もう少し個別にというのは、いま すぐではありませんが事務局からお話があると思います。いつごろになるのかも含め て、事務局からお話をいただきたいと思います。 ○佐々木補佐 今後の進め方については、本日いただいたご議論を踏まえ、座長にお諮 りした上で決めていきたいと考えております。本検討会は、最初の位置づけのところで 申し上げたとおり、適宜、必要に応じて作業部会を開くことができますので、そういっ たところも含めて、座長にお諮りしたいと思っております。  次回については、開催することになれば、追って日程調整をしたあと皆様にご連絡を いたしますので、よろしくお願いいたします。 ○座長 オブザーバーの皆さん、何かこれだけは言っておきたいということがありまし たら、国土交通省、防衛省、海上保安庁、あるいは総務省、よろしいですか。  それでは、これをもちまして第1回の検討会を終了いたします。オブザーバーの皆さ ん、委員の皆さん、事務局の皆さん、本当にありがとうございました。