07/07/18 第9回医療施設体系のあり方に関する検討会の議事録について 第9回 医療施設体系のあり方に関する検討会 日時 平成19年7月18日(水)16:00〜 場所 中央合同庁舎5号館省議室 ○企画官(中村) 定刻になりましたので、第9回「医療施設体系のあり方 に関する検討会」を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、ご多 忙中のところ当検討会にご出席をいただき誠にありがとうございます。  初めに委員の出欠状況についてご報告いたします。本日は、五十里明委員、 鈴木満委員、藤川康立委員から欠席の連絡をいただいております。なお、武 谷雄二委員は30分ほど遅れると伺っております。  次に、資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表、委員名簿の ほか、「これまでの議論を踏まえた整理(案)」は資料1-1と資料1-2に分か れていて、前回の検討会でご議論いただいた内容を修正したものが資料1-2 で見え消しの形になっております。資料1-1はそれの溶け込みを行ったもの です。参考資料として、いままでに配付させていただきました、各制度の概 要等をまとめたものを再度お配りしております。  以後の議事進行は田中座長にお願いいたします。 ○座長(田中) 本日は、お忙しい中をお集まりいただきましてありがとう ございます。毎回恒例ですが、議事に入ります前に、欠席委員の代わりの方 についての承認を得なければなりません。規定により、委員欠席の折は、参 考人が参加し、その方にも発言していただくことをここで認めることにして おります。本日の会議については、五十里明委員の代理として川崎市健康福 祉局医務監の坂元昇参考人、藤川康立委員の代理として社団法人日本経済団 体連合会経済第三本部副本部長の遠藤寿行参考人のご出席をいただいており ます。ご出席及び発言をお認めいただきたいと思いますがよろしいでしょう か。 (異議なし) ○座長 異議なしということにさせていただきます。文部科学省から赤塚義 英大学病院支援室長にオブザーバーとして参加していただいておりますので ご紹介申し上げます。  議事に入ります。前回は、これまでの議論を踏まえ、全体を整理した資料 についてご議論いただきました。活発なご議論をいただきましたが、今回は そのときのご指摘を踏まえた修正を事務局に努力していただきましたので、 これを基に本日はこれまでの議論の整理としてまとめたいと考えております のでご協力をお願いいたします。できれば、本日でまとめたいと考えており ます。もちろん、この資料に基づいて、今後こういうことを考えるべきだと いうのは大いにいただきたいと思いますが、資料のこことここを変えろとい うのをたくさん言われると終わらなくなってしまいます。資料は資料として、 2、3の細かいことは別とし、できればまとめを踏まえて、今後こういうこと を自分たちの団体としては考えているとか、あるいは厚労省にしてほしいと いうのは大いに言っていただいて構いません。まず、事務局から説明をお願 いいたします。 ○企画官 資料1-2に基づいてご説明申し上げます。前回第8回の検討会に おいて、これまでの議論を踏まえた整理ということで、これまで1年間にわ たってさまざまご議論いただいた内容について、議論を整理する形で資料を 用意させていただきました。いま座長からもお話いただきましたように、そ の内容についてさまざまご指摘をいただきましたので、本日はそのご指摘い ただいた内容等を反映した形で、また改めて準備をさせていただきました。 前回からの変更点につき、主立ったところをご説明申し上げます。  1頁の頭のところに、現在の医療の状況等に対する認識や評価といったこと についてもう少し書くべきではないかというご指摘を受け、5行ほど書き足し ております。「我が国は、国民皆保険のもと、誰もが安心して医療を受けるこ とができる医療制度を実現し、世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を達 成してきた。医療は、我が国社会の重要かつ不可欠な資産であり、医療提供 体制は、国民の健康を確保するための重要な基盤となっている。国民の医療 に対する安全・安心を確保し、質の高い医療サービスが適切に提供される医 療提供体制を構築していく必要があり、今後とも不断の努力が必要である」 ということで、基本的な認識を追加させていただきました。  各論にまいります。「地域医療支援病院について」の1頁の下の○のところ で、冒頭で、地域医療支援病院がどのような医療機関として医療法上位置づ けられているものであるかということについて少し記述を書き足しておりま す。  2頁では、「地域の医療連携体制を構築していく」ということを今回の医療 法改正を踏まえた新たな医療計画の取組みなどについて、わかるように強調 し、もう少し具体的に書くべきではないかというご指摘を受け、そうした記 述を少し書き足しております。さらに「例えば」のところで、「救急医療の提 供等に一層取り組む必要がある」ということを是非記載すべきであるという ご指摘を受け、その旨の記述を追加しております。  2頁の3つ目の○の承認要件のあり方に関するところでは、さまざまご指摘 をいただいた内容を列挙しております。承認要件の中で考えていくべき事項、 あるいは地域医療支援病院としてさらに一層の取組みを求めていく事項、そ うしたことを並べて列挙しているわけですが、そうした趣旨がわかるように 若干表現を補っております。また、一般的な急性期の病院であれば、当然求 められる事項との関係があるのではないかというご指摘があり、その旨の記 述を注意書きみたいに加えております。個別の項目については、平均在院日 数の短縮という点については異論もあったということで、下のところになお 書きという形で両論併記という形にさせていただきました。修正後の(5)で すが、地域の精神科医療の支援ということに際し、少し具体的な例示を書き 込んでほしいという要望もありましたので、その旨の記述を追加しているの がこの部分です。  3頁で、地域医療支援病院の評価ということに対してもう少し記述を強化す べきではないかというご指摘、あるいは原案では「評価のための指標を検討 することが必要だ」という言い方になっておりましたが、実際には評価を行 うことが必要であって、指標というのはそのための手段であろうということ で少し表現を改めた部分です。  新たに1項目起こしましたのは、「地域医療支援病院としての施設類型の必 要性」ということで前回かなりご議論いただいたところです。地域医療支援 病院が地域の特性・実情に応じて果たしている個別の機能・役割を評価して いく方向で考えるべきである。そういうことであれば、地域医療支援病院と いう施設類型としての位置づけは必要ないのではないかというご意見をいた だきましたので、その旨の意見があった、ということをここになお書きで追 加させていただきました。  次は「特定機能病院について」です。最初の○のところで、地域医療支援 病院と同様に医療法上の位置づけについて少し記述を追加しております。下 の○のところでは、外来機能についてかなり強いご意見もあったことを踏ま え、少し表現を変えているところがあります。  4頁で、特定機能病院についてご議論いただく際に、どうしても大学病院の 議論と混乱というか混同されるということもありますので、基本的な認識と して、あるいは頭の整理として、そこは分けて考える必要があるのだという ことを明示的に書いてはどうかということで3行ほど付け加えている部分が4 頁の頭です。4頁の下のところについては、地域医療支援病院と同様に趣旨を 明確にするための記載を付け加えております。  委員から要望のありました標榜診療科目をもっと充実すべきであるという ことについては例示として付け加えております。平均在院日数の短縮につい ては、地域医療支援病院と同様に5頁の頭に両論併記という形にさせていた だきました。  特定機能病院の評価、さらには特定機能病院としての施設類型の必要性の2 点については、地域医療支援病院と同様の記述を、特定機能病院についても 追加させていただきました。以上が特定機能病院に関する部分です。  3番目のテーマである医療連携体制、かかりつけ医等の部分です。最初の○ のところで、住民サイド、国民サイドの認識ということを少し書いてはどう かというご指摘がありました。したがって、ここで「医療機関がそれぞれの 地域で果たしている機能・役割に対する理解を深め、地域の貴重な医療資源 として適切に利用していくという視点が大切ではないかと考えられる」とい うことで書き足しております。  6頁は、大病院における外来診療に関する部分です。この部分についても前 回かなりご議論をいただきました。「外来診療を行わなければ経営的に成り立 たない」という表現はいかがなものかというご指摘をいただきました。ここ では、「現実には来院する外来患者に対応せざるを得ない状況もあるとの指摘 もある」ということで書かせていただきました。  原案では、「入院機能だけ」という形でかなり限定的な表現になっていたと ころを、少し幅のある言い方に改めてあります。「特に急性期の病院について は、入院機能や専門的な外来ののみを基本とする形作りが必要ではないか」 という形で書いております。  6頁の3つ目の○は、原案にあった「患者の大病院志向にもよい影響を与え る」や、「患者の受療行動によい影響を与える」ということは非常にわかりづ らい、意味が非常に取りづらいというご指摘をいただきましたので、その内 容について少し噛み砕いた形で表現させていただきました。  7頁では、かかりつけの医師が果たすべき機能・役割についてさまざま検討 を求められることについて、(1)から(5)まで列挙したものがあります。そ の中の連絡体制の確保については前回かなりご議論いただきました。連絡体 制の確保が必要であろうということではありますが、それが1人の医師で24 時間、365日というのはなかなか難しいということで、そこの趣旨が1人での 対応、あるいはグループでの対応がわかるように、ということで言葉を補っ た部分があります。「少なくとも一定の時間までは携帯電話等で連絡がとれる 体制の確保や複数の開業医によるグループ対応を進める必要がある」という ことで表現しております。「また」ということで、情報の共有であるとか、IT 化を進めていくことが大切だ、ということの書き足しを行っている部分があ ります。その下の段落については、原案では在宅療養支援診療所の医師が、 かかりつけの医師ではないかのように読めないかということで、少し表現を 工夫してほしいというお話がありましたので、そのような誤解がないように 表現を改めた部分があります。  7頁のいちばん最後○の、総合的な診療を担う医師のところで、「人間全体 を診る」というのはわかりづらいのではないかという話、「医学的・社会的位 置づけを明確にする」というのも意味がよくわからないのではないかという ことで、少し表現を改めている部分があります。  8頁は、総合的な診療に対応できる医師に関する記載をしていたわけですが、 一方で、開業医の中には特定の領域で高い専門性を有する医師もいるという ことで、地域の医療連携体制を構築していく上では、そうした医師の役割な り位置づけもはっきりしていく必要があるということで、その点について記 載を追加すべきであるというご意見を踏まえ、ここに入れさせていただきま した。以上が、3番目のテーマに関する部分です。  「専門医について」は、前回は特に修正にわたるようなご意見はなかった ということで、修正は行っておりません。  5番目の「医療法に基づく人員配置標準について」ということで10頁の最 初の○のところで、「外来診療部門の分離が進む中で」という表現がありまし たが、「分離が進んでいる」というのは言いすぎではないかということで、少 し表現を改めている部分です。  前回のご指摘を踏まえ、できる限りその内容を取り込んだつもりですが、 ご議論をお願いいたします。私からは以上です。 ○座長 ただいまの説明に対し、ご質問、ご意見、あるいはここは修正して ほしいという点。報告は一応これでまとまっているが、自分の団体、あるい は自分としてはもっとこういうことを考えたいとか、この報告を踏まえて厚 労省はこんなことに努力してほしいとか、何でも結構ですのでご発言をお願 いいたします。「前書き」のところで、これは内田委員から言われて、何か付 け加えないと格調が低いということでしたがいかがでしょうか。 ○内田委員 これで結構です。 ○座長 順番にいきまして、「前書き」及び「地域医療支援病院について」で 何かありますか。 ○武藤委員 将来的な話になると思うのですけれども、地域医療支援病院の 評価のあり方です。基本的には、都道府県の医療審議会等で評価していくの ですが、そこでも具体的な指標等を整備しながら評価していくことが必要だ と思うのです。それに関しては、国としても地域医療支援病院をこのような 形で評価していくべきである、といったガイドラインというものも出してい くべきではないかと考えています。 ○座長 今後のあり方についても、それぞれの知見を述べておくのは意味が あると思います。 ○西澤委員 2頁の承認要件のあり方の(2)に「在宅療養支援診療所との連 携」と書いてあります。私たち協会等々で主張している地域一般病棟という 概念がありますが、それは制度化されておりませんので、例えば、地域にお ける中小病院もここに入れていただければと思います。 ○座長 在宅療養支援診療所だけではなくて、地域の中小病院との連携も書 いてはいかがかということですが、それによって全体の流れが特段に変わる わけでもないしよろしいかと思いますが、事務局としては可能ですか。 ○企画官 事務局としては、特に異論はありませんので、もしよろしければ 追加したいと思います。 ○座長 委員の方々の中で、特にそれはけしからんという人はおられないと 思います。(2)に「地域の中小病院」を加えることにいたしましょう。 ○内田委員 いま、中小病院のことが出ましたので、今後のことに関して触 れさせていただきます。現在は、4疾病5事業ということで、今後医療計画を 地域によって作っていくという話が進んでおります。その中で出てきている のは、地域医療支援病院、特定機能病院といった基幹病院と、ここで今回検 討されましたかかりつけ医とか在宅といったところを中心にした視点が主に なっています。  その中で、地域における中小病院が現在果たしている役割に関する評価と、 今後の方向性といったところの整理が全くなされていない、触れられていな いという気がしております。そこのところは、今後十分検討しなくてはいけ ないと思っております。いろいろな機能分化と連携を進める中で、現状の評 価を含めて検討する必要があると考えています。 ○指導課長 今後議論せよということですので、今後議論させていただきま す。ちなみにということで申しますと、私どもも中小病院の問題等について はいろいろご意見を頂戴していたのですが、病院の機能を規模で言うのはど うなのか、ということでなかなか議論がまとまりませんでした。大きいから 先進的な医療をやっているわけでもないし、脳卒中なども中小病院で結構や っていますし、あるいは小病院でもかなり程度の高いことをやっている病院 があるのだというお話をいろいろ聞きましたので、正直申しまして多少混乱 をしました。今回は、規模という点を外して議論していますが、4疾病5事業 を含めて、医療計画がこれで終わりということではありませんので、これか ら適宜修正なり改正なりを加えていきたいと思っております。ご意見をあり がとうございます。 ○内田委員 規模ということではなくて、機能という面でも、急性期医療か ら在宅なり、慢性期の療養病床なりへつなげる中で、シームレスな医療提供 ということを言っておりますので、そこでの果たす役割というのが必要です し、そういう施設が必要になってくると考えております。 ○坂元参考人 特定機能病院の要件の中で、医療安全体制の構築という項目 が出て、この地域医療支援病院の中にそれがない。いわゆる医療安全体制の 構築というのは、医療機関にとって常識的な項目だと思いますので、地域医 療支援病院の中にそれがあえてなく、特定機能病院の中にあるという点に関 して不整合があるのではないかということでご配慮願いたいと思います。 ○座長 いまの点について、事務局から何か説明がありますか。 ○企画官 当然病院である限りにおいては、医療法等に基づいてさまざまな 医療安全対策をお願いしているわけです。その中で、特定機能病院に関して は現在でも専任者を置くといった、上乗せ的な要件がかかっているというこ とで、そうした取組みをさらに強化する必要がある、という意味でのご指摘 が特定機能病院に関してはあったということだろうと思います。  地域医療支援病院に関して、そこは明示的なご議論はなかったということ もあり、ここには載っていないわけです。当然病院ですので、医療法に基づ き、しっかりとした医療安全対策を講じていただく必要はあるということで あろうかと思います。  それを、ここにさらに地域医療支援病院に着目して上乗せの措置を今後考 えるべきであるということで追加をしたほうがいいというお話であれば、追 加して項目を起こすということはありうるのではないかと考えますが、その 点についてはご意見をいただければと思います。 ○座長 つまり、ほかの病院よりも一段高い、病院たるものすべて医療安全 に取り組むのは当たり前のことだが、それ以上に人員配置を求めたりするか どうかという議論だと思うのです。いままで、地域医療支援病院について話 をしたときには特に出ていなかったから載せていないのだと思うのですが、 ほかにご意見はございますか。  坂元参考人のご意見は、地域医療支援病院についても普通の病院とは違う 人員配置を求めよということでしょうか。 ○坂元参考人 ただいまの説明で、確かに特定機能病院は非常に高度な医療 の安全体制の構築が求められているということも、我々は医療監視をやって いて十分承知しているところです。この医療安全体制の構築という簡易な項 目だけを見ると、そこからそれが読み取れずに、こちらにないというのは、 一般の人が見たときに誤解を生むのではないかという意味です。もし特定機 能病院の中の医療安全体制に「高度」とか、そのような項目を入れないと、 一般の方が見たときに、こっちは医療安全体制の構築は軽視しているのかと 誤解されるのではないかという懸念から申し上げただけです。 ○座長 いま、後で言っていただいたように、特定機能病院の医療安全体制 に「高度の」とか「特段の」を付けたほうがわかりやすいかもしれません。 病院たるもの全部という意味では、地域医療支援病院でも同じであるので書 くよりは、そういう整理はいかがでしょうか。  特定機能病院の4頁の修正後の(4)に何か一言短い形容詞を付ける。さら に費用をかけてまでは地域医療支援病院には求めにくいかもしれませんので こちらで修正すると。 ○和田委員 いまのご意見と同じ視点なのですけれども、5頁の(7)の「診 療記録の整備状況」というのも、もしかすると同じような議論で、どこでも そうだと言われればそうだと思いますが、何か言葉を付ける必要があるのか と思いますがいかがでしょうか。 ○座長 なるほど、これも病院たるもの当たり前だけれども、特定機能病院 のところだけにわざわざ出てくるのは、ほかよりも人員配置をしてとの意味 だから、それがわかるように、字数でいうと2文字か3文字でもいいから付 けたらいかがかとの御意見ですが、それも同じ扱いにしたいと思います。「特 段の」とか「高度の」とか付けてください。  武谷先生が間に合いましたので、特定機能病院のところで議論いたします。 特定機能病院のところでご意見、またこれとは別に今後の要望などもありま したらおっしゃってください。報告書の中身とは関係ないのですが、今後特 定機能病院という名前も考えるのでしょうか。 ○企画官 その点については、報告書の4頁の最初の○のところで3行追加 した次のところに、「制度・名称は国民にとってわかりにくく、見直しが必要 ではないかとの指摘がある」という形で一応触れております。 ○座長 「わかりにくい」と宣言しているのだから、「考えるよ」をあとは「・・・」 で読むわけですね。 ○山崎委員 4頁の4つ目の○ですが、(2)に「標榜診療科目の充実」という のがあります。単に診療科目を増やすということではなくて、診療内容がそ れにきちんと伴っていないとしようがないと思うのです。「診療科目の充実と 診療内容の充実」と併記したほうがいいのかという気がするのです。  標榜診療科目の充実のところは、単に科を作ればいいのかという話になる ので、当然標榜診療科目を新設したら、それについての内容の充実が付いて こなければおかしいと思うのです。 ○企画官 (2)で追加した部分ですが、前回特定機能病院のポイントは総合 力ではないかというご意思決定をいただく中で、標榜する診療科目について も、もっと充実するようにというお話を受けて項目として入れたところです。 山崎委員からご指摘がありました、診療科目を標榜するからには、その診療 内容については、当然それに伴うものを持っていただくというのはある意味 当然のことであろうかと思います。趣旨としてはよくわかる話ですので、も しここに加えてもよろしいということであれば、そのように修正することは 差し支えないかと思います。 ○座長 承認要件として、内容が充実しているのをどう判断するかは難しい ですね。ほかは人員配置があるとか、治験をしているとかしていないとかは まだわかります。内容が充実しているかしていないかを承認要件にすること はものすごい調査を必要とするような気もするのです。理念規定の話と、承 認要件とはちょっと違うと思うのです。承認要件としていると、何を評価す ることになるのでしょうか。 ○山崎委員 診療科目の専門医がどれぐらいいるか、指導医が何名いるかと いう話だと思うのです。 ○座長 スタッフ数ですね。武谷委員、梁井委員は、いまの点についてはい かがでしょうか。(2)診療標榜科目の充実のほかに、内容を付け加えること についてはいかがでしょうか。 ○梁井委員 それは、付け加えたほうがいいと思います。 ○武谷委員 結構です。 ○座長 本日は、別にいま言われた具体例でなくてもいいと思うのですが、 そういう測りうる指標はあると考えて、(2)の中に入れさせていただきます。  淡々と進めて、最後にまとめてこの間の議論を踏まえて今後の意見をいた だくとして作業を進めます。3「医療連携体制・かかりつけ医、医師確保との 関係について」はいかがでしょうか。ここは、いちばんたくさん直っている と思います。 ○遠藤参考人 どこを直してほしいという意見ではなくて、今後の検討に向 けての要望のようなものを申し上げます。7頁のところに、IT化という視点 でご指摘が何点かあります。今回の検討会におきましては、直接的にこの議 論が十分なされたかどうか把握はしていないのですけれども、情報の共有化 とか医療の標準化といった視点は大切です。ICTの促進は最大のツールだと思 っています。  7頁に書いてあるのは、医療提供側のITというものが主に書かれていると 思うのです。患者である国民にとっては、一般的なITの広がりより、医療に 関するリテラシーというのは相当進んでいると思っています。たぶん中長期 的な影響からすると、患者側のリテラシーの向上が医療提供体制のほうに影 響も出てくると思います。医療連携体制の構築について今後検討を進める際 には、医療提供側に加えて、患者側のITの視点も含めた検討というものが是 非必要になってくるのではないかと思いますので、その辺もよろしくお願い いたします。 ○座長 今後への指摘をいただきましたが、正しいと思います。残りの4と5 についてはいかがでしょうか。 ○山崎委員 10頁ですが、前回の検討会で私は最初の○のところで、「病院に おける外来患者数に基づく医師数の配置標準規定の必要性については」とい う段落で、「この点の見直しが必要である」と書いていただきたいというお話 をしたと思います。それからちょっと後退した文章になっていると思うので す。この部分というのは、法改正をしなくてもできる部分なので、なるべく 政省令で対応する形で、この部分の改正はしていただきたいと考えています。  最初にお話したように、人員配置標準、あるいは病院の構造基準というの は昭和23年に、GHQが作ったルールであって、国の政治のほうでも総理大臣 が、戦後レジームからの脱却と言っているわけです。まさにそれと同じよう な話だと思うのです。したがって、この部分については、実態に合っていな いことで病院側が苦しんでいるという事情があるわけですから、至急対応し ていただきたいと思います。 ○座長 これは、それも含めて検討するという意味です。今後検討が進めら れるのではないかと思います。ここでは修正点が4つほどあったと思います ので確認していただいた後、残りの時間は報告書を超えて、6時ピタリまです る必要はないと思うのですが、折角1年間議論してきましたので、最後に皆 様方から識者としての一般論のご意見を伺って有終の美を飾りたいと存じま す。一言用意しておいてください。私のメモでは、いま4つの修正点があっ たと思いますので事務局から確認してください。 ○企画官 修正させていただく点を確認いたします。2頁の3つ目の○の(2) 在宅療養支援診療所の次に、「地域の中小病院との連携」という表現を入れて ほしいというお話でしたので追加したいと思います。  4頁のいちばん下の○のところで特定機能病院の承認、あるいは今後の取組 みのところで、標榜診療科目の充実ということに合わせ、「診療内容の充実」 ということも含めるように表現を改めるということです。  修正後の(4)と(7)の点については、特定機能病院についての上乗せの 取組みを求めるという趣旨がわかるような表現を考えて追加するということ であろうかと思いますので、表現を工夫したいと思います。 ○座長 報告書については以上の4点を修正した上で、私たちからのまとめ として報告することにさせていただきます。1年間ありがとうございました。 まだ終わるのは早いですし、折角これだけの方々が集まり、1年間医療施設体 系のあり方に関する検討をしてまいりました。この間でお互いの理解が深ま った点もありますし、違うことが明らかになった点もあります。将来的には 是非こうしたいけれども、まだ難しいという点もありました。地域医療計画 が進む中でという視点を忘れてはいけないとか、連携の話も多くの委員から ご指摘をいただきました。この検討会の終わりに、それぞれの識見をご披露 いただきたいと思います。大学院ではないので、全員に当てるわけにもいき ませんが、多くの方々からの発言を希望いたします。 ○島村委員 あまり識見ではないのですが、前に1度申し上げたことがあり ます。名称はともあれ、かかりつけ医についてです。医療連携、機能分化、 在宅医療等を進める中で、いまこそ提供側も保険者をエージェントとする国 民、患者、行政もいままでになくかかりつけ医についての評価が高まったと 思えますし、機は熟したと私自身考えております。  前にも申しましたが、具体的に進める方策は何かないか。ガチガチの制度 ということではなくて、何か緩やかな工夫で、長い期間ある程度経ってみた ら、かかりつけ医機能が国民にも徹底され、そういう機能を果たしたという 進め方ができないかと思います。文章を直すとかそういうことではないので すが、この会に出た当初からずっと思い続けていたことなので最後にチャン スをいただきましたので申し上げさせていただきました。 ○座長 保険者の立場からのご意見でした。もう報告書は閉じてしまいます ので何を言っても大丈夫です。 ○山本委員 医療提供施設としての薬局という視点から見ますと、今回医療 連携体制を含めて役割なり、あるいは担うべき仕事が明確に位置づけられま したので、今後作られます医療計画の中で薬局がどう活動していくかが明確 になったと理解しております。もしこの先こうした議論が進むとすれば、そ の医療提供体制ですから、他の医療提供施設にいる薬剤師の視点で、スタッ フの一員としてどのような活動ができるかということ、今後地域医療支援病 院あるいは診療所といった中での視点が要るのではないか。特に特定機能病 院も含め、薬の部分が当然大事になると思います。これからの議論として、 これがさらに続くとすれば、そういう視点も入れた議論をしていただきたい と考えております。 ○座長 薬剤師の会としては当然のご意見ですね。 ○山崎委員 こういう制度論を検討する検討会で、診療報酬のことを言うと、 それは診療報酬マターだから、ここで言ってもしようがないというふうにい つも言われます。制度を改革するとか、政策を実行していくというのは、あ くまで財源の裏打ちがあっての話だと思うのです。財源の保障が付いていな いで、いまの状態のようにどんどん医療費を削減していくという1つの流れ がある中で、医療制度だけを良くして、医療の質を上げろという論議という のは非常に矛盾していると思うのです。  最近、アメリカとかヨーロッパの病院や施設で、急性期と療養を含めて見 に行く機会が多いのですが、日本の病院ほど箱物を大きく造っている国はな いです。ベッドにしても、5平方メートル、6平方メートルの普通のスタンダードの病室です。当然 アメリカでもお金持ちが入る病院というのはそれなりのスペースがきちんと してありますけれども、普通の患者が入る病室というのは、日本のいまの病 室よりもかなり狭いわけです。我々病院関係者が、必要以上の箱物の設備投 資をさせられて、それを診療報酬の中でどのように償却しているかというと、 その診療報酬の中身というのは完全につかみ金というか、いくらかかってい るからどれだけ払うというきちんとした根拠がないのです。その辺をもうち ょっと工夫して、制度・政策を作るときには、その財源論も含めて検討して いかないと、なかなか良い制度が作れないのではないかと思います。 ○座長 毎回山崎委員からはその点を言っていただいています。遠藤先生は 中医協の委員でもありますので、どう取り上げるかはわかりませんけれども、 そういう意見も聞いていただいたと思います。 ○太田委員 この会で以前にもお話をいたしましたように、歯科の立場では 急性期のところではなかなか貢献できるところは少ないわけです。我々日本 歯科医師会は最終的には亡くなられるその日まで自分の力で食事をし、また 家族とお話をして生命を終えるということを最終目標にしております。その ために、本日は2頁に訪問歯科診療を入れていただいておりますが、我々歯 科は治療用の道具は重量あるいは大きさ等々で訪問歯科診療がいままではな かなかできませんでした。  それが、非常に軽量化等々、機械の進歩によって在宅あるいは施設へ歯科 が訪問できるようになりました。口腔ケアの持つ意味については、いろいろ な所で論文が出ておりますが、急性期を終えた後の生活の質の中での歯科の 役割について、これからできる限り貢献させていただきたいと思っておりま すのでよろしくお願い申し上げます。 ○座長 大変力強いご発言をいただきました。高齢者のケアにとって、高齢 者の口腔ケアが重要であるというのが世の中に広まってきたので今後とも推 進をお願いしたいと思います。 ○島崎委員 もう報告書の関係は閉めた後でこういうことを申し上げてよい かどうかわからないのですが、この検討会は医療施設体系のあり方の検討会 だということです。もちろん医療法上、医療施設体系に関して言えば、医療 法上は病院とか診療所とか一般病床という概念は別にすると特定機能病院と 地域医療支援病院の2つしかないわけですから、この2つの機能等について 検討してきたわけです。また、それ以外に、かかりつけ医、あるいはプライ マリ・ケアについても検討してきたわけです。ただ、素直に考えれば、医療 施設体系のあり方についての検討ということになれば、超急性期と急性期の 中をどう分けるかという問題はあろうかと思います。たとえば、いわゆる亜 急性というものの位置づけをどう考えていくのか、さらに言えば慢性疾患の 中もどういう分け方をして体系的に整備をしていくべきなのか。療養病床の 論点、あるいはその周辺分野としての介護施設のあり方をどうすべきなのか といった論点も医療施設体系の議論としてはあるわけです。  先ほど西澤委員がそういう趣旨でおっしゃったかどうかわかりませんが、 中小の病院と診療所の関係をどう考えるのか、さらに言えば、有床診療所の 問題はどう考えるべきなのか。救急医療のあり方も、これは交通事故を前提 として作られたときとは状況が全然違っているわけですので、そのあり方を どう考えるべきかというのも、医療施設体系のあり方の問題だろうと思いま す。もちろん、今回の検討会というのは、前回の医療法改正で積み残しにな った事項を検討するというミッションが与えられておりましたので、今回の 検討内容や範囲について異を唱えるつもりはありませんけれども、いま申し 上げたようなことがいずれどこかの場できちんと検討されることが必要なの ではないかと思います。  もちろん、それを議論していくには、今回の医療計画の施行状況であると か、高齢者医療制度のあり方とかいろいろなことと関係しますので、それを 待ってということなのかもしれませんけれども、いずれそういう議論が必要 なのではないかということは、この際一言申し上げさせていただきます。 ○座長 積み残しではなく、今度は先のことを考えた検討もいずれ必要であ るということでした。 ○古橋委員 私も、島崎委員のご意見に大変共感するものです。ここでの議 論も、国民にわかるかわからないか、という辺りも1つの軸でした。そうい う点では、いまの島崎委員のご発言のように、今後取り組まれることにより 制度として提供されていく医療というものがわかりやすくなるということを 痛感いたします。  もう一点は、来年度から一層加速いたします医療計画というものが、各都 道府県ごとにどう取り組まれていくかということが、国民が受ける医療サー ビスに大変影響が濃いと思っております。そういう点では、各都道府県の温 度差がありすぎるということも、また領域を超えて大きな所に集中するとい うことが起こりうるとも懸念されます。私は、各都道府県の温度や足腰につ いては厚労省とタッグを組むという形がきちんとなされていく必要があるの ではないかという気がしております。  そういう点では、先ほど出ました中小の病院の問題なども、絵柄の中では 医療計画では医療部会でも議論が何度もありましたし出ておりますので、そ ういうものを都道府県がきちんとして具体的な議論をどう深めていくかとい うことにかかっている気がいたしますので、そういう辺りに大変期待をした いところです。  もう1つは、医療法における人員配置基準の議論の報告書はまとまったの ですけれども、医療の質という点で検討が大事だと言われております。その 中でも、特に医療安全という点と、人員配置というものがかなり相関すると 思えてなりません。医師が大変お忙しいところから立ち去ること、ナースも ある意味若いうちに辞めていくこと等も、人員配置と安全性ということから、 自分が保てないということもあると思いますので、非常に重要な議論を今後 とも進めていってほしいと思っております。 ○座長 今後の議論として、都道府県の役割についてもご指摘をいただきま した。 ○和田委員 私は、医療を受ける側の立場からということで今回末席に座ら せていただきました。医療政策に関して特に専門というわけではありません でしたので、稚拙な発言もあったかと思います。いろいろご指導いただきま したことと、この場に参加させていただけましたことに大変感謝を申し上げ ます。  学識経験者の先生方、保険者の方々、それぞれの臨床の立場を踏まえ、か つ、患者の気持ちも踏まえた意見を言っていらっしゃる委員の方がたくさん おられました。一方で、私は医療を受ける側という立場でのみの参加となり ました。つまり、患者・国民の声を代弁するという、すごく重たい役割を担 ってきて大変責任を感じていました。毎回ここに来るのに緊張しながら来て いたわけです。  先ほど古橋委員からもご意見がありましたように、医療計画とかがん対策 推進計画とかいろいろな計画の中に、これからは患者・住民の声を入れてい くべきだとか、こういう委員として参画することが望ましいといった文言が ありますけれども、私が利害関係者の代表として出てきていいのだろうか。 それぞれここにご参加の委員の先生方は、それぞれの利害関係の団体の、あ る意味総意を得て来ているのだと思うのです。私は、患者・国民の総意を持 ってきているかというと、決してそうではなくて、あくまで一個人、もしく は世論調査などの結果を踏まえての発言になってしまいます。これから医療 計画やがんの計画の中で発言されるであろう委員の方々も、同じような気持 を持って、誰の声を代弁しているのだろうかという視点がこれからはすごく 議論されてくるのではないかと思います。  イギリスなどでは、こういう委員会に参加するために、私のような素人が 参加する前にはある程度研修を受けられるようなプログラムがあると伺って います。これからは患者・国民の視点が大事だということを前提とするので あれば、委員として適切な発言ができるように、現在の医療制度はどうなっ ているのだろうかとか、国民の総意としていまどういうものが発言されるべ きなのか、ということを少し勉強できるような仕組みを、行政や地方レベル で持っていただけたら、より適切で意味のある発言ができるのではないかと 感じました。 ○座長 面白い視点です。行政だけに教育を任せると誘導されすぎるといけ ないから、大学のいろいろなプログラムに参加する。大学も多くのプログラ ムを公開していますので、それも含めて勉強するというのは大変いい点のご 指摘をいただきました。 ○坂元参考人 その行政からの発言です。私ども市町村が、最近医療施設に 関して非常に増えている苦情というのはインターネットによる広告です。医 療法により、医院とか病院の前に出せる広告というのはかなり規制があって うるさいのですけれども、インターネットは事実上野放しです。患者からの 苦情として、インターネットを見て行ったけれども、実態とは全く違うとい うことがあります。  今こういう中で、医療機能の区分を定義づけして分けていっても、実際に インターネットではほとんど野放し状態でいろいろなことが書かれてしまっ ている。患者の中には、かなりの部分をインターネットの情報を見て医療機 関を訪れているというのが、我々が窓口で相談を受けていると想像以上に多 いということです。そういう中において、こういう医療区分・体系のあり方 の中に広告規制、そしてインターネットの広告をどう考えていくか、という ことを真剣に考えていかないと、インターネットから受け手の患者はそれを 真呑みにして行ってしまうことも起こっていて、かなり問題の部分も出てき ております。今後は、インターネットにおける広告ということも考えていか なければならないと思っております。 ○座長 その結果の苦情がそちらに来るわけですね。 ○梁井委員 全く別の話になります。私は、特定機能病院だけのことを私な りに理解しておりましたけれども、この会に1年間通っていろいろと勉強さ せていただきました。最終的なまとめを見て、厚生労働省の人は非常に優秀 なのだな、非常によくまとまったなという感じがしました。  ただ、去年の7月12日の初回のときに、これは次回の診療報酬改定に向け てのものであるということをお聞きしたものですから、その場で財務省関連 の人が誰も来ていませんね、というような質問をさせていただいたことがあ ります。そのときに、マスコミの中に私の知人が1人いて、「先生、ああいう ことを言っても無駄ですよ」と言われました。確かにそういう感もなきにし もあらずなのですけれども、その辺は中医協に参加されている方々は今後の 診療報酬のあり方を十分に討議していただきたいと思います。  そういうことが無理であれば、私は混合診療そのものはずっと反対してい ましたけれども、保険診療の中で十分診療報酬を上げることができなければ、 今後は混合診療も十分議論しながらしかるべき方向でいっても仕方ないのか なと思いました。1年間勉強させていただきました。  資料の4頁で、特定機能病院の承認要件ということで、難治性疾患の対応、 標榜科目の充実等々6つ書いてあります。このうちの4番目の医療安全体制の 格別な構築という件に関しては、実際に現在2病院が特定機能病院から外さ れています。これは、医療安全体制が整っていないのだということです。そ れならば、(1)から(6)までのほかの部門についてはどうかということにな りますと、必ずしもそれが十分に評価されての取消しはない。そのあたり、 十分な指導ができていないように感じます。  具体的には参考資料の20頁、21頁、24頁に表があります。例えば20頁に 病床数、医師数、薬剤師数、看護師数。21頁には高度先進医療の件数、特定 疾患治療の年間患者数。24頁では、論文発表の件数と、専門的な研修医とい う人たちのところが、なかなか点線の基準を満たしていない所がある。その 基準を満たしていない所に関しては経過措置という形にしている。この経過 措置という一言で括られていますけれども、これに対してはいろいろ批判が あるのだろうと思います。今後、この辺をどう再評価していくかというとこ ろが大きな問題であろうかと思います。  4頁に戻りまして、高度な治験の実施、後期研修のプログラムと書いてあり ますけれども、これに対してもある程度数字化した評価基準なりを設けて、 例えば経過措置は半年というものがしかるべく必要であろうと思います。特 定機能病院でありながら、そういうことが質的に満たされていないではない か、ということの批判に対する今後の対応、改善点ではないかと思います。 ○座長 安全対策だけが目立つけれども、ほかも要件なのだからちゃんと考 えろということです。 ○内田委員 今回の検討会は、昨年6月の医療法等の改正を受けて立ち上げ られたと理解しております。昨年の医療関係法案の成立というのは非常にて んこ盛りの内容で、いまだに現場は対応に追われていて非常に負担が大きい というところです。今回の医療法改正では負担が非常に大きかったです。  その中で私が若干感じておりますのは、良い方向への改革というのは、評 価して協力するのにやぶさかではないということは全くそのとおりです。前 書きにも書き込んでいただきましたように、日本の医療の現状というのは非 常に大きな成果を上げている。しかも、長年にわたる低医療費抑制政策の中 で、これだけの成果を上げているということをしっかり評価していただかな ければいけないし、それを支えているのは医療従事者の献身的な努力といい ますか頑張りがあって、そこで初めて支えられているものであって、それが いま限界に来ていてバーンアウトであるというような話につながってきてい ると認識しております。  申し上げたいことが2点あります。1点は、現状の体制の中で評価すべきと ころをしっかり評価しなくてはいけないということです。改革先にありきと いう形での問題提起というのは非常に問題があると思っています。いまの医 療提供体制の中で、これだけの医療成果を上げているということに関して、 どこが評価すべきところなのかということをきちんと検証する必要があると いうことです。  2点目は、改革には必ず財源の問題を伴ってくる話である。財源がなくて、 こういうプランだけを出してくる場合には、どうしても現場への負担という ことでそれが実現されることになってきますので、財源的な裏付けというの は、この場で厚労省に申し上げてもしようがないので、財務省とか内閣府と いう話になってくるかと思いますし、あるいは経済諮問会議辺りの話になっ てくるかと思いますが、そういうものは是非とも必要であるということを、 この検討会で申し上げるのか、そのほかの場になるのかという感じはします けれども、中医協ではない別の場ではないかと思っています。  いま梁井先生から混合診療という話が出ましたし、坂本参考人からインタ ーネットによる広告という話が出ました。混合診療に関してはこの場で検討 してよろしいのですか。これを検討するとなると、かなり大きな問題になっ てくると考えております。私どもの立場としては、混合診療を導入するとい うのは基本的に反対です。これは医療の格差、差別化ということに必ずつな がります。性善説に立った制度設計であれば、それはそれである程度認めら れる条件になるかと思うのですけれども、しかしながら混合診療の導入とい う場合には、必ず医療で金儲けをしようという部分が入ってきます。そこを きちんと見なければ、この制度設計はうまくいかないと思っていますので、 そこのところはきちんと整理する必要があります。  インターネットの話は、また別の所で医療情報に関する検討会がありまし てそこで検討課題として上がっております。健康・生命に関する情報提供と いうことですので、これはインターネットといえどもある程度の規制が必要 ではないかと考えております。 ○梁井委員 先ほどの追加ですけれども、この会に参加させていただく前は、 混合診療が皆保険制度を壊すと思っていました。平成18年度の改定などを見 ていますと、診療報酬を上げるといった厚労省の動きが全くないと私自身は 感じました。武士は食わねど高楊枝とか、あるいは財源のない所で制度を改 革するということをやっているわけですが、武士は食わねど高楊枝はいつま でもやっていられない。それだったら、そちらへ逃げるしかないのではあり ませんかという問いかけです。これは、反語と取っていただいても結構です。 なんとか診療報酬を上げる方向でしかるべく検討していただかないと、それ がなければ混合診療、あるいは差額ベッドというところまで、医療機関とし ては行かざるを得ないだろうということを申し上げたかったのです。 ○座長 したいというわけではなくて、そこまで追い詰められているのだ、 という表現と理解しました。 ○武谷委員 基本的には内田先生が言われたことをセカンドするような発言 です。いま、医療というのはどこでも非常に高度な機械、あるいは検査方法 を駆使し、治療成績も著しく向上しました。これは、みんなコストがかかる わけです。その有限なコストの中でどれだけ国民が医療に財源を割くかとい うのは大変難しい問題で、国民が決めることとも言えます。医療のあり方と いうのは、いま世界各国の問題になっています。  一方、我が国の医療に目を転じますと、今回の資料の冒頭にもイントロと して書いてあるのですけれども、誰もが安心してかかれる、これはフリーア クセスといいますが、医療にとっていちばん基本的なことは平等性と公平性 だと思っています。これに反してアメリカでは6分の1ぐらいが保険未加入 です。イギリスでは、悪性腫瘍といってもなかなか手術を受けられず、半年 以上待たされることもよくあるという惨状です。アメリカに10年、20年と住 んでいても、病気になると日本に帰ってくる。アメリカの医療費が日本の5 倍とか10倍というのはよくご存じだと思います。多くの人が日本に帰ってく るということで、コストあるいは医療の安全、質を含めて日本は世界でもト ップクラスではないか。  WHOでも、日本の医療はトップランクになっています。私は産婦人科医です けれども、母体死亡率、周産期死亡率は世界でトップクラスです。最近、ア メリカは先進国で唯一母体死亡率が増えている国です。日本は医療の点で、 全体がアメリカの状況を見倣って、アメリカナイズしようという動きが残念 ながら見られるということです。アメリカはアクセス、コストともに著しく 問題であって参考にすべきではない。むしろ医療のエンドポイントである死 亡率から見ると、医療が崩壊している国とみなしているわけです。日本の医 療のよさというのを再認識しなければいけない。  それを踏まえて、今回のあり方等も検討していかなければいけないという ことです。これをスクラップ・アンド・ビルドという発想でこのような提案 を検討するのではなくて、日本がこれまで維持してきた医療制度をある程度 メンテナンスして、少なくとも崩壊させてはいけない。崩壊すると立ち直る ことは不可能になると思います。我が国の医療制度のよさ、国民皆保険とい うのは昭和30年代ですけれども、時の医政者は先見の明があったと非常に敬 服するわけです。世界における日本の医療の特質をよく理解した上で正すべ きところは正すというスタンスが必要ではないか。その辺を基本姿勢として、 今回議論している問題を今後みんなで議論を深めていくことが必要ではない かと思っております。 ○座長 基本姿勢について上手にまとめていただいたと思います。 ○武藤委員 この検討会に1年間参加させていただきまして、事あるごとに 私は地域医療計画との関係について申し上げました。地域医療支援病院も特 定機能病院も、それからかかりつけ医も来年から始まる4疾患5事業という フレームの中で考えていくべきだということを申し上げました。その点を報 告書にも取り入れていただきましてありがとうございます。  来年から始まります地域医療計画は平成25年がターゲットですけれども、 そこまでにどれだけ疾患別、事業別の連携体制が定着するか、というところ が非常に大きな問題だと思います。その結果を見て、これが非常に成功して 定着しますと、国が地域医療支援病院とか特定機能病院といったラベルを貼 らずとも、自ずから地域の中でそうした機能分化が形成されているというふ うになる、というのが理想だと思います。そういう意味でも、島村委員が健 保連の提言書の中でおっしゃっているような、いまは時期尚早だと思います けれども、地域医療計画の進展状況によっては、そうしたことも地域医療支 援病院や特定機能病院のあり方をまた見直すことが本当に必要になってくる と思います。  もう1点はあまり議論できなかったのですが、外来の機能の分化がこれか らは非常に重要だと思っています。いままで、入院病床の機能分化について は随分定着してきたと思います。外来に関してその外来の機能類型はいかが なものかという議論もなされていません。ただ、実際のところ急性期病院で は外来が非常に変化していて、例えばERの問題、外来検問の問題とか、さま ざまな通院治療センターの問題等もどんどん変わっていって、現実のほうが 先行してしまっているということだと思います。  これも、将来的に外来機能をどうやって表現するかという、外来ケアミッ クスの問題も検討していかなければいけませんし、急性期病院の外来のあり 方、それから中小病院の外来のあり方、有床診療所の外来のあり方、無床診 療所の外来のあり方を、今後は類型化も含めて検討する場が是非とも必要だ と考えております。 ○座長 政策のみならず、研究の対象としても重要な点です。 ○西澤委員 地域医療支援病院の1つの記の中に、地域の中小病院の連携も 先ほどお願いしました。今回の議論の中でも、いまの入院機能を見たときに、 特定機能病院地域医療支援病院、片方は療養病床が決まってきているのに、 その中間にある一般病床の急性期はまだモヤッとしているのではないかとい うことを感じます。  特に、民間の中小病院というのはその枠の中に入っていてどうもはっきり しない。これをどう明確にして、そして連携の中に位置づけていくかという ことが大事だと思っています。私たちの協会は、地域一般病棟というものを 前から提唱しておりますので、今後の議論の中では、この機能の部分部分を 出すのではなくて、全体像を見た中で、もう少し議論していただければと思 っております。どう考えても、大病院の重装備の急性期があって、診療所だ けという歪な形というのは、国民にとって決して幸せではないと思っていま す。  武藤先生がおっしゃいましたように、いまの地域医療計画で本当に大きく 変わるのではないかと思っています。いままでの箱だとか、機能がどうだと いうところから入っていって、どうしても患者とか病気という視点が抜けて いたのではないか。患者が病気になったとき、どういう経緯を辿るのか。ま ず急性期が起きたときにはどういう機能の所へ行くべきか、その次はどうい う所へ流れるのだ。いまは4疾患しかやっていませんけれども、どんどん疾 患が増えていくと、その流れで地域の本当に必要な機能が出てくるのかなと。 そうなったときには、いまやってきた議論をそこにどううまく噛み合わせて いくのか。例えば、地域医療支援病院などはかなり明確に中へ入っていける のではないか。ただ、特定機能病院になると、本当に地域とか連携という枠 の中に入れるのか、そういう議論も今後は出てくるのかと思っております。 ○座長 地域医療計画が進むと、また議論の必要性が別の次元で、進んだ段 階で出てくるということですね。最終回に今後への思いも言っていただいて ありがとうございました。前回活発にご議論いただいたお蔭で、事務局がそ れを拾って上手にまとめてくれた報告書をまとめることができました。皆様 方の1年間にわたる活発なご議論と、それぞれの識見の披露に感謝申し上げ ます。これにてこの会を閉じることにいたします。どうもありがとうござい ました。 照会先 医政局総務課 高島、柳田 連絡先:03−5253−1111(内線2519)