07/08/21 第28回 社会保障審議会児童部会 議事録 第28回 社会保障審議会児童部会 議事録 日時:2007年8月21日(火) 13:00〜15:00 場所:経済産業省別館1012号会議室(別館10階) 出席者:  委員   大日向部会長、阿藤部会長代理、網野委員、遠藤委員、榊原委員、前田委員   松原委員、無藤委員、山縣委員、吉田委員、渡辺委員  事務局   大谷雇用均等・児童家庭局長、村木審議官、香取総務課長、義本保育課長   藤井家庭福祉課長、東育成環境課長、度山少子化対策企画室長   伊原虐待防止対策室長、麻田職業家庭両立課長 議事:  1. 開会  2. 部会長及び部会長代理の選出について  3. 最近の児童行政の動向について  4. 社会的養護専門委員会の設置について  5. 閉会 配布資料:  資料1  社会保障審議会児童部会名簿  資料2  最近の児童行政の動向について  資料3-1 社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会の設置について  資料3-2 今後目指すべき児童の社会的養護体制に関する構想検討会       中間とりまとめについて(概要)  資料3-3 今後目指すべき児童の社会的養護体制に関する構想検討会       中間とりまとめについて(本文)  資料4  社会的養護専門委員会における今後の検討スケジュール 参考資料: 1-1. 「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議     「重点戦略の策定に向けての基本的な考え方」(中間報告)の概要  1-2. 「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議      各分科会における「議論の整理」及びこれを踏まえた     「重点戦略策定に向けての基本的考え方」について(中間報告)  2.  児童相談所における児童虐待相談対応件数  3.  平成19年度児童福祉司、児童心理司の配置状況について  4.  平成19年度「生後4カ月までの全戸訪問事業」及び「育児支援家庭訪問事業」     都道府県別実施状況  5.  「オレンジリボン・キャンペーン2007」について  6.  「子どもの虐待防止推進全国フォーラム」の開催について  7.  市町村における児童家庭相談体制の状況(都道府県別)  8.  厚生労働省設置法(平成11年法律第97号)(抄) ○香取総務課長  定刻を過ぎましたので、ただ今から、「第28回社会保障審議会児童部会」を開催いた します。本日は暑い中、大変ご多忙のところご参集いただきましてありがとうございま した。  まず始めに、前回まで部会長としてご尽力いただいておりました岩男部会長は任期満 了でご退任になっております。従いまして、次の部会長の選出まで暫時事務局で議事進 行をさせていただきます。よろしくお願いいたします。同じく本部会の臨時委員のうち、 網野委員、小笠原委員、柏女委員、中村委員、前田委員、山縣委員、吉田委員の7名が 任期満了です。これに伴いまして、改選の手続きが行われております。そのうち、網野 委員、柏女委員、前田委員、山縣委員、吉田委員の5名につきましては、ご再任という ことで引き続きお願いをしました。感謝を申し上げます。  それではまず始めに、前回の児童部会が昨年の平成18年2月でしたから、時期もた っておりまして、しばらくぶりの開催ということになります。改めまして、委員の皆さ まと事務局のメンバーをご紹介いたします。私が、名簿の順にお名前を申し上げますの で、よろしくお願いいたします。  最初に、早稲田大学人間科学学術院特任教授の阿藤委員です。 ○阿藤委員  阿藤でございます。 ○香取総務課長  次に、東京家政大学家政学部教授の網野委員です。   ○網野委員  網野でございます。 ○香取総務課長  山梨大学大学院医学工学総合研究部教授の遠藤委員です。 ○遠藤委員  遠藤でございます。よろしくお願いいたします。 ○香取総務課長  恵泉女学園大学大学院教授の大日向委員です。 ○大日向委員  よろしくお願いいたします。 ○香取総務課長  まだお見えになっておりませんが、読売新聞東京本社生活情報部記者の榊原委員です。 次に、財団法人横浜市国際交流協会理事長の前田委員です。 ○前田委員  前田でございます。 ○香取総務課長  次に、明治学院大学社会学部教授の松原委員です。 ○松原委員  松原でございます。 ○香取総務課長  白梅学園大学学長の無藤委員です。 ○無藤委員  よろしくお願いいたします。 ○香取総務課長  大阪市立大学生活科学部教授の山縣委員です。 ○山縣委員  山縣です。よろしくお願いいたします。 ○香取総務課長  有限会社遊育代表取締役の吉田委員です。 ○吉田委員  吉田でございます。よろしくお願いいたします。 ○香取総務課長  慶應義塾大学医学部専任講師の渡辺委員です。 ○渡辺委員  渡辺です。よろしくお願いいたします。 ○香取総務課長  なお、本日は柏女委員、津崎委員、服部委員は所用のためご欠席ですので、よろしく お願いいたします。  次に、事務局のメンバーを紹介させていただきます。まず、雇用均等・児童家庭局長 の大谷です。 ○大谷雇用均等・児童家庭局長  雇用均等・児童家庭局長の大谷です。  会がしばらく開かれておりませんので、私も就任して1年が近づいておりますけれど も、ご挨拶が遅れまして大変失礼いたしました。今日は大変暑い中お集まりいただきま して、誠にありがとうございます。冒頭にご挨拶かたがた、近況を含めて申し上げさせ ていただきたいと思います。  ご承知のように、わが国では急速に少子化が進行している中で、児童行政を取り巻く 諸問題につきましても早急な対応が求められている状況にあります。少子化につきまし ては、これまで全閣僚が参加する少子化社会対策会議におきまして、平成16年に「子 ども・子育て応援プラン」が策定され、また、平成18年には「新しい少子化対策につ いて」というものが策定されまして、これまで幅広い分野にわたり、政府を挙げて対策 に取り組んで参りました。近年では、「認定こども園」の制度の施行であるとか、児童手 当制度の拡充などを行ってきました。また、直近の権限、安倍内閣になりまして以後の 動きですけれども、少子化ということを念頭に入れ、制度あるいは政策・意識改革など、 あらゆる観点からの効率的な対策の再構築あるいは実行を図って、すべての子ども、す べての家族を世代を超えて国民皆で支援する、国民総参加の子育てに優しい社会作りを 目指しまして、本年2月に内閣官房長官の下に関係閣僚と有識者からなります「『子ど もと家族を応援する日本』重点戦略検討会議」が設置され、去る6月に中間報告がなさ れたところです。  一方、国会の状況でありますけれども、先の通常国会では少子化をめぐるさまざまな ご議論がありました。また個別の立法としましても議員立法で改正の「児童虐待防止法」 が成立し、また、少年法等の改正等、児童行政を取り巻くテーマというものは国会でも 大きな事項になっています。こうした一連の児童行政の最近の動きにつきましては、後 ほど資料等でご説明させていただきます。ご承知のように、こういった児童行政の問題 というのは、少子化というような大くくりのテーマもありますけれども、一方で、児童 虐待とか障害など、そういった困難な状況にある子どもや家族に対する支援の強化を図 るといった個別な重要事項もございます。こういった点について、本年2月に雇用均等・ 児童家庭局家庭福祉課におきまして、「今後目指すべき児童の社会的養護体制に関する構 想検討会」を開催させていただきました。去る5月に、中間取りまとめをいただきまし て、本日ご出席の委員の中には、そこでもご貢献を賜った皆さまがおられるということ で、あつく感謝を申し上げたいと思います。その結果につきましても、後ほどご報告を させていただきますが、社会的養護のあり方に関する今後の検討に向けて、この児童部 会において社会的養護専門委員会を設置できないかといったことについても、この場で 相談をさせていただきたいと考えております。  委員の皆さまにおかれましては、今後とも児童部会における活発な審議にご協力を賜 りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。遅れましたけれども、ご挨拶に代え させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○香取総務課長  次に、大臣官房審議官雇用均等・児童家庭局担当の村木です。 ○村木審議官  村木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○香取総務課長  次に、家庭福祉課長の藤井です。 ○藤井家庭福祉課長  藤井でございます。よろしくお願いいたします。 ○香取総務課長  同じく、保育課長の義本です。 ○義本保育課長  義本です。よろしくお願いいたします。 ○香取総務課長  同じく、職業家庭両立課長の麻田です。 ○麻田職業家庭両立課長  麻田です。よろしくお願いいたします。 ○香取総務課長  少子化対策企画室長の度山です。 ○度山少子化対策企画室長  度山です。よろしくお願いいたします。 ○香取総務課長  虐待防止対策室長の伊原です。 ○伊原虐待防止対策室長  伊原です。よろしくお願いいたします。 ○香取総務課長  育成環境課長の東です。 ○東育成環境課長  東です。よろしくお願いいたします。 ○香取総務課長  これ以外に、児童手当管理室長、母子保健課長、児童福祉補佐官は、本日所用のため 欠席をしております。そして、私が総務課長の香取でございます。よろしくお願いいた します。事務局のメンバーは以上です。  それでは、議事に移りたいと思いますが、冒頭に申し上げましたように岩男前部会長 がご退任をされましたので、部会長の改選の手続きに入りたいと思います。社会保障審 議会令第6条第3項「部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により選任す る。」ということになっております。つきましては委員の皆さま方の互選で部会長の選出 をお願いしたいと思っております。どなたかご推薦がありましたら、お願いいたします。 それでは、山縣委員、お願いいたします。 ○山縣委員  どなたも部会長にふさわしい見識をお持ちだと思うのですが、会議が白熱しても穏や かな笑顔でリードしていただけるのではないかと思いますので、真向かいに座っておら れます大日向委員を推薦したいと思います。 ○香取総務課長  他にご意見はございませんでしょうか。それでは、本部会長を大日向委員にお願いし たいと思いますけれども、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、以後の議事 につきましては部会長にお願いしたいと思います。大日向委員には部会長席に移動をお 願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○大日向部会長  ただ今、ご指名いただきました大日向でございます。委員の皆さまのご協力を得て、 自由闊達なご意見をいただき、議会の潤滑な運営に努めて参りたいと思いますので、ど うぞよろしくお願いいたします。  それでは、議事進行を務めさせていただきます。まず、部会長代理の選出ですが、社 会保障審議会令第6条第5項に、「部会長に事故があるときは当該部会に属する委員又 は臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名する者がその職務を代理する」という規 定があります。つきましては、私の方から部会長代理を指名させていただきたいと思い ます。部会長代理には阿藤委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 それでは、阿藤委員にはこちらの部会長代理席に移動をお願いします。  それでは、次の議事へ移らせていただきます。最近の児童行政の動向といたしまして、 本日は8点、事務局からご報告をお願いします。第1が「『子どもと家族を応援する日 本』重点戦略検討会議の策定」、第2が「児童虐待防止法及び児童福祉法の一部を改正 する法律」、第3が「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等」、第4が「少年法等の 改正」、第5が「認定こども園制度」、第6が「保育所保育指針の検討状況」、第7が「放 課後子どもプラン」、第8が「児童手当法の一部を改正する法律」、以上8点です。それ では、順次、事務局からご報告をお願いいたします。 ○度山少子化対策企画室長  項目が多いので簡潔に説明をさせていただきます。まず、資料2の1ページをご覧く ださい。本年2月からスタートしております「『子どもと家族を応援する日本』重点戦 略の策定」につきまして、状況報告をさせていただきます。昨年12月に、新しい人口 推計が発表されましたけれども、今後急速に少子・高齢化が進むという見通しになって いるということです。このような急速な人口の減少、人口構造の変化というものが社会 経済にどのような影響をもたらすであろうかというようなこと、あるいは、こういった ことの鍵がどこにあるのかといったことについて、「社会保障審議会人口構造の変化に関 する特別部会」を設け、昨年から今年の1月くらいにかけまして議論を行ってきたとこ ろです。そういった議論の中では、決してこのような急速な少子化というものは、国民 が、特に若い方が望んで起こしていることではなく、結婚や出生というものに関する国 民の希望がある程度かなえば、合計特殊出生率が1.75程度までは改善される余地はある のではないかといった議論にもなりました。こういったことから、2030年以降、特に急 速に若い世代の人口が減っていくということも視野に入れて、本格的に少子化というも のにどのように立ち向かっていくのかについての検討を行おうということで設けられま したのが、「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議です。  次のページをご覧ください。重点戦略の検討体制といたしましては、全閣僚で構成い たします少子化社会対策会議の下に、閣僚9名、有識者7名で構成する検討会議を設け ました。その下に、「基本戦略」、「働き方の改革」、「地域・家族の再生」、「点検・評価」 という四つの分科会を設けまして、その下に細かく書いてありますそれぞれの項目ごと に検討を進めました。2月に検討会議が発足し、3月から5月にかけてそれぞれの分科 会を3〜5回開催し、6月段階で中間報告をしました。重点戦略の策定に向けての基本的 な考え方を中間報告したということが、ここまでの段階です。これから先の話ですけれ ども、重点戦略の全体像を年内に取りまとめていこうという動きになっています。  3ページ目に「重点戦略策定に向けての基本的な考え方」、6月にまとめました中間報 告の目次だけを並べていますけれども、このエッセンスが次の4ページ目にあります。 「経済財政改革の基本方針2007」、いわゆる骨太の方針と言われているものですけれど も、そこにエッセンスが盛り込まれております。今日は時間の関係もありますので、大 体どのようなことを中間報告しているかということについて、ここからご説明させてい ただきたいと思います。  まずは、今後人口が急速な勢いで減少していく中で、日本の社会・経済というものの パフォーマンスを維持していくことが必要で、そういったことについては女性、高齢者、 若者など、なかなか十分に労働力化されていない方々の就業促進をして、労働力を確保 していかなければいけないという社会的な要請があるということです。その一方で、先 ほどご説明しましたように、この急速な少子化というものは若い世代が望んで起こして いるかというとそうではない、結婚や出産に関する国民の希望が実現できるような社会 を構築していかなければいけないという、二つの課題にこれから戦略的に取り組まなけ ればいけない。その鍵を握るポイントは何かということで、これはワーク・ライフ・バ ランスを推進するというところにあるのではないかと。こういった二つの要請をともに 満たせる社会を構築していくための鍵としてのワーク・ライフ・バランスの推進という ものが求められる。そのワーク・ライフ・バランスを進めるための検証あるいは行動指 針というものを策定していこうということを1点盛っております。  2点目は、主に働き方の話になってくるわけですけれども、そういったことだけでは 十分ではなく、社会的な基盤といいますか、ワーク・ライフ・バランスを進めるという 観点においても、あるいは結婚や出産に関する国民の希望を実現するということにおき ましても、タイトルに掲げたような包括的な次世代育成支援の制度的な枠組みというも のをもう一度構築していくことが必要なのではないかということを述べております。次 の5ページ目に「包括的な次世代育成支援の制度的な枠組みの構築」ということで、ポ ンチ絵を作っておりますけれども、例えば今弱いところで申しますと、特に3歳未満児 に対する多様で弾力的な保育サービスを拡充していくということですとか、あるいは地 域の子育て支援の基本的なメニューについて面的な整備を図っていくとか、そういった ことを通じまして多様な子育て支援のニーズに対応していく、あるいはどのようなライ フコースの選択をしたとしても、それに応じた支援が受けられるような体制を地域で構 築していくといったことが必要ではないかということを言っております。同時に、例え ばよくある話ですが、育児休業明けに保育所がなかなかうまくリンクしないこととか、 そういった問題が出てきているわけですけれども、利用者本意の切れ目のない支援を提 供できる包括的な仕組みというものも検討していかなければいけないだろうということ です。あるいは、5ページ目の一番下に書いてありますけれども、家庭がうまく機能し ないといいますか、児童虐待や障害など困難な状況にある子どもや家族に対する支援と いうものの強化も考えなければいけない。こういったことをトータルに検討していく必 要があるのではないかということを言っているわけです。  3点目は、こういった取組を従来から進めてきてはいるわけですけれども、やはりど こまでどのように進んだのか、どこがうまく進んでいないのか、リンクしていないのか といったことにつきまして、利用者の視点に立って施策の有効性を点検・評価するため の手法を開発しなければいけない。そういったことを通じて、今進めております「子ど も・子育て応援プラン」、あるいは各地域の方で進められております「次世代育成支援の 行動計画の改訂」というものに結び付けていって、効果的かつ計画的に施策を遂行して いく体制を構築していくことが必要であると言っています。  最後に、財源の検討ですが、今まで申し上げてきたようなことを効果的に進めていこ うということになりますと、一定規模の効果的な財政投入の検討も必要であろう。しか もそれは、次の世代を育てるためにということではあるのですけれども、次の世代の負 担によって費用を賄うということがあってはいけない。今の社会の中で解決をしなけれ ばいけない。そういったことを考えますと、いろいろな施策の実効性ですとか、あるい は支援の内容も現物給付・現金給付のバランスにも考慮しながら、どれくらいの財源規 模、あるいはそれをどのようにファイナンスをしていくかということにつきまして、税 制改革等の議論と並行してこれから検討していかなければいけないのではないかという ようなことをまとめています。 ○伊原虐待防止対策室長  引き続きまして、児童虐待防止対策についてご説明させていただきます。資料の11 ページをご覧ください。パワーポイントの「児童虐待防止対策の強化について」の資料 です。昨年、秋田県、福島県、あるいは京都府などで児童虐待に伴う死亡事件が相次い で起こりました。その事件を受け、改めて今までの対策を見直しまして、この1年間に ここにありますような対策を講じて参りました。  一つが議員立法ですが、児童虐待防止法、児童福祉法の改正というものを実施いたし ました。これは政府提案ではなくて、議員立法で行われたのですが、児童虐待に関して 非常に大きな展開になったと考えております。右側にありますが、「法改正以外による対 応」ということで、発生予防、早期発見・早期対応という点につきまして見直しが行わ れております。ポイントで申し上げますと、発生予防に関しましては、今年度から生後 4カ月までの乳児のいる家庭を全戸訪問するという事業がスタートしております。日本 の場合、1歳半健診、3歳児健診という世界に冠たる母子保健システムがあるわけです が、アウトリーチで家庭を訪問するというものについては、新生児訪問指導というもの がありますが、すべて包括的に行うというものはなかったのです。今回これをスタート することになりました。初年度であるのですが、お手元の資料の中に参考資料4があり ますけれども、実施率が68.5%で、7割の自治体で実施していただいていますし、石川 県におきましては100%ということで、既に100%実施していただいている自治体も出 てきております。この事業を実施することに伴い、併せて育児支援家庭訪問事業と申し まして、虐待や障害といった要保護の家庭に関する訪問事業の実施率も大きく改善され、 従来4分の1ぐらいの自治体でありましたものも、本年度は約半数の自治体で実施され ることになりました。1日も早く全国展開をしたいと考えています。発生予防に関して はそういうことをやっていますが、早期発見・早期対応に関しましては、昨年の事件を 受けて法改正なども行われ、幾つか大きな見直しが行われました。  一つは9ページにありますが、立入調査の際に裁判所の許可を受けて、悪質なケース については強制的に鍵を開けて入るという仕組みが導入されることになりました。件数 としては少ないのですが、やはりどうしてもネグレクトケースと呼ばれる困難ケースの 場合にはそういう例もあるということから、こういう制度が導入され、来年4月からス タートすることになります。  それから10ページに「面会・通信制限」ということで、保護者の方々の中には非常 に対応の難しい方がいらっしゃって、入所している子どもたちの所にやってきて、いろ いろなトラブルが生じるということで、今回の改正で一時保護や同意入所に当たりまし ても、面会・通信制限ができるようになったり、あるいは強制入所の場合には接近禁止 命令ということで、近くに来てはいけないという命令を出したりするような道が開かれ ています。  それから今回の改正ではこうした制度だけではなくて、児童相談所あるいは市町村の 運営体制を強化するという改正を行い、児童相談所に関してはスタッフを増やすことと 同時に、48時間ルールということで虐待通報を受けた場合には48時間以内に直接目視 で、目で見て安全確認をするといったルールが導入されています。もう一つは、一時保 護所と呼ばれる子どもたちを親から分離して一時的に身柄を確保する施設がありますが、 そこが非常に古くて狭くて、今満杯状態であることから、緊急整備計画を自治体に策定 していただいています。  それからもう一つは市町村の体制強化です。平成16年の改正で、市町村が児童虐待 のもう一つの担い手になりましたけれども、やはり虐待対応ケースを見ても市町村の体 制が整った都道府県は、むしろ県の虐待対応件数も横ばい、ないし減少するというとこ ろも見られていて、市町村の体制強化が非常に鍵であるということから、今この都道府 県から児童相談所OBを協議会に派遣する、あるいは協議会の体制強化を図っていくた めの財政支援措置を講じるなどということを実施しています。それからもう一つが、国 および地方公共団体が重大な虐待事例の分析を行うということで、虐待の死亡事例など については、今後は国だけではなくて、都道府県でも来年4月以降は検証を行うという ことになっています。  こうした対策が講じられているのですが、実は虐待防止法の附則で、今日も議題にな ると思いますが、子どもを分離保護した後、里親あるいは児童養護施設で子どもたちを 預かるわけですが、ここの体制が極めて不十分であるというご指摘が強くなされまして、 そこについては今回の虐待防止法の宿題として、今後速やかに改善策というか、対応策 を検討しようということになっています。  それから13ページに、国では虐待死亡事例の検証を毎年度実施していて、ここにい らっしゃいます松原委員が委員長をされていますが、その第3次報告が6月22日に公 表されています。平成17年中の死亡事例を中心に調べていまして、70例86人につい て分析を行っています。「結果」のところですが、毎年度大体同じことが出ていますが、 年齢については0歳児の死亡が約4割となっています。これは赤ちゃん訪問事業を実施 する大きな背景にもなっているわけですが、4割になっています。本年度の場合、分析 していきますと、望まない妊娠、あるいは妊娠期の問題が虐待の死亡事例につながって いるケースが多く見られたということから、この妊娠・出産期の対策が大事であると指 摘されています。  14ページに「地域社会との接触」ということで、昨年、福島県あるいは秋田県で死亡 事例が起こりました。従来大都市が虐待死の典型的なタイプとして言われていましたが、 近年は町や村でも死亡事例が起きていまして、やはり地域社会との接触が乏しい事例は 郡部でも見られ、こうしたリスクがあるということが裏付けられています  それからもう一つの発見として、児童相談所関与事例が割合として減少してきている ということが見られます。平成15年50%だったのが、平成17には約20%へと減少し ています。ある意味では児童相談所までかかわれば死亡事例は減ってきているとも言え るのではないかと考えられますが、他方、関与している事例10例を見ましても、こう いうケースではやはり児童相談所側の対応が不十分だったという例もありまして、確か に児童相談所も頑張っていますが、まだまだ見直すべき点がある。むしろ今回の報告で は児童相談所以外の、特に市町村の機関が関与していて、死亡事例が多く目についたと いうことから、やはり市町村の体制強化・機能強化が大事であると考えています。  今回の第3次報告では提言という形で八つの提言を、従来の検証報告と少し違う形で いただいています。これらの提言については、できるだけ1日でも早く、具体的な指針 の見直しなどの形で対応をしたいと考えています。  最後に18ページに「地方公共団体における検証の基本的考え方について」というこ とで、来年の4月から改正虐待防止法に基づいて、都道府県でも検証が行われますが、 こうした考え方につきましても、この検証委員会で考え方をお示しいただきましたので、 今後は自治体でこうした検証が進められるものと考えています。以上です。 ○藤井家庭福祉課長  続きまして少年法等の一部改正についてご説明申し上げます。資料2の95ページを お開きいただければと思います。95ページに少年法等の一部改正が成立するまでの経緯 についてまとめてあります。ご覧いただければおわかりいただけるかと思いますが、こ の中で申し上げますと、平成17年1月に法制審議会の少年法部会で要綱が可決されて いますけれども、これに先立ちまして、本児童部会においても本件をご議論いただきま した。ここでいただいたご意見なり、ご指摘を少年法部会で申し述べるなど、本部会に おきましてもひとかたならぬご協力をいただきましたことを改めて感謝申し上げる次第 でございます。法案自体は平成17年から何回か国会提出を繰り返してきていまして、 平成18年2月の国会提出の後、衆議院の法務委員会で与党による修正を受けまして、 本年5月に成立しています。  内容については96ページをご覧いただきますと、簡単にポイントだけまとめてあり ます。まず「触法少年に係る事件の調査」として、「(1)警察の調査権の明確化」です。こ こは衆議院における与党の修正で、ぐ犯少年が除かれていまして、対象が触法少年にな っています。そこにありますように「警察官は、触法少年を発見した場合において、必 要があるときは、事件について調査することができるものとする」という趣旨の規定が 入っています。ただここには簡潔にしか記してありませんけれども、この少年法は条文 上は与党による修正も含めてですが、例えば警察官は客観的な事情から合理的に判断し て、触法少年と疑うに足りる相当の理由のある者を発見した場合において必要があると きは事件について調査をすることができる、あるいはその調査は少年の情操の保護に配 慮しつつ、事案の真相を明らかにし、もって少年の健全な育成のための措置に資するこ とが目的として行うものとするなど、そういったことで少年の健全な育成の観点からの 配慮も働かせた規定ぶりになっています。  それから二つ目「(2)重大な触法事件の原則家裁送致」です。「都道府県知事(児童相談 所長)は、重大な事件を起こした触法少年については、家庭裁判所送致の措置をとらなけ ればならない。ただし、調査の結果、その必要がないと認めるときはこの限りでない」。 ここもさまざまな議論がありましたけれども、法律の条文の規定としては、最後のただ し書きにありますように、児童相談所の主体的な判断が留保されたという形になってい ます。  それから「2. 14歳未満の少年の保護処分の見直し」です。少年院の入所年齢の下限を おおむね12歳に引き下げるということになっています。「おおむね12才以上の少年に ついては、初等少年院・医療少年院への入所を可能にする。ただし、家庭裁判所が『特 に必要と認める場合』に限る」ということです。ここも、もともとの政府案では年齢の 下限を設けていなかったところですが、与党修正によりまして、「おおむね12才以上」 と規定されたところです。この改正法ですが、施行日は現在11月1日施行ということ で調整中だと聞いています。今後施行の段になって参りますが、私どもとしましては引 き続き児童福祉の立場から必要な対応を行って参りたいと考えていますので、また今後 とも本部会におきましてもご協力のほどよろしくお願いしたいと思います。以上です。 ○義本保育課長  続きまして「認定こども園」と保育所保育指針の改定の状況について、2点ご報告さ せていただきたいと思います。  資料の97ページをお開きいただきたいと思います。「認定こども園」は最初は総合施 設という形からスタートしましたけれども、この児童部会におきましてもご検討いただ き、また幼稚園の担当をします中教審の幼児教育部会と合同部会を設けていただきまし て、ここにおられます無藤委員を座長とし、検討の枠組みを作っていただきまして、そ れを踏まえて制度化を図ったという流れです。この間のご審議にここで改めて感謝を申 し上げたいと思います。  制度につきましては、平成18年の通常国会で法律が通りまして、平成18年10月か らスタートし、1年弱という形になっています。97ページにありますように、制度の背 景についてですが、幼稚園と保育所については連携を促進するという形で進んで参りま したけれども、近年の少子化や幼児教育・保育のニーズの多様化に伴いまして、これま での取組だけでは対応できないような状況が顕在してきたということで、ここにありま すような就労の有無にかかわらず施設を利用したい、あるいは少子化の進行の中で特に 過疎地において集団として成り立たない、あるいは待機児童が保育所においては多い一 方、幼稚園は定員割れをしている、あるいは専業主婦を中心にしまして育児不安の問題 を抱えている層に対する支援が十分でないという課題にそれぞれの地域のニーズに応じ て柔軟に対応していこうという形での制度の検討が進んだわけです。  1枚めくっていただきまして98ページですけれども、制度の概要はご覧の通り、幼稚 園、保育所の制度をベースにしまして、その中で一定の機能を備えたものについて都道 府県が条例で認定の基準を設けて認定すると。ここにありますように、保育に欠ける欠 けないにかかわらず子どもたちを受け入れるような形で教育・保育を一体的に提供する というような機能。それから地域における子育て支援ということで、子育ての相談や親 子の交流の場、集いの場を提供するということを恒常的にやるというところについて、 都道府県が認定して制度として「認定こども園」という形でスタートしています。  財政措置については四つの類型。認可を受けている保育所、認可を受けている幼稚園 が連携してやります「幼保連携型」。幼稚園の認可を受けているものをベースにして保育 所機能を付けました「幼稚園型」。あるいはその逆の「保育所型」。必ずしも認可を受け ていない幼稚園機能、保育園機能を持った「地方裁量型」と四つの類型を幅広く対象に すると同時に、それぞれの類型に応じた形での対応した財政措置を講じるという対応を 取っているところです。  昨年の10月からスタートしまして、今年の8月1日の状況ですが、100件を超えて 105件でスタートをしています。これは現在の状況ですけれども、都道府県に聞いたと ころによりますと、平成19年度中には、500件程度の申請の見込みが挙がっている。 平成20年以降につきましては、内容についてまだ精査する必要がありますけれども、 1,500件以上という形で、おおむね2,000件程度。想定するよりもかなり多く見込まれ ている状況です。現状においては、やはり幼稚園が定員割れをしている状況ですので、 幼稚園から転換しているというケースがあり、保育所から転換するというケースはそれ ほど多くないわけですけれども、今後の少子化の進行や、地域の状況によりましては、 過疎地においても保育所から転換していくケースも出てくるのではないかと見込まれて いるところです。  99ページに各県の認定状況についての資料を挙げています。105件ありますけれども、 多い所ではここにありますように兵庫県の12件。あるいは東京都の3件。あるいは秋 田県の9件という形で対応している所もあります。けれども、県によりましては認定が まだない所もあります。今後はそれぞれの需要に応じますけれども、制度の普及や取組 の状況についての事例を紹介する中で、この制度の普及を進めていきたいと考えていま す。  続きまして101ページですが、保育所保育指針の改定です。保育所につきましてはそ の役割が充実・進化している。ワーク・ライフ・バランスを支える一つの役割、あるい は子どもの幼児教育あるいは保育という形で子どもの健全育成を支える、あるいは保育 所に通う保護者、あるいは地域の保護者に対する支援をすると、いろいろな機能を持っ ていますけれども、その機能自体が進化・拡大している中において、保育所の役割をさ らに位置付けて考えていこうということで、昨年の12月に局長の私的諮問機関という 形で検討会を設け、検討を進めているところです。  103ページを開けていただきたいと思います。保育所保育指針につきましては、保育 内容のガイドラインという形で保育の内容や方法についての基本的な枠組みが書いてあ りますけれども、それにつきましてこの検討会で見直しを進めてきたところです。この 8月に中間的な報告という形で一定の整理をいただきましたので、その内容をここにお きましてご報告したいと思います。「改定の背景」につきましては先ほど申しました形で、 期待される役割が深化・拡大している。それに対応した形での役割を再確認し、役割・ 機能が適切に発揮できるような形での見直し、充実を図っていくということを基本に据 えたところです。「改定に当たっての基本的考え方」として示していますけれども、今回 の改定の大きな特徴としましては、これまでの現行の保育所保育指針については、いわ ゆる局長通知という形での位置付けでしたけれども、大臣告示という形で最低基準を受 けた形での法的な位置付けということを明確にすると。その一方で保育所の創意工夫や 取組を図る観点から内容を精査し、大綱化を図るということを平行して進めていくとい うことで取組の改定をしているところです。  1枚めくっていただきまして、「改定の内容」ですけれども、役割をこういう形で明示 するとともに、「保育所の内容、養護と教育の充実」ということで、特に保育所の特徴と しましては、養護的なもの、ケアと、エデュケーション、教育を一体的に展開すると、 その特性を生かした形でその意味内容を明確にしていくと。あるいはそれに対応する形 での内容の改善、あるいは充実を図っていく。これまでの保育所保育指針におきまして は、いわゆる0歳から就学前まで一貫した形で内容を満たした形での内容の見直しを図 る、あるいは健康面、安全面、食育ということを明記する形での対応を図っているとい うことをしています。  それから最近は幼児教育の充実、あるいは小学校との連携ということが強調されてい ますけれども、幼稚園と並びまして保育所におきましても、小学校との連携をしっかり とやるという観点から保育の内容の工夫や小学校との積極的な連携・交流を図っていく こともしています。  それから今回新たに「保護者に対する支援」。これまでも保育所は保護者支援をやって いましたけれども、保育所保育指針において必ずしも明示的に書いていませんでした。 今回は保育所に通う保護者に対する支援ということをしっかりと明記し、その基本的な 事項を規定する、あるいは先ほどご説明がありましたように虐待の問題に対しても早期 予防・早期発見を行うと。あるいは場合によっては地域における養護施設協議会におい てつないでいくということもしっかりとやるという形での内容面の対応を取っていると ころです。  それから「計画・評価、職員の資質向上」と書いてありますように、第三者評価を導 入していますけれども、基本はやはりそれぞれの園における自己評価です。その内容面 においての自己評価を明記する。それから園の中における職員の資質の向上、とりわけ 施設長の資質の向上に対する役割を明記するという対応を取るという形での内容面の充 実を図ることにしているところです。  今後の検討課題はここにあります点ですけれども、今後の予定としましては平成19 年内に最終的な報告を取りまとめまして、年度内3月までに指針の改定を行い、おおむ ね1年をかけまして普及充実を図り、早ければ平成21年4月からそれぞれの園でスタ ートできる形での対応を図っていこうという準備をしているところです。雑ぱくですけ れども以上の内容です。106ページに現状の資料を用意しましたので、ご参照いただけ ればと思います。以上です。 ○東育成環境課長  「放課後子どもプラン」についてご報告申し上げます。資料107ページです。  その前に放課後対策につきまして厚生労働省、文部科学省、それぞれ対策をやって参 りましたので、その対策についてまずご説明したいと思います。109ページをお開き願 いたいと思います。厚生労働省では昭和30年代の後半・40年代と、都市化の進行に向 かいまして核家族が増えたということで、カギっ子対策として児童館でやるという方針 を打ち立て、昭和51年から都市家庭児童対策としていわゆる放課後児童対策をやり、 予算補助をしてきたということです。そして平成9年に児童福祉法の改正によりまして、 この放課後児童対策を法定化したと。共働き家庭などの留守家庭の、おおむね10歳未 満の児童に対して、児童館あるいは学校の余裕教室、公民館などで、放課後に適切な遊 び、生活の場を与えて、その健全育成を図るということにしたわけです。  今年の5月現在の状況ですけれども、クラブ数が約1万7,000件。全国の小学校の約 4分の3程度。それから登録児童数ですけれども、約75万人。これは全国の小学校1〜 3年生までの約2割程度。それから実施場所ですけれども、学校の余裕教室、それから 学校の専用施設が約47%、児童館が約16%で、63%を占めているわけです。  それからこの事業に対する国の助成ですけれども、右に「運営費の負担の考え方」の 図が書いてあります。受益者負担ということで保護者から半分いただく。そしてその残 りをそれぞれ3分の1ずつ補助するという形です。児童数が10人以上で夏休みなどの 長期休暇を含んで年間250日以上開設するクラブに補助するということになっています。 それからハードもありまして、新たに施設を創設する場合に1,250万円。それから学校 の余裕教室、こういったものを改修する場合には700万円。それから備品購入のみの場 合は100万円ということで、それぞれ3分の1ずつを補助するという制度が放課後児童 クラブの概要です。  それに対しまして文部科学省でやってきた事業。その前の108ページの真ん中辺りに マンガが書いてありますけれども、地域子ども教室ということで平成16年から3カ年 間の事業を行ってきました。この左の矢印に近づくほど文部科学省でやっている地域子 ども教室、それから右に行くほど放課後児童クラブといったもので、文部科学省の方は 遊びの場、それから体験の場、交流の場、こういったものを主に目指してやっている。 それから私どもの方は遊びの場、生活の場ということでやってきたという経緯がありま す。そこで、二つの事業を何とか一緒に、しかもできるだけ学校を活用してやっていこ うではないかということで、107ページに戻りますけれども教育委員会が主導して、福 祉部局と連携を図り、原則としてすべての小学校区で放課後の子どもの安全で健やかな 活動場所を確保し、総合的な放課後児童対策として実施する「放課後子どもプラン」を 平成19年度に創設したというところです。それから自治体からの利便性を考えまして 交付要綱を一本化した。自治体である市町村においても学校の余裕教室等を活用して一 体的あるいは連携しながら事業を実施するというのが「放課後子どもプラン」の概要で す。  次に最後の111ページですけれども、児童手当法の一部を改正する法律の概要が書い てあります。この上のかっこに書いてありますように、若い子育て世帯等の経済的負担 の軽減を図る観点から、3歳未満の乳幼児の養育者に対する児童手当の額を、第1子お よび第2子について、今まで5,000円だったものを1万円にすると。0〜3歳までは出生 順位にかかわらず一律月1万円ということになったわけです。この4月から施行し、最 初の支給は6月となっています。一番下に参考までに書いてありますけれども、3歳以 上の養育者に対する児童手当は現行通りということです。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。以上、ご説明、ご報告いただきました点について、委員の 皆さまからご質問等がありましたらお願いいたします。では遠藤委員、お願いします。 ○遠藤委員  「保育所保育指針の検討状況」に関してご報告いただいた部分で、104ページですが、 ご説明をもう少ししていただけるとありがたいと思いますものが、「改定の内容」の中の 「保護者に対する支援」というところです。「保育所の特性や保育士の専門性を生かした 保護者支援」という形で、この中では保育士を中心に述べられているかと思いますが、 ずっと討議の過程の中でいわゆる総合的に親子を対象に相談、ならびに支援事業をして いくというところでは、保育士以外の職種の問題が非常に重要であるということが出さ れていたかと認識しています。「保育士等」となっていなくて、保育士一本で行く方向が あるのかどうかということ。それから保育士に関するマンパワーの問題と、保育士とい わゆる幼稚園教諭の問題というようなことの今後の方向性というのがあったかと思いま すが、その辺りを少し追加していただけるとありがたいと思っています。 ○大日向部会長  これは義本保育課長、お願いします。 ○義本保育課長  今、ご質問いただいた点ですが、「保育士の専門性」と書いていますが、中間報告の中 においては「保育士等」としていまして、保育士に限らず保育所に勤務する職員におい ての対応を図っていこうという形で書いています。ここは正確性を欠いていますので大 変失礼いたしました。それから併せて、外部の方々の、地域の人的あるいは物的資源を より良く生かして子育て支援をしていこうというような趣旨を、そのセクションに設け、 子育て支援の中に書いています。ですから今おっしゃったような形で、単に保育所だけ でやるのでなくて、地域のいろいろな資源と連携協力をしながら、保護者への支援を図 っていこうというような線を出させていただこうと思っています。とかく保育所におい ては自前で対応するということが多かったですけれども、この際やはり地域では次世代 育成支援対策推進法の制定以降、育児の社会活性の中でいろいろな形での取組をしてい ますが、そういうこととうまく連携を図りながら取り組んでいくことを打ち出していこ うと書いているところです。  それから資格の問題をいただきました。今、特に若い保育士については養成課程にお いてはダブルで資格を取れるという形で、おおむね8割以上が既に保育士の資格と幼稚 園の免許の両方を持っています。ただそうは言いましても現職の方々においては一方し か持っていない方もいますので、「認定こども園」につきましては、一方の資格があって も今後はもう一方の資格が取れるような努力をするということを前提において認めると いう方向を打ち出しています。それからご指摘の話としては、今後やはり保育所におけ る課題や求められる役割を考えた場合、2年の課程でいいのかどうかというご議論はい ろいろな形で出ているところです。その資格の在り方や今後の養成のプログラムの在り 方についても、この検討会においてもご議論していただきたいところです。そういうと ころも受け止めながら、課題として考えていきたいと思っています。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。地域の子育て支援の担い手に関して大変重要なご指摘をい ただいたと思います。ありがとうございます。  他にいかがでしょうか。よろしいですか。それではご質問が特にないようですので、 次の議事に移らせていただきたいと思います。次は社会的養護専門委員会の設置につい てです。社会的養護専門委員会の設置およびこれに関連して、児童の社会的養護の現況 について、事務局から資料が提出されておりますので、まず事務局からご説明をお願い したいと思います。 ○藤井家庭福祉課長  それでは資料3-1、3-2につきましてご説明をさせていただきます。  虐待等によって児童相談所が保護した子どもを養育していくという、いわゆる社会的 養護につきましては、対象児童の増加あるいは虐待等による子どもの抱える課題の多様 化、複雑化が近年ますます顕著です。私どもとしましては、この社会的養護体制の見直 し、あるいは整備の促進といったところが、現在の児童福祉の分野における最重要課題 の一つではないかと考えて、資料3-1にあるような専門委員会の設置をお願いしたいと 考えているところです。  まず最近の社会的養護の現状等について、資料3-2でご説明をさせていただければと 思います。資料3-2「今後目指すべき児童の社会的養護体制に関する構想検討会中間と りまとめについて」と題した資料ですけれども、この資料前半が中間取りまとめの中身 というよりもむしろ社会的養護等の現状等について記したものになっています。  2ページに「社会的養護の現状について」という表を掲げています。ご案内のように 社会的養護と申しますと、大きく分けると里親制度と各種施設ということになりますが、 それぞれそこにありますような定員なり現員ということになっていまして、現在里親に 委託されている子どもが3,300人ほど、それから各施設、乳児院が現員ベースで3,000 人余り、それから児童養護施設、ニーズ的にはこれが最も大きな数字になっていますが 3万人余り、それから情緒障害児短期治療施設に1,000人ほど、児童自立支援施設に 2,000人余り、それから自立援助ホーム、これはまだ箇所数が少ないですが、百数十人 といったような状況です。また近年私どもの方でも進めて参りました施設の小規模化に つきましては、下の方に少し数字があります。小規模グループケア286カ所、地域小規 模児童養護施設が89カ所。年々増えてきていますが現在はこのような数字ということ です。  次のページから社会的養護に関する背景と申しますか、最近の社会的養護が抱えてい る課題と申しますか、幾つか大きな柱に分けて整理しています。まず4ページの1番が 「虐待の増加とこれに対する対応」といったところです。「児童虐待防止対策の一層の強 化とともに、虐待を受けた子どもに対する社会的養護が大きな課題となっている」とい うことです。虐待の状況等につきましては、先ほど伊原虐待防止対策室長からもお話が ありましたので、飛ばさせていただきますが、5ページに施設に入所する子どもにおい ても虐待を受けた子どもの割合がかなり高くなっています。ご覧いただいている数字は まだ少し古いところがありますが、しかしそれでも児童養護施設は既に6割を超えてい ますし、情緒障害児短期治療施設になりますと7割といった数字になっています。こう いったいわゆる虐待対策の流れから申しますと、その次のページに参考として、やはり 先ほど伊原室長からお話がありました虐待防止法の改正の概要がありますが、その次の 7ページに虐待防止法の改正案に付けられた附則第二条がありまして、これも既にご説 明がありましたけれども、社会的養護の拡充がいわば宿題として残された形になってい ます。ざっと読みますと、「政府は、児童虐待を受けた児童の社会的養護に関し、里親及 び児童養護施設等の量的拡充に係る方策、児童養護施設等における虐待の防止を含む児 童養護施設等の運営の質的向上に係る方策、児童養護施設等に入所した児童に対する教 育及び自立の支援の更なる充実に係る方策その他必要な事項について速やかに検討を行 い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」、こういった宿題が投げかけら れたような状況にあります。  以上が一つ、虐待の関係ですが、8ページに2番として「社会的養護を必要とする子 どもの背景の多様化」とあります。その数字をご覧いただきますと、平成15年に、急 に数字が大きく跳ね上がっているような状況になっています。これは割合では約2倍に なっています。ただここまで数字が跳ね上がっているのは、平成15年の調査におきま して、初めてADHDを調査の項目に加えたということがあり、大体この平成10年〜15 年の間に発達障害がだんだん日本の社会においても課題として認識されるに至ってきて いまして、恐らくその他の心身障害のところも3倍くらいに増えていますけれども、恐 らくアスペルガー症候群やADHD以外の発達障害といったものが、その他の心身障害 の中に回答として含まれてきているという状況があるだろうと思います。すなわち平成 10年までの調査では挙がってきていなかったものが、平成15年の調査だとその他の心 身障害等に含まれて挙がってきているという部分が大きいことは間違いないかと思いま す。しかしそういったことを勘案してもなお全体として、こういった障害等の課題を抱 えた子どもが多くなってきていることは間違いないのではないかと私どもは認識をして おります。  それから9ページに3番として「施設中心の養護体制」といったことを掲げています。 「里親に委託される子どもの割合が低い」とあります。里親の委託率はここ数年はそこ にありますように増加の傾向にはありますけれども、現在、児童養護施設、乳児院、里 親の3者の中での割合は9.1%という状況です。次の10ページに諸外国と比較したもの があります。これはあくまで書籍から抜粋したもので、厳密に比較することはもとより 可能なものではないですけれども、それにしても日本の里親委託率は極端に低い状況に あります。これは一つの課題ではないかと認識しています。また次の11ページをご覧 いただきますと、施設の中でも児童養護施設の多くがなお大舎制と言いますか、いわゆ る大規模集団処遇の形を取っています。11ページの資料でご覧いただきますと、大体児 童養護施設の7割は大舎制を取っています。もちろん大舎制だからといって必ずしも子 どもの養護について明らかに不適切だということではなく、メリットももちろんあるわ けですけれども、しかし多くの子どもたちが愛着の問題等を抱えていることを考えます と、できる限り小規模化の方向へ持っていくべきではないかということが、私どものこ れまでの施策的な方向です。  それから12ページに4番として「退所後の状況」とあります。児童養護施設を退所 した子どもの中で見ると、6割強が家庭復帰しているという状況です。これはどういう 意味で課題かと申しますと、これだけの子どもがいろいろな経過があるにせよ家庭に戻 るということは、家庭の受け入れ体制の構築ということが一つの大きな課題です。すな わち家庭支援や家族支援や親指導といったことがさらに重要な課題となっているという ことです。また退所後の状況という意味では、次の13ページの「大学等への進学率が なお低い」状況にあるということはやはり課題として認識されると思います。  それから14ページ5番が「入所児童の権利擁護の状況」です。他の福祉分野と同様 に第三者評価等の仕組みがありますが、まだまだ導入が進んでいないことと、施設内虐 待、特に最近は性的な虐待を含めて施設内虐待もなお相次いでいます。この辺りの対策 もぜひとも必要ではないかと考えています。  それから15ページ、6番として「社会的養護体制の整備状況と自治体間格差」とあり ます。施設入所率は全般的に増加する傾向にありまして、児童養護施設のところをご覧 いただきますと、平成17年度で91.5%、これは全国平均でも90%を超えているという 状況にあります。これをさらに各県ごとにご覧いただきますと、16ページにありますが、 当然各県ごとのばらつきはありますけれども、高い所はほとんど100%に入りきってい る状況もあります。先ほど伊原虐待防止対策室長から一時保護所の整備計画等について ご説明がありましたけれども、さらにその出口である養護施設等につきましても、こう いった状況にあるということを私どもも十分認識して、施策を講じなければいけないの ではないかと考えています。  そういった状況を踏まえて、何ページか飛ばしていただいて、20ページをご覧いただ ければと思います。冒頭の局長のご挨拶にもありましたけれども、先ほど申し上げたよ うなさまざまな課題を踏まえて、私ども家庭福祉課ではこの2月にこういった検討会を 設置し、真ん中のところにある「今後目指すべき社会的養護体制のあり方とそれを実現 するための具体的方策について検討」していただきました。本部会の委員でもあります 柏女委員に座長をお願いしまして、ここに並べています8人のメンバーでご議論いただ いたところです。本部会からは他にも榊原委員、山縣委員にも加わっていただいて、5 月18日に中間とりまとめをいただいているところです。この中間とりまとめは以下の ページに概要を付していまして、また資料3-3で本文も付けていますので、また後ほど でもご覧いただければと思います。時間の関係もありますので、一点だけ、この資料3 の24ページで具体的な施策の方向についてまとめていますので、それだけでもご説明 をさせていただければと思います。  24ページ「現行の社会的養護体制の充実に向けた具体的な施策」というタイトルのペ ーパーです。大きな柱が左側に○として書いていますけれども、三つあります。一つ目 は「○社会的養護の質の向上に向けた具体的施策」ということで、ここには六つほど小 さな柱として立てさせていただいています。まず一つ目が「家庭的養護の拡充」ですが、 「里親委託の推進、小規模グループ形態の住居・施設の検討」現在幾つかの自治体に里 親ファミリーホームというものもありますが、そういったことも含めて小規模グループ 形態の住居・施設の検討。それからまた「施設におけるケア単位の小規模化・地域化を さらに推進」する。これが一つ目です。それから二つ目が「地域資源の役割分担と機能 強化及び地域ネットワークの拡充」ですが、ここでは児童相談所の機能強化や家庭支援 の在り方などが含まれています。三つ目に「施設機能の見直し」です。これは施設体系 の在り方の検討の必要性にも言及していただいています。四つ目に「年長児童の自立支 援」です。「就労や就学の支援など年長児童の自立支援のための取組の拡充」。先ほど一 枚目にまだ数が少ないと申しました自立援助ホームの在り方等につきましても、ここに 含めて言及していただいています。それから五つ目に「社会的養護を担う人材の確保と 資質の向上」です。これは具体的には施設長の資格要件やあるいは施設の中におけるス ーパーバイザーの在り方や養成の方法、研修等の体制整備についてご指摘をいただいて います。それから六つ目に「科学的根拠に基づくケアの方法論の構築」といったことで す。  二つ目の大きな柱として「○児童の権利擁護の強化とケアの質の確保に向けた具体的 施策」とあります。先ほどの虐待防止法の流れもありますので、「施設内虐待の防止等を 図るため、子どもの権利擁護とケアの質の確保を図る仕組みの検討」といったようなご 指摘があります。  それから最後の三つ目の大きな柱ですが、「○社会的養護を必要とする子どもの増加 に対応した社会的養護体制の拡充方策」こちらはいわば量的な整備を頭に置いていただ いています。「都道府県等において整備目標も含めた整備計画を策定し、これに基づいた 計画的な整備を行う仕組みを検討」してはどうかといったご指摘をいただいています。  以上のような検討成果を踏まえて、この専門委員会ではご議論をいただきたいと思っ ていますが、資料3-1に戻っていただいて、この社会的養護専門委員会の「設置の趣旨」 ですが、これは先ほど申し上げた通りです。「社会的養護を必要とする子どもの増加や虐 待等による子どもの抱える背景の多様化・複雑化を踏まえ、児童の社会的養護の拡充に 向けた具体的な施策を検討するため、社会保障審議会児童部会に『社会的養護専門委員 会』を設置する」と書かせていただいています。  2番に「構成等」とあります。専門委員会の委員は別紙に予定者ということで私ども が候補として考えている皆さまを並べていますけれども、基本的には先ほどの柏女委員 に座長をお願いしておりました検討会の委員の皆さま方、当本部会で申しますと榊原委 員、山縣委員も含めてですが、その検討会の委員の皆さま方に中心になっていただいて、 それに関係する施設等から参加していただくような構成を考えています。  三つ目に「主な検討課題」としまして、先ほどの検討会の中間取りまとめも踏まえて、 とりあえず以下のような項目を考えています。(1)〜(6)まであります。スケジュールにつ いては資料4という一枚紙を付けさせていただいています。あくまで予定ですので、実 際議論が始まるとどれくらいの頻度でやらなければならないかというのは、また考えな がら進めていただきたいとは思っていますが、とりあえず4回ほどの予定をそこに記し、 大体12月の上旬〜中旬に向けて本部会の報告ができるような形に、大体11月頃に取り まとめをしていただければありがたいと思っています。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。ただ今の議事はこの社会的養護専門委員会について設置を ご了承いただきたいということですが、最終的にご了承いただく前に、ただ今のご説明 につきましても何かご質問等ありましたら、いただければと思います。前田委員どうぞ お願いします。 ○前田委員  社会的養護が必要な子どもたちの現状については危急の課題ですので、このような専 門委員会を設置していただいたことは誠に感謝にたえません。ここに山縣委員が専門委 員会におられるので、3月まで行政の現場にいた者として、ぜひここの主な検討会の中 で少し付け加えていただくことができればと思うことを問題提起させていただきます。 私からの問題提起は三点ありまして、既に児童養護施設で障害児比率が上がっていると いうことが課題になっていますが、この養護施設では養護しきれない重度重複障害の子 どもたちが増えています。児童家庭福祉課の所管ではないですが、病院にも退院させら れない、親が引き取らない重度重複障害で医療ケアが必要な子どもたちがいます。それ から特殊なケースですが、横浜市には「訓盲院」と言って、もともと盲人の子どもを訓 練する学校で、基本的には全寮制で学期期間だけ子どもを預かって、夏休みや冬休みの 期間は家庭に帰るということで作られた機関があります。今や実質的には365日24時 間親が養育しない子ども、全盲だけではなく、さらに、身体的、知的な重複障害を持っ た、病院からは出られるけれども通常の養護施設ではみられない子どもたちがここに皆 集まっています。この所管は家庭福祉課ではなく、障害福祉課です。その子どもたちは 自立支援法のからみで親と契約しなければならないということになっていて、大変な騒 ぎになっています。従来の養護の枠組みではない病院やそういうところに、親が養育で きない非常に困難な状況の子どもたちが来ていますので、少数派ですがぜひそこへの視 点も交えていただければと思います。  それから2番目は、養護施設は18歳を過ぎて自立するのが難しいということで、今 は20歳までいられることになっています。自立援助ホームへも何度か行ってみました が、これは運営者の方の自己犠牲的なもので成り立っているので、なかなか数も増えな いのです。今までの児童養護の世界の資源だけでは問題解決は難しいと思いまして、横 浜市ではニートやフリーター対策で作った「自立塾」や、厚生労働省がいつまで政策的 に進められるかわかりませんが、「若者サポートステーション」など、そういう枠組みを 使って、子どもたちは養護施設に籍を置きながらも日中はサポートステーションのカウ ンセリングを受けたり、そこが実際にたこ焼きをやったり丼屋をやったり、商店街の空 き店舗を使ってそこで職業訓練していますので、そこに参加するようなことを考えてい ます。今までの児童養護の範囲を超えた社会的資源を使わなければいけないと思ってい ますので、地域の連携とありますけれども、ぜひ厚生労働省の縦割りを超え、全省を挙 げて、使える資源はないかという視点で横軸にも見ていただいて資源を発見していただ きたいと思っています。  それから三つ目は非常に今ここ数年急速に起こっていますが、外国人子弟の問題です。 89年に入管法が改正されまして、日本人の子孫である日系の移民の方たちは自由に日本 で就労できるようになりました。一昔前は農村花嫁が話題になりましたけれども、今は 都会の男性が国際結婚紹介所を通して、写真見合いでアジアのお嫁さんをもらっていま すので、日本語ができない母親が都会で子育てをして、まさにここに書いてあるように 社会的に孤立して育児資源にアクセスできない母親たちが増えています。児童相談所や 一時保護所にそうした人たちが引っかかるようになってきています。通訳のケア、個別 の育児のケアという意味でも、今は児童相談所や一時保護所の職員の負担がかかってき ています。この外国人子弟は帰化して日本国籍を取得しているしていないにかかわらず、 子どもたちはほとんど日本語しかできなくて、日本で生きていくわけです。しかし親は 日本語ができないので、親とコミュニケーションできなかったりと、ハイリスクの家庭 が増えてきていますので、ぜひマイナーな問題かもしれませんが、外国人の子弟の問題 についても目配せしていただきたいと思います。どうもありがとうございます。 ○大日向部会長  ありがとうございました。専門委員会で議論してほしい大切な三点をご指摘いただき ました。他にいかがでしょうか。  渡辺委員お願いします。 ○渡辺委員  今の前田委員のご指摘は本当に現場で実感している通りです。児童養護施設に障害の ある子どもや精神障害のある子ども、あるいは精神病理の重い家族の子どもたちがどん どん増えています。現場はとても対応しきれない状態です。職員たちは自分自身の命と 子どもたちの命を守ることだけで手一杯になっています。そこで24ページに書かれた 「児童の権利擁護の強化とケアの質の確保に向けた具体的施策」、「社会的養護を担う人 材の確保と資質の向上」の真の実現が急務であると思います。日本も現場の方たちへの 1回きりの講義ではなく継続的な症例検討会やスーパービジョンを受けられる研修シス テムをぜひ予算化して頂きたい。そのためのスーパーバイザーをきちんと各大学の心理 学科や社会福祉学科、あるいは精神科から出していただく。実際には日本社会の急激な 変化のとばっちりを受けて問題を抱える子どもと家族の悪循環をどう治療的に改善する かが、今大きな課題です。その実践力をもつ人たちのトレーニングには大変時間がかか ります。現実に例えば小児療育施設で駄目であったり、あるいは地方のありとあらゆる 精神科でうまくいかずに上京し小児科病棟に入院する子がいます。一方、悪循環に陥っ ても発達期の子どもたちは15歳くらいまでならば、きちんとした専門性をもつチーム で治療的枠組みを作って、寝ること、食べることを通して、生活のリズムを戻してチー ムでかわいがっていくと、急激に良くなります。もちろん月単位ですが。1カ月間チー ムが耐えて、暴れ狂う子どもたちを抱きかかえていくと、24時間体制でやっている小児 科ではおさまるのです。そうすると過去にずっと暴れ狂って、向精神薬漬けになってき た子どもたちの数年間はいったい何なのだろうと思います。ですからやはりこういった 問題が増えてくるときに、ぜひ現場の若い先生たちやその施設を運営する人たちのため の専門的なコースを作っていただきたいと思うのです。その場合に非常に難しいことを 教えていくような内容ではなく、基本的なことに絞り、保健師でも保母でも誰でもが同 じ言葉で取り組めるようなものが今必要とされています。これは世界中で必要とされて います。  それから今、前田委員がおっしゃったことに関係しますけれども、世界の先進国には 難民の子どもたちが、どんどん入ってきて、ルーツを失い言葉がなく荒れ狂っています が、この問題が既に何十年も前から起きていて、必要に迫られて現場の人たちのトレー ニングコースが行われています。それも公的な行政がきちんとお金を出し、数カ月間集 中してコースを受けた人には認定資格を出しています。ですから今日ここでいろいろな 問題点がこのように整理されて提案されて大変私たちも助かりますが、次の段階として それぞれの複雑化する問題に対し具体的なプログラムを検討していただければと思いま す。 ○大日向部会長  ありがとうございました。他にいかがでしょうか。はい、網野委員、お願いします。 ○網野委員  今の委員方の話したことと関連する部分もあるのですが、私もこの専門委員会に非常 に期待しておりまして、ぜひ具体的な方向で進んで、何か子どもたちにとって、あるい は家庭にとって、本当に効果的なものになるように願っております。私もその中で積極 的に検討していただきたいことに二つほど触れたいと思います。一つは今のお話にもあ りましたことと関連するのですが、非常に多面的にこれだけいろんなものを深めて検討 を進めてこられた中で、やはり先ほどの24ページの具体的な施策で言いますと、(5)の 「社会的養護を担う人材の確保と資質の向上」に関して率直に言わせていただきますと、 つぎはぎ的に強化・充実しようという側面が強いのかなと、本当に率直に申し上げさせ ていただきます。むしろどうもこの児童福祉法ができてから、児童指導員という仕組み ができてプラス面もいっぱいあったと思いますが、他の専門領域に比べて、子どものケ アワークに関する担当者は誰なのかという点では、ほとんど法律の改正もなく、ますま す職員もバーンアウトしがちになってしまう状況です。やはりその背景には子どものケ アを担う深い深い専門性、先ほどのお話とも関連するかと思うのですが、それをまず専 門学校や大学で養成する仕組みがやはり根本的に欠けている、これが何十年も続いてき ていることと関係しているのではないかと思います。当然オン・ザ・ジョブ・トレーニ ングで、そういうさまざまな充実・強化も併せて、できれば例えば保育士の養成に関し ては、時代の要請やニーズも高かったということもありますが、かなりいろいろな意味 で変化をしています。保健師、看護師とか、そのような方たちと指定するようなある特 有の、本当に何をやっているか、その人たちがかかわると大丈夫だという部分を、子ど ものケアワークできちんとした仕組みを作らないといけないのではないかと思います。 その意味では、児童指導員というのは相変わらずケアワーカーなのかソーシャルワーカ ーなのかから始まって、とても難しい役割を担い、しかも時には医学的な知識も基礎知 識として持ちながら、もちろん心理学的なこととか、社会福祉援助技術は言うまでもな く、そのようなものを専門としてしっかり組み立てていける仕組みについての、積極的 な検討・議論をいただいて、何らかの形でこれからの仕組みに役立てるようなものをぜ ひ期待したいと思います。  それからもう2点は、これもはやはり現在の仕組みにかかわることですが、社会的養 護の体制の骨格となる施設の種類とか、里親ということの中で言いますと、現状から言 っても、情緒障害児短期治療施設と児童養護施設は非常に積極的な施設の全体像から見 たら、ほとんど重なり合う部分が強くなっている。しかし情緒障害児短期治療施設は本 来公的な施設、公立施設ということで出発したこともあって、なかなか普及も進まない ということもありまして、先ほどからのさまざまなご説明の状況が示していることは、 先ほどのかかわるケアワーカーの専門性と同時に、施設の役割がどこにあるのかという ことを、この検討の中で非常に重要なものとしてさらにご議論いただければ。例えば児 童養護施設というような仕組みを変えるほうがいいのか、あるいはそれを基本として、 さらにオプショナルにいろいろな専門性を配慮する、障害もそうですし、虐待もそうで すというふうにするか。そうしますと児童自立支援施設も情緒障害児短期治療施設もそ の仕組みの中でもう一つ役割を明確にさせる。やはり子どもたちが入った施設がどんな ところなのかによっても随分と違ってきていますので、施設体系ということでのご議論 をさらに深めていただければと思います。さらに最初の、最近の児童福祉の動向のいろ いろなお話の中に、家庭的なケアとか家庭を大切にする、あるいは在宅での、という部 分がいろいろ出てきていると思いますが、今日赤ちゃんを始め小さいうちから社会的親 と言えるような方たちが、どんどん家庭と一緒に子育てに協力する、援助するという仕 組みで言いますと、社会的養護の中にやはり私は在宅養護というふうなものをもっと真 剣に検討してよろしいかと思います。ビジティングヘルスを中心に、在宅保健というの は一番古い歴史がありますし、さまざまな在宅看護とかあるいは在宅保育もそうですが、 そのようなことと同じように、虐待の予防も含め、それからリービングケアとかアフタ ーケアの体系も含めて、在宅養護という仕組みも、いろんな子どもたちや家庭の事例を 見ますと、必要な部分が見られますので、可能ならばそのことについても検討していた だいてはいかがでしょうか。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは松原委員、お願いします。 ○松原委員  私も網野委員の2点目と3点目にかかわるところで発言したいと思います。まず、網 野委員の3点目にかかわってですが、虐待だけで言うと、新規受付ケースで親子分離に なるのは1割ですね。ということは、残りは地域で子育てを継続しているわけですから、 そこでの対応が重要です。これはこの委員会での資料の3-3に、それも社会的養護に入 るのだということがきちんと確認をされておりますが、なかなか議論が及ばないかもし れません。地域のサービスを考えたときに、ショートステイというのはすごく大きな力 を持っていて、ここの担い手はやはり入所施設が中心になると思います。自治体によっ ては、乳児院、児童養護施設ではない形でショートステイをやるところも徐々に増えて きていますが、中核は現行の入所施設だと思います。ただ先ほどの資料でも、定員いっ ぱいいっぱいのところでショートステイはとても担いきれないというところが都市部中 心にありますから、その量をどう確保するのか。それから実際に短期でいる子どもと長 期でいる子どもというのが同じところで過ごせるのかということも含めて、どういうシ ステムを組むのか。確か京都の方ではショートステイ専用の施設を児童養護施設が隣接 地にお作りになっているという事例もあるかと思うのですが、そういう実際に入所施設 が果たせる役割というのもあると思いますので、そこもぜひご検討いただきたいという のが1点目です。  2点目は網野委員がおっしゃった2点目にもかかわるのですが、ここで言いますと24 ページの(3)にもかかわりますが、結局社会的養護と言うと、親子分離か在宅かという二 者択一になっています。今回の資料3-1の裏の方に、委員の名簿の中に母子生活支援施 設の代表の方も入っていらっしゃっていて、現行では親子が一緒に入所する施設として の母子生活支援施設があって、これは第3の道を示すということで、非常に意味がある と思うのです。ただ残念ながら母子生活支援施設は母親と子どものみが対象です。ヨー ロッパ等に行きますと、いわゆる母子生活支援施設のように長期でなくて、例えば週末、 宿泊という形で家族が入ってきて、そこの中で親業教育を実地で学ぶという、いわゆる 宿泊型で家族が利用するというような施設形態もあります。分離か分離でないかという 二者択一以外の道もあるかと思います。子ども1人を分離しても、きょうだいは気がか りなのだけど残っていますというような状況が現場でありますので、(3)にかかわって、 新たな施設機能というのが模索できないかということもぜひご検討いただけたらと思い ます。実際に既存の制度を活用しながら、諸外国にあるような施設の機能というような ものも導入することもできるかと思いますので、ぜひご検討いただきたいと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございました。他にいかがでしょうか。今日は久しぶりの会でございます。 まだご発言のない委員の皆さま、よろしかったら多少まだ時間がございますので、いか がでしょうか。 ○阿藤部会長代理  質問です。資料の3-2の18ページなのですが、児童人口1万人当たりの施設入所率 90%というのはどういう意味でしょうか。私がトンチンカンなのかわかりませんが、ち ょっとご説明いただきたいです。 ○藤井家庭福祉課長  申し訳ございません。1万人当たりのというのは必要ないですね。実際の数字を取り 出すときに、1万人当たりで計算をして割合を出したということに過ぎないと思います。 申し訳ございません。 ○阿藤部会長代理  単純に、定員当たりの入所率ということですね。 ○藤井家庭福祉課長  そうですね。施設入所率は現員を定員で割ったものでございまして、里親委託率の方 は児童養護施設と乳児院と里親の3者に措置されているものの中で、里親に措置されて いるものの割合ということでございます。 ○大日向部会長  すみません、私も1点伺いたいのですがよろしいですか。資料の中で里親委託率が出 まして、日本は諸外国に比べて里親委託率が低いけれども、そうは言っても、全国を見 ますと随分凸凹がございますよね。好事例として委託率が高い自治体というのは何か特 長があるのでしょうか。 ○藤井家庭福祉課長  なかなか一概には言えないところがありますが、一つよくお聞きしますのは、やはり 施設が少ない。例えば乳児院がないとか、ほとんどないとか、そういったところにつき ましては、里親委託率が高いということは言われます。言われますが、そこは必ずしも データ的にきっちりと検証できるようなものでもございませんし、恐らくいろんな要因 が重なっていますので、申し訳ありませんが、明確にお答えできるところではございま せん。 ○大日向部会長  できれば、その辺も専門委員会でご検討いただければありがたいと思います。他にい かがでしょうか。特にこの専門委員会設置に関してよろしゅうございますか。  今まで専門委員会の設置をお諮りするということだったのですが、皆さま期待を込め ていろいろ検討してほしいということを何人かの委員の方から出していただきましたの で、改めて伺うまでもないかもしれませんが、この社会的養護専門委員会設置につきま して、本日ご了承いただいたということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。 それではこの委員会にご所属くださる委員につきましては、資料3-1の裏に一応予定者 一覧ということで事務局からご提示いただいておりますが、最終的には事務局とお諮り しつつ、私、部会長にご一任いただければと思います。よろしくお願いいたします。あ りがとうございました。それでは本日の議題はすべて終了とういうことで、次回以降の 日程につきまして事務局からご説明をお願いいたします。 ○香取総務課長  本日はありがとうございました。次回以降の日程につきましては、専門委員会の設置 事務局で調整しますので、追ってまた改めて日程調整をさせていただきたいと思います。 よろしくお願いします。 ○大日向部会長  それでは、これをもちまして本日の部会を閉会といたします。お暑い中、どうもあり がとうございました。 (照会先) 雇用均等・児童家庭局総務課 企画法令係 03−5253−1111(内線7825)