07/07/27 有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会 第9回速記録 第9回有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会 開催日:平成19年7月27日(金) 於:九段会館「真珠の間」 ○ 中垣審査管理課長  それでは、定刻となりましたので、ただいまより第9回「有効で安全な医薬品を迅速 に提供するための検討会」を開催させていただきたいと存じます。本日は、森田委員よ り御欠席という御連絡をいただいております。また、医薬食品局長でございますが、申 しわけございませんけれども、公務のために途中で退席をさせていただくことがあるか もしれませんが、御了解いただきますようお願い申し上げます。  それでは、座長の高久先生、議事進行をよろしくお願い申し上げます。 ○ 高久座長  まず、本日の配付資料の確認を事務局からよろしくお願いします。 ○ 事務局  それでは、配付資料の方を確認させていただきます。お手元1枚目に議事次第がござ いまして、その次に本日の検討会の座席表がございます。その後、資料1といたしまし て本検討会の開催要綱、資料2といたしまして検討会の構成員名簿、資料3といたしま して本日御議論いただきます報告書(最終案)、資料4といたしましてこの報告書(案) の関連資料をとじたもの、資料5といたしまして総合機構の就業規則に関する、既に検 討会で配付している関連資料を用意しております。不足等がございましたらお申しつけ ください。  以上でございます。 ○ 高久座長  それでは早速議事に入ります。昨年の10月からこの検討会が始まったわけです。本 日は、資料3にあります報告書の最終案について御議論いただきたいと思います。  この資料3の報告書(最終案)につきましては、前回と同様に第1、第2、第3の順 番に御議論をお願いしたいと思います。まず「第1 はじめに」と「第2 承認審査等 の現状」について、その概要を事務局の方から簡単に説明していただけますか。 ○ 事務局  それでは、資料3の目次を1枚おめくりいただきまして、1ページをごらんいただけ ればと思います。まず「第1 はじめに」でございますが、画期的な新薬の開発等を通 じて、国民のより健康な生活へつながることが期待されているということ。欧米諸国に おきましても、医薬品の承認審査やその安全対策のあり方等に関し、さまざまな提言が なされている状況があるということ。また、我が国におきましては、欧米諸国と比べて、 医薬品の上市までの期間が長いことが指摘されていたり、医薬品の安全性に関する社会 的な関心が非常に高いといったようなことから、このような状況を踏まえ、厚生労働大 臣のもとに「有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会」を設置させていただ き、本日まで計9回にわたり御検討を重ねていただいたといった趣旨が書かれておりま す。  2ページ目でございますが、「承認審査等の現状」についてまとめてございます。まず 1番といたしまして、医薬品の研究開発から承認までの流れを記載しておりまして、ガ イドラインなどについて、あるいはICHの活動といったようなことが書かれておりま す。また、ICHで合意したそのガイドラインの中においても、民族的要因が影響を与 えること及びその評価の必要性が指摘されていたり、承認審査に際して海外の治験結果 を利用する場合においても、国内において一定の治験を実施して、その有効性、安全性 を検証することを基本としているといったようなことが書かれております。  3ページ目に参りますと、承認審査の体制等といたしまして、厚生労働大臣、独立行 政法人医薬品医療機器総合機構におけます承認審査の体制、あるいは薬事・食品衛生審 議会との関係が、まず第1段落目に書かれております。また、欧米諸国の承認審査の仕 組みについても、2段落目以降に書かれておりますし、その体制というものは、FDA、 あるいはEMEAと日本とでは、審査の方法、体制が異なるといったようなことがその 下の方に書かれております。  4ページ目に参りますと、ドラッグ・ラグについてまとめておりまして、まず我が国 におきましては、最近上市された医薬品について、世界で初めて上市された時点から、 我が国では約1,400日要しており、米国の約500日に比較して約2.5年の差が生じてい るということ。この2.5年の遅れというのは、承認申請までの期間の1.5年と、承認申 請から承認されるまでの審査期間の1年に分けられるということ。さらに具体的には、 治験の着手が遅い、治験の実施に時間がかかる、審査に時間がかかるといったような3 つに分析されると考えられるということ。その原因を探りますと、1.審査の基準やそ の実施体制が欧米に比べ整備されていないという問題、2.治験の基準やその環境が整 っていないという問題、3.医療保険における薬価制度の問題、4.製薬企業の開発戦 略の問題などに大別されるものと考えられると書いております。  4番目は欧米等の動向といたしまして、例えば米国ではクリティカルパス報告書や Future of Drug Safety報告書、またEMEAにおいてもこのような取り組みの報告書が 公表されて、より有効で安全な医薬品の開発に関する取り組みが行われているといった ような記載がございます。  以上でございます。 ○ 高久座長  はい。今駆け足で、第1と第2について御説明いただきましたが、どなたか御意見が おありでしょうか。これはあらかじめ一度ごらんになっていただいているのですか。 ○ 事務局  そうです。 ○ 高久座長  そうですね。もしなければ、また戻ってくることがあると思いますので、第3の方に 移らせていただいて、「第3 有効で安全な医薬品を迅速に提供するための具体的方策」 ということで、これは1と2と3に分かれていますが、まず「1.医薬品ごとに最適な 治験・承認審査を実施するための方策」について、これを事務局の方から説明していた だけますか。 ○ 事務局  それでは、お手元の資料3の5ページ目をごらんいただければと思います。医薬品ご とに最適な治験・承認審査を実施するための方策といたしまして、我が国で、国内外で 開発された新薬を世界で最も早く、少なくとも欧米に遅れずに国内に提供するためには、 (1)製薬企業による治験の早期開始、(2)治験実施期間の短縮、(3)承認審査の迅 速な実施が必要であるといったようなことがまず書かれております。  「なお」といたしまして、医療保険における薬価制度につきましては、現在中医協に おきまして、革新的新薬などのイノベーションの評価等の観点で議論がなされていると いうことであるので、その結果に期待したいといったような記載がございます。  まず(1)といたしまして、製薬企業による治験の早期開始のための方策といたしま して、国内で治験を開始するかどうかということは、一義的に製薬企業の開発戦略にゆ だねられている部分があって、多くの新薬が海外で先に承認され、販売が開始されるこ とにつながっているのではないかという指摘がございます。今後は、国内で見出された 新薬のシーズについて、我が国で早々に治験が実施され、その成果がより早く医薬品と して国民に還元されるとともに、その知識と経験が次の医薬品開発の礎となるといった、 イノベーションの環境を整備する必要が指摘されております。  6ページに参りますと、国内の医療ニーズを的確に把握して、必要な治験を欧米に遅 れることなく早期に開始し、欧米と同時期の承認申請、承認につなげていくことが望ま れる。また、新しく開発された医薬品をより早く国民に提供することは、製薬企業とし ての社会的責任であるとも考えられ、ドラッグ・ラグの解消を大きな目標として、行政 が主体的に必要な施策を展開することは当然として、製薬企業にもそのような施策に対 応して行動することが強く望まれるといったような記載をさせていただいております。 ここにおきましては、承認審査基準等の明確化という観点から、マイクロドージング、 バイオマーカー、再生医療、小児用医薬品の開発などについて、御検討いただいた結果 をまとめております。  まず、探索的臨床試験やバイオマーカー等の新たな技術への対応といたしまして、新 薬候補物質の評価に旧態依然の手法や概念の使用を余儀なくされていて、最新の科学技 術を医薬品開発に有効に活用されていないのではないかといったような指摘がございま す。バイオマーカー等の新たな評価手法については、一般に臨床研究を通じて開発され るものであるので、今後、臨床研究の活性化が不可欠であるといったようなことが記載 されております。  7ページに参りますと、製薬企業は、これら新たな技術を医薬品開発に積極的に活用 すべきということ。それから、行政としても、その時点における承認審査に当たっての 基本的考え方をガイダンス等として取りまとめ、公表することが求められているという ことが記載されております。  2.といたしまして再生医療の分野でございます。再生医療には大きく自家細胞・組 織利用製品、他家細胞・組織利用製品というように大別されますが、自家細胞・組織利 用製品について、そのリスクの程度が他家に比べて低いことなどから、医療機関外の事 業体が取り扱う場合について、薬事法の規制が不要ではないかといった指摘がございま す。  8ページの方に参りますが、このような指摘に関しまして、この検討会におきまして もたくさん議論をいただきました。その結果としまして、自家細胞・組織を利用すると はいえ、さまざまな製造プロセスを経てでき上がった最終製品は、本質的に自家細胞・ 組織とは異なるといったことから、現行どおり薬事法に基づく承認を要することとする ことが適当であるということ。その製造を行う事業体についても、やはり薬事法に基づ く現行どおりの製造販売業の許可を要するといった考え方が適当であるという御意見で ございました。一方、細胞・組織利用製品の特徴を踏まえた適切な薬事規制が求められ ておりまして、例えば自家製品の安全性評価基準の見直し等、こういった取り組みが着 実に実行されることが求められております。  9ページに参りまして、小児用医薬品の開発でございますが、この件に関しましては、 必要な医薬品がなかなか開発されない、既存の医薬品についても小児への用法用量が明 確でない、といったような状況が多く見られております。このため、行政は製薬企業に よる小児用医薬品の開発促進に資するインセンティブや保健衛生上の必要な方策につい て検討すべきであり、医療関係者・製薬企業は必要な協力を行うべきであるというよう な記載がございます。  (2)治験実施期間を短縮するための方策といたしまして、まず「新たな治験活性化 5カ年計画」、この着実な実施が求められるということ。さらに、臨床研究は医薬品開発 に当たり欠くことのできないものであって、治験の基盤となるものであることから、そ の推進を強く期待したいといったことが記載されております。  それから、各国で同時並行的に治験を実施する国際共同治験が、10ページ目に参りま すが、有効な手段の一つであると考えられるということ。このようなことから、この章 におきましては、国際共同治験、GCP、信頼性調査、治験薬GMPなどについてのこ の検討会での検討の結論をまとめております。  まず、国際共同治験に関しましては、その実施に当たっての基本的考え方を明らかに することが必要であるということ。それから、日米欧の規制当局が連携して国際共同治 験の治験相談に当たることが有用と考える一方、その調整にかえって時間を要するとい ったような懸念もあることから、まずは行政は欧米の規制当局と試行的な治験相談の実 施などを通じて必要な検討を行うべきであるという御意見をいただいております。さら に東アジアとの関係でございますが、11ページにまたがりまして、我が国を含む東アジ アの国々における治験結果の相互利用の可能性について研究すべきであるというような 記載がございます。  11ページに参りまして、GCPの関係ですが、我が国のGCPとICH−GCPとで 異なる規定について、あるいはGCPの運用や信頼性調査のために求められる文書につ いて、現在「治験のあり方検討会」において検討がなされているところであり、早期に その結果が公表されることが求められるということ。  信頼性調査につきましては、その効率的な運用を図ることについて検討すべきである ということ。  治験薬GMPにつきましては、治験の特性を考慮した品質確保が可能となるよう、見 直しを図ることが必要であるということ。  その他といたしまして、治験関連の情報公開について、より一層の充実が求められる といったような記載がございます。  12ページに参りまして、審査期間を短縮するための方策といたしまして、まず1段落 目に書かせていただいておるのが、ICHにおけるガイドラインの取り組みのほか、欧 米においては先端的な医薬品の開発分野を含めて、推奨される試験の実施のあり方につ いて、個別疾患領域や医薬品の種類ごとに、その時点における科学的知見や専門家の意 見を整理し、逐次公表されている。これに対し、我が国ではそのような取り組みが少な く、審査側の考え方が不明であるといったような指摘がある。今後、我が国においても、 事後的に審査結果を公表するだけでなく、適時・適切にそのような考え方を公表してい くことが求められるという記載がございます。  13ページに参りまして、治験相談体制、あるいは承認審査体制の充実方策等としまし て、この検討会で御検討いただきました結論をまとめております。まず、総合機構にお ける取り組みといたしまして、本年3月に中期目標・中期計画を変更して、必要な取り 組みを行っておりますが、例えば新薬開発から承認までの期間を今後5年間で2.5年を 短縮して欧米並みにするであるとか、2009年度までの3年間で236名増員するなど、 こういったような充実強化の着実な実施が求められるということでございます。  それから、2.総合機構における優秀な人材の確保といたしまして、14ページにまた がりますが、まず承認審査に必要な優秀な医師等が総合機構で治験相談や承認審査等の 業務に従事できるよう、キャリアパスの仕組みや柔軟な採用形態について、総合機構ほ か関係者が積極的に検討し、必要な体制を構築すべきということ。それから、現行では 企業出身者を当該出身企業の品目のみならず、すべての品目の承認審査等業務に一定期 間従事できないこととしておりますが、一層の透明性を確保した上で、就業規則の見直 しを検討すべきである。具体的には、企業出身者が当該出身企業の品目に関する承認審 査等業務に5年間従事させないとする規則は引き続き維持するべきと考えられるが、採 用後2年間企業出身者をすべての承認審査等業務に従事させないとする規則については、 一層の透明化を図ることによって、廃止すべきと考えられる。総合機構において検討を 行い、必要な対応を図ることが求められるといったような記載がございます。  その他といたしまして、必要な人材を十分に確保するために、15ページにまたがりま すが、特に承認審査の観点からは、臨床薬理学、生物統計学、薬剤疫学等に関する人材 育成が急務であって、これらの分野に関して、大学の医薬部・薬学部等における教育の 充実・強化が望まれるといったような記載がございます。  それから、14ページに戻りまして、総合機構における優秀な人材の確保の中の民間出 身者の採用に関する記載につきまして、事前にこの最終案を各委員の先生方にごらんい ただく中で、機構発足時の議論を踏まえて再度議論すべきではないかといったような御 意見がございました。このことから、お手元の資料5でございますが、既にこれまでの 検討会でもお配りしておる資料でございますけれども、まとめさせていただいておりま す。  中身を御紹介いたしますが、まず資料5の1枚目といたしまして、総合科学技術会議 の報告書の中で、民間との人事交流を活性化させる新たなルールづくりも検討する必要 があるといったような記載、特に機構と規制対象の会社の関係に注意しつつ、機構の就 業規則を緩和すべきであるといったような記載がございます。  おめくりいただきまして2ページ目でございます。この関係につきましては、第4回 検討会、第5回検討会で御議論いただいておりますが、第6回検討会のときの検討会の 主な議論をまとめさせていただいております。  3ページ目に参りますと、現在の機構におきます「就業規則等の関係条文について」、 記載させていただいております。一番上の「就業規則(抜粋)」と書いてあるところに、 2年間のルールに関して記載がございますし、下の四角囲いの「実施細則(抜粋)」の中 の左側の(2)、一番下でございますが、5年間のルールというのはここに記載がござい ます。  おめくりいただきまして4ページ目と5ページ目でございますが、これは独立行政法 人医薬品医療機器総合機構の法案審議のときに、参議院厚生労働委員会の決議といたし ましていただいたものでございまして、その1番に「機構の業務が製薬企業等との不適 切な関係を疑われることのないよう、役職員の採用及び配置に関し、適切な措置を講ず ること」といったような記載がございます。これを受けた形で、先ほどの就業規則が設 けられておるということでございまして、もう1枚おめくりいただきまして、6ページ 目からは、その当時の厚生労働委員会の議事録の抄録を添付させていただいております。 7ページ目のところに大臣の発言といたしまして、製薬企業等の元職員の新法人への就 職と新法人の役職員の退職後の再就職について、就業規則等において一定の制限を行う といったような発言がございます。  おめくりいただきまして、8ページ目からは、この検討会におきます議事録の関連部 分を抜粋させていただいたものを添付させていただいております。  以上でございます。 ○ 高久座長  今、第3の1につきましてかなり詳しく説明していただきましたが、大きな変更にな りました13ページ、14ページの人材の確保のところにつきまして、どなたか。その前 に修正案というのはもう配っていますね。説明していただけますか。 ○ 中垣審査管理課長  それはきょうの御議論を賜ってというふうに考えています。先ほど座長の方から御紹 介がございましたが、前回の検討会で骨子について御議論を賜ったところでございます。 前回の検討会の御議論を踏まえて、骨子の修正をして、それをもとに報告書の案をつく らせていただいたわけでございます。その報告書案を先生方に郵送させていただいて、 いただいた意見をもとに修正させていただいて、本日御議論を賜っておるところでござ います。したがいまして、先ほど申し上げました機構の民間出身者の就業制限の件につ きましても、委員から修正の御意見をいただきました。しかしながら、いただいたとこ ろが、前回の検討会に出した骨子を訂正するという内容でございまして、前回の検討会 においては、その部分について御議論をいただいていないために、事務局としては検討 会の中でいただいた骨子でございますから、そこは訂正できない、この場での御議論を 賜りたいということにさせていただいたところでございます。 ○ 高久座長  わかりました。それでは、特に13ページ、14ページを御議論いただきたいのですが、 その前に13ページに枠囲みで「今後の治験相談及び承認審査体制の充実強化に関する 総合機構による取り組み」は、これは報告書に入れるのですか。 ○ 中垣審査管理課長  この内容はこの検討会に報告させていただいた内容でございますが、私どもとしまし ては、このまま報告書の中にも入れていただければと考えておるところでございます。 と申しますのも、かなり具体的な改善方策を報告させていただいたところでございます から、そういう意味で申し上げますと、もし差し支えなければ報告の内容ということで、 枠囲みで先生方の報告書とは区分するような形になっておりますが、そのやり方、例え ば後ろに持っていけということでございましたら後ろに持っていかせていただきますが、 いずれにしても報告の一部にさせていただければと思います。 ○ 高久座長  わかりました。これは総合機構における取り組みの一部ですから、載せるなら個人的 にはこの場所でいいと思います。ほかにどなたか御意見は。どうぞ。 ○ 佐藤構成員  佐藤でございます。実はこのことに関してちょっと意見を申し上げたのは私ですが、 まずは最初に、本来であれば前回のこの検討会で御意見を申し上げるべきところを、後 になりまして大変申しわけございません。私がここについてちょっと意見を申し上げた 趣旨は、民間出身者も含めて優秀な人材をきちっと活用しようという趣旨には全く異存 はないのですが、この報告書の書きぶりといいますか、表現のところを多少修正してい ただけないかという趣旨でございます。実は、この報告書の骨子案が前回出たときに、 薬害被害者の団体などからちょっとこの点について、今までの経緯をもう少し踏まえた 表現でないといけないのではないか、というような声があるということも聞きまして、 私なりに考えて意見を述べさせていただきます。  具体的には14ページの真ん中より下のあたりです。「具体的には、企業出身者が」云々 かんぬんで、「2年間は企業出身者をすべての承認審査等業務に従事させないとする規則 については、企業出身者の採用後5年間の承認審査等業務の従事状況について一層の透 明化を図ることによって、廃止すべきと考えられるので」というところです。この「廃 止すべき」という表現がかなり踏み込んだ表現になっておりまして、就業規則ですので、 本来は機構の中でしかるべきところで議論されて決められるべきというところもありま す。それから、この就業規則が決まったときの、先ほど資料の中にありました国会での 委員会の決議ですとか、そういう議論の中で、もちろん2年間審査業務に従事できない というのは、人材活用という点からすると甚だ不合理であるということは恐らく当時か らわかっていたと思うのですが、それでもあえてこういう規則をつくらざるを得なかっ たというのは、やはり国民から見た総合機構に対するその当時の信頼度の問題とか、い ろいろなことがあってそういうふうに決まったということがありまして、それから5年 ほどたった現在において、そのことはどの程度透明化が図れるようになったのかという こととの絡みの中で考えて、議論されるべきではないかと思っております。  それはこの別紙の資料5、これは第5回検討会の議事録で、委員の先生方から、この 2年間の縛りというのは非常に不合理なので、やはりこれはなくした方がいいという御 意見に対する、総合機構の宮島理事長の答えが12ページの下のところに載っておりま すが、ここのお答えの中に尽くされていると思います。機構としてはそういうもろもろ のことを勘案して今の就業規則があるし、そういうもろもろの状況を踏まえて今後必要 ならば見直すということも検討していきたい、というようなお答えだったかと思いまし て、そのあたりを少し踏まえたこの報告書の書きぶりに改めていただけないかなという のが趣旨でございます。  ですので、これは私の個人的な案ですが、「廃止すべき」というところを、例えば「見 直すべき」とか、あるいは「廃止も選択肢の一つとして見直すべき」とか、何か多少機 構での議論の余地を残したような形の表現にしていただけないかなと思うのですが、い かがでしょうか。 ○ 高久座長  はい、どうぞ。 ○ 柴崎座長代理  問題提起のために、逆のサイドからのコメントを少しさせていただきますと、実際に 製薬企業で薬の開発の研究に携わってきた研究者の方々というのは、ある面では真剣勝 負をしてきているわけですね。私はその真剣勝負をしてきた方々の知識・経験というも のを、即この新薬の承認等々に活用するということは、国にとっても非常に大事ではな いかと考えております。真剣勝負の時間から時間がたてばたつほど、その研究者、技術 者の能力が落ちるとは私は言いませんが、感性は鈍ってくる可能性があります。ですか ら、私はやはりその点を考えるべきではないかという点に立っているのですが、御議論 いただけたらと。 ○ 高久座長  ほかにどなたか御意見はおありでしょうか。 ○ 佐藤構成員  今の柴崎委員のお考えは、私も個人的にまさにそのとおりだと思っておりまして、ま さにそういうふうになればいいなと思うのですが。ですので逆に申しますと、真剣勝負 されてきた企業の方が即総合機構でのお仕事についた場合でも、企業と総合機構との不 適切な関係が疑われないようになれば、恐らくそれで全く問題ないと思うのですが、そ このところが今現段階においてクリアできているのかどうかというあたりについては、 もう少し機構の方で御検討いただくというようなことを、そういう余地を残してという か、そういう表現にしていただけないかという趣旨でございます。ですのである意味で は、柴崎委員のおっしゃったことを実現することが本来あるべき姿であるのですが、そ うなる状況というんですか、国民的な合意と申しますか、それは今なのか。もう少しこ れなら、こういう透明性を確保する方策があるのだからいいでしょうという、少し先の 段階になるのかというあたりの議論の余地がまだあるのかなと思っておるわけです。 ○ 高久座長  ほかにどなたか。どうぞ。 ○ 松本(恒)構成員  今の御議論との関係ですが、参議院厚生労働委員会の附帯決議の第1項が根拠になっ て就業規則がつくられているということでしたが、ここで「機構の業務が製薬企業等と の不適切な関係を疑われることのないよう」と。これはこういう状況が確保できればい いんだという今の御議論ですが、「製薬企業等との不適切な関係」という表現は、私は「特 定の製薬企業等との」というふうに読むんですね。普通の人はそう読むと思うのですが。 であれば、出身企業の審査にはタッチさせないということで基本的にはいいわけで、た だライバル企業に対して不当な扱いをするという部分は別途残りますが、そこはまた別 の形での規制が可能であると。  出身企業を問わずあらゆる製薬企業との不適切な関係ということになると、これは一 体何を意味しているのだろうかということで、そこで強いて考えられるのは、新薬の研 究開発に一たん従事したことのある人は、すべからく安全に対するマインドが欠けてい る可能性があるという一種の決めつけに立った上で、したがってそういうマインドが消 えていく2年間、あるいは5年間は従事しない方がいいと。言ってみれば第一線の感性 が鈍るのを待つための期間というふうに、あえて解釈したら読めてしまう。そうとしか 説明できないようなことになりかねないので、特定の製薬企業ではないところの新薬開 発との不適切な関係という話だと、本当に研究者はそもそも悪いんだというような性悪 論ということになってしまうので、そこまでいくのはちょっとやり過ぎではないかなと 思います。  個人的に問題がある人はいらっしゃるでしょうが、それはまた別の話であって、現在 さまざまな学会レベルにおいて、ピアレビューということが普通に行われていて、同僚 が厳しく見るというのは、実は一番怖いところがあるわけで、わかっている人が見るわ けだから、どこでインチキをやっているかというのはわかってしまうわけですね。した がってそういう意味から、不適切な関係の疑われる特定の企業等との関係を絶つという のは、これは100%必要だし、そうであれば製薬企業出身者だけではなくて、大学出身 者でも同じことが言えると思いますから、ルールをもう少し再検討すべきだろうと思い ます。 ○ 高久座長  どうぞ、青木委員。 ○ 青木構成員  今の御意見を聞いておりまして、佐藤委員がおっしゃったような、まだ国民の信頼が 十分ではないということもあって、何らかの手だてをここに盛り込むことが必要である ということなのでしょう。私はもしそうであるならば、個人に制限をかけるのではなく て、雇用側としての機構が不適切な関係が生じないように責任をとるということを強調 すべきであって、前歴によって人の行動を制限するということは差別につながるのでは ないかと思います。それは若干問題ではないでしょうか。むしろ機構側の責任というこ とを言及していただいた方がいいのではないかという気がいたします。 ○ 高久座長  ほかにどなたか。どうぞ、池田委員。 ○ 池田構成員  私も審査に非常に専門性が必要だということから考えると、やはり製薬企業で働いて いた方たちがここで働くことというのは、基本的に促進する方向に行くべきだと思いま す。佐藤先生が言われたようなことをもし考えるのだったらば、今、青木委員が言われ たように、やはり機構側の仕組みとしてとらえた方が良いと思います。これはどこの企 業でもそうだと思いますが、利益相反も含めて、何か問題が起こるとして別に企業から 行った人でなくても十分にあり得るわけですので、そういうことが起こらないような仕 組みの方の問題に論点を置いた方がいいのではないかというのが私の考えです。佐藤先 生がおっしゃるのはもっともだと思うので、その点はそちらの側からの意見ではなくて、 むしろ機構側の仕組みとして、そういうものが起こり得ないようにしていくという格好 の方がよろしいのではないかなと思いますが。 ○ 高久座長  ほかにどなたか。この「廃止すべき」という意見は、この委員会で随分出ましたね。 ですから、「廃止」という言葉はぜひ私も残しておく必要があると思います。一つの修正 案として、「廃止を含め見直しをすべきである」というような表現が、これは佐藤構成員 と事務局の方で話し合ったのだと思うのですが、そういう修正案も出ています。「廃止を 含め見直しを検討すべきである」、あるいは「廃止を含め見直すべきである」というよう に、同じことですが。ここの委員会の意見として、やはり「廃止すべき」という意見が 非常に強かったと思いますので、機構の方で廃止をするときに、その「廃止すべきであ る」というのと「廃止を含め見直すべきである」というのと、どっちでもやはり廃止し ましょうというのなら言葉のあやですからいいと思うのですが、その点は機構の方は何 か御意見はありますか。 ○ 宮島医薬品医療機器総合機構理事長  いろいろな御意見があるので、機構としても正直悩ましい問題になると思いますが、 ちょっと幾つかお話ししたいと思います。  一つは国会決議の関係で、製薬企業との不適切な関係というところは、基本的には個 別企業の問題ではないかというお話がありましたが、ただ多分このときの議論の背景と してはもっと大きな視点から、いわゆる規制と振興を分離しろという大きな議論がまず 一つ前提としてありまして、それを受けて従来薬務局にありました経済課が医政局に移 ったり、あるいは機構の中に研究振興部というのがありましたが、これも分離して医薬 基盤研究所に移ったと。そういう規制と振興を分離するというような議論が背景に大前 提としてあって、恐らくそういう含みもあって、ここは製薬企業等というところが、個 別の企業というよりもう少し広い範囲で議論されていったかなという気がします。それ が就業規則の方にもやや反映された形になっているのかなという気がします。  就業規則の方で、出身企業の品目は扱わないというのは、これは国際的に見てどこで もやっています。それは基本的にもちろんあると思いますが、もう一つ日本の場合は少 し範囲を広くして、審査部門の業務に2年間つかせないというところが少しハードルが 高い点になっているかと思います。その背景としては今申し上げたように、当時やはり 規制と振興をきちんと分けようという議論がかなり根強かったということが、反映され たのではないかと思います。  いずれにしましても、製薬企業等との不適切な関係が疑われないように、適切な措置 として何をするかということですが、基本的には2つのアプローチがあるのではないか と思います。つまり入り口で制限するという形で、まさに採用の際、5年間とか2年間 とか業務制限をするやり方と、採用後において、ここにもありますように、透明性、公 正性をきちんと確保していく形で担保していくということであろうと思います。ですか ら、この報告書の中でも明記されていますように、一層の透明性を確保した上でという もう一つのアプローチもありますし、今機構の方の責任できちんとやれという、仕組み をつくれというのも、恐らくこれとも関連する問題であると思います。私どもも機構を 発足してから透明性を確保しようということで、企業出身者の採用状況については、運 営評議会、あるいは業務委員会が開催された都度、そのときの現状を毎回報告しており ますので、そういうものの積み重ねの中でかなり透明性を高めてきたかと思いますが、 ただそれで十分かどうかということも含めて、改めて御検討いただいた上で、まさに就 業規則の制限の方をどうするかという問題を、トータルな形で議論していく必要がある かなと思っています。  いずれにしましても、私どもとしてはこの報告書が出されましたら、それをお受けい たしまして、それを踏まえた形で私どもの中の運営評議会なり業務委員会、これはいろ いろな関係者の方にまた参加していただいておりますので、そこで議論させていただい て、最終的にどういう結論を出すかということを考えていきたいと思います。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。どうぞ。 ○ 中垣審査管理課長  先ほど青木委員、あるいは池田委員の方から、雇用者側と申しますか、機構側の責任、 あるいはその対応というような御指摘もあったかと思っています。確かにこの就業規則 自体については、佐藤委員から先ほど御発言があったことを別にすれば、この検討会で は廃止という意見が非常に強かった、廃止という意見でほぼ一致していたというのもそ のとおりだろうと思います。したがいまして、「廃止を含め、見直しを検討する」「機構 において必要な対応をとる」ということで、最終的には今、宮島理事長から発言のあっ たことも含めて、読めるのではなかろうかと考えておる次第でございます。  もしよろしければ具体的に申し上げますと、14ページの下から7行目、「状況につい て一層の透明化を図ることにより、廃止を含め、見直しを検討すべきであり、総合機構 において必要な対応を図ることが求められる」。以上でございます。 ○ 高久座長  これは「見直しを検討」より「見直すべきである」の方が僕はいいと思います。見直 しをまた検討するというのは。 ○ 中垣審査管理課長  では、「廃止を含め、見直すべきであり、」と。 ○ 高久座長  ええ、私はその方がクリアだと思います。委員会では廃止という意見が非常に強かっ たので、これは検討するよりはもう見直すべきであるというふうに言った方が、大部分 の方の意見を反映していると思います。よろしいでしょうか。ではそのようにさせてい ただきます。  では、ほかにこの第3の1について御意見はよろしいでしょうか。それでは、第3の 「2.医薬品の適正使用等について」、これを説明していただけますか。 ○ 事務局  それでは、お手元資料3の15ページ目をごらんいただければと思います。医薬品の 適正使用等につきまして、まず医薬品は基本的にヒトの身体に何らかの影響を及ぼして 疾患の治療や診断を行うものであるため、それが期待どおりに治療効果などとしてあら われる一方で、予期しない副作用が起きることも避けられない。治験全体に関して言い ますと、有効性を検証するために500例から1,000例程度の症例に基づき、これらの治 験の実施に3〜7年を要しているといったような報告もございますが、一方ヒトにおけ る安全性を検討しようとした場合に、例えば発現率0.01%の副作用を95%の検出力で 1例検出するためには、最低30,000例の症例を必要とするということで、治験等を通 じて医薬品の承認までに得られる安全性に関する情報には限界があるといったようなこ とがあろうかと思います。  16ページの方に参りますと、医薬品の添付文書には、医薬品を適正に使用するために 必要な情報が記載されており、添付文書等の情報が効果的、効率的に伝達され、医療現 場で活用されるための方策について充実・強化する必要があるといったような記載がご ざいます。このような観点から、本検討会におきまして、医薬品の適正使用を中心に市 販後安全対策について御議論いただきまして、以下の結論を得ております。  まず(1)といたしまして、市販後安全対策につきまして、我が国の制度というもの は欧米に比べて決して遜色ないものと考えられる。しかしながら、最近上市された新薬 を見ると、鋭い効き目を有する一方で、重篤な副作用のリスクをあわせ持つものなど、 市販後安全対策も、それぞれの医薬品の特徴に応じて実施されるべきであるといったよ うな記載がございます。例えばその市販直後調査につきまして、17ページにまたがりま すが、現在医薬品の種類にかかわらず一律に6カ月間としているところを、個別医薬品 ごとの特性に応じた期間とすることや、緊急安全性情報を発出した場合などには必要に 応じて同様の対応を行うなど、臨機応変に講じる必要があるという記載がございます。  (2)といたしまして、添付文書の改善とその周知徹底等といたしまして、まず添付 文書の重要性にかんがみ、医師の卒前教育や臨床研修等の卒後教育の中で重点的に教育 するなどの取り組みが必要であるということ。また、医薬品の添付文書に記載される情 報は増大する傾向にあり、医師と薬剤師が協働して医薬品の適正使用の徹底を図ってい くことが望まれるといったような記載がございます。一方添付文書につきましては、そ の記載についてできるだけわかりやすく配慮したものとすることが必要であるというこ と。また、「患者向医薬品ガイド」をさらに積極的に作成し、活用するなど、患者への情 報提供を進めることが必要であるといったような記載がございます。18ページにまたが りまして、製薬企業は添付文書による情報提供のほか、必要に応じ個別医薬品ごとに適 正使用を推進するために必要な段階的方策を検討し、実施すべきであるといったような 記載がございます。  (3)その他といたしまして、市販後調査を適切に実施するとともに、その実施状況 や結果の概要を適時・適切に公表する。また、総合機構による拠点医療機関ネットワー クなどの充実・強化、あるいは薬剤疫学的調査等の新たな調査手法の開発・活用につい ての検討といったようなことをまとめております。  以上でございます。 ○ 高久座長  はい。どうもありがとうございました。今のこの第3の2について、どなたか御意見 は。医薬品の適正使用ということですが、よろしいでしょうか。それでは、また後で全 体的に御議論をいただくことになっていますので、第3の「3.国の承認を経ない未承 認薬の使用について」、説明していただけますか。 ○ 事務局  18ページの後段でございます。まず、コンパッショネート・ユース制度について御議 論をいただきました。医薬品を承認するためには、その有効性、安全性、品質の検証は 必須であり、承認審査には一定の期間を要するものである。他方、治験の活性化や承認 審査の迅速化を図ったとしても、19ページにまたがりますが、重篤な疾患で代替治療法 がない場合などについては、やむを得ず未承認薬を使用せざるを得ない状況がある。個 人輸入の中にも、上記と同様、未承認薬を輸入して使用している実態がある。この検討 会におきましては、このような国の承認を経ない未承認薬の使用に関して、保健衛生上 必要な方策について検討をいただきました。  まず、最初の○でございますが、品質、有効性及び安全性が確保された医薬品を国民 に提供するためには、国内で必要な治験を実施し、その結果等に基づき科学的に検証し て承認をすることが基本であり、この原則は堅持すべきであるということ。一方で、重 篤な疾患で代替治療法がない場合などやむを得ない場合に限っては、今申し上げた原則 を阻害しない範囲で未承認薬を使用せざるを得ないと考えられ、このための制度の導入 について検討すべきであるという御意見をいただいております。具体的には、重篤な疾 病を対象とするもので、他に代替治療法がない医薬品について、例えばその治験の第III 相試験の対象外の患者さんや、治験が終了してから承認までの間の患者さんに対して使 用するなどの限定的な範囲での使用が考えられるが、諸外国の制度やその運用などをも 参考に、さらなる検討が必要であるということ。また、その実施に当たり、20ページに またがりますが、国、製薬企業、医師のそれぞれが担う役割、IRBの活用、医療保険 上の取り扱いについても、検討される必要があるといったような御意見をいただいてお ります。「なお」といたしまして、本制度については、副作用被害救済制度等の対象外と せざるを得ないということ。あるいは、治療に係る費用負担を製薬企業に求めることは 適当ではないといったような記載がございます。  20ページの後段から、個人輸入の制限等につきまして記載がございまして、本来は医 師等の専門家が関与すべき医薬品でありながら、それ以外の者がインターネット等を通 じ安易に個人輸入し、使用することによる健康被害の発生が危惧される。このようなこ とから、医薬品の安易な個人輸入を行わないよう、注意喚起を図るとともに、医師以外 の方による個人輸入については、保健衛生上の観点から一定の制限を加えるべきである といったような御意見をいただいております。  よろしければ21ページ、「第4 おわりに」でございますが、まとめといたしまして、 有効で安全な医薬品を迅速に国民へ提供できるようにすることは、我が国の保健衛生上 喫緊の課題であり、本検討会においてもできる限り具体的な提案を行うこととした。今 後、本報告書の提言について、速やかに検討を実施すべきであるということ。行政のみ ならず関係学会や関係業界も含め、国民の保健衛生の向上のために協力して取り組んで いくことが重要であるといったようなまとめをさせていただいております。  以上でございます。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。特に3のコンパッショネート・ユース、未承認薬の 使用についてということで、どなたか御意見。コンパッショネート・ユースについては 随分議論がありました。この検討会の報告としては、コンパッショネート・ユース制度 の導入について、今後検討しなさいということで良いのですね。ほかにどなたか。どう ぞ。 ○ 池田構成員  もう少し前向きだったのではなかったかと思いますが。検討すべきというか、むしろ。 ○ 高久座長  導入すべきであるという。 ○ 池田構成員  導入すべきであるというような意見の方が多かったように思うのですが、それが一つ と、最後の「本制度により供給される医薬品については」ということで、「副作用被害救 済制度等の対象外」とか、「未承認薬は患者の治療のために提供されるものであることか ら、その治療に係る負担は製薬企業に求めることは適当ではない」と。かなり具体的に 書いてあって、これはこれで私はいいのかなと思うのですが、その上に、「医療保険上の 取り扱いについてもあわせて検討されることが望ましい」と、ここは余り具体的ではな いような気がするのですが。その辺、下のところが具体的で、この医療保険上の取り扱 いについてもあわせて検討される、ここはもう少し踏み込んで、もしコンパッショネー ト・ユース制度の導入について検討すべきであるということであればいいのですが、議 論はたしか導入すべきであるというふうに私は理解していたものですから、そうだとす るともうちょっと具体的に書いてもいいのかなと思ったのですが、その辺はいかがでし ょうか。 ○ 高久座長  どうぞ。 ○ 中垣審査管理課長  池田委員がおっしゃっておりますのは、確かにそのような方向だろうと思います。と 申しますのも、コンパッショネート・ユースがどういう制度であるかと、具体的に詳細 に事務局としても示せなかったわけでございますが、ここで書いておりますような一般 的な考え、すなわち代替薬がない、生死にかかわるような状況である、一方ではフェー ズIIIぐらいまではいっているというようなものについては、患者の命を救うという目的 で、未承認薬としての薬事法上の特例を認めるべきだろうというような御議論だったろ うと思います。ただ、こういう「検討すべきである」という表現にさせていただいたの は、ここのページで申し上げますと、一番下にあります国、製薬企業、医師のそれぞれ の責任と、その役割分担でございますとか、あるいは治験審査委員会の問題でございま すとか、もう少し具体的なものを示して、この委員会の中でそれを御議論いただいて、 そういう制度を導入すべきだということであればそれでよろしいのですが、いわゆるコ ンパッショネート・ユースというまだ余り具体化されていないものを導入すべきだとい うことは、論理的な帰結として文章として書いていく上にはいかがなものかと思って、 報告書としてはこんな形にさせていただいたところでございますが、御意見を賜りまし てありがとうございます。 ○ 高久座長  コンパッショネート・ユース制度についての具体的な内容について、確かに余りディ スカッションしなくて、ただコンパッショネート・ユースは日本でも行われるようにす る必要があるという御意見が主だったと思います。それで、19ページの一番下のところ には、これを導入する場合に具体的な方法を挙げていますし、諸外国の制度やその運用 なども参考にする必要がある。それからまた、国、製薬企業、医師のそれぞれの役割、 治験審査委員会の活用についても検討する必要がある。それから医療保険上の取り扱い についても検討する必要がある。確かにコンパッショネート・ユースを実際に日本で行 おうとするならば、考えなければならないことがありますね。下の方に具体的に書いて いますので、「いわゆるコンパッショネート・ユース制度の導入について、その方策を検 討する」。これは導入について検討でもいいのではないですか。下の方に、実際にどうい うことを考えなければならないかということでずっと書いていますので。この委員会で は無理で、恐らくまた別の委員会をつくって具体的に検討されるわけですね。 ○ 中垣審査管理課長  まだこの検討会の最後をやっているところでございまして、正直申し上げてその後ど うするかというのは漠としたことしか考えていません。と申しますのも、まず第一にや はり先行してやっている欧州とアメリカでかなり制度の違うやり方、すなわち我々が今 知っている状況で申し上げますと、アメリカは治験という枠組みの中で、ヨーロッパは 治験とは別の枠組みの中で制度が進んでおるようでございますし、書き物を読むと、そ れぞれに改善に向けた議論がなされているようでございます。したがいまして、その詳 細をまず調査させていただこうということで、今それの手続に入っておるところでござ います。まずそこの調査結果を見てということになると思います。  いずれにしましても、今座長にまとめていただいたとおりでございますが、確かに池 田委員、あるいは座長もおっしゃったように、「導入について検討」というのが若干あれ だとすると、一つの提案としては、「導入に向けて検討すべきである」ということでいか がでございましょうか。 ○ 高久座長  そうですね。非常に便利な日本語がありましたので、「導入に向けて」でいいと思いま す。 ○ 柴崎座長代理  今の国語の解答は100点だと思うのですが、私は前にも少し問題提起したのですが、 今回も同様の問題提起をさせていただきたいと思います。  多くの先生方もご理解していることと存じますが、医薬品というのはあくまでも化学 物質であるという点です。この19ページの真ん中に、例えば患者またはその主治医が 治療目的で、その責任のもとに輸入することは禁止されていないということが記載され ています。私は前にも申し上げたのですが、フランスの制度というのは非常にいい制度 だと思っております。医薬品が化学物質であるということを考えての事と推察していま すが、フランスの制度では薬剤部が医師や患者の要求のもとでその医薬品を購入する。 ですから、結果として薬剤部の責任の問題等々も入ってくるはずです。私は化学を専門 としている人間ですので、医薬品の純度であるとか、製造方法を慎重に考える事は大変 重要なことと思います。それを直接患者さんに使うのですから。コンパッショネート・ ユース云々の議論、さっき課長がすばらしい日本語を言いましたけれども、その議論を する過程の中において、もし可能であればやはり薬剤部の存在というものを少し重視し た形で見ていくことが、恐らく国民の医療においても重要なのではなかろうかと思うの ですが、この辺はいかがでしょうか。前にちょっと言って、議論が進まなかったのです が、最後の検討会ですのであえて再度問題提起をさせていただきます。 ○ 中垣審査管理課長  確かに柴崎先生からそういう御意見を数回にわたりこの場でお聞きしたことを覚えて おります。そういう意味で申し上げますと、その御意見をこの中に反映したかったこと もあるわけでございますが、ではそれがどこに入っているかと申し上げますと、19ペー ジの一番下の行、「また、その制度の実施に当たり国、製薬企業、医師のそれぞれが担う 役割、治験審査委員会等の活用等についても詳細な検討が求められる」、この「活用等」 の「等」に実は入っておるわけでございます。それが余りにひどいじゃないかというこ とだろうと思いますので、「治験審査委員会等の活用」の後に「薬剤部の」……。「薬剤 部」というのが。 ○ 柴崎座長代理  フランスの制度も薬剤部でした。日本語訳の資料だとそうなっていましたね。 ○ 中垣審査管理課長  「薬剤部門の関与」というのを特記する。すなわち申し上げますと、「治験審査委員会 等の活用、薬剤部門の関与等についても」ということでいかがでございましょうか。 ○ 柴崎座長代理  もしそうであれば最高だと思いますが。 ○ 高久座長  それで結構だと思いますが、もう一つの考え方は、「製薬企業、医師」、その次に「薬 剤師」と入れても良いかなと思ったのですが、どちらでも。「薬剤部門の関与」にしまし ょうか。 ○ 中垣審査管理課長  正直申し上げて、このコンパッショネート・ユースというのを考えますと、もうほと んど生死にかかわっているかどうかという診断、あるいはほかに代替治療がないという ところの医学的な判断を持つ医師と、柴崎先生から繰り返し御発言いただいている品質 確保とか、あるいは純度とか、そういうもののチェックというのは、やはり申しわけな いですが、少し差があるのかなと。そういう意味では、最初の国、製薬企業、医師のそ れぞれの役割と責任というものと、それを支える薬剤師、あるいは薬剤部門の役割とい うのはちょっと違うのだろうと思いまして、先ほどの修文、すなわち「薬剤部門の関与」 ということでいかがかと思うのでございますが、いかがでございましょうか。 ○ 高久座長  そういうふうにさせていただきます。どうも。ほかにどなたか。これ全体で結構です から。どうぞ。 ○ 飯沼構成員  風が吹けばおけ屋がもうかるような話をして申しわけありませんけれども、これは全 部これでいいと思いますが、経済的な問題は何も触れなくていいのですか。お金はもう 十分あるからできると。だから、流通がどうのこうのとか、そういうことは全く触れな くていい。もうお金は十分あるんだと。そういうことですね。 ○ 中垣審査管理課長  いや、痛い指摘だなと思って首を振ったわけでございまして、お金が十分あるわけで は決してございません。この中でいわゆる金と申しますか、薬価基準の問題については、 中医協での議論という形で書かせていただいておるわけでございますが、流通の問題と いうのも今また医政局の方で御議論がされていて、それが中医協に報告されるというこ とも聞いておるわけでございます。ですから、もう正直申し上げて医薬食品局が中心と なって書いてきたということで、保険局マター、医政局マターというのは、期待される とかそういう形での書き方にとどまっておるところで、それをもう一歩踏み出すべきで はないかというのが飯沼先生の御指摘だろうと思うわけでございますが、正直申し上げ て医薬食品局が中心となりながら、書けるところまで書かせていただいたというのがそ の点に対するお答えかなと思っています。 ○ 高久座長  ほかにどなたか。それでは、大体この資料3の原案をお認めいただいたものとします。 もしさらに少し訂正するという点がありましたら、私と柴崎先生とで検討させていただ きたいと思います。基本的なことでなくても、字句の訂正などについてならばと思って いますので、一応報告書の最終案をお認めいただいたものとさせていただきます。どう もありがとうございました。 ○ 黒川審議官  高久先生、それでは終わりに。 ○ 高久座長   どうぞ。 ○ 黒川審議官  「有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会」の結びに当たりまして、厚生 労働大臣、柳澤にかわりまして一言ごあいさつを申し上げます。  本検討会は、昨年の10月30日に厚生労働大臣の検討会として有識者の方々にお集ま りいただき、本日までの9カ月もの長きにわたりまして、有効で安全な医薬品を迅速に 提供するための具体的な方策について御議論をいただいたところでございます。高久座 長を初め委員の皆様におかれましては、お忙しい中、精力的に御議論をいただきまして 本当にありがとうございます。皆様の高い御識見や熱意により取りまとめられました報 告書の中では、さまざまな御提言をいただき、中には既に検討を手がけたものもござい ます。また、今後詳細な検討が必要なものもあるわけでございますが、いずれにいたし ましても、私どもといたしましては報告書の御趣旨を踏まえ、速やかに必要な検討・実 施に着手いたしたいと考えております。  結びに、この検討会の議論や報告書の取りまとめに多大な御尽力をいただきました高 久先生に、改めて深くお礼を申し上げたいと思います。以上をもちまして、簡単ではご ざいますが、私のあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。 ○ 高久座長   どうもありがとうございました。では、これで最後にさせていただきます。どうも ありがとうございました。 (了)                        照会先                        厚生労働省医薬食品局審査管理課                        TEL:03−5253−1111