07/07/20 厚生科学審議会科学技術部会『第6回疫学研究指針の見直しに関する専門委員会』 第6回科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会疫学指針の見直しに関する専門委員会    厚生科学審議会科学技術部会疫学研究指針の見直しに関する専門委員会議事録   ○ 日  時  平成19年7月20日(金) 10:00〜12:00   ○ 場  所  学術総合センター 特別会議室101、102   ○ 出 席 者     【委 員】 矢崎座長、飯沼委員、小幡委員、川村委員、新保委員、           祖父江委員、永井委員、中村委員、西田委員、丸山委員、           森崎委員、山縣委員、        【事務局】 文部科学省 長野安全対策官 二階堂専門官            厚生労働省 藤井厚生科学課長 坂本研究企画官 石井課長補佐   ○ 議  題     (1)疫学研究に関する倫理指針の見直しについて     (2)その他   ○ 配布資料     資料1 「『疫学研究に関する倫理指針』の見直しの内容に係る意見募集に         ついて」に対して寄せられたご意見等について     資料2 疫学研究指針の見直しの方向性及び改正案     資料3 診療と研究の仕分けに関する整理の方向性     資料4 「疫学研究に関する倫理指針」(見直し案)     参考資料1 「疫学研究に関する倫理指針」についてのQ&A(改定案)     参考資料2 生命倫理・安全部会疫学指針の見直しに関する専門委員会委員名簿     参考資料3 科学技術部会疫学研究指針の見直しに関する専門委員会委員名簿     参考資料4 第5回議事録 【坂本研究企画官】 傍聴の皆様にお知らせいたします。傍聴に当たっては、既にお 配りしております注意事項をお守りくださいますようお願いいたします。  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第6回科学技術・学術審議会生命 倫理・安全部会「疫学指針の見直しに関する専門委員会」及び厚生科学審議会科学技 術部会「疫学研究指針の見直しに関する専門委員会」を開催いたします。  本日は、辻委員、位田委員、南委員がご欠席とのご連絡をいただいております。  次に、事務局に異動がございましたので、ご紹介させていただきます。私は、厚生 労働省大臣官房厚生科学課の研究企画官の坂本でございます。よろしくお願いいたし ます。  同じく厚生科学課の課長補佐の石井でございます。 【石井課長補佐】 よろしくお願いいたします。 【坂本研究企画官】 それでは、以降の議事進行につきまして、矢崎座長、よろしく お願いいたします。 【矢崎座長】 本日は、ご多忙のところをお集まりいただきまして、ありがとうござ いました。それでは、委員会を開会したいと思います。  まず、たくさんの資料がございますので、資料の確認からお願いします。 【石井課長補佐】 では、資料の確認をさせていただきます。  お手元の座席表のほかに、議事次第の1枚がございまして、その次に、順次、横の 3枚紙、左上1カ所とじのものが資料1。左上の1カ所とじ、両面刷りの51ページ にわたる厚いものでございますが、資料2でございます。続きまして、縦の両面刷り の3ページのもの、資料3としてございます。ちょっと厚くなりますが、資料4、両 面刷りの22ページになります。ここまでが資料でございます。  続きまして、両面刷りの参考資料1。参考資料2と参考資料3は、それぞれ文部科 学省疫学指針の見直しに関する専門委員会と厚生労働省疫学研究指針の見直しに関す る専門委員会の名簿が、1枚ずつでございます。最後に参考資料4のもの、両面刷り 41ページでございますが、これは前回の会議の議事録でございます。既に委員の皆 様にはご確認いただいておりますので、この形で公表ということになります。資料の 不足、不備等ございましたら、事務局のほうにお申しつけください。 【矢崎座長】 よろしいでしょうか。それでは、議事に入らせていただきます。  昨年10月から、5回専門委員会を開いて、見直しの方向性を取りまとめました。 今回の委員会では、6月に終了したパブリックコメントの結果を踏まえまして、見直 しの最終案を検討したいと思いますので、よろしくお願いいたします。本日で6回目 ですが、これで指針の最終案に仕上げて、この会を終了したいと思いますので、よろ しくご協力のほどをお願い申し上げます。  それでは、議題1の「疫学研究に関する倫理指針の見直しについて」、事務局から よろしくお願いします。 【石井課長補佐】 それでは、横の3枚紙のとじたもの、資料1をごらんください。  前回の委員会でおまとめいただきました見直しの案につきまして、5月16日から 6月15日まで、文部科学省、厚生労働省ホームページ等を通じまして、ご意見を募 集いたしました。意見提出は3名の方から、意見数としましては、11件のご意見を ちょうだいいたしました。資料では、いただいたご意見とそれに対する両省の考え方 を表として整理をさせていただきました。今回のパブリックコメントの対象ではない 部分へも疑問やご要望等をいただきましたが、それらも含めて、まとめさせていただ いております。  まず最初の「適用範囲に関する細則」に関するご意見でございますが、従来、疫学 指針の適用から外すものとして明示していたものを削除しまして、新たに「第5 用 語の定義」13の(1)の<疫学研究の定義に関する細則>で要件を明示することと されたものでございます。これに関しましては、後ほど資料2及び資料3を用いまし て、改めてご議論をいただくこととしまして、次のご意見のご説明をさせていただき たいと思います。  1ページ目の下から2ページ目以降のご意見は、臨床試験の結果得られたデータ等 の取り扱いを明確にすべきとか、現行指針でわかりにくいところを明確にすべきとの ご指摘、不適切な表現を修正すべきなどといったものでございます。それに関しては Q&Aで明確にご説明する。あるいは、おまとめいただいた見直し案で修正をすると いうふうなことで考え方をお示ししております。     以上、簡単ではございますが、パブリックコメントの結果についてご説明をさせて いただきました。 【矢崎座長】 見直し案からパブリックコメントをいただいたわけでありますが、幾 つかありますが、一番大きな問題は、基本的考え方の1ページ目の適用範囲のことに 関して、私どもの見直し案は、後でご説明申し上げますけれども、一部の文章を削除 して、もう少し明確にするということをいたしましたが、それについて、もとに戻し てほしいというご意見がございました。これについては、今まで多くの議論を重ねて きたところでありますが、もう1度、それを議論するとして、これ以外のパブリック コメントにつきましては、今、事務局から説明いただきましたように、大きな本質的 なものではないような感じでございます。その適用範囲以外のパブリックコメントで 何か委員の方でコメント、あるいはご意見などがあればいただければ大変ありがたい と思いますが、いかがでしょうか。  多くは意味を明確にしてほしいという要望ですが、大体これは見直し案の中に組み 込まれているというふうに私どもは理解していますが、よろしいでしょうか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり) 【矢崎座長】 ありがとうございます。それでは、最もこの委員会でも議論を行われ ました適用範囲で、その中でも診療と研究の仕分けに関する整理の方向性に関しての コメントだと思いますので、これについて事務局から説明をお願いいたします。 【二階堂専門官】 では、資料2及び資料3についてご説明いたします。この資料2 につきましては、これまでこの委員会におきまして、5回の委員会でそれぞれ見直し の方向性をいただいたものの集大成でございます。  それから、資料3につきましては、この委員会で初めてご提示させていただくもの でございます。内容といたしましては、これまでの委員会においても幾度となく議論 されてきました。また、パブリックコメントにおいてもご意見をいただき、部会等に おいてもご意見をいただいた診療と研究の仕分けについてのものでございます。この 委員会におきまして、幾度となく議論されてきまして、まさに診療と研究の仕分けに ついては、Q&Aのほうで整理していこうということになったのですけれども、Q& Aでどのように整理するかということについてはまだ議論が十分なされていないと私 どもは考えておりまして、その整理の方向性をここで示させていただきました。  では、資料3についてご説明いたします。まず現行指針におきまして、これは診療 の範疇で、研究ではありませんと言っているもの、具体的にどのような規定かといい ますと、「特定の患者の治療を前提とせずに、ある疾病の治療方法等を検討するため、 研究者等が所属する医療機関内の当該疾病を有する患者の診療録等診療情報を収集・ 集計し、院内または院外に結果を報告する行為」とされております。すなわち、特定 の患者さんの疾病を前提としない、自施設機関においてカルテ情報等を集めてきて、 それを集計し、院内又は院外に報告する行為につきましては診療の範疇ですと、これ まで明記していたわけでございます。  しかしながら、この規定を逐語的に解釈いたしますと、この院外に報告するという 行為、これは例えば、学会に報告ということも含まれるだろうということで指針の対 象外である、と拡大解釈されておったというような事例がございました。そこで、こ の規定を削除して、そしてこの文章が意図するところをQ&Aにわかりやすくまとめ てはどうか、というものでございます。  では、この基本的な考え方についてご説明いたします。最初に「(1)自施設内で 収集・集計した診療記録などの情報を用いる後ろ向きの行為」についてでございます。 この後ろ向きの行為についてですけれども、まず(1)、自施設内で収集してきたカルテ 情報等を収集・集計して、その行為、その結果の発表が院内で完結する場合。これに ついては、診療と整理してはどうかというものでございます。  この行為の具体例としては、ある疾病に関する院内での症例検討会ですとか報告会 といったものが挙げられます。また、院外に報告する意思がなく、医師がある疾病の 治療法を検討するために、これまでに治療を行った患者のカルテ情報を収集・解析す る行為なども挙げられます。  そして、次、この(2)が非常に問題かと思いますけれども、院外に公表される場合。 これにつきましては、ここに掲げております収集・集計した情報の加工の程度、公表 の場、そして公表の意図、これらを総合的に勘案して判断してはどうかというもので ございます。そして、ここで注意しなければいけませんのが、この三つの要件、それ ぞれどれか一つで判断することはなかなかできないということでございます。一つの 例を挙げますと、公表の場、学術論文に発表する時点において研究と判断してはどう かといたしますと、例えば、学術論文に明らかに研究のようなものを報告する場合、 それはそれで結構なんですけれども、学術論文に単なる集計した結果を事例として報 告する場合等が考えられますので、学術論文への報告という一つの切り口だけではな かなか難しいというものでございます。  では、この三つを組み合わせることによって、どのようなものが診療の具体例とし て掲げられるかといいますと、次のページになります。このページの一番冒頭にござ いますように、診療の具体例として、例えば年報に通常掲載されるような受診の実態 などの調査結果、年報に通常掲載されるような異常頻度の調査結果、ある疾病に対す る治療方法の効果を集計し単純な統計処理を加えたもの、こうしたものについては診 療として整理してはどうかということでございます。その一方で、研究の具体例とし ては、カルテ情報を集めてきて行うようなコホート研究。これについては研究として 整理してはどうかというものでございます。  しかしながら、ここで「ただし」ということで、つけておりますところ、これは仮 に、先ほどの1ページのほうに戻って、当初、自施設内で完結させるような意図を持 って行っていた行為が、院外への報告という意図に途中から変わった場合には、その 変わった時点において研究となり得ることがあるというところに注意すべきであると いうことでございます。  具体的には、例えば、ある症例報告会において、ある症例報告をする、というもの です。その時点においては、報告者は院外に報告する意思はございません。しかしな がら、その症例報告会の中で非常に興味深い結果だと評価を得まして、その興味深い 結果をさらに学会に報告してはどうかというような提案を受けて、外へ報告するとい う意図が発生するということです。つまりその時点から研究としてとらえてはどうか というものでございます。  次に2ページ(2)でございます。(2)は、(1)において仕分けが困難なもの をお示ししています。(1)の(2)で、この三つの要件を総合的に勘案するというふう にご説明いたしましたけれども、その総合的に勘案するという時点において、どうし ても研究か診療か、その判断が困難なものが出てくるというふうに考えられると私ど もは考えました。その判断につきましては、まず「(1)判断する者」として、各機関の 倫理審査委員会が判断してはどうかというものでございます。  次に、「(2)研究と判断された行為の取扱い」としまして、診療と研究の仕分けが非 常に困難であるものについてです。こうしたものにはどういったものがあるかといい ますと、この(2)の下のほうにあるんですけれども、診療と研究というものがあって、 明らかに診療であるものは本指針の対象ではなく、問題ない。そして、明らかに研究 であるものも本指針が適用されることに疑いはなく、問題ない。しかしながら、その 間にあるものの取扱いについては、個人情報を取り扱わないであろう、かつ主として 集計・単純な統計処理により研究が行われるであろうということで、このようなもの については、倫理審査委員会への付議を要しなくてもいいのではないかというもので ございます。  これまでに、この委員会におきまして、倫理審査委員会に付議しない研究というも のをご議論いただきまして、このような研究については倫理審査を必要としないとい う、その要件を、個人情報を取り扱わない、ヒト由来試料を用いない、観察研究であ る、とされたところです。加えて、研究対象者の心理的苦痛を伴わない、このような ものについて、倫理審査委員会があらかじめ指名する者が判断すれば、それは倫理審 査委員会への付議は要しないということで整理いたしました。この考え方をそのまま ここに適用いたしますと、臨床と研究の仕分けが非常に困難なものであって、今申し 上げたような個人情報を取り扱わないようなものにつきましては、倫理審査委員会の 付議を要しないというふうにしてはどうかというものでございます。  以上がカルテ情報を集める後ろ向きの研究についての考え方でございます。  では、次に(3)、前向きの研究についてでございます。具体的な事例としては、 患者さんの予後を、電話をかけて聞き取り調査するような行為でございます。この前 向きの行為につきましても、これまでご説明いたしました後ろ向きのものと同様の考 え方を適用してはいかがかというものでございます。  具体的には、3ページ目。まず特定の患者さんを対象とする場合、これにつきまし ては、臨床医の責務といたしまして、診療の範疇とするということでいかがかという ものでございます。次に、特定の患者さんを対象としない場合。これにつきましては、 先ほど掲げた3つの要件から同様の考え方により総合的に勘案してはいかがかという ものでございます。  以上でございます。 【矢崎座長】 よろしいでしょうか。一番大きなパブリックコメントの指摘は、特定 の疾患の治療を前提とせず、ある疾患の治療方法等を検討するため、研究者等が所属 する医療機関内の当該疾病を有する患者の診療録等の診療情報を収集・集計し、院内 または院外に結果報告する行為ということが非常に漠然とした範囲を指し示している ので、もう少し明確にするために、明確にした上で、この項目を削除したわけですが、 パブリックコメントでは、最初の資料1にございますように、「例えば、『ある疾患 に関して、臨床医等の医療従事者が、所属する医療機関内で診療録等の診療情報を収 集・集計し、治療効果や予後に関して調べ、その結果を日常診療に還元する』という 行為は、本規定により、これまで指針の対象外と整理されてきたが、この文章を削除 したことによって、指針の対象外となるのか否かというのが不明確になる」のではな いかということで、この文章を復活してほしいというご意見だったわけです。それを 明確にするために、資料3で今お話ししたところでありますし、この指針の見直しの 方向性及び改正案の資料2のところの、一番あれは、34ページから35ページ、3 6ページにかけてございますが、35ページの上のカラムでも消したわけですが、こ の消した内容を、さらに明確に示して、資料3に示すような方向でまとめさせていた だいたということでございます。  ポイントは、今お話のあったように、公表するか、公表しないかというのが大きな 分かれ目でありまして、年報とか年報に準ずるもの、そういうものであれば、本指針 の対象外でよろしいのではないか。学会に発表するような場合、論文に発表するよう な場合は、こういう研究はやはり本指針の対象として対応していただきたいというこ とだと思います。  それから、今まで議論したのは、診療録をさかのぼって検討して、果たして患者さ んの治療効果がどうかとか、そういうものを検討するのは、指針の対象ではないと整 理したところです。次は、前向きといいますか、予後調査の場合です。患者さんが今 どうしているかと、電話、あるいは、はがきで経過を調査する行為は、この指針にな かったのですが、そういう予後調査を目的としたもので、患者さんないしは患者さん の集団に効果を返す目的の調査であれば、それはこの指針の対象外であるというふう にまとめさせたものでございます。永井先生。 【永井委員】 その点については、私のほうからも意見申し上げたのですが、臨床の 現場では、結構複雑な状況があります。研究といえば研究、実務といえば実務という オーバーラップしているゾーンがかなりあります。例えば私が診療科長である場合に は、自分が診ている患者だけではなくて、自分の組織の中で行われている診療に対し ては責任が問われます。  「おたくの科で行っているAという治療法はおかしい。Bという治療法であるべき ではないか。そのことについて直ちに返事を欲しい」というような問い合わせが、来 ることがあります。そういうときに、すぐ答えないといけませんから、やはりさかの ぼってカルテを調べるということを日常的にいたします。  それから、SARSが発生しているかどうか、タミフルの転落事故のときに自分た ちの状況を調べる必要があり、私が診ていない患者のカルテについても調査が必要に なります。そういうところは、研究といえば研究ですし、診療といえば診療です。そ こがQ&Aだけで対応というと、厳しい方向へ向かってしまうのではないかという危 惧があります。すべてIRBの審査を基本とすると間に合わないし、スキップすると 研究倫理違反を問われます。そこのところをきちんとこのガイドラインの中で対応し ておく必要があると思います。 【矢崎座長】 いかがでしょうか。 【祖父江委員】 今の提案だと、解析の中身といいますか、それで研究か診療かとい うことを区別してというふうなことをご提案されていますけれども、これは、個々の 例について判断するというのは、煩雑で、非常に何か研究自身を阻害するような気が するんですけれども、ですから、今対象としているのは、これは単一組織の自施設の 既存資料を用いた研究といいますか、診療といいますか、そこのところに限っては、 すべてIRBの付議は要しないということで一括して整理するということにはなりま せんか。要するに、個々の例で付議を要するか要しないかなんていうことを判断して いると、いっぱいそういうものが出てきて、おそらくその判断をする任せられた人は パンクすると思いますけれども、そういうことでなく、既存資料として、これがまた 研究として、何か新たな情報をつけ加えるというんだったら、それはもちろん研究と して倫理審査委員会を通すべきだと思いますけれども、あくまでこれは既存資料での 解析ということに限って言えば、IRBの付議はなくていいという一括した判断を決 めてしまうというのはどうでしょうか。 【矢崎座長】 どうでしょうか。この資料3の1ページの下のところに書いてありま すね。診療とか。それから、診療か研究か。その間に2ページに、ちょうど中間のも のがあると。今おっしゃられたようなものは、もう診療の中に入っているというふう に読み取れないですかね。 【祖父江委員】 いえ、中身から明らかに研究であるというものも含まれてくると思 います。だけど、それでも既存資料を使う研究であれば、診療と同じようなことで倫 理審査のほうは処理をすると。報告だけというような感じになろうかと思いますけれ ども、そういうことで処理できないかというふうに思いますけれども。 【川村委員】 自施設の中での既存資料であればということになると、かなりの複雑 な研究も研究から外れてしまうというか、倫理審査から外れてしまうので、やはりち ょっと、また拡大解釈が起きて、かなり今までと同じような漏れが生ずるように思う ので、そこでちょっと事務局のほうで用意していただいた診療と研究の峻別のコンセ プトですけれども、これは、なかなか個別には判断しにくいという祖父江先生のご意 見はそのとおりだと思います。永井先生がおっしゃったように、もともと医療にかか わる行為というのは、診療実務としての側面と、それから未知のことを知るとか調べ るという研究といえる側面と両方あわせ持っているものであって、両方の側面を必ず、 程度の差はあれ持っているものだと思います。  その中で実質的に研究として特別な審査を要するとか、あるいは特に注目しなけれ ばいけないものということで、この倫理指針があると思いますけれども、現実にどの ように峻別していくかということで、感覚的には事務局の用意していただいたように、 解析の加工の程度というのもちょっと変で、解析の複雑さだと思いますけれども、そ ういうこととか、公表の場とか、あるいはどういう目的でやるのかということによっ て、およそこんな感覚であろうとは思います。感覚的にはこれで大体一般的に納得は できるかなと思う線ですけれども、具体的にどうするかというと、かなり混乱が生ず る可能性があるから、一つ明確にある程度決めてしまうということも考えられると思 うんです。私は、これから述べる四つの項目は、もう医療の中に含めてもいいんじゃ ないかと思うんです。  その前に、資料3の2ページ目の(3)の前に診療と研究という区分があります。 ここに診療と研究、さらに研究の中でもIRBへの付議をするものとしないものとあ りますけれども、診療と研究に分けるんですけれども、基本的には、診療というのは 特定の患者さんに対して行うものを原理的に診療とし、それから研究というのは、将 来来るかもしれないであろう不特定の患者さんを想定したものというふうに考えてい ます。  ただ、診療の中にも診療に付随した行為というのが当然発生すると思います。それ を一応四つ挙げてみたんですけれども、一つは受診動態に関すること、2番目は精度 管理に関すること、3番目は患者さんの予後を調べること、4番目は院内事故の再発 防止に関すること。こういったことは、特定の患者さんを目指したものではなく、今 後の診療のクオリティーを担保する、あるいは状況を確認するというためのものです。  1番目に挙げた受診動態は、もちろん当院を受診した疾患別の患者数とか、あるい は手術の件数であるとか、そういった基礎情報で、よくホームページなどにも載って いるものです。2番目の精度管理は、主に臨床検査にかかわることですけれども、こ れは現在も個人情報保護でもこういうのは外部に提供しても個人情報保護に抵触しな いということも書かれておりまして、これもコンセンサスが得られるものと思います。  3番目の患者さんの予後を調べるということですが、これが一番研究的な側面があ ろうかと思いますけれども、これから病院の機能評価とか医療評価とかというものが 入ってくれば、こういうのは避けられないと思います。ただ、患者さんの予後を調べ るのも、単純な集計にはとどまらないことがあって、例えば生存曲線をかくときは、 カプランマイヤーの方法とかやりますけれども、必ずしも単純ではありませんで、そ ういう方法論からいうと複雑な場合もありますので、すべて単純な解析ばかりとは言 えないと思います。それから、予後を調べる内容にもよりまして、生存・死亡とかと いうことですとはっきり単純でわかりやすいですけれども、例えば、整形外科手術後 の患者さんのADLを調べるということになると、少し煩雑になりますし、統合失調 症の患者さんの退院後のQOLを家族に聞くというようなことになりますと、相当複 雑になってきますので、ほんとうにちょっと研究的な側面もなきにしもあらずですけ れども、患者さんの予後を知るというのは臨床医にとってかなりエッセンシャルなこ となので、これは含めても診療の実務の側面が強い、研究的なものがないとは言いま せんが、強いだろうと感覚的に思います。  4番目の事故の再発防止といったようなものは、当然のことながら管理者に求めら れるものでありますので、そういったものに該当すれば構わないだろうと。診療に付 随するものと考えていいんじゃないかと思うんです。  実は、こういった行為は、ほんとうに研究の倫理指針というようなもので規定する ものかどうか、ちょっと疑問もありまして、ほんとうは医療法かそういう領域のもの で決める筋合いのものかなと思ったりしています。実は、労働安全衛生法とか学校保 健法では、それぞれ産業医や学校医の業務として、これに類したことを職務として規 定されていると読める部分があります。しかしながら、一般の医療はそういう文言が 全然なくて、医療というものの中身が実はあまり定義されていないと。医師の裁量と いうことで、幅広く解釈されているのが現状です。  そういう意味で、倫理指針で規定してしまうのがいいのかどうかはわかりませんけ れども、少なくとも倫理指針の立場から言うと、こういったものは極めて診療色が強 いのではないかと。先ほど永井先生がおっしゃったようなことも、これの中にかなり 入るんじゃないかと思うので、これをQ&Aだったら、こういう言葉も書いてよいか という気もしますので、こういったものは診療に直結する付随的なものと私は考えて います。  それでもなおかつ入らないものもあろうかと思いますので、そういうもので、先ほ ど事務局から説明があったように、幾つかの要件を満たせば、必ずしも倫理委員会へ の付議を要さないものになりますので、それをどこかで簡単に峻別するといいますか、 スクリーニングかける必要はあるんですけれども、いずれにしても少し研究的な側面 が強くなればプロトコルは書くでしょうから、それを提出して、問題なしということ を確認すれば審査は必ずしも要しないというふうに思われます。診療というものは特 定の患者さんのケアと、それから、それに付随する幾つかの先ほど挙げたような要件 であれば、診療に含めるということで、倫理委員会が1件1件混乱しないようにする ということはある程度可能かなと考えた次第です。 【矢崎座長】 どうもありがとうございました。 【永井委員】 今の川村先生にご意見に大体賛成です。もう1点は、公衆衛生上で緊 急の対応が必要な場合、まさにSARSが発生しているかいないか、あるいはSAR Sの診察のポイントはこういうところですというのは将来の患者さんの問題ですけれ ども、これはIRBを通している暇はないですし、早く調べなければいけないだろう と思います。そういう公衆衛生上の緊急的課題も入るということをつけ加えさせてい ただきます。 【矢崎座長】 祖父江先生、いかがですか。 【祖父江委員】 ただ、中身として、研究的なものが含まれているとしても、自施設 の既存資料だけを使ったという研究というのを倫理審査で、一体何を審査するんです か。科学性を審査するわけですか。倫理性を審査するんですか。 【川村委員】 現在はもちろん科学性と倫理性で、既存資料ですから、新たな侵襲は ないと思いますけれども、情報の取り扱い方、それから一般の研究と同じように、そ れをやることの意義などは審査の、あるいは方法論の妥当性などは現在でも既存資料、 これからの資料にかかわらず審査しておりますので、特に尺度が変わるとは思ってい ないんですけれども。 【祖父江委員】 ですから、既存資料かどうかという判断を、だれかがきっちりすれ ば、特に後で倫理性として問題になることはあまりなく、科学性に関しては、細かく 倫理審査でもって指摘するというよりは、むしろ研究者の自由度を確保したほうが、 研究の促進という意味では阻害しないと思いますけれども。ですから、そういう意味 で、自施設の既存資料を使った研究は一括して診療と同じようなレベルでの扱いをす るということでどうかなと私は思いますが。 【中村委員】 今の祖父江先生の意見はもっともなんですけれども、現実問題として は、例えば、学会発表をする、あるいは学術雑誌で公表するときに必ず、そちらのほ うから倫理審査はどうなっているんだという話が出てくるわけなんですよね。そうす ると、この指針では、「これは要らない」と言っても、現実問題としては、倫理審査 委員会の承認のもとに行いましたというお墨付きが必要になって、したがって、出し ますという話が出てきて、倫理審査委員会が、「これは対象ではありません」と言っ て断っちゃうと、むしろ研究を阻害する方向に行く可能性があると思うんです。現実 問題として、私どもの大学の倫理審査委員会で、これは疫学研究の指針にも臨床研究 の指針にも該当しないからやってもいいんだけれども、出てきたものはしようがない から、そういうこともあるので審議しましょうということをことわってやっているケ ースもあります。ですから、あまりそこのところを深くやらなくても、現実問題とし てはそういうことで動いていくんじゃないかという気がしております。 【矢崎座長】 調査して、自分の施設の中にフィードバックする場合にはあまり問題 ないかもしれませんけれども、それを外に公表するときに、今、中村先生が言われた ようなことが起こるのではないかと。ですから、そのときの調査から研究に進んで、 発表の段階で少し議論は要るのではないかというご意見だと思います。 【祖父江委員】 そうは言っても、年報のようなものは公表を前提としてつくってい るわけですけれども、その中にはかなり解析的なものも含まれている場合もあって、 区別するのはわりと難しいと思います。院内で検討していたものを院外に発表すると いうことを考えた瞬間に、それから倫理審査委員会を通し、というようなことをする というのは、現実問題として手続が煩雑にならないですか。 【中村委員】 最終的には常識的な判断になると思うんです。年報に単純集計を載せ ましたというのは、それこそ倫理審査がなくてもいいような気がしますし、それは年 報だから問題が起こらない、だれも自分の施設のデータだしということで、横からい ろいろ言わないとすれば、それはそれで構わないような気がします。その次のステッ プとして、それをもとに学術雑誌に投稿しますという話になると、やっぱり出てくる ので、その辺のところで線を引くんじゃないかなという気がしています。 【矢崎座長】 その線は、個々のケースでつけにくいと思いますので、そこで、この 事務局の案は、施設内で−−何でしたっけ? あらかじめ……。 【二階堂専門官】 倫理審査委員会が指名する者。 【矢崎座長】 指名する人が、そこで判断していただくと。倫理委員会に付議するか、 あるいはそのまま継続するかということですね。どこかで何か、そういう外に発表す る場合には、第三者的なレビューが必要ではないかということが、この見直し案なん です。だから、そうなったら、すぐ審査委員会に付議しなさいということでもないと いうことをここで書いているんですね。いかがでしょうか。 【永井委員】 確かに祖父江先生のおっしゃるとおり、例えば、カプランマイヤー曲 線を自分たちのホームページで常に更新しているようなケースもあります。それは複 雑な解析をして公表しているということになるのでしょうけれども、そういうのもか なり診療に近いといえば近いわけですので、全くの無制限ではなくて、IRBの委員 にことわりを入れるとか、そこで相談をするというぐらいで、全く無条件にはしない ほうがいいのではと思います。簡便法でクリアしていくというところが今回の改定の ポイントではないかと思います。 【矢崎座長】 厳しい先生方は、例えば、資料2の40ページから「10.倫理審査 委員会の付議を必要としない疫学研究について」という項目がございますよね。43 ページに、その内容を図示したものですが、明らかにもう付議を必要としないのは、 左の「データの統計処理」だけを行うと。これはこの議論で行われていたんですが、 その中で、右側のカラムの研究・調査も、委員会の付議をしなくて、今のご議論のよ うに、倫理審査委員会があらかじめ指名する者が判断というところに入っているわけ ですが、そのご議論の中では、こういうものも今、倫理審査委員会というのは、迅速 審査というシステムがあるんだから、倫理審査委員会の付議を必要としないというの は、左側のカラムだけであって、すべて倫理審査委員会の迅速審査をすればいいんじ ゃないかという議論まであるんですよね。だから、そこがなかなか折り合いが難しい ところがあるんですね。  この右側の研究は、具体的にどんなものがあるのかという質問を受けて、ちょっと 具体的に私は明示できなかったんですが、これについては、川村先生ですね。 【川村委員】 倫理審査を必ずしも要しないもの、43ページの図の右上の幾つかの 項目ですけれども、例えば、よくあるアンケート調査と言われているようなもので、 匿名というか、記名せずに行うようなもので、患者さんとか、あるいは地域住民とか ありますけれども、何らかの対象者を所定の方法で抽出して意向などを尋ねるような もので、個人情報はもともと扱わないというようなものは、ヒト由来の試料を使わず、 観察研究で、回答するかどうかは本人の意向次第なのでというようなものがあります。 ただ、質問の内容によっては、例えば、性生活を聞くとか収入を聞くとか、多少セン シティブなものが入っていることがありますので、そのあたりは、場合によっては、 対象者に調査すること自体が心理的な負担を与えるような場合は倫理審査の対象にす るというようなこともあろうかと思います。そんな事例を考えておりました。 【矢崎座長】 その議論の中で、そういうアンケート調査も個人情報の集まりだから、 やはり迅速審議で、付議を必要としないものは左側のカラムのところだけで、右側は 迅速審査で回せばいいのではないかという強硬な意見があったんですが、ほかの会議 で。(笑) 【川村委員】 もちろん審査していけないとは全然思っておりませんが、実際に倫理 審査委員会のキャパシティーの問題があって、どこでもボランティアベースなんです よね。それをなりわいとしているわけではなく、無償で時間を割いて倫理審査委員会 を開いたり、あるいは私どものところでしたら、書類を全部、電子メール等でやりと りして、相当な、かなりの時間を割いているということがありますので、やはり無制 限にマンパワーを使えるものでもない。そうすると、倫理審査のマンパワーをより有 効に活用するということになりますと、ある程度、より重要性の高いところに集中的 に投下したいと思います。  世の中、課税でもそうですけれども、例えば、年商3,000万円以上は消費税が インボイス(invoice)が要るけれども、それより少ないと、たしか簡易課税で、1, 000万円以下は、そもそも申告の必要がないとか、そういうのがありますよね。そ ういうのと同じように、一律に全部やるのが望ましいけれども、それは現実問題とし てなかなか容易ではないので、やはりマンパワーというのは傾斜配分せざるを得ない ということで、より侵襲度合いが低いことが明白なものは、審査を必ずしも要しない のではないかと。ただ、施設によって、こういうものもすべてやるべきであって、施 設の長として把握して吟味しておかなければいけないと考えるところを「やるな」と 言うわけではありませんので、今、倫理審査委員会が大変込み入っていると、あるい は1回の審議時間が非常に長い時間にわたって、外部委員もお呼びすることであって、 なかなか大変な現状にかんがみて、そのあたりは多少簡略化してもいいのではないか と。迅速審査といっても審査は通さなければいけないので、時間がかかるということ。 あるいは、巻き込む人数は少ないかもしれないけれども、手間暇をかけるということ では、それほどものすごい省力化になっているわけでもないと思います。 【矢崎座長】 そうしますと、倫理審査委員会があらかじめ指名する者が判断、迅速 審査ということになりますね。43ページのカラム。 【川村委員】 そうですね。 【小幡委員】 実質的な議論はそれでよろしいと思います。私も、おそらく診療と研 究という区分けは、非常にわかりにくい部分があると思いますので、簡便な方法で行 うというのは、それでよろしいと思いますけれども、一点、形式的なことでおききし ますが、これはQ&Aのところに書き込むという理解ですか。 【二階堂専門官】 そうです。 【小幡委員】 そうすると、この資料3の2ページのところの下のほうの診療と研究 の図ですが、この診療と研究という大きく切るところが、(2)の(1)の「判断する者」 が判断をするのですかね。IRBへの付議あり/なしというのについては、本文の、 見直し案のほうで、資料4の5ページのところの(3)で書いてあるわけですよね。 【二階堂専門官】 はい。 【小幡委員】 それで、そこの(2)がありまして、そこでのスクリーニングですね。そ うしますと、この指針の対象内か外かというところの判断を、さらにIRBに委ねる ということですか。 【二階堂専門官】 実際は、ここの各機関の倫理審査委員会が判断する項目が二つあ るかと考えております。一つ目が、診療に該当するのか研究に該当するのかという点 でございます。次に2点目が、研究に該当するけれども、それがIRBを要するのか、 要しないかという、その2点、いずれも倫理審査委員会に判断を委ねたらどうかと。 といいますのも、どうしてもここの判断は難しいところがございますので……。 【小幡委員】 そうであるとすると、Q&Aのところだけでこれを付加するというこ とで大丈夫かということが私の形式的な観点からの質問です。 【二階堂専門官】 形式的には、IRBへ付議しない場合というものは、既に指針の 中に明記してございますので、そこに要件を一つ入れることとしております。 【小幡委員】 そうですね。既にあるのは、今、私が申し上げた資料4の5ページの (3)のところの、付議するかしないかということでスクリーニングですよね。倫理 審査委員会があらかじめ指名する者がというのがあります。それは本文にあるから、 わかるのです。それをQ&Aでもっとはっきりしておくと、そういう話ですよね。そ の前のところですが、そもそも指針の対象外か対象内かというところのスクリーニン グの判断を簡便に誰かにしてもらうというのはよいと思いますが、Q&Aレベルでは じめて書くことなのかということが、多少問題がないかということを、形式的には気 にしていたのですが。 【二階堂専門官】 診療と研究の境目というところをQ&Aレベルで書いてよろしい のかというご質問……。 【小幡委員】 そうですね。この指針の対象内と外ということを決める判断をする簡 便な方法として、IRBのどなたか指名する人にやっていただくというのをQ&Aで 書いて、そこはいわば創設することになるのです。そこは、今のような理解でいくと いうことですか。そこをはっきりさせておいたほうがよいと思います。確かに指針の 適用内・外の問題なので、そのような書きぶりでも大丈夫かとは思いますが、本文の ほうには全く出てこないわけですね。 【二階堂専門官】 まず、指針の対象であるもの、ないものを、その指針の中で書こ うとしますと、どうしても役所的な文章というのか、そういった文章で書かなければ いけないというところがございまして、現行として既に記述がございます。しかし、 どう書いても、そこの解釈を拡大解釈されるおそれがあるということで、いっそその 表現を落としてしまって、先ほど川村先生が言われたような具体例をQ&Aに書いて いくことで指針の対象内か対象外かを実例として判断いただいてはどうかというもの でございます。もちろん指針の中で書き込めればそれが一番いいと私どもは考えてお りますけれども、指針の中で文章化しますと、そこの文章になったところの拡大解釈 がどうしても出てくるというおそれがございましたので、今回とらせていただきまし た。 【小幡委員】 確かに、IRBのどなたかが関わる形で簡便に判断していただいたほ うが、よりやりやすいであろうということで、それ自体は、よろしいと思います。た だ、Q&Aで書くということがどういう意味を持つかといいますと、若干問題がある かと思うのですが、おそらく区分に迷う場合には、そういうような形でやっていただ きたいという趣旨ですね。そもそもこの指針というガイドライン自身が、ほんとうの 意味での法的拘束力はないものですから、−−行政法的にはですね。ガイドラインで すから、そう言わざるを得ないのですが、−−さらに指針の適用範囲についてのQ& Aということになりますから、やむをえないですね。わかりました。 【二階堂専門官】 1点つけ加えさせていただきますと、既に指針の中に、この指針 は、このようなものを対象にしますということが明記されてございます。そして、そ の研究の最低限の要件というのも新たに新設してございます。その要件を満たす研究 にはどのようなものがあるか。そして、その要件を満たさない研究、すなわち診療に はどのようなものがあるか。その具体例をQ&Aで書いていくということでございま す。 【矢崎座長】 倫理指針にはそういう細かいところまで書けないというところをQ& Aで補っていくということですね。 【丸山委員】 今の小幡委員のご質問で、おっしゃらんとしたことは、Q&Aは、何 かの規定についてのQ&Aのはずなので、このベースになるものがどこにあるかとい うご質問なんですよね。 【小幡委員】 ええ。ですが……。 【丸山委員】 すみません、この指針ですね。ですから、資料4の19ページの「用 語の定義」の下7行、今回抹消された。そして、そのところの新たなのが19ページ から20ページに書かれていますから、この疫学研究の定義が根拠規定で、それの解 説がQ&Aということになるのかなと、伺っていて思ったんですが……。 【小幡委員】 それでもよろしいと思いますし、適用範囲というところの本文でもよ いとは思うのですが、むしろ気になったのは、適用範囲について、普通はQ&Aでわ かりやすく書くという程度であれば、それはよろしいのですけれども、ここでの話は、 倫理審査委員会の誰かにその判断を行わせるということまでQ&Aで創設することに なるので、やや違和感があったと、そういうことでございます。この意味はどういう ことだというのが普通のQ&Aでございまして、誰が判断するというような、任務の ようなものがそこで新たに書き加えられるということが、本文にはないものなので、 若干違和感を持ったということです。ただ、適用範囲の話なので、そこで書いたほう が合理的であろうということであれば、別に固執しません。本文にはたしかに書きに くいかもしれません。 【川村委員】 一つ疑問というか、不確実なところなんですけれども、指針の適用で あるかないかをだれが判断するか。今までは、研究者自身が判断して、適用でないと 思ったら、そもそも倫理審査委員会に話を持っていきもしないというふうに理解して いたんですけれども、その点どうか。一応お伺いを立てて判断してもらうということ の議論が少し出たような気はするんですが、指針の適用の範囲内かそうでないかをだ れが判断するか、その手続はどうするかということは何か方向づけがありますでしょ うか。 【矢崎座長】 第一義的には、実際に調査をする人がまず判断するわけです。その判 断する人に、すべて自分で判断していいですよということを先ほどからご議論いただ いた幾つかの条件を並べて、この範囲ならいいです。ただ、その範囲を超えた場合に は、しかるべき方に判断して委託するということですね。そういうことであって、出 発点は行為者自身の判断だと思うんですが。 【中村委員】 私も委員長のおっしゃるとおりだと思いますし、ただ、現実的には、 研究者が判断して、これは適用外と決定したときには、その判断の責任というのは研 究者自身だと思います。倫理審査委員会に話を何もなかったということで、倫理審査 委員会は知りませんよという話だけれども、現実問題としては、「どうですかね」と いう相談は、結構、私の大学ではありまして、それに対して、委員長として、「これ はかけなくてもいいんじゃない?」というようなお墨つきを与えているのもあるし、 逆に、「これはかけたほうがいいでしょう」というようなこともありますし、それは 最終的には、判断は倫理審査委員会の委員長としての判断なので、責任はこちらが負 いますということで、逆に研究しやすくしてあげているんだろうと私自身は考えてい ます。 【川村委員】 もう一つ、なぞ解きのような質問で申しわけないんですけれども、病 院の開設者というか、機関の長ですね。機関の長がどこまで責任を負うかと、関係す るかということもあるかと。つまり、倫理審査委員会がその判断をする、またほかに 機関の長というのは、自分の施設で何をやっているかを把握する責務があろうかと思 うので、診療もそうですし、研究もそうでしょうから、そういうのを知っておく責務 があるのかどうか。法的な問題にもなろうかと思うんですけれども、そこを聞きたい と思います。 【山縣委員】 そこは、資料4の4ページ、倫理審査指針の4の(1)の「研究機関 の長の責務」の「倫理的配慮の周知」というところにすべて含まれると。つまり、機 関の長として、こういった研究に関しては何らかの対応をきちんとやっていきなさい という以前の啓発なり教育なりをきちんとやっていきましょうという、そういうこと が述べられているということで解釈できるんじゃないかと思います。 【矢崎座長】 責任はすべて長にあって、実施者が何かあったら、もちろん実施者が 責任を負いますけれども、監督不行き届きで必ず口頭注意とかで、長は必ず、処罰と いうと語弊があるけれども、責任は問われると。  そうしますと、先ほど、これは診療行為である程度明確にくくっていいのではない かということで、新たに川村先生から4つのポイントと、プラス永井先生が1点、受 診動態の調査と精度管理の調査、予後調査、事故防止の調査、それから公衆衛生上の 緊急的な課題への対応。これがデータをブラッシュアップして、学会などに報告する ような状況になったら、施設内のしかるべき方に相談して倫理審査委員会にかけるか どうかということをそこで判断していただく。ただ、基礎的なこういう調査に関して は診療行為の一端としてとらえてはどうかというお話がありましたので、今までの資 料3にあるものにそれを加えていただくと、なおさら明確になるのかなという感じが しますので、今の条件をまたそれに入れさせていただくとわかりやすくなるのではな いかと。 【二階堂専門官】 かしこまりました。 【矢崎座長】 そのほか、いかがでしょうか。どうぞ。 【丸山委員】 資料2、見直しの方向性だと、40ページから43ページの議論なん ですが、資料4の指針ですと、5ページの中に、「倫理審査委員会への付議」のとこ ろにかかわるものは、ほかの今の内容的なもの以外の問題も出してよろしいでしょう か。5ページの、まず(3)ですね。「倫理審査委員会への付議」の本文の(2)なんで すが、「倫理審査委員会があらかじめ指名する者が、研究者等が所属する医療機関内 の患者の診療録等診療情報を用いて、もっぱら集計、単純な統計処理等により研究を 実施する場合」と、内容的な議論は今していただいたんですが、文章としておかしい んじゃないですか。(1)と比べていただいたらいいんですが、(1)が「倫理審査委員会が あらかじめ指名する者が、当該研究計画が次のすべての要件を満たしていることによ り、倫理審査委員会への付議を必要としないと判断した場合」なんですね。判断をす るのが倫理審査委員会があらかじめ指名する人なので、途中から研究者のほうになっ てしまっているので。 【矢崎座長】 (2)のほうですね。 【丸山委員】 ええ、(2)なんですね。(2)を(1)と比べていただくと、(1)のほうはまだわ かるんですが……。 【矢崎座長】 そうですね。わかりました。 【小幡委員】 判断した場合。 【丸山委員】 そうですね。判断した場合というのはそうですね。つながらないとい けないので。 【矢崎座長】 ありがとうございます。そうですね。おっしゃるとおりです。 【丸山委員】 それから、このところの「倫理審査委員会への付議」の本文、柱書き の2行目なんですが、「研究機関の長は、研究者等から3(1)(3)の規定により許可 を求められたときは、倫理審査委員会の意見を必要に応じ聴なければならない」とい う、この「必要に応じ」という言葉なんですが、これはこういうふうに規定の書き方 を直されたのであれば、要らないんじゃないかと思うんです。以前の第5回までの資 料のときは、必要に応じて倫理審査委員会の意見を聴かなければならないとして、そ の「必要に応じ」の説明として(1)、(2)などが挙がっていたんですね。ですけれども、 この書き方だと、倫理審査委員会の意見を聴かなければならない。ただし、聴かなく ていい場合として、(1)、(2)、(3)が列挙されていますから、ただし書きがあるので、も はや「必要に応じ」というのは要らなくなったということを言いたいんですが、第5 回の資料をお持ちでないと、ちょっとわかりにくいですね。必要に応じ−−繰り返し になってしまうんですよね。 【石井課長補佐】 失礼いたしました。確かに第4回、第5回までは、ここに「必要 に応じて」と入れまして、さらに現在、(1)、(3)のものを細則として明記するという形 でございましたので、ここのところは「必要に応じ」が必要だということで入れてい ただいたんですが、この(1)、(3)も本文のほうに入りますので、その「必要に応じ」が そのままですと、非常に範囲が広くなってしまって……。 【丸山委員】 あいまいになるんですね。 【石井課長補佐】 はい。ここの部分につきましては、資料4の5ページの(3)の 上から2行目、本文2行目、「必要に応じ」を削除させていただいてもよろしゅうご ざいますでしょうか。 【丸山委員】 そういう趣旨です。 【石井課長補佐】 はい。 【矢崎座長】 よろしいでしょうか。そのほか。どうぞ。 【森崎委員】 確認で、議論を戻したくはないのですけれども、まず指針の中に入っ ているかどうかという判断は、あいまいなときには、今回の改定の中でもありますが、 倫理審査委員会が判断をするということがQ&Aにも書かれています。それが今回の 方向性の中、資料3の2ページ目にある診療であるのか研究であるのかという、診療 は対象外であるが研究は対象内であるという判断について、最初に判断する、私の今 申し上げたいことは、初めに判断をする者は、まずその行為をする者が判断をすると いう理解をしています。それはよろしいかと思います。その上で、判断ができない場 合は、倫理審査委員会が判断をするということになっていると思います。  その上で、研究であるという判断がなされた場合であっても、今度は1回、倫理委 員会が判断をしたにもかかわらず、倫理審査委員会自体でなくて、指名する者が判断 をするということになるという、ちょっと戻るようなステップになるというふうに解 釈されるんですけれども、それでよろしいでしょうか。初めから本人が、指針の対象 内であるが、直接IRBに付議する必要のない事項だと判断をすれば、それは倫理審 査委員会本体に審査を依頼するのではなく、判断をする者に判断を求めるということ になると思うんですけれども、疑わしい場合には、倫理審査委員会が判断をするとい うステップを経て、さらに倫理審査委員会ではなくて、指名する者が判断をするとい う手続になるように読み取れますけれども、違いますでしょうか。ちょっとそこら辺 を確認したいんですけど。 【小幡委員】 私も次に申し上げようと思っていたのですが、最初の対象内か外かの 判断を「倫理審査委員会」と書くと、「あらかじめ指名する者」というのは別に出て きていますので、倫理審査委員会本体にかけるとすれば、全く簡便でなくなりますの で、ここはむしろ、きちんと「倫理審査委員会があらかじめ指名する者」と書いてお かないと動かないと思います。今の森崎委員のように、本体と指名する者と戻るのか と、そういう疑問もでてきて、ここはどうしても本体のように読めますので、このQ &Aの2ページ目、先ほどの資料3の(2)の(1)の「判断する者」ですが、その判断 は各機関の倫理審査委員会の本体ではなくて、「あらかじめ指名する者」に委ねるこ とにしておいたほうがよいかと思います。その上で、さらにIRBへの付議があるか ないかというのは、本文の先ほどの直しもあったようなところで判断するということ になりますよね。 【矢崎座長】 今の議論の流れはそうですよね。それをうまく……。これ、文章を直 せますか。 【二階堂専門官】 ええ、今ご指摘のありましたような形で文章を直させていただき たいと思います。 【中村委員】 もう1点よろしいですか。細かな話なんですが、ひょっとしたら大き な問題なのかもしれませんけれども、資料3の1ページ目の(1)のところに出てき ております具体例なんですけれども、これは非常にわかりやすいんですが、ただ、あ くまでも疫学研究に関する倫理指針なので、症例報告というのが疫学研究かどうかと いうのは、症例報告も疫学研究と主張する疫学者もいますけれども、頻度というのを 考えたときに、一つの症例を報告しても、これは疫学ではないんじゃないかという問 題が一つと、もう一つは、これはあくまでも疫学研究の倫理指針なので、もう一つ別 にある臨床研究の倫理指針とのかかわりが出てくると思うんです。それをここで診療 と研究というふうに分けたときに、向こうにまで影響を及ぼさないかという懸念があ るんですけれども、その辺、いかがでしょうか。 【矢崎座長】 これは、症例報告といっても、個々の症例報告というのは、疫学研究、 量的な研究が基盤ですので、症例報告を言った場合でも、個々の症例ではなくて、マ スとしての症例のまとめの解析だと思うんですが。そういうふうに理解していただい てだめなんでしょうか。 【中村委員】 もう少しその辺を具体的に、あくまでも疫学研究か診療かということ が切り分けるようにうまく書いていただけたらいいのかなと思っております。 【矢崎座長】 今のご指摘、症例検討会とか、その「症例」という文言がちょっとあ いまいだということですね。この量的な視点からの観察ということがわかるように、 症例検討会というのは、疫学研究にはあまりいい例示じゃないかもしれませんね。  そのほか、いかがでしょうか。そうしますと、きょう、パブリックコメントとご説 明で、私自身、終われるとは思わなかったんですけど、やはりご意見多々承りまして、 今ご指摘いただいたものは、本質的には大きな改定は必要ないと判断しますが、今ご 指摘いただいた点につきまして、本文なりQ&Aなりに組み込んで、また最終版をつ くって終わらせたいと思います。きょう、6回目で、これで最終のものにしたいと考 えますので、今いただいたご意見を十分事務局のほうで最終案に反映するように作業 を行いまして、委員の方々には、個別的にご相談した上で最終版を事務局と私どもで 決定させていただきたいと思いますので、よろしいでしょうか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり) 【矢崎座長】 どうもありがとうございました。それでは、そのように作業を進めさ せていただきたいと思います。  この見直しにつきましては、また5年後を目途に改正されますので、今後大きな課 題があれば、順次見直していくということをして、Q&Aについても必要に応じて訂 正なり追加することを今後もやっていきたいと思いますので、一応専門委員会は今回 で終了いたしますが、各委員におかれましては、今後ともいろいろなご相談申し上げ ることがあるかと思いますが、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  それでは、事務局から……。 【西田委員】 すみません、1点よろしいですか。今の論議とか全然ちょっと、多少 のことで申しわけないんですけれども、参考資料1のQ&AのQ2−5の回答のA2 −5なんですけれども、結核菌株に係るRFLP分析って、保健所でもやるんですけ れども、「結核予防法に基づき」と書いてあるんですけれども、結核予防法は今あり ませんので、(笑)感染症法に一元化されていますので、ここの表現は変えていただ きたいと思います。細かいところですみません。 【矢崎座長】 ありがとうございました。 【永井委員】 もう1点、よろしいですか。これから臨床研究ガイドラインの改定が 行われますね。両者の時期がずれているというのが実は微妙な問題が出てくる可能性 があります。今回は仕方ないと思いますが、次回は、同時進行でなさったほうが、い ろいろな問題がクリアになると思います。ぜひその点、ご考慮下さい。 【矢崎座長】 そういうの、どうでしょうか。 【川村委員】 私も同じ意見で、無理やり切り分けているところがあるので、できれ ば融合を図れればと思います。担当部局の違いがあることは承知しておりますけれど も、できれば倫理指針というものを統合の方向に向かっていただければありがたいと 思います。  それと、もう1点、別件ですけど、医療機関以外でこの種の研究が行われることも 多々あると思いますので、直接医療従事者がタッチしていればよろしいんですけれど も、そうじゃないところで行われる、いわゆるあるある事件などがありますので、医 療従事者以外の方にも十分情報が届くようにお願いしたいと思っております。 【藤井厚生科学課長】 ご指摘の臨床研究の指針との整合性の関係は、私ども事務局 のほうとしても若干気にかかるところがございまして、そこはご指摘のとおり、今後 は十分に関係部局で連携をとって、また文部科学省のほうとも連携をとりながら進め ていきたいと思っております。  永井先生には、臨床研究指針のほうも委員をお願いをしていると思いますけれど も、1年、そもそも作成がずれたという関係で、5年の見直しが1年ずれているとい うことで来ておりますから、今回おおむね5年という形で見直しということを入れて いただいておりますけれども、そこの若干の幅の中で、今回は無理ですが次回につい ては整理をさせていただきたいと思います。  それから、今後の、最後のところで申し上げようと思ったんですが、周知につきま しては、医療関係者だけではとどまらないというのは、私どもも最近の事例等で、改 めて承知をしたというか、認識をしたところであります。できるだけ関係者には広く 周知をするということを心がけていきたいと思っております。 【矢崎座長】 これ、同時に検討するのも大変な作業になるので、ちょっとずれてい るのは、私は結構いいかなと。(笑)ただ、委員の方を、次から次へと大変でしょう けれども、ある程度重複させて、全然別の専門委員会ではなくて、委員が、それは事 務局が頭を下げて、ある程度重複していくと、両方の議論がそこで生かされますので、 ぜひそういう方向で検討できればと思います。  それでは、今後の予定について、事務局のほうからお願いします。 【石井課長補佐】 今後の予定でございます。本日ご議論いただきました見直し案、 ご指摘いただいた部分を含めて、文言修正、具体的なご相談をさせていただきながら 修正をさせていただきます。あとは必要な事務手続を経まして、できましたら8月中・ 下旬を目途に文部科学大臣と厚生労働大臣の連名による告示を予定してございます。 この告示につきましては、周知期間を2カ月以上おきまして、施行期日を本年の11 月1日とすることで現在調整を図っております。その間に周知、あるいは各研究機関 での準備を進めていただくということになろうかと思います。  以上でございます。 【矢崎座長】 そういう次第で、ようやく昨年10月から計6回の議論を経て、この 指針も告示するところまで到達できまして、ほんとうに今まで委員の皆様には貴重な 時間をいただき、議論を進めさせていただきまして、まことにありがとうございます。 厚く御礼申し上げます。  途中で人事異動がありまして、厚生労働省の方も突然、担当が吉川さんから三宅さ んにかわって、企画官もかわられていますが、取りまとめに至ることができました。  それでは、最後に事務局から厚生科学課長からごあいさつをお願いしたいと思いま す。 【藤井厚生科学課長】 それでは、文部科学省と厚生労働省が事務局をさせていただ いておりますが、事務局を代表しまして御礼を申し上げたいと思います。  委員長のほうからもございましたように、昨年の10月から、きょうで6回にわた って、ほんとうにお忙しい中、熱心にご議論をいただきまして、また事務局からいろ いろな資料をお送りして、この委員会以外でもいろいろお手数を煩わせて意見をいた だいたことを改めて御礼を申し上げたいと思います。  今後のことについては、いろいろと申し上げましたけれども、役所の手続としまし ては、この委員会からいただいた意見、告示という形で出すものですから、大臣の告 示という形で、両省から出すことになります。その関係で、文言については、告示と してバランスがとれたというか、ほかの告示との整合性等もあわせまして、若干修正 をさせていただくことがある場合もございますので、その点についてはご了承をいた だきたいと思います。役所側の手続としましては、文部科学省、厚生労働省、おのお のいただいた意見を審議会にかけまして、審議会の承認をもって告示の発出という手 続に移らせていただきたいと。また、周知のこと、先ほどもご指摘がございましたけ れども、各方面にはきちんとした形で周知を両省が中心になりましてさせていただき たいと。これもお約束をさせていただきたいと思います。  ほんとうに矢崎委員長を初め、各委員の先生方、大変お忙しいところご協力をいた だきましてありがとうございました。これは、また見直しが5年後には参りますので、 そのときには何人かの先生方には引き続きご指導を賜るような場面が来ようかと思い ます。そのときには、もう煩わしいからということで嫌がらずに、ぜひご協力をお願 いしたいと思います。ほんとうに長い間、ありがとうございました。 【矢崎座長】 どうもありがとうございました。これで専門委員会を終了させていた だきます。ありがとうございました。 ── 了 ── 【問い合わせ先】 厚生労働省大臣官房厚生科学課 担当:情報企画係(内線3808) 電話:(代表)03-5253-1111 (直通)03-3595-2171 -1-