07/07/31 第10回中小企業における障害者の雇用の促進に関する研究会議事録 第10回中小企業における障害者の雇用の促進に関する研究会 1 日時    平成19年7月31日(火) 14:00〜15:00 2 場所    厚生労働省 共用第8会議室(6階) 3 出席者  ○ 参集者     今野委員、小川委員、金子委員、倉知委員、小林委員、佐藤委員、原川委員、     藤原委員、堀江委員、村上委員、森戸委員、輪島委員  ○ 事務局     岡崎高齢・障害者雇用対策部長、宮野企画課長     土屋障害者雇用対策課長、浜島障害者雇用対策課調査官、     白兼障害者雇用対策課主任障害者雇用専門官、     澤口障害者雇用対策課障害者雇用専門官、手倉森障害者雇用対策課課長補佐、 4 議題  (1)報告書(案)について  (2)その他 5 資料    資料1 「中小企業における障害者の雇用の促進に関する研究会」報告書(案)    資料2 第9回研究会における主な意見 ○今野座長(以下、座長)  それでは、時間になりましたので、ただ今から第10回中小企業における障害者の雇用 の促進に関する研究会を開催いたします。本日の委員の出欠状況ですが、予定としては、 皆さん御出席ということですが、佐藤委員と森戸委員は少し遅れられるということです。  それでは、早速本日の議事に入ります。本日は、報告書案についてということで、こ れまでの議論を踏まえまして、報告案を事務局で作成していただきましたので、まず、 事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局(障害者雇用対策課課長補佐)  まず、本日の配布資料の方を確認させていただきたいと思います。資料1といたしまし て、「中小企業における障害者の雇用の促進に関する研究会」報告書(案)、資料2とい たしまして、前回第9回研究会における主な意見ということで2つおつけいたしておりま すので、御確認いただければと思います。  では、早速ですが、資料1の報告書案について、御説明いたします。1ページお開きい ただきますと、目次になっておりますが、Iで、「はじめに」ということで、次に、II で、「中小企業における障害者雇用に関する状況」、IIIで、「関係者からのヒアリング」、 IVで、「中小企業に対する雇用支援策の強化について」Vといたしまして、「中小企業 における経済的負担の調整の実施について」、それで、VIで「おわりに」となっており ます。大きくはこういった構成になっております。  では、2ページでございますが、「I はじめに」ということで最近の障害者雇用を取 り巻く情勢をみると、平成18年度におけるハローワークでの新規求職申込件数や就職 件数が過去最高となるなど、障害者の「働きたい」という意欲がこれまでにない高まり をみせている。  また昨年、改正障害者雇用促進法や障害者自立支援法が施行され、障害者が地域で安 心して暮らせる社会の実現をめざし、そのニーズと適性に応じて、地域生活における自 立を図り、就労支援を強化するとともに、本年2月にとりまとめられた政府の「成長力 底上げ戦略」においても、障害者の就労支援が大きく位置付けられるなど、雇用施策と 福祉施策と連携の下、就労支援が抜本的に強化され、今後、福祉的就労から一般雇用へ の移行も急速に進むものと考えられる。  さらに、本年4月の改正学校教育法の施行に伴い、障害のある児童・生徒等の自立や 社会参加に向けた主体的な取組を支援する特別支援教育が推進されることとなり、障害 のある生徒等の就職も進んでいくものと考えられる。  このような状況の下、我が国の企業数の99%以上、常用雇用者数の70%以上を占 める中小企業 において十分な障害者の雇用の場を確保することは重要であり、また、 中小企業は、身近な地域で自立した生活を求める障害者に対し、雇用の場を提供するこ とができる地域の主要な担い手であり、中小企業における障害者の雇用を促進すること は急務であると考える。  このため、本研究会では、近年、中小企業においては、ここ十数年、障害者雇用の状 況は低下傾向にあること等を踏まえ、中小企業全体における障害者雇用を進めるため、 障害者雇用の経験のない中小企業等に対する雇用支援策の強化や、中小企業における経 済的負担の調整の実施について検討を行ってきたところであり、このたびその結果をと りまとめたので、報告する。  すみませんが、注の方は適宜ご覧いただければと思います。  3ページ目でございますが、大きなIIの、「中小企業における障害者雇用に関する状 況」でございます。まず、1として、「中小企業における障害者雇用の状況等」でござ います。  企業全体の実雇用率についてみると、障害者雇用率制度の創設時(昭和52年)と比 較すると、実雇用率が1.09%(昭和52年)から1.52%(平成18年)となる 等、障害者の雇用状況は、全体としては着実に進展している状況にある。  このうち、中小企業(299人以下規模)における障害者の雇用状況は、制度創設時 (昭和52年)においては、99人以下規模の企業で1.71%、100〜299人規 模の企業で1.48%と、企業全体の平均の実雇用率(1.09%)を大きく上回る水 準であり、さらに、平成5年には、99人以下規模の企業で2.11%、100〜29 9人規模の企業で1.52%と過去最高の水準となった。しかし、その後、低下傾向が 続き、現在(平成18年)では、56〜99人規模の企業では1.46%、100〜2 99人規模の企業では1.27%といった水準となっている(企業全体の平均の実雇用 率は、1.52%)。  なお、直近の平成17年から平成18年にかけては、56〜99人規模の企業では、 横ばいで1.46%、100〜299人規模の企業では、0.03%ポイント上昇して 1.27%となっており、今後注視していく必要がある。  このような中小企業における障害者雇用の状況と併せて、中小企業をめぐる近年の状 況についてみると、我が国経済が全体として景気回復を続ける中、大企業と比べ中小企 業の景況改善には遅れがみられる。また、中小企業の数は、開業率が廃業率を下回る状 態が続く中、昭和62年には約533万社あったが、平成16年には約433万社とな り、この間約100万社が減少している 。  平成5年から平成18年にかけての中小企業における常用労働者数及び雇用障害者数 の推移をみると、まず、常用労働者数については、この間増加傾向が続き、99人規模 以下の企業では約127万人から約188万人に、100〜299人規模の企業では約 448万人から約505万人に、それぞれ増加している。  これに対し、雇用障害者数については、99人規模以下の企業では、約2万6,40 0人から約2万6,500人とほぼ同水準であり、また、100〜299人規模の企業 では、約6万1,400人から約5万8,200人となっており、この間増減があった ものの、平成5年の水準に比べて減少している。  一方、平成5年から平成18年にかけての新規障害者雇用者数についてみると、この 間増減があったものの、平成14年以降は増加が続き、平成14年から平成18年にか けて、99人規模以下の企業では約1,400人から約2,100人に、100〜29 9人規模の企業では約3,000人から約4,900人に、それぞれ増加し、ともに平 成5年を上回る水準となっている(平成5年では、99人規模以下の企業では約2,0 00人、100〜299人規模の企業では約4,000人)。  このように、中小企業においては、平成5年以降、常用労働者の雇用を維持または増 加し、また、一定程度の障害者を新規に雇用し続けているものの、それを上回る離職の 発生等があると考えられ、障害者の雇用数が減少している状況にある。  このような実雇用率等の推移の一方で、中小企業における法定雇用率達成企業割合は、 大企業に比べ高い水準にある。具体的には、大企業については、300〜499人規模 の企業で40.2%、500〜999人規模の企業で38.7%、1,000人以上の 規模の企業で36.9%であるのに対し、中小企業については、56〜99人規模の企 業で45.2%、100〜299人規模の企業で43.6%となっている。  さらに、雇用している障害者数ごとの企業数の割合について、企業規模(法定雇用障 害者数)ごとにみると、中小企業では、法定雇用数以上の障害者を雇用している企業と 障害者を全く雇用していない企業とが比較的大きな割合を占めている状況にある。  具体的には、障害者を全く雇用していない企業の割合は、112〜166人規模の企 業(法定雇用障害者数2人)では40.7%、167〜222人規模の企業(同3人) では28.0%、223〜277人規模の企業(同4人)では20.9%となっている が、その一方で、法定雇用障害者数以上の障害者を雇用している企業の割合は、同じく、 40.0%、31.9%、29.6%となっており、相当程度の中小企業が、障害者雇 用について積極的に取り組んでいると考えられる。  次に、2として、「中小企業における障害者雇用に関する考え方」です。  独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構の調査(平成17年)によれば、障害者雇用 に関する企業の考え方として、「法定雇用率以上をめざす、ないし維持する」及び「法 定雇用率をめざす、ないし維持する」とする企業の割合が、大企業では、1000人以 上規模の企業においては90%、301〜999人規模の企業において78%であるの に対し、中小企業(56人〜300人規模)においては43%に過ぎず、また、「特に 目標を決めていない」とする企業が41%、「障害者は雇用しない」とする企業が13 %となっており、大企業と中小企業との間で大きな違いがみられるところである。  全国中小企業団体中央会の調査(平成18年) によれば、現在の障害者の雇用状況 については、中小企業のうち、「現在障害者を雇用している」企業が約57%、「現在 は雇用していないが、過去雇用していた」企業が約15%、「これまで障害者を雇用し たことはない」企業が約28%となっており、7割以上の中小企業が現在障害者を雇用 している、または過去に雇用したことがあるといった状況にある。  また、今後の障害者の雇入れの意向については、「現在障害者を雇用している」企業 においては、「増員を考えている」としているものが約25%、「現状の人数を維持」 としているものが約74%であるのに対し、「現在は雇用していないが、過去雇用して いた」企業及び「これまで障害者を雇用したことはない」企業においては、「新規雇用 を考えている」としているものは約27%であり、「新規雇用は考えていない」として いるものが約66%となっている。  今後の障害者の雇入れ理由については、「増員を考えている」企業及び「新規雇用を 考えている」企業においては、「企業としての責任・義務」が約51%、「法定雇用率 を満たすため」が約39%となっている。    このような状況から、現在障害者を雇用している中小企業においては、より積極的 に障害者雇用を推進しようとしていることがうかがえる。また、「増員を考えている」 企業及び「新規雇用を考えている」企業においては、CSR(企業の社会的責任)や法令 遵守が意識されていることがわかる。   なお、現在雇用している障害者の評価については、「満足」が約28%、「おおむ ね満足」が約60%となっており、良好な評価をしている企業が多い。  また、同調査によれば、以下のような状況もみられる。  ・ 障害者雇用の阻害要因となる事項について、「障害者に適した職務がない」、 「建物のバリアフリー化などが進んでいない」、「障害者雇用のノウハウが乏しい」を 挙げる企業が多い。  ・ 「現在の人数を維持・減らすことを考えている、新規雇用は考えていない」とす る企業においては、その理由として「担当業務の選定が難しい」、「障害者のみならず 従業員全体の増員が難しい」、「職場設備の改善が必要」を挙げる企業が多い。  ・ 障害者を雇用するに当たり課題となった事項については、「担当業務の選定」、 「作業の効率性」、「周知とのコミュニケーション」を挙げる企業が多い。  ・ 障害者雇用に当たり配慮している事項については、「配置転換・担当業務などの 人事管理面」、「通院・服薬」、「業務遂行を援助する者の配置」を挙げる企業が多い。  このような状況から、中小企業は、様々な課題に直面しながら、障害者雇用のための 努力を重ねている姿がうかがえる。  さらに、同調査によれば、障害者雇用拡大のために期待する公的支援については、 「各種助成金の拡大」のほか、「障害者の作業能力に関する情報提供」、「障害者雇用 に係る好事例の提供」を求める企業が多い。  続いて大きなIIIですが、「関係者からのヒアリング」ということで、別添でつけてお りますので、後ほどご参していただければと思います。  続きまして大きなIVですが、「中小企業に対する雇用支援策の強化について」です。 まず1として、「中小企業に対する雇用支援策の現状と課題」です。中小企業に対して は、これまでも、トライアル雇用、ジョブコーチ支援等、企業規模に関わらず対象とな る雇用支援策が講じられるとともに、障害者雇用納付金制度に基づく各種の助成金が支 給されている。また、300人以下規模の企業は、障害者雇用納付金の徴収対象となって いないことから、法定雇用率を上回って障害者を雇用している場合であっても、301人 以上規模の企業であれば支給される障害者雇用調整金は支給されないものの、法定雇用 率を超えてさらに多数の障害者を雇用している場合(具体的には、4%又は6人のいず れか多い数を超えて雇用している場合)に、報奨金が支給されている。なお、報奨金の 単価は、障害者雇用調整金に比べて低い額となっている。こうした雇用支援策の現状及 び上記IIにおける分析を踏まえると、中小企業において障害者雇用を進めていくための 課題として、以下の点が浮き彫りになってくる。  第一に、現在の中小企業における障害者雇用の状況は低下傾向にあるが、その詳細を みると、障害者を全く雇用していない中小企業が一定の割合を占める一方で、法定雇用 障害者数以上の障害者を雇用し積極的に障害者雇用に取り組んでいる中小企業も一定の 割合を占めている。このことから、中小企業は障害者雇用に関し大きな可能性をもって いるものと考えられ、中小企業の障害者雇用に係る理解を一層深めることができれば、 障害者雇用が急速に進む面もあると考えられる。  第二に、障害者雇用の阻害要因、あるいは、「現在の人数を維持・減らすことを考え ている、新規雇用は考えていない」とする理由として、「障害者に適した職務がない」、 「担当業務の選定が難しい」を挙げる企業が多い。したがって、職務の分析・再整理を 通じて仕事を切り出しながら、マッチングを進めることが必要であり、このように適切 にマッチングを進めることは、障害者の職場定着のためにも重要であると考えられる。  第三に、中小企業における障害者の雇用数が減少していることを踏まえ、上記のよう な適切なマッチングにより障害者の職場定着を図ることに加えて、職場不適応や離職を 防止する観点から、職場定着そのものに関する支援を進めることも重要であると考えら れる。  これらと併せて、中小企業の中でも、障害者雇用に積極的な企業が一定の割合を占め ることから、こうした企業における障害者雇用に伴う経済的負担を適切に軽減していく 方策も検討していくことが適当であると考えられる。  以上の課題に的確に対応するためには、中小企業が、身近な地域で障害者に雇用の場 を提供することができる地域の主要な担い手であることを踏まえ、中小企業における障 害者雇用を促進するため、障害者雇用についての理解の促進、マッチングに関する支援、 職場定着に関する支援等様々な観点から、新たな取組について総合的に検討すべき状況 にある。  次に2として、「今後の中小企業に対する雇用支援策等の在り方」です。まず「(1) 障害者雇用についての理解の促進」です。企業において障害者雇用を具体的に進めるに は、障害者雇用に関する企業経営者の理解が不可欠であり、中小企業においても、まず、 経営トップの意識・理解を高めることが重要である。  中小企業経営者の理解を進めるためには、雇用率達成指導において、ハローワーク幹 部から経営トップに対して直接の働きかけを行うことも重要であるが、併せて、中小企 業の経営トップが集まる会合等の場を活用して啓発を行うことも、有効であると考えら れる。  中小企業における理解の促進のためには、行政や関係機関からの働きかけだけではな く、中小企業団体や業種別団体を活用し、企業同士の情報交換等を含めた自主的な取組 を進めていくことも、効果的である。  例えば、平成19年度から、中小企業団体を活用し、その自主的な取組により障害者 雇用の促進を図るため、障害者雇用に関する啓発セミナー、雇用好事例集の作成、相談 窓口の設置等を内容とするモデル事業を実施しているが、今後速や かに中小企業における障害者雇用の状況を改善していくためには、一定期間、集中的に、 このような取組を全国的に実施し、中小企業における障害者雇用の取組に弾みをつける ことも重要である。  障害者を雇用した経験のない中小企業等では、これまで障害者との接点がなく、障害 そのものや障害者が働くことについての具体的なイメージがないまま、障害者雇用につ いて消極的・否定的な考えにとどまっている場合が多いのではないかと考えられる。  このような課題に対応するためには、地域において中小企業と障害者団体、福祉施設、 特別支援学校等との交流の場を設け、このような交流の中から、障害に関する理解を深 めたり、企業と施設・学校の相互の理解や連携を深めたりしていくことも、一つの方策 であると考えられる。  また、他の中小企業における障害者雇用の事例を提供することなどにより、障害者の 就労に関する能力・適性、職場環境の整備、企業内外の相談支援体制の構築・活用等に ついて具体的な理解を進め、実際の雇用に結びつけていくことが重要であり、都道府県 障害者雇用支援協会等が行っている情報提供、相談支援等について、一層積極的かつ効 果的な取組を行うなど、企業に対する専門的支援を強化させることが必要である。  さらに、実際に雇用を進める中で事業主の理解の促進や不安感の解消を図るという面 から、トライアル雇用や障害者委託訓練の活用も有効であるとともに、はじめて障害者 を雇用する中小企業に対して、職場実習の受入等に関する促進策を講ずる等により、ま ずは障害者との接点をつくることを促すことも、重要であると考えられる。  中小企業については、身近な地域において障害者の雇用機会を創出し得るものであり、 障害者雇用の理解を促進することが重要であるが、この場合、基礎的な地方自治体であ る市町村が、地域の状況に応じ、独自性を発揮して、中小企業の理解促進のための取組 を行うことも必要である。  中小企業全体の気運を醸成していくためには、積極的に障害者雇用に取り組んでいる、 又は今後計画的に取り組むこととしている企業が、社会に広く認知される仕組みをつく ることも、一つの方策である。  次に「(2) マッチングに関する支援」です。中小企業においては、障害者を雇用 した経験が少なく、障害者雇用のノウハウが乏しい企業も多く、また、障害者本人も就 労経験が乏しい場合が多いことから、具体的な雇用に結びつけていくためには、トライ アル雇用の活用や職場実習の積極的な受入を進め、その経験を雇用につないでいくこと が効果的と考えられる。  あわせて、ハローワークにおいて、同行紹介や管理選考等、関係機関とも連携したき め細かな職業紹介を行う必要がある。  中小企業側と障害者側(又は障害者の就労支援を担う側)の間においては、企業にお いて障害者を活用しようとする場合の職種等のイメージと、障害者が発揮する適性や能 力との間に、開きがある等、マッチングの大きな制約となるギャップが存在することか ら、これを少しでも埋めて、両者を近づけていく工夫・ツールが不可欠である。  例えば、中小企業向けには、障害者雇用に関して自社の状況・可能性を自己評価でき るチェックリストのようなツールがあると、障害者の適性・能力も踏まえた客観的な判 断ができるようになり、具体的な求人条件の検討にも効果があるのではないかと考えら れる。  また、求職障害者向けには、障害者が自らの適性や能力、アピールポイント等を分か りやすくまとめることができるシートのようなツールがあると、障害者自身が自己評価 をするためにも、また、中小企業が求職者の情報を具体的に知るためにも、有効ではな いかと考えられる。  中小企業側と障害者側のギャップを埋めていくためには、両者の間に立つ就労支援機 関の役割がきわめて重要であるが、現状では、企業ニーズの的確な把握の上に立った支 援が十分にできていない等、企業と就労支援機関の間にも大きなギャップがあり、その 解消に向けた取組も必要である。  中小企業において障害者の雇用機会をさらに拡大するためには、大企業に比べて職務 ごとの業務量に限りがあると考えられること等から、職務の分析・再整理を通じて仕事 を切り出す(生み出す)ことが重要であると考えられる。  このような仕事の切り出しについては、特に、中小企業では工夫が必要であると考え られることから、障害者に適した職務の集約等に関して、好事例やノウハウの提供を行 うとともに、職務分析等に関してノウハウを蓄積している地域障害者職業センター等の 外部機関による相談・支援体制を強化する必要がある。  次に「(3) 職場定着に関する支援」です。障害者の職場定着に関して、不適応が 発生するケースをみると、小さなことの積み重ねが原因となることが多いことから、日 常的な支援が重要であると考えられる。特に中小企業に関しては、企業側をどのように サポートしていくかが重要である。  中小企業においては、障害者雇用そのもののみならず、障害者の雇用管理に関する情 報も少ないことから、中小企業における障害者の職場定着を円滑に進めていくためには、 好事例ということにとらわれず、一般的な雇用事例についても広く情報を提供したり、 地域における行政・企業のネットワークの中で情報交換や相談ができるようにしたりす ることが、必要である。  中小企業では、障害者の職場定着のための支援体制の確保が企業内では困難である場 合も多いと考えられることから、ジョブコーチ等を活用することが重要であると考えら れる。  このため、ジョブコーチの着実な育成を図るとともに、企業において一層活用しやす くなるよう、ジョブコーチ支援制度について見直しを行っていく必要がある。  また、企業OB、特に団塊の世代を活用し、そのノウハウが中小企業における障害者 雇用に対する支援として活かされるようにしていくことも、重要である。  さらに、精神障害者の職場定着を考えると、一緒にいるだけで安心できるという ような形のサポートについて検討することも考えられる。  障害者の職場定着のためには、個々の障害者の特性に応じた対応方法などの事業主に 対する雇用管理に関する助言・援助が重要になるととともに、健康管理・金銭管理等の 日常生活上の支援が必要となるが、このような支援は、企業のみで対応できるものでは ないことから、身近な地域の中で、就業面及び生活面について一体的に支援を受けるこ とができるよう、障害者就業・生活支援センターの全国展開を早期に図ることが必要で ある。  障害者が職場で能力を十分に発揮できるようにするためには、在職中の障害者に対し 職業訓練機会を拡充することも重要であるが、このことは、障害者の職場定着にも資す るものと考えられる。  次に「(4) 複数の中小企業が共同で障害者を雇用する仕組み」です。中小企業に おいて障害者の雇用機会を拡大していくためには、職務の分析・再整理を通じて仕事を 切り出す(生み出す)ことが重要であると考えられるが、中小企業においては、個々の 企業では障害者雇用を進めるのに十分な仕事量を確保することが困難な場合もあると考 えられる。  このような場合、事業協同組合等を活用して、複数の中小企業が共同して障害者の雇 用機会を確保することが有効ではないかと考えられることから、このような仕組みにつ いて、今後検討を進めていく必要がある。  また、上記のような仕組みについては、実態上生じうる課題を把握・整理し、それに 対する対応を検討していくために、まず、モデル的な取組を行っていくことも必要であ る。  次に、大きなVといたしまして、「中小企業における経済的負担の調整の実施につい て」です。まず1としまして「現行の障害者雇用納付金制度について」です。  すべての事業主には、障害者の雇用を共同で果たしていくべき責任があるとの社会連 帯責任の理念に基づいて、法定雇用障害者数以上の雇用が義務付けられている。このこ とを前提として、障害者雇用納付金制度は、障害者の雇用に伴う経済的負担に着目し、 経済的側面から事業主の障害者の雇用に関する社会連帯責任の履行を求めようとする制 度である。  すなわち、障害者雇用納付金制度は、まず第一に、法定雇用率未達成の事業主からそ の不足数に応じて障害者雇用納付金を徴収し、これを原資として、法定雇用率を超えて 障害者を雇用する事業主に対して、障害者雇用調整金を支給することにより、事業主間 の障害者の雇用に伴う経済的負担の平等化のための調整を図り、もって障害者の雇用に 関する事業主の共同連帯責任の円滑な実現を目的とするものである。  また、あわせて、障害者を雇用する事業主に対する助成、援助を行うことにより、障 害者の雇用を容易にするものであり、これらにより、全体として障害者の雇用水準を引 き上げようとするものである。  このように、すべての事業主に法定雇用障害者数以上の障害者の雇用義務が課せられ ていることを前提とし、障害者雇用納付金制度は、障害者の雇用に伴う経済的な負担の 調整を第一の目的とし、すべての事業主がその雇用する労働者の数に応じて平等に負担 するのが原則である。しかしながら、現行制度においては、当分の間の暫定措置として、 特に障害者雇用納付金の徴収及び障害者雇用調整金の支給による経済的負担の調整のみ について、常用労働者300人以下の規模の企業を対象外としているところである。  これは、制度創設当時において、中小企業における経済的な負担能力と、中小企業に おいては全体として雇用率が達成されているのに対し、大企業では障害者の雇用率が低 いという事情とを勘案したものである。  一方、常用労働者300人以下の規模の中小企業については、障害者雇用納付金制度 による経済的負担の調整の対象となっていないが、同制度に基づき、法定雇用率を超え て一定水準以上の障害者を雇用している場合には、報奨金が支給されている。  また、常用労働者300人以下の規模の中小企業についても、大企業と同様、各種の 助成金が支給されている。  次に2としまして、「中小企業における経済的負担の調整の在り方について」です。 まず、「(1)障害者雇用納付金制度の障害者雇用における効果」です。障害者雇用納 付 金制度発足以来の企業における実雇用率の推移をみると、大企業 (300人以上 規模)の実雇用率は一貫して改善傾向にある一方、中小企業(299人以下規模)の実 雇用率は、上述のように、ここ十数年、低下傾向にある。このため、現在、大企業の障 害者雇用の水準は、制度発足当時と逆転し、中小企業より高くなっている。  また、278〜333人規模(法定雇用障害者数5人)の企業について、278〜3 00人規模と301〜333人規模に区分した上で、障害者の雇用状況を比較すると、 両者の企業規模に大きな違いがない中、0人雇用の企業割合や実雇用率、法定雇用率達 成企業割合をみると、278〜300人規模の企業より、301〜333人規模の企業 の障害者雇用の水準が高い状況が明確である。  さらに、II2で述べたように、障害者雇用に関する考え方についても、301人以上 規模の企業においては、「法定雇用率以上を目指す、ないし維持する」あるいは「法定 雇用率を目指す、ないし維持する」とする企業が約8〜9割であるのに対し、300人 以下規模の企業においては、このような企業は約4割に止まり、「特に目標は決めてい ない」とする企業が約4割、「障害者は雇用しない」とする企業が1割以上となってい る。  このような障害者雇用の状況や障害者雇用に関する考え方における、企業規模300 人を境とした違いにかんがみると、特に大企業においては、CSR(企業の社会的責任) の観点からの取組や特例子会社制度の活用等により、障害者雇用の状況が改善されてき た面があるとしても、障害者雇用納付金制度による経済的負担の調整が実施されてきた ことが、大企業における障害者雇用の取組や理解の促進について、相当程度の効果を上 げてきたと考えられる。  つぎに「(2)今後の制度の在り方」です。今後、障害者の就労意欲が一層高まると ともに、福祉的就労から一般雇用への移行等、多くの障害者が企業での就職を目指すこ とが考えられ、身近な地域における障害者の雇用機会の確保・拡大に向けて、中小企業 が役割を果たしていくことは不可欠である。しかしながら、ここ十数年、中小企業にお ける障害者の雇用状況は低調であり、中小企業における障害者雇用を促進していくこと はきわめて重要である。  このような中で、障害者雇用納付金制度においては、300人以下の規模の中小企業 は障害者雇用納付金の徴収対象となっていないため、301人以上の規模の企業であれ ば法定雇用率を超えて1人でも多く障害者を雇用していれば支給される障害者雇用調整 金が支給されず、障害者を4%又は6人のいずれか多い数を超えて雇用している場合に ついて、報奨金が支給されており、その支給を受けている中小企業はごくわずかとなっ ている。  このような制度の状況は、中小企業における障害者雇用の取組を促進していくために は、十分なものとは言えない状況にあると考えられる。  したがって、中小企業においても障害者雇用を確実に進めていくためには、法定雇用 率を超えて障害者を雇用している中小企業と法定雇用率を達成していない中小企業との 間の経済的負担の不均衡を調整していくことが必要となっており、300人以下の規模 の中小企業についても、障害者雇用納付金制度の適用対象、すなわち、障害者雇用納付 金を徴収し、障害者雇用調整金を支給する対象とすることを検討することが適当である と考える。  この検討に当たっては、中小企業の経営実態等に十分配慮しつつ、規模別にみた障害 者雇用の状況や経済的な負担能力を勘案して、実施時期や対象とする中小企業の範囲、 また、その際に中小企業に対する支援策を集中的に実施することにより障害者雇用を促 進する流れを強めていくことも含め、今後さらに検討することが適当である。  そして、大きなVIで、「おわりに」ですが、今後、福祉施設から地域生活への移行が さらに進むことが見込まれる中で、地域における障害者雇用の受け皿として、中小企業 の重要性はさらに高まることが予想される。  かつては、中小企業の方が大企業より障害者雇用が進んでいたが、これは、中小企業 において、経営者をはじめとして障害者雇用に関し深い理解があったとともに、経営に おける柔軟性、機動性、あるいは人間関係の緊密さ等その特性を十分に活かし、障害者 の雇用やその継続のために、様々な工夫を凝らしていたためではないかと思われる。  また、現在でも多くの障害者が中小企業において働いており、中小企業は、障害者の 雇用に関し、大きな可能性を持っていると考えられる。このため、中小企業全体の障害 者雇用が進むよう、これまで障害者雇用の経験のない中小企業等においても積極的に障 害者雇用を進めるための雇用支援策を充実させるとともに、中小企業における経済的負 担の調整について、具体的な検討を行うことは、喫緊の課題である。  本研究会の報告が、こうした課題の解決に向け、中小企業における障害者の雇用機会 の拡大に資する処方箋として、着実に実施されていくことを期待したい。  以上です。 ○座長  ご苦労様でした。それでは、今の報告書案について、御意見をいただければと思いま す。いかがでしょうか。どうぞ。 ○藤原委員  相対的にいいと思うのですけれども、私は中小企業の雇用促進を、ここにも書いてあ るように、仕事はないとか、少ないというのが出ていますね。だから、短時間労働を中 小企業の場合も大きくカウントできるようにした方が進むのではないかと思うのですが。 これは、「多様な雇用形態等に対応する障害者雇用率制度の在り方に関する研究会」で すか。あちらの方で検討されているようですが、ここにもそれを入れ込んでいただいた 方が、より中小企業の経営者の方にも分かりやすいのではないかと思います。以上です。 ○障害者雇用対策課長  今御指摘のあった点でございますが、今、藤原委員から御紹介のありましたように、 これとは別に行わせていただきました「多様な雇用形態等に対応する障害者雇用率制度 の在り方に関する研究会」の方で、先週の金曜日に最終の会合がございまして、ここと 同じように報告書の案を御議論いただきました。その報告書の案のなかでは、今お話し がありましたように、短時間労働、週20時間から30時間の間の部分について、今後は雇 用義務の対象にここも含めてやっていくというのが適当ではないかというような方向の 結論をいただく形での御議論が進んだところでございます。まだ、座長預かりの形にな っておりますので、報告書の案としては確定をしておりませんが、方向性としてはそう いう御議論がそちらの研究会でも出ておりますので、今の藤原委員の御指摘を踏まえま して、こちらの方でも、触れ方としては簡単な触れ方になるかと思いますけれども、触 れておくように文章を検討してみたいと思います。 ○座長  他にございますか。どうぞ。 ○森戸委員  細かい点も含めていくつかあるんですけれども、1つ目は、これは大したことではない のですけれども、8ページの(3)の丸の3つ目の精神障害者の職場定着のところですが、 「一緒にいるだけで安心できるというような形のサポート」というのは、普通にぱっと 読むと、何だかちょっとロマンティックな表現だとは思いますけれども、分かりづらい かなと思いまして、もうちょっと何か普通に読んでも、どういうことか分かるように。 大体、研究会に参加していれば分かるのですが、初見でも分かるような感じに、ちょっ と書き加えていただければいいかなと思います。細かいことですけれども、それが1点 です。  2点目は、9ページの5の1の丸の2つ目です。「このように」で始まるところですが、 ここはちょっと最初の文章の繋がりが少し悪い気がして、これは最終的に見直していた だければいいんでしょうけれども、特に、「すべての事業主がその雇用する労働者の数 に応じて平等に負担するのが原則である。」は、何を負担するのかがここではちょっと 分かりづらいので、そこをちょっと分かりやすく書いていただいたらいいかと思います。 これに続いて、これは質問になりますが、「しかしながら、現行制度においては、当分 の間の暫定措置として」とありますよね。この辺りは、私は前に意見を聞かれたときに、 原則として、そもそも雇用率の雇用義務は全体にかかっていて、ただ、経済的負担はこ こだけに課しているというのが、現行法の枠組みのはずなので、それを書いたらいいの ではないかと申し上げたら、大分書き込んでいただいて、それは非常に有り難いと思っ ています。   確認なのですが、当分の間の暫定措置というと、普通は何か附則に当分の間と書い てあるとか、そういう感じのことなんですけれども、この当分の間の暫定措置というの は、何か法律上そういうふうに何か担保するものがあったかなというのを、ちょっと自 分で言っておいて少し怪しくなりましたので、ちょっとそこを確認したいというのが2 点目です。  結局、文章で最後にどこにかかるのかが、実はちょっと分かりづらいんです。実施時 期や対象とする中小企業の範囲を、今後さらに検討するということなのか。ただ、真ん 中に、「その際に」と入っているのは、その際というのは、どの際になんだろうという のもちょっと分かりづらいので、ちょっと細かいところばかりですみませんけれども、 何をこの研究会が提言しているかという非常に重要なところだと思うので、少し分かり やすく書き直していただけたら有り難いかなと思いました。細かいことばっかりですけ ど、以上です。 ○座長  一番初めの8ページ目の「一緒にいるだけで安心できる」というところの書き直しは 事務局と相談いたしますので、任せてください。それから、9ページの暫定措置につい ては、お願いします。 ○障害者雇用対策課長  9ページ目の、「当分の間の暫定措置として」というところについですが、具体的には 先ほど森戸委員から御指摘がありましたように、法律の附則でそのように規定がされて いるという形になっています。ちょっと御紹介申し上げますと、障害者雇用促進法の附 則第4条にこの規定がございまして、常時300人以下の労働者を雇用する事業主について は、当分の間、これらの規定は適用しない。ということになっております。今、これら と申し上げたところに、納付金の徴収、調整金の支給に関する規定が並べられていると いう形でございますので、法律上、本則では適用があるものの、附則で当分の間適用の 対象外にしているという形でございます。  それから、最後の点11ページの御指摘の点ですが、ここは非常に悪文で大変恐縮なん ですが、実施時期や中小企業の範囲、それから、これらを強めていくこと。 この3つが並列に並んでおるつもりでございまして、従って、実施時期や中小企業の範 囲、これらを強めていくことも含めのところに、実施時期と中小企業の範囲がかかって いるというふうに読んでいただくつもりでつくっておるということでございます。 ○森戸委員  その際には、では、どの際になんですか。 ○障害者雇用対策課長  この、その際についてですが、その上の段で、対象とすることを検討することが適当 である、となっているわけですが、対象とするということを考えた場合には、対象とす る際にはというように、そういうつもりでございます。 ○森戸委員  だとすると、ちょっと、その際の「その」が離れすぎなのと、あとは、すみません、 僕は別に国語の先生ではないのですけれども。普通、何とかことだったら、やはり、こ と、こと、こととなっているか、それか、もう全部、体言、体言、体言というのですか。 言葉、言葉、言葉で並んでいないと、ちょっと並列が分かりづらいかなと思います。そ れはまた座長にお任せしますので。 ○座長  他にございますでしょうか。どうぞ、倉知委員。 ○倉知委員  11ページの最後の2つの○が、この研究会の最終的な結論かなと思います。そうみる と、調整金を支給する対象とすることを検討するというのは、対象とするかどうかをま た後で検討しましょう。そして、検討するときには、支援策についても、さらに含めて 検討しましょう。そんな結論かなと思いました。約1年間、いろいろ議論してきて、終 わってしまって、今後検討するとしたら、一体いつになったら具体的になっていくのか なと思いました。何かちょっと消化不良みたいな印象がありましてこの、対象とするこ とを検討することが適当というのは、どの辺りを念頭におかれて書かれているのかとい うことをちょっとコメントいただきたいのですが。対象とするということを、ある程度 意図して検討していくのか。対象とするかどうかを含めて検討していくのかということ なのですが。 ○障害者雇用対策課長  まず、今回、まとめさせていただいておりますこの報告書につきましては、今、11ペ ージのところが結論ではないかという倉知委員からの御指摘がございましたけれども、 私どもとしては、この研究会においては、その前のIVのところ以降、まずは課題の整理、 それから、支援策として、理解の促進、マッチング、職場定着といったようなところも 含めて、どうやって中小企業の取り組みを盛り上げていくかというようなところも、か なりいろいろな御意見、御提言をいただきながらまとめてきたつもりでございますので、 その意味で、必ずしも11ページのところだけが結論ではなくて、結論はどこかというこ とになれば、5ページ以降縷々記載をさせていただいているところの全体が、この研究 会としておまとめいただいた内容かなと思っているところです。  その上で、11ページのところでは、対象とすることを検討することが適当だという表 現を使っているところについて今御指摘がございましたが、ここの部分は、いわば制度 的な対応法というふうなことになってきます。もっと具体的に申し上げれば、法律改正 が必要であるような事項であるということに関わってまいりますので、その意味で、こ の研究会をおまとめいただいた以降も引き続き労働政策審議会の障害者雇用分科会の方 で御審議を深めていただく必要がございます。そういったことを念頭におきまして、こ この表現といたしましては、対象とすることを検討する。つまり、引き続き検討してい くということで書かせていただいているつもりでございます。 ○倉知委員  分かりました。 ○座長  他にどうですか。どうぞ。 ○小川委員  今の課長のお話を伺いますと、私は障害者団体の当事者団体長という立場からします と、これらを逐次私は整備していくというふうに解釈できると思いますので、どうぞ1 つよろしくお願い申しあげたい。こういうように思います。 ○座長  他にございますでしょうか。どうぞ。 ○金子委員  今の段階で、私ども精神障害者を雇ったりしている立場からいいますと、やはり4%以 上でないと報奨金の対象にならないとかというようなことも、細かくやると出てきまし て、そういうことからいうと、やはり当分の間という措置ではなくて、もうちょっとこ の辺を、300人以下だけの、あるいは56人以上の企業だけではなくて、もうちょっと小 さい企業も含めて、考えていただくということも考慮に入れていただきたいと思います。 ○座長  他にどうぞ。 ○堀江委員  報告書のまとめをありがとうございました。この報告書を拝見していまして、私ども の就労支援者の役割というのは大変大きな役割になってくるのだなということを改めて 実感をしているところなのですが、では、その人材をどういうふうにして養成していく のか。誰が担っていくのか。財源はどうしていくのか。というようなところは、この研 究会のこの報告書のなかに盛り込むべきことではないのでしょうけれども、そういった ものがきちんと裏付けられていかないと、この報告に上がったものが、現実化していく のはとても難しいだろうなと思っています。例えば、就労支援に関わる人たちというの は、今、特に資格としてあるわけでもなくて、そういったところでは、例えば精神保健 福祉士の活用ですとか、資格を持っていながら、その現業に就いていない人がたくさん いらっしゃいます。そういった人たちの具体的な仕事として、ボランタリーな形で企業 に関わるのではなくて、そういう有資格者の人たちが活躍できるような仕組みですとか、 報告書の通りにうまくいくために、周辺の整備を是非していただきたいなと、これを拝 見して思いました。以上です。 ○座長  他にございますでしょうか。どうぞ。 ○原川委員  私もいろいろと意見を申し上げましたけれども、全体の感想としては、中小企業も積 極的に障害者雇用に取り組んでいるという姿も書いていただきまして、そういう点で、 中小企業は駄目だというような書きぶりでなくなったことについては、大変有り難いと 思っております。  それから、この経済的負担の調整も含めて、分科会でこれから議論をされるというこ とですけれども、この研究会で議論されたことは、この報告書では全然見えないわけで して、どういう議論がこの研究会で行われたかということについて、是非、分科会にも 伝えてもらいたいと思います。これをお願いしておきたいと思います。 ○座長  はい、どうぞ。 ○金子委員  中小企業の団体もですけれども、特に精神の場合は、職親の企業というのが小さい団 体ですけどございます。それもちょっと活用していただく。いろんな相談を受けるとか ですね。そういった中小企業でこれから雇おうかなというところの方々に、職親は、か なり以前から、20年以上前から雇用していますので、そういうところのノウハウも活 用させていただけたらと思いますので、よろしくどうぞ。 ○座長  他にどうぞ。 ○輪島委員  先ほどの9ページの、森戸委員が御指摘の点の、当分の間の暫定措置ですけれども、 これまでの議論のなかで、研究会の報告書に提出された資料で、当分の間暫定措置とす る理由が、その最後の3行に書いてあったのですけれども、これだけでしたっけという 確認です。  それから、もう1つは、当分の間の暫定措置は、実は制度創設当時にして、ずっとこ れまで暫定で当分の間だったわけですけれども、30年間ぐらい当分の間だったわけで、 なぜ今、当分の間を外すのかということが、ちゃんと書いてあるのかというところが、 やはり読み切れないのではないか。  それから、もう1つ。理由のところの、中小企業における経済的負担能力ですが、こ れは1つの理由なわけですけれども、それが変わっているのかどうかということも、引 き続き検証する必要があるのではないかと思っています。  それから、11ページ目の一番上の5行ですけれども、報奨金の支給の関係で、その支 給を受けている中小企業はごくわずかになっている。これも研究会で資料として数字が 出ていると思うので、何かデータ的に裏付けをした数字を述べた方が客観的なのではな いかと思います。  それから、倉知委員がおっしゃった点ですが、私どももやはりバランスが大事だと思 っていて、経済的負担の点だけが強調されるのは、この研究会の本旨ではない。むしろ、 中小企業での、雇用がどうして進んでいないのか。そのために何をすべきなのか。その 点において言うと、雇用支援策をしっかり打った上でないと、経済的負担を併せてやる ということにはならないのではないかなというのが、私どもの基本的な考え方です。以 上です。 ○座長  今3点ほどおっしゃいましたが、2点目のまず簡単な方からいきますけれども、11ペー ジのごくわずかというところをデータでちゃんと入れてくださいというのは、そういう ようにするようにいたします。  それと、最後の点は、要するに、この報告書でいいということですね。そういうこと でいいですね。そうすると、最初の、当分の間暫定措置をとるときに、何故今かという ことについて、全体的には書いてあると思うのですけれども、この部分で書けというこ とですか。例えば、中小企業の障害者雇用が落ちてきていることに対応する理由が全段 にはずっと書いてあると思いますが、書き方としては、ここで改めて整理をして、9ペ ージ目ですよね。そこで、なぜ今かということについて、もう1度明確に書き込めとい う御意見だということでいいですか。それでいいですか。何かありますか。もしそうだ ったら、また後から御相談してもいいし、何か今答えることがあればどうぞ。 ○高齢・障害者雇用対策部長  どこまで書くかということだろうと思いますが、ただ、私どもとしては、最終的な結 論は、納付金を徴収し、調整金を支給する対象とすることを検討することが適当である というのが、結論としていただくんだろうと思っていますので、この時点で、とにかく 全体としてするんだというんであれば、もうちょっとですね。経済的負担能力云々の最 後まで書くのかも知れませんが、一応研究会としては検討する事が適当であるといい御 指摘、提言だろうと思いますので、それに応じた書き方であればいいのかなと、一応私 どもは思っております。 ○座長  今の回答は、9ページ目のところの、当分の間の暫定措置としての、この辺にもう1度 明確に書いた方がいいのではないか。そういう提案だと思うのですが、何故今かとかで すね。それは、工夫しようという、そういうお話しかな。それとも、必要ないというお 話しかな。 ○高齢・障害者雇用対策部長  何故今かと言いますが、今、もう中小企業全体をするという結論を出すのであれば、 もうちょっと違うと思いますが、今検討すべきということなので、報告書のなかでこれ 以上書くのかなということです。 ○座長  分かりました。では、他にございますか。よろしゅうございますでしょうか。よろし いですか。それでは、御意見はいただいたということで、今日出てきたここの報告書案 は、基本的にはご了承いただいたということにさせていただいて、ただ、いくつも意見 が出ましたので、その分については、若干修文をさせていただく。修文の仕方について は、私と事務局にお任せいただいて、御発言された方には最終的には少しチェックして いただくことになるかと思いますが、そういう形にさせていただきます。それと、もう 1つは、この報告書に関連して、今日いろんな要望もいただきました。あるいは、これま でここでいろんな議論も行われましたので、そういう内容については、分科会に伝える ということにさせていただきたいと思います。この3つをセットにして、全体としてご了 承いただければと思います。よろしゅうございますでしょうか。 ありがとうございます。  それでは、この研究会は最後ですので、終わるに当たって、高齢・障害者雇用対策部 長から御挨拶をいただければと思います。 ○高齢・障害者雇用対策部長  昨年の夏以来でございますが、1年間にわたりまして、お忙しいなか、皆さんには何 回もお集まりいただきまして、熱心に御意見をいただいてまいりました。ありがとうご ざいました。皆様の御意見を踏まえまして、今回の報告書にまとめていただいたわけで す。このなかで、私どもは来年度からの予算要求のなかで、できる部分はやっていきた いと思いますし、あるいは、ハローワークなり、高齢・障害者雇用支援機構なりで、で きることはやっていきたいと考えております。特に、今も御議論をいただきましたけれ ども、一方では、中小企業でもっと障害者を雇用していただきたいという思いがあるな かで、中小企業の置かれている現実も考えなければいけないということであります。や はり、ここは引き続き審議会の場で御議論をしていくことが必要であろうと考えており ます。また、報告書にまとめていただいたもの以外にも、この研究会でもいろいろな御 意見がありました。そのなかでいろいろ議論していただいたものにつきましても、審議 会の場で、さらにこれを生かしながら、審議を深めていくという形で勧めていきたいと いうことです。  何れにしましても、私ども、中小企業で新たな雇用が進まなければ、やっぱり全体的 な雇用は進まないだろうという認識をもっておりますので、そこは、それぞれの立場も ありますけれども、是非、中小企業のなかでも1人でも多くの障害者の方が働けるような 状況をつくっていくということにつきまして、私どもも努力しているところでございま すけれども、委員の皆様方からも御助言、いろいろ御指導いただきながら進めていきた いと思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  何れにしましても、この1年間いろいろお世話になりました。今後とも障害者雇用につ きまして、さらに御理解と御協力をいただきますよう、よろしくお願いいたします。ど うもありがとうございました。 ○座長  ありがとうございました。それでは、最後に、本日の議事録の公開の件ですが、公開 してもよろしいですか。それでは、そうさせていただきます。また、本研究会の報告書 の件ですが、一応8月の上旬頃に記者発表をすることを予定しております。正式な日程 につきましては、追って事務局から連絡をさせていただきます。それと、その際に、今 日の議論を踏まえて、一部修正が入ると思いますので、その旨をご留意いただきたいと 思います。はい。どうぞ。 ○藤原委員  あと2つの委員会についても大体中間的な結論が出ていると思いますので、短時間で よろしいですから、ちょっと事務局から現在の状況を御報告願えないでしょうか。 ○座長  分かりました。では、課長からお願いします。 ○障害者雇用対策課長  大変失礼いたしました。先ほど少し触れましたように、1つの多様な雇用形態に対応 する障害者雇用率制度の在り方に関する研究会につきまして、先週金曜日に最終の会合 をいたしました。もう1つの、福祉、教育との連携による就労支援の推進に関する研究 会は、来週の月曜日に最終会合を予定しておりまして、こういった形で来週にかけて全 て最終の会合を開かせていただく形になりましたので、来週の然るべき早い時期に報告 書の全体を確定していただいて、新聞発表などをさせていただくという段取りを考えて おります。  多様な雇用形態に関する研究会でございますが、まず、先ほどちょっと触れましたよ うに、そのなかの1つの大きなテーマである短時間労働の問題につきましては、短時間 労働も含めて障害者の方の働く場を増やしていくということが大事だということで、そ ういった御議論のなかで、制度的には短時間についても雇用義務の範囲に含めていくと いう方向ではないかという議論をまとめていただく予定にしてございます。  それから、派遣労働につきましては、派遣労働のなかでも障害者の方が安心して十分 に能力を発揮して働くことができるような整備を図っていく必要があるだろうというこ とで、派遣元事業主あるいは派遣先の企業それぞれが、障害者に対する配慮という意味 での役割分担をしていく必要があるということを御議論としていただいておりまして、 そういった役割分担について、一定の整理をこれから引き続きやっていく必要があると いうことがございます。  併せまして、派遣の形で働いている障害者の方が全体との比較でみても、きわめて少 ない状況にございますので、そのためには、やはり派遣先の方がより積極的にこの問題 について、前向きに考えていただくことが不可欠だということで、雇用率の制度のうえ でも、派遣元事業主が今は全部責任を負った形になっておりますけれども、派遣先にも 一定のメリットを出すという制度的な部分での対応が必要ではないかということも報告 書のなかに盛り込まれる予定でございます。それから、もう1つ派遣の関係では、紹介 予定派遣という仕組みがございます。派遣を6カ月以内に継続した上で、派遣先の方で 直接雇用されるという仕組みでございますが、これは、障害者の雇用を考えた場合には、 例えば、トライアル雇用と同じように、それを一定の試行期間、助走期間として考えて、 派遣先で直接雇用されるという仕組みにもうまく使えそうだということを御議論いただ きましたので、その方向での政策の充実といったものを盛り込む予定でございます。多 様な雇用形態に関する研究会は、大きな論点はそういったところでございます。  それから、連携の研究会はこれからではございますが、今までも骨子というような形 でまとめさせていただいているなかでは、1つはこれからの障害者の方の就労の支援と いうことを考えますと、地域のなかでしっかりとネットワークをつくっていくというこ とが大切だということを、大きな御議論としていただいているところでございます。そ ういったネットワークのなかで、各就労支援を担う機関がそれぞれの役割をきちんと役 割分担のなかで果たしていく必要があるということで、ハローワークあるいは地域障害 者職業センター、それから就業生活支援センター、そして、労働行政に関わらない部分 という意味でも、就労移行支援事業者とか、あるいは、特別支援学校のようなところも 含めて、それぞれの機関がどういった役割をネットワークのなかで果たしていくべきか というようなところをおまとめをいただく形になっております。また、それに加えまし て、先ほど堀江委員の方からも御指摘がございましたように、就労支援を担う人材の育 成、研修の体系化などがこれからの課題であるというようなところも御指摘をいただく 予定になっております。  大体そういったところで、先ほど申し上げましたように、来週の早い時期に全体の確 定をして、公表させていただくことができるのではないかなと思っているところです。 ○座長  ついでに1つだけ教えてください。こちらの報告書は8月上旬に新聞発表するというこ とですが、他の研究会も一緒ということでいいですか。 ○障害者雇用対策課長  はい。3つとも始めた段階から時期を一緒にして、ほぼ1年間、それぞれやってきてい ただいて、ここに至っておりますので、障害者雇用関係の3つの研究会の報告書がまと まったという形で公表させていただこうかなと思っているところです。 ○座長  よろしいですか。他にございますか。では、事務局の方で、事務的な話をお願いしま す。 ○事務局  お手元に第9回研究会の議事録の未定稿を配布させていただいております。内容を御 確認いただいた上で、ホームページで公開したいと考えております。また、メールでも 同じものを御案内いたしますので、御意見等ございましたら、8月3日、金曜日までに事 務局宛に御連絡ください。以上です。 ○座長  それでは、この研究会を終了したいと思います。長い間活発な議論をしていただきま して、ありがとうございます。これで終わりにしたいと思います。 【問い合わせ先】   厚生労働省職業安定局 高齢・障害者雇用対策部   障害者雇用対策課 雇用促進係   〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2   TEL  03(5253)1111(内線5855)   FAX  03(3502)5394