07/08/08 中央社会保険医療協議会総会平成19年8月8日議事録 07/08/08 中央社会保険医療協議会          第109回総会議事録 (1)日時  平成19年8月8日(水)11:41〜12:33 (2)場所  厚生労働省専用第18〜20会議室 (3)出席者 土田武史会長 遠藤久夫委員 小林麻理委員 白石小百合委員  前田雅英委員 室谷千英委員  青柳親房委員 対馬忠明委員 小島茂委員 勝村久司委員 丸山誠委員  大内教正委員 松浦稔明委員        竹嶋康弘委員 鈴木満委員 飯沼雅朗委員 石井暎禧委員 邉見公雄委員        渡辺三雄委員 山本信夫委員       坂本昭文専門委員 大島伸一専門委員 古橋美智子専門委員        黒崎紀正専門委員       <事務局>       水田保険局長 白石審議官 原医療課長 石原調査課長 他 (4)議題  ○医療費の動向について       ○次期診療報酬改定に向けた検討項目例及びスケジュール (5)議事内容 ○土田会長  ただいまから、第109回中央社会保険医療協議会総会を開催いたします。  まず、委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、今青柳委員がお見えになっ ておりませんが、間もなく見える予定でして、全員が御出席になっております。  それでは最初に、「医療費の動向」について議題としたいと思います。  「平成18年度の医療費の動向」につきまして石原調査課長の方から御説明をお願いし ます。 ○事務局(石原調査課長)  私から、総−1の資料について説明させていただきます。  まず、資料の構成ですが、最初の通し番号の1ページ目がまとめのポイントという形の ものでございます。下の中央に振ってあるページの1ページ目以降が統計表ということで ございますが、Iが「制度別の概算医療費」、3ページ目がIIの「診療種類別の概算医療 費」、それから後のページですが、6ページ目以降は「医療機関種類別の概算医療費」と いう形の構成にしてございます。  時間の関係もございますので、簡潔にさせていただきますが、まず、通し番号の1ペー ジ目のポイントですが、18年度の医療費は、前年度に比較して400億円の増加で、3 2兆4,000億円ということでございます。伸び率にしまして0.1%。内訳ですが、 1日当たり医療費が0.8%の増加、受診延日数が0.7%の減ということで、相殺して、 ほぼ横ばいということでございます。  2番目ですが、以前から17年度の自然体の伸びと比較して評価していただいています が、17年度の医療費の伸びが3.1%でございますので、18年度0.1%ということ で、差が3%ということであります。1日当たり医療費では差が2.6%という形で、変 化としては3%程度伸び率が落ちているということでございます。  この3%につきましては、一番最後の丸に書いてございますが、診療報酬改定がマイナ ス3.16%実施してございます。ですから、そのマイナス3.16%というものを戻し てみるということで考えますと、18年度の医療費0.1%の伸びでございますから、0. 1%の伸びに3.16%を足してみますと、3.26%ということになってございます。 ですから、以前から申し上げていますが、医療費の伸び、最近の傾向ですと3〜4%の伸 びというような形で説明させていただいていますが、今回も18年度におきましても自然 体の伸びである3〜4%の伸びが続いているということで理解してございます。  それから、統計表の1ページ目に行っていただきたいと思いますが、具体的な数字でご らんいただきますと、表1−1で18年度の数字でございますが、総計32兆4,000 億円。70歳未満が17兆2,000億円で、2,400億円の減。高齢者ですが、13 兆8,000億円ということで、2,700億円の増ということで、全体としては横ばい ですが、若干若人が減って、高齢化によって高齢者がやはり増えているという状況になっ てございます。  下の表1−2でございますが、ざっと総計の欄で伸び率の推移をごらんいただきますと、 13年度が3.2%の伸び、14年度がマイナス0.7%、15年度が2.1%、16年 度が2.0%ということで、伸び率、この3年間低くなってございますが、14年度であ れば診療報酬のマイナス改定、15年度は被用者保険の本人の3割負担、16年度もマイ ナス1%の改定ということで、それぞれ制度改正なり診療報酬改定があって低めの伸びと いうことで理解してございます。大きな制度改正等のない年、13年度、17年度では3. 2%とか3.1%という伸びが続いていて、18年度につきましては、診療報酬改定3. 16%のマイナスということもあって0.1%という結果になっているということでござ います。  それから次の統計表の2ページへ行っていただきます。1人当たり医療費でございます が、70歳未満の18年度は15万8,000円でございます。高齢者のところで見てい ただきますと74万2,000円ということで、4.7倍ということでございます。これ は昨年とほぼ同様の差になってございます。  それから3ページ目以降ですが、「診療種類別の概算医療費」でございます。18年度 の医療費ですが、入院が13兆円で、昨年とほぼ同じです。構成割合で申し上げますと、 入院が13兆円で4割でございます。入院外が12兆1,000億円で37.4%。歯科 が2兆5,000億円で7.7%。歯科は8%台の構成比でしたが、今年度7.7%とい うことで、8%を切っております。調剤は逆に4兆7,000億円ということで、構成割 合で14.6%ということで増えている。見ていただきますと、診療費、入院・入院外、 歯科ともに減っておりますが、調剤は逆に増えているという状況でございます。  それから4ページへ行っていただきます。受診延日数、これが患者数の動向でございま す。トータルの延べの患者数ですが、入院ですと4億9,000万人、それが対前年度1. 4%の減。入院外は17億9,000万人で0.5%の減。歯科が4億2,000万人で 1%の減。患者数ですが、これもそれぞれやはり減少しております。調剤ですが、ここは 6億9,000万日ですが、これは前年に比べて3.9%の伸びと。伸び率自体も17年 度に比べまして増えていまして、18年度に入って医薬分業の進展によって増加率が若干 増えてきているということかなと思っております。  それから5ページが1日当たり医療費ですが、入院が2万6,600円、入院外が6, 800円、歯科が6,000円、調剤が6,900円ということです。ここはほぼ横ばい、 改定の影響もあってあまり増えていない。調剤につきましては、薬価の引き下げがあった ものですから、下がっているという状況でございます。  それから、時間の関係もございますので飛ばしていただきまして、7ページへ行ってい ただけますでしょうか。患者の動向、新しく追加した表がございまして、以前医療機関別 の概算医療費については、医療費全体をお示ししておったのですが、受診延日数はお示し していなかったので、今回受診延日数をごらんいただこうと思って追加してございます。 表8−1をごらんいただきたいと思います。患者の動向ですが、13年度の病院の患者数 でごらんいただきますと、10億8,000万人、それから18年度が9億6,000万 人ということで、病院の患者自体はかなり減ってきておるという状況がごらんいただける と思います。逆に、診療所の患者数ですが、13億1,000万人から、18年度13億 2,000万人ということで、病院の患者がトータルで減ってきているのに対して、診療 所の患者数は横ばいという状況になっているということがごらんいただけると思います。 あとは細かい表ですので飛ばしていただきます。  8ページ。総括的に1施設当たり医療費を見ていただきたいと思います。大学病院の医 療費ですが、1施設当たりで120億円、2.5%の増でございます。公的病院が38億 円、1.0%の減、法人病院が13億円、0.1%の増、個人病院が6億5,000万円 で2.2%の減、診療所が9,300万円で0.5%の減、歯科病院が6,500万円で 6.9%の減、歯科診療所が3,600万円で3.2%の減、調剤薬局ですが、保険薬局 が1億45万円で1.2%の増、こういう結果でございます。  以上です。 ○土田会長  どうもありがとうございました。  ただいまの説明につきまして御意見、御質問。 ○対馬委員  数字そのものということではないのですけれども、「医療費の自然体の伸びは」と書か れた資料の冒頭の表現がどうなのでしょうか。お相撲でもスポーツでも何でもそうですけ れども、普通、「自然体」というのは評価する場合に使いますね、「自然体の伸び」とい うのはいかがなものかなというふうに思うのです。「医療費は過去と同程度」という表現 であればよろしいわけですけれども、評価概念といいますか、肯定的な概念ですから、そ こはいかがなものかなというのが1つ。  それから、確かに4〜5年ぐらい前までは3〜4%と言われてきたようですけれども、 次のページを見ましても、最近は3%前後ということではないのでしょうか。例えば平成 13年は、先ほど説明があったとおり3.2%ですし、平成16年度は2%ですが、診療 報酬はマイナス1%ですから、合わせますと3.0%ですし、17年度も3.1%ですし、 今回も診療報酬のマイナス改定を受けての3.2%ですから、3%強とか、3%前後とか、 3〜4%というのは大分昔の話ではないかというふうに思うのです。 ○事務局(石原調査課長)  まず第1点目の表現の問題でございますが、「自然体の伸び」と書かせていただいてい ます部分でございます。「自然体」というのは、別に、意図して、評価をして「自然体」 と呼んでいるのではなくて、基本的には、自然の反対である人工、人工的になっていない という意味で書いてございます。何が人工的かと言いますと、診療報酬改定ですとか、先 ほど申し上げましたサラリーマン本人の3割負担といった制度改正、診療報酬改定や制度 改正といったことがない場合ということをもって「自然体」というような呼び方をさせて いただいております。  あと、「自然体」という言葉については、以前そういう御指摘を対馬先生からいただい たこともあるのでございますが、もう1点は、「自然増」という言葉がございまして、 「自然増」という言葉は、どちらかといいますと、医療費が高齢化とか医療の高度化とか、 そういったいろいろな要因で伸びるわけですが、とりあえず計測できるもの、診療報酬改 定ですとか高齢化といったものを除く部分、計測できるものを除く部分について「自然 増」という呼び方をしてございまして、それと比較して、その言葉の使い方ですが、混同 のないようにというようなこともございまして、今回あえて「自然体」と言うことでわか りやすいのではないかということで、御提示させていただいています。  それから2点目の伸び率の評価の件でございますが、3〜4%というのはちょっと4が 高いという御指摘は確かに高いという面もあろうかと思います。その件につきましては、 統計表の4ページをごらんいただきたいと思うのですが、表4−2の受診延日数のところ でございます。入院外の欄を見ていただきますと、14年度以降ほぼマイナスになってご ざいます。14年度、15年度につきましては制度改正等があってマイナスということで ございますが、入院外が16年度、17年度、18年度と、マイナスになってございます。 基本的には、高齢化に伴って受診の頻度といいますか、高齢者の方が当然受診の頻度が高 いと認識しておりまして、高齢化に伴って、自然にはやはり患者数が伸びるという方が自 然ではないかと思っています。ただ、そういった状況になっていないということで、伸び 率が若干低めになっているのではないか。この状態が自然の状態なのかということも若干 ございますので、この辺が自然の状態で伸びてくるということも想定しますと、ある程度 現在の3%の伸びよりも若干上回る伸びも可能性としては考えられるのではないかという ことで考えてございます。  もう1つは、17年度、「自然体」と申しておりますが、17年度の経験で申し上げま すと、17年度前半と後半で、前半の伸びの方がかなり高い、4%近い伸びを記録してご ざいました。「自然体」で4%近い伸びもやはりあるのかなというふうに思ってございま したが、後半ちょっと伸び率が落ちていまして、全体としてはやはり3%近い伸びになっ てございますが、そういった17年度前半の傾向なども考えますと、やはり今の段階で3 〜4%という数字を3%程度と言うことについては、若干ちゅうちょしているという状況 でございます。  以上です。 ○竹嶋委員  今対馬委員から、私たちにとって大変ありがたい御指摘をいただいたのですが、今御説 明るるありましたけれども、これは私どもの記憶というか、私どもの日医総研という政策 シンクタンクで、厚労省の3〜4%は本当にそうなのかということで調べましたら、恐ら くこれは1995〜1999年のときをスケールにして、そして将来の医療推計をしたと きにその数値が出ていると思う。私たちは、そうでなくて2001〜2005年まで、近 いところですね、そういうところで、しかも医療費改定によってマイナスが大きかった、 そこを除いても1.5〜2.1か2.2%、そういうところに行っているわけです。だか ら私もちょっと質問しようと思ったのだけれども、ここでそれを差し引きして3%という のは知っていますけれども、それどころではないということになるわけで、そのあたりを 御確認をぜひ厚労省はしていただきたいと思います。スケールをどこにとったのか、それ が問題だと思う。対馬委員が言われたのはそこだと思うのです。古いスケールではないか ということをお尋ねになったと思うのです。 ○事務局(石原調査課長)  今竹嶋委員から御指摘の点でございますが、将来推計の期間は、御指摘のとおり、平成 7〜11年度の期間を基礎にしまして、その期間の伸びを機械的に延ばして、将来、20 25年の医療費、自然体ベースで65兆円というものですが、推計をしているということ でございます。  平成7〜11年度といいますと、やはり現在から見ると若干古いという形のものでござ いますが、実際問題としまして、平成12年度以降は、今ごらんいただきましたように、 診療報酬改定ですとか、制度改正といったことで、かなり伸び率が抑えられているという 面がございます。そういったところの伸びをどうするかという、どう見るかということも ございますので、ちょっと前回の将来推計の段階では7〜11年度の期間を使わせていた だいているということでございます。  将来推計につきましては、当方で有識者の方に集まっていただきまして検討会を実施し たという経緯がございます。その検討会におきましても、伸び率の期間につきましては、 やはり直近の期間が望ましいだろうというような御意見をいただいております。そういっ たこともございまして。直近の期間も17年度自然体ベースの伸びというものに近い伸び が出てまいりましたので、そういったことも配慮しながら、伸び率の期間については将来 推計をやるタイミングで検討していくということで考えております。  以上です。 ○対馬委員  「自然体」ということを今も盛んに使われていますけれども、やはり私は違和感があり ます。ただ、ここで訓詁学の議論をするわけではありませんので、確かにデリケートな問 題も含んでいますので、ちょっと工夫してくれればありがたいと思います。 ○土田会長  御意見として承りたいと思います。  よろしいですか。それでは、時間も押していますので。 ○渡辺委員  会長、1点…… ○土田会長  歯科医療費が下がっているという点ですね。 ○渡辺委員  今会長の御指摘のとおりであります。少し触れさせていただきたいのですが、この3ペ ージの医療費の推移のところを見ますと、全体で、診療費0.12兆円、すなわち1,2 00億円、全体で診療費が下がっている。その中で、歯科はわずかに構成比としては1割 にも満たないのですが、700億円相当下がった数値が出ているのですね。1,200億 円のうちの700億円を歯科が背負ったというか、そういう状態。これは下の歯科のパー セントを見てみましても、先ほどの御説明等を考えますと、17年度は自然増的なプラス 1.1%、今回2.8%のマイナスと。するとこの改定の影響がマイナス3.9%であっ たということになろうかと思うのです。公的に、歯科本体はマイナス1.5%という形で スタートしたはずなのでありますが、それを2倍半以上も大きなマイナスのパーセントに なっているというのは、私たち歯科としてはとても考えられない数値であって、5月の総 会でも資料を提出いたしました全国の診療所の2万3,000を超える声の中でも、いろ いろ問題点を提起させていただいておりますけれども、そうしたものの形がこういうふう になって出てきたのかなということです。このデータの調査結果は、20年度改定におけ る一つの材料として、これを踏まえて検討をぜひお願いしたいというのが、私の一言申し 上げたい点でございます。 ○土田会長  それでは、次の議題に移ってよろしいでしょうか。  次は、「次期診療報酬改定に向けた検討項目例及びスケジュール」につきまして、事務 局から資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。 ○事務局(原医療課長)  医療課長でございます。中医協の総−2−1をごらんいただきたいと思います。「平成 20年度診療報酬改定に向けた検討項目例(案)(議論のためのたたき台)」というペー パーでございます。  平成20年度診療報酬改定に向けた検討については、これから社会保障審議会で「基本 方針」がまとめられます。また、診療報酬改定の改定率につきましては、年末に内閣にお いて決定されることになっており、それらを踏まえて、この診療報酬改定を考えていくこ とになりますが、それを待っていて始めるわけにもいきませんので、秋からの議論のため の項目として、例えば以下のようなものはどうかということで今回提示をさせていただい ております。  留意事項としては、今現在後期高齢者医療制度につきましては、平成20年4月から新 たな制度が発足いたしまして、診療報酬をどうするかの大きな骨組みについては、社会保 障審議会で検討を進めておりまして、特に在宅医療等につきましては、その中でかなり議 論はされておりますので、それらを踏まえて今後中医協で議論をしていただくということ で、今回の項目からは、在宅医療関係については省略をさせていただいております。  そのほかのところからでございますが、「1 より良い医療の提供を目指すための評 価」の「(1) 医療の実情を踏まえた視点からの検討」、これは今現在一定の地域、あるい は産科・小児科領域といった、そういう中で医師の確保ができないという状況等がござい ますので、それらについて地域での医療がなくならないためにも考えていく必要があるだ ろうということで、1つ目が勤務医の負担軽減のための方策でございます。2つ目は、今 申し上げましたように、救急医療、産科医療、小児医療等重点的に考えていく分野がござ いますので、昨年度からの引き続きでございますけれども、重点的な評価をしてはどうか ということでございます。  「(2) 医療機関・薬局の機能を踏まえた視点からの検討」。ここでは、外来と入院、非 常に大くくりにしておりまして、実際の議論のときにはもう少し細かくなると思いますが、 1つ目は、初・再診料体系等を含めて外来医療の評価をどうすべきか、この在り方の検討 をする。それから2つ目は、入院医療の評価の在り方の検討、ここでもさまざまな項目が ございます。  それから「(3) 個別の医療施策を推進する視点からの検討」。1つ目は、今年度につき ましては、がん対策基本法もできましたので、がん対策を推進するための評価の検討、ま た2つ目は、心の問題等への対応と適正な評価の検討。ここのあたりでは、自殺問題ある いは精神科病院での高齢化の問題等もございます。  それから次のページでございますが、「2 患者の視点の重視」ということから、「安 心・納得できる医療の評価の検討」という項目を立てさせていただいております。  「3 医療技術の適正な評価」。「(1) 真の医療ニーズに沿った医療の評価」、真の医 療ニーズにできるだけ沿った形で評価をしていきまして、むだをできるだけ省こうという ような視点からの評価でございます。  「(2) 医療技術の評価・再評価」。これはさまざまな技術で、導入時期に高い評価をし ている例があるわけですけれども、普及した段階では、もう一度再評価をしてはどうかと いうことでございます。その他新しい技術を導入していくということも必要になろうかと 思います。  「(3) 医療の質の評価」。過去さまざまな施設基準等の中で一定の質の評価をしてきて おりますが、そのほかいろいろな工夫ができないかどうかを検討してみたいと思います。  4番目の大きな項目は、これは政府全体でも考えております医薬品・医療機器等のイノ ベーションの問題でございまして、これらの革新的な医薬品・医療機器等についての適切 な評価、あわせまして、後発品の使用促進という意味で、物の部分についての項目を1つ 立てさせていただいております。  「5 上記以外の重要項目」といたしまして、「(1) 歯科診療の特性を踏まえた評価の 検討」、先ほども少し議論がありましたが「(2) DPCの在り方の検討」、それから前回 の改定以降出てまいりました結果検証ですが、「(3) 診療報酬改定結果検証を踏まえた検 討」、「(4) その他」、さまざまな項目がございますので、「その他」という項目を立て させていただいております。  中医協総−2−2をごらんいただきたいと思います。これは、20年度改定に向けたス ケジュール案でございます。今現在、左側、8月で「検討項目例(案)」の提示をさせて いただいたところでございます。その後、社会保障審議会の医療部会や医療保険部会、あ るいは後期高齢者部会等で、それぞれの「骨子」でありますとか「基本方針」等が決めら れてきますので、それを踏まえて最終的な値づけに持っていくわけですが、8〜12月の 間はそれぞれの結果検証も含めて、個別項目について集中的に議論をしていきたいと思っ ております。  また、医療経済実態調査の結果が、秋の終わりごろには出てまいりますので、その報告 も受けて、診療報酬の改定率について、基本的には決定は内閣でするということになって おりますが、この中医協の場として、厚生労働大臣に対して意見提出をしてはどうかとい うことでございます。  それから、年末に診療報酬の改定率等が決められる予定でございますので、それを受け て、年明け早々には、大臣の方から点数改定についての諮問をさせていただくということ になろうかと思います。それに沿いまして、その諮問を受けまして具体的な点数設定に係 る調査・審議を集中的にしていただきまして、遅くとも2月中には改定案の答申をいただ きたいと思っております。  その間、前回の例におきますと、広く国民の意見を募集するというパブリックコメント あるいは公聴会という形で、1回ですけれども、開催をしておりまして、このあたりの進 め方についてはまたこの場でお決めいただければと思っております。  スケジュールについては、以上でございます。  中医協総−2−3でございますが、これは参考資料といたしまして、今回の改定にかか わりますいろいろな事項について、過去の資料をまとめておりますので、これはまた後ほ どごらんいただきたいと思います。  説明は、以上でございます。 ○土田会長  どうもありがとうございました。  ただいまの説明につきまして御質問、御意見等ございましたら。 ○渡辺委員  1点ちょっと教えていただきたいのですが、この総−2−1のたたき台の点なのですけ れども、「適切な」ということと「適正な」という、この2つの言葉が使い分けされてお るのですが、特に意味合いがどういうふうになるのか、お教えいただければと思います。 ○事務局(原医療課長)  殊さら使い分けたつもりはなかったのでございますけれども、イメージとしては、「適 正な」と言われるとすぐに何か下げるのではないかという印象を多分お持ちなので、そう いう御質問だったと思うのですけれども、別にここで使っている「適正な」という言葉の 中で、意図的に全部引き下げるぞという意味ではございません。例えば「3 医療技術の 適正な評価」のところでは、「評価・再評価」ということになっていますので、そのあた りは上げるものもあれば下げるものもあるという意味で、どのあたりがいいかというとこ ろを「適正な」という言葉で一応書かせていただいている。一部だけ「適切な」というの は4番目の薬のところだけに出てくるのですけれども、あまり大きな違いはないというふ うに私は思います。 ○渡辺委員  違いないということでいいのですが、「5 上記以外の重要項目」のところで歯科のと ころですが、「特性を踏まえた適正な」と言うけれども、歯科はもうこれ以上の下げどこ ろがないという状況の中ですので、ここは単純に「踏まえた評価の検討」という形でお願 いしたい。どうも私たちは医療費適正化と言うと、完全にもう削減ということが非常にイ メージとして強く、国民の皆さんもそうでしょうし、私たちもそう感じていますので、そ ういうところを配慮いただければということでございます。 ○土田会長  ほかにございますでしょうか。 ○対馬委員  資料中の「患者の視点の重視」についてですが、「安心・納得できる医療の評価の検討」 ということだけが書かれている。安心・納得できるかどうかというのは医療全体にもちろ んかかってくるわけで、具体的に何を言っているか、ここでは見えないということと、前 回の改定のときには、4つのジャンル別に分け、やはり「患者の視点の重視」というのは まず最初に、「わかりやすい医療」でありますとか、そういった視点があったわけですか ら、別に項目を直すということを申し上げるわけではないのですけれども、従来、3年、 5年ぐらい議論してきた情報提供の問題でありますとか、患者の選択の問題等、そういっ たさまざまな課題がありますので、ここもぜひ議事録にとどめていただきたいし、また議 論もさせていただきたいと思います。 ○事務局(原医療課長)  前回の項目例のときには、「基本方針」の中で、大きな柱の一つとしていろいろと書か れていた。決して軽視しているわけではないですが、なかなかちょっとまとめる言葉とし てこの言葉を使いますと、何かほとんどほかのものも、多くのものが入ってしまいました ので、項目としては1項目になったということでございます。 ○竹嶋委員  今日のこのメンバーの皆さんに対する要望ですが、今この「より良い医療の提供を目指 すための評価」の「(1) 医療の実情を踏まえた視点からの検討」、具体的にここにア、イ と挙げてありますけれども、疲弊しているのは、先ほど申しました医師不足、看護師不足。 「人は石垣、人は域」とか言いますが、制度とかいろいろできても、やはり問題は人なの ですね。ですから、そういう医療従事者のモチベーション、いろいろな分野がありますが、 それぞれが責任を持って本当に誇りを持って自分の仕事を全うできる、そういうモチベー ションを高める視点からの検討と、その基本的な精神をここで委員の皆さん方に持ってい ただけたらと、これは要望でございます。 ○松浦委員  これは社会保障審議会での話になるのかもわかりませんが、私はこの前もちょっと申し 上げたように、医療の地域間格差、こうした視点からの検討というのはされるのでしょう か。例えば、1の(1)のイなどで、こういうところに重点的に点数を増やしていこうという、 そういうことで入っているという見方もあるかもしれませんが、それは都会も田舎も共通 の問題であって、点数を厚くすれば、こういうところにやがて産婦人科も小児科も医者が 増えてくるだろうと、そうすれば余ってくるから田舎に行くわというのでは、これはちょ っと無策すぎると思うので、そういう点からの視点というものを、これは診療報酬で議論 すべきかどうか、それもわかりませんけれども、総合的に、やはり国が医療全体の問題と して取り組まないと、これは緊急を要する問題だと私は理解していますから、そういった 点での視点というものを、むしろ社会保障審議会でやらないのなら、中医協でも積極的に 議論を上げていって、促していくということも必要ではないかと思っております。 ○土田会長  非常に大事な指摘だと思います。 ○石井委員  今の指摘、非常に重要な問題で、特に今回のたたき台が、最初に「医療の実情を踏まえ た視点からの検討」という形で挙げていただいたのは、大変適切だろうと思うのです。た だし、このア、イという狭い範囲で検討では、実際上は対応できないだろうと思うのです。 この間、今地域格差の問題も出ましたように、特に病院医療について、地方の病院、特に 公的な病院等が科によっては医療からの撤退などがあり、地域的な格差が起こっているわ けですから、全体的に見ますと、やはり勤務医の負担軽減が重要と思います。なぜ負担が 大きくなっていったかと言えば、やはり勤務医がそういった病院から逃げていってしまう と。大体どんな産業であろうとどんな事情であっても、人が逃げ出すというのは、その企 業の終末期と言ってもいい状況だと思うので、我々はここの点を、広い角度から見ておい て、診療報酬で対応しなければならない問題点と全てきちっと出していただきたい。  この間、総枠の問題は中医協の問題ではないという形でもって、簡単に内部配分の問題 という形でもってやられていましたけれども、もはやそういった状況では対応できないの ではないか。全体的にどの程度の水準で医療費を入れていかないと日本の医療がもたない かという点で、全体的に考えていただきたいと思います。 ○土田会長  どうもありがとうございます。 ○大島専門委員  どれもこれも非常に切実な問題で大変だなと思いながら伺っていました。先ほど竹嶋委 員が言われた人の問題なのですが、これは全く私も同感でして、それで、これからの医療 の大きな流れが在宅の方へシフトしていくというのは、これについてもほとんど異論はな いし、制度もそういった方向に間違いなくシフトしている。そこで、在宅の受け皿を一体 どうつくっていっていいのかというのは、これは本当に緊急な課題だと思います。  それで、診療報酬上の点から見て、在宅医療に関しては、比較的というのか、いい形で 診療報酬の在り方が今まで議論もされ、実際にそういう方向に向かっていると実感してお りますけれども、もちろん中医協でできることには限度があるいうことは承知の上でお話 をするのですが、介護だとか看護の問題が、今のままではとてもではないけれども耐え切 れないような報酬上の問題になっている。この部分が、もちろん介護保険の問題が非常に 大きな部分があるわけですけれども、医療保険上の問題とのちょうど接点のようなところ もあるわけでして、そういったようなところに十分に御配慮をいただいて、ここでは、後 期高齢者医療制度の検討とともに十分に議論されていると書かれていますけれども、この 問題はすごく緊急で、かついいかげんにすると大変なことになりますので、ぜひともそう いう意識を持たれて議論を進めていただきたいと思います。 ○古橋専門委員  在宅に関しては冒頭で御説明がありました今の大島専門委員の御発言にも共感するので すけれども、もう1つは、平成20年からは医療提供体制の在り方というものが一方で各 都道府県レベルでかなり取り組まれる、うまくいくかどうかは別としても、方向としては そうなっております。そういう点では、病院の拠点化とか集約とか、機能分担、機能分化 というようなことが念頭に置かれておりまして、その中で、地域内医療機関間連携という ようなものがやはり大きなテーマになっておりまして、それぞれの病院はそこを念頭に置 いて取り組む準備とか取り組まねばならぬとか、そういう視点が出ております。  そういう点からと、もう1つは患者の視点からも、この地域連携というあたりを診療報 酬的にどう評価するかという視点も要るのではないかというふうに思っておりますので、 発言させていただきます。 ○土田会長  今の連携の話は当然入ってくるというふうに理解しております。 ○山本委員  この中医協での議論は、社保審の議論を経て示される考え方をもとに決めていくという ことが決まったことは十分理解をしておるつもりですので、先ほど石井委員がおっしゃっ たように、それでいいのかという議論があり、その辺を踏まえて、今回提示されました案 は、これから出てくる政策の部分と平仄の合ったものだろうというふうに理解をしており ます。  その上で、例えば医療安全といった項目は挙がっておりません。又、例えば1の(2)で、 医療機関と薬局という切り分けからすると、入院と外来という中で議論されるのだろうと 思いますが、その様に、私ども薬剤師は薬の提供が役割ですので、医療機関の中であって は、病院の薬剤師をどうするか、医療安全の観点からもその評価が要るでしょう。また、 地域で言えば地域の薬局がどれだけ地域における医療安全に貢献できるかという、そうし た論点も要るのではないかなと思います。  つぎに、後発品が特出しに4番として、他のものとは少し異質に出ておりますけれども、 当然今国が進めているイノベーションとそれに伴う後発品の使用促進というのは十分理解 しております。またかつ、イノベーションについての評価も十分にすべきだということに ついては私も賛成でありますし、後発品の使用についても進めるべきところは進めた方が よろしいと考えておりますが、前回この中医協でいろいろ議論がありましたけれども、や みくもに、ただ後発品を進めればいいのだという形で急速なかじ切りをしますと、全体と してバランスが崩れてきますので、この使用促進につきましても、いわゆる医療現場ある いは患者さん自身があまり無理のない範囲で、かつ国の、国民の方々が望んだ方法であり ますので、それを十分に反映できるような方法での議論が必要だろうと思います。  もう1点、先ほどの報告で総−1の医療費の中で、数字から見ると、調剤はプラスであ りまして、調剤はきっと疲弊していないのだろうと言われるのでありますが、それはとん でもない話でありまして、数字上は確かにプラスでありますが、70%の材料費を考えま すと、決して疲弊していないわけではありません。むしろ脆弱な基盤からすれば疲弊度は かなり高いのでありますので、調剤の方も疲弊しているのだという認識でぜひ議論を進め ていただきたいと存じます。 ○坂本専門委員  これは中医協でやるのかどうかわかりませんけれども、看護体制の7対1の問題にして も、それから研修医制度の問題にしましても、いい政策を打ち出して、よかれと思ってや るわけですけれども、さまざまな問題が発生しております。先ほども松浦委員からあった ように、地域医療が崩壊しつつあるというようなこともあるわけでして、私はやはりリス ク管理というのでしょうか、それからセーフティーガードというのでしょうか、そういう 観点というものがこの中にないと、ただ細分化して、いいことをどんどん前に、議論を進 めてやっていくというだけでは、何か全体としてうまく回っていかないのではないかなと いう気がしておりまして、ぜひこういう施策を進めていけばこういうリスクが生ずる、そ ういうリスクをまたきちんととらえて、全体として発展していくような方向というものを みんなが持っていないといけないのではないかなと思って、意見を言わせていただきます。 ○土田会長  重要な指摘で、前回の改定の結果などを見ましても、最近そういう意識を私は持ってお りますが。  ほかにございましたら、ぞうぞ。 ○勝村委員  まず、たたき台の1の(1)のイの「救急医療、産科医療、小児医療等」と書いているとこ ろに、松浦委員の話もありましたけれども、もちろん地域の医療というのも含まれている のだというふうに理解をしたいと思いますが、総−2−3の参考資料の通し番号で18ペ ージの真ん中あたりに、前回の改定の前の社会保障審議会の「基本方針」の中の文言が書 いてあるわけですが、そこには、救急や産科や小児、そして地域の医療を守っていくため の改定をすべきだということが既に書かれてあって、このことに対しては、私も当時、か なりダイナミックにやってほしいと、そうしないといつまでもないがしろにされたままに なってしまうのではないかという主旨の発言をさせていただきました。にもかかわらず、 前回改定時と同じ目標が今回も出てきているということは、やはり一定反省すべき点だと いうふうに思いますし、たたき台の1つ上の「勤務医の負担軽減」というのも、要するに、 こうやって救急とか地域の医療とかを一生懸命やろうと思っている勤務医の負担軽減とい うことだと思いますから、これは同じ意味だと僕は理解していますので、勤務医が疲れて やめて開業していくとかいうのではなくて、開業医が勤務医になっていくような逆の流れ ができるぐらいのダイナミックな動きを診療報酬改定という中医協の中でできる範囲の方 法によって作ってほしいとずっとお願いしてきた件なので、これは今回こそきちんとやる べきだと思います。同じような議論、タイトルが、また2年後に出てくるということがな いようにという強い思いを持ってやってもらわないと、いつまでも変化が作れないのでは ないかということが1つ目の意見です。  次に、たたき台の2ページ目の「患者の視点の重視」のところですが、この「患者の視 点」と言った場合に、2種類あると思いまして、1つは、実際の診療の場における患者の 視点の重視ということと、もう1つは、この中医協として、この診療報酬の改定の議論に 患者の視点をどれだけ入れていくのかということがあると思うのですが、少なくともそこ を整理する意味でも2つ以上の項目立てくらいはしてほしかったというふうに思います。 また、これに関連しては、同じ参考資料の通し番号の17ページの一番上に書いてある、 前回の改訂前にこういうふうにしていくべきだという方針がほとんど前回の改定で実現で きなかったわけですよね。前回改定の方針には、医療費の個別単価などの詳細な内容がわ かる明細書を発行すべきだと書いてあったわけです。つまり、それが実現しないと、国民 はこの中医協の場で決めている診療報酬点数が、どういう価値観でつけられたのかや、医 療を受けるたびにそれぞれの点数を実感として認識することができません。それをせずに して、国民の視点で診療報酬の議論をしていこうと言ったり、公聴会をしよう、パブコメ をしようと言ってももう一つ、結局、専門家の人たちばかりの公聴会とかパブコメになっ てしまうではないかと、明細書の発行をずっとお願いしてきたわけですが、前回改定前に この社会保障審議会の中で「基本方針」とされていながらも、やはりまだ実現していなか った点というのは、今回のたたき台にはやはりきちんと入れてほしいという意味で、やり 残していることから先にやるような視点なども、今後の議論のたたき台の中にぜひ入れて いただきたいと思います。  以上です。 ○邉見委員  時間が過ぎていますので、簡単に。  今度の選挙は年金ということになってしまったようですが、皆さん国民が医療のことを 考え始めたときに、年金で吹っ飛んでしまったことが私は一番残念なのですが、結果より も、国民が医療のことを考える大きなチャンスだったと思うのです。それがもう年金で吹 っ飛んでしまったというのが非常に情けないというふうに、医療に携わる者としては思っ ております。  この中で、この何期にわたってずっと引き下げられてきた医療費の中で、もうぎりぎり の状態で我々公立病院はやっております。もし今度ゼロあるいはマイナスというふうなこ とになるのであればもたないのではないかというふうに思っています。どこかでサービス を低下せざるを得ません。安全・快適というのを失わず、かつ職員に過労、サービス残業 とかをやらさずに労働基準法を守ってやるというのは、もうとても無理な状況に陥ってい ます。  だから、その辺のところを見ますと、私は建議というのを一番初めに出してもいいので はないかと。もう、今度あまり下げないようにというふうな、今後一番初めに出すという のも一つの手ではないかなと。ここにおられる人、まあ反対の方もおられると思いますけ れども、そういう論議から始めてもいいのではないか。初めから適正化という名の抑制が あるのであれば、あまり議論しても仕方ないような感じも最近してきているのです。これ はお願いというか、私の感想ですので、また皆さん方一人一人考えていただければいいか と思います。 ○土田会長  ただ、今の御意見については、先ほど課長の方からも話がありましたが、医療経済実態 調査を踏まえて、この中医協として、診療報酬改定について意見を提出するという予定に なっておりますので、当然そこの議論の中で今邉見委員が言われたようなことが含まれて くるというふうに理解しております。  ほかにございませんでしょうか。よろしいですか。  どうも大変時間を、12時の予定が30分余り超過してしまいました。今回のたたき台 はあくまでも例示でございますので、今度具体的に固まりましたら、またここで議論をす るというスケジュールでございます。  それでは、総会はこれで終わりにしたいと思います。夏休みはあると思いますが、その 次の予定につきまして、決まっておりましたら、お願いします。 ○事務局(原医療課長)  次回、8月中にどうしても1回は開催させていただきたいと思いますが、また追って御 連絡させていただきます。 ○土田会長  それでは、これで終了します。ありがとうございました。     【照会先】     厚生労働省保険局医療課企画法令第1係      代表 03−5253−1111(内線3288)