07/08/06 独立行政法人評価委員会年金部会議事録掲載 第14回 独立行政法人評価委員会 年金部会 日時 平成19年8月6日(月)13:00〜 場所 厚生労働省省議室(9階) ○部会長  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第14回独立行政法人評価委員会年 金部会を開催させていただきます。委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まり をいただきまして、誠にありがとうございます。  本日は、光多先生がちょっと遅れておられますが、全委員が御出席の予定でございま す。また、先般7月20日に開催されました、委員改選後の初の年金部会について御欠 席をされておりました佐野委員が、本日は御出席いただいておりますので、御紹介をさ せていただきます。佐野慶子委員でございます。再任でございまして、引き続き財務諸 表等会計に関して御担当いただきます。 ○佐野委員  よろしくお願いいたします。 ○部会長  それでは、事務局から本日の議事について簡単に説明願います。 ○政策評価官室長補佐  それでは、本日の議事につきまして御説明申し上げます。本日は、「年金積立金管理運 用独立行政法人の平成18年度個別評価」について御審議をいただくこととなっており ます。  以上でございます。 ○部会長  それでは、これより実際の評価に移りますが、最初に事務局の方から参考資料につい ての説明がございます。 ○政策評価官室長補佐  それでは、参考資料につきまして御説明させていただきます。お手元に参考1〜4と いう資料がございます。こちらをご覧いただきたいと思います。よろしゅうございます でしょうか。  まず、参考1でございます。これにつきましては、「年金積立金管理運用独立行政法人 の役職員の報酬・給与等について」というものでございます。いわゆるラスパイレス指 数というものでございます。ここでは当該法人の報酬・給与につきまして、国家公務員 との比較、それから他の独立行政法人との比較を示したものでございます。詳細につき ましては、後ほど法人から御説明申し上げたいと思います。  次に参考2でございます。こちらにつきましては、当該法人の随意契約の状況を示し たものでございます。1ページおめくりいただきたいと思いますが、2ページ目でござ います。随意契約によることができる限度額についてでございますが、当該法人につき ましても、国の限度額と合わせて改定をしているところでございまして、右側の欄でご ざいますが、基準につきましてはホームページ等での公表を行っているということでご ざいます。こちらにつきましては全法人が同様にやっているところでございます。  続きまして、参考3でございます。こちらにつきましては、「厚生労働省の所管する独 立行政法人の業務・システム最適化の状況」をあらわしたものでございます。詳細につ きましては、法人から御説明をお願いしたいと思います。  以上でございます。 ○部会長  それでは、参考1、参考2及び参考4に関しまして、法人からポイントを中心に5分 程度で御説明をお願いいたします。 ○年金積立金管理運用独立行政法人企画部長  企画部長でございます。よろしくお願いいたします。それでは、まず参考1の当法人 の役職員の報酬・給与等について御説明を申し上げたいと思います。  早速ですが1ページをご覧いただければと思います。1の(1)といたしまして、役員報 酬についての業績反映のさせ方というところでございます。特別手当につきまして、業 績の結果等により増減可能でございますが、当法人は御案内のとおり平成18年度の設 立ということで、まだ反映は行っておりません。また、1の(2)につきましてでございま すが、平成18年度は行っておりませんけれども、本年10月を目処に引き下げを予定し ているところでございます。  2として、役員の報酬等の支給状況につきましては、記載のとおりでございますが、 国の地域手当に相当する特別調整手当は、当法人は12%でございます。  次に2ページをご覧ください。3の役員の退職手当の支給状況につきましては、該当 者なしでございます。  次に3ページをご覧ください。職員の給与についてでございます。1の(1)といたしま して、人件費管理の基本方針でございますが、当法人の場合、中期計画期間中の4年間 で4%以上の削減を行うこととしております。また、勤務実績の給与等への反映、昇給 幅を抑制した俸給表の改正を柱といたします給与改正案を策定しており、平成19年10 月を目処に実施する予定としております。  (2)のアといたしまして、給与水準の決定に際しての考慮事項とその考え方でございま すが、国の給与制度、社会一般の情勢及び中期計画に定める人件費の見積もりを考慮し て決定することとしております。(2)のイといたしまして、職員の勤務成績の給与への反 映方法についての考え方でございますが、勤務成績の適正な評価、勤労意欲の向上を図 るために、給与等の処遇で報いることとしております。(2)のウといたしまして、給与制 度の主な改正点でございますが、扶養手当、非管理職の賞与について改定をしておりま す。  次の2の(1)といたしまして、職種別支給状況につきましては記載のとおりでございま す。  次に4ページをご覧ください。2の(2)の年間給与の分布状況につきましては、年齢が 上がるにつれて国と乖離しているのがお分かりいただけるかと思います。これも国に準 じまして、平成19年度の給与改正案により上昇カーブの抑制を図ることとしておりま す。  次に5ページをご覧ください。2の(3)といたしまして、職級別在職状況等については 記載のとおりでございますが、これも本年度の給与改正案におきまして、9級制から5 級制にすることとしております。  次に6ページをご覧ください。2の(4)といたしまして、賞与における査定部分の比率 でございますが、期末手当、勤勉手当の割合につきまして、管理職員のうち部長クラス につきましては、勤務成績が大きく反映されるよう勤勉手当の割合を高くしております ことの他、計算の基礎に扶養手当を含む期末手当と含まない勤勉手当とで割合が異なっ ております。  2の(5)といたしまして、他との比較指標が出てございますが、対国家公務員で118.8、 対他法人で111.0となっております。しかしながら、当法人は大卒者の割合が多いとい うことと、勤務地が東京23区の1カ所であることもございまして、地域別・学歴別の もので比較いたしますと、下の方の102.3というような数字になるということで、大き な差ではないのではないかと考えております。  次に7ページをご覧ください。総人件費についてでございます。(A)欄の支給総額に つきましてでございますが、平成18年度は早期退職者の不補充、あるいは職員の採用 を年度後半に実施したことにより、かなり抑制をされましたが、本年度は支給が満年度 化となるため、上昇するものと見込んでいます。  次に、お手元にあります参考2の「随意契約等の状況」の資料でございます。この資 料は、予定価格が100万円を超える役務の提供等について整理したもので、記載のとお りとなっているところでございます。ちなみに一般競争入札につきましては、資料に記 載しておりませんが、予定価格が100万円以下の案件が、平成17事業年度の3回から 平成18事業年度は7回まで拡大しましたことを参考までに申し添えておきたいと思い ます。また、随意契約に関しましても記載してはおりませんが、随意契約の中の企画競 争による契約が、平成17事業年度は1件でございましたが、平成18事業年度は7件ま で拡大しており、本年度におきましては、更に前年度を上回る件数の企画競争による契 約を見込んでおります。  次に2ページをご覧ください。2の随意契約によることができる限度額でございます が、表中の一番下の段に当法人が出ておりますとおり、国の限度額と同額になっている ところでございます。  次にお手元にあります参考4、「年金積立金管理運用業務の業務・システム最適化計画 の概要」という資料でございます。最初は、計画策定に至る経緯等とあわせまして、ご く簡単にその概要について記載をさせていただいております。これは後ほどご覧いただ ければと思います。  下から4分の1ぐらいのところから「計画の概要」という箇所がございます。まず対 象範囲でございますが、資産構成割合の策定・管理、運用受託機関等の選定・管理、自 家運用の実施を初めといたします当法人の業務及びこれらの処理を支援するシステムを 対象としているところでございます。  次に実施内容等につきましては、「業務の質の向上」「業務の効率化」を基本理念とい たしまして、具体的には次のページの5項目、(1)〜(5)の施策に取り組むものでございま す。  次のページでございますが、まず(1)のデータ受領方法の改善でございます。これは資 産管理機関等からのデータ受領のネットワーク化を図ります。あるいは、日次基準の速 報データの受領等により、業務効率の向上を図ると同時に、セキュリティー対策を通し まして安全性を強化するというものでございます。  (2)といたしまして、データ標準化作業の効率化でございます。これは資産管理機関等 からの受領データの標準化作業、すなわちデータのクレンジングでございますが、これ の外部委託、あるいは受領データの仕様の統一等により、業務の効率化を図るというも のでございます。  (3)データの一元管理等による情報利用の高度化でございますが、これは運用データ、 更には市場情報データのデータベースへの蓄積を一元化し、検索機能の利便性の向上と あわせ業務の効率化を図るというものでございます。  (4)経理業務との情報交換の強化でございます。これは経理業務に必要な管理・運用業 務データのデータベースへの蓄積及び出力機能の設定により、業務の効率化を図るとい うものでございます。  最後に(5)現行基幹システムの再構築でございます。これはシステムのライフサイクル を勘案の上、処理能力不足等の課題の解消及び業務最適化達成のため、現行基幹システ ムの再構築を図るというものでございます。なお、最適化に係る費用等に関しましては、 コスト低減の観点等から入札による調達を予定しております。本計画の実施により年間 で約37百万円の経費削減を見込んでいるところでございます。  最後に今後のスケジュールでございますが、平成21事業年度の稼働を目指しており ます。  3ページ以降の資料につきましては、本計画の本文を添付させていただいております。 後ほど御参照いただければと思います。  以上でございます。 ○部会長  ただいまの内容につきまして、御質問、御意見等がございましたらお願いをいたしま す。はい、佐野委員。 ○佐野委員  参考1の1ページについて確認をさせていただきたいと思います。2番の役員報酬の 一覧の中で、常勤監事がいる場合の非常勤監事の報酬について、他の独法と比べてどれ ぐらいの多寡を占めているのか。それから、この非常勤監事の業務実績はどういった程 度なのかについて何か資料があるか。もしくは口頭で御説明いただければと存じます。 ○年金積立金管理運用独立行政法人理事長  非常勤監事は、週に1回の出勤ということでございます。それから、非常勤監事の報 酬につきましては、手元に資料がございませんが、これを決めるときに他の独法等の非 常勤監事の報酬を参考にしながら決めております。 ○佐野委員  常勤監事がいる場合の非常勤監事の報酬を、独法で横並びといいますか、一覧にした ような資料は、厚生労働省はお持ちなのでしょうか。 ○政策評価官  また所管法人を調べて一覧にして御提出申し上げたいと思います。 ○部会長  他に御質問は。はい、川北委員。 ○部会長代理  1点だけお教えいただきたいのですが、基本的には職員の給与の引き下げということ ですけれども、資産運用業界に関しましては人材の高度化、それから証券会社や銀行な どの人材の獲得ということがすごく盛んに行われていて、給与をカットすることが必ず しも最適な職務にはならない可能性があると思います。そういう意味では優秀な人材を 獲得することによって、給与は多少上がるかも分からないけれども、逆に資産運用が効 率化して、パフォーマンスが向上するということもあり得ると思いますが、このあたり をどのようにお考えなのかということを教えていただければありがたいのですが。 ○年金積立金管理運用独立行政法人理事長  後ほど申し上げようかと思っていたのですが、そういうジレンマがございます。例え ば私どもが民間から中途採用を行ったときにも、非常にいい人だと思いこちらの条件を 提示すると、「結構です」というような話になりました。今の経費の節減目標というのが、 独立行政法人一般について、例外なく網がかかるという形になっておりますので、私ど もとしては多少その辺の例外的な扱いというものができるのかどうか分かりませんが、 そういうジレンマを抱えながら行っていくしかないのかなと思っているところでござい ます。 ○部会長  他に御意見、御質問等は。よろしいですか。  それでは、これから個別評価に入りたいと思います。まず、年金積立金管理運用独立 行政法人の川瀬理事長から、平成18年度の重点事項について御説明をいただきまして、 引き続き平成18年度の法人業務について、年金積立金管理運用独立行政法人の方から 御説明をお願いしたいと思います。 ○年金積立金管理運用独立行政法人理事長  理事長の川瀬でございます。どうぞよろしくお願いいたします。着席してお話をさせ ていただきます。  私どもの法人は昨年4月に独立行政法人として発足いたしましたので、今回初めて評 価委員会の評価をいただくことになります。初めてのことでございますので、資料の作 成、説明等行き届かない点もあろうかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。  平成18事業年度の業務実績につきましては、評価の視点に沿って後ほど部長から詳 しく説明いたしますが、最初に私から独法以降初年度の課題をどのように考えていたの か、それに対してどういうことをやってきたのかという点につきまして、後ほどの説明 との重複を避け主要な事項のみになりますが、組織運営、運用管理の2つに分けて簡単 にお話をさせていただきたいと思います。  まず組織運営面でございます。特殊法人から独立行政法人に移行することに伴って、 厚生労働省との関係、法人の権限・責任のあり方が変わってくるわけですので、その変 化に対応して、それにふさわしい組織をどう作り上げていくかということが最大の課題 でありました。従来の特殊法人の時代をやや単純化して言えば、基本的に決められたこ とに沿って業務を執行するための組織であったといえると思いますが、これを自ら企画 し、かつそれを実行する、いわば企画及び執行組織に転換しなければならないというこ とでございます。私どもの運用規模は大変なスピードで増加をしてきましたので、いつ までも前例どおりということにもまいりません。また世界に例を見ない規模になります ので、海外も含めて横並びで考えることにも限界がございます。まさに自分たちでマー ケットや運用受託機関の声に耳を傾け、専門家、有識者の意見を参考にしながら、考え、 実行していくようにならなければならないと考えました。  そうは言いましても、業務も、また職員も、ともに前身組織から引き継ぐものであり ますので、制度的な枠組みが変わったからといって、それで自然に組織の体質が変わる ということにはなりません。このような組織に変えていくためには、いろいろな方策を とる必要があり、まず、自らの専門性を高めていく必要があります。例えば専門性の高 い民間で運用経験のある人材を採用してきましたし、またスタッフの専門性引き上げを 目的として、外部専門家による勉強会の開催や、大学院受講補助制度の導入など、研修 育成プログラムの充実を図ってまいりました。同時に仕事の進め方も変えてまいりまし た。従来の理事会決定という、ややもすれば形式的なものになりがちな方式を改めて、 組織内の方針決定に至る議論をなるべくオープンにする。そのことによって職員の施策 への理解を深めさせるとともに、組織の意思決定の参加意識を高めるように努めてまい りました。また、平成19事業年度にずれ込んだことでありますが、業務と人材を多数 の小さな区画に分割していた係制を廃止しました。これは柔軟でより効率的な組織にし ていくことを狙いとしたものですが、同時にこれによって各人が狭い担当分野を超えて、 知識・関心を広げる効果も期待しています。  このような組織づくりというのは、何よりも職員一人一人のマインドセットの転換、 それを通じての組織カルチャーの転換ということですから、何かやり方を変えれば一夜 にして実現するという性格のものではありません。しかし、最近の組織内での議論の広 がり、活性化を見ていますと、そういう転換に向かって確実に動き始めているのではな いかという手応えを感じております。  組織運営面でのもう一つの課題は、運用委員会との望ましい関係を築いていくという ことです。運用委員会は基本的には管理運用業務に関するアドバイザリー機能及び監視 機能を担う委員会として、独法移行時に設置されたものでありますが、監視という機能 は必ずしもなじみのある概念でありませんでしたので、委員会、私ども双方ともに距離 感のとり方で当初戸惑うところが正直なかったわけではありません。しかし、実績を重 ねるうちに、委員会での審議事項、報告事項の持ち出し方も定着してまいり、制度の目 指す方向、すなわち我々が独りよがりに陥るのではなくて、運用専門家、有識者の意見 を聞き、チェックを受けながら各方面からの批判に耐えられるような運用を行っていく という方向に、うまく回転し始めたように感じています。この委員会の事務局を担うと いう仕事は、人員にゆとりのない私どもにとってかなりの負担ではありますが、副次的 な効果として、委員会への議題の持ち出し方を考える、その過程で委員方と意見交換を 行う、そういうことを通じて、どうしても自分の頭で考えざるを得なくなります。そし て、このことが先に申し上げた組織の転換に非常に大きな効果を持ってきていると考え ています。  次に運用業務面についてであります。運用面の課題は大くくりな言い方をすれば、第 1に年金財政の経済前提、目標収益率等を踏まえて、基本ポートフォリオ及び移行ポー トフォリオを策定し、それに基づき管理運用を行っていくこと。第2にその枠組みの中 で運用委託先の効率的な管理を行いながら、運用資産のリスク・リターンの改善を図る ということであります。この点は従来から変わらない課題であり、独法初年度において も従来のいわば連続線上で、後ほど説明いたしますとおり色々改善を積み重ねてきたわ けですが、平成18事業年度における大きな達成事項の一つは、リスク管理面での改善 であると考えています。ポートフォリオ全体のリスク、各資産のリスク、個別資産等の リスク、それぞれの段階でどういうリスクをウオッチし、問題があればどう管理するの かという点を整理し、それを担当者レベルだけでなく、組織全体に報告し共有する仕組 みができたということは、大きな進歩であると自己評価をしております。  また、リスク管理の精緻化のためには、タイムリーなデータの入手と分析が不可欠で ありますが、この点は残念ながら現在の業務システム機能が必ずしも十分ではありませ ん。この面の改善に向けて、システム担当チームを強化し、その結果、予定よりも早く システム最適化の実施に向けて動き出したことも、大きな成果だと考えております。  平成18事業年度の主たる課題と実績については以上でございますが、この評価委員 会に向けて自己点検を行っていく中で、個別の評価ポイントへの対応はともかくとして、 全体として見ると整合的でないと感じた部分があるので、最後にその点を2つほど申し 上げさせていただきたいと思います。  一つは、先ほど話に出ました、専門性を高めるために処遇面に十分配慮しながら民間 から人材を採用するということと、人員、経費の削減という2つの目標の整合性でござ います。経費は一般管理費及びその内数としての人件費、それぞれについて削減目標が ありますが、私どもの場合、一般管理費の75%が人件費ですので一般管理費の目標達成 のためには、人件費について、この削減目標の2倍くらいの削減を行わなければならな い計算になります。こうした制約の中で、民間からの人材採用を続けることは、特に中 期目標期間の後半には難しくなろうと考えており、人件費率の極めて高い私どもにとっ て、2つの目標は整合的とは言えないと感じています。  もう一つは事務所の神奈川県への移転問題でございます。現在のところ平成21年3 月までに、主たる事務所を神奈川県に移転しなければならないことになっていますが、 このことは組織運営・業務の両面で効率化を図るという全体的な観点と整合的とは言え ない感じがしております。評価の視点には、事務所移転への対応を進めているかという ことでございますが、政府の考え方も首都機能分散から、東京金融市場の発展という方 向に変化しているようにもうかがわれますので、今後の展開によっては、対応の中身が 変わってくることもあり得るかもしれないと期待をしているところでございます。  私からは以上でございます。 ○部会長  ありがとうございました。それでは、個別評価に入りたいと思いますが、評価シート の順に4つに分けて進めていきたいと思います。また、評点等の記入の時間を別途設け てはおりませんので、質疑等を経ながら、各自評価シートへ評点やコメントを御記入い ただくようにお願いを申し上げます。  それでは、第1グループの評価シートの項目番号1〜5までの実績についての御説明 をお願いいたします。 ○年金積立金管理運用独立行政法人企画部長  それでは、引き続きまして私の方から御説明をさせていただきます。お手元にござい ます資料1−4におきまして、業務実績や自己評定を詳細に記載させていただいている ところでございますが、限られた時間内での御説明ということで、他の多くの独立行政 法人と同様、別の資料といたしまして資料1−5を用意させていただいております。資 料1−5「平成18事業年度個別評価シート説明資料」と銘打っているものでございま す。この資料1−5を中心に御説明を申し上げたいと思いますので、よろしくお願いい たします。  まず、表紙でございますが、全体が4つのパートに分かれております。早速でござい ますが、1ページをご覧いただければと思います。まず、パート1でございますが、こ れは計画の中の第1の、「業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置」 についての各事項でございます。右側に当法人の自己評定を記載してございます。順次 御説明をいたします。  2ページをご覧ください。1番目の項目は「効率的な業務運営体制の確立」について でございます。お手元の資料1−4の個別評価シートでは、評価の記載は3ページが相 当いたしますが、自己評定Aとさせていただいております。資料1−5の方に戻ってい ただきまして、2ページの左上をご覧いただきたいと思います。独立行政法人として理 事長のリーダーシップを支え、意思決定をサポートする体制を設けました。まず、経営 管理会議でございますが、事業の進捗状況の管理、あるいはリスク管理状況を把握いた しまして、必要な指示を行う場を設けたものでございます。その下に企画会議がござい ますが、これは業務の重要事項に関しまして、理事長の意思決定に際し、あらかじめ検 討しサポートするための体制ということで設けたものでございます。  資料の右の図でございますが、法人設立時に効率的な事務処理体制等を確立するため に、監査室を理事長直轄下に新設したこと、従来の総務部、経理部を管理部という1つ の部に統合再編するなどを実施したところでございます。また、右の図の一番下でござ いますが、これは平成18事業年度中に体制の強化を行った事項でございます。特に情 報化管理体制の充実とか、あるいは専門的能力の高い人材の確保、目的に応じた、いわ ば法人内の各部各課をベースとしない横断的な会議体の設置を行い、効率的な組織とし て強化を行ったところでございます。このように法人発足時のみならず、年度の中途に おきましても不断の見直しを行ったところでございます。  次の3ページの図は、後ほどご覧をいただければと思います。以上が項目1でござい ます。  続きまして4ページをご覧いただきたいと思います。2番目の項目は「業務運営能力 の向上」についてでございます。当法人は年金積立金の管理運用業務を主業務としてお ります。そのため業務運営能力の向上が重要でございます。運用経験者の採用及び処遇・ 評価体制の整備や、職員研修の実績について記載をしたもので、自己評定Aとさせてい ただいております。  まず、図の左側の民間の運用経験者等の募集についてでございますが、専門的知識を 有する資質の高い人材を広く求める必要がございます。そのため、募集に当たりまして は、各種媒体を幅広く活用いたしますとともに、内部にも職員採用委員会を設置して選 考を行いました。その結果、右の図のとおり、196名に上る御応募をいただきまして、 その中から平成18年9月より8名ほど順次採用しております。米国証券アナリスト資 格取得者や大学院修士号取得者等、多様な人材を採用することができました。その採用 者につきましては、民間企業時代の債券運用に関する実務経験とか、あるいは大学院に おけますポートフォリオ作成についての研究などの経験・専門性が最大限生かせる部署 に配置をしているところでございます。  5ページをご覧ください。職員の資質の向上についてでございます。職員に対する研 修体系といたしまして、資金運用等の分野に係ります専門実務研修と、職員の基礎的な 資質の向上を図るための一般研修の2つに分け、それぞれ研修計画に基づき実施をして まいりました。まず、専門実務研修についてでございますが、受講者へのアンケート結 果を踏まえ、カリキュラムに統計学を新たに追加するなど、その充実及び拡大を図りま した。また、大学院受講補助制度を創設し、平成19事業年度からは職員1名が大学院 に入学しております。また、一般研修につきましては、コンプライアンス研修、メンタ ルヘルス研修において、外部の専門家を講師として実施してきました。  なお、6ページにありますように、当法人におきましては、証券アナリスト資格取得 の支援を行っております。中途採用者の分も含めまして、資格取得者数が増加をしてお りますが、このことは職員の自己啓発に積極的に取り組む姿勢を導き出す環境づくりに も寄与したものと考えております。以上が項目2でございます。  続きまして7ページをご覧ください。3番目の項目は「業務管理の充実」についてで ございます。個別評価シートでは13ページでございますが、自己評定Aとさせていた だいております。7ページの資料にお戻りいただきまして、左の(1)をご覧いただきたい と思います。中期計画及び年度計画の進捗・達成状況の把握等につきましては、あらか じめ担当課におきまして、年度計画を四半期ごとに区分した目標を作成し、それについ ての実績を各四半期終了後において経営管理会議に報告して内部評価を行います。その 際、次に(2)でございますが、問題点、あるいは課題の抽出とその解決策として、業務の 改善指示等がトップダウンで行われ、(3)でその結果を職員全員にフィードバックするこ とで、業務改善、業務の円滑化を図ることとしております。このようなサイクルを通じ て得られた業務改善の具体例としては、右の図のとおりでございますので、後ほどご覧 いただければと思います。  8ページをご覧ください。業務管理の充実の一環といたしまして、内部統制体制の充 実を通じて、法令遵守及び受託者責任の徹底や職員の意識改革を図っております。左上 の「使命・運用理念・行動指針」の策定、右上の「運営リスク管理規程」の制定及び「運 営リスク管理委員会」の設置、左下の「コンプライアンス委員会」の設置、右下の「内 部通報制度」の創設等を行いますとともに、これら法令遵守及び受託者責任の徹底につ いて役職員に周知することで、職員の意識改革への取組を行ったところでございます。  続きまして9ページをご覧ください。法令遵守及び受託者責任の徹底を含めた内部監 査の充実・強化により、業務管理の充実を図ったところでございます。9ページの左側 でございますが、冒頭申し上げましたとおり、法人設立時に理事長直轄の監査室を新設 し、監査体制の強化を図りました。また、右に目を転じていただきますと、内部監査の あり方についての検討を行い、監査に当たってその実効性を高める工夫を凝らしますと ともに、監査対象部署との意見交換会を実施することにより、問題点の認識の共有を図 るなど、迅速な業務改善につながるよう努めてまいったところでございます。以上が項 目3でございます。  続きまして10ページをご覧ください。4番目の項目は「事務の効率的な処理」につ いてでございます。この項目につきましては先ほど参考資料でも御説明をいたしました 業務・システム最適化計画の策定・公表についての実績を記載したものでございます。 個別評価シートの方では17ページでございますが、自己評定Sとさせていただいてお ります。内容につきましては、先ほどの参考資料の説明と重複いたしますので、詳しく は割愛をいたしますが、できるだけ早く実施した方が良いであろうということで、右上 にありますとおり、中期目標等の要請よりも1年前倒しで計画の策定・公表を行うこと ができたところでございます。以上が項目4でございます。  続きまして11ページをご覧ください。5番目の項目は「業務運営の効率化に伴う経 費節減」についてでございます。個別評価シートでは20ページになるかと思いますが、 自己評定Aとさせていただいております。資料1−5の11ページでございますが、ま ず図の上にお示ししたとおり、中期目標では一般管理費につきまして4年間で12%削減、 うち中でも人件費につきましては4年間で4%削減という目標が示されております。こ れらにつきましては消耗品費や通信運搬費の節約、職員賞与の0.1カ月分の削減等の実 施により、予算額の執行率をそれぞれ89.0%及び93.7%に抑えることができました。た だし人件費につきましては、中途採用者にかかる分が平成19事業年度におきまして満 年度化いたしますことから、増加が見込まれております。  また、中期目標で業務経費につきましても、4年間で4%削減という目標が示されて おります。これらにおいてても業務計画の見直し等による節約を行い、予算額の執行率 を89.2%に留めております。  更に図の一番下に記載しておりますが、一般競争入札及び企画競争契約について拡大 を図っており、平成18事業年度におきましては、いずれも7回実施しているところで ございます。  次に12ページをご覧ください。経費節減の続きでございます。12ページにおきまし ては、管理運用委託手数料の水準についてでございます。図の左側に記載のとおり、当 法人への委託資産額増加の影響を受けて、金額ベースでは増加傾向でございますが、率 に換算いたしますと低下になっているということがお分かりかと思います。  図の右側に平成18事業年度において、手数料水準引き下げのためにとった各種措置 を掲げております。これら細かな措置の積み上げにより、総額3.1億円の節減効果が出 ているところでございます。以上が項目5でございます。  これで最初のパート1の御説明を終わります。 ○部会長  御質問等がございましたらお願いをいたします。また、質疑を経ながら、各自評価シ ートへ評点、あるいはコメントを御記入いただきますようよろしくお願いいたします。 ○安達委員  人件費の削減が平成18年度、中途採用で金額を当てるということですが、平成19年 度にそれを満額支払いすることになりますと、どれぐらいになる予定ですか。 ○年金積立金管理運用独立行政法人管理部長  今のところ明確に何%ということは、この場で数字は持ち合わせておりませんが、各 年1%削減をするという目標の範囲内には収まるものと思っております。 ○大野委員  職員研修の件で、職員の中で大学院に進学する方がおられた場合の補助制度を設けら れたというようなお話を伺いました。人材の専門性を高めるということで、非常に有意 義な制度であるかと思うのですが、この補助を受けた職員が学位を取得後、間もなく仕 事を辞めてしまったといったような場合に、一般に他の組織でもそういった問題はある かと思いますが、大学院の入学金、授業料、通常はそれを返却しなくてもいいというよ うなもとで、そのまま辞めてしまうといったようなケースがいろいろなところであるか と思うのですが、この場合の補助制度というものは、その辺はどのようなことになって いるのかということについて伺いたいということが1点です。  あともう1点が、給与水準をなかなか引き上げられないといったような制約のもとで、 いかに優秀な人材を確保するかという非常に難しい問題があるというようなお話でした が、参考1の5ページのところに「職級別在職状況等」という表があり、その中で級ご との給与水準の一覧表があるかと思うのですが、この差というのは年齢による給与の水 準の差というものが非常に大きな割合を占めているのか、あるいは業績といったような ものが非常に大きく反映されて格差がつくような状況になっているのか、ということに ついてお話を伺わせていただければと思います。 ○年金積立金管理運用独立行政法人調査室副室長  調査室副室長でございます。まず最初の御質問について、私の方からお答えをさせて いただきたいと思います。委員御指摘の点でございますが、当法人内部で大学院受講補 助制度の導入を検討する際にも、非常に論点になったところでございます。まず第1点 に、候補者が卒業後どのような形で法人に対して貢献してくれるかという点につきまし て、評価を重く置いて選別を行ったという点がございます。第2に、いわゆる念書のよ うなものでございますが、こちらについても形式上取り交わしてございます。つまり、 卒業後一定の期間はちゃんと勤務するようにというようなことを書面で取り交わしてご ざいます。しかし、こちらにつきましては、一般の企業についても同様と伺っておりま すが、法律上必ずしも厳密な拘束力のあるものではないと承知しております。したがっ て、最終的にはやはり候補者を選ぶ段階で、候補者が卒業後法人に貢献しようという意 欲をしっかり確認する、そこに一番のポイントが置かれるものと考えております。 ○年金積立金管理運用独立行政法人理事長  給与の関係についてですが、私も全て分かるわけではないですが、民間の中堅という より40歳位になってきますと、平均幾らという概念は、今の運用業界において多分そ んなにプリベイルしていなくて、非常に日本型の社会においてはいいのかもしれません が、私どもの方に受けてくる方の場合も相当に個人差があり、私どもの例に色をつける ぐらいでは問題にならないと断られるのが現状です。ただし、20歳代の半ばぐらいにな りますと、民間の方もそれほどばらつきが少なく、大体このぐらいでいけるのではない かと考えております。もちろん民間の方が高いわけですが、私どもの方の組織は運用業 界においては、それなりに魅力のある組織だと思っていますので、多少給料が下がって もここで働きたいとか、あるいは働いた経験をキャリアの上で持ちたいというようなこ とがあるので、折り合っているのではないかと思っております。 ○光多委員  よろしいですか。 ○部会長  はい、では光多さん。 ○光多委員  一つは、大変膨大な資料をお作りいただきまして、これは作る方も大変だと思います が、読む方も大変なのですね。それで、今日これを全部我々は書くわけですね。 ○部会長  そうです。今日一応評価を。 ○光多委員  2時間で。現実問題としてちょっと不可能だと思いますが。まず、この各点について お伺いしたいのですが、S、A、B、C、Dですかね。これは事務局にお伺いした方が いいと思いますが、当初の計画どおり行われたというのがBだったと思います。本年度 でいきますとかなり抽象的な表現になっていますので、それよりも何がよかったかとい うことがむしろ分かれば、A評価という形になると思うのですが、ただ、なかなか読ん で分からなくて、難しい環境の中で当初の計画を達成したということも、私はAでいい のではないかなという感じもするのです。この辺のS、A、B、Cの評価のつけ方につ いて、これは部会長にお伺いした方がいいのか、事務局にお伺いした方がいいのか。  それから、今の御説明で、私たちは今どこまでこれをやらなければいけないのか。こ れはちょっと気が遠くなるようなページ数になっているのですが、時間配分はどうなの か、大丈夫なのかという感じもするのが第1点でございます。  それから第2点でございますが、今のお話で、私も実は苦労したことがあるのですが、 これは一つの給与体系の中で優秀な人を採用しなければいけない。やはりなかなか給与 体系が合わないわけですね。そのときに、契約社員という形でやったことがあるのです が、そうすると普通の給与体系から抜けるわけです。特にアナリストの方々については、 確かにここの管理運用法人でそれなりに実績を積まれると、またより高い地位に行ける という感じもあると思いますが、契約社員という考え方はおとりにならなかったのです か。   ○部会長  それでは最初に、新任のメンバーの方もいらっしゃいますので、確認のために評価の 基準、S、A、B、C、Dについて、事務局の方からお話しいただけますか。 ○政策評価官  先生方には膨大な責務に対して大変恐縮でございます。もう紙爆弾のあらしでござい まして、特に新しい先生方にはなかなかということでございまして、徐々に工夫をさせ ていただいてやっていかないといけないかなと思っておりますが、基本的には他の部会 においても、ちょっと御無理をお願いしてやっていただいているというところが実情で ございます。そういう観点からは事前に、大体1週間から10日前には資料をお届けで きるような形で用意をさせていただいているとともに、実は部会の時間をどれだけとる のかというのはいろいろな意見がありまして、去年まではかなり時間をゆっくりとって、 国立病院部会などは3回とか4回ぐらいに分けてやっていたというのがあるのですが、 実は委員の先生の方から、「いや、そんなに分けられてもちょっと困るので、ある程度研 究室なり自宅なりで評価をしてくるから、会議の回数を短くしてもらえないか」という 御意見などもあって、とりあえず今年はこういう形でちょっとやらせていただこうかな と思ってやっているところでございます。  それで、評価については本法人は初めてということでございますが、一般論といたし ましては、このS、A、B、C、Dというものについては、お手元にお配りしておりま すこの茶色の資料の62ページに、それぞれの評価基準といったものを置かせていただ いているところでございます。ただ、やはり若干難しいのは、基本的には中期計画を大 幅に上回っているか。すなわち中期目標値と比較して評価をしろということでございま すので、ある意味中期目標期間を終わろうとするときに評価するには、割とS、A、B、 C、Dがつけやすい部分があるわけですが、年度評価になってきますと毎年度、ではど れだけ前進していればどうなるのかというところについては、他の法人については試行 錯誤をやる中で相場観というのが出てきているわけですが、本法人については初めてと いうこともあるので、そこら辺は初年度はちょっと難しいところがあるのかなという感 じはしているところでございます。  それから、お手元のこの大きな資料1−4の下の方に置かせていただいて、机上配付 資料という形で配らせていただいています。これは昨年度のものでございますが、私ど もが所管しております全法人について、他の法人も含めて大体自己評価はこういうよう なものをし、そして評価結果として委員の先生方からおつけいただいたのはこういう形 になっているということを、あくまでこれは間接的な御参考資料ということでございま すが、用意をさせていただいているところでございます。基本的には評価につきまして は、本日なかなか難しいということであれば、後ほどお持ち帰りいただくなり、早急に 郵送させていただいて、改めて評価を記入していただくということも可能でございます ので、お申しつけいただければありがたいと思っておりますし、やりながらやはりこれ では無理だよと、年金部会の評価の仕方としてはやはりもう少し時間をとるやり方もあ るのではないかということであれば、来年度以降、本部会の運営につきましては工夫を していきたいと思っているところでございます。  以上でございます。 ○部会長  それから、法人の方から、正規の職員でない形で雇用するといったことについての説 明はよろしいですか。 ○年金積立金管理運用独立行政法人理事長  民間からなかなか給与体系などが合わない場合に2つの問題があり、一つは従来の職 員とのバランスの問題。もう一つは、それを高くすると先ほどの人件費の節減の問題が あって、例えば専門職制度を作るとか契約社員制度にすれば少ししのげるわけですが、 やはり人件費の削減目標にぶつかるという問題があります。  それから、今回行ったときに、契約社員や専門職という形も一応頭にありましたけれ ども、必ずしもその損得を全部つぶした上で行ったというわけではありません。 ○部会長  どうぞ、竹原委員。 ○竹原委員  システムの整備、それから最適化計画で、例えば運用状況把握の精度、月次から日次 に短縮された、データの受け渡し形態が標準化されたということで、その点では非常に 大きな進歩があったということは認められるのですが、ただしデータベースというのは、 これは将来に向けてこれをどうやって利用していくかというのが非常に重要だと思いま す。その点で、先ほど説明がなかったのですが、3ページの組織図において、例えば今 後将来的に、より精緻なリスク管理体制の確立に向けて、どの組織がどういった形で具 体像を策定しているのか。最終的なその場合の決定権というか、イニシアチブはどの部 門が持っているのか。組織との関係で教えていただきたいのですが。 ○年金積立金管理運用独立行政法人理事長  リスク管理というのは法人全体のものですから、基本的には運用部が現場にあり、そ れから調査や企画も絡んできますので、どの部が決定権を持って行うという形では私ど もは考えておりません。それほど大きな組織ではないものですから、どこかが問題を検 討し、上げてくる。それを全体として検討して決めようというようなシステムをとって おり、リスク管理をそこに任せるとか、そういうような区分けを厳密に行っているわけ ではございません。 ○竹原委員  だとすると、3ページの図でいうと、情報管理体制ということでCIOがいて、それ と運用サイドとあるわけですが、ここのところで縦割りで具体的に使えるようなシステ ムになっていないということは、可能性としてあり得ませんか。 ○年金積立金管理運用独立行政法人理事長  今、行っておりますのは、データベースをなるべく早くタイムリーにきれいな形で確 保しやすいようにというところを、最適化システムで行っているわけで、御指摘のそれ をどういう形で使用していくのかは、今のやり方の上でもそれが役に立っており、そう いうものが手に入ったときに更にどういうふうに精緻化できるかというのは、別のこと を考えております。今CIOを定めたのは、あくまでもデータを非常にタイムリーにき れいな形でそろえてやるにはどういうシステムがいいかというのを考えているわけで、 それをどう使うかというのは別のステージになると考えています。 ○部会長  はい、佐野委員。 ○佐野委員  A4版の方でいきますと10ページの「事務の効率的な処理」、A3版の方でいきます と15ページ以降になりますが、「事務の効率的な処理」の中の下の段で、業務及びシス テムの最適化を図るための最適化計画の策定・公表に関しまして、平成18事業年度計 画で平成18年度中に公表すると記載してございます。これに対しまして、A4版の方 は10ページの図で、業務・システム最適化計画の公表(平成19年3月)ということで、 要請期間よりは1年前倒しであるという記載がございますが、この平成18年度計画、 A3版に書かれましたものとA4版の年度の違いの説明をいただきたいことと、これに 関しまして17ページの自己評価でSをつけたポイントについて、どの辺がかなり上回 っていると判断したのか。この「1年前倒し」のところに2本のアンダーラインがあり ますので、これをもってSにされたのかどうか。ちょっとその自己評価も含めて教えて いただければと思います。 ○年金積立金管理運用独立行政法人企画部長  まず資料1−4の15ページに中期目標、中期計画、更には平成18年事業の年度計画 という順番で4段表がございます。その一番左側の中期目標、これは御案内のとおり厚 生労働大臣から示された目標でございますが、そこには平成19年度までに策定・公表 ということで、本来であれば本年度中に策定すればよかったというのがマンデートだっ たと理解しておりますが、我が方がそれをちょうだいいたしまして、ブレークダウンす るといった際に策定しました平成18年度の事業計画では、なるべく早くやった方がい いことではあるし、どうも頑張ればできるのではないかということで、やや野心的な試 みではございましたが、平成18年度中にこれを策定・公表しようではないかという目 標を立てたところでございます。それに沿って、平成19年3月という平成18年度末で ございましたが、自分で立てた計画を達成できたという意味で、もう1年猶予はあった のですが、1年前倒しで頑張って達成できたということで記載をしてございます。  それと、後段の御質問のS評価の理由でございますが、まず1点目は先ほどの繰り返 しになりますけれども、いいことは早くやろうということで頑張った結果、1年前倒し で計画の策定・公表ができたと。それで、その後の作業もそれによって1年前倒しで進 むということになりますので、その点をまず御評価いただきたいということが1点。も う一つは、資料1−5の10ページ目に、確かに右上の方の「1年前倒し」というとこ ろに二重線が引いてございますが、他の下のところを見ていただくと二重線の部分が幾 つかございます。実はその中身といたしましても、現在のシステムをかなり改善する内 容の計画を作ることができたという点もあわせて、これはなかなかいいできではないの かなというふうに、もちろん外部専門家の力を借りての上でやったものでございますが、 達成できたのではないかなということで、Sをつけたということでございます。 ○佐野委員  ありがとうございます。 ○部会長  他にございますでしょうか。はい、光多委員。 ○光多委員  確認でございますが、先ほどのこのS、A、B、C、Dの評価ですけれども、当初計 画に大体合致しているという形がBとすると、なかなかつけにくいんですね。したがっ て、多分当初計画、中期計画がありますが、それをかなり適切に行っているか、そうで ないかという形も含めてA、B評価をしてよろしいのでしょうか。何か具体的におおむ ね合致しているか、上回っているかというと、何が上回っているからAだとか、その辺 の数学を考えないと評価できないわけですが、他の独法との関係もありましょうけれど も、ちょっとその辺について、特に年度計画の評価はそういう点でいくと非常にしゃく し定規に考えると難しいですよね。ですから、中期計画とか何とかが非常に簡素な形の 評価になっていますが、それをこれだけかなり丁寧に適切にやっておられる。この辺を 評価の基準としていいのかどうか。そこをちょっと一つ。  それからもう一つは、これから以降も、今御質問がありましたが、例えばもしそうだ とすれば、S、Aという形で評価しておられるときに、こういうことがあるからSなん だ、こういうことがあるからAなんだ、という形でおっしゃっていただいた方が、多分 私たちの方はつけやすいと思います。  済みません。その2点、よろしくお願いします。 ○政策評価官  基本的には、今先生がおっしゃったような方向でつけていただくのがいいのかなと思 っております。基本的に資料を読んでいただいて、また本番での御説明を聞いていただ いて、いわゆる中期計画で定めた方向に向けて進んでいるのかどうかということ。それ からそのスピードというものはどうなのか。そしてその進め方なりに、適切な進め方と か、漏れや落ちがないのかどうかというところあたりを総合的に評価いただくことにな るのかなと。少なくとも他の法人等においても、そのような形で御評価いただいている のであろうということで認識をしております。  それから、S、A、B、C、Dの特にSのところについては、本部会も、更には他の 法人においても、もし必要があれば徹底をいたしますが、特にSをつけている法人につ いてはなぜSをつけたのかということを、これまでは割と事前に説明をしていたという ところでございます。こういうところをよく見てほしいんだ、だから我々はSなんだ、 という形で説明をしている事例が多いので、今後そのような点に配慮させていただきた い。ただそうしても、この過去の事例を見ていただくと、自己評価でSでも、やはり先 生方から見たらAだというのも割とあるわけですが、今後は特にSをつけた部分につい ては、どこが見どころなのかということに留意をして、説明を申し上げるように工夫い たします。 ○部会長  他に御質問は。はい、どうぞ、川北委員。 ○部会長代理  コンプライアンスに関しまして、特に資産運用関係の機関ということで、インサイダ ー取引に対する留意すべき点というのはすごく多いと思うのですが、この点に関しては どのような内部ルールを作られているのか、説明していただければと思います。 ○年金積立金管理運用独立行政法人理事長  実は運用委託機関に色々な話を聞いておりますが、インサイダー情報というのは余り 入ってきていません。本当はインサイダー情報というのは、個々の企業がどういう計画 を立てるとか、利益見通しがどうとかということだと思います。あえて言えば、運用機 関がどこの株を少し増やすかということぐらいで、今後どうするかというのは聞いてお りません。しかしそうも言っておられませんので、一つはそういう個別株の情報が入っ てきているような先方からの資料などについては、色々なところで誰でも見られるので はなく、非常に管理をきちんとやるということが一つと、あとは金融商品取引に関する 服務規程というのか、規範を作って、それについて例えば個別株の取引は運用部とか企 画部とかそういう人はやってはいけないとか、どうしても前から持っているような株を 売るときには、内部の委員会に届けるとか、そういうような形の情報の遮断と、それか ら個々の人が取引をする場合の規制と、二重に作っております。 ○部会長  よろしいでしょうか。それでは、先に進んでいきたいと思います。第2グループの評 価シート、項目番号が6〜9でございますが、これにつきましての実績についての御説 明をお願いいたします。 ○年金積立金管理運用独立行政法人企画部長  それでは、引き続きましてパート2の説明に入らせていただきます。資料1−5にお きましては14ページでございますので、お開きいただきたいと思います。このパート 2におきましては、第2の「業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置」 並びに第3から第4の「財務内容の改善に関する事項」についての各項目でございます。  それでは、14ページの1つ目の項目の「受託者責任の徹底」についてでございます。 個別評価シートでは29ページになるかと思いますが、自己評定Aとさせていただいて おります。資料1−5の14ページにおきましてでございますが、受託者責任の徹底を 図るために、当法人自身が実施した措置を取りまとめてございます。図の左側につきま しては、既にパート1で御説明いたしました、理事長の意思決定を支える体制づくりに 関する措置でございます。図の右側に目を転じていただきまして、文書処理規程、組織 規程、制裁規程等の関係規程を整備いたしますとともに、外部有識者を含めたコンプラ イアンス委員会の設置、外部講師を迎えたコンプライアンス研修の実施をいたしたとこ ろでございます。更に、平成19年度でございますが、役職員の服務規律の概要をまと めましたコンプライアンスハンドブックなるものを作成中でございまして、このような ものを通じて法令遵守を身近なものとしてとらえ、またかつ実践する動機づけになれば と考えているところでございます。  次に15ページをご覧ください。法令遵守につきましては、運用受託機関等に対して もこれを求めることとされております。右上から順に説明いたしますと、当法人から関 係法令等の遵守について明記したガイドラインを提示いたしますとともに、運用受託機 関等説明会というものを毎年1回開いておりますが、その際、契約及びガイドラインに 定めました事項等について遵守の徹底を求めております。また、定期のミーティングに おきまして、関係法令等の遵守が適切になされているかどうかの報告を受けて確認いた します他、必要に応じて運用及びリスク管理の状況の報告を求める際に、法令遵守の状 況等の確認を合わせて行っているところでございます。  次に16ページをご覧ください。当法人には法律上の位置づけを有します運用委員会 という委員会が設置されております。左側に記載のとおり、同委員会は金融・経済等の 専門家から構成されており、中期計画、業務方法書の策定・変更の際の事前の御審議、 管理運用業務の実施状況の監視、理事長の諮問に応じて重要事項について意見を述べた り、あるいは必要と認める事項について理事長に建議をすることができる権限を有して いるところでございます。  図の右側にお示ししてございますが、同委員会の開催状況といたしましては、昨年度 は8回開催し、中期計画、業務方法書の策定等の審議をいただきました他、当法人にお ける管理運用業務の実施状況について幅広く監視を受けております。また、基本ポート フォリオの検証方法とか、更には運用受託機関構成見直しの基本的考え方など、同委員 会に対してあらかじめ説明を行い、同委員会よりいただきました御意見を我々の方の業 務に反映させたというところでございます。  次に17ページをご覧ください。ここからが7つ目の項目の「専門性の向上」につい てでございます。この項目につきましては、再掲となります運用経験者の採用の他に、 管理運用手法の高度化等を進めるための調査研究の実績を記載したものでございまして、 個別評価シートでは32ページになります。自己評定Aとさせていただいております。 まず、この資料1−5の17ページにおきましては、先ほどの第2評価項目の「業務運 営能力の向上」でもお示ししたものですので、省略をさせていただきます。  続きまして18ページをご覧ください。図の左側に記載いたしましたとおり、経済指 標や内外経済動向について、様々な方面から情報収集をしておりまして、整理・解析の 上、基本ポートフォリオ検証の基礎データ、あるいは運用状況の分析の参考資料として 活用しております。また、図の右側で記載しましたとおり、外部で開催されますセミナ ーや研修への参加を通じまして、内外先進事例を収集して業務に活用することができた と考えております。  19ページをご覧ください。専門性の向上を図り管理運用手法の高度化を進める観点か ら、専門調査機関も活用して調査研究を行っているところでございます。平成18事業 年度におきましては、当法人にとりまして重要度の高い課題といたしまして、基本ポー トフォリオ、ベンチマーク及び株式運用スタイルの管理、これらを優先的に調査研究と して取り上げており、それぞれ現行基本ポートフォリオの検証とか、あるいは次期基本 ポートフォリオの策定等々、下の方に記載の具体的な施策に活用することとしてござい ます。  次に20ページをご覧ください。ここからが8つ目の項目の「情報公開」でございま す。個別評価シートでは35ページになりまして、自己評定Aとさせていただいており ます。資料1−5の20ページの方でございますが、まず当法人設立時に新たなホーム ページを立ち上げております。その際、利用者における視認性及び利便性の向上を図る こと、利用者の視点を考慮したサイト構成とすること、及び分かりやすいコンテンツの 提供を行うことなどを心がけており、具体的なサイト構成やコンテンツにつきましては、 日本工業規格ですとか、あるいは政府の方針でありますところの「行政情報の電子的提 供に関する基本的な考え方」、これを踏まえたものとしてございます。  右側の列でございますが、ホームページを通じた情報公開を行っており、年金積立金 の管理及び運用につきまして、何とか分かりやすい説明はできないものかということで、 種々工夫を重ね仕組みや概要を新たに掲載しているところでございます。また、四半期 ごとの管理及び運用実績の状況について、迅速な公表を心がけており、前年度と比較い たしまして平均2週間弱の短縮を達成することができました。このような措置もあり、 平成18事業年度におけますホームページへのアクセス件数は、その前年度より11.5% ほど増加をしてございます。また、某パソコンの専門雑誌によります独自評価におきま しても、100余りの全独立行政法人の中で使いやすさが第3位にランクされるなど、一 定の成果を得ることができたのではないかと考えているところでございます。  次の21ページにつきましては、迅速な公表、その際の市場への影響に配慮している ということを主に記載したものでございますが、時間の関係で大変恐縮ですが省略させ ていただきます。  次に、9つ目の項目は「財務内容の改善に関する事項」等でございます。個別評価シ ートでは37ページでございます。自己評定Bとさせていただいております。この部分 につきましては、資料1−5を一旦離れまして、別の資料で資料1−2というものがお 手元に配付をされていると思います。これをご覧いただければと思います。「平成18事 業年度の財務内容について」という表題でございます。  1ページをまずご覧いただければと思います。○の2つ目でございますが、当法人の 経理区分、勘定といたしましては、記載のとおり4つの勘定がございます。  次に「1.収益の状況」でございますが、総合勘定の損益額は3兆9,355億円となっ ておりますが、この中には資産運用収益3兆9,445億円から運用手数料等327億円を差 し引きまして、米国歳入庁源泉税還付金に係ります未収金236億円を加えたものとなっ ております。この3兆9,355億円を各勘定へ案分しておりますが、各勘定の案分といた しましては記載のとおりの額となっております。  2ページをご覧いただきたいと思います。「2.運用資産の状況」でございます。事業 年度末の運用資産額につきましては、114兆5,278億円となっており、事業年度期首の 102兆8,707億円と比較いたしまして、11兆6,570億円の増となっております。  ○2つ目のア.流動資産を事業年度期首と比較いたしますと11兆268億円の増、ま たイ.固定資産につきましても6,302億円の増となっており、その結果、このページの 一番下から2行目でございますが、法人全体の資産合計は114兆5,529億円で、事業年 度期首と比較いたしますと11兆6,799億円の増となっております。この主な要因とい たしましては寄託金等の増加によるものでございます。  3ページをご覧ください。「3.負債の状況」でございます。流動負債の「1年以内返 済長期借入金」は、承継資金運用勘定で管理をしております長期借入金のうち、平成19 事業年度に返済を予定しております3兆8,141億円を計上しております。  ○4つ目の固定負債の「長期借入金」でございますが、承継資金運用勘定で管理して おります長期借入金残高のうち、平成20事業年度から平成22事業年度、この年は償還 が最終年度でございますが、それまでの返済予定額、3兆7,841億円を計上しており、 その結果、法人単位の負債合計といたしましては、104兆2,831億円となっております。  次に「4.資本の状況」でございますが、国からの政府出資金として1億円がござい ます。この結果、「利益剰余金」といたしましては、管理運用法人設立時の積立金8兆 4,699億円から18事業年度に年金特別会計に納付いたしました1兆9,610億円余りを差 し引きまして、当期の利益3兆7,607億円を加えました、合計10兆2,696億円となっ ております。  最後に「5.監事及び会計監査人の意見」でございますが、適正な会計処理がなされ ている旨の報告書を受領しております。  以上でございます。 ○部会長  はい。それでは、今の第2グループの関連で御質問、御意見等がございましたらお願 いをいたします。なお、質疑を行いながら、各自評価シートへの記入をお願いいたしま す。 ○佐野委員  情報公開の徹底のくだりですが、ホームページは大変分かりやすく見やすいように工 夫されているかと思うのですが、先ほどの業務執行に関してはSをおつけになって、こ れについては何がいま一つAにとどまった理由なのかということが一つと、それからも う1点は財務の関係で、これは定量的に判断できる部分をもってB評価、つまりおおむ ね達成ということにされたのでしょうか。特にこの財務に関して、私も非常に評価のし にくいところだと思うんですね。定量的にパーセンテージ等であらわされていればいい のですが、これについては財務内容の改善に資する事項ということで、評価のポイント がちょっとつかみきれなかったのですが、この辺はどの辺をご覧になって自己評価をお つけになったのか、ちょっと教えていただければと思います。 ○年金積立金管理運用独立行政法人企画部長  最初の情報公開の部分を大変御評価いただいて、なぜSではないのかということでご ざいましたけれども、ここの部分の評価項目といたしましては、基本ポートフォリオの 考え方や具体的な運用体制など、管理運用の仕組みを理解しやすく情報公開しているか。 それと、各年度や各四半期の管理、あるいは運用実績の状況について迅速な情報公開を 行ったかということで、理解しやすい情報公開、迅速な情報公開、これをやって当たり 前といいますか、それはもうやるのは当然で、そこだけだと単にBだと、こういうふう に我々は考えました。したがって、何がAかということになりますと、アクセス件数が 増加したとか、あるいは従前のホームページと比較できれば一番いいわけでございます が、かなりバリアフリーも考慮したいいホームページになったのではないかというふう に、その分自助努力でやったものと理解をしており、その結果も相まって、某雑誌から このような高い評価をいただいたということで、単純なBではどうもないということで、 Aをつけてよいのではないかと思ったところでございます。  それから、次の部分でございますが、これはもし何かあれば事務局の方から補足をお 願いいたしますけれども、経理の方につきましては、適正にやってむしろ当たり前とい う部分で、この辺はSとかAというのが、どういう部分になればSなのかというのはち ょっとなかなか言いづらいというか、つけづらい部分であろうかと思ってございます。 ○佐野委員  そうですね。最初の方は私も今の御説明を聞いてかえって分からなくなったのですが、 やって当たり前ということで自己分析されていると、これまでの項目もやって当たり前 のことばかりですね。それで、通常の事業会社であれば、達成して当たり前のことは、 厚生労働省のこの評価基準でいけばBということになりますね。これに対してAをつけ ていらしているのが今までかなと思ったので、それから比較するとこのホームページに 関しては随分工夫されていますし、対外的な評価もいいし、また四半期も含めて2週間 の短縮というのは、これは事業会社では相当な効果というふうに考えられることなので、 その項目に対する評価のバランスがちょっと疑問になってきたという、私自身の考えで す。  それから、財務についてもまさにやって当たり前ということであると、達成できなか った場合のみの評価をすればいいのかなというふうに、要するにBかCかDでしかない のかなと。その辺も私は評価する側としてちょっと疑問に思った事項です。 ○年金積立金管理運用独立行政法人企画部長  最初の方についてお答え申し上げますと、情報公開のこの部分につきましては、我々 としてもかなり頑張った部分でございまして、Sにしてもいいのではないかという考え が実はございました。それが最終的にはAということでお出しをしているわけでござい ますが、独立行政法人というのは透明性の確保なりが大変強く求められているところで ございます。したがって、この部分は若干ある意味ハードルが高いのではないかと思っ ておりまして、Sということになると、本当に超優良な情報公開を達成したということ ぐらいしかなかなかつけがたいのではないかなと思い、そういう意味でAというふうに したというのが実情でございます。 ○年金積立金管理運用独立行政法人理事長  経費の方は、私どもが主体的に頑張ったというところは、運用手数料等の削減のとこ ろにあるわけで、あとは運用結果をこういうふうに配分しましたとか、そういうような ことで、一種の運用結果が出たことに伴う受動的な結果だと思いますので、なかなかA やSはつけにくいということで考えております。   ○部会長  よろしいでしょうか。年金部会ではBというのはこれまで余りなかったものですから、 それで非常に厳しい面と、それからさっきのホームページなどは、話の内容からすれば Sでもいいのではないかというような、これまでの我々の持っている相場観といいます か、そういうような感じで佐野委員からもお話があったのだろうと思います。この法人 も今回初めてでございますから、今後いろいろ御検討されたりしていかれることだと思 います。  他に何か御質問はありますでしょうか。 ○光多委員  どうも今の財務のところは、これは財務内容の改善というのは、ずっと今までやった やつの結果ですよね。今までSやAがあって、ここの結果のところがBというのが、何 か自己評価をどういう数字で考えておられるのか。もし今のお話であれば、例えばここ については評価留保しますという、独法としてはですね、という形でもいい。やはりB というのは、前に書かれていない何かがあるのかなという感じをちょっと受けてしまう のですが。前からの脈絡でいくとちょっと論理が一貫しない感じがするのですが。この 文章からいっても、どこがBなのかなというのがちょっとよく分からないのですが、何 かその辺ちょっとここで突然謙虚になられたという面があるのですか。 ○年金積立金管理運用独立行政法人理事長  ここのSやAやBというのは、本当のところ非常に抽象的で、どのぐらいが一種の相 場観なんだということだと思います。他の独法のこれまでの結果を見ながら、例えばS も幾つかやって、それからAと言っていても結局Bになっているものもあり、そういう のであればこういうのはBになるのかなという、先ほど部会長が言われたようにやや手 探り状況で、むしろ評価委員の方々がどのくらいの相場観を持ってSをつけられるのか というのを、今回で少し勉強するということでございますので、余り何か突然謙虚にな ったとか、何か裏があるのかなというふうにお考えいただかなくてもいいように思って います。 ○佐野委員  ちょっと手短に申し上げますと、今のA3版でいきますと36ページに、第3の財務 内容の改善の右のところに、一般管理費については予算に対して89.0%の執行率、業務 経費については9割弱の執行率と記載してございます。そして、37ページの評価のとこ ろには、一般管理費については予算対比で3%超、業務経費については1%超を削減し たと。それに対して約90%弱の執行をしたとなりますと、更に10%の削減を図ってい るわけですから、これが単にBと淡々と評価されたという自己評価と比べますと、他の 評価がかなり甘いというふうに思えてしまうのです。既に削減した予算に対して、執行 率がもっと下回ったということは、相当の削減ではないかというふうに読んだのですが、 そういう意味で、今、光多委員がおっしゃったようなことと同様の感想を、私も持った ということでございます。 ○年金積立金管理運用独立行政法人理事長  人件費や経費のところは、資料にも記載しましたとおり、中途採用した者が秋以降に 入ってきますので、その分の人件費がいわば平年度化していないわけです。それが平年 度化すれば平成19年度はもう少し増えていくわけですから、平成18年度はそういう事 情でやっているのにAだとかSとか、たくさんやったから、それで翌年その事情がなく なったからというのはちょっとおかしくないかなというふうに私どもは考えたわけでご ざいます。 ○部会長  自己評価と我々の方の評価というのは、今のお話を伺いながら総合的に考えて、この 独立行政法人評価委員会の方で評価していくということで進めていきたいと思います。 他に何か。今の第2グループはよろしいですか。  それでは、引き続きまして第3グループ、項目番号が10〜15でありますが、ここに ついて実績についての説明をお願いいたします。 ○年金積立金管理運用独立行政法人企画部長  それでは、引き続きまして資料1−5でございますが、この資料の22ページをお願 いいたします。ここからが3番目になってまいります。  23ページをご覧いただければと思います。10個目の項目の「運用の基本的考え方」「運 用の目標」「年金積立金の管理及び運用におけるリスク管理」でございます。個別評価シ ートでは44ページでございますが、自己評定Aとさせていただいております。この23 ページにおきましては、各実績の御説明に入ります前に、このページによりまして当法 人におけます運用の基本的考え方の大枠といいますか、全体像をあらかじめ簡単に御説 明させていただきたいと思います。  まず年金財政からの要請(諸前提)といたしまして、実質的な運用利回り1.1%を確 保するということが必要とされております。なお、この実質的な運用利回りを名目値で 表しますと3.2%で、その差は名目賃金上昇率の2.1%に相当いたします。更に厚生労働 大臣が定めた中期目標におきまして、実質的な運用利回りを確保するように、長期的に 維持すべき資産構成割合を定め、これに基づき管理運用を行うべきことが示されており ます。  これらを踏まえ、当法人が行うべきことといたしまして、まず第1に左側の(1)でござ いますが、基本ポートフォリオの策定がございます。想定された運用環境のもとで、各 資産の期待リターンを推計しまして、更にリターンの変動を抑えつつ、期待リターンの 確保が期待できるような基本ポートフォリオを策定しているところでございます。さて、 当法人が行うべきことの第2といたしまして、(2)の基本ポートフォリオの維持・管理及 びベンチマーク収益率の確保がございます。当法人が定めました基本ポートフォリオの 適切なリバランス等を通じて、長期的に維持・管理をいたしますとともに、資産ごとの ベンチマーク収益率を確保することが求められております。このベンチマーク収益率の 確保につきましては、4年間の中期目標期間で達成せよということになっておりますが、 各年度におきましては努力目標というふうにされております。このような措置を通じて、 実質的な運用利回りを確保することが想定されておりますが、そのための(3)の具体的な 行動の例といたしましては、図の一番下に記載したものがあります。すなわち、資産構 成割合の維持・管理、運用機関構成の見直し、各運用受託機関の適切な選定・管理・評 価等々が挙げられるところでございます。また、一番右下でございますが、想定した運 用環境が現実から乖離していないかどうか、基本ポートフォリオの検証を行うこととし ております。当法人が中期計画なり年度計画でお示ししたスキームは、大体このような 考え方に沿ったものでございます。また、このページに記載しておりませんが、市場へ の影響に配慮するということもあわせて求められているところでございます。この23 ページ記載の各項目なり市場への影響の配慮につきましては、次のページ以降におきま して順次御説明をさせていただきます。  まず24ページをご覧ください。ここからはただいま御説明申し上げた事項のうち、 運用受託機関の選定についてでございます。図の左側に記載のとおり、まず公募を行っ た上で、各評価の項目に沿って評価をし、その評価結果及び運用受託機関の構成を勘案 の上で選定を行っております。この運用受託機関構成の見直しは、原則として3年に1 度ほど実施をしておりますが、図の右側にありますとおり、平成18事業年度におきま しては、外国債券アクティブの運用機関について行ったところでございます。結果とし て下に出てございますが、新規分として2社、既存分として5社を選定したところでご ざいます。  25ページをご覧ください。今度は運用受託機関の管理と評価についてでございます。 図の左側のとおり、月次で実績報告を受け取り、定期・随時の個別のミーティングを通 じたガイドラインの遵守状況の確認を行っております。また、下の方でございますが、 金融監督当局によります処分等があった場合には、当法人との関連具合に応じまして、 資金配分停止等の措置を行っております。  なお、ここで大変申しわけございませんが、図に一部誤りがありますので、訂正方お 願いいたします。今ご覧いただきました下の資金配分停止、資金回収、解約等は、その 左側の金融監督当局による処分に起因するもののみのように見えますが、それだけでは ございませんで、上の月次報告やミーティングにおいて何か問題が見つかったり、ある いはガイドラインの違反があった場合におきましても、同様に処分措置を行うこととし てございます。従いまして、この管理運用法人の囲みから資金配分停止、資金回収、解 約等の囲みに向かって下方向の矢印が必要でございまして、それを追加して記載してい ただきたいと思います。大変申し訳ございません。  さて、図の右側でございますが、毎年度1回実施しております定性評価及び定量評価 からなる総合評価について記載をしてございます。全運用受託機関82ファンドに対す る評価を行い、その結果、問題のありましたアクティブ運用受託機関15ファンドに対 して、資金配分停止措置を行ったところでございます。  26ページでございますが、その総合評価結果を踏まえましての措置というものにつき まして、資産クラスごとに記載をしてございます。この中では、一番下の外国株式のポ ツの2つ目でございますが、運用体制の変更等により運用に支障が生じた2社は解約、 1社は一部資金回収を行ったところでございます。  27ページをご覧ください。この資料では自家運用について御説明しております。自家 運用の役割につきましては、上の方の記載のとおりでございますが、効率的な資産運用 を実施するということで、図の左下及び真ん中下にお示ししたとおり、新たな取引先を 選定したり、債券の貸付運用の枠を3兆円に拡大したりいたしました。右下の囲みが残 っておりますが、これはまた後ろの方で御説明をさせていただきます。  28ページをご覧ください。このようなこれまで御説明した具体的な措置を積み重ねま した結果、平成18事業年度におきまして資産ごとの対ベンチマーク収益率との差、す なわち超過収益率がどうであったかを記載しております。図の左下にお示ししたとおり、 国内債券と外国債券、それから短期資産につきましては、超過収益率がそれぞれ+0.01%、 −0.04%、+0.06%で、おおむねベンチマーク並みの収益率となっております。ちなみ に当法人におきましては、超過収益率が小数点第2位にとどまっております場合は、従 来おおむねベンチマーク並みですというような表現を用いておりますので、ここでもそ う表記をしているところでございます。残りの国内株式につきましては、+0.18%、外 国株式につきましては−0.35%でございました。  右側にその要因を簡単に記載してございます。すなわち、国内株式につきましては、 パッシブ運用の18年度に東京証券取引所で実施をされましたTOPIXの浮動株指数 への移行に伴う影響が、結果としてプラス寄与に働いたということでございます。また、 外国株式につきましては、配当課税要因が約0.18%存在をいたします。また、その他で ございますが、マイナスの超過収益率だったファンドが多かったということが、マイナ ス寄与に働いたというわけでございます。  この超過収益率を算定する場合の基準となりますベンチマークにつきまして、29ペー ジをご覧いただければと思います。すなわち当法人の資産ごとの運用結果を評価する際 に使用いたしますベンチマーク、いわゆる評価ベンチマークにつきまして、基本ポート フォリオ策定時に使用した市場指標との整合性などに配慮しつつ設定をしており、図の 下の方に記載したとおりでございます。  続きまして30ページをご覧ください。当法人の運用に係りますリスク管理全般につ きましては、もう少し後ろの評価項目第16で御説明いたしますが、このページにおき ましては評価の視点に基づきまして、マネジャー・ベンチマークを設定した運用受託機 関のリスク管理の状況について説明をしております。当法人におきましては、国内株式 アクティブ運用、外国株式アクティブ運用におきまして、それぞれバリュー、グロース の偏りの調整、それから地域別割合の調整というものを行っているところでございます。  31ページをご覧ください。11個目の項目の「市場及び民間の活動への影響に対する 配慮」でございます。個別評価シートでは51ページでございます。自己評定Aとさせ ていただいております。当法人は市場の価格形成や民間の投資行動を歪めないよう、様々 な配慮を行っております。その具体例を図の上半分に4項目ほど記載しております。○ の1つ目でございますが、市場への資金配分の年度を通じた平準的な実施。それと、1 回当たりではございません。大変申し訳ございません。1日当たりでございます。1日 当たりの配分上限額を設定してございます。各月単位の市場配分額の実績を一番下に記 載してございますが、実際には必ずしも年間を通じて平準的な資金配分が実現されては いないところでございます。これにつきまして、私どもはあらかじめ資金の流出や流入 の見込みをベースといたしまして、年度当初において毎回同額を市場に配分するよう計 画を立てます。しかしながら、昨年度の場合ですが、9月と11月と1月におきまして、 年金特別会計からの寄託金の見込み額の変更、それと年金特別会計の納付金の見込み額 の変更がございまして、これらの影響を受けてその後の市場配分額の変更を行ったもの でございます。このような場合には、変更時点以降の資金配分を毎回平準化するように しているところでございます。  次に○の2つ目以降でございますが、運用受託機関の解約に伴う資金の再配分の際に は、市場で売却したりするのではなくて、原則として現物移管で行うことなどを始めま して、記載のとおり各種措置を講じているところでございます。  32ページをご覧ください。12個目の項目の「年金給付のための流動性の確保」でご ざいます。個別評価シートでは52ページでございまして、自己評定Aとさせていただ いております。まず、年金給付に必要な流動性の確保につきましては、当法人の重要な 役割の一つでございますが、昨年度、平成18事業年度におきましては、法令上の年金 特別会計への納付以外には国からの資金要請はございませんでした。以上の詳細を図の 下の部分で御説明しておりますが、左一番下に記載のとおり、平成18事業年度におい て年金特別会計に対し、法令上の計算式に基づいた算定で1兆9,611億円の納付を行っ ております。なお、その財源でございますが、同日発生いたしました財投債の満期償還 金、それと同利金、更には新規の寄託金をもって対応しており、別途の流動性の確保の 必要は生じなかったところでございます。また、図の右下に記載しましたとおり、短期 資産におきましても、効率的な運用に資するよう努めているというわけでございます。  33ページをご覧ください。13項目目の「管理及び運用に関する具体的な方針の策定 及び定期的見直し」でございます。個別評価シートでは53ページになるかと思います が、自己評定Aとさせていただいております。平成18事業年度当初におきまして、管 理運用方針を策定いたしまして、ホームページを通じ公表をしてございます。また、所 要の見直しも昨年度行ったところでございます。これについては以上でございます。  次に34ページをご覧ください。14個目の項目、「基本ポートフォリオの基本的考え方」 「基本ポートフォリオ」及び「移行ポートフォリオ」でございます。個別評価シートで は56ページになるかと思いますが、自己評定Aとさせていただいております。まず、 基本ポートフォリオの基本的な考え方について説明した資料で、これは先ほど評価項目 第10で説明したものと重複いたしますので、ごく簡単に御説明いたしますが、年金財 政からの要請にこたえるということで、リスクを抑制しながら、長期的に目標利回りを 達成するための基本ポートフォリオを策定、かつ、その維持・管理を図るということで ございます。  次の35ページ、36ページにわたりますが、基本ポートフォリオの策定方法が記載を されております。ただし、基本ポートフォリオそれ自体が独立行政法人の発足に当たり まして、運用委員会の議を経た上でございますが、中期計画の中にそのまま結果として 一部記載をされております。昨年3月にその中期計画をこの当委員会でお示ししたとこ ろでございます。恐縮でございますが、時間の関係で省略をさせていただきたいと思い ます。  37ページをご覧ください。基本ポートフォリオは、財政融資資金への預託金の償還が 終了する平成20年度末に実現するという前提で策定をされております。したがって、 それまでの間は市場への影響に配慮しながら、平成20年度末に基本ポートフォリオに うまく円滑に移行するために、毎年度移行ポートフォリオというものを策定することに しております。移行ポートフォリオには、財政融資資金への預託金と引受財投債を含め た運用資産全体に係るもの、これをアとして、「運用資産全体の移行ポートフォリオ」と 言っております。それともう一つは、それらを除いた「管理運用法人の移行ポートフォ リオ」というものの2種類がございまして、当法人が管理運用業務を行う際に利用する 移行ポートフォリオは、資金配分等を通じてリバランス可能なポートフォリオである後 者のイでございます。  38ページをご覧ください。15個目の項目の「基本ポートフォリオの見直し」でござ います。個別評価シートでは57ページになるかと思いますが、自己評定Aとさせてい ただいております。まず、先ほど評価項目10や14でも御説明したとおりでございます が、基本ポートフォリオにつきましては検証を毎年1回行う、必要があれば随時見直し を行うことになっております。平成18事業年度におきましては、長期の過去データに 係るデータ1年分の更新を図った上で検証いたしました。また、それのみならず、比較 的短期の直近10年間のデータを用いた分析もあわせて行いまして、より慎重な検証を 行ったところでございます。その結果、現状の運用環境と基本ポートフォリオ策定時の 環境とで大きな乖離はないということで、基本ポートフォリオを変更する必要まではな いという判断をしたところでございます。  少し長くなりましたが、以上でございます。 ○部会長  はい。項目10〜15まで御説明をいただきましたが、御質問等がありましたらお願い いたします。はい、大野委員。 ○大野委員  「個別評価シート説明資料」の28ページのところがまず1点です。資産ごとの超過 収益率ということで、平成18年度が外国債券、外国株式については、ベンチマーク収 益率を下回った結果になったということでお示しされているわけですが、もう一つ別の 資料の方で、資料1−6「業務概況書」というものがあるかと思いますが、そちらの80 何ページかのところに、直近3年、直近5年の運用実績という一覧表が載っているかと 思います。そちらに運用受託機関ごとのパフォーマンスというのが掲載されているので すが、いずれの運用機関についても、例えば86ページのところには、国内債券パッシ ブ運用、アクティブ運用という運用実績の表がありますが、パッシブの方でいいますと、 各運用受託機関についてベンチマークを下回るといったような結果が掲載されています。 それで、外国債券、外国株式についても同様の、いずれの運用機関についてもベンチマ ークを下回るというようなことが、3年、5年という期間にわたって、そういった結果 になっているというような表があるわけですが、これについてどうしてこのような結果 になったのか。あるいはそれについての対応はどのようにお考えでいらっしゃるのかと いうことについて、1点伺わせていただければと思います。  もう1点ですが、「個別評価シート説明資料」の31ページのところですけれども、市 場配分額の実績ということで、なるべく平準化するようにということで対応されていら っしゃるというお話でしたが、この一番下の実績という表を見ますと、年度の後半にな るに従って額が増額しているというような結果になっているかと思います。もしこのデ ータが一般公開されるような情報であるとした場合に、これが投資家に、年度の後半に なると買った方が株価が上がるよということを伝えるような、そういった投資家の行動 をゆがませるような情報になり得ないかということで、その点について伺わせていただ ければと思います。 ○年金積立金管理運用独立行政法人企画部長  先に2つ目の御質問について、私の方から御説明させていただきたいと思います。資 料1−5の31ページにおきまして、御指摘のとおり一番下のところに市場配分額の実 績ということで、各月の市場への配分額が記載されており、8月までは比較的平準的で ございましたが、9月、10月にちょっと減りまして、11月にまた増えて、1月更に増 えるような変動をたどっております。これについて情報公開されるのかどうかでござい ますが、資料1−4で申し上げますと50ページでございますが、市場配分額というも のが、同じ数字がこちらの方に記載されているのがお分かりいただけるかと思います。 この資料につきましては、時期はちょっと私どもは承知しておりませんが、ホームペー ジで公表することになっているらしいので、いずれこれは世間へ出るということになり ます。  したがって、それを見た人が、いつも年度後半になると市場配分額が云々というよう な話につながってくるわけでございますが、これは特別会計の資金繰りの、いわゆる御 都合という言い方がどうか分かりませんが、資金繰りの状況によるものでございます。 市場配分額が平準的になるように寄託金額の配分をしてもらえれば、もちろんこのよう なことがなく、ずっと基本的には同額で市場配分できるわけでございますが、ただし社 会保険庁の方も、年金特別会計の年度中途の資金繰りを考えた上のことであるというふ うに考えております。すなわち、年金給付は1カ月置きになされているわけでございま すが、それに不足が生じないように、収入や支出を慎重に見きわめながら資金繰りをさ れているはずでございますので、年度当初の計画でその後ずれが一切生じないようにす るということ自体、若干一定の限界があるのではないかなと、私どもは考えているとこ ろでございます。ただ、そのようにもし仮に全く変更がないという形であるとすれば、 年度当初に立てた計画で全く同じ額を基本的に配分することは可能ではございますが、 そこは年金特別会計の方の資金繰りの御事情があるものだと考えております。 ○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長  1つ目の質問項目について、私からお答えさせていただきます。「業務概況書」の方の 運用実績で、直近の5年、3年の方で成績が余りよくないファンドについてあるのでは ないかというような御指摘でございました。私どもといたしましては、まず運用受託機 関の評価でございますが、これは説明書の25ページの右側の方に載せさせていただい ておりますけれども、総合評価を毎年度行っております。その中で定性評価と定量評価 をあわせて行っておりますので、両方の項目がございます。今委員の御指摘の方は特に 定量的な評価で、この資料でいいますとパッシブ運用は超過収益率とトラッキングエラ ー、それからアクティブ運用は超過収益率とインフォメーション・レシオと、それぞれ 2つの項目で見ることになっております。  また、特に超過収益率が振るわないのではないかという御指摘でございました。 私ど もといたしましては毎年度総合評価を見る中で、当然定量評価が低いものにつきまして は、資料にありますように、総合的な評価の結果低いということであれば、資金配分停 止等の措置も行っております。また、各資産クラスにつきましては、例えば昨年度、平 成18年度でありますれば、外国債券のアクティブの運用受託機関について見直しを行 っており、既存の7社のうち2社の方は契約をいたさないというような措置も行ってお ります。具体的には3年に1度そのような入れ替えを行っており、適正でないところに つきましては、御遠慮いただくというようなやり方にしております。  以上でございます。 ○年金積立金管理運用独立行政法人企画部長  先ほどの私の説明に補足を若干させていただきますと、このデータが出ることによっ て、いつも例えば年度の後ろの方になってくれば、マーケットへの配分額が増えるので はないかという読みをされるのではないかということですが、実は過去におきましては 逆に年金特別会計の方の資金繰りで、我が方への寄託金額が減ったような事例もござい ます。そういうときはマーケットへの配分額が当然減るわけでございまして、必ずしも 年度後半になるとマーケットへの配分が増えるようなことが、本年度なり来年度なり続 くとは限らないわけでございます。 ○部会長  はい、竹原委員どうぞ。 ○竹原委員  基本ポートフォリオ、移行ポートフォリオからの乖離がきちんと管理されているとい うこと。それから、トラッキングエラーが非常に正確に管理されているということはわ かるのですが、省とすればこういったリスク管理で十分かと思うのですが、実際にその 財政状態が問題になるのは、むしろ基本ポートフォリオの策定時に考えていなかったよ うな想定外の経済環境ですね。例えば一方的に為替が動いていく。あるいは株式市場が かつてあったように非常に、7,000円ということはもうないと思いますが、そういった 環境が起きたときが実際には問題になるかと思います。そういった想定外の経済環境が 起きた場合の、基金全体としての、例えばダウンサイドリスクといったものの管理状況 はどうなっているのでしょうか。 ○年金積立金管理運用独立行政法人調査室副室長  基本ポートフォリオを策定した際の経済前提に大きな変化が生じたということであれ ば、基本ポートフォリオを見直す必要があると思います。例えば、仮に株式の期待リタ ーンを当初よりも大幅に引き下げる必要がある、あるいは為替が当初見ていたよりも大 幅に円高にいく可能性が極めて高いということであれば基本ポートフォリオを見直すこ とになろうかと思います。基本ポートフォリオにつきましては、その経済前提につきま して、最低でも年に一回検証を行い必要があれば随時見直すということになっておりま すので、大きな経済前提の変化があれば基本ポートフォリオを見直さないといけないと いうことでございます。しかし、ここで注意する必要があるのは例えば今、株式が下が ったとしたら、それが構造的な要因によるものなのか、あるいは需給に基づく短期的な ものなのかということを、正確に認識する必要があるということでございます。  基本ポートフォリオに基づく運用の背景にある考え方は、第1に分散投資、即ちリス クのある資産も複数組み合わせることによって、リスクが低減できるということ、第2 に長期投資、即ち長期間資産配分ウエートを維持することによって相対的なリスクは下 がること、この2点があるわけです。さらに、短期的に相場がどういう方向に行くかと いうのを正確に判断するのはなかなか難しい。いわゆるタクティカル・アセット・アロ ケーションという、短期的な相場動向に応じて資産ウエートを変えるという運用手法が あるわけでございますが、当法人のような非常に大きな資産額でございますと、国内株 式を現状でも20兆円弱保有しているわけでございまして、例えばこれを短期的に半分 にしようとすると、そうすることによってかえって自分の首を絞めてしまうということ も考えられる訳でございまして、なかなか実務的に難しいのではないかと考えておりま す。  ただし、当然リスクの状況がどうなっているかということは、リスク管理上常に見な いといけませんし、本当に構造的な変化であれば当然基本ポートを見直さないといけな いということで、そういうものにつきましては運用委員会等にも適宜お諮り申し上げて、 常日頃から注視をしているという状況でございます。 ○部会長代理  1点だけ基本ポートフォリオに関しましてお伺いしたいのですが、現在34ページに あるような5資産で基本ポートフォリオを組まれているわけですが、この5資産の見直 しというんですか。例えば今現在流行の不動産をどうするのかとか、そういうこととい うのは独法の方で決められているのか。それとも、全然別のところで決められるとする と、独法として何か提案されるのかどうか。そういうところをちょっとお伺いしたいの ですが。 ○年金積立金管理運用独立行政法人調査室副室長  基本ポートフォリオの見直しに関しましては、基本的に当法人の方でイニシアチブを とらせていただいてやることになろうかと思っております。その場合の見直しの契機で ございますが、主に3つほどあるのかなと思っておりまして、1つは年金財政上の要請、 これが変わるケースというのはあり得るわけでございます。委員もご存知のとおり、今 年の年初から年金の財政検証が行われることになっております。最終的な決定は多分2 年位かかると聞いておりますが、そこで予定運用利回りの要求水準が変わってくれば、 当然それに応じた基本ポートフォリオを作らないといけないということでございます。  2つ目につきましては、先ほどの竹原委員の御指摘にもございましたが、経済前提が 変わってしまうということがあれば、当然見直さないといけない。更に、基本ポートフ ォリオの策定プロセスについて、より良い方法論等が考案されれば、出来るだけそれを 活用した見直しを行っていく必要がある。そのように考えております。  委員の御指摘にございました不動産、あるいはプライベートエクイティー、証券化商 品等々につきましては、現在基本ポートフォリオ上独立した資産クラスとして扱ってお りませんが、次回の基本ポートフォリオの見直しを、今後2〜3年のうちに運用委員会 にお諮りして進めていくことになろうかと思いますが、その中で議論をさせていただく ということになろうかと思っております。ただ、一部報道にございますように、当法人 がヘッジファンドを含めてオルタナティブに積極的に取り組むように決定をしたという 事実は無く、あくまでもこれから検討を進めさせていただくということでございます。 ○部会長  私の方から一つ御質問してもよろしいでしょうか。インハウス、自家運用についてや っていらっしゃるところで、ここの部分だけを取り出したベンチマーク対比とか、パフ ォーマンスの評価というのがちょっとないように思うのですが。自家運用を通じて実践 をやって相場感覚を涵養していくといったようなことは大事だと思いますが、外部委託 の分は法人の方できっちり見ておられると思うのですが、この自家運用については中で やっておられるわけですから、逆にこういう場できっちりベンチマーク対比でどうなっ ているかといったようなところを、これはパッシブ運用ですけれども、確認するという ことが必要だと思います。それは出していただけるのでしょうか。 ○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長  運用部長でございます。個別評価シートの方には、今御指摘のところについてですが、 余り詳しく書かれていないのですが、本日添付資料という形で「平成18年度 業務概 況書」を付けさせていただいております。資料1−6の34ページに「自家運用の状況」 ということで、御報告をさせていただいております。その中で3つ機能があるというふ うに書いておりますが、1番目に国内債券パッシブファンドのことを書かせていただい ておりまして、その中でベンチマークを0.06%上回る運用実績ということで、その内訳 というような形でレンディング等の成績等につきましても、あわせて御報告をさせてい ただいているということでございます。 ○部会長  ありがとうございます。他に御質問、御意見等はございますでしょうか。よろしいで しょうか。  それでは、引き続きまして4つ目のグループであります。最後のグループになります が、項目番号16〜20までのところの実績につきまして、御説明をお願いいたします。 ○年金積立金管理運用独立行政法人企画部長  それでは、引き続きまして資料1−5の39ページをお願いいたします。ここからが 4つ目の項目になりまして、ここにおきましては「年金積立金の管理及び運用に関し遵 守すべき事項」と「その他」ということで、評価項目が5つございます。  それでは、まず40ページをご覧ください。16個目の項目の「移行ポートフォリオの 管理その他リスク管理」でございます。個別評価シートでは66ページでございます。 自己評定はSとさせていただいております。このSとつけたゆえんでございますが、40 ページのところに書いてございますが、当法人は平成18事業年度におきましては、従 来のリスク管理をかなり見直しており、その概要を記載しているところでございます。 すなわち右側の方でございますが、まずは資産全体の総リスク管理について、新たに相 対リスクを管理し、更に資産配分リスク等アクティブリスクというものに分けたという ことでございます。それから、システムからの出力数値やアウトプットについて整理を 行い、各運用受託機関の投資行動と全体のリスクとの関係を把握しやすくしました。更 には、各リスク項目や数値を時系列で表示したような資料等を工夫することにより、リ スク管理に係る効率性、あるいは内容の充実・向上が図られたというものでございます。 以上のような話は、右半分の方にそれぞれ四角囲みで書いてあるとおりでございます。 総リスクの適正な把握と内容の充実、運用状況の的確かつ効率的な管理の向上、問題点 の有無を的確に明示、という点でございます。この点が平成18年度につきましては、 その前までの年度につきまして、かなり自分たちといたしましても進歩したのではない かということを考え、こちらではS評価とさせていただいたところでございます。  さて、リスク管理項目は様々あるわけでございますが、まず次の41ページ目以下に おきましては、平成18事業年度において、当法人が実施いたしました移行ポートフォ リオの管理について御説明をしてございます。移行ポートフォリオに基づくリバランス につきましては、年度末に向かって移行ポートフォリオになだらかに到達するように、 リバランスを行うこととしてございます。その具体的な方法といたしましては、資産売 却によらず、直近の資産構成割合が管理目標値を下回っている資産に資金配分を行うこ とにより、達成を目指すということを原則としております。しかしながら、年度末に向 かっては、資産構成割合を結果的に引き下げなくてはいけないような資産に対しまして は、配分をしないこととしてございます。この図に記載のとおり、当法人、管理運用法 人の移行ポートフォリオの乖離状況を把握いたしまして、その上で資金配分という手段 を活用して乖離の縮小に努めたところでございます。  次に42ページ目以下でございます。42ページでございますが、複合ベンチマークに 対する超過収益率の要因分析の結果等をお示ししてございます。対複合ベンチマーク超 過収益率につきましては、この表の一番右下にございますが、−0.08%ということで、 おおむね複合ベンチマーク並みの収益率でございました。  43ページにおきましては、更にこれを例の資産配分要因、個別資産運用要因、複合要 因という3つの要因に分解して御説明してございます。資産配分要因におきましては、 ベンチマーク収益率が複合ベンチマーク収益率、これは4.64%でございますが、これを 下回った資産でございますところの国内債券、国内株式、短期資産、これは年度を通じ まして資産構成割合と管理目標値との乖離が生じたことが多かったということから、プ ラス、あるいは逆にマイナスというふうに寄与してございます。また、外国債券と外国 株式につきましては、ともにベンチマーク収益率が複合ベンチマーク収益率を上回って おりますが、このうち外国債券の方は資産構成割合と管理目標値との乖離が余り生じな かったため、寄与はほとんどないということに対し、外国株式につきましては、資産構 成割合が管理目標値を上回ることが多かったということで、その分プラス寄与となって おります。  個別資産運用要因におきましては、相殺されてほぼゼロということで0.00%で、複合 要因、これは実は誤差を含んだものとしてございますが、−0.02%ということでござい ました。  44ページでございますが、乖離要因の分析とその対応について記載をしてございます。 すなわちこれまで御説明したとおり、主な乖離要因というものは数値的にいくと資産配 分要因でございましたが、その対応措置としては、図の右側に記載しておりますとおり、 移行ポートフォリオ及び管理目標値に基づく管理、まさにそれでございまして、具体的 にはそれらを勘案して、年度を通じて平準的に資金配分というものを行っているところ でございます。このような措置により、各資産の構成割合を年度末に向かって次第に移 行ポートフォリオに近づけることによって、複合ベンチマーク収益率の乖離を小さくす るように努めているというわけでございます。  続きまして45ページをご覧ください。資産全体のリスク管理項目でございます。こ こに(ア)〜(キ)まで記載をしてございます。一つ一つについて御説明申し上げませ んが、平成18事業年度を通じて、これらのリスク状況に特段の問題等はございません でした。  46ページをご覧ください。今度は資産ごとのリスクについての状況でございます。そ のうちトラッキングエラーについて記載をしてございます。図の左側には推定トラッキ ングエラー、右側には実績トラッキングエラーの推移をそれぞれお示ししてございます。 図の下に簡単にコメントを付してございますが、平成18事業年度において若干の変動 はございますけれども、いずれも変化要因については問題がなかったというものでござ います。  47ページをご覧ください。今度は株式アクティブ運用におけますβ値、それと債券運 用におけます修正デュレーションについてのリスク管理状況でございます。簡単にコメ ントをつけてございますが、平成18事業年度におきましてはいずれも大きな変化とい うものはなくて、問題がなかったというものでございます。  48ページをご覧ください。その他のリスク管理について簡単に御説明をいたします。 短期資産のリスク管理、流動性リスク及び信用リスク更にはソブリンリスクといったも のでございますが、いずれも平成18事業年度中、特段問題はございませんでした。  続きまして、49ページにおきましては、運用受託機関に対するリスク管理の状況を説 明してございます。今度は受託機関に対するリスク管理でございます。図の左側に記載 してございますが、運用受託機関に対しましては、運用ガイドラインをまず提示いたし ます。それとともに、一部の運用受託機関につきましては、スタイルベンチマークとい うものを設定付与してございます。これらに基づいて運用受託機関ごとにリスク管理指 標及びその目標値が決められており、毎月報告を受けて目標値の遵守状況の確認を行っ ております。その結果、各運用受託機関の投資行動、あるいは運用状況について把握を し、遵守状況について問題のないことを確認しているところでございます。  また、図の右側にお示ししましたように、各運用受託機関の運用体制に変更等があっ た場合などには、運用に大きな影響を及ぼすかどうかを迅速に把握した上で、適切な措 置を講ずることとしてございます。平成18事業年度におきまして、運用体制に変更が あったのは58ファンドで111件、そのうち運用統括責任者の変更等の重要な変更がな されたのは6ファンド6件でございます。これらの社についてミーティング等を実施い たしまして説明を求めた結果、1ファンドについては運用に影響を及ぼす可能性ありと いうことで、今後の状況に注視していくとともに警告を行ったところでございます。  続きまして50ページでございます。資産管理機関に対しますリスク管理状況につい ての御説明でございます。資産管理機関につきましても、ガイドラインを提示させます とともに、毎月報告を受けています。平成18事業年度におきましては資産管理体制の 変更について4社から11件の報告を受けております。  最後に51ページでございますが、自家運用に係るリスク管理の状況でございます。 図の右下部分でございますが、自家運用についても運用ガイドラインを作成し、その遵 守に努めているところでございます。その内容でございますが、ファンドの特性に応じ てリスク管理指標等を設け、リスク特性値及び有価証券格付け、更には資産管理機関の データ等について、月次、あるいは日々で定期的に確認を行っているところでございま す。  52ページをご覧ください。17個目の項目の「運用手法」「運用受託機関及び資産管理 機関の管理」でございます。個別評価シートでは75ページでございます。自己評定A とさせていただいております。まず、当法人は中期目標に従いまして、パッシブ運用を 中心に行っておりますが、ご覧のとおり各資産とも7〜8割がパッシブ運用となってい ます。  53ページをご覧ください。平成18事業年度におきましては、先ほど申し上げました とおり、外国債券アクティブ運用に係る運用受託機関について見直しを行いました。こ の部分につきましては繰り返しになりますので、詳しくは省略をさせていただきますが、 審査を3次に分けて実施いたしまして、最終的に新規応募2社、既存分5社、これを選 定したところでございます。以上、パッシブ運用を中心ということで、これを実施して おり、公募を行った外国債券アクティブ運用の運用受託機関につきましては、超過収益 の確保という目的を達成する可能性の高いというような判断をされる運用機関の選定を、 公正かつ厳正な手続のもとに行ったと考えているところでございます。  54ページをご覧ください。18個目の項目の「年金積立金の管理及び運用に関し遵守 すべき事項その他」でございます。この項目につきましては株主議決権行使の件以外に も、過大なマーケットインパクトや市場の価格形成等への影響の回避でありますとか、 資金の特定の時期の投入・回収の回避などがございますが、これらについては先ほども 触れましたので、ここでは株主議決権行使について御説明を申し上げたいと思います。 個別評価シートでは80ページになるかと思いますが、自己評定Aとさせていただいて おります。この54ページの図の左上のとおり、株主議決権の行使につきましては、民 間企業の経営に影響を及ぼさないように配慮しまして、個々の議案に対する判断を当法 人として行わないということにしています。ただし、議決権行使の目的が長期的な株主 利益の最大化を目指すことになることに鑑みまして、運用受託機関の判断に基づき適正 に行使をしていただくこととしております。具体的な流れといたしましては図の左下に 記載のとおりでございますが、当法人としては策定された議決権行使ガイドラインの内 容を確認いたしますとともに、実際の行使状況の報告を受けて、これを把握・管理して おります。また、議決権行使の取り組みに関する評価を行い、必要に応じガイドライン の遵守状況を指摘して、改善するよう指導しているところでございます。  平成18事業年度の実績を図の右側に記載いたしました。議決権行使ガイドラインは 内外株式の運用受託機関すべてが作成しており、結果につきましてもすべてから報告を 受けております。また、必要に応じてミーティングも実施しているところでございます。 更に、ガイドラインの整備状況、行使体制、及び行使状況についての評価を行ったとこ ろでございますが、その結果、外国株式におきまして、グローバルカストディの口座に ついて、外国株式の議決権をファンド単位で行使する手続がとられていなかった社があ りましたので、その旨指摘をいたしまして、その後、改善がなされたということを確認 しているところでございます。  次に55ページをご覧ください。19個目の項目の「財投債の管理及び運用」でござい ます。個別評価シートでは82ページになります。自己評定Bとさせていただいており ます。平成18事業年度におきましては、財務大臣からの引受依頼及び厚生労働大臣か らの引受指示に基づき、満期保有目的として3兆2,032億円の財投債をお引き受けいた しました。これらを管理運用しているところでございます。その資産評価につきまして は、独立行政法人会計基準に基づく償却原価法と、これに加えまして時価評価額もあわ せて開示することが求められておりますので、これもお示しをしているところでござい ます。  この説明資料は以上でございます。  ここの説明資料にございませんが、個別評価シートの86ページをお願いいたします。 20個目の項目の「主たる事務所の移転に伴う関係機関との連携確保」「施設及び整備に 関する計画」「職員の人事に関する計画」でございます。ここからが評価項目の20番目 でございまして、自己評定Aとさせていただいております。まず、主たる事務所の移転 に関してでございますが、平成18事業年度におきましては、課題をピックアップする など、次年度以降の具体的な検討につなげることとしているところでございます。施設 及び整備に関する計画につきましては、該当事項がございません。最後の職員の人事に 関する計画につきましては、方針の部分を第1グループにおいて取り上げた事項と内容 が重複するものが大半でございますので、説明は割愛させていただきます。また、次の 人事に関する指標につきましては、平成18事業年度末の常勤職員数は期初の100%以 内となっているところでございます。  以上でございます。 ○部会長  ありがとうございました。御質問等がありましたらお願いをいたします。 ○光多委員  質問というわけではないですが2つございまして、一つはこれだけの評価をこの時間 だと、もう過ぎていますし、やはり無理だと思いますので、ちょっとやり方については また。例えば先ほどおっしゃいましたように10日前に送っているからという形で、確 かに私たちが勉強してくればよかったのですが、ちょっと体制についてはまた今後お考 えいただきたいと思います。やはり満足な評価ができるという時間はちょっといただけ なかったような感じがするんですね。それについてはまた来年度から御検討いただきた いのが一つ。  それからもう一つ、先ほどございましたが、これから金利とか為替相場とか、いろい ろマーケットが動いてきますよね。だからといって、基金がそれに対して完全に自己利 益だけでやっていける体制でもないわけですよね。やはり全体の相場に対して過大な影 響を与えてはまずいわけですから。ただ、やはり先ほどの運用委員会もありますので、 今大体これからの経済状況や金融・為替状況についてはどういうふうな形で判断して、 そこに対してどういうふうに考えたという形を何か残しておかれた方が私はいいと思い ます。  その2点だけ。 ○部会長  他に何か。はい、大野委員。 ○大野委員  最後の項目がリスク管理についてということで、非常に包括的かつ精緻なリスク管理 体制を作られたというお話で伺いました。それぞれの4つの資産クラスに関して、複合 ベンチマークを使っての評価ですとか、そういったものを取り入れられていて、様々な ことをやっていらっしゃるのですが、今御指摘がありましたが、為替レートが株式やそ ういったもの、資産に対するファンダメンタル要因ということ以外に、為替というもの がそもそも一つの運用資産というような形になっているかと思うのです。その為替に関 する対策というようなものが、この中には少し記述はあったかと思いますが、為替リス クへの対応というものの説明がなかったかと思います。それで、年金ですので長期の運 用ですので、長期の運用に関する為替リスクヘッジについて、どういった対応があり得 るかということについては様々な議論があるかと思いますし、長期でもやった方がいい という議論とやらなくてもいいという議論と様々あるかと思うのですが、一方的に長期 運用なので為替ヘッジはしなくていいという体制のもとですべてが進んでいくというよ りは、運用報告も四半期ごとに一般公開で公表されるというスタンスもとっていらっし ゃいますので、為替ヘッジを実際にするかしないかというところの判断はまた別にある かとは思いますが、その辺について今後どう対応をとっていくか、そういったことにつ いて何らかの御説明があった方がよろしいのではないかというような印象を受けました。 その点が1点です。  もう1点が財投債の件ですが、今は経過措置ということで、満期保有を前提にという ことで、評価方法も原価法と時価法とあわせてということでしたが、経過措置が終了し た後は、途中売却ということも可能性としてはあり得るというような位置づけにあるの でしょうか。そうしますと、国債と同じというもので、信用リスクは無視できるといた しましても、流動性リスクとかそういったものについて、何らかの評価なり対策なりが 必要になるのではないかと思うのですが、その点についても御説明いただければと思い ます。 ○年金積立金管理運用独立行政法人理事長  2点目の御指摘の件ですが、財投債については現在も満期保有を行っていますが、も ともと満期保有を行っているということは、満期まで売らないということを前提に認め られているわけですので、20年度や21年度でこれを売っていくということは考えてお りません。しかし、満期保有がそれほど大きくない金額になった場合には、そこで何か 変えるというようなこともあり得るかもしれませんが、これは国内債券というものを一 体どのようなポートフォリオでこれから保有すればいいのか、非常に巨額なものですか ら大きな課題になると思うので、そこのところを考えながら、その中で満期保有をどう いうふうに位置づけるかということを考えていきたいと思っております。とりあえず、 この満期引受が終わりになったらすぐにこれを売却してというふうに考えておりません。  それから、為替についてですが、金利の問題や株の問題を考えていけば、例えば今か ら金利は多分上がるだろうと予測した場合、そうしたときに国内債券をどうするんだと か、あるいは円高ドル安リスクが出たときどうするんだなどということはありますが、 基本的には先ほど調査室副室長がご説明しましたように、それが構造的に何か非常に大 きく変わったんだということがない限りは、それはいずれ循環的に戻ってくるのだから といいますか、例えば日銀が金利を上げたら市場金利全体が上がるだろうから債券をど うするんだ、というように、余り目先のことで動くというふうには考えておりません。 もともと基本ポートフォリオに基づいて運用するというのはそういうことだと思ってい ます。為替のところは、当面ドル安が進みそうだから売るとか、そういうことは考えて いないのです。為替全体についてどうするかというのは一つの論点ですけれども、これ は基本ポートフォリオを作るときに、ベンチマークのところにも書いていますが、外国 資産については全部為替ヘッジなしということで行い、そのときに為替ヘッジをしない 外国債券なり外株のリスク・リターンでもって基本ポートフォリオを作り上げたという ことがあるので、今のところ当面ドル安になりそうだからどうするかということは考え ておりません。  この基本ポートフォリオをいずれ見直すときに、そこをどうするかというのは一つの 論点だなと思っており、情勢を見ながら為替のヘッジをかけたり外したりということは、 もともと非常に難しいと思うのですが、例えばハーフヘッジがいいんだとか、幾つかの やり方があると思いますが、そういうのはどちらかといえば実績で見て、半分ヘッジす るというのがいいのか、8割するのがいいのか、やはりノーヘッジがいいのかというよ うなことを見極めながら、それぞれのリスク・リターンを考慮して基本ポートフォリオ を作っていくことになると思います。それで、そういうふうに決めたらそれは割合機械 的に、ノーヘッジならノーヘッジでやる、フルヘッジならフルヘッジでやる、こういう ことになると思っています。   ○部会長  他に御質問、御意見は。よろしいでしょうか。  先ほど光多委員からございましたように、非常にボリュームが多いということ、それ から専門性が非常に高い内容であるといったようなこともございまして、必ずしも十分 な検討の時間がなかった面もございますので、御指摘がございましたように来年以降、 進め方については事務局とも相談をさせていただきまして、いろいろ考えていきたいと 思っております。  それでは、資料2につきまして、事務局の方から御説明をお願いいたします。 ○大臣官房参事官(資金運用担当)  1枚紙で資料2、「年金積立金管理運用独立行政法人の総合評価について」という資料 を用意させていただいております。これにつきましては、評価の視点の御審議の際にも 御説明を申し上げたところでございますが、簡単に申し上げますと、この一番上の四角 の中に書いてあるとおりでございます。下の方に、このような仕組みになるために、法 律の仕組みをいろいろと御説明する資料がございますが、やや少し技術的な点でござい ますので、省略させていただきます。  内容につきましては、この四角の中にありますように、本来、独立行政法人通則法の 評価につきましては、個別評価の分析結果に基づいて総合評価を行うということになっ ておりますが、当年金積立金管理運用独立行政法人につきましては、その個別評価の分 析結果、本日各委員の先生方に御記入をお願いし、それをまとめた結果でございますが、 これと合わせまして、私ども年金局におきまして今後作成する、年金積立金の運用が年 金財政に与える影響についての検証報告の内容も考慮して、総合評価を行っていただく ことになっております。この総合評価を行うため次回のこの部会の資料を送付するに際 しましては、それまでに年金積立金の運用が年金財政に与える影響についてと、今般の 独法の昨年度、平成18年度、あるいはそれまでの若干の期間をおきました運用の成果 が、年金財政の制度設計にどういう影響を与えていたのかといったことの報告書を作成 させていただきまして、それをもとに総合評価などにつきましても御検討をお願いする ことになりますので、よろしくお願いいたします。  以上でございます。 ○部会長  ありがとうございました。少しオーバーをいたしましたが、本日予定されておりまし た議事はすべて終了いたしました。今後は本日の審議と個別項目に関する評価結果を踏 まえまして、起草委員において総合的評価書の(案)を作成していただくことになりま す。次回は、それをもとにいたしまして、総合的評価に関する審議を行うといったよう な段取りを考えております。その他、事務局の方から何か連絡事項がありましたらお願 いいたします。 ○政策評価官  政策評価官でございます。本日は光多先生の方から御指摘いただいたような形で、ち ょっと御無理をおかけして大変恐縮でございます。本部会はこの資金運用の法人と、も う一つ福祉施設の売り払う法人という、極めて性格を異にするような法人の評価をお願 いするということでも、他の部会と比べましても御無理をお願いしているところでござ います。今後のこの部会での審議につきましては、それぞれの法人の特性も踏まえつつ、 いつの時点で資料を作成して先生方にお送りするのか、またはどの程度の時間をとって 先生方から御意見をいただいて評価していただくのか、ということについては、私ども、 それからそれぞれの所管部局、年金局でございますが、それからそれぞれの法人とも今 後相談をし、また部会長の方からの御指導もいただきながら、今後の運営については工 夫をできればと思っているところでございます。  それで、次回につきましては総合評価ということで、日程調整がなかなか難しいとこ ろがあったわけでございますが、8月20日の10時から、厚生労働省において行わせて いただきます。評価シートにつきましては、机の上に置いたままでお帰りいただきます ようお願いいたします。ただ、まだ書き込みが足りないという部分につきましては、引 き続き御記入をいただく、あるいは一度私の方から速達等で郵送して、また送り返して いただくということも可能なのかなと思っておりますので、お申しつけいただければと 思います。また、今日御説明した各種資料につきましては、次回の部会におきまして適 宜参照していただく可能性もありますので、机の上に置いていただいた形でお帰りいた だいても結構でございますし、やはり持って帰って改めてきちっと見たいということで ありましたら、またお申しつけいただければ、事務局より郵送させていただくというこ とでございます。  以上でございます。 ○部会長  それでは、これで終わりにしたいと思います。ありがとうございました。 <了>  照会先: 政策統括官付政策評価官室 政策評価第一係  電 話: 03−5253−1111(内線7784)