07/08/20 第35回 独立行政法人評価委員会 医療・福祉部会 議事録 独立行政法人評価委員会 医療・福祉部会(第35回) 平成19年8月20日(月) 厚生労働省 専用第18〜20会議室 <第1部:福祉医療機構の中期目標期間の業務実績の暫定評価結果について> ○部会長  ただいまから、独立行政法人評価委員会、第35回の医療・福祉部会を開催させてい ただきます。委員の皆様方におかれましては、本当にお忙しく、また暑い中、お集まり いただきましたことを感謝申し上げます。誠にありがとうございます。石井委員と真野 委員も、もう御到着だと思いますので、始めさせていただきます。それでは初めに事務 局から、本日の議事について簡単に御説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  本日の議事については、対象法人の暫定評価、それから組織・業務全般の見直し当初 案について、各法人ごとに分けて、審議を進めていただきたいと思います。これに伴い まして、本日の部会の途中で事務局の入れ替えを行いますけれども、御容赦くださいま すようお願いいたします。  まず、中期目標期間の業務実績の暫定評価結果について、御審議いただきたいと思い ます。暫定評価の対象法人は、今年度で中期目標期間が終了する福祉医療機構と国立重 度知的障害者総合施設のぞみの園の2法人となっております。  お手元の資料、「独立行政法人評価関係資料集」の42ページをご覧ください。上段に、 「厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基準」とあります。こちらの 右側、43ページに「3.中期目標にかかる業務の実績に関する評価」というのがあり ます。さらに飛んで44ページの中段に、「(3)評価委員会における評価の具体的な実 施方法」とあります。こちらの1番、「評価結果を次期中期目標策定等へ反映させる観 点から、次の手順により中期目標期間最終年度において暫定評価を行うこととする」と されています。1つ飛んで2つ目の丸で、「暫定評価に当たっては、各部会において法 人からヒアリングを実施し、本基準に基づき、中期目標期間にかかる一次評価を行った 上で、総会において暫定評価を決定する」とされているところです。  つきましては、これまでの各年度の業務実績の評価等をもとに、起草委員の先生には、 暫定評価結果(案)を作成していただきましたので、これに基づいて、本日、御審議を いただきたく存じます。なお、先ほど御説明申し上げましたとおり、暫定評価につきま しては、年度実績評価と違い、部会において暫定評価結果(案)を審議いただいた後、 総会にて最終的に暫定評価結果を決定することとなっていますので、よろしくお願いい たします。  次に、組織業務全般の見直し当初案について、御審議をいただきたいと思います。今 見ていただいた資料集の10ページ、11ページをご覧ください。こちらは、独立行政法 人の組織・業務全般の見直しについて整理したものです。10ページ、上の四角枠です。 法律を読み上げますと、第35条において「主務大臣は独立行政法人の中期目標の期間 の終了時において、当該独立行政法人の業務を継続させる必要性、組織のあり方その他 その組織及び業務の全般にわたる検討を行い、その結果に基づき、所要の措置を講ず る」とされています。また第2項においては、「主務大臣は、前項の規定による検討を 行うに当たっては、評価委員会の意見を聞かなければならない」とされているところで す。  ここでまた、独立行政法人整理合理化案の件で、御報告をさせていただきたいと思い ます。先般、御審議いただいた部会において、いわゆる骨太の方針について、本独立行 政法人整理合理化案を策定することが示され、また、主務大臣は、所管するすべての独 立行政法人について、本月、8月末を目途に整理合理化案を策定することとされた、と いうことをお伝えしたかと思います。  主務大臣が策定した整理合理化案については、総理を本部長とし、全閣僚をメンバー とする「行政改革推進本部」に対して意見を述べる有識者の会議である「行政減量・効 率化有識者会議」が中心となって、総務省の政・独委と連携を図り、議論を行うことと され、平成19年内、本年内を目途に、政府として「独立行政法人整理合理化計画」を 策定することとされているところでございます。  各独立行政法人の整理合理化案と本評価委員会の関係についてですが、整理合理化案 の策定方針が示された後に御説明することとなっていたかと思います。これについては、 去る8月10日に「独立行政法人整理合理化計画の策定にかかる基本方針」について閣 議決定されたところでございます。つきましては、組織・業務全般の見直しの対象法人 と、そうでない法人の2つに分けて、以下のとおり進めることを考えておりますので、 御説明したいと思います。  まず、当省所管独立行政法人のうち、共管法人の水資源機構及び農業者年金基金を除 き、1年前倒しで見直しとなったものも含め、組織・業務全般の見直しを実施する6法 人については、見直し当初案が整理合理化案を兼ねることとなります。したがって、部 会での見直し当初案の審議を経て、総会において見直し当初案への意見をいただくこと になると考えているところでございます。  また、見直し対象の共管法人を含めた8法人以外の当省所管8法人については、独立 行政法人通則法上、整理合理化案について独立行政法人評価委員会の意見を聞くことと されていないということもありますので、来週28日、あるいは29日の総会において整 理合理化案を報告させていただくことを考えているところでございます。  なお、整理合理化案については、本評価委員会から、毎年度いただいている総合評価 の結果等も踏まえ、策定することとしているところでございます。  本部会における組織・業務見直しの対象法人は、今年度で中期目標期間が終了する国 立重度知的障害者総合施設のぞみの園と、来年度で中期目標期間が終了する医薬品医療 機器総合機構の2法人となっているところです。このうち医薬品医療機器総合機構につ いては、骨太の方針において、来年度で中期目標期間が終了するものについても1年前 倒しで組織・業務全般の見直し対象とすることとされたことを踏まえて、今般、見直し をお願いするところでございます。  また、福祉医療機構については、今年度で中期目標期間が終了しますけれども、昨年 度、政府全体の政策金融改革との関係から、1年前倒しで組織・業務全般の見直しを既 に行っているところでございます。  それでは、「独立行政法人整理合理化計画の策定にかかる基本方針」について、簡単 に御説明したいと思います。  お手元の資料の、参考資料1をご覧ください。「独立行政法人整理合理化計画の策定 にかかる基本方針について(要旨)」というものを机上配布させていただいております。 整理合理化案の策定に当たっては、2つ目の丸として「基本方針の概要」というのがあ ります。四角枠に「1.総論(横断的視点)」とあります。また、中段に「2.各論 (事務・事業及び法人の類型別の視点)」とあります。この2つの視点を踏まえて策定 することとされているところでございます。  まず、横断的な視点ですけれど、こちらは読み上げる形で御説明したいと思います。 「(1)事務・事業及び組織の見直し」の1番として、事務・事業のゼロベースでの見 直しをする。2として、存続する事務・事業についても民営化の検討、官民競争入札等 の積極的な適用や他の法人への移管等。3番、非公務員化。4番、これらに対応した組 織面の見直し等を検討する、とされているところでございます。  また「(2)運営の徹底した効率化」について、1番として経費削減の徹底をする。 2として、関連法人等との間の資金の流れに関する情報公開による透明性確保。3とし て、随意契約の見直しによる経費削減。4として、保有資産の見直し等を検討する、と されています。  また、「(3)自主性・自律性の確保」です。1として、中期目標明確化のための具 体的指標の設定。2として、国民の意見を運営や評価に反映させる。3として、内部統 制の強化。4として、国以外からの財源の確保などを検討する、とされているところで ございます。  次に、事務・事業及び法人の類型別の視点ついて、6つに類型されていて、それぞれ に検討すべき視点が示されています。本日、見直し当初案を御審議いただきます、のぞ みの園と医薬品総合機構についてのみ、御説明したいと思います。  この、参考資料の12ページをご覧ください。独立行政法人の事業分類として、1〜 6の分類に分けられています。当該法人ですが、のぞみの園については、3の資産債務 型、及び5の特定事業執行型に分類されています。医薬品医療機器総合機構については、 5番目の特定事業執行型に分類されています。  これらの類型の、それぞれ留意すべき視点については、10ページをご覧ください。 「3.資産債務型」ですけれど、(1)と(2)があって、(1)として事業用資産。こ ちらでは1番として、実物資産については、事務・事業の見直しに応じて不要となった 土地・建物等の資産の売却、国庫返納等を行う。2番として、継続する事業に資産が必 要な場合にも、民間からの賃借などの活用により、原則として売却する。また、自らの 保有が必要不可欠な場合にも、その一層の有効活用を図ることとし、独立行政法人間ま たは独立行政法人と国との共同保有・共同利用の可能性についても検討する。3番とし て、金融資産については、事務・事業の見直しに応じて不要となった金融資産の売却や それに伴う積立金の国庫返納を行うとともに、既存貸付金の売却・証券化の検討・促進 や不良化している貸付の早期処分等により金融債権について圧縮の方向で見直しを行う。 また、金融資産の運用については、運用の効率性の向上に向けて、運用体制の確立と運 用方針の明確化を図る。以上を検討するとされているところでございます。  「(2)その他の資産」としては、保有することについて特段の合理的な理由のない 資産については、原則として民間に売却することを検討せよと言われているところでご ざいます。  次に、右側の11ページをご覧ください。「5.特定事業執行型」についての留意事項 でございます。1番として、官民競争入札等の積極的な適用を図る。2番として、個々 の利用者に受益が生じる事務・事業については、受益者負担の適正化の観点から、受益 者に対して適切な負担を求める。特に、利用者が営利性・事業性を有する場合には、少 なくとも維持管理等の運営コストを賄えるよう利用料等を見直す。3として、効果的・ 効率的な運営を図るため、複数の法人が実施する類似の事務・事業を一体的に実施する。 同様に、法人が複数の施設を分散して設置し、各施設で同様の事務・事業を実施してい る場合、それらを一体的に実施する。4として、試験・教育・研修・指導については、 効果的・効率的な運営を図るため、関連する研究開発業務を行っている法人の事務・事 業と一体で実施することを検討する。5として、情報発信・展示・普及・助言等につい ては、透明性の向上に向けて、事業効果の試算等の対外的説明を積極的に実施する、と 整理されているところでございます。  以上の基本方針の内容を踏まえまして、整理合理化案を兼ねた、今回御審議いただく 組織・業務の見直し当初案を作成しているところございます。  それでは資料集の10ページ、11ページにお戻りいただきたいと思います。独立行政 法人の今後の流れですが、まず、総会後の流れについては、下の11ページをご覧くだ さい。まず、見直し当初案について、行政改革推進本部に提出することになります。こ れが中段にある3番です。その後、行政改革推進本部に意見を述べる有識者の会議(行 政減量・効率化有識者会議)の指摘事項を踏まえて、4として、行政改革推進本部に行 くという流れです。  また、総務省の政・独委から各主務大臣に対しては、5として、「各法人の主要な事 務・事業の改廃に関する勧告の方向性」といったものが通知される予定でございます。 各主務大臣におきましては、この「勧告の方向性」、5番を踏まえまして、見直し当初 案を精査いただき、見直し案として、再度、行政改革推進本部に提出することになりま す。これが8番に書いてあるところです。最終的に行政改革推進本部の議を経て、政・ 独委の意見も聞いた上で閣議決定されることになります。閣議決定は、この11番のと ころです。  なお、「勧告の方向性」を踏まえた見直し案については、今回の見直し当初案と同様 に、本部会において、委員の皆様に御審議をいただき??これは6番ですが、総会の御 意見を踏まえて決定する。最終的には7番で決定するということになる予定です。  本日御審議いただく見直し当初案については、現在、検討中のものであり、見直し当 初案にかかる資料については、机上配布資料として用意させていただいております。委 員の皆様におかれましては、見直し当初案の内容については、対外的な公表に関し、十 分留意いただきたいと考えております。議事については以上でございます。 ○部会長  ありがとうございました。それでは、議事に入る前に、事務局より参考資料の説明が ありますので、それについてもよろしくお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  それでは、お手元の参考資料2をご覧ください。総務省の行政管理局長から、各府省 の独立行政法人評価委員会の委員長宛に出された事務連絡です。「独立行政法人評価委 員会における「独立行政法人の役員の報酬等及び職員の給与水準」の活用について」と いうものでございます。こちらについては当部会においても、前回までに御審議いただ いた中で、法人なり所管課の方から、特にラスパイレス指数について御説明をさせてい ただいているところでございます。  特に御留意いただきたい点としては、この資料の10ページをご覧ください。こちら の資料3として、職員の給与水準というのがあります。右側の欄を見ていただきたいと 思いますが、対国家公務員指数として、平成17年度、平成18年度と比較した数値、そ れから対他法人指数として、これは18年度の数値を整理したものです。総務省におい て全法人、全独立行政法人について、一斉に整理をしたというものでございます。  ただし当部会におきましては、さらにこれに含めて、地域差もしくは学歴差を調整し た数字を記載し、それについても御説明をしています。この数字とは異なっていますの で、その点については御留意いただきたいと思います。以上でございます。 ○部会長  それでは議題に入りたいと思います。まず、最初の審議です。福祉医療機構の中期目 標期間の業務実績の暫定評価結果についてでございます。まず、暫定評価結果(案)を、 委員の方々に御協力いただき、作成しました。起草委員の方々、どうもありがとうござ いました。  初めに福祉医療機構の中期目標期間の業務実績の暫定評価結果についての審議を行い ます。会議冒頭で、事務局から既に説明がありましたが、福祉医療機構については、今 年度で中期目標期間が終了いたしますが、昨年度、政府全体の政策金融改革の関係から、 1年前倒しで組織・業務全般の見直しを既に行っております。しかし私も含め、新任の 委員が多いということですので、暫定評価結果の審議に入る前に、昨年の組織・業務全 般の見直しを説明いただき、内容について法人所管課から簡単に御説明をいただきたい というふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。所管課の方から、よ ろしくお願いいたします。 ○社会・援護局福祉基盤課長  福祉基盤課長をしております、木下と申します。よろしくお願いいたします。参考資 料3をご覧ください。これは、ただいま御説明がありましたように、昨年、政策金融絡 みで、1年前倒しで、この福祉医療機構の見直しについて御議論をいただきまして、12 月24日に行革推進本部として決定をした見直し案でございます。今回の整理合理化に かかわる計画の策定に当たっても、これをベースとして、また御議論いただくというこ とになろうかと思っております。  参考資料3の1ページ目です。福祉医療機構の現状ですが、これは何度か、先生方も ご覧になったかもしれませんが、1ページ目には、現在の、特にメインとなっている業 務の福祉医療貸付事業の概要として、年度推移が出ています。ご覧いただくと、合計で 見ると大体4,000億台、3,000億台で推移していますけれど、18年度の実績が、若干、 2,765億という形で下がっております。これはやはり国の政策との連動性という意味か ら、18年度には例えば診療報酬改定が、それから介護報酬改定が、ダブルであった影 響も受けて、いわゆる政策的なリスクということで、各医療機関なり福祉施設等の借り 入れが若干低水準で推移しておりますけれども、19年度以降、またそういったことも、 政策の状況も見ながら貸付が推移していることと思います。  次に(2)の、年金担保貸付事業ですが、約2,000億程度で推移をしています。これ は厚生年金、国民年金の受給権を担保とした融資事業です。  それから2ページ目、具体的な見直しの考え方です。昨年の「勧告の方向性」を踏ま えて、一つは民間補完の推進ということ、それから効率性、自律性ということで、全体 的な国の政策への協力という観点から見直しを行っております。福祉医療貸付について は、政策優先度の高いものにウェイトを置いた貸付に絞り込むということと、民間の金 融機関では融資が難しいものに限定・特化をし、融資の重点化を行います。2つ目の年 金担保融資については、貸付原資の自己調達化ということです。そのほかについても重 点化・効率化という観点からの見直しを行います。  3ページ目は、その具体的な中身です。まず、福祉医療貸付の重点化です。先ほど数 字を見ていただいたように、3,000〜4,000億の全般的な福祉医療貸付の中で、これま での貸付の状況等を見ながら重点化を図るということで、(1)として、医療貸付にお いて病院に対する融資の重点化を図ろうとしています。これについては、都道府県の医 療計画に基づいて、特に重要性の高い小児医療、周産期医療、あるいは救急医療といっ た部分、いわゆる政策優先度の高い、地域医療のための融資については引き続き行う。 また、中小病院(500床未満)への融資に限定するということです。500床以上につい ては比較的、収支差はプラスであり、500床未満がマイナスのところが目立っています ので、500床未満のところに重点化をするということです。  大きく2つ目ですが、融資対象についても、特にこれまでの実績等で融資の実績がほ とんどない、あるいは全く低調気味であるといったものについては廃止をしたいと思っ ております。具体的には病院の機械購入資金については廃止をする、あるいは薬局、衛 生検査所等々に対する融資についても廃止をする、あるいは疾病予防運動施設等に対す る融資についても廃止をするということを考えています。それからもう一つは、病院の 長期の運転資金については、特に融資の借り入れのニーズが高い、災害復旧や制度改正 に伴うもの、あるいは金融環境全体の変化に伴って資金繰りが厳しい状況にあって緊急 的に借り入れたいといったものを除いて廃止をしたいということで、見直しの中に盛り 込んでいます。  それから4ページです。民業補完の観点から、特に福祉貸付、医療貸付の融資率の引 き下げを行います。現在、福祉貸付については、例えば特別養護老人ホームは75%の 融資率です。医療機関等についても80%ですけれども、これについて、その後の、当 面の経営の状況等々を見ながら、この中期計画の期間の中で、融資率の引き下げを行い たいと考えています。  それから4番目ですが、民間金融機関からの融資を促すために、協調融資、これは福 祉貸付について17年度から設けているものですけれど、現在のところ介護関連施設に 限っています。これを中期計画期間において福祉貸付全体に拡大したいと考えています。 現在、福祉貸付については、なかなか民間の金融機関はリスクが諮りがたいということ もあり、なかなか、貸し渋り等も見られます。そういった中で、福祉医療機構の貸付の 状況、いろんな前提条件等々について情報交換をする中で、できるだけスムーズに、民 間から借入ができるような形として、いわゆる協調融資というものを設けています。こ れをさらに進めたいと考えています。  全般として、新規の融資額全般は、やはり全体的に財投改革等々の中で見直し縮減を 図るということで、20年度からのこの中期目標、中期計画の中で具体的な削減目標を 明示したいと考えています。  また、年金担保融資の貸付原資の自己調達化ということで、財投資金からの借入を、 20年度からを行わず、財投機関債等々で充てようと考えています。  その他、様々な費用の節減、効率化を行うということで、福祉医療経営指導事業、あ るいは長寿・子育て・障害者基金事業でのNPOに対する先駆的な助成等々の事業につ いての効率化、あるいは社会福祉施設職員の退職手当共済事業における手続きの簡素化 の為の電子申請等を考えております。  それから4つ目の、心身障害者扶養保険事業ですが、これは障害者をお持ちの親御さ んが入る保険です。再保険をしています。これについては賦課方式で運営されています けれども、若干の積立不足、責任準備金の不足が見られますので、現在、省内において 検討会で議論をしているところでございます。  それからWAM NETという、福祉医療情報についての情報提供事業についても効 率化を図るということと、それから、年金担保貸付と同じように、労災年金担保貸付と いう事業も行っていますが、これも年金とほぼ同様の事務処理ですので、共通化を図り たいと考えております。  昨年12月24日に本部決定をした見直しの内容について、以上でございます。 ○部会長  ありがとうございました。それでは暫定評価結果(案)の審議に移ります。まず法人 から、中期目標期間の業務実績について、御説明をいただきます。その後、事務局から、 中期目標期間の業務実績全般の評価という、総論部分を中心に御説明いただき、その上 で、担当である私からコメントを述べたいと思っております。そして最後に、委員の 方々からの質疑応答という流れで、最終的にこの暫定評価を決定するという運びにした いと思います。それではまず、法人から、大体15分程度でポイントをお話しいただき たいと思います。 ○福祉医療機構企画指導部長  企画指導部長の大久保でございます。説明は資料1、暫定評価結果(案)をご覧いた だきたいと思います。縦長の、「独立行政法人福祉医療機構の中期目標期間の業務実績 の暫定評価結果(案)」という資料があります。これの1ページから8ページが、いわ ゆる文章編になっています。その後の、横長の表で御説明いたします。  18年度までの実績の概要ということで、私ども福祉医療機構は、評価項目が全部で 20項目あります。したがって、その項目ごとに、主な点、ポイントを簡単に御説明申 し上げます。まず、評価項目の1番目のところになりますけれど、これが1ページです。 ここはまず、法人全体の業務運営の全般についての部分であり、そのうちの「(1)効 率的な業務運営体制の確立」のところです。これについて、実績が真ん中に出ています ので、主にここを御説明します。  ここでのポイントは、主に3つあります。1つが、いわゆるISO9001。私ども は平成16年11月に運用を開始し、17年4月に認証を取得して、中期計画を達成して います。それとQMSの取得等の準備及びその後の運用を通じて、17年度までに264 項目の業務改善を行っています。また18年度については、先般、御説明いたしました けれども、QMSの一環として業務プロセスの改善、教育・訓練体制の整備等の改善を 進めてきたところです。それから(2)、人事評価制度でございます。私どもは16年4 月から人事評価制度を導入し、17年の6月の賞与から、その結果を反映させてきてい ます。また、18年度もその反映を拡大したという形で、順次、その充実を図っている ところです。  次に2ページをご覧ください。3番目のポイントは、経営企画会議の運営です。私ど もはトップマネジメントを補佐するということで、独法になりましてこの会議を設置し ております。この中では国の政策や制度の変更等に迅速的確に対応するための検討、ま た、業務執行状況の適正な管理ということを実施してきているところです。  次に3ページ、ここからが評価項目の2番目です。「(2)業務管理の充実」です。 実績は真ん中ですが、その中段あたり、「(5)リスク管理の徹底」をご覧ください。 私どもは独法になって、事務リスク部会というのも設けました。18年度からはISO 部会に統合していますが、この中で、いわゆる業務を行っていく上でのプロセス等をよ く検討して、どういうところにリスクが発生するのかということの洗い出しをしていま す。それをもとに、いろいろな改善活動を、いわゆるQMS活動を通じて行っていくと いう形で、順次、実施しているところです。  それからこの3ページの一番下のところに、これが大きいわけですが、リスク管理債 権比率について書いています。先般も御説明しましたが、中期目標で、私どもは2.0% 以内という目標を立てています。各年度別の推移が書いてありますが、おおむね1.5% ぐらいで収めているという形で、中期目標を達成しているところです。  ちょっと飛んで5ページをご覧ください。ここからが、評価項目の3番目です。 (3)のところ、経費の節減です。真ん中を見ていただいて(8)、一般管理費です。 一般管理費については、19年度において13%程度の経費を節減する、これが目標です。 そして横長の表を見ていただくとわかると思いますが、平成18年度で11.7%まで削減 している。最終目標が13%ですので、もうすぐということで、確実に達成できるだろ うと考えています。その下の丸印が労災年金担保貸付事業の経費、そのまた下が福祉医 療貸付事業費ですが、いずれも19年度には確実に達成できるだろうと考えています。  さらに9ページまで飛んでください。ここからが、いわゆる各事業ごとの目標になり ます。まず評価項目、ここからは4番目になりますが、福祉医療貸付事業の部分です。 その(1)、業務運営の効率化の目標部分です。「ア」のところ、真ん中に書いてありま すが、福祉医療貸付事業の実績ということで、最初は福祉貸付ですけれど、ゴールドプ ラン21、新エンゼルプラン、新障害者プラン等に基づき、福祉基盤の整備を進めてき たということです。そして、地域において整備の優先度が高い国の補助金等が交付され ている整備事業、基本的にはこれに重点的に融資を行うという形で進めてきたところで す。具体的実績は表のとおりでございます。  また、その下です。医療貸付ですが、これについては、国の医療政策に即して、病床 不足地域の病院整備、診療所不足地域における診療所の整備、財務基盤が脆弱な中小病 院の整備、介護保険事業計画に基づく老人保健施設の整備等、下の表に書いてあります が、このような整備を進めてきたところです。  次に10ページをご覧ください。真ん中、上段ですが、私どもは政策融資ということ で、国の要請等に基づいて、いわゆる緊急あるいは特別融資を機動的に実施する、これ も一つの使命です。個別には説明しませんが、15年度から18年度、記載のとおり実施 してきているところです。それから「イ」のところの融資条件の見直しと利差額の確保 ですが、融資条件の見直しについては記載のとおり、毎年度、点検して見直しをしてい ます。そして最後の、一番下のところに、いわゆる金利差があります。私ども、貸付事 業については金利差を確保するということで、ここの表にあるとおり、毎年度、利差額 を確保しているという状況です。  次に11ページ、最後のところに「エ」として民間資金の活用があります。先ほど基 盤課長からありましたように、福祉貸付は、16年度に制度をつくりまして、17年度か ら協調融資制度を運用開始しています。現在のところ順調に定着してきているというふ うに考えています。  次に12ページでございます。ここからが評価項目の5番目。これは福祉医療貸付事 業の(2)の、業務の質の向上の目標の部分です。真ん中ですが、審査業務の迅速化と いうことで、福祉貸付においては4カ月、それから医療貸付では3カ月という中期目標 を決めています。これについて表にあるとおり、平成18年度、福祉貸付で51日まで短 縮してきています。また医療貸付については40日前後ということで、いずれにせよ中 期目標を大幅に短縮しているという状況です。  それから、その下の「イ」に、資金交付業務というのがあります。これについては中 期目標で、いわゆる法人等からの請求後20日以内に資金を交付するという目標を立て ていますが、これはすべての案件について、それ以内に交付をしているという状況です。  次の13ページをご覧ください。ここからが評価項目の6番目になります。福祉医療 経営指導事業の部分です。(1)、業務運営の効率化に関する目標部分です。真ん中をご 覧ください。「ア」のところですが、ここは、いわゆる集団経営指導、セミナーの収支 相償ということです。これについては、私どもはここの記載のとおり、いわゆる必要経 費を上回る受講料収入を獲得しているところです。それから「イ」ですけれど、個別経 営診断の処理日数の短縮ということで、中期目標では60日以内としているところであ りまして、18年度末までで、平均15.5日ということで、これも達成しているという状 況です。  14ページからが評価項目の7番目、同じように福祉経営指導事業の、ここは業務の 質の向上の部分です。ここについては、真ん中の欄の中ほどに、集団経営指導の開催実 績というのがあります。その2つ目の丸印に、セミナーの受講者数というのがあります。 中期目標においては4年半で9,600人以上という目標を立てました。18年度までで累 計9,197人、達成率95.8%ということで、これは確実に目標を達成するだろうと見込 んでいます。またその下に、満足度指数があります。これは65ポイント以上という目 標を立てていますが、18年度末までで平均67.2ポイントということで、上回る実績を 上げているところです。  それから15ページ、個別経営診断の実績ということで、中期目標期間中に150件以 上という目標を立てていますが、18年度末までで380件と、目標を達成しているとこ ろです。また、個別経営診断については、2つ目の丸印になりますけれど、平成16年 度から特養やケアハウスの経営診断を開始する。あるいは17年度には病院の診断項目 を充実する。また、18年度は、先般御説明しましたが、簡易経営診断を導入するなど、 充実を図ってきたところです。  次に16ページをご覧ください。ここからが、長寿・子育て・障害者基金事業になり ます。そしてここは、私どもの中期目標とはちょっと入り組んでいるので、評価項目の 9番目と8番目がジグザグになりますが、この点、御容赦願います。  まずは評価項目の9番目になります。17ページの冒頭に、重点助成分野というのが あります。この基金事業においては、毎年度、重点助成分野を設けるとしており、目標 では4分野以上ということです。実績を見ると19年度が6項目、その他は5項目とい うことで、目標を達成し、その採択数はご覧のとおりです。  また、その1つ下ですが、実はこれは平成16年度に議員立法が出て、機構法の改正 が行われました。それを受けて平成16年度、スペシャルオリンピックス冬季世界大会 へ向けての競技運営費に対する障害者スポーツ基金を取り崩して助成を行ったところで す。これは、いわゆる政策要請に基づいて、機動的かつ円滑に、私どもとして助成を実 施できたというふうに考えています。  その下に「c」として助成事業の継続状況があります。これは目標80%に対して90 割以上の継続率を確保しています。また独創的・先駆的事業等への助成。これは目標が 70%以上ですが、80%以上を確保しているところです。  続きまして18ページ、評価項目の8番目になります。業務の効率化に関する目標部 分ですが、18ページの一番下をご覧ください。交付決定処理期間の短縮ということで、 交付決定処理期間は平均30日以内という目標を立てまして、18年度には19.8日まで 短縮したところでございます。  それから19ページをご覧ください。これは評価項目の9番目になりますが、業務の 質の向上に関する部分です。真ん中の最後の、「ア」のところをご覧ください。助成事 業の選定です。私どもは、外部有識者から成る審査・評価委員会を設置し、毎年度、こ の委員会で募集要領、選定方針、事業の選定(採択)を行うとともに、事後評価も審議 しているということでございます。この4年半の要望数、採択数、採択率は記載のとお りです。  次に21ページをご覧ください。ここからが評価項目の10番目、退職手当共済事業で す。ここでは「ア」として、いわゆる平均所要期間の短縮というのがあります。請求書 の受け付けから給付までの平均所要期間を、75日以内という目標を立てています。残 念ながら総日数では達成できませんでしたけれども、予算制約の影響等を控除した場合、 表のとおり期間を短縮し、中期目標の期間を下回っているところです。  22ページをご覧ください。同じく退職手当ですけれど、一番上のところです。この 事業においても利用者の手続き面での負担を軽減するということで、私どもは書類の簡 素化をしたり、あるいは提出書類の作成支援システムをつくったり、また、先般御説明 しましたが、18年度は掛金納付対象職員届の電子届出システムを構築するといったこ とに取り組んでいるところでございます。  23ページ、評価項目の11番目になりますが、心身障害者扶養保険事業。これについ ては真ん中の欄の下の方をご覧ください。運用です。この事業については、金銭信託契 約に基づき、安全性を重視した運用ということを実施していました。なかなか市場環境 が厳しく、また、いろいろ運用も諸制約がある中で、ご覧のとおりの運用実績を上げた ところでございます。  次に、25ページまで飛んでください。評価項目の12番目、WAM NET事業の部 分です。業務の効率化に関する部分。ここは25ページの一番下をご覧ください。機器 の更新ということで、アクセス需要等に対応できるよう、機器の更新・整備を行う。ま た、経費節減等を考えて、パッケージソフトを活用する。また、専用線からインターネ ット接続環境を利用した送信方法への移行を図るということを行ったわけです。  続きまして26ページをご覧ください。自己収入の確保です。できるだけ、この事業 についても自己収入を確保していくということで、いわゆるバナー広告等の掲載を始め たところです。16年度は8万4,000円でしたが18年度については、これは広告部分だ けですけれども2,000万円弱まで拡大したところでございます。  それでは、27ページをご覧ください。評価項目の13番目、これはWAM NETの 業務の質の部分です。これについては真ん中の欄の「イ」、コンテンツの整備充実と利 用の拡大の2つ目の丸印をご覧ください。WAM NETの利用機関登録5万件以上、 年間アクセス数700万件以上、これが目標でした。これについて、18年度、登録機関 が6万3,000以上、アクセス数が1,500万件以上ということで、中期目標を達成してい るところでございます。  続きまして、29ページをご覧ください。評価項目の14番目、年金担保貸付事業です。 (1)が業務運営の効率化の部分であり、真ん中の欄でご覧いただけるとおり、この事 業は業務委託費等についてオンコストを平成15年10月から始めています。また、「財 務の安定化を図るためのコスト」のオンコスト、これを平成16年度、17年度に行うな ど、コストを適切に反映した金利設定を行うということで進めてきているところです。  次に30ページをご覧ください。これは評価項目の15番目で、業務の質の向上に関す る部分です。ここで一番大きいのは、「ア」の2つ目の丸印、真ん中のところです。従 来、この事業の償還方法は、いわゆる全額償還と半額償還の2種類でしたけれども、1 万円単位で返済ができる、定額償還制度を平成17年10月から実施したところです。そ れから一番最後、「イ」に事務処理期間の短縮があります。平成17年10月から1週間 の短縮を実現し、中期目標を前倒しで達成したところです。  続きまして31ページ、評価項目の16番目、労災年金担保貸付事業です。この真ん中 にありますが、これについても先ほどの年担と同じようにオンコスト化を行いまして、 コストを適切に反映した金利設定を行ってきているところです。  それでは、33ページまで飛んでください。評価項目の18番目、承継年金住宅融資等 債権管理回収業務でございます。これについては真ん中にあるように、貸付先の財務分 析を行う、または自己査定を実施する、ローン保証会社の保証履行能力を把握する等、 適切に実施したところです。また、適時的確な債権回収ということで、住宅生協7団体 に対する債権回収を、18年度中に全額行うとともに、民事再生法の申し立てがなされ たところについても、回収措置を平成18年7月に実施したところでございます。  飛びまして、36ページをご覧ください。評価項目の19番目になります。ここは財務 の内容の改善に関する事項の部分です。1、運営費交付金以外の収入確保ということで、 私どもでは、主に福祉医療経営指導事業とWAM NET事業が対象であり、記載のと おり、毎年、増収を図ってきているところでございます。2つ目が、自己資金調達の拡 大。いわゆる財投機関債ですけれど、福祉医療貸付事業、年金担保貸付事業ともに記載 のとおり円滑な財投機関債の発行を行っているところでございます。  最後になりますが、38ページでございます。評価項目の20番目になります。その他 ということですが、38ページの一番下、適正な人員配置をご覧ください。私ども、独 法になりまして、組織のスリム化に努めてきたということで、記載のとおり、毎年、ス リム化を実施してきているところでございます。  それから39ページ、人員に関する指標でございます。私どもは、いわゆる常勤職員 数について指標値がありますが、それを下回る職員数に抑えて事業を実施してきたとこ ろでございます。簡単ですが、以上でございます。 ○部会長  それでは、続いて事務局から、暫定評価結果(案)の御説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  今、御説明がありました資料の表紙にお戻りください。資料1、「独立行政法人福祉 医療機構の中期目標期間の業務実績の暫定評価結果(案)」でございます。1ページか ら、読み上げの形で御説明させていただきます。 1.中期目標期間の業務実績について (1)評価の視点  独立行政法人福祉医療機構は、特殊法人社会福祉・医療事業団の業務を承継して、平 成15年10月に新たに独立行政法人として発足した。また、平成16年4月より、特殊 法人労働福祉事業団の廃止に伴い、その業務の一部である労災年金担保貸付事業を承継 し、さらに、平成18年4月より、特殊法人年金資金運用基金の解散に伴いその業務の 一部である承継年金住宅融資等債権管理回収業務及び承継教育資金貸付けあっせん業務 を承継したところである。  本評価は、平成15年10月に厚生労働大臣が定めた中期目標全体の業務実績について の評価を行うものであり、評価結果を次期中期目標等へ反映させる観点から、中期目標 期間の最終年度に暫定的に実施するものである。  当機構に対しては、特殊法人から独立行政法人となった経緯を踏まえ、弾力的・効果 的な業務運営を通じて、業務の効率性の向上、質の向上及び透明性の向上により国民の 求める成果を得ることが強く求められている。  当委員会では、「厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基準」及び 個別項目毎の評価の視点等に基づき、平成18年度までの業務実績の評価において示し た課題等、さらには、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会から寄せられた意見 や取組方針も踏まえ、暫定評価を実施した。  なお、福祉医療機構の業務は非常に多岐にわたり、それぞれの業務の性質が異なって いることを特記しておきたい。 (2)中期目標期間の業務実績全般の評価  当委員会においては、福祉医療機構が独立行政法人として発足して以来、業務により 得られた成果が、「社会福祉事業施設及び病院、診療所等の設置等に必要な資金の融通 並びにこれらの施設に関する経営指導、社会福祉事業に関する必要な助成、社会福祉施 設職員等退職手当共済制度の運営、心身障害者扶養保険事業等を行い、もって福祉の増 進並びに医療の普及及び向上を図ること」及び「厚生年金保険制度、船員保険制度、国 民年金制度及び労働者災害補償保険制度に基づき支給される年金たる給付の受給権を担 保として小口の資金の貸付けを行うこと」という当機構の設立目的に照らし、どの程度 寄与するものであったか、効率性、有効性等の観点から、適正に業務を実施したかなど の視点に立って評価を行ってきたところであるが、中期目標期間全般については、次の とおり、概ね適正に業務を実施してきたと評価できる。  業務運営の効率化に関しては、ISO9001に基づく品質マネジメントシステムの 認証取得及びその運用、人事評価制度の導入及び運用の改善等の処置がとられ、効率的 な業務運営の確立がなされたことを高く評価する。また、業務推進体制の整備と組織の スリム化を図り、効率的な業務運営を推進した。  また、リスク管理債権についても適切に管理されている。さらに、一般管理費等の経 費削減については、毎年度経費を計画的に節減し、中期目標・中期計画の達成に向けて 順調な進捗状況となっている。  福祉医療貸付事業については、国の福祉及び医療の政策目標に沿って、民間の社会福 祉施設、医療施設等の整備に対する融資が行われているとともに、審査業務及び資金交 付業務の迅速化が進められるなど、業務の効率化が図られ、計画に照らし十分な成果を 上げている。また、年金担保貸付事業及び労災年金担保貸付事業における定額償還方式 の導入による利用者の利便性への貢献については、特段の評価に値する。  一方で、心身障害者扶養保険事業については、制度に係る制約に起因する繰越欠損金 の解消に向けて、国において検討が進められることを期待する。  中期目標に沿った具体的な評価結果の概要については、2のとおりである。また、個 別項目に関する評価資料については、別紙として添付した。  「2.具体的な評価内容」以下につきましては、業務実績全般の評価についての、よ り詳細な記載となっております。読み上げについては省略させていただきたいと思いま す。以上でございます。 ○部会長  ありがとうございました。続きまして、私の方から、少し、簡単な講評をさせていた だきます。今、お二人の、法人と、それから事務局の方からもありましたように、この 福祉医療機構においては、独立行政法人として発足以来、非常に適切な業務を実施して きたと、高く評価できると思います。  少し詳しく申しますと、業務の効率化という視点においては、ISO9001という、 品質マネジメントシステムの認証を取得されたこと、それから人事評価制度の導入、運 用の改善、効率的な業務運営の確立がなされた点を、高く評価したいと思います。また、 一般管理費等の経費削減についても、中期目標、中期計画の達成に向けて、順調な削減 が進められており、これも高く評価できると思います。  個々の業務に関して見ると、福祉医療貸付事業、国の福祉及び医療の政策目標に沿っ た融資が行われていることは明白ですし、また、審査業務、資金交付業務の迅速化、業 務の効率化についても、十分な成果を上げています。さらに、年金担保貸付事業と労災 年金担保貸付事業においては、平成17年度に定額償還方式を導入し、利用者の利便性 に大きく貢献した。そういうことについて、高い評価に値すると考えています。  ただ、一方で、先ほどもあったように、心身障害者扶養保険事業については、繰越欠 損金が出ているということで、前回も議論があったように、この解消に向けて、これは 今、検討会をされているというふうに聞いていますけれども、国においても制度改正の 一日も早い実現を期待しているところです。  この福祉医療機構は、私も勉強させていただきましたけれども、本当に多岐にわたる、 複数の事業を行っている法人です。前回、18年度の総合評価の折にも申し上げました けれども、今日、障害者自立支援法の成立、あるいは療養病床の転換など、福祉及び医 療を取り巻く環境は大きく変化してまいりましたし、政策が転換されるこの時期でござ います。そういう状況ですので、この福祉医療貸付事業、あるいは基金による助成の事 業とか、退職手当共済事業、心身障害者扶養保険事業もそうですし、年金担保貸付事業、 労災年金担保貸付事業など、それぞれ各事業におかれましても、この時代の変化に対応 して、適切な対応をとっていただきたいと思っております。  福祉医療機構の設立目的である、福祉の増進、並びに医療の普及及び向上と、こうい う設立目的の実現に向けて、一層、さらなる努力をしていただきたいというふうに考え ております。以上でございます。  それでは、各委員の方々から、御意見を頂戴したいと思います。いかがでしょうか。 ○松原委員  評価とは直接関係ないことだと思いますけれど、考え方をちょっと教えていただける とありがたいなあと思うのは、参考資料3、福祉医療機構の見直しの資料で、4ページ 目です。民業補完の観点から、政策優先度を踏まえ、福祉貸付の融資率の引き下げを行 う、民間との協調融資を拡大するとありますが、私のイメージですと、福祉事業が民間 金融機関の融資の対象になるような事業なのかなあと、ちょっと疑問を持ったわけです が、そのあたりはどうなんでしょうか。 ○部会長  これについて、本体の方の暫定評価案というよりも、むしろ基本的な取り扱い、考え 方について補足説明をお願いします。 ○福祉医療機構企画指導部長  企画指導部長の大久保でございます。委員の御指摘のとおり、従来より、福祉貸付と いうか福祉事業については、補助金と寄付金で、あとは従来であれば措置費、国等から の運営費でやっていくということなので、非常に、営利性とか事業性という面は少ない ので、まず民間金融機関が、なかなか貸さない。そういうことで、機構が一手に引き受 けていたというのは事実です。しかしその後、介護保険制度が入り、大分、状況が大き く変わってきたということで、例のゴールドプランも終わり、17年度からですけれど、 私どももできるだけ、いわゆる融資の重点化、あるいは民間補完ということで、協調融 資制度をつくりまして、できる限り民間とも協調しつつ、私どもとしても重点化を図っ ていきたいということでやってきたというところでございます。  そして、先ほども言いましたように、従来、例えば福祉貸付事業では、介護保険です けれども、民間金融機関のウェイトが、制度導入前は4%ぐらいであったのが、協調融 資をやって15%ぐらいまで伸びてきている。これは、なかなか限界はあると思います けれど、そういう形で進めてきているという状況でございます。  そういう中で、やはりもう一歩進められないかという、これは政府としての要請もあ り、その辺はやはり、いろいろ状況を見る必要があると思いますけれども、一つは介護 保険以外にも対象を拡大する。といっても、なかなか難しい面はあると思いますけれど も、あるいは民間との協調融資制度も、もう少し改善するとか、そういうことを踏まえ て、融資率を引き下げるとともに、民間からももっと資金が入ってくるように、その辺 は、取り組んでいけるのではないだろうかというような考えでございます。 ○部会長  いかがでしょうか。ほかの委員の方々も、御意見があればどうぞ。本文の方はよろし いでしょうか。 ○大島委員  小さなところで申しわけないのですけれど、横長の、先ほど最初に説明していただい た、9ページのところの確認をさせてください。新エンゼルプランというふうに書いて あります。私がはっきりと記憶していないものですから、質問させていただきたいので すけれど、新エンゼルプランの後に、「子ども・子育て応援プラン」に変わっているの は、あれは何年度でしたでしょうか。新エンゼルプランの次のプランが、「子ども・子 育て応援プラン」として出ていますから、それが19年度だったのか。18年度だと、こ の書き方がちょっとおかしくなる。非常に小さいところで申しわけないのですけれど、 もし間違いだといけませんので。 ○福祉医療機構企画指導部長  17年度に、いわゆるエンゼルプランから子育て支援の方に変わっているはずです。 ○大島委員  そうすると、ここのところは、書き方を変えなくてもよろしいですか。 ○福祉医療機構企画指導部長  はい、ここは15年度から18年度までの3年半の話ですので。例えばゴールドプラン 21も、16年度で終わっています。ただ、16年度まではゴールドプラン21に基づいて やりますし、新エンゼルプランも、したがって16年度までやってきています。あとは 「等」にしてしまったので、そのほか、今おっしゃった子育て支援とか、そういうもの も含まれているというふうに読んでいただければと思います。 ○大島委員  はい、わかりました。 ○部会長  いかがでしょうか。それでは、委員の御意見も踏まえていただきまして、今後の計画 に反映していただくということにいたしまして、修正意見そのものとしては、ないとい うことですので、この「(案)」を取って、中期目標期間の業務実績の暫定評価結果とし て、8月末に開かれる総会で報告をしたいというふうに思っております。誤字・脱字、 あるいは事実確認で少し修正がある場合には、私の方に御一任いただくということでお 願いしたいと思いますが、そのように取り計らってよろしいでしょうか。 (異議なし)  どうもありがとうございました。それでは「(案)」を取り、これで報告をさせていた だきたいと思います。法人理事長よりコメントをお願いいたします。 ○福祉医療機構理事長  それでは、一言だけ御礼を申し上げたいと思います。過去4事業年度にわたって、私 ども福祉医療機構の広範多岐にわたる事業実績につき、厳しくも、また、温かい目で的 確に評価をしていただきました。ありがとうございました。私どもは、毎年度、当評価 委員会における評価を励みにして、事業の推進、改革に取り組んでまいりました。今後 とも、福祉医療機構の事業運営につきまして、さらなる御指導、御鞭撻を賜りますよう に、お願いを申し上げます。ありがとうございました。 ○部会長  どうもありがとうございました。では、ここで事務局の入れ替えを行いますので、し ばらくお待ちください。 <第2部:国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の中期目標期間の業務実績の暫定評 価結果等について> ○部会長  それでは再開いたします。先ほど私、「(案)」を取って総会に報告と申し上げました が、「(案)」はそのままで、総会で決定された後に「(案)」が取れるということになり ます。報告をする合意を得られたという解釈でございます。修正し、おわび申し上げま す。  それでは、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園について、中期目標期間の業務実 績の暫定評価結果について、御報告をいただき、評価をさせていただきたいと思います。  審議に入ります。先ほどと同様に、法人から暫定評価結果(案)の別紙、暫定評価シ ートに沿って、業務実績のポイントについて、10〜15分程度で御説明をお願いいたし ます。その後、事務局の方から、中期目標期間の業務実績全般の評価という総論部分を 中心に御紹介いただき、起草委員の大島委員から御講評をいただく。このように運びた いと思っております。それでは、のぞみの園の事務局、法人の方からお願いいたします。 ○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園法人事務局長  国立のぞみの園、法人事務局長の石井でございます。評価シートは全部で26ページ にわたりますけれども、お手元の資料2の、6ページの後から横型の表が出てまいりま す。これが評価シートになります。これに沿って、御報告をさせていただきます。  最初に1ページ、業務運営の効率化に関する事項ということでございます。その中で、 効率的な業務運営体制の確立について。これについては入所利用者の自立支援と地域移 行、そして「行政改革の重要方針」等を踏まえまして、人件費の削減という大きな課題 に向けまして、さらには、18年度からは障害者自立支援法の施行に向けて、年次を追 って計画的に組織を見直し、改廃を行い、また、生活寮等の再編を行うなど、効率的・ 効果的な体制の整備を図ってまいりました。  定年退職者の後補充等も抑制をしつつ、役職員の給与削減も毎年行うなど、人件費の 縮減にも努めてまいりました。人事配置についても、柔軟かつ重点的な職員配置を実施 し、地域移行を推進するため、各地から優秀な人材を、よりすぐり登用し、あわせて利 用者に対するサービスの向上と職員の意識改革に積極的に取り組んでまいりました。こ の結果、事業全般にわたり、各業務は遅滞なく進捗しており、当初計画以上の実績を挙 げているものと考えております。  3ページにまいります。内部進行管理の充実ということですが、モニタリングシステ ムあるいは苦情解決システムといったものを確立し、さらには第三者委員会を設置して 外部の方々の御意見を賜りながら、よりよい組織とするために努力をしてまいりました。 利用者や職員の健康管理、あるいは安全管理、さらには防災対策といった点においても、 健康診断、衛生教育の実施、感染症対策委員会や事故防止委員会における検討、それか ら注意喚起、さらには消防署あるいは診療所といったところから救命救急関係の講習、 あるいは避難訓練等、これらを定期的に、きめ細かに実施することで、一定の効果があ ったものと考えております。  6ページには、業務運営の効率化に伴う経費節減という項目が出てまいります。毎年、 役職員の給与を3.5%ずつ引き下げてまいりまして、人件費の削減をし、それから物件 費の縮減に努めることにより、平成18年度末までには、平成14年度に比べて4億 8,600万、約15.8%の経費節減を達成しております。また、契約の競争化を図り、様々 な縮減を行う一方で、業務の受託や実習料・施設使用料の徴収、あるいは診療報酬の増 収等を図るなど、運営費交付金以外の収入の確保について努力してきた結果、総事業費 に対する交付金以外の自己収入の割合が38.8%となっておりまして、これも当初計画 以上の実績を上げてきているものと考えております。  次に8ページ、効率的な施設・設備の利用という課題でございます。地域の社会資 源・公共財としての利用を進めるために、県内の障害者団体等に、研修会や講習会の会 場として提供し、あるいは地域住民にも体育施設等を開放することなどにより、施設の 開放を図ってまいりました。平成15年からは「のぞみふれあいフェスティバル」を毎 年開催し、それから15年から、約4年間で5,900人余のボランティアの方々の受け入 れといったようなことも行いまして、県内の福祉関係者や地域住民との交流を図ってま いりました。また、地域の障害者のニーズに応じて、通所系のサービス事業を拡充して まいりました。  診療所については9ページの記載となりますけれども、平成16年度には臨床心理科 と機能訓練科を診療所に統合し、障害医療チームとしての医療的支援の強化を図り、17 年6月からは理学療法として保険診療を開始いたしまして、さらには診療所の機能を活 用した障害医療セミナー、あるいは外来患者の保護者を対象とした学習会等々を開催す るなど、施設機能を十分活用して、地域の知的障害者とその家族に対する支援の充実を 図ってまいりました。  また、職員宿舎の空き室の利用についても、入所利用者の地域での生活体験のための 地域生活体験ホームとして、その活用を図りまして、おかげさまで地域生活体験ホーム は平成15年、4戸12人であったものが、18年には11戸33人を対象とするまでに至 っております。敷地の開放等についても、地元の幼稚園や高校生、市民のウォーキング コース等々の一部として開放してまいりました。このようなことから、当初計画以上の 実績を挙げてきているものと思っております。  次に10ページの後半からになりますけれども、合理化の推進というテーマでござい ます。まず外部委託の拡大については、これは既に12の業務が外部委託をされており、 おおむねやり尽くした感がありまして、新たな業務については外部委託ということがで きませんでした。しかしながら競争入札の実施については、指名競争入札を実施する一 方、業務の内容から単に価格競争のみでは提供されるサービスの質の問題にも影響する という業務が少なからずあったことから、プロポーザル方式といった契約も行いました。 このような努力の結果、期間中、5つの業務委託について競争化を図ることができ、こ の結果、委託額は15年と比べて8,700万円の減、19年度初めにおける競争化による契 約の割合というのは全体の94.4%に達したということで、当初計画以上の実績を上げ てきているものと考えております。  次に11ページ、2つ目の大きなくくりになりますけれども、国民に対して提供する サービスその他の業務の質の向上に関する事項ということで、11ページからは自立支 援のための取組ということでございます。中期目標において重度知的障害者のモデル的 な処遇を行うことにより、入所者の地域への移行を積極的に推進し、入所者数を中期目 標期間中において3割から4割程度縮減すること。また、この場合、特に支援の必要度 が高い入所者の地域への移行についても積極的に取り組むこととされており、このため、 当法人としては、この目標にできる限り近づくために、地域移行に向けた取組を順次実 施してまいりました。その際、当法人として特に重要視したこと、これは13ページの 上段に記載していますが、障害の軽重にかかわらず、入所利用者全員を対象にすること。 それから、本人の意向の尊重と家族の同意の確認をすること。それから家族に負担を求 めないこと。それから移行先の条件整備と支援体制の確保を図ること。移行後のフォロ ーを行うこと。こういう5つの考え方を基本方針として、地域移行に取り組んでまいり ました。  12ページに戻りまして、取組としてまず最初に始めたことは、組織体制を充実・強 化したということでありまして、地域移行推進本部を設置し、地域生活支援室を設けま した。この地域生活支援室は、その後、地域支援部というものに改組し、地域移行全般 を仕切る組織をつくり上げ、それにあわせて地域移行の実績を持っている優秀な人材を 招聘して幹部職員として活動していただいております。支援への取組については、入所 利用者の対応に応じた効果的な支援を行うことができるように、生活寮の再編を実施し、 また、宿泊体験事業や地域での生活体験を実践するための地域生活体験ホーム等の拡充 を図り、市街地にも同種の施設を設置するなど、地域移行に備える場の確保を図り、地 域の生活により近い環境で地域移行に必要な支援を行ってまいりました。  また、地域移行の理解と協力を得るために、国、関係団体の会議、あるいは当法人主 催のセミナー等の席で、発言の機会を得まして、また、特に出身県の地方自治体に対し ては、あらゆる方法、機会を通して、様々な要請をしてまいりました。また、本人及び 家族の同意を得るためには、入所利用者には宿泊体験事業や地域生活体験ホームを通し た、地域での生活により近い体験をしていただく。それから家族には、パンフレットを 配布し、アンケート調査を実施し、ビデオを制作し、視聴の機会を設けて、保護者・親 族の理解を求め、地域移行に備えてまいりました。  さらには受け入れ予定先での支援の状況の情報収集や、事前の現地調査、本人ともど もの見学、あるいは宿泊体験を通して、本人の地域移行の意思の確認とその後の生活の 安定のための準備を行い、移行後は受け入れ先事業所を介してフォローアップ、アフタ ーケアに努めてまいりました。11ページの記載となりますけれども、このような進め 方により、独法化後、18年度末までに25人が地域移行をなし遂げ、受け入れ先が決ま れば移行可能な者、いわゆる待機者が27名となっています。なお、19年7月末現在で は、地域移行者32名、待機者20名という状況です。  結果として、3割から4割の地域移行という数値的目標に対しては不本意な状況でご ざいます。しかし受け入れ体制が未整備であり、地域基盤も概してよくない状況の中で、 この4年間は、入所利用者一人一人の意思を尊重し、丁寧に手順を踏みながら、かつ、 積極的に地域移行に取り組んできた4年間と認識しております。また、この成果が19 年度以降の地域移行に反映していくものと考えております。地域移行の過程においては、 ある意味で当初計画以上の実績を上げてきているのではないかというふうに思っており ます。  次に15ページから記載の、調査・研究でございます。平成17年度には研究課を独立 させ、福祉系の大学からの協力を得て、研究課長を招聘し、また、研究の企画や内容に 幅広い意見を取り込むために、外部の学識経験者を加えた研究会議を設置し、法人内に おいても調査・研究調整会議を設けるなど、研究実施体制の充実を図り、重度の知的障 害者の自立支援に関する厚生労働科学研究や法人内研究・調査等を進めてまいりました。 研究の成果については、法人のホームページによる情報発信、あるいは法人の機関紙で あるニュースレター等に掲載して公開することで、その普及を図ってまいりました。ま た、当法人が自ら各種セミナーや研究発表会を開催した折に、積極的に研究の成果を発 表したり、他の団体が開催する研修会、各種学会等で発表の機会を得て公表することに より、普及活動を図ってきたところでございます。このようなことから、おおむね計画 どおりの実績と考えております。  18ページからは養成・研修ということですが、喫緊の課題や障害者自立支援法など、 時宜を得たテーマを中心に据え、当法人が主催し、全国の障害者施設関係者を対象に、 福祉セミナー、あるいは障害者医療セミナーを毎年、実施してまいりました。さらに 18年度は行動援護従業者養成中央セミナーを開催し、全都道府県を対象に、行動援護 に関する指導者となるべき者の養成・研修を実施してきました。一方で福祉大学や各種 学校の研修・実習の場として、将来、施設の支援員となる多くの学生を受け入れてきた ところです。研修や実習の修了後には、必ずアンケートを実施し、おおむね好評という 結果を得ておりますが、その結果についても、次年度以降の研修・実習に反映させてお り、養成・研修についても、計画どおり実績を上げてきているものと考えております。  19ページにまります。こちらは援助・助言についてのテーマです。障害者支援施設 からの要請に応えて助言をし、資料を提供し、来訪者には施設を案内するなど、対応を してまいりました。また18年度には、地域相談支援センターを立ち上げ、地域の相談 支援についても十分対応できる体制といたしました。今後はこの機能について、一般に もう少し広報をして、一層の利用の拡大を図る必要があると感じております。  20ページからはその他の業務ということですが、診療部門においては、先ほどから 申し上げているように、知的障害者に対する診療業務を行い、診療件数、診療収入の増 加に努めてまいりました。その結果、受診者は入院・外来とも増傾向であります。診療 収入についても18年度は約9,900万という収入を上げることができ、年々増加の傾向 にあります。また、福祉系の専門学校の実習生の受け入れを積極的に実施しており、あ わせて受講料の改定等も行い、収入増を図ってきたところであります。さらには18年 度、地域相談支援センターを設置し、居宅の知的障害者に対する相談にも応じる体制を 整えました。これは先ほど申し上げたとおりでございます。22ページには、第三者評 価の実施及び公表に関すること、あるいは電子政府化についてという記載がありますが、 これもおおむね計画どおりの実績と考えております。  次に3つ目の大きなテーマ、財務内容の改善に関する事項ということで22ページに まいります。予算、収支計画、及び資金計画についてでございます。当法人の予算は国 からの交付金と自己収入で賄われていますが、一般管理費及び事業費等の経費の最終年 度の額を、平成14年度に比べて13%以上縮減する、あるいは冒頭にも申し上げました けれども、総事業費に占める自己収入の比率38%以上という目標については、今のと ころ達成可能なところに来ており、役職員ともども、努力のたまものと思っております。 また、収支計画、資金計画についても、中期目標期間内で計画どおりの実績と考えてお ります。  最後に25ページ、その他業務運営に関する重要事項ということで、人事に関する計 画というテーマがありました。これについても組織の変更や統廃合を行いながら、職員 の配置について適切に対応し、定年退職者の後補充についても抑制しつつ、必要な部門 への重点的な配置は行ってまいりました。職員の計画的確保と適正配置に努めたという ことでございます。この結果、期末の職員数を期首の90%にするという目標について は、平成19年度期首において91.9となっており、19年度の定年退職者を考えれば十 分達成できる見込みです。  また、26ページの施設・設備に関する計画についても、期首には計画されていなか ったものの、17年、18年、19年と、国から施設整備費補助金が助成されておりまして、 老朽化、緊急度の高いものが整備されてきたところでありまして、これについても計画 どおり実績を挙げてきていると考えております。  以上が、独立行政法人となりました国立のぞみの園におきまして、理事長のリーダー シップのもとで第1期の中期目標期間中、役職員一丸となって努力してまいりました 3.5カ年の実績報告でございます。今年度以降も引き続き効率的、効果的な業務運営を 目指すとともに、国立のぞみの園に課せられた重度知的障害者の地域移行など、多くの 目標と課題につきまして、これを達成すべく努力してまいりたいと思っております。以 上でございます。 ○部会長  ありがとうございました。それでは事務局、続いてお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  それでは、資料2の表紙でございます。独立行政法人国立重度知的障害者総合施設の ぞみの園の中期目標期間の業務実績の暫定評価結果(案)でございます。読み上げの形 で御説明させていただきます。 1.中期目標期間の業務実績について (1)評価の視点  独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園は、特殊法人心身障害者福祉協 会が、平成15年10月に新たに独立行政法人として発足したものである。  本評価は、平成15年10月に厚生労働大臣が定めた中期目標全体の業務実績について の評価を行うものであり、評価結果を次期中期目標等へ反映させる観点から、中期目標 期間の最終年度に暫定的に実施するものである。  のぞみの園に対しては、特殊法人から独立行政法人となった経緯を踏まえ、弾力的・ 効果的な業務運営を通じて、業務の効率性、質及び透明性の向上により国民の求める成 果を得ることが強く求められている。  当委員会では、「厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基準」及び 個別項目毎の評価の視点等に基づき、平成18年度までの業務実績の評価において示し た課題等、さらには、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会から寄せられた意見 や取組方針も踏まえ、暫定評価を実施した。  なお、のぞみの園の設立目的は、自立(地域移行)のための先導的かつ総合的な支援 の提供等とされ、旧法人時代の「終生保護」から「地域生活への移行」へと支援の目的 と方法が大きく変わることとなった。入所利用者及び保護者・家族の理解はもとより、 職員の意識の改革等を図った上で業務に取り組むことが重要である。また、入所利用者 の多くが長期にわたり入所し、かつ、高齢化していることや、地域での受入環境が必ず しも十分でない状況を踏まえ、入所利用者及び保護者・家族の意向を十分に尊重しなが ら、地域移行に取り組む必要がある。こうしたことから、自立支援の取組の評価に当た っては、数値目標の達成状況に着目しつつも、地域移行に向けての条件整備全般にわた って、入所利用者一人ひとりに対してどのような取組を行ったか、そのプロセスが重要 であることを特記しておきたい。 (2)中期目標期間の業務実績全般の評価  当委員会においては、のぞみの園が独立行政法人として発足して以来、「重度の知的 障害者に対する自立のための先導的かつ総合的な支援の提供、知的障害者の支援に関す る調査及び研究等を行うことにより、知的障害者の福祉の向上を図ること」というのぞ みの園の設立目的に照らし、業務により得られた成果が、どの程度寄与するものであっ たか、効率性、有効性等の観点から適正に業務を実施したか、などの視点に立って評価 を行ってきた。中期目標期間の業務実績全般については、次のとおり、適正な業務の実 施に向けて努力をしたものと評価できる。  業務運営の効率化に関しては、のぞみの園の設立目的に沿った業務運営を行うため、 現に入所している重度知的障害者の自立に向けて、効率的かつ効果的な推進体制を整備 するための組織改編を平成16年度及び平成17年度に行うとともに、併せて、平成17 年度には、生活寮を再編し、その数を減らすなど、計画的に取り組んだ。さらに、平成 18年度においては、障害者自立支援法による新事業体系への移行に併せ、同法の理念 である「居住の場」と「日中活動の場」を分離したサービスが切れ目なく提供できるよ う、実施体制の整備を図るなど、中期目標期間全体を通じて、地域移行の推進を図るた めの効率的かつ柔軟な組織編成や職員の意識改革に積極的に取り組んできたことを高く 評価する。  業務運営の効率化に伴う経費節減に対しては、中期目標において設定された運営費交 付金の13%以上の節減に向けて、役職員の計画的な給与の引き下げや常勤職員数の抑 制等による人件費の削減、外部委託や競争入札等の導入による業務委託費の削減を図る などの取組を積極的に行うことにより、平成19年度予算における運営費交付金を独立 行政法人化以前と比較して約4億円を節減し、中期目標を達成する見込みとなったこと を高く評価する。  また、地域移行の取組については、入所利用者及び保護者・家族の意向を尊重しつつ、 障害特性に合わせたより具体的な地域生活への移行に向けて受入先との調整を行うなど、 一人ひとり丁寧に手順を踏んで取組んでいるものと認められる。こうした取組の結果、 入所利用者の年齢、入所期間及び地域の受入体制等の概して良い条件とは言えない中で、 平成19年7月末までに32名の入所利用者が出身地での地域生活のためにのぞみの園を 退所したほか、関係自治体や事業所と調整中の者が20名いるなど、着実に成果を上げ てきたことを評価する。  さらに、調査・研究及び研修については、重度・重複の知的障害者の地域移行に関す る調査・研究に取り組むとともに、全国の知的障害者の福祉・保健医療等の業務に携わ る者の資質の向上を図るためのセミナー等を積極的に実施している。セミナーのテーマ については、障害者自立支援法の事業展開等の社会的ニーズの高いものや、厚生労働省 の要請を受けて、同法に基づく新サービスである行動援護に関することなどを設定し、 知的障害者の支援の向上に繋がる内容を取り上げ、企画・実施しており、着実に努力し ていることが認められる。  一方で、今後、主に以下の点に留意する必要がある。 (1) 知的障害関係の業務を行う施設・事業所が全国に存在する中で、他の施設では対応 が困難な行動障害が著しい障害者の支援を行うなど、国のモデル施設として、国の政策 目標の実現に向けて、効率的かつ効果的な取組を行う必要がある。 (2) 地域移行については、一定の成果は認められるものの、中期目標に掲げる地域移行 に関する目標とその実績との間には大きな差があるため、より多くの入所利用者の地域 移行の実現に向けて、年齢、障害程度などの特性を配慮した個別支援計画の策定や、入 所利用者及び保護者・家族の同意の確保、受入先との協議・調整等の地域移行への段階 的なプロセスの明確化を行い、引き続ききめ細かに対応しつつ、一層のスピードアップ を図ることが必要である。 (3) 調査・研究及び研修については、従来の重度・重複の知的障害者の自立に関するこ とのほか、国の政策目標の実現に資する分野や、民間では対応が難しい先駆的な分野に ついて、関係機関や大学等との連携・協力により実施するなど、より一層の充実を図る べきである。  なお、中期目標に沿った個別業務の評価結果の概要については、2のとおりである。 個別項目に関する評価資料については、別紙として添付した。  「2.具体的な評価内容」以下につきましては、業務実績全般の評価においてのより 詳細な記載となっております。読み上げについては省略させていただきたいと思います。 以上でございます。 ○部会長  続きまして、大島委員より講評をお願いいたします。 ○大島委員  少し、内容について説明をしたいと思うんですけれど、評価内容に関しての業務運営 の効率化と、それから財務内容の改善等については大変努力をされて、高く評価できる というふうに私たちは考えて、ここに書かせていただきました。  一番注文の多かった部分が(2)の国民に対して提供するサービスその他の業務の質 の向上についてというところで、それは今お読みいただいた1〜3のところに書いてあ るように、今後さらに、地域移行という非常に難しい、そして人権を尊重しながら行っ ていかなければならないという、大変なお仕事を、さらに継続して続けていただきたい。 そこの評価は、まだもう一歩ですけれども、まだまだこれから継続して、丁寧なお仕事 をしていただきたいというふうに思いました。  それから、調査・研究、研修の部分は、さらに国民の期待に沿うように、全国的な展 開をされることを望むということを、私たち委員の中では強く申し上げた次第です。以 上で大体の講評を終わりますけれども、あとは詳しく書いてありますので、よろしくお 願いいたします。 ○部会長  ありがとうございました。それでは、ただいま御説明いただきました、業務実績の報 告についての御質問、並びに、この業務実績の暫定評価結果案についての御意見等をお 伺いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。 ○真野委員  20ページの診療所の話で、2つ質問があります。入院と外来と、両方に関係すると ころで、非常に数が増えているようですし、そのような御報告もありましたが、これは エリアが広くなってきたので利用される方が増えたのか。あるいは今までの、特定の地 域からの人なのか、ということをお聞きしたいというのが一つ。  もう一つは、入院の方でも利用者が増えているわけですが、ベッドは13床というこ となので、これはどういうことなのでしょうか。いわゆる在院日数みたいなものが短く なって、こういうことになったのか、その辺を教えていただきたいのですけれど。 ○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長  診療所については、昨年度、18年の4月から、診療所長ともう一人の常勤医が、2 人かわりまして、内科医と外科医が常勤医として勤務するようになったということがあ ります。それ以前は小児神経科の専門医と内科の専門医、2人の常勤医の体制でした。 そういうことで、まず、ドクターがかわったということがあります。  その結果として、18年3月までは、外部の医療機関に診療をお願いしていたケース がかなりありましたが、それについて、常勤の内科医も外科医もそろったということで、 外部の医療機関にかかっている入所利用者について再点検しまして、のぞみの診療所で、 入院あるいは通院で対応できるかどうか、そこをチェックしました。できるだけ、のぞ みの診療所で対応するという方向でやりまして、その結果として、診療件数が増えたと いうことでございます。  特に入院については、ベッドの稼働率ということになりますが、それがかなり高くな りまして、最近では13床満床に近いような状態で、診療所が運営されている。あえて 言えば、診療所の常勤のドクターが、それだけ努力していただいて、診療収入の増にも つながっているということでございます。 ○真野委員  そうすると、基本的に内部での話ということですね。外部の人が来ているということ ではないということですね。 ○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長  はい、それで入院については、大体、のぞみの園の入所利用者の対応がほとんどで、 外部からの受け入れというのは、これまで、ほとんどありません。まれに依頼されてと いうのはあったかもしれませんが、基本的には、今のところ、のぞみの入所者でござい ます。  通院の関係については、これは外部、外部というのは地域の障害のある人たちについ て、紹介患者が主ですけれども、一応、対応しているということでありまして、特に心 理外来ということで、発達障害などのある、これはどちらかというと児童が多くて、児 童というか18歳未満の方が多いんですけれども、そういう方を中心に外来診療をして いるということでございます。 ○真野委員  ありがとうございました。 ○石井委員  たまたま私は最初からお聞きしているということで、来年で中期の第1期が終わるの かもしれませんが、のぞみの園の話を最初にお聞きしたときは、当時の委員がみんなび っくりして、実はこの施設を独立行政法人にする意味があるのかというような議論を随 分したような記憶があります。  そういう関係から申し上げると、本当にこの3年半は大変な思いを、いろんな意味で されてきたんだろうということで、そういう意味では敬意を表するし、評価をしたいと いうふうに思っております。  ただ、今後のこととして2つだけ。これからの非常に長期の話になるので、第1期の 中期の評価とはかかわりがないかもしれませんが、一つは四百数十人の入所者の方たち を、現実的に、生活の面倒を見ていくに際して、数十万坪という土地は適切な大きさな のかどうかというのが、やはりどうしても、国有財産を出資している関係で、気になり ます。長期の問題としてはこのことがあります。  それからもう一つは、今、ちょうど御質問もありましたけれど、最終的には留意事項 のところで、「他の施設では対応が困難な行動障害が著しい障害者の支援を行うなど」 と書いてあるわけですけれど、この施設がこれから、ほかの施設で、もう本当に対応が できなくなったような方たちを受け入れていくという流れを持ち得るのかどうか。つま り、もともとこの施設の今やっている様々な新しい試みは、国のレベルではモデルケー スというお話をお聞きしていますから、これがまた各都道府県に向かって、いろんな発 信をされて、各都道府県も同じような動きをされていったときに、まさにここに書いて あるような形で、より障害度の高い方たちが、逆にのぞみの園に入ってきてしまう可能 性はないのだろうかというようなことと、今、医療施設の議論をちょっとされましたけ れども、地域移行された方たちは相対的に移行しやすい方たちのはずであり、重症度の 高い方たちは相対的にそうではない。その方たちが、これからどんどん、年齢を重ねて いかれて、当然のこととして、病気になる確率が高くなる。13ベッドの有床診が満杯 という話もありましたけれど、これからもそういう傾向が非常に強まっていくとなると、 のぞみの園が「のぞみの病院」になってしまうのか。  医療における地域の連携とか役割分担とか、機能の、言ってみれば効率的あるいは有 機的な提供議論といったものを見ていると、さらなる、再度の閉鎖性みたいなものを、 ちょっと感じてしまいまして、本当に長期で、2年とか3年ではなくて、多分、10年 後ぐらいのイメージでいくと、実は150ベッドの病院になってしまいました、というよ うな可能性もあるのではないか、そこはどうなのかなあというのをちょっと感じてしま いまして、その辺について、もしコメントがあればお願いします。特段、どうなんだと いう議論ではないんですが、長期の議論の中で、どうなのかなあという疑問がありまし たので、教えていただければと思います。 ○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長  必ずしも的確な答えになっていないかもしれませんけれど、お答えしたいと思います。 長期的に云々の話については、私どもは、中期目標ということで厚生労働大臣から示さ れますので、それを達成するために最善を尽くすということでありますけれども、法人 側として、長期的な展望というのは、やはり持っていないといけませんし、持っていな いと職員の士気も上がらないということがございます。  そういう意味で、私どもとしては、現在、入所している方たちについては地域移行を 進めつつ、結果として地域移行が実現しないまま、のぞみで生活されている方について は、やはり、かつてここで一生お世話しますという約束で入所していただいているわけ ですから、その約束をたがえないように、最後まで最善を尽くしていく。のぞみの中で の生活でも最善を尽くしていくということが、私どもの役割だと考えております。  他方で、それだけでは独立行政法人としての役割ということで問われたときに、こう だという積極的な説明にはならないと思いますので、やはり国の政策的な方向性を踏ま えて、新しい事業に取り組んでいく、その一つが第二点として御指摘のあった、他の施 設で対応困難な云々の受け入れになるんだろうと思います。これは、そういう他の施設 で受け入れ困難な方を全部のぞみで受けるということではなくて、そのように難しいケ ースについて、のぞみの園として、いろいろ工夫して、知恵を絞り、その結果としてこ のように対応したんだという、そういうモデル的なケースとして、そのノウハウなり成 果というものを全国の関係施設の方に発信していく。それを活用していただいて、対応 が難しいとされていた人たちも、民間の施設なり他の施設で対応できるようになってい ったらいいんじゃないか、と。そういうことと考えております。  それから、診療所絡みでの御質問がありましたけれども、確かに医療的なケアが必要 な方が増えてきて、今、診療所が満床に近い状態が続いていますが、これも本当に長期 入院が必要で専門医療が必要な方は、外部の医療機関にお願いせざるを得ません。なぜ 満床に近い状態が続いているかというと、やはり短期的に入院で対応して、ある程度、 症状が落ち着いたら生活寮の方に戻って、そこで日常生活の支援をしていくということ をしております。必要に応じて診療所の看護師などが出かけて行って対応するというこ ともあります。  そのようなことで、確かに医療的ケアの必要な方は増えてきますけれども、それにつ いては、そういった直営の診療所、外部の利用機関、さらには生活寮での支援体制、こ れは医療面も含めての支援体制を工夫しながら対応していく必要があると考えています。 それは最初に触れましたように、いずれにしても、のぞみの園で最期までお世話をする、 対応をしなければいけない入所者の方というのはいるはずですので、そういう方につい て、私どもとしては、できる限りのことをしていくということで、これからもやってい かざるを得ないと考えております。  その辺の長期的な話については、私どもの考えもありますし、他方で、厚生労働省と して、のぞみの園のあるべき姿、あるいは活用方法を、いろいろ御検討されていると思 いますので、そういう中で、私どもの方にまた、別途、指示があるものと思っておりま す。  それから最後に、最初にちょっと御指摘のあった、広大な土地についてのことですが、 これも同じような御質問を受けてお答えしたことがあるかもしれませんけれども、確か に敷地としては非常に大きくて、数字を見ると、その大半は使っていないから、売却し てもいいのではないかということになるかと思います。ただ、実際は、ほとんどが山林 でありまして、その山林も保安林になっておりますし、そういうものを売却するという ことは、考えられなくもないのですけれど、現実的に売却などができるだろうかと考え ると、なかなか難しい面もあるのかなあと思っております。そういうことで、この点に ついても、厚生労働省の方と、いろいろ相談させていただいて、売却ということの可能 性があるのであれば、それはそれとして考えていきたいと思っております。以上、ちょ っと答えになっていない部分もあろうかと思いますけれども、一応、お答えとさせてい ただきます。 ○部会長  石井委員、よろしいでしょうか。 ○石井委員  はい。 ○部会長  長期的な展望に立った御質問、御提案と、それから、この2ページにある1番の文章、 これはひょっとすると、ちょっと修正した方が……。山村委員、どうぞ。 ○山村委員  改めて、今の2ページの1番のことで、少し考えが浮かびましたので発言させていた だきます。1番をこのまま字句どおり読むと、現在ののぞみの園の利用者が、多く努力 をして地域に移行していただくという、その努力をする。その後、他の施設では対応が 困難な行動障害が著しい人たちを受け入れて支援しているというふうに読めるわけであ りまして、また全国各地から、行動障害の著しい人たちのような、支援の大変難しい人 を受け入れるということで、そういう、利用者が切りかわっていくという、たくさんま た全国から来られるというふうな文言になりますので、これはあくまでも、やはり有期 限ということで一定期間の利用でその成果を挙げて、また出身の地域に帰っていただく というような、有期限ということを一言入れないといけないのではないかと、改めて思 いましたので、よろしくお願いします。 ○部会長  ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。 ○宗林委員  評価官室にお聞きしたいのですが、暫定評価の、最終的な結果の数値は、4年間の平 均値で出すということまで決まっていたのでしたでしょうか。これは今、平均値ですよ ね。先ほどあった御説明の中には、特段、そういう御説明まではなかったように思いま す。これ以外の出し方があるかというと、なかなか難しいかと思いますが、のぞみの園 の場合は、この何年間の間に自己評価も大分変わったりしまして、少し気になったので すが、平均値で出すということが決まっていましたでしょうか。 ○政策評価官室長補佐  これまで、のぞみの園は初めてですが、昨年、一昨年と、他の法人においては同様の 扱い方、つまり平均値をもって評価を行うというやり方を進めてきたところですので、 のぞみの園についても同様に、評価期間の平均値の評価点数をもって御評価いただけれ ばと考えています。 ○宗林委員  そうすると逆に言うと、それ以外の数値で評価をされたところはないという理解でよ ろしいのですね。 ○政策評価官室長補佐  これまでの評価においては、これ以外の評価ということはしていません。 ○宗林委員  わかりました。あと、もう一点。この評価に直接かかわるものではないのですが、次 期の中期ということを念頭に置いて、途中ではちょっとお話しできなかったのでのぞみ の園は、やはり地域移行のための先導的・総合的な支援の提供とか、入所されている方 がどういうふうにこれからなっていくのか、ケアされて地域移行されるのかが、のぞみ の園の皆さん方が一番大きな力を割いたり御苦労なさっているところだろうと思います。  ところが、評価のシートを見ていくと、自立支援の取組のところが、確かにボリュー ム的には3ページもあるにもかかわらず評価項目が1つという状態で、気になっていた んです。途中での項目の変更というのは難しいだろうと思っていたんですが、逆に例え ば、調査・研究とか各種研究会とか、講演会とか研究会というところで、一つずつ評価 を項目として立てていらっしゃいます。自立支援の取組自体、結果的にどれだけ地域移 行ができたかという数値はもちろん、今回もなかなか難しい数値ではあったかと思いま すけれども、それに関するきめ細やかな取組については、皆さんが一番御苦労されてい るので、これをもう少し上手な形で項目立てをされると良いと思います。のぞみの園の 業務の中の重要度とその評価項目が、合わない部分があるのかなあと思ったんですが、 いかがでしょうか。それともまた、新たな姿を変えることによって、この項目のままで 行くということであれば、またそれはそれなんですが。 ○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園施設管理室長  施設管理室の難波と申します。ただいまの点ですけれど、事項的には法人がつくる中 期計画の中で、既にもう事項が定められていますので、次期目標の中で、これから中期 目標をつくる際に、どういう項目を入れるべきか、少し検討はさせていただきたいとい うふうに思っております。 ○部会長  よろしいでしょうか。今回の暫定評価に関しては、もう既に評価項目が出ていますの で、それに基づいて……。 ○宗林委員  はい、結構です。 ○部会長  今後に向けての御提案がございました。それから、先ほど山村委員からも御提案があ りましたように、この2ページの1に関しては、誤解がないように、有期限であるとい うことと、それから国のモデル施設として、行動障害が著しい、対応困難な方に対する 支援のモデル施設として位置づけるということで、またそれが全国から集めてというふ うな、昔の形の長期収容施設のようなイメージにとられないように、少し、ここは文言 を変えさせていただくということで、この文章・文言の修正は、事務局と私にお任せい ただくということで、また委員の方々にも御相談させていただきますが、それでよろし いでしょうか。 ○真野委員  聞き逃した部分があるのかもしれませんけれど、有期という話が出ていましたが、こ れはどういう意味での有期なのでしょうか。 ○部会長  基本的には、終身でお預かりしますよという、以前のような契約があったものですか ら、いろいろ、そういうことになっていますけれど、指導の支援の方法さえ徹底されれ ば全国の先駆的な施設でもやっていますので、国としてそのモデルを提示し、その職員 の方の養成・研修を一方で書いておられますから、そうしてまた帰すというようなこと かと思いますが、そういうふうに考えてよろしいでしょうか。 ○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園施設管理室長  もう少し説明させていただきますと、今回の自立支援法の新しいサービス体系になり ますと、今現在、のぞみに入っている方は、生活介護という形で入っておりまして、こ れは期限なしです。それから自立訓練とか、新しいサービス体系の中では、期間を限っ た形でサービス提供をする、と。そういう意味での有期限という意味です。 ○部会長  それでは、ちょっとここは文章を精査させていただくということで、誤解のないよう にさせていただきます。 ○大島委員  今の結論で結構ですけれど、やはり現実に生活している方が四百何十人いらして、生 涯というお約束で入っていらっしゃる中で、少しでも、次の計画に向けて、今後どんな ふうに方向をつけていったらいいのか。長期計画はもちろん、これから考えられると思 いますけれども、今回の業務の実績の評価に関しては、こういう結論を書かせていただ いたということだと思いますが、文言等、誤解のないように、今、御指摘いただきまし たように、変えさせていただきたいと思います。 ○部会長  それでは、その部分を一部修正させていただき、この暫定評価案を、8月末に開催さ れる総会で御報告をしたいというふうに思っております。今の取り扱いとあわせて、事 実誤認、あるいは誤字・脱字があった場合には、また私の方に一任をしていただくとい うことで取り扱わせていただきます。よろしいでしょうか。 (異議なし)  のぞみの園の今後に向けての、各委員からの、いろいろな御提案、あるいは御心配や らをいただきました。次期の計画に向けて、何らかの項目変更とまでは行かないにして も、御提案いただいたことを少しくんでいただいて計画ができればよろしいのですけれ ど。なかなか難しいかもしれませんけれど、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは最後に、法人理事長よりコメントをいただけましたら幸いでございます。 ○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長  今回、暫定評価ということで、スケジュールが大変タイトな中でおまとめいただきま して、本当にありがとうございました。評価結果につきましては、当法人のこれまでの 4年間の積み重ねに対する評価ということで、当然、重く受けとめなければならないと 考えております。  振り返ってみますと、若干、感想めいたことになってしまいますけれども、独立行政 法人に移行して、全体的に財政規模あるいは職員数などを縮小していく中で、幾つもの 新しい業務に取り組んでいかなければならないということで、大変苦しいような状況も あったかなあと思います。それにしても何とかここまで来られたという思いがあります し、一方で、もう一頑張りできたのではないかということで、反省の思いもございます。  また、この4年間、当部会からも多くの御意見、御助言を賜りました。その多くは、 のぞみの園はもっと力を出せ、もっと力を出せるはずだと、叱咤激励していただいたも のと考えております。今回の暫定評価、特に留意点として御指摘いただいたことを踏ま えて、また、これまでいただいた貴重な御意見などを常に念頭に置きながら、役職員一 体となって取り組んでまいりたいと考えております。先生方におかれましても、引き続 き御指導、御鞭撻のほどを、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。 ○部会長  どうもありがとうございました。それでは引き続きまして、国立重度知的障害者総合 施設のぞみの園の、組織・業務全般の見直し当初案の審議を行います。事務局からの説 明の後、法人所管課より御説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  会議の冒頭で御説明しましたとおり、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園につき ましては、資産債務型、特定事業執行型に分類されております。実物資産の原則売却及 び金融資産の圧縮、官民競争入札の積極的な運用、類似の事務・事業の一体的実施など の視点を踏まえまして、見直し当初案を作成しているということでございます。それで は、所管課の方から御説明をお願いいたします。 ○障害保健福祉部障害福祉課施設管理室長  施設管理室長の難波と申します。お手元の、資料1?1から1?3に沿って御説明を させていただきます。初めに資料1?3の3ページをご覧ください。今期の中期目標の 現状という形で、まず、説明をさせていただきたいと思います。1点目の、業務運営の 効率化の点ですが、これは行革の重要方針に定められている人件費の削減という方向が ありますが、これに沿って、右の枠内に常勤職員数の削減を示しています。定員につい ては法人設立時に比べて1割カットするという形で設定しています。それから現員につ いては定年退職者の後補充は行わないという方針で行っていますので、定員と現員が乖 離していますけれども、そういう形で推移してきている。必要な人員については非常勤 対応という形になっています。  それから2点目の、役職員の人件費の総額ですが、基本的には毎年5%以上の縮減を やっているということで、各年度の金額はここに書いているとおりです。それから役職 員の給与の引き下げについても、毎年度3.5%の削減。その結果、ラスパイレス指数で 言うと100を切るという状況になっており、100余りある独立行政法人の中でも下位を 占めているという状況になっています。  それから左の(2)の、一般管理費、事業費の関係でございます。法人設立時に比べ て13%以上の削減を行うということですが、右の表にあるように、基本的には19年度 を見ますと、14年度に比較して13.1%の削減という形で目標を達成しているという状 況でございます。  次の4ページ、財務内容の関係でございます。自己収入比率を38%以上というのが ありますが、各年度を見ていただけばわかるように、38%を超える形で自己収入を上げ ているという状況でございます。  それから一番大きな問題である、自立支援のための取組について。入所利用者の3割 から4割程度を縮減するという問題ですが、右の枠内に書いているように、本人の理解 や保護者の理解、同意、それから地域における生活の場の確保など、いろんな条件の中 で、できるだけ多くの方に地域に戻っていただくという努力はしておりますが、結果と しては、15年度は半年間しかなかったということもありますが、16年度以降は徐々に 地域移行をされる方々も増えてきている。19年度においても7名となっていますが、 既に自治体あるいは事業所と調整されている方というのが20名ほどおられますので、 18年度の実績を超えていくだろう、と。そういう意味では、これらの地域移行が定着 していっているというふうに理解しております。いずれにしても、まだ目標は達成され ていませんが、そういう状況になっているということでございます。  少し戻っていただきまして、資料1?1をご覧ください。のぞみの園の組織・業務全 般の見直し当初案ということでございます。法人の事業概要は、ここに書いていますよ うに、重度の知的障害者に対する自立のための先導的かつ総合的な支援の提供と、知的 障害者の支援に関する調査及び研究ということでございます。個別の事業は1〜4に書 いているとおりでございます。そういった点で、組織・業務全般の見直し当初案という ことですが、一つは先ほど申し上げたとおり、施設利用者の3割から4割について、地 域生活へ移行するという大きな問題がございます。次の2ページですが、この点につい ては次期中期目標においても引き続き地域生活への移行を進めていく。それに加えまし て、地域生活への移行に関する援助技術について、関係施設等への提供を行っていくと いうことでございます。  それから2番については、これは新規の事項ということで、新たな利用ニーズへの対 応及びサービスモデルの提供ということでございます。先ほどもちょっと議論になりま したが、自傷・他害等の行動障害を有する重度の知的障害者の方々に対しての行動援護 や自立訓練等の日中活動サービスを新たに提供してはどうか、と。この点について、有 期限のサービスに限定する。これは新法人設立時に終身保護的な入所はもう入れないと いう方針を打ち出していますので、有期限のサービス提供を行っていくということでご ざいます。  それからサービスモデルを他の関係機関等に提供するというのは、民間の施設につい ては昨年10月の自立支援法の施行がありますが、新しいサービス体系にまだ移行して いません。5年間の経過措置があるという形になっていますので、既に新サービス体系 に移行しているのぞみの園においてサービスモデルをつくりまして、民間施設への情報 提供等を行ってはどうかということでございます。  それから調査・研究、情報の提供ということでございます。著しく支援が困難な方々 に対する支援技術等について、特に関係機関や大学等、外部機関との連携を図りながら、 その調査・研究を行う。これにより支援技術を確立する必要があるのではないか、と。 そして、その成果を関係者等へ提供していくといったことでございます。  それから3ページをご覧ください。養成・研修、それから障害者支援施設に対する援 助・助言ということですが、これも行動障害を有するような支援困難者に対する支援技 術の専門的かつ高度な養成研修であるとか、こういった援助・助言というものを行って いくということでございます。  それから2点目の、事務・事業の民営化、市場化テスト、他法人への移管等、一体的 実施について。これはさきに閣議決定されました、独立行政法人の整理合理化の基本方 針に沿った対応という形でございます。当法人においては、既に先ほど申し上げたとお り、重度知的障害者に対する自立のための先導的かつ総合的な支援を行う。それから、 総合的な支援に関する調査及び研究という、公的な役割を担っているということであり まして、立ち後れている知的障害者福祉の現状を考えれば、引き続きその役割を担って いく必要があるということでございます。  それから昭和46年に、のぞみの園は特殊法人として設立され、当時は地域での生活、 あるいは民間施設への受け入れが困難な方々、重度の知的障害者の方々を受け入れてき たということですが、その意味では終生保護(終の住みか)という形で入所されてきた ということでございます。しかし、現在では施設から地域へという大きな流れがありま すので、引き続き地域生活への移行を進めていくということでございます。  それから、地域生活へ移行される方はそういうことですが、3割から4割の地域移行 をされた残りの方々については、高齢等により、また、地域生活が難しいだろうという ふうに判断しており、そういう意味においては、当園において引き続き生活を余儀なく されるということですから、事業を引き続き実施する必要があるということでございま す。それに加えて調査・研究、養成・研修など、そういった役割も引き続き担っていく 必要があるということでございます。  それから他法人への事業の移管等ができないのかどうかという問題ですが、同種の事 務・事業を行う独立行政法人はなく、そういう意味において一体的実施というのは事実 上困難であろうというふうに考えています。したがって、当法人において現行組織体制 の中で、引き続き事業を続けていく必要があるということでございます。  それから3の、業務の効率化。一般管理費、業務費等の見直しということですが、施 設利用者の3割から4割の地域移行ということになると、必然的に人件費あるいは物件 費の縮減が図られるということであろうと思います。  5ページは随意契約の関係ですが、これについても可能な限り競争入札等の比率を高 めていくということでございます。  簡単ではございますが、以上でございます。 ○部会長  ありがとうございました。ただいま当初案の御説明がありましたが、御意見があれば お願いいたします。 ○山村委員  文言のことですが、3ページの(3)、(4)の後ろの方に「支援困難者」という言葉 が出てきます。この文書が公になったときのことを危惧するわけですが、「支援困難な 者」ということにしていただきたい。「何々者」ということになりますと、その言葉が また一人歩きをしていきますので、慎重にしたいものだということです。 ○部会長  ありがとうございました。「支援困難な者」という形で、「な」を入れていただくとい うことですが、よろしいでしょうか。 ○障害保健福祉部障害福祉課施設管理室長  はい。 ○大島委員  1ページの一番下、「3割から4割の者を地域生活へ」という部分ですが、高齢であ り、かなり重度重複の方々を3〜4割、地域生活といっても他府県の同様の施設である とか、なかなか、ケアホームまでは難しいという予測がされる中で、この3〜4割とい うことを、また書かなければならないものなのかどうか。結局、今回と同じような評価 になると思うんです。随分努力をされていても、御存じのように非常に劣悪な施設も、 全国的には見られるところでありまして、のぞみの園のようなレベルの対応をするとこ ろというのは、それほど多くないと思いますので、この設定は変えることができるのか、 できないのか質問させてください。 ○障害保健福祉部障害福祉課施設管理室長  前回も御指摘があったかと思いますが、第1期の中期目標において3割から4割、こ れは日常面あるいは行動面からして地域移行ができるであろうという方、それから、や や難しいだろうという方も含めて3割から4割という設定をしていますので、次期の目 標に当たっても、要するに、これを下げる理屈というのが、なかなか難しいというふう には思っておりまして、したがいまして、3割から4割を踏襲しながら、次期の目標で 設定する必要があるのではないかと、そのように考えております。 ○宗林委員  この3割から4割というのは、今回の期末に対してということになりますよね。この 前のときには、最初の、全部の入所者から、そして地域移行された方とお亡くなりにな った方とをあわせて、今、何十人ですか、減っていますけれども、またその減った人に 対して3割から4割ということですよね。 ○障害保健福祉部障害福祉課施設管理室長  そこは、なかなか書き方が微妙なところでありまして、地域移行を進めることによっ て3割から4割の方々を縮減していくということを書いています。起点はどこかと申し ますと、これは14年10月の新法人設立時の500人をベースにして、3割から4割とい うふうに、私どもは理解しております。 ○宗林委員  それなら私もよく話はわかるんですが、こういう、中期とかというのは、一つの単位 として、いつに対して数値を設定されるのかなあと思っていましたので。こういうふう に書くと、普通は期末に対してというふうに受けとめるのではないかと思いましたので、 お聞きしました。 ○障害保健福祉部障害福祉課施設管理室長  最終的な中期目標の文言を整理する中では、そこはきちっと示しています。今は概要 版で整理をさせていただいていますので、そこは整理をさせていただきたいと思います。 ○部会長  よろしいでしょうか。当初定員というか、そういう考え方の、当初の人数ということ です。そのほか、いかがでしょうか。  今、修正意見のあったところは3ページの2点と、そのほか「3割から4割」は、そ ういう理解をしていただくということで、これを下げることはできないということです ので、このまま行かせていただきます。以上で大方の御意見をいただいたということで、 あとは少し文言整理をしていただき、この当初案についてはこれで了承することで運ば せていただきます。どうもありがとうございました。  独立行政法人国立重度障害者総合施設のぞみの園について、いろいろ御意見も出まし たけれども、最後に理事長より一言お願いいたします。 ○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長  独立行政法人の整理合理化について、厳しい方針が打ち出されていますけれども、そ のような中で、のぞみの園について、独立行政法人として引き続き法に定められた業務 に取り組んでいく、そういう方向で見直し当初案をまとめていただいて、当部会として 御了承をいただいたということで、大変ありがたく思っております。厚く御礼申し上げ ます。  先ほどもいろいろ申し上げましたけれども、若干、つけ加えさせていただきますと、 国の障害者政策を実践するモデル施設として、評価に値する成果を上げていくためには、 職員の専門性を一層高めていかなければならない。あるいは全国の関係者との協力・連 携の輪を、もっともっと広げていかなければならないなど、課題もたくさんあると認識 しております。  のぞみの園の役割はもとより、のぞみの園が直面している課題、あるいはのぞみの園 を取り巻く厳しい環境などを、役職員全員がもう一度原点に立ち戻って、自覚して、知 恵を絞って汗をかいて、全力投球していかなければならないと考えているところでござ います。先ほどもお願いしましたけれども、先生方におかれましては、引き続き、御指 導、御鞭撻を賜りますように、重ねてお願い申し上げます。 ○部会長  ありがとうございました。のぞみの園については見学に行かせていただいたこともあ り、委員の方々からの御意見をたくさんちょうだいいたしました。また引き続き、勉強 しながら、国のモデルですので、より一層努力をしていただきたいと思っております。 今日はどうもありがとうございました。  事務局の入れ替えがありますので、5分ほど休憩をとらせていただきます。 <第3部:医薬品医療機器総合機構の組織・業務全般の見直し当初案について> ○部会長  それでは再開いたします。医薬品医療機器総合機構の組織・業務全般の見直し当初案 についてでございます。事務局から説明をしていただき、法人所管課より御説明をお願 いいたします。 ○政策評価官室長補佐  会議の冒頭で御説明しましたとおり、医薬品医療機器総合機構については特定事業型 に分類されています。官民競争入札の積極的な適用、類似の事務・事業の一体的実施等 の視点を踏まえて、見直し当初案を作成しているところでございます。所管課の方から 説明をお願いいたします。 ○医薬食品局総務課長  総務課長の中澤でございます。机上配布資料の2?1で御説明いたします。「独立行 政法人医薬品医療機器総合機構の組織・業務全般の見直し当初案について」というもの でございます。1ページ、2ページ目は、機構の現状ということで、大きく3本の柱で 業務を行っている、と。すなわち審査関連業務と安全対策業務と、それから次のページ ですが健康被害救済業務ということで、多少、業務のボリュームを知っていただくため に数字が入っていますが、このあたりは割愛したいというふうに思います。  次に3ページをご覧ください。ここからが見直しの当初案でございます。まず、私ど もが現状どのように認識をしているかということですが、総合機構は平成16年4月の 発足以来、審査・安全体制の充実強化に努めてきたわけですが、審査員等の人員はなお 十分ではないということで、審査・安全業務の増加や専門性の高度化への対応がより一 層求められていると、このように私どもは状況認識をしているところでございます。  とりわけ、近年、医薬品等のグローバル開発や国際共同治験が進展していく中で、今 や国境を越えた一つのマーケットになっているということでありまして、欧米と比較し て、我が国の承認審査の遅れが、「ドラッグラグ」等の問題として指摘されているとい うことでございます。  このような中で、昨年の12月ですが、政府の総合科学技術会議の意見具申で、「医薬 品の承認審査の迅速化・効率化を図るため、当機構の審査人員について、おおむね3年 間で倍増すべき」との事項が盛り込まれております。これを受けて本年3月に、当機構 の中期目標、中期計画を変更し、平成19年度からの3年間で審査人員を236名増員す るということが実現したわけで、現在、採用活動に努めているということでございます。  しかしながら、我が国が欧米と並ぶ三極として国際的な役割を担っていくためには、 なお、この総合科学技術会議の意見具申、これは医薬品だけですから、それ以外の分野 等々を含めまして、さらなる審査・安全業務の充実が必要ではないだろうかということ で、今回、見直し案を作成したということでございます。  4ページをご覧ください。何本か柱を立てていて、一つは審査関連業務の中での見直 し案ですが、一つは新医薬品、新医療機器の審査等の一層の迅速化ということでござい ます。見直しの方向性ということで、2点書いています。一つは医薬品でございます。 ドラッグラグの短縮へ向けた新医薬品審査関連業務の充実ということで、これは先ほど 申し上げました236名の増員を、どのように活用して審査の迅速化を進めていくのかと いうことで、これが次の中期計画の一つの柱になるだろうということですが、2011年 度までにドラッグラグを2.5年短縮する。これをもって欧米並みということですが、そ れの実現に努めたいということでございます。そのために、もろもろの業務の充実を図 っていくというものでございます。  それからもう一つが「イ」ですけれど、これは医療機器を念頭に置いています。革新 的な医療機器創出のための審査関連業務の充実ということでございます。先ほど申し上 げました医薬品については236名の増員ということで、一つの方向性が見えているわけ ですけれども、残された医療機器についてどうするかという問題意識でございます。次 の行から、「革新的医薬品・医療機器創出のための5カ年戦略」と書いてありますが、 これは厚生労働大臣と文部科学大臣、それから経産大臣の3大臣の合意で、先般、5カ 年戦略というものが策定されたわけですが、この中でも医療機器の審査あるいは相談業 務の充実、機構におけるそういった業務の充実が必要だということがうたわれており、 私どもも、その流れを受けて、機構における審査の迅速化のための業務の充実を実現し たいというふうに考えている次第でございます。  参考として書いてあるように、医薬品の場合にはドラッグラグが2.5年ということで すが、医療機器の場合には、日本と米国とで比較すると、臨床試験が必要な新医療機器 についてデバイスラグが2.1年というふうに言われているところでございます。  それから次のページ、審査関連業務の中の2つ目の見直し案でございます。新医薬品 以外の医薬品の審査の充実ということで、2点書いてございます。一つは後発医薬品の 使用促進に伴う申請品目増に対応するための審査の充実ということでありまして、骨太 の方針と言われている「基本方針2007」において、これは政府の決定ということです が、後発医薬品の使用促進ということがうたわれています。医療費の削減の大きな目玉 ということでありまして、そうしますと、できるだけ早い承認審査が必要になってくる ということでございます。かつ、また、後発品については、ここに2つ書いていますが、 先発品の全規格の申請が必要となる。これは具体的に、例えば薬について申し上げます と、25ミリグラムとか50ミリグラムとか、いろいろ規格というものがありますが、後 発品を開発して申請するときには、先発品と同じものを全部取りそろえる必要があると いうことにしたいということでありまして、全規格の申請が必要となるということや、 今後、大型製品が相次いで特許切れになるということで、後発品がこれから増えてくる ということが予想されていますので、そういう審査品目の増加、それからもちろん、そ の迅速化ということから、審査体制を充実したいというものでございます。  それから「イ」ですけれど、セルフメディケーション、すなわち自分で健康管理を行 っていこうではないかということですが、そのためのOTC、これは一般用医薬品とい うことですけれども、OTC医薬品の審査の迅速化というものでありまして、これにつ いても当然のことながら、体制の整備も含めた、さまざまな事業の充実を進めたいとい うことでございます。  それから6ページをご覧ください。やはり全体として審査体制の中の一つの事項でご ざいますが、治験の信頼性向上のための調査方法の見直しや、欧米以外の各国への査察 の強化というものでございます。内容的には2点ありまして、一つは被験者保護の徹底 や調査の有効な実施のための信頼性保証業務の充実と書いてありますが、これはGCP 調査といいまして、臨床データをつくる、その治験が、国が定めたルールどおりに行わ れているかどうか、いわば申請データがきちっとしたルールに基づいてつくられている かどうかということを調査するという業務がありまして、これについて、国際的な趨勢 も踏まえつつ、書面調査の実施方法を見直しまして、企業訪問型の調査方式の導入等を 行うこととし、そのための信頼性保証業務の充実を図りたいというものでございます。  それからもう一つは、欧米以外の各国の製造所への査察の強化など、GMP/QMS 調査の充実ということでありまして、これは製造プロセスを、同じように調査をすると いうことですが、欧米以外の各国の製造所に対する査察を強化したいということでござ います。アジア地域を中心に、こちらの方の充実も必要があるということでございます。 ちなみにGMPというのは薬で、QMSというのは医療機器ということですが、同じも のをちょっと別の言い方をしているということでございます。  参考に書いてありますが、今まで審査全体について、大きく3本、業務の見直しを行 いたいということで御説明したわけですけれども、そもそも審査関連業務の民営化とか 民間委託はできないのかという、そういう問題意識が一方でございます。これについて 私どもは、ここに書いてありますが、そもそも医薬品や医療機器の安全性や有効性とい うものは、国が承認という形で国民に対して保証をしているということですから、それ を法律に基づいて、機構に、その前段階である審査をお願いしているという形になって おりまして、それを民営化する、あるいは民間委託するというのは、およそあり得ない ことではなかろうかと、こういうふうに整理をしているわけでございます。  それから7ページをご覧ください。次は大きな2つ目、安全対策業務でございます。 「グローバル開発やライフサイエンスなどの新しい技術に対応して」ということで、リ スク管理を的確に行う安全対策の充実が非常に重要であるということでございます。従 来の「事後対応型」の安全対策から、「予測・予防型」の安全対策へ進めるため、以下 の措置を実施することとし、安全対策業務を強化するということでございます。  まず一つ目が、副作用。これは医薬品です。それから不具合、これは医療機器ですが、 そういった症例評価の充実強化ということで、これまでの評価プロセスを改善するとと もに、専門分野単位で置かれるチーム数を充実し、専門性の高い視点からのチェックを、 より深く、かつ迅速に行いたいというものでございます。  その他、科学的評価機能の強化とか、医療現場、国民等に対する情報提供の充実とか、 個別品目ごとの一貫したフォロー体制といったことも構築していきたいということでご ざいます。参考に書いていますが、同じように、民営化、民間委託できないのかという ことですけれども、市販後の安全対策も非常に重要でありまして、これも国の責任で行 っているものですから、現在、機構に行わせているものを民間委託するといったことは、 当然、あり得ないということでございます。  それから次に、健康被害救済業務。3本目の柱の最後ですが、2点書いていまして、 副作用被害救済等の迅速な処理というのが1つ目でございます。これまで、相当、改善 はされてきておりますけれども、できるだけ早く、被害者の救済を実現したいというこ とで、調査業務を充実させまして、給付につなげていきたいということでございます。 できるだけ早く救済ができるような形にしたいということでございます。  それから2点目は、スモン患者、それからHIVの感染者等に対する、裁判上の和解 に基づくさまざまな給付事業ですが、これは効率的な実施をしていきたいということを 考えているところでございます。こういった業務の民営化、民間委託については、これ は裁判上の和解ということで、一旦関係者の合意のもとで決まったものですので、これ を民営化するとか、そういったことはおよそなじまないだろうということでございます。  それから最後のページ、その他ということで、さまざまな合理化、効率化を進めたい と考えております。一つは業務・システム最適化計画の策定による業務・システムの効 率化。それから随意契約の見直しによる経費節減といったこと。それから外部委託の推 進といったことも、努力したいということでございます。  最後に、業務体制の見直しということで(5)に書いていますが、今、私の方で申し 上げました、さまざまな業務に関する見直し案を実施するということで、必要な要員を 確保していきたいということでございます。他の法人と違うところは、国費ではなく、 基本的には手数料や拠出金といったもので賄われているということでありまして、そう いった事情のもとで、必要な要員を確保していきたいということでございます。  以上、説明を終わります。 ○部会長  ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について、御意見あるいは御質 問等がありましたら、どうぞお願いをいたします。 ○大島委員  4ページのドラッグラグに関して、2011年度までに欧米並みにするということです けれども、4年たって初めて欧米並みというのは非常に遅いのではないかということを 思います。そうでなくても報道等で、日本で受けられない、いろいろな医薬品の治療と いうことが報道されていますし、それから個人輸入であるとか、いろいろなことが言わ れている中、4年で欧米並みということの見直しをお願いできないものだろうかという ことが一つです。  それから2番目に、後発医薬品に関してですが、個人的ないろいろな交友関係その他 で、お医者さんから聞いたところ、後発に関しては効き目が非常に低くなっているとい うようなことを聞いたことがありまして、どの程度の後発品の内容なのかということに 関する情報公開というのが、もう少しされてもいいのではないか。同じものでも、例え ば利幅が大きいので後発を使うというような話をするドクターも知っています。そうい うふうなことで効果が薄く利幅が大きいものを使うんだというようなことが国民の間に 流れるということは、非常に残念なことでありまして、その辺の情報公開というのは、 どのようにされているのかということです。  それから被害者の救済に関してですけれど、被害者の救済に関しても、副作用被害、 それから健康被害全般ですけれども、多くの方が亡くなっていった後に救済されるとか、 あるいは、かなり和解に向けての努力をするのに数年かかった上で、またその後に処理 をされるのに、また時間がかかるということで、私も含めてですが、国民は、もっと早 くならないものかというような期待があるものですから、その辺が、迅速な処理という ことだけではなく、もう一歩、二歩、進んだことにならないのかどうかということを質 問したいと思います。 ○医薬品医療機器総合機構理事長  まず第一点目、ドラッグラグの解消に向けた新医薬品審査関連業務の充実ということ で、これは現在の、第1期の中期計画の変更の際にも御説明申し上げましたけれども、 昨年末の総合科学技術会議の答申を受けまして、いわゆる審査体制について、現在のま までは、なかなかドラッグラグを解消するような機能強化ができないということで、審 査人員を倍増して、かつ、審査・相談内容の質、量等の向上を図った上で、その解消を 目指そうということで、236名を2007年、19年度から3年間で増員して、先ほど4年 というお話がありましたけれど、実は2007年から言いますと5年後なんですが、一応、 5カ年計画という位置づけで、5年後には日米のドラッグラグの差をなくすという、こ ういう枠組みで整理されてきたところであります。  できるだけ早く実現できるのに越したことはないわけでありますけれども、ただ現実 問題として、まず236名を採用するというのは、なかなかこれを一気にというのは難し い問題がありますので、3年間ということでも正直申しまして、なかなか厳しい条件で ありますけれども、我々としては、今、全国的に精力的なリクルートをいたしまして、 この3年間で何とか236名を採用したいと思っています。  かつ、採用してすぐ翌日から即戦力というわけにはいきませんので、当然、いろんな 研修なり専門性を向上させるような育成を行って、ようやく一人前の審査スタッフにな るということを考えますと、なかなか、採用してすぐにパフォーマンスを上げるという のは難しい状況でありますので、5年後に日米のドラッグラグをなくすということで、 現実的には、前半はなかなか、ちょっと、パフォーマンスを上げていくというのは難し いかと思いますけれども、人員がそろって専門性の向上の育成がある程度整ってきます と、後半はかなり急激にパフォーマンスを上げていけるのではないかというふうに思っ ています。  この日米のドラッグラグの差、2.5年を短縮するというのは、実は審査部門で1年、 それから申請前の開発期間の方で1.5年、あわせて2.5年を短縮するという構図になっ ていますけれども、審査期間の1年短縮という部分についても、現在、約2年かかって いるのを半減して1年にするということで、これは私どもとしてはかなり高いハードル といいますか、相当の覚悟で努力しないと、なかなかクリアできない高い目標だという ふうに思っていますし、それから開発前の期間の1.5年を短縮するというのも、これは 開発戦略の相当早い段階から、私どもと申請者側とがコミュニケーションをして、戦略 を練って開発を促進していかなくてはいけないということで、全体としてのシステムを 大きく変更して、現在、審査段階でかなり申請者とのやりとりが膨大にあるために、審 査自体が遅れているというところを、できるだけ申請前の相談段階に前倒しして、事前 評価といいますか、予備的審査という形で、できるだけ早い段階に基本的な問題を解決 しておくという方向に、大きく、システム自体をシフトさせていきたいと思っています。  その上で、相談の方をかなり大幅に充実いたしまして、現在が280ぐらいの相談回数 でありますけれども、それを最終的には1,200回ぐらいということで、約4倍ぐらい増 やすという形で、いわゆる相談段階で、事前評価、予備的審査という形で、できるだけ 早期に問題を解決していくという形をとらないと、全体としての2.5年を縮めるという のは、なかなか至難の業ではないかと思っていますので、そういった新プランを、関係 者と協議しながら策定して、今年の4月からスタートしていますけれども、その、つく られた枠組みの実現に向けて、最大限の努力をしていきたいと思っております。これを 更に早くするというのは、なかなか難しいかなあと思っていますので、そのつくられた 枠組みを、とにかく決められた目標に向けて実現するということに当面は全力を尽くし ていきたいと思いますし、当然これは、第2期計画にもまたがる部分ですので、第2期 においても、それを着実に実行して、最終目標を実現するということに総力を挙げてい きたいと思っております。 ○医薬品医療機器総合機構理事(技術総括・安全担当)  2問目の、後発品の効き目に対して疑問があるというところですけれど、承認審査の 際には、先発品と後発品の品質が同等かどうかというのを、データを見て審査をし、あ るいは血中濃度、体内での濃度が先発品と後発品で同等に上がるのか、同レベルに上が るのかというところを審査して承認を与えております。  そういう、生物学的同等性といいますか、血中濃度のデータを情報公開し、医療関係 者がそれを知ることによって、先発との同等性というものは、よく理解できるだろうと 思うわけであります。こういった情報については、先般、後発品の添付文書情報に、そ ういう、先発品との比較における同等性のデータを掲載してはどうか、と。そういった 指導通知が本省から出ておりまして、来年の3月までの間に、そういった整備をするよ うにということで、今、後発品メーカーは添付文書の改訂作業を行っています。改訂さ れた添付文書については、現在、総合機構の情報提供ホームページで、電子情報として インターネットでもって見ることができる仕組みを設けていますので、医療関係者が随 時、それは企業から寄せられる紙の添付文書を見てもよろしいですし、総合機構のホー ムページにアクセスしていただいて、いつでも、そういったデータを見ることができる という状況に、今、なりつつあるところでございます。 ○医薬品医療機器総合機構理事(総合調整・救済担当)  3点目として、救済関係の業務について御指摘がありました。多くの方が、裁判で時 間がかかって亡くなっているということで、それは主に8ページの2番のところです。 裁判上の和解の話については、その和解に基づいて給付をするということですので、そ うなっていますけれども、私どもが実施している救済業務の一番大きなところは1番の ところです。もともと、この救済をしているのは裁判をするとどうしても時間がかかる、 法的責任があるかないかを争うということになると、3年とか5年とか、あるいはもっ とかかるということで、それを、そういうことではなくて、できるだけ早く救済すると いうことで、企業から拠出金を出してもらって、いわば法的責任ということではなくて、 企業の社会的責任に基づいて、とにかく早く救済するということでできた制度です。そ ういう趣旨で、運営をするということが重要だろうと思っておりまして、そういう意味 では、私どもの担当している事務処理についても、できるだけ早く対応するということ が必要だろうと思っております。 ○宗林委員  2点ほどあります。審査業務についてですけれど、まず新医薬品の方の審査業務につ いては、これまでに既に100人ほどの増員をされてきたのだろうと思いますが、今年度、 滞貨処理も結構ありましたので、目標を、まだ達成できていませんでした。、ここから 先3年間で236名という、今の、現員の方を倍にするということですので、全体像の職 員の年代ピラミッドも含めて、結構混乱し有効に結果が出るまでに、かなり大変なんじ ゃないかという気がいたします。  これまでも、検討の中で何度もお話しさせていただきましたので、その人材の確保で、 いろんな方を、FDAとの交流も含めてですけれども、やっていただいて、この236名 の増員をつけるに当たっては、審査手数料の値上げということで賄っておられるので、 何年間かたった後の結果と見合ってこないと、なかなか難しい、深刻なものになるかな あと思われますので、大変なことだろうと思いますけれども、ぜひとも、その辺をよろ しくお願いします。  また、それ以外の審査業務の、例えば医療機器。これは、これまでもしていましたけ れど、今回、見直しの中で、後発医薬品とOTCが改めて、今までは項目として評価対 象にはなってきませんでしたが、改めて評価されるということで、私は大変いいことだ と思っています。OTCも、国民にとっては非常に触れることの多い医薬品ですし、ま たこのOTCは、現在、少し低迷しているというような状況もありますので、ぜひとも 積極的に実施していただきたいと思います。先ほどのこの236人の増員というのは、多 分、新医薬品の方に充てられると思いまして、現実問題として、新医療機器特に、例え ば再生医療等も含めて、この何年間か、申請される方も承認を受ける件数も非常に減っ ているという状況にあり、ましたので、これらをどうやっていかれるのかと心配しつつ、 これまでやってこなかった項目について、改めて項目に起こしていただくということを 私は歓迎いたします。よろしくお願いします。 ○部会長  はい、御意見として伺いました。お返事については後でまとめていただくこととして、 ほかに御意見がありましたらお願いいたします。 ○浅野委員  先ほどのドラッグラグの問題ですけれど、実際にはドラッグラグを解消するには、企 業が申請をしなければいけない。それから、治験を行う場合には、患者さんも協力しな ければいけない。ですから、場合によっては、機構さんのみでは解決できない問題もあ るわけです。特に今後は日米欧の共同治験を一斉にしないと、同じ薬がグローバルに使 われないという実態もあります。そのときに日本の治験を、日本で是非やっていきたい ということを、アメリカとヨーロッパで既に行われていて、日本も仲間入りしてくださ いと、向こうから言ってくるような環境もつくらなければいけない。そういう事情もあ るので、是非、機構さんだけではなくて、機構さんと関連するような、例えば企業、患 者さん、それから医療機関、そういうものがどこかで連携して、そういう日本のドラッ グラグをなくすために推進するような事務局的な機能を是非果たしていただいたらいい んじゃないかというのがもう一点です。  それから、先ほどの人の増員ということですけれど、確かにすごく増員するのは難し いことではあります。ただし、一方、教育の場で大学の方でも、最近は、公衆衛生大学 院のようなところで、こういう申請に携わるような人たちを目指した養成も始まってい るようなので、そういうところとも、多分もう既にいろいろあるとは思うんですけれど、 一層の連携も図られたらと思います。また、、既存の人たちも永くモチベーションを持 って働けるように、ある意味では再教育を、またこれを大学と連携していくような形で 実行する、そういう点も是非、いろいろお考えいただければいいのではないかと思って います。 ○部会長  ありがとうございました。 ○部会長代理  後発医薬品のことですが、一つの成分に対してたくさんの後発医薬品が発売されてい ると思います。これだけのものが本当に必要なのか。それから、名前が同じようなもの もあり、非常に紛らわしい状況があります。全て承認するのではなくて、ある程度、整 理ができるものなのかどうか。今後の話ではありますが、お考えをお聞きしたい。それ から、やはり後発医薬品の場合、流通や情報が、なかなか整備されていないと思います。 どれだけ、承認した場合にきちんとした体制がとれるのかというようなことを、教えて いただきたいと思います。 ○部会長  それでは、よろしくお答えをお願いいたします。 ○医薬食品局総務課長  私の方から、まず一つお答えしたいと思います。医薬品の承認審査の話で、審査する 側だけではなくて、企業側あるいは患者側、それから病院ですか、そういった総合的な 観点からの取組が必要で、どこか事務局的な機能を果たすようなものが必要ではないか というようなお話があったかと思います。これは私、先ほどの説明の中でも、一部、言 及いたしましたが、3大臣で「革新的医薬品・医療機器創出のための5カ年戦略」とい うものを策定しておりまして、その中では承認審査だけではなくて、臨床研究、治験環 境の整備、あるいはベンチャー企業の育成など、非常に幅広いテーマをカバーした一つ の方向づけがなされていますので、そこの作成というのは、これは医政局の一つの課が 担当しているわけですけれど、そういったところが中心になって推進されていくものだ ろうというふうに考えているわけです。 ○医薬品医療機器総合機構理事長  それから新プランの推進については、確かになかなか、これを実現するというのは至 難の業ですけれども、ただ、新プランを作成していくプロセスにおいて、私どもは業界 を始め関係者とは何回も話し合いをして、調整をしてつくり上げました。その過程で、 当然これだけのドラッグラグを解消するというのは、もちろん機構だけでできる話では ありません。当然、申請者側といいますか、業界、メーカー側の協力なしには実現でき ない話ですので、まさに両者の共同作業といいますか、そういう形でこの目標達成に向 けていくということを基本的なスタンスとしていますし、その点については、申請者側、 業界側も、十分そういう認識は持っていると思います。  このため具体的には、計画についてマイルストーンという形で各年度ごとの実施すべ き事項についても整理して、かつ、それがきちんと計画どおり進行しているかどうかと いう点については、私どもと業界関係者との間でタスクフォースといいますか、そうい う、同じテーブルについたミーティングの場を設けて、そこで適宜、進行状況をチェッ クし、問題があればそこのテーブルに出して、その解決のためにどういうことをやらな ければいけないか、これは機構側、メーカー側、両方において、どういうことに取り組 まなければいけないかということを、随時チェックしながら進めていくという形をやっ ていきたいと思っていますので、そういう意味ではまさに共同作業によってこれを進め るというスタンスで取り組んでいきたいと思っております。  これは先ほどのグローバル開発といいますか、そういうものを進めていく上において も、決して機構だけで実現できるものではありませんし、当然、治験環境の整備、これ は活性化の計画も別の部署でスタートしていますけれど、そういうものと相まって、 我々の立場として取り組めるものについて、いろんな対応をしていくということで、や はり各関係者の共同作業といいますか、協力しあって実現していくという形を、今後も 実施していく必要があるだろうと思っています。  それから第2期につきましては、新医薬品については今申し上げましたように、新し いプランといいますか5カ年計画で一応の道筋がつけられていますので、それを着実に 今後実行していくということだろうと思いますけれども、それ以外の医療機器審査なり 後発品なり、あるいはOTCの関係、あるいは安全対策等もありますけれども、そうい うものについては、やはり第2期について、何を次の目標にするかということを、やは りきちっとセットして、そのために必要な体制、システムはどうあるべきか。当然それ に伴う必要な財源をどう確保するか。言うなれば目標とそれに必要な体制、それから財 源というのが一つの3点セットといいますか、そういうものとして、やはりきちっと位 置づけた上で取り組んでいく必要があるだろうと思っています。そこは、現在の文章で は抽象的な表現になっていますけれど、最終的に計画の上では、具体的な目標をきちっ とセットしていくということが必要かと思いますので、これは当然、関係者と十分に話 し合い、調整をしながら詰めていくことが必要だろうと思っております。 ○医薬食品局審査管理課長  先ほど後発品について、整理できないのかという御質問をいただきました。薬事法自 体が衛生法規ですから、品質等に問題があれば当然のことながら承認は拒否していくわ けですけれど、一定のレベル、このレベルというのは日米欧、同じレベルになっていま すけれども、これをクリアするようなものについては、承認をせざるを得ないだろうと いうふうに考えています。ただ、名前については、昔、後発品の名前で似たような名前 が次々とあって、というような話がありましたので、今やっているのは一般名プラス会 社名を基本とするという形にしましたので、名前は整理できただろうというふうに考え ています。承認をした後の、ちゃんと製造できるのか、あるいはまた、先ほど御指摘の あった情報提供をしっかりやっていくというのは当然のことながらチェックしていかな ければならないと思っていますし、そのために一斉取り締まりとか、苦情相談窓口をつ くるというような活動を、今、やっているところでございます。  そのような形で、後発品についてはやっていきたいと思っておりますけれども、先ほ ど、ドラッグラグについて、もっと早くできないのかという御指摘がありました。総体 的には理事長の方からお答えしましたとおり、治験するにしても3段階に分かれてやる わけですが、最後の段階の治験一つにしても3〜4年かかるというようなことを考える と、今、政策を打ち出してその効果があらわれてくるのは、一定の時間を猶予願わない といけないというのが実態だろうというふうに考えるわけでございます。  一方において、日本にはない画期的な薬がアメリカで承認されたとか、難病で苦しん でいる患者さんがヨーロッパに行くと薬があるとか、そういったことは切実な問題だと 考えていますので、個別具体的な問題は、有識者から成る検討会をつくって、この薬は 早くした方がいいというような御意見を賜ったものについては優先して審査をするとか、 そのような形で、個別対応はやらせていただいているところです。したがいまして、個 別対応とシステム全体として早めるという2つを着手しているということを御理解願え ればありがたいと思います。 ○部会長  ありがとうございました。今、委員から出された御意見は、この全体の中には入って いるという解釈でよろしいですか。つけ加えたり修正をするという必要はないと認めて よろしいでしょうか。 ○大島委員  例えば今の個別対応で、一番問題になっているのは、その個別対応が必要なものだと 思うんですけれど、日本では承認されていなくても外国で承認されて効果があらわれて いるものに関する要望が大きいと思うんですが、それに関してのことを、ここに記載す るということはできるんでしょうか。 ○医薬食品局審査管理課長  実を申しますと、この業務というのは、厚生労働省本省の中で、厚生労働大臣のもと に検討会をつくって、患者会や学会から要望があった品目、あるいは欧米4カ国で新た に承認になった品目、これを1品目ずつチェックして、国内に早くこれを持ってきた方 がいいということであれば、厚生労働省の方から企業に、早く申請をやれとか、あるい は治験をやれというようなことを指導し、医薬品機構の方にも、こういうものが来たら 優先的に審査をしなさいというような形で進めているものでございます。  したがいまして、機構の方から見ると、優先的に審査をするということが法律的な事 項として出てくるわけですけれど、中身として、例えば審査の質を落とすとか、そうい うようなものではなく、優先的に審査をするかどうかという決定権限は厚生労働省側に ありますので、そういう意味で申し上げますと、この中に書くとしても、かなり受け身 の形、厚生労働省の指示を受けてとか、指導を受けてとか、そういう形になるのかなあ というふうに考える次第でございます。 ○部会長  ありがとうございました。委員の意図は、要するに、組んでいただいていると思いま すので、また細部の計画をつくるときに、可能な限り検討していただくということで、 大島委員、よろしいでしょうか。 ○大島委員  はい。 ○部会長  それでは、今日、議論がいろいろ出ましたので、それも踏まえていただきますが、こ の見直し当初案については、これを了承するということで、この委員会としては諮りた いと思いますが、よろしいでしょうか。 (異議なし)  ただ、かなりの議論が出ていますので、また次の段階のときには、それを反映するべ く努力をしていただきたいというふうに思っております。独立行政法人医薬品医療機器 総合機構の組織・業務全般の見直し当初案はこれを了承し、このとおり報告をしたいと いうふうに思います。どうもありがとうございました。  それでは、時間が超過をいたしまして本当に申しわけございませんでしたが、最後に 法人理事長より、一言いただけましたら幸いでございます。 ○医薬品医療機器総合機構理事長  本日は当機構の次期中期計画の見直し当初案を御了承いただきまして、どうもありが とうございました。当機構は、より有効でより安全な医薬品・医療機器を、より早く国 民の皆さんに提供するという使命を果たすべく、第1期中期計画において業務の充実強 化に努めてまいりましたが、なお体制の脆弱性を克服するまでには至っておりません。 先ほども話がありましたように、我が国が欧米と並ぶ三極として国際的な役割を担って いくためにも、第2期中期計画においても審査・安全業務の更なる充実を目指していく 必要があろうかと思っております。  新医薬品についてはドラッグラグを解消するということで、大幅な体制強化を図る新 5カ年計画が今年度からスタートしていますので、第2期でもこれを着実に実行してい きたいと思っています。新医薬品以外の分野については、第2期の中期計画で新たな目 標を設定して取り組んでいく必要があるだろうと思っています。特に審査部門に関し、 医療機器については、その市場が約2兆円、医薬品の約3分の1ぐらいのスケールがあ るわけですけれども、従来からその審査体制の整備が、医薬品よりもやや遅れていると いうことがありますので、この整備は、今後、やはり一つの重点ではないだろうかと思 います。特にドラッグラグと並んで、いわゆるデバイスラグというのも、解消していか なければいけませんので、第2期中期計画では、やはり医療機器の審査体制の整備とい うものを重点に置いて取り組んでいく必要があるだろうと思っています。  それからもう一つは、やはり安全対策。これは審査と並んで、当然、市販後の安全対 策が、いわば車の両輪として機能を発揮していくということで、トータルなリスクマネ ジメントが実現できると思いますので、やはり第2期中期計画では、この安全対策につ いても、重点を置いて取り組んでいく必要があると思っております。安全対策は特に機 構の発足時に新しく立ち上げた、新しい業務でありますので、まだまだ整備途上であり ます。ぜひ、第2期では、更なる整備を図りまして、審査とバランスのとれた機能を発 揮できるような体制の整備を目指していきたいと思っているところでございます。  これらにつきましても、いずれも昨今の厳しい状況の中で取り組んでいくということ でありますので、私どもとしても、当然のことながら、可能な限りの業務システムの効 率化、重点化を図った上で、当然、手数料の引き上げ等により必要な財源を確保して体 制整備を図っていくということに取り組んでいく必要があるだろうと思います。  本日、委員の皆様方からいただきました御意見も十分に踏まえながら、第2期中期計 画においては一段のレベルアップに取り組んでまいりたいと思っておりますので、今後 とも御指導、御支援をよろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。 ○部会長  ありがとうございました。それでは、時間が延長いたしましたこと、本当におわびを 申し上げますが、全ての議事は終了いたしました。事務局の方から、連絡事項をお願い いたします。 ○政策評価官室長補佐  本日はどうもありがとうございました。7月、8月の暑い最中、先生方におかれまし ては、年度評価、それから財務諸表、さらには本日の福祉医療機構及びのぞみの園の暫 定評価、また、医薬品総合機構、それからのぞみの園の組織・業務全般の見直しにつき まして、大変熱心な御審議をいただきましたことを、改めて御礼申し上げたいと思いま す。なお、冒頭で御説明しましたとおり、組織・業務全般の見直しの対象法人となって いない法人の整理合理化案の総会での報告についてでございますが、本部会の法人では、 福祉医療機構がこれに該当いたします。臨時委員の皆様におきましては、福祉医療機構 の整理合理化案と関係資料につきまして、総会後に郵送させていただくことといたしま す。  また本日の資料につきましては、お持ち帰りいただいても結構ですし、事務局にお申 しつけくだされば、事務局より後ほど郵送させていただきます。重ねて申し上げますが、 本日御審議いただきました見直し当初案の内容につきましては、現段階ではまだ対外的 に公表されないよう、十分御留意いただきたいと思います。次回の医療福祉部会の開催 につきましては、追って御連絡をさせていただきます。また、総会メンバーの皆様にお きましては、来週の8月28日、29日は評価委員会の総会が予定されていますので、よ ろしくお願いを申し上げます。以上でございます。 ○部会長  以上でございます。本当に熱心に、長時間御審議いただきまして、ありがとうござい ます。これで終了いたします。どうもありがとうございました。 (終了) (照会先)  政策統括官付政策評価官室政策評価第2係  電話:03−5253−1111(内線7780)