07/07/30 未承認薬使用問題検討会議 第13回速記録 第13回未承認薬使用問題検討会議                    速記録                             平成19年7月30日(月)                         於:東海大学校友会館「阿蘇の間」   ○ 中垣審査管理課長  定刻となりましたので、ただいまから第13回の未承認薬使用問題検討会議を開催させて いただきたいと存じます。議事に入ります前に、本日の構成員の先生方の出席状況につい て御報告申し上げます。本日は岩砂先生から御欠席という連絡をいただいておりますけれ ども、11名の先生方に御出席いただいております。ありがとうございます。  また、本日御議論をお願いする個別品目の検討に当たりましては、事前に座長の堀田先 生よりワーキンググループの専門家を御指名いただいております。本日の会議で検討結果 を御報告いただくために、国立成育医療センターの中村先生に御出席いただいております。 ありがとうございます。  それでは座長の堀田先生、議事進行よろしくお願い申し上げます。   ○ 事務局  冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでにさせていただきたいのですが。 ○ 堀田座長  どうされますか。ではもう少しだけということで。それではまず最初に事務局から、本 日の配布資料の確認をお願いします。 ○ 事務局   それでは本日の配布資料でございます。お手元にクリップどめでございますけれども、 クリップを外していただきますと、1枚目議事次第、それから本日の配布資料一覧。本日 の座席表。  資料1、前回検討会議での結論に基づき、ワーキンググループで検討が行われました未 承認薬の一覧。  資料2、ワーキンググループで検討いただきました検討結果報告書。  資料2−2、検討に御参加いただきました専門家のリスト。  資料3−1、学会・患者団体から追加で検討要望のあった未承認薬の一覧。  資料3−1−1以降3−1−4まで各要望書をつけております。  資料3−2、その他4月から6月までに提出されました未承認薬の早期承認に関する要 望書の一覧を御参考につけております。  資料4、平成19年4月から6月の間に欧米4カ国のいずれかの国で新たに承認された医 薬品のリストでございます。  資料5、これまでの検討結果、検討を行った品目の状況等についての資料でございます。  参考資料1、開催要項。  参考資料2、構成員名簿。  参考資料3、対象医薬品。  参考資料4、医療上特に必要性が高いと認められるものの考え方。  参考資料5、ワーキンググループの設置についてでございます。  また、先生方の机上に本日の資料1〜4に出てまいります13品目の医薬品の欧米添付文 書等、英文で恐縮でございますけれども、のコピーを置かせていただいているところでご ざいます。大部でかつ英文でございますが、傍聴されている方々の中でこの資料を希望さ れる方は、恐縮ですが、会議終了後、事務局までお声かけをお願いいたします。以上でご ざいます。 ○ 堀田座長  ありがとうございます。資料の欠落がもしありましたらお知らせください。それでは議 事に入りたいと思います。 ○ 中垣審査管理課長  申しわけございませんが、頭撮りはこれで終了させてください。御協力よろしく申し上 げます。 ○ 堀田座長  議事に入りますが、個別の検討に入る前に、前回4月に行われましたこの検討会で検討 され、早期の治験開始を行うべきと結論された品目について、現在までの対応状況を事務 局の方から報告していただきたいと思います。 ○ 事務局  それでは御説明いたします。後ほど御説明しますが、資料5にこれまで検討した品目の 一覧がございます。その最後、3ページでございますけれども、No.36「ボリノスタット」 でございます。こちらは萬有製薬に対しまして皮膚T細胞リンパ腫、CTCLを含む非ホ ジキンリンパ腫に対する治験を早期に開始するよう要請いたしたところでございます。同 社からは検討結果を受けまして本疾患に対する治験の開始について検討したいとの回答を いただいたところでございます。  また、37番「テルビブジン」につきましては前回の検討会におきまして、開発の状況を 見守るべきとされたものでございます。開発企業によりますと、現在治験開始の検討を行 っているということでございます。以上でございます。 ○ 堀田座長  それでは先生方から、この件につきまして御質問等がありましたら、お願いします。な お発言される場合は、前のマイクのボタンを押してそれから発言をお願いして、終了しま したらもう1回ボタンを押してオフにしてください。  それでは何か御質問ございますか。ボリノスタット。よろしいですか。これは欧米では 皮膚のT細胞リンパ腫に対しての承認ですが、我が国では皮膚のT細胞リンパ腫というの は比較的まれな疾患ということで、どちらかというとその他のタイプのT細胞リンパ腫が 我が国では比較的ポピュラーだということです。ちょっと欧米と日本では疾患の構成にず れがありますけれども、欧米で承認されているのはあくまでもCTCLに対してであると いうことから、国内未承認という意味ではCTCLが中心になると、こういうことの整理 でございます。よろしいでしょうか。  それではテルビブジンについてはいかがでしょうか。現在のところ開発の状況を見守る べきという我々の判断でありますけれども、開発企業との間で現在治験の準備あるいは検 討しているという段階でございます。よろしいでしょうか。  はい、ありがとうございます。それではこの件につきましてはそのような経緯で現在動 いてございますので、よろしくお願いします。  それでは本日の具体的な議事に入りたいと思います。まずは前回の検討会議で、ワーキ ンググループでの検討を行うべきというふうにこの会議で決められた品目について、検討 したいと思います。事務局から資料1について説明をお願いします。 ○ 中垣審査管理課長  申しわけございません。先生方並びに傍聴の方々に御連絡を申し上げます。座長の堀田 先生からおっしゃっていただきましたように、本来であればマイクが入ってそれがスピー カーから流れるわけでございますけれども、今防災の関係で電源が切れているそうでござ います。したがいまして一見入っているようで、実はマイクが入っておりません。よって 先生方にはまことに申しわけございませんが、できるだけ、声を張り上げる必要はないか と思いますが、それなりに御配慮を願えればありがたいと思います。  また傍聴の方々、聞きづらいかと思うのですが、なにしろ防災の関係でございますので、 御了解いただきますようお願い申し上げます。申しわけございません。   ○ 堀田座長  はい。それでは改めてちょっと大きい声でやりたいと思います。事務局の方から資料の 説明をお願いいたします。 ○ 事務局   はい。それでは資料1につきまして御説明申し上げます。この横表をごらんください。 この品目、本日はスティリペントールでございますけれども、前回4月に開催されました この検討会議において、本年1月から3月に欧米4カ国で新たに承認された医薬品を紹介 した際に、ワーキンググループで詳しい検討を行った上で、今回の検討会議に報告するこ ととされた品目でございます。この医薬品につきましてワーキンググループにおきまして 検討結果報告書をまとめていただきましたので、これに基づいて御検討をお願いしたいと 思います。よろしくお願いします。   ○ 堀田座長  ありがとうございます。それではワーキンググループの報告書をまとめていただいた中 村先生から、この品目の検討報告をお願いいたします。 ○ 中村参考人  国立成育医療センターの中村でございます。ワーキンググループの検討結果を御報告さ せていただきます。  医薬品名はスティリペントール、抗てんかん薬、乳児重症ミオクロニーてんかんに対す る薬でございまして、EUで承認されています。  まず対象疾患について、でございますが、乳児重症ミオクロニーてんかんという疾患は、 原因不明のてんかん症候群。発症頻度は2〜4万人に1人。国内での症例数が、3000例と かそういったふうに予測推計されております。小児てんかんの中でも極めて難治でして発 症が1歳未満。典型的には発熱等を引金として、両側性、一側性の間代性けいれん発作が 遷延性に起きるのが典型的なものでございますが、発作はしだいに頻回となりまして、無 熱時にも起きるようになり、ミオクロニー発作や欠神発作等も見られるようになります。 さらに1歳を過ぎると発達遅滞、知的障害が現れ、失調、錐体外路症状などが出現する症 例も多いということです。死亡率は16〜18%とされております。  発熱や入浴などでも発作が誘発されて、容易にけいれん重積となりますので、頻回の入 院を必要とし、重篤な状態から家族や福祉施設への依存が不可避である。非常にてんかん の中でも重篤度が高い症候群でございます。  本剤の医療上の有用性についてですけれども、EMEAによって2007年1月に承認され ております。希少疾病用医薬品としての指定も受けております。  有効性についてのピボタル試験は、STICLO−France試験。これは2000年のラン セットに結果が報告されていますけれども、クロバザムとバルプロ酸の併用下でプラセボ 群の2カ月投与例では、有効例が20例中1例であったのに対して、スティリペントール投 与群では21例中15例に効いたと。それから間代性強直性けいれんでは、プラセボ群では 増加しているのに対し、スティリペントール50mg/kg/日群では1カ月で、83±28%、2カ 月時に68.6±41.9%と減少しているということで、有効性が認められております。  この追試的な試験であるSTICLO−Italyのスタディでも、似たような結果が出て おります。  安全性についてですけれども、有害事象としましては、眠気などの中枢神経症状や食欲 減少、体重減少、吐き気、嘔吐などの消化器症状などが比較的多く、時に重篤でございま すが、そのほとんどは併用薬の投与量の調節等により改善すると評価されております。  CYP2C9(チトクロームP-450の2C9)、その他の薬物代謝酵素を阻害しますた め、併用薬やその活性代謝物の血中濃度が上昇することが知られております。それらが有 効性や副作用の発現に影響している可能性をEMEAの審査側も指摘しております。  EMEAでは本剤のデータは限られているけれども、対象疾病が他に有効な薬剤のない 重篤な乳児重症ミオクロニーてんかんであることを考慮すると、本剤のベネフィットは十 分認められると考えられ、承認後の臨床試験や製造販売後調査の実施を条件として、暫定 的に承認をしております。今度得られた結果を踏まえて、ベネフィットとリスクが評価さ れるということかと思います。  検討結果ですけれども、EMEAから指摘されていることをScientific Discussionの 中から拾ってみますと、間代性強直性けいれんの減少が主に評価されていてほかの症状が 十分には評価されていない、至適用量の設定が十分に行われていない、併用薬剤の選択根 拠が弱い等の問題はありますが、この乳児重症ミオクロニーてんかんに対して、クロバザ ムとバルプロ酸という2つの抗てんかん薬の併用下で本剤の有用性が認められていると考 えられると結論いたしました。  有効な既存治療がない重篤な疾患に対する薬剤であることを勘案しまして、最大限に海 外データを活用すべきであると考えますが、EUで承認後にさまざまな条件がついており ます。特にプラセボ群においてクロバザムとバルプロ酸の投与を可能な限り増量して、そ れとスティリペントールのクロバザム、バルプロ酸併用群との比較を12週間でする、有効 性の比較をするランダム化二重盲検比較試験、これが一番大きいかと思いますが、その結 果にも十分配慮しなければなりません。  あと500mgのカプセルと分包、これは粉末です。の生物学的同等性試験、小児における ポピュレーション薬物動態試験、in vitroにおける薬物相互作用の評価、EU全体での製 造販売後調査でfailure to thrive、これは成長がおくれるといいますか、体重増加が十分 にいかないような病態でございます。それから白血球減少、肝毒性の可能性、精神運動発 達や行動への影響についての調査、こういった結果にも十分留意する必要があると考えま す。  したがって今後得られる海外の試験結果とあわせて評価することができるよう、早期に 国内における治験が開始されるべきであると結論いたしました。以上でございます。 ○ 堀田座長  ありがとうございました。それではただいまの報告に対してディスカッションをお願い したいと思います。最初に確認したいんですけれども、このSTICLO−Italyという のも同じコンビネーションでの試験ですか。 ○ 中村参考人  そうでございます。 ○ 堀田座長  わかりました。クロバザムとバルプロ酸の2剤の併用という条件で試験をされたという ことなので、そのほかとの組み合わせとか、あるいはこれが本当に至適な用量設定なのか というのはそこら辺ははっきりしない、不十分なところもあるということで、条件つき承 認という取り扱いにはなっているようでありますが、いかがでしょうか。大澤先生何か。 ○ 大澤委員  こちらにも説明していただいていますけれども、乳児重症ミオクロニーてんかんそのも のは、けいれん重積をとにかく起こして、そのけいれん重積で亡くなる患者さんがいるん です。私どもの教室で30年ぐらいの間に50例ぐらいの患者さんがいて、その間に3例ぐ らいけいれん重積で亡くなっています。  そういう意味で非常に重篤でして、そういう患者さんたちに、うちの教室でもバルプロ 酸の大量投与、普通は血中濃度50〜100が有効なんですけれども、大量投与で150ぐらい まではやってもいますけれども、それでもやはりうまくいかないという症例があります。 実際にクロバザムとの併用の治験というような経験はないですけれども、このスティリペ ント−ルでかなり有効性が高く出ていますので。これはやはりスティリペントールそのも のの効果というのは、かなり可能性としてはあるだろうというふうに思います。  やはり同じてんかんの中でも特にけいれん重積を起こしやすくて、命にかかわる可能性 があるし、それを繰り返し起こしていることによって、知的退行がどんどん進んでいくと いうことを考えますと、ヨーロッパのデータを最大限にぜひ活用していただいて、御配慮 をお願いしたいというのが、私どもの強い願いです。 ○ 堀田座長  ありがとうございます。そのほかの先生方はいかがでしょうか。 ○ 大澤委員  すいません、もう1点。患者さんの数が少ない、1人の患者さんが何度も何度もけいれ んを起こして、しょっちゅう入院はしてくるのですけれども、患者さんのトータルの数と してはそんなに多くないので、実際に何十例も集めて治験をするとなると、結構時間がか かってデータを出すのに大変だろうなというふうに思います。 ○ 堀田座長  はい。臨床側からはそういう御意見ですが、医薬品としての問題点について薬剤関係の 方、何かございますか。 ○ 堀内委員  このような薬はこれまでないので必要な薬だと思います。ただこの薬自体はいわゆるC YP P-450の強力なインヒビターであるということですので、医薬品との相互作用がか なり強いのではないかということが危惧されます。特にCYPの中で3A4、2C19,2C 9、2D6とか2A2など、いろいろなサブタイプをインヒビトすることが今配布されて いる文章にも書かれております。詳細は余りはっきりしていないようですので、開発する 過程で検討していただきたいと思います。  また、どれも遺伝子多型については調べられるようになってきていると思いますので、 できれば患者さんの遺伝子多型を調べてから投与することをできるだけ推進するよう考え ていただければよろしいのではないかと思います。 ○ 堀田座長  ありがとうございます。そのほかにいかがでしょうか、川西先生。 ○ 川西委員  今のお2人の先生の御意見で、大体私も懸念すべき問題は、堀内先生がおっしゃったよ うなことであり、また疾患が非常にある部分重篤であるということもあって、先ほどの御 報告の結論は妥当な線だというふうに思います。 ○ 林委員  私も必要性や調査報告書に関しては、そのとおりだと思います。調査報告書の中にもあ るのですが、このオーラルサスペンジョン用のパウダーとカプセルのバイオアベイラビリ ティは、どんな関係になっていくのかというところが気がかりです。今大澤先生からお話 があったように、早目に治療をスタートした患児たちがどういうふうに剤型を切りかえて いくのだろうかということも含めて情報が必要だと思います。何か初期の治験デザインを 組む際に剤型間のバイオアベイラビリティに関して検討できるデザインが用意できないで しょうか。小さいお子さんなので、治験に入るというのは非常に難しいだろうと思うので すが。場合によっては何か論文等で、倫理的供給されている症例でどこまでわかっている のかということも含めて、臨床情報が出てくるような方策を考えて剤型間のバイオアベイ ラビリティの差異の有無を明確化していっていただけると、より現場での安全な使用にプ ラスになるかなと感じました。よろしくお願いします。 ○ 堀田座長  ありがとうございました。そのほかにいかがでしょうか。皆さん大体の御意見は、いろ いろ薬剤相互作用等々ありますけれども、臨床の中では必要な薬だという位置づけかと思 います。非常に希少でしかも重篤であるという判断で、治験の早期開始を要請すべきだと いう、大体そういう御意見だと思いますが、よろしいでしょうか。 ○ 吉田委員  私は門外漢なので教えていただきたいのですけど、この種の患者さんはずっと薬を飲み 続けることになりますね。そのときに最後の検討結果報告書にありますように、有害事象 等々の評価がなかなか難しいと思うのです。コントロールもないし。実際この薬によって、 例えば精神、運動発達や行動への影響が出ているかということをどうやって評価するのか というのが若干疑問なのですが、その辺もある程度きちんとした評価基準みたいなものを つくっておかれた方が、もし問題が起こったときに、何か対処しやすいと思うのですけれ ども、海外ではどういう基準でやっておられるのでしょうか。 ○ 堀田座長  中村先生何か。 ○ 中村参考人  海外の製造販売後のデータというのはまだほとんど、承認されたのが1月に承認された ばかりでして、ちょっとそこまで、少なくとも電子的あるいは文献的に調べることができ ませんでした。 ○ 吉田委員  例えばこの薬に限らず、一般的に、例えばこういう小児の薬で長期間使わなければいけ ないという薬に対して、有害事象のモニタリングとか、あるいは発達障害みたいなものの スケールみたいなものは、あるのですか。 ○ 大澤委員  直接のお答えにはならないのですけれども、このDravet症候群というのは、Dravetた ちのグループで、約20例の知能の経過というデータが出されています。その論文によりま すと、ここにも記載がありますけれども、1歳を過ぎると発達遅滞、知的障害が現れると いうふうに書いてございますけれども、やはりだんだん知的退行が進んでいくということ は明確になっています。そしてその知的退行が進んでいくときに、要因として見ますと発 作の回数が少ないほど比較的よく保たれるというようなデータはあります。まだ例数が少 ないです。それはこの報告書のDravetたちのグループで約20例ですので、そういう意味 ではなかなかデータをきちんと集めるのは難しいです。  それと一般的なこととしても、やはり自然歴として今までのデータとして落ちるという ことは明らかなのですけれども、それと今後のデータを比べることになるくらいしかない かと思います。 ○ 堀田座長  よろしいでしょうか。これは日本で治験を開始するにしても、条件として余り容易では ない可能性がありますけれども、海外データを十分活用するという条件で、治験開始を促 すという方向でよろしいでしょうか。 ○ 中垣審査管理課長  御検討ありがとうございました。2点ほど申し上げたいと思います。資料2の1ページ 目の一番最後から3行なのですが、私どももこの報告書を事前にワーキンググループから いただいておきながら、今申し上げるのも恐縮なのですが、暫定的承認とここで書いてあ りますけれども、原文を見ますとconditioning marketing authorizationとこういってい ますので、そういう意味では、条件つき承認ということなのかなと。期限を明示したよう な暫定的なものではないんだということでございます。  2点目は、これはフランスと申しましょうか、EMEAで承認をとったのが、Biocodex 社という会社だそうでございます。そういう意味で申し上げますと、国内開発をやってく れる会社をまず見つけるところから探していくということになります。我々としてはきょ うの御結論を受けて、そういうものを国内で開発する方を見つける作業を開始したいと思 っております。またよろしくお願い申しあげます。 ○ 堀田座長  よろしいですか。中村先生、何かつけ加えることはありますか。 ○ 中村参考人  同じです。Biocodex社、フランスの小さな会社ですので、国内で企業を探すところが非 常にネックになりかねないかなと思っていました。 ○ 堀田座長  ありがとうございました。それではそういう問題はありますけれども、治験に進めるよ うに、事務局の方で対応していただきますようによろしくお願いします。  それでは次に資料3として、今年の4月から6月に学会もしくは患者団体から追加での 検討要望があった未承認薬のリストが配布されております。これについての検討に移りた いと思います。事務局から簡単に御説明をお願いします。 ○ 事務局  資料3−1でございます。前回の会議以降、追加で要望があった未承認薬のうち、現在 申請中、あるいは治験中ではないものは5品目ございました。これがその資料3−1でご ざいます。それ以外の要望のあった品目につきましては、資料3−2として一覧でおつけ しております。  それでは資料3−1につきまして、各薬剤につきまして概要を御説明いたします。  まずNo.1の「ルフィナミド」でございます。本品目につきましては、EUで新たに承 認された医薬品として前回取り上げられまして、企業の考えを聴取するというふうにされ たものでございます。こちらにつきまして、本日資料3−1−1として1枚目に日本てん かん協会からの要望書、そして2ページ目にその導入に関します、エーザイ株式会社でご ざいますけれども、その臨床開発についての意見をつけさせていただいているところでご ざいます。  次にNo.2でございますけれども、「ビガバトリン」でございます。こちらは前回の本 会議で議論したものでございます。そちらにつきまして、大澤委員より提出されました学 会の意見を踏まえまして、再度企業に検討を要請することとされたものでございます。資 料3−1−2としまして要望書、そして2ページ目に開発企業の見解をおつけしているも のでございます。  次に3番目、「経口リン酸製剤」でございます。こちらにつきましては、資料3−1− 3でございますけれども、本年5月に原発性低リン血症性クル病に用いるリン酸塩製剤と して我が国におきましては、輸液の補正用として注射製剤がございますけれども、米国に ありますカプセル剤など経口リン酸製剤を医薬品として承認していただきたいという要望 をいただいたものでございます。  続きましてNo.4、「オキシコドン注射剤」、No.5「メサドン」でございます。こちら につきましては資料3−1−4といたしまして、日本緩和医療学会よりオキシコドン注射 剤及びメサドンの導入についての要望が出されたものでございます。  まずこれら医薬品の中で、ワーキンググループで詳しい検討を行うべきものがあるかど うかについて御意見をいただきたいと考えております。よろしくお願いたします。 ○ 堀田座長  ありがとうございました。ただいまの御説明のように、学会・患者団体から追加での検 討要望があった未承認薬品目として、この資料の3−1の5品目がございます。これに関 しまして先生方から御意見をいただきたいと思います。  最近この検討会も大変注目を集めたといいますか、要望書というのが結構出るようにな ってまいりました。それぞれその領域では大変重要性を主張されるわけでありますが、こ の検討会としては全部を受けるというわけにはいかないので、どうしても優先順位なり、 強弱をつけざるを得ないというふうに考えておりますので、その点も御協力いただきまし て検討していただきたいと思います。いかがでしょうか。まずは順番に行った方がいいで すね。  それではまずルフィナミドにつきまして、御意見を賜りたいと思います。どうぞよろし くお願いします。 ○ 大澤委員  この薬剤につきまして、前回この会議で御質問がありまして、その時点で私自身が不勉 強なのでお答えできないというふうに申し上げて、学会の方に確認をとるというふうに申 し上げたかと思います。学会の方で検討いたしまして、今回要望書という形ではお出しし てはおりませんけれども、やはりレノックスガストー症候群に効くというのが、私たち小 児科の立場からいたしますと、非常に貴重な薬剤でございます。そういう点で学会として もぜひお願いしたいというふうに考えております。以上でございます。 ○ 堀田座長  はい。これにつきましては資料3−1−1に患者団体の方からの要望書が出ております。 それに対して、エーザイ株式会社からの開発の状況、可能性についての資料がございます。  今後の開発の可能性についてというところで、この審議の結果、もし進めるということ であれば、総合機構との治験相談をしたいと。このような状況です。何か事務局の方から つけ加えることはありますか。 ○ 事務局  補足させていただきます。そういう意味で、前回ヨーロッパで新しく承認されたと御報 告させていただいた際に、企業名としてエーザイという名前が挙がっていた。ヨーロッパ で承認されてアメリカでも申請中であったのが、なぜ日本で開発されていないのかという ことにつきまして企業の意見2.のところで、患者数が極めて限られるという点で見送っ ていた状況というふうに聞いております。そういった意味で、この検討会議で御議論いた だきまして、企業としても前向きに考えてもらえているのかなというふうに考えます。 ○ 堀田座長  ということですが、何か先生方から御意見ございますか。そうしますとこれは、検討会 議、ワーキンググループにおろすかどうかではなくて、既にメーカーとして対応に入って いるというふうに考えていいですか。 ○ 事務局  そういった意味で、今回のこの場で必要性があるということをはっきりと申し上げてい ただければ、よろしいのではないかなと思っています。 ○ 堀田座長  それでは中村先生からも、一言言っていただきたいのですけれども、いかがですか。急 に振って申しわけないです。 ○ 中村参考人  すいません。ワーキンググループとしてはデータを見てからしか回答のしようがないん ですが、御専門の大澤先生がレノックスガストー症候群に効くということをおっしゃって いて、それが事実であるとすればこれは非常に重要な薬剤であると考えます。 ○ 中垣審査管理課長  資料3−1−1の2ページ目をごらんいただきたいと思います。エーザイ株式会社から 一応会社としての考え方、あるいは日本でどうして今まで開発してこなかったのかという ことでまとめていただいているわけです。いい悪いは別問題として、国内においてレノッ クスガストー症候群というのは、専門医の方々にも聞いたけれども、余りに患者数が少な いというようなことから開発してこなかったんだということが述べられているわけでござ います。  また欧州に2005年3月に申請して、米国に2005年の11月に申請をして、承認がおりた のが欧州のみで2007年1月と。欧州にしては時間がかかっているというようなことを考え ますと、データ的にもまた細部を見るといろいろと難しい問題があるのかなと思うわけで ございます。  したがいまして基本的には、先ほど大澤委員からも御発言がございましたように、前向 きに考えるということなんだろうと思います。中村先生にはまことに申しわけありません が、やはり一度ワーキンググループとして議論を賜った方が、後々と申しますか、またエ ーザイを後押しする意味でもよろしいのではなかろうかと思うのでございますが、いかが でございましょうか。 ○ 堀田座長  そのような提案でございます。中村先生、先ほどはデータを見ていないのでコメントが しにくいという話だったので、ぜひデータを見て報告書をつくっていただきたいと思いま す。申しわけありません。どうぞよろしくお願いいたします。それではこれについては、 ワーキンググループの検討にゆだねるという形にしたいと思います。  それでは2番目のビガバトリンです。これは前からもこの会議に何度か出ているもので ありますけれども、いかがいたしましょうか。視野狭窄が問題で、日本では開発がとまっ たという経緯がある。今EUの方では一応市販はされているという状況というふうに聞い ています。大澤先生、何か追加的なことはございますか。 ○ 大澤委員  いや、今までさんざん申し上げてきたので、特にございません。 ○ 堀田座長  そうしますとこのビガバトリンにつきましては、学会からの要望書がございますが、企 業側のサノフィ・アベンティスから開発についての企業見解が出されております。ちょっ と長目の文章でありますが、基本的には開発はできない、あるいは薬剤の提供もしないと いう、かなり強い態度で書いてございます。これにつきまして、何か先生方の方から御意 見をいただけますでしょうか。  篠山先生、栗山先生、いかがでしょうか。 ○ 篠山委員  この理由なんですけれど、要するに視野狭窄という副作用が非常に重篤なので、それを 開発しても問題が起きるということなんですかね。開発を製薬会社の方でそれほど積極的 ではないという理由は。 ○ 堀田座長  投与された患者の3分の1ぐらいに、視野狭窄が起こって、そのうちの半分ぐらいは可 逆的だけれども、それ以外は非可逆的な変化が起こるということです。そういう意味では 開発するには重篤であるということになるのかもしれません。 ○ 篠山委員  この場合、非常に難治性の疾患で悩んでおられる患者さんがある一方で、克服しなけれ ばならない副作用があるということですね。それをどう対処するかということで、副作用 が多少あっても、根本的な疾患に対する治療を何とかしてほしいという要望が患者さんに あるわけです。それを製薬会社がどういうふうに受け取るかということではないかと思う のですけれども。それはなかなか我々で、無理を承知の上でも開発をしてくれと頼むのも 難しいと思います。 ○ 堀田座長  確か視野狭窄を客観的に評価するのがなかなか難しくて、特に幼児で難しいということ ですね。したがってかなり視野狭窄が、イレバーシブルになってから後でわかるというよ うなこともあったりするものですから、問題がちょっと深刻なんじゃないかと思います。 事前にリスクグループを割り出せればよろしいんですけれども、必ずしもそれができない というところに困難さがあるんだろうと思います。これはどのような扱いにしたらよろし いでしょうか。御意見を。 ○ 吉田委員  これは企業側の考え方もそうでしょうし、審査、承認する側の立場もある。例えばこう いう薬を治験相談をして、そういう極めて高率な有害事象、重篤な有害事象があっても大 丈夫だから頑張りなさいというふうに言うか。それはとんでもないということでも随分違 っちゃうんですね。ですから結局この辺というのは患者さんのニード、医者のニードもあ りますし、企業の論理もあるし、今度承認する側の考え方もあります。そのところをどう やって調整するかなんていうことは、多分この会議ではできないでしょう。一応僕らも判 断できるんですか。そうしなさいとかああしなさいとか。 ○ 堀田座長  これは多分、課長さんあたりは何か考えがあるんじゃないですか。 ○ 篠山委員  逆に言えば、承認している欧米でどういう理由でこれを承認したかということですね。 その点がはっきりすると判断がしやすいのではないかという気がします。 ○ 中垣審査管理課長  資料3−1−2の2ページ目、サノフィ・アベンティスから提出された資料をごらんい ただきたいと思います。3−1−2の2ページ目のちょうど真ん中、2番海外での承認・ 使用状況というのがございます。まず欧州でございますが、89年にイギリスで承認された のを初めとして20数カ国で使用されている。視野狭窄が報告されたのは、どうも承認をと った後だったようでございます。限定的な適応症と書いてありますけれども、成人では他 剤無効例に限って最終選択肢として他剤と併用する。小児てんかんでは単独療法というよ うな形にして、要するに効能効果を絞った形であります。  一方アメリカでございますけれども、アメリカは94年に成人てんかんで申請になって、 視野狭窄の報告のために、98年承認しないという結論が出た。このとき、サノフィ・アベ ンティスという会社は、いろんな会社と合併を繰り返していますから、この当時はヘキス ト・マリオン・ルセルという会社だったんだろうと思いますけれども、小児てんかんに限 定して開発を決定してオーファン指定をとったんだけれども、成人てんかん申請の変更で はなくて、最初から申請をやるという形になりました。その段階でアベンティス、この当 時はまたヘキスト・マリオン・ルセルからアベンティスにかわっているわけですが、アベ ンティスは小児てんかんの申請を断念して、権利をオベーションに譲渡しましたというこ とでございます。今のサノフィ・アベンティスという会社としては、アメリカでの申請を もうあきらめたと。これを譲ったということでオベーションという会社が今度はまた小児 ではなく成人になって、成人の適応として2005年12月と2006年10月に変更の届けを出 したと。また小児についても一応の適応として、2006年10月にNDA、すなわち承認申 請をしたということだそうでございます。  したがいましてこのもののそもそもの開発をやってきた会社、今ですとサノフィ・アベ ンティスという会社でございますけれども、このサノフィ・アベンティスとしてはもうア メリカでも日本でも治験をやっていて、治験を中断したわけでございますので、会社とし てやるという意思は持っていない。我々も今回説得に努めたわけでございますが、無理矢 理押しつけるわけにもいかないというのも、先生方がおっしゃっているとおりだろうと思 います。  一方におきましては現段階において、大澤先生の御意見、あるいは患者団体からも御意 見を賜っているところでございます。したがいまして今後の流れを見るという意味におき ましては、このアメリカでのオベーションの動きというのをウォッチと申しますか、注意 深く我々としてもその情報を集めつつ、また動きがあった際に先生方に御相談をするとい うようなことでいかがでございましょうか。  我々としても患者団体の御意見、あるいは学会の御意見をもとに、アベンティスと数回 にわたり話し合いをしたりしたわけでございますけれども、現段階においてはそのような 形で、アメリカの動きを注意深く見守りながら、何か情報、動きがあった段階で、先生方 に御相談をもう一度するというのを1つの提案として御検討賜ればと思っているところで ございます。よろしくお願いします。 ○ 堀田座長  ありがとうございます。現状では、アメリカでの承認が少しずつ適応等々が変わってき ているという動きの中で、それを見つつ日本の中でもどのような位置づけができるかとい うことを引き続き検討していくということだと思います。そのような扱いでよろしいでし ょうか。  あとは、問題はこういった20数名の患者さんが、今実際に個人輸入という形で使ってい るという状況です。今後も引き続き個人輸入でいかざるを得ないということで、治験につ いては医師主導治験も困難であるという状況では、個人輸入を患者さんには負担していた だくということが引き続き続いていくという状況は変わりがないわけです。その点につい てまた何か救済措置等々が、今後別のところでは考えられているかもしれませんので、こ の検討会議としては今のようなことで、もう少しウォッチしていくという、こういう結論 でまいりたいと思います。大澤先生よろしいですか。有吉先生。 ○ 有吉委員  この薬に限らず、きょう一番最初に検討になりましたスティリペントールの問題、ある いはその前のルフィナミドの問題もそうなのですが、この未承認薬検討会での結論は、常 に治験を早期に実施するという結論になっているわけですね、それを言うということがど れだけの意味があるかということを考える必要があると思うのは、非常に症例数が少ない と。そのことに関してエーザイが出してきた3−1−1の資料です。ここで機構の方に相 談をかけたいという中で、一番下の方の(1)の既存のデータのみで日本の承認を取得で きる可能性、あるいは(2)の追加臨床試験が必要とされる場合、その内容というような こと。これが恐らく一番重要なポイントだろうと思うんです。  未承認薬検討会で治験を速やかにやりなさいというだけでは、果たして本当に我々の役 割として十分なのかどうかというふうに思うのですが、その辺厚生労働省としてはどのよ うにお考えでしょうか。 ○ 堀田座長  既に踏み込んだ判断も今まで一部はやっていますね。余りにも希少なものである場合は、 海外データだけで承認申請をしてはどうかという判断をしたこともあります。全般的には やはり治験を早期に開始という形になって、それがどれぐらいのプッシュする力があるの か。今先生がおっしゃるのはそういうことだと思います。事務局側は何かありますか。 ○ 中垣審査管理課長  今御意見のあったことというのは、非常に重要かつほかの組織との役割分担という意味 から申し上げても、クリティカルなものだろうと考えております。と申しますのは仮にこ の会議が最後の承認というところまで責任を持つのであれば、薬事食品衛生審議会と同様 にいろいろな、例えば利益相反であるとかいろいろなことをチェックし、かつディスカッ ションし、このようなワーキンググループのレポートではなくて、もとデータに基づいて ディスカッションをしていく必要があるだろうと思います。  一方逆に申し上げますと、そういった最終的な判断とかという意味ではなくて、言葉が 適切かどうか私も自信がありませんけれども、前さばきと。要するにたくさんの御要望が あり、欧米4カ国を今チェックいただいているわけですけれども、日本でも毎年30から新 有効成分を承認しているわけでございますから、たくさんの新薬が向こうで承認されてい る。その中でもこれは持ってきてほしいというような医療の現場の御意見をまとめるとい う意味で、そういった前さばきというのが、恐らくこの検討会に一番期待されているのだ ろうと考えるわけでございます。  そこで先ほどの例ではございませんが、ワーキンググループのレポートというのが、で は次にどこへ持っていくかと申し上げますと、機構が最終的にどのようなデータを要求し ようかとか、場合によっては優先審査にしようとかいうようなことを判断してまいるわけ でございます。そのときに先ほど申し上げましたような厳密な意味ではないにしろ、先生 方がおまとめいただいたワーキンググループのレポートというのは、実は大きな意味があ るというふうに考えています。  すなわちどのようなデータを要求していくか。さらには優先審査にする、しないという ことを厚生労働省として医薬品機構として判断するわけでございますが、そのときのより どころの大きな1つになっているというのが、今の現状なんだろうと思います。  現実問題としてここで早く進めるべきだと言われたものの大半というのは、やはり優先 審査の手続を踏んできております。先ほどのエーザイの問題でございますれば、これから ワーキンググループでレポートをまとめていただくわけでございますが、しっかりとした データがあるということでございますれば、ここで言っているような、少なくとも国内で ピボタルな比較試験をやれというような話にはまたなっていかないんだろうと。そういう 意味でワーキンググループの評価、あるいはこのワーキンググループの評価を受けたこの 検討会の評価というのを、我々は頼るよすがの1つとしているという現状でございます。 ○ 有吉委員  そういう意味で、この未承認薬の検討会が承認を早くしなさいとか、そういうことは、 私は言うべきではないと思うのですが。ただいまのいろいろな治験の相談というのは一応 機構が受け持っているわけですので、私は治験の早期云々というときにできるだけ機構と の相談を早くしてくださいというような、そういう要望ならば、conflict of interestに は余り関係ないと思うので、私はやはりその程度のプッシュをしていただきたいと思うの は、例えば腎臓がんの2つ、最近、去年の末ぐらいに申請されたと思うのですが、そうい うのがまだ患者のもとへなかなか届いていないわけです。そうすると欧米と比べて2年、 3年というふうにおくれてきているという可能性もあるものですから、やはりメーカーと 機構との相談は、できるだけ未承認薬で相談に上がったものは、そのくらいのお願いをす るということは必要じゃないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。 ○ 堀田座長  治験の開始そのものは企業が機構相談などを踏まえて進めなければできないわけではな いですが、いずれにしても機構が審査を進行していくというようなことを考えますと、そ こでの取り扱いに対して我々としては優先的に行ってほしいということで、あくまで決定 とか許認可を与えるというところではないですね。そういう意味では自由に討論していた だいていい場所だと思っています。 ○ 中垣審査管理課長  今、座長が言われたことに尽きるんだろうと思います。また先ほど御意見があったよう に、今正直に申し上げていわゆる優先審査になったものにおきまして、申請から承認まで 大体1年ちょっとかかっているのが現状なんだろうと思います。  18年度の処理件数は、承認が確か70件程度、取り下げとか、そういうお断りしたもの を入れると大体100件でございました。前年度に比べて3〜4割ぐらいの処理能力がアッ プしております。  そういう点で申し上げますと、医薬品機構の処理能力も少しずつ向上してきているとこ ろです。19年度から人員倍増にも取り組むわけでございますから、我々としても早急に欧 米に劣らない体制というのをやりたいと思っていますが、いまだある程度の時日がかかっ ているのも事実でございます。  一方、我々も気にしなければいけませんし、せっかくこういう場を与えていただきまし たので、先生方にも申し上げておきますけれども、一部この検討会での結果を見ようとい う企業があらわれているのも事実であります。すなわち検討会で優先的な取り扱いである とかデータを省略していいとか言ってくれないかな。その結果を待つまで動きをとめてお こうというような話が出てきているのも、事実といってはいけませんが、うわさがあるわ けでございます。  したがいまして先生方にお願いをしたいのは、先生方、各学会からいわゆる科学的なバ ックボーンで議論しておられるわけでございますので、フランクに率直にサイエンティフ ィックな御議論を賜りたいと思っています。  私が考えるに、企業は企業で自主的に新しいものを国民に提供する。自分たちが、効果、 あるいは安全性にも責任を持ってもらうということが基本であることは間違いがないとは 思うんですけれども、いろいろ話を聞いていますと、検討会での議論を待っているという ようなところもあると思います。そういう意味で申し上げますと、ひとつこれからもサイ エンティフィックに率直な御議論を賜ればと思っている次第でございます。 ○ 堀田座長  ありがとうございました。ここの検討会の役割というものがかなり明瞭になってきたと 思います。時間の関係もございますので、資料3−1のあとの3つ、経口リン酸製剤。こ れにつきましてはいかがでしょうか。小児腎臓病学会からの検討要望も入ってございます。 これは現在のところ、代替治療というのは何をしているんですか。 ○ 事務局  そういう意味では現在の治療法では、試薬から経口のリン酸製剤を用いるものと、ビタ ミンDを併用して使用されているというふうに伺っております。 ○ 堀田座長  試薬で、ですか。 ○ 中垣審査管理課長   リン酸カリウムでございますから、非常に単純な化合物で、もうほとんど100%の。 ○ 堀田座長  普通にある試薬で治療できるということですね。 ○ 中垣審査管理課長  だと思います。 ○ 堀内委員  我々は病院におりますので、薬剤部で必要に応じて特級試薬から調製をして、患者さん に渡しています。無料で渡しているというのが実状です。経口市販薬があれば患者さんも 恩恵はあると思いますので、これは進めていただければと思います。 ○ 堀田座長  そういう院内調剤みたいな格好で、実際は市販された医薬品としては認められていない けれども、化学物質として非常にピュアな試薬を院内調剤で薬にしている。こういう場面 というのは実際はほかにもいろいろあるんですね。それを正規の薬として開発をお願いし たいというのが要望書の内容だと、こういうふうに理解をしていますが、いかがでしょう か。こういうものはできるだけちゃんとした薬として開発をした方がいいと思います。よ ろしいでしょうか。  そうしますと経口リン酸カリウムについては、ワーキンググループにおろすかどうかと いうことについてはいかがですか。もう1つは、これは受け皿としての企業があるかとい う話ですけれども、その辺は何か事務局で情報はありますか。 ○ 事務局  そういった意味でまず受け皿、こういった意味で試薬という形でかなり広く使われてい る部分もありますので。まず前回も御議論のあったシスタミンなどと同じように、これを 受け皿としてやっていただける企業を募集するような形がよろしいのではないかというふ うに考えております。 ○ 堀内委員  多分原価からいうとかなり安いものになってしまいますので、それを製剤にする企業が あらわれるかどうかということが心配になります。ぜひ薬価のことも柔軟に考えつつ検討 していただきたいと思います。 ○ 堀田座長  ヒ素なんかもそうだったんですけれど、原価は安いんだけれども薬にすると何十倍どこ ろじゃない値段に実はなってしまう。これは開発にいろいろ費用がかかるということもあ ります。 ○ 堀内委員  できるだけいい薬価がつくような形にしないとなかなか開発するメーカーはないんじゃ ないかと心配いたします。 ○ 堀田座長  心配はありますがそういうふうに募っていただくということにして、できるだけこうい ったものは試薬の段階ではなくて、医薬品として使えるようにするのが筋だろうというふ うに思います。それではよろしいですか。ありがとうございます。  それではその次の2つです。これはがん性疼痛に対するオピオイドなんですが、オキシ コドンの注射剤とメサドンにつきまして、2つが要望書として出ています。この取り扱い について検討をお願いいたします。いかがでしょうか。  最近は、オピオイドの関係も強弱も含めて、いろんなタイプのものが出てきて、その使 い方も随分日本でも進んでまいりましたけれども、この要望書の内容からいいますと、オ キシコドンの注射剤の合剤はあるけれども単品の標準薬がないんだという論調で書かれて いるかと思います。いかがでしょうか。 ○ 堀内委員  やはり疼痛をいかにして緩和するかというのが大変重要なことだと思います。できるだ けいろいろ、個人個人に合わせたものが準備されているということは、重要なことではな いかと思います。  特にオキシコドンについては、最近錠剤その他経口薬は、頻度高く利用されるようにな ってきていると思いますけれども、注射薬については1968年、一応複合薬として承認はさ れておりますけれども、実際上は、余り使用されていないのが現状だと思います。なかな か使い方が難しいということで、私たちの病院でもこれは採用しておりません。したがっ て純粋なオキシコドンの注射薬。これは必要だと思います。  メサドンについても外国では使われておりますし、大変要望が多いと思いますので、で きるだけ早い機会に使える方向へ持っていっていただきたいと思います。 ○ 堀田座長  ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。有吉先生、吉田先生、臨床の現 場ではいかがでしょうか。 ○ 吉田委員  使われないとおっしゃったんですけれども、がんセンターで複合薬についてはかなり使 っているので治験でなかったんだというのを初めて知ったぐらいです。これはむしろどう して治験にならない、普通の治験になっていないのかというのが知りたいところですけれ ども、何か理由があるのですか。 ○ 堀田座長  その辺は何か情報をつかんでいますか。 ○ 事務局  すいません。ちょっと把握しておりません。 ○ 堀田座長  特にはっきりしていないけど、この要望書では詳細のことは長い文面なものですから私 はよくは読み取れていません。有吉先生、いかがですか。 ○ 有吉委員  この要望書をずっと読みますと、早急の開発が望まれるという結論になっております。 私は必要なものだろうと思いますので、やはりそれなりの治験は必要じゃないでしょうか。  緩和医療の現場におきまして、この要望書にもありますように、モルヒネ・フェンタニ ル・オキシコドンのそれぞれの役割というのがあると思いますので、経口剤、注射剤、あ るいは経皮的なもの、座薬いろいろな剤形がそれぞれの使用の機会というのはあると思い ます。ですからそれなりの治験、私はこれこそどの程度の治験をするかということをぜひ 機構と相談してやっていただきたいと思います。これは緩和医療の現場では必要のものだ という、江口先生の要望、緩和医療学会の要望は納得できるものだと思います。 ○ 堀田座長  ありがとうございました。皆さん御承知のように、日本における緩和医療というのは、 ようやく脚光を浴びてきたというか、そういう医療現場の中のニーズが、わかってきたと ころです。従来、日本におけるオピオイドの使用状況というのは、海外に比べると非常に 貧弱であるということが指摘されてきて、ようやくそれが認識されてきた段階で、いろん な手持ちの武器と申しますか、そういったものがそろっているということは大事なことだ というふうに理解いたします。  これは検討会へおろしてというスタイルでよろしいでしょうか。一応そういう報告を受 けてという位置づけになる。 ○ 中垣審査管理課長  この両品目とも総論から言うと、緩和医療学会の要望書にまとめてあるとおりだと思い ます。すなわちオキシコドンの注射剤で申し上げれば、経口へ切りかえていくときに、複 合剤ではなくて単味が切りかえやすいんだと。またメサドンについて申し上げると即効性 があり、交差耐性が少ないと考えるんだけれども、作用時間が長くて、あるいは、QT延 長の作用が強くて使いにくいという点もあるということなんだろうと思います。  いずれにしても貴重な選択肢であるというのは、この要望書からも伺えるわけですが、 有吉先生から繰り返し言われているような、今後どういう試験をすればいいのかというの がある程度わかる。あるいは逆に申しますと、どれぐらいの強いエビデンスがあるかとい うのをワーキンググループあるいは検討会としてまとめていただくことが、開発しようと する企業の負担を大きく減らすということになりますので、そういう意味でもワーキング グループに御苦労をかけては申しわけないわけでございますけれども、ぜひ深い議論をし ていただければ、後の医薬品機構におきます審査等々においてもスムーズに流れるのでは なかろうかと思うわけでございまして、よろしくお願いしたいと思います。 ○ 堀田座長  ありがとうございました。このものの必要性という位置づけについては、皆さん一致し た意見が得られたと思います。問題はこういったものをどの程度どの規模で、あるいはど ういう治験をすることが必要とされているのか。これまでのデータと日本の現状からそう いったことも踏み込んだような報告書を期待するということで、ワーキンググループにお ろさせていただきたい。  ちょっと担当の方には負担になるかもしれませんが、きょうは藤原先生がおりませんの で、よろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。それではこの件につき ましてはそこまでにさせていただきます。  それでは、資料4の方です。この4月から6月にかけて、欧米4カ国のいずれかで、新 たに承認された医薬品のリストです。これが配布されておりますので、これについての検 討に移りたいと思います。事務局からまずアウトラインの説明をお願いします。 ○ 事務局  資料4をごらんください。前回の報告以降であります本年4月から6月の3カ月間に、 欧米4カ国のいずれかの国で新たに承認された医薬品のリストでございます。この1でご ざいますけれども、エクリズマブにつきましては米国で3月16日に初めて承認されたもの であります。本来前回の会議で報告すべきでありましたが、調査期間の関係上、漏れてし まったものであります。したがいまして今回の会議で報告させていただきます品目数は、 全部で7品目でございます。  まず1つ目でございますけれども、「エクリズマブ」、こちらの効能効果は、発作性夜 間血色素尿症の薬でございます。ヒト補体C5成分に対するヒト化モノクローナル抗体と いうものでございます。必ずしも致死的な疾病ではないと考えております。国内におきま しては、現在治験の準備中であると聞いております。  次に2番、「レタパムリン」でございます。こちら効能効果は、生後9カ月齢以上の小 児及び成人の膿痂疹、いわゆるとびひの局所抗菌剤でございます。こちらにつきましては、 プレウロムチリンという新規クラス抗生物質であります。適応疾病につきましては必ずし も致死的な疾病ではないと考えております。また、国内の開発状況等はまだないとのこと でございます。  ページをおめくりいただきまして、3品目目でございます。「フェソテロジン」。こち らは、「過活動膀胱による頻尿及び切迫尿または尿失禁」を効能・効果とするものでござ います。適応疾病の重篤性については、必ずしも致死的な疾病ではないと考えております。 国内では開発状況がないと聞いております。  続きまして4番「テムシロリムス」でございます。こちらは進行性腎細胞がんの薬でご ざいます。こちらにつきましては現在申請が行われまして承認審査中でございます。  ページをめくっていただきまして3ページ目、5番、「アルモダフィニル」でございま す。こちらは閉塞性の睡眠時無呼吸及び呼吸低下症候群などによります睡眠障害の薬でご ざいます。必ずしも致死的な疾病ではないと考えておりますが、国内での開発状況はない とのことでございます。  続きまして6番、「アンブリセンタン」でございます。こちらは、肺高血圧症を効能・ 効果とする薬でございます。こちらにつきましては、本年5月16日に我が国におきまして も、オーファン、希少疾病用医薬品の指定を行い、現在開発中でございます。  ページをめくりまして7番、「フォリトロピンアルファ・ルトロピンアルファ」でござ います。こちらは、卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンの配合剤でございますが、「黄 体形成ホルモンまたは卵胞刺激ホルモンが欠損している女性における卵胞発達」を効能・ 効果とするものであります。こちらにつきましては、必ずしも致死的な疾病ではないと考 えております。国内での開発状況はないとのことでございます。  以上が7品目でございます。またこれらの医薬品の中で、ワーキンググループなどで詳 しい検討を行うべきものがあるかどうかについて、御意見を承りたいと思っております。 よろしくお願いします。 ○ 堀田座長  ありがとうございました。それでは最初のエクリズマブはFDAで3月に承認というこ とで、手続上この中に入っておりますが、基本的には検討対象品目この3カ月、類型I、 直近3カ月の中で新たに海外での承認を得たもの。こういったものであります。まず最初 に、エクリズマブにつきましていかがでしょうか。これは実は私の専門にちょっと関係し ています。簡単に説明しますと、発作性夜間血色素尿症というのは、血液疾患でもまれで、 溶血が起こって血管の中の血液が壊されちゃう。赤血球の補体感受性が高いものですから、 補体で壊されちゃうんですね。そのためにヘモグロビン尿という、血液の中でヘモグロビ ンがフリーになって尿中に出てくるということで、それが色素尿という形をとります。  このものに対しては今まで根本的な治療が全くなくて、対症療法に尽きるという状況で ございましたけれども、それに対して、補体成分に対するモノクローナル抗体ということ で、溶血を食い止める医薬品が開発されたということです。疾患としては非常にまれで、 再生不良性貧血といういわゆる難病がありますが、これから移行してくるものがかなりの 頻度でございます。  こういった薬で海外では開発が既にかなり進んでおりまして、日本でも確か海外治験に 一部参加しているという状況と聞いております。そういうこともあって私としてはできる だけこういった代替治療がなく、対症療法に終始しているものとしては、薬として開発す る価値があるのではないかというふうに、個人的には思っております。  いかがでしょうか。後藤先生、何かありますか。 ○ 後藤委員  今お話があったように、この患者さんに対する有効な薬剤がないというところで、こう いう薬剤が現在使われるようになったという状況がある。それはやはり患者さんに対する メリットが非常に大きいという状況があれば、その疾患の重篤性ということが必ずしも生 命的な予後と一対一ということではなくて、患者さんのQuality of lifeも含めて考える という理解の仕方でよろしいのではないかと考えます。  ですからとりあえずまずこの薬剤に対する検討をしてみるということで、十分に考える 余地がある薬剤だと思います。 ○ 堀田座長  ありがとうございます。浜田先生、いかがですか。 ○ 浜田委員  治験準備中ということなんですが、どの辺のところまで進んでいるんですか。もう治験 が間近に始まるということですか。 ○ 事務局  どこまで申し上げてよろしいのかどうかというのは、企業の関係もありますが。そうい う意味で、具体的に治験の着手に向けて動いているということです。 ○ 浜田委員  これは開発メーカーというのは、そういう情報は余り言ってはいけないということです か。一応ほっておいても治験は始まるという理解でいいですね。 ○ 堀田座長  基本的にはもうそういう準備状況にはあるだろうと思いますが、それを促進するかどう かということですね。 ○ 事務局  この議論とは別にもう治験の準備が進んでいるという状況ではあります。 ○ 堀田座長  そうしましたら検討会としては、ワーキンググループに一度評価をいただくという形で おろしたいと思います。  2番目のレタパムリンにつきましてはどうでしょうか。これは外用薬です。説明書を読 みますと、とびひ、メチシリンに感受性のあるブドウ球菌に対する抗菌剤であるというふ うに書いてある。MRSAには効かないようではあります。いかがでしょうか。 ○ 川西委員  私はこれに関しては専門的に特段の知識もありませんが、一応このクライテリアからす ると、まず致死的な疾病ではないということ。それから同種同効薬がありというこの2つ のことからすると、国内状況としてなしということではありますけれども、特段私自身は ここで取り上げなくてもいいのではないかというふうに思います。 ○ 堀田座長  ほかの先生、反対はありますか。私もそのような扱いでいいと思いますが、よろしいで しょうか。特段ここで取り上げて促進することではなくて、通常どおりにお願いするとい うことだと思います。  それではその次、フェソテロジン。これはいかがでしょうか。過活動性膀胱というのは 結構話題にはなっている領域のものです。最近いろいろ新聞なんかでも、健康相談コーナ ーなどでどうしましたというのに答えるような記事が結構ありますが、いかがですか。川 西先生。 ○ 川西委員  これに関しては、私は非常に重要な薬ではあるんですが、同種同効薬がありということ で注目を浴びていることでもありますから、それの様子を見るということで、特段ここで 取り上げる必要はこのものに関してはないのではないかというふうに、個人的には思いま す。 ○ 堀田座長  ほかの先生いかがですか、よろしいですか、これの同種同効薬ありですし、ポピュレー ションとしてはかなり多くの人がありそうでありますが、通常の開発を待つというスタイ ルでいきたいと思います。ありがとうございます。  それでは4番目のテムシロリムスです。これは新しい機序の、これまでなかった作用機 序の抗がん剤、抗腫瘍薬に位置づけられると思います。Mammalian target of rapamycin という新しい選択的阻害剤であるというふうに聞いておりますが、いかがでしょうか。 ○ 有吉委員  今承認審査中というふうになっておりますので、このままでよろしいのではないでしょ うか。先ほどちょっと言いましたが、今腎がんにはソラフェニブ、スニチニブが審査中だ と思います。これはつい最近JCOにインターフェロンとかIL2との比較試験が出てお りました。これは有効性はあるという形ではございますが。一応国内状況、承認審査中と いうふうになっております。 ○ 堀田座長  もう治験は基本的には終わっているということですね。今申請中と。なるべく早く審査 を迅速にというか、それは全般的な意味でやっていただけるというふうに思います。よろ しいでしょうか。このものは間もなく出てくるのではないかというふうに思います。あり がとうございます。  それでは5番目のアルモダフィニル、これはいかがでしょうか。閉塞性の睡眠時無呼吸 症候群に対する治療薬でございます。 ○ 栗山委員  アルモダフィニルという薬については余り知らないのですけれども、これは、モダフィ ニルという薬の化学的なR体と書いてありますから、モダフィニルはRLの混合体で、ア ルモダフィニルはR体であるというふうに理解できます。モダフィニル自体は、ナルコレ プシーに日本でも既に使われて有効であるとされています。  今欧米といいますか、アメリカの方で結構この薬が睡眠時無呼吸症候群に対しても有用 であるというレポートが幾つか出ています。その内容ですが、睡眠時無呼吸症候群は基本 的には、CPAPという機械を使って治療するというのが基本なんですけれども、それをやっ ても、昼間の傾眠傾向が非常に強く残っているという人たちがおられるらしいんです。そ の人たちに対して、覚せい剤的にモダフィニルが有効であるという報告がありますし、ア ルモダフィニルもその流れで使われているのではないかなというふうに思います。  日本ではモダフィニルがナルコレプシーに対して、多分適応がとれているんですけれど も、睡眠時無呼吸に伴う昼間の眠気に対してどうかということで、今これはちゃんと厚労 省に登録した治験なのかどうかわかりませんけれども、症例を集めてグループで研究をや っているというのは、聞いております。  私はですから様子を見てもいいのではないかなという感じがいたします。 ○ 堀田座長  ありがとうございます。そのほかの御意見がございますか。 ○ 篠山委員  この睡眠時無呼吸と心不全が合併する例が非常に多くあります。睡眠に関するいろんな 研究が始まったのはここ20年ぐらいで、Wake up America「アメリカよ、目覚めよ」とい う演説をどこかの先生が議会でやって以来、睡眠に対する研究が盛んになったと言われて います。  いずれにしましても致死的な疾病ではないと書いてあるんですが、実は心不全と合併す ると非常に死亡率が高いのです。それをいかに治療するかということが1つの話題です。  2年ほど前になると思いますが、一昨年になると思いますが、CPAPという機械的な呼吸 補助がよく用いられているんですが、その生命予後に対する効果が認められませんでした。 機械を装着して睡眠をとるということで、コンプライアンスも非常に悪いということが非 常に問題になっています。  閉塞型睡眠時無呼吸が薬物によってうまくコントロールされるものであれば、合併症の ある閉塞型無呼吸症候群には、新しい治療の展開がもたらされるのではないかという気が します。 ○ 堀田座長  もう1回確認しますとモダフィルは今自主試験、あるいは臨床研究として睡眠時無呼吸 についても進んでいるんですか。 ○ 栗山委員  睡眠時無呼吸症候群でCPAPを使って、いわゆる無呼吸や低呼吸がよくなっても症状とし ての昼間の眠気というのが残っている患者さんがいるんです。そういう人に使うという形 での治験は進んでいます。これはCPAPのかわりにはならない。  これは先ほどいただいた資料を見ましたらCPAPを使ってもなお眠気が残るというよう な書き方をしてありました。基本的に睡眠時無呼吸症候群は、篠山先生がおっしゃったよ うに、生命に関係ない病気ではなく、強い低酸素及びそういったストレスが何度も繰り返 すことによって、生活習慣病的な病態が合併しやすい病態ですから生命には影響があるん です。それに対する治療とはCPAPを使って機械的に閉塞した気道を広げてやることが一番 の治療である。これは事実だと思うのですが、そうやっても昼間眠いという症状が残る人 がいます。それはなぜかというと、睡眠がちゃんと行われないために、睡眠の断裂という んですが、分断化ともいいますが、そういったことが起こって深い睡眠がとれないんです。 その結果が昼間に及んできて昼間の眠気を起こすということが話題になっています。それ に対する治療ということです。 ○ 篠山委員  閉塞型無呼吸そのものを直接改善するわけではないんですね。 ○ 堀田座長  閉塞型というと通常は太った人とか、舌根が落ちてくる、軟口蓋が落ちてくるような人 がなるんじゃないかと思うのですが、それを治すのではなくCPAPをやってその上で使用す るという、そういう意味ですね。 ○ 栗山委員  この薬が上気道の閉塞を改善するというふうに誤解されると、睡眠時無呼吸症候群の治 療にこれがプライマリに使用される可能性があります。なにしろ飲み薬ですから、最初か ら使われることとなり、非常な誤解を招くと思います。 ○ 堀田座長  それで取り扱いとしてはいかがいたしましょうか。  ○ 栗山委員  私は、アルモダフィニルよりもモダフィニルという既に認められた薬がありますので、 その適応の拡大を待つとか、そういう治験が進んでいるようでありますので、結果を見て みるのがいいのではないかと思っています。 ○ 篠山委員  私ももしそういう治療薬であれば、栗山先生のおっしゃるとおりだと思います。 ○ 堀田座長  ありがとうございます。そうしましたら同種同効薬ありということで、そちらの方の適 応拡大の様子を見るという形にしたいと思います。ありがとうございました。  それでは6番目アンブリセンタンにつきましてはいかがでしょうか、これも一応同種同 効薬ありということになって、既にオーファンドラッグ指定を受けているようでございま す。 ○ 栗山委員  このアンブリセンタンは、以前シタキセンタンというのがこの場で検討されたことがあ りますけれども、あれと同じようにエンドセリンAの受容体に対する拮抗的な薬なんです。 日本で同種同効薬としては篠山先生が開発に努力されましたトラクリアという薬があるこ とはあるんですけれども、AB両方の受容体に効くということと、それがいいか悪いかち ょっとわからないんですけれども、肝毒性が少数の症例ではありますけれども認められて、 実際上使ってみるとやはり使いにくいという症例があることは事実であります。日本では そのほかには、持続点滴靜注を使うフローランしか保険適用されていませんから、トラク リアで肝毒性の認められた患者さんには、フローランを使用するというのが今までの流れ ではあります。  最近、やはり経口薬で、シルデナフィルというものが有効であるということで、それも 今治験といいましょうか、検討が進んでおります。そのほかにやはりチョイスができる治 療法として経口剤であれば、いろいろなものがあった方がいいということで、アンブリセ ンタンが出てきていると思います。  これについては欧米での治験で有効性が認められておりますし、副作用も比較的少ない ということで、十分な候補となり得るのではないかと思っています。既に希少薬としての 指定を受けており、肺高血圧症の治療薬として今治験中ですので、それを進めていただけ ればいいと思います。 ○ 堀田座長  ということは、ワーキンググループにおろす必要はないということですね。 ○ 栗山委員  はい。 ○ 堀田座長  ほかはよろしいですか。 ○ 中垣審査管理課長  今御発言がありましたとおり、これはもう希少疾病医薬品に指定済みでございますので、 そういう意味で申し上げますと、省として開発を推進するということで決定したものでご ざいます。この検討会で今御検討いただく必要はないのかなというふうに考えています。 もちろん留意点等あれば、御意見を賜れば幸いでございます。 ○ 堀田座長  はい。そのような仕切りでよろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは最 後の7番目になりますけれども、フォリトロピンアルファとルトロピンアルファの合剤で すね、これにつきましてはいかがでしょうか。これもホルモンの欠損状態の人の治療薬と いうことになるわけですが、重篤性というのはないだろうということ。それからそれぞれ 単材としてのホルモン剤は既に利用可能であるという状況であるということでございま す。いかがでしょうか。堀内先生、林先生。 ○ 林委員  今座長の先生からも御紹介があったように、単剤としてもう準備されていますので。こ の会議で急いでということではない。また重篤性の点からいってもそれには該当しないと いうことでよろしいかと思います。 ○ 堀田座長  よろしいですか。では川西先生。 ○ 川西委員  これは多分、恐らく私の記憶の限りでは、フォリトロピンアルファのリコンビナントの フォリトロピンアルファのタイプは、既に承認を受けている。それからルトロピンアルフ ァ、リコンビナントの方は日本ではまだ承認されていないというか、向こうだけなんだろ うと思います。そういうことはありますから、リコンビナントを好むということであれば、 これもありますけれど、一応私自身は疾病の種類、それからとりあえずは天然のものとい うことでは手に入るということがある。あと今のところ要望もないということで、結論は 同じで、強いてここで取り上げるということはないのではないかというのが、結論です。 ○ 堀田座長  ありがとうございました。そのようでよろしいでしょうか。ありがとうございます。そ うしますと先ほどの資料3−1と合わせますと、ルフィナミド、それから経口リン酸製剤、 オキシコドンの注射薬とメサドン、そしてエクリズマブ、この5品目についてワーキング グループの検討にゆだねるという形にしたいと思います。ありがとうございました。  最後に資料5を御参照いただきたいんですが。 ○ 事務局  先生、1点でよろしいでしょうか。経口リン酸製剤につきましてはホームページなどで 取扱企業をまず探すというところからと考えています。  エクリズマブでございますけれども、資料4の中で私どもは、必ずしも致死的な疾病で はないというふうに記載させていただきましたが、先生の話を伺っておりますと、この適 応疾病の重篤性と有用性を総合的に勘案してワーキンググループで検討する品目というふ うに判断されたというふうに考えていきますので、以上4品目になります。エクリズマブ については、参考資料4といたしまして、適応疾病の重篤性の分類の[2]、病気の進行が不 可逆的で、日常生活に終始影響を及ぼす疾患に相当するというふうな観点で、検討の対象 になるというふうに考えておりますが、よろしいでしょうか。 ○ 堀田座長  はい。それでよろしいでしょうか。それではそのようによろしくお願いいたします。  それでは最後になりましたが資料5です。これまでに検討会で検討品目の検討をしてい ただきまして、それぞれの対応をお願いしました。現在までの状況を説明していただきま す。 ○ 事務局  それでは資料5につきまして、特に前回から変更になった品目でございますが、資料5 のNo.9「エルロチブ」でございますけれども、現在承認審査中ありますが、7月29日に 開催されました医薬品第2部会におきまして審議が行われたところでございます。  続きまして、No.15、2ページ目の一番上でございます。「リファブチン」につきまして は、本年6月に承認申請がなされたところでございます。  もう1枚おめくりいただきまして、No.32、「ダサチニブ」でございます。治験を終了し、 承認申請準備に入ったというふうに聞いております。  それからNo.35の「タルク」でございます。日本化薬におきまして、タルクの開発に入 ったというふうな報告をいただいているところでございます。以上でございます。 ○ 堀田座長  ありがとうございました。順次対応が進んでまいりますので、毎回進捗状況を確認して いただいております。何かこの進捗につきまして、御意見ありますでしょうか。よろしい ですか。大澤委員。 ○ 大澤委員  きょうスティリペントールのことが治験の促進ということで、お話があったのですけれ ども、実際にてんかんの薬剤に関しましては、18年1月にオクスカルバゼピンが、そして 18年7月にフォスフェニトインがこの会議で、ぜひやるようにということになりまして、 前回の会議までは製薬企業の方の開始ということの検討もまだなされていない、今回やっ と検討要請中という形になっております。そうしますとスティリペントールに関しまして も、かなりこれからまた1年、2年とかかってくるのかなという懸念がございます。その 辺を何か御配慮いただけるとありがたいと思います ○ 堀田座長  この点につきまして、何が事務局の方でお答えあるいはコメントがありますか。順次や っているけれども相手のあることだし、なかなかそうスムーズにはいかないかもしれませ んが、やっていただいている。 ○ 中垣審査管理課長  私どもが企業から聞いておりますのは、てんかんというのは非常に臨床試験がやりにく い分野だと。同意をとっていく、あるいは厳格な形で比較試験等をやっていく上で非常に やりにくい分野だと。特に国内の、これは精神神経領域の問題であるのかもしれませんけ れども、欧米に比べて日本というのは非常にやりにくいというのが1点。もう1つには、 医療保険における薬価が物すごく低いんだというような2点を聞いているわけでございま す。  そういう意味で、この分野はなかなか手がつかないというのも事実でございますけれど も、保険局ともいろいろ御相談をしながら、今先生が挙げられた2品目については幸いに して、外国の大きなメーカーが権利を有しておりますので、正直申し上げて、何とかしろ と、してくれということを強くお願いしているのも事実でございます。  一方先生から御指摘のあった、きょう御議論したスティリペントール。これはフランス の、正直申し上げて私も聞いたことのない会社でございます。そういう意味で申し上げま すと、前の2品目に比べるとより困難は大きいだろうと思っております。ここで御議論を 賜ったわけでございますから、困難があるからひるむのではなくて、やれるだけのことは やってみたいと思っております。 ○ 大澤委員  よろしくお願いします。 ○ 川西委員  先ほど有吉先生の方からのお話とか、今の話もあるんですけれども、私はこういうもの がここで早くせよと申請を受けたときに、見たりする立場にあるものです。例えば、きょ う出た小さいメーカーのものとか、余りに日本に申請した経験がないところのようなとこ ろは、やはり資料そのものが非常に不完全な形で出てきて、審査するのに非常に何回もや りとりして、手とり足とりみたいな形になることが少なくありません。  ですからそういうことでいって、多分担当者もそれをここの未承認薬の検討委員会で希 望があるという、要するに臨床的に非常に大切な薬だということは、ここでの決定という のは非常に重たく感じております。なるべくそれはきちんとした形をとるように努力はし ますけれども、その辺はどうしてもやはり時間がかかるということは御承知おきいただけ ればというのは思っております。 ○ 堀田座長  審査が遅い、遅いという意見がありますが、実際はキャッチボールで審査側とそれから メーカーがやりとりをして、そのレスポンスの速さとかもありますので、そう審査期間と いうのは、どちらがたくさん時間を食っているかという話になるわけです。そういう意味 で言えば、メーカー側が早くきちんとしたレスポンスをすれば早く審査は進むという関係 もあるので、相互作用としてこれは、日本の審査も習熟していかなければいけないという ふうに思います。必要なデザイン、必要な解析、あるいはそういったことが明快に打ち出 されてきて、それに基づいてやっていくことが大切です。何か腹の探り合いのような審査 をやっていてはいけないというふうに思う節もないわけではない。  よろしいでしょうか。それでは全般的に何か問題がなければ、本日の検討会の予定した 議題は以上です。事務局の方からアナウンス、お願いします。 ○ 事務局  本日御検討いただきました品目につきましては、会議の結論を事務局から該当企業に伝 達し、治験開始等の要請を行うとともに、その後の状況等につきまして、次回の本検討会 議で御報告させていただきたいと思います  また本日の会議で、個別に検討すべきとされた品目につきましては、ワーキンググルー プにおいての検討をお願いいたしまして、その結果を報告の上、次回検討をお願いするこ とになります。  次回の会議の開催でございますけれども、本日お手元に調査票を配布させていただいて おります。お手数ですけれども8月7日をめどに御回答いただければ幸いです。本日置か れている場合は構いませんので、よろしくお願いします。以上でございます。 ○ 堀田座長  ありがとうございました。それでは特になければ、きょうはちょっと早目に終わりたい と思います。どうもありがとうございました。                                      (了) 照会先 厚生労働省医薬食品局審査管理課 03−5253−1111 33