07/06/20 中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会平成19年6月20日議事録 07/06/20 中央社会保険医療協議会          第94回診療報酬基本問題小委員会議事録  (1)日時  平成19年6月20日(水)10:00〜10:32 (2)場所  全国都市会館第1会議室 (3)出席者 土田武史小委員長 遠藤久夫委員 白石小百合委員 前田雅英委員  室谷千英委員       対馬忠明委員 小島茂委員 丸山誠委員 大内教正委員 松浦稔明委員        竹嶋康弘委員 鈴木満委員 石井暎禧委員 渡辺三雄委員 山本信夫委員       古橋美智子専門委員       <参考人>       吉田英機医療技術評価分科会長       <事務局>       水田保険局長 白石審議官 原医療課長 宇都宮医療課企画官        原口健康局疾病対策課臓器移植対策室長 他 (4)議題 ○生体部分肝移植の対象疾患について       ○その他 (5)議事内容 ○土田小委員長   定刻になりましたので、ただいまより、第94回中央社会保険医療協議会診療報酬基本 問題小委員会を開催いたします。  議事に入ります前に、委員の任期満了について御報告申し上げます。  小林委員におかれましては、去る6月12日をもって任期の満了を迎えられております。 小林委員は公益委員でございますが、公益委員の任命については、社会保険医療協議会法 第3条の規定によりまして、国会開会中は、厚生労働大臣の任命に先立ち国会両議院の同 意を得なければならないこととされております。現在事務局においては、小林委員の再任 について両議院の同意を得るべく努力をしているとの報告を受けておりますが、まだその 手続きは完了していないとのことでございます。このため、本日は、小林前委員におかれ ましては、委員としてではなく私人として傍聴していただいておりますことを御報告申し 上げます。  次に、委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、全員がお見えになっており ます。  それでは、議事に入らせていただきます。  本日は、「生体部分肝移植の基準」について議題としたいと思います。  医療技術評価分科会の吉田分科会長がお見えになっておりますので、最初に御説明をお 願い申し上げます。 ○吉田分科会長  おはようございます。分科会長の吉田です。  実は、昨日、今問題になっております肝移植について、医療技術評価分科会が開催され ました。そこで諸種議論いたしまして、資料がございます。資料の確認はよろしいですか。  まず、中医協診−1、1枚物です。今までの生体肝移植の保険適用の経緯について書い てございます。平成4年から高度先進医療として諸種行われまして、平成10年4月に保 険適用となっておりますが、対象疾患が7疾患、しかも15歳以下という制限がございま した。そこで、15年ぐらいから問題になりまして、16年1月にこの適用疾患を拡大し ていただくのと、年齢制限を撤廃していただきました。そこでずっと来たのですが、その 当時ちょうどミラノ基準というのがございまして、肝癌の場合、特に肝硬変を伴った肝癌 の場合には、長径5cm以下のもの1個以内、それから3cm以下の場合には3個以内という 規定がございました。  きちんと限定して年齢を撤廃しようということでやってきたのですが、今回いろいろな 資料がございますように、中医協診−4ですが、日本外科学会以下5学会から、急遽5月 23日に要望書が出まして、この肝移植の適用拡大をしていただきたいということで、い ろいろ議論がございました。それで、昨日会議を行ったわけです。  飛んですみません。中医協診−3に行きます。「生体部分肝移植の対象疾患及び施設基 準について(案)」について説明いたします。左側が現行で、右側が改正後の希望の案で ございます。下線部分が主に修正していただきたいという事項でございます。具体的には、 一番大事なのは裏にあります(3)、これで適用拡大を図りたい。  具体的に読みますと、1ページの6行目ですが、「なお、肝硬変(非代償期)に肝癌 (転移性のものを除く。以下同じ。)」、特に胃癌とかいろいろな転移性の肝癌について は対象としないということで、「を合併している場合には、遠隔転移と血管侵襲を認めな いもので、当該肝癌が、次の条件により、肝内に長径5cm以下1個、又は長径3cm以下3 個以内である場合に限る。」。  (1)では、「肝癌の長径及び個数については、病理結果ではなく、当該移植実施日か ら1月以内の術前画像を基に判定することを基本とする。」。これは学会で、病理ではな くて画像診断でまず判定するのだと。しかもCTスキャンを使いますと、その肝癌か転移 性肝癌かよくわかるということですので、こういう限定をしました。  (2)で、「術前画像において肝癌と判定される結節性病変は、単純CTで撮影した画 像において低吸収域として描出され、造影CTで撮影した画像の動脈相において高吸収域 として、門脈相において低吸収域として描出されるものをいい」、これが基準だそうです。 「これを典型的な肝癌と判定する。なお、非典型的な肝癌の場合は、最新の科学的根拠に 基づく肝癌診療ガイドライン」、これは学会でつくってございます。「肝癌診療ガイドラ インに関する研究班「肝癌診療ガイドライン」に基づき、肝癌と診断された場合に限る。 また、造影剤にアレルギーがあり造影CTが実施できない場合は、MRIで代用する。」。  (3)です。「当該移植前に肝癌に対する治療を行った症例に関しては、当該治療を終 了した日から3月以上経過後の移植前1月以内の術前画像を基に判定するものとする。」。 これが大事なことで、要するに、最近は内科でもってアルコール硬化療法をやってしまい ますよね。それで実際に肝移植する場合には外科へ回ってくるのですが、再発の肝癌につ いては今度適用外だという判定があったものですから、これは非常に困ったわけです。そ れでこういう(3)で限定いたしました。「この場合、完全壊死に陥っている結節」、特 に内科でもってアルコール療法をやって完全壊死に陥っている結節については、「肝癌の 数として算定しない。」。これも画像診断で完全壊死の場合なのか   の肝癌かという ことはよく判定できるそうです。  続きまして、エビデンスについて中医協診−2、厚い資料です。昨日、日本肝移植研究 会の門田会長、阪大の外科の教授です、から諸種説明をいただきました。  まず、訂正したいと思います。14ページに「1989」年とありますけれども、「1 998」年の間違いです。「2006」年というのも、「2005」年の間違いです。次 が18ページです。右の表の上の方、「既治療例n=464」とありますけれども、「4 66」の間違いです。20ページです。右の表で、「ミラノ基準内n=204」とありま すが、「206」の間違いです。  これは一々は説明しますと時間がかかりますので、かいつまんで言いますと、2ページ をお開きいただいて、1989年から2005年まで症例数が書いてございますけれども、 問題は、この2004年から2005年、これは頭打ちになってしまってなかなか増えな い。これはある理由があって増えないのです。これがこの学会で適用拡大してほしいとい うことの根拠です。  それから次は6ページです。図表がございます。この6ページも、学会として何でもか んでも肝移植をするのではないのだと。肝硬変になっていろいろな外科的手術、あるいは 化学療法等々をやって、どうしても予後が悪いという場合、こういう非常に限定された条 件でもって肝移植に移行するのだということで、実際今0.2%ぐらいしか肝移植には行 っていないというのが現状だそうです。  次に飛びまして12ページ、これはなぜミラノ基準がいいかというので出てございます。 ミラノ基準に乗って肝移植をしますと、一番右の表、前治療があった場合と前治療がなか った場合、フレッシュな肝癌の場合と内科でもって治療した肝癌の場合の移植後の再発率 です。これは有意差はございません。ですから、前治療をしたからだめということではな いというのが学会のデータでございます。  次の13ページ、これが移植時、ミラノ基準に合ったものを「内」と書いてあります。 それからミラノ基準から反するものをやった場合の再発率です。これを見ますと、やはり ミラノ基準内でやった方が生存率も再発率も非常によろしいという結果でございます。  次に飛びまして19ページです。未治療のミラノ基準内での肝移植の予後です。やはり ミラノ基準内でやった方が、患者生存率、それから再発率も非常によろしいということで、 とにかくミラノ基準に合った方が非常に患者にとってはいいのだということです。  20ページは既治療例です。内科的治療をやって、それで肝移植に行った場合と、初め から肝移植をやった場合との予後ですけれども、これについても有意差はないということ です。  次の21ページが、ミラノ基準内症例での生存率と再発率、これもミラノ基準内に合っ ていれば、非常に成績がいいというデータだそうです。  あと、諸種見ていただいて、学会では、患者さんのニーズあるいはいろいろな御意見、 それからドナーをどうやって安全にするか、ドナーで死亡した例がございますので、ドナ ーに対する安全性についてもきちんと基準をつくろう。それから、肝移植の合併症につい ても、25ページに書いてありますが、このうちで死亡に至った例はないのだそうです。 こういう疾患が、合併症があるということを移植医は十分判断して行いたい。ですから、 ドナーについてもできるだけ安全性を確認するために、学会としていろいろな基準を設け てやっているそうです。  それから、肝移植を受けた患者さんの意識調査等も33ページから入ってございます。 これはきちんと患者さんの状態を見て、先ほど出ました5学会の要望書が出ました。  最初の中医協診−3、「生体部分肝移植の対象疾患及び施設基準について(案)」、こ れに基づいて御検討いただきたい。結論的には、昨日の分科会では、この資料3、いろい ろ意見がございまして一部修正してこの案がございますけれども、この方向で結論づけて いただきたいというのが結論でございます。  以上です。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。  ただいまの説明につきまして事務局からほかに補足などございましたら、お願いいたし ます。 ○事務局(宇都宮企画官)  医療課企画官でございます。特に補足ということではないのですけれども、今のお話を まとめますと、資料の診−3でございますけれども、この改正前には、「肝内に径5cm以 下1個、又は径3cm以下3個以内」というこの基準について、未治療例、治療していない ものに対して保険給付するという運用を行ってきたものを、今回既治療例でこの基準を満 たすようになったものに対象を拡大するということを、改正後の案の(3)に書いておる。 それから(1)と(2)はその診断の仕方について明確化したと。端的に申し上げれば、 そういうことでございます。  以上でございます。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。  それでは、ただいまの説明につきまして御質問、御意見などございましたら、どうぞお 願いします。 ○対馬委員  医学的・専門的なことを、なかなか全体感がちょっとつかめないものですから伺いたい のです。臓器移植全体の中での今回のこの生体部分肝移植というのはどういう位置づけに なるのか。例えば脳死などの死体肝移植というのもあるだろうと思うのです。それとの関 係が1つ。あと、肝移植以外で、例えば生体部分肺移植などというのは、たしか3年ぐら い前に議論して、高度先進医療から保険適用するかといったときに、それはちょっと待て ということがありましたけれども、そういう全体感が一つわかればというのが1つです。  あともう1点は、費用とか件数、このあたりが今現在が足元がどうで、それに対して今 後どういうことになっていくのか、このあたりは事務局に伺った方がいいのかもしれませ んけれども、この2点です。 ○土田小委員長  事務局いかがでしょうか。 ○吉田分科会長  最初の1点だけ、では答えます。  この臓器移植全体ですけれども、確かに日本ではドナーが非常に減っているのです。こ の肝移植についても、ですから、死体肝移植というのはほとんどないのです。要するに、 脳死判定が非常に厳しいものですからなかなかできない。特に腎移植ですと、今大体、死 体腎移植というか、脳死の判定の腎移植を待っている患者は、やはり10年待てというの です。だから、アメリカも最近はそうです。全世界的にはドナーが減っているのです。で すから、この肝臓に関しても確かに減っていますので、当然、生体からの移植しかできな いのです。そういう現状です。  あと費用についてはちょっと事務局から。 ○事務局(宇都宮企画官)  費用についてでございますが、今回の基準を適用した場合の 最大対象者数としまして、おおむね100例と推計しておりまして、この患者さんに生体 部分肝移植を実施した場合、5億円ぐらいの費用がかかるのではないかと我々としては推 計してございます。 ○土田小委員長  よろしいですか。 ○対馬委員  はい。 ○土田小委員長  ほかにございますでしょうか。 ○小島委員  幾つかあるのですけれども、1つは、基本的に今回のこの保険適用の拡大については、 ニーズなり患者さんの要望も強いというお話ですから、各学会の方もそういう要望が高い と思うので、基本的な方向としてはその方向で対応してみたいと思っておりますけれども、 幾つか質問なり要望を出したいと思います。  この保険適用の仕組みの基本的なことなのですけれども、先ほど、その保険適用、手術 を受ける、提供をされる側の点数は6万何千点かありましたけれども、このドナーの方、 提供する側の方のは、当然これも保険適用になっていると思います。そこがどのくらいの 点数になっているのか。それと、保険適用の場合には、今原則3割自己負担となっていま すので、ドナー、提供する方が、では、その人の3割負担というのも、これは扱いはどう なっているのかという点が1つです。これは基本的には保険適用の在り方の問題ですけれ ども。  それと、もし仮に今回この形で適用を拡大するということになりますと、今まで幾つか 事前に、治療を受ける、手術を受ける前に、医療機関では、保険適用になるという形で手 術を受けた方で結果的にこのミラノ基準の判定で保険適用にならなかった方が何人かおら れるという話を聞いていますので、そういう方は、保険適用、その時点から前のところへ さかのぼるというのはなかなか難しいと思いますけれども、今まで保険適用にならなかっ た方の扱いについてはどう考えるかということが質問です。  それともう1つは、もしこれからこの適用を拡大するとすれば、手術を受ける方も増え ていくと思いますので、その際に、先ほど学会でまとめております調査などで、ドナーの 手術後の調査などでも合併症を併発されている方が1割を超えるというデータになってい ますので、そういう人たちについては、ぜひここは厚労省としてもきちっと調査なり検証 していく必要があるかと思います。それから、ドナーの方のその後の生活環境といいます か、職場や学校への復帰ということについてもいろいろ課題はあると思いますので、そう いうことも含めて少しそこは検証なり調査をしていく必要があるのだろうと思います。 ○事務局(宇都宮企画官)  まず、ドナーの方の保険請求のお話でございますが、移植用部分肝採取術という、生体 からというもの、4万8,000点、これはレシピエント側の方に請求させていただくと いう形で行っております。  それから次に、過去に認められなかった方についてどうなるのかというお話なのですけ れども、一般的にこの保険給付の対象とならない治療というものは、患者さんと医療機関 との合意の下で行われたものということでございますことから、その費用負担についても、 両者の話し合いにより決定されるものと認識してございますので、国として特に申し上げ るという立場ではないのではないかというふうに認識しておるところでございます。 ○土田小委員長  要するに、質問というより意見だと思いますが、ドナーに対する対応といいますか、調 査をしていただく件はいかがでしょうか。 ○事務局(宇都宮企画官)  そのことにつきましては、関係します部署の方にもその旨をお伝えしたいと思います。 ○小島委員  今、生体肝移植については、ドナーについては親族に限定されていますね、たしか6親 等でしたか、ということなのですけれども、ここは6親等の中で親族が多くいる方であれ ばそれなりにドナーになる可能性が高いと思うのですけれども、親族、6親等と言われて も、極めて限定された数が少ないということになると、その人に対するいろいろなプレッ シャーもあるということなので、今後そういう関係も含めて、作業といいますか、調査と いいますか、検証といいますか、その辺もぜひお願いしたいと思います。 ○事務局(宇都宮企画官)  ちなみに倫理委員会の方で認められれば、必ずしも6親等以内でなくても認められるケ ースもございます。一応御参考までに。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。 ○松浦委員  今、100例で5億円という数字が出ていましたけれども、これは保険財政に対して及 ぼす影響は、したがって3億5,000万円と、こう考えていいのですか。 ○事務局(宇都宮企画官)  ただ、高額療養費の適用ということもございますので、単純に7割ということではない と。 ○松浦委員  ざっとその辺は、推計、どのぐらいというのはわかりませんか。 ○事務局(宇都宮企画官)  ほぼ5億円に近くなってしまう。 ○吉田分科会長  実は、肝移植は私の病院はやっているのですけれども、1例2,000万円ぐらいかか ります。保険請求点数2,000万円弱です。そのうちの3割を患者さんが負担する。そ れから今回問題になったのは、ドナー、要するに、肝移植をする予定でもって患者がいま すよね、だから、このドナーもいろいろな免疫関係とかを調べに何回も来るわけです。そ れに対しても、実際肝移植をやってみたら、これは再発肝癌だ、だめだと言われてしまう と、ドナーの検査も全部認められないのです。そういう不都合があってこの5学会から、 実は私は東京都の審査委員長をやっているものですから、来たのです、別に私が査定する わけではないのですけれども。何でこれは認められないのだということで大至急要望させ ましたが、大体2,000万円かかります、いろいろな検査を含めますと。 ○松浦委員  私は、これは決して反対しているわけではないのです、これはやるべきだと思うのです けれども、その額が今大体100例で5億円という、その1例で2,000万円というの は大体整合しているわけですか。 ○事務局(宇都宮企画官)   その辺はかなり症例でもばらつきがあって、我々の方としては、1例当たり500万円 程度というふうに推計してございます。 ○松浦委員  わかりました。 ○土田小委員長  ほかにございますでしょうか。  あるいは分科会長あるいは事務局の方で補足すべきことがございましたら、どうぞ。よ ろしいですか。 ○吉田分科会長  これだけマスコミでも騒がれましたのでぜひお認めいただいて、医療費のことに関して は私はよくわかりませんけれども、患者さんが非常に困っていらっしゃるのです。それで 特にドナーというのは、確かに小島委員からさっき出ましたように、相当決心されて来る わけです。自分で健常人で傷つけるわけですから、相当決心して来るので、移植までに5 回とか10回とか結構通っていらっしゃるのです。その間に移植医がいろいろな説明をし てやっています。それが決断して肝移植をやったら、その移植はだめだということで、ド ナーの保険料は全部査定を受けるのです。こういう現状では本当にかわいそうですよね。 それだけでも助けていただきたいと思います。 ○土田小委員長  どうもありがとうございます。 ○対馬委員  今回のこういった改正案というのは今お話があったとおりですのでよろしいかと思うの ですが、ちょっと事務局にも要望しておきたいのですが、なかなか難しいのかもしれませ んけれども、今回は実際に手術などをやったその後でもってお金の問題が出てくると、こ ういうことですので、ルールを決めるときの決め方をできるだけわかりやすくしておいて、 後々やった後で、やってみたらと、こういうことにならないようにするのがやはり基本だ ろうと思いますので、特に事務局に対しましては、できるだけ明確なルールというのでし ょうか、後々のお金ということにならないような、そういった配慮といいますか、これか らのこともよろしくお願いしたいと思います。 ○土田小委員長  事務局よろしくお願いしたいと思います。  ほかにございませんでしょうか。 ○古橋専門委員  大変初歩的な御質問で教えていただきたいのですけれども、この臓器移植というのは、 医療を受ける側からいたしますと、まずは治療成績で成功があるということと安全性とい うことだと思うのですけれども、今ドナーが世界的にも減ってきているというのは、いわ ゆる脳死による移植の方々が減ってきているのか、こういう生体提供ということも含めて 全体的なドナーの数というものに何かそれなりの数が減るという現象が起きているのかど うかということと、もう1つは、ドナーが臓器提供をなさった後の合併症とかドナーの危 険度とか、そういうあたりについては何か成績があるのかどうか。もう1つ、日本におい てはこれは子供さんから始まった治療方法でございますけれども、このデータを見ますと、 子供の移植数というのが微妙に減ってきている。このあたりは、学会等的にはどんなふう に御判断になっておられるのか、そんなあたりをちょっと教えていただきたいと思います。 ○吉田分科会長  私は専門家ではないのでわからないのですけれども、とにかく移植を受ける患者数は相 当多いのです。だけれども、日本の風土といいますか、なかなか健常人に傷をつけるとい うことに関するドナーの解釈がまだ進んでいないのです。ですから、アメリカとかヨーロ ッパに対するドナーとして積極的にやる、その宗教的な背景がないものですから、やはり ちゅうちょされるのです。ですから、別にドナーが減ったわけではなくて、ドナーになり たい人が減ってしまったということなのです。ですから、やはり学会としても、ドナー調 査をよくやっています、23ページからやりましたけれども、このドナーの安全性に関す る研究会も外科でもってつくっています。それでいろいろ調査をしていますので、できる だけこの学会としても、このドナーについてもフォローアップしたいという体制はつくっ てあります。 ○土田小委員長  事務局いかがでしょうか。 ○事務局(原口臓器移植対策室長)  件数の関係について一つ補足させていただきます。臓器移植に関しましては、死体から の提供と生体からの提供とあるわけでございますけれども、件数が伸び悩んでいる、一時 期は減少の傾向もあったというのは、死体からの提供の方でございます。こちらの方は、 現行の臓器移植法に基づいて提供されていますが、かなり厳しい基準だということが一つ 指摘される場合もございますけれども、いずれにせよ、あまり件数が伸びていない。一時 はかえって減るような傾向もあった。生体からの提供に関しましては、比較的件数は増え ているということでございまして、日本の場合には死体よりかえって生体からの提供が多 くなっています。ただ、このことについては、健常な方にメスを入れて提供いただくとい う問題があり、死体からの提供について可能な限り促進、意思表示の普及を図るべきだと いう指摘をいただき、また取り組みをしている、こういう状況がございます。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。  よろしいでしょうか。それでは、ほかに御質問などないようでしたら、本件につきまし ては中医協として承認したいと思いますが、よろしいでしょうか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。  それでは、本日の小委員会はこの1件だけでございますので、これで終了したいと思い ます。  吉田先生、長い間どうもありがとうございました。  次回の日程につきまして事務局の方で何かございましたら、お願いします。 ○事務局(原医療課長)  基本小委については、日程は未定でございますので、また連絡をさせていただきます。 ○土田小委員長  わかりました。  この後引き続いて検証部会がございますので、しばらくお待ちください。    【照会先】     厚生労働省保険局医療課企画法令第1係     代表 03−5253−1111(内線3288)