07/07/04 社会保障審議会福祉部会議事録(平成19年7月4日)議事録 社会保障審議会福祉部会議事録 1 日時:平成19年7月4日(水)16:00〜17:47 2 場所:霞が関東京會舘『ゴールドスタールーム』 3 出席委員:岩田部会長、石原委員、井部委員、江草委員、小島委員、京極部会長代理、木間 委員、駒村委員、白澤委員、高岡委員、鶴委員、福田委員(代理:荒川栃木県保 健福祉部次長)、堀田委員、村尾委員、森委員、吉岡委員(代理:畑山全国老人 福祉施設協議会理事)   欠席委員:中島委員 4 議事    「社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針」の見直しに ついて 5 審議の内容 ○岩田部会長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「社会保障審議会福祉部会」を 開催いたします。  本日は、足元の悪いところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。  まず委員の出欠状況について、事務局より説明をお願いします。 ○矢崎総務課長 それでは、本日の委員の皆様方の出欠状況について、御報告をいたします。  本日は、中島委員が御欠席でございます。また、福田委員の代理として栃木県保健福祉部次長 の荒川様が、吉岡委員の代理として全国老人福祉施設協議会理事の畑山様がそれぞれお越しいた だいております。  それでは、部会長、進行のほど、よろしくお願いします。 ○岩田部会長 それでは、本日の議事に入りますが、まず提出資料とこの間の経過について、事 務局より御報告をお願いいたします。 ○木下福祉基盤課長 それでは、まず社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律案の 審議の状況について、御説明をさせていただきたいと思います。  前回の当部会におきまして、参議院で可決をしたという状況について御説明をし、6月中にも 衆議院で審議をいただけるのではないかという見込みの御報告を申し上げたところであります。  会期は明日7月5日まででございます。現在のところ、審議が非常に厳しい状況になっており まして、時間的にも極めて困難で、今国会においては成立する見通しは、ほぼなくなったという 状況でございます。  そこで私どもといたしましては、国会の方にもお願いをいたしまして、閉会中審査の取扱いを お願いをしております。通常でいいますと、会期不継続の原則で、会期中に議案は処理しなけれ ば廃案ということになるわけでございますけれども、これは衆議院の段階でございますので、本 会議におきまして、閉会中審査という手続を取っていただきますならば、選挙後に行います秋の 臨時国会におきまして、継続をして審査ができるという取扱いになりますので、その手続を現在 お願いをしているという状況でございます。  明日にも具体的に本会議において議決がなされれば継続という扱いになりますので、いずれに しましても、こういう状況になりまして、私どもとしては非常に残念でございますけれども、こ れからも必要性等について、国会の方にも働きかけをしたいと思っておりますので、当部会の先 生方あるいは関係団体の皆様方にも、引き続き、御支援をお願いしたいと思っております。  以上、国会の状況でございます。 ○成田福祉人材確保対策室長 続きまして、事務局から御用意した資料について、御説明させて いただきます。  資料の全体の構成でございますが、前回5月30日の福祉部会におきまして、人材確保指針の 骨子の案を議論のたたき台としてお示しし、御意見をいただいたところでございます。いただい た御意見を踏まえて、骨子案を修正いたしまして、6月8日から21日まで、厚生労働省のホー ムページにおいて国民の皆様から御意見を募集し、並行いたしまして、都道府県からの御意見も 伺ったところでございます。  都道府県からいただいた御意見を資料1、国民の皆様からいただいた御意見を資料2として要 約してお出ししております。  資料3は、こういった御意見を踏まえて指針の案として作成したもので、本日は主にこの資料 3について御議論をお願いしたいと思っております。  資料1の「都道府県から寄せられ御意見について」につきまして、簡単に御説明させていただ きます。全体で19の都道府県から延べ76件の御意見が寄せられたところでございます。  「1 労働環境の改善に関する事項」の「(1)給与等」につきましては、一定の給与水準の 確保を追加すべき、質の高いサービス等に見合った給与等や事業収入の適切な配分が必要、国の 役割として、給与体系の構築、賃金・物価の動向等も踏まえた介護報酬の設定やさらなる処遇の 改善方法を加えるべき、社会福祉士等の配置を制度化し、介護報酬等に反映させること、提供し たサービスに応じた加算など、具体的かつ実効性のある制度創設を検討すべきといった御意見が ございました。  「(2)労働時間等」につきまして、国の責務を明記すべき、「(3)その他の労働環境の改 善」につきまして、介護職員が自らの処遇の改善を要求できるようなシステムの構築を検討すべ き、「(4)キャリアアップの仕組みの構築」について、具体的な方策について明確にすること、 介護員養成研修修了者の資質向上について定めるべき、資格を定めるだけではなく、統一の講習 の受講を義務づけるといった方法が現実的ではないか、専門介護福祉士等の仕組みについて、現 場に即したものとすべき、「(5)新たな経営モデルの構築」にいて、事業所の表彰等により、 あるべき姿を明示し、情報を広く共有できるシステムづくりも有効、多様な福祉事業を実施する という観点も必要、経営理念のモデルを認定するのは、国であるべき、法令順守の徹底が必要、 社会福祉法人制度については、規制改革に取り組むべきといったような御意見がございました。  「2 潜在的有資格者の参入の促進に関する事項」につきましては、社会福祉士等の有資格者 の「任用」を盛り込むことについては、職種採用枠を設けると解釈されないようにすべき、ハロ ーワーク等との連携や地域の特色を生かした多様な関係機関の活用等を加え、実施主体に国も追 加すべき、潜在的有識者等の実態把握の具体的方法を示すべきといった御意見がございました。  「3 多様な人材の参入の促進に関する事項」につきましては、文部科学省等との連携強化な どを明示すべき、「福祉・介護サービスの仕事の魅力を積極的にアピールすること」を盛り込む べき、 学校教育の中で、福祉・介護サービスの重要性について学ぶ仕組みについても検討すべ き、外国人労働者について明記すべき、他分野に従事する者が参入しやすいよう、資質向上を図 る等の環境整備を盛り込むべき、「福祉・介護サービス以外の分野に従事している者」等の定義 を明確にするなど、わかりやすくすべき、高齢者等の参画促進のための特別な制度等を検討し、 ボランティアとして参画できるよう支援する等の視点が必要、障害者の参画を促進することを追 加すべきといったような御意見がございました。  「4 経営者、関係団体等並びに国及び地方公共団体と国民の役割」につきましては、国の役 割として、事業者に対する支援、制度の見直しを含めた評価と対応等を加えるべき、国民の役割 として、担い手としての役割を追加する、国及び地方公共団体の役割として、需要・供給見通し を位置づけること、「5 その他」といたしまして、追加すべき事項あるいは表現、データの改 善などについて、さまざまな御意見をいただいております。  資料2の「国民の皆様から寄せられたご意見について」は、合計で165通、のべ361件の御意 見をいただきました。  「1 労働環境の改善に関する事項」の「(1)給与」につきましては、一定の給与水準を確 保するため、介護報酬等の見直しを通じた必要な財源の確保、国家公務員の福祉職俸給表等を勘 案したモデル賃金表を策定すべき、人件費の配分の具体的な水準を示し、行政が指導すべき、専 門性の高い人材を確保した場合に介護報酬等において評価すべき、人事考課制度等は、チームプ レイを阻害する要因になることから、これらの導入を促すような表現を改めるべき、「(2)労 働時間等」で、週40時間労働などを明記するとともに、有給休暇の取得などについての具体的 指標を示すべき、記録の簡素化等運営基準の見直しが必要、メンタルヘルス対策の実施が必要、 「(3)職員配置基準」につきましては、職員配置基準を引き上げるべき、常勤換算方式を廃す べきといった御意見がございました。  「2 従事者のキャリアアップに関する事項」につきましては、国家資格取得者の任用資格化 などにより、キャリアアップのための取組みを推進すべき、従事者の研修の受講などによる人員 の不足をどのように補うかが課題、国家資格における国家試験の在り方などを見直すべき、実習 施設に対する教育が必要、ホームヘルパーの養成研修を基礎研修に一元化することを明記すべき といった御意見がございました。  「3 福祉・介護サービスの経営のあり方に関する事項」につきましては、経営者層の人材不 足についての対応策を盛り込むべき、具体的な経営モデルを検討し、提示すべき、社会福祉法人 と民間企業では採用の時期が異なっているため、就職活動が困難である、共同採用という発想は、 民間企業においては例示として不適切、法令が遵守されるよう、指導監督を強化すべきといった 御意見がございました。  「4 その他に関する事項」につきましては、人材の需要を把握する仕組みを構築すべき、住 民参加型活動等の住民活動を支援すべき、潜在的有資格者等の再就職が促進されるように研修を 充実させていくべき、国の責任において、労働実態を把握し、人材難の背景や要因を明らかにす べき、 指針に基づく行動計画を策定し、取組みを進めるべき、福祉人材センターの機能を強化 すべき、福祉・介護サービスは、非営利企業を原則とすべき、短期間で制度が変わるため、非常 勤雇用中心の不安定な状況となっているのではないか、生産年齢人口の定義を改めるべき、外国 人労働者の受入れに対する考え方を盛り込むべきといったような御意見がございました。  こういった御意見を踏まえて作成いたしましたのが、資料3「『社会福祉事業に従事する者の 確保を図るための措置に関する基本的な指針』(案)について」でございます。  2ページの前文では、最初の段落で、近年、国民の福祉・介護サービスに対するニーズが量的 に増大するとともに、質的にもより多様化、高度化しており、福祉・介護制度はさまざまな見直 しが行われてきたところであり、(1)措置制度から契約制度への転換。(2)対象者が低所得者から普 遍化し、(3)営利法人等の多様な事業主体の参入、(4)施設主体のサービスから地域における自立し た生活を支える多様なサービスの充実、(5)認知症等に対応する新しいサービスの進展等が図られ てきております。  一方、労働力人口も減少が見込まれ、他の産業分野における採用意欲も増大している中で、福 祉・介護サービスの需要に対応できるよう、安定的に人材の確保を図っていくことが大きな課題 であり、質の高い人材が求められており、今後の日本においては、国民一人ひとりの自分らしさ や安心、生きがいを支える福祉・介護サービスの存在が不可欠の要素であるとしております。  この指針は、社会福祉事業の分野において、人材の確保を図っていくことを目的とするもので あるが、介護保険制度における居宅介護支援など社会福祉事業と不可分に運営されておりますの で、これらの事業を合わせて、「福祉・介護サービス」と総称し、一体的な人材の確保に努める ことが重要であるとしております。  「第1 就業の動向」の「1 労働市場全体における就業の現況と今後の見通し」で、今後、 生産年齢人口の減少に伴い、労働力人口も減少することが見込まれ、「2 福祉・介護サービス における就業の現況」では、福祉・介護サービスに従事する者は、約328万人で、急速に増加を しております。  従事者の特徴といたしまして、(1)女性の占める割合が高く、(2)非常勤職員の占める割合が近年 増加してきており、(3)入職者及び離職者の割合が高く、(4)給与の水準は全労働者の平均と単純に 比較すると低い水準にあること等が挙げられます。  介護関係職種の有効求人倍率も高い水準にあります。  介護の現場では、専門性の高い人材が求められている一方で、いわゆる「潜在的介護福祉士」 が多数存在しております。  社会福祉士についてみますと、幅広い活動が期待されているものの、その任用が進んでいない など、専門性が有効に活用されているとは言えない状況にございます。  さらに、保育士につきましては、多様化する業務内容に対応できる資質の高い保育士の確保が 求められております。  「3 福祉・介護サービスにおける今後の就業の見通し」につきましては、まず最初の段落で 高齢者の分野、次の段落で障害者の分野、3つ目の段落で保育の分野、それぞれの分野において、 今後サービスの需要が拡大していくとし、これら以外の分野も含め、多様な福祉・介護サービス の需要の拡大が見込まれているとしております。  こうした状況の中で、例えば介護保険サービスに従事する介護職員の需要につきましては、今 後10年間に約40万人から約60万人の介護職員の確保が必要となるとの推計を御紹介しており ます。  「第2 人材確保の視点」につきましては、将来にわたって安定的に人材を確保していくため には、まず就職期の若年層を含む国民各層から選択される職業となるよう、良好な労働環境を整 備するとともに、高い専門性を有する従事者については、その社会的な評価に見合う処遇が確保 される必要があるとしております。また、積極的に周知、広報することを通じて、魅力ある職業 として、社会的に認知されていくことが重要であり、「潜在的有資格者」等の掘り起こし等を通 じて、活用を促進するとともに、多様な人材を確保することも重要であるとしております。  こういった観点に立って、福祉・介護サービス分野における人材確保のための視点ということ で、今回改めて5つの項目を整理しております。  (1)若年層から評価・選択され、従事者の定着の促進を図るため、「良好な労働関係の整備」を 図ること、(2)従事者の資質の向上が図られるよう、「キャリアアップの仕組みの構築」を図るこ と、 (3)国民の福祉・介護サービスへの理解を深め、積極的な参入又は参画が促進されるよう、 「福祉・介護サービスの周知・理解」を図ること、(4)「潜在的有資格者等の参入の促進」を図る こと、(5)他分野で活躍している人材、高齢者等の「多様な人材の参入・参画の促進」を図ること としております。  これらの視点に立った具体的な対策を、いわゆる団塊の世代が高齢者に達する平成27年を見 据えて、重点的に取り組む必要があるとしております。  「第3」から、今、申し上げた5つの視点のそれぞれについて、関係者が取り組むべき事項を 整理しております。各項目の後にそれに取り組むべき関係者を括弧の中に示しております。  「第3」は、1つめの視点の「良好な労働環境の整備」で、その中の最初の項目が「1 労働 環境の改善」でございます。  「(1)労働関係法規の遵守等」につきましては、(1)労働関係法規を遵守し、短時間労働者に ついては、いわゆるパート法に基づき、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、雇用環境を整備す ること、(2)法令が遵守されるよう経営者の指導監督等を行うこととしております  「(2)給与等」につきましては、(1)キャリアと能力に見合う給与体系の構築を図るとともに、 他の産業分野における労働者の給与水準、地域の給与水準などを踏まえた適切な給与水準を確保 すること、(2)従事者に対する事業収入の適切な配分に努めること、(3)従事者に対する事業収入の 配分の状況についての実態を把握し公表すること、「(3)介護報酬等の設定」につきましては、 (1)適切な水準の介護報酬等を設定すること、(2)専門性の高い人材を配置した場合の介護報酬等に よる評価の在り方について検討することとしております。  「(4)労働時間等」につきましては、(1)労働時間の短縮の推進に努めるとともに、仕事と家 庭の両立が図られるよう、育児休業、介護休業等の取得等を推進すること、(2)適切な勤務体制を 確保すること、「(5)健康管理対策等」につきましては、(1)健康診断の実施、腰痛対策等の健 康管理対策の推進、(2)メンタルヘルス対策等の推進、(3)感染症対策の推進を挙げております。  「(6)職員配置」では、職員配置の在り方に係る基準等について検討を行うこととしており ます。  「(7)福利厚生」では、福利厚生事業の推進、「(8)適正な雇用管理の推進」につきまし ては、経営者に対する相談事業、助成金の活用の促進などに取り組むこと、「(9)業務の省力 化等」につきましては、(1)IT技術や福祉用具の活用等による業務の省力化、(2)事務の効率化、 簡素化に努めることとしております。  「(10)その他」では、従事者の育児休業や研修受講等に際し、円滑に代替職員が確保できる よう支援することとしております。  第1の視点の2つめの項目が「2 新たな経営モデルの構築」でございます。  (1)福祉・介護サービスを行うのにふさわしい経営理念を確立するとともに、明確な人事戦 略を確立すること、(2)小規模かつ脆弱な経営基盤からの脱却を図るため、法人間のネットワ ークの構築を進めること等により、経営基盤を強化すること、(3)質の高い人材を確保し、質 の高いサービスを提供するための組織体制を確立すること、(4)社会福祉法人制度改革等の規 制改革を推進すること、(5)経営の実態を把握し、福祉・介護サービスを行うにふさわしい経 営理念等を研究し、その成果の普及を図ること、(6)融資や経営診断事業等による支援を行う ことを挙げております。  「3」は前回いただいた御意見を踏まえて項目を立てておりますが、「3 介護技術等に関す る研究及び普及」です。  (1)先進的な福祉用具等の研究を行うとともに、その成果の普及を図ること、(2)腰痛対 策等に関する介護技術について、これまでの研究成果の評価分析を行いつつ、より適正かつ実践 的な技術の研究及び普及を図ることとしております。  2つ目の視点が「第4 キャリアアップの仕組みの構築」でございます。  (1)施設長や生活相談員等の資格要件の見直し等従事者のキャリアパスを構築すること、(2) 生涯を通じた研修体系の構築と研修等の充実を図ること、(3)研修等の受講機会の確保に努め ること、(4)教育訓練給付制度を適切に運営すること、(5)法人間のネットワークを生かし た人事交流等を通じて、人材の育成を図ること、(6)さらに高い専門性を認証する仕組みの構 築に取り組むことを挙げております。  3つ目の視点が「第5 福祉・介護サービスの周知・理解」であり、(1)ボランティア体験 や職場体験の実施、マスメディアを通じた広報活動、これらを重点的に実施する期間の設定など により、認知症等の福祉・介護サービスの利用者や福祉・介護サービスについての理解を深める こと、 (2)施設の地域開放など、地域との交流を図ること、(3)実習生を積極的に受け入 れ、適切な受入体制を確保することとしております。  4つ目の視点が「第6 潜在的有資格者等の参入の促進」で、「1」で、介護福祉士等の資格 制度の普及を図るとともに、有資格者の活用等の促進を図ることを挙げております。  「2 潜在的有資格者等の参入の促進」につきましては、(1)潜在的有資格者等の実態を把 握すること、(2)就職説明会の実施等を通じて、再就業への関心を喚起し、働きかけること、 (3)無料職業紹介等の実施や再教育等を通じて、就業の支援に取り組むこと、(4)就業した 潜在的有資格者等について、相談体制を整備するなど、その定着の支援に取り組むこととしてお ります。  5つ目の視点が「第7 多様な人材の参入・参画の促進」でございます。  「1 福祉・介護サービス以外の他分野従事する人材の参入の促進」につきましては、潜在的 有資格者等と同様、まず(1)就業への関心を喚起し、就業を働きかけること、(2)就業の支 援に取り組むこと、(3)就業した者について、その定着の支援に取り組むこと、(4)就業に 当たって必要な情報が得られるよう、第三者評価結果の公表や情報開示等を推進することとして おります。  「2 高齢者等の参画の促進」につきましては、(1)高齢者に対する研修等を通じて、就業 し易い、またはボランティアとして参画し易い環境を整えるほか、これまで培ってきた専門性の 活用を図ること、(2)障害者に対し、就労支援を含むさまざまな支援を通じて、障害者が自ら の能力を十分に発揮できる社会参加の活動の一つとして、福祉・介護サービス分野への参画を促 進することとしております。  「第8 経営者、関係団体等並びに国及び地方公共団体と国民の役割」は、これまで第3から 第7までの各項目のところで、それぞれの関係者の役割を書いておりますが、それを改めて整理 しております。  まず、関係者がそれぞれの役割を果たすこと、関係者が十分な連携を図りつつ、21世紀を担 う福祉・介護人材の量と質を高めていくため、取り組んでいく必要があるとしております。  「1 経営者及び関係団体等の役割」につきましては、経営者は健全な経営を維持し、従事者 を雇用する立場から、働きやすい環境の整備を行っていく役割があり、人材というサービスの提 供基盤を最大限に生かして、質の高いサービスを提供していくことが重要である、経営理念に裏 打ちされた人材改革や関係団体等による活動への協力などを行う必要がある、さらに経営の状況 などの情報を開示していくことも必要である、他方、関係団体等は個々の経営者や従事者のレベ ルでは対応することが難しい課題について取組みを支援することなどが必要であるとしており ます。  「2 地方公共団体の役割」につきましては、事業者の指定や指導監督を行い、地域の実情に 応じた計画を策定するほか、事業にかかる費用の一部を分担する等の役割がございます。  まず経営者に対する指導監督を行うとともに、個々の事業者では対応が難しい人材確保の取り 組みや研修の実施など、人材の質的向上を支援していく必要がある、特に都道府県においては、 地域における雇用情勢を踏まえ、広域的な視点に立って従事者の需給状況などを把握するととも に、研修体制の整備、経営者等のネットワーク化などを進めていくことが重要である、市区町村 においては、ボランティア活動の振興や広報活動等に努めていくことが重要であるとしておりま す。  「3 国の役割」については、事業にかかる費用の一部を負担するとともに、福祉・介護制度 等の制度を企画立案し、基準・報酬等を策定するという役割があるとしております。  まず実態を把握した上で、制度の設計、見直しや介護報酬等の設定を行う必要がある、関連施 策がそれぞれの役割を果たしつつ、連携して取組みを推進していく必要がある、さらに経営者の 指導監督、関係者の取組への支援、福祉・介護サービスのイメージアップなどの対策を行ってい く必要があるとした上で、こうした取組みに加えて、国はこの指針が示す事項について、定期的 にその進捗状況を評価・検証し、必要に応じ、この指針の見直しを行いつつ、人材の確保対策を 着実に推進していくことが必要であるとしております。  「4 国民の役割」といたしまして、国民はサービス利用者であり、税と保険料を負担して制 度を支えるという役割がございます。  質の高いサービスを享受するためには、優れた人材を確保育成することが国民にとっても重要 であり、国民は同時に福祉・介護サービスの負担者でもあり、福祉・介護サービスの量や質につ いては、これを確保するために必要となる負担の水準にも配慮しつつ検討していくことが求めら れる、 さらに国民一人ひとりが身近な問題として、福祉・介護サービスに対する理解を深め、広く福祉・ 介護サービスに参加していくことが必要であるとしております。  資料4は、前回の議事録でございます。  参考資料としてお配りしている資料は、これまでもお配りしているものですので、改めて御説 明はいたしませんが、1点だけ、前回、研修の実施状況についての数字が出せないかという御意 見がございましたので、29〜30ページに介護分野における研修の実施状況の資料を付けており、 後ほど御参照いただければと思います。  事務局で御用意した資料の説明は、以上でございます。 ○岩田部会長 どうもありがとうございました。  それでは、本日はこの人材確保指針に係る見直し案について、自由に御意見を伺いたいと思い ます。どこからでも結構ですので、御質問、御意見等がございましたら、どうぞ。  石橋委員、どうぞ。 ○石橋委員 この人材確保の基本指針はよくまとまっているという印象を受けております。ただ し、2〜3、気になる点がありますから、その辺のところを申し上げたいと思います。  前文の3ページのところでございますが、前回のときも質問させていただきましたが、中段の ところです。  この指針は、社会福祉事業の分野において、安定的に人材の確保を図っていくことを目的とす るものであるが、介護保険制度創設後、それらに密接に関連する領域を拡大しているから、これ らの事業は社会福祉事業と不可分に運営されていることから、一体的な人材確保に努めることが 重要であると前文では書いてあります。  では、具体的にそれが法律で縛られるかというと、社会福祉法の90条におきましては、あく までも社会福祉事業法に従事する者だけが限定されておりますから、今後その領域と密接する業 種が増えていく可能性もありますから、やはり将来的にはそこの社会福祉法自体も今後見直して いくということも併せて盛り込む必要性があるのではないかということが、まず1点です。  もう一つ、国民の意見の方からもありましたけれども、これは人材確保の基本指針、平成5年 に出されたときも、すごくいいものができたと思いましたが、実際にその後どうだったかという ことをかんがみますと、なかなかそれが計画どおり実行されなかったということが今後の人材不 足を招いている原因の一つであると思います。  そういった意味におきましては、きちんとこの人材確保の基本指針、今後どうなっていくのか。 その行動計画、また一定の評価ということもきちんと盛り込んでいくことも是非必要なのではな いかということをまず最初に申し上げたいと思います。 ○岩田部会長 ありがとうございました。今の点に関して、特に事務局の方から何か補足とか御 意見はございますでしょうか。あとからまとめてでも結構です。  そのほか、いかがでしょうか。小島委員、どうぞ。 ○小島委員 前回、幾つか意見を申しまして、それについて、今回示されているものはある程度 整理されているものであります。更に幾つか意見と質問も含めて発言させていただきます。  3ページの前文のところで、一番下の方に人材確保をするに当たっての役割、主体についてで すね。経営者あるいは関係団体等についての説明がされております。具体的にはその関係で言い ますと、10ページのところで、良質な労働環境の整備というところから、文章の最後の括弧に 「経営者、関係団体等」という形で記載をされております。その際に経営者の中には当然、各自 治体が事業主体で運営をしている施設もありますので、この経営者の中には地方公共団体も含ま れると理解をすべきなのかということです。多分そうだと思いますけれども。  事業主体とは別の役割として国なり地方公共団体の役割があるということで、その書き分けは こういう形でしているというように理解していいのかというのが質問です。  意見としましては、13ページの「2 新たな経営モデルの構築」。そこも(1)のところも 「経営者」と入っています。そこも含めて、先ほど言ったような意味では、地方公共団体が経営 をしている場合には、そこも当然含まれると理解しますけれども、その中で(4)のところです。  ここは質問です。最後に社会福祉法人制度改革等の規制緩和等を推進するということで、国や 地方公共団体の役割になっておりますけれども、この規制改革の推進という意味合いの中にはど ういうものが含まれているのか。  例えば介護保険の方で、介護療養型病床が平成23年で廃止になる。療養病床の再編をにらん で、介護施設の検討会では療養病床の再編に伴って転換する先として、医療法人が運営している 療養病床について転換した場合に、特養ホームも認めるかどうかというようなことが検討はされ ている。そういう議論もあるので、そういうことも含めた意味合いでの規制改革ということなの か。  15ページの「第4 キャリアアップの仕組みの構築」。ここは意見です。  (2)のところで、キャリアパスに対応した生涯を通じた研修体系の構築を図るということで、 ここも「経営者、職能団体その他の関係団体等、国、地方公共団体」と記載をされております。 当然ここには経営者あるいは職務団体等が行う研修ということも当然含まれていますけれども、 それに加えて国なり自治体等が主体的に行います資格とか研修体系ということも、当然これは含 まれている。そういうことで国なり自治体も研修体系の構築というところに積極的に関わるとい う、そういう位置づけが必要だろうと思っています。  それとの関係で、(3)のところでの従事者の研修の推進に当たってのところです。やはりこ の従事者のスキルアップ、キャリアアップを図るためには、当然支援策も必要であり、人員配置 の問題も当然出てくるだろうと思います。  そういうことも、13ページの一番上の「(10)その他」のところでは、研修受講の欠員への 補充体制ということが記載をされております。15ページのところの研修を受ける支援としては、 当然そういう欠員問題を含めた配置基準の問題。あるいは研修を受けた、あるいは、それによる 資格に対する評価。そういうともここは当然必要になってくるだろうと思います。その辺がより 明確になるような形が必要ではないかと思います。  先ほど、石橋さんが初めのところで意見を出されておりますけれども、今回の指針を策定をし て、5年目の見直しということになりましたので、これをつくった後のフォローアップが必要で す。それもきちんと検証していくことが必要なので、これは最後に書くのか頭に書くのか。そう いうところも必要ではないかと思います。  以上です。 ○岩田部会長 人員配置については、12ページに「(6)職員配置」という別立てのところも ありまして、あっちこっちにはなっていますけれども、幾つか指摘があります。  経営者の中に自治体が含まれるかということについては、いかがでしょうか。 ○成田福祉人材確保対策室長 これは基本的に入ると理解しております。 ○岩田部会長 そうすると、国、自治体の役割、地方公共団体の役割の中に、例えば22ページ の「2 地方公共団体の役割」というのは、むしろ管理者としての役割が書かれているわけです けれども、同時に場合によっては地方公共団体は経営者、事業者としての役割もあるんだよとい うのをどこかで言っておく必要があるかもしれないです。全体としてのこの指針の評価について は、どこかで触れるということは必要だと思います。  そのほかはいかがでしょうか。木間委員、どうぞ。 ○木間委員 22ページに「2 地方公共団体の役割」とあり、その一番下の段落に、市区町村 の役割が書かれておりますが、これが少し気になります。  市区町村によりましては、従来からヘルパーやケアマネの研修を実施しておりますし、事業所 に対する研修を行っているところもあります。福祉人材を確保・育成するセンターを開設すると ころもありますし、事業者のネットワークを進めているところもあります。福祉人材の量と質を 確保し育成することは、市区町村の役割の一つという認識が広まっているのだと思います。市区 町村は福祉人材の確保・育成を計画的に進めることに、その一定の役割を担う必要があると思い ます。  もう一点、19ページの(4)に多様な人材が参入するのに必要な情報が得られるように、第 三者評価と情報開示の推進をすることとありますが、これは2つの制度の本来の目的ではないと 思います。  経営者はどのような人材がサービスを提供しているのかを利用者に開示することによって、サ ービスの質を担保させることに第三者評価と情報開示を活用していくということ、これが2つの 制度の本来の目的、つまり利用者のための制度であるという目的にかなうものだと思います。  22ページの4行目に、経営者は情報を開示していくことが必要であるとありますが、介護サ ービスについては昨年4月に情報の開示が義務づけられました。そのことによって消費者は必要 な情報の多くを入手できるようになりました。  今回この指針にはなじまないことと思いますが、発言させていただきたいのは、その介護サー ビスについては情報開示が義務づけられましたが、それ以外の保育サービスなどについても情報 の開示の義務づけを国として考えていただきたいと思います。 ○岩田部会長 どうぞ。 ○京極部会長代理 関連で簡単に。私も前回、都道府県の福祉人材センターを活性化した方がい いのではないかということを申し上げたんですけれども、法律的には都道府県に1か所となりま すと、大体、都道府県社協が人材センターをやっていまして、中核市と政令指定都市はやれない ということになって、実際には福祉人材バンクがかなりやっています。木間委員がおっしゃった ように、大きな区とか市では事業者や従事者の研修も含めてやっていますので、長くなって恐縮 なんだけれども、都道府県の福祉人材センター・福祉人材バンクと、細かいですけれども、あえ て市とか区の役割を強調しておいた方がいい。そう読み取れないことはないんですけれども、例 示できるものがあったら例示していただいた方がわかりやすいのではないかと思います。  今、全体として予算が減ってきたので、大分、福祉人材バンクもぽしゃっているところが多々 あると聞いておりますので、この人材確保指針が出ますと、少し元気づけられるのではないかと いうことで、補足で申し上げました。 ○岩田部会長 いずれにしても、22ページの「2 地方公共団体の役割」というところは、若 干丁寧に書く必要があるかもしれませんね。事業者の指定とか指導監督とか計画策定とか費用負 担ということのほかに、実際上、地方公共団体が事業者になることもあるし、今、御指摘があっ たような、むしろ人材センター、人材バンクあるいは研修とかネットワークとか、そういうこと のかなり大きな役割を担っているということをもう少し書いた方がいいかもしれませんね。中身 にはいろいろ出てくるわけですけれども。  どうぞ。 ○森委員 今の「2 地方公共団体の役割」で、市区町村というのは保険者という1つの大きな 役割を持っていて、都道府県とはまた役割が違うわけですね。その辺をやはり交通整理をしない と、ここが地方公共団体の役割というふうにざくっとあれしてしまうと、ある面では明確なメッ セージが伝わらないということにつながるのではないかと感じます。 ○岩田部会長 介護保険だと今のようになるし、かなり広い福祉と考えると、またそこも相当複 雑というか、都道府県レベルで相談機能みたいのを果たす場合もあるし、市町村レベルで相談機 能を持つ場合もあるので、実際に社会福祉士などを視野に入れれば、専門職の登用というのを直 接やる場合もありますし、確かにその辺は相当複雑なことは複雑ですね。 ○森委員 大変強いメッセージを発していただいておるんですけれども、その中で私がどうして も気になるのは、例えば介護労働者。資格というものをきちんと皆さん方は持って、それによっ て従事される。従事者というのはわかるんですけれども、介護労働者という言葉が使ってあるわ けです。確かにそれは働くことには変わらないんですけれども、これはあくまでもこれからも大 変高い素養を持って、従事をして継続していただける、そういうことの中で少しでも継続して、 しかし、潜在的なそういう方にならないようなということから行くと、どうも介護労働者という 表現が果たしてメッセージとしてなじむかどうかというのがどうしても気になったものですか ら。12ページの(8)のところです。 ○岩田部会長 どうぞ。 ○成田福祉人材確保対策室長 今の12ページのところですが、基本的に従事者という言葉でそ ろえるようにしておりますが、この部分だけ介護労働者という言葉を使っておりますのは、「介 護労働者の雇用管理の改善等に関する法律」という法律があり、これに基づく施策をここでは書 いているものですから、この部分だけ介護労働者という言葉をあえて使っております。あとは基 本的に従事者、あるいは介護福祉士等の有資格者という表現で整理しています。 ○岩田部会長 ちょっと難しいところですけれどもね。  高岡委員、どうぞ。 ○高岡委員 先ほどの御質問の中にもあったんですけれども、13ページの(4)であります。 そこに「福祉・介護制度の下で、柔軟かつ創意工夫を活かした経営を行うことができるよう」、 これはこのままでいいんですけれども、そのために「社会福祉法人制度改革等の規制改革を推進 すること」ということが、創意工夫を生かした柔軟なサービスというところと、具体的にはどう いうことなのかが気になります。  もう一つですが、10ページの「(2)給与等」の(2)で「適切な配分に努めること」はいいわ けですけれども、(3)の「従事者の定着の状況等を勘案し、必要に応じ、従事者に対する事業収入 の配分の状況についての実態を把握し、公表すること」というのが、その地域別だとか、あるい は介護全体の業界というとらえ方なのか、個々の施設の状況を向上するということになっている のか。その辺も制度の在り方によったら、大変窮屈になるというようなことがあります。  11ページに、この指針は社会福祉事業全般にということで理解しているんですけれども、上 の「(3)介護報酬等の設定」があるんですけれども、書き方をずっと見ていると、介護に限定 したような受け止め方になりますので、例えば障害者自立支援法などでも同じような対応だと思 います。その辺がもうちょっと全体に広がるような表現にならないのかなと思いました。  これは細かい話ですけれども「(4)労働時間等」があります。その2行目に「完全週休2日 制の普及」ということで、このことは労働条件の改善にはいいんですけれども、社会福祉事業と いうのは24時間365日体制でやっていますから、完全週休2日制というのが実態としてはなか なかできない。週休2日制というところまではそれぞれがやっているんですけれども、完全とい う言葉が付くことについて、一度確認したいと思います。  以上です。 ○岩田部会長 それでは、社会福祉法人制度の改革についての御質問が重なって出ていますの で、この点について何か御説明がありますか。 ○木下福祉基盤課長 先ほど小島委員からもございましたし、高岡委員からもございましたけれ ども、社会福祉制度全般的な運営の在り方については、遂次いろいろ見直しをし、この4月にも 運営の弾力化を行ったわけでありますけれども、我々としては個別に医療法人の特養参入とか、 個別のことはまだ想定しているわけではありませんけれども、当然そういう議論も出てくると思 いますし、それに併せて社福はどうなるのかというところの議論も十分しなくてはいけませんの で、我々としては遂次精力的に議論は進めなければいけないと思っています。そのための具体的 な受け皿として、こういう書きぶりをしましたということであります。  先ほどの配分の公表のところでありますが、ここもどういう形でいいのかと。例えば非常に運 営がいい法人で、人事管理もしっかりしていて、かつ給与も加算等の工夫をして、従業員が生き 生きと働いているという状況があり、一方で必ずしもそうではなくて、逆に従業員自体が非常に 疲弊をしてしまって、なかなかやる気が出ていない法人がある。  そういうところを個別に出すのか。あるいは業界として、そういう傾向で全体として出すのか。 それは具体的にはこれからどんな作業があるのかというのは議論しなくてはいけませんけれど も、そういう形で、いい事例と悪い事例。何が原因なのかというところがある程度明確になるよ うな格好での実態把握をしなければいけませんので、それには把握をした上で、一定の情報を公 表していくという仕掛けは要るのではないか。そういう意味で書いたわけで、具体的な方法につ いてはこれからの御議論だと思います。 ○高岡委員 経営指標という形で各施設法人が参考にして、自分のところと全体のところがどう いうふうになっていくんだというのには非常に効果があると思うんですけれども、結果的にはペ ナルティー的にやるんだとしたら、これ以上だめだということの基準を明確にしておかないと、 それこそ行政サイドの中でいろいろと指摘されることによる問題が出てくるような気がします。 ○岩田部会長 どうぞ。 ○江草委員 13ページの「2 新たな経営モデル」の構築でございます。  私は平成5年の前の指針の作成についても関係がありましたので、非常に興味を持ってこれを 見ておるんですが、大きな前進と時代をよく反映しておるなという気持ちであります。  その中の一つに、現実に約一万五千ぐらいですか。経営法人という社会福祉法人ですね。施設 経営法人というのがあると。それを見ますと、大多数は極めて小規模のものなんですね。それを ここに書いてあるのかなと。必ずしも小規模な社会福祉法人とは書いていないんですけれども 「小規模かつ脆弱な経営基盤からの脱却を図るため」云々ということ。こういう形ではっきり書 いたのは今まで例がないのではないかと思って、私は非常に評価をしているわけです。  しかも、それに対してはある程度具体的な解決策。「複数の福祉・介護サービスの実施又は従 事者の共同採用や人事交流、資材の共同購入、設備の共同利用など、法人間のネットワークの構 築を進めること等により」云々と。もしこれが明らかになってくるとすれば、新たな経営モデル だろうなと思っています。  それを受けて、(4)の「柔軟かつ創意工夫が活かした経営を行うことができるよう、社会福 祉法人制度改革等」というのは、私もよくわからないんですけれども、社会福祉法人の運営につ いてのいろいろな規則がある、規定がある。これをやりやすいように見直そうということだと思 って、大いに期待しておるということを、これを読んだときに私は感じました。  したがいまして、各論的な意見が述べてあるわけですけれども、更に一層具体的な方へ展開し ていただきたいという気持ちであります。  高岡先生、大体そんなことではないでしょうか。 ○高岡委員 私がちょっとこだわったのは、柔軟な創意工夫を生かすための社会福祉法人という 制度そのものを見直すとなれば、運営上の規制緩和だとか、そういうことはもうよくわかるんで すけれども、そこを確認をしたいと思いで申し上げました。 ○岩田部会長 では、堀田委員、どうぞ。 ○堀田委員 5点ほど申し上げます。  最初は全体を通じてですけれども、大変辛口で申し訳ないんですが、かなり平板であったのが 少しずつめり張り、目鼻が少し見えるようにはなってきたけれども、まだまだ目鼻立ちがはっき りしないで、今の問題にぴたっとこないところが多いなというのが正直な印象です。  これは前回以前の指針のときと現在、そして、これからどんどん悪化していきます。その状況 というのは、全くと言っていいほど違うわけでありまして、不景気であったころ、介護保険でい ろいろ領域が広がったころに、この分野に希望者が若い人も含めて来てくれた。ところが実態が ほぼ見えて、こんなことでは食べていけないというので、どんどん逃げ出し、急速に坂を転げ落 ち始めておるのが今の状況だと思います。これからどんどん転げ落ちていくんだろうと思います が、そういう事態の中での人材指針。問題点の把握と対応策は全く違ってくるだろうから、もっ ともっとめり張りを付けなければいけないのではないか。全体的にまずそういうふうに感じま す。  ただし、協議を重ねて、よくなってきておりますので、その辺は評価いたしております。それ が第1点です。  2点目は、6ページであります。そのめり張りを付けるということの1つで、これから何が大 変かと言いますと、何といっても要介護の高齢者が圧倒的に増えていって、必要な職員数がどん どん増えていくという、これが厳しい中で需要がどんどん必然的に増えていくという、この点が 非常に大きな要素であります。  そのことは6ページの3の頭にも終わりにも書いておられるんですけれども、この程度の書き 方でいいんだろうか。ほかの市場の分野でこんなに需要が増える分野というのはあり得ないわけ で、少子化が進む中でどうしても確保しなければいけない。その職員数がこれだけ急激に増える 分野というのは、よほど特別な対策を取らないととても対応できない。言ってみれば非常事態で ある。そのことをもっと強調して書き、単にこの6ページの頭のところに書くというだけではな くて、例えば4ページの1の冒頭に書くとか総論にも書くとか、そのことをもっともっと強調し なければいけない。これから割り込んでいって、人をとってこなければいけないわけですから、 これでは強調し足りないと思います。  ただ、高齢者介護の部分だけを強調すると、子どもの方はどうだ、数がそんなに変わらない障 害者はどうだという点が引っかかって強調しにくいのかもしれませんけれども、子どもの方もこ れは社会で見る仕組みが崩壊してしまって、コミュニティーの崩壊、家庭の崩壊、大きな問題を 抱えておるので、子どもの方も大変だし、障害者も言ってみれば閉じ込めておく福祉からどんど ん自立して外に出てもらう福祉になれば、これはますますその尊厳確保のために人がいることは 間違いないので、その辺りをしっかり把握し、大変だという理由をもう少し書いていただけない かというのが2点目であります。  3点目もめり張りでありますけれども、10ページ「第3 良好な労働環境の整備」という中 で、給与というのが大分上がってきた。それはいいんですけれども、やはり若い人たちが逃げて いく、なかなか来てくれない。その絶対的な要件は給与にあるわけで、その点は幾ら強調しても し切れない。財務省が何と言おうと、これは決定的に強調すべき事項であろうと思います。  その給与も別にいい給与ではなくて、この「良好な労働環境の整備」とありますが、この「良 好な」に引っかかるので、良好なんて厚かましい、そんな良好なんてことはできっこないので「普 通」でいい。普通の労働環境にしてもらえば、人は来るわけであります。若い人たちはいろいろ と志がありますから、この普通の労働環境にすれば来てくれる。特に普通でない給与を何とか普 通と言える程度にするということが決定的に必要なことで、そういうことが明確に出るように、 もっとめり張りを付けてほしい。  例えばこの「(1)労働関係法規の遵守」「(2)給与等」とありますけれども、これは「(2) 給与」が当然トップでなければいけないだろうと思います。労働法規の遵守の中では、次のペー ジの労働時間が一番大きな要素で、この労働時間の後に労働関係法規の遵守があっていい。人材 確保の観点から言えば、その程度の順序でいいのではないかと思います。ほかの箇所、総論等の ところでも、給与をもっと強調していただきたい。それが3点目であります。  4点目は教育、強いて言えば17ページであります。給与はある程度普通にしたとしましても、 これはほかのサラリーマンに比べて、そこそこ、あるいはそれよりいい給料なんていうのは、今 のこの体系の中では保証することは考えられないので、やはり普通の下ぐらいのところで何とか 生活を確保してもらって、あとは仕事の魅力、生きがい。これで若い人たちに来てもらうように 引き込んでいくという作業が非常に重要なので、そういう意味で教育については、生きがいある 仕事だということを十二分に教え込む。そのことが非常に重要である。  17ページの冒頭に書いてもらっておるんですけれども、これをもっと際立たせて、そういう ふうに仕事の生きがいということを一般的に子どもたちに体験させる。そういう教育をすること が何としても重要でありますので、これもめり張りを付けて強調していただきたい。  そういうことを例えば23ページの国の役割。これも教育の大宗は国が定めている教育制度に なっておりますので、この国の役割の中に教育が全然出てこない。ここの国というのは国ではな くて、老健局のことだけ言っているのではないかと思うんでありますが、国というのは全体であ りますので、文部科学省をしっかり落として、教育についても国が責任をもって強調するように、 そういう提言にしていただければうれしいと思います。  5番目、最後であります。これは書いていないわけでありますが、外国人労働者の問題であり まして、これは書いていない理由はよくわかっておりますし、非常に大きな抵抗があることは承 知の上で申すわけでありますけれども、今の人口状況、その需要の今後の拡大を考えますと、こ れを外国人労働者を移入しないで対応できるということは、とても考えられないです。これは必 然であります。あと5年先か10年先にこの委員会をやっていただいたときに、この指針を見て、 それが何も書かれていなければ、びっくりすることになるだろうと思います。  そういう問題点すら気づいていなかったのかと思われることは大変心外であります。外国人労 働者のことを積極的に書けというと、また非常に問題でありましょうが、この問題を多角的にし っかり今から検討することが必要であるという程度のことは、頑張れば書けるのではないか。私 は先々のためにこれを書いておくことは必要ではなかろうかと思っています。  以上、5点であります。 ○岩田部会長 ありがとうございました。  では、村尾委員。 ○村尾委員 このたびの指針に社会福祉士のことをたくさん盛り込んでいただきまして、ありが とうございました。この指針の中の表現で気になりますことにつきまして、御説明を申し上げた いと思います。  11ページの「(3)介護報酬等の設定」の(2)です。「キャリアと能力に見合う給与体系の構 築等の観点から、介護福祉士等」とありますけれども、専門性の高い人材を配置した場合の介護 報酬等による評価の在り方については社会福祉士も同じでございますから、社会福祉士というこ とで、ここは御検討をいただければと思います。  18ページです。先ほど来からも話が出ていますけれども、潜在的な資格者の参入ということ ですが、公的な職場においても任用と活用の促進ということを御検討いただければと思います。  この2のところに4つほど書いていますけれども、これは民間に対する促進策という書き方で はないかと思いますけれども、地方自治体においても先ほど話がございましたように、民間と変 わらない状態に、問題も同じように抱えております。  公立の施設もありますし、公が行うサービスもたくさんございますから、地方自治体や国立の 施設も勿論ございますし、同じ立場でお考えいただければと思います。  特に認知症とか虐待、DV、ホームレス、多重債務等の難しい問題が山積をしてきております。 これは民間事業者だけで対応するのはとても難しい。限界があるという面がございますので、公 的な分野でしっかり専門性を持って対応していただくことが特に必要性が高くなってきている のではないかと思います。  そういう意味で、専門職の採用制度とか任用制度。公的な分野からしっかり始めていただくこ とをお願いできればと思っております。  21ページです。これはこだわりのことですが、下から4行目「福祉・介護サービスの経営に おいては」というのは、何か福祉は人なりということですけれども、経営も福祉の特別な経営が あるようなふうにとられます。  そうすると、福祉は人なりというようなことだと、安くてもいいのではないかということにつ ながるのではないか。経営についても同じような特別な経営があるのではないかという誤解を招 くのではないかという気がしておりますので、「おいても」ということで、経営についても同じ ような意識を持ってしかるべきだと思っております。これは特に申し上げるほどのことではない かもしれません。  以上でございます。 ○岩田部会長 白澤委員、どうぞ。 ○白澤委員 3点です。1点目は、ほかの委員の先生方からも出ているわけでございますが、や はり形ではなくて、実際にどういうふうに変化したのかということで、何回目かに京極委員が毎 年、時系列的に人材の把握をしていくことが大事だろうということで、例えば福祉人材白書的な ものでもつくってはとの提案がありましたが、5年おきにきちんと最終的な評価をするというこ とを、この中の文章に入れるかどうかは別にしまして、要するに実態がどう変わってきているの かということを常に把握をしていくということを是非お願いをしたいのが1点目でございます。  2点目ですが、これはここで人材の確保を都道府県の福祉人材センターを中心とした展開をし ているわけですが、これは18ページぐらいから、都道府県福祉人材センター、その他関係団体 という名称になっているわけですが、現実にはそういう福祉人材というのがこの人材センターを ベースにしているというのはそんなに多いわけではないわけですね。  現実にはハローワークとか、あるいは前回、前々回来られた場合にもおっしゃられていたよう に、新聞等を介して人材を確保しているという話でございますから、堀田委員がおっしゃってい るように相当な人数を確保するのには、この全面に出すのが都道府県福祉人材センターだけでい いのか。 ハローワークというのは、この中には連携するものとして位置づけをしているわけで すが、厚生労働省という位置づけですから、やはりハローワークもこの中に位置づけをして、議 論が少しできないものなのかということを少しお考えいただければありがたいというのが2点 目です。  3点目ですが、これは私が前回申し上げたときに、介護福祉士と社会福祉士には若干の課題の 違いがあって、課題は非常によく似ているんですが、社会福祉士の方は職域がないという問題が 非常に大きいということを申し上げました。  そういうことで、その認知が非常に弱かったので、いろいろなところに広げていかなければな らないということを5〜6ページにおいて、社会福祉士の有する専門性が有効に活用されている とは言えない状況にあるという問題提起までは書いていただいたわけでございます。  しかしながら、具体的にどういうふうにして、その人材を活用していくのかということになり ますと、先ほど、村尾委員が言っていただいたことと関係するわけですが、今、行政の議論が出 てきて、18ページの辺りにそういう議論を有資格者として御議論いただきたいということでご ざいますが、在り方の報告書が昨年12月に出た中には、社会福祉主事という資格というのは、 社会福祉法人等には準用しているということに問題があるということも議論になりました。  そういう意味では、やはり社会福祉法人等での社会福祉士の任用についても、前の報告書を踏 まえた議論をこの中にきちんと書き込んでいただければ、大変ありがたいということです。具体 的には、18ページの中に、先ほど村尾委員のおっしゃっていた公務員等の議論、自治体等での 議論に加えて、社会福祉法人等での任用の問題も同時に加えていただければありがたいと思いま す。  以上でございます。 ○岩田部会長 では、鶴委員。 ○鶴委員 基本的にはいろいろな要素を配慮して、おまとめいただいて、適切、的確な表現にな っているかと思います。ただ、2〜3点修文していただきたい事項がございます。  第1点は、本指針の総論についてですが、法律に基づいて本指針の対象になる社会福祉事業者 と法律に基づくものではない民間介護事業者とが、あたかも全く同列に取り扱われているように 受け止められることであります。  法律に基づかずに新たな事業者を本指針の対象とすることは、本来控えるべきではないでしょ うか。現場の扱い方次第では、本指針が行政指導の根拠となることが懸念されます。民間の事業 者であれば、経営形態の選択、人材の確保、定着、育成、管理等、経営の根幹に関わる部分につ いては、自己責任で判断し選択するものであります。  したがいまして、この指針は民間の事業者にとっては経営の自主的判断の参考とするにとどま るということを明記すべきと考えられます。  2点目は、10ページの真ん中から少し下の(2)の(1)に、参考とする給与の水準として、国 家公務員の福祉職俸給表が例示されていることです。  民間の事業者が本指針に沿う対応を行おうとすると、国家公務員の給与を民間の基準とするこ とになり、国家公務員の給与の決め方、民間準拠の考え方と本末転倒になってしまいます。参考 とするのは、公務員の給与の基準となったもともとの民間の給与が適切です。そこに記載の他の 産業分野における労働者の給与水準や地域の給与水準の例示にとどまるべきと考えます。  3点目は、11ページの上の方、(3)の(2)についてです。これについては本指針の内容や表 現などに関してではなく、実際に検討される際に必ず実行していただきたいことの要望がありま す。  専門性が高い人の行うサービスが利用者にとってサービス水準が本当に高いのかどうかとい う点について、十分検証することが不可欠と認識されます。この事実が確認されて、初めて専門 性の高い人にはそれに見合う高い報酬支払いが国民に納得してもらえると考えられるからであ ります。  以上でございます。 ○岩田部会長 いろいろ立場の違いといいますか。それぞれの見るところの違いから評価が少し 分かれるところもあると思いますけれども、どうぞ相互の意見の違いも踏まえて、いろいろと。  石橋委員、どうぞ。 ○石橋委員 先ほど、堀田委員も言われていましたが、本当に介護の世界は、このままほうって おけば、将来10年後、20年後には要介護者の高齢者の方が非常に増えてきたときに、本当に困 るのはだれかということをしっかり考えて、この人材確保は決めていかなければいけないことだ と思っております。  また、その10年後、20年後に果たして若い人たちがこの介護の現場で夢を持って働ける環境 になっているかということも視野に入れながら、この人材確保の基本指針を考えていくべきだと 思いますから、そういったことも含めて、この人材確保の基本指針は、箇条書きでいろいろと書 いてありますけれども、もう少しメッセージ性を持ったもの、何かビジョンがあるようなものに していただきたいというのが1点あります。  もう少し具体的なところで言えば、15ページの「第4 キャリアアップの仕組みの構築」の (2)におきまして、キャリアパスに対応した生涯を通じた研修体系の構築を図ることと書いて ありますが、ここの役割のところで「職能団体」が初めて入っておりますが、それは本当に我々 職能団体が体系を担っていく必要性があるということを重々思っておりますし、これを進めてま いりたいということを考えております。ただし、そこのところだけではなくて、せっかくですか ら、もう少し職能団体を活用していただきたいということも思います。  例えば14ページのところの「3 介護技術等に関する研究及び普及」のところにおきまして も「経営者、関係団体等、国、地方公共団体」と書いてありますが、これらの内容についても職 能団体というものを入れていただければありがたいかなと思います。  16ページのところで「さらに高い専門性を認証する仕組みの構築を図るなど、従事者の資質 向上に取り組むこと」。ここも「関係団体等」が入っておりますが、職能団体等も入れていただ ければありがたいと思っております。  更に17ページの「第5 福祉・介護サービスの周知・理解」におきましても、我々、日本介 護福祉士会としては、前回申し上げましたけれども、介護の専門性の普及、介護福祉士の仕事に ついての理解を深めていただくために、全国介護相談というのを毎年行っております。  そういったことから、ここのところについても職能団体というのを入れていただければ、我々 もそれなりに貢献できるかなと思っておりますから、その辺のところも含めて、少し考えて検討 していただければありがたいかなと思いますので、よろしくお願いします。 ○岩田部会長 専門と付けて、専門職能団体とした方がいいですか。関係団体という言い方が少 しアバウトなので。 ○石橋委員 お願いします。 ○岩田部会長 では、京極委員。 ○京極部会長代理 細かいことを申し上げるんですけれども、全体としてパブリックコメントも 含まれて、すごく充実した内容で、今、非常にコムスンの問題その他の中で、これが出てくれば、 相当注目に値するものになるのではないかと思っています。  ただ、こういう状況の中で、なかなか経営をどうするかということもあるし、働いている人た ちの待遇をどうするかということもあるんですけれども、おっしゃったことは重々わかりますけ れども、この社会福祉事業とその他の事業でも、公費が入っている事業ですね。  これについてはかなり一般の民間の経済市場と違って、私は社会市場という言葉を使っている んですけれども、社会的規制というのがあることは最小限必要だと思っています。ただ、かつて の措置制度のようにがんじがらめに、はしの上げ下ろしまで縛るというのはいかがなものか。そ れはもう時代遅れでございます。  しかし、ある程度の規制は必要だということの中で、国家公務員の俸給表を使えとは書いてい ないので、それを考慮してという意味で書かれていますし、他産業との関係で、介護と保育の例 で一番声が上がっているのは、自分たちは高卒2年で働いて、一生懸命勉強したけれども、高卒 の人の方が給料が高いのはどういうことなんだと。そういう非常に悲鳴に近い言葉に聞こえてき ているわけで、そういうことに対するきちんとした配慮というのは必要なのでありまして、そこ は基本的には認めていいのではないかと思います。  サービス水準というのは、これから同じサービスの中で資格を持っている人と持っていない人 の区別。そこは比較しなくてはいけないんですけれども、他産業との関係というのは、なかなか 比較というのは困難であります。  ただ、私などがいつも言うのは、福祉に一番近いのは看護の分野ですけれども、看護の分野に 比べると福祉は遅れているという印象はどうしても否めないので、看護の方が姉さん格で、福祉 の方が妹格という感じでありますので、せめてそういうところに近づくように、今回の指針で是 非やっていただけないかと思います。  確かに法律に基づく社会福祉事業に限定するということなんですけれども、国民が見たときに この福祉人材確保指針というときに、果たして社会福祉事業とそうでない事業と余り区別が付か ないので、中身で工夫をしていただくことにして、社会福祉サービス全体をどうするかという視 点で、中核は社会福祉事業だと思いますけれども、広げて考えることは、むしろ今の時代では当 然ではないかと思います。  保育なども当初は入っていなかったのが入ってきましたし、精神保健福祉士なども社会福祉士 等の中に入っていると思いますので、そういう点で少し広めに考えていっていいのではないと思 います。もともと社会福祉士及び介護福祉士法ができた背景は、シルバーサービス等で非常に基 準がないと。仮に安かろう、悪かろうみたいだったら困るということで、それが1つの契機です けれども、その質を担保するためにできたわけです。ところが、今、そこが一番問題になってい るわけで、資格制度が十分生かされていない。  特に社会福祉士などはほとんど雇っていないような感じで、介護福祉士も大分進んできていま すけれども、2級ヘルパーが主流というようなことでは困るわけでありまして、その辺はこの指 針で相当インパクトを与えることかできれば、かなり役割を果たしたことになるのではないかと 思っております。 ○岩田部会長 畑山代理委員、どうぞ。 ○吉岡委員(代理:畑山理事) 2点ほどです。5ページですけれども、この中に有効求人倍率 の引用で、文言としてハローワークの分類上の文言なのかなという感じがするんですけれども 「常用的パートタイム」という文言が出てきております。  従来ですと、いわゆる正規職員と非常勤職員という従事者の分類が主だったんだろうと思いま すけれども、介護の現場では特に介護保険制度に移行してから、つまり常勤の非正規職員の比率 が高くなってきているという実態があります。  そういう中で、ここで常用的パートタイムということは、パートタイムは短時間労働者という ことになると思いますけれども、これが常用的といったときに、この表現がどうなのかなという ことで、ちょっと引っかかりを持ったということです。  今、申し上げた常勤の非正規職員についても、当然これは給与、賃金が正規職員と大きな開き が出てくるといった部分で、やはり離職に大きくつながってきている実態があるという部分で は、このことについても言及をしていくということは必要なのではないかと思っております。  次に7ページ。これは将来の見通しについて、具体的な数字を挙げて記載をされているんです けれども、ここで記載をされているのは最後のところに触れていますように、今後10年間に約 40万人〜60万人の介護職員の確保が必要になるという記載があります。  これはいわゆる要支援・要介護者の増大に伴って必要になると見込まれる介護職員の数でござ いますけれども、最後に補足的に書いてある「退職していく者を補充する人材」の部分です。  実態的には、これはこの退職者による補充で必要となる人材確保が非常に難しい現実があるん だと思うんですね。特にここで試算をしている平成16年度で約100万人の職員数という中で、 現在、離職の状況が介護職員の20%、離職率が20%と言われている実態を見ますと、仮にこの まま推移をしていきますと、10年間で100万に対する20%となりますと、延べ200万人にのぼ ってくる。  これはここで新たな要介護者の増に伴う数字よりも、はるかに多い人材確保をしなくてはいけ ないという実態がございますので、この部分はもっと強調していくということが必要なのではな いかと思います。  もう一点、先ほど堀田委員の方から、給与の問題については、平均の中の下というようなお話 がございましたけれども、私はこれはやはり少なくとも中の中以上を確保していくということを 考えていかないと、専門性のある人材を確保していくという部分では、やはり非常に弱いのでは ないかと感じております。 ○岩田部会長 多分、中の下というのは、もっと危機宣言をしろということですね。それで今の 退職の問題も勿論、定年で退職というのだったら良いですけれども、そうではない退職が多いと いうことをいかにブロックしていくかという問題にもなりますので、その辺りの最初の前書きの ところをもっと人材危機宣言とか、そういう感じで書くということかなと、伺いながら思ってい ました。  先ほどの鶴委員の御意見も、それ自体としてはもっともな面もあり、例えば専門性が高ければ 必ずいいサービスをするかというのは、それは別途検証が必要で、専門性の内容とか教育の問題 と関わりますのでね。  しかし、制度的には専門職制度を持った以上、専門性が高い人はいいサービスをするというこ とを前提にしないと社会制度は設計できていかないので、当然、社会福祉法に書いていない範囲 の事業者も、逆にこの方針に乗った方がいい人材が得られるよと。規制と考えるか、むしろそう した方が良好な人材を確保できるよと考えるかの違いというのもあるかなと思いまして、全体的 に言えば、もっと人材確保のために細かい相違を乗り越えて、この分野でいかにいい人材に、魅 力的な分野だということを確立していくかという、その岐路にあるような感じかが全体に出れば 良いのではないでしょうか。先ほどの外国人労働者の問題も、むしろ今の受給関係が非常に難し い状況にあって、そういう議論も出ているよということを言及するというような感じで指摘する という手もあるかなと思っています。  駒村委員、どうぞ。 ○駒村委員 7ページの最後のところの記述なんですけれども、労働力に占めるこの介護労働に 入っていただくそのパーセンテージ表示で出せば、今まででも1%、1.5%、それに対して3% とか3.5%ぐらいの人を引き寄せないとだめなんだというのははっきり出てくると思いますの で、人数表示よりは、どこかにパーセンテージ表示で書いた方が、相対的な魅力度を高めなけれ ばいけないという根拠がよくわかるのではないかと思います。  先ほどの鶴委員あるいは部会長、京極長代理のお話の中でもありましたが、私はやはりこの指 針というのは、公費が入る分野には、対人社会サービスの福祉分野には全部引っかかるべきだろ うと思います。  前もお話をしたように、疑似的市場でありますので、マーケットメカニズムが働いていない中 での設計を考えなければいけないので、やはり労働状況に対する一定の指針みたいなものは出す べきだろうと思います。  あるいは専門性と満足度の関係の証明みたいなお話もありましたけれども、対人社会サービス で情報の非対称性、あるいはサービスを受ける人間の判断能力が更に落ちている中で、その専門 性と満足性の関係を厳密に証明するのは大変難しいと思いますので、先生や部会長がおっしゃっ たように、しっかりとした専門性を持っていれば、そのことがふさわしい価値があるんだと考え るべきではないかと思います。 ○岩田部会長 そのほかの御意見がありましたら、どうぞ。 ○成田福祉人材確保対策室長 先ほど、「常用的パートタイム」のお話がありましたので、参考 資料の16ページに定義が付いておりますけれども、「常用的パートタイム」の定義は「パート タイムのうち、無期雇用又は4か月以上の雇用期間によって就労する者ということで、一応定義 されております。  これは公共職業安定所に出てくるデータをもらって御紹介しておりますので、お話にありまし たような「常勤の非正規職員」にそのまま当てはまるようなデータがあるのかどうか、ちょっと 確認してみますが、もしかすると難しいかもしれません。 ○岩田部会長 さっきのいろんな用語法も統計がいろんな言葉を使っているもので、なかなか統 一しがたい。 ○成田福祉人材確保対策室長 ここで御紹介している「常用」というのは、雇用期間の定めがな いか、あるいは4か月以上の雇用期間が定められている者ということで、その中で常用的パート タイムのみと、常用的パートタイムを入れないものということで分けております。おそらく非正 規職員ということであれば、多分雇用期間が定められている方が想定されると思いますので、そ このデータをとるのは難しいのかなと思います。 ○岩田部会長 先ほど、木間委員から御指摘のあった箇所などは、あれは逆に書けばいいという か、要するにそれ自体の目標は従業員確保というわけではなくて、経営の透明性とか特に利用者 に対する情報開示というようなことがあるんだけれども、そのことは同時に働く人にとっても安 心できる職場になるんだよというような、逆転すればいいわけですね。  全体に経営に関しての改善というのは、働く人にとってもアトラクティブだというような感じ が出てくればいいわけですね。その辺は書き方をもう少し工夫をして、誤解のないようにする必 要がありますね。 ○京極部会長代理 今、こういうコムスンとかの事件があって、新聞でも叩かれているんですけ れども、相対的に非常によくやっている事業者もあるわけで、お客様にも喜ばれているし、非常 に労使関係もいいというようなところもあるので、そういうところは行政が表彰するのではなく て、関係団体で勿論取り上げたり、表彰したり、マスコミがもう少し光を当てると随分感じが変 わってくるのではないか。  厳しい面だけがずっと世間に書かれていまして、どうしてもそれを信じて動いてしまうわけで すけれども、かなり本当にお客さんに喜ばれていて、いい活動をして、経営もしっかりしている ところもある。そんなに沢山の利益は出ないけれども、研修もちゃんとやっているという団体も ありますので、少しその辺りの人材確保指針にならないのか。そういうモデル的ないい事業を表 彰していくことにしたいですね。そういうものを世間に知らしめる例もあっていいのではないか と思います。余り理論的な話ではないんですけれども。 ○岩田部会長 村尾委員、どうぞ。 ○村尾委員 前文の3ページの下の方に、平成37年には高齢者が3割を超えるというのがあり ますけれども、更に1人住まいとか2人住まいがこれからどんどん増えると思います。  人材の確保の人数は膨大な数字が出ていますけれども、この限られた人材と財源を有効に活用 するという意味でも、サービスを受ける側のことをここで言うべきではないかもしれませんが、 人的サービス依存型社会にしないようなことを考えていかなければいけないのではないかと思 います。  自立だとか自己決定とか、いろいろなことをたくさん言うようになってきていますけれども、 公的なものから、また他者から支援を受けるのが当たり前だというふうに、勿論そうはなってい ないんでしょうけれども、そういう意識が蔓延してはいけないと思います。QOLというのは、 まさに自分で守るという意識をもう少し高める必要があるのではないかと思っています。  1人住まい、2人住まいでは、生活がある程度自分できるという実生活の環境整備ということ で、福祉用具のことをここにたくさん盛り込まれていただいているんですが、単に福祉用具を提 供しただけでは、実生活はできないわけでございまして、福祉用具を入れる環境というのが住宅 整備から始めなければいけませんし、そこに福祉用具が入ってもだめなので、自助用具のような、 その人に合ったものがしっかりないと、1人住まいの生活はできない。ある程度なら人手がなく てできるわけですが、そこに足りない人的サービスは、その最後の段階に専門的なサービスが入 っていく方がよろしいのではないかという事例が、これから多くなっていくのではないかという 気がいたしております。意見でもございませんけれども、感想みたいなものです。  以上でございます。 ○岩田部会長 堀田委員、どうぞ。 ○堀田委員 さっきの上中下の話ですけれども、座長に受けていただいたとおり、今、中の下、 普通の下にすら行っていないので、ともかく何とか普通の下ぐらいまでには持っていかなければ という趣旨で申し上げました。  なお、レベルで言えば、今の公務員の給与も中の中から中の下に落ちつつあるかなと。それぐ らい厳しくなっている給与の状況だと認識しております。  18ページに「第6 潜在的有資格者等の参入の促進」とありまして、この潜在的有資格者は 随分この参入を頼りにしておられるような、最初からそういう書き方なんですけれども、これは この書き方を変えてほしいということではありませんが、ちょっと違うのではないかと思いま す。  女医さんが専業主婦で医業をやられないという問題と介護福祉士さんがやられないというの はちょっと違って、介護福祉士の資格を持っているけれども、これでは食べていけない、あるい は先の見通しが立たないというので、ほかの違う分野の職業を選択してしまっているという実情 になりつつあって、こういう人に対しては、ここで書かれているような対策をやったって帰って こないという面もかなりあるように思いますので、余りこれを頼りにしない方がいいのかなと思 います。 ○岩田部会長 ちょっと悲しい話になりつつありますが、よろしいでしょうか。  今日はかなりたくさん御意見が出ましたので、内容そのものでも幾つか御議論がありましたけ れども、主として、めり張りといいますか。表現の問題ということが大変大きかったように思い ますので、なるべく一貫して、この指針は何を言うべきかということと、一番最初に御指摘が何 人かの先生からありました評価とか行動計画とか、あるいは人材白書というか、この後もフォロ ーをきちんとしていくというような、つまり人材というのは大変大事で、そのことについて指針 の出しっぱなしにはしないということを基本的に付け加えまして、幾つか御意見の違うところも あると思いますけれども、その辺りはまとめられる範囲で、もう一回修正を私と事務局の方で相 談をして、修正案をつくって、皆様方にそれを御相談させていただくというようなやり方で、今 月の末にもう一回委員会を予定しておりますので、そこで最終的に、これでいいかということを お諮りしたい。  これは大臣から諮問をいただいて、とりまとめるという形になるということですので、そのよ うになると思いますけれども、そういうような形でよろしいでしょうか。そうするなら、これも 言っておくということがあれば、どうぞ。  勿論、今日いろいろな御意見を言い足りないとか、そういうこともあると思いますので、特に 具体的にここはこういうふうに表現してほしいとかいう御提案がありましたら、是非、事務局の 方にお寄せいただきたいと思います。よろしいでしょうか。  では、そのように進めたいと思います。  最後に次回の日程について、事務局より御案内があります。 ○矢崎総務課長 どうも長時間ありがとうございました。  次回の日程につきましては、7月26日10時からとさせていただきたいと思います。会場につ きましては調整中でございますので、調整ができ次第、御連絡申し上げたい思います。よろしく お願いいたします。 ○岩田部会長 局長の方から、ごあいさつはいいですか。  それでは、以上で本日の部会を終了します。どうもありがとうございました。 照会先:厚生労働省社会・援護局総務課      03−5253−1111(内線2814)