07/08/09 独立行政法人評価委員会国立病院部会第21回議事録掲載 独立行政法人評価委員会 国立病院部会(第21回)議事録 平成19年8月9日(木) 厚生労働省 省議室 ○猿田部会長  定刻になりましたので、第21回の独立行政法人評価委員会国立病院部会を開催させて いただきます。本日は、ものすごく暑い中を皆様方にお集まりいただきまして、どうも ありがとうございました。要領よく進めていきたいと思います。  なお、本日は渡辺委員が欠席ということで、ほかの方は全員おそろいになりましたの で、よろしくお願いいたします。  初めに、事務局から本日の議事に関しまして簡単に御説明いただきたいと思います。 ○政策評価官室長補佐  本日の議事は、財務諸表等に関する意見及び総合評価を中心に審議を進めていただき たいと思います。  まず、財務諸表等に関する意見について御審議をいただきます。法人の財務諸表等に 関する意見については各法人共通の流れとなっておりますが、担当委員でおります住田 委員からヒアリングの結果を御報告いただき、それを踏まえ、御審議をいただきたいと 思います。  次に、平成18年度業務実績について、前回の個別評価の結果に基づき起草委員におい て起草いただいた総合評価の案について御審議をいただきたいと思っております。  また、これまで皆様に御記入いただいた評価シートの原本については、御参照いただ けるよう、お手元に置かせていただいております。後ほど、本日の審議等を踏まえまし て評価シートを確定いただく時間を設けておりますので、よろしくお願いいたします。  議事については以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。まずは、今お話がありました総合評価書、財務諸表 等に関する意見のまとめに関しては、特に起草委員の先生方には本当に御苦労いただき まして、どうもありがとうございました。  それでは最初に、財務諸表等の意見に関する審議に入りたいと思います。財務諸表等 については、独立行政法人通則法第38条に基づきまして独立行政法人評価委員会の意見 を聞いた上で厚生労働大臣が承認すること、とされております。それから、今年度は剰 余金が出たものですから、剰余金の扱いについては、独立行政法人通則法第44条及び第 67条に基づいて独立行政法人評価委員会の意見を聞いた上で、財務大臣との協議の上で 厚生労働大臣が承認すること、とされております。この剰余金に関しては、国立病院機 構としては初めて審議いただくことになると思います。  それでは、机上配付資料であります「財務諸表の適正性等についての意見」について、 担当の委員であられます住田委員から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願 いいたします。 ○住田委員  部会長、先ほどおっしゃいましたように剰余金の取り扱いに関しては今回が初めてで ありまして、私が意見を申し述べさせていただく前に委員の先生に機構から概略、実は 私もよく知らないと困るものですから是非、2点ほどあるのですが、新しいことについ て御説明していただいたらいかがかと思うのですが、よろしくお願いしたいと思います。 ○猿田部会長  どうでしょうか。 ○国立病院機構企画経営部長  国立病院機構企画経営部長でございます。よろしくお願いいたします。  お手元に「財務諸表」という白表紙の冊子が置いてあろうかと思います。これとA3 のシート(評価シート)の61ページ、この二つの部分を御参照いただきながら御説明を させていただきたいと思います。  まずは「財務諸表」の23ページをご覧いただければと思います。住田委員から2点、 新しいことについて御説明せよという御指示をいただきました1点目、運営費交付金債 務についてでございます。私ども国立病院機構として、18年度は506億余りの運営費交 付金をいただきました。私どもは23ページの(3)の箱の中に書いてございますように、 いただいた運営費交付金については、成果進行基準という運営方式をこれまでやらせて いただきました。  18年度においても、そこに診療業務、教育研修業務、臨床研究業務、その他と、私ど もが交付金を充てております業務の概略、かたまりを書いております。例えば診療業務 でいえば救急医療とか精神科の救急のように補助金制度があるものの見合いで、私ども が補助金をいただけない代わりとして交付金を充てているもの、あるいは研究で申し上 げれば全国八つの病院において臨床研究センター、あるいはそれ以上多数の病院におい て研究部という形で研究組織を設けておりますが、それに関わる基礎的な経費について などにこの交付金を充てておりますし、「その他」として書いておりますのは、国立病院 機構の職員の多くが国時代からの経歴を引きずって今、生活をしておりますが、退職時 においてその退職金のうち国期間に相当する部分についてはこの交付金を充填する等々、 交付金については使い道の大枠をお決めいただいた上で、その需要が発生した時点で収 益化する。  18年度においては、表の中に書いております、従来はその他の業務として交付金を充 てておりました医療廃棄物などを処理する業務、病院でございますので医療廃棄物が、 例えば再編成で、私どもとしては病院をやめた跡地から出てくるような場合については、 我々の責任で処理をしなければなりませんが、その行っております処理の工期が少し延 長いたしまして18年度で終わらなかった事業がございましたので、それに相当する部分、 5億4,000万余りについて、18年度期においては交付金の、言葉はどうかと思いますが、 残額、使い残しが出たというのがまず1点、事実でございます。  これは中期目標期間内においての運営ということでもありますので、成果進行基準と いう中、19年度に引き続いて事業を行い、その所要額が必要になった場合はこの18年 度の使い残しの部分についても収益化をして使わせていただくという、独立行政法人の 会計基準に沿った取り扱いをさせていただく。独法になって16年、17年、18年と決算 を打たせていただきますが、このような形で交付金に残高が出たのは今期が初めてでご ざいますので、これについて1点、御報告をいたしました。  もう1点は、「財務諸表」の9ページをお開きいただきたいと思います。標題として「利 益の処分に関する書類(案)」と書いております。A3のシートの61ページ、前回も御 説明をいたしましたが、3期目において、私どもは前回、御説明いたしましたような種々 の運営努力などを講じた結果として、決算の最終的な総収支において90億弱の剰余を生 じさせることになりました。既に16、17と2年度において12億余りの累積欠損が生じ ておりましたので、今期発生した剰余についてはその累積欠損に充てることに使わせて いただいた上で、9ページにございますように77億余りの剰余が当期の剰余金として生 じるに至りました。  一方で参考までに申し上げますと、先ほど来申しております交付金という形でいただ いております例えば結核の事業あるいは救急の事業など、交付金を充てております事業 については、それぞれセグメントで分析いたしますと、交付金をいただいてもその分野 だけではまだ全体として赤になっているという状況があった上で、交付金をいただいて いない一般の診療収入をもって全体として活動いたしました結果、このような形で今期、 利益が剰余として発生したと私どもとしては考えております。  この77億余の扱いでございますが、私どもとしては前回のときに理事長から冒頭、御 説明申し上げましたように、装置産業として今後、老朽化したものを更新する必要があ る。あるいは機器についても、もちろんこれから従来の機器を当然の前提とすることな く、購入努力ですとか、あるいは本当に必要かどうかという厳選はいたしますものの、 その更新に必要なお金が今の水準で400億等での投資調達基準から600億を超える水準 にまでなるのではないかと私どもは見込んでおります。そのような中期の見通しの上で、 今期の77億の剰余については通則法に基づいて、私どものネーミングとしては施設設備 整備積立金という形で利益の処分をお願いすべく、大臣に承認を受けたいと思っており ますし、本日のこの評価委員会においても案として財務諸表の中に盛り込んでおります。  以上、2点でございます。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。今、細かく御説明いただきましたが、委員の方々、 どなたか御質問はございますでしょうか。お分かりいただけましたでしょうか。90億の 中で前の2年分を引いて、あと77億を今の形で使っていこうということです。ありがと うございました。  それでは御意見がないようですので、住田委員から御説明をよろしくお願いいたしま す。 ○住田委員  お手元の机上配付資料「財務諸表の適正性等についての意見」というものをご覧いた だきまして、私の意見を申し述べさせていただきたいと思います。  まず、財務諸表の適正性について検討した結果を申し上げます。提供されました財務 諸表等の資料については、平成18年8月2日に国立病院機構及び独立行政法人通則法第 40条に基づき選任されております会計監査人であります新日本監査法人から、場所は国 立病院機構本部で説明を受けまして、ヒアリングをさせていただきました。  まず、国立病院機構からは財務諸表全般について特に私が必要と考えました、あるい は疑問に思いました個別会計処理について質疑を行い、その妥当性を確認させていただ きました。  次に、日本における三大リーディング監査法人であります新日本監査法人、業務執行 社員2名の方にお目にかかりまして、同監査法人が実施した監査の方法及び概要に関し て、同監査法人から提出をいただきました監査実施報告書の検討を行いました。  その結果、新日本監査法人では、公認会計士、会計士補、合計23名、時間数にしては 1万2,623時間。昨年度は1万3,178時間でしたが、膨大な執務時間をもちまして本事 業年度の監査を十分に実施されていることを確認させていただきました。  同監査法人の監査の結果は、財務諸表等の31ページに掲載してあります独立監査法人 の参加報告書において、会計監査人として財務諸表が適正に表示されている旨の意見が 表明されております。  私は、このようなことから判断いたしまして、国立病院機構の当事業年度の財務諸表 は適正に作成されており、申請どおり承認することが適当であると考える次第でありま す。  御参考までに、同監査法人の監査実施報告書において、会計業務に関する主な課題と して、次の事項が指摘され、改善策が記されております。なお、この件については、平 成16年度、私が新日本監査法人に監査を通じて考えたこと、監査を通じてマネジメント、 理事長あてに意見を申し述べたいことがあったらなんなりと書いていただきたい、是非 参考にするからということで、17年度、18年度、本年度もそうですが、書いていただい た次第です。  項目だけ申し上げますと、次ページに書いてありますが、患者債権の状況について記 されておりました。それから、材料購入にかかわる購入伺いについても記されておりま した。それから、治験の予算執行管理について記されておりました。これらはいずれも 私は大変有益なる指導、勧告と考えましたから、機構の皆さんにも申し上げましたが、 今後は十分にこのようなことを検討されることが望ましい、とお伝え申し上げました。  次に、平成18年度の財務状況を平成17年度、昨年度と比較した場合、次のことが考 えられると思います。  まず、経常利益は平成17年度は36億円でありましたが、本年度、平成18年度は124 億円と大幅に増加しております。これの主な増加原因としては、機構からも説明があり ましたとおり、国立病院の時代からの承継資産に関わる償却満了による減価償却の減少 が160億円に及ぶということであります。この結果、このような利益が出た次第であり ます。  また、当期利益については平成17年度は3億円でありましたが、平成18年度は上記 の原因にもよりまして90億円の大幅な黒字が計上されています。それから国立病院機構 債は、平成18年度においては30億円の発行があり、残高は60億円と増加しておるので すが、財政融資資金借入金期末残高については平成18年度は17年度よりも328億円減 少しております。  以上、平成18年度においても平成17年度に引き続きまして借入金残高の大幅な減少 を行うことができました等、経営改善がなされているものと判断いたしました。  以上から考え、判断し、財務諸表を確認したものとしての財務の健全性及び改善に関 する意見としては、平成18年度においても国立病院機構の収支改善は職員の皆さん方の 懸命なる経営努力のもとで着実になされているものと評価させていただきますとともに、 今お話のありました財務諸表等9ページの「利益の処分に関する書類(案)」は、利益処 分額として記載されている独立行政法人通則法第44条第3項により、厚生労働大臣の承 認を受けようとする施設設備整備積立金77億4,120万4,237円は法令に適合しており、 妥当なものと考える次第であります。  ただし、収入を増加させるために必要な医師等の確保及びさらなる費用の節減、そし て、減価償却がなくなるということは病院建物を初めとする医療設備の充実強化が次の 課題でありますので、このような課題は残されておると思います。そのようなことで、 今後とも引き続き経営改善に取り組まれることを期待いたしまして私の意見とさせてい ただきます。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。今、御説明がありましたように、17年度に比べて18 年度はかなり大きな改善がみられて、職員の皆様方の努力が実ったというお話でござい ます。今、御説明いただいたことに関しまして、どなたか御意見はございませんでしょ うか。先ほどお話がありましたように、剰余金に関してはまた別の形で何が行われます けれども。指摘を受けたのは、患者債権の状況と材料購入にかかわる購入伺いと治験の 予算の執行管理、このあたりですね。あとほかには特に大きな問題がなかったというこ とでございます。もし皆様が特に御意見がないようならば、この形でお認めいただくと いうことでよろしいでしょうかね。  (「異義ありません」の声あり)  ありがとうございました。そうしますと、こういった形で次のあれでは、平成18年度 の財務諸表についての意見書としての今の資料1−1と、剰余金の使途に関する意見書 としての資料1−2を取りまとめて厚生労働大臣に提出したいということになりますが、 そのような手順に従うということでよろしいでしょうか。もしよろしければそのような 形にさせていただきたいと思いますが、今後の流れについて事務局から御説明をお願い できますでしょうか。 ○政策評価官室長補佐  本日、当評価委員会で御審議いただきました意見書を踏まえまして、厚生労働省とし て承認の手続に入りたいと思っております。もっとも、承認するに当たりましては、通 則法の第67条に基づきまして財務大臣との協議が必要となっており、お手元の参考1に 示された基準にのっとりまして協議を進めることとなります。協議の結果については、 改めて当部会にて報告したいと考えております。  以上でございます。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。今のような形で今後進めていくということですが、 よろしいでしょうか。  ありがとうございました。それでは、そういった形でお認めいただいたことにさせて いただきます。  そうしますと、第1の財務諸表に関するところを終わりまして、続きまして第2番目 の国立病院の総合評価に移らせていただきたいと思います。これに関しては、まず事務 局から平成18年度業務実績全般の評価ということで総論部分をお話しいただきまして、 その後、起草委員で御苦労いただきました永井委員から講評をいただくという形で進め させていただきたいと思います。  では最初に、事務局から御説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  では、資料2をご覧いただきたいと思います。「独立行政法人国立病院機構の平成18 年度の業務実績の評価結果(案)」でございます。読み上げる形で御説明をいたしたいと 思います。  1ページ、1.平成18年度業務実績について。  (1)評価の視点  独立行政法人国立病院機構は、国立病院・療養所の業務を承継して、平成16年4月に 新たに独立行政法人と発足したものである。今年度の国立病院機構の業務実績の評価は、 平成16年4月に厚生労働省が定めた中期目標の第3年度の達成度についての評価であ る。当委員会では、厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基準及び個 別項目ごとの評価の視点等に基づき、評価を実施した。  なお、本評価に当たっては、本部会の実績報告とヒアリング等の部会審議に先立って 一部の病院の視察も行い、その結果も踏まえつつ評価を行った。  視察を行ったのは、災害医療センター、村山医療センター、松籟荘病院の3病院とな っています。  (2)平成18年度業務実績全般の評価  国立病院機構は、安全で質の高い医療を効率的に提供していくことが求められている。 具体的には、国の医療政策を踏まえつつ、患者の視点に立った適切な医療を提供する診 療事業、国立病院機構のネットワークを活用した臨床研究事業、質の高い医療従事者を 養成する教育研修事業等を、安定的な経営基盤を確立しつつ、効率的・効果的に運営し ていくことを目指している。  独立行政法人に移行後3年度目にあたる平成18年度においては、初年度から取り組ま れた病院長の裁量・権限の拡大等を通じた業務進行状況の迅速な把握と業務改善への努 力が実りつつあるなか、新たに開始したQC活動(病院職員が課題に応じて小グループ を構成し、業務の質の向上を目指して取り組む自主的活動)が、職員の一層の意識改革 を促すなど、全体としての充実度がより強まったことが伺える実績となっている。  特に、積極的な業務運営の効率化と収支改善に向けた取組は、初年度に引き続き3期 連続して中期目標に掲げる経常収支に係る目標を全体として達成したことに加え、平成 18年度の診療報酬マイナス改定にもかかわらず2期連続で純利益を計上するなど、特段 の実績を上げている。こうした全体としての大きな成果は、理事長のリーダーシップの 下に、各病院長をはじめ職員が懸命な経営努力をした結果であると高く評価する。なお、 病院の収支は種々の環境等に左右されるが、今後とも中期目標の期間全体において目標 値を達成できるよう努められたい。  また、平成18年度においては、救急医療への取組や地域連携クリティカルパスを含む クリティカルパスの活用をはじめ、人工呼吸器の機種の標準化への取組や医療安全管理 者の専従配置など、質の高い医療の提供について着実に実績を上げている。  さらに、国立病院機構のネットワークを活かした臨床研究活動やEBMの推進に向け た取組が順調に進捗しているほか、質の高い治験の推進に向けた取組も大いに実績を上 げている。  今後とも、患者の目線に立った良質な医療と健全な経営とのバランスがとれた一層の 取組を期待したい。  なお、国立病院機構の契約に関して、独立行政法人としてより透明性と競争性の高い 契約とするべく会計規定等の改正を行い、一般競争入札を原則としたことは評価できる。 引き続き、厳正かつ適切な契約を望むものである。  また、障害者雇用の促進について、法定雇用率達成に向けた取組は評価できる。  これらを踏まえると、中期目標の3年度目に当たる平成18年度の業務実績については、 全体としては国立病院機構の設立目的に沿って適正に業務を実施したと評価できるもの である。地域の医療機能の分化・連携等、我が国の医療提供体制のあり方が大きく進展 している現在、全国に146病院のネットワークからなる国立病院機構が、我が国の医療 政策における役割等も踏まえ、今後ともそのネットワークを活用して積極的に国民医療 の向上に貢献していく姿勢を期待したい。  中期目標に沿った具体的な評価結果の概要については、2のとおりである。個別項目 に関する評価資料については、別紙として添付した。  2.具体的な評価内容  (1)診療事業  (1)患者の目線に立った医療の提供  患者満足度調査は、各病院がその調査結果を活かして自らの課題を認識し、サービス の改善に向けた取組につなげていくことが重要である。診療中の心理的、経済的諸問題 などについて相談・支援を行う医療ソーシャルワーカーを平成18年度に46名増員した ことは評価できる。外来患者に対する利便性を考慮した多様な診療時間の設定に対する 取組や、患者を待たせないようにするための工夫など、今後とも積極的な取組を望みた い。  セカンドオピニオン制度については、窓口を開設している病院数は引き続き増加し、 利用実績も着実に増加している。また、セカンドオピニオンを担当する医師を養成する ための研修会の開催も評価できる。  患者自身が医療の内容を適切に理解し治療の選択をできるよう医療従事者による説 明・相談体制の充実や、一部病院における土日外来・助産師外来の実施などの取組は評 価できる。患者の目線に立った医療サービスの提供は国民・利用者の求めるものである ことから、今後とも更なる努力を期待したい。  (2)患者が安心できる医療の提供  医療倫理の確立について、カルテ開示や相談室の設置など、プライバシー配慮体制の 整備を進める一方、医療事故発生時の公表基準を策定し、より透明性のある病院運営に 努めている。臨床研究や治験を行うすべての病院に倫理審査委員会や治験審査委員会等 を設置し、その運用に努力している。  医療安全対策については、医療安全対策に関する指針の充実を図るとともに、医療事 故防止の観点から人工呼吸器の機種や医薬品の標準化、転倒転落防止の取組を進めてい ることについては高く評価できる。機構病院の医療安全対策の更なる充実と改善に取り 組むとともに、我が国の医療安全対策へのさらなる貢献を望みたい。  救急患者受入数は、中期目標に掲げる目標値を達成している。また、ドクターヘリや 防災ヘリによる患者搬送時の医師同乗や、搬送された患者の受入れにも協力しており、 こうした努力は評価できる。医師の確保等が困難な環境にはあるが、今後とも更なる充 実を期待したい。  (3)質の高い医療の提供  クリティカルパスの実施件数が増加し、中期目標に掲げる目標値を大幅に上回る実績 をあげている。また、地域の医療機関と一体となった地域連携クリティカルパスの実践 は評価できる。  EBMの推進に向けた取組については、臨床評価指標の開発、EBM普及のための研 修会の実施、多施設共同臨床研究、電子ジャーナルの配信など、各般にわたり努力して いる。これらは、機構の病院ネットワークを活用した取組や成果として高く評価できる ものであり、今後とも大きな実績が上がることを期待したい。なお、このような活動に ついて学会やメディアを通じて情報発信することも、機構の重要な役割である。  重症心身障害児(者)等を受け入れている病院における患者家族のための宿泊室の設 置は、中期計画に掲げる目標値を上回っている。長期療養者のQOLの向上に向けて療 養介助職を大幅に増員し、また、リスク軽減の観点から、筋ジス・重心・ALS患者等、 長期療養患者が装着する人工呼吸器の機種の標準化を進めたことは高く評価できる。  高額医療機器の共同利用数は、中期目標に掲げる目標値を大幅に上回るとともに、紹 介率・逆紹介率の向上についてもそれぞれ達成しており、地域連携クリティカルパスへ の取組など、地域の医療機関との連携が更に進展している。  心神喪失者等医療観察法に基づく指定入院医療機関について、平成18年度中に全国9 カ所で運営された。機構病院の割合の大きさからも、この分野で重要な政策的役割を担 っていることを示している。政策医療の実施は機構の本来使命であり、今後とも積極的 な取組を期待したい。  (2)臨床研究事業  EBMのためのエビデンスづくりの推進について、大規模臨床研究体制の構築など、 平成16、17年度の課題は順調に進展している。平成18年度においても新たに課題を選 定し積極的に推進している。こうした国立病院機構のネットワークを活用した臨床研究 の推進は、高く評価できるものであり、具体的成果を得るには一定の時間を要するが、 今後の成果を大いに期待したい。  質の高い治験の推進を目指して、更なる治験コーディネーターの大幅な増員を含め本 部及び各病院において実施体制の整備等に特段の努力を行い、中期目標に掲げる治験実 施症例数に係る目標値を大幅に上回る成果をあげている。治験に係る受託研究費も大き く増加している。  国立病院機構のネットワークを活かした臨床研究や治験の推進は、我が国の医療の向 上のために貢献が期待される分野であり、日常の診療業務を行いつつも臨床研究や治験 に積極的な取組を図るべきである。そのためには、患者の信頼が十分確保されるよう、 今後とも、人的資源の投入等、事業の成長を図る上で必要な人的・組織的体制の充実を 図るなど、積極的な取組を望みたい。  (3)教育研修事業  初期臨床研修医の受入数は、中期計画に掲げる目標値を大幅に上回ったが、レジデン ト受入数は臨床研修必修化等の影響もあり減少している。  初期臨床研修終了後の専門領域の研修制度として、しっかりした枠組みの下で、後期 臨床研修制度に先進的に取り組んでおり評価できるが、研修医などにどのように受け止 められているかなども具体的に把握しつつ、今後、成果をあげることを期待したい。ま た、レジデントの受け入れ数の減少に対しては、キャリアパスの構築を行い、より魅力 的な体制とする必要がある。  看護教員養成事業の開始や実習指導者講習会の開催、研究休職制度の活用等、看護師 のキャリアパス制度の充実を図るとともに、平成18年度より全病院統一の研修ガイドラ インの運用を開始するなど教育研修体制の構築に向けて着実な取組を行っている。  (4)災害等における活動  災害等における活動については、計画どおりに研修を実施していることに加え、能登 半島沖地震時には迅速に医療班を派遣し医療支援を実施した。また、国際緊急援助を含 む災害援助に積極的に参加している。国立病院機構の性格からも、今後ともこうした貢 献を大いに期待したい。  なお、これらの活動を社会に知ってもらうための広報にも力を入れることを期待する。  (5)効率的な業務運営体制の確立  本部・ブロック組織の役割分担の明確化や効率的な管理組織体制の整備については、 既に平成16年度から中期計画に掲げる目標等を達成しており、その継続と定着を図って いる。内部監査については、昨年度から2年間で全病院に対し実地監査を実施したこと は評価できる。監査計画を策定し、昨年度の重点事項の会計処理、個人情報保護法に関 する事項に加え、医療安全管理に関しても新たな重点項目として実施した。今後とも各 病院の支援、活性化に留意しつつ、監査対象を順次拡大させることを望みたい。  また、臨床研究や治験の推進については、専門家の増強や本部の支援体制の強化を図 るなど、機構全体の治験取扱件数の増加に寄与していると認められる。  各病院の機能・規模による運営方針に応じた複数副院長制の導入についても取り組ん でいるが、今後とも効率性に留意しつつ、病院組織の弾力的構築に取り組むことを期待 する。技能職の削減は計画を上回る実績を上げているが、不補充後に業務の質が低下し ないよう配慮も求めたい。医療ソーシャルワーカーの配置については、大幅に増員する ことで、よりきめ細かな対応を行う体制を整えている。今後とも患者の視点に立った相 談体制の充実を望みたい。  人事評価制度については、全ての管理職に業績評価を実施し、医長以上の医師には年 俸制を導入している。さらに、国に先行して一般職員を含む全職員の人事評価制度の導 入についても検討を重ねており、こうした職員の業績評価等への取組は評価できる。  なお、業績評価等については、適切かつ効果的に実施し組織の活性化につながること を期待するとともに、今後は職員の満足度調査の実施も検討されたい。  再編成業務については、計画に沿って着実に実施している。  (6)業務運営の見直しや効率化による収支改善  (1)業務運営コストの節減等  国立病院機構の契約に関して、会計規程等の改正により契約事務の透明化を図り、一 般競争入札を原則とするとともに、随意契約締結状況については公表基準を定めホーム ページに掲載するなど透明性の確保を行っている。今後とも、医療事業の特性にも配慮 して安全性などの質の確保に十分留意しつつ、厳正かつ適切な取組を望みたい。  医薬品の共同入札については、スケールメリットを活かし全国の入札業務を本部で一 括して実施するなど、費用の抑制を進めている。さらに一部のブロックでは医療用消耗 品や医療用消耗機材の共同購入にも取り組んでいる。また、在庫の適正化に努めるなど 材料費率の抑制も着実に進めている。  また、国家公務員の給与構造改革を踏まえた給与体系の見直しには相当の努力を行っ ているほか、検査や給食業務のアウトソーシングを推進し、人件費率の抑制を図ってい る。こうした材料費や人件費等、業務運営コストの効率化に合わせて必要な看護師等も 配置しつつ、診療報酬上の上位基準の取得などを通しで収益を向上させ、これらが相ま って(7)に記したような大きな収支の改善の成果を上げているものと評価する。  さらに建築整備についても、契約実績に基づく工事費、基準単価の作成や落札後の価 格交渉などによりコスト削減に努めている。工事の質にも配慮しつつ更なる努力を期待 したい。  一般管理費の節減も既に中期目標を大きく上回る削減を達成しているが、平成17年度 に比べて更に7.8%減少している。平成18年度には新たな試みとして、職員の給与支給 明細書への広告掲載を行い、費用の削減に貢献した。  こうした試みは、職員の経営に対する意識改革に繋がるものであり、評価できる。今 後とも、例えば、QC活動に対する取組に創意工夫を凝らし、より効率的な業務運営に 向けた更なる取組を進められたい。  (2)医療資源の有効活用  高額医療機器の効率利用や共同利用の促進に努め、中期計画の目標を大幅に上回って いることは大いに評価できる。地域連携による紹介率の増加、平均在院日数の短縮、診 療報酬上の上位基準の取得等にも努力し、着実に成果を上げている。  また、結核患者の新退院基準の実施に伴い病床の効率化を進めている。  医療機器整備については、当初の予定を超える速度で長期債務を縮減している一方で、 内部資金の活用などにより、整備量については目標値を超える水準で事業が進んでおり 高く評価できる。その中で、大型医療機器の共同入札の実施など効率的な設備投資も成 果をあげている。  (3)診療事業以外の事業に係る費用の削減等  臨床研究事業については、競争的研究費の獲得金額は大幅に増加している。治験関係 では受託研究件数、受託研究費とも増加している。今後とも一層の努力と成果を期待す る。  教育研修事業については、授業料等の適正化を着実に進めており、中期目標に掲げる 収支率の改善を上回っている。なお、当事業については経営面とともに、教育効果等に ついても十分に配慮すべきである。  (4)財務会計システムの導入等IT化の推進  財務会計システムの活用と改善等を通じて、各病院等において会計処理の迅速化や精 度の向上に取り組んでいる。その結果、各病院で毎月開催される評価会において、これ まで以上に精緻なデータを用いて経営改善の検討を行うなど、様々な成果につなげてい る。経営改善については、各病院職員の経営参画意識の向上が重要であり、更なる取組 を期待したい。  また「独立行政法人等の業務・システム最適化実現方策」に基づき、国立病院機構総 合情報ネットワークシステムにおける業務・システムに係る監査及び刷新可能性調査を 行ったことは評価できる。平成19年度中に業務・システム最適化計画を策定・公表し、 具体的に取り組むことを望むものである。  (7)経営の改善  平成18年度の経常収支率が101.6%と3期連続した黒字を達成し、さらに総収支でも 純利益を上げており、平成18年度の診療報酬マイナス改定の中にあっては特段の実績と 認められる。こうした経営改善は、本部の経営指導もさることながら、各病院長を始め 全職員が懸命な努力をした結果であると高く評価する。ただ、減価償却費の大幅減が寄 与していることも事実であり、今後のさらなる継続した努力を期待したい。  なお、個別の病院の状況をみると、平成18年度においては、平成17年度と比較して 経常収支が赤字の病院の数が減少し、その赤字病院の経常損失総額も減少していること も、全体として経営改善につながっている。  病院の収支は診療報酬改定等、種々の環境等にも左右されるものであるが、今後とも 経営改善に取組、中期目標の期間全体において目標値を達成できるよう努められたい。  (8)固定負債割合の改善  国時代に増え続けていた固定負債を、独立行政法人化後3年連続で減少させている。 平成18年度においては298億円を減少させた。建築単価の見直しや、医療機器への適切 な投資により、病院の機能維持に必要な整備を行いつつ、固定負債割合を改善させてい る。こうした取組は財務状況の改善に寄与するものであり高く評価できる。  (9)その他の業務運営等に関する事項  人事に関する計画に関して、先に記した「療養介助職」の増員のほか、技能職の削減 については計画を上回って進展している。  また、かねてより指摘しているところであるが、総人件費改革等の人件費の抑制など、 効率化の観点も重要であるが、患者から選ばれる安全で質の高い医療サービスの提供と 政策医療の推進、さらには我が国の医療政策への貢献という国立病院機構に課せられた 任務を遂行するためには、医師や看護師をはじめとした有能な医療人材の確保と育成は 欠くことができないものであり、健全な経営を支える基盤ともなる。  こうした観点から、人材の確保と効率化との両立を目指して総力を挙げて取り組むこ とを望むものである。  医師確保対策については、緊急医師派遣制度を創設し、標欠病院に対して全国から医 師を派遣した努力は評価できる。医師確保問題は全国的な問題であるが、今後もシニア フロンティア制度など、医師派遣に向けた努力を望みたい。  看護師確保対策に関しては、全病院統一の研修ガイドラインの運用開始や副看護師長 のポスト増等の具体的な対策に取り組んでいる。今後とも、質の高い人材育成に継続的 な努力を望みたい。  障害者雇用については、平成18年度に業務の委託範囲や業務分担への見直し等を行い、 本年6日1日現在で法定雇用率2.1%を達成したことは評価できる。今後も法定雇用率 を達成すべく、障害者雇用の促進に向けた努力を望むものである。  以上でございます。 ○猿田部会長  どうも御苦労様でございました。今、全体的なお話をいただきました。これから議論 いただく前に、まず永井委員から講評をいただいて、その後で皆様方とで議論していき たいと思います。それでは永井委員、よろしくお願いいたします。 ○永井部会長代理  総合評価書の起草委員といたしまして、私、田極委員、夏目委員で検討を行いまして、 この評価書を起草いたしました。  評価に当たりましては、既にいただいている評点の結果、それから各委員の評価シー トにおけるコメント、前回の御議論の内容をもとにして起草し、文章を取りまとめさせ ていただきました。  全般的な評価としましては、高い評価を与えることができるのではないかと思います。 特に積極的な業務運営の効率化、収支改善に向けた取組が、初年度に引き続きまして3 期連続して中期目標を達成しているということがございます。またそれに加えまして、 平成18年度の診療報酬マイナス改定がございましたが、それにもかかわらず2期連続で 純利益を計上しているという点については、特段の実績を上げていると考えられます。  18年度から新たに開始しましたQC活動ですが、これは職員の意識改革を一層促して いるということで、全体としての充実度が強まっていることをうかがわせるのではない かと思います。  機構のネットワークを生かした臨床研究活動、EBMの推進などの取組、それから救 急医療、地域連携パス等については、全般的に実績を上げているという評価結果でござ います。  ただ、1点、後ほどでも結構ですが、御審議いただきたいことがございます。評価書 の6ページの中段、(6)の上でございますが、「今後は職員の満足度調査の実施も検討 されたい」とまとめさせていただきましたが、この件について、実施すべきという意見 と、それと夏目委員からは、もう少し慎重にお考えいただいた方がいいのではないかと いう御意見がございました。この資料ではとりあえず掲載させていただきましたけれど も、また、後ほど御議論いただければと思います。  この件につきましては、夏目委員から御意見をいただければと思いますが。 ○夏目委員  今、お話がありました6ページの中ごろの人事評価制度についての最後のところの「職 員の満足度調査の実施も検討されたい」という記述について、私、少し意見があります ので、申し上げさせていただきます。  まず、何をどう調査するのか、調査内容とか方法等がはっきりいたしません。職員の 受け止めだとか気持ちなどを調査していろいろな施策の実効性を高めるということで、 一つの有効の手段ではないかとは思うのですが、ただ、非常に諸刃の剣的なところがあ ると思います。注意しなければいけない、よく考えなければいけないところがあるので はないかと思います。  まずその注意点の第1点ですが、現在、国立病院機構は大変な改革、変革を進めてい るときだと思います。特に従来の意識、国時代の意識や考え方を今、一生懸命変えよう とされている意識改革を進めている段階ではないかと。こういうときは、往々にして職 員から必ずしも諸手を挙げて歓迎されているということでないことが多いと思います。 人間は往々にして、どうしても変化に対して保守的、非常に新しいことを嫌いたがると いう習性があると思います。と同時に、不平分子や不満分子はどこの組織でも必ずいる と思います。  したがって、この満足度調査を実施するにしても、例えばその結果をどうするのか。 調査をした以上は、調査結果を公表して改めるところは改めるということでいくのだろ うと思いますが、仮に改めるべきところがどういう点になるか、これが万が一、改革の 本質とか本旨、ちょっとみんな今は嫌がるかもしれないけれど、ここは国立病院機構の 新たな使命、新たな目的に従って、みんなで苦しんでも乗り越えていこう、こういうこ とを目指しているようなところに関わるようなことが出た場合、そうするとそれはどう するのか。  では、参考にするためにやるのだ、公表はしないということでやるのであれば、公表 しないということになれば、よほど調査結果に問題があったのではないかといったいた ずらに憶測を招くのではないかと心配します。  一般に改革というのは、時代認識とか環境変化を捉えてトップの強いリーダーシップ のもとで進めざるを得ない性格のものだと思います。今、一生懸命そういう改革を進め ている途中で、ちょっと言葉は行き過ぎて悪いと思いますが、いわゆる大衆討議的なこ とがタイミング的に望ましいのかどうか。私は、改革を終えたあと、改革での行き過ぎ だとか不十分な点だとか直さなければいけないところの修復を図る、そのときに実施す るというのも一つの方法かなと思います。  もう一つ、第2の心配として労働組合との関係があるのではないかと思います。職員 の意見を聞くルートとしては、一般的に労働組合というのが存在する。この労働組合と の関係をどうするのか。あるいは組合の動きで、こういう満足度調査といったようなこ とを組合が仮に、そんなことはないかもしれませんが、組織的に悪用するという可能性 は全くないのかどうか。といったようなことで、今この時期にやることがいいのかどう か。また仮に行うとしても、調査項目や内容や方法を相当慎重に考慮して、今進められ ている、みんなで汗を流している改革に逆行するようなことにならないことを私は祈り たいと思います。  そういう意味で、今の時期に職員の満足度調査をやることは、私としてはいかがなも のかという意見を持っております。以上です。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。 ○永井部会長代理  いろいろな状況によってこういうものは活用すべきだとは思いますけども、皆様の御 意見をお伺いした上で、削除することにやぶさかではございません。 ○猿田部会長  この点、また後で議論をしてもいいでしょうかね。あと、先生、何か御意見はござい ますか。もうよろしいですか。 ○永井部会長代理  結構です。 ○猿田部会長  ありがとうございました。一応そういうことで、永井委員からの御意見もいただきま したので、あと、皆様方の御意見を伺いたいのですが、その前にきょう欠席の渡辺委員 からも意見をいただいているということで、先にそれを事務局から説明していただいて、 その後で皆様方の御意見を伺うということでよろしいでしょうか。 ○政策評価官  事前にこの評価結果(案)というものを送付申し上げたところでございますが、本日、 御欠席の渡辺俊介委員から口頭で2点、御意見をいただき、本日の部会で紹介をしてほ しいと。そして御審議を賜りたい、ということをお伝えいただいております。  一つは、この評価結果(案)の1ページでございます。(1)評価の視点の上から三つ 目のパラグラフですが、当委員会では厚生労働省の基準、さらには評価の視点などに基 づき評価を実施したとなっているけれども、渡辺委員からは、これまでこの部会等では 総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会からもいろいろ意見を寄せられていて、そ ういうものも適宜、この部会で事務局から紹介をし、それを踏まえて審議、評価をして きているので、また我々の意見も踏まえてやっているのかということを総務省から言わ れるのもいかがなものかということなので、こうした基準や評価の視点等に基づき、ま た、総務省から寄せられた意見、例えばいわゆる政・独委の二次意見と言われるもの、 さらには、先般御紹介いたしましたがこの7月に寄せられた当面の取組方針、こういっ たものも踏まえ評価をしたということを明記した方がいいのではないかという意見をい ただいております。  もう1点の御意見でございます。「その他業務運営等に関する事項」のところで9ペー ジの上から6行目、「医師確保対策については、緊急医師派遣制度を創設し、こうした努 力は評価できる」ということをさらりと書いているのだけれども、機構内部でも医師が 足りないことで悩んでいる状況の中で、何とか努力をしてこのような制度を創設したと いうところをしっかり書き込むべきではないか。こうさらりと書くことによって、病院 機構においては、医師確保に余裕があるので医師派遣の協力をしていると誤解されるの もいかがなものかということで、国立病院機構でも医師確保に困難をきたしている病院 が多い中でありながらこういう制度を創設したのだ、ということをしっかり書いておい た方が誤解がないのではなかろうかと。  この2点について、あらかじめ御意見をいただいているところでございます。よろし くお願いいたします。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。今の二つの御意見とも誠にごもっともなことだと思 います。これは後から加えることになると思いますけれども、ありがとうございました。  それでは、今までの全体的な評価に関しまして、どうぞ委員の方々から御意見をいた だきたいと思います。何でも結構です。全体的にみると18年度は皆様方の努力で改善し ている、いろいろな点でも非常にいい方向にいっていると思いますけれども、何か御意 見はございませんでしょうか。 ○住田委員  先ほどおっしゃった満足度調査というのは、僕はよくわからないのですけど、「効率的 な業務運営体制の確立」という大きな項目で、今度は人事評価制度が出て、そこで満足 度調査との結びつきというのは何なのですか。 ○夏目委員  そこは私もよくわからないのですが、私の意見は、ここの満足度調査というのは唐突 だし、また、今申し上げたように諸刃の剣のところがあるから、ここは削除したらどう かというのが私の意見なのです。だから、私自身もここに満足度調査が記述されること の意味がよくわかりません。 ○猿田部会長  ある意味では、刺激する部分も出てくるのではないだろうかということですよね。 ○永井部会長代理  私ども国立大学病院では結構やっておりまして、全国の国立、公立、私立、職種別に それぞれの職場環境にどの程度満足しているか。これはいろいろな意見も出てきますが、 病院間の比較であるとか職種間の比較とか、結構役に立つ面もございます。ただ、今、 国立大学病院での組合の組織率は余り高くないという状況もありますので、それが何か 政治的に利用されているという状況はございません。 ○田極委員  私はここで考えましたのは、業績評価を一般職員に入れるといった場合に、ほかの多 くの民間病院では、同時に職員満足度調査もやりながら業績評価をうまくソフトランデ ィングさせていくという手法をとられておりますので、そういったこともできるのでは ないかということも一つ考えました。ただ、夏目先生がおっしゃったように労働組合と の問題もありますので、確かに今、非常に改革の中で職員の方たちも不満は非常に高ま っているときに、これはどう使われるのかというのは懸念すべきところですし、もう少 し手法についてもよく検討しなければいけないところかとは思います。 ○猿田部会長  ありがとうございました。ほかに御意見はございませんか。 ○大道委員  今の件以外でもよろしいのですね。 ○猿田部会長  もちろん結構です。 ○大道委員  読ませていただいて、基本的にはこの総括的な評価結果については賛同いたします。 これはこれでよろしいのではないかと思います。  ただその上で、一つは、直接的には8ページの(7)「経営の改善」のくだりです。確 かに今回、黒字を3期連続して計上されたことはまことに評価すべきことであるのはそ のとおりなのですが、繰り返し指摘があるように減価償却の減少、これが160億にもの ぼるというところでの黒字決算ということなので、マイナス改定の中で確かに病院長、 管理者、さらには現場の職員の皆様方は多大な努力をしたのはそのとおりなのですが、 努力をもってしても補いきれない診療報酬の体系があるわけで、今期、たまたまという 表現が適切かどうかわかりませんが、減価償却の中での減少分が、実態としてはこれが あったからこそこうなったのだということは、もうちょっとはっきりさせた方がいいの ではないかなという気がします。あるいは今回のマイナス改定というのは、医療の現場 からも努力次第で黒字になるんだというぐらいな、ある種の誤解を情報として発信する ことの影響をちょっと危惧いたします。  そういう意味で、読み取れば読めるのですが、ただ、こういうことの状況がよく分か らない方がこの総括的な報告書をご覧になったときの受けとめ方というのは、これは誤 解ではないのですが、その辺の配慮は必要なのかなというのが1点です。表現の余地が おありなのかどうなのか、起草委員の先生方にお願いすべきなのか、あるいは事務当局 なのかわかりませんが、ここは当事者である機構御自身も、そういう表現の方が私はい いのではないかなという気はするのです。  それから2点目ですが、これは毎回議論になることですが、140余りの機構傘下の病 院群それぞれが努力されていることは分かるのですが、少なくとも決算上の赤字、黒字 の数は機構の本部で把握できることですから、赤字病院が減ったことは評価されること なのですが、むしろ患者中心の医療といった中での個々の病院での医療には、様々な側 面があって膨大な業務量になるわけですから、それを総括せざるを得ないのは分かるの ですが、前段で触れた医療費の削減などで、必ずしも患者本意の医療が実現できない状 況というのはむしろ増えているのではないかという実感を持つのですね。  そういう中で、一生懸命努力されたことは評価されるのですが、個々の病院の中での 今申し上げた意味での患者本意の医療をなかなか実現しきれない状況についてはどうい う対応になるのでしょうか。機構御自身が努力されて個々の病院に指導的に御担当の方 が巡回しておられるという話も聞いておるわけですし、病院群、数が多いだけに目配り が必ずしも十分ではないところも大いに理解はできるのですが、いずれにせよ、総体と して評価をしなくてはならないことと、個々の病院が持っておられる今申し上げたよう ななかなか数値、指標では把握しきれないような状況について考えさせられるところが あるという印象を持ちました。2番目は印象でございます。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。先生、二つとも非常に重要な意見でございまして、 特に最初の方は、前からも言われている減価償却の問題ですね、これはかなり大きかっ たですし、それから、実際に今、日本の各病院を見てみても、確かに18年度の保険の切 り下げは随分大きな影響を受けている。その中で、確かに国立病院のこちらの方の、機 構は非常にいい成績で頑張ったことがありますけれど、確かに減価償却の問題は重要で すから、そこは考えていかなければいけない。  もう一つ、2番目の問題、各病院はかなり差がございますから、先生がおっしゃった とおり、そういったことも十分考えていくことだと思います。私たちが見ていると、全 体的には非常にいい方向に各病院が努力されていることは確かだと思いますけど、先生 がおっしゃったように、特に患者さんに対する状態がどのくらい本当に満足いただけて いるかということは、現場の方をもう少し見ていかなければいけない。  二つとも大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。  ほかに。 ○夏目委員  今、大道先生が言われた第1点はそのとおりで、私も起草委員の一員として「経営の 改善」という7番のところで、これではちょっと表現が弱すぎるとおっしゃられるのだ ろうと思いますが、ただ云々、ということで減価償却費の大幅減が寄与したというとこ ろをそれなりに触れたつもりなのですが、これではまだ弱すぎるということなのかもし れませんが、一応ここで触れさせていただいたつもりです。  もう1点、渡辺委員から出た医師確保問題、これは非常に大事な、恐らく国立病院機 構にとっても極めて大事な、院長先生が一番御苦労されている点だと思うのですね。そ れなりに記述はされているからいいのかなと思っていたのですが、これも表現が弱いと いうことなのかもしれませんが、非常に大事な点なので、もう少し強く表現した方がい いのであれば、どう書いたらいいのか、私は素人なのでこれ以上、私自身には余り知恵 はないのですが、それなりに触れているのではないかなと私は思っています。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。ほかに。 ○永井部会長代理  その点については5ページの教育研修のところで、特にレジデントというか若手の医 師になりますが、後期臨床研修医の受入れ数が減っているという現実がありまして、そ れに対してキャリアパスの構築を行って、とにかく国立病院機構の病院が魅力的でない といけない。そういう魅力的な体制にするよう努力いただきたい。若手に対してはそん な形で触れたのですが、恐らくもっとシニアな医師に対しても、魅力があればくるのだ と思うのですね。そういう整備が非常に重要ではないかと思います。 ○猿田部会長  ありがとうございます。ほかに御意見はございますでしょうか。 ○辻本委員  これを拝見して、私がこういう言い方でいいのかどうか、非常にすばらしい内容だな ということで読ませていただきました。ただ、先ほどの夏目委員の御意見と、それから 9ページの緊急医師派遣制度というようなことも相まってなのですが、やはり現場の意 見を聞くという姿勢も必要ではないのかなということを今も思っています。  というのは、確かに夏目委員がおっしゃられるように、改革の途上にあって、ともか く強いリーダーシップで黙ってついてこいという状況も今は必要なときであることは 重々承知していますけれど、ただ、面従腹背という時代でもないと思います。まして私 たち患者にとってその病院に行ったときに、ここへ来てよかったと思えるのは、何より スタッフの方たちが生き生きと自分たちの役割認識を高めて、楽しそうにというのも変 な表現ですけれど、患者さんのためにということで前向きに働いてくださっている、そ れが私たちには実感させていただけることが最大のものだと思うのです。派遣命令のと きに、では彼らが直接本部に具申できるかというと、それも難しいとなれば、機会とい うものをシャットアウトしてしまっていいのかなという懸念がございます。  それがこの9ページの緊急医師派遣制度の議論の折に、現場に派遣された人はどう思 っていらっしゃるのでしょうと質問をいたしましたが、決してプラスの評価の御報告で はなかったように記憶しております。私にも聞こえてくる幾つかの当事者の意見にも、 本当に自分の患者さんを大切にできない状況の中で数合わせでいくことに矛盾を感じる という苦悩も幾つか直接に耳にしております。そうしたときに現場で、マイナスはマイ ナス、不満は不満、それらを排出して、ではどうするかを十分議論してまた4期につな げていくことが、現場が主役になれるという意味において大切ではないのかなと、そん なふうに思いました。  この3期目の評価がすでに現場に情報が回っているのか、146病院の幾つかから、こ こでの評価を非常に重く受けとめてくれているということが伝わってまいります。例え ばケースワーカーなどについても高い評価という議論がなされていると、そういうとこ ろに今まで目を向けていなかった病院が、一生懸命やっている病院に直接問い合わせて、 何が変わったのか、どういう取組で何を努力しているのかということを幾つかの病院か らお問い合わせがあったんです、ということをお聞きすると、この役割の重たさと、そ して務めさせていただくありがたさを痛感しております。  私たちは厳しい評価もするけれど、やはり146病院の支援者、応援団であるというこ とからいえば、私は現場感覚ということも無視していただきたくないなと、そんなこと をあえて患者の立場として申し上げておきたいと思います。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。大変貴重な御意見で、特に現場の御意見をよく考え ろということかと思いますが。ほかにございませんか。 ○山田委員  全般的にはこの評価結果については、私も大変すばらしい結果として評価をさせてい ただきたいと思います。  大道委員が先ほど触れられました収益面の問題と渡辺委員が触れられました緊急医師 派遣制度の面は、私どものグループでも同じような問題を抱えているわけですので、国 立病院がこれだけ黒字、また社会保険病院も全病院が黒字になっているというような話 を伺うことがありますが、我々の病院と比較すると、我々はちょっと努力が足りないの かなと大分反省をしなければいけないので。ただ、この減価償却が大きかったことは確 かに事実だと思います。ただし、院長先生方あるいは病院の職員の方々が非常に努力を していることは確かなことだと思いますので、これについては非常に大きな評価を差し 上げなければいけないのではないかとは思っております。ただ、こういう黒字が大きく 出ているということは、今後、診療報酬の改定などに当たって参考にされますと、我々 としても非常につらいなというところがありますので、その辺は配慮が必要なのかなと 思います。  医師確保対策については、ここでこういう制度を創設して全国から医師を派遣してで きあがったということですけれど、これだけですと、こういうことで確保が完全にでき たと誤解を受ける可能性もあると思いますので、この辺は理事長を始め本部の皆さん、 各病院の院長先生方が非常に苦労されて医師を派遣しているのだということをもう少し 滲ませるような表現がもしできたら、その辺を入れていただきたいなと思います。  以上、2点だけ意見を申し上げます。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。ほかにございますか。  大体皆様が指摘するところは同じようなところかと思いますけれど、一つ、一番問題 になります先ほどの職員に対する満足度調査、これは確かにいろいろな面から考えると 余り刺激しない方がいいのかもしれないし、もう少し、ここで今、3期目まできました から、その次の状況、特に先ほど辻本委員がおっしゃった現場の状況というものを考え ると、ここのところは聞いておいた方がいいかなというのは私の感じでございますが、 そのあたりは、問題点になっているところ。今のところと先ほどの減価償却のところの 問題と、それから医師の派遣の問題、ここが一番大事ではないかと。あと、渡辺委員が おっしゃられた総務省のこと、これは当然、そのとおりしていきたいと思うのですが、 渡辺委員のもう一つの方は医師の派遣の問題ですから、そうするともうちょっと意見を いただきたいのは、今の職員の満足度調査に関するところをどうしましょうか。 ○永井部会長代理  私も、国立大学病院での経験が結構役に立っていまして、実は法人化の直前に1回行 いまして、それから法人化して2年たったところで行いました。質問は極めて簡単で、 「あなたはこの病院で勤務してよかったと思いますか」、これだけの質問です。これを職 種別に行って満足度を調べる。そして各病院あるいは国・公・私立の間でどう違うか、 それだけなのです。患者さんに対しては全く同じで、「あなたはこの病院に来てよかった ですか」、これだけを1点から5点で聞く。微妙なことがそこに反映されてきます。  そして患者さんの満足度については、「どういう点を改善してほしいですか」という質 問を加えました。職員の満足度については、そういう細かいことは特に聞きませんでし たけれども、ただ、病院によってとても違うのですね。医師の満足度がえらく低いとこ ろと、えらく高いところ。コメディカルスタッフの方がすごく満足度の高いところと、 コメディカルスタッフの方がえらく低いところと、何かそこに病院間の特徴が出ている のかなということで、経時的に観察しているところなのです。  そういう簡単なことであれば、私はしてもいいのかなという気もするのですけれども、 いかがでしょうか。あるいは「時期をみてこういうことを行うことも検討されたい」と か、時期とかいろいろな状況の判断が必要なのではないかと思います。 ○猿田部会長  ここのところは、今、最後におっしゃられた「時期をみてこういったこともぜひやっ ていく必要がある」というふうに入れる方が無難かもしれませんね。よろしいですか。 ○夏目委員  はい。私が国鉄時代からみてきた労働組合のなかに、色々と考えてしまう労働組合が あったので、ちょっと異常な心配をしているのかもしれません。今、患者満足度調査、 顧客満足度調査というのはもう企業はどこでもやっていまして、顧客満足度を上げるた めに何が一番大事かといったら、今はESだと。従業員満足を上げることが大事だとい うところまでもうきているわけですね。そういう意味で、私も職員の満足度調査という のが決して不要だとは申し上げていません。ただ、大きな改革をやっているときに、ど んな調査をするか、今、先生が言われたような調査であれば、そう支障はないのかもし れません。ただ、私の意見としては、時期をみてという今の部会長の御意見に賛成です。 ○猿田部会長  ありがとうございます。実はいろいろな大学の意見を聞いたときに、やはり同じよう なことが出ていました。永井先生がおっしゃったように、非常に満足しているところと こんなに違うかというのはやはりあるのですね。ですからそういったことをみると、こ こまで国立病院機構として改革してきましたから、もうちょっとのところまで少し控え た表現にしておいた方が、今度だけは安全かなということでございますが、もしよろし ければこの部分はそういう形でよろしいでしょうか。  そうすると第2番目のところでございますが、先ほどお話があった減価償却のところ、 もちろんここで非常に重要なのは(7)のところですが、こういったことがあった、減 価償却が大幅に寄与していることが重要だったということは書いてありますが。 ○住田委員  財務諸表を検討した私としてはちょっとじくじたる思いがするのですが、先ほどお話 ししましたように、確かに減価償却費による減少が160億あったことは間違いないので す。ただ、経営の改善というときに、前年度よりもよくなったということばかりではな くて、中期計画とかあるいは平成16年度からの流れもみた方がいいと思うのですね。ち なみに、減価償却前利益というのは一つの概念としてあるのですが、その辺がちょっと 僕もじくじたるものがあるので計算してみたのですが、減価償却前利益は平成16年度は 565億なのです。間違っていたら言ってちょうだいね。それから去年は636億なのです。 今年は601億なのです。ということは、16年度、あるいはこの中期計画の中においては 経営の改善がなされていないことは絶対ないと私は思うのです。去年とみた場合のこと になりますけれども、検討しようとしていることは去年のことばかりではなくて中期計 画の中での今年度の位置づけ、あるいは16年度からの流れも考えた方がいいと思います ので、文章のつくり方が去年ばかり比較しているから、いいときは15年度と比較して、 ここのところだけ17年度との比較になっていますから、減価償却160億も大変な金額で すよ。160億の減少ですから4分の1以上になりますね。ですから、去年と比較すると この文章ではつらいところがあるのですが、繰り返して恐縮ですが、16年度、あるいは 中期計画の中での経営の改善はなされているというのは、どういう文章にするにしても ニュアンスとして出るようにした方がいいのではないかと私は思うのです。 ○猿田部会長  ありがとうございます。もう一方では、最初に出た18年度の診療報酬のマイナス改定、 これは18年度にはっきり出たわけです。それで各病院はかなり影響を受けて、それと比 べたときで18年度は、ちょっとあれですけれども、今の減価償却を抜いた場合も、ちょ っと減っていて非常に努力はしたということなので、もう一つ言わせていただければ、 こういった大幅な減価償却の寄与があったけれども、ということを強調しておいてとい う形で、そのあたりは大道先生、どうですか、御意見は。 ○大道委員  先ほど申し上げたように、経営改善ないしは医療の質的向上の努力が減価償却160億 減でマイナス評価されるとか、そういう趣旨ではないのです。むしろ、繰り返しになり ますが、あえて申せばこれだけ長い歴史を持つ国立病院が新しい体制になって、それな りに実績、成果を上げている。これ以上できないぐらい経営改善努力をしている中で、 やれば現下の診療報酬の中で黒字になるではないかというふうにミスリードをしてしま うおそれがあるので、そこをぜひ表現をしていただきたい、こういうことです。  加えて言いますと、前回、理事長が冒頭にしっかりおっしゃったのは、中長期での医 療の再生産が構造的にできないという見通しを機構御自身が持っておられるということ は、私は大変重要なことだと思うのです。これだけ減価償却がマイナスになったという ことは、次は建て替えて新しい機器を購入しなければならないということですから、極 めて大きなプレッシャーなわけなので、そういうことを見込めば今後は極めて厳しい状 況だと。それは各病院の経営努力とかそういう次元の問題ではないのではないかという ことをおっしゃっておられると思うわけなのです。ただ、こういう年次の評価報告書で どう評価したらいいか、これはややテクニックはいるのかなという気はしますが、現在 の経営環境の評価的なコメントあたりは、余りギラつかない範囲でしっかりと述べてい ただくことになるのかなと思いつつ、今、聞いておりました。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。大変貴重な御意見です。では、このところは、大道 先生のそういった意見も十分考えながら事務局ともう一回検討させていただいてまとめ る、そういう形にさせていただいていいでしょうか。ありがとうございます。誤解を生 まないようにここのところをもっていく。しかしながら皆様方の努力のところも認める ようにしなければいけないとか、そういった形にさせていただきたいと思います。  もう一つ、最後の問題、医師の派遣の問題です。これは全国的にも非常に重要な問題 ですし、それから、確かにこの間の各国立病院のいろいろな方々の意見を聞いても、非 常に厳しい病院とそうではない病院とあってなかなか難しい問題ですが、しかしながら、 この間、緊急で派遣していただいた病院は非常に助かったという意見も出ていますし、 そういった点でここの表現をどういうふうにしていったらいいかですけど。かなり厳し い中においてももっと厳しいところにサポートした、ということがわかるようにもって いけば御理解いただけるのかどうか、そのあたり、永井先生。 ○永井部会長代理  難しいところだと思うのですね。よく頑張ったからできるじゃないか、というように なっても困るので、御苦労様でしたということは一つあるかと思いますが、やはりこう いう現実は制度なりいろいろな社会の仕組みの方にも問題があるということを、むしろ 国立病院機構から発信したらどうかというサジェスチョンを加えるかですね。いつまで もこんな体制は続かないんじゃないの、というニュアンスを加えた方がよろしいかもし れませんね。私も国立病院機構で応援に行った人から直接話は聞いたことがありまして、 かなり状況は色々問題はあるのですね。ですから、いつまでもできることではないでし ょう、ということを加えるということでいかがでしょうか。 ○猿田部会長  ほかに御意見はございますでしょうか。いや、実は今、私は永井先生と一緒に、医師 の派遣の問題をどうするかということを議論しておりまして、そこでも出てきておりま して、国立病院の行かれた方々の意見を聞いて、やはり大変な状況であったということ なのかなと。今、永井先生がおっしゃったそういうことでいきますかね。ほかに何かい いアイデアがございますでしょうか。ここのまとめ方のところをうまく書かせていただ いて、非常に厳しい状況であって、それでできたということですね。山田先生、その点 は何か御意見はございますか。 ○山田委員  医師が足りないのは恐らく標欠病院だけではなくて、ほかの146病院の中のかなりの 部分が足りないのだろうと思うのですね。その中でこういう緊急医師派遣制度をつくっ たということ、その辺をもうちょっと盛り込んでいただけると。機構内部でも、先ほど どなたか委員がおっしゃいましたが、医師確保困難な病院がある上でさらにこういう制 度をつくって努力をしたのだというところを、ちょっと加えていただければありがたい かなと思います。 ○猿田部会長  ありがとうございました。今の御意見も非常に貴重だと思いますが、あえてこういう 状況でそういった制度をつくってやったということを盛り込んではということでござい ます。ほかに御意見はございますでしょうか。  大体そういうことでまとめていいようでしたら、もう一回、特に言葉の問題、一番最 初のところから7番目の減価償却のところの問題、今の医師派遣の問題、言葉を十分注 意して、盛り込むところは盛り込んでまとめさせていただくという方向でよろしいでし ょうか。渡辺先生の御指摘の最初の総務省のあれは入れさせていただいて、あと、渡辺 先生も御指摘いただいたのは、医師の派遣のところをうまくまとめて書いてもらいたい ということでございましたので、もしよろしければそういった形でまとめていくことで 御了承いただいたということで。  (「異義なし」の声あり)  ありがとうございます。  では、おそれいりますけど、理事長から一言ご挨拶をお願いできますでしょうか。 ○国立病院機構理事長  どうもありがとうございました。大変ご多用で、また厳しい酷暑の中に、膨大な資料 に基づいて御審議いただきまして、本当にありがとうございました。評価全体を進めて いただきました部会長の猿田先生、さらには評価結果を文章にまとめていただきました 起草委員の永井先生を始め委員の方々、さらには財務諸表の適正化及び剰余金の使途に 関して御意見をいただきました住田委員、そして今日、御熱心な御議論をいただきまし た委員の皆様方に、厚く御礼申し上げたいと思います。  ちょっと私どもの方からよろしいですか。 ○猿田部会長  はい。 ○国立病院機構理事長  一つは、医師不足に関しましては、私どもはたびたび申し上げていますように、3分 の2の91の病院は本当に人里離れた、実際に行かれて分かると思いますが、医療も重心 とか筋ジスとか結核とか、そういう比較的慢性期の単調な医療をやっているので、そこ はもともと医師不足で、今回の医師派遣もそういう病院をメインに派遣しています。制 度としては残っていますが、結局、先ほど御議論がありましたように、もうギブアップ といいますか制度としては無理があるので、今後、これをどうするか。現在はそれを中 止して、運用できない状態にあるということが実情でございます。  それと、医師不足対策に関しては、先ほど永井先生から後期臨床研修の人が減ってい ると。これは以前は、大学から派遣されている人たちもレジデントということで数の中 に入っていたのです。今回我々は後期研修は専修医制度ということでプロパーの人に限 ったので、人数的には少なくなっていますが、自前で医師を育てようという機運ができ てまいりましたので、御指摘のとおり、これをもっと今後は増やしていかないといけな いということがございます。  もう一つは収益でございますが、これから投資をしていかなければやっていけない。 減価償却費で、先ほど御指摘がありましたように、それが減って黒字になるのでは投資 ができていない証拠でございますので、これから基盤を整備していかないといけないと いうことで、見かけは90億ということですが経営基盤は極めて脆弱であって、中期的な 投資とかそういうことを考えるとなかなか運営が難しいということであります。ただ、 90億の剰余金があるから、財務省は、では国立病院機構の運営費交付金を減らしたいと いうお話はあるかと思いますが、運営費交付金は医療に対する補填は総診療報酬の 0.6%ぐらいで、減らされるというと職員の国時代の退職金の手当とかそういうところな ので、そこを減らされてしまうと我々はやっていけません。そういう意味では、御指摘 いただいたような、極めて経営は困難であるということで進めていっていただければと 思います。  このように経営改善の中で、大道先生から、患者の目線に立った医療がなかなか難し くなるのではないかという御指摘でありますが、そうならないように我々はいろいろな、 MSWとかそういうサポート体制をやっていると同時に、今、臨床評価指標というのを 新たに18年度につくりまして、今年、指標を集めまして病院の機能評価をしようという ことでございます。その中に、そういう視点に立った指標が幾つかございますので、そ こで各病院が自分の病院がどこにあるかという位置づけを考えていただいて、より一層 患者本意の医療を推進していきたいと思っております。  それから、人事評価制度と職員の満足度調査に関してですが、我々が進めようとして いる評価は、企業が今行っているようなトップダウンで、個々の人たちに目標をブレー クダウンして、ここに達成しなさい、達成しないと評価はあげられませんよ、というこ とではなくて、我々はボトムアップの評価。すなわち、病院長が一人一人に、君、患者 をこのぐらい診なさいとか、そういうことではなくて、病院全体の方向性に対して、医 師、看護師、コメディカルの人たち、あるいは事務の方が、自分たちが病院でどう貢献 するか。その方々の能力とか立場に見合った目標をそれぞれ院長さんと、あるいは責任 ある立場の人とヒアリングしてやろうというので、私は順位づけの評価というよりはそ ういうことによって病院の執行部と個々の人たちのコミュニケーションを増すという意 味のことをやって、そこで間接的に満足度調査といいますかそういうものをやるという つもりでございます。  それから、今年、一応評価を立てて試行しますので、その終わった後、また改めて、 その評価が問題があるかどうか議論するということでございますので、そういう意味で は満足度は、評価に関してもそういうことをやっております。ですから、将来もしそう いう必要があれば、永井先生が言われたようなザクッとした満足度調査でやらせていた だければ大変ありがたいと思います。  私どもとして本当にこうお願いしたいということをすべて酌み取っていただいて、私 どもは評価委員会の先生方に心より厚く御礼申し上げまして、今後とも私どもにサポー トいただけるように、また御指導いただけますように、私どもに御意見がありましたら どんどんおっしゃっていただいて、少しでもこれを146の病院に広めて、さらに患者さ ん本意の医療、患者さんに選ばれる病院になるよう努めていきたいと思っておりますの で、今後ともよろしく御指導のほどをお願いしたいと思います。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。今、矢崎理事長からお話がありましたこと、先ほど 辻本委員からの意見にもありましたように、特に各病院が、執行部も職員の人たちも、 それぞれの病院がどのような立場にあるのか、どのくらいのところにあるか、矢崎理事 長がおっしゃったようにそこをよく分かっていただくことが現場においても非常に大切 で、それをみながら、自分たちの病院はどのくらいのところにあって、あと、どういう ところを努力していけばいいのだと、うまくそこを分かっていただけると全体としての レベルアップができるのではないかということで、矢崎先生、貴重なお話をありがとう ございました。  もしよければ、こういったことで評価の方も終わらせていただいて、あと、前もそう だったそうですが、いろいろ御意見を伺ったところで評価シートの修正があればもう一 回していただきたいということでありますけど、この点に関して事務局からお話しいた だけますでしょうか。 ○政策評価官室長補佐  それでは、留意事項について御説明いたします。  前回までに御記入いただいております個別評価シートでございますが、机上に配付い たしております。本日の財務諸表等に関する報告等によりまして個別評価の修正が必要 となった場合については、赤鉛筆で修正いただきたいと思います。また、修正いただき ました箇所については、付箋を張って分かるようにしていただければと思っております。  また、各委員の机上に「個別項目に関する評価結果(未定稿)」というものを配付いた しております。それぞれ点数が書いておりまして、下の欄外にSは5点、Aは4点、B は3点、Cは2点、Dは1点ということで整理をしたものでございます。また、空欄が 多くなっておりまして、個人の先生の名前だけを記載したものとなっております。  作業に当たりましてこれまでの個別評価に係る資料をご欄になりたい場合は、机上に 配付してあるものを適宜活用していただければと思っております。  以上でございます。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。どなたか、今の御説明に御質問はございますでしょ うか。ないようでしたら、ここで時間を5分か10分いただいて、もし御訂正がある場合 にはしていただくということで、ちょっと時間をとらせていただきたいと思います。  (評価シート記入)  大体よろしいでしょうか。もしよろしければ、これをもって国立病院機構の平成18 年度業務実績評価及び財務諸表等に関する意見を取りまとめることにさせていただきた いと思います。各評価書には、評価結果の別添として評価シートの集約版が添付されて いますが、本日、評価の確定を行っていただくことによりましてSからDの評定が変更 になった場合、またはコメントが修正、追加等された場合は、これらを反映した評価シ ートの集約版を添付するということになります。あと、評価シートの集約版について誤 字とか脱字とか事実誤認などによる修正があった場合には、私の方に一任させていただ きたいということで、御了承いただけますでしょうか。  それでは、そういった形で進めさせていただきますが、最後に全体的に何か委員の方々 から御意見がございますでしょうか。皆様方、本当に短時間でいろいろな御苦労をいた だいて評価をしていただきましたけども。特にございませんでしょうか。大体よろしい でしょうか。  それでは御意見がないようですから、これをもって本日の議事はすべて終わったこと にさせていただきます。本日、御審議いただきました総合評価と財務諸表等についての 意見については、厚生労働省独立行政法人評価委員会運営規定の第3条の規定に基づき まして当部会の決定が評価委員会の決定となりまして、法令に基づいて総務省の政策評 価・独立行政法人評価委員会への通知、公表等の手続が行われることになります。この 点に関して、あと、事務局、何かございますでしょうか。 ○政策評価官室長補佐  本日、御審議いただきました国立病院機構の平成18年度の業務実績の評価結果等につ いては、今後、事務手続を進めさせていただきまして、後日、委員の皆様方に確定版を 御送付いたしたいと考えております。  次回の第22回国立病院部会でございますが、組織・業務の見直し当初(案)について 御審議をいただきたく、8月24日金曜日、午後1時からでございますが、省内の6階、 共用第8会議室で行う予定でございます。開催通知については、後日、御送付させてい ただきます。また、本日の資料でございますが、お持ち帰りなさりたい資料については、 個別評価シート以外の資料はお持ち帰りいただいて結構でございますし、また、事務局 にお申しつけくだされば、後ほど事務局より送付いたしたいと考えております。  以上でございます。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。それでは、委員の先生方、また皆様方、最後まで御 熱心に御討議いただきまして、どうもありがとうございました。これで終わりたいと思 います。 (了) 照会先: 政策統括官付政策評価官室 政策評価第一係 電 話: 03−5253−1111(内線7784)