連絡先 厚生労働省医政局研究開発振興課 担当 佐藤(内線2542) 松山(内線2545) 梅垣(内線4165) 電話 03-5253-1111(代表) 03-3595-2430(直通) |
平成19年8月29日
厚生科学審議会科学技術部会
第2回ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会
議事概要
1.日時 | 平成19年8月29日(水) 13:00〜15:00 |
場所 | 厚生労働省 専用第12会議室(中央合同庁舎第5号館5階) |
2.出席委員 | 永井委員長 青木委員 阿部委員 掛江委員 春日井委員 木下委員 高坂委員 小島委員 島崎委員 中畑委員 中村委員 前川委員 水澤委員 山口委員 (事務局) 厚生労働省 新木研究開発振興課長 他 |
3. 議事概要
前回審査委員会で審議された8件のヒト幹細胞臨床研究実施計画のうち、大阪大学、奈良県立医科大学、東海大学、国立循環器病センターおよび京都大学の5つの研究機関、計6件の申請について再度審議が行われた。
その結果、大阪大学、国立循環器病センター、京都大学からの計4件の申請に関し概ね了承され、申請者と事務局との間で資料整備の上、委員長の確認を得た後に、次回以降の科学技術部会に報告することとされた。
(臨床研究実施計画の概要は別紙1〜4参照。)
(別紙1)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成19年8月29日審議分
研究課題名 | 虚血性心疾患に対する自己骨髄由来CD133陽性細胞移植に関する臨床研究 |
申請受理年月日 | 平成 19年 3月 7日 |
審査委員会における 審議経過 |
第1回:平成19年7月11日 第2回:平成19年8月29日 |
実施施設及び 総括責任者 |
実施施設:大阪大学医学部 総括責任者:澤芳樹 |
対象疾患 | 虚血性心疾患(冠動脈バイパス術を施行する症例) |
ヒト幹細胞の 種類 |
骨髄由来CD133陽性細胞(骨髄由来幹細胞) |
実施期間及び 対象症例数 |
承認日より4年間 4例 |
治療研究の概要 | 虚血性心疾患患者で冠動脈バイパス術による血行再建が適応となるが、一部これが不可能な部位を合併する者を対象とし、心筋虚血の改善を目的に、自己骨髄由来CD133陽性細胞の心筋内移植を行う。最終的に虚血性心筋症として心臓移植や補助人工心臓を必要とする患者において、かかる治療を回避できる可能性も期待でき、社会的意義は大きいと思われる。 |
その他(外国での状況等) | 重症心不全患者に対して骨髄単核球細胞移植が欧米で行われ、心機能改善効果が報告されているがその効果は十分ではない。CD133陽性細胞は骨髄由来細胞の中でも特に未分化な幹細胞であり、心筋への移植後に血管内皮細胞や心筋細胞にも分化することから心機能改善を期待している。欧米ではすでに自己CD133陽性細胞の心筋への移植は臨床試験が行われており、今回、大阪大学医学部では国際共同研究として当該臨床研究を行うものである。 |
(別紙2)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成19年8月29日審議分
研究課題名 | 急性期心原性脳塞栓症患者に対する自己骨髄単核球静脈内投与の臨床応用に関する第 I- II相臨床試験 |
申請受理年月日 | 平成 19年6月29日 |
実施施設及び 総括責任者 |
実施施設:国立循環器病センター 総括責任者:成冨 博章 |
対象疾患 | 心原性脳塞栓症 |
ヒト幹細胞の 種類 |
自己骨髄単核球細胞 |
実施期間及び 対象症例数 |
2007年5月から2008年4月 12症例 |
治療研究の概要 | 心原性脳塞栓症は多くの患者に恒久的かつ重篤な後遺症を残すことが特徴である。本臨床試験は脳梗塞発症7-10日後の重症心原性脳塞栓症患者に対し、局所麻酔下において自己骨髄細胞を採取し、骨髄単核球分画を精製後静脈内への投与を行い、その神経機能回復効果および安全性を明らかにすることを目的としている。 |
その他(外国での状況等) | 神経幹細胞を用いた細胞治療は、国外でいくつか報告されている。米国ではブタ胎仔由来細胞等を用いた臨床試験が行われたが、有効性は殆ど示されなかった。韓国および札幌医科大学では、骨髄単核球細胞の静脈内投与による脳梗塞治療が報告されている。また、欧州では骨髄単核球細胞を用いた急性期虚血性心疾患に対する臨床試験が複数行われている。 |
(別紙3)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成19年8月29日審議分
研究課題名 | 大腿骨頭無腐性壊死患者に対する骨髄間葉系幹細胞を用いた骨再生治療の検討 |
申請受理年月日 | 平成 19年 6月 5 日 |
審査委員会における 審議経過 |
第1回:平成19年7月11日 第2回:平成19年8月29日 |
実施施設及び 総括責任者 |
実施施設:京都大学医学部附属病院 総括責任者:中村孝志 |
対象疾患 | 大腿骨頭無腐性壊死 |
ヒト幹細胞の種類 | 骨髄間質間葉系幹細胞 |
実施期間及び 対象症例数 |
2年間 10症例 |
治療研究の概要 | 大腿骨頭無腐性壊死は有効な治療法が確定されていない難治性骨疾患の一つである。本治療研究は、現行の優れた治療法である血管柄付き骨移植術に、体外培養にて増殖させた自己骨髄間葉系幹細胞と人工骨材料の移植を併用する事で壊死骨の再生を図る新規治療法の開発を目指すものである。 |
その他(外国での状況等) | 類似の研究として、ヨーロッパにおいて骨髄単核細胞の壊死部への直接注入が行われた例が報告されている。本研究と類似した骨髄間葉系幹細胞を用いた大腿骨頭壊死に対する治療法も本邦においていくつか施行されているが、治療成績の評価に関する結論は出ていない。 |
(別紙4)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成19年8月29日審議分
研究課題名 | 月状骨無腐性壊死患者に対する骨髄間葉系幹細胞を用いた骨再生治療の検討 |
申請受理年月日 | 平成 19年 6月 5 日 |
審査委員会における 審議経過 |
第1回:平成19年7月11日 第2回:平成19年8月29日 |
実施施設及び 総括責任者 |
実施施設:京都大学医学部附属病院 総括責任者:中村孝志 |
対象疾患 | 月状骨無腐性壊死 |
ヒト幹細胞の種類 | 骨髄間質由来間葉系幹細胞 |
実施期間及び 対象症例数 |
2年間 10症例 |
治療研究の概要 | 月状骨無腐性壊死は有効な治療法が確定されていない難治性骨疾患の一つである。本治療研究は、現行の優れた治療法である血管柄付骨移植術に、体外培養にて増殖させた自己骨髄間葉系幹細胞と人工骨材料の移植を併用する事で壊死骨の再生を図る新規治療法の開発を目指すものである。 |
その他(外国での状況等) | 月状骨無腐性壊死に対する血管柄付骨移植術の治療成績は、国内外を通じて多数の報告があるが、細胞移植による治療法の成績は、体外培養行程を用いる用いないを問わず論文上は未だ報告されていない。従って本臨床研究のように両者を併用する治療法については、全く報告はない。 |
(参考)
厚生科学審議会科学技術部会
ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会委員名簿
氏 名 | 所 属 ・ 役 職 |
青木 清 | 上智大学名誉教授 |
阿部 信二 | 日本医科大学呼吸器感染腫瘍内科部門講師 |
位田 隆一 | 京都大学公共政策大学院教授 |
掛江 直子 | 国立成育医療センター研究所成育保健政策科学研究室長 |
春日井 昇平 | 東京医科歯科大学インプラント・口腔再生医学教授 |
貴志 和生 | 慶應義塾大学医学部形成外科准教授 |
木下 茂 | 京都府立医科大学眼科学教室教授 |
高坂 新一 | 国立精神・神経センター神経研究所長 |
小島 至 | 群馬大学生体調節研究所所長 |
島崎 修次 | 杏林大学教授 |
高橋 政代 | 理化学研究所神戸研究所網膜再生医療研究チームチームリーダー |
戸口田 淳也 | 京都大学再生医科学研究所組織再生応用分野教授 |
○永井 良三 | 東京大学医学部附属病院教授 |
中畑 龍俊 | 京都大学医学部附属病院教授 |
中村 耕三 | 東京大学医学部附属病院教授 |
西川 伸一 | 理化学研究所発生・再生科学総合研究センター 副センター長 |
前川 平 | 京都大学医学部付属病院輸血部教授 |
水澤 英洋 | 東京医科歯科大学大学院教授 |
湊口 信也 | 岐阜大学大学院医学研究科再生医科学循環病態学・呼吸病学教授 |
山口 照英 | 国立医薬品食品衛生研究所生物薬品部長 |
(○は委員長)
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