07/06/21 第8回振動障害等の防止に係る作業管理のあり方検討会議事録 振動障害等の防止に係る作業管理のあり方検討会(第8回) 日時 平成19年6月21日(木) 15:00〜 場所 厚生労働省専用第12会議室 (5階) ○調査官 本日は大変ご多忙のところお集まりいただきましてありがとうございま す。ただいまから、第8回振動障害等の防止に係る作業管理のあり方検討会を開催 いたします。  最初に、委員の出席状況ですが、本日は吉村委員がご欠席で、そのほかの委員に はご出席いただいています。  次に、お配りした資料の確認をさせていただきたいと存じます。資料は別の綴り にしておりまして、1枚目に次第、その後に資料一覧がありまして、資料No.8-1とい う資料があります。前回の検討会はヒアリングを実施させていただきました。その 際にお話をしておりましたが、今後報告書をまとめさせていただくにあたって、前 回までの検討結果のたたき台としての概要をまとめたものが資料No.8-1です。本日は これに従いまして、今後の報告書に向けてのご議論を賜ればと思います。  その後に資料No.6-4を付けております。これは第6回の会議に付けた報告書の目次 案です。まとめの都合上、若干、変更等をしたほうがいいのではないかと思われる 部分がありますので、後ほど説明させていただきます。  今回の配付資料は以上ですが、参考といたしまして、委員の先生方には第1回の 検討会資料、今までの振動障害防止に係るさまざまな関連資料をまとめたものをお 配りしておりますので、参考にしていただければと思います。  なお、開催のご案内をお送りしたときには、議題を「検討会報告案骨子について」 とさせていただきましたが、骨子という形ではなく、「これまでの検討の概要につい て」という形で今回書いております。これまでの検討概要について、資料No.8-1の中 で、まだ一部ご議論いただく部分もありますし、また、ご意見としていただく部分 もありますので、まとまった骨子という形ではありませんが、一応、たたき台とい う形でこのようにまとめさせていただきましたので、今後まとめていく上でのご議 論をいただくということで、議題の名前は変更させていただいております。  それでは、議事に入りたいと思います。座長、よろしくお願い申し上げます。 ○相澤座長 早速、入らせていただきます。今日はお暑い中、お集まりいただきま してありがとうございます。いまご説明がありましたが、「これまでの検討の概要に ついて」ということで、本日は議論をしていただきたいと思います。それでは、事 務局から資料が出されておりますので、その説明をお願いいたします。 ○調査官 事務局から説明させていただきます。まず、資料No.6-4です。この1から 6の項目までにつきましては、第6回の資料No.6-5のたたき台としてまとめまして、 委員にすでにお示ししているところです。この部分につきましては、各委員から随 時ご意見等を頂戴しておりまして、必要な訂正等を行っておりますが、本日はその7 番「今後の対策の方向」、8番「今後の課題」につきまして、これまでの検討結果概 要をまとめておりますのでご検討いただければと思います。  このまとめにあたりまして整理をする際に、資料No.6-4では(1)が「規制値」、(2) が「表示」、(3)が「その他」というようにまとめております。よりわかりやすい方 向でまたご意見をいただければと思いますが、「今後の対策の方向」の所、今日の資 料No.8-1では、I「表示」に関すること、II「作業管理」、III「その他」という形で まとめさせていただきまして、できましたら、報告書に関しましても(1)が「表示」、 (2)は「規制値」ではなくて「作業管理」、(3)「その他」という項目でまとめたほ うがわかりやすいのかなと思いますが、またご意見を賜ればと思います。今日の資 料はそういう形でまとめさせていただいております。項目に関してはよろしいでし ょうか。 ○相澤座長 いまご説明がありましたが、Iが「表示」、IIが「作業管理」、IIIが「そ の他」という項目で書きたいということですが、よろしいでしょうか。 (了承) ○相澤座長 それでは、結構だと思いますのでよろしくお願いします。 ○調査官 それでは、資料No.8-1につきまして説明いたします。先に申し上げており ますが、この中で下線部を引いている所があります。それに関しましては、前回ま での検討を踏まえ、また、今回ご議論あるいはご確認を要するかと事務局で思った 所です。それ以外の部分につきましても順次ご説明してまいりますが、追加のご意 見等がありましたらいただければと思います。  まず、「表示」ですが、1番の「振動値の表示を要する工具」です。これは「表示 対象工具」と書いてありますが、これは基本的には(1)という所で、また後ほど今 後の検討の中で畝山委員からご指摘があった見直しについて書いてありますが、現 状におきましては、現在、ご覧の課長内かん等で示された工具、これは6回目の資 料で一覧表をお配りしておりますが、これを原則として「振動値の表示が必要な工 具とする」ということです。  (2)は、振動値が2.5メートル毎秒毎秒未満の工具に関しては、その表示あるい は説明書の表示等については2.5メートル毎秒毎秒未満である旨の表示で足りると いうことです。  それから、対象期間に関しては、これは労働者が取り扱う表示対象工具というこ とでありまして、特にそれが輸入であるかプロ仕様であるかという仕様、あるいは 輸入・国産ということは問わず対象とするということです。  2番の「準拠規格」です。これもご議論いただいて一定の方向性を得ていると思い ますが、表示をする振動値を測定するにあたりましては、原則として、表示対象工 具ごとに、JIS、ISO、EN等の順で適合する。つまり、国際規格に準拠した国内規格 JISがあるものはそれを最優先としまして、あるいは国際規格、さらには、単に広く 使われている規格ということでEN規格の順で適合するということです。それから、 この振動工具の中でも、これらの国際規格あるいは広く使われている規格などで対 象となっていないものもあるということですが、こういう工具については、上記の 規格に基づく型式の測定が行いにくいものに関しましてはJISB7761-2、これは現地 での測定法ですが、これを使うこともできるということであったと思いますが、そ のように書いております。このJISB7761-2の取扱いはこういう形でよろしいか、と いうのはご意見をいただければと思いますが、一応、今までの議論の中ではこうい う規格の位置づけであったと思っておりまして、書かせていただいているところで す。  測定に関しましては、原則3軸同時測定(又は3軸順次測定)を行うということ で、3軸測定を原則とする。  振動値に関しましては、周波数補正振動加速度実効値(3軸合成値)、それぞれの 測定法に応じてこの合成値を表示するものとする。  表示すべき箇所につきましては、工具本体に表示することをはじめ、取扱説明書 等にも併せ表示をすることが望ましい。  すでに流通している表示対象工具につきましては、工具本体に改めて表示するこ とは困難ですので、振動値をユーザー向けに公開するなど、情報提供をしていただ くことが望ましいということです。  「換算・互関性等」につきましては、前回にもお話が出ましたが、1つはISO8662 等の基準に基づいて振動値を測定したもので、単軸により測定した結果、いわゆる XYZの3軸方向ではなくて単軸だけ測定された結果の工具につきましては、一定の換 算を行うことによりまして、3軸合成値相当値を求めることを可とする。  チェーンソーに関しましては、前回も委員からご意見を賜りましたが、現在、私 どもの構造規格の告示に基づく測定法が定められていますが、通達で刈払機も同様 の測定法で行うとされておりますが、これに関しましてはISO等の国際規格に基づ いた測定法を取り入れた場合、一定の換算方法により整合性のある3軸合成値相当 値を求めることを可とするということだったと思います。  表示対象工具ごとの表示値ですが、それの最大限度値は設けないこととするとい う議論だったと思います。  これらを踏まえまして、ここに二重線が引いてありますが、構造規格では、チェ ーンソーについて、前回少しご議論があったと思いますが、振動加速度の最大値、 いわゆる、その機械の振動加速度の最大値を規定しておりまして、3Gという値を規 制値として設けております。しかし、この値に関しましては、現行の測定法でいう ピーク値を基に出したものでありまして、周波数補正をした数値と直接リンクする ものではないということです。これをどうするかという話の中では、それは直接適 用できないのではないかという議論があったと思いますが、今後これにつきまして は、廃止することも含めて見直しをする必要があるのではないかということで、そ ういうご意見でよろしいかどうかのご確認です。  それから、「作業管理」という表題にさせていただきました。「作業管理の原則」 ということで、この作業管理の中で(1)が今回の協議の発端でもありますが、ISO の考え方に基づいて、EU等において行われているA(8)、これは日振動ばく露量、1 日8時間当該工具を使う場合のばく露量による評価、あるいは振動ばく露対策値、 振動ばく露限界値といった考え方を取り入れることが適当であるということです。  (2)ですが、EUの規制及び考え方等を参考として本検討会で検討していただいた ところ、振動ばく露対策値は2.5メートル毎秒毎秒、振動ばく露限界値は5メート ル毎秒毎秒とすることが適当と考えられる、ということでご議論いただいていたと 思います。  (3)ですが、A(8)は振動ばく露限界値を超えないように作業時間を定めるもの とする。ここで言う振動ばく露値は(2)にあるとおり、5メートル毎秒毎秒とする ことが適当と言われておりますので、これを超えないようなその工具の持つ振動値 に応じて時間設定をしていくということです。  (4)ですが、A(8)が振動ばく露対策値以上となる場合、ここで言うと2.5です が、振動ばく露対策値以下に近づけるよう作業時間の抑制及び低振動工具の選択に 努めるものとするほか、ここで言う作業時間の管理以外に関しましては、例えば連 続使用時間であるとか、そういうことに関しましては、昭和50年10月20日付けの 振動障害防止の対策指針に基づいて対策を講じるということであったかと思います。  (5)ですが、振動値が非常に大きい工具の場合は、作業時間が極めて短くなると いうことになりますので、その場合は、イギリスで行っているA(8)weekという1 週間当たりの振動ばく露値という総量的な概念を取り入れることも考えて、特例と して、1週間単位の総ばく露量の考え方で評価することも可とするというご議論だっ たと思います。  2ですが、「振動値とA(8)」です。これはご議論があった中では、作業現場にお いて実際に作業をしているときの振動値を測定する、いわゆるエクスポージャー側 で測定することが望ましいということですが、現実的にはその箇所で測定すること が困難ですから、1番の所に「表示」という項目を入れておりますが、原則として表 示対象工具に表示された振動値を基にA(8)を計算するということです。  3の「作業時間とA(8)」ということにつきましては、(1)ですが、A(8)の考え 方を導入し、振動ばく露対策値や振動ばく露限界値を定めることによる作業時間規 制に加えて、いわゆるA(8)で、例えば5だと5メートル毎秒毎秒の振動加速度の 工具は理論的には8時間使えることになりますが、それに加えて、1日の作業時間の 上限を、日本産業衛生学会等のご意見を踏まえて設けるのはどうかということで、 今まで産業衛生学会の意見としては4時間以下に抑えることが望ましいということ であったかと思いますが、そこら辺の考え方について、もう一度ご確認をさせてい ただきたいと思います。  (2)、これも前回に確認させていただきましたが、表示対象工具を複数使う場合、 すべて2.5メートル毎秒毎秒以上の場合はその換算値を示しておりますが、2.5メー トル毎秒毎秒を下回る工具と併用する場合におきましては、表示が2.5メートル毎 秒毎秒未満という表示でいいわけですので、これは(3)にも書きましたが、これも その評価に含めるとともに、2.5メートル毎秒毎秒とみなして計算をするということ です。前回はこういうご意見をいただいたと思いますが、これでよろしいかという ことです。  4番目が「作業時間と管理」ですが、今まで2時間一律の基準を設けて作業管理を していたわけですが、このA(8)の考え方の中では、振動工具の振動加速度に応じ て時間が決められてきます。また、先ほど申し上げましたように、複数の機械を使 う場合は、それぞれの数値を評価してトータルの使用時間を出す形になりますが、 そういう管理をする上においては、使用する表示対象工具及びその振動値に基づい た作業者の作業時間の管理計画を最初にきちんと立てることと、その結果をきちん と記録することが大事であろうということで、「作業時間と管理」という項目を挙げ ております。  5番目に「保守管理」ですが、2の「振動値とA(8)」の所で、表示されている振 動値を基にA(8)を計算すると書きましたが、表示されている振動値はあくまでも 出荷時の値ということです。作業後、適切にメンテナンス等をされていれば、その 振動に関しては良好に維持されるのかと思いますが、これは畝山委員からご意見が あったと思いますが、作業管理が悪いと振動値が変化することが考えられます。悪 化することも考えられるということで、適切な保守管理を行うという記述を加える ことはどうかということで、ここもご提案をさせていただいております。  それから、IIIの「その他」の所です。その他に関しては、1つ目は「騒音」を入れ ております。騒音に関しましては、これも前々回あるいは前回にも確認させていた だきましたが、表示対象工具にあっては、振動値に加えて、騒音値も表示すること が望ましいわけですが、今回、振動値に関しては、作業管理、作業時間の管理につ なげるA(8)を出すために必須のものですが、騒音値は直接的に作業管理の指標に しにくいというご意見もありました。そういうことから、騒音値の測定表示は推奨 するものの、振動値の表示を優先するということでよいのかどうか。ただし、チェ ーンソーに関しましては、構造規格で義務づけられていますので、これは引き続き 義務づけということになろうかと思います  (2)ですが、メーカーが騒音値を表示するために騒音を測定する場合、騒音値に 関しては推奨するというレベルですので議論はあまりなかったかと思いますが、そ の場合は、測定に関しましてISO22868という測定の国際規格がありますが、こうい うものに準拠するということでよいのかどうか。現行、これもチェーンソー等に関 しましては独自の告示の方法を使っておりまして、これによってしか測定できない ような機関もある可能性もありますので、その辺の考え方をどうするかということ で提案しております。  (3)、表示に関しましては、騒音値も表示する場合は、同様の箇所が望ましい。  (4)、騒音対策は、基本的には「障害防止のためのガイドライン」に基づいて行 っていただくということです。  2の「質量」に関しましては、これも必須にするのではなくて、表示対象工具の質 量を、その機械に表示することを必須とするのではなくて、取扱説明書等に表示す ることでいいのではないかということで、「望ましい」という書き方をしています。  (2)、チェーンソーにつきましては、現行におきましても構造規格で義務づけら れておりますので、従来どおりとすることでよいかということで書かせていただい ています。  「今後の課題」です。資料No.6-4の8の部分になるかと思いますが、これに関しま しては(1)の所ですが、これは畝山委員からご意見をいただいているところであり まして、「表示対象工具」というところを「現行の指針対象の工具」とした場合に、 例えばレシプロソー等近年使用されてきている工具類が入らない部分もあるのでは ないかということでした。これに関しましては、その使用実態等の情報収集をして、 表示対象工具の必要な見直しを行っていくということで申し上げておりましたので、 ここに書かせていただいております。  (2)も、第6回に申し上げましたが、振動ばく露限界値等につきましては、例え ば産衛学会では暫定案が示されていますが、今後とも内外の情報に注目いたしまし て、新たな知見等が得られた場合については、必要な見直しの検討をすることが必 要ではないかということです。  (3)ですが、これは今まであまりご説明していなかったと思いますが、労働安全 衛生法の第28条の2の第2項に「リスクアセスメント指針」があります。これの中 で、基本的にそういう危険源の中には振動あるいは騒音なども含まれているわけで すが、こういうものを有する機械等につきましては、現行においても「機械の包括 的な安全基準の指針」というものが出ておりますが今後、この指針に基づく形で、 いま改正準備をされていると聞いております。この指針に基づくと、機械の製造者 の責任の中で振動・騒音という危険源を有する機械については、設計段階において その危険源をできるだけ少なくするような本質的な安全対策をとる。どうしても本 質的な改善対策がとれない部分で残留リスクとして残る部分については、ユーザー に対して、その残存リスクに関して情報を提供するという流れでの、いわゆる製造 者の責任の努力義務が定められた指針の改正の動きがあります。この中では、当然、 危険源で申し上げましたとおり、振動や騒音も入ってまいりますので、この概念で いくと、機械を特定せずとも、例えばこの検討会の中で2.5あるいは5という数字 がリスクを評価する数字として適当であるとされた場合には、それを1つの根拠と して評価されるのではないかというところがあります。これは、今後そういう動向 にも注意しながら、本検討会の結論等とも併せて、有効な対策の1つとしてこうい うものとの連携といいますか、こういうところも見ていく必要があるということで 書かせていただきました。  そのほか、報告書の議案の中では「その他」という項目がありますが、ここにつ きましては、また委員から提言をいただくようなことがあればいただきたいと考え ております。以上でございます。ご議論よろしくお願いいたします。 ○相澤座長 それでは、下線が引かれた所が4カ所ありましたが、それ以外の所で、 前回もご議論いただきましたが、何かお気づきの点がありましたらご指摘いただき たいと思います。 ○榊原委員 「振動値の表示を要する工具」の(1)になりますが、前に畝山委員が 話されましたが、いまの表示だと抜け落ちてしまうところが出てきて、また後で見 直して追加をするということになってしまうと思うのです。そういう点で、いまご 説明のあったいちばん最後の「機械の包括的な安全基準に関する指針」ですが、そ の考え方が昨年の改正のときに、EUの新しくなった機械指令にかなり取り入れられ ているということなものですから、そういう考えも最初から取り入れたものにして おいたほうがいいのではないかと思ったのですが、どうですか。 ○畝山委員 ただ、工具を限定してしまうことに関しては、大きく言って2つの問 題が出てくると思うのです。1つは、もし漏れた場合に、例えば、対象にする工具が 2.5メートル未満であっても2.5として計算する。これはいいのですが、漏れた工具 が例えば5メートル、8メートルと振動値を持っていたら、これは影響を与えないの かと。要するに、使う可能性のある工具すべてに関して振動値を表示しようという のが今のEUの考え方ですし、この機械の包括安全基準のベースになっている ISO12100、JISのB9700ですか、この辺りも、とにかくリスクを持ったものに関して はすべて対応しようということが前提ですので、少なくとも、動力工具というもの は振動・騒音に関してはリスクがないものはないわけですから、例えばこういう名 称のこういう範疇の工具だけを対象とするとなると、絶対に漏れが出てくる。その 漏れたものをどうするのだというのは未来永劫に付いて回りますから、私としては 現状の、例えば日本のメーカーにしても欧州、アメリカにしても、すべてを対象に しているわけですので、日本もあっさりそういう形にして、対象をこれにしてどう のこうのというよりも、動力工具はすべて対象にして、その中でどれだけの振動値 があるということをきっちり謳っていったほうが、ユーザーのほうも管理がやりや すいでしょうし、漏れがなくなる。  もう1つは、先ほど申しましたように、機械というのはどんどん進歩しています。 これは内輪の話でいくと、いま我々の所で新しい工具をということで検討を始めた ものがあるのですが、今まで現存する工具の範疇に入らないような工具をいま検討 しています。そういうものがポコッと出た場合に、またその時点で見直しをかける ということになると、これは手間としても、実際問題それが可能なのかどうかとい うことをまず考えますと、工具の縛りはもうやめて、すべての動力工具、それも手 持式もしくは手誘導式というふうに置き換えたほうがいいのではないかと私は考え ます。 ○調査官 「今後の課題」の所に書いてしまいましたが、「機械の包括的な安全基準 に関する指針」に関しましては機械を特定したわけではなくて、そういった危険源 を持つ機械すべてについて対象としているわけですので、むしろ、そういった考え 方の中で、いわゆるリスクアセスメントの考え方の中で、本対策についても考えた ほうがいいということですね。 ○畝山委員 はい。 ○相澤座長 動力工具という定義はしっかりしているのですか。手持の動力工具。 ○畝山委員 一般的には、例えばトンカチとかペンチ、プライヤーとか、人間の力 で動かすもの以外、要するに動力源を持った工具はすべて含みます。だから、大き いものから小さいものから、それこそ振動のとんでもなく大きいものから、ほとん ど振動を出さないようなものまですべて含みます。 ○相澤座長 どのぐらいの種類になるのか見当がつかないのですが。 ○畝山委員 電動工具でいいますと、我が社で現状生産しているものだけでいくと、 大きく分けてモデル別に分けていくと、今は大体600種類ぐらいです。これ掛ける、 例えばエアーエンジン云々がありますので1,000近い種類になるのではないですか ね。 ○主任中央労働衛生専門官 事務局からこのように提案させていただいたのは、包 括指針でメーカーがやっていて、これが理想形だと思うのです。大手のメーカーさ んならばそうできるのかなというのはあるのですが、小さなメーカーだと包括のほ うにすぐに入っていけるのかなということもありまして、とりあえず、今ある2時 間規制のものを固めてやってもらって、そして包括を入れていってもらったほうが 馴染むのかなということで、このような提案をさせていただいたのです。その辺り の状況は私どももわからないものですから、教えていただければと思いまして。 ○畝山委員 1つは、そういう段階を踏んでやっていくとなると、前段階に漏れたも のを次の段階で突っ込んでいくといった場合に、現在市場にあって使えているもの に関してはどうするのだというものが、また同じように持ってこられるわけです。 極端に言えば、昨日までは対象外だったから測定も表示もやっていなかった。今日 から対象になる。それでは、いま使われて表示がないものに関してはどうするのだ ということが、また同じ問題として出てくると思うのです。おそらく、日本のメー カーの場合、ほとんどのメーカーが輸出をやってみえると思いますし、欧州に輸出 していれば、振動・騒音値を入れないとCEマークが取れないわけですから、これは やっているはずです。海外メーカーも、欧州へ1台でも輸出をするということをや っていれば、これは機械規制に引っかかってきますから、測定・表示をやっており ますから不可能ではないと思います。  ただ、そういうことを一切やっていなくて、新規に日本にポンと出てきてそれを 始めなければいけないというメーカーがある場合に、これは初期に問題になりまし たが、直ちにその測定装置を揃えろ云々という方法がとれるのか、もしくは、公的 な場で測定をするような機関をつくるのかという議論は当然出てくると思うのです が、動力工具を使う人たちの安全面・健康面ということを考えれば、できるだけ早 急にすべての工具に対して謳って、この工具を使ったらどれだけの振動値があるか らこれだけリスクがあるということを判断して、例えば使用時間を規制する云々と いうことをやっていかないと、根本的な対策は難しいのではないかと思うのです。 ○前田委員 新しいマシーナリー・セーフティ・ダイレクティブでは、手に入る振 動を発生するものに対しては全部規制をかけてきているのです。ということは、工 具以外にペデスタルグラインダーで削るものから入ってくる振動も、ばく露につな がる可能性があるので、削る工具ではないのですが、グラインダーが回っていて引 っ付けるのですが、それも含まれてきています。そういう意味では、ここにも卓上 用研削盤があるのですが、そんなものも全部入る。要するに、手に入るものに対し てすべて規定して、3軸で測ってA(8)と比較するという話になってきていますか ら、そういう意味では、分けてやるということに対して難しいかなという気が私も しています。  それと、この「表示」の所の(3)で輸入・国産、プロ仕様すべて、要するに後ろ に文章がありますが、「主に労働者が取り扱う表示対象工具」となっていますが、労 働者が使う工具というのは、上の(1)で挙げている工具以外のものをもっと使って いる可能性があるとなると、ここでこの縛りにしてしまうとすごく限定されて少な くなる可能性があるので、後ろの包括的基準で、工具メーカーといいますか、そう いうものを製造しているメーカーとしては、労働者の疾病を防ぐという意味での責 任もあるわけですから、全部やる方向でという気はするのです。 ○榊原委員 そういう原則を最初からはっきり打ち出したほうが、かえってスッキ リするのではないかと思うのです。 ○宮下委員 基本的な考え方として、従来は作業列挙といいますか、振動作業とい うのはどういうものでという概念が最初にあって、それに対して、例えば時間なり の規制といいますかね、それは先ほどからのご議論のように、これだけ工具が多様 化して、使う場面も非常に多種多様だということですと、今までのような、何とか 作業、何とか作業、したがってこれは振動工具だというような考え方は非常に難し いのではないかと思うのです。前田委員が言われたように、手腕振動ですから、振 動のエネルギーが手に入るという工具の起点というものをベースに置いた、そして そのエネルギーと生体影響ということで、先ほどの2時間とか3時間という問題が ありますが、基本はそういう手に入る振動のエネルギーを起点に置いたグローバル な考え方のほうが、いろいろな意味で使いやすいといいますか、これが全部表示で きるかできないかということも、もちろん現時点ではあるかもしれませんが、考え 方の基本はそこに置いてやるほうがいいのではないかと思います。 ○鈴木委員 前回は休んでしまって申し訳ありませんでした。私も、将来的に起こ り得る事象まで含めてすべて網羅するというのも、なかなか難しいと思いますし、 例えば将来的にそういうものが出てきたときに、あるメーカーが自らそれを記して いけば、それは他のメーカーが記していないということにおいて製品の差として出 てくるわけですよね。だから、そういうメーカーが主体的に取り組んでいくという ものを、うまく後押しできるような方法で規定できる形が望ましいのだろうなとは 思います。 ○井奈波委員 この報告書案は「原則として」と書いてあるのですが、「とりあえず」 ということにしておけばすべて解決すると思うのですが、いかがですか。とりあえ ずそうしておいて、将来的に。 ○調査官 「とりあえず」という言葉が適当かどうかわかりませんが、先ほど主任 中央労働衛生専門官から申し上げましたように、我々もそれは意識をしている部分 がありますので、今後の課題の中でこの包括基準を挙げさせていただいたわけであ りまして、また、議論の中でも畝山委員のご発言につきましても、当然検討すべき 課題だということで我々も認識しております。当面進めるにあたって、いまこうい うものにつきましては、既に2時間という形での規制が進んでいるものであります ので、そういう現場におきましては、今回のA(8)に基づく作業管理というところ が馴染みやすいといいますか、そのほかの作業管理の部分もありますが、取り入れ やすいところからやっていくということで、「とりあえず」という表現は良くないか もしれませんが、こういう対象自体は大きく触らずに、今回はその2時間一律が適 当かどうかという議論が中心でありますので、こういう書き方をさせていただいた ところです。意識をした中ではこの包括基準、あるいはさらに広げていく方向に関 しましても、当然、検討の俎上に上がってくるのかなという意識は持っているとい うことです。 ○相澤座長 各委員のいまのご意見を尊重して、事務局でもう一度お考えいただい てお願いいたします。下線以外の項目につきましてはいかがでしょうか。 ○畝山委員 前回までの議論は主にISO8662、チェーンソー、刈払機といったもので、 ほかにも電動工具はどうするのだという形で議論してきたもので、準拠機械として ここにあるようなものが並んだのですが、先ほど言ったように、適用範囲を広げて いくという話になると、例えば、この間から言っているヘッジトリマーだとエンジ ンのものに関してはISO規格もありますが、このISO規格には振動測定規定はあり ません。  EN744という規格のアメンドメントの3で振動測定を規定しているとか、結構大き な問題になっているのが刈払機ではなしに芝のエッジを切っていく、要するに刃が 縦を向いているものですが、これに関してはENとかISOで別個の規定があるとか、 規定は個別工具で探していくと山ほど出てくるのです。だから、いずれそういうも のの対象表といいますか、こういう工具に関してはこれを適用する、こういう工具 に関してはこういう規格が適用される、ということを見つけていかないと、ある工 具においては、761のパート2を適用するのはどうやって適用するのだろうというケ ースも出てきますので、むしろ、型式試験としてパターン化した試験規定が国際規 格なりそれに準ずるものであれば、それを引っ張ってくるという形を前提で、ここ に並べた規格に限定せずに、これに準ずるものという形か何かで入れておいたほう がいいのではないかと思うのです。 ○相澤座長 2の(1)ですね。どこに入れますか。 ○畝山委員 2行目の「EN60745並びにこれらに準ずる規格」とでもしておきますか ね。そういう形で、実際に各メーカーが同じようなものをつくっていて、それで振 動値を比較しようとする場合に、7761-2でやるのが原則なのだけれども、それでも やり方によっては差異が当然出てきますので、同じ条件で比較するとなると、8662 のように、きちんと条件設定されてどこでやってもそんなに狂いはないよというも のがあれば、それに準拠したほうがいいのではないか。その意味では、振動測定規 定が、少なくとも国際規格なりそれに準ずるものであるならば、それを準用するべ きではないかという気はしています。 ○相澤座長 これについてはよろしいでしょうか。 ○調査官 JIS、ISOに関しましては国際規格で結構なのですが、ENに関する取扱い は、厳密に言うと国際規格ではないので、どうしてもENをやれと言うのか、ENがで きなければ、例えばおっしゃったJISのB7761-2を使ってもいいとするのかで、こ の位置づけもあるのですが、そこはそういう余地を残しておかないと、なかなか難 しいのではないかという気もしているのですが、いかがでしょうか。 ○畝山委員 具体的には、例えばヘッジの場合はEN774というものと、番号は忘れ ましたがISOのものと、これは一緒なのです。おそらく、ENがウィーン・アグリー メントか何かを使って、それをそのままISOにしようということでISO規格に持っ てきたのではないかと思うのですが、その時点ではアメンドメントの2までしか出 ていなくて、振動測定は入っていなかったのですが、ISOが決まった後でEN774にア メンドメント3として振動測定規定がポンと乗っかってしまってという、こういう 形の規格が結構あるのです。  我々としても、欧州規格をそのまま適用できるのかどうかという疑問は絶えず持 っているのですが、電動工具の場合は、はっきり言って50144か60745しかないか ら、それを使わざるを得ない。そうなると、同じようにエンジンヘッジトリマーの 場合は、残念ながらISOにはないけれどもENに適用できるものがある。これは機械 指令のハーモナイズド・スタンダードにも載っていますので、欧州では一応それが 基本になっているということを考えれば、むしろ、型式試験として設定されている ものがあれば、それを使ったほうがデータとしては整合性のとれたものが出るので はないかという気がしているわけです。 ○調査官 畝山委員がおっしゃる趣旨もわかりますが、例えば、それは欧州に輸出 しているメーカーであれば、当然EN規格で測定されていると思われますが、国内向 けにしか製造していなければ、そういう所があるかどうかもわかりませんが、そこ にまでEN規格での測定を課すのかどうかということがあるかと思うのです。我々の 趣旨としては、とにかくA(8)が現場で実行できるような表示を求めるということ ですので、当然、欧州へ輸出しているメーカーがENでやられているものも有効であ るということをここの中で謳わなければいけないと思いますが、ENがあるからEN を優先してやるのかというところについては、我々も大丈夫かなという気持があり ます。それで、エクスポージャー側の測定であるJISのB7761-2なども活用しなが ら、それを使えるようになれば、必ずしもENに縛られなくても、あるいは国際的な 基準がまだ整理されていないものについても、これによって測定することが可能に なるのではないかということで、ここに謳われているものと考えているのです。 ○畝山委員 それでいいと思うのですが、メーカーの立場から言うと、少なくとも、 ここに謳われていないEN規格に準拠したデータを持っている、それをまたもう一遍 やるのかと。まあ、もう一遍やればいいだけの話ですが。 ○前田委員 あればそれを出してもらう。別に、わざわざ7761-2でやってくれとは 言ってないのです。 ○畝山委員 だから、そういうものを適用することも可能だという形にしておいて いただければ。 ○調査官 おそらく、そういう意図だと我々は理解しているのです。ENがあればEN をやってくださいと。欧州に輸出をしない所に対してもENをやってくださいという のは、なかなかそこまでは言えないのかなと。 ○畝山委員 それはかなり難しい問題があると思います。 ○調査官 はい。ということで、そういう場合はJISのB7761-2で可とする。です から、ENももちろんこの中に入っていますから、それを型式の測定として排除する というわけではなくて、それも有効な手段だという形でまとめたつもりではいるの です。 ○畝山委員 わかりました。 ○相澤座長 そうしたら原文どおりでいいですね。 ○前田委員 EUに加盟しているイギリスでも、ヘッジトリマーはこの7761-2で測定 していましたね。ですから、必ずしもENがあるからといって全部を準拠してやって いるかというと、そうでもないところもある。そういう意味では、この7761-2とい うのはエクスポージャーを計算する上でのエミッションを規定する意味でのいいメ ソッドだと考えられていますから、これで何回か測るわけですが、それで出た値は ここで出していこうとしているエミッションとしては見られる方法ではないかなと 思いますので。 ○相澤座長 ほかにはございませんか。 ○榊原委員 表示の箇所の点ですが、工具本体と取扱説明書、カタログ等というこ とでいいと思うのです。あと、こういう情報を1箇所に集めてホームページか何か に一覧に載せるようなことを考えたらどうかということが、初期のころの話にあっ たと思うのですが、そういうのはどうですかね。 ○調査官 測定をされたものについての情報をどこかに集めて知らしめるというこ とですか。(5)の所で、すでに流通しているものに関してはそれを書いたつもりで ありまして、そういうものについてはメーカーがデータを持っておられればそれを 出していただきたいし、測っていなくてもその物がなければ測れないということに なってしまいますが、可能な限りメーカーベースで出していただければいちばんい いのかなと思っています。  榊原委員がおっしゃっている(4)のほうですが、工具本体あるいは説明書、カタ ログだけではなくて、一括してどこか別ルートでというご意見もありまして、それ も考えているのですが、例えばどこかに集めるにしても、ルールをつくって随時性 がないと、例えば1年に1回更新しなければあまり意味がないようなものになって しまったりしますし、どこでやるのが適当かということもありますので、その辺は もう少し検討が要るのかと思います。おっしゃったように、意図は、それを見れば どの工具がいちばん低振動かということが一目でわかるとか、そういうことだと思 いますが、いちばんいいのは工業会さんとかがあれば、そこで出してもらうのがい いのかもしれませんが、そのためには即時性がないと、新たな良い機械が出たのに それが入っていないと情報が伝わらないということになってしまったりしますので、 方法などもかなり検討する必要があると思います。メーカーさんごとには、できる 限りいろいろな方法でそういうものを伝えるという意味では、カタログもそうです が、ホームページか何かで出していただいたりすることは、そこは販売されればす ぐ載るわけですから、有効なことではないかと。そういうことについては今後の検 討の中で入れていくということであれば、入れていかせていただきたいと思います。 実際、そういう問題点もあるので、検討していきたいと思います。 ○相澤座長 ほかにございませんか。それでは下線の所に入ります。2頁の3の(3) です。「チェーンソーの規格」の適用について、「振動加速度の最大値を3Gとする規 制値を設けているが、これを廃止することも含めた見直しをすることとしてよいか」 です。これについてはいかがでしょうか。 ○畝山委員 実は私も、何でこの3Gが、ということをいろいろ調べてみましたが、 3Gということが出てくるのは昭和40何年かで、安発の第38号でチェーンソーに防 振装置を付けろと。そのデータとして、それまで10G近くあった振動値が、防振装 置を付けることによって3G程度まで低下したという。おそらくこの辺から、防振装 置を付けて振動を低下させたチェーンソーを採用しようということで出たのではな いかなというのが、私の勝手な想像です。  確かにこの間も言いましたように、古いチェーンソーというのはとんでもない振 動です。ただ、それがある意味で販売規制にもなっているし、逆にこの3Gが、この 間渡したデータのように、人体に対する影響の評価に使える数字かとなったら、こ れは全然関係ないのです。ただ単に3分の1オクターブで切った、そのうちの1つ のピーク値を持ってきて、3Gにいっているかいっていないかというだけの話です。 はっきり言ってこんな意味のない数字を、それももう20年、30年も前に、機械自体 もまだごく初期のとんでもない振動を持っていたものを。  この間も言ったように、今のエンジンチェーンソーで特別のものを除けば、工具 振動値5メートルを超すものはまずありません。だからこの型のものでは、現実に ヨーロッパでは、2.5を切ったものが出ています。そういう中で、特にエンジンの場 合はエンジンの回転周波数と一致するとポーンと出るのですが、それが3Gがどうの こうのという表示をする必要は、全くないのではないかと私は思います。  ここでトータルとして、作業する人の周波振動安全を考えていくのであれば、A(8) での評価、つまりここの3軸合成値が基準になるのであれば、それを載せれば。我々 の考え方は、このようなカビが生えたような3Gなど持ってきても仕方ないだろうと いう気がするのですが、いかがなものでしょうか。 ○主任中央労働衛生専門官 いまのチェーンソーの測定のやり方で、3Gで販売規制 がかかっているのですが、従来の測定で言うと、実際はいちばん高くてどのくらい になっているのでしょうか。 ○調査官 現行のですか。 ○主任中央労働衛生専門官 現行でです。現行でいちばんピークがポンと出るのは 大体どのくらいかわかりますか。 ○畝山委員 この間の私のデータから、それほど外れていないと思います。せいぜ い17、19メートルですね。だから2G前後。おそらくピークで3G出るものがあるで しょうが、3軸合成でいくとドーンと下がりますから、その分2、3機種ほかのメー カーさんのものを測ってみましたが、これは紛れもなくエンジンの回転周波数のと ころでピーンとピークが立ちます。とんでもなくポーンとです。それを引っ張って きて、実際に測定しているものもそうですが、何の意味があるのだと。これがそれ では3Gを超したら、いまの状況を考えて販売者はいけないと言われても、それでは その3Gを超したところで3軸合成値を考えれば、人体に対しては時間規制をすれば 十分安全ということも言えるような機械ばかりなのに、どうするのだろうなという 話は、エンジンをやっている者からも出てきます。  この間も紹介したように、大体19、20メートル毎秒毎秒近いものでも、一応3軸 合成値で出すと、せいぜい4メートルですから。私も、この3Gというのは、実際に 作業管理等に何か役に立つのであれば、残しておいてもいいかなと思いますが、実 際には役に立ちませんよね。 ○前田委員 3Gが全然意味がないかというと、ずっと昔のものを調べてみると、ISO がまだDISという、ISOになっていない5349の時代があって、あの当時は周波数別 に見て、影響の作業時間を抑えるという考え方があって、安衛法の中にもそういう 図が入っていたと思います。あの考え方でいって、125ヘルツの中心周波数で見て、 3G、29ですね。上と掛けて見たときに、ちょうど2時間ぐらいの所にいったはずで す。2時間というのはチェーンソーの使用のときに、時間はそのようなものだろうと いうことで、そこがちょうどぴったり当たったような感じで、このようなものが出 た可能性があります。ISOもその当時は単発の周波数で人体影響を時間で抑えるとい う考え方でずっときていたのですが、あるとき、どの工具を見ても、チェーンソー もそうなのですが、実際に切っているときというのは、1個の周波数以外の周波数も 立ってきて、全部の周波数が身体に入って影響するという話から、ISOの考え方も全 体を捉えて、それを周波数補正した値の1つのものとしての物理量をドーズとして、 エフェクトとつないだら、現在のような話が出てきて、A(8)のあれで見ていくと、 人体影響との対応は取れるというので、そちらに動いてきているのです。  そういう全体の動きがある中で、やはり未だに1個の周波数で影響がこうだ、ISO でもなくなった3Gを置いたままいくというのは、やはり私自身としてはまずいし、 それで、いくらこれは3G以下の工具ですといっても、買う側の人のことを考えると、 人体影響は1個も評価できないものでありますから、人体への影響側から見て、安 全な工具を選べる物理量としての現状の表示、周波数補正、あるいはA(8)の値で 時間がどうか、そういう表示を出せるような評価方法をうまく取り入れていくべき であろうということです。そういう意味では、今の3Gは現状の考え方に即さない。 日本の物理量の評価もJISが変わって、新しい評価方法になった中で、依然として 昔のものを取り入れていかなければならないのはおかしいと思いますから、もう3G というのはなくして、国内外から入るものに対して、共通の指標として見られる3 軸合成の値で出していくのがいいだろうと思っているのです。 ○相澤座長 ほかの先生方はいかがでしょうか。大体そういうことでよろしいです か。反対の方はいらっしゃらないですか。 ○畝山委員 構造規格が関連してくるのですが、告示第85号構造規格には、騒音は 測定方法を規定しているわりには、測定値をどうしようというのは何もないのです、 載せるというだけで。なおかつこれが不思議なのが、チェーンソーに関しては無響 室で測定しろと。無響室というのは、もう周囲360度一切の反射がないという非常 に特殊な環境です。これを継続するとなると、今度はメーカーサイドに測定が義務 づけられることになると、はっきり言ってこれが測定できるメーカーはございませ ん。私が知っているかぎり無響室を持っているメーカーはありません。では造れば いいではないかと言われても、これはとんでもない値段です。はっきり言ってチェ ーンソーのこのためだけに、無響室を造ろうなどという酔狂なメーカーはないはず です。  一般的に、こういう個別機械の騒音を測定する場合は、すべて、いわゆる反射面 上の準自由音場、もしくは自由音場と言われている半無響室に代表される測定環境 が、このチェーンソー以外すべて適用されています。ISOにしてもENにしてもです。  だから無響室で測定して、それも耳元にマイクを持ってきて測定して、その数値 を載せろということ自体、無響室で測定した騒音値にどれだけの意味があるのか。 しかも、ただ載せるだけですから、その騒音値をどうしろというのは一切ない。前 から議論されているように、実験室で得られた騒音値というのは、実際の作業環境 における騒音値とは丸切り別ものだと、因果関係が取れないということになれば、 少なくとも無響室で測定した騒音値を載せるということも、この3Gと一緒ですが、 廃止してもいいのではないかというより、メーカーとしては廃止していただきたい なと思います。 ○相澤座長 これは4頁の「騒音」の所ですね。少し話が飛びましたが、3Gのこと は対象を視野にいきたいということで、いま騒音の件になりましたが、畝山委員の ご意見ですが、いかがでしょうか。 ○畝山委員 少なくともこの無響室の頭に「半」を付けて、「半無響室で測定」とい うことであれば、ほぼ対応はできるのですが、無響室で測定となると、それこそリ オンさんの実験室でも借りないと。 ○相澤座長 現実的には難しいということですね。 ○畝山委員 現実に無響室などというのは、日本でもそれほどないでしょう。リオ ンさんなどの専門の音響関係の研究業務をやられている所とか、私が知っている範 囲で3つしか見たことはないです。 ○調査官 現状の構造規格では、おっしゃるように測定を行うことということで、 これは表示をすることになっているので、何に使うのかということはありますが、 ここに書いてあるとおり表示に関しては、もちろんそれを基にA(8)のような考え 方はないわけですが、当然のことながら、騒音対策をそのレベルで取っていくとい うことはあるのですが、それと機械の比較という意味では、当然同じ条件で測定さ れていれば、低騒音機械の比較には使えるのではないかと思います。  現行は、チェーンソーの場合は、聞いている範囲ですが、前回ヒアリングに来て いただいた林業機械化協会で、振動もそうですが、一括して測定されているという ことで、逆に言えば、今の測定法であれば、機械化協会では測定できるということ で、今のものを継続されれば測定の道があるのです。ただ、これを取り払うかどう かという議論は、また別として、ここで書いたようにISOの、いわゆる国際規格で やることになると、結局、そういう半無響室をお持ちの大きなメーカーさんは対応 できると思いますが、今まで自分の所でそういうものがないメーカーさんがあれば、 今までは現行の測定法に従って、機械化協会で測定していたということですので、 測定の余地が逆にあるわけなのですが、そういう所が全部ISO化してしまうと、大 丈夫かなという部分があります。  おっしゃったように、騒音に関してはどの機械がいくらの騒音であるかが、並び の中でわかるということで、同じ測定法が保たれていれば、ある程度機械の騒音の 評価は可能なのかなと考えています。はたしてISOと現行規格とが交じってしまう とどうなるのかについては、我々もわかりません。結局、測定法をISOも管理する、 現行法も管理するということが可能なのか。いや、それはもう同じ土俵で評価でき ないのであれば、どちらかにせざるを得ないのかなと。それは各メーカーが対応で きるかどうかまで踏まえて、一応考えなければいけないのかなとは思っております。 ○主任中央労働衛生専門官 振動の場合は換算がオクターブバンドでもわかれば換 算できますということでしたが、騒音は換算はできるのでしょうか。 ○畝山委員 不可能です。 ○前田委員 現行のままでのチェーンソーの値があっても、海外から入ってくるチ ェーンソーのデータは、ISOのやり方のデータで出てきますから、どちらが安全であ るかは、作業者にとっては音に対してはわからないのです。国内外のチェーンソー のリスクを同じレベルで評価できるという意味でいくと、現行のやり方よりは ISO22868の方法でデータを出せるようにしてしまうほうが、事業主・作業者にとっ ては安全側に働くという気が私自身はするのです。そうすると、いま言われていた 林業機械化協会でできないかとなると、無響室を造るよりも半無響室を造るほうが 楽です。もちろんマイクロフォンは少し増えますが、同じレベルでの評価は可能に なって、調査官が心配されているような、測れないメーカーがあったときに、測れ る場所が手当てできるかというと、機械化協会さんが進めてくれるのであれば、値 は出せると思います。そうすると出た値というのは、国内外どこから来たチェーン ソーとでも比較できて、私たちが買うときに、どれが音で低いかというのはすぐわ かるという状況にはなると思います。 ○畝山委員 チェーンソーに関して言えば、一応理想は半無響室なのですが、 ISO11201でしたか、これに準拠する準自由空間、これはMODのJISがあり、そちら を尊重すれば、例えばかなり広大な駐車場など、例えば片方に壁面があった場合に どう補正するのだというようなことも出ていますので、大体、極端に言えば夜に測 ることにして、マイクと測定機さえあれば不可能ではないはずです。 ○前田委員 どうしても現行でと言うと、実際の作業を想定した音の測定にはなら ない方法ですから、少なくともそれに合わせた形で、工具から出る音を測っておく 必要があるだろうと思うのです。そうすると、その値がただ測って、国内だけのチ ェーンソーの比較データだけでは、やはりいっぱい入ってきますから、入ってくる ものに対して、たぶん、ここでそういうことがきっちりある規格として日本として 作ったら、入るのに対しても数値データを出しなさいと言えますから、振動に対し ても音に対しても全部同じレベルで比較できるようになるので、いちばん安全な工 具はどれかというのが見られるようになる。 ○調査官 現在においてはチェーンソーは少なくとも構造規格で、流通自体を規制 しているので、輸入されたものに関しても、現行測定法で測定した数値、ですから おそらく林業機械化協会で測定することになるのでしょうが、値がついてくるとい うことになります。現在で言うと、振動にしても騒音にしても、輸入された機械で あれ、国内で製造された機械であれ、同じ数値はついてくるのだと思います。これ は特に法規制上はそういう差異を設けていないと思います。ただ、今回振動がそう いう形でISO化をしていくという、これはA(8)を捉えるためには必要な話であり ますが、騒音に関してはどうかということで書かせていただいたわけですが。 ○相澤座長 前回は、騒音は望ましいけれども、振動値の表示を優先することとい うことに。そういうご意見が多かったのですが、チェーンソーだけについては、林 業機械化協会で測定した値を輸入のものも含めて測定して、それを付けるというこ とで。 ○調査官 林業機械化協会で測定して、という言い方はどうかと思いますが、現在 の構造規格に基づく測定法をとっていただく。畝山委員がおっしゃったように、そ ういう現行測定法ができる所がそこだけであれば、そこでやっているということに なろうかと思いますが、その範囲では比較はできるのだとは思います。 ○相澤座長 ほかの振動工具の騒音値は、どのようにするのでしたか。これはISO のやり方で、現実的にはいけないわけですね。 ○畝山委員 ISOの8662に対応した総則的規定はございます。ほぼ同じグループ分 けした。電動工具の場合は、EN50144もしくは60745で規定してありますから、これ も現状我々も測っておりますから、これもすべて半無響室です。 ○調査官 これから、構造規格の対象になっていないものについては、原則的には そういう国際規格があれば、規格に合わせたようなものでやるべきかということで、 これは書かせていただいたわけです。チェーンソーの場合はもう少しメーカーさん の状況であるとか。実際に測定方法が同一であれば、比較という意味では使えると 思います。 ○畝山委員 もう少し範囲を広げると、例えばエンジンチェーンソーとほかの工具 との騒音値を比較するという場合、こちらは半無響室で、例えばISOに準拠して測 ったと。チェーンソーに関しては無響室で、ISOとは全然関係ない方法で測った。こ の数値比較はできないですよね。 ○調査官 そうですね。 ○畝山委員 要するに、現行で規定されている40cc以上のチェーンソーの相互関係 だけということに限定すれば可能でしょうが、範囲を広げて、チェーンソーに関し ては40cc以下はどうするのだという話も当然出てくるのですが、そちらも広げて、 それから、いわゆる工具一般として、ほかの工具はある意味国際規格に準拠した、 要するに騒音源からの騒音値を測定するという、ISO規格を多少簡略化した形でほぼ 固まった測定規格が作ってありますので、それでやっているわけです。それとチェ ーンソーだけ全く安易でない方法というのも、少し私は疑問があるのです。 ○主任中央労働衛生専門官 そのことは「騒音」のところの(4)に書いているよう に、実際の騒音に関する作業管理はガイドラインが別に出ているので、ここで議論 になっているのは、同じ系列でより低騒音のものを選んでもらおうという趣旨なの で、振動はA(8)に結びつくので、きちんとしなければいけないかなと思いますが、 騒音はそこまでする必要があるのかないのかをもう少し勉強させていただきたいな と思います。いろいろな事情が産業界にもあろうかと思いますので、その辺りを勉 強させていただきながらかなとは思っています。 ○畝山委員 それともう1つ気になるのが、40cc以上といういまの規定が、そのま ま生きるのであれば、40cc未満はメーカーでやりましょうと。そうなると今度は ISO22868に準拠して測る。これをやると、耳で聞いて明らかに音が小さい25ccなの に、50ccのチェーンソーと比べて騒音値は高いという逆転現象が起きます。無響室 は思いっきり騒音値は小さく出ますから。 ○調査官 無響室はということですね。 ○畝山委員 これも逆二乗で。 ○主任中央労働衛生専門官 無響室のほうが高く。 ○畝山委員 半無響室のほうが高く出ます。床面で反射しますから。無響室はもう 反射が一切ないですから。要するに半二乗ごとで聞きますから、倍離れた時の音の 大きさは1/4になってしまいますから。 ○労働衛生課長 その辺は事務局で検討させていただき、また次回ご議論いただき たいと思います。 ○相澤座長 ありがとうございました。もう1つの3つ目の問題が3頁の3の(1) です。「A(8)の考え方を導入し、振動ばく露対策値や振動ばく露限界値を定めるこ とによる作業時間規制に加えて、1日の作業時間の上限を、日本産業衛生学会等を踏 まえて設ける」。例えば4時間でしたか。いかがでしょうか。 ○榊原委員 これは前から4時間にしたらどうかという意見がありましたので、一 応4時間にしてほしいです。 ○相澤座長 4時間という値にするか、4時間から2時間の間ですか。 ○調査官 現在はご承知のように、2時間という基準を決めております。4時間未満 というか、8時間というのは実際には8時間を捕まえてA(8)を決めているという ことなので、8時間を超えることはまずあり得ない。8時間というのは上限ではあり ますが、実際には休憩時間などを取っていけば、8時間連続ということはあり得ない 話ですし、産業衛生学会も4時間以下にすることが望ましいという意見を出してお りますので、ここは4時間以下ということで、現行の規制が2時間ですので、その 辺との差異があまりにも大きくなってしまったり、いま使っているものの振動時間 が延びれば、それだけばく露量が多くなるのも事実ですので、そういう部分も勘案 させていただき、一応この検討会の提言としては8時間がマックスだということで はなくて、4時間以下と言いましょうか、産業衛生学会の意見もあり、実際に8時間 だから8時間がいいということではなくて、やはり4時間以下にすべきであるとい うことで、よろしければ。何時間が適当かというのは、いろいろな要因を考えて検 討していきたいと思います。8時間できるのだから、8時間までやれということでは ないと理解させていただければと思います。よろしいでしょうか。 ○宮下委員 現行の作業管理の考え方で、2時間と一連続作業時間という考え方があ りますね。これは、この本検討会の本題ではないかもしれませんが、国の考え方と して、このようなA(8)に表示を変えるというか、新たにした場合に、今までのそ ういう産業管理上の例えば一連続作業時間という概念も、またそこまで。 ○調査官 それは以前、この検討会で議論があったと思いますが、今回はその2時 間の部分を一律2時間ではなくて、A(8)を使って振動加速度に応じた時間を決め ていきましょうということであって、作業管理の中に書いておりますが、1の「作業 管理の原則」の(4)に、作業時間基準、いわゆる2時間という、一律という所を除 いては、現行指針に定める対策ということで、連続使用時間についてまでは、特に この場では議論がないので、そこは変えないということでいきたいと考えています。 ○相澤座長 ほかの先生方、よろしいですか。それでは3頁の5「保守管理」、(1) 表示される振動値は出荷時の値であり、作業後の管理方法等によっては振動が変化 することがあるので、適切な保守管理について記述するかどうかです。使っている うちに振動がだんだん強くなってくるということがあるので、それについてどのよ うにしたらいいかです。いかがでしょうか。 ○畝山委員 これは現状でも、例えばチェーンソーのソーチェーンをきっちり研い で、目立てしているところから、ハンマーなどの場合はノミをいい状態に保って、 スペアを置いてというようなことです。先端工具などに関してはあるのですが、工 具そのものも当然ベアリングが磨耗してガタが入るとか、そういう状況で振動が極 端に変わってくるというケースはあります。これは例えばEUの場合でも、パンフレ ット類には、すべてとにかく工具はこういういい状態で使えと。そうでないと振動 が極端に大きくなるという注意事項も出ているので、これは当然謳うべき本機も先 端工具もなのですが、問題はどこでどう謳うのかです。  一応この辺では先進的な役を示しているEUでは、いわゆる公的な教育文書、啓蒙 文書が山ほど出ています。例えば、我々メーカーは、そういう公的な文書から部分 的に拾ってきて、それに必要な事項を加えて、例えばHSにこういう内容でメーカー としてのパンフレットを出したいのだけれども、内容は間違いないねということで 承認をもらって出すということをやっています。いまいちばん大事なのは、新しいA (8)という概念を持ち込む。これと振動障害の発生の可能性がどういう関連がある ということを、まず、知っておいてもらわなければ駄目ですから、それをどこでど ういう形でやるかがいちばん大事だと思います。ヨーロッパでもかなり、私に限っ ても3年以上の年月が徹底するのにかかっています。当然メーカーとしても、それ は責任としてやるべきなのですが、1つ恐いのが、メーカーに勝手にお前のところで やれといったら、出てくる資料はいいことばかり書いてあってバラバラになります。 1つの基準になるべきもの、ある意味では現状の中災防、林災防あたりからの振動テ キストが出ていますが、あのようなものにこういう概念もきっちり謳って、例えば メーカーがパンフレットを作る、お客さんに資料を作るという場合は、そういうも のから抜き出して間違いないものを、それも統一したものを提供できるというシス テムを作っておくべきではないかなと思います。その辺はいかがでしょうか。 ○調査官 保守管理に関しては、保守管理が重要であることは畝山委員がおっしゃ るとおりだということで、ここに挙げさせていただき、今日ご意見を聞いたわけで す。方法としてはいろいろと考えられると思うので、おっしゃったように、例えば そういった教育用のテキストにそういうことを盛り込むとか、各メーカーさんもそ ういうことを周知していただくなど、そういう実際の手法については、またこの提 言を受けて、具体的に考えていきたいとは思っております。まずは、当然のことな がら、保守管理が十分でなければ振動値が変わるので、重要であるということでこ れは書いております。また逆にご意見で、こういう方法がいいのではないかという ことで、そういうテキスト類に入れるべきだというご意見をいただきましたが、ほ かにまたご意見があれば、そういう具体的な手法、メーカーさんにも協力いただか ないといけない話もあると思いますので、どんどんいただければありがたいと思い ます。 ○相澤座長 それでは「保守管理」について、維持するということについてはよろ しいでしょうか。内容についてはこれからご意見をいただきたいということです。 以上が4つの下線の部分で、全体的に言い残したことがあればお願いします。 ○宮下委員 私は前回出なかったのですが、2頁の「作業管理の原則」の(5)で、 大きい工具についてはイギリスのA(8)weekという概念を踏まえてということです が、現実的には例えば、A(8)の大きな振動では何十秒となるという、そういう想 定の下なのですか。それでは実際の作業が具合が悪いから、week8ということで、例 えば分単位というものに戻した形の表示のほうが、現実的であるという意味でしょ うか。 ○畝山委員 そうです。だから1つの例を言うと、建物を造る場合、まず基礎を打 って、基礎の出っ張りをハンマーで斫ってしまう。これは相当な振動になるのです が、例えば20メートルのハンマーを持ってきてやると、これは数分しか使えません。 それではとても仕事は終わらない。ただその仕事が終わらないと、工事としては次 にかかれないというケースがたくさんあるので、そういう場合は、例えば1日5メ ートルの限度を超えたとしても、1週間をトータルで考えて、1日当たり5メートル を超えないというレベルに抑えればいいのではないかというのが、このイギリスのA (8)weekという考え方です。これも非常に限定、限定を重ねて、こういう場合のみ これを許すという形で法律に載っているので、現実を考えても日本でもそういうこ とが適用できないと。 ○宮下委員 一方では作業性や現実的な対応ということがあって、一方では生体反 応として、そういうことが合理的というか、予防的に検証した場合どうなのかとい う。例えば10分が5日間で、1週間の単位で50分までできるよという、逆にそのよ うにはならないですか。 ○畝山委員 そうはなりません。 ○宮下委員 ならないですか。私の理解は間違っていますか。 ○畝山委員 例えば1日で10分しか使えないものを、1日30分使ってしまうと、こ れは3日分だと。だからこの状態を2日続けたら、もうオーバーしてしまいます。 結局、ある程度許容量を超してしまうと、その後に、それに見合うだけの休止期間 を置かないと駄目だという規定と受け取っています。 ○宮下委員 そうですね。そこの運用で1週間単位というと、いわゆるインターバ ルが1週間、現実でいうとそういうことですね。それと、例えば、現実の話ですが、 先週、来週という話になると、非常に接近した使い方が実際に起こってこないかな と。そういうことで、いわゆる究極的な目的の健康障害の予防の点から、危惧は残 らないのかなという気がしたので、お聞きしました。 ○畝山委員 それはガチガチの制限を設けておいて、とにかく特例中の特例として、 こういうケースにのみというように、かなりの制限を設けておかないと、ザルにな ってしまったら、本も子もないですから。ですからイギリスの法律の場合もかなり うるさい制限を付けてやっていますので、そういうことを参考にして、現実にいろ いろな工事を見ていますと、例えば5メートルという枠をかぶせてしまうと、とて も仕事はやっていけないというのがありますので、そういうときに特例中の特例と して、その仕事を終わらせるために、こういう方法もあるよという方法は1つ設け ておく必要があるのではないかなと考えています。 ○榊原委員 そういう例が例示してあるわけですか。 ○畝山委員 例というか、それをやらざるを得ない事情があった場合でも1週間に 延べてどうのという、詳しい内容は覚えていませんが、かなりうるさい制限が付い ているはずです。逆に言えば、1日越したとしても、それを1週間に展開すれば、極 端に言うと限度値は超えないと。それだけのある意味でインターバルがどうしても 必要になるという考え方です。 ○宮下委員 考え方は理解できるのです。 ○畝山委員 だから極端に言うと、金曜日にワーッとやって、月曜日にワーッとや って、それでと。 ○調査官 いま宮下委員からご質問がありますとおり、なかなか1日単位のA(8) の考え方自体もわかりやすくて、なかなか難しい中で、いろいろご議論いただいて いますが、A(8)weekとなると、また宮下委員のご懸念も出てくるかと思います。 イギリスの例について、また次回にでもご説明したいと思います。 ○畝山委員 イギリスの法律は、資料としては出しましたでしょうか。 ○調査官 今回、だいぶ議論が詰まってきた中で、具体的なところがもしお分かり になれば、次回にご説明いただければありがたいと思っています。 ○相澤座長 お願いします。いろいろシミュレーションをしてみないと、分からな いところが出てきますので。全体的にはほかにはよろしいでしょうか。ちょうど時 間どおりですが、今日の議論するところは大体終わったと思います。4頁の最後の「今 後の課題」については、先ほどもいろいろ議論いただきました。3項目ありますが、 よろしいでしょうか。 ○調査官 対象工具については、また検討させていただき、ご相談をさせていただ く形にしたいと思います。 ○相澤座長 今日は非常に有意義なご議論をいただきましたので、これを踏まえて、 次回までに事務局にお願いします。事務局から何かございますか。 ○調査官 「その他」という項目を設けてはおりますが、ここについては、これ以 外にご提言をいただくことがありましたら、事務局におっしゃっていただければと 思います。あとはよろしいでしょうか。  本日はご議論をありがとうございました。本日ご検討いただきまして、まだ宿題 になっている点もございますし、大体ご承認いただき、大きな線は今後の方向性に ついてひととおり示されたものかと思いますが、おっしゃっていた表示対象工具の 基本的な考え方、あるいはA(8)weekの問題について、ご検討いただいた中身を整 理していきたいと思っております。  次回の検討会には、今回ご議論いただいた点等についてまとめまして、たたき台 的なもの、より整理したものを出したいと考えております。まだ入口の工具の話も 出ておりますので、次回まとまるかどうかということがございますが、十分に議論 を尽くしていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。次回の日 程に関しては、追ってまた調整させていただきたいと考えておりますので、よろし くお願い申し上げます。  場合によりましては、先生方がお休みになっているときの議論の中のことで、後 でお読みになり、ご意見等が出てくる場合もあろうかと思います。次回には整理し たものを出したいと思いますが、委員の先生方からは気がつかれました点があれば、 ご意見を頂戴いたしましたら、それを整理して次回にかけたいと思っておりますの で、よろしくお願い申し上げます。あるいはまた、今日議論になった中身では、各 先生方にご相談をさせていただき、その結果をまたご報告いただくようなこともあ ろうかと思いますので、またよろしくお願い申し上げたいと思います。事務局から は以上でございます。 ○相澤座長 それでは、第8回目の検討会をこれで終了させていただきます。委員 の先生方、大変ありがとうございました。