07/08/10 第16回予防接種に関する検討会議事録                         健康局結核感染症課予防接種係                                内線 2383                                  第16回予防接種に関する検討会 日時 平成19年8月10日(金) 15:00〜 場所 厚生労働省2階講堂(低層棟) ○山田課長補佐 それでは、これより第16回予防接種に関する検討会を開会いたします。  本日は御多用のところ予防接種に関する検討会に御出席いただき、誠にありがとうござ います。  なお、本日は岩本委員、宮崎委員から御欠席の連絡をいただいております。  ここで事務局の異動について御紹介させていただきたいと思います。感染症情報管理室  長の大森でございます。 ○大森感染症情報管理室長 本日付で感染症情報管理室長を拝命いたしました大森でござ  います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○山田課長補佐 よろしくお願い申し上げます。  これからの議事の進行につきましては、加藤座長にお願いしたいと存じます。加藤座長、  よろしくお願いいたします。 ○加藤座長 どうも遅刻いたしまして失礼いたしました。お詫び申し上げます。  それでは、本日の議事を進めさせていただきますが、その前に、前回8月1日の検討会  におきまして、私に一任いただきました「麻しん排除計画(案)」の修正につきまして  は、その後作業を進めまして、8月8日に健康局長あてに提出したことを御報告申し上  げます。  定期予防接種への組入れにつきましては、後ほど御説明させていただきます。  まずは、事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○山田課長補佐 資料の確認をさせていただきます。  まず、資料1でございますが「予防接種に関する検討会委員名簿」でございます。  資料2「予防接種の接種間隔の見直しについて」でございます。  資料3「日本の定期/任意予防接種スケジュール」、モデルでございますが、平成20年  4月以降のものをつけさせていただいてございます。  資料4「一部疾病の既罹患者への混合ワクチンの接種について」でございます。この資  料には別添1「ジフテリア、破傷風、百日せき、麻しん、風しんにおける年齢別報告数」  をつけております。別添2といたしまして「DPT、MR等混合ワクチンの推進に関す  る要望(既罹患者への混合ワクチン接種)」、これは小児科学会から出されているもの  を添付させていただいております。これには追加といたしまして、別添2の参考といた  しまして「百日咳罹患児に対するDPTワクチン接種後の有害事象」等、未発表のデー  タでございますけれども、3枚もののデータをつけさせていただいております。別添3  「定期予防接種の対象に関する各種法令文」について抜粋をさせていただいております。  資料5「予防接種法施行令の一部を改正する政令案新旧対照条文」をつけさせていただ  いております。  参考資料1でございますが、これは委員限りの配付となっておりますが「スケジュール  の立て方」。蒲生委員より提出をいただいております。  参考資料2につきましては皆様に配付させていただいておりますが、「麻しん排除計画  案」、平成19年8月8日付健康局長に提出されたものを添付させていただいております。  以上でございます。不足等ございましたら、事務局までお知らせください。 ○加藤座長 よろしゅうございますか。  それでは、本日の議題に移りたいと思います。まず、予防接種推進のための環境づくり  の(1)でございますが、事務局より御説明をお願いいたします。 ○三宅課長補佐 説明させていただきます。資料2でございます。「予防接種の接種間隔  の見直しについて」ということでございます。  まず、現状でございますが、現在、定期予防接種におきましては、定期予防接種対象期  間中に複数回の接種を実施する場合の接種間隔は、予防接種実施規則、省令でございま  すが、第9条、第12条及び第15条にて以下のように定められております。DPTにつき  ましては、1期初回を生後3月から90月までにやりなさいと。その間に3回、3〜8週  間の間隔を空けてください。そして、ポリオにつきましては、生後3月から生後90月に  至るまでの間にある者につきまして2回、それを6週間以上の間隔を開けてください。  そして、日本脳炎につきましては、1期初回については生後6月から生後90月に至るま  での間に2回、1〜4週間までの間隔を開けるようにとされているところでございます。  続きまして、最後の5ページを見ていただきたいのですが、今年度の全国衛生部長会議  で要望があった事項でございます。このほかにも同様の要望が寄せられているところで  ございますが、最近ですとこのようなものがございまして、問1、接種を受けやすい体  制の確立についてというところで、現在、月曜日に1期初回の1回目を接種すると、2  回目の接種は早くても3週後の火曜日以降になってしまうと。次回接種日は月曜日の方  が医療機関では接種体制が整いやすく、保護者は間違いにくいのではないかという環境  づくりについての提言がございました。  また、それにつきましては、問2で、他との予防接種の間隔については、以前生ワクチ  ンは4週間以上、不活化及びトキソイドは1週間以上となっていたが、現在生ワクチン  は27日以上、不活化及びトキソイドは6日以上となっていると。接種間隔についても同  様なやり方にはならないのかという要望をいただいているところでございます。  1ページ目に戻っていただきますと、予防接種法における接種間隔の現在の考え方でご  ざいますが、接種間隔における起算日のとらえ方につきましては、予防接種法では特に  起算に関しまして条項を定めておりません。そのことから、民法第140条の規定を基本  的に準用して計算すべきだと考えております。これは初日不起算の原則、「期間を定む  るに日、週、月又は年を以てしたるときは期間の初日は之を参入せず」と書いてござい  ます。よりまして、起算の初日は接種の翌日からをもって始まるとされております。現  状と接種間隔の考え方を整理したものが2ページ目でございます。現行の接種間隔を図  で表しますと、例えばDPTワクチンでございますと3〜8週間の間隔を開けなさいと  しております。そうしますと、1回目の接種が例えば月曜日でありますと、最短で3週  間後の月曜日ではなく火曜日から次回接種ができ、そして8週目の火曜日までが接種す  る期間とされます。DPTのみで説明させていただきますと、月曜日に1回目を打つと、  2回目は3週目の火曜日から8週目の火曜日までが接種できる間隔となっているわけで  す。  改正の要望といたしましては、先ほどございましたように、各地の医療現場で、さきに  週単位の起算から日単位への起算に改めた異種ワクチン同士の接種間隔に倣い、接種間  隔を日単位に変更することに併せて、接種間隔の起算についても初日を起算に含み、次  の接種日がさきに接種した日のちょうと何週間後になるように要望されているところで  あるということでございます。  解消方法として事務局で考えておりますのが、接種間隔の起算における初日不起算の在  り方は特段の条文がございませんので、民法にその根拠を委ねることしかできません。  そうしますと、週単位から日単位への起算に変更し、曜日を定めてワクチン外来等を行  うことが、医療現場の実態に合わせまして、接種した日の次回の最短の接種日が同じ曜  日であるようにすることが適当ではないかと。そうするためには、接種した日と次に接  種する日の間隔が3週間、8週間等とありますが、最短の次回接種日の○週分からマイ  ナス1日になるようにすればよいわけであり、接種間隔の表記を以下のようにすればい  いと考えます。ここに書いてございますように、現行ではDPTは3〜8週間を3×7  −1で20日、8週間につきましては8×7で56、ポリオにつきましては7×6−1で41、  日本脳炎につきましては1週間の7−1で6、4週間につきましては7×4で28でござ  います。  ここで3〜8週間までと1〜4週間までの最長の次回接種日につきましては、1を引く  ことの必要性は特にございませんので、月曜日に打てば8週目の月曜日にも受けられま  すし、その次の日も一応受けられるようになりますので、特にここは1を引いておりま  せん。そのような案をすればいいのではないかと。  例えば、そのようなことをしますと、現在の省令を下線部のように書き換えることによ  って、現場の混乱が少なくなり、保護者の方がわかりやすく接種がきちんとされやすく  なるのではないかと我々も考えますので、この要望を受けまして、このような事務局案  を出させていただきました。  以上でございます。 ○加藤座長 ありがとうございました。民法上の間隔についてと実際の間隔といいますか、  そこにわかりにくいところがある。民法上どおりにやりますと、実際上非常にやりにく  い事態が起きてくるということで、今事務局から案が出たところでございますけれども、  この接種間隔につきましての記載または実際につきまして、何か御意見はございましょ  うか。 ○岡部委員 これは多分わかりやすさから1週間あるいは8週間という表現での間隔だっ  たろうと思うんですけれども、やはり現場ではたとえば月曜の予防接種外来の次月曜と   いうことですし、実態としてはそのように行われております。それを民法上の解釈でい くとなかなか合わないということで、さりとて実態を曲げて変更するわけにはいかない  という非常に矛盾を感じていたところだったと思います。ですから、これを実態に合う  形で改正をしていただければ、恐らく現場の医療機関あるいは保健行政機関が非常に助  かると思います。それから、医学的には従来も例えば結果等を確認するための4週間間  隔の血液の採血は民法に従ってやるわけではなく、やはり月曜は月曜という形でやって  いたので、医学上この1日の変更にここに何か問題がある、あるいはこの1日の変更の  ためにわざわざエビデンスを求めるための調査をやるということは非常に負担が掛かり、   また、その必要もないと思います。非常に歓迎します。 ○加藤座長 ありがとうございました。そういう御意見ですが、ほかにございますか。 ○廣田委員 私もこれは賛成なんですけれども、ちょっと教えてください。どうして接種  当日から起算を開始するという主張をせずに、日数の方を変えたのか。 ○三宅課長補佐 一つの方法として、省令の中で打った日を1日目としましょうと書くこ  とも可能かもしれませんが、法律的なことは我々の方で今までの前例等で整合性がとれ  る形で、本来公衆衛生上やらなければいけないところを教えていただければ、なるべく  そこを実現するようにこれからもさせていただきたいと思っております。 ○竹本委員 世間一般には1週間後に会おうといったら、やはり同一曜日に会うんですよ  ね。これを何日とかやっていくと余計に難しなっていくので、同一接種日から何日、何  週と決めた方が世間の人たちにはわかりやすい。患者さんにも特にこの日は数えないか  らこうなるんだよと一々説明しなくても、火曜日に来たら来週の火曜日にやりましょう  とか、そういう方がわかりやすいんじゃないかと思います。わかりやすく改定するのだ  ったら、わかりやすいようにした方がいいんじゃないかと思います。 ○三宅課長補佐 この省令は、なかなか堅苦しいルールがいろいろございますので、通知  等で実際に国民の皆様にお知らせするときは、今の御意見等を参考にさせていただきま  して、普通に言えば1週間後なんだよと、普通に言えば3週間後なんだよと、そういう  言い方自体はお知らせするときに工夫をさせていただきたいと考えます。 ○加藤座長 この日数、週数の問題ですが、竹本先生がまさにおっしゃったとおり、実際  に接種する医師側とか後で蒲生さんにも御意見をいただきたいと思いますけれども、実  際にマスコミ等で勧奨していただくような場合に、56日とか41日という数字が出てくる  と、ホットなときは皆さんよく理解されるんですが、多分10年ぐらい経つと何で41日な  んて数が出てきたんだという議論が必ず出てきますね。多分41日は何週かしらと逆算を  するようになると思うので、その辺のところがなぜこういう議論になったかというと、  実は接種するドクター側とか患者さん側から出てきた意見ではなくて、むしろ保健所と  か行政側から民法上の解釈が出てきて、それが発端で厚生労働省は非常に困ったという  事態があったという経緯があります。そういう事実経緯があったので、事務局としては  こういう民法に合った形で日にちを合わせたと理解しますが、蒲生さんいかがでしょう  か。 ○蒲生委員 省令が変わるとすれば私どもは、「20〜56日(3〜8週間)」というふうに  明記し、更にこれは月曜日に受けたら、次は1週間後の月曜日ですよということを補足  しないと、日にちだけではわからないと思います。 ○加藤座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。  今、数名の先生から、岡部先生からは現実的にはこの日にしていただくと民法上も接種  する上でも非常に明快であるという御意見が出ました。それから、竹本先生、蒲生先生  からは、実際に接種する側や、または皆さんに伝えるときに何十何日というのは非常に  わかりにくいので、実際に説明するときには括弧付きで何週から何周、ただしというこ  とをつけて勧奨したいというお話ですが、まとめますと、先ほど三宅補佐からも話が出  ましたが、日数がわかりにくい点については、いろいろな通知でわかりやすい表現にし  ていただいて、なるべく誤解がないようにといいますか、わかりやすいような方向で通  知をしていただくというような方向で事務局でまとめていただくということでいかがで  しょうか。皆さんになるべくわかりやすく、しかも、民法上もそれで成り立つというよ  うなうまい考え方をしていただくということでよろしゅうございますか。それでは、そ  ういうことでよろしくお願いいたしたいと存じます。  それでは、この件につきましては、ただいまの御意見等を含めまして、事務局の説明ど  おりの手続で進めさせていただくということにいたしたいと思います。  続きまして、議題(2)標準的な予防接種スケジュールモデルについて、定期の予防接種  については複数の接種の時期が接近するなど、スケジュールを立てることが困難である  という意見が寄せられておりますことから、麻しんの排除計画を含めた標準的な予防接  種スケジュールのモデルというものを感染研の方で作成していただいております。これ  と合わせまして、早期に抗体を付与することは感染対策上効果的なことでありますので、  そのためのスケジュール等について専門誌を作成されております蒲生委員より資料の提  出をいただいておりますので、順を追って御説明いただきますが、まず、国立感染研に  作成いただきました標準的な予防接種モデルにつきまして、事務局から御説明をいただ  きたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○高山予防接種専門官 本日は、この標準予防接種スケジュールにつきまして作成してい  ただいた感染研の先生が所用により御欠席ということなので、代わりまして事務局から  御説明いたします。  では、お手元にございます資料3「日本の定期/任意予防接種スケジュール」とタイト  ルがつけられております表をごらんいただきたいと思います。これは現在、予防接種法  で定められております定期の予防接種と予防接種法に定められておりません任意の予防  接種のうち代表的なワクチンを挙げまして、定期の予防接種については標準的なスケジ  ュールを、任意の接種については接種の可能な時期をグラフ化してお示ししたものでご  ざいます。赤く矢印がつけられているところが、その時期に接種するのが適当であると  いうことを示しております。  この表には、来年以降に実施予定であります中学1年生及び高校3年生に相当します年  齢の方を対象としましたMRワクチンの追加接種のスケジュールも併せて掲載しており  ます。  この表の出生時から65歳、第2類としてインフルエンザが定められておりますので、65  歳以降までグラフが作成されておりますけれども、特に出生してから学童までの時期を  中心としたグラフとしております。  このグラフをごらんいただきますと、出生時から特に1〜2歳ごろにおきまして、DP  T、BCG、ポリオといったワクチンのスケジュールが非常に立て込んでいるというこ  とがこれでわかるかと思います。  そして、この生まれてから1歳までにつきまして非常にスケジュールが立て込んでいる  ということなので、この時期に特化しまして2枚目の表で、23か月までの表を作成して  いただいておりますが、特に0〜1歳までのスケジュールが立て込んでいる時期につき  まして、より細かくスケジュールを記載したものでございます。  この表につきましては、4つの場合に分けられております。0〜1歳までの間、定期の  予防接種ではDPTとBCGとポリオが行われることとなっておりますけれども、中に  はB型肝炎の母子感染防止事業におきまして、B型肝炎ワクチンを接種するというよう  なお子さんもいらっしゃいますので、そういったお子さんのスケジュールも併せてこの  中に記載したものとなっております。  この4つの案は、どのような場合に分かれているのかと申しますと、先ほど申し上げた  B型肝炎ワクチンを接種する場合と接種しない場合ということ、そして、ポリオワクチ  ンを0歳時に2回接種してしまう場合、そして、ポリオワクチンを0歳と1歳に分けて、  0歳で1回、1歳で1回と分けて接種する場合。そして、BCGを生後3か月半のとき  に接種する場合と、生後4か月半の時に接種する場合の合わせて3種類のワクチンにつ  いて場合分けをして、合計4つの案ということで表を作成させていただいております。  案1につきましては、B型肝炎ワクチンを接種する場合を想定して作成していただいて  おります。一番上に月齢ということで数字が記載されております。これは生まれてから  0か月、1か月、2か月と解釈しております。  案1をごらんいただきますと、生後2か月のときにB型肝炎ワクチンの1回目を接種い  たします。そして、生後3か月目でDPTの1回目、B型肝炎ワクチンの2回目を接種  することとなっております。4か月目にBCGワクチンを接種、生後5か月目でDPT  ワクチンの2回目、B型肝炎ワクチンの3回目を接種する予定となっています。そして、  生後6か月目でDPTワクチンの3回目、生後7か月でポリオワクチンの1回目。そし  て、生後12か月目、ちょうど1歳のときにMRワクチン、そして、1歳1か月でポリオ  ワクチンの2回目を接種するというスケジュールとなっています。1歳半でDPTワク  チンの4回目の接種を行うこととしております。  そして、この表には任意接種としてHibワクチンとインフルエンザと水痘とおたふく  風邪も掲載しておりまして、それぞれのワクチンの標準的な接種の時期についても矢印  でお示ししてございます。  案2でございますが、これはB型肝炎ワクチンを受けない場合、そしてポリオワクチン  を0歳児のときに2回とも接種してしまう場合ということでスケジュールを作成してい  ただいたものでございます。この表を見ますと、生後3か月でDPTワクチンの1回目、  そして、BCGワクチンを生後3か月半で接種するということでございます。生後4か  月半でDPTワクチンの2回目、5か月目でポリオワクチンの1回目、そして、生後6  か月目でDPTワクチンの3回目、生後11か月でポリオワクチンの2回目、そして、ち  ょうど1歳になったときにMRワクチンを接種するというスケジュールとなっておりま  す。  案3では、B型肝炎ワクチンを受けない場合で、ポリオワクチンを0歳と1歳にそれぞ  れ分けて接種して、しかも、BCGの接種を3か月半で行うというような場合でござい  ます。これを見ますと、生後3か月でDPTワクチンの1回目、生後3か月半でBCG  ワクチンを接種、そして、生後4か月半のときにDPTワクチンの2回目、そして、生  後5か月半でDPTワクチンの3回目、生後7か月でポリオワクチンの1回目、ちょう  ど12か月でMRワクチン、そして、1歳と1か月でポリオワクチンの2回目というスケ  ジュールとなっております。  案4でございますが、これはB型肝炎ワクチンを受けずにポリオワクチンを0歳と1歳  に分けて接種して、BCGを4か月半のときに接種した場合ということでスケジュール  を作成していただいております。これをごらんいただくと、生後3か月目でDPTワク  チンの1回目、4か月目でDPTワクチンの2回目、4か月半のときにBCGワクチン  を接種、そして、生後5か月半のときにDPTワクチンの3回目、生後7か月でポリオ  ワクチンの1回目、1歳ちょうどのときにMRワクチン、そして、生後1歳と1か月で  ポリオワクチンの2回目というスケジュールとなっております。  スケジュールに関しては以上でございます。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。  では、引き続きまして、蒲生委員からお願いいたします。 ○蒲生委員 4月に1か月間発売された、今年の5月号の『ひよこクラブ』の別冊付録、  全部で54ページの付録の中の2ページ分、スケジュールに関する基本的なページのみを  委員の先生方にお配りしております。  ざっと御説明いたしますと、まずは読者の対象が0か月から2歳までのお母様ですので、  そのスケジュールも2歳までに限って掲載しております。「基本的にこういうふうに受  けましょう」という2歳までに受ける定期接種と、任意接種についてはおたふく風邪、  水疱瘡、インフルエンザを掲載しております。どういうふうに立てたらよいかという指  針になるページですので、「スケジュールを立てるときはまずこうしましょう、集団接  種がありますので、それを軸にすると一番組みやすいですよ」という目安を示しており  ます。更に、今多く集団接種になっているポリオは春と秋という自治体が多いので、春  に生まれたか、秋に生まれたか、冬なのか夏なのかということで、そのスケジュールが  大きく変わってまいりますので、春生まれ、夏生まれ、秋生まれ、冬生まれの目安の例  を出しております。この場合の春というのは3、4、5月、夏が6、7、8月、秋が9、  10、11月、冬は12、1、2月生まれと定義させていただいております。  これは感染研の多屋先生と一緒につくりました付録でして、この部分も先生と一緒にい  ろいろ考えながら読者の目安になるものをつくっております。読者の方々に対して特集  なり付録なりをする前に、そのテーマに対して何を一番知りたいと思うかというような  事前の調査を行うんですけれども、この付録に関しては、2006年12月に800人の方々に  アンケートを行いました。その中で一番知りたいとお答えになっているのは、約40%で  「定期接種と任意接種の違いは何か」次に34%の方が「生まれた季節別の理想のスケジ  ュールを知りたい」となっております。4番目にスケジュールの立て方の基本を知りた  いというのが28%ほどありましたので、そういうことも踏まえて皆さんが知りたがって  いるというところをまとめたものがこの表になります。  読者の方は全国にわたっておりまして、本当にごく一般のお母様方で、赤ちゃんが生ま  れてから初めて、このようにたくさんの予防接種があるということを知り、非常に混乱  している方が多くいらっしゃいます。  そのスケジュールの中で何を知りたいかということになると、余りにもたくさんのもの  があるので、そのそれぞれがどれくらい期間を開けなくてはいけないか、何回打たなけ  ればいけないか、何か月から何か月までの間に打たなければいけないかということが全  部バラバラですので、自分の子はどういうふうにしたらいいのかということが全くわか  らない、どれを取っ掛かりにしてどうしたらいいのかがわからないというのが一番多い  質問です。  そこに関して立てやすさということと、御自分ではどうしようもないというところで集  団接種をまず自治体に問い合わせて、いつポリオの集団接種があるのか、もっと基本的  にどれを集団接種にしているのかということを知って、日時を知って、そこをまずスケ  ジュール表に組み入れる、そこから今度は接種期間が短いもの、それから、自然に罹患  した場合に重症になりやすいものを優先して接種していきましょうという方法を紹介し  ております。  54ページの付録の中でも本当にわずか2ページのこのページが一番評価をいただいてお  りまして、一番役に立ったということでいつも非常に好評なので、それだけ困っていら  っしゃるんだろうなと思います。  今日は添付していないんですけれども、最初のページの定期接種と任意接種の目安が入  っているものがありますが、これをもっと大きくして、御自分のお子さんのものが書き  込めるようにしたシートを同じ付録につけていて、自分で付録を見ながら計画を立てて  くださいという形にしています。  お母様とお話をしたり、アンケートなどを見ていると、余りにも複雑に見えるというこ  とと、情報が多くてどうやって整理していいのかわからないと戸惑っている姿を非常に  感じます。  それから、口コミとかインターネット等で「本当は打つと危ないんだって」とか「こう  いう障害が残ってしまった子がいるらしいよ」というような、確かな情報も、不確かな  情報も知っていて、そういうものに戸惑っている方も多いかなという印象があります。  スケジュールに関しては、そのような感じです。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。感染研の方と蒲生委員が編集長をされてい  るところから、今年5月の別冊に出されたものが提出されて御説明がございましたけれ  ども、この件に関しまして御議論がございましたらお願いいたします。 ○廣田委員 蒲生さんから御紹介いただいた資料は、一般の方々には非常に役立つものだ  と思っております。こういう広報をしていただいているのは非常にありがたく思います  けれども、1点お伺いしますと、これは多屋先生の御意見を載せるという形なんですか、  それとも多屋先生から聞いて『ひよこクラブ』として載せたということですか。 ○蒲生委員 多屋先生にこちらの疑問とかこういうふうにしたいんだとか、こういうもの  をつくりたいんだということを投げ掛けさせていただいて、多屋先生のこうなんじゃな  いかしら、ああなんじゃないかしらというようなお考えを聞かせていただいて、それを  基に編集部としてまとめて、それをまた多屋先生にお見せしてというやりとりを3回ほ  どさせていただきました。ですから、多屋先生のお考えというわけでもありませんし、  『ひよこクラブ』が独自に考えたというわけではないと思います。こういう言い方をし  ていいのかわかりませんが、御指導していただいてつくり上げたというような形かと思  います。 ○加藤座長 何かその辺は特に意味がございますか。 ○廣田委員 例えば、意見が分かれるときがあった場合に、誰が確信を持って、責任を持  って主張したことかということがやはり出てくるかもしれませんので、それでちょっと  お伺いしたわけです。 ○岡部委員 情報センターとして提示しているのは、日本の定期予防接種スケジュールと  いうこの資料の表を情報センターのホームページに出しております。しかし、これは非  常に総論的なもので、大体の見当をつけていただくわけですけれども、そういうところ  を基にして、恐らくはもうちょっとお母さんにわかりやすいような形ということで、  『ひよこクラブ』あるいはそこだけではなくて、ほかのところ啓発をするようなパンフ  レットであるとか雑誌であるとか、あるいは細菌製剤協会とか、それぞれのところで少  しかみ砕いた形でやって頂いております。そして、発行はそれぞれのところの責任だと  思いますけれども、私たちも意見を求められ十分責任を持ってやっております。  予防接種のスケジュールは、生まれたときからその子が小学校に入り、中学校に入るま  でと全部網羅するのは無理なことで、予定をたてたとしても風邪を引くこともあるし、  病気になることもあるし、いろいろな都合もあるでしょうから、そこは応用問題として  やはり現場の先生にこうでなかったら、次はこういうことであるというふうにと変更指  導していただければいいのではないかと思います。  しかし、それにしても基本的なところということで、例えば『ひよこクラブ』というよ  うなところで出していただくのは、実際に子どもを育てているお母さんにとっては非常  にいいことではないかと思います。 ○加藤座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。  予防接種のスケジュールにつきましては、小児科学会の予防接種委員会でも話題になり  ましたし、また、小児保健協会の予防接種委員会でも何かお手本になるようなものをつ  くりましょうかという話はいたしているところでございます。いろいろな考え方があり  ますが、同じ感染研の多屋先生に協力してつくっていただいたこの『ひよこクラブ』の  モデルと、感染研がお出しになったモデルを見てみましても、例えばBCGとDPTの  順番が逆になっているようなこともございますね。ですから、その辺のところは同じ先  生がリードされてもこれぐらいの違いが出てくるということで、これはいろいろな議論  があると思います。例えばBCGを先にやってしまうと、27日間を置かなければならな  いので先延ばしになってしまいますよと。DPTを先に入れておけば7日後にBCGは  入りますよ、そういういろいろな考え方が中に込められていると思いまして、文字に書  かれていないところが中に含まれているのかなという気もいたしますが、ほかに何か御  意見ございますか。 ○竹本委員 このスケジュール表の参考資料1の12ページの1番ですけれども「地域での  流行を抑える目的から集団接種を行う接種も日時が決まっていて、一度逃すと次の接種  まで間隔が空いてしまうので注意」と書いてあるんですけれども、一番私たちが困るの  は、大体9月、10月、4月、5月でポリオが入ってくると、こういうふうに書かれてし  まうとポリオが最優先になってしまって、三種混合が遅れてくるんですね。ですから、  この集団接種ポリオに関しましては、こういうふうに書かないで、まずポリオというの  は今日本にない病気なので、お役所としては季節のいい春秋にやるので、ただ、忘れて  はいけないから手紙で知らせるので、まずやらなければいけないのは三種だと私は指導  しているんですけれども、そういうふうに書いてくれないと、これから私たちは9月に  なったらすぐ行くんですけれども、三種混合を何もやらないでポリオ、ポリオとずっと  ポリオを待っているお子さんがいるので、こういう書き方はちょっとやめてもらいたい  なと思います。 ○加藤座長 先生はどの資料で。 ○竹本委員 蒲生さんの参考資料1の下の段「スケジュールを立てるときのポイントはコ  コ!」の(1)です。 ○加藤座長 これは蒲生委員の資料ですので、両方のお考えがあるかと思いますが。 ○岡部委員 多屋の名前が出ておりますので、従って弁解をしておきます。ポリオ対策を  重点に考えるところでは、非常に年齢の小さい段階から免疫をつけておかないと、外来  性のものに対して対抗ができないであろうという意見があります。また、1回機会を逃  してしまうと、その次のシーズンにきちんとやれるかというと、なかなかずるずるとな  ってしまうことにもなるので、決して忘れてはいけないというような意味合いも含めて  プラスマイナスとして出てきた表現ではないかと思います。決してDPTが遅れてもい  いというわけでもないし、ポリオが遅れてもいいというわけではないので、これもやは  りそれぞれの場合に応じて解説をしていただかないと、なかなかすべてを数行で表せな  いところではあるとは思います。 ○加藤座長 ありがとうございます。このようにして一つ一つをとって見ましても、かな  り面倒なところが多いのでございまして、どれが大切でどれが大切でないということも  ない、ポリオも世界でまだ根絶された病気ではないので、いつ何時はやるかもわかりま  せんから、これをないがしろにするというわけにもまいらないということであろうかと  思います。大切な御意見でございます。  ほかにいかがでしょうか。 ○澤委員 東京23区では個別に予防接種の接種票を送っておりますので、ほとんどの方が  問題なくその時期に的確に予防接種を受けているんですけれども、先ほど先生がおっし  ゃられましたように、病気をされたりして一つトラぶってしまうと泥沼状態で、親御さ  んも訳がわからなくなってしまうことが多々ありまして、その場合は保健所といたしま  して個別にスケジュールを新たに立て直して差し上げたりすることも多くあります。で  すので、そのような場合にこのような雑誌でよりわかりやすく書いてあれば、また安心  度が増すのかなと思っておりますけれども、個別にはそんな取り組みもしておりますの  で、その辺も御協力いただければと思います。 ○蒲生委員 資料の2ページの小さい円グラフをごらんいただくと、これは2歳までのお  子さんを持つお母様239人に聞いたアンケートですが、何を参考に予防接種のスケジュ  ールを立てたかというものの1番が自治体の広報誌22.4%になっております。次が育児  雑誌で、ほぼ同じですが22.1%、それから、小児科の先生と御相談したという意味で小  児科が15.5%、インターネットが14%、病院や自治体からの連絡やアドバイスが13%と  なっておりまして、いろいろな方法を使ってお母様方は予定を立てている。その中の一  つがこういうものであるのだと思います。やはり自治体からの広報が信頼度も非常に高  いですし、また地域の流行とかそれこそ集団接種がどうなのか、何を個別にするのかと  いうことも自治体に頼っていらっしゃる状況があるのかなということはうかがえると思  います。 ○加藤座長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。  いろいろな情報が入ってきたり、また一つつまずくとすべての予定がずれていって、ち  ょっとママたち、パパたちが混乱をするというようなことであろうかと思いますけれど  も、今、最後に蒲生委員におまとめいただいたとおりだと思いまして、やはり地方自治  体に幾つかのモデルをつくっていただきまして、接種する側に正しい、そしてわかりや  すい情報を絶えず投げ掛けていくということが必要かなと考えますが、そのくらいでよ  ろしゅうございましょうか。先ほどの蒲生委員の情報では、まだHibが導入されてお  りませんので、これが入ればまた入れなければならないということもありますし、また  日本全体では先日出しました高齢者のMRワクチンの件もありますので、またいろいろ  な情報が入りまして複雑になりますが、その辺のところは厚生労働省方から地方自治体  の方に十分な御指導をしていただきまして、国民にわかりやすく正しく接種していただ  くように指導していただくということでお願いいたしたいと存じます。  それでは、先に進みますが、今後麻しんの排除計画にかかわる中学3年生及び高校3年  生相当の年齢への予防接種については、当然周知に努めなければならないところでござ  います。しかし、重要なことは今も申し上げましたとおり、予防接種は生後間もない乳  幼児への接種が特に重要でございます。今までずっと話し合いを続けてきておりますけ  れども、事務局方といたしましても多くの方が接種を受けやすい環境づくり、これは前  回お話しいたしましたが、この環境づくりを目指して努力していただきたいと思ってお  りますが、例えば先ほどは地区単位、季節単位ということでしたけれども、生まれた年  月日からスケジュールが立てられるような情報の提供の仕方というようなこと、かなり  難しくなりますが、そのようなことも事務局としてちょっとお考えになったことはおあ  りかどうかちょっとお尋ねしておきたいと思います。 ○三宅課長補佐 座長より2つ宿題をいただいたということだと思います。自治体の情報  が非常に役に立っているということを確認させていただきましたので、自治体からの情  報発信の強化を我々としてももう少し支援をするということ。  そして、もしかしたら自治体が使うかもしれない、もしかしたらお母さん方が使えるか  もしれない、生まれた年月日を入れればモデルが何個か出てくるようなものとか、何ら  かの情報提供の強化、ITの時代でございますので、そういうものも活用してできない  か、研究課題等でもう少し研究者の方々等にも協力していただいて、何らかの検討を続  けてまいりたいと思います。 ○加藤座長 ありがとうございました。それでは、今後とも3学会等の委員会もございま  すので御活用されて、多方面の御意見をお聞きになりながら、国としての積極的なアピ  ールをしていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、続きまして(3)混合ワクチンの推進についてでございます。日本小児科学会  より要望書が提出されておるということでございますが、まず、事務局で取りまとめて  いただきました資料がございますので、事務局から御説明をお願いいたします。 ○三宅課長補佐 説明させていただきます。資料4をお開けください。  現状でございますが、現在、日本で承認されている混合ワクチンといたしましては、定  期接種として使われているものでございますが、麻しん・風疹の混合ワクチン(MRワ  クチン)、ジフテリア・百日咳・破傷風の混合ワクチン(DPTワクチン)、ジフテリ  ア・破傷風混合ワクチン(DTトキソイド)の3種類があり、それぞれ定期の予防接種  の接種液として採用されております。ワクチンの頭文字のアルファベットは対象疾病を  示しているところでございます。  一部疾病の既罹患者に対する混合ワクチンの予防接種は、予防接種法施行令の第1条の  2の規定により、当該疾病にかかっている者またはかかったことのある者は、当該疾病  について定期の予防接種を行う対象者に当たらないこととされており、そのことから定  期予防接種として混合ワクチンの使用は現在行われていないところでございます。  すなわち、麻しんまたは風しんにかかっている者は、かかったことのある者に対する定  期の予防接種では単味ワクチンを対象としておりますが、ジフテリア、百日咳、破傷風  におきましては、それぞれに対応する単味ワクチンがないことから、いずれかの1つの  疾病に離間した者につきましては、他の2つの疾病に対する定期の予防接種が実施をさ  れないということになります。  このことを資料4の別添1で見ていただきたいのですが、ジフテリア、破傷風、百日咳、  麻しん、風しんについての年齢別の報告書を出したところでございますが、ジフテリア、  破傷風につきましては、定期予防接種の対象の中で実際に罹患する者はほぼいませんの  で、罹患したから打てなくなるということはないのですが、百日咳を見ますと、5類の  小児科定点で全数報告ではございませんが、約3,000か所からの報告でございましても、  平成17年は全部で1,358人の報告がございました。DPTワクチン第1期は、生後3月か  ら90月、つまり7歳半までに合計4回を打つわけでございますので、標準的にはもっと  若いし、幼い期間にやるわけですが、7歳半までに百日咳にかかってしまうと、ジフテ  リアと破傷風のワクチン接種そのものが受けられないということになっております。平  成17年でいけば7歳までだと976人の方、定点でございますので大体10倍しますと1万  人近くの方が、最大では混合ワクチンのDPTワクチンを受ける対象となっていないの  が現状でございます。  資料4に戻っていただきます。要望でございますが、後ほど小児科学会の要望書も説明  していただけると思いますが、小児科学会よりDPT、MRなどの混合ワクチンの推進  に関する要望書が提出されました。要望書には接種機会の確保の重要性に加え、安全性  に問題はないことから、それとともにそれぞれ適切な免疫をより効率に獲得してもらう  ためには、対象となる疾患の一部に罹患歴がある者でも、その疾患に対するワクチンを  含む混合ワクチンの接種を定期予防接種の対象とするよう要望が出されているところで  ございます。  本日の要望書等を見ていただいて御議論いただきまして、もし、その必要性がございま  したら、我々といたしましては以下の対応案が考えられるのではないかと考えておりま  す。既罹患者にワクチンを接種することについて、過剰反応などの副反応が特に認めら  れるものを除き、既罹患者にワクチンを接種することの安全性と接種機会の確保の利点  を比較考慮し、適当と認められるものについては一部の疾病の既罹患者であっても、混  合ワクチンの接種を行うこととしてはどうか。  具体的には以下のとおりとなっております。(1)麻しん・風しんについては、既罹患者  に対してもMR混合ワクチンを使用することを可能とする。一方、接種機会確保の観点  から、引き続きMRの混合ワクチン及びMまたはRの単独ワクチンを使用することを可  能とする。  (2)百日咳・破傷風。既罹患者はDPTまたはDT混合ワクチンを使用することを可能  とする。  (3)ジフテリア。7歳以上における既罹患者に対するDPTまたはDT混合ワクチンの  接種は、ジフテリアのワクチン量を減量しないと過剰反応を起こす可能性があるとされ  ていますので、接種は行わないこととする。7歳未満における既罹患者にあっては、D  PT混合ワクチンを使用することは可能とする。  (4)今後、新たな混合ワクチンが開発された際には、今回と同様、既罹患者に対する接  種の安全性と接種機会の確保の利点につき比較考慮した上で、混合ワクチンにおける当  該疾病の既罹患者への接種について、個別に対応を決定することとする。  以上でございます。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。  それでは、続きまして、岡部先生、よろしくお願いいたします。 ○岡部委員 小児科学会の方から要望書を出していますが、これは恐らく行き違いがあっ  て、文章修正をしていない前のものが資料として出ているようです。内容そのものには  変わりがありませんけれども、字句とか参考文献が多少入れ替わっているのがあります  ので、後で差し替えのものをお渡しするようにいたします。  今ご説明頂いたことの基本的な考え方は全くそのとおりで、既罹患者に対してどのよう  に接種していくかということについては、今の事務局案で結構ではないかと思います。  ジフテリアに対する過剰反応というのが今までも教科書的になっておりますけれども、  ジフテリアは実質的に患者さんがいないということ、それから、現在仮にジフテリアに  罹患した人が潜っていてわからない段階で接種をしていたとしても、DTの2種混合で  従来何か問題が起きたということはないので、実際上の問題はないだろうと思います。  破傷風の場合も既罹患者に対する接種が問題になりますけれども、破傷風の方はたしか  文献をつけてあると思うのですが、破傷風罹患者であっても持続的な免疫の保有はない  ので、それに対するTの接種というのが推奨されているぐらいですから、仮に破傷風罹  患者がいたとしても、その方にDPT接種をするということは問題がない。むしろアメ  リカ小児科学会では、それを推奨しているような形になっています。ですから、これで  結構です。  それから、はしかと風しん等の生ワクチンに関しては、再度接種ということについては  むしろ正常の免疫反応で終わってしまうわけですので、生ワクチンについてはこの点は  問題がないと思います。  小児科学会の要望書というのは、そういったところをベースにしてお出ししたものであ  ります。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。ただいま事務局と小児科学会からの要望書  について御説明いただきましたが、このことについて何か御意見いただきたいと思いま  す。  今、岡部先生がお話しになりましたとおり、破傷風、ジフテリアに関しましては、教科  書にも書かれてありますが、ジフテリアの場合確かに年長者の場合は別ですが、疾病に  かかった場合でも免疫を得られたものではないのでワクチンは受けるようにという記載  が教科書にございまして、岡部先生のおっしゃるとおりでございます。  今、お二方からお話があったとおり、既に罹患してしまっている疾病に対して、従来で  すと施行令によって接種が不可能だったのでございますけれども、その辺は今の御説明  のように考慮していただいて、厚労省から資料4の2ページ目の「対応案」というとこ  ろで具体的に示されておりますけれども、このような方法で接種をすることは可能なの  ではないかという案が出されておりますが、この件に関して少し御議論いただきたいと  思いますが、いかがでしょうか。  小児科医会の方はいかがでしょうか。各地でDPTとDTの関係で百日咳に罹患した者  がいるけれどもという現場の声をよく聞きましたけれども、竹本先生、何か御意見いた  だけますか。 ○竹本委員 今回提出された案で十分だと思います。 ○加藤座長 もし、これが実現されればこれでよろしいという御意見でしょうか。  MRについてはいかがでしょうか。 ○竹本委員 MRについても、これでいいんじゃないかと思います。 ○加藤座長 厚労省の事務局対応案が実現すれば、それでよろしいと。  ほかの委員の方々、御意見はいかがでしょうか。 ○澤委員 私もこの案に賛成いたします。百日咳などの場合によくかかったんだ、かかっ  たんだと親がおっしゃっている場合があるんですけれども、本当にそうだったかという  判断ができかねる場合もございますので、こういう形でやっていただければ、より接種  率も上がってよろしいのではないかと思います。 ○加藤座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。  これは厚生労働省の法令関係になると思いますが、事務局案として対応案が出てまいり  ましたけれども、法令的にはこれを進める際には余り大きな問題はないと考えてよろし  いのでしょうか。 ○山井企画法令係長 省令の改正という形で手続上は必要になってくるものでございます。 ○加藤座長 その場合は、かなり時間が掛かると考えますか。それとも、今回高齢者に対  してMRを接種するようになる可能性が高くなりますが、時が同じぐらいでできるか、  より早くできるか、より遅くなるのか、その辺はいかがでしょうか。 ○山井企画法令係長 一応、手続的にはMRの政令改正をするとすれば平成20年度から開  始ということになろうかと思いますけれども、勿論それに間に合うようには実施できる  ような形で進めることになろうかと思います。 ○加藤座長 これはかなり画期的な案でございまして、何でもないように見えますけれど  も、現場の者にとっては非常に画期的な施行令の改正になりますので、重要なポイント  になりますが、蒲生さん、積極的に進めたいとか、やめてくれという御意見があったら。 ○蒲生委員 こうなったらいいなと思います。 ○加藤座長 廣田先生、何かございますか。 ○廣田委員 一刻も早く実現することをお願いいたします。 ○加藤座長 委員の方々はほとんど事務局の案について、一刻も早くこの対応案を実施し  ていただきたいという要望が強いようでございますので、是非とも厚生労働省のお力で  施行令を改定していただいて、たとえ百日咳にかかった方でもDPTを接種していただ  いて、DTの接種をする機会を得るということとか、また、小児科学会から出ました今  後たくさん出てくるかもしれないコンビネーションワクチンで1個欠けてしまった場合、  多数のワクチンを用意しなくてはいけないとかいろいろ複雑な問題が出てまいりますの  で、既罹患者に対しても現行のワクチンの混合ワクチンが接種できるというような方向  でお考えを進めていただきたいと考えます。 ○岡部委員 もう一点よろしいでしょうか。多くの方が心配されるのは既罹患者に免疫を  与えた場合に副反応が起きやすくなるのではないかというような危惧で、恐らくいろい  ろなところから質問として出されるのではないかと思いますけれども、この要望書の中  にも書いてありますが、例えば米国小児科学会の教科書的な本ですが、そこには既に免  疫を得ている者がそのワクチンを受けると有害であるというエビデンスは、今のところ  ほとんどのワクチンにおいてない、と書いております。その例外的なものが先ほどのジ  フテリアの抗免疫保有者というような考え方だと思います。  それから、既往歴というのは案外わからないもので、本当にはしかをやったのか、ある  いは百日咳をやったのか、先ほどの澤先生のお話にもありましたけれども、そういう既  往歴が不明な方が目の前にいるときにどういうワクチンをしたらいいかということです  が、それはスケジュールどおりにやって、むしろ免疫を持っていないままの場合の不利  益の方が高いのであるというのが一応コンセンサスの得られている考え方だと思います。  したがって、既罹患者であるから接種ができないという形での決まりは現場で混乱を来  すので、できるだけ今の事務局の説明のようにしていただいて、本当に明らかに既罹患  者であってワクチンは不要だろうというのは現場の判断で可能ではないかと思います。 ○加藤座長 ありがとうございました。安全性ということも考えた上で経験的に大丈夫で  あるという御意見であろうかと思いますが、事務局から出ました対応案をじっくり読み  ますと、岡部先生が今お話しになったことが全部書かれていると思いますので、この案  で是非お願いいたしたいと考えます。よろしくお願いいたします。 ○三宅課長補佐 ありがとうございました。先ほどの要望書につきましては、差し替え版  を今回は全部公開されておりますので、インターネットで議事録公開の際の資料には新  しい版を配付させていただくということで、今回の傍聴者にも既に配っておりますので、  新しい版につきましては、インターネット経由で入手していただくようにお願いいたし  ます。失礼いたしました。 ○加藤座長 では、そのようにお取り計らいのほどよろしくお願いいたします。  続きまして、最初に御報告申し上げましたとおり、麻しん排除計画案につきましては、  8月8日付で健康局長に提出させていただきました。本日は参考資料2として配付させ  ていただいております。計画案に従い、具体的な定期予防接種に組み入れる方法につい  て、事務局から御説明をよろしくお願いいたします。 ○山井企画法令係長 本来ですと、補佐の安里の方から御説明するところでございますが、  所用で席を外しておりますので、代理で私、企画法令係長の山井が予防接種法施行令の  一部改正の案につきまして御説明をさせていただきます。お手元の資料5をごらんいた  だければと思います。  実際、政令ですと手続としてはこの後、それぞれ必要な審査等がございますので、最終  的に案文がこのとおりになるか確定的なことは申し上げられませんが、各委員の先生方  に内容を御確認いただきたいという趣旨で、現在つけているものでございます。  1つは、まず麻しんの3号及び4号が、今回排除計画で御提案いただいた13歳と18歳と  いう話でございますけれども、条文が読みづらいとのお叱りを受けてしまうかもしませ  んが、趣旨としては当該者が13歳となる日の属する年度に中学1年生である方々という  ことなので、対象としては実際は小学校6年で卒業されない方というものも制度上はあ  ったりするので、すべて年齢という形で定義させていただいております。  13歳となる日の属する年度に通常はその方々が中学1年にあるわけでございますけれど  も、その年度の4月2日から翌年度の4月1日に中学1年生にある方でありますが、そ  の方々がその間に13歳となる者。これで例えば12歳であっても3月31日生まれの方であ  っても、中学1年生の1年間に当該予防接種が打てる対象になると考えて、この3号の  ような書き方をしてございます。  4号につきましても同じような趣旨で、ただ対象年齢が13歳ではなくて18歳になるとい  うことで、4号については18歳となる日ということで記載させていただいております。  対象となる疾病でございますけれども、麻しん排除計画がございましたが、先生方の御  意見で麻しん同様に風しんの対策も重要であると。使用するワクチンについてもMRワ  クチンを使用するというお話もございましたので、対象疾病としては麻しんと風しんの  両方に3号及び4号として記載させていただきました。  以上でございます。 ○加藤座長 ありがとうございました。ただいまこれらの2つの疾病について、定期の予  防接種に組み入れる方法について事務局から御説明をいただきましたが、資料5につい  て何か御議論ございましたら、お願いいたします。 ○岡部委員 風しんに関してですけれども、はしかの対策のついでに風しんが入ってきた  ということではないと思います。また、対象とするワクチンがMRであるからMRをや  るということでもなくて、風しんに対する対策は非常に重要であるということが基本に  あります。これまでの予防接種検討会、加藤先生が座長のとき、その前の神谷先生のと  きからも風しんの問題が入っていたと思います。特に、加藤先生が座長になられて以降  は、風しんに対する緊急検討会というようなこともやっておりますし、感染症情報セン  ターからも緊急提言といったような形でお伝えをしております。風しんは確かにはしか  よりも非常にマイルドな病気で、自然に治ってしまうというようなことがあり、数も現  在はしかよりも少ないわけですが、風しんが一時的に流行しますと、我が国においても  やはり先天性風しん症候群(CRS)といったような形で私たちの次の世代に禍根を残  すような事例は発生しております。それから、明らかになっているCRS症例以外に、  必ずその背景には診断のついていないCRSの方々がおられるだろうということもあり、  対策上共通の方法でとれる風しん対策というのはむしろ今こそ強くやるべきであろうと  いうことと思います。そういう意味でも風しんに対する対策も、「ついで」ではなくて  共にやるということで、はしか・風しん計画を出していただくことは私としては大歓迎  です。  以上です。 ○加藤座長 ありがとうございました。ただいま岡部先生からもお話がございましたが、  数年前の検討会におきまして、MRワクチンが導入されたときの風しんの議論の中で、  風しんは2回接種だけでよろしいかという議論が確かに出まして、風しんに関しては思  春期以上のときに更に接種をした方がよろしいのではないかという議論がなされたこと  は事実です。そのときに注意書きとして、更に今後、再考する必要があるという1項目  が検討されていたことも事実でございますので、今の岡部先生がおっしゃったことが過  去の経過としてあるということを確認させていただきたいと存じます。このようなこと  につきまして、何か御意見ございましたら、どうぞ。  竹本委員、風しんについていかがでしょうか。 ○竹本委員 私は、沖縄の大きな悲劇があったことを踏まえますと、絶対的にやらなけれ  ばいけない予防接種だと思っています。 ○加藤座長 ありがとうございます。ほかに御意見ございますか。よろしいですか。  それでは、麻しん・風しんを定期の予防接種に組み入れていただくということで各委員  の意見が一致したと思われますので、今後、厚生労働省におかれましては、麻しん・風  しんを今後の定期の予防接種に中学生または高校生の年齢相当の方々に対して、この予  防接種を定期の予防接種に組み入れていただくようにお願いいたしたいと思いますので、  是非よろしくお願い申し上げます。  少し進行が早まりましたけれども、そのほかに何か委員の中から御意見がございました  らば伺いますが、いかがでしょうか。 ○飯沼委員 混合ワクチンのお話のときに、昔、大学にいたころにワクチニアウイルスの  中にいろいろコンポーネントを入れてワクチンをつくって、併せてワクチネーションし  ようという話があったんですけれども、外国ではそういうことはやられているんですか。  又その組替えワクチンの方は? ○加藤座長 飲むものですか。今、日本で行われているような定期の予防接種に関しては、  そのような試みはなされていない。ただ、新しいワクチン、ちょっと名前が出てきませ  んけれども、それを食べ物の遺伝子の中に取り込んで、食物として食べてワクチンする  という報告は、動物の例でございますけれどもあります。この件に関して岡部先生、何  か情報があったらお願いします。 ○岡部委員 私が出席しているのは、SAGEというWHOのワクチンのストラテジーを  考えるようなグループの会議なんですけれども、そこでの今後のワクチンの在り方とい  うことで常に話題になっているのは、どうやって混合ワクチンをつくっていって、それ  によって接種回数を少なくして、一方では効率に免疫を上げるかという方向に進んでい  ます。勿論今までの議論があったように、混合することによって副反応が増えてくると  いう新たな現象があっては困るというのは常に議論されているんですけれども、WHO  のスタンスでは、現在少なくとも市販されているような状態のワクチンをそれぞれ混合  して何か問題があるというのは、例えば、コレラと黄熱というような例外的なものを除  いてはない。混合ワクチンというのは今後進めていくべき方向であるというのがWHO  等々での議論の中でコンセンサスが得られていることです。 ○飯沼委員 組替えワクチンみたいな話は。 ○岡部委員 それもその中に入っていますけれども、ワクチニアの組替えで何かやってい  くというのは、研究としてはやっていますけれども、今のところ実用的にはなっていな  いと思います。 ○飯沼委員 もう一ついいですか。Hibワクチンができるようになりまして、子どもさ  んにとっては本当にいいことだと思っていますが、6回とたくさんの費用が掛かるとい  うことで、日本医師会としては定期接種に入れてもられえば一番うれしいなと思うんで  すけれども、すごくお金が掛かる話なので今すぐということにはならないと思いますが、  何とかすべての子どもさんにそれを供給できるといいますか、子どもさんが幸せを享受  できるようなそういう状況にしていただきたいと強く思っております。またよろしくお  願いいたします。 ○加藤座長 ありがとうございました。Hibは認可されましたけれども、まだ発売され  ておりませんので、今後の問題として残させていただくと。同じように肺炎球菌でも髄  膜炎が起きまして、これもまた肺炎球菌よりひどい髄膜炎を起こしますので、これも認  可された場合には同じような問題が起きてこようかと思いますが、それをどのような形  で国が接種を勧めていくかということに関しましては、少し宿題とさせていただこうか  なと考えるところでございます。どうも貴重な御意見をありがとうございました。  ほかに何か御意見はございませんか。よろしいでしょうか。少し時間を残しましたけれ  ども、今日用意しました議論は以上でございます。  それでは、最後に、事務局からございましたらよろしくお願いいたします。 ○山田課長補佐 次回の開催につきましては、また事務局より御連絡をさせていただきた  いと思っております。  本日も長時間にわたり御議論いただき、誠にありがとうございました。これをもちまし  て終了とさせていただきたいと思います。