07/07/19 第5回薬剤師の行政処分の在り方等に関する検討会議事録 薬剤師の行政処分の在り方等に関する検討会 (第5回)          日時 平成19年7月19日(木)          10:00〜          場所 厚生労働省6階共用第8会議室 ○事務局 定刻になりましたので、ただいまから第5回薬剤師の行政処分の在り方等に関 する検討会を開会いたします。委員の先生方におかれましては、いつものことながら、大 変ご多忙の中ご出席いただきましてありがとうございます。  本日の出欠状況ですが、武政委員からご欠席とのご連絡をいただいております。南委員 は少し遅れるというお話を伺っており、場合によっては間に合わない可能性もあります。 本検討会全体で11名おりますが、そのうち9名の先生方にご出席いただいております。  本日の配付資料の確認をします。お手元の資料は、座席表のほか議事次第があり、その 下に資料番号を振った資料がいくつかあります。資料1として、「薬剤師の再教育及び行政 処分の在り方等について」報告書(案)を用意しております。資料2として、「再教育制度 の概要」をお配りしております。資料3として、本検討会の開催状況を示した1枚紙があ ります。資料4として、平成18年に改正された薬剤師法の内容を示したものです。  そのほか、参考資料として、これまでも検討会の中でお配りしている資料をいくつかお 配りしております。参考資料1から5まで用意しておりますが、不足等ございませんか。 また、頁の落丁等ありましたら、のちほどご指摘ください。  傍聴されている皆様方に申し上げますが、カメラ撮りに関してはここまでとさせていた だきます。ご理解とご協力をよろしくお願いします。それでは、このあとの進行を望月座 長によろしくお願いします。 ○座長(望月) おはようございます。議事次第に従って議事に入ります。検討会も本日 で第5回となりまして、前回までの議論を踏まえて、資料1の報告書(案)を用意してお りますので、できれば本日この場で意見を集約し、報告書の取りまとめを行いたいと考え ております。本日の進め方としては、事務局に報告書(案)を区切って読み上げていただ きながら、内容の確認及び追加、修正等の作業を進めていきたいと思います。よろしいで しょうか。  では、事務局より報告書(案)及びその他の資料の説明をお願いします。 ○事務局 資料1を中心にご説明しますが、このほかにお配りしている資料を読み上げて 内容を区切ってご確認いただく前に、一通りご説明します。  資料2をご覧ください。これまで第1回検討会から含めて制度の概略をご説明しており ますが、最初の頁の資料は、現行の行政処分がどうなっているかと改正後どうなるかを比 べて、並べて書いております。「戒告」という区分が新しくできることと、再教育が義務付 けられること、さらには従来の業務停止は期間の上限がありませんでしたが、これが3年 と決められたという点です。  次の頁ですが、再教育の義務付けに関してタイムテーブル的に、業務停止の期間が発生 するその行政処分を下す段階で再教育の受講命令をかけるといったことを示したものです。  3頁目は、行政処分、法律上の類型で言うと免許取消処分、業務停止処分、戒告処分が ありますが、具体的なモデルとしてどのタイミングで再教育の命令がかかり、終了して処 分が明けるかを、それぞれの行政処分の区分ごとに書いております。基本的には、業務停 止処分と戒告処分に関しては、行政処分を課す段階で再教育の命令をかけるというタイミ ングになりますが、免許取消処分は免許を取り消した段階では命令をかけずに、再交付の 申請があった場合に命令をかけるところが違いかと思います。  4頁目は、処分にあたっての手続きを示したものです。今後、法律の規定に基づいて医 道審議会の意見を聴くことになるということを簡単に示したものです。  5頁は表になっておりますが、これがこのあとご審議いただく報告書の中にも出てくる、 処分の類型と、それに併せた形でどういう再教育が課せられていくかを整理したものです。 この内容が報告書に出てくるので、のちほど報告書の中でご確認ください。一応頭の整理 ということで一覧表にしたものを用意しておりますので、適宜お使いください。  資料3は、本検討会の開催状況です。のちほどご審議いただく報告書の案が最終的に取 れた段階で、報告書の参考資料として、最後にこれまでの開催状況ということで内容をイ メージしていただく意味で、こういった資料をつけております。  資料4は、改正薬剤師法の内容ですので、議論の際必要に応じて使っていくということ でお配りしております。  資料の1に戻ります。分量も多いので早足になるかもしれませんが、報告書の案の取り まとめに向けた議論ですので、読み上げる形で説明します。区切っていきますが、まず「は じめに」から4頁目の大きな1の項目まで読み上げます。  はじめに。薬剤師は、医療法第1条の4の規定において医療の担い手として位置付けら れており、医療の基本理念に基づき、医療を受ける者に対して、良質かつ適切な医療を行 うよう努めなければならないとされている。また、薬剤師は、薬剤師法第1条の規定によ り、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び 増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保する任務を負っている。参考は省略します。  このように薬剤師は、国民に対して質の高い医療を安心かつ安全に提供するとともに、 広く薬事衛生をつかさどる者として、社会に対する責任を負っているが、近年の医療技術 の高度化・複雑化や国民の医療の質及び安全に対する関心の高まりなどに伴って、薬剤師 の資質のさらなる向上が強く求められている。このうち、薬剤師の卒前教育については、 平成18年4月から薬学の教育年限が4年から6年に延長され、病院及び薬局における実務 実習が充実される等、医療の担い手として相応しい質の高い薬剤師の輩出に向けた体制が 整備されてきている。また、卒後研修についても、薬剤師自らが教材を用いて行う自己研 修や講義研修、実務研修のほか、がん化学療法などの専門領域に係る研修認定制度や薬学 部の学生を病院・薬局に実務実習生を受け入れる指導者養成のための研修認定制度など、 薬剤師が生涯に渡って研鑽することが可能な環境整備が進んできている。  一方で、業務停止処分などの行政処分を受けた薬剤師が、業務停止期間を過ぎれば特段 の条件なく業務に復帰することができる仕組みでは、国民の信頼や安全・安心を確保する ことは難しく、また、行政処分のみでは反省や適切な業務の実施が期待できない場合があ る等といった問題点があると考えられていた。このため、厚生労働省では、薬剤師のみな らず医師、歯科医師及び看護師における行政処分及び再教育に係る制度改正に取り組むこ ととし、平成18年第164回国会において、「良質な医療を提供する体制の確立を図るため の医療法等の一部を改正する法律案」を提出した。同法案は、同年6月14日に可決成立し、 平成18年6月21日法律第84号として公布されたところである。これにより、薬剤師の行 政処分及び再教育制度については、平成20年4月1日に施行されることとなり、施行に向 けて、再教育研修の実施方法及び再教育研修の修了手続等の具体化を図る必要があった。  これらを踏まえ、本検討会では、行政処分を受けた薬剤師に対する再教育研修及び行政 処分の適用の在り方等について精力的に検討を行ったので、その結果を以下の通り報告す る。  I薬剤師の行政処分及び再教育研修制度の概要。1.薬剤師の行政処分の類型。良質な医 療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律(平成18年法律第 84号)による改正後の薬剤師法(昭和35年法律第146号。以下「法」と言う。)第8条に おいて、厚生労働大臣が、法第5条各号のいずれかに該当し、又は薬剤師として品位を損 するような行為があった場合に行うことができる処分は、(1)戒告、(2)3年以内の業務の停 止、(3)免許の取消し、となっている。厚生労働大臣が、行政処分をするに当たっては、あ らかじめ医道審議会の意見を聴かなければならないこととされている。そのうち、免許取 消処分をしようとする場合にあっては、自ら聴聞を行う又は都道府県知事に対して当該処 分に係る者に対する意見の聴取を行う等、所定の手順を経る必要がある。また、業務の停 止を命じる場合には、当該処分に係る者に対する弁明の機会を都道府県知事に対して求め る等の所定の手順を経ることが求められている。  2.行政処分を受けた薬剤師に対する再教育研修。厚生労働大臣は、法第8条の2の規定 により、戒告又は3年以内の業務の停止の処分を受けた薬剤師、又は免許取消処分を受け た後に再免許を受けようとする者に対して、再教育研修を受けるよう命ずることができる こととされている。この再教育研修は、薬剤師としての倫理の保持及び薬剤師として必要 な知識・技能に関する研修として規定され、再教育研修の修了者の申請により、厚生労働 大臣は再教育研修を修了した旨を薬剤師名簿に登録することとされている。  また、再教育研修を修了しない場合にあっては、薬事法第7条の規定において、当該薬 剤師は薬局の管理者にはなれないこととされ、この規定は同法第27条においても準用され ている。 ○座長 ありがとうございました。それでは、いまの事務局からの説明に対して、ご質問、 ご意見等をいただきたいと思います。まず、1頁の段階で何かありますか。「薬剤師の資質 のさらなる向上が強く求められている」、さらなるという言葉は最近流行っているのですが、 私にはよく響かないのですが、いかがでしょうか。よろしいですか。  2頁について、何かありますか。3行目ぐらいが、耳に入り良くなかったのですが、「が ん化学療法などの専門領域に係る研修認定制度や薬学部の学生を病院・薬局に実務実習生 を受け入れる指導者養成のための研修認定制度など」とありますが、「学生を病院・薬局に 実務実習生を受け入れる」というのは。 ○事務局 ここは、確かに読んでおかしいと思ったのですが。 ○宇賀委員 「実務実習生として」ですね。 ○座長 では、「薬学部の学生を病院・薬局に実務実習生として受け入れる指導者養成のた めの研修認定制度」ですね。ほかには、内容についてもいかがでしょうか。この頁はよろ しいですか。  それでは、3頁はいかがですか。 ○宇賀委員 1の2つ目の段落、「厚生労働大臣が」という段落の3行目に、「自ら聴聞を 行う又は都道府県知事に対して当該処分に係る者に対する意見の聴取を行う」とあります が、これは都道府県知事に対して当該処分に係るものに対する意見の聴取を行うよう求め るということですね。 ○事務局 そうですね。 ○座長 これは、文章としてはいかがですか。 ○宇賀委員 少し直さないといけないと思います。 ○事務局 4行目の、聴取を行うことを求める等、ということですね。 ○座長 その下の「弁明の聴取を都道府県知事に対して求める」というのはいいのですか。 弁明の機会をと読まれた気がするのですが、聴取でいいのですね。 ○事務局 弁明の機会は対象者に対して与えられるものであって、都道府県知事に対して は聴取を求めるですね。 ○七海委員 文面を読むと、戒告の場合は弁明の機会はないと読めるのですが、2行目の 「そのうち、免許取消処分をしようとする場合にあっては」弁明できるけれども、戒告の 場合は弁明できないと読んでいいのでしょうか。 ○事務局 法律はそうなっております。 ○宇賀委員 最初に戻って、私の語感だけで皆さんが抵抗なければいいのですが、1頁の 下から2つ目の「このように薬剤師は国民に対して質の高い医療を安心かつ「安全に」提 供する」という言い方で、安全にはいいのですが、「安心に提供する」というのがしっくり こないのです。何かうまい言い方ができないかと思ったのですが。 ○事務局 そこはご意見をいただいて、のちほど考えて工夫してみたいと思います。 ○宇賀委員 提供するほうが安全にというのはわかるのですが、安心というのは受ける側 の問題ですから、その辺りをよく考えていただきたいと思います。 ○座長 ありがとうございます。ほかはよろしいですか。それでは、4頁にいきます。 ○堀内委員 2行目ですが、「再教育研修の修了者の申請により」という部分ですが、修了 したことを誰かが認定をすることと修了者が申請をすることは別のことなのですが、1つ になっていると思われるので、「再教育研修修了後、修了者の申請により」という形にした らいいかと思います。 ○座長代理(平林) 行政処分について命令を受けた者がそれに違反した場合には罰金が 課せられることも、ここに書いておいたほうがいいのではないかと思います。 ○座長 いかがでしょうか。 ○事務局 わかりました。32条規定ですね。 ○座長 32条規定もここに入れておくということです。ほかによろしいですか。ありがと うございます。  それでは、引き続きIIからご説明をお願いします。 ○事務局 それでは、分量が多いので、読むスピードを上げていきたいと思います。終わ ったあとでも、ご意見は全て各論的にいただけると思いますので、よろしくお願いします。  5頁です。再教育研修の在り方について。1.再教育研修の目的。再教育研修は、薬剤師 法第8条の2の規定に基づき、行政処分を受けた薬剤師又は再免許を受けようとする者に 対して行われるものであり、その内容としては、薬剤師としての倫理の保持に関する研修 及び薬剤師として必要な知識・技能に関する研修に大別される。行政処分を課すことによ り被処分者である薬剤師に対して、その原因となった行為に関する反省を促し、あらため て資格者としての社会的責任を求めることにより、被処分者に対する再教育研修は、国民 への安心・安全な医療の提供等、薬剤師が果たすべき任務の適正な実行に導くことを目的 としている。  また、被処分者にとっては、薬剤師としての倫理及び知識・技能に関して、自らを見つ め直す機会として捉えることができ、再教育の修了をもって、薬剤師としての社会的責任 を果たすことができる水準まで自らが到達したことを示すものとなる。さらに、国民から みれば、再教育の実施とその修了により、被処分者が薬剤師として必要な職業倫理及び知 識・技能を備えていること、又は修得したことを確認する手段でもある。  2.再教育研修の内容。再教育研修の内容は、法第8条の2第1項の規定に基づき、・薬剤 師としての倫理の保持、・薬剤師として必要な知識及び技能、に関する研修として定められ ている。  (1)行政処分の種類と適用する再教育研修。一般に、再教育研修の内容は、再教育を受 講することとなった原因である行政処分の内容や、その理由によって異なるものと考えら れる。改正薬剤師法では3つの行政処分の類型が設定されており、順に、「戒告」、「3年以 内の業務の停止」、「免許の取消し」となっているが、行政処分の内容については、処分の 原因となる行為の程度に依存するものである。そのため、それぞれの類型に対応した再教 育については、行政処分の内容の軽重を勘案してプログラムが構成される必要がある。  このうち、「3年以内の業務の停止」については、業務停止の期間が1年以内の場合とそ れ以上の場合とを比較すると、後者の場合には1年以上実務から遠ざかることとなるため、 業務再開後の現場において問題が生じないよう、直接の処分内容にかかわらず知識・技能 に関する再教育研修が必要と考えられる。そのため、3年以内の業務停止処分の場合にあ っては、適用する再教育研修の内容を二分し、業務停止期間が1年未満の場合と1年以上 の場合とに分けることが適当である。したがって、再教育研修については、以下の4つの 行政処分ごとに適用することが適当である。ア.戒告、イ.1年未満の業務停止、ウ.1年以 上3年以内の業務停止、エ.免許取消し。  また、行政処分に至った理由(要因)については、行政処分の違いにかかわらず、「職業 倫理の欠如」と「知識・技能の欠如」があり、それぞれに該当する行為としては、以下の ようなものが考えられる。  ・「職業倫理の欠如」は、倫理の欠如により、薬剤師に限らず一般に犯し得る行為に至っ た場合、及び薬剤師としての資格を利用する等によって何らかの罪となる行為を犯した場 合が該当する。  ・「知識・技能の欠如」は、薬剤師としての任務を果たすために有するべき知識及び技能 が欠けていたために業務上発生した事故や過失・過誤などにつながった場合が該当する。 職業倫理の欠如による行政処分を受けた場合にあっては、倫理の保持に関する研修を求め、 知識・技能の欠如による行政処分の場合にあっては、知識・技能に関する研修を求めるこ とを基本とするが、後者の場合にはそれに加えて倫理の保持に関する研修を求めることが 適当である。また、前述の通り、1年以上の業務停止等の場合にあっては、直接の処分内 容にかかわらず長期間実務から遠ざかるため、知識・技能に関する研修を求めることが適 当である。  以上により、行政処分の種類と適用する再教育研修を整理すると、以下のとおりとなる。 ここは少し繰り返している部分がありますので、読み上げずに、4種類の類型ごとに倫理 の欠如の場合と知識・技能の欠如の場合において、それぞれどういう研修が当てはまるか を並べて書いております。  8頁です。(2)、倫理の保持に関する再教育研修の内容。薬剤師としての倫理の保持に関 する研修については、(1)集合研修、(2)課題研修を中心とする。また、1年以上3年以内の 業務停止や免許取消しの行政処分を受けた者に対しては、知識・技能に関する研修とあわ せて、特定の指導者(個別指導者)の下で、(3)個別研修を適用することが適当である。な お、必要に応じて、社会奉仕活動、心身の鍛錬、読書、執筆等を実施することにより、自 省と自己洞察を行うことが望ましく、また、必要に応じて、医師の再教育研修等との連携 により、他職種間の交流を図ることも効果的である。  (1)集合研修。集合研修は、被処分者が教育的講座を受講する形態のものであり、そのプ ログラムは行政処分の要因となった直接的な行為のみならず、他の要因による再発を防止 する観点から、倫理の保持に関する研修として想定しうる内容を包括的に網羅したものと することが適当である。具体的には、法令遵守、職業倫理、薬剤師としての理念、患者の 立場からみて相応しい行動・接遇などが挙げられる。倫理の保持に関する集合研修は、戒 告処分を受けた者から免許取消し処分を受けた後に再免許を受けようとする者まで、全て の被処分者に対して適用することが望ましい。  (2)課題研修。被処分者に対して倫理の保持に関する研修を命ずるにあたっては、処分の 軽重によっては、集合研修を通じた教育的講座のみでは再教育の効果が十分ではない場合 が考えられる。被処分者がより重い行政処分を受けた場合にあっては、集合研修に加えて 少人数で特定の課題に対する洞察を深めることを目的として、スモール・グループ・ディ スカッション(SGD)形式の課題研修を行うことが適当である。  課題研修のプログラムについては、法令遵守をはじめとする集合研修の内容のほか、行 政処分を受けた事例の提示や、患者団体・医療事故の被害者等からの経験談などで構成す ることが効果的である。SGD形式の課題研修を行うにあたっては、SGDを先導する立場の者 (チューター)を配置する必要があり、課題研修の進行スケジュールを含めたプログラム 全体に関与させることが適当である。また、今後の行政処分件数の動向も踏まえつつ、受 講者数の状況などに応じて、被処分者以外の者の参加を募るほか、本再教育研修と同じSGD 形式を採用している他の研修プログラムとの連携を図るなど、適切な対応をとる必要があ る。さらに、SGD形式の課題研修は、被処分者同士がグループを形成することにより実効 性が高まることから、被処分者が一定数以上参加することが適当であるが、必ずしも行政 処分に至った理由等が同一の被処分者ばかりでグループを構成するとは限らないため、実 施にあたっては、SGDに参加する被処分者に共通する課題選択に努めることが望ましい。  (3)個別研修。倫理の保持に関する研修が個別研修として行われる場合は、処分の理由に かかわらず、1年以上3年以内の業務停止処分を受けた場合及び免許取消し処分を受けた 後に再免許を受けようとする場合であることから、処分によって長期にわたり業務から遠 ざかっていることも念頭に、特定の指導者(個別指導者)の下で、個別研修を適用するこ とが適当である。  個別研修を行う場合にあっては、倫理の保持に関する研修のほか知識・技能に関する研 修も命じられるため、あらかじめ知識・技能に関する研修と連動したかたちでプログラム が構築されることが望ましい。個別研修のプログラムについては、法令遵守をはじめとす る集合研修の内容のほか、課題研修として行われる行政処分を受けた事例の提示や患者団 体・医療事故の被害者等からの経験談など、行政処分に至った理由等に基づいて適切に策 定されることが適当である。  (4)研修期間。倫理の保持に関する研修の期間については、医師等に対する場合も念頭に 置きつつ、概ね次のとおりとすることが適当である。・集合研修:1日相当、・課題研修:1 日相当、・個別研修:30日(知識・技能に関する研修を含む)。なお、制度施行後において は、再教育研修の実施状況を把握し、再教育研修の実効性などを継続的に検証することに より、適宜、研修プログラムの内容の見直しとともに、研修期間についてもより適切なも のとしていく必要がある。  (5)研修プログラムの策定。倫理の保持に関する研修の具体的なプログラムの策定につい ては、再教育研修の実施主体である国において行われるが、その際、集合研修及び課題研 修はそれぞれ1日相当で実効が上がる内容とする必要があり、個別研修についても個別指 導者との連携の下、効果的な内容である必要がある。したがって、研修プログラムについ ては、これまで薬剤師に対する各種研修プログラムを実施してきた関係団体や法人などの 助言・協力を受けながら策定することが適当である。また、医師等における研修プログラ ムの活用を図ることも可能であると考えられるため、活用を図ることが望ましい。なお、 研修期間と同様に、研修プログラムについても、制度施行後において、再教育研修の実施 状況を把握し、再教育研修の実効性などを継続的に検証することにより、適宜、プログラ ムをより適切なものとしていく必要がある。  (3)知識・技能に関する再教育研修の内容。薬剤師として必要な知識・技能に関する研 修については、(1)集合研修として、教育的講座を受講することにより知識等の修得に努め るとともに、(2)個別研修として、実践的な知識・技能を演習又は実務実習を通じて修得す ることが適当である。知識及び技能に関する研修については、・被処分者の知識や技能の欠 如に起因する特定の行為に対して行政処分が行われている場合と、・行政処分の理由にかか わらず「1年以上3年以内の業務停止」又は「免許取消し」の行政処分によって、長期間 実務から遠ざかっている場合、に適用されると考えられる。  (1)集合研修。知識・技能に関する集合研修は、倫理の保持に関する研修と同様、被処分 者が教育的講座を受講する形態のものであり、被処分者による特定の行為が要因となり、 医療事故につながった場合を想定すれば、そのプログラムは、医療事故の防止対策や医療 の安全管理に関する内容が適当である。また、行政処分により長期間実務から遠ざかって いる場合等における集合研修にあっては、行政処分の要因となった直接的な行為のみなら ず、業務停止処分後の業務の再開に向けて必要となる内容を包括的に網羅したものとする ことが適当である。研修プログラムについては、通常、薬剤師が生涯研修の一環として受 講している一般業務や専門領域における業務に係るプログラムなどを活用することが可能 と考えられる。  (2)個別研修。知識・技能に関する個別研修は、倫理の保持に関する研修と同様、特定の 指導者(個別指導者)の下で、実務実習又は演習を通じて、知識・技術を修得する形態の ものである。個別研修のプログラムについては、個別研修が自らの知識・技能の欠如を要 因とする行政処分を受けた場合のほか、職業倫理の欠如によって行政処分を受けた結果と して、長期間実務から遠ざかっている場合にも適用されるものであることから、行政処分 に至った理由等に関連する実務のほか、薬剤師が行う実務全般に及ぶ内容で構成されてい ることが適当である。また、知識・技能に関する個別研修は、倫理の保持に関する研修と 連動したかたちで行われるため、あらかじめ両方のプログラムから構成されている必要が ある。  (3)研修期間。知識・技能に関する研修の期間については、倫理の保持に関する研修の場 合や、薬系大学及び各卒後研修機関などで行われている実務研修の実施状況などを念頭に 置きつつ、概ね次のとおりとすることが適当である。・集合研修:1日相当、・個別研修: 20日(1年未満の業務停止の場合)、30日(倫理の保持に関する研修を含む)。なお、制度 施行後においては、再教育研修の実施状況を把握し、再教育研修の実効性などを継続的に 検証することにより、適宜、研修プログラムの内容の見直しとともに、研修期間について もより適切なものとしていく必要がある。  (4)研修プログラムの策定。知識・技能に関する研修の具体的なプログラムの策定につい ては、再教育研修の実施主体である国において行われるが、その際、集合研修は1日相当 で実効が上がる内容とする必要があり、また、個別研修についても個別指導者との連携の 下、効果的な内容である必要がある。したがって、研修プログラムについては、これまで 薬剤師に対する実務実習プログラムを実施してきた関係団体や法人のほか、薬学教育にお いて薬学生を対象に演習を実施してきた学校法人などの助言・協力を受けながら、策定す ることが適当である。なお、研修期間と同様に、研修プログラムについても、制度施行後 において、再教育研修の実施状況を把握し、再教育研修の実効性などを継続的に検証する ことにより、適宜、プログラムをより適切なものとしていく必要がある。  3.再教育研修の対象者とその研修の内容。行政処分を受けた薬剤師に対する再教育研修 は、行政処分終了後にあらためて薬剤師免許を有する資格者として業務に従事することを 前提に行われるものである。したがって、再教育研修は、行政処分の類型にそって厳格に 適用され、再教育研修を修了し、所定の手続きを終えた時点においては、行政処分の要因 となった直接的な行為のみならず、薬剤師としての相応しさを取り戻すことを可能にする 内容である必要がある。今回の検討においては、倫理の保持に関する研修及び知識・技能 に関する研修について、集合研修、課題研修及び個別研修の3つの形態を示したが、これ らをそれぞれ行政処分の類型に沿って、(1)職業倫理の欠如によって処分を受けた者と、(2) 知識・技能の欠如によって処分を受けた者とに対して、以下のとおり課すことが適当であ る。  14頁に整理した箇条書きの部分は、先ほどの資料2に掲げたものと同じです。内容が重 複するので、読上げは省略します。 ○座長 ありがとうございました。それでは、まず5頁で何かお気付きの点はありますか。 ○宇賀委員 表現は座長に一任しますが、5頁のいちばん下の「適用する再教育研修」と いう表現ですが、研修を適用するというのが表現としてしっくり来ないので、ここはあと で事務局と座長でご検討いただきたいと思います。 ○座長 研修を適用するという言葉が適切かどうかということです。のちほど検討します。 ほかはよろしいでしょうか。  それでは、6頁で何かありますか。 ○宇賀委員 これも細かい点なのですが、6頁の真ん中辺りの「したがって」という段落 で、「以下の4つの行政処分ごとに」とあります。ほかのところでも類型や種類といった言 葉が使われていますが、4つの種類の、あるいは4つの類型のと入れたほうがよいかと思 います。 ○座長 行政処分の前に類型または種類という言葉を入れるということですね。  続いて、7頁についてはいかがでしょうか。特に問題なければ、8頁はいかがですか。 ○宇賀委員 これも先ほどのと同じで、「また」の段落の(3)の表現です。これも表現は座長 に一任しますが、「個別研修を適用する」という書き方です。 ○座長 わかりました。 ○座長代理 言おうか言うまいか迷っていたのですが、やはり、気になりますのでご意見 をお伺いしたいのです。この報告書の中で、「倫理」という言葉と「職業倫理」という言葉 が使い分けられているのですが、使い分けに意味があるのでしょうか、あるいは意味がな いのでしょうか、その点をお考えいただければと思います。 ○事務局 それに関しては、処分の原因をたどっていくと薬剤師としてのさまざまな業務 が絡んでくるので、それは職業の範囲の中で、業務の中で行われる倫理の欠如があり得る かということで、原因、要因の部分で使っている表現は「職業倫理」になっているかと思 います。  一方で、自省を促すほかさまざまな目的が再教育にあるとすれば、再教育は薬剤師とし ての職に関するものばかりではなく、広くいろいろなプログラムが考えられるのではない かと思い、あえて「職業」を付けずに「倫理」という言葉で広めに取っているという考え 方があります。 ○座長代理 ただ、処分の原因として、例えば道交法違反があります。道交法違反は職業 倫理以前の問題かと思えますので、そうすると、処分の原因の中でも職業倫理以外のもの も入ってくるのです。そう考えると、なかなか難しい問題だと思います。 ○事務局 そうすると、「職業」という言葉は取ってもいいのでしょうか。 ○座長代理 どちらがいいのかなと思ってはいるのですが、私自身は職業倫理というのは とても大事なことだと思っていますので、それは何とか残したいとは思うのです。では、 どうすればいいかとなると、なかなか難しくて、いまのところはいいアイデアがありませ ん。申し訳ないのですが、さらにご検討いただければと思います。 ○座長 難しい検討が残りましたが、薬剤師としての倫理と人としての倫理をどう考える かですね。その点に関しては、ご意見はありますか。よろしいですか。では、それは検討 します。  私が8頁で考えたのは、集合研修のいちばん最後で、「全ての被処分者に対して適用する ことが望ましい」と。適用することとする、要するに「望ましい」というのは、しなくて もいいと取れてしまう気がするのですが、倫理研修は全てに「せよ」、という方向のほうが よいのではないでしょうか。 ○事務局 とりあえず、ほかの書き方で言うと「適当である」ということにしておけば、 それを必ず当てはめると、このペーパーの中では考えておりますので。 ○座長 そうですね。ほかには、何かお気付きの点はありますか。  それでは、9頁についてはいかがでしょうか。よろしいですか。10頁についてはいかが ですか。研修期間についてこの前論議したわけですが、「1日相当」という表現、1日では ないけれど1日相当の期間ということでここに載せたいと。これは、医師等に対する場合 も念頭に置きつつという説明ですが、これについてはいかがですか。 ○事務局 もう少し補足しますと、これからプログラムを考えていくにあたって、1日の 使い方が分かれる、1日相当ではあるのですが、同じ日にできるとは限らないこともあっ て、時間数というよりは1日相当としておけば、具体的なプログラムに落としていったと きに、1日相当に収まる範囲となるので、少し幅を持たせた形でこのような表現をしてお ります。厳密には、プログラムの中でしっかりやっていくことには変わりありません。 ○座長 よろしいですか。全体的な表現としては、これでいくということです。 ○座長代理 いちばん最後から3行目の「医師等における研修プログラムの活用を図るこ とも可能であると考えられるため、活用を図る」と、少しもたついているので、ここも文 章的に修文をお願いしたいと思います。「可能な限り、これを活用することが適当である」 と、すっきり変えたほうが意味が通じると思います。 ○七海委員 10頁と13頁に出てくるのですが、(5)研修プログラムの策定の2行目で、「再 教育研修の実施主体である国において行われるが、その際」とあります。国において行わ れるというのは理解はできるのですが、「国において行われるが」とすると、しかしながら という文言にも読み取れるのではないかと思って気になったのです。 ○座長 「が」というのが両方に取られるので。 ○七海委員 むしろ、「行われる」と止めてしまったほうが、わかりいいのではないかとい う感じがしましたが、その辺りは事務局にお預けします。 ○座長 わかりました。検討いたします。 ○宇賀委員 11頁の下から6行目で、「そのプログラムは、医療事故の防止対策や医療の 安全管理に関する内容が」となっているので、「内容とすること」としたほうがいいかと思 ったのです。 ○座長 「内容とすることが適当である」と。ありがとうございます。ほかにはあります か。  12頁はよろしいでしょうか。13頁と14頁の表と文章については、何かお気付きの点は ありますか。  それでは、15頁からご説明をお願いします。 ○事務局 いまのところで何かありましたら、のちほどご指摘いただければと思います。 次は、15〜20頁まで読み上げます。  4.再教育研修の提供者。(1)全般的事項。再教育研修は、国が主体となって選定した提 供者によって行われるが、その対象としては、倫理の保持に関する研修の場合は、医師に 対する場合などと同様、医療関係団体に限定することなく、社会奉仕団体、公益団体、学 校法人等の組織・個人が想定され、知識・技能に関する研修の場合は、これまで卒後研修 を実施する実績をもつ施設、公益法人、学校法人等が想定される。また、個別研修におけ る被処分者に対する直接的な指導等については、個別指導者が行うことが適当であり、そ のうち知識・技能に関する個別研修については、専門的知識や技能のみならず、指導者と して相応しい指導方法と評価方法を修得している薬剤師が個別指導者としてあたることが 適当である。  (2)個別研修における提供者(個別指導者)。(1)個別指導者に関する考え方。倫理の保 持に関する研修のうち、1年以上3年以内の業務停止処分を受けた者などに対して、個別 研修を行う場合、被処分者を指導・監督する個別指導者の配置が必要であり、薬剤師をは じめとする医療に関わる者であることが望ましい。知識・技能に関する研修においても、 個別研修を行う場合にあっては、個別指導者が必要であり、原則、薬剤師としての専門的 知識や技術のみならず、指導者として相応しい指導方法と評価方法を修得している薬剤師 であることが望ましい。また、個別指導者の包括的な指導・監督の下実習又は演習を行う 場合、個別指導者とは別に、実習又は演習を行う施設において被処分者を直接的に指導す る立場として、薬学生の実務実習を指導する認定実務実習指導薬剤師を配置することが望 ましい。さらに、特定領域に係る研修を行う場合にあっては、当該領域において専門的知 識・技能を有する専門薬剤師の活用も可能と考える。  (2)個別指導者の要件。個別指導者については、被処分者に命じられた再教育研修を担う 者であることから、公正かつ適正な資質を有することが、被処分者に対する再教育研修の 効果を最大限のものとするばかりでなく、再教育研修の質を確保する観点からも重要であ る。したがって、個別指導者の要件については、以下のとおりとすることが適当である。 ア 薬剤師免許取得後5年以上経過している者、イ 薬剤師の生涯研修の一環として行わ れる実務研修又は薬学生を対象とした実務実習のいずれかにおいて、指導者として継続的 に経験を有する者。  (3)個別指導者の養成。個別指導者の養成にあたっては、倫理の保持に関する研修及び知 識・技能に関する研修それぞれについて、標準的な養成カリキュラム又は基本方針等が策 定されることが望ましい。養成カリキュラムを修了した者のほか、倫理の保持に関する研 修に係る個別指導者として、医師等における再教育研修を行う助言指導者を活用すること が可能と考えられる。また、知識・技能に関する研修については、十分な実務経験と指導 実績を有する薬剤師及びこれらと同等以上の知識・技能を有する者が個別指導者になり得 るものと考える。  5.再教育研修の修了評価。行政処分を受けた薬剤師に対する再教育研修については、「集 合研修」、「課題研修」、「個別研修」の3種類がある。「集合研修」及び「課題研修」の修了 評価にあたっては、各種研修プログラムを受講後に研修リポートを作成し、国又は再教育 の提供者に提出することが必要であり、「個別研修」の場合には、個別研修を修了した時点 で「修了報告書」を作成し、国又は再教育の提供者に提出することが必要である。なお、 「個別研修」においては、被処分者の指導を行う個別指導者に対して、「修了報告書」にお いて修了評価及び署名を求めることが適当である。  再教育研修に関する制度の施行にあたり、後述のとおり、再教育研修が修了するまでの 間、行政処分に関する情報が対外的に提供されることから、国においては再教育研修の修 了に関する情報を速やかに薬剤師名簿に登録するとともに、再教育研修修了登録証の交付 など、所用の手続きを適切に定め、実行することが求められる。  再教育研修を行った結果、被処分者に対して再教育を行う目的を達成したか否かを客観 的に確認する必要があるため、同じ医療系国家資格である医師等において検討された評価 基準を参考に、薬剤師に関する修了評価の考え方を整理することが適当である。  (1)倫理の保持に関する研修。(一般的事項)。・薬剤師に求められている職業倫理につ いて、基本的な理解がある。・医療現場において患者が置かれている立場について、基本的 な理解がある。・医療を支えている法制度や診療報酬・調剤報酬制度について、基本的な理 解がある。  (行政処分を受けた理由に直接関わる事項)。・行政処分を受けるに至った理由に対し、 直接的に向き合い、反省し、再び同様の問題を起こさない決意が確認できる。・行政処分を 受けるに至った理由の背景として存在する、自分自身の内的要因を洞察し、改善を図る取 り組みができる。・行政処分を受けるに至った理由の背景として、自身の責に依らない外的 要因がある場合には、そうした要因の改善に向けての働きかけができる。・行政処分を受け るに至った理由に、直接的な被害者が存在する場合には、被害者の心情に思いを致し、被 害者が望む場合には被害者に自分の気持ちを伝えることができる。  (2)知識・技能に関する研修。(被処分者の知識や技能の欠如に起因する特定の行為を 要因とする行政処分の場合)。・行政処分を受けるに至った特定の行為及びその領域におけ る被処分者の知識・技能について、問題がないことが確認できる。・仮に、当該領域におけ る知識・技能に問題があると考えられる場合は、被処分者が自分自身の知識・技能におい て欠如している部分を客観的に認識し、そうした認識に基づいて追加的研鑽などを積むと ともに、自らの職業倫理に従って業務再開後の再就職先を自ら選択できる。  (長期間実務から遠ざかっている場合)。・自らの置かれた状況に基づき、再開後の業務 内容を適切に選択できる。・被処分者の知識・技能が業務再開後の現場において問題がない ことが確認できる。・仮に知識・技能に問題があると考えられた場合には、被処分者が自分 自身の知識・技能において欠落している部分を客観的に認識し、そうした認識に基づいて 適切な研鑽を積むとともに、自らの職業倫理に従って、自らが実施可能な業務の範囲を適 切に選択できる。  6.再教育研修の実施上の留意点。(1)再教育研修に係る費用。再教育研修については、 被処分者自らの職業倫理の欠如または知識・技能の欠如などを要因として行政処分の対象 となり、その結果として実施を命じられているものである。また、再教育研修の受講およ び修了は、自らの復帰に必要な過程である。したがって、再教育研修に係る費用について は、再教育研修を受ける者が負担することが適当である。  (2)再教育研修修了後の薬剤師名簿への登録手続。被処分者は、再教育研修を修了した 旨を薬剤師名簿に登録しようとするときは、国へ登録申請を行う必要がある。登録申請の 際に必要となる文書等、薬剤師名簿への登録に関する手続の詳細については、今後、国に おいて整備する必要がある。 ○座長 ありがとうございました。15頁に戻って、いかがでしょうか。特に、ここは個別 指導者の考え方が出てくるので、この点に関してご意見をいただきたいと思います。堀江 委員、お願いします。 ○堀江委員 9頁でスモール・グループ・ディスカッションにおける対応ということでチ ューターの役割が出てきますが、チューターは個別指導者とは違う立場と思います。また、 医学部教育における経験からチューターの取組方は人によって非常に違うというのが実感 です。これを比較的に均一な対応を求めるにはかなり経験を積んでいただく必要があると 思います。したがって、個別指導者の要件としていろいろ書かれていますが、チューター として指名される方は、経験を積んでいる方である必要があると思います。特にこの件に ついては縛りがないわけですが、どういう人をチューターとするかは検討する必要がある のではないかと思いました。  個別指導者の要件ですが、医師の再教育でもいろいろとディスカッションがあった中で、 指導医の資格を持っている、あるいは専門医の資格を持っていることが検討されたと思い ます。臨床研修医の教育を担う指導医は、現在は過渡的措置で5年以上となっていますが、 正式には7年以上臨床経験のある者となっています。そういう人であれば、ここで言う個 別指導者としての対応も可能なのではないかということです。  薬学部の場合、いま6年制教育がスタートしましたが、例えばチュートリアルや実地研 修といった教育に携わっていく先生方の取組方は、4年教育の場合と変化してきているの ではないかと思います。今、検討している制度は平成20年からスタートしていくことにな りますが、初めの数年間は個別指導者の要件として5年の経験をした人で大丈夫なのかど うか。これは薬学の実情がわからないでの発言ですが、当初はむしろもう少し経験を積ん だ方に対応していただきながら、将来的には5年としていくのか、その辺りの検討はあっ たほうがいいのではないかと思いました。 ○座長 ありがとうございました。初めのチューターの問題ですが、いかがですか。チュ ーターと個別指導者は同じではなく、違っていいだろうという意識があるのと、チュータ ーはスモール・グループ・ディスカッションをやっているときには、参加している学生と 比較的近い人、要するに意見を引き出すような人間をチューターとして選ぶ場合が多いと 思うのです。そういう意味では、個別指導者とある程度違ってもいいとは思うのですが、 ではチューターとしての要件は何かと言われると、これもどこかで説明を入れておく必要 があるのかもしれません。チューターとしてのワークショップなど、ある程度の経験がな いといけないわけですね。  堀内委員、お願いします。 ○堀内委員 学部の学生のスモール・グループ・ディスカッションのチューターとこの場 合のチューターと、少し意味合いが違うのではないかと思います。学生の場合には、フリ ーにディスカッションさせて、方向性が間違わないようにあまり口を挟まないというやり 方ですが、この場合にはある程度の方向性ははっきりしているのではないかと思います。 フリーにディスカッションさせながらいろいろな意見を引き出してくるのは大事なことだ と思いますが、そこの方向性を最終的には明確に持っていくことが必要になると思うので、 堀江委員がおっしゃったように、チューターについては学生と同年代の者などではなく、 少し指導性が求められるのではないかと思います。 ○座長 いかがでしょうか。チューターをどういう立場に入れるか、難しいですね。チュ ーターがある意見を持っていて、それを参加している人たちにわからせるのか、それとも 受講生が自分たちで考えて自分たちで分かったものを出すということです。学生のことを 持ってきては申し訳ないのですが、教員がある意識を持って学生と接すると、学生はその とおりになります。しかし、それは学生の意見ではなく、こちらの意見を押しつけたこと になるという心配があるのです。 ○堀江委員 先ほど申し上げた人によって対応が違うというのは、堀内先生が言っている チューターなのですが、どんどん引っ張っていってしまう方もいれば、じっと我慢して何 か問題提起があったときに、それに対してコメントをして多少軌道修正するなど、いろい ろな取組方があると思います。特に、倫理面に関する集団研修におけるチューターですか ら、明確にどういう人というのは難しいかもしれませんが、考えておいたほうがいいのか なと思いました。 ○座長 少なくとも、チューターの役割とは何かを、少し本文に入れておいたほうがいい ということですね。  もう1つ、個別指導者について、医師の場合は7年以上の医療の経験者です。今回の場 合は、薬剤師免許取得後5年以上ですから、実務の経験者とは言っていません。実務研修 又は実務実習の指導者として継続的に経験を有する者としてはおりませんが、それについ てはいかがでしょうか。 ○堀内委員 過渡的な段階かもしれませんが、日本医療薬学会では認定薬剤師と指導薬剤 師の認定をしています。それほど処分者が多いわけではないでしょうから、場合によって は、そういう中から選ぶことも1つ考えられるのではないかと思います。  それから13頁、研修プログラムの策定のところで、実際には個別指導者の役割が大変重 要になります。個別指導者というのは実際に業務経験のある薬剤師が多くなると思います が、「研修プログラムの策定」は「関係団体」に入るのかもしれません。「薬学教育におい て薬学生を対象に演習を実施してきた学校法人」となっています。学校法人とは個々の学 校のことです。そうしますと、医療機関もかなり実務実習等をやっておりますし、これか らますます長期実習等もやると思います。薬局をどう考えるかについては意見があると思 いますが、そういうものを入れておく必要があるのかと思います。 ○事務局 いまのご意見は、個別指導者もプログラムの作成に関与することにしておいた ほうがよいのではないか、ということですか。 ○堀内委員 全体の並びから言うと、個々の人のほうがよいのか、医療機関の意見という 形のほうがよいのか分かりませんが、そこはご検討いただければと思います。 ○座長 医療機関というのをもっと明確にということでよろしいでしょうか。 ○堀内委員 そうです。 ○座長 個別指導者に対する考え方について、ほかにはいかがでしょうか。 ○座長代理 再教育研修の提供者の(1)「全般的事項」で個別指導者以外の、先ほどのチ ューターのことも触れているということになるのだろうと思うのですが、その中の2行目 の「対象としては」という単語が気になるのです。対象者という言葉を前から使っていて、 それは薬剤師を念頭に置いて使っているのですが、この場合はむしろ、その候補者という 意味なのかと思いました。候補者としてこれらの人を想定しながら、運用の中で個別的に 考えていくという趣旨かと思って先ほどからの議論を聞いておりました。 ○座長 倫理の研修については「薬剤師をはじめとする医療に関わる者であることが望ま しい」ということで、薬剤師に限らなくてもよいという意見は入っています。知識・技能 に関しては薬剤師としての専門的知識・技術のみならず指導方法と評価方法を修得してい る薬剤師ということで、これがその次の頁の要件のアとイにつながっていくと考えていま す。これが5年以上では短いであろう等いろいろあるかもしれませんが、現段階で、では いくつというのはなかなか出しにくいのです。ですから、もし非常に強いご意見があれば、 これを5でなくて7年とか10年とかという数字にしようかと思うのですが、この点はいか がでしょうか。5年というのは、前に議論が出たのでしたか。 ○事務局 数字の議論は前回は示しておらず今回初めて入れた部分なのですが、今、学生 に対する指導をする薬剤師の要件が免許取得後5年というのが条件の1つにございますの で、それに倣った形で5という数字をここでも使わせていただきました。 ○武立委員 5年ということも含めて、指導薬剤師の要件なのですが、15頁の下から4行 目に「指導者として相応しい指導方法と評価方法を修得している」ということが書いてあ りまして、これはかなりグレードの高い要求かとも思うのですが、薬剤師免許取得後5年 以上というのがそれで可能かどうかというのは、私としては疑問に思う点なのです。何年 がいいかと言われても難しいのですが、このアとイ以外にも何か要件を入れてもよいとい う気もいたします。 ○座長 指導方法、評価方法というのは、薬学生の実務研修、実務実習を指導しているこ とでは足りないのではないかというご指摘ですね。 ○武立委員 そうです。 ○座長 ただ、ほかにはなかなか。要件が難しいですね。何か認定薬剤師を持てとか、そ ういうことにつながっていくような気がするのですが。 ○武立委員 そうです、先ほど堀内委員もおっしゃいましたが、日本医療薬学会には認定 薬剤師、指導薬剤師、あるいは生涯教育の認定薬剤師というものもございますので、その 辺りでもう少し要件を入れても良いと思います。 ○座長 指導薬剤師というのは、資格としてありましたか。 ○武立委員 学会としてはあります。 ○座長 認定指導薬剤師と似ていて紛らわしいのですが。 ○七海委員 認定薬剤師とか、そういう文言を入れるということですが、いろいろな所で いろいろな認定があります。学会でも認定していますし、認承機構とか、いろいろな問題 があると思うのですが、指導者としての経験がいちばん重要視されるのではないかと思い ます。したがって、ここにあえて「認定薬剤師」とかいうのを入れると混乱を起こすので はないのかと、逆に思いますが。 ○座長 そうすると、むしろ指導者として継続的に何年以上のと、ここに年を入れるのが いいのかもしれないということですか。年数だけで決められるかということで議論をして しまうと話がまとまらなくなるのですが、「指導者として継続的に何年かを経験しておられ る」と、そういう形でまとめますか。 ○事務局 事務局の考えとしては、指導者としての年数はあまり具体的にしないでルール 化しておいたほうがよい。実際にどうなるかというのは分からないところもありますので、 報告書の段階では、できればそうしておきたいということがあります。医師の場合も、最 終的に要件を通知で示しているのですが、その中で示しているのはここで今ご議論いただ いている内容と同じです。年数のところは違いますが、免許を取った後7年。それ以外は、 臨床研修施設で指導に継続的に従事した経験を持っていることと、大学で学生の指導に継 続的に従事した経験を有するということで、通知レベルまでは年数を入れない形でやって いますので、今いただいたご意見を踏まえながら、できるだけベテランであって、いろい ろなことを指導できる方のほうがより良いということであるならば。指導者というのは国 が示していきますので、そこで留意する。先がまだ見えないものですから、こちらのほう がそれを念頭に置いてやらせていただくのがよいかと思います。 ○座長 この部分はそういうことでよろしいですね。16〜17頁、修了の評価ということで 何かありますか。 ○堀内委員 修了の評価ですが、報告書を見ますと、受講者が国または再教育の提供者に 「修了報告書」を作って提出するとなっているわけですが、その評価については大変重要 だと思います。それで、報告書の中に「個別指導者が修了評価及び署名をする」とあるの ですが、これを分けたほうがよいのではないかと思います。報告書に記載するということ になると、客観的な評価ができるかどうかということもありますので、個別指導者は別個 に評価の報告書を国に提出するという形にしたほうがよいのではないかと思います。 ○座長 個別研修の場合には、個別指導者が別途修了評価書を提出するほうが、より良い のではないかということですね。 ○事務局 今いただいた意見は、ここでは言葉足らずになっていますが、一応念頭に置い た部分です。修了報告書はいくつかの文書で構成されているのですが、その中の一部が個 別指導者の何らかの証明、署名の入った文章ですので、修了報告書の構成にそれが含まれ ると思います。 ○堀内委員 それを出すのは研修生、研修を受けるほうですので、そうしますと客観的な 評価が難しくなりますので別個にすべきではないかと思います。医師の場合は別個になっ ていますね。 ○事務局 修了報告書も同じ意味ですが、言葉が足りないので少し工夫させていただきま す。 ○座長 書くことにおいては別々であるが、それをまとめた報告書とするときに一緒にな るかどうかということだと思うのですが、そうですか。 ○事務局 そうです。 ○座長 集合研修についてはどうですか。「研修リポートを作成し、提出する」。提出する というのは、適当に書いて出せばいいのだろうということではないのですが、そこまで書 くことが必要ですか、提出して評価を受けるというようなことを。国または再教育の提供 者は、ただリポートをいただいて綴じておけばいいのか、あるいは、それについて何らか の判断をするのか。普通、そういうときはどうするのですか。 ○事務局 ちょっと失礼な言い方になるかもしれませんが、そこは検討会の場でご議論い ただくまでもなく、結果的に行政処分に対しての再教育ですので、いただいたリポートは、 評価の上、それが修了したということは認めて、その後最終的に修了登録証につながって いきますので、必ずそれは言わずもがなで関与してくるかと思います。 ○座長 この中には評価と修了ということがきっちり入っているという意味だそうですが、 よろしいですか。 ○座長代理 その場合に、最終的に国が評価をするということは間違いないと思うのです が、具体的に集合研修なり課題研修なりを担当した提供者は全く評価をしないのですか。 あるいは、その提供者の評価を受けて国がそれをエンドースメントしていくという構造な のか、どちらをお考えなのでしょうか。 ○事務局 いまのところは前者でやっておりました。提供者はあくまで再教育研修の提供 というところで、その内容は当然質が担保された形で国が指定をするわけですが、評価と いうところまではいかない。 ○堀内委員 それなりの評価を行うべきなのではないでしょうか。学生自身もそうですが、 医療機関で実習をやれば、それなりの評価をするということはやっていますし。実際、実 務なり何なりをするには評価をして、それを国へ出して、国が最終的に判断をするという ことにはならないのでしょうか。 ○事務局 実習形式の場合は個別指導者が必ず付きますので、その方からは当然コメント はいただきます。しかしその場合、提供者と言った場合には病院・施設までは評価をして いただかない形です。 ○座長 個別研修の場合は個別指導者というのがいますが、集合研修及び課題研修につい ては個別指導者は付かない。その場合、修了評価にあたっては提供者に提出するというこ と、その提出するものの中には、当然ながら、国がそれを評価して修了を認めるというこ とが含まれているという読みだそうですが、それは、読めなかったら入れるべきなのか、 「提出して評価を受ける」というような言葉を入れたほうがいいかどうかですが。 ○事務局 あらかじめプログラムを提供する形で国が、内容が伴なっているということで 認めていますので、それが適切に実行されたかどうかの報告をいただく。また、受講者本 人からのリポートをいただき、それが適正に行われているか、リポートの内容が妥当なも のかということは国が直接に見るという形かと思っております。 ○座長 提出するという段階でそれが含まれているという考えですね。 ○事務局 そうです、あらかじめその提供者を指定しますので。 ○座長 よろしいでしょうか。平林委員は納得できませんか。 ○座長代理 いいのですが、いずれにしろ、個別研修以外のところでも提供者は複数人い るということになるわけですか。具体的なプログラムを運営していく中では1人が集合研 修をやるのではなくて、オムニバスで、いくつかの科目があってということを念頭に置い ておられるのですか。 ○事務局 それもあり得ます、これからプログラムを決めていく段階ですから。 ○座長代理 具体的なプログラムを見ないと分からないのですが、私の基本的な考えは、 それが常識と言ってよいかどうかは分かりませんが、やはり、講義をした人がその講義に ついて受講生がきちんと理解しているかどうかを判断する、というのが基本にあるのでは ないかと思うのです。あるいは、もしそれができないのなら、おそらく、国としては評価 委員のようなものを別個に設けて、その評価委員の人に全体としての評価を委ねるという ような形をとらないといけないのではないでしょうか。どこかで第三者機関といいましょ うか、専門家がその内容についてきちんと評価をするというシステムをつくっておかない と、評価そのものの厳正さというものが担保されないのではないかと思って、少ししつこ く申し上げているわけです。 ○堀江委員 個別研修の場合、担当者が担う期間は長いですが、集団研修の場合は1日か 2日と短い。そうするとオムニバスでやるとしても、その場合の評価は、例えば出されて きたリポート等でということが判定の基準になるのだと思うのです。それを例えば1時間 位のレクチャーを担当する方々がすべて評価するとなると難しいと思います。しかし、個 別研修の場合の指導者の役割は非常に重要だと思います。従って、個別指導者の評価の結 果が非常に重要な意味を持つということからも5年の経験でよろしいのかという意味で先 ほど申し上げました。 ○座長 いまの、特に集合研修その他については、17頁の下のほうの「一般的事項」を含 んだ上での研修リポートを提出すること、それから判断されるというわけだと思います。 18頁については、「行政処分を受けた理由に直接関わる事項」については、このような決 意が確認できる、取組みができる、その他、そういうことがはっきり表されている報告書、 研修リポートを出していただくということになります。また知識・技能に関しても同じよ うなことを考えて、それを研修リポートとして国または提供者に提出することによって判 定をする。明確にそこまで細かく書くかどうかについては事務局と検討させていただきた いと思います。20頁の「再教育研修の実施上の留意点」これについてはいかがでしょうか。 費用については、当然、受ける者の負担でよいと私は思いますが、これは問題ないですね。 登録手続にしても「薬剤師名簿に登録しようとするときは、国へ登録申請を行う」という ことで、その手続の詳細については国において整備する必要があるということです。それ では引き続き21頁からのご説明をお願いいたします。 ○事務局 21頁の行政処分のところから、その他の手前までの部分について説明いたしま す。  III薬剤師の行政処分の在り方について。1.行政処分の類型とその適用基準について。(1) 戒告処分の場合。再教育制度が、免許取消し又は業務停止の行政処分を受けた薬剤師に対 して、それぞれ再免許の交付又は業務の再開に先だって再教育研修を課すことが適当であ ると考えることを前提に導入されていることを踏まえれば、戒告処分の対象となる事例の 範囲については、以下の場合が含まれるものと考えられる。・行政指導としてこれまで戒告 を行っていた事例のうち、再教育を課すことにより、被処分者の反省を促すことが適切と 考えられるもの。・従来、業務停止を課していた事例と同様の事例であって、被処分者の反 省を促すことに主眼を置いた場合、業務停止を課すまでもなく、戒告処分として再教育研 修を課すことが適切と考えられるもの。行政処分の原因となる薬剤師の行為そのものの類 型と、当該行為の程度については、個別事案ごとに総合的に評価されるものであり、一概 に基準として定量化することは容易ではないと考えられるため、今後、戒告処分を適用す る基準の策定にあたっては、薬剤師に限らず一般に犯し得る行為と薬剤師資格を有するこ とに関連が深い行為とに分けて考える必要がある。  (2)業務停止処分の場合。業務停止処分については、原則、これまで行ってきた処分事 案との整合性に留意しつつ適用することが適当である。今回の薬剤師法改正において、業 務停止は「3年以内」と明記されており、制度上、3年を超える業務停止処分を科すことは 想定されていない。3年を超える長期におよぶ業務停止については、長期間実務から遠ざ かることとなり、業務停止期間終了後の業務再開にあたって、技術的な支障となる可能性 が大きく、行政処分による反省等を促す目的に反して、薬剤師の業務の質と患者等におけ る安全確保の観点から適切ではないと考えられることから、今後、これまで3年を超える 業務停止に相当するとされていた事案については、免許取消処分となるものと考える。 (3)免許取消処分の場合。免許取消処分については、原則、これまで行ってきた処分事案 との整合性に留意しつつ適用することが適当であるが、それに加えて、これまで3年を超 える業務停止処分が必要と判断される程度の事案に対しても、今後は適用されることとな る。 (4)適用基準の明確化に向けた留意点。行政処分の類型ごとに適用基準の明確化に向けた 具体的な検討にあたっては、これまでの行政処分事例をもとに、処分の原因となった行為 の類型及び当該行為の程度などについて研究することも一案と考える。また、今後の行政 処分については、薬剤師法の規定に基づき、医道審議会の意見を聴いた上で行うこととさ れており、その適正な運営等を図る観点から、審議にあたっては行政処分に関する考え方 を整理する必要がある。平成14年に医道審議会において、医師及び歯科医師の行政処分に 関する考え方が取りまとめられているため、これを参考として、別紙のとおり、「薬剤師の 行政処分に関する考え方」を整理した。ということで、この別紙の部分がこの資料の30 頁に付いています。これについては、前回もお配りしてありますので読み上げることはい たしませんが、変更点のポイントだけご紹介いたします。31頁で、前回お示しした資料が 薬剤師の病院あるいは薬局における業務を中心に書かれていましたが、企業等ほかのとこ ろにおいても薬剤師が求められている仕事がありますのでその辺も含めた形にしたほうが いいというお話がありました。そこで31頁の(3)薬事法違反のところの括弧書きに「医 薬品の製造販売及び製造に関する管理不行届」と入れました。製造販売の責任者と製造の 管理者は薬剤師でなければならないということを法律上求めておりますので、この部分に 該当する場合は薬事法違反になるということで1つ具体例として入れました。 ○座長 21頁に戻って、行政処分の在り方について、いかがでしょうか。 ○七海委員 薬事法違反のところに「無資格調剤」と書いてあります。薬剤師に対する処 分理由として薬剤師以外の調剤行為を禁じているのが薬剤師法第19条で、無資格調剤とい うのがあるのですが、それは無資格調剤をした管理者に対する罰則なのか。もしもそれで あるならば、無資格調剤を許した管理者に対してこれを適用するのだということがこの文 案の中からは読み取れない。必要ならば、それが要るのではないかと思ったのですが、ど ういう解釈をしたらよいのでしょうか。 ○事務局 今いただいた意見が無資格調剤をさせた管理者に対する何らかの処分というこ とであれば、それは薬局の管理者ということになりますので、薬局の管理者に関する規定 が定められている薬事法違反になりますので(3)になるかと思います。(1)に書いた無資 格調剤については、どういうものがあり得るかということを再考してみないといけないか とは思っております。 ○座長 21頁の(1)の最後で「薬剤師に限らず一般に犯し得る行為と薬剤師資格を有す ることに関連が深い行為」、薬剤師の倫理と一般の倫理ということで、ここではこういう表 現になっていますので、これも含んで検討いたします。22頁について、いかがでしょうか。 ○宇賀委員 22頁の下から7行目の「行為の程度」というのが表現としてしっくりこない ので、「行為の悪性の程度」とか、何かそういうのを補ったほうがいいのかと思います。 ○座長 3年を超える者については皆免許取消しとする、ということについてはここで一 致したということでよろしいですね。それから、ここの最後で医道審議会が出てくるので すが、これについて、この委員会としては特に何もコメントは要らないですか。 ○七海委員 医道審議会を見てみますと、医道分科会と医師分科会があります。医師分科 会の中には4つの部会が設けられております。歯科医師分科会の中にも2つの分科会が設 けられております。保健師・助産師・看護師の分科会の中にも2つの部会が設けられてお ります。したがって、薬剤師を主体とした分科会を設置するという方向でご検討をいただ いているのだろうと認識しているのですが、いかがでしょうか。 ○事務局 医道審議会という本体の審議会内にいまご指摘の分科会がありまして、医師と 歯科医師の行政処分について取り扱っているものが、この審議会のもとに医道分科会とい うものがあります。その他国家試験の関係もこの審議会で取り扱っています。医師の国家 試験を扱う分科会が医師分科会になります。ですので、ここでの議論の対象になるのは医 道分科会というところに当てはまるものが必要かどうかということになるわけですが、い ま申し上げたとおり、この医道分科会は医師と歯科医師の行政処分を扱っております。看 護師の場合ですと、医道分科会とは別に保健師・助産師・看護師分科会というのがありま す。これは医師と歯科医師のように、国家試験と行政処分の関係がそれぞれ分科会で分か れているわけではなく、両方を1つの分科会で取り扱うということで存在しております。 薬剤師の場合、行政処分と国家試験が法律上来年度から、医道審議会の意見を聞いた上で ということになりますので、いま申し上げた医師、歯科医師と同じような形で、国家試験 も含めて分けて考えるのか、看護師のように1つの分科会の中で取り扱うのかといったと ころでこれから考えていくということで、いま検討中です。 ○座長 方向としては委員がおっしゃったような方向だということです。ほかに何かお気 付きの点がなければ、「その他の事項」に移りたいと思います。事務局から説明をお願いし ます。 ○事務局 23頁から説明いたします。IVその他の事項の1.行政処分回避のための免許自主 返納への対処。行政処分の可能性があると判断した薬剤師が行政処分を科せられるか否か が決定するまでの間に、免許を自主的に返上した場合、当該者は薬剤師免許を有さない者 となるため、薬剤師法に基づく行政処分が回避されることになる。本来、行政処分は、当 該薬剤師自らが犯した行為が、薬剤師法の規定に照らし行政処分の対象となったことにつ いて反省を求めるものであることから、当該者が行政処分を受けない状況は好ましくない ものと考える。行政処分を回避する目的で免許を自主返納した場合に、これまでの制度で は、行政処分が実施されないだけでなく、再免許の交付を防止する規定も存在しなかった が、今回の法改正により、被処分者に対する再教育制度が導入されていることから、本問 題が解消されるよう、再教育制度及びその手続等について適切な運用が図られる必要があ る。具体的には、医師等と同様に、行政処分に係る手続が開始された時点で免許の自主的 な返納を認めないこととし、当該手続が完了するまでの間、薬剤師名簿の登録を抹消しな いことが適当である。  2.再免許に係る手続の整備。再免許については、法第8条第1項又は第2項に基づき免 許が取り消された者が、その取消しの理由となった事項に該当しなくなったとき、その他 その後の事情により再び免許を与えるのが適当であると認められるに至ったときに、免許 を与えることができる旨、法第8条第4項において規定されている。これまでは、免許取 消し処分を受けた後、再免許の申請及び付与を行うことができる期間が明確ではなかった が、今回の法改正により、免許を取り消された者にあっては、その取消しの日から起算し て5年を経過しない間は再免許が付与されないこととされている。改正薬剤師法では、再 免許に係る付与について医道審議会の意見を聴かなければならないこととされていること から、平成20年4月の施行に向けて、再免許の付与に関する手続を示す必要がある。  3.行政処分に関する情報の提供。(1)基本的考え方。平成18年の医療制度改正において、 患者本位の医療の実現に向けた措置が数多く導入され、患者・国民が安心・安全な医療を 受けるために必要な体制整備を図ることとされている。この趣旨に沿えば、行政処分に関 する情報を国民に提供し、再教育の受講の有無も含めて、国民が直接的に確認することが 適当であるが、行政処分に関する情報が薬剤師にとっての個人情報であることから、情報 提供の是非の判断は、提供することにより保護される利益と提供しないことにより保護さ れる利益との比較衡量によることが適当である。行政処分に関する情報の提供は、行政処 分を受けた薬剤師がたとえ再教育研修を受けたとしても、行政処分を受けたことにより患 者・国民から忌避されるおそれがあるが、行政処分に関する情報を国民が確認することに より、少なくとも再教育研修が修了するまでの間、被処分者である薬剤師から医療の提供 等を受けることを回避できることから、必要な措置であると考える。  (2)薬剤師名簿への登録と情報提供の期間。これまでも法第6条の規定に基づき、薬剤 師名簿に登録番号、登録年月日、本籍地都道府県名等のほか、免許取消し又は業務の停止 の処分に関する事項が登録されているが、今回の法改正により、法第8条第1項及び第2 項の規定による処分に関する事項として、「戒告」、「3年以内の業務の停止」及び「免許の 取消し」が明確に規定された。また、今回の法改正において、被処分者に対する再教育研 修が義務付けられたことにかんがみ、行政処分に関する情報は、再教育研修の修了時期等 と連動させることにより、処分類型ごとに一定期間提供される。具体的に、行政処分に関 する情報を提供する期間については、・「戒告」の場合には、再教育を修了した時点まで、・ 「業務停止」の場合には、再教育終了時又は業務停止期間修了時のどちらか遅い時点ま で、・「免許取消し」の場合には、処分終了時、すなわち処分日から5年を超えた期間であ って、再教育を受講し、かつ免許の再交付を受けた時点までとすることが適当である。な お、薬剤師の行政処分に関する情報については、従来から、処分を行った時点で、被処分 者である薬剤師の氏名、年齢、所在地(都道府県名及び市郡名)、処分内容及び処分の理由 を公表しているところであり、今後も継続されることが適当である。  (3)情報提供のための体制整備。薬剤師の行政処分に関する情報を提供する体制につい ては、平成20年4月の運用開始に向けて、国において整備することとなる。提供体制の整 備及びその運用にあたっては、閲覧者にとって、使いやすく、かつ分かりやすいものとす ることが望ましいが、知り得た情報の取り扱いとしては、行政処分は被処分者に対して自 らの行為に反省を促すためのものであり、処分期間の終了及び再教育研修の修了をもって、 本来の社会的責任が付与されている薬剤師であることに留意する必要がある。また、国に おいては、再教育研修が修了し、その確認が行われた時点で速やかに当該薬剤師に係る行 政処分に関する情報の提供を停止する等、適正な対処が求められる。  4.国民による薬剤師資格の確認。(1)基本的考え方。薬剤師としての資格を有する者で あることを国民が確認するにあたり、これまでは、照会者から「氏名」、「生年月日」、「登 録番号」の情報の提供があった場合に、薬剤師名簿への登録の有無について回答している。 薬局に勤務する薬剤師については、今回の医療制度の改正において、薬事法を改正し、薬 局機能に関する情報の公表制度を導入しており、薬局の管理者については、その氏名が公 表されることとなっている。患者本位の医療の実現を図る観点に立てば、薬局の管理者の みならず、薬剤師の資格者全てを確認できる環境を整備する必要がある。その際、行政処 分に関する情報と同様、薬剤師資格に関する情報の提供にあたっては、当該情報を提供す ることにより保護される利益と、提供しないことにより保護される利益との比較衡量によ り判断されるものと考える。有資格者であるか否かの確認は、薬剤師ではない無資格者か ら違法に医療の提供等を受けることを回避できることから、情報の提供は必要な措置であ ると考える。  (2)確認方法及び留意点など。薬剤師資格を有することを確認するためには、通常、薬 剤師名簿に記載されている情報のうち、「氏名」、「性別」、「登録年月日」が必要と考えられ る。また、「性別」及び「登録年月日」については、その代わりに「本籍地都道府県名(又 は国籍)」及び「薬剤師国家試験合格年月」によって、確認できる場合にあっては、これも 認めることが適当である。なお、薬剤師名簿における「登録番号」については、資格者で あることを確認しようとする者にとって知ることが困難な場合があり、また、「登録番号」 を「氏名」と同時に知ることによって、無資格者が資格者としてなりすますことが可能と なるため、確認方法として「登録番号」を用いることは適切でないと考えられる。  5.医道審議会における厳格な審議・運営体制。法第8条第5項の規定により、厚生労働 大臣は、行政処分をするにあたっては、あらかじめ医道審議会の意見を聴かなければなら ないこととされている。また、同条第14項及び第16項の規定により、行政処分の決定過 程において行われる処分に係る者に対する弁明の機会付与について、厚生労働大臣による それに代えて、医道審議会の委員に弁明の聴取を行わせることができ、委員が弁明の聴取 を行った場合に、委員は聴取書を作り、保存するとともに、処分の決定についての意見を 記載した報告書を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならないこととされている。薬 剤師に対する行政処分については、公正かつ公平に処分結果が決定されるべきであるが、 それとともに、処分決定に至るまでの審議の過程についても公正かつ公平である必要があ る。また、薬剤師に対する行政処分に起因する行為については、薬剤師に対する信用を失 墜させるものであり、国家資格者としてあるまじき行為であることから、処分に係る者の みならず、全ての薬剤師が当該処分について社会に対する責任を担っているという認識が 重要である。そのためには、薬剤師の行政処分に関する決定及びその審議の過程において、 薬剤師のもつべき理念、職業倫理、関係法令等を熟知し、かつ薬剤師の果たすべき行動や 薬剤師が国民から期待されることを認識した薬剤師自らが中心となって、厚生労働大臣に 対して意見を述べる必要があり、国はその実行のために必要な体制の整備を図る必要があ る。  29頁、「おわりに」。本検討会では、薬剤師法の規定に基づき、新たに平成20年4月1 日から施行される薬剤師の行政処分及び再教育制度に関する具体的内容の検討を行ってき たが、その背景として、医療における国民の信頼を一層高めていくとともに、医療の担い 手としての薬剤師の資質向上を図ることが目的としてあることが重要である。今回の検討 における直接的な目標は、行政処分の類型にあわせて、その要因となった「職業倫理の欠 如」又は「知識・技能の欠如」に対して、被処分者となった薬剤師の業務遂行に関する質 と信頼の確保を図る観点から、必要な再教育研修を命ずるための制度を構築することであ り、検討の結果、倫理の保持に関する研修及び知識・技能に関する研修それぞれの研修形 態を提示し、行政処分の軽重に照らして適用していくための考え方および実際の運用方法 を明らかにすることができた。  しかしながら、行政処分の類型化と再教育制度の導入によって薬剤師の資質の向上を図 るのではなく、本来、薬剤師一人一人が行政処分の対象とならないよう努めることが薬剤 師として最も社会から求められていることに疑いを挟む余地はない。したがって、今回の 制度改正を通じて、薬剤師が国民からより一層信頼されるために、行政処分の対象となる ような行為をとった者に対して厳正に対処することは当然のことであり、本報告書に基づ き、今後、政省令等の公布をはじめ必要な施策の速やかな実現に向けた取組を厚生労働省 に期待するところであるが、合わせて、わが国の薬剤師全員が今回の制度改正の機会を通 じて、各々が自己研鑽に努めるとともに、世代を超えて良質な医療を提供できる薬剤師を 輩出すべく、実務実習をはじめとする薬学教育の充実に向けて一層の取組が進められるこ とを期待して本報告書の結びとする。 ○座長 ありがとうございました。それでは23頁に戻りまして、またご意見をいただきた いと思います。1.の自主返納に対する対処については、いかがでしょうか。 ○七海委員 1.の第4パラグラフなのですが、「具体的には医師等と同様に、行政処分に係 る手続が開始された時点で、免許の自主的な返納を認めないこととし」、と言うと、手続が 開始される前に逃げてしまうようなことも考えられるので運用面でいろいろと工夫してい ただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○座長 悪いことをした途端にパッと返納してしまう可能性についてです。 ○事務局 その場合、ここでいう行政処分回避のためということが分かっていればまだし も、分からずに普通に返納してきた場合ということが実際問題、時間としては最初に来る わけで、その時点でどういった確認ができるか。疑って、行政処分に当たるようなことを したのではないか、ということもなかなか聞きにくいと思いますので、どういう運用があ るかは少しご意見として聞かせていただいて、何かできればと考えてみたいと思います。 ○座長 自主返納は、今どのぐらいの割合であるのですか、年間に何件とか。 ○事務局 ほとんどが死亡等による免許証の返納で、いわゆる自主返納の例はほとんどご ざいません。 ○座長 2.「再免許に係る手続の整備」については、いかがでしょうか。5年を経過しな いと再免許が付与されないので、今後その手続を示す必要がある、ということでよろしい ですか。それでは「行政処分に関する情報の提供」について、特に問題はございませんか。 25頁の「薬剤師名簿への登録と情報提供の期間」ではどうですか。 ○宇賀委員 (2)の3つ目のポツ、「免許取消し」のところなのですが、「処分終了時」と いう表現が非常に気になります。免許取消しという処分自身、処分としてはそこでもう完 結しているわけです。ただ、再免許を受けたい人の場合には、再免許申請をすると、そこ で再教育が義務づけられるということだと思いますので、およそ、取消しを受けたので自 分はもう廃業しますという人にとって再免許申請というのは出てこないことになります。 「免許取消しの場合には」ということで、再免許の申請をした人のことを念頭に置いてこ こは書かれていると思うのですが、そうであるとすれば、「処分終了時、すなわち」という 部分は取ってしまったほうがよいのではないかと思います。 ○座長 確かに、処分というのは取り消したときが処分ですから、処分日から5年を超え た期間であるという形で問題はないだろうということですね。 ○宇賀委員 そうです。 ○座長 次の「情報提供のための体制整備」について、また4.の「国民による薬剤師資格 の確認」ということで「基本的な考え方」が出ていますが、特に問題はありませんか。27 頁「確認方法及び留意点など」、これはいかがでしょうか。最後に、確認方法として「登録 番号」を用いることは適切ではない、これも当然のことかと思います。5.「医道審議会に おける厳格な審議・運営体制」、この部分についてはいかがですか。 ○七海委員 第8条第5項の医道審議会の意見ということで医道審議会のことを少し調べ てみたのです。先ほど、薬事企画官のほうからは、医師の場合は医道分科会でやっている というお話がありましたが、これとは別に、医道審議会の中に薬剤師の部分が入るという 認識でよろしいでしょうか。 ○事務局(総務課長) これは役所の組織の話なものですから私からお答えいたしますが、 これはこれから省内でいろいろ議論する必要があります。現段階で必ずしもおっしゃるよ うな形になるかどうかについては、努力はいたしたいと思いますが、何とも言えない状況 です。 ○七海委員 薬剤師が医道分科会で審議されるというのは変ですので、薬剤師独自のもの があって然るべきだと認識していますので、よろしくお願いいたします。 ○事務局(総務課長) ご趣旨はよく理解しております。 ○座長 ほかには何かございますか。 ○南委員 小さいことなのですが、言葉づかいのことで気になったことがあります。28頁 の2つの塊の後の段落のほうで「薬剤師に対する行政処分に起因する行為」というのです が、これは行政処分の原因となった行為ということですね。次の頁の「行政処分の対象と なるような行為」、これはよいと思うのですが、「行政処分に起因する行為」というのは少 し気になるのですが、よろしいのですか。行政処分に端を発するというように聞こえるの で、「対象となる」とか「原因となる」ではないのか思いましたが。 ○事務局 28頁までの前半では「原因となる」という言い方を何回かしておりますが、29 頁も含めて整合性をとりたいと思います。 ○座長 最後の「おわりに」でお気付きの点がありますか。 ○七海委員 全般的にこの問題とはかけ離れているかとは思いますが、薬局の開設者に対 する処分も、これに合わせて今後検討していただけたらと、これは希望です。 ○座長 薬局開設者への処分といいますと。 ○七海委員 これは薬剤師自身の行政処分であって、その行政処分を発生させた開設者に 対する責任はどうなるのだというような面も今後ご検討いただけたらと思うのです。 ○座長 その点はいかがでしょうか。 ○事務局 それはこの報告書の中に出てくる範疇ではないとは思いますが、薬剤師が処分 を受けた場合、例えば薬局の場合、働いている薬局の開設者に対してどういう責任がある かということだと思いますので、個別事案ごとにいろいろ考えていくものだとは思います が、その根拠となる法令は、薬局の開設者ですので薬事法ということにはなるかと思いま す。 ○座長 薬事法で裁かれるということで、今回の行政処分には含まれないということです か。 ○事務局 はい。 ○七海委員 それはよく認識しているわけです。ですからこの枠組みの中でも、薬事法が 適用されても、無資格の開設者の場合は抜けられてしまうという問題点があると思います ので、その辺を抑えていただきたいと思います。これは希望ですが。 ○座長 その点を厳しく検討していただきたいということです。 ○事務局 実際は、薬局の開設許可が都道府県単位ですので、実際の薬事法違反に関する さまざまな業務といいましょうか行為といいましょうか、それは都道府県単位で行うとい うことになってしまうとは思います。しかし考え方として、今回の検討に絡めて念頭に置 いてほしいというご意見だということで承りました。 ○座長 それでは全体に対して何かご意見がございましたら、ここでいただきたいのです が、いかがでしょうか。 ○倉田委員 この行政処分のことに関して、実際の生活の面でこれがどういうふうになる かということを考えてみたのですが、今度、一般用医薬品の販売制度が新しくなります。 そうすると、一類の医薬品については薬剤師が情報提供することが義務になってきますが、 その場合に、困った患者というか購入者としては、説明など要らない、今まであまりされ てもいなかったし、突然情報提供されると言っても、そんなことは要らないと言って拒否 する人も多く出てくるだろうと思うのです。そのときに、薬剤師は困るわけです。ですか ら、販売制度が改正される前に、行政として事前の広報活動といいますか、このように変 わりますということを広く一般に広報していただきたいと思います。国民としては、一般 用医薬品の販売制度が変わるなどということは今のところ全く知らないというのが大半だ と思いますので、このように変わって、薬剤師が情報提供することが義務になる、それは あなた自身の健康のためにやっていることなのだから必ず受けてください、というような ことを事前に広報していただきたいと思います。そして、薬剤師の皆さんも、もし拒否さ れたらどうしたらよいかというのを事前に考えていただいて、あなたのために情報提供す るのだけれども、それでも拒否なさるということはこういうことですよ、というのが言え るぐらいの体制を整えて、書面で一筆書いてもらって、「じゃあ、しなくてもいいですね」 ということまで取り交わせるぐらいのところまで行っていただけたらいいかと思います。 ○座長 薬剤師の在り方についての国からの広報をどうされるかというご質問かと思いま すが、いかがでしょうか。 ○事務局 それは薬事法が変わるということでの話だと思いますが、今年からリーフレッ トを作ったり、呼ばれればいろいろなところで説明するということを積極的にやっていく ことによって浸透させていきたいと思います。 ○審議官 1つアドバイスをいただきたいのです。最初のほうで平林委員から、「倫理」と 「職業倫理」という言葉の使い分けの話がございました。確かに6頁の最後の部分では、 職業倫理については、「一般に犯し得る行為」ということ、それから、薬剤師の資格を利用 することに伴って発生する行為の2つを包括して含んでいるという説明になっているわけ ですが、例えば21頁、これが直接倫理に関係しないとしても(1)のいちばん下のパラグ ラフの中で、「薬剤師資格を有することに関連が深い行為」として、そこをある程度特記と いいますか、注目しているという考え方が見られるわけです。  ここで「倫理」と「職業倫理」というものをあえて考えてみますと、「倫理」の定義はな かなか難しいと思うのですが、1つの文化圏あるいは社会で正しい振舞いと認められ、受 け入れられているようなこと、と考えますと、例えば道路交通法違反をしてはいけない、 というようなものが入ると思います。一方で「職業倫理」といいますと、例えば、特定の 訓練や教育を受けた集団といいますか、そういう方々がそのトレーニング等に基づいて、 その人たちだけが許される行為とか分かる知識に基づくもの、例えば抗癌剤が5倍入りそ うになったというときに、これから起こるような出来事が分かっているがゆえに正しい振 舞いとして求められる、「危ない」だとか、すぐに点滴をやめるとか。そういうことは薬剤 師以外には分からないという部分で、特定のグループに対する適切な振舞いとして考えら れるものがあるかもしれないと。結局「倫理」と「職業倫理」という言葉について、この 報告書の中で使い分けたほうがよいのか。6頁では一緒に考えますと書いてありますが、 後のほうでは多少分離して、特に薬剤師の職能を悪用して行うような犯罪行為について特 記してあるわけですから、そこは厳しく見るということで、分けたほうがいいのか。この 辺りは大いに常識というところも含まれると思いますので、少しサジェスチョンをいただ ければと、事務局として思いました。 ○座長 平林委員、いかがでしょうか。 ○座長代理 私も問題提起しただけで。この報告書の中でそこを厳密に区別して書き込も うとすると、ものすごく大変になってしまい、あるいは冗長になってしまう危険性がある と思うのです。ですから、そこまで正確にやったほうがいいのかどうか、あるいは、どこ まで定義をして、どこまで書き込めばいいのか。問題の指摘はできたのですが、その解決 をどうするかということについては今のところノーアイディアなので、もし必要があれば ご一緒に考えさせていただきたいと思いますし、ほかの委員の先生方のご意見もまたお伺 いできればと思います。 ○座長 「倫理」をきちんと区別して表現したほうがいいのかどうかですが、ここで何か ご意見がありますか。 ○堀江委員 行政処分を受けた対象薬剤師のほとんどが、薬剤師という職業に関係ない行 為によって行政処分を受けています。それは医療に関係しない一般社会の人たちにも共通 する面での倫理という言葉が適用されると思いますし、それが倫理教育研修の中に盛り込 まれるべきと思います。もう1つは、医師だとか看護師だとか薬剤師だとか、すべての医 療に関わる人たちが共通して持っている必要のある、医療人としての取組方という意味で の倫理という面もあると思います。もう1つは、薬剤師に特定された役割があるわけで、 それを担うときに持たなければならない、まさに薬剤師としての特別な倫理というもの、 そういう3つぐらいの面が挙げられると思います。実際に薬剤師を対象とした倫理面の教 育をする場合には、そういう観点から、プログラムの中でどういうことをやるのかを考え る必要があるだろうと思います。 ○座長 薬剤師としての倫理、医療人としての倫理。医療人であり、また薬剤師であるか ら人としての倫理にも厳しくならざるを得ないという3段階が含まれる形だと思います。 だから、人一倍倫理に厳しくあるべきだというのが1つの結論になるのですが。 ○堀内委員 医療の現場で薬剤師は医療人としての倫理、医療人としてどうなのかという ことで考えているのだろうと思います。薬剤師としての倫理はほとんどその中に入ってく るだろうと思います。何が違うかと考えてみても、あまり思いつきません。この前七海先 生が経済的な問題というようなことをおっしゃったので、調剤薬局等ではそういう問題が 絡んでくるかもしれませんが、ある面では医師でも同じようなことが言えるかもしれませ ん。全体としては社会人としての倫理、それから、特に医療に関わる者としての倫理とい うような捉え方でよいのではないかと私は思っております。 ○座長代理 いまのお話を伺って改めて薬剤師法の8条の2を見ますと、「薬剤師としての 倫理の保持」という言葉が出てきますので、むしろどこかで「薬剤師としての倫理」の中 に先ほど委員がおっしゃった3つの倫理が含まれるのだということを定義して、基本的に は「薬剤師の倫理」という言葉で統一すると、いちばん簡単な解決方法かと、今直感的に 思っているのですが。 ○堀江委員 私がそのように申し上げたのは、医師の場合に比べますと、薬剤師免状を持 っている方が実際に行っている仕事は、調剤に限定しない、いろいろなものがあります。 従って、倫理教育の内容は画一的ではなく対応する必要がある、そういう意味で申し上げ たのです。 ○座長 前文といいますか、初めのほうに、この委員会で考える倫理とは何かということ をきちんと定義して、あとは細かく割ることはない、そういう形でいくというのはどうで すか。報告書(案)についてご検討いただいたのですが、いくつかのご意見がございまし たが、全体の方向としてはこれでよいと理解しております。この後の修文作業については 私と事務局にお任せいただくということでご了承いただいて、出来上がった報告書を改め てお送りするということでよろしいでしょうか。   (了承) ○座長 これまで1年半にわたり精力的にご検討いただきまして、一応まとまる方向に来 ました。最初に私が申し上げたのですが、これの本来の目的としては、一生懸命作ったが 何の役にも立たないで終わったということになりたい。「本来、薬剤師一人一人が行政処分 の対象とならないよう努めることが薬剤師として最も社会から求められていることに疑い を挟む余地はない」と「おわりに」にも書いてあります。特に、いま出来つつある6年制 の薬剤師の方々が決してこれの適用にならないように祈りつつ、教育関係者あるいは実際 の薬局、病院関係の先生も努力したいということで結びたいと思います。  長い間、どうもありがとうございました。以上で委員会を終了いたします。ご苦労さま でした。 (了) (連絡先)  厚生労働省医薬食品局総務課  代表   03(5253)1111                             直通   03(3595)2377  FAX  03(3591)9044  担当者:長谷川(内線2710)