07/08/07 平成19年度第4回目安に関する小委員会議事録          平成19年度 第4回目安に関する小委員会議事録          1 日 時  平成19年8月7日(火)16:00〜 2 場 所  厚生労働省第二共済組合宿泊所茜荘 3 出席者   【委員】 公益委員  今野委員長、石岡委員、勝委員、藤村委員   労働者委員 勝尾委員、加藤委員、田村委員、中野委員        使用者委員 池田委員、川本委員、原川委員、横山委員   【事務局】厚生労働省 氏兼勤労者生活部長、前田勤労者生活課長、              植松主任中央賃金指導官、吉田副主任中央賃金指導官、              吉田課長補佐 4 議事内容 (第1回全体会議) ○今野委員長  それではただ今より第4回の目安小委員会を開催いたします。前回の小委員会において は、目安を取りまとめるべく努力したところですが、労使の見解に隔たりが大きく、今回 に持ち越したところです。目安のとりまとめに向けて再考をお願いしております。本日は ぜひ目安を取りまとめたいと思っておりますので、労使各側の一層の歩み寄りをお願いい たします。  これまでの労使の御主張は、労側が50円、使側が5円に若干のプラス。それでは労使各 側から、追加されたい主張とか御意見についてお伺いしたいと思います。では使側から。 ○川本委員  私ども使用者側としてですね、意見の統一ができていないという現状があります。そう いう中ではありますけれども、5プラスαというところについて検討していきたい、つまり 配意をしまして、今年に限っては、従来重視をしてまいりました賃金改定状況調査、いわ ゆる第4表になりますけれども、そのままであれば5円となるということですが、それに はこだわらず、プラスαというものの中身について議論してまいりたいと思っております。 また、αにつきましては、地域の実態を踏まえて、A,B,C,Dで傾斜をつけるということを考 えていただきたいと思います。 ○今野委員長  他にございますか。 ○池田委員  私どものスタンスとして、これまでお話申し上げておりますとおり、生産性の向上とそ れに対する政策というものが先にないと、最低賃金の引上げというのは受け入れることは できない。私どもとしてはそのように思っております。 ○原川委員  今、川本委員がおっしゃいましたように、5プラスαについて議論していきたいと思いま すけれども、その際には、地域の、これまで申し上げてきましたような厳しい経営環境と いうものを十分斟酌して議論していただきたい。私ども、前回から持ち帰りまして、また 再度地方の意見も聞きましたけれども、やはりですね、どのランクでも、平均10円以上で は対応できないという、強い意見が大勢を占めておりました。そういった点、十分御配慮 いただきたいという風に思います。 ○今野委員長  他にございますでしょうか。よろしいですか。それでは労側の方お願いします。 ○加藤委員  使用者側の方から御意見がありましたが、私どもとしても、目安の諮問のときから50円 という主張をしてまいりまして、その趣旨は繰り返す必要はないと思いますし、その考え 方というものは変わるわけではありません。しかし、50円というのにこだわらず、円卓会 議の合意を踏まえながら、最低賃金水準の改善を図るという立場で、目安をまとめる方向 で議論していきたいと考えております。 ○今野委員長  他にいかがでしょうか。よろしいですか。どうぞ。 ○中野委員  私も加藤委員と同じ立場で本日の審議に参加をしていきたいと思います。ただ、申し上 げておきたいのは、地方においてもそれから本部レベルでも、今年の目安の審議について は非常に期待が高い。というのが、時間がたつにつれてひしひしと感じておりますので、 その意味では「底上げ」という円卓会議の趣旨を十分に斟酌をしていただきまして、御審 議をお願いしたいという風に思います。 ○今野委員長  それでは他にございますか。全体会議で詰めていくのはなかなか難しいと思いますので、 この後、公労、公使の会議により、個別に意見をお伺いしながら調整していきたいと思い ますがいかがでしょうか。 (異議なし) ○今野委員長  それでは、順番ですけれども、公使からということでよろしいでしょうか。では公使か ら最初にうかがいたいと思います。会場の準備がありますので、控室でお待ちいただきた いと思います。それでは第1回の全体会議を終わります。 (第2回全体会議) ○今野委員長  それでは、事務局から読み上げてください。 ○吉田副主任中央賃金指導官  読み上げます。平成19年度地域別最低賃金額改定の目安に関する公益委員見解。  1、平成19年度地域別最低賃金額改定の引上げ額の目安は、次の表に掲げる金額とする。 平成19年度地域別最低賃金額改定の引上げ額の目安。A 千葉、東京、神奈川、愛知、 大阪19円。B 栃木、埼玉、富山、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島14円。C 北海道、宮城、福島、茨城、群馬、新潟、石川、福井、山梨、岐阜、奈良、和歌山、岡山、 山口、香川、福岡 9〜10円。D 青森、岩手、秋田、山形、鳥取、島根、徳島、愛媛、高 知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄 6〜7円。  2(1) 目安小委員会は本年の目安審議に当たっては、平成16年12月15日に中央最低 賃金審議会において了承された「中央最低賃金審議会目安制度のあり方に関する全員協議 会報告」を踏まえ、特に地方最低賃金審議会における合理的な自主性発揮が確保できるよ う整備充実に努めてきた資料を基にするとともに、「現下の最低賃金を取り巻く状況を踏ま え、成長力底上げ戦略推進円卓会議における賃金の底上げに関する議論にも配意した」調 査審議が求められたことに特段の配慮をした上で、諸般の事情を総合的に勘案して審議し てきたところである。  目安小委員会の公益委員としては、地方最低賃金審議会においては最低賃金の審議に際 し、上記資料を活用されることを希望する。  (2) 目安小委員会の公益委員としては、中央最低賃金審議会が本年度の地方最低賃金審 議会の審議の結果を重大な関心をもって見守ることを要望する。  以上です。 ○今野委員長  ありがとうございました。公益委員といたしましては、これを審議会に示したいと思っ ています。よろしゅうございますでしょうか。 ○池田委員  商工会議所の立場としましては、今回の公益見解は大幅な値上げとなっており、これほ どの大幅な値上げを目安として提示することにつきましては反対いたします。 ○今野委員長  他の方いかがですか。 ○田村委員  個人的ということになりますけれども、我々が主張していたのは、やはり全体的な企業 行動が人件費の抑制を進めて、低賃金層が増大してきた。そのことを何とか是正したい。 こういう思いがあるということを主張してきた。格差の拡大に歯止めをかけ、低賃金の労 働者の底上げを図りたい、そういう議論に資するための最低賃金の目安を今回議論するは ずだった。こんな具合に思っておりますので、それをみれば公益見解がその目的を達成で きたのかということについては疑義があるということを申し上げたい。 ○今野委員長  確認をさせていただきたいのですが、私としては審議会に示したいと思っておりまして、 今池田委員のおっしゃられたことは、示すということに反対であるという意図でしょうか。 ○池田委員  はい。 ○今野委員長  田村委員については、そういうよりは心配事がある、という意味で。 ○田村委員  そういった意味では金額的に問題があるので、立場でどうかと言われると反対の立場と いうことです。 ○今野委員長  他の方はよろしゅうございますでしょうか。 ○川本委員  池田委員は反対の立場を示されましたが、公益委員の方から示された見解につきまして は、実態を踏まえる必要があるということはるる申し上げてきましたけれども、十分に反 映されてはおりません。しかしながら、今回公益委員見解を示すということつきましては、 反対はしないということでございます。 ○加藤委員  労働側におきましても、これまで労働者側の考え方を主張してきたわけでありまして、 その考え方とは内容的にも隔たりがあるもので満足できる内容ではありませんけれども、 公益委員見解として報告するということについては、反対はいたしません。 ○今野委員長  それでは、全体としては御了解いただいたということにさせていただきます。次に小委 員会報告ですが、今お2人から反対が出されましたので、一部修正しなければいけない。 少し休憩させていただいて、その文面を修正してからもう一度お集まりいただくというこ とにさせていただきたい。それでは、休憩ということでお願いします。 (休憩) ○今野委員長  それでは、よろしくお願いします。 ○吉田副主任中央賃金指導官  それでは読み上げます。  中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告。平成19年8月7日。  1、はじめに。平成19年度の地域別最低賃金額改定の目安については、中央最低賃金審 議会に対して「現下の最低賃金を取り巻く状況を踏まえ、成長力底上げ戦略推進円卓会議 における賃金の底上げに関する議論にも配意した」調査審議を求める諮問がなされた中で、 累次にわたり会議を開催し、目安額の提示の是非やその根拠等についてそれぞれ真摯な議 論が展開されるなど、十分審議を尽くしたところである。  2、労働者側見解。労働者側委員は、成長力底上げ戦略推進円卓会議における合意に「従 来の考え方の単なる延長線上ではなく、雇用に及ぼす影響や中小零細企業の状況にも留意 しながら、パートタイム労働者や派遣労働者を含めた働く人の「賃金の底上げ」を図る趣 旨に沿った引上げが図られるよう十分審議されるように要望する」とあることを重く受け とめ、セーフティネットとしての機能が発揮できるようにしなければならないと主張した。 高卒初任給の水準あるいは一般労働者の平均賃金の50%の水準は、時間給換算で900円を 上回るものであり、また、連合が行っているマーケットバスケット方式による最低生計費 の水準に見合う時間給は法定労働時間働いた場合で850円となるところであり、中期的な 引上げを展望して、今年度については、平均的にみて50円程度の引上げを図るべきと主張 した。  また、影響率が年々低下していることも、問題視してきたところであり、現在の1.5%程 度ではほとんど社会的存在価値がないと指摘するとともに、生計費、各種賃金指標の現行 水準、環境の変化等の動向を踏まえ、中央最低賃金審議会に対する諮問の内容、成長力底 上げ戦略推進円卓会議の合意内容の趣旨を踏まえ、働く人の賃金の底上げを図るとともに、 最低賃金水準の抜本的な引上げを行うよう最後まで強く主張した。  3、使用者側見解。使用者側委員は、日本経済は回復基調にあるが、地域間、産業間、 さらに同じ業種においても企業間で景況感、業況に大きなばらつきがみられると主張した。 日銀の「地域経済報告」等でみても、経済が拡大しているのは一部の地域に限られ、有効 求人倍率や失業率に地域間で相違がみられると指摘した。 また、全体として利益率が上昇している中で資本金1億円以上の企業とそれ以外との間で の利益率の差が拡大しており、原油を始めとした原材料価格が上昇する一方で、仕入れ価 格を販売価格へ転嫁できないことから、中小零細企業の経営は厳しい状況にあること、さ らには倒産件数が増加していることを指摘した。  さらに、国際経済情勢、為替や株価の動向、グローバル化、ICT化の中で、中小企業 においては、先行きに不透明感・不安感が強いと主張した。  加えて、賃金改定状況調査の第1表等において、賃金改定を凍結し、又は引下げを実施 した事業所を合計すると半数を超えている状況にあり、こうした企業の支払能力の実態に 配慮することが必要であると主張した。  以上の点を踏まえれば、今年度の目安審議については、中央最低賃金審議会に対する異 例の諮問の内容を踏まえることはやむを得ないとしても、中小零細企業の厳しい実態や地 域間の多様性などを認識した上で、企業の存続や雇用に及ぼす影響を十分考慮することが 必要である。したがって、今年度の目安は賃金改定状況調査の第4表の数値をベースに議 論すべきであり、大幅な引上げは適当でないと最後まで強く主張した。  4、意見の不一致。本小委員会としては、これらの意見を踏まえ目安を取りまとめるべ く努めたところであるが、労使の意見の隔たりが大きく、遺憾ながら目安を定めるに至ら なかった。  5、公益委員見解及びこれに対する労使の意見。今年度の目安審議については、公益委 員としては、これまでの中央最低賃金審議会における審議を尊重しつつ、「現下の最低賃金 を取り巻く状況を踏まえ、成長力底上げ戦略推進円卓会議における賃金の底上げに関する 議論にも配意した」調査審議が求められたことに特段の配慮をした上で、上記の労使の小 規模企業の経営実態等への配慮及びそこに働く労働者の労働条件の改善の必要性に関する 意見等にも表れた諸般の事情を総合的に勘案し、公益委員による見解を下記1のとおり取 りまとめた。  今年度の目安額の算定については、賃金改定状況調査結果を重要な参考資料とする(仮 に、同調査の賃金上昇率0.7%により各ランク同率の引上げを行うとすれば、Aランク5円、 Bランク5円、Cランク5円、Dランク4円となる。)とともに、地域別最低賃金と実際の賃 金分布との関係にも配慮しつつ、様々な要素を総合的に勘案したものである。なお、Cラン ク及びDランクについては、同一ランク内においても、地域によって経済実態に相違があ ることを考慮し、本年度の目安審議における特殊事情も踏まえ、目安額をゾーンで示すこ ととしたものである。  本小委員会としては、地方最低賃金審議会における円滑な審議に資するため、下記1を 公益委員見解として同審議会に示すよう総会に報告することとした。  また、同審議会の自主性発揮及び審議の際の留意点に関し、下記2のとおり示し、併せ て総会に報告することとした。  なお、下記1の公益委員見解については、労使双方ともそれぞれ主張と離れた内容とな っているとし、不満の意を表明した。また、労働者側の一部及び使用者側の一部は、下記 1の公益委員見解を地方最低賃金審議会に示すよう総会に報告することは適当でないとの 意見を表明した。  さらに、本小委員会としては、政府が労働生産性の向上に向け、「中小企業生産性向上プ ロジェクト」の施策の具体的な実施に全力をあげて取り組むことを要望する。 「記」以下は、先ほどの公益委員見解と同様でございますので読み上げを省略いたします。 以上です。 ○今野委員長  ありがとうございました。この案を小委員会報告としたいと思うのですが、よろしゅう ございますでしょうか。 (異議なし) ○今野委員長  それでは、8月10日の審議会に私から報告することとしたいと思います。また、目安審 議に用いた資料については事務局より地方最低賃金審議会において活用できるよう送付し ていただくということになっていますが、その辺はどのようになっていますか。 ○吉田副主任中央賃金指導官  目安小委員会で使用した資料は、すべて都道府県労働局に送付しております。 ○今野委員長  それでは他に何かございますでしょうか。よろしゅうございますか。それでは以上をも ちまして、本日の小委員会を終了したいと思います。議事録の署名ですが、勝尾委員と池 田委員にお願いしますのでよろしくお願いします。では、大変御苦労様でした。ありがと うございました。                  【本件お問い合わせ先】                  厚生労働省労働基準局勤労者生活部                   勤労者生活課最低賃金係 電話:03−5253−1111(内線5532)