07/08/08 管理濃度等検討会 第1回議事録    第1回 管理濃度等検討会          日時 平成19年8月8日(水)          14:00〜          場所 厚生労働省専用第12会議室(5階) ○古屋副主任 予定の時間になりましたので、ただ今から「第1回管理濃度等検討会」を開催させていただきます。座長選出までの間、私、環境改善室の古屋が進行を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。  はじめに、本日お集まりのメンバーの皆様をご紹介いたします。お手元の資料番号-1に名簿がございますので、この順に従ってご紹介をさせていただきます。慶應義塾大学の大前教授、独立行政法人労働安全衛生総合研究所の菅野統括研究員、社団法人日本作業環境測定協会調査研究部の小西部長、中央労働災害防止協会労働衛生調査分析センターの櫻井所長、産業医科大学産業生態科学研究所の田中教授、麻布大学の中明名誉教授です。早稲田大学の名古屋教授は、本日、ご欠席でございます。社団法人産業安全技術協会の松村参与、東京大学の和田名誉教授です。  続きまして、事務局の出席者をご紹介いたします。環境改善室の半田室長、労働衛生課の中屋敷主任中央労働衛生専門官、化学物質評価室の春日室長、同じく永野補佐、化学物質対策課の平川中央労働衛生専門官、環境改善室の岸係長です。以上でございます。  主催者を代表して半田室長よりご挨拶を申上げます。 ○半田室長 先生方、この夏の暑い日に遠路お集まりいただきまして、本当にありがとうございます。  今日ご検討いただきます管理濃度等に関しましては、もっと大きく、作業環境測定に関しましてと言うべきかもしれませんが、ご案内のように、いま大きな注目を集めるトンネルじん肺訴訟がございました。おかげさまで、先般、和解いたしまして、新たな対策に取り組んでいくことになっています。その中で大きなポイントとなっていましたのが、マスクと測定でした。このようなことで、あまり世間に認識されていなかったと思われる作業環境測定ということが、かなり多くの方々の関心を集めたことは、私どもにとっては非常に厳しい状況ではありましたが、作業環境測定の重要性が再認識されたことは、非常に喜ばしいことだと思っております。  ご案内のように、作業環境測定の対象となっている物質は93物質あり、管理濃度が設定されているのは83物質で、まだ残っているのは10物質であります。また、既に定められたものについても、時代に応じて見直しをしていく必要があります。  それから、後ほど討議の中で事務局から説明することになると思いますが、リスク評価という考え方で、いままであまり動かなかった特化則対象物質も、今後順次増えていくものと考えられます。このような中で、さまざまな管理濃度を正しく設定していくことが必要となってまいります。  作業環境測定に関しては、そもそもこれまでのやり方でいいのか、もう少し見直しする必要があるのかという議論もありまして、これもまた別途、検討していただきたいと思っております。しかしながら、現在の作業環境管理方式というものが、重要な作業環境改善のための方策として確立している以上、これをしっかりブラッシュアップしていくということも、また、一方でやっていかなければならないことだと思っております。  そのような意味で、今回のご検討いただく課題は、非常に重要なものがございます。どうか、先生方のご見識、専門性を発揮していただきまして、よろしくご指導たまわりますようにお願いを申し上げる次第でございます。よろしくお願いいたします。 ○古屋副主任 次に座長の選出ですが、事務局といたしましては櫻井所長に座長をお願いしたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。                 (異議なし) ○古屋副主任 議事につきまして、座長、よろしくお願いいたします。 ○櫻井座長 大変、専門性の高い領域の仕事でございまして、皆様方のご助力を得て、責を果たしてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  議事に入ります前に、配付資料の確認をお願いいたします。 ○古屋副主任 お手元に会議次第がございます。それから、配付資料一覧がありますので、それをご覧いただきながら確認をさせていただきます。  まず、資料番号-1が、先ほどの名簿です。資料番号-2が、この検討会の開催要綱です。資料番号-3が、管理濃度等の設定・見直しの検討ということで、これが、この検討会の全体的なことを書いた資料です。資料番号-4が、全体の検討スケジュール(案)です。資料番号-5が、検討対象物質の用途一覧です。用途に加えて過去の管理濃度・検討状況等についても記載しております。資料番号-6が、測定対象物質93物質についての管理濃度・許容濃度の一覧です。資料番号-7が、これまで管理濃度を設定してきました物質数の変遷をまとめたものです。資料番号-8が、検討対象物質の測定技術に係る資料です。資料番号-9が、93物質の管理濃度と抑制濃度等を対比したものです。資料番号-10が、リスク評価検討会の報告書の新聞発表の資料です。資料番号-11が、ホルムアルデヒド等の測定関係の資料です。資料番号-12がホルムアルデヒド等のACGIH、日本産業衛生学会の提案理由の資料です。  次に、参考資料-1が、作業環境測定の概要をまとめた資料です。参考資料-2が、作業環境測定に関する関係法令の資料です。参考資料-3が、局排の性能要件に関する関係法令の資料です。以上ですが、よろしいでしょうか。 ○櫻井座長 皆様方、お手元に揃っていますでしょうか。大丈夫のようですので、議事に入ります。  最初の議題は、「当検討会での検討の進め方について」です。資料番号-2、3、4あたりと聞いていますが、古屋さんからご説明をお願いいたします。 ○古屋副主任 当検討会の検討の進め方の全体的な資料について説明させていただきます。  資料番号-2が、この検討会の開催要綱です。作業環境測定対象の物質について、作業環境評価基準において管理濃度を定めていますが、管理濃度をはじめ、作業環境管理に関し検討していただくわけですが、2番に「検討事項」として(1)「作業環境測定対象物質について」の測定方法と管理濃度の値、(2)として、「その他の作業環境管理指標について」ということで、今回の検討会から、局排の性能要件、抑制濃度等の値についてもこの場で検討をお願いしたいと考えています。  「構成」は、本日お集まりの学識経験者の方々、座長を置くこと、必要に応じてメンバーの追加が可能であること。  「その他」として、原則公開として、環境改善室で庶務を行うこと、必要に応じて関係者からヒアリングを行うことができるといった要綱になっています。  これに基づきまして、次の資料番号-3が、検討会で全体的にどのようなことを検討するかということをまとめた資料です。1番が「作業環境測定の実施義務」で、先ほど室長から挨拶がありましたとおり、93物質が測定の対象になっています。これについて、管理濃度等をご検討していただくわけですが、なお書きのところで、「化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価」ということで、これについては後ほど説明いたしますが、このリスク評価の結果、順次対象物質が追加されることになります。  2番の「管理濃度の設定」ですが、現在、93物質のうち83物質について管理濃度が定められています。10物質については、まだ定まっていませんが、それに加えて、いま説明しましたリスク評価の関係で、今回、ホルムアルデヒドが新たに対象になる予定です。  3頁の図をご覧になってください。まず、いちばん上の四角ですが、現在、測定対象物質が93物質あります。その右に、「リスク評価結果に基づき、順次追加される」ということで、今回、ホルムアルデヒド1物質が追加されることになります。  この93物質について、その下の左側の84物質が許容濃度等が勧告されている物質で、右側の9物質が勧告されていない物質です。  この84物質を分類したものが下の段でありまして、いちばん左の(1)は管理濃度を設定していない1物質で、具体的にはベンゾトリクロリドです。これもACGIHで勧告されていますが、現在、管理濃度が設定されておりません。(2)は、許容濃度等と比較して管理濃度の値が高い物質で26物質あります。(3)は、逆に管理濃度の値が低い物質で、これは2物質あります。いちばん右は、許容濃度等の値と管理濃度の値が等しい物質で、これは55物質あります。これが84物質の分類になります。  その下の段に「(1)前回検討済みの物質 1物質」とありますが、先ほど説明した(1)のベンゾトリクロリドについては、前回(平成14年3月〜平成15年7月)、9回にわたって開かれた管理濃度検討会で、管理濃度を決定することができないということで検討済みであるということです。  (2)の26物質ですが、このうち14物質については、(2)-1が前回の検討会で検討済みであり、それ以降、許容濃度等の変更がない物質です。(2)-2は12物質あるのですが、これが今回検討していただく物質でありまして、前回の検討以降、許容濃度等の値が変更になっている物質です。  その下の(3)は2物質ありますが、(3)-1は前回検討済みの物質1物質で、これは具体的にはパラ-ニトロクロルベンゼンですが、これも前回検討済みでありまして、その後、許容濃度等の値は変更していません。(3)-2は、今回検討が必要な物質で、具体的には五酸化バナジウムになります。  したがいまして、今回は、(2)-2の12物質、(3)-2の1物質、それと、いちばん上のリスク評価で追加されたホルムアルデヒド、以上の14物質の管理濃度について、ご検討をお願いしたいということでございます。  資料の1頁に戻っていただき、今度は3番の「管理濃度の設定・見直し作業」についてです。(1)が「設定の基本方針」で、産衛学会、ACGIHで示されているばく露限界・許容濃度を指針として設定することとし、この両者の値が一致している場合には、その値を管理濃度とし、両者の値が異なっている場合には、いずれかの一方の値を管理濃度とすることを基本方針としています。  (2)は、いま図で説明いたしましたが、まずaが、管理濃度が設定されていない10物質のうち、産衛学会又はACGIHで値が示されている物質1物質(前回検討済みで、「管理濃度の設定が困難」と結論された。)がベンゾトリクロリドです。それからbは、リスク評価で追加になりましたホルムアルデヒドです。  (3)の「管理濃度の見直しが必要な物質」ですが、先ほど図で説明しました(2)-2に該当する12物質です。次にdですが、これは管理濃度の値が低い2物質のうち、前回検討済みのパラ-ニトロクロルベンゼンを除いた1物質、(3)-2に該当します五酸化バナジウムになります。以上が管理濃度関係です。  4が「測定基準、局排の性能要件の設定・見直し作業」です。「基本方針」として、測定の実施が必要な物質について、測定基準によってサンプリング、分析方法を設定すること、それから、局排の性能要件を抑制濃度又は制御風速の形で設定するということです。  (2)は、設定が必要な物質ですが、まず、新たに測定の実施が必要とされた1物質、ホルムアルデヒドについて、測定基準の設定が必要になります。それから、ばく露防止措置として、新たに局排の設置が必要とされた3物質、これはホルムアルデヒドと、後ほど出てきますが1,3-ブタジエン、硫酸ジエチルの3物質となります。これについて局排の性能要件を設定することになります。  (3)については、新たな測定手法が開発された物質や、管理濃度と抑制濃度との間に大きな乖離のある物質がありますので、これについても、この委員会で今後ご検討いただければと考えています。  5が検討スケジュール等ですが、(2)の見直しの検討は、対象物質の分類ごとに、できましたら有機溶剤、特化物といった分類ごとに効率的に処理できるように行いたと思っています。この管理濃度の設定・見直しに合わせて、測定基準、局排の性能要件についても検討を行うこととしています。  (4)のスケジュールですが、本日が第1回目で、概ね、今後1年間かけて行う予定にしています。  (5)は「主な検討事項」で、リスク評価物質の管理濃度、測定基準、局排性能要件、それから、既に測定対象物質になっている物質の管理濃度、あるいは測定基準、先ほどご説明しました管理濃度と大きく乖離した抑制濃度についての見直しを行っていく予定にしています。  次に資料番号-4の検討スケジュールですが、全部で5回を予定しています。ご覧のとおり、来年の7月にかけて実施したいと考えています。本日は、基本的な資料をご説明して、(3)のホルムアルデヒド、(4)の硫酸ジエチル、1,3-ブタジエンについてご検討いただくということで、2回目以降に有機溶剤、特化物、粉じん、金属の順番で順次ご検討いただきたいと思います。それから、第5回ですが、実は、リスク評価について今年度の検討が進んでおりまして、その結論が年度末には出ますので、それを踏まえて、第5回にリスク評価の対象物質についてご検討いただいて、最後にまとめという全体のスケジュールにしております。以上でございます。 ○櫻井座長 ただいまのご説明の内容について、ご質問、コメント、ご意見がありましたら、どうぞご発言ください。 ○田中委員 資料番号-3の3頁で、濃度が高いとか低いとかの話が、例えば(2)、(3)で出てきましたが、これは現在の値ですか。 ○古屋副主任 そうです。今年の産衛学会の資料がまだ入手できていませんので、今日の資料には反映されていませんが、これは大至急取り寄せて反映させていただきたいと思っています。 ○中明委員 2頁の測定基準で、試料採取方法と分析方法というのは、この委員会では、いままでやっていましたか。今回は入れるということですか。 ○古屋副主任 いままでは管理濃度を決めていただきましたが、測定関係と、先ほどご説明しました局排の性能要件についても併せて、ご検討をお願いいたします。 ○中明委員 そこも決めるというわけですね。もう1つ、いま、リスク評価の検討が進んでいるとおっしゃいましたね。それはどこで、どういう形で進んでいるのですか。ここでやっているわけではないですね。 ○古屋副主任 別の行政委員会で検討を行っています。 ○春日室長 私どものほうで、化学物質等のリスク評価検討会を別途開いています。その中で、リスク評価を行って、規制が必要な物質かどうかを、先生方に判断していただいています。平成18年度においては3物質を選定していただいておりまして、平成19年度は10物質、いま検討を行っておりまして、その結果が今年度末ぐらいには出るかと思います。 ○櫻井座長 あとで、その内容についてご説明もある予定です。 ○小西委員 今度、新規に1物質、リスクのほうからホルムアルデヒドということですが、これは流れ的には、来年7月に最後の会合があってから、そういうものは適用されるのでしょうか。それとも、それが決まり次第、そういう形に反映されていくのでしょうか。 ○春日室長 それについては、後ほど詳しく説明させていただきたいと思いますが、できるだけ早く政令・省令の改正をしたいと思っています。 ○櫻井座長 それでは、次に移ります。資料番号-5、検討対象物質の管理濃度等、あるいは6、7辺りのご説明を岸係長からお願いします。 ○岸係長 資料番号-5をご覧ください。この資料は、先ほど資料番号-3の表でご説明し、検討対象物質として分類された物質(29物質とホルムアルデヒド等)の用途、生産・輸出入量、分類、管理濃度の検討状況、日本産衛学会における許容濃度の決定状況、ACGIHにおけるばく露限界の決定状況に関する資料です。  今回は、資料番号-3の表に基づく分類で、「(2)-2、(3)-2、新規」と分類された、今回見直しが必要な物質(14物質)について説明させていただきます。  なお、表中の年数は、提案又は決定の年を書いていますが、最新の提案理由書などにより、現在確認中です。  土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんについて、現在の管理濃度は、後ろの6頁の左下のほうにありますが、現在の管理濃度は3.0÷(0.59×遊離珪酸含有率%+1)のmg/m3となっています。  そのような管理濃度の設定状況ですが、産衛学会では、吸入性結晶質シリカで0.03ppm、ACGIHでは、結晶性シリカとして0.025mg/m3の許容濃度等が決定されています。  アクリルアミドについては、現在、管理濃度は0.3mg/m3ですが、産衛学会では、0.3mg/m3から04年に0.1mg/m3に変更になりました。  2頁の塩素化ビフェニルは、現在、管理濃度は0.1mg/m3ですが、産衛学会では、07年に0.01mg/m3に変更になりました。  エチレングリコールモノメチルエーテルについては、管理濃度は5ppmですが、ACGIHにおいて、06年に5ppmから0.1ppmに変更になりました。  クロロホルムは、現在、管理濃度は10ppmですが、産衛学会において、05年に10ppmから3ppmに変更になりました。  3頁の五酸化バナジウムについては、現在、管理濃度は0.03mg/m3ですが、日本産衛学会においては、ヒュームは0.1mg/m3、粉じんは0.5mg/m3であったものが、03年に0.05mg/m3に変更になりました。  4頁のシクロヘキサノンについては、管理濃度は、現在25ppmですが、ACGIHにおいて25ppmから03年に20ppmに変更になりました。  臭化メチルは、現在5ppmの管理濃度ですが、日本産衛学会において、03年に新たに1ppmに決まりました。  テトラヒドロフランは200ppmの管理濃度ですが、ACGIHにおいて200ppmから、05年に50ppm変更になりました。  トリクロルエチレンは、05年に管理濃度は50ppmから25ppmに変更になりましたが、ACGIHにおいて、07年に50ppmから10ppmに変更となりました。  トルエンは、現在、管理濃度は50ppmですが、07年に50ppmから20ppmに変更になりました。  5頁の二硫化炭素は、現在、管理濃度は10ppmですが、06年に、ACGIHにおきまして10ppmから1ppmに変更になりました。  弗化水素は、05年に管理濃度が3ppmから2ppmに変更となりましたが、ACGIHにおいて、天井値3ppmから、05年に0.5ppmに変更になりました。  今回、新規として追加されたホルムアルデヒドは、現在のところ管理濃度は未設定ですが、日本産衛学会においては、07年に0.1ppmが提案され、ACGIHにおいて、01年に天井値として0.3ppmが決まったところです。  資料番号-5については以上でございまして、細かいところについてはご確認いただければと思います。  資料番号-6は、作業環境測定対象物質(93物質)の管理濃度と、日本産衛学会における許容濃度、発がん分類の決定状況、ACGIHにおけるTLV-TWA、発がん分類の決定状況、IARCにおける発がん分類状況、OSHAにおける許容濃度の決定状況に関する資料です。内容は、ご覧いただければと思います。  資料番号-7は、年代別作業環境測定対象物質の設定状況と管理濃度の設定状況に関する資料です。昭和47年に労働安全衛生法制定により、作業環境測定が義務化され、40物質の測定対象物質が決まりました。その後、昭和63年に作業環境評価基準が制定され、72物質について管理濃度が設定され、平成7年には9物質が新たに追加されるとともに、7物質が見直しされました。平成13年に1物質、エチレンオキシドが新規に追加され、平成17年には三酸化砒素の1物質が新規に追加されるとともに、21物質の管理濃度が見直されました。さらに、平成18年には石綿の1物質の管理濃度が見直されました。  資料番号-9は、測定対象物質(93物質)の管理濃度と局所排気装置の性能要件に関する資料です。局所排気装置の性能要件とは、有害物の発散防止措置として設置する局所排気装置について、フード付近において備えるべき局所排気装置の能力のことで、濃度で規定したものが抑制濃度、風速で規定したものが制御風速となっています。原則として、管理濃度が決まっているものは抑制濃度、管理濃度が決まっていないものは制御風速として決めています。最近の改正状況は、平成13年にエチレンオキシドの設定を行っており、その時は管理濃度、抑制濃度ともに1ppmと同じ数値を決めています。  資料番号-8は、今回の検討対象物質(29物質)の管理濃度と許容濃度値、ばく露限界値、サンプリング方法、分析方法、定量下限値・評価方法に関する資料です。内容はご覧いただければと思いますが、定量下限値とその評価方法は、前回の検討時、平成13年から15年にかけての数値をそのまま掲載しています。以上です。 ○櫻井座長 ご質問、ご追加、ご意見はいかがでしょうか。 ○中明委員 いまの資料番号-8の評価の△と○は何ですか。 ○岸係長 これは4頁の注釈にありますが、実験によるものと計算により確認されたものです。 ○中明委員 計算によりというのは、何か計算したのですか。 ○小西委員 空気量で計算しているのではないかと思います。 ○櫻井座長 資料番号-5の3頁、いちばん上のバナジウムですが、何となくこの資料を見過ごしていましたが、よく考えてみると、管理濃度はバナジウムとして0.03であるわけですが、産業衛生学会もACGIHも両方とも、酸化バナジウムとして0.05ですので、同等だと思います。計算してみてください。 ○古屋副主任 (3)-2に分類することが適切ではなかったということでよろしいですか。分かりました。失礼しました。 ○櫻井座長 そこら辺はよく間違えるのです。  資料番号-6の1頁、これももっと早く気が付けばよかったのですが、日本産業衛生学会の許容濃度(2006)で、I遊離けい酸10%以上の粉じん、吸入性粉じんというのは、今はもうないはずなのです。0.03だけになります。 ○大前委員 粉じんの遊離けい酸の割合いがいくつであろうと、とにかくトータルとして、関係ないと。各種粉塵は生きているのですけれども。 ○岸係長 いまのIIのみでよろしいでしょうか。 ○田中委員 Iはなしです。 ○櫻井座長 Iは全部なくして、IIのほうだけです。 ○田中委員 そういうパーセントを含んでいる場合、どういう取扱いをしているのですか。 ○大前委員 含有率にかかわらず、絶対量として0.03となります。 ○田中委員 絶対量を測るのですか。 ○大前委員 はい。 ○田中委員 粉じんの中から結晶質シリカだけを取り出してきて、それを測って、それが0.03以下であると。 ○松村委員 初歩的質問ですが、抑制濃度とか制御風速は、現場で、この性能があれば目的を達するという実証があるのですか。作業場と言っても、いろいろ形態があると思いますが、どういう意味で決まっているのでしょうか。経過があるのでしょうが。 ○古屋副主任 あくまでも局排装置の性能要件として決めておりまして、例えば計画届けの対象になっていますので、そのときに、そういった能力があるかどうかを確認させていただいています。 ○松村委員 その要件があれば、必ず作業環境濃度がちゃんといい区分になるという評価があるということでもないのですね。 ○古屋副主任 作業環境の評価はあくまで作業環境測定結果から、評価基準に基づいて管理区分を決めるということですので、そういう意味では、必ずしも連動はしていません。 ○松村委員 この委員会で数値をきめるのは、ちょっと無責任な感じがするのですが。 ○古屋副主任 過去は、この場で検討していなかったのですが、専門家の方にお集まりいただいておりますので、冒頭お話したように局排、あるいは先ほど中明委員からもお話があった測定関係についてもご意見をいただければありがたいと考えています。 ○櫻井座長 今日の議題の(3)と(4)で、測定方法だけでなくて、局排性能要件の決定というのがありますので、そこでいろいろ議論していただく予定になっています。 ○松村委員 議論で決まることがどうかなというのがちょっと分からなかったのですが。 ○櫻井座長 そのときにまた。ほかに何かありますか。  ないようですので、議事の(2)に移ります。「化学物質のリスク評価制度について」、永野補佐、お願いいたします。 ○永野補佐 化学物質評価室からご説明させていただきます。資料番号-10です。4月6日付の発表資料ですが、「平成18年度化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会報告書及びそれに基づく行政措置について」です。  現在、労働安全衛生法に基づいて、局所排気装置の設置、作業環境測定の実施といった労働者のばく露防止対策の管理規制が、特化則、有機則等で義務づけられている物質が約100物質あります。ただ、これら以外の物質でも、国際機関、学会等で、がん等の有害性が指摘されている物質もたくさんあります。  一昨年度改定された労働安全衛生法では、事業者によるリスクアセスメントが努力義務化されて、事業者が、有害な化学物質による労働者の健康障害のリスクの評価を行って、その結果に応じた適切な措置を講ずるよう努めなければならないとされています。ただ、中小企業等では、自主的な管理が十分できないという場合もあり、一定の物質については国がリスク評価を行って、その評価結果、リスクの程度に応じて、特別規則による規制を行う等のリスク管理を行うということから、平成18年度より新しく開始をした制度です。  評価のやり方は、まず、有害物ばく露作業報告という制度を昨年度から新たに設けております。評価する物質について、それを取り扱っている事業者に、何トンぐらい取り扱っているか、どういう作業で取り扱っているか、どういう用途に使っているか、何度ぐらいの温度で使っているか、気体で扱っているか液体で扱っているか、換気装置等の設置状況、労働者の人数、1人当たりの労働時間、保護具の使用状況を報告していただいて、その報告を集計・分析して、ばく露が高いと思われる作業について、その中で更にばく露が高いと思われる事業場を選定し、そこへ実際調査に行って、作業環境測定、個人ばく露測定の調査を実施して、そのばく露実態の調査結果とその物質固有の評価値とを比較して、端的に言えば、その評価値を超えていればリスクがあるということで、何らかの規制をかけるという枠組みで検討を行いました。  平成18年度は、5つの物質の検討を行いました。資料の3頁、横の表がありますが、エピクロロヒドリン、塩化ベンジル、1,3-ブタジエン、ホルムアルデヒド、硫酸ジエチルの5物質です。  なぜ、この物質を選んだかと言いますと、とりあえず発がん性がある物質を優先的にリスク評価を行うということで、IARCで1もしくは2Aに分類されている物質の中で、国内での取扱い量が多い物質を選んでいます。ホルムアルデヒドはグループ1で、あとの4物質はグループ2Aの物質です。この5つの物質の報告を求めて、それを集計・分析して、全体で約30事業場でその実態調査を行って、その結果に基づいて評価をしています。  評価値に何を使っているかと申しますと、初年度でいろいろ試行錯誤がありまして、2つの評価値を検討しています。途中から報告書の本文になりますが、資料全体の頁番号で11頁、(4)に「リスクの判定方法等」とあります。2つの評価値、一次評価値と二次評価値を検討しておりまして、一次評価値は、一応スクリーニングに使うということで、発がん性ということで、ユニットリスクを用いたがんの過剰発生率が算定できる場合には、がんの過剰発生率が10-4に対応した濃度を一次評価値として、この濃度を超えたものは二次評価に移行します。  二次評価値は、12頁のイにありますように、(ア)のiで、許容濃度かTLVが設定されている場合には、管理濃度と同じような考え方ですが、同じであれば、その値を用いる、異なる場合には、そのいずれかの値を用いることにしています。物質によって、許容濃度もTLVもない物質もあって、それについてはiiの、とりあえず(i)で、アメリカのREL、ドイツのMAKのような知見があれば、そういった知見を考慮して決定します。  そういうものがない物質がありまして、今回、硫酸ジエチルについては、許容濃度もTLVもなくて、いま言った米国のREL、ドイツのMAKもない物質については、構造的に類似した化学物質の許容濃度等で評価するということで、硫酸ジエチルは硫酸ジメチルの許容濃度を用いて評価をしています。そのほかの4物質は、許容濃度又はTLVがありましたので、それに基づいて二次評価を行っています。  評価に基づく行政措置として、基本的にこの二次評価値を超えるものはリスクがあるとして、法的な規制をかける考え方にしています。  各物質の評価結果ですが、まず16頁、エピクロロヒドリンの結果は、上に2つグラフがあって、左側が屋内作業場におけるA測定結果、右側が、屋内、屋外は関係なく、個人ばく露測定の結果です。  棒グラフは、データを低い順に左から右へ並べたもので、そのA測定の結果を見ると、二次評価値が、ACGIHのTLVが0.5ppmですが、いずれの測定値も、この0.5ppmに達していない、個人ばく露の測定値を見ても、この0.5ppmに達していない結果になっています。  塩化ベンジルが19頁です。A測定と個人ばく露測定両方を示していますが、その二次評価値が、ACGIHのTLVが1ppmです。これもA測定、個人ばく露双方について、この1ppmを超えるデータはありませんでした。  22頁、1,3-ブタジエンです。これは右と左で縦の縮尺が違っておりまして、二次評価値は、ACGIHのTLVは2ppmですが、A測定の結果は、縦軸のいちばん上が0.3ppmですので、いずれも2ppmよりはるかに低い結果になっています。しかし、個人ばく露測定結果を見ると、下に実線が引いてあるのが2ppmで、製造工程というのは黒い棒グラフで、1,3-ブタジエンを製造している事業場での測定結果ですが、その2ppmをはるかに超えるばく露で、60数ppmをばく露しているようなものもあります。また、合成ゴム製造の工程では、この2ppmをはるかに超えている個人ばく露測定結果が出ています。  ホルムアルデヒドは26頁です。上がA測定で下が個人ばく露測定です。これは評価値がACGIHのシーリングの0.3ppmですので、時間平均の測定値と比較する場合は、大体半分か3分の1ぐらいで比較するのが妥当で、0.1ppmぐらいを目安に見ていただければと思います。そうしますと、A測定でも超えているものがあります。その下の個人ばく露測定を見ますと、半分ぐらいがこの0.1ppmを超えている状況です。  27頁は、昨年度のばく露実態調査ではなくて、過去に、ホルムアルデヒドはシックハウスの関係の対策事業で、ホルマリンの製造、メッキ処理、塗料の製造、病理検査、そういったいろいろな用途につきまして測定をした結果があります。これを見ると、先ほどの0.1や0.3という値を大きく超えている、そういう結果がたくさん出ているという状況にあります。  最後に、硫酸ジエチルの結果が30頁です。上がA測定の結果です。これは評価値はACGIHの硫酸ジメチルの0.1ppmですが、作業環境測定の結果はかろうじて0.1ppmは超えていないのですが、下の個人ばく露測定では、ほとんどの事業場では0.1ppmよりはるかに低いのですが、1つの事業場だけ、硫酸ジエチルを触媒として使って樹脂を製造している工場におきまして、0.1ppmを大きく超えてばく露していました。  以上の結果を踏まえまして評価結果としては、簡単に表紙にまとめてあります。いちばん下のほうに「リスク評価の結果と対策の方向性の概要」ということで、ホルムアルデヒドにつきましては塗料で、塗装、配合、サンプリング等の作業について、評価値を超える個人ばく露量が測定されたと。いろいろな用途、作業で、個人ばく露量が評価値を超えていると。このため、事業者は、設備の密閉化又は局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置の設置、作業環境測定の実施等を行うべきである。国は、そのための労働安全衛生関係法令の整備、つまり現在のホルムアルデヒドは第3類物質ですが、これを第2類物質にすることを検討すべきであるとされています。  また、ホルムアルデヒドが原因で、まれにヒトに対して鼻咽頭がんが見られるとの指摘があることから、国は、一般健康診断を年に2回実施する等の措置を事業者が徹底するよう、引き続き指導すべきであるとしています。  次に、1,3-ブタジエンです。先ほどの結果がありましたように、1,3-ブタジエンの製造工程及び合成ゴム製造工程におけるサンプリング、保守、点検、分解、組立て、修理等の作業において、評価値を超える個人ばく露量が測定された。このため、事業者はこれらの作業における設備の密閉化又は呼吸用保護具の使用等を行うべきであり、国は、そのための労働安全衛生関係法令の整備を検討すべきということ。  現在、関係法令の検討を行っていますが、ブタジエンにつきましては、測定は義務づけないということで考えています。ただし、限られた作業でばく露があったということで、一定の作業につきましては、密閉化する、局所排気装置を設ける、屋外などで困難な場合には保護具を使用するなど、そういった措置を義務づけるということを考えています。  次の硫酸ジエチル。これは、樹脂の製造工程における触媒として使用する混合、攪拌、混練、加熱等の作業において、評価値を超える個人ばく露量が測定された。このため、事業者はこれらの作業における設備の密閉化又は局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置の設置を行うべきであり、国は、そのための労働安全衛生関係法令の整備を検討すべきである。これも1,3-ブタジエンと同じように測定は義務づけない方向ですが、一定の作業に限って密閉化、局所排気装置の設置、そういった措置を義務づけることにしています。  残りのエピクロロヒドリンと塩化ベンジルの結果は同じですが、評価値を超える個人ばく露量は測定されなかったが、有害性の高い物質であるため、事業者は、既に労働安全衛生関係法令に定められている労働者の健康障害を予防するための措置を徹底するべきであると。国は、そのための指導を引き続き行うべきであると。新たな法令の整備までは行わずに、既存の法令の枠内でその徹底を指導していくことにしています。  以上、5物質を評価して、3物質について新たな法令の規制を行うと。ホルムアルデヒドにつきましては、特化の3類から2類に格上げをするということで、作業環境測定を義務づけることになりますので、その管理濃度測定方法についてご検討をいただきたいことと、あと、局所排気装置、プッシュプル型換気装置を義務づけることになりますので、その性能要件につきましてもご検討をいただきたいということです。また、1,3-ブタジエンと硫酸ジエチルにつきましては、測定は義務づけないこととしていますが、排気装置を義務づけることにしていますので、その性能要件につきましてご検討をいただければと思っています。  なお、平成19年度におきましては、ニッケル化合物等10物質の評価をしていまして、今年度中にその結果を取りまとめることとしていますので、その結果によっては、また来年度、作業環境測定の管理濃度等のご検討をいただければと思っています。  あと、今回の関係法令改正のスケジュール等ですが、できるだけ速やかに改正を行いたいと考えていまして、現在、部内で関係法令の検討を行っているところでして、この秋ぐらいに改正したいということで作業を進めています。ただ、測定や局所排気装置につきましては、いきなり改正してすぐに測定しろとか、局排をすぐに設置しろということは非常に困難であると思いますので、前回のエチレンオキシドの場合は、1年間の猶予措置を設けていますので、そういったものを参考に一定の猶予期間を設ける予定としているところです。以上、評価室からの説明を終わります。 ○櫻井座長 ただいまの説明の内容について、ご質問、コメントはありますか。 ○松村委員 測定の義務づけをするものとしないものは、どういう根拠で区別をされるのでしょうか。これは評価の要領に決まっているのですか。 ○永野補佐 評価の要領には、そこまでは決まっていません。今回は、判断材料としては、A測定と個人ばく露の両方をやっていますが、A測定の結果は必ずしも評価値を超えていなかったので、屋内の作業環境全体の評価としては、必ずしもそれほど悪くはない。しかし、個人ばく露で、サンプリングをする近傍で大量にばく露してしまったとか、反応釜の近くで、そこだけ何か非常に高くなっていて、そこで大量にばく露したのではないかと考えられるので、そういったところの密閉化、排気装置などの管理を義務づけることによって対応できるのではないかと考えて、測定を義務づけないことにしております。 ○櫻井座長 ほかには特にありませんか。ないようですので、今度は個別具体的な議題になります。(3)「ホルムアルデヒドの管理濃度、測定方法、局排性能要件について」です。これにつきましては資料番号-11等からあるわけですが、また事務局から説明をお願いします。 ○岸係長 ホルムアルデヒドの基本的なデータについてご説明します。資料番号-10のゴシックの23頁です。ホルムアルデヒドの基本的なデータとしては、無色の液体で、沸点は98度です。主な有害性の評価は、発がん性としてIARCが1、ACGIHはA2、日本産業衛生学会が第2群Aとなっています。  また、許容濃度等の設定状況としては、ACGIHがTLVの天井値として0.3ppm、日本産業衛生学会が許容濃度として0.5ppm、さらには、2007年には新たに0.1ppmを提案しているところです。  用途につきましては、資料番号-10の3頁に表がありますが、ホルムアルデヒドにつきましては、石炭酸系・尿素系・メラミン系合成樹脂原料、ポリアセタール樹脂原料、界面活性剤、農薬、塗料、接着剤、メッキ液、消毒剤、防腐剤、燻蒸剤、その他有機合成原料、脱臭剤などに使われています。  また、ACGIH及び日本産業衛生学会の提案理由書につきましては、資料番号-12に掲載しています。ACGIHにつきましては、資料番号-12の1頁から26頁まで、日本産業衛生学会におきましては、27頁から40頁までに掲載しています。以上のデータから、管理濃度のご審議をよろしくお願いしたいと思います。 ○櫻井座長 いかがしますか。29頁からが、今年度、産業衛生学会が0.1ppmを勧告した、その提案理由になっています。 ○大前委員 0.1ppmにした、いちばん根拠のところだけをピックアップしてお話します。いまの31頁をご覧ください。4.2.2に「慢性曝露」という所があります。それの2段落目、「Edlingらの研究では」という段です。「0.1-1.1ppmのホルムアルデヒドに平均7年間曝露した20名のパーティクルボード製造者では、25名の職業性曝露のない対照群に比べて、鼻粘膜上皮の組織学的変化を有意に認めた」と。  その下の、やはりEdlingらですが、「0.07〜0.7ppmのホルムアルデヒドに10.5年間曝露された75名の木製品製造労働者に対して鼻粘膜上皮バイオプシーを行った。病理診断医による9段階の形態学的変化云々」という所で、どうもこの辺の濃度ですと鼻腔の粘膜の病理学的変化が出てくるというところで、この数字、0.1〜1.1、あるいは0.07〜0.7という数字を使いまして、時間加重平均を0.1にした、というのがいちばん大きな理由です。  今日送られていますのは最終原稿の段階ですが、学会誌の7月号に正式なのが載っています。中身はほとんど変わっておりませんので、正式にはそちらをご覧になっていただきたいと思います。 ○松村委員 ホルムアルデヒドの有害性は、鼻粘膜に現れるのが典型的な影響ですか。 ○大前委員 そうです。 ○松村委員 これはパーティクルボードも木製品も、結局、木製品として木のクズみたいなものも一緒に発生しているのではないかという気がするのですが、木工労働者というか、そういう人の木粉による影響も知られていますよね。それとは区別されるのでしょうか。 ○大前委員 これはパーティクルボードも木製品も、厳密に言えば、いまおっしゃったように、木粉等の混合ばく露の可能性はあると思います。ただ、おそらく木製品の使い方は、たぶん塗料、接着剤、そちらがメインだと思うので、木粉もあると思うのですが、メインに考えなくていいのではないかという気はします。純粋ばく露だけではないというのは、おっしゃるとおりだと思います。 ○田中委員 パーティクルボードとかだけ使っている工場でこういうことが起こっているという例はないですか、ガスとか蒸気で。 ○大前委員 これは高い濃度ですとあります。だから、これはいちばん低い所の数字という意味です。 ○田中委員 ここがハードウッドとか何かというときに、ネーザルキャンサーが結構ありましたよね。 ○松村委員 この間、東京都の食品安全の会議に出ていましたら、食品安全がどういうわけかマスクの試験を始めまして、マスクにホルムアルデヒドが含まれているということでした。そうすると、マスクを通して空気を吸うと、ホルムアルデヒドが全部入ってしまうのです。要するに、産業用ではなくて、一般衛生マスクです。そういうのがあると言っていました。 ○中明委員 室内環境は0.08でしたか。かなり近いですね。 ○大前委員 近いです。室内環境は刺激などではなかったですか、根拠が。このレベルだと、刺激はあると思うのです。 ○櫻井座長 一般環境の基準とほとんど同じ数字を出すという、最初の例になるのですね。 ○中明委員 そこら辺がどうかなと思ってはいたのだけれども。室内環境が0.08で、今度は産衛で0.1出したから、そうすると管理濃度も0.1かと少し思っていて。そこら辺をどうするかですね。 ○田中委員 一般環境は0.08で、そういうのを用途として使っているかといえば、解剖室などは0.25ではなかったでしたか。 ○大前委員 議論の中では0.25という数字もありましたので、そのこともあったのですが、これを見ていると0.25では高いだろうということで、0.1にしたわけです。 ○櫻井座長 ACGIHがシーリング0.3になっていますね。それと平均で0.1、産業衛生学会が。ほぼ同等ですか。 ○中明委員 たぶん同じぐらいではないでしょうか。だから、管理濃度としては産衛の0.1をそのまま使っていいとは思うのですが。 ○櫻井座長 これを管理濃度にすると、第1管理区分にしようと思ったらさらにやや厳しくなるわけです。 ○中明委員 かなりきついですね。 ○櫻井座長 95パーセンタイルが0.1を求めるわけだから。日本産業衛生学会は0.1ppm、それから最大許容濃度0.2でしたか。 ○大前委員 0.2です。 ○櫻井座長 それで管理濃度を0.1にすると、例えばB測定が0.15を超えると第3管理区分としますから、そのままこれを使うとやや厳しい方向へ行きます。 ○田中委員 これはたくさん作っている産業があるわけでしょう。そういう所でそういう基準が満足されているのですか。いままでかかっていませんから、おそらく測定事例はないのかもしれない。 ○中明委員 去年の結果だと、比較的、極端なのはあるけれども。 ○田中委員 私らが学校関係で測ったときは、高かったです。 ○中明委員 ppmオーダーですね。 ○田中委員 病院とかは ○中明委員 私らの大学などでは、標本室などで測ると、ppmオーダー、数ppmになる。 ○櫻井座長 絶対それを避けたいというので、解剖室などは一生懸命、環境改善をやっている大学が多いと聞いています。 ○田中委員 実習室は大変です。ご遺体の中に入っていって、それを開けて、それを解剖しなくてはいけない。学校も、そういうところも対象になるのですか。 ○菅野委員 職員の方は対象になります。 ○小西委員 例えば、病院の中の病理解剖をやっている所は対象になると思います。 ○春日室長 私どもはリスク評価を行うに当たりまして、ホルムアルデヒドをいま3類ですが、それを2類に変更したほうがいいのではないかということで、関係の団体には既に説明には行っています。具体的には病院関係の団体、病理学会、解剖学会、こういった所には説明に行かせていただいています。 ○小西委員 そういう方向になるのがよかろうというご返事ですか。 ○春日室長 正面切って反対という話はありませんでした。 ○和田委員 A測定で、半分ぐらいはひっかかるから、この辺の感じはどうですか。フィージビリティがあるかどうかです。 ○中明委員 去年のデータで、8は「殺菌を目的としてした使用」として、対象事業場は1カ所で、3単位作業場所を測っている。これだとそれほど極端には出てないと思うのですが、最大値0.43ぐらいになると、かなり出ています。 ○櫻井座長 いま何頁ですか。 ○中明委員 26頁の図の下の表です。 ○櫻井座長 最大値0.437。 ○中明委員 *3で0.437ppmです。個人ばく露でいくと、かなり出ています。 ○中明委員 「殺菌を目的とした」というのは、どういう作業になるのですか。その作業についてわからないですか。 ○田中委員 その上に1.42とあります。 ○小西委員 これは塗料です。乾燥機に入ってから出てくるのが多いと思います。 ○中明委員 たぶんそうだと思う。塗料そのものからは、それほど出ないと思います。 ○小西委員 塗装したものを乾燥ブースに入れます。乾燥ブースからの漏れは、やはりホルムアルデヒドは高いと思います。出てくるチャンスはすごく多いと思います。 ○松村委員 それを一定の場所でずっと同じものを造っている所というイメージですか。 ○小西委員 私も経験あるのですが、乾燥炉は排気がうまくいかず、完全に排気されずに、それが部屋へ戻ってきているというのがあって、それですごく高濃度になったという経験があります。 ○松村委員 水性塗料みたいなもので、壁に塗るようなものからは、ホルムアルデヒドは出ないですか。 ○小西委員 水性塗料はアルコールが入っています。 ○松村委員 アルコール、グリコールとかです。 ○小西委員 水性だからいいということはあまり言えないと思います。 ○中明委員 だから、普通の塗装、車などでいくと、乾燥は、どうしても出てきてしまう。 ○松村委員 はい、あれはすごい臭いがします。 ○中明委員 そういう意味では、コントロールが難しいかもしれないです。 ○田中委員 27頁を見ると、建材も結構高いです。 ○中明委員 それから食器を造っている所。 ○田中委員 フェノール樹脂とか。 ○中明委員 フェノールは多いです。 ○田中委員 断熱材としてロックウール、グラスファイバーを使います。 ○櫻井座長 MDFは0.2になっています。 ○松村委員 MDFは接着をした集成材みたいなものです。 ○田中委員 あとは、これは蒸気圧の関係です。 ○櫻井座長 相当コントロールは難しいと思います。 ○田中委員 管理濃度としては0.1と思うのですが、実際上、そこをどう考えるかです。とにかくACGIHと産衛学会が出したのだから、もう決めるということであれば、それはその方針でよろしいけれども、決めたらいい方向に行くのだろうとは思いますが。 ○小西委員 実際、家具などを製造している所は結構やられていることは事実です。法定外でもやられていることは事実ですが、こういうことにかかわらない限り、そういうものは放置されるという可能性は高いのではないかという気がします。 ○櫻井座長 全体で0.25は何とかクリアしているかなという感じです。それを0.1にするのは望ましいかとは思う。 ○田中委員 ホルマリンを決めた基準は何だったのですか。 ○櫻井座長 0.25にした基準ですね。 ○田中委員 片方は0.08です。 ○櫻井座長 0.08と同等にしたいけれども、労働環境であるということも考えました。それは一般環境は0.08で24時間です。労働環境だから、もう少し高くてもいいかもしれない。 ○田中委員 それを今回0.1にしようという話です。 ○櫻井座長 はい。それは一般環境は24時間で0.08、こちらは8時間で0.1。これは相当頑張った数字です。 ○松村委員 3分の1だから3倍でいいとすれば0.25ぐらいになる。 ○田中委員 ACGIHと産衛がほぼ同じであれば、どちらかの値にしようというのはほぼ決まっていますから、そのあたりにしたほうが私もいいと思います。ただ、3類から2類になるところにきちっと規制がかかるわけです。 ○和田委員 いまの対策で、取れるかどうかです。何とかすればできるでしょう。 ○田中委員 全くできてないというレベルではない。半分ぐらいできているという話はあります。 ○和田委員 建築産業の場合、建材を1年ぐらいかければ、やろうと思えばできる。先ほどの0.08でできるわけです。感じとしてちゃんとやればできそうだということでいいのではないですか。 ○櫻井座長 そういうことで0.1という数字に決めます。ありがとうございました。次に抑制濃度の問題です。 ○岸係長 抑制濃度に関しての法令のことをもう一度ご説明します。参考資料-3をご覧ください。この資料は抑制濃度等に関する関係法令です。先ほどもご説明しましたとおり、局所排気装置の性能要件は、有害物の発散防止措置として設置する局所排気装置について、フード付近において備えるべき局所排気装置の能力のことで、濃度で規定したものが「抑性濃度」、風速で規定したものが「制御風速」となっています。原則として、管理濃度が決まっているものにつきましては、抑制濃度を決めているところです。  先ほどのご審議で、ホルムアルデヒドにつきましては0.1ppmが妥当であるということでご審議いただいたところです。最近の改正状況につきましては、平成13年エチレンオキシドの改正の設定の際に、管理濃度、抑制濃度ともに1ppmという値を決めているところです。このような状況ですが、ホルムアルデヒドに関しての局所排気装置の性能要件についてご審議いただきたいと思います。 ○櫻井座長 いかがでしょうか。 ○田中委員 管理濃度がそうならば、それと同じにするのが当然だと思います。 ○松村委員 資料番号-9を見ますと、管理濃度と抑制濃度の対比がありますが、粒子状のものとか、わりに重いものは濃度が同じですが、蒸気、ガスについては倍とか数倍に決まっているものもありますが、この辺がどういうプリンシプルでこうなっているのかよくわからないのです。例えば臭化メチルなどは、管理濃度が5ppmで抑制濃度が15ppmになっているのです。シアン化水素も3ppmに対して10ppmになっているのです。 ○岸係長 管理濃度はこれまで大きく2回改正されているのですが、その前の値と抑制濃度が合っているものが結構ありまして、その際に、本当は抑制濃度も変えればよかったのですが、そのまま残っているものが結構あります。資料番号-9につきましては、分かりやすいように今後見直しをしていきたいと思いますが、以前の管理濃度と比べて抑制濃度が同じものなどは、今とイコールも含めて18物質ありまして、全体として抑制濃度を33物質決めていますので、半分以上は一時的にはそういうイコールだった時期がありました。 ○小西委員 石綿の管理濃度を見ると2つ前のもので、5本になっています。それ以来、変わってないということです。 ○中明委員 今度ホルムアルデヒドで0.1で行くのだったら、こちらも直さないと駄目だと思う。やるならば、同時に、管理濃度に全部合わせる。合っているのはいいけれども、それ以外のものを合わせるという方向でやらないと、まだいつまでも残るのという話になる。それは避ける。そのほうがすっきりするのではないですか。 ○古屋副主任 それらのご検討をいただきたいと思います。 ○田中委員 抑制濃度の意味をきちんとしないと。 ○小西委員 抑制濃度の計測は、頼まれてやるわけです。そのときに数値が違うことについて問合せは来ます。 ○松村委員 本当に局排の設計をするときに、これが出ればいいと思って設計したけれども、管理濃度は少しもよくならなかったというと、困るのではないかと思う。 ○櫻井座長 だから同じ数値にする以外にないです。 ○菅野委員 管理濃度があるものは抑制濃度は要らないのではないですか。 ○田中委員 局排を設計するときにどうやって設計しますかという話になる。 ○櫻井座長 管理濃度を使えとはっきり書いておけば、それはそれでいいのだけれど。 ○松村委員 設計するとき、いちばん最初に管理濃度を測るようになってない。6カ月経ってから測ればいいようになっている。6カ月経ってから測ってみて悪かったが、制御風速は満たしているとか、抑制濃度は出ているということになる。 ○田中委員 その辺のところを整合性が取れるように、少し今回議論してやっていけばいいのではないですか。 ○松村委員 局排とかそういう排気装置を設置した段階で、まず作業環境測定をやらないとおかしいと思うのです。 ○田中委員 そのときにちゃんと定常状態で運転できているのかどうかわからない。だから6カ月ということになっているのではないですか。その辺をどう整合性を取っていくかは、知恵を出してやらなくてはいけないのではないですか。 ○櫻井座長 定常状態になる前だったら、さらに厳しくしなくてはいけない。 ○田中委員 逆に言うと、ガス、蒸気、粉じんですから、性能要件を制御風速だけでやっていてもいいのかなという気もします。とりあえず安全側の値にして、設置する。それも当然、作業環境がずっと1が続けば、少し見直す。 ○松村委員 局排の専門家は、制御風速を決められるとすごく設計しにくいと言います。そういう声は聞いたことがあります。 ○櫻井座長 外付け式の場合でしょう。 ○松村委員 はい。 ○櫻井座長 外付け式の場合、場所をはっきり決めてないではないので、随分厳しい書き方です。作業域で作業者のいちばん遠い所。そうすると、相当遠くなるので、0.5とか1も出ていません。 ○田中委員 逆に言うと、制御風速を見直せばいいではないですか。 ○松村委員 局排の設計が必要最小量の風速で有効なように、近く囲むように造ってしまえばいいのです。 ○田中委員 それがわからないから、ある程度の目安を作っておかなくてはいけないという話です。だから、6カ月後に管理濃度を測って、満足しなかったら更に改良しなさいという言い方もあり得ます。 ○小西委員 逆に、規制緩和の方向で、例えば、管理濃度がずっと1が続いているという場合には、逆に風速をダウンして運転することができるわけです。 ○松村委員 それでも最初は大きいファンを付けなくてはいけないわけです。 ○小西委員 それでもインバーターを付けて1年間やったときの電気量の経済コストはすごく違うのです。ただ、もし何かあったときはそれを担保することになりますから、風速を上げればいいわけです。そういう面でいくと、安全性を担保するという意味からいくと、濃度よりはそのほうがいい気がします。 ○松村委員 制御風速だけで少し大きめにする。 ○小西委員 相当濃度を測って環境がきちんと管理されているということであれば、その制御風速を必ずしも満たさなくても運転可能とすると、今やられているものの考え方につながっていくのではないかという気がします。 ○田中委員 そうだと思います。 ○櫻井座長 どういう方法がいちばんいいか、これは非常に大事な課題ではあるのですが、それはゆっくり議論する課題でもあります。今日のところは抑制濃度をどうしましょう。 ○田中委員 一応は管理濃度と同じ値にしようということで。 ○中明委員 今年度も、例の先ほどのリスク評価をやっていますので、そういうところで抑制濃度みたいなものを測れたらよい。 ○小西委員 ばく露濃度だけではなくて、抑制濃度のデータも一緒に測ってもらわないといけない。 ○中明委員 測ってもらえると、そこはすごくいいのかなと思う。 ○櫻井座長 抑制濃度に相当する濃度を測る。 ○小西委員 一緒に測ってもらって。そのデータも併せておいてもらうと、もう少しそのところがはっきりするかもしれないです。 ○中明委員 現場ではなかなか測定はできない。 ○春日室長 これから、今年度評価物質10物質あるのですが、約50事業場ほど測定を始めることにしていますので、全部はたぶん無理だと思うのですが、局排が設置されている所で抑制濃度的な測定が測れるようであれば、そこは検討したいと思います。 ○中明委員 データはほかのデータを取るときに一緒に取るということは大事だから、少し考えてみてください。 ○田中委員 資料番号-11で先ほど0.1になりましたが、これはほかに10分の1まで測る、つまり0.01まで測れるかどうかを確認しておかないといけないのではないか。 ○櫻井座長 それは測定のことですね。その点はいかがですか。小西委員からお願いできますか。 ○小西委員 いまお話にありました資料番号-11ですが、1枚目については私どもの作った資料ではないのですが、たぶんこの資料の内容のほとんどは、アメリカのNIOSHの分析マニュアルのメソッドナンバー2016だと思います。その内容は、日本語に翻訳されて書かれているのだと思います。これはここに書いてあるとおりで、DSD-DNPHの液体クロマトグラフ法という方法です。定量下限が0.001ppm、ばく露も2時間ばく露で0.001ppmという型で書かれています。  2頁以降につきましては、私どもの協会で、調べたものを測定法として書いております。1番目の測定法が、オーソドックスな測定法です。実はJISの中に、排ガス用のホルムアルデヒドの測定法がありまして、5つ測定法があります。今日は管理濃度ということで決まりましたが、そのぐらいのところを測れる方法として、そこに書いてありますDNPH-HPLC法という方法があります。これはほとんどNIOSHのマニュアルと同じ方法です。これですと、たぶん、いけるのかという気はしますが、ただJISの定量の範囲からいくと、採気量からいくと少し足りない部分が出てくるかもしれません。  その下に書いてあるのは、高速液クロではなくて、液体捕集で吸光光度をする方法ということで、これは定量感度がよくなく、0.3〜50ppmぐらいの範囲です。  ホルムアルデヒドに関しては、検知管が出ていまして、その下に日本の2つのメーカーのガステックさんと光明理化学さんの検知管ナンバーと測定範囲ということで書いてあります。これからいくと、ガステックさんの91LLとか光明理化学さんの171SCというのは該当になるのかという気がします。  反応の原理につきましては、そのいちばん右に(1)、(2)と書いてあるのは、欄外に書いてあるものです。ただ、検知管の場合には防害物質の問題がありますので、そういう防害物質が共存した場合には使いづらいということだと思います。  次に3頁です。電動吸引式の検知管も出ていまして、これはハンディータイプの100ccの手で引っ張るものではなくて、ポンプで引っ張る検知管ということです。これでいきますと、だいぶ低いところまで行けます。検知限度を見ていただきますと、先ほどの検知管よりは吸引ボリュームが大くなりますので、その分だけ定量下限が下がってくるということだと思います。  4は、平成15年6月1日から適用しています。これは厚生労働大臣が別に指定する測定器という形で、これは実際に性能要件などを審査して応募されたものの中から、そこに書いてありますようなものが使用できますという形で指定されている機器です。測定に関しては、そういう中から選ばなくてはいけないのかという気がしていますが、いまの基準ですと管理濃度の10分の1が精度良く測定できることということになっていますから、そういう中での方法を選んでいくということになろうかと思います。 ○櫻井座長 問題はないとしてよろしいですね。 ○小西委員 いまも検知管のあるもの、エチレンオキシドもそうでしたが、検知管でできるものは検知管、その防害物質のことはちゃんと考慮しなくてはいけませんが。ただ、いままで入ってきていないのは、4の、先ほどの指定している機器の中にセンサーが入っているのです。電気的センサーの部分が入っていまして、いままで作業環境測定として65条の測定の中にはセンサーは入ってないものですから、そういったものを加えていくかどうかという問題は検討しなくてはいけない。いままで前例があまりないので、ほかの特殊な、一酸化炭素とか硫化水素などはセンサーを使っていますが、通常の作業環境測定、65条の測定には、いまほとんどセンサーが使える状態になっていないので、それをどうするかということは併せて検討が必要だろうと思います。 ○櫻井座長 いまの点も含めていかがでしょうか。 ○松村委員 ホルムアルデヒドは、標準サンプルは作りやすいのですか。これは分析の標準サンプルというのは100%試料というものではなく。水溶液ですか。 ○菅野委員 ホルマリンを薄めて作るものです。標準分析法でいちばん適切なのはニトロフェニルヒドラジンの方法だと思います。資料番号-11に「定量下限」というのがあるのですが、「0.002μg/mLを定量下限とした」と書いてあるのですが、サンプラーの会社のスペックを見ますと、サンプラー自体に0.1〜0.15μg入っていってもよいと、そこまでは許容すると書いてありまして、それと比較すると、この定量下限値は少し低すぎるのではないかと思います。 ○櫻井座長 「0.001ppm」などと書いてあります。 ○菅野委員 それは量にしますと0.002μgですが、抽出が5mLですから、そうするとサンプラーは0.01μgになりますので。それは10ngですので、メーカーが指定しているアルデヒドの含有量より少し低いのです。ブランクが非常に均一に入っていれば、問題がないという場合もあり得るのですが、EPAで測定した場合、データがありましたが、それだと変動ペースが47%ぐらいありまして、それだとするとブランクとしては差し引く量が大きすぎて、ここまでは測れないと思うのです。ただ、あれは10年ぐらい前のデータですから、最近のサンプラーとしてもっと均一性が高まっているということであれば、可能な場合もあり得ると思いますが、ここにデータがありませんのではっきり分かりません。これは今日決めてしまうということなのですか。 ○古屋副主任 できればお願いしたします。 ○菅野委員 些細なことですが、保存が、サンプルが6カ月とか1年保存できると書いてあるのですが、ほかの報告では、長いものでも2週間までとなっていまして、これが実際に実験的に確かめられたものであるのかどうか。1年も保存してから測る人はいないと思います。 ○櫻井座長 いないと思います。 ○菅野委員 これでなくて、SDMSのものだと「2週間がマキシマム」と書いてあるのです。 ○小西委員 こちらの原文からいくと、「5℃で34日間」と書いてあるのです。この内容がいろいろなものを併せてこられたので分からないです。 ○菅野委員 これとは別の会社のものですが、この会社のパンフレットにも「2週間以上は保存するな」と書いてあります。  それから、この右側に書いてあるカラムなのですが、これは「ODS」とつけないと、この名前でいろいろなカラムがあるみたいですので。 ○松村委員 ODSは使っているのですか。 ○菅野委員 使っているのはODSだと思うのですが、アミノとかいろいろあります。 ○松村委員 一般環境が0.08だったら、それは分析できているということでしょう。 ○菅野委員 測定時間が24時間です。普通では30分かもしれませんが、作業環境時間が長いので、0.08が測定できないとは思いませんが、この0.001というのは、たぶん実証していないからわからない。 ○中明委員 0.001が測れるかどうかです。 ○菅野委員 15Lでも、これとの何かが共用しているホルムアルデヒドのコンタミネーションのマキシマムというのを考慮すると、0.01ぐらいまでは測れるのではないかと思いますが、ただそのゆらぎによります。 ○櫻井座長 10分の1を精度よく測れるということは、望ましい条件だけど、絶対条件か微妙なところです。だったら標準を出さないとか、あるいは管理濃度を決めないという話ではないと思うのです。 ○菅野委員 2Lまではできるみたいです。 ○小西委員 それが反応的にできるのであれば、最終的に下げるのであれば、作業を増やすしかないです。10分間に限ることはないわけですから。 ○菅野委員 10分というのは、ミニマムを指定しただけだと思うのです。だから、15分でもよろしい。 ○小西委員 作業環境測定基準でいくと、10分でということを言っているわけではないです。作業環境測定というのは、必要時間を計算して、その定量下限として管理濃度の10分の1までちゃんとできるだけの空気量は取ってこいというのが基本ですから。それは、捕集空気量を増やせばいいわけです。ただし、なんでもかんでもやたら増やせばいいということではなく、粉じんなどの測定の場合はそれでいいのですが、化学反応などを利用する場合は、それ以上の反応はできないというのもあります。マックスボリュームが決まっているものもあるので、できる範囲で空気量を増やしてやればと思います。 ○櫻井座長 標準測定法は、いまここに出来上がって、これを使いますよというものは、まだないということになりますね。 ○菅野委員 ですから、これが一般的にもう長い間使われていると思いますので、これ以外の選択はあり得ないと思います。ただ、定量下限とかそういうものを、このままでいいかどうかということです。 ○小西委員 あとは、この前に出された「職域における屋内空気中のホルムアルデヒド濃度の測定方法」という形で、平成10年に出されたものの中には、分析法だとか、いまのガイドブックに書いてあるような内容が、既に全部書かれているのです。ですから、そこを見直しをしてやれば、いま言われた方法を採用していますから、問題がないのかなという気がします。アメリカのNIOSHの方法というのは、中のスペックを見ますと、日本のガイドブックというのは、捕集管とかのメーカー特定をしていないのです。アメリカの方法というのは、例えば機種の何番のものを使えとかという方法にしていますから、いま菅野先生が言われたように、違うメーカーのものを使うと違ってくるというのが必ず出てくるのです。 ○菅野委員 基本的には、この方法がいちばん感度が高い方法だと私も思いますが、やり方等については、また検討しなければなりません。 ○松村委員 センサーというお話がありましたが。 ○小西委員 それはいままで採用していませんが、先ほどの測定計測の指定の中で、新コスモス電機が入ってます。 ○田中委員 測定できるなら入れていいのではないですか。 ○菅野委員 センサーは、アルデヒドなら何でも感じると思います。そういう意味では、安全性能になります。 ○小西委員 おそらく、指定を受けるためには、これは申請をされて、メーカーだとか、フィールドデータなどもつけて、データをそのメーカーが提出しているはずなのです。我々はそのデータを持ち合わせていないものですから、そういうものが調べられれば、そういう問題もある程度調べられるのかもしれません。 ○櫻井座長 今回、この標準法プラスそういう機器を使う方法もきちんと示しますか。 ○菅野委員 たぶん、性能を示すデータが得られないと判定ができないと思うのですが、ホルムアルデヒドはほかのアルデヒドよりも規制値が低いわけです。そうしますと、妨害の問題が結構大きくなると思います。 ○櫻井座長 今の段階では、標準法だけきちんと示す。 ○岸係長 説明が漏れているものがございまして、参考資料-2「作業環境測定の関係法令」ということで、作業環境測定基準を中心に記載しているものなのですが、これの4頁以降が、特化物や有機溶剤などに関してのサンプリング方法と分析方法ということになり、こういう形で記載させていただいております。  また、2頁に戻りまして、第10条ということで、特化物の濃度の測定についての測定基準がありまして、第2項に検知管に関しての規定がありまして、「前項の規定にかかわらず、空気中の次に掲げる物の濃度の測定は、検知管方式による測定機器を用いる方法によることができる」と。ただし、妨害物質などがあった場合には、この限りではないということですので、こういう形で決めていただければありがたいですので、標準方法ということでしたら、例えば液体捕集方法、固体捕集方法による高速液体クロマトグラフ分析方法などという形で決めていただければありがたいです。 ○櫻井座長 当面、この形式を満たすような決定を望むということですね。 ○小西委員 いまのままでいきますと、先ほど言いましたセンサーは、この中に入りませんよね。改めて同等ですという形で示してもらわないと、それは通常の測定、65条の測定をしたことにならないわけです。ですから、今日の時点でセンサーを入れるかどうかわかりませんが、検知管はこの2項のところで読んでできると思いますので、検知管を入れていいと思います。しかし、センサーは今までに全然採用してないし、報告はないです。いま言われたように妨害物質の問題、あるいは、それだけを測るというセンサーというのは、具体的にはあまりないです。アルデヒドならアルデヒドをみんな感知してしまうとかということが多いです。 ○櫻井座長 安全側になる。 ○小西委員 確かに安全側にはなると思います。 ○松村委員 そういう意味では、検知管も同じです。ただ、検知管というのは、メーカーが構成して一定有効期限がありますが、あとの性能保証が、半年ごとの検量とかいろいろなことのルールを決めないといけないかもしれません。 ○小西委員 今すぐというのは、難しいかなという気がします。 ○櫻井座長 こういう時期を逃すと忘れてしまうことになるのです。 ○田中委員 特に大臣告示で入ってますから。 ○小西委員 ほかの所では使えるのに、何で使えないのだという話になってしまう。 ○中明委員 流れとしては、検知管にしてもセンサーにしても、すぐわかるというのが結構大事ですよ。 ○松村委員 要するに、酸素濃度計とかは、センサーです。 ○小西委員 そうです。 ○菅野委員 特定のものを測るセンサーがあるわけです。 ○松村委員 要するに、定電位電解法だから妨害はあるでしょう。 ○菅野委員 酸素の場合は違います。 ○松村委員 酸素はちょっと違うセンサーだと思いますが、有機化合物はどうですか。 ○菅野委員 無機化合物に関しては、特定のものを測るものがあると思うのです。ただ、有機化合物に関しては、特定のものを測るものは、たぶんないと思います。 ○櫻井座長 だけどそう言って、採用しないというのも、やっぱり損失が大きいと思うのです。当然、その妨害物質や共存物質のことは考える。 ○田中委員 入れる方向で考える。しかしながら重大な何か乗り越えられないバリアがあるときは、これは不採用ということになるのではないですか。 ○岸係長 先ほどの測定基準の第10条の第1項の中で、「これと同等以上の性能を有する分析方法」というような書かれ方もしていますので、これを例えば通達の中で明らかにするということもできると思います。 ○小西委員 それはいま結論は出ないので、今後調べて、それが同等という判断ができる材料が揃ってちゃんとできたときに、通達で、例えば「同等と扱います」というように。きちんと出さないと、見なすこととできませんので、それは出していただければよい。それが同等と見られないよということであれば、別に出す必要はないわけです。具体的に検討すると、メーカーがどのような形で出されたのかわからないので、私のほうでも調べてはみます。 ○中明委員 結構メーカーさんが、どういう手続の中でデータを出してきているのかということが大事だから、それを僕らもやっぱりちゃんとチェックしなければというと語弊があるけれども、そういう形にするのだったら、やはり使えるものは使ってもいいとは思うのです。だから、そういう意味では業者のほうでちゃんと資料を集めて、それでデータを出してもらえれば、そこで判断できるということだと思います。 ○櫻井座長 時間的なデッドライン的な時期は、どの辺りにありますか。 ○古屋副主任 いまの形ですと、別途通達等で示すということですので、それは先でも構いませんので、今回は、測定基準、告示として決めていただく分を、今日決めていただければと思います。測定の実施について、実際に義務がかかるのは1年後を予定しておりますので、そういった意味では、検討する時間はまだございます。測定基準としてどういう形にするか、今日決めていただければと思います。 ○櫻井座長 何をどこまで決めればいいのですか。別表1のところに入れるように、物質名、試料採取方法。 ○古屋副主任 参考資料-2の別表1のスタイルを決めていただければということです。 ○小西委員 基準でいくと、固体捕集方法で高速液体クロマトグラフ分析法という、組合せです。基準などは、そんな細かいことは入ってません。 ○櫻井座長 固体捕集方法で、それから分析方法は、高速液体クロマトグラフ分析方法とする。 ○小西委員 そうすると、測定基準の組合せになると思います。 ○菅野委員 厳密には、これは固体捕集方法ではないのです。ただ、そういう名前にしてあったかもしれませんが、実際は液体捕集に近いような捕集方法で。液体は使ってませんが、溶液に吸収させているわけです。 ○小西委員 本当は、定義からいくと液体捕集だが、測定基準の定義にどちらが合うかなのです。 ○中明委員 これでいくと、固体捕集みたいな感じになってしまうのではないですか。あえて固体捕集と液体捕集を入れておきますか。 ○菅野委員 液体捕集もフタノールではありませんけれども、塩酸にこの発色剤を入れて、バブリングさせるというのもあります。 ○松村委員 でも、これは要するに液相をコーティングしてあるということでしょう。 ○菅野委員 歴史的に固体捕集というふうに表現されているので。 ○小西委員 フィルターで使うけれど、ろ過捕集ではないというのがありました。 ○中明委員 気になるなら液体捕集方法も入れておけばいい。 ○櫻井座長 「液体捕集方法又は固体捕集方法」としますか。 ○菅野委員 液体捕集はないわけではないのですが、サンプラーを自前で作るとコンタミネーションの問題があって、実際には使い物になるものができないと思いますので、逆に入れないほうがいいと思います。 ○櫻井座長 わかりました。固体捕集方法、それから高速液体クロマトグラフ。それと、さっきの検知管のところは追加ですか。 ○岸係長 追加でよろしいですか。 ○櫻井座長 そのように決定させていただきます。 ○岸係長 下にありますそのAHMT法、これは考えなくてもよろしいのですか。 ○小西委員 いいのではないかと思います。 ○岸係長 そうしましたら、固体捕集方法で液体クロマトグラフ分析方法という形とさせていただきたいと思います。 ○中明委員 Xposureというのは、何ですか。 ○菅野委員 商品名です。ただ、ここはサンプラーの1行目に「2,4-ジニトロフェニルヒドラジン含浸シリカゲル」と書いてあります。それで大丈夫だと思います。 ○松村委員 ガス分析計というか、センサーはどうするのですか。もし、入れるとすれば、検知管みたいに別にガス分析計として入れなければいけないかもしれない。 ○小西委員 測定基準には、そこまで入ってないのです。測定基準は、方法と分析法の名称だけですから。それでいいのです。あとで、ガイドブックとか作るときは、それを全部入れなければいけないと思います。ガスセンサーは、検知管と同等以上、2項のところの同等というところで問うしかないだろうと思います。 ○櫻井座長 進行状況が少し遅れておりまして、申し訳ございません。まだ、1つございまして、(4)「硫酸ジエチル、1,3-ブタジエンの局排性能の決定」ということですが、説明をお願いします。 ○岸係長 これにつきましては、資料番号-10と参考資料-3をご覧いただきたいと思います。まずは、硫酸ジエチルの基本的データについて、ご説明いたします。資料番号-10の28頁をご覧ください。硫酸ジエチルは、無色の液体で、沸点は209度です。主な有害性の評価につきましては、発がん性としてはIARCが2Aとなっております。許容濃度の設定は行われておりません。ACGIH、日本産衛学会の提案理由書については、資料番号-12に掲載しております。  続いて、1,3-ブタジエンの基本的データをご説明いたします。資料番号-10の20頁をご覧ください。1,3-ブタジエンは、無色の気体で沸点は-4度です。主な有害性の評価は、発がん性としてはIARCが2Aになっております。許容濃度等の設定につきましては、ACGIHが、TLV-TWAとして2ppmを提案しています。ACGIHの提案理由書につきましては、資料番号-12に掲載しております。  硫酸ジエチル、1,3-ブタジエンは、ともに発散するときはガス状の物質であり、管理濃度が設定されていない物質です。先ほどからの説明にありましたとおり、管理濃度を定めていないものにつきましては、制御風速を定めているところであり、告示におきましては、ガス状物質については、0.5m/secとなっているところです。  以上の状況から、硫酸ジエチル、1,3-ブタジエンの制御風速をご審議いただきたいと思います。 ○櫻井座長 いかがでしょうか。ガス状なので、従来からの決定の状況を踏襲すると0.5m/secということになりますが。 ○菅野委員 これは、具体的には噴出するというようなことはないと考えてよろしいのでしょうか。つまり、1気圧以上の蒸気圧ですか。 ○櫻井座長 ボンベのはなしですか。 ○菅野委員 蒸気圧が245kPaぐらいあるわけです。 ○櫻井座長 液化ガスで、高い。 ○菅野委員 ガスですので、蒸気の場合は噴出するというようなことは、考えなくてもいいと思うのですが、つまりバルブから勢い良く出るということがあるかどうか。 ○松村委員 それは作業環境のばく露基準とは別ではないのですか。 ○菅野委員 別ならいいのですが、そういう実態がなければ。 ○松村委員 ただ、定常的な作業で、例えば重合釜などを開けたときに、パッと出るとか、そういうときにどういう作業があるかわからないのですが、装置の破壊や破裂や噴出とかいう突発事故のことは、ちょっと作業環境のときは考えなくていいのではないですか。 ○菅野委員 例えば反応釜が高圧になっているということは、開けることにはないということでしたら。 ○松村委員 どこまでどういうふうに密閉されているのか分からないのですが、特化物は、大体密閉できるものは密閉するようにと書いてあるのですが、バッチ式のものはどうしても反応釜の蓋を開けることがあります。 ○菅野委員 実際に高圧のままで開けるということは、あり得ないと思いますが。 ○櫻井座長 そういうことは、当然あるのですが、当面、抑制の局排の性能としての制御風速としては、0.5でよろしいですね。そのように決めさせていただきます。 ○田中委員 制御風速で、できるだけやったほうがいいと思います。 ○櫻井座長 これで、大体今日の課題は終了したかと思います。 ○岸係長 次回の会合につきましては、11月ごろを予定しているのですが、また、日程調整につきましては、メールないしファックスでご案内させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○櫻井座長 では、今日はどうもありがとうございました。             照会先: 労働基準局安全衛生部労働衛生課                            環境改善室                電話03-5253-1111(内線5501)