07/06/22 第9回中小企業における障害者の雇用の促進に関する研究会議事録 第9回中小企業における障害者の雇用の促進に関する研究会 1 日時    平成19年6月22日(金) 15:00〜17:00 2 場所    経済産業省別館 1036号会議室(10階) 3 出席者  ○ 参集者     今野委員、小川委員、金子委員、倉知委員、小林委員、佐藤委員、原川委員、     藤原委員、堀江委員、村上委員、森戸委員、輪島委員  ○ 事務局     岡崎高齢・障害者雇用対策部長、宮野企画課長     土屋障害者雇用対策課長、浜島障害者雇用対策課調査官、     白兼障害者雇用対策課主任障害者雇用専門官、     澤口障害者雇用対策課障害者雇用専門官、手倉森障害者雇用対策課課長補佐、 4 議題  (1)研究会報告の取りまとめに向けて  (2)中小企業における経済的負担の調整の実施について  (3)その他 5 資料    資料1 「中小企業における障害者の雇用の促進に関する研究会」報告書骨子(案)    資料2 前回(第8回)研究会における主な意見    資料3 中小企業における障害者の雇用の促進に関する論点整理    資料4 障害者雇用納付金制度について    資料5 経済的負担の調整の現状(イメージ図)    資料6 経済的負担の調整を拡大した場合の影響    資料7 障害者雇用納付金制度の障害者雇用における効果について ○今野座長(以下、座長)  ただいまより「第9回中小企業における障害者の雇用の促進に関する研究会」を開催 いたします。最初に委員の出欠状況ですが、今日は全員ご出席でございます。なお、岡 崎部長と、宮野企画課長は、労働政策審議会の雇用対策基本問題部会に出席をしており ますので、遅れてまいります。  本日の議題に入ります。本日は研究会報告の取りまとめに向けてということで、研究 会報告の骨子案について議論をしていただきたいというのが1つです。もう1つは、前回 の研究会でも議論いたしましたが、中小企業における経済的負担の調整の実施について の議論をしたいと考えています。  まず、最初に骨子案について議論をしていただいて、次に後者の経済的負担の調整に ついて議論をしていただきたいと思っています。最初に事務局から、骨子案についてご 説明をいただきます。 ○事務局(障害者雇用対策課課長補佐)  本日の配付資料について確認します。資料1「中小企業における障害者の雇用の促進に 関する研究会報告書骨子(案)」です。資料2は「第8回研究会における主な意見」です。 資料3は「中小企業における障害者の雇用の促進に関する論点整理」です。資料4は「障 害者雇用納付金制度について」です。資料5は「経済的負担の調整の現状(イメージ図)」 です。資料6は「経済的負担の調整を拡大した場合の影響」です。資料7は「障害者雇用 納付金制度の障害者雇用における効果について」です。以上7点を付けていますので、ご 確認ください。  議題1の「研究会報告の取りまとめに向けて」です。資料1の報告書骨子案についてご 説明いたします。資料1の1頁、骨子案全体の構成です。Iは「はじめに」、IIは「中小 企業における障害者雇用の状況」です。IIIは関係者の方からヒアリングをさせていただ いたので、「関係者からのヒアリング」です。IVは「中小企業に対する雇用支援策の強 化について」です。Vは「中小企業における経済的負担の調整の実施について」です。 このVについては、本日の後半でご議論していただくこともあり、調整中ということで、 骨子案の中には特に記載はしておりません。VIは「おわりに」という構成です。  I「はじめに」、II「中小企業における障害者雇用の状況」です。1で「実雇用率の 状況」となっています。研究会にさまざまな資料を出していますが、そのデータを基に、 現状について整理しています。1つ目の○です。障害者雇用の状況は、全体としては大 企業の改善等もあり、実雇用率が昭和52年は1.09%でしたが、平成18年では1.52%とな るなど、着実に進展している状況にあります。  2つ目の○です。中小企業299人以下規模における障害者雇用の状況を見ていくと、制 度創設時の昭和52年には、99人以下の規模の企業では1.71%、100人から299人の規模の 企業では1.48%で、全体の平均を大きく上回り、また当時大企業を大きく上回る高い水 準となっていました。  3つ目の○です。しかし、その後大企業においては一貫して障害者の雇用状況を改善し てきた一方で、中小企業においては、特に平成5年以降は実雇用率が悪化していて、現在 も低い水準にとどまっています。  4つ目の○です。直近の平成18年6月1日現在の障害者の雇用状況で、56人から99人です と1.46%、100人から299人ですと1.27%で、全体の平均の1.52%を下回る状況です。さ らに、制度創設時とは逆転していて、大企業より低い水準となっています。  特に中小企業の中でも、100人から299人の比較的規模の大きな企業での水準が低くな っていて、現在ではすべての企業の中で、最も低い水準になっています。 そういった実雇用率の状況になっています。  2は「障害者雇用に関する考え方」です。高障機構の調査によると、障害者雇用に関す る企業の考え方として、法定雇用率以上を目指す、ないしは維持する。あるいは法定雇 用率を目指す、維持するという企業の割合が、大企業では1,000人以上の企業だと90%、 301人から999人以上の規模ですと78%となっています。 それに対して、中小企業の56人から300人では43%にすぎないということです。  その一方で、「特に目標を定めていない」とする企業が41%、「障害者は雇用しない」 とする企業が13%となっています。そういった結果が出ていまして、中小企業で障害者 雇用に関する理解が不足している企業が相当程度の割合になっているのではないかとい うことを記述しています。  大きなIII「関係者からのヒアリング」ですが、報告書の際にまた記載していきたいと 思っています。  IV「中小企業に対する雇用支援策の強化について」です。大きな1で、「中小企業に 対する雇用支援策の現状と課題」ということで、○の中で、トライアル、ジョブコーチ といま実施している施策について書いていて、しかし、中小企業における障害者雇用の 水準が低い状況にとどまっていることに鑑みて、これらの施策を引き続き進めるだけで なく、新たな取組みを検討すべき状況にあると記載しています。  2「今後の中小企業に対する雇用支援策等の在り方」ということで、ここから下の(1) 以降は、論点整理に沿った形で意見をまとめています。  まず(1)「障害者雇用についての理解の促進」で、1つ目の○で、経営トップの意識 ・理解を高めることが必要といった観点で書いていて、中小企業経営者の理解を進める ためには、雇用率達成指導でハローワークから経営トップに対して直接の働きかけを行 う、あるいは経営トップの集まる会合等の場を活用して啓発を行うことも有効であると 考えられる。  2つ目の○です。今度は行政や関係機関だけからの働きかけだけでなく、中小企業団 体や業種別団体を活用して、自主的な取組みを進めていくことも効果的であるという観 点で、例えば平成19年度から実施している中小企業団体を活用した、自主的な雇用促進 を進めるためのモデル事業、これを今後速やかに、中小企業における障害者雇用の状況 を改善していくために、一定期間集中的に、全国的に実施して、中小企業における障害 者雇用の取組みに弾みを付けることも重要ではないかということで書いています。  3つ目の○です。今度は障害者を雇用した経験のない中小企業では、それまで接点が ないということで、障害そのものあるいは障害者の働くことについての具体的なイメー ジがないまま、障害者雇用について、消極的、否定的な考えになっている場合もあるの ではないかということで、このような課題に対応するために、例えば地域において中小 企業と障害者団体、福祉施設、あるいは特別支援学校等との交流を通じて、障害に関す る理解を深めたり、あるいは企業と施設・学校の相互理解、連携を深めることも、1つ の方策と考えられます。さらに、他の中小企業における障害者の雇用の事例を提供する などによって、障害者の就労に関する能力、適性、職場環境の整備、企業内外の相談・ 支援体制の構築、活用について、具体的な理解を進めていただいて、実際の雇用に結び 付けていくことも重要であるということで、都道府県障害者雇用支援協会等の行ってい る情報提供、相談支援等について、一層積極的、効果的な取組みが必要ではないかとい うことを記載しています。  4頁のいちばん上ですが、さらに、実際に雇用を進める中で、事業主の理解、不安を 解消するといった点で、現在行っているトライアル雇用の活用も有効ではないか。  次の○です。中小企業全体の気運を醸成するということで、積極的に障害者雇用に取 り組む、あるいは今後取り組むという企業に対して、社会的に広く認知されるような仕 組みをつくることも1つの方策ではないかということで、記載しています。  (2)は「マッチングに関する支援」ということでまとめています。1つ目の○です。 中小企業では障害者の雇用の経験、あるいはノウハウがないという企業も多く、一方、 障害者本人も就労経験が乏しいといった場合も多いということで、具体的な雇用に結び 付けていくためには、トライアル雇用、あるいは職場実習、さらにはハローワークで行 っている同行紹介や管理選考等、きめ細やかな職業相談等を行う必要がある。  2つ目の○です。今度は中小企業側と障害者側との間で、実際に企業で障害者を活用 する場合の職種のイメージ、あるいは障害者が発揮する能力、適性については開きがあ るということで、ギャップが存在することを埋めていくための工夫、ツールが不可欠で あるということです。例えばということで、中小企業向けに対しては、障害者雇用に関 してのその会社の状況、あるいは可能性を自分で評価できるチェックリストのようなツ ールがあると、客観的な判断ができて、具体的な求人条件の検討にも効果があるのでは ないか。さらに、求職されている障害者ご本人向けには、障害者が自らの適性、能力、 アピールポイント等をまとめることができるツールがあると、障害者ご自身が自己評価 をするためにも、また中小企業が求職者の情報を具体的に知るためにも有効ではないか と考えられる。  次の○です。さらに中小企業側と障害者側のギャップを埋めていく際には、その両者 の間に立つ就労支援機関の役割も極めて重要である。一方では企業ニーズの的確な把握 の上に立った十分な支援ができていない等、企業と就労支援機関の間にもギャップがあ る。その解消のための取組も必要であると記載しています。  最後の○です。中小企業においては雇用機会を拡大するためには、大企業に比べて業 務量に限りがあることから、職務の分析、再整理を通じて、仕事を切り出すことが重要 だということです。特に中小企業では工夫が必要と考えられることから、こういった職 務の集約等について、好事例、ノウハウの提供を行う。あるいは職務分析に関してノウ ハウを蓄積している地域障害者職業センター等の、外部機関による相談・支援体制を強 化する必要がある。その際には、地域センターにいるジョブコーチが、職務分析に関す る専門的な人材として、一層積極的な役割を担う必要があるということです。  (3)ですが、職場定着の場面での支援についてまとめています。1つ目の○です。 障害者の職場定着に関して不適応が発生することは、小さなことの積み重ねが多いとい うことで、日常的な支援が重要ではないかということで、中小企業へのサポートを考え ることが非常に重要であるということで書いています。  5頁のいちばん上の○です。中小企業では障害者雇用のみならず、障害者の雇用管理 に関する情報も少ないということですので、好事例にとどまらず、一般的な雇用事例に ついても広く情報を提供する、あるいは地域での行政、企業のネットワークの中で、情 報交換、相談ができるようにすることが必要である。  2つ目の○です。中小企業ですと、職場定着のための支援体制を企業内で確保するの は困難な場合も多いということで、ジョブコーチの活用等が重要であると考えられる。 そのためにジョブコーチの育成、あるいは企業内で一層活用しやすくなるように必要な 見直しを行っていく必要がある。さらに、企業OB、特に団塊の世代を活用して、そのノ ウハウが中小企業での障害者雇用に対する支援として活かされるようにしていく。  さらに、特に精神障害者の方ということになると思いますが、職場定着を考えると、 一緒にいるだけで安心できるということもあり、専門家ではないボランティアの活用も 考えられる。  最後の○です。職場定着のためには仕事の面だけでなく、併せて生活の面での支援も 重要であるということで、一方で企業のみでは対応が難しいということで、身近な地域 の中で就業面、生活面について、一体的な支援を受けることができるよう、障害者就業 ・生活支援センターの全国展開を早期に図ることが必要である。  (4)です。複数の中小企業が共同で障害者を雇用する仕組みということです。中小 企業で障害者の雇用を拡大するためには、先ほどもありましたが、職務の分析、再整理 を通じて、仕事を切り出すことが重要ですが、個々の中小企業だけでは障害者雇用に十 分な仕事量を確保することが困難な場合もある。このような場合、例えば事業共同組合 等を活用して、複数の中小企業が共同して障害者の雇用機会を確保することが有効と考 えられることから、このような仕組みについて今後検討を進めていく必要がある。  2つ目の○です。このような仕組みについては、実態上いろいろな課題が出てくるだ ろうということで、それに対する課題の把握・整理、あるいは対応を検討していくため には、モデル的な取組を行っていくことも必要である。以上、支援策について記載があ ります。  次はV「中小企業における経済的負担の調整の実施について」で、この点は調整中で す。最後に「おわりに」となっています。以上です。 ○座長  ありがとうございました。それでは、今、御説明がありましたので、骨子案のこの範 囲内で御議論いただければと思います。いかがでしょうか。どうぞ。 ○倉知委員  前回以来いろいろ議論してきて、中小企業の雇用率を上げるために、中小企業が雇用 するような意識づけを図るというようなこともありましたが、やはり、それとセットで どう支援していくのかということも非常に重要になっていくと思うのです。今回のまと めのなかで、理解を進めようということと、どうマッチングを図るか、それとフォロー アップという3点があるのですが、何かもう少しないかなという印象があります。何が 足りないかというと、もう少し企業を支援する専門的なものが必要ではないかと思いま す。障害者を支援する機関というのは結構あります。そして、そこが企業も支援すると いうようになっており、今に至っているわけです。ということは、企業を専門的に支援 する部署がないと、やはり変わらないのではないかという気がするのです。例えば、今、 各都道府県に障害者雇用促進協会の都道府県協会が あり、そこでは、企業の相談をする部署がありますが、多分、ほとんど活用されていな いと思うし、それに応え切れていないのではないかと思います。ですから、例えば企業 支援センターみたいなモデル事業を何カ所かやってみて、まず、専門家が仕事のできる 環境づくりをしたらどうかなという気がしています。  今までいろいろな事業もありましたが、専門的な人が仕事をする財政的なバックアッ プの仕組みがしっかりしていなかったことが多かったと思うのです。ですから、モデル 事業でしっかりお金も投入して、そのモデル事業は企業が受ければ良いと思うのですが、 企業がきちんと専門家を雇用して、企業支援センターを運営するような、そんな支援策 ができないかなと期待しています。 ○座長  どうぞ。 ○藤原委員  私は、やはり障害者本人と、それから、中小企業が安心感をもてることが必要だと思 っています。例えば、どういう不安があって、それを解消する方法は何か。そういうこ との現状分析から課題を見つけて、その課題を解決する方法、仕組みをつくっていくこ とが必要でないかと思います。  私も零細企業主で、幸い障害者の親ですから、いろいろなことが分かるのですけれど も、そうでなければ、いわゆる障害者というものは少数派ですので、小さい頃から自然 に出会っていないので、知らないから不安があるというのが一番大きなことではないか と思うのです。だから、テスト的に、何かトライアル雇用ではないですけれども、何し ろ、私はチャンスが欲しいと思うのです。  ここに女性がいらっしゃいますけれども、戦前だったら、女性の職場は限定されたと 思うのですね。今、そういうことを言う人はないと思うのです。だから、障害者も今は、 ひょっとしたら限定されているかも知れないのですけれども、これが、あと10年、20年 したら、そんなことを言うのがおかしいというふうになる時代が来ると思う。 それと同時に、現在、障害のある人を雇用しているところの方が、案外成績がいいので はないかと思います。小売業のA社や飲食業のB社なんかは、雇用率が確か3以上あった のではないか。それほど良いのですが、そこは、余裕があるからしたのか。それとも、 そういう理念でやっているから、成績がよくなったのか。ここら辺りはいろいろあると 思います。大企業も余裕があって障害者を雇用しているのではなしに、それは、戦略と して障害者を雇用していると思うのです。ですから、中小企業も、そういう方を雇用し ていただくことによって、業績が上がるのではないか。あるいは、消費者の方も、環境 と福祉に力を入れているところを、ひょっとすれば、スタンダードな価格よりも少々高 くても、それを購入するというふうに時代が変わっていかないといけない。ただ、5割と か、倍近く高かったら、それは消費者が拒否すると思いますけれども、5%とか10%だった ら、貢献度ということで消費するのではないか。そういう日本になるんではないかと思 います。ですから、先鞭をつけていただきたいし、先鞭をつけたところは成績が上がる というふうになるのではないかなと思います。そういうふうに、期待して思っているの です。 ○座長  今おっしゃられた前半の方で、例えば、障害者の方にチャンスをとおっしゃいました。 例えば、トライアル雇用とか職場実習も1つのチャンスなのですけれども、もっと他に 何かお考えですか。 ○藤原委員  あれは、雇用でいいと思うのです。量的にも少ないと思います。最初にやった頃は、 予算が夏でパンクしてしまいました。だから、あれは通年使えるぐらいに、いい制度は もっと拡充して欲しいですね。 ○座長  すると、藤原委員の言いたいことは、トライアル雇用は役に立っているけど、金が足 りないということですか。 ○藤原委員  だから、チャンスが足りないと私は思うのですね。私は、あれが最初にやられたとき、 日経連でやられて、非常に評判がよかったので、成績がいいのを、わざわざ高障機構に 変える必要はないですよと、その時に要求を言いました。だから、成績がいいのを変え るというのは、おかしいと思うのです。成果が出ているのにですね。 だから、民間に任せて、トライアル雇用をどんどん進めて欲しかったんですが。支援費 制度も良かったから、そういうふうに2カ月で財政がパンクしたんですけれども、いい ことは消費者もよく知っていますから、それはどんどん使うわけですから、いい制度は どんどん発展させていったらいいと思う。 ○座長  どうぞ。 ○金子委員  私も障害者と家族の立場でこちらの方に出させていただいているわけですが、やはり、 今までは障害者だからできないと思われていたことが多かったと思うのですが、やはり、 ここのところ何年か、精神の人も含めて、障害者の人は働けないのではなくて、いろい ろな支援があれば働けるということが、いろいろなところで実際にできてきていると思 うのです。大企業なんかは、いろいろ特例子会社とかという形で、やっぱり中小企業が ここのところ率が下がってきているということは、不景気だということもあったでしょ うけれども、やっぱりトップの方にもっと障害者と一緒に働くという考えが、少し足踏 みしてしまったということがあると思うのです。やっぱり、そこのところは障害者の人 を雇うということに対して、経営者の人がもっと理解を示して欲しいと思うのです。そ れから、さっきおっしゃっていましたように、やっぱり支援者の方も平行した形でやっ ていかないと、ちょっと厳しい点があると思います。やっぱり、障害者と一緒に働くん だ、働けるんだ、雇うんだという感じで、もっと考え方を変えていただくようなことを 期待したいと思います。 ○座長  どうぞ、藤原委員。 ○藤原委員  丸投げして、中小企業に全部頼みますよではなしに、本当に困っていることをきちっ と分析して、それに対する支援策、障害者に対してではなく、企業に対する支援策をき ちっとされていったら、企業も雇用が進むのではないかと思います。  だから、障害者を頼みますで、丸投げしたら、それは受ける方はかなわないと思いま す。やっぱり具体的に、このことが分からない。このことが分からないということを出 していって、そのことはこういう仕組みを使ったらどうですか。この制度を使ってくだ さいとか、いろんなことを助言していただいて、制度がなければ作っていくというよう なことでやっていけば、いけるのではないかと思います。今まで、そんなことで、いろ いろ女性の職業開拓もできたわけですね。女性が大型のダンプとか重機を扱っているの は、やっぱり機械が変わったんです。それまでは、筋肉もりもりでないと、運転できな かったのが、軽く小指1本で運転できるようになったんです。 だから、結局、仕組みを変えていくと、どの方も働けるようになるのではないかと思い ます。 ○座長  それで、倉知委員は、そういう点で、企業を支援する専門機関をつくるのが重要だと いうことをおっしゃっていましたけれども。 ○藤原委員  例えば、やっぱり、かえって企業からもっともっとお聞きになって、いろんな分から ないこと、困っていることを分析して、それを1つにまとめて、そして、今、倉知委員 が言われたものが的確ならば、そういうのをしたらいいと思います。やっぱり柔軟にや っていったらいいじゃないかなと思います。だから、障害者関係の方の意見ばかり聞か ずに、中小企業の方の意見を聞きながらですね。ただ経営的にしんどいから駄目だ、駄 目だではなしに、この点で困っている、この点で止まっているという具体例を出しまし て、その具体例を潰していくと、もっともっと雇用が進むのではないかと思います。私 どもはチャンスをいただいて、それは戦力化されなかったら、これは駄目だと思います からね。そうすると、我々の方は、それで戦力化できるように、また検証を進めていく とかというふうに、両方共にそういうふうにやっていってですね。 ○座長  正確に理解するためにちょっと御質問したいのですけれども、藤原委員が今おっしゃ られたことは、誰に対して言っているのですか。つまり、今おっしゃられたことは、誰 がやったらいいのだと思って発言なさっておられるのか。 ○藤原委員  それは、やっぱりこの研究会も含めて、行政の方が中小企業とかいろんなところから も意見を聴かれて、やっぱりそれを分析しないといけない。だから、分析機関としての 第三者機関がなかったら駄目でしょうね。当事者同士でやりますと、なかなか、やっぱ り自分の意見ばっかりを言いますからね。だから、第三者機関をつくらなければいけま せん。それは、この研究会でもいいと思いますし、それはそれをまとめるこちらの障害 者雇用対策課でもいいと思います。やっぱり、それをしなかったら駄目だと思いますね。 だから、情緒だけではもういかんと思いますね。今までのように、経営者の情緒で、何 とかみてやるわというような親分肌ではなしに、やっぱり具体的に、このこととこのこ とができないからということを聞いて、分析して、課題を潰していくという作業をしな かったら、新しいステップは踏めないのではないかと思います。 ○金子委員  私は、職親の方の立場なのですけれども、職親というのは精神障害者の社会適応訓練 事業ということですが、これは零細企業が多いのですね。それで、この間、今年の2月に 調査をやったんですが、そのときに出たデータがほとんどが5人以下というのが多いので すが、少なくとも100人以下の企業が75%以上です。そこで障害者を雇用しているところ は4.6%ぐらいいっているのです。だから、企業が小さいから無理だということはちょっ と成り立たないと思います。ですから、そういうことで、支援策とか、何かをもうちょ っときちっと、中小企業の方も雇ってくださるような支援策を作っていく必要はあると 思います。 ○座長  よろしいですか。藤原委員がおっしゃったことがちょっと気になっているんですけど、 ここでも書いてあると思うのですが、障害者の方の職業能力がどういうことがあるのか ということは、ちゃんとチェックで分かるようなものがあったらいいという話がありま したね。同じことが、今度は受け入れ側の企業側で、どういう問題点があって、ここが クリアすればどうにかなるみたいなチェックリストみたいなものはないのですか。 ○藤原委員  今のところないですけれども、私は最初は、今から20年ほど前まででしたら、知的障 害者の場合は、製造業でないと駄目みたいな言い方でした。ところが今は、接客やら、 難しいことまでしています。だから、自閉的な人は色やらそういうのを並べるのが好き らしいですけど、そういうことをするとかですね。形をきちっと並べて整理されるとい うことで、A社では一店1人は雇用しましょうというのが、社是になっています。だか ら、A社自身は大きいですけれど、店舗でしたら、本当は正社員は1人か2人です。そし て、あとはパートさんです。ですから、1つの店でしたら、私らと同じ家業だと思いま すよ。それが600とか700店ありますから、大企業ですけど、そういう個々の店のような 小さな店でも雇用できるということです。ましてや、そういう接客があって、お客さん がうろうろしているところを、変な人がいたらだめだとか言われずに、それは完全に会 社の方針として1店舗1人ということだったら、周りだけで600人とかの雇用になってく るわけですね。だから、本当に既成観念を外していただくと、職種はものすごく広がる のではないかと思います。老人施設なんかでも、知的障害者がヘルパー2級まで取得し ています。その人がそこに座るだけで、癒しになるという話もあります。ちょっと情緒 的になるかも分かりませんが、そんなことで、サービス業にも参加できるような感じで すね。 ○座長  では、原川委員、先にどうぞ。 ○原川委員  先に言わせていただきます。私も前回いろいろと申し上げましたが、今、金子委員が おっしゃった、小さいところでも雇用をということでした。まず申し上げますと、私ど もは昨年と今年、中小企業に雇用を拡大するにはどうすればいいかという独自の研究を もってやっています。昨年中間報告をまとめましたが、そこにも書いたのですが、やっ ぱり中小企業のいいところというのがありまして、それはやはりきちっと認識すべきだ ということで、中小企業ならではの柔軟性とか、人間的な繋がりの濃さということが良 い面にあって、そういうことが障害者の方の雇用をより可能にするということでした。 そういうのが1つあって、大企業の特例子会社のモデルとされてきたというようなとこ ろがあります。その意味では、障害者雇用が一番向いているのは、むしろ中小企業では ないかというようなことで、そういう意見がありまして、中間とりまとめにも書かせて いただいています。やっぱり、そういうことを中小企業としても大事にしていきたいと 思っています。  それから、藤原委員がおっしゃった情緒的なことよりも、個々の障害となっているよ うな要因を一つひとつ潰していくということは全く賛成です。私は前回、企業人となっ てもらいたいと、つまり社会と、社会のなかで共生するという意味なんですけれども、 そういうことからすると、やっぱりお互いに接近をして、そこに支援機関の連携があっ て、働く意欲のある人は働くというような仕組みをつくるべきだと思います。  そこで、1つだけ申し上げておきたいんですが、この今日出された報告書の骨子案で 指摘されていることについてなんですが、2の、中小企業における障害者雇用の状況と いうなかの1と2で、現状が、実雇用率が下がっている。特に300人以下のところは下が っていて、そのなかでも、100人から299人が下がっている。そして、2の方では、下か ら2行目辺りに、中小企業において障害者雇用に関する理解が不足している企業が相当 高い割合となっているというようなことをいっております。さっき金子委員がおっしゃ ったように、景気が悪いということは1つ大きな要因と考えているわけですね。それで、 ちょうど、後から説明があるかも知れませんけれども、今日配られている資料7の、雇 用における効果についてというところで、1枚めくりますと、折れ線グラフがあります。 これで見ていただくとよく分かると思うのですが、平成3年、4年辺りから中小企業のと ころががくんと落ちています。100人から299人は若干平成15年、16年辺りから、持ち直 してきているということがあります。これは、通常の雇用の動向と非常によく似ている と思います。平成3年にバブルが崩壊して、それからずっと一般の失業率も高くなって いるし、それから、一般の雇用も中小企業ではできなくなってきたということで、特に その10年ぐらいの間に、潰れる企業、あるいは廃業する企業がかなりありました。私の 記憶ですと、平成11年に511万の中小企業があったと記憶しております。それが今、430 万ぐらいになっています。それは、倒産と廃業で減っているわけです。それから、失業 率も6%ぐらいまで上がったということをみますと、一般の経済情勢を反映した折れ線グ ラフではないかと考えるわけです。  中小企業が平成不況、未曾有の不況といわれたなかで、10年もちこたえるというのは 相当のものでありまして、今でも、そういうところから回復している企業はまだ少ない ということで、中小企業の場合には、今もそういう長い間の不況の影響が残っています。 それから、景気の回復のいい影響というのも、あんまり浸透していないということがあ ります。従って、こういう実雇用率が下がったというのは、一般の雇用状況を含めて経 済の状況を非常に色濃く反映しているものだと私は考えるわけです。  従って、ここで実雇用率の状況、それから障害者雇用に関する考え方ということを単 に次のステップの説明としてだけでは、非常に見方が短絡的といいますか、もう少しい ろんな面から、さっき藤原委員が言われたことも含めて、いろいろ分析をして、そうい う前提をきちっとしておかないと、後ろのいろんな提案事項が生かされない可能性があ ると考えます。そういう、いろんな要因というのは、中小企業の場合には、景気の影響 を非常に強く受けたということのほかに、やはり中小企業ですから身体が小さいわけで すけれども、小さいことからくるいろんな制約要因もあります。例えば、経営資源も大 企業に比べて乏しい。人物、金、情報技術、いろんな面において乏しいということもあ ります。それから、経営基盤が脆弱である。それから、組織的な面で、大企業のような 管理部門、総務部門というものがしっかりしている企業が全てではないし、むしろ未成 熟のところが多いというところもあります。それから、事業主が自ら働いているという ことで、なかなか事業主にも余裕がないといったこと、時間的な余裕もないというよう なことがあります。しかし、そういうなかで、 いい面としては、機動性があり、リーダーシップが発揮できる。そういったところで、 雇用がしやすいという良い面もあるわけですが、1人ぐらい雇用してもいいではないか と言われますが、なかなかその1人が難しいということがあります。企業の現在の従業 員を抱えて、明日を生きるということからすると、なかなか1人ということに踏み切れ ないというような事情もあります。そういったいろんな事情が、あるいは要因があると いうことを、もう少しここに書いていただけないだろうか。あまりにもこれでは、実雇 用率が下がったから中小企業の多くが障害者雇用に対して理解が不足しているというの では、何か情けないというか、残念だという気がしてなりません。  そもそも中小企業は、私どもはこの前ここでも報告させていただきましたが、この前 の調査では、5,000企業調査して、7割の企業は現在雇用しているか、あるいは、過去に 雇用したと言っているわけです。要するに、7割の企業はそういう経験があると言ってい るわけですから、全くおれたちは知らないというような、そんなことをしたくないとい うような事業主は、それは全くいないとはいいませんけれども、数は少ないと思います。 むしろ、地域のなかで生きているという中小企業の特性からいいますと、障害者雇用を しているような事業主の方が、むしろ多い。そういうところを、やっぱり地道に普及を していく。先ほど藤原委員がおっしゃったような、知らないから不安があるということ であれば、その不安を解消するようなことで、地道にやっていく。そういうことを、第 一に行うべきであるというふうに考えるわけです。従って、ちょっとIIのところの分析 というのは、もう少しこまめに行うべきであると考えます。 ○座長  原川委員が今、長くおっしゃられたので、勝手に整理していいですか。結局、原川委 員が言われたことは、このIIというのは、このIの実雇用率の状況が、中小企業が落ち ているということの背景について書いてある。それについては、ここの書き方というの は、紋切り型で、中小企業は障害者雇用に理解がないというふうに、ぱっと書いてしま っている。従って、そうではなくて、こういうデータがあったとしても、これは単に中 小企業の方たちが障害者雇用について、今の段階では、雇用をするという目標はもって いないというようなデータだ。ということですね。このデータを使っても。つまり、こ のアンケートは、そういう目標を、現在、当面もっていますかというアンケートなので、 もし、このデータを使うならですよ。  結局、原川委員が言われたのは、こういうことの背景には、中小企業というのは、も ともと障害者雇用については、障害者雇用をするにはいい条件にあるにも関わらず、あ るいは、ちゃんとした意識をもっているにも関わらず、経営基盤が脆弱だとか、あるい は、事業主が仕事が忙しくて余裕がないとかということがあって、景気の後退とともに そういうことがあって、そういう状況になっている。というような背景があるので、そ れを書いてくれということでいいですか。そういうことでいいですか。 ○原川委員  はい。 ○座長  それで、結局、そういうふうに背景で書くと、皆さん全部おっしゃられていたのは、 従って、中小企業の方には応援しましょうというのが、今日の藤原委員とか、倉知委員 の話なんですよね。 ○原川委員  全くそれは同感だと思います。要するに、対局する必要は全くないのであって、やっ ぱり、そういう企業のなかで協力して、雇用を促進していくべきだとは私は思っていま す。 ○座長  単純にこんな形にいくかどうかは分かりませんが、やる気はある。元々雇える。つま り、原川委員の言い方をすると、非常に人間関係でやっていくような経営なので、受け 入れるような潜在的な基盤がある。ただ、経営基盤が脆弱だとか、いろんな問題がある。 従って、景気の後退とともにそういうことがあるので、ここでいう実雇用率の状況にな ってしまった。こういうふうな分析にしてくれということですか。 ○原川委員  はい。そうです。 ○座長  そうすると、問題は、そういうデータをもってこれるか。これは一応現状だから、状 況分析だから。 ○原川委員  ただ、今のグラフでは、16年頃からまた上がっているんですよね。だから、もうちょ っと、今上がってきたのは、これが1つの傾向なのかどうかということを見極めないと いけないと思うのです。 ○座長  でも、上がるか、上がらないかに関わらず、支援すればいいんですよね。 ○原川委員  もちろん。それは必要です。 ○座長  そして、原川委員の意見は落ちたことの背景の大きな要因の1つは、経営基盤が脆弱 だとか、そういうことがあるんだとおっしゃっている。 ○原川委員  要するに、私が言いたいのは、このトーンがあまりにも咎め調で言っている。それは、 ないのではないか。要するに、中小企業というのは地域でしか生きられないわけです。 そこの地域でしか。だから、それは事業主が一番知っているわけです。だから、そうい うことが必要だということを、もう少し普及する必要がありますよ。ありますけれども、 そういうことを地道にやっていくことが非常に重要だ。そのときに、さっきも出たよう な不安を解決する手段を提示してあげるということが非常に大事ではないかと考えてい ます。 ○座長  じゃあ、何れにしても、そういう方向で少しここを書き直せるかどうか検討していた だいて。 ○高齢・障害者雇用対策部長  今のところはまだ骨子なので、もうちょっとちゃんとした報告になる場合は、もう少 しスペースもありますから、それはもうちょっといろんなことが書けると思います。ま た、現状のところで、何かこういう視点も入れた方がいいということがあれば、今出し ていただければ、次回の報告書案のときには、もうちょっと手厚く書いていきたいと思 います。 ○座長  今、原川委員の御意見は明確なので。 ○藤原委員  この下がったというのは、極端にいえば、分母の実数が下がるよりも、分子の方が下 がる率が大きかったというのが現実だと思うのですね。この雇用率が下がったというこ とはですね。ですから、不況によって、一般の人の雇用も下がったけれども、それ以上 の比率で障害者の解雇というか、それがなくなったというのが、雇用率が下がっている ことだと私は思います。だから、やっぱり、分母以上に分子の方が下がったということ は、ひょっとしたら、雇用しているところが倒産したかなと思ったりもするのですけれ ども、私は、やっぱり、先に障害者が解雇されたという現実が、この雇用率の低下にな っているのではないかと思います。 ○座長  ただ、藤原委員がおっしゃられたのは、この数字からすると、その通りなのですよね。 結局、これはそういう数字なのですから。多分、原川委員の御主張は、そうなっている のは中小企業の経営基盤が脆弱だとか、中小企業の事業主が忙しくて、そういうことは、 申し訳ないですが、どうしても手間のかかってしまう人は最初にということなのでしょ う。原川委員の御主張は多分そうなのです。そういうのを踏まえて、もう一度、こちら で書いてみる。それで、藤原委員が言われたことも事実なのですよね、原川委員。これ また否定できないのです。 ○原川委員  そうです。 ○座長  ですから、でも、結局、それをどうにか改善しようとするときに、先ほど藤原委員と か倉知委員が言われたことと、多分、原川委員が言う出口とあまり変わらないと思いま す。そうですよね。中小企業の受け入れをちゃんとサポートをするということは重要だ ということですから。 ○原川委員  前向きにね。前向きにというふうに書いてください。 ○座長  はい。骨子ですからね。分かりました。 ○輪島委員  議論としてはそうだと思いますが、多分第1回目の研究会のときに、事務局の方に、 どうして中小企業の実雇用率が、平成5年以降落ちたのかという分析をしてあるのかと 言ったら、基本的には分析はしていない。そういう報告書は出ていない。だから、何で 下がっているのか分かりませんというのがお答えだったと思うので、今の話も、大体そ うだろうとは思いますが、それを検証していることは実はないので、本当にそうなのか という、そういうトーンで書けるのかどうかというのは、非常に危ない議論だなと思い ました。ただ、このIIのところに、どうして実雇用率が下がったのかということの理由 というのは、ここには書いていないので、それを踏まえないと、どうして中小企業の雇 用の促進をしなければいけないのかという、研究会の目的には添わないと思うので、そ れは書いていただきたいと思います。  それと、例えば、資料7で、先ほど原川委員がおっしゃった3ページ目の折れ線グラフ でいうと、100人から299人の平成17年から18年は、初めて反転して上がっているわけで す。では、ここは何で上がったのかということも、実はよく分からない。他の99人以下 のところも、下がったか、もしくは横這いで、100人から299人のこの17年と18年のとこ ろだけが反転しているわけですから、そこもどうして上がったのかとか、そこら辺も分 析した上で、いえることがあれば書いていただきたいと思います。 ○座長  佐藤委員、どうぞ。 ○佐藤委員  私も実雇用率のところで2つあります。1つが、輪島委員のお話の最後のところにあっ た、17年から18年にかけて上がっていることについて、一番問題になっている100人か ら299人も含めて、ほとんどのところで上がっている点です。この最後の上がっている ところについて、報告書のなかで何らか触れる必要があるのではないかと思います。低 下傾向ということだけで終わるのではなくて、ということが1つです。  もう1つは、これは輪島委員や原川委員の話と重なると思うのですが、実雇用率が低 下傾向というのは確かだと思うのですが、では、それはどうしてなのか。もう少し付け 加えると、最初、納付金制度が始まった頃に、中小企業の実雇用率は高かったというお 話しでした。それは何故高かったのかということも、何か今後のヒントになることがあ るかも知れないと思います。やはり、どうしてこうなったかというのは、今の段階で一 度押さえる必要があるのではないかと思っています。 ○座長  他にございますでしょうか。どうぞ。 ○堀江委員  中小企業というところで考えると、首都圏の特定の地域以外のほとんどの自治体が中 小企業中心なので、それは地方自治体の課題でもあるので、骨子案のところに自治体の 関与というところを明記をしていただくと、より地域の実状に合った施策が打てるので はないかと思います。このなかには、自治体の関与については述べていないので、そう いったところを少し述べていただくといいかなと思います。 ○座長  どうぞ。 ○村上委員  今の前段の部分に重なるかも知れないのですが、この報告書で目標は何なのかという ところは、多分、「はじめに」のところに書かれるのかも知れませんけれども、それが 何なのかなということで、実雇用率を上げて法定雇用率達成を目指すということが1つ あるのでしょうけれども、そこにいくまでのなかでも特にということであれば、例えば、 0人のところをなくそうとか、あるいは、達成企業の割合を今より何%上げていくとか、 そういうこともあるのかなと思っています。そうなると、実雇用率の状況などのところ にも、0人の状況がどうなっているのかということが今日の資料の7の4ページにありま すけれども、このようなデータも付け加えると、より説得力が出るのではないかと思い ます。 ○座長  ありがとうございます。他にございますでしょうか。どうぞ。 ○小川委員  今、私も地方巡りの日身連の会長という立場で、大変大事なことだと思うんです。先 ほど、藤原委員、金子委員からも出ているように、地域での障害者に対する理解度とい うことを、もっともっと第三者的な行為のなかで、私は充足していただきたい。それが、 やはり働きたい意向の障害者はたくさんいても、実際の雇用が見いだされていないとい うことを考えますと、是非ともこの機関を充足していただきたい。第三者機関という声 も出ていますけれども、その点について力を深めていただきたいと私は思います。 ○座長  よろしいですか。どうぞ。 ○輪島委員  別件ですが、倉知委員がおっしゃった、おそらく中小企業だけでなく大企業もそうだ と思うのですけれども、これからの雇用の促進を進めるためには、これまでやってきた 福祉での本人支援と、それから、企業の支援が両輪でないと、おそらく無理だと思うの で、特にこれからの知的障害者、精神障害者の雇用を考えると、その枠組みをつくって おかないと難しいというか、決定的には無理だと思います。  それから、金子委員がおっしゃった点ですが、意識をしておくかどうかも含めて、こ こにどう書き分けるのかということですけれども、56人以上99人以下の中小企業の記述 と、55人以下の中小企業での雇用支援策が、違うのか、違わないとか、そこのターゲッ トがどうなっているのかということを、このなかに書き分けるのか、書き分けないのか ということを、整理した上で、どちらかのコンセンサスで、どういうふうに書き分ける かということが必要なのではないかと思います。  それから、あとは、5ページ目の、ちょっと細かい話ですが、上から2つ目のポツの、 最後の行の「さらに」というところで、「一緒にいるだけで安心というような形のサポ ートが必要という場合もあり、専門家ではないボランティアの活用」とあります。気持 ちとしてはよく分かりますが、一緒にいるだけで安心という、専門家でないボランティ アの方を企業のなかに入れて、実際に回るのかということが、あまりよく分からないの で、本当にそうなのかどうかということは、文言としてどうなのかという気がしました。 以上です。 ○座長  それでは、大分御意見をいただいたので、これで今日いただいた御意見をもう一度踏 まえて、先に進むということにさせていただきたいと思います。  今日は、もう1つ非常に大きな議題として、経済的負担の調整の問題についての議論 をしたいと思いますので、まず、事務局から資料の説明をしていただきたいと思います。 ○事務局  資料3の13頁をお開きください。前回に引き続いてですが、「中小企業における経済 的負担の調整の実施について」です。論点確認のためにもう1度読み上げます。  障害者雇用納付金制度は、障害者の雇用に伴う経済的な負担の調整を目的とするもの であり、すべての事業主がその雇用する労働者の数に応じて平等に負担するのが原則で あるが、現行制度においては、当分の間の暫定措置として、常用労働者301人以上の規 模の企業のみから納付金を徴収している(注)。このような暫定措置について、どのよ うに考えるか。(1)最近の中小企業における障害者雇用状況の変化を踏まえ、どのように 考えるか。(2)現在、納付金の徴収対象となっていない常用労働者300人以下規模企業に おいても、障害者雇用に積極的に取り組んでいる企業があり、経済的負担の調整の面で 不公平が生じていることについて、どのように考えるか。注として、障害者雇用納付金 制度の創設当時において、中小企業における経済的な負担能力と、中小企業においては 全体として雇用率が達成されているのに対し大企業では障害者の雇用率が低いという事 情とを勘案し、当分の間の暫定措置として、納付金の徴収は、常用労働者300人以下規 模企業からは行わないこととしたもの。このように論点を設定しています。  続いて、資料4をご覧いただきたいと思います。前回の研究会で納付金、あるいは調 整金の額についてご質問がありましたので、その関係について資料をまとめています。 1頁目で、納付金制度の基本的な考え方を改めて整理しています。納付金制度は、障害 者の方の雇用に伴う経済的負担に着目し、経済的側面から障害者の雇用に関する社会連 帯責任の履行を求めようとする制度であります。  すなわち、納付金制度はまず第1には、法定雇用率未達成の事業主からその不足数に 応じて納付金を徴収し、これを原資として、法定雇用率を超えて障害者を雇用する事業 主に対して調整金を支給することにより、事業主間の障害者雇用に伴う経済的負担の平 等化を図るための調整を図り、もって障害者雇用に関する事業主の共同連帯責任の円滑 な実現を目的とする。これが第1にあるということでございます。  また、併せてということで、障害者を雇用する事業主に対する助成、援助を行うこと で障害者雇用を容易にする。これらによって、全体として障害者雇用の水準を引き上げ る制度であるということです。  2頁目は納付金あるいは調整金の額についてです。(1)で納付金の額について書いてい ます。下線を引いていますが、雇用率に達するまで障害者を雇用することとした場合に、 通常1人に必要とされる1カ月当たりの特別の費用の平均額を基準として定めています。 (2)は調整金ですが、雇用率を超えて新たに障害者を雇用する場合に、通常追加的に必要 とされる1カ月当たりの特別の費用の平均を基準とするということです。  その下の○にありますが、(1)、(2)に出てきている特別の費用をどのように出している か。ハローワークの職員が対象事業所を訪問するという形で、のちほど出ますが実態調 査を行い、雇用率の達成・未達成に関係なく、障害者雇用に伴う1カ月当たりの特別費 用の額の平均を求めるということでやっています。直近ですと3万7,000円となっていま す。  次の○ですが、障害者の雇用が増加するに応じて1人当たりの特別費用が逓減する。 雇う数が増えれば、特別の費用も少なくなっていくという実態にあるので、実態調査を もとに企業規模のモデルを計算して、先ほどの(1)と(2)の費用の比率を計算する。そうし た場合、(1)の費用は1.546倍、(2)の費用は0.743倍となります。具体的には、下にありま すが、納付金ですと3万7,000円×格差の1.546倍で5万円、調整金ですと3万7,000円× 0.743ということで2万7,000円となる。そういった考え方で、納付金や調整金は算出し ているということになります。  その下、報奨金については納付金を納付しない中小企業に対して支給するものです。 雇用率を超えて特に多数の障害者を雇用している事業主に支給するとともに、調整金よ り低い支給額とすることとなっており、2万1,000円ということになっています。  3頁は、先ほどの特別費用の実態調査について、どのような費用を調査しているかで す。四角囲みのところをご覧いただくと、1つは雇い入れのための施設等の特別費用と いうことで、雇い入れのための施設や設備の設置等に要した費用となります。  次に、雇い入れのための雇用管理の特別費用ということで、例えば賃金で特別に通勤 費を加算しているとか、あるいは福利厚生や教育訓練の費用について特別費用の実態調 査で調査しています。  続いて資料5、「経済的負担の調整の現状(イメージ図)」ということで、現状につ いてイメージを図で表しています。300人という点線がありますが、いちばん下のとこ ろに「法定雇用数」が黄色になっています。法定雇用数に満たない障害者雇用である場 合は、納付金対象企業になるということで、それが約63.7%ぐらいある。一方、法定雇 用数を超えて障害者を雇用している場合は調整金対象企業ということで、それが21.5% です。その間に点線がありますが、過不足ゼロ、雇わなければならない障害者の雇用の 数と同じ数だけの障害者を雇用している場合ですが、そういった企業も15%程度ある。 納付金対象企業から、調整金対象企業のところに経済的負担の調整が行われているとい うことになっています。  300人以下のところですが、法定雇用数未満のところは納付金制度がありませんので、 法定雇用数を雇っていないのですが納付なしが55.7%となっています。その隣が、同じ く300人以下でも過不足ゼロの企業は22.4%程度あるということになります。  いちばん右端は、現在、報奨金ということで4%、または6人のいずれかを超えて障害 者の方を雇っている企業に対しては報奨金が支払われますが、その企業が約1.5%とい うことになります。その左にありますが、法定雇用数を超過しているが給付がない企業 が20.4%となっています。  資料6は「経済的負担の調整を拡大した場合の影響」です。前回は同じような資料で、 納付金の対象となる企業数、あるいは調整金の対象となる企業数についてお出ししてい ました。それをさらに人数、さらに額ということで調査し、整理したものであります。  まず(1)、「納付金」ですが、201人から300人規模の企業においては、納付金対象 となり得る企業が4,876社、対象となる人で言うと1万1,700人ぐらいということで、納 付金が追加で徴収される額は70億円程度と推計されます。同じく101人から200人、56人 から100人のところも見ていただければと思います。  次に(2)、「調整金」です。201人から300人の企業ですと、調整金の対象となって くるであろう企業が1,477社、人の数で言うと5,500人程度となります。調整金で追加 で支給される額が17億円程度ということです。右のほうにはいま実際に、その規模で 報奨金が支払われている実績を付けています。101人から200人、56人から100人のと ころも同様に見ていただければと思います。  資料7は、前回の研究会で納付金制度の効果がどうかというご議論がありましたので、 事務局で整理してみたものでございます。まず、2頁をご覧いただきますと、「雇用義 務制度創設時からの企業規模別実雇用率の推移」という表を付けています。制度創設当 時、昭和52年ですが、1,000人以上の企業ですと実雇用率0.80%、500人から999人です と1.04%、300人から499人ですと1.21%となります。これに対し、100人から299人は 1.48%、99人以下は1.71%ということで、中小企業のほうが比較的高い状況にありま した。  直近、平成18年現在ですが、1,000人以上の企業で見ると1.69%、500人から999人で すと1.53%、300人から499人ですと1.48%ということで、いちばん右の欄に増減値が ありますが、いずれも実雇用率は上昇している状況です。一方、100人から299人です と1.27%、99人以下だと1.46%ということで、悪化している状況になっています。  3頁目は実雇用率を経年で、折れ線グラフにしています。  4頁ですが、今度は常用雇用労働者数278人から333人規模の企業の障害者の雇用状況 ということです。278人から333人というのは、法定雇用障害者数が5人ということで、 同じ数の義務がかかっている規模ということになります。さらに、下の表に278人から 300人で納付金の対象となっていない区分と、301人から333人で納付金制度の対象にな っている区分とに分けて、数値を比較しているものであります。企業総数は1,400社前 後と同じです。  実雇用率を見ると、278人から300人ですと1.28%、一方301人から333人ですと1.44% となります。達成企業割合ですと35.1%と40.0%ということになっています。さらに、 未達成企業で見ていくと、その割合は64.9%と60.0%となっています。そのうち、0人 雇用ということで見ていくと、278人から300人の企業ですと13.9%、一方301人から333 人の企業ですと8.4%ということで、いずれも301人から333人の企業のほうが障害者雇 用の状況については若干上回っていることが言えるかと思います。  下の(2)ですが、これは法定雇用障害者数別に見た雇用障害者数の状況です。色を 付けている部分が、法定雇用障害者数の半分以上を雇用している割合ということになり ます。見ていくと、規模が大きくなるに連れて、法定雇用障害者数の約半分ぐらいを雇 っている企業の割合が徐々に増えている状況が見て取れます。  最後、5頁目ですが、「企業規模別に見た障害者雇用に関する考え方」、以前研究会 でもお出ししている資料です。1,000人以上の企業だと「法定雇用率以上を目指す、な いし維持する」企業、あるいは「法定雇用率を目指す、ないし維持する」企業を合わせ ると約9割になっています。次に、301人から999人の企業だと法定雇用率以上を目指す、 ないし維持する、あるいは法定雇用率を目指す、ないし維持するといった企業でも8割 ぐらいになっています。一方、56人から300人の企業ですと、先ほどの区分に当てはま るような企業は4割強ぐらいとなりますが、その一方で、赤く塗られていますが、「特 に目標は決めていない」という企業が同じく41.3%ぐらい、さらに「障害者は雇用しな い」という企業が12.8%程度あるといった状況になっています。  1頁目に戻って、このようなデータを基にして整理しています。1では、まず実雇用率 について書いています。障害者雇用納付金制度発足以来の企業における実雇用率の推移 を見ると、大企業(300人以上規模)の実雇用率は一貫して改善傾向にある一方、中小 企業(299人以下規模)の実雇用率は、ここ10数年、低下傾向にある。このため、現在、 大企業の障害者雇用の水準は、制度発足当時と逆転し、中小企業より高くなっています。  また、278〜333人規模(法定雇用障害者数5人)の企業について、278〜300人規模と 301〜333人規模に区分した上で、障害者の雇用状況を比較すると、両者の企業規模に大 きな違いがない中、0人雇用の企業割合や実雇用率、法定雇用率達成企業割合をみると、 278〜300人規模の企業より、301〜333人規模の企業の障害者雇用の水準が高い状況が明 確になっています。  3で、さらに、障害者雇用に関する考え方についても、301人以上の企業においては「 法定雇用率以上を目指す、ないし維持する」あるいは「法定雇用率を目指す、ないし維 持する」とする企業が約8〜9割であるのに対し、300人以下規模の企業においては、そ のような企業は約4割にとどまり、「特に目標は決めていない」とする企業が約4割、「 障害者は雇用しない」とする企業が1割以上となっています。  4で、「このような障害者雇用の状況や障害者雇用に関する考え方における、企業規 模300人を境とした違いにかんがみると、特に大企業においては、CSRの観点からの取組 みや特例子会社制度の活用等により、障害者雇用の状況が改善されてきた面があるとし ても、障害者雇用納付金制度による経済的負担の調整が実施されてきたことが、大企業 における障害者雇用の取組みや理解の促進について、相当程度の効果を上げてきたと考 えられる」とまとめています。資料については以上です。 ○座長  ありがとうございました。それでは、御意見をお願いします。今からしていただきま す議論と御意見を踏まえて、この部分については、報告書をつくるということになりま す。前回、納付金制度の効果があったのかというような議論もあったので、最後の資料 7では、それに対する資料として提示されたということになると思います。はい。どうぞ。 ○堀江委員  事務局の方から資料をいただきまして、納付金を免除するという理由が見当たらない という印象を受けています。障害のある方の就労を支援するという立場で参加している わけですが、今、地域で就職を希望する方というのは、重度の知的障害の方ですとか、 中高年の途中で障害になられた方、精神障害の方というところで、その方たちのニーズ というのは、住まいの近くで働きたいとか、見守りのなかで働きたいだとか、それから、 障害や体調に応じた働き方をしたいというところでは、やはり中小企業というのは近所 にある企業ですので、そういったところで働きたいという御希望のある方は大勢いらっ しゃると思います。ただ、受け手の中小企業さんの場合、そうした仕事がないとか、教 える余裕がないだとか、処遇面でいい処遇ができないだとか、そういった御事情がある ように伺っております。そういったところで、サポートの強化ということで、原川委員 の方からもそういったサポート強化というようなお話しが出ておりますので、いろいろ な納付金制度を原資とした雇用支援制度というのは、企業の規模に関わらずお使いいた だけるので、やはり今まで納付金の対象でなかった企業についても、強化をするという のであれば、応益負担という形で、また、企業の規模数にもよると思うのですけれども、 そういったところで少し負担をしていただくということが、現状としては妥当ではない かという印象をもっています。 ○座長  ありがとうございます。他にどうでしょうか。どうぞ。 ○原川委員  前回も申し上げましたので、くどくど言うのはもうやめますけれども、これは一体何 のためにとるのかということを、取る方として、きちっと認識する必要があると思いま す。要するに、雇用率を達成していないところは楽をしていて、頑張っているところは 苦労をしていて、楽をしているところはけしからん。そういう格差というのは公平でな いから、それにペナルティーを課すというような理屈があると思いますけれども、前回 言いましたように、例えば、ただ単にペナルティーだけなのか。あるいは、後半にも書 かれてあったような気がするのですけれども、負担をしている企業に、少しでも負担を 和らげるために、その原資として差し上げる。それをペナルティーをとったところから、 努力しているところに差し上げる。というような意味を合わせているような印象で私は 受け取ったんですけれども、そういうことなんでしょうか。 ○座長  最後のところがちょっと分かり難かったので、もう一度言っていただけますか。 ○原川委員  要するに、1つはペナルティー。もう1つは、さっきおっしゃったように、障害者雇用 政策にはお金がかかる。だから、そういうお金の原資が要る。その原資を調達する必要 がある。だから、楽をしている企業からペナルティーとしてとって、努力している企業 にそれを補填する。要するに負担を軽減する。そういう考え方がどこかであったような 気がするんですが。 ○座長  今、原川委員のおっしゃられたことは、別に中小企業だろうが大企業だろうが、全く 同じ問題です。 ○原川委員  そういう制度になっているわけですね。 ○座長  これは、何度も出ていますが、今日の資料4の一番最初に書いてあります。これ は基本的な考え方です。 ○障害者雇用対策課長  今、座長からお話しがありました通り、資料4の1ページ目にこの制度の基本的な考え 方の整理をさせていただいております。1つは、障害者雇用については、やはり現実の 問題として、経済的な負担という部分があります。そこで、元々障害者雇用促進法では、 企業の規模に応じて一定割合の雇用機会を確保していただく。それを企業全体の社会連 帯の責任のなかで履行していただくという制度をセットしているわけですので、その社 会連帯責任を経済的側面から以降できるようにしていこうというのが、この制度だとい うことでございます。その具体的な姿としては、その次の段落に書いてございますよう に、法定雇用率未達成の企業から納付金を徴収して、達成をしているところに調整金を 支給するというのを基本的な仕組みとして、これによって経済的な負担の平等化のため の調整を図るということでございます。今の原川委員の御質問にお答えするとすれば、 まず、納付金はペナルティーではないということでございますし、それから、障害者雇 用そのものを進めていただくための原資を調達しているということでもなくて、元々経 済的な負担のバランスが、達成、未達成によって崩れているところを調整をさせていた だいているというのが、この制度ではないかと思っております。 ○原川委員  よく分かりません。 ○座長  いや、もうこの通りだと私は思います。ですから、非常に重要な点は、中小企業であ ろうが大企業であろうが、それは関係ない話です。ただ、前回出てきた、この制度によ って雇用率に対しては、やっぱりかなりの影響があるということは、今回出していただ いた資料7ということになりますが、これについては、いいかなという感じがしますが。 ○原川委員  ただですね。その辺についても言わせていただきたいんですが、さっきの色のついた 資料7の4ページで、要するに300人を境にして、上と下を比較しているということなん ですけれども、これは、もちろん先ほど輪島委員がおっしゃったようなことで言うと、 制度を30年やってきて、301から333人のところが、これだけかという感じもするんで すね。要するに、例えば、達成企業数が301人以上でも40%しかない。未達成企業が60% ある。これこそもう少し深く分析して、それは、納付金をとられるのが嫌だということ もあるかも知れませんけれども、お金で解決すればいいんじゃないかという考え方があ るんじゃないかということも考えられますので。 ○座長  解決しなければいけないことが100あって、そのうちに、この制度でやると、せいぜ い、例えば、40ぐらいまでしか解決しなくて、60は残ってしまっている。ただ、この40 だけのなかを見ると、効果があった。効果があったということではいいですか。ただ、 あと60は残っているけれど。今のは、そういう解釈ですかね。 ○原川委員  何故60が残っているのか。 ○座長  60は残っていますよね。だから、他の方法もいろいろ考えないといけませんね。で も、40ぐらいのなかでは、これは50でもいいんですけど、そのなかでは、これの資料 では、やっぱり効果はあったかなというふうに見ればいいですか。 ○原川委員  でも、納付金の対象になっていない300人から下のところも、35%はちゃんとやって いるわけです。 ○座長  ですから、相対的な問題ですね。 ○原川委員  だけど、あまりにも、その差はそれほど大げさに議論するような差ではないような気 がするんですね。 ○座長  この差がね。 ○原川委員  はい。そこをどういうふうに分析するかということを検証してくださいと言ってい る。 ○座長  本当は、我々研究者がやれば簡単なんですけど。ちょっと統計的にやって、差がある かな、どうかなと見る。多分、これは統計的にやると、差が出てしまう。 ○原川委員  そういうふうに、単純に割り切らないでください。 ○座長  分かりました。それでは、どうぞ。 ○倉知委員  この研究会は、要するに中小企業の雇用率をどう上げていくのかということであって、 「雇用していないからけしからん。だから、納付金をとれ」ということではないと思う のです。どうも、納付金をとる、とらないという議論になっているような気がするので すが。そうではなくて、納付金の免除を外すことで、障害者雇用に意識を高めてもらっ て、雇用してもらいましょうということだと思うのです。雇用しないことを前提にする と、納付金はとられる。でも、雇用すると納付金はとられないわけですから。当然、そ んなに議論すべきことではないという気がするのです。何故、お金をとることを前提に 議論をしているのか、私にはよく分からないというのが正直なところです。 ○座長  では、どうぞ。 ○森戸委員  研究会なので理屈を話していいですか。一応、枠組みとしては、雇用率は今でも全体 の企業にかかっていて、そして、暫定的に中小企業には免除している。法的な枠組みと しては、それが前提です。そうすると、枠組みとしては、何故ここだけ免除があるのか ということの説明が要るわけです。それが、資料3の13ページとかがちょうどいいのか なと思いますが、創設当時の理由としては、中小企業の経済的負担能力、それから、全 体として雇用率が結構よかったということが上がっているわけです。これから出発せざ るを得ないのかも知れないですけれども、これ自体、よくよく考えると、まさに中小企 業でも大企業でも実状をみるべきだという話に繋がりますけれども、中小企業の経済的 負担能力は厳しいだろうなというのは、何となくそれはそうでしょうけど、個別にみれ ば、小さいから駄目で、大きいから財政的にいいとかいう問題でもなくて、個別な話に なります。必ずしも線は引けない話だと思います。  それから、もっとおかしいのは、当時の話を別に批判してもしょうがないですけど、 中小企業は全体として雇用率を達成しているから義務を課さなかったというのは、それ は、もしそうだったら、中小企業全体として雇用率が高いのに、低いところにはなおさ ら負担をかけてもいいという話になるはずなんですよ。みんな達成できているのに、で きていないところがあるとなれば。だから、ここをあまり前提としてしまうと、いろい ろおかしな気もするので、要するに、現在、何故中小企業について特に免除すべきとす れば、何故なのかというところを考えないといけないと思うんです。もちろん、これは ベースになるでしょうけれども、そうすると、何故かというと、結局は、今までずっと 対象になっていなかったからというのが一番大きな理由なんですよ。でも、それは大き なことで、急に払えとか、急に対象にするとか言われても、準備もできないし、それは、 何ということのない理由ですけれども、非常に重要なことです。  だから、枠組みとしては、もし負担をかけていくにしても、非常に緩やかな経過措置 が必要でしょうし、それから、いろんな指導とかサポートとか、どういうふうにしたら いいか。まさに今、倉知委員がおっしゃったように、お金をとることが問題ではなくて、 雇っていくためにはどうしたらいいかということに関しては、かなりこれまで何十年か けてこなかった以上は、何年もかけてそのサポートというのは必要だと思います。ただ、 それはそれで、枠組みとしては、一応原則は、みんな雇用率がかかっているんだよとい うところは、法的な枠組みとしては動かせないという気がするので、そこの出発点は忘 れてはいけないのかなと思います。  もう1点は、そうは言いながら、やっぱり経済的な負担というのは重くなる可能性は あるので、現実に中小企業の経済的負担が重いとすれば、では、経済的負担が重いんだ から、経済的なことの負担以外での負担というのは、もしかしたら負えるのかも知れな い。そうすると、例えば、指導とか監督をして、雇い入れ計画を出させて、でも、そう いうのもいい加減だ。企業名を公表しますよとか。今の枠組みはそういうのは一応あり ますね。何か、そういう行政的な指導とか、措置とか、そのものでもなくてもいいです が、そういう方向で、少しもうちょっと厳しく雇用率を達成していくように、少し尻を 叩くような、指導、サポートという面だけでなくて、少しそっちの、若干やや厳し目の 指導をかけていく。  経済的負担の話をしているのに、違う話をするのは恐縮ですが、そこだけでなくて、 経済的でない方向でも、何か中小企業にもっと頑張ってもらうような措置はないのかと いうことです。これは、結局、他のポイントに関わってくるんでしょうけれども、それ も一緒に考えないといけないのかなと思います。以上です。 ○座長  ありがとうございました。小林委員、どうぞ。 ○小林委員  倉知委員と今の森戸委員の御意見には、基本的には私も同感だと思っています。いつ でしたか、何回目かのときに言った覚えがあるのですが、雇用率に達していない場合に、 そういう企業の場合、納付金を払っておけばそれでいいんだ。むしろ、障害者を雇用し て、いろいろ厄介なことを抱えるよりも、お金を払って解決がつくなら、というような ところが結構あると聞いているわけです。そういうことを考えると、なおのこと、この 納付金制度というのはどうかなという気がしております。  それから、先ほどの事務局のペナルティーでないという考え方については、それなり に理解はできるわけですけれども、それならそれなりに、もう少しペナルティーでない というふうに理解できるような書き方をしていただきたい。どう考えても、ペナルティ ーですよ。そうとしか思えないというとちょっとオーバーかも分かりませんけれども、 大方の方が、やはりペナルティーだというふうな印象をもつのではないかと思います。 以上です。 ○座長  どうぞ。 ○藤原委員  こんなたとえ話をするとおかしいかも知れませんが、道交法が改正されまして、酒酔 い運転がまた厳しくなりましたね。実は、私は飲食店を経営しているんですが、郊外型 の居酒屋というのは大打撃です。しかし、全体からいえば、やっぱりお酒を飲んで運転 するのは、殺人の危険性があるわけですから、これはやめなければいけませんね。今回 も、そんなことで、女性の仕事が職場でどんどん進んだと同じように、障害者もこれか らどんどん進むという方向性が間違っているならば、それは仕方がありません。間違っ ていないとすれば、その方向に進むように、今の免除がなくなって、大企業と同じよう な土俵に立って、商売ではお客さんは大企業だとか区別していませんから、だから、や っぱり同じ土俵でやって、障害者雇用が進むという方向性を進めて欲しいと思います。 ○座長  どうぞ。 ○金子委員  私はやっぱり、今300人以上の企業が雇用率がよくなってきているとはいっても、300 人以下のところが落ち込んでいるというのは、それはいろいろと経済的な理由とかある と思うのですが、やはり公平に負担していただくという考え方がベースになければいけ ないと思うのですね。簡単ですけど、以上です。 ○座長  どうぞ。 ○小川委員  よろしいですか。金子委員が今おっしゃったことと私も全く同じですけれども、障害 者がやはり社会のなかで暮らしていけるような制度というふうにも考え直していくと、 この納付金制度は、やっぱりきっちり守っていただいて、障害者も、精神障害者もです ね、親御さんがいらっしゃるうちは働くという指導もできますけれども、社会全体でや はり障害者雇用ということを理解し、協調しながらやって欲しい。社会のなかで共生し ながらという共生社会の時代では、どうしてもこの納付金制度は守って欲しいと思いま す。 ○座長  では、村上委員。 ○村上委員  納付金制度についてなのですが、私は300人以下の企業の数がこれだけ日本で多いの だから、中小企業が多いということでいえば、そこのところで障害者の雇用を確保して いくことがとても重要であると思います。そのためには、やはり中小企業の方が本気に なるような制度にしていかなくてはいけないのではないかと思っております。組合の関 係者なんかにも聞くと、中小企業では障害者雇用促進法なんかあんまり意識されていな いというようなこともありまして、データはきちんとしたものはないんですが、そのよ うな声も聞くところであります。やはり、納付金制度は300人以下にも拡大していくべ きではないかと思っております。また、資料5にイメージ図がありますが、ここの法定 雇用数は超過しているけれども、給付がない300人以下の企業に対して、調整金を支給 していくことが大事ではないかと思っておりまして、そのためにも、納付金の方も併せ て負担していただくということが必要ではないかと思います。 ○座長  輪島委員、どうぞ。 ○輪島委員  少し質問ですが、資料4のところの、37,000円ですけれども、3ページのところにその 特別な費用ということで、項目が出ておりますけれども、これのシェアといいますか、 賃金にどれぐらいなのか。福利厚生とか教育訓練というのは、そんなにかかるような感 じはしないと思うのですが、分かるのであれば、その37,000円のウェイトみたいなもの が分かったら教えていただきたいと思います。  それから、資料の読み方をちょっと教えていただきたいと思いますが、資料の5と6の 関係ですが、今、村上委員もおっしゃった通りのところで言うと、上の段では、納付金 対象63,7%の企業から徴収をして、経済的負担の調整を、過不足0というのを挟んで、調 整金を払っています。それから、300人以下のところで報奨金を払っているけれども、そ れは4%または6人の非常に高いところに払っているので、法定雇用数を超過しているが給 付なしというのが20.4%あります。ですから、ここは、まさに法定数をクリアしていて、 もし左側で、納付をしていても、給付がもらえているはずだけどももらえていないとこ ろが20.4%あるということを割合で示している。それを、いくらになるのかというのを、 資料6で見ると、規模別にあるので、上の段の納付金で、201人から300人のところを見る と、実は、もし仮にとろうということになると、(4)のところの、70億が追加徴収になっ て、(2)の調整金の200人のところを見ると、17億円出ていきます。ただ、右側にあるよ うに、実際には報奨金しか出ていないので、3億円しか実際には出ていないので、実は 14億円は、本当は出ていいんだけれども、出ていないというところがある。そういう意 味合いで101人のところでいうと、111億集まるけれども、43億出ていくのが、9億しか 出ていない。そういうふうに読むということですね。  なので、実際に、雇用しているところがあるけれども、もらっていないところも、差 額としてはこれだけの額がある。プールされているかどうかは分かりませんが、出るは ずのものが出ていないという構造があるということも、一方の事実だということですね。 ○座長  2つありましたね。 ○障害者雇用対策課長  まず、前者の特別費用の点なんですが、これは大変恐縮ではあるんですが、調査をし た時点が平成13年ということで、ちょっと遡ることになってしまいました。この内訳と か、詳細について整理できるようなデータがとれないかいろいろ探してみたのですが、 ない状況でありまして、大変申し訳ございません。恐縮でございます。  それから、2点目の点は、これは輪島委員がおっしゃった通りに見ていただければと 思っておりますが、特に資料6の方は足し上げを書いていないので、非常に分かり難い 点があって申し訳ありません。あと、もう1つは、調整金の方は、調整金対象企業数に 含まれる企業は、資料5との関係でいきますと、20.4%と、それから報償金の1.5%も含 んで対象になる、つまり、報奨金が支給対象に既になっているところも含んだ数が、 資料6の(5)には出てきているということもあって、ちょっとそこは綺麗に整理ができて いなくて、大変恐縮でございます。見方は輪島委員がおっしゃった通りでございまして、 申し上げれば、20.4%のところというのは、法定雇用数を超えた雇用をしていただいて いるけれども、その部分については、費用をいわば自社で負担をしながらやっていただ いているという状況になっているということでございます。 ○輪島委員  今のところで、これまでの議論のなかで議論をしていないということが、経過措置も 含めて、もう1点、徴収方法ということがあると思うのですね。昔、平成10年ぐらいの ときにも、一度経済的負担の調整の議論をしたときに、徴収コストという話と、徴収方 法ということが議論になったと思います。今は、ある意味で、全く別枠で、障害者雇用 促進法のなかに納付金制度というのを位置づけて、それに伴って、徴収の方法と、それ をファンドにして報奨金、調整金、助成金を出している仕組みです。企業側の感覚から いうと、それだったら、労働保険と一緒に徴収をするであるとか、または、法人税と一 緒に徴収をするであるとか、そういうようなコストの関係ですね。徴収の方法について も、一定程度議論をしていただきたいと思います。まず、基本的に、今の徴収方法と、 それから、伺っているところによると、やっぱり301人以上の今の納付金の徴収率はほ ぼ100%だと聞いています。変な話ですが、そこのボーダーを下げたときに、徴収コスト と、今70億で、皮算用なのかどうか知りませんが、入ることになっていますが、本当に 入るのかどうかは、実はあまりよく分からない話ではないかという実態面もあると思い ます。その点も別途議論していただきたいと思います。 ○障害者雇用対策課長  納付金の徴収につきましては、この制度を運用している独立行政法人高齢・障害者雇 用支援機構で徴収業務を行っているわけでございます。当然、御指摘があったように、 徴収の効率化ということは、しっかり考えていかなくてはいけないだろうと思っており ます。御提案のあったように、労働保険と合わせてというような部分もありますが、そ れは制度面でも、中長期的にというとちょっと失礼なんですけれども、やっていく1つ の要素かなとは思うわけです。ただ、この納付金の制度の点で1点特徴的な点を申し上 げますと、現状でも、納付金の徴収のための申告と、それから調整金をお支払いするた めの申請については、在宅就業への新しい制度をつくったことをきっかけに、連動した 形に今なっています。従って、納付金の申告、助成金の申請、これを同じ時期に、どっ ちかに該当するか、あるいは0なので、どっちにも該当しないという整理になってくる のですが、何れにしても、合わせて出していただくという制度になっているために、給 付の面と切り放して考えるということは、なかなか難しい面があるかなと思っておりま す。 ○座長  藤原委員、お願いします。 ○藤原委員  ちょっと情緒的な話になりますが、堀江委員が言われたように、中小企業は地域に密 着しているということで、そこで雇用されますと、地域の人の目につくわけですね。大 企業でも特に製造業でしたら、塀の中で雇用されている。これは、地域の人の目につか ないということですね。ですから、私たちは、やっぱり障害のある人が地域で生き生き としている生活を、市民の人に見てもらいたいという思いもありますので、そういう意 味において、中小企業に雇用されるということは、私の理想とする1つの姿になるとい うことで、ここら辺を頑張っていただきたいなと思っています。だから、中小企業の方 がやる気が出るような、そういう報告書になったら有り難いなと思っています。 ○座長  どうぞ。 ○原川委員  ちょっと先ほど質問で結論的なことを言わなかったので、前回と同じように、藤原委 員がおっしゃったように、雇用促進すること。目的は、雇用を促進すること、あるいは、 雇用を拡大することであれば、むしろ、これからの中小企業の雇用への取り組みを進め る推進力、積極的なプラスの方向での推進力をつけるということが必要であって、先ほ ど、事務局の方からペナルティーでもないし財政的な支援でもないというようなお答え がありましたけれども、やはり、私はペナルティーであり、田舎に昔は「でぶそく」と いうのがありました。草取りとか、草むしりとかを村で出てやるのを嫌な人がお金を出 して、自分は参加しないというのがありました。今も田舎ではあると思いますが、そう いうことと同じで、前回、モラルハザードといったのは、そういうことなんです。要す るに、自主的に地域のなかで自立をしたいといっている人がいるということであれば、 それは、そういう自立をしたいという人の力になるというような仕組みをつくるべきで あって、かえって水をかけるようなペナルティー的なことをやるということは、私は中 小企業の立場を越えても、プラスにならないと思います。プラスにならない逆効果だと 思っています。それで、この納付金制度で、例えば、お金がかかるから、たくさん雇っ て頑張っている人に少しでも援助するんだという考え方があるとすれば、それは、この 納付金制度と矛盾するということがいえると思います。要するに、この制度というのは、 あくまで過渡的な制度であって、もし雇用が完全に達成されたら、この制度はなくなる わけですよね。そうすると、そのときに、それでは今まで恩恵を受けて、たくさん雇っ た人について支援をするといったとき、誰から徴収するのかという問題が出てくるわけ ですよ。じゃあ、そういう恩恵がなくなったから、やめてしまうということにもなりか ねない。だから、この制度が万能なものではないし、かえって、もう少し企業の実勢と か、社会的責任、単なる能書きの社会的責任ではなくて、地域で生きる者の務めという か、そういうようなことで、前向きな環境整備、雇用の推進力をつけるような支援をし ながらやっていくというふうなことの方が、私は国のやる政策としては筋が通っている と思います。 ○座長  今おっしゃられたのは、先ほどと同じなのですけれども、別に中小企業特有の事情で はないというお考えでの発言ということですね。中小企業特有の事情であるということ ではないという意味での発言だと受け取ってよろしいですか。 ○原川委員  どういうことか、よく分かりません。 ○座長  つまり、今おっしゃられたことは、別に中小企業だろうが、大企業だろうが、一緒と いう意味ですか。 ○原川委員  今のことは中小企業についてです。要するに、大企業にも通じることかも知れません けれども、今、拡大の話をしていますから、本来だったら、制度の必要性ということに ももちろん疑問をもっているわけですけれども、今、拡大をすべきかすべきでないかと いうところで、最後に一言言いたいと思いましたから、それは、例えば、ズルをしてい る人ばっかりではないということもありますから、いろんな事情があって、それはそう いうことをやりたいけれども、できないという人もおりますし、いろんな事情があって、 一律にただ単に、お前はそういう得をしている、努力をしていないとか、そういう決め つけ方で、何かペナルティーのようなことをするのは、これからの雇用の促進というこ とを考えると、マイナス効果ではないかと考えています。 ○座長  佐藤委員、どうぞ。 ○佐藤委員  中小企業の経済的な負担能力の話で、発足当初の話を何回も申し上げて恐縮なのです が、今、非常に厳しいということをもう一度強調させていただきたいと思います。それ で、最初の方の提案の話でありました、雇用率の推移の分析のところで、原因を調べる 必要があると申し上げましたけれども、これも関係ある話なんですが、じゃあ、かつて 高くて、今落ちた、中小企業にとってこの間の年代というのは、開業した数より廃業し た数の方が多かったので、どんどん企業は潰れています。もし、その潰れていた企業に、 そこで働いておられた障害者の方が比較的多かったのであれば、それが反映して雇用率 が下がってしまったのかも知れない。それは分かりませんけれども。そういう意味でも、 何故下がったのか分析していただきたいし、いろいろ今日お話しを伺っていても、やっ ぱり意識がないから雇わないんじゃないかというのが、どうも前提としてあるのではな いかと思います。そうかも知れないですが、そうではないかも知れない。そこの分析は 必ずしもされていないのではないかと私は思っています。中小企業で障害者の雇用を拡 大することが目的だとどなたかおっしゃいましたが、その通りだと思います。ただ、だ から納付金の対象拡大だという話では私はないと思っています。 ○座長  ありがとうございました。それでは、この経済的な負担の調整については、大分議論 をしていただき、御意見もいただきました。前半の骨子案について議論をいただいて、 アイディアをいただきました。ですから、骨子案でやった部分はそれを踏まえるという ことでいきたいと思います。もう1つは、後半で、経済的負担の調整については、前回 と今回で大分議論をしていただきました。その2つを踏まえて、次回に最終報告の全体 像を御議論をいただきたいと考えております。その段取りで進めたいと思っております ので、よろしくお願いします。ですから、事務局の方も、そういう形で一応報告書案を 考えていただきたいと思います。  それでは、これからの日程等の連絡をしていただけますか。 ○事務局  次回は、7月31日、火曜日、14時から16時で、場所は厚生労働省6階の共用第8会議室 を予定しております。また、お手元に次回研究会の出欠確認の用紙を配布しておりま すので、できましたら今御記入いただいて、お帰りの際に机の上に残していただくか、 7月6日、金曜日までにFAXで送信いただくようお願いいたします。  また、前回第8回研究会議事録の未定稿を配布させていただいております。内容を確 認いただいた上で、ホームページで公開したいと考えております。メールでも同じもの を御案内いたしますので、御意見等ございましたら、7月6日、金曜日までに事務局宛に 御連絡ください。以上です。 ○座長  最後に、今日の議事について、議事録を公開するということで、御承認をいつもいた だいておりますが、よろしゅうございますでしょうか。(「異議なし。」)では、公開 ということにさせていただきます。それでは、今日の研究会は終わりたいと思います。 ありがとうございました。 【問い合わせ先】   厚生労働省職業安定局 高齢・障害者雇用対策部   障害者雇用対策課 雇用促進係   〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2   TEL  03(5253)1111(内線5855)   FAX  03(3502)5394