07/06/28 介護保険料の在り方等に関する検討会 第3回議事録 日時:平成19年6月28日(木)15:00〜17:00 場所:社会保険診療報酬支払基金 会議室(9F) ○桑田介護保険課長  それでは、定刻となりましたので、第3回目の介護保険料の在り方等に関する検討会 を開始させていただきたいと思います。本日はお暑い中、お集まりいただきましてあり がとうございます。  本日、台委員が若干おくれられるという御連絡を承っておりますけれども、20分ぐら いすれば御到着というふうな話でございます。そういったことで全員御出席ということ でございます。  それでは、田中座長よろしくお願い申し上げます。 ○田中座長  皆さんお暑い中、お集りいただきましてありがとうございました。3週間前も健康保 険料と関連制度について勉強し、みなで知識を共有化することができました。きょうは 保険者の方々から発表いただいて理解を深め、今後の議論につなげたいと思います。  本日の議題は、「現行の介護保険料制度について」となっております。事務局から資料 の確認と説明をお願いします。 ○桑田介護保険課長  それでは、お手元の資料を確認させていただきたいと思います。座席表、議事次第と ございまして、あと資料を1、2、3、4と4つございますけれども、資料1が前回提出い ただいて御説明いただく時間がなかった神戸市さんの森田委員に提出していただいた資 料でございます。資料2が、福岡県の広域連合について、藤委員から御提出いただいた 資料でございます。それから、資料3が、南部町、ここも広域連合でございますけれど も、ここについての状況について森岡委員に提出していただいた資料でございます。  ここが本日の議論の前半の部分でございますけれども、あと資料4ということで、こ れからの話ということで「今後検討すべき主要な課題」という資料を用意しております。  以上でございます。よろしゅうございましょうか。  それでは、座長よろしくお願いします。 ○田中座長  では早速ですが、お三方の保険者の方から順に御説明を続けてお願いいたします。前 回、引き延ばしになってしまいました森田委員からよろしくお願いします。 ○森田委員  神戸市の森田でございます。それでは、資料の「介護保険料に係る神戸市の取り扱い 等について」をご覧ください。  本市の保険料段階については、昨年の4月より、これまでの5段階制から9段階制へ 細かく細分化しました。給付費の増大で基準額については1期目が3,137円、2期目が 3,445円でしたが、3期目で4,694円と大幅な改定を余儀なくされたところでございます。 真ん中の階段上の図がございますが、特徴の1つは、1.1という料率を神戸独自で新た に設定いたしました。税制改正の影響で、0.75から1.25というふうに保険料段階が2 段階上がる方がおられたわけですけれども、恒久的に1.1のランクをつくり、負担軽減 を図ったものです。  また、一番上のランクですが、所得600万以上の方について、これまでは最高1.5ま でだったのですが、600万以上の方については2.0という形で、少し最高ランクの保険 料も上げさせていただきました。税制改正の影響を受ける方への配慮を行うため、さき ほどの1.1の段階設定や、経過措置を設定したことが大きな原因でございます。  また、2.0という率の設定の根拠ですが、下のほうに書いてございます。料率が1.5 から2.0に上がる方については、保険料額で1.81倍になりますが、基準額が3,445円か ら4,694円に上がる中、全ての保険料段階での上がり幅を何とか2倍以内におさめたい ということで、どのランクにつきましても余り大きな上がり幅にならないよう調整した ものです。  今回の税制改正への対応も含め、保険料段階などの設定に際してはいろいろシミュレ ーションしまして苦労した点がございます。最高の幅をどれぐらいに設定するかとか、 あるいは段階の切り方も課税層は自由に切れますので、200万がいいのか300万がいい のか、こういった議論がございましたし、一番基準になる第4段階の左と右が同じバラ ンスをとらないといけない、同額にしないといけないなど、階段状の設定の難しさを感 じました。  次のページに、現行の段階制の課題を幾つか挙げております。  (1)は「課税・非課税を前提とした負担区分」に関する課題です。市町村の事務に配慮 していただいて、課税・非課税で判定しようということで当初スタートいたしましたが、 階段状の宿命ということで一部の方について大幅に保険料が上がると、極端にいえば1 円違いでも大幅に上がるというようなことがございます。特に「※」で書いていますが、 本人非課税から本人課税となる場合には2段階上がる方がかなりたくさんおられました。 今後、更なる税制改正があった場合には、非課税ポイントがずれれば保険料段階がまた 動くという、そういうこともございます。  (2)は「世帯概念に基づく負担区分」に関する課題です。賦課は個人単位でやっている わけですが、どうしても低所得の非課税世帯の部分については、例えば老夫婦の夫が課 税になれば、非課税の奥さんも課税ランクで払うことになり、このあたりがなかなか窓 口で理解されにくい面がございます。  それから、2つ目の点は「逆転現象」と書いていますが、例えば、そこに書いていま す世帯A、Bで、夫と妻の年金を合わせた場合、Bのほうが世帯合計では10万円少ない わけですけれども、払っている保険料はBのほうが高くなる。こういったことが現実に 出てまいります。これを逆転というかどうかというのは議論があると思いますが、少な くともわかりやすさの点からいうとちょっと問題があるのかなという感じはしてござい ます。  それから、3つ目の点は、これはちょっと別の話ですけれども、賦課期日が4月1日 ですから、そこでコンクリートされた世帯の構成で保険料を計算いたします。年度途中 で、例えば世帯員が亡くなられても年度中の保険料は反映しないという、基本的には税 の賦課と同じような考え方で対応してございます。高齢者の場合、神戸市で大体32万人 の高齢者がおりますが、異動がかなりございます。年間で3万7,000件ぐらいの異動が ございまして、死亡が約1万人、65歳到達が2万2,300人、あと転出入が4,000人ぐら いということでかなりの異動があるということでございます。  (3)は「応益・応能負担の在り方」ということで、これは国保との比較をしていますが、 今や国保よりも介護保険料が高いというような現実がございます。特に低所得者の部分 については、国保のほうが手厚い、これは公費で法定軽減をやっているからですが、法 定軽減のうち、7割軽減の関係でこういう状況が発生しています。逆に最高限度額にな りますと、これは国保のほうが圧倒的に高いということで、神戸市の場合、介護は月 9,400円ぐらいですが、国保ですと4万4,000円ぐらいということで、国保の場合は非 常に上下に幅があると、こういうことでございます。  それから、「3.現行事務の運用について」ということですが、税情報の取り扱いにつき ましては、これは課税、非課税あるいは合計所得金額、年金額、こういったものは個人 情報保護審議会の承認を得て適切に税情報を活用させていただいているということです。  次のページは「所得の把握ができない方への対応について」ということですが、そう いう方につきましては、介護保険のほうは非課税者とみなすということが国の通知でご ざいますので、非課税扱いとして保険料計算をしてございます。神戸市独自の減免につ ましては、収入額、年収額が要りますので別途申請書をいただいております。  市県民税額方式を採用している神戸市の国保の場合は、所得未把握の場合には税額が ございませんので、所得割保険料は計算をしません。ただ、法定軽減の場合には収入額 が必要ですので、申告書を出していただくという取扱いになってございます。  一番下の表ですが、これは税制度における神戸市の状況ということで、制度上申告義 務のあるケースとないケース、左右に課税、非課税というふうに分けてございます。左 上からご覧いただくと、給与所得以外に所得がある方、あるいは年金以外に所得がある 方はこれは申告していただく必要がございます。点線の下に「合計所得33万超」とあり ますが、これは神戸市の条例の中で33万円を超える人は申告してください、逆に33万 以下ですと申告義務は要りませんと、こういう規定をしています。税法上、現在、単身 では35万を超えていなければ税がかかりませんが、本市の条例では、税法上の基礎控除 額である33万円以下を便宜上、申請不要としています。申告義務のない方、これについ ても表のとおりですが、制度上、所得把握できないのは一番右下の合計所得33万以下の 非課税の方です。神戸市ですと、高齢者32万の中で約2万8,000人ぐらいが制度上把握 できない方ではないかと思ってございます。これからの保険料の在り方を考える上では わかりやすさとか、説明のしやすさですとか、あるいは場合によっては国保とのバラン スとか後期高齢者等のバランスなども気をつける必要があるのではないかというふうに 思ってございます。  その次のページは横長ですが、それぞれの保険料段階が制度スタートして12年度から ですが、どういうふうに変わってきたかという推移を書いてございます。特に18年度は 税制改正の関係がございましたので、まず非課税世帯、上から2段目のところ、「世帯非 課税」というのが大幅に減ってございます。17年度は39.8%、約4割ございましたが、 これが約3割に減ってございます。  それから、その下の17年度までの第3段階、「世帯課税本人非課税」というところで すが、これはどんどん減ってきてございます。単身世帯はここには含まれてません。御 家族がいる方でないとこのランクにはなりませんので、どんどん高齢化が進んで単身世 帯が増えますとこのランクというのは実数は増えていますけれども、構成比としては減 ってくると、そういう状況でございます。料率が1.0の基準のランクなのですが、割合 としては減ってくるということがございます。  それから、「本人課税所得200万未満」のランクですが、このランクについては、税制 改正の影響により、課税に移った方がおられますので、17年度は15.4%でしたが、18 年度は両方足すと20.9%になっています。その下の「200万以上」も17年度の13.6%か ら、この3つを合わせると18.1%となり、大きく増えています。  神戸の状況は以上でございます。 ○田中座長  ありがとうございました。委員同士でも質問あると思うですが、お三方終わってから まとめて討議いたします。引き続き、藤委員からお願いします。 ○藤委員  福岡県介護保険広域連合といいます。どうぞよろしくお願いします。  保険料に対する考え方につきましては、全部他の方と同じということでございますの で、福岡県介護保険広域連合についてということで単独でやられている保険者の方と違 うところの説明を少しさせていただきたいと思います。  文章に書いていますとおり、制度の発足のときに、福岡県においてはどこに住もうと 誰でも同一の水準の認定、給付、保険料で介護が平等に行われるよう介護保険制度の運 用については、県内全町村および同意する市をもって広域連合を組織するということで 町村会が中心となって県内の市町村に呼びかけをいたしました。その結果、県内72の市 町村で広域連合を立ち上げました。その当時は4市60町8村でございます。福岡県内全 域にわたりますために広域連合本部と構成する市町村というだけでは意思の疎通がなか なかできないのではないかということで、本部と市町村の間に支部というものを設けま した。これは県内の保健所の管轄区域、生活圏域に合わせて14の支部を設置して、平成 11年7月に広域連合を立ち上げました。  その後、平成の大合併によりまして、市町村数が減り、本年4月1日現在においては 構成市町村数が39市町村(5市30町4村)、支部も12支部ということになっております。  先ほども少し申し上げましたけれども、広域連合においては、介護保険事業の業務を 本部・支部・構成市町村で行っております。事業全般の管理業務は本部、認定や給付に 関する業務は支部、申請や相談の受付は構成市町村で行って、業務の分担をすることに よって効率性を図っております。  下の3行は、介護保険料と関係ありませんが、前年度の制度改正におきまして、地域 包括支援センターというのを設置ということで、福岡県介護保険広域連合といたしまし ては、12の支部がありますので、12の支部に地域包括支援センターを置き、その窓口と して各構成市町村の介護保険担当課に介護サポートセンターというものをつくっており ます。  次のページでございます。広域連合における第3期保険料の考え方についてでござい ます。基本的に1保険者/1保険料というのが大原則でございますけれども、ここに書い てございますとおり、相互扶助の精神のもと、全ての構成市町村で同一の保険料として おりましたが、平成13年度から平成15年度の3年間の実績における構成市町村間の高 齢者1人当たりの給付費は、最も高い市町村と最も低いところでは2.5倍の格差が生じ てまいりました。保険料の負担と給付という面から見て、バランスのとれた保険料とは いえないということで、相互扶助の精神を超えた不公平感というものが低いところの市 町村から不満が出てまいりました。そこで、第2期の途中ではございましたが、この格 差を緩和是正するために、平成17年度より構成市町村をA、B、Cの3つのグループに 分けて、給付費の多いところは高い保険料、給付費の少ないところは低い保険料を設定 するグループ別保険料を設定しております。  しかしながら、第3期におきましても、この格差がほとんど縮まっておりませんので、 A、B、C、3つのグループ別保険料を継続しているところです。  保険料につきましては8段階制を導入しております。被保険者の負担を少しでも広く 求め、負担額を少しでも軽減するために、所得段階を8段階としております。一番上の 8段階といたしましては、基準の所得を400万円以上というところで、次のページに8 段階の表をつけておりますように、このように負担割合をしているところであります。  以上、簡単でありますが、説明を終わります。 ○田中座長 ありがとうございました。最後になりますが、森岡委員から説明をお願いいたします。 ○森岡委員 南部町の森岡でございます。南部町におけます介護保険料について説明をさせていた だきます。南部町は3町村で連合を組んでおります。ということで、この考え方につき ましては、連合の考え方ということでお聞きをいただきたいと思います。  「1.広域連合の設置までの経緯」ということで、思い出話というのを書いております。 当初4市町村で被保険者5,400人の広域連合を設置しております。現在は市町村合併等 ございまして、3町村ということでございますが、旧5町村となっております。  メリットのほうを想定したものを書いておりますが、基本的には分母を少し大きくし ていろんな変動に備えるというのが連合を組んだ一番大きなものかなというふうに考え ております。  2番目のほうに「第3期保険料の考え方」ということで、「6段階制の賦課を実施」を しております。皆さんのところはいろいろと多段階にされておりますけれども、小さな うちの町、所得の関係が非常に少ないところということでございまして、なかなか細分 化は適当でないということで判断をしております。6段階の賦課を行っておりまして、 先ほど福岡の連合の方に説明していただいておりますけれども、7、8が抜けたような段 階の表だということでお願いをしたいと思います。  「基準額の推移」でございますが、第1期は3,176円で出発をいたしました。第2期 は4,150円、30.7%のアップというような結果でございます。  はぐっていただきまして2ページになりますけれども、第3期ということで4,350円、 やっとここで県の平均と同額、国は4,090円ですので、若干アップ気味だということで ございます。4,350円を基準額というふうに定めております。  「3.現行の保険料算定」ということで、(1)は「税制改正による影響」ということで、 この数値につきましては、全体ということではなく,南部町における状況ということで数 値のほうを書かせていただきました。激変緩和対象者でございますけれども、そこに挙 げております4段階、5段階の税制体制がなければということで書いておりますけれど も、こういった方が影響をされたということでございます。これは18年度の数字でござ いますので、両立が現在の0.66か、0.83というような形で現在は変わっておりますけ れども、これは18年度ということで読んでいただきたいと思います。  真ん中のところに書いておりますけれども、収入の額は変わらないのにもかかわらず、 保険料が大幅に上がった被保険者が生じております。課税、非課税という段階基準では このような現象が起こりやすく住民の理解が得にくいということが現実問題として発生 をしております。  (2)で「算定方法について」ということで3つほどまとめておりますけれども、南部町 におきましては、本人非課税が全体の70%を超えております。課税者につきましても全 体の15%、合計所得150万円までのもので所得水準が大変低うございます。現行方式で は負担段階を細分化する意義が見当たらないというような決めつけたような話をします けれども、そういった考え方に立っているところでございます。  それから定率制を実施することも考えられますけれども、これは今申しました70%の 構成比率から非課税者に均等割を導入しなければ給付が賄えないということになってく ると思います。世帯概念を取り入れない場合ということでも、コメントをしております けれども、逆転現象は起きませんけれども、30%しかない課税者に与える負担は大きい ということで、この現行の負担率の見直しを行わない限り、現状とほとんど変わらない というふうに考えておるところでございます。  「(3)賦課期日と世帯員の変動について」ということでございますが、私どものほうで は、世帯変動のあるたびに保険料が変更されることによって生じます事務、これが非常 に煩雑になります。そういったところから、誤納の原因となるということもございます。 納付書の発行ということもございます。そういったもろもろな点から固定は必要ではな いかなというふうに考えておるところでございます。  賦課期日についてでございますけれども、課税担当課から被保険者の税情報の提供を 受けて算定を行っております。賦課事務について軽易に行うことができておる状況でご ざいます。  (4)応益・応能負担についてということでございますけれども、給付がこのまま推移し ていきますと、一定所得者にとっては介護保険料の負担をますます大きくなると考えて おります。定率制を導入しても能力以上の保険料となる可能性は大きいと思っておりま す。給付適正化や介護予防の効果はすぐにはあらわれてこないと思われます。負担の在 り方について全面的な検討が必要ではないかと思っております。1つには、定率性のみ の導入では定額制と定率制の併用が望ましいという考え方を持っているところでござい ます。  それから、所得を把握ができない方への対応ということで、介護保険の関係は国の通 知に基づきまして非課税として対応しております。神戸市さんのほうは、独自な生活困 窮者に対する制度がございますけれども、私どものほうは「災害減免」ということしか 実施しておりません。  それから、資料として所得の把握できない方への対応ということで、今説明をいたし ましたけれども、その部分、それから段階別人数の推移と保険料の一覧、神戸市さんは つけていらっしゃいますので、これがちょっと不足しておりました。必要でございまし たら、また資料の提供ということで、事務局を通じまして御配布をさせていただきたい と思います。  以上でございます。 ○田中座長 ありがとうございました。地方と都会との違いのようなことがよく出ていたと考えま す。お互いに意見を言う前に、まず、今の3つの発表について質問があればお願いいた します。市町村の方同士でも結構です、学者委員側でも結構ですが、質問がおありでし ょうか。どうぞ、駒村委員。 ○駒村委員 福岡の御報告に関してなんですけれども、御説明があったかどうかなんですけれども、 A、B、Cの3グループに分けてと、これはもう少し、どういう仕組みにしているか、 補足の御説明がいただければと思います。あと、もう一つ、これは南部町のほうなんで すけれども、最後の負担の在り方について、全面的な検討という、これはどういうこと を意味されているのか、その2点をそれぞれ南部町と福岡の方にお願いしたいのですけ れども。 ○藤委員 グループ別保険料の考え方でございますが、基本的に出し方につきましては、先ほど 申し上げましたとおり、給付費の高いところ、低いところ出しまして、その中でいろん な要素の中で偏差値というものを市町村ごとにつくらせてもらっています。その偏差値 に基づきまして、A、B、CのBというのが基準的な保険料ですので、ここを大体50%、 それから、AグループのAは高いほうなんですが、Aが25%、Cが25%、1対2対1と いうふうなグループ分けをしてA、B、Cというふうに3つの段階に分けさせてもらっ ております。 ○森岡委員 全面的な検討が必要の全面的なというのはということでございますけれども、下のほ うに平成16年度というところに書いてございます。定率制のみの導入ではなく、それを 合わせたような形の検討というような意味だと思っておりますけれども。 ○南方委員 私も同じく福岡市さんにお尋ねしたいのは、保険料率を変えるときは、中期財政期間 といいますか、事業計画の期間に合わせるのが一般的だと思うんですけれども、先ほど の御説明ですと、期間の途中で17年度に変更されたということだったんですけど、それ なりの御事情はあったと思うんですが、その期間中に変えたことによって混乱みたいな のはなかったですか。それを伺いたいと思います。 ○藤委員 多分いろんな質問が出ると覚悟してまいりましたけれども、先ほど申し上げましたと おり、構成市町村の中における給付費の一人当たりの差が激しくなりました。それプラ ス第2期の事業計画期間中、市町村の合併がありまして、福岡県の場合は広域連合を脱 退されるというところがありましたので、第2期の給付費及び保険料の見込みのバラン スがとれないということになりましたので、計画期間の途中ではございますけれども、 13年度から15年度の実績に合わせてA、B、Cの3つのランクにせざるを得ないとい う状況が発生したということでございます。 ○南方委員 質問の仕方が悪かったと思うのですけど、保険料率を期間の途中で変えたことによっ て、住民側の反応といいますか、向こう3年間の計画を立てたのに途中で変えるのかみ たいな、そういった反応はございましたか。 ○藤委員 その点につきましては十分周知をしたつもりではおります。特に3つに分けた段階で、 特にCグループのほうが、15年度、16年度と高い保険料でしたので、そこがほかの給付 費の高いところと何で同じ保険料なのかというようなところからしますと、その辺のと ころについては御不満があまり出なかったと思っています。 ○南方委員 もう一つ、今度は南部町さんのほうなんですけど、私もちょっと聞き損なったかも知 れませんが、資料の2枚目の(2)の下から2行目のところなんですけど、「現行の負担率 の見直しを行わない限り」とこういうくだりがあるのですが、どういうイメージでおっ しゃっているのか、ちょっとわからなかったものでお教えいただきたいと思うんですけ れど。 ○森岡委員 具体的にこういったイメージということではなく、最後のほうに書いておりますけど、 全面的な見直しというようなことでの、同じような考え方の中でまとめたと思っており ますけれども。 ○田中座長 どうぞ、駒村委員。 ○駒村委員 後の議論で勘違いしてはいけないので念のため確認をさせてもらいたいのですけれど も、理解としては、神戸は割と都市部ですから高齢者も厚生年金の受給者が多分多くて、 それほどバラツキがないと思うんですけれども,福岡の場合は都市部と農村部とこれを 全部一緒にしている部分がありますので、都市部のほうは厚生年金の受給者も多くてそ こそこの年金を持っている方もいるかと思うんです。しかし地方部は定額の国民年金が 中心になっているだろうと、ある程度のバラツキがあるので、ある程度の再分配的な保 険料の設定は可能になっていると。南部町のほうは、産業構造がちょっとよくわからな いのですけれども、圧倒的に年金のほうから高齢者の加入している年金というのは国民 年金が多くて、もともと年金額がフラットだったので所得格差が余りないので、傾斜を つけようがないという理解をしていてよろしいのでしょうか。 ○森岡委員 年金も高齢者の年金だけということになっておりますし、少ないところをいくらいじ っても意味のないような結果になりますので、おっしゃられたようなとられ方です。 ○駒村委員 福岡もそういう理解で。 ○藤委員 39の構成市町村の中で、農村地帯であったり、福岡県では特に産炭地ということで、 高齢者の独居世帯が多うございますので、その辺からしますと、同じ保険料ではという 意見はありましたので、グループ別というのを採用させてもらっています。 ○田中座長 ほかにいかがですか。神戸は6、7、8、9に段階を増やすときに議会ではどんな議論が なされたのでしょうか。 ○森田委員 税制改正への対応上、経過措置や1.1の独自料率を導入しなければならないという議 論が先行しましたので、そのための財源確保として6、7、8、9の段階を新たに設定した ことに関しては余り議会では問題になりませんでした。 ○田中座長 広域市町村の場合、例えばA、B、Cに分けたときに、個別の市町村に戻ってまたい ちいち議決してもらうのですか。 ○藤委員 広域連合自体が特別地方公共団体ですので、広域連合の議会という形で構成市町村か ら1名の議員を選んでもらっていますので、その方たちで議決をいただいたと。その後、 構成市町村に戻っていただいて説明をしていただくと。構成市町村での議決は必要あり ません。 ○田中座長 構成市町村としては報告事項になるわけですか。 ○藤委員 はい。 ○田中座長 わかりました。ほかに確認のための質問はよろしゅうございますか。  では、ただいまの発表を含めて今度は意見をどうぞ。それぞれ問題提起ありましたが、 菊池委員よろしくお願いします。 ○菊池委員 意見と申しますか、1つ質問させていただきたいのですが、保険料そのものについて ではないので今まで質問しなかったのですけれども、世帯のとらえ方について、私、前 回欠席しましたので、前回の議論を踏まえていないのですが、これから世帯と個人とい う話にもなってくるでしょうから、押さえる必要があると思うのでお聞きします。世帯 概念のとらえ方が自治体によって統一されているのか、それともかなり違うのかという 点です。典型的には世帯分離との関係などが出てくると思うんですが、ひょっとすると、 そこのとらえ方がかなり違っていると、そもそも世帯のとらえ方自体がかなり操作可能 なものであって、ここで議論している基準自体がかなり恣意的と言ったら言い過ぎです けれども、やや揺らぐ面もなくはないわけです。その辺、自治体によって違うのではな いかと私なりに実態としてとらえています。他の自治体との比較はなかなか難しいかと 思うのですが、その辺の実態をわかれば教えていただきたいということ。それから、こ れは法律解釈として教えていただきたいのですが、介護保険法上の世帯概念というのは、 あくまで介護保険法上の世帯概念としてとらえていいのか。それとも住民基本台帳法上 の世帯概念と完全にリンクしているのか。あるいは介護保険法上、独立した世帯概念と しての解釈の余地があるのか。さらにそこでいう世帯概念の解釈は、自由裁量つまり裁 量行為なのか、それともき束裁量なのか、どういうとらえ方をそもそもされているのか というのを確認させていただきたいんですね。もしもそれがある程度、介護保険法上か なり縛られているものであるのに、自治体でかなりそれぞれが異なった対応をしている ということであれば、それ自体どうなのかという疑問がありまして、そこを教えていた だきたいということです。 ○田中座長 介護保険課長お願いします。 ○桑田介護保険課長 私ども介護保険法上世帯というものの考え方を法律上条文上定義している規定は特に ないのですけれども、ただ、運用というか、考え方としては一義的には住民基本台帳法 による世帯をもって、介護保険法で世帯というときにはそれをもってそう扱うのだとい うことで、ずっと平成12年の制度創設当初以来運用していただいているということでご ざいます。 ○菊池委員 ということは、それは市町村長の判断で世帯というものの構成というのは、住民基本 台帳法6条でしたか、それに従って考えることができる。つまり市町村の裁量行為だと いうとらえ方なのでしょうか。 ○桑田介護保険課長 私どもの理解としては、そこは市町村ごとにまちまちでやっていただいているという ふうな認識ではなくて、私どもは基本的にはその考え方に沿って実態上は運用していた だいているというふうに理解はしているんですけれども。 ○菊池委員 必ずしも同じような解釈、運用でなくても構わないということなんでしょうか。 ○南方委員 世帯の概念は、そもそもは民法から出発するのだと思いますけれども、先ほど桑田課 長がおっしゃったように、国が住民基本台帳法上の世帯の扱いをしてやるほうがいいで しょうという、そういう指導が最初の頃にありまして、ほとんどの市町村が実態として 住民基本台帳法上の世帯ということでとらまえてやっているというふうに認識をしてお ります。1,800もありますから、ごく一部どこかで実態調査までしてやっているところ もあるかもしれませんけれども、全国的には、ほとんどのところは住民基本台帳で判断 している。そこで弊害が出ておりますのは、世帯分離をすれば、保険料が安くて済むと か、利用者負担が安くて済むということがございますので、そういったことを行う市民 が結構いらっしゃるということは認識しております。ただ、それは違法とまでは言えな いので、役所の窓口はわかっていても、「それはだめですよ。」とは言えないということ が実態としてございます。 ○菊池委員 もう一つ、教えていただきたいのですが、介護保険法における世帯のほか、国保にも 世帯の概念がありますね。生活保護法上も世帯単位という原則があります。それらは各 法律上別途の概念ということでいいのでしょうか。 ○南方委員 国民健康保険と介護保険はほぼ同じ。生活保護の場合は担当官が調査権を持っており ますので、実際にお宅におじゃまして、住民票上いない人がいても、同じ釜の飯を食っ ているといいますか、同一の生計であれば、世帯として認定してしまいますけれども、 我々はそこまで調査できませんので、あくまでも住民票を基本に1つの世帯というふう に考えております。 ○桑田介護保険課長 今の点は、いずれにせよ、今後議論していく上でも非常にベースとなる部分だと思い ますので、またきちんと整理してお出ししたいと思います。 ○田中座長 世帯との関係をどうするか、この検討会で話されなければならない重要な点の1つで すね。その基礎になる概念について、菊池委員、大体現時点では、皆さんのお答えでよ ろしいですか。どうぞ、委員の方々から、今、発表いただいた方を含めて、今度自分の 意見を述べてみてください。意見といっても、これがいいと提案する必要はなくて、こ れが問題であるとの指摘でも別に構わないのですけれども、どうぞお願いします。 ○菊池委員 自治体の住民の方と接しておられる立場としてお聞きしたいのですけれども、定額・ 定率、特に定額にすると、国保でも減額をしています。そうすると、その財源をどうす るかは別として、職権ではできないですよね。少なくとも建前上は申請主義、被保険者 からの申請を受けてということにならざるを得ないと思うんですけれども、国保とは違 って介護保険はお年寄りがほとんどということを考えると、ちょっと本質的な話になる かもしれないのですけれども、そういう申請を求めるという制度のつくりにならざるを 得ないのではないかと思うのですが、でもそれは、現場的になかなか厳しい部分が国保 以上にあるのではないかという気がするのですが、どうなんでしょうか。 (台委員入室) ○森田委員 国民健康保険は法定軽減で7割減、5割減、2割減があって、7割減と5割減は職権適 用ができるということになっています。2割減だけ、ルールが今年の所得を反映すると いうことがあって申請主義なんですね。ですから介護保険で職権が無理ではないかとい うご意見についてはルールをどう決めるか、法律でどう規定するかということである程 度対応が可能かと思います。実際に65歳以上の高齢者については、神戸の場合で31万 8,000人いますが、12万3,000人が課税で、6割ぐらいの19万5,000人が非課税です。 その非課税の19万5,000人の中で税情報が全くないという方は1万3,000人だけなんて すね。ですから4%ほどの方が税情報がありませんけれども、それ以外の96%は何らか の税情報がありますので、職権で軽減するということは余り負担ではないといいますか、 4%の方は逆に申告をいただかないといけないですけれども、それは窓口で受け付ければ 特に大きな問題はないのではないかと思います。 ○南方委員 同じ保険者という立場でもちょっと意見が違うのかもしれません。前は第2段階は幅 が広かったんですけど、この前の改正で80万円以下を第2段階で、80万以上の非課税 は第3段階にしていただきました。しかしながら、90万ぐらいの人は第3段階でも相変 わらず生活が厳しいということで、本市では大体120万ぐらい、これは生活保護の基準 を参考にしているのですけれども、それ以下ですと、さらに第3段階の方に対しても市 独自で減免する仕組みを持っています。これはもちろん国の3原則というのがありまし て、他から税金を入れないとかいろいろあるのですけれども、120万までの人はさらに 保険料を減免する仕組みです。では、その人たちをどうやって認めるかというと、申請 をしてもらいます。この場合の120万というのは、純粋に収入で見ますので、非課税年 金も対象になります。  それから一定以上の資産を持っていないという要件もあり、本市の場合は基準額の2 倍ぐらいの現金までは保有を認めています。また、土地とか家も、自分が住むぐらいな ら認めるということで、それでもって120万円以下であれば減免するとしているんです けれども、それは申請していただかなければわからないわけですね。数字を申し上げま すと、申告のない人も含めて約1万6,000人ぐらいに御案内を差し上げるんですね。2 段階に該当している人とか上の段階の人は除いちゃいますから、3段階の中で、120万以 上に該当しそうな人、1万6,000人ぐらい送るのですけれども、実際に申請していただ いて、あなたはそのとおりです、減免しますという人は大体3,000人ぐらいしかいない んですね。残りの1万3,000の人は資産があったり、貯金があったり、収入はないんだ けれども、そういうので対象外になっちゃうわけですね。  まず、1つは、仮に1万6,000人の人が来て、そのうち、3,000人しか該当しないとい うことは1万3,000人の人はせっかく書類持ってきてもだめだと言わなければいけない わけで、そういう混乱は区役所の窓口では結構ございます。  それから、役所側としても、それを今度1万6,000人全員に申請されると書類の審査 というのが結構かかるんですね。本人の通帳持って来いとか、年金証書持って来いとか いろいろ言うですけれども、ですから1万6,000人といえども、結構事務手間がかかり ます。ですから、もしそのような何か仕組みをつくるとしたときには、国保の7割、5 割の軽減、減額みたいに職権でできるような仕組みがあったほうが良いのではないかと 市町村の立場としては思っております。 ○田中座長 菊池委員はそれに対してのご意見は、特にないですか。 ○菊池委員 差し当たり事実を、ありがとうございます。 ○田中座長 4,000人対1万の、たしか4,000人だけでした。さっきの第1番目の貧しい段階の方々 は。 ○森田委員 南方さんのおっしゃるのはそのとおりですけれども、いわゆる国保の中の法定軽減、 軽減という考え方と払えないからもっと安くしてくれという減免の考え方は少し変えた ほうがいいかと思います。軽減というのは法律の中にきちんとルールに組み込んである 低所得者対策みたいなものですが、減免というのは、例えば災害とか何か特別な事情が 起こったときにどうしても払えないという部分があると思いますので、今、南方さんお っしゃったのは多分減免の話ですね。それをこの国のそういう6段階の中にきめ細かい 低所得者対策が盛り込まれてないというようなことで市町村独自でやっている減免とい うのはあるのですが、それは確かに手間がかかりますので、できれば軽減のほうで、制 度にビルトインしていただけるとありがたい、こういうことです。 ○田中座長 減免と軽減によって市町村の手間はまるで違ってくる。特殊な事態、災害のときは、 これはやむを得ないけれども、それ以外、一般的には制度で決めてくれたほうがはるか にいい。藤委員の御発表には余り問題点の指摘はなかったようですけど、困っているこ とはおありでしょうか。先ほど4月に所帯で決まってしまうと、8月に夫が死ぬと困る とか、幾つかの指摘がありましたが、いかがですか。 ○藤委員 基本的に行政としては同じような立場でやっていますので、問題点はそれぞれ抱えて いる部分があると思います。その中で、私どもは単独の市町村と違いまして、すべての 情報を構成する市町村からいただかないと動けないという事情がありますので、積極的 に市町村とかかわりをしていかない限りにおいては、広域連合本部として保険料賦課、 本部で賦課するわけですけれども、賦課のための市町村の税情報、住基情報をいただく と、そこは構成市町村の方の窓口での努力のたまものだとは感じておりますので、単独 で行われているところみたいに直接窓口でお客さんの対応というのは広域連合本部では 直接余りありませんので、あくまでも私どもの広域連合は構成する市町村のおかげで成 り立っているというふうな私どもはそういう理解をしています。  もう一つ、言わせてもらうと、先ほどの軽減の問題なんですが、あくまでも神戸市さ んとか仙台市さん言われるように、制度の中で軽減をしていただきたいというのは福岡 の場合は発足のときから連合長が厚労省にお願いしていることですので、これはぜひと もつけ加えるようですけれども、お願いをしているところですので、検討はしていただ きたいなとは思っております。 ○田中座長 ほかになければ、課長、論点を早めに出していただいて、その説明をお聞きし、それ に沿って皆さんで議論いたしましょうか。では、資料4の説明をお願いします。 ○梶野介護保険課課長補佐 では資料4の「今後検討すべき主要な課題(案)」という資料を御説明させていただき ます。この資料は、今後検討すべき主な課題を現時点で事務局の方で大まかに整理させ ていただいたものですので、検討する事項がこれだけということではありません。  まず1ですけれども、「制度の基本設計に関する事項」ということで、定額制か、定率 制か、あるいは混合型かということで、現行のような定額制か、それとも定率制に改め るか、または混合型か。それから、例えば細かい話では、定率制の場合、比例か累進か といった点もあります。各制度のメリット、デメリット、例えば低所得者に対してはど のような制度がいいかとか、それから税制改正の影響を受けにくい制度はどうかとか、 そういったメリット、デメリットも踏まえて検討していただければと思います。  それから、(2)ですけれども、賦課を個人単位で行うか、世帯単位で行うか。個人単位 の場合、世帯の負担能力をどう考えるかということですけれども、現行は個人単位であ りますけれども、例えば国民健康保険は世帯単位であります。また、個人単位であると しても、現行の介護保険制度のように、世帯の負担能力を一定程度見ている場合もあり ます。そのあたりを負担の公平性の観点といったところから検討していただければと思 います。先ほども世帯について御指摘がありましたので、そういった点も含めて御検討 いただければと思います。  (3)賦課ベースをフローで見るか、ストックも含めるかどうかというたことですけれど も、フローは所得でストックは資産ですが、現行では地方税法上の合計所得金額という のを使っていますけれども、国民健康保険のように資産、ストックも含めるべきかどう か、それからフローの所得といっても、細かい話では合計所得金額でよいのかどうか。 例えば定率に見直した場合に人的控除を認めるべきかどうかとか、細かい論点もありま して、そういうことも含めて御検討いただければと思います。  それから、2の「改正に当たって考慮すべき事項」ですけれども、(1)の所得捕捉、シ ステム変更等にかかる保険者の事務負担についてということで、改正した場合に新たに 必要となる所得捕捉、システム変更などの保険者の事務負担への影響を十分配慮する必 要があると思います。特に定額か定率か、それから先ほどもありましたが、個人単位か 世帯単位かで保険者の方に発生する事務というのも大分変わってくると思います。その 辺も十分配慮して検討する必要もありますし、それから施行に当たって準備期間をどの くらい取る必要があるのかとか、そういったことも含めて検討していただければと思い ます。  それから、(2)の経過措置ですけれども、仮に改正した場合は、個人ベースで見ますと、 保険料が下がる方もいれば、上がる方も出てくる可能性が出てきます。その場合に、激 変緩和措置がまた必要になるとか、そういった改正後の姿への移行のための経過措置と いうのも考えていただければと思います。  (3)の他制度への影響等についてというのは、介護保険料の制度を見直しますと、社会 保険全体として、例えば国民健康保険、後期高齢者医療の保険料とか他制度への影響も 考えながら総合的に検討する必要もあるということであります。また、それから保険料 を見直した場合の利用料への影響も考えていく必要があるということで簡単に整理した ものです。  以上です。 ○田中座長 これが全部ではなく、これ以外にあってもいいとの説明がありました。神戸市、南部 町からは、このどれかに入るのかもしれませんが、低所得者での国保保険料との逆転現 象をどうするかという問題提起が、両方からなされていましたね。1の(1)に入るのかも しれませんが、これ以外にこういうことも議論すべきだとの指摘が何かおありですか。 特に自治体側でこういう点も議論しておいたほうがいいのではないかとのお考えがあれ ば議題に加えておいてもいいと思いますが、森田委員どうぞ。 ○森田委員 もしも定率制を考えるときは、負担の上限額をどれぐらいに設定するのかという問題 があるかと思います。 ○田中座長 医療保険ですと上限がありますものね。1の(1)はたくさん実はさらに分けられそうで す。低いほう、高いほう、それぞれについて論点があると思います。ほかに議論すべき 課題でこういうのを入れてはいかがと。どうぞ、菊池委員。 ○菊池委員 今、座長が多分おっしゃった中に含まれると思うんですが、定額制の場合、減額とい うのは不可避になってくると思うので、特に財源をどこからというのはかなり社会保険 の本質にかかわるような問題かなと思います。 ○田中座長 低いほうを減免した場合、どこから財源を持ってくるかという話ですね。よろしいで すか。ほかになければ、順番に、また後で役所がそれぞれデータ持ってくるかもしれま せんが、きょうの段階で一般論として、結論めいてこれがいいという宣言する必要はな いのですけれども、大体こんなことをもう少しみんなで討議したほうがいいのではない かとか、メリット・デメリット、こんなことが考えられるといった具合に意見を言って いただければ今後の議論にプラスになると思います。順番に行くしかないですね。今の 1の(1)をめぐって何か日ごろお考えのことがあれば。 ○駒村委員 定額、定率、混合型がいいか。定額型にして、さっきの軽減というのを、あとは割増 というのを連続的にやっていけば、結果的にはそんなに変わらないことになると思うん ですけれども、どれがいいかというのは、この保険料の政策目標というのでしょうか、 理念というのでしょうか、何を評価基軸に考えているか、何を目標に保険料を設定する かだと思うんです。となってくると、例えば、それは上限つけるにしても、もし再分配 をやりたいのだと。つまり高齢者世代内の再分配をやりたいのだということになれば、 これは当然累進型が再分配の目的を達成するためには一番有効になるわけですけれども、 果たして保険料というのが再分配をやる手段なのかどうなのかということになってきて、 もう一方では、応益原則というものが一方であって、しかしある一定の最低生活保障、 現金、手取り所得を保障しなければいけないので、そこを考慮して保険料を設定するの だとかいろいろな幾つかの考え方があると思うので、様々な社会保険があって、再分配 的な色彩をどう強めるかというのはもちろん給付との関係や所得捕捉との関係によって 濃淡あると思うんですけれども、まず最初に理念があって、その上で実態に合わせた選 択を各自治体にやってもらうということになると思うので、まず保険料設定の形という のは何を目的に、何を価値尺度というのですか、基準にして考えるかというのがはっき りしないと様々な議論が出てきてしまうと思うんですね。そこは1つ大事かなと思いま す。 ○田中座長 ありがとうございました。ということは、現行の制度にも理念があるはずだとの論理 になりますね。 ○駒村委員 そこも含めて。 ○田中座長 そこから議論しようという駒村委員の提案でした。ありがとうございます。それに答 えてもいいですし、また別なことを言っていただいても結構ですが、定額と定率は、確 かに定額を細かくすれば定率になりますから、そこは制度設計に見せることは幾らでも できると思うのですが、それ以前に理念があると。 ○桑田介護保険課長 今の点について、ちなみに現在の制度を考えたときにどういうふうに考えたかという と、まず介護保険については、高齢者一人ひとりがお互い支え合おうじゃないかという 支え合いの考え方というふうな中で、お一人おひとりが利益を得るという観点から要は 拠出していただくというか、負担していただくということを言いつつ、ただ、一方で再 分配とまで強くは言ってないにしても、やはり応能的な考え方というのは、一方でそう いった政策的な視点を加味することも不可欠だろうといったことから、今の定額制であ るけれども、応能的に段階をつけるというふうな現在の形を設定したというふうな考え 方の経緯があります。御参考までに御紹介しておきます。 ○駒村委員 多分そのとおりで、応益原則を中心にしながら、実際に負担できるように調整してい るのだと。それ2000年につくったときにはそのとおりでそうだったのですけれども、税 制改正や年金改正も相次ぎ、高齢者の所得保障、所得水準がある程度厳しくなっていく 中で、応益原則を中心にしながら、この制度が持ちうるのかどうなのかというのが重要 な論点かなと思うんです。 ○台委員 駒村先生の最初の整理は、大変重要な整理だったと思います。そもそも保険料の在り 方をどういう観点、理屈に基づいて考えていくかということについて、今の駒村先生の お話を前提に考えると、大きく分ければ2つの選択肢がありまして、1つは、再分配、 もっと言うと垂直的な再分配を行うかどうかという観点、それからもう1つは、非常に 大くくりな観点なんですが、費用の公平な分担という観点があります。私の個人的な考 えでは、1つ目の垂直的な再分配というものは、1号被保険者のような分断された集団 の中では余りやるべきではなく、むしろもっと広い世界でマクロ的に行うべきであろう と考えています。 しからば残ったところで、2つ目の公平な費用の分担ということを考えますと、これは さらに、垂直的な公平であったり、水平的な公平であったり、より下位の概念としての さまざまな「公平」が姿を現します。そして、これらのさまざまな公平をどのように組 み合わせるかが、保険料の設定に当たっての中心的な課題になっていくのだろう、そう いう印象を持ちました。 そこで、国保の保険料を素材に考えますと、定率あるいは累進というのは「能力に応 じた負担」ということですね。もう一つ、定額というのは「応益」すなわち「受益に応 じた負担」であるとされています。そしてこの応益負担の中で、さらに減免を加えて垂 直的な能力というのを考える・・・恐らく今の仕組みはそういう説明の仕方になると思い ます。そこで、これは私の昔からの疑問なのですけれども、均等割や平等割というのは 本当に応益負担なのでしょうか。応益と言われるのですけれども、本来医療保険の中で は一部負担金で、まさに利用の程度に応じた負担というものをしているはずであって、 それに加えてあの定額の負担というのがどうして応益なのだろうかというのは、これは 昔からの私の疑問でありまして、ひょっとすると定額の負担というのは応益というより、 何か別の意味があるのかなというのが実はかねてから私疑問に思っているところであり ました。  話せば話すほど問題が深くなっていくのですけれども、整理をしますと、私の理解で は大きく2つの軸、再分配と負担の公平というものがあり、再分配をとらないとすれば、 この負担の公平というものがいかなる意味であろうかということを、さらに突き詰めて いくことになるのだろうと思います。その中で、定額負担の性格は本当に応益なのかど うかというのが、かねてからの疑問として、ぜひ皆さんのお考えも伺ってみたいと思っ ているところです。 ○駒村委員 台先生のお話、なるほど現物給付で起きる垂直的再分配、これは保険料でやるのかど うかというのは確かに難しい話だと思うんですけれども、ただし、その再分配構造はこ の保険システムの外というのが1つの整理だと思うんです。ただ、介護保険のシステム の外が、一連の社会保障改革で非常に厳しい状態になってきて、外で再分配する余地が だんだんなくなってきているので結局この問題が起きてきているのではないかと思うん ですね。だから中期長期的に高齢者所得がどうなるかというのはある程度厳しいという のが予測できているわけですから、そちらを所与にして議論をせざるを得ないのかなと。 だから、再分配をダイレクトに目指すかどうかは別にしても、やや、再分配的な要素を 強めてこなければならなくなっているのではないかなとは私は思っているんです。 ○田中座長 再分配は主目的ではないけれども、外すこともできないと。自由討論ですけれど、サ ービスの利用料に応じるのが本当の応益でフラットは応益ではないという意見もありま した。 ○菊池委員 駒村先生のおっしゃること、台先生おっしゃることもそのとおりでそれぞれわかるの ですが、ただ、これは最後の他制度への影響にもかかわりますけれども、そうは言って も、私は保険料で再分配をどこまで図るか、やはり限界というのがあると思うんですね。 それはこの検討会から外に出てしまいますけれども、とりわけ低所得層などとの関係で、 どこまでが無理なく介護保険の保険料設定として理論的にできるのか、それを超えたも のは介護保険の中ではなくて、他施策も含めた中で考えるべき問題だという認識です。 現実にどうかという点では駒村先生がおっしゃった部分は承知していますけれども、そ このところで何といいますか、仕分けというか、その視点は大事ではないかとは思いま すけれども。 ○田中座長 学者はどうしても観念論になりますので、実際の実務的に、そうは言ってもというの を言っていただかないと。 ○南方委員 ちょっと感想なんですけれども、「今後検討すべき主要な課題」と、こう書いていただ くと、何かすごく漠々としていて、どこからお話をすればいいのかなという気がしてい るんですが、ちょっと思いついたことだけ順番に申し上げます。 定額制か定率制か、あるいは混合型というのは定額制と定率制の組み合わせというイ メージなんだろうと思いますけれども、例えば、これはあまり市町村側としては言いた くないのですけれども、市町村の裁量による選択制というものもあるのかなと。要する に、さっきの南部町さんと本市を比較した場合、所得の分布状況が違いすぎて、どっち を採用するにしてもひずみが大きいのかなと思っています。ただし、そういうことにな ると、地域で手法を選択できるようにすると、市町村の立場から言いますと、あっちが あれでやっていて、こっちが何でこれなんだと言われるので、あまり自分からは言いた くないのですけれども、何かそんなところも1つ考える必要があるのかなと感じました。 それから、1の(3)なんですけど、所得で見るか、資産も含めるかどうかというお話が あったのですけど、私、正直言って資産という話が出てきてすごくびっくりしているん です。、ここでいう資産というのはどういうイメージのものなのか、例えば国民健康保険 料なんかは資産割というのが実態に合わないということでどんどん廃止されてなくなっ てきちゃっていて、資産割みたいなものはあまり使われていないという感覚なんですけ れども、ここでいうのは結局財産という意味なんでしょうか、貯金とか有価証券とか、 そうなるときちんと調べることができるのかなというふうに思いました。 それから、経過措置、これは私たち思いつかないことなんですけど、今の税制改正で も経過措置を実施しているんですね。一度に上がるところを3分の1ずつ上げているん ですけど、結局今年も納付書を送ったらいっぱいお問い合わせが来ているんですよ。そ れは去年より上がったのは何故かと。本来、ここまでいただくものを少しずつ上げるこ とにしたんだけれども、本人にしてみれば、毎年上がるじゃないかと。うそつき課長に なっているわけです。制度上3年に一回しか上げないと説明会で言ったじゃないかと言 われちゃっているんですけど、その説明がなかなか大変なのです。市町村としては経過 措置というのはできれば避けたいなと。シミュレーションの結果によっては、それがし ようがないときもあるかとは思いますが。 それから、事務的な話ですが、今後こういう大きな理念的な話も結構なんですけれど も、私のほうとしては、これから委員の先生方にも事務的な話を幾つかこの後の場でお 話しをしたいと思っています。例えば定率制にした場合、現在の定額制ですと、所得が ちょっとぐらい変わっても大体は同じ段階の範囲でおさまるので、事務的には余り負担 がないんですけど、定率制にすると1円違っても全部処理しなければいけないとか、そ れから年金の特別徴収が1年間ストップしてしまいますので、そういう問題もあるし、 そういう事務的なことでもやり方によってはすごく負担が増えるので、もしかすると特 別徴収のやり方を変えるとか、そういうところまで派生するのではないかと。それがこ の場での議論になるのかどうかよくわからないのですけど、そういうことを感じました。 それから、いつもいつも言って恐縮ですが、調整交付金の在り方なんかもまた然るべ きときに、ちょっとまとまった形でご意見を提出させていただきたいと思っております ので、よろしくお願いします。 ○沼尾委員 本日のお話を伺わせていただいていろんなことを考えたのですけれども、そもそも介 護保険の1号保険料というのが、結局保険給付額の19%をその地域の中の高齢者でみん なで負担し合うと。その負担のし合い方をどういうふうにするのが望ましいかという議 論なのだろうなと。そのときに、これは税ではないので担税力という言い方は必ずしも 妥当ではないんですけれども、とにかく全体でかかったものの19%をみんなで負担しな ければいけないときに、さすがに均等割ということもできないので、ある程度その負担 能力に応じて負担を分けるとすれば、それはどういうやり方が望ましいのか、そういう 議論なのだろうというふうに理解をしています。 先ほど台委員のほうから定額制というのは応益というふうにいえるのかというような お話があったと思いますけも、例えば個人住民税なんかの場合には均等割部分というの は応益負担というふうに言っていなくて、負担分任ということで、いわば会費のような ものだと。地域に所属していて、一定のサービスを受けている以上、どんな人であって も一定の会費部分として3,000円ぐらい払おうやと、そういうことでできてきているの だとすれば、これに類似した会費的なものとしての定額制というのを非常に低い水準で 設定するという考え方はあり得るのかもしれないというふうに思っています。その上で、 後は基本部分以外のところを定額で割るのか定率で割るのかという話になると思うんで すけれども、事務局から出ている課題の中の3番目、賦課ベースをフローで見るか、ス トックを含めるかということが1つポイントになるのかなというふうに思います。 先ほど南方委員から、どうも高齢者の例えば所得の分布とかなんかが自治体によって 随分違うようだというふうにおっしゃっておられましたが、私もそれは随分感じていて、 その意味でいくと、選択制というのは私も提言しようかなというふうに思っていたので すが、高齢者の場合、結局働いていなければ所得として入ってくるフローは年金給付だ けなわけですけれども、そのほかにも、そのほかの預貯金の部分をどうするかとか、あ るいは不動産なり株なり様々な形のストックがあって、そこをどう図るかということが あるのかなと。私自身、まだ、これ調べきれてないのですけれども、地方税法上の合計 所得金額という場合に、こういうストックから得られるキャピタルゲインみたいなもの をどういうふうに処理しているかという問題が一方であって、それが包括的な所得ベー スからちょっと切り離されているとすると、そのあたりのところをどういうふうに捕捉 していくかというのも課題です。高齢者の所得の源泉の状況が案外そういうところに依 存している人が多いのだとすれば、それは加味していかなければいけないだろうという ふうにも思っています。 そう考えると、恐らく地域によって、高齢者の賦課能力みたいなものを本当に純粋に フローで計っていいような地域もあれば、ある程度ストックを加味しなければいけない ような地域も出てくる可能性があるので、このあたりはちょっと実態をもう少し調べて みる必要があるのではないかというふうには思っていて、そのあたりの資料のようなも のがもし出てくれば非常に議論しやすいのかなというふうには感じております。 あともう一つは、19%の部分というのを地域内の高齢者で負担し合うということもそ うなんですけれども、当然サービス給付が多いところであれば、幾ら全員で負担し合う といっても、もうやっていけないという地域が出てくる可能性もあるので、先ほど調整 交付金のお話ありましたけれども、地域間での状況の相違を踏まえた調整の仕組みをも う一方で考えつつ負担能力ということと実際のサービスの必要額ということとのうまく いかない部分をどういうふうに調整していくかという仕掛けをもう一方できっちりつく っていくことが大事なのかなというふうに思います。 以上です。 ○田中座長 何か、梶野補佐。 ○梶野介護保険課課長補佐 一応(3)でストックも含めて検討するかどうかというのは、沼尾委員からも御意見あり ましたけれども、高齢者の負担能力を見るときに、公平性の観点から、所得は余りなく ても資産を持たれている方についてどう考えるかという負担の公平性の観点と、一方で、 実際に事務面でそういう捕捉ができるかという大きな2つの論点がありまして、その辺 から御検討いただく必要があると思っています。ストックも確かに国民健康保険ですと 固定資産・不動産とかになりますけれども、最近ですと預貯金とかが増えていますので、 その辺、捕捉をどうするかということも含めて御検討していただければと思いますが、 いずれにしても、それぞれの項目ごとに詳細ないろいろ制度を説明した資料をお示しし ないと検討がなかなか進まないと思いますので、次回はそれぞれ資料を用意した上で御 検討いただければと思います。 ○田中座長 次回はさらに資料をもとに議論できるはずですので、きょうはその前に、大体どんな ことが論点になり得るかを言っておきたいと思います。介護保険設立をめぐり1990年代 の末に議論していたときを思い出すと、低所得の方々も必ず保険料を払う理由は、さっ き沼尾委員が会費と言われたですけど、自治体のサービスだと会費に近いけど、介護保 険だと元気なときは使ってないので、会費というよりは被保険者としての権利性を確保 するためというような言い方をしていました。保険請求は、すべての保険、生命保険に しろ自動車の保険にしろ保険料を払っているから保険事故が起きたときに請求できる。 そのため、介護保険についてもたとえ低所得であっても、措置というお情けではなくて、 自分は消費者なのだとの権利性を確保すると議論していたことを記憶しています。だか ら生活保護の方々もとの結論に当時なりました。 ほかにいかがでしょう。1に限らず、2、3についてでも結構ですよ。先ほど駒村先生 の言われた最初まず理念だとの点は、なかなかいいと思います。その手の考え方を、世 帯か個人かも本当は同じだと思うのですけれど、介護保険は本来個人保険である。ただ し、やむを得ず世帯概念が入っているとのとらえ方になるのだろうと思います。それが どこまで続けていいかどうか、続けざるを得ないのか。 ○菊池委員 ちょっと実務的な論点かもしれないのですが、今税の話が出ていたので、今月税金の 納付通知書が送られてきてびっくりしたところなんですけれども、介護保険の特別徴収 が正式に確定するのが10月1日ですか。高齢者医療も同じようになるのでしょうか。つ まり今後介護保険だけではなくて、いろいろな負担が同じような賦課のされ方をされる とすると、賦課される側からすると、予測可能性といいますか、毎月の生活費というの が年金中心だと考えると、その中で月によって違ったりしてくる。それがだんだん大き くなってきたりすると、それはそれで考慮すべき点なのかなと。例えば技術的なことは わかりませんけれども、保険者からの通知とかもっと前倒しできないかとか、これもこ の検討会からちょっと外れるかもしれませんけれども、論点となり得るのかどうか。 ○田中座長 年度の途中で特別徴収額が変わることで生活に影響が出る、ショックを受けると。 ○菊池委員 毎年、4月から3月までずっと同じ保険料を払っているわけではないですよね、実際 には。 ○梶野介護保険課課長補佐 介護保険料は前年の所得を見て賦課しているわけですが、前年の所得の情報が入るの が6月になりますので、この6月に前年の所得をいただいて、正式に保険料が確定しま す。つまり6月に前年の所得情報が入るまで、4月、6月、それから、8月まで影響しま すが、それは前々年の所得を見て、「仮に」保険料を仮定して徴収しております。従って もし所得が前々年から前年まで増えていた場合とか、10月で修正することになります。 実際は4,090円といっていますが、所得の状況によっては影響を受けるというのは実務 面としてあります。 ○田中座長 それも問題点としてあるという御指摘です。 ○藤委員 今の件ですが、以前はできなかったのですけれども、2か月に一回の年金の平準化と いうのが今できるようになりましたので、私どもとしては基本的に4、6、8の徴収額と 10月の徴収額が余りに差があるといけないということで、その辺の平準化を図るように は今しております。ですから上が所得が少しでも多くなった場合についても、なるたけ 上がり幅を少なくするというようなことは行政ではやっています。 ○森田委員 先ほどの(3)のフローで見るか、ストックも含めるかということについては、自治体の 実務で言いますと、事前に賦課する前にストックをすべて調べてそれに基づいて保険料 を賦課するというのは実務上不可能と言っていいと思います。例えば預金通帳のコピー 持ってきてくださいというのがどういうお金があり、言い方悪いですけど、申告の中身 によって随分バラツキが出る可能性もありますし、まさに公平な保険料賦課というのは 何かということで、ストックをすべて見れればそれば公平かもしれない、負担能力をち ゃんと見れるのでしょうが、実際にそれが実務上できないとすれば、逆の不公平が出る のではないかという感じがします。  それと最後には生活保護があって、ミーンズテストで資産調査するわけですから、介 護保険の中だけで資産まで見て保険料をそこまで安くするのかどうかというのは、生保 とかほかの部分にも随分足を突っ込むような感じになるのではないかという、そういう 印象を持っています。 ○田中座長 ありがとうございました。駒村委員。 ○駒村委員 今のところにも関係するわけですけれども、保険料の設定の議論、ストックも入れる かどうか。これは後期高齢者の医療のほうは入れるんでしたか、入れないんですか、入 れないんですよね。これだけに入れるというのは確かに妙な感じが1つするなと。あと、 先ほどの保険料の設定においては、後期高齢者医療のところも考慮して、再分配性と負 担能力の低下のところは考慮しなければならないと思います。ストックについては、確 かにストックがたっぷりあるのに軽減されているのかというのは感情的にはなかなかと 思いますけれども、毎期・毎期資産から負担をとることができないと、ストック情報を 保険料にフィードバックするのは事実上困難だということであれは、そこは最後のとこ ろで、なくなったところで何かしらの調整する仕組みがあれば、それはまた完全に別制 度になりますけれども、生きているときに軽減制を受けていたけれども、大量のストッ クを残されて亡くなったというケースにおいては何らかの工夫をすることで実質的な公 平性を担保するしかないのかなと。それをどういう仕組みがあるのかと言われるとすぐ には思いつかないですけれども。 ○田中座長 ありがとうございました。今出てきた議論だと、ミーンズテスト的なものが入ってく ると、社会保険制度となじまないとの感覚は確かにありますね。サービスをたくさん使 って、ストックを残した場合と、使わずにストック残したケースではちょっと違うので、 今、駒村委員言ったのはそこですよね。使われていて、かつ資産があったら何らかの事 後徴収があってもいいかもしれない。そんな整理だと思いますが、ありがとうございま す。 ○台委員 ストックについては、費用負担の公平という観点と、もう一つ、よく世上論じられて いるものとして、大規模な世代間扶養が行われている中、後世代の重い負担によって捻 出された給付を受けてきた高齢者が、自分の遺族にたくさん遺産を残すということにつ いて、それが妥当だろうかという観点があると思います。これらの意味ではなるべくス トックというものを考えていったほうがいいと思いますし、今の駒村先生の「相続の段 階で」というのは、非常に魅力的なお考えだと思います。  ただ、1号被保険者の保険料に限っての話でいえば、世代間の移転ではなくて、高齢 者の間での負担の分配の話ですから、ストックも含めた「公平」を考える、という意味 でストックを考慮することはあり得ると思いますけれども、給付をたくさん受けること によって遺産が形成されているという観点から、相続時に負担を求めるというのは少し 難しいかなと、そういう印象を持ちました。多分実際にやるとしたら固定資産税額なり 評価額にかける以外には方法はないのではないでしょうか。 ○桑田介護保険課長 確かに資産・ストックをどのように評価するかというのはとても難しくて、多分それ はストックも、いわゆる固定資産というか、不動産としてのストックと金融資産と大き く2つに分けたときにそれぞれに難しさがあるのだと思うんですね。固定資産は固定資 産でそれをどう評価するか、それは固定資産税だとか、そういうところがいろいろ絡ん でくる。金融資産は金融資産で、それが明らかに出てくれば額の評価は簡単なのかもわ からないけれども、名寄せが難しいといったことで、それぞれ多分実務的にも様々な論 点が出てくると思いますので、そのあたりも含めて御議論いただければありがたいと思 っているところでございます。 ○藤委員 先ほど神戸さんのほうからも言われましたけれども、ストックというか、資産を保険 の賦課の考慮に入れるということは、現場としては基本的には把握が難しいと私も思い ます。例えば自分の市町村に固定資産税を持っている方だけではありませんので、他市 町村に持っている方もあります。その辺のところ、自分の町だけであれば、固定資産税 の台帳なり、土地の台帳なり見ることもできましょうけれども、あくまでも御本人様に 申告を、私はこれだけ持っていますよという申告をしていただかない限りにおいては、 他市町村に持っておられる場合は把握は基本的に難しいということと、固定資産でかけ る場合は、例えば共有で持っているということになると、持ち分が10分の1とか100 分の1とか、すべての、土地でいえば全筆調査をして、この方がどれだけの持ち分でど れだけの固定資産税がかかっているかというのをすべて調べない限りは公平性は保たれ ないと思いますので、その辺は資産を現場で調べてやれというのは現実問題として難し いのかなという気はしております。 私も国保を1年お手伝いさせてもらったのですが、町のすべての土地の台帳を見て持 ち分を全部調べました。それは物凄く時間がかかりますので、ましてや大きな自治体と なると、調査するのに1年では終わらないかもしれません。その辺でいうとちょっと現 場としてはストック・資産割というのは賦課の材料としては把握が難しいのではないか なという気はしております。 ○森田委員 例えば大邸宅に住んでいるほとんど年金の少ないおばあちゃんを想定したときに、そ の方は大邸宅なのでかなりの固定資産税は払っているから、だから保険料を高くできる かというと、家を売ってどこかに住めるかという話がありますね。ですからリバースモ ーゲージが普及していれば別なのでしょうけれども、なかなか家を売れとはいえない。 そこだけに保険料を反映すると、金融資産で株券いっぱい持っている人はいつでも処分 できてお金があるんだけど、その人にはかけないのかというようなことがあって、なか なか固定資産税だけに着目するというのはストックの評価としてどうなのかという感じ はします。 ○田中座長 そうですね。こういう強制徴収の大原則で中立的でなくてはいけないと思うので、幾 つか問題点の指摘がありました。2のほうについても御意見があれば、きょうは入口と いうか、まず差し当たり資料なしで議論しているので、原因論、哲学論でも結構ですし、 極めて現場的な悩みでもいいと思いますが、問題点を指摘した上で保険課に資料をつく っていただくことになります。 ○駒村委員 この2番の話も、社会保険の個人単位の話というのはどこでもぶつかる話でして、年 金のほうでは、特に就業構造に与える影響とかいろいろあるわけですけれども、高齢者 では余りないのかなと思ったら、例の世帯分離という形で個人の選択に影響を与えてい るわけですか。徹底的に個人の選択に全く影響を与えないというのは個人単位しかない わけですよね。ただ、賦課単位として、個人単位で人々は実際に生活しているわけでは ない。生活というのは世帯で成立しているわけですから、そういう賦課単位の実態と、 今起きているような世帯単位にすると、逆に個人の様々な選択に中立的ではない影響を 与える。ここのまず事実確認をきちんとやらなければいけないのかなと。どういうこと が起き得るのかということは議論しなければならないと思いますし、最初にこれを入れ たときには、こういうことが起き得るということは予測はされていたのでしょうか。 ○田中座長 現実に世帯分離がどのくらい起きているかを示す統計はあるのですか。 ○桑田介護保険課長 世帯分離がどの程度起きているかという点については、一昨年の10月の施設給付の見 直しに伴って世帯分離が進んでいるではないかというふうなことがよく言われて、確か にいろいろと市町村の方とかとお話をしていますと、そういったケースがあるという話 は私どもよく聞きますので確かにあるのだろうと思うんですが、それがどの程度の規模 で起こっているかというのがなかなか因果関係もそもそも確認が難しいわけなので、そ ういった意味でそれを統計的に把握するというもの、あるいはアンケートして、それに 正直に答えてくれるというのもなかなか難しいと思います。ただ、非常に大ざっぱに、 一昨年の10月と昨年の10月とざっくりと比較して、例えば施設入所している人の中で、 例えば第2段階の人の割合が大きく増えているかとか、明らかに所得段階別の構造が大 きく変わっているかというと、それほど大きくは変わってないという、ざくっとした印 象はあるのですけれども、ただ、実際にどうかというのはそれもいろんな因果関係があ るでしょうから、なかなか把握は難しいところだと思います。 ○田中座長 ありがとうございます。要するにエピソードベースで何かがあるから、この制度を変 えろといった議論をしてはいけないと思います。エピソードベースだと、どんなに制度 をきめ細かくしてもうまく立ち回る人が数人いる。だからゆえに何千万人の制度がいけ ないとはならないので、今課長がおっしゃったように統計的に有意なほど逆転現象が起 きているとか、世帯分離をしているといえない限り、エピソードがあるから制度を全部 変えろと一般化したくはないと感じますね。今、駒村委員が言われたのは、統計的にあ る程度大きければ問題ということですね。 ○南方委員 その他でというか、保険料の在り方を検討する会なので、ここにはないんですけれど も、介護保険は3年間の事業計画をつくって、向こう3年間の費用を見込んで保険料の 料率を設定するのですが、最近特に思いますのは、3年間固定したままの保険料率の設 定の仕方でいいのだろうかと考えるんですね。段階制の場合ですと3年後の予測という のは要介護認定者数とかサービス利用者数とかいろいろ見込んで決めることができるん ですけど、仮に定率性にしてしまった場合は、社会情勢の変化で所得は3年間見込んだ らこうだったのだけど、実際はそのままやったらえらい赤字になったとか、そういうこ とになりかねないのではないかと思っておりまして、3年間見込んで保険料率を固定し ちゃうというやり方もどうなのかなと。1つ検討の材料に入れてほしいと思うんですね。  きょう介護保険課長いらっしゃるので言いにくいんですけれども、実は我々第3期の 計画をつくるときは平成26年度までの向こう10年間の状況を見込み、それを踏まえて 3年間の計画をつくれとか言われたのですけれども、最近療養病床の再編の関係で施設 の計画値を超えて療養病床が転換してきたときはそれも認めてほしいみたいな話があり まして、「えっ、あのときの指導でつくった計画はどうなるの?」みたいな。それで保険 料を決めているんだよみたいな思いがあって、いや、そういうことがどんどん起こるの であれば、何も3年間事業計画をつくってやらずに、国保の場合は毎年事業計画をつく って、毎年料率設定しているわけですから、そういうやり方もあるのではないかと思い ます。これは法律変えなければいけないので、すごい力仕事になるのだと思いますが、 考える必要があるのかなという気がします。 ○田中座長  論点としては重要な指摘だと思いますので、当然書き加えてよろしいと思いますね。 ○藤委員  ありがとうございました。私から言うわけにいきませんでしたので、期間の途中で値 上げしている福岡としては言いにくかったので、言っていただいてありがとうございま す。というのは、3年の給付の見込みを出して初めて保険料が決まるということですの で、その財源をどうするかということになると、今言われましたように、定率にすると 本当にそれだけの財布の中身がきちんと入ってくれるかという心配がやはり保険料を賦 課する立場としては一番頭の痛いところかなと思いますので、その辺で3年がいいのか 悪いのか別問題として、あくまでも一定の期間内における給付に見合う保険料ですので、 その辺からも少し議論をしないと、ただ単に保険料だけ、定率か定額か、逆転現象が起 こっているからどうしようかということでなくて、給付に見合う保険料ということを考 えていかなくてはいけないなと私も思います。 ○台委員  定率制が前提だと、実務上は3年よりも1年のほうがずっとやりやすいわけですか。 ○南方委員 市町村にすれば、毎年やり直さなければいけないので大変は大変なんです。ただ、よ り実態に即した保険料設定ができるのかなということが1つと、これぐらい環境が変動 しますと、それに対応するように即応性というのが求められるのではないかなというこ と。それから、調整交付金ばっかり言っていると言われますけれども、調整交付金の割 合も最初の3年間の計画で一応決まるものですから、その後、変動があっても動かさな いということもありますので、その辺なんかも含めてちょっと考えていただけたらいい のかなと思っています。 ○森田委員 今、例えば療養病床の再編で、新型老健とかそういう話がありますので、保険料設定 を毎年変えられる環境にしておくといろんな制度対応にはやりやすいのかないう感じは 強く受けますね。もともと一般財源は入れないということで、都道府県に財政安定化基 金をつくって、例えば第2期が赤字だったら、その分は財政安定基金から借入をして第 3期で返そうという仕組みになっていますから、3年間の見込み違いが翌期に随分大きく 出るというんですね。借金を返さないといけない部分、プラスマイナスで出るので、そ ういう意味からできるだけ毎年変えていったほうが変動は少ないのではないかという感 じはします。 ○田中座長 論点としては、皆さん重視していらっしゃるのでぜひ加えてください。 ○藤委員 いろんな話が出ましたので、もう一つ言わせていただきます。1号被保険者の負担割 合の問題、1期で17%、2期で18%、3期で19%と、1号被保険者数が伸びております が、それ以上に給付の伸びが早いため、何もしなくても第1号被保険者の保険料は上が るわけですね。その辺の部分も制度的にはどうかなという気はしています。同じ所得で も2期と3期では被保険者の方が負担する金額は増えるわけですので、その辺も制度的 なものかなとは思います。 ○森田委員 18が19になるのは2号と1号の人口比でみんな一人当たり平均同じ額を負担すると いうだけで、19になるということはそれだけ高齢者の人数が増えますから、支え手が同 じですから、一人当たりにすれば給付が上がらない限り変わらないと思うんですね。で すから高齢者の伸びよりも、給付の伸びが早いので上がるわけですけれども、高齢者の 増え方と同じぐらいの給付の増え方だったら、基本的には保険料は上がらないはずなん です。 ○田中座長 負担者が2号から1号になるだけで、一人当たり同額は変わらないですね。あと10 分ぐらいですが、ほかにいかがですか、言っておくべきことは。 ○沼尾委員 これは多分次回以降詳しく検討していくことになると思うんですけれども、先ほどか らお話に幾つか出ている点なんですけれども、実際に低所得者の負担というのをどうい うふうに考えるかというのは非常に重要な視点になると思いますので、例えば基礎年金 の水準が今大体どのぐらいで、それに対して介護保険料なり国保なりというような負担 の部分が大体どのぐらいで生活費がどのぐらいというような、そのあたりの年金とそれ に対する保険料の負担感みたいなところがどういうふうに変わってきているのかという あたりの数字がもう少し出てくると議論しやすいのかなというふうに思いますし、制度 間のつなぎ目みたいなところもある程度議論する上の材料になると思うので、用意して いただければと思います。 ○菊池委員 1つは今の沼尾先生と同じで、生活保護を受けないで低所得の方たちへの対応という のは介護保険だけではないわけで、恐らくこの検討会のこれも範囲外ですけれども、他 の諸制度と相まって考える必要がある問題ですので、ただ、この保険料の問題を考える に当たっても、いろんな制度との関係で考える視点を持ちたいということなので、所得 保障面も含めた全体像がわかればと思います。 それから、大きな流れでいえば、最近の社会保障制度の改正は世帯単位から個人単位 という流れになっていると思うんですね。ですから皆さん専門家ですので、その辺は把 握はされているのでしょうけれども、何かそういうものがわかるものがあれば、今回の 改正の位置づけがよりわかるのかなという気がします。 それから最後に、先ほど定額制にした場合の減額の財源ということを申しましたけれ ども、公費の扱いをどうするかということで、少なくとも法律上の定め方として、公費 が5割を超える、調整交付金があるので個別には違いますけれども、全体として5割を 超えるということと、社会保険という仕組みをとっていることというのは、私はちょっ と諸先生いろいろ議論あるところと思いますけれども、よく考えなければいけない論点 だと思っています。自治体の皆さんに怒られるのではないかと思うんですけれども、そ こは少し議論したいという部分があります。 ○田中座長 ありがとうございます。幾つか皆さんからこんな資料はと要求されたものについて、 もちろん可能性も考えて、ないものはなくてもしようがないと思いますが、あるものに ついてはつくり上げてください。よろしいですか。一わたり出たと思いますので、今後 の予定をお話しください。 ○桑田介護保険課長 どうも熱心な御議論ありがとうございました。今、いただきました様々な宿題だとか、 あるいは論点についても御提案がございましたので、できるだけそういったことに対応 させていただきながら、次回以降よろしくお願いしたいと思います。 次回、今の時点では日程等調整させていただいておりませんので、また、それについ ては追って御調整させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○田中座長 それでは本日は神戸市、福岡県広域連合、南部町連合、どうもありがとうございまし た。活発な議論いただきましてどうもありがとうございました。本日はこれにて終了い たします。御苦労さまでした。 《照会先》 厚生労働省 老健局 介護保険課 梶野、大崎 03-5253-1111(内2262,2260)