07/06/18 社会保障審議会後期高齢者後期高齢者医療の在り方に関する特別部会平成19年6月18日議事録 07/06/18 社会保障審議会後期高齢者医療の在り方に関する特別部会          第8回議事録  (1)日時  平成19年6月18日(月) 16:03〜18:03 (2)場所  厚生労働省専用18〜20会議室 (3)出席者 糠谷真平部会長 鴨下重彦部会長代理 遠藤久夫委員 川越厚委員         高久史麿委員 辻本好子委員 野中博委員 堀田力委員 村松静子委員        <事務局>        水田保険局長 白石審議官 原医療課長 唐澤総務課長 他 (4)議題  ○後期高齢者医療の在り方に関する基本的考え方に対する御意見の募集         について        ○特別部会の今後の進め方について        ○後期高齢者の入院医療について (5)議事内容 ○糠谷部会長  まだお三方、お見えになっておられませんが、定刻を過ぎましたので、これより後期高 齢者医療の在り方に関する特別部会を開催いたします。きょうは全員御出席の予定でござ います。  それでは議事に移りたいと存じます。3月に開催されました前回の特別部会においては、 「後期高齢者医療の在り方に関する基本的考え方」(案)について議論をいただきました。 当日の議論を踏まえ、修正を行い、4月11日に「基本的考え方」を取りまとめまして、 同日より国民の皆様の御意見を募集したところでございます。  御意見の募集は5月11日まで行われました。その結果につき、事務局で取りまとめて おりますので、まずはそれについて報告を受け、議論を行いたいと思います。  それでは、事務局より説明をお願いいたします。 ○原医療課長  医療課長でございます。本日、パブリックコメントについての結果について御報告いた します。「基本的考え方」そのものにつきましては前回の特別部会後、若干の文言等の調 整を行いまして、4月11日付で部会の名前でまとめていただいております。その完成版 は本日の参考資料2のところにおつけしております。  4月11日付でまとめていただいた「基本的考え方」について、4月11日から5月11 日までの1カ月間、厚生労働省のホームページで御意見を募集いたしました。意見の提出 方法等については電子メール、もしくは郵送という形でいただいております。いただいた 御意見は合計で326通ということでございます。共通の内容も多いので、事務局で取りま とめた上、本日の資料としておつけしております。  なお、いただきました御意見そのものにつきましては、個人情報等についてマスキング をした上でテーブルの上の青いドッチファイルの中にお配りさせていただいております。 また、傍聴の方々には本日の特別部会終了後、このドッチファイルについて入り口のとこ ろで閲覧できるようにいたしますので、そのときにごらんください。  資料に戻りまして、寄せられた意見の提出者の属性でありますが、年齢でいきますと 20歳から39歳までが36人、40歳から64歳が過半数の178人、65歳から74歳が35人、 75歳以上が10人、団体もしくは未記入という方々が67人でございました。性別でござ いますが、女性が53人、男性が213人、未記入もしくは団体等が60人でございます。職 業でございますが、医療関係者以外の方々が少なくて22人、ほとんどは医療関係者とい うことで244人でございました。  2ページ目でございますが、その医療関係職種244人につきまして、具体的にどのよう な方々かということを聞いておりますが、一番多かったのは開業の医師の方で96人でご ざいます。そのほか、歯科医師の開業の方30人、薬剤師・薬局勤務の方が34人となって おります。  意見の概要でございますが、326通それぞれいろいろな意見がございましたので、延べ 意見数としてまとめましたところ、490件でございました。この490件につきまして、そ れぞれどのような項目か、完全に一致するのはなかなか難しいのですが、事務局の方で基 本的考え方の項目に沿った形で整理させていただきました。  一番多かった項目は4番の「後期高齢者にふさわしい医療の体系」の中の「在宅を重視 した医療」という項目に対して寄せられた意見が126件でございました。2番目に多かっ たのは3の「後期高齢者医療における課題」というところで、複数医療機関の頻回受診や 検査・投薬の多数・重複についての意見が39件でございました。  具体的に次のページをごらんいただきたいと思います。1の心身の特性について、それ ぞれ(1)、(2)、(3)あるのですが、一番ふさわしいのはどこかというのは迷った ところもございますが、例えば(1)のところでは自由に診療を受けられるようにとか、 あるいは高齢者であるがゆえにサービスが過剰にならないようにという御意見。認知症の 関係の御意見としては、総合医よりも各科の専門医が認知症の専門医に紹介する方が効率 的ではないかという御意見。(3)、それから1の全般に関する意見でもございますが、 年齢によって受ける医療に差があってはならないという御意見が多かったようでございま す。また、後期高齢者の心身の特性として、個体差が大きいということについても言及す べきという御意見がございました。  次のページでございますが、基本的な視点に対する御意見であります。1番目とも重複 しておりますが、まず医療機関の選択について自由を保障すべきである。あるいは、身体 的な特徴から生活支援や介護支援が主体ではある。均一サービスの提供が難しいとしたな らば、自己負担分の程度に応じた高度医療サービスが受けられる仕組みも必要ではないか。 尊厳に配慮したということから、逆に終末期の医療の切り捨てにつながってはいけない。 あるいは、食生活が重要であり、その意味では歯科医療が重視されるべきである。これも 年齢差でありますが、75歳を境に生活が急激に変わるわけではないので、前期高齢者か らの継続性のある医療、介護が求められるという御意見がございました。  3番目の課題のところでございますが、(1)の複数の疾患を併有して、あわせて心の ケアも必要というところでは、心のケアも重要なのですが、その背景の疾病も十分考える 必要があって、安易に薬剤投与に走ってはならず、原因治療を徹底すべきという御意見が ございました。また、逆に精神活動を活発にさせるためにも、精神活動を抑制させる薬剤 の処方を控えめにする対策も必要ではないかという御意見がございました。  慢性的な疾患のために、その人の生活に合わせた療養を考える必要があるという項目に 対しては、個々の患者に具体的にどう対処するのか議論を深めてほしいということがござ いました。  3番目、これは2つ目に多かった項目ですが、複数医療機関の頻回受診等のところでご ざいます。例えば、ここでもやはり医療機関へのフリーアクセスを妨げるべきではないと か、在宅療養の一方で、施設への入所による療養も大事と思われるという御意見。重複投 薬を避けるため、原則院外処方にしてはどうかという御意見がございました。  次のページに移りまして、かかりつけ薬局を持つということを義務づけてはどうかとい う御意見。一方で、逆に一元的管理を目的とした一薬局に限定するのは無理があるのでは ないかという御意見もございました。高齢者にお薬手帳というものを持っていただくよう にしているのですが、このために逆に多数・重複となる投薬は少数になってきているとい う御意見もございました。複数医療機関の問題のところですが、医師が自信のない分野の 患者を抱え込むことはかえって医療費を増大させてしまうのではないかという御意見のほ か、外来を含めて包括的な支払い方式を基本としてはどうかという御意見がございました。  4番目に家族や地域介護力についての項目でございますが、ここでは2番目に書いてあ りますが、自宅で介護療養をする、あるいはできるのは、すぐに利用できる施設やベッド があるからであるという御意見がございました。  5番目の正しく理解をして自分の治療法を選択することの重要性については、これは部 会でも御意見がございましたが、高齢者に限らず、すべての医療に共通する問題であると。 正しく理解しているというところについて、「情報の非対称性」ということはよく言われ るわけですが、これについてなかなか難しい問題であるという御意見がございました。す べてを個人の選択にゆだねるということは国民性に合わないのではないかという御意見も ございました。  4番目の医療の体系のところでございますが、1番目の急性期入院医療についてですが、 適切な時期に在宅医療に切りかえる必要がある。あるいは、高齢者の評価やマネジメント が必要と言うが、医師にそれに見合う時間的余裕がとれないという御意見もございました。  次の在宅のところでございますが、ここは一番御意見が多かったところであります。初 めの3〜4点ですが、これは総合的に診る医師についての御意見であります。まず、総合 的に診る医師の資質が非常に重要である。あるいは、必要性については賛同する。あるい は、総合的に見る医師というのをもう少し明確に定義づけなければいけない。とは言うけ れども、あらゆる科に精通せよというのは無理があるという御意見がございました。  真ん中ほどでございますが、かかりつけ医はあくまでも患者の自由意思によって選択さ れるべきで、専門医の選択、受診も自由でなければならないということがございました。 在宅医療に当たって多職種の協力が必要であると。今後増加する高齢者に対応できるだけ の医師の確保が優先されないとできないのではないかと。医療関係者がチームになって行 うのが理想である。支払い制度についてが、登録医制度や人頭払い制度に結びつける考え 方には賛成できない。訪問看護について、経験を有する看護師が必要であり、現状ではな かなか足りていないという御意見がございます。さらに、全身状態の維持のためには継続 的な口腔ケアが大事だという御意見がございました。  介護保険等他のサービスとの連携でありますが、ここのあたりでは入院計画書や退院後 の治療計画書の作成において、連携を義務づけてはどうかという御意見がある一方で、こ の文書での情報提供という形を要件としておりますので、逆にそれが医療現場での事務の 繁雑化につながっているという御意見がございました。実質的に有効的な方法はないのか という御意見かと思います。  安らかな終末期を迎えるための医療でありますが、ここは書面化することを強要される ことは問題がある。あるいは、日本人の心情に沿ったガイドラインが必要である。単なる 延命処置については問題があるのではないか。終末期患者の権利を立法化してはどうかと いう御意見がございました。  その他のところでありますが、このあたりはさまざまな御意見が出てきまして、例えば 3点目には、治療内容の標準化や医療の質が確実に確保できるなら、包括化や定額化に向 けた検討をしてはどうか。フリーアクセスの原則を確保することについて明記すべきであ ると。持続可能の名のもとに医療費を削減するというのは必ず医療の質の低下を招くこと になるという御意見がございました。  その他、全般的にさまざまな御意見がありましたけれども、きょうの説明では以上にさ せていただきます。 ○糠谷部会長  ありがとうございました。それでは、事務局からのただいまの説明に関しまして、御質 問、御意見等がございましたらお願いいたします。どなたからでも結構です。 ○野中委員  事務局はまとめに大変だったと思います。事務局に聞くのは違うかもしれませんが、1 番の後期高齢者の心身の特性についてで、(1)のところの2番目に、高齢者であるがゆ えにサービスが過剰にならないようにしていただきたいという意見、高齢者だから医療が むだに行われている事は、本当はないと信じています。その意味が私にはわからない。  どうも安易に、高齢者であるがゆえにサービスが過剰にならないようにしていただきた いとの言葉がいろいろなところで語られ、またさらにこういうところへ出てくるのが私と しては本当に疑問なのです。事務局にこの意味について聞くのは酷とは思いますが、どう いう意味で使われているのかについて事務局としてはどの様にお考えになるか。 ○糠谷部会長  原文そのものがどうなっているかというのもあるかと思いますが、お答えいただける範 囲で。 ○原医療課長  原文では、長くないので読ませていただきますが、「高齢者なるがゆえにということだ けでサービスが過剰にならないようにしていただきたい。もちろん高齢者は複数の慢性疾 患を併有し、多くの治療を必要とすることは事実であるが、若年者に比べ1人当たりの医 療費が5倍にもなるというのは少し高過ぎると思う。高齢者みずからの健康管理を重要な 項目として強調しておいてほしい」と。みずからの健康管理も重要と。こういう御意見で ございます。  これにつきましては、1人当たりの医療費ということでよく出てくるのですが、参考資 料1の25番です。この24、25のところが1人当たり医療費ということでございます。1 人当たり医療費というのは、その人口で割りますので、疾病頻度が高くなる高齢者は当然 1人当たり医療費が高くなるということであります。  その次のページの26番、27番を見ていただきたいのですが、これは1件当たりの、簡 単に言うと病気を持った人1人当たりと言いますか、レセプト1枚あたりの点数です。そ れで見ますと、入院医療、下が入院外の医療ですが、高齢者に比較的高くなっていきます けれども、極端に若年者に比べて単価的に高くなっているわけではないということがここ から読み取れるかと思います。このあたり、1人当たりというのが単価とボリュームの形 で出てきますので、1人当たり医療費というのは、全体の疾病が多いために1人当たりが 多いだけというふうにも分析はできると思いますが、そのあたり、単価がそれほど高いわ けではないということは余り普及していないのかなと感じております。 ○糠谷部会長  ほかに何かございますか。 ○村松委員  ここで基本的考え方というのをまとめて、そして323通の御意見があったということで すよね。その中に全くここで出されたのとは違う意見というのはあったのかどうか。あっ たらお教えいただきたいと思うのですが。ただざっとまとめたのを読んでも、私はちょっ とその辺がはっきり見分けられないので、もしありましたらお教えいただきたいと思いま す。 ○原医療課長  今読み上げるのは省略いたしましたが、一番最後のページで、4番に対する(5)その 他のところに、例えば後期高齢者からの保険料徴収は行わないように配慮してほしいとい うのがあるのですが、これ自体は制度的に後期高齢者医療保険制度をつくっておりますの で、後期高齢者から保険料徴収をすることは法律的には決まっていると。それに対して真 っ向から反対の御意見も確かにございました。あと、個々の団体からの御意見の中に、い ろいろな支払い方式、若干ありましたけれども、余り具体的な支払い方式についてここで 議論したことはございませんでしたので、そういう意味では、そういう包括払い的にして はどうかというような御意見は、ここでは余り議論されなかったところかと思います。 ○堀田委員  この意見の職種を見ますと、医療関係者ばかりですよね。22にその他というのがあり ますが、これもその他医療関係職種だから、サービス提供者側だけの意見がここで寄せら れたように理解するのですが、中を見ますと、例えば一番最後のその他全般的な意見で、 高齢者でも理解できるわかりやすい医療制度がいいとか、介護へ追いやらず安心して医療 を受けさせてほしいとか、患者サイドのような記述もあるのですが、そういった患者サイ ドと見えるような意見も医療関係者がお書きになっているのでしょうか。 ○原医療課長  (3)属性のグラフのところで、一番左端にありますが、医療関係者以外が22人おられる と。あとは職業を書いておられない、あるいは団体で出してこられたというのが60人お られます。ですから、合計82人の方は医療関係者以外であります。今、堀田委員がおっ しゃられた23人というのは、この医療関係者の中のその他医療関係職種というところの 23人かと思います。 ○野中委員  堀田委員が言われたように、医療関係者以外の22人の方がどういう意見かについて一 度確認しておく必要があると思います。来年の4月以降になれば、保険を実際に活用する のは医師かもしれませんが、その患者さんも活用されるという視点では、もっと興味を持 ってほしいと考えます。でも22名の方にどんな意見があったかということは一応確認す る必要があるのだろうと思いますので、よろしくお願いします。 ○糠谷部会長  確かに今、堀田委員、野中委員がおっしゃったように、医療関係者が圧倒的に多いわけ ですが、ここで事例として整理されておられる中ではどういう配分になっているかという か、医療関係者が多いから、その方の分がたくさん入ってきているということかもしれま せんが、いわゆる消費者側というか、使う側というか、医療関係者以外での御意見が、少 ないながらもせっかく書いてこられたのがどういう御意見があったのかというのは我々と しても確かに知っておいた方がいいと思いますので、どういう整理の仕方があるかあれで すが、ちょっと整理をやっていただいたらどうでしょうか。 ○原医療課長  そこだけをピックアップするのは難しいかもしれない。例えば医療関係者以外でも、退 院後の生活を含めた総合的な治療計画を作成することが必要であるとか、かなり具体的に 踏み込んだ御意見もございました。先ほど堀田委員の御指摘のあったところの意見などは もちろん医療関係職種以外の方からの御意見でございます。そういう意味で全般にわたっ ていますので、今ここですぐにというわけにはいきませんが、また次回までに主な意見と いうことで、あるいは今のような形で表を取りまとめてみたいと思います。 ○糠谷部会長  今ということでなくてもよろしいと思います。ほかに御意見、御質問はございますでし ょうか。よろしゅうございますか。もしよろしければ、本件に関する議論はここまでとい たしまして、次の議題に移りたいと思います。  次に特別部会の今後の進め方についての議論に移りたいと思います。「後期高齢者医療 の在り方に関する基本的考え方」の取りまとめに引き続いて、今後、本年秋ごろを目途に、 当部会では後期高齢者医療の診療報酬の骨子について議論を行うこととなります。診療報 酬の骨子に向けた議論の進め方について事務局に方向をまとめさせましたので、その説明 を事務局よりお願いいたします。 ○原医療課長  資料2をごらんいただきたいと思います。1枚めくっていただきまして、医療の在り方 に関する基本的考え方をチャートであらわしたものが1ページ目でございます。これから の議論をどういう方向で進めていただくかということで、2ページ目でございますが、後 期高齢者の受ける医療の流れについてというふうにまとめてございます。さまざまな医療 の受け方がございますので、ここではいろいろな場面を想定する中で外来の場面、これは 通院してこられる方ですね。それから入院での医療の場面、それから外来を通えない、あ るいは入院していない、在宅、あるいは居住系の施設を含みますが、在宅での医療、この ような場面を考えて、そこでどのような医療を考えていくのかというところを議論してい ただいたらどうかと思っております。  そういう意味で3ページ目以降ですが、基本的な考え方の中でまとめられているものを 少し並べ直して、総論部分、外来の場面、入院の場面、在宅の場面という形にして、それ ぞれの場面でどういうことが問題となりそうかということで、ここでは論点例ということ でお示しさせていただいております。本日はこのうち入院の場面についていろいろと御議 論いただけたらと思っております。この中の論点例の個々についてはまたそれぞれ御議論 いただきたいと思います。  7ページをごらんいただきたいと思います。この部会の当面のスケジュールということ で、6月18日、本日が第8回ということで、御意見の募集結果について、これが今のパ ブリックコメントであります。診療報酬における高齢者医療制度についてと後期高齢者の 入院医療について、これは後ほど御説明し、御議論いただきたいと思います。その後、7 月6日に第9回、ここでは外来と在宅医療について。7月30日、第10回では、8回目、 9回目の部会の議論を踏まえた議論をしていただくと。その後、医療部会、医療保険部会 において議論していただいて、秋ごろ、診療報酬体系の骨子というものをまとめていただ きたいと思っております。  この診療報酬体系の骨子のイメージでございますが、本日の参考資料3をごらんいただ きたいと思います。これは実は昨年の診療報酬改定に向けて平成17年11月に社会保障審 議会の医療保険部会と、医療部会の、両部会がまとめられました基本方針でございます。 イメージとしては、後期高齢者医療の診療報酬体系について、この程度のものをつくって いただこうと考えておりまして、診療報酬全体、ここでは5ページにまとまっております ので、余り分厚くならない程度のものをここの部会で最終的にはまとめていただいて、そ れを中医協の方に議論を持っていくというスケジュールを考えております。ここでは基本 方針という形で書いてありますが、特別部会からは骨子という形で御提案いただけたらと 思っております。  本体の方の8ページでございますが、これは中医協での議論のスケジュールということ で、平成18年度改定が右側の欄に参考で載っておりますが、平成20年度におきましても 7月ごろに来年度改定の検討項目案を提示いたしまして、9月以降、順次検討項目を集中 的に議論していくということになります。並行して、こちらの後期高齢者医療の新たな診 療報酬体系の骨子というものをまとめていただいた上で、それを含めて中医協の方で次期 の診療報酬改定に向けた作業を進めていくと。そのようなスケジュールを考えております。 ○糠谷部会長  そうしますと、外来・入院・在宅と3つに分けてやりますということと、きょうは入院 のところで少し御議論をいただきたいということですが、入院のところはまた後でもう少 し説明をするということですね。全体としての進め方、この外来・入院・在宅のところ、 もう少しこの絵のところの説明はよろしいですか。 ○原医療課長  外来と入院と在宅、特に入院から在宅へ行くときとか、その接点ですね。ここでいうと 矢印の書いてある場面、ここを考えながら、入院医療をしているところでもそれを考える というような意識があるのでこの矢印をつけてありますので、そこは入院の議論をすると きに、例えば在宅への移行の問題はどう考えるかというようなことも当然議論していただ こうと思っております。 ○糠谷部会長  それでは、入院の具体的なところに入る前に、全体のこの進め方について御質問、御意 見等をいただいて、それから入院の御説明をと思いますが、いかがでございますか。 ○野中委員  進め方に関しては異論はないのですが、こうやってパブコメとか、いろいろ見ていると、 後期高齢者の医療のあり方を話し合うだけでいいのか。子どもから、若人から、人間は最 後までどうやって医療が適切に提供されて、そして最終的に国民の尊厳、病気の人の尊厳 がどう守られるかという視点が医療に問われていたことで、何も後期高齢者だからという 話ではないと思っています。そういう面で、後期高齢者医療のあり方をこの部会が検討す るのはいいのですが、何が現状の医療で足りなかったかも含めて考えていかないと、本来 医療の目的とする患者さんの尊厳をどう守るかが薄れてしまうと思います。  例えば入院を考えても、現場では確かに後期高齢者の方々が入院しようとすれば、入院 する前から、そんな年齢だからいいじゃないですかと言われて、受け持ちの主治医として は、何とか治療すればまだ回復可能もあるわけであって、その辺を判断していくかの作業 が、ただ単に年齢だけで判断されることはおかしいと思います。この様な状況が後期高齢 者だけではなくて、若い人たちにとってもあるのではないかと思います。  そういう部分から医療のあり方を考え、そして特に後期高齢者も若い人も同じと思うの です。支える視点が非常に大事として基本的な視点に入れていただいたので、異論はない のですが、一方でベースの医療のあり方が現状としてはどうなっているのかも含め考えて いく必要があると思っています。後期高齢者の特別な部分だけを検討するだけで良いのか 疑問がわきますので、そこら辺はぜひ要望としてお願いいたします。 ○糠谷部会長  後期高齢者の特別部会ということで議論するわけですから、最終的には後期高齢者のと ころを頭に置いてということだと思いますが、それまでの議論では、今、野中委員がおっ しゃったことも当然頭に置いてと思いますので、事務局の方もそこのところはそういう意 識でやっていただけたらと思います。 ○野中委員  具体的に言いますと、例えば介護保険でも、システムはある程度できている。しかし、 患者さんあるいは利用者さんの、「その人のその人らしさ」を実現するケアプラン、すな わちケアマネジメントとか、ケアマネジメントに関係する手法等、確立されている状況で はありません。現場では、ヘルパーさんも含めて関係者一人一人みんなが苦労されている 現状がまだまだあるわけです。特に後期高齢者の医療やケアが絡む制度には、その人一人 の医療やケアの質を担保する事が本当に必要と思います。  私も平成18年の診療報酬改定に多少かかわりましたが、個々の人の医療の質やケアを 担保する手法がどうも検討されず、どうもシステムだけがいつも一人歩きする。そうする と、現場の人間たちはいつも、その人の生命とか、尊厳をどうやって守ろうかでいつも苦 労して、それが報われない現状がある。ただ単にお金が欲しいと言っているわけではなく て、どこまでやれば良いのか苦労している。  その辺が模索されている。システムをつくることは大事と思うのですが、本日のパブコ メにもありましたように、一人一人の個別性をどうやって配慮するかも評価に入れる必要 があります。後ほど入院医療でお話ししたいと思いますが、入院も必要ですが、どうやっ て退院するか。そしてまた病気が再燃したときに、どうやって入院するか。そういうシス テムすら、それは現場の話と言われてしまう。どうかその辺の部分まで突っ込んで、ある いは頭に入れていただきたいと思います。どうかそういう部分をぜひお忘れなきようにし ていただきたいと思います。 ○糠谷部会長  それでは、ほかに御意見等がございましたら。 ○堀田委員  パブコメの中にも、後期高齢者という制度をつくるにしても連続性が重要だという意見 があって、それはそのとおりだと思いますが、そういう点の議論は3つに分ける中でどう いう関係になるのですか。 ○原医療課長  その部分は一番初めの総論のところに、「基本的な医療内容については、患者の必要性 に応じて提供されるものであり、74歳以下と変わらないことについてどう考えるか」と いう論点例として挙げておりますし、参考資料2の3ページ目になりますが、4番の後期 高齢者にふさわしい医療の体系という中で前書きとして、「後期高齢者が受ける医療は、 74歳までの者との連続性が必要である」と。そのように基本的考え方のところで述べて いただいておりますので、このあたりは最終的な骨子のときにそういうものを含めていっ ていただければと思っております。 ○糠谷部会長  後でも恐らくその議論は続いてくると思いますが、ほかに、今のことも含めて結構でご ざいますが、御意見等ございましたら。 ○野中委員  この「特別部会の今後の進め方について」の基本的な考え方に書いてあることについて、 例えばこういうことが現場であったときにはどういうふうに実現するのか、入院とか、外 来とか、在宅医療という中で具体的に議論していくと理解していいのでしょうか。 ○糠谷部会長  そうだと思います。 ○野中委員  外来と入院と在宅医療で共通していることは、制度も一貫していかなければいけないわ けですが、外来と入院と在宅医療の中で患者さんはいろいろな状況になりますが、一貫し た医療とケアが継続できるように、一つには情報伝達がきちんと確立される必要がありま す。75歳以上の人が入院する場合に、確かに高齢者で、症状が改善ができるかわからな い場合もあります。その場合病院に一応入院していただいて、治療の限界かの判断が、病 院あるいは専門医の役割と思います。そういう判断から患者さん御家族といろいろ今後に ついて話していくという作業が医療にとっては大事と思います。  その後病状が安定して、地域に戻られたときにも、きちんと必要な医療が継続できる仕 組みを作る事も必要です。これは退院調整です。しかし退院調整が現実のところではなか なか現場で行われていない。特に高齢者だけではなくて、退院調整ができるかが一番重要 と考えます。それは医療機関同士だけではなくて、さまざまな多職種がどの様に連携する かが大事と思います。  しかし退院調整が、なぜ現場でできない要因としては、医療機関の取り組みだけではな くて、いろいろな人たちがかかわる手間が課題と思います。この課題の克服こそ、後期高 齢者医療だけではなくて、これからの入院医療を充実する事になると思うんです。  すべてが在宅医療とは思っていませんが、在宅医療が普及しなかった事の理由の一つに は、病院が退院に向けて努力していなかったということが大きいと思いますし、その辺が 今後の検討課題と思います。  入院の方まで行ってしまいましたが、入院にはそういう視点を持っていただきたい。私 も大学病院にいましたので、院内の他職種連携がまだまだ進んでいないと思います。まだ まだ足りない現状から、なぜ行われていないのかとの原因の追究が必要と思いますし、そ れに対してどう改善するかということも必要と思います。その点に関してどうぞ調査検討 していただくことをお願いしたいと思っています。 ○糠谷部会長  私は全く素人ですから、お話を伺っていて、そしてパブリックコメントの要約のところ でも、74歳と75歳でいきなり変わるなんていうのはどういうことかというのも、それは 大変もっともなことだと思います。ただ、後期高齢者特別医療という仕組みをつくって、 その中でということですから、当然のことながら年齢も連続性があれば、外来・入院・在 宅も連続性がある、関係があるわけですので、常に議論はそういったところも頭に置きな がら、例えば入院医療の議論をするときも、当然、連携なり、関連性はあるわけですので、 常に行ったり来たりの議論はあってしかるべきだと思いますので、そういうつもりで議論 を進めていければと思いますし、事務局の方もそこのところはそういう考え方で頭に置い てもらったらと思います。  進め方もそういうことでございますが、中身の方で、もしあれでしたら入院の方の話に 入って、議論は常に行ったり来たりで一向に構わないわけでございますが、よろしゅうご ざいますか。それでは、そちらの方の説明をしていただきましょうか。 ○原医療課長  入院医療の議論をしていただくのですが、その前に資料3をごらんいただきたいと思い ます。これにつきましては、現在行われております老人医療に関する療養の基準と診療報 酬についてまとめた資料でございます。診療報酬の体系に向けての骨子をつくっていただ くのですが、診療報酬というのは点数表だけではなくして、どういう医療をしてもらうか というために、例えば健康保険法でいきますと「保険医療機関及び保険医療養担当規則」 というものがございますし、老人保健法では同じように老人医療担当基準というものを厚 生省告示で決めております。  そこで資料3の1ページ目でございますが、それぞれ保険医療機関や保険医が守るべき 事項というものを決めておりまして、その中に詳しくさまざまなことが書いてあります。 例えば2ページ目をごらんいただきますと、これは現在の老人医療担当基準でございまし て、その中に老人に対する医療の取り扱い等として特徴的なものが定められております。 例えば、老人の心身の特性を踏まえた医療を考慮するとか、あるいは日常生活、家庭環境 等を考慮するとか、そういうことは現在もございますし、4点目に老人の心理が健康に及 ぼす影響を十分に配慮すること、あるいは、みだりの検査の反復、みだりの注射などの禁 止などということも書かれております。さらには、入院の継続の要否について常に判定す るとともにというような文言もございますし、最後の方には保健福祉サービス提供者との 連携、それを考慮することというふうに、現在も点数表じゃないところで決められており ます。  そういう意味では、これからまた議論していただきます事項について、点数という形で はなくして、このような老人医療担当基準的な、そのような心構えと言いますか、原則こ うありなさいというようなところで決めていくという方式もあるということをまずそこで お話ししておきたいと思います。  3ページ以降でありますが、老人診療報酬の主たる変遷ということで、昭和58年から 施行されました老人保健法によります医療の給付でありますが、このあたりで入院医療の 包括化の経緯でありますとか、あるいは在宅医療の包括化、あるいは外来医療の包括化等、 細かな点はきょうは御説明いたしませんが、経緯があって、現在までに至っております。  平成18年の前回の診療報酬改定時に、老人に特有の点数についてはかなり一般のもの と統一化されましたが、いまだに若干の部分については高齢者だけに適用している項目も ございます。  そういう意味で、大きく言いますと包括化の流れが、特に入院医療について、例えば老 人医療に着目して包括化が進んだ後、今度は若者も含めた療養病棟の包括化などに進んで きたようなこともございます。このように現在、こういう形になっているということを御 了解いただきたいと思います。個々の点数の経緯については、本日は説明を省略させてい ただきます。  資料4−1と4−2について御説明いたします。資料4−1でございますが、これは先 ほどの進め方のところの議論にありました部分の入院のところだけをピックアップした検 討いただきたい主な論点ということでございます。これ以外にもいろいろな論点がござい ますので、それは適宜つけ加えていただきながら御意見をちょうだいしたいと。  資料4−2の方を説明させていただきます。1ページ目でございますが、入院ですので、 入院患者がどこに入っているかということの資料でございます。75歳以上の場合は、一 般病床と療養病床とを比べますと、一般が47.8%、療養病床が40.5%、精神病床が 11.3%ということで、それ以下の年齢に比べて圧倒的に療養病床に入っておられる割合が 高いという状況でございます。  ただ、医療の中身について、2ページ目でございますが、これは平成17年6月のレセ プトの調査でございます。左側の棒グラフが74歳以下の人のもの、右側が75歳以上の方 の、これは当然、入院のレセプトの調査でございます。左側を見ていただきますと、74 歳以下の場合は300床以上の入院の点数が高くなっております。それに比べまして75歳 以上の場合は、200床未満のところが割合としては多くなっております。そういう意味で は比較的規模の小さいところで療養病床に入院している方が若い人に比べて多いというこ とがこれからわかると思います。  ただ、75歳以上でも当然ながら300床以上、500床以上のところに入院しておられます し、その中で細かく見ていきますと、紫色の部分、上から2つ目の項目ですが、手術・麻 酔という項目の割合については、左側の74歳以下のところと比べましても、例えば500 床以上のところで、必ずしも手術や麻酔が少ないわけではないというような形でございま す。  退院支援のお話を少しさせていただきます。4ページ目でございますが、現行、入院し た場合に、入院診療計画を必ず家族に渡していただくことになっております。そのときに は医師、看護師、その他の関係職種が共同して入院診療計画を立てて、7日以内に患者に 文書で渡しなさいということになっております。そのときの記載内容は病名や症状、治療 計画、検査内容、手術内容、推定される入院期間等を書くことになっております。さらに 亜急性期においては、これに加えて在宅復帰を支援する担当者の名前や在宅復帰の支援計 画というものを加えることになっておりますし、療養病床の高齢者についてはさらに全身 状態の評価やリハビリテーションの計画、栄養摂取に関する計画、感染症や褥瘡予防に関 する対策、退院に向けた支援計画等をこの入院診療計画に書くことになっておりまして、 この部分については現在行われているところでございます。  5ページ目でございます。基本的な考え方にも書いてありますが、入院医療にあっても 高齢者の評価とマネジメントが必要というところで、総合的な評価のイメージを図にした ものでございます。一番左上が、まず入院されてきた後、病状安定後にその方にどのよう な能力があるかということをまず簡単にスクリーニングしていただきます。例えば、基本 的な日常生活の能力があるかどうか、認知能は確かかどうか、意欲があるかどうか、情緒 や気分はどうかと。例えばどういうふうに聞くかというと、下の方に書いてありますので、 こういう質問事項からそれを推定していただいて、そこで判定的にやや問題がありそうだ という場合には、さらに詳しい検査をそれぞれ項目にしてやっていただきます。日常生活 に関連した動作の検査をしたり、活動能力の検査をしたりするわけであります。  その結果、総合的な評価をしていただいて、例えばここでは例として、嚥下障害に留意 が必要である、あるいは口腔衛生管理が必要、あるいは服薬支援が必要、栄養管理が重要 と。このような総合的な評価が出てまいりますと、この方のもともとの疾病の治療後、退 院されるわけですが、退院されるときに医師から、嚥下能力が低下している、誤嚥に留意 する必要がある、あるいは本人による服薬管理は無理である、本人による食事療法は困難 であるといった指示が示されます。  こういう指示に対して、退院後のケアにおける留意点として、食事は軟菜やゼリー食で 誤嚥を予防する、あるいは薬剤の一包化や服薬カレンダーの使用、あるいは食事の摂取も 複数回として、家族の協力のもとに食事を進める等が退院時のケアカンファレンスの場で 話し合われて、実際の在宅医療や外来診療等で、一番左下になりますが、口腔ケアを実施 したり、嚥下障害食を工夫したり、あるいは訪問時に、特に服薬状況の確認をしたり、こ のような形で取り組みが進んでいく。退院に向けての評価を入院中にこのようにしていた だきたいということでございます。  6ページ目でございますが、これは急性期病院から回復期、または外来、あるいは在宅 へという流れの中で、それぞれ現在、移行をスムーズにするために、(1)と書いてあります のは、退院、あるいは転院時のケアカンファレンス、こういうものをしたときに、急性期 病院から回復期病院に連携を進めていくわけですが、そのときに患者に文書で情報提供す る場合に、ここでは「地域連携退院時共同指導料2」と書いてありますが、こういうもの が支払われます。  そこに、参加する外来・在宅患者を担当する診療所と書いてありますが、こういうとこ ろの医師がこのカンファレンスに参加いたしますと、地域連携退院時共同指導料1という、 そういう点数が設定されております。訪問看護ステーションにおきましても、訪問看護事 業所に訪問看護管理療養費の加算点数が設定されております。また、介護報酬の方でも、 居宅介護支援事業者がそれぞれ診療情報を提供することを介護報酬上も評価しております し、例えば退院、または退所に当たってケアプランを退院前に作成することに対しては、 まず介護報酬上、通常の初めてケアプランをつくる加算が250単位に対しまして、退院・ 退所時は600単位の高い加算をつけることができると。このように、退院や転院に当たっ て、いろいろなところがチームでできるように医療の診療報酬や介護報酬の方でいろいろ 工夫をしているのが現状でございます。  あわせて7ページ、8ページ、9ページでございますが、これは先月5月21日に私ど もの医政局長から通知が出されました「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライ ン」でございます。8ページの終末期医療及びケアの在り方ということで、総論的なこと ですが、1つ目に医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされ、それに基づ いて患者が医療従事者と話し合いを行い、患者本人による決定を基本としたうえで、終末 期医療を進めることが最も重要な原則であると。  2つ目として、終末期医療における医療行為の開始・不開始、医療内容の変更、医療行 為の中止等は、多専門職種の医療従事者から構成される医療・ケアチームによって、医学 的妥当性と適切性をもとに慎重に判断すべきである。  3番目に、医療・ケアチームにより可能な限り疼痛やその他の不快な症状を十分に緩和 し、患者・家族の精神的・社会的な援助も含めた総合的な医療及びケアを行うことが必要 である。  4番目として、生命を短縮させる意図をもつ積極的安楽死は、本ガイドラインでは対象 としない。  このような原則のもとに、具体的に終末期医療及びケアの方針の決定をどのように進め るかということがその後に述べられております。その部分につきましては、1ページ戻り まして7ページの図で説明させていただきますが、まず上で、患者の意思が確認できる場 合につきましては、まず患者と十分な情報提供を行って、患者と十分な話し合いをしてい ただきます。それで患者の意思決定を基本として、合意内容を文書にまとめ、病状の変化 の場合にはその都度詳しく説明をすることにしておりまして、その上で医療・ケアチーム で患者との合意に基づいて終末期医療及びケアの方針を決定する。  例えば患者の意思が確認できない場合、この場合は患者の意思が推定できる場合はそれ を尊重することとして、また推定できない場合は家族と十分な話し合いのもとで、この医 療・ケアチームと話し合いをしていただくと。その上で方針を決定するということになり ます。  いずれの場合にしましても、その場で決定は困難な場合が出てまいりますので、その場 合には法律家や宗教家という、必ずしも医療の専門家ではない方々も含めた複数のそれぞ れの専門職種で構成された委員会をつくっていただいて、そのところでいろいろ議論をし ていただいた上で終末期医療及びケアの方針を、その助言を得た上で方針を決定していた だくと。こういうようなプロセスを考えているのが現在のガイドラインでございます。  もとの資料の4−1の1ページ目、主な論点のところをごらんいただきたいと思います。 これらを踏まえまして、基本的な考え方を踏まえて、今の状況等を踏まえて、どういうこ とが論点になるかということを、これは事務局の方で準備させていただきました。  まず1つ目は、退院後の生活を見通した総合的な入院診療計画が立てられ、また患者や 家族に提供されることをどう考えるのか。  2点目は、住みなれた地域や居宅系施設への早期退院に向けた総合的な評価についてど う考えるのか。  それから、地域における医療・介護・福祉サービスを患者が有効に活用することをどう 考えるのか。  終末期に当たっては、終末期に備えた患者の生前の意思や家族の希望を尊重することを どう考えるのか。  論点という形でこのようなことをまとめさせていただきました。あとは委員の方々の御 自由な議論をお願いしたいと思います。 ○糠谷部会長  ただいま事務局の方から、入院の場面で検討いただきたい主な論点という説明をしてい ただいわけでございます。当然のことながら、先ほどの議論でいろいろな連携が必要にな ってくるということはあると思いますが、そういうことも頭に置いて、入院という観点か らどういう論点があって、どういうふうに考えるかという議論をしていただきたいと思い ます。  私が言うのも変なのですが、検討いただきたい主な論点のところに書いてあることは、 どう考えるかと言われても、私のような余りこういうことに関係なかった人間から見ると、 どう考えるかと言われても、もっともですねということで終わってしまうというところが あるのですが、御専門の方々はもっと深くお考えになって、いろいろ御意見があるんだろ うと思うのですが、事務局の方は、何が問題だよというのは当然のことながらあると思っ ていいわけですよね。そこのところ、もうちょっとかみ砕いて言っていただくと私なんか にはわかりやすいという気はするのですが。それは御専門の方が多いわけですから、御専 門の方の御意見を伺ってからでもいいのですが、私はそんな印象を持ったということで、 何か言っていただければ。 ○原医療課長  ここでは論点という形でまとめたので、問題点みたいに、これをどう考えていただくか というところでまとめましたが、最終的には、先ほども言いましたように、骨子の方では、 これこれすべきであるとか、こういうものを考えるべきであるとか、これが必要であると か、そういう形でまとめていただくことになろうかと思います。そういう意味ではかなり 誘導的に書いてしまっているところもありまして、入院診療計画は重要であるとか、ある いは患者や家族に提供されるべきであるとか、例えばそういうふうに御意見をまとめてい く、あるいは、それは必ずしもそうでなければ、それぞれの御意見をまとめていきたいと 思いますし、これ以外の視点もあるかと思いますので、そこは委員の方々に御自由に御議 論いただきたいと思います。 ○遠藤委員  ただいまのお話と多少関連する話で、質問になりますが、退院後の生活を見通した総合 的な入院診療計画が立てられ、また患者や家族に提供されることをどう考えるかというと、 私も大変結構なことですねと思うわけですが、その際、先ほどの資料4−2で、実際に現 行であっても診療報酬上、地域連携退院時共同指導料の1と2というのが既にできている わけですね。にもかかわらず、診療報酬の新たなる課題として、こういうケアカンファレ ンスに参加することが重要であると言っているということは、実はこれが余り現行では機 能していないというような実態があるのかないのかということも知りたいと思うわけであ ります。  退院時のケアカンファレンスが行われているということが前提になるわけでありますが、 一方で、高齢者の総合的な評価のイメージといって、ケアカンファレンスに至るまでの具 体的な検査項目等が書いてあるわけですね。つまり、内容も現行の退院時ケアカンファレ ンスでは不足しているところがあって、もう少し広い視野でという視点でやりたいという、 そういう意図でここの説明があったのか。つまり、ケアカンファレンスが行われて実際に 診療報酬がついているのですが、新たにここで議論してほしいと言っているので、現行何 が問題なのかというところが知りたい、そういう質問であります。 ○原医療課長  この特別部会のヒアリングでも、ケアカンファレンスについては尾道市の例で話を聞か せていただいたと思います。ただ、現実的問題では、このケアカンファレンスに相当する 地域連携退院時共同指導料の算定回数は非常に少ない。ということは、遠藤委員御指摘の ように、まだ十分普及しているとは言いがたい。見た時点が大分古いわけなので、直近か どうかというのは手元にデータがありませんので言えませんが、確かになかなかたくさん の人が集まるというのは、集まりにくいというのも現状のようであります。  ただ、退院して外来に通ってこられる状態の方は余りそう複雑でなくてもいいのでしょ うが、どうしても在宅に移るという方の場合にはいろいろな職種がかかわらざるを得ない ので、これから特に後期高齢者がふえてくる段階では、その部分をしっかりとしてやらな いといけない。そういう意味では、普及していない原因はたぶん点数が低いとか、あるい はなかなか声をかける人がいないとか、そういう問題もあろうかと思いますけれども、そ のあたりはそれにこたえられるだけの点数にするとか、あるいはその他のところで評価す るとか、その工夫は必要かと思います。ただ、それは重要であるし、なぜできていないか という分析は必ずしも私どもで十分やっているわけではありません。 ○遠藤委員  わかりました。ありがとうございます。 ○野中委員  今遠藤委員が言われたように、高齢者の総合的な評価のイメージ図は、本当にすばらし いと思います。でも、それがなぜ実行されていないのか、その原因を本当に追究していか なければ、これを提案しても進めるという方向にはならない。だからそこは病院、あるい は診療所側にとって実行する為に何が必要なのか、そういう問題点を洗い出してやってい ただかなければいけない。もっと言えば、退院後の生活について考えている視点が病院に はなかった話と思っています。その辺、充分に検討すべきで、そこにはどういう障害があ るのか、そこは十分考えていかないと、実現出来ない。  今までの診療報酬改定でも、ただ提案する。実際私のところも、この1と2というのは、 病院から呼ばれて、これから退院する人に対して、うちの医師と看護師が行っていますが、 現実に問題は、どこで請求するのか。患者さんが例えば入院しているにもかかわらず、診 療所でその日に請求するのか。あるいは退院後にうちへ行ってから後日請求するのか。患 者さんに対してお金を1割とか2割を請求するときに、このお金は何ですかと言われたと きに、説明する責任は当然あるわけですが、現場の中ではそういうことで、例えば当日に 発生したもの、あるいは当月に発生したものをどうするのかとか、そこでお金をどう、自 己負担をどうするのかという問題もまだまだ現場では理解されていない。本当に細かな話 ですが、その問題もあると思うんです。  遠藤先生が言われたように、なぜこのことが現場で進んでいないのか。その原因をきち んと検討して提案をしてくれないと、現場のスタッフに負担がかかることになる。その辺 はぜひ配慮していただきたいと思います。 ○高久委員  私は現場のことがわからなくなっているのですが、例えば大学病院のようにDPCにな りますと、今、在院日数がどんどん減っていまして、恐らくまだ12〜13日だと思うので すが、仮に1,000床の病院が10日間の在院日数になりますと、1日に100人の人が退院 する。そうしたときに、今でも現場は物すごく忙しいのに本当に対応ができるのか心配で す。確かに6ページに書いてあるのは理想的なのですが。今晩も私、自治医大の大宮医療 センターの人たちと晩飯をたべる約束がありますので、そのときに本当に出来るのか聞い てきます。退院時のケアカンファレンスが今の病院の状況を考えるとできるのか問題です。 ○村松委員  随分疑問点が出てきているのですが、まずそのうちの1つなのですが、「老人医療に関 する療養の基準及び診療報酬について」という資料3の2ページ、ここに老人医療担当基 準というところで定められている事項がありますね。この内容というのをここで何度話し 合ったか。結局、非常に重なるわけです。つまり、先ほどから委員の皆さんおっしゃって いるように、なぜできないのかというところと絡んでくると思うんですね。結局、こうす るんですよということを決めても、行われていないという実情があるわけです。加えて、 計画も同じだと私は思うんです。形をつくって、それをされたとして、そこに診療報酬を 出すというのは、私は反対です。老人医療担当基準というのを定めてあるこの内容すべて、 これに関して本当にされているのか、いないのかをチェックなさったことがあるでしょう かということを質問したいと思います。 ○原医療課長  個々の項目についてどうかということはたぶんないと思いますが、医療機関に指導、あ るいは監査に入ったときには、当然ながら、この担当基準なり、あるいは健保法の療担規 則に合致しているかどうかについてはチェックしているわけであります。 ○村松委員  ありがとうございます。例えば、ここが明確にこのようにされていますよと。具体的に どこまで進んでいますということがはっきりしているのであれば、この一番最後の欄、 「本人又はその家族に対する退院時の適切な指導、情報の提供、保健福祉サービス提供者 との連携など」、そこの文を、例えば「適切な指導」ではなく、「助言」とか、「支援」と か、そういう内容にした方がいいのではないかとか、そういう意見としては出せるような 気がするんです。加えて、似たようなところがあるのですが、「後期高齢者入院医療につ いて(参考資料)」という資料4−2ですが、ここにブルーで囲ったところがありますよ ね。75歳以上の入院患者のうち、約40%が云々ということと、加えて、74歳以下では、 75歳以上においても、というのがあるのですが、これをここから抽出した理由というの があると思うんです。それは何だったのか。 ○原医療課長  これはコメントとしてこちらの方でつけたわけですが、これを見たときに、例えば1ペ ージの資料でしたら、療養病床での部分が当然ほかのところと比べて多いというのは特徴 的なところですし、2ページ目のところでは、必ずしも、74歳以下と以上のところで、 病院の規模が全体として違っていたのも事実でありますので、その部分と、75歳以上に おいて、必ずしも急性期がないわけではなくて、いわゆる急性期病院と思われる300床以 上のところでの麻酔や手術の量の割合はそれほど若人と違わないというところを意識して 抜き出したものです。 ○村松委員  たぶんこの裏に問題があるんだよということを本当は指摘なさりたいんだと思いながら 私は読んでおりましたが、なぜというところを明確に打ち出すことによって、本当の具体 的な案というものが出るように私は思います。 ○鴨下部会長代理  少し議論が前へ戻るような気もするのですが、終末期医療のことは、恐らくそのあり方 はこの部会ではないもっと別のところで議論すべきとは思うのですが、こういうガイドラ インなどに出ておりますから申し上げるのですが、終末期医療も医療のあり方には違いな いわけで、特にそれは入院医療の後についていますが、在宅でも起こり得るわけです。今 まではタブーだったのかもしれませんが、資料2の2ページの丸が3つ並んでいる、恐ら くこの丸は同じ大きさでは到底ないだろうと思いますが、これだと矢印を行ったり来たり して永久に行けるようになっているわけですが、ターミナルのことも入れるようなことは いけないのでしょうか。一般の理解を得るためには、一種の患者教育というか、考え方が 必要なように思うのですが。 ○原医療課長  その部分につきましては、入院のところでも、あるいは在宅の場面でも起こり得ると思 っておりまして、外来のところは書いていないのですが、それぞれのところでターミナル の部分、両方の論点では載せさせていただいております。最終的にまとめる段階で入院な り、在宅などを含めた形でターミナルの部分だけ取り出すか、そのあたりはまとめる段階 で考えたいと。きょうもそのあたりの議論をしていただいても結構かと思います。 ○鴨下部会長代理  最初のパブコメが医療関係者が圧倒的に多かったということは、そもそもパブコメを求 める段階で一般の患者さんや家族には非常にわかりにくいのではないかということで、そ ういう意味でもう少し刺激的というか、わかりやすいとり方をすべきであったのではない かと。今になってはそれは後の祭りかもしれませんが、そういうことを意見として申し上 げておきたいと思います。 ○堀田委員  まず入院診療計画ですが、これは75歳以上か、それ以前かという点でこの必要性とか 意味が分かれてくるのではなくて、その方の入院後の見通しによって、入院診療計画を立 てる意味が大きなものか、大きなものでないのかが変わってくると思うんです。  それは退院後も介護を必要とする状態があって、まず働けない、おうちで診る必要があ る、それは主としては福祉分野で見ていくことになる、そういう退院患者についての入院 診療計画、どこまで医療でやって、どの辺から介護その他の手にゆだねていくのか、その 退院後の介護その他の生活の見通しがどれぐらい立っているのか、そういう場合の入院診 療計画と、75歳以上であっても、私どもボランティアの世界では75歳以上の人も大変お 元気で、この間も80近いうちの職員が肺癌で入院されましたが、4日目にはもう退院し て、うちの事務所にあらわれて、それから1週間もしないうちに普段と同様仕事をしてい ますけれども、そういうふうに退院後は介護を必要としない、またもとの職業、ないしも との生活に戻れる、そういう方についての入院診療計画、あるいはその後の計画、ケアカ ンファレンスというのは意味が全然違う。  だから、その方の治療が終わった後、引き続きその治療を入院でやるのか、あるいは在 宅でやるのか。少し在宅・外来でやれば完全にもとに戻ってしまって、あとは大丈夫だと いう人は、75歳以上であってもそんなにケアカンファレンスは難しくない。在宅・外来 にして、だれがどの程度お世話するのか、そういうことで済んでしまう。若い人たちとそ んなに変わらないと思います。  ところが、75歳以前であっても、体全体の機能低下度が相当強くて、これは治療して 退院されても、働いたり、うちで通常の生活をされるのは無理なので、介護その他のいろ いろな手が入って、支えなければいけない。その中で医療もかなりの期間にわたって在宅 で続けていかなければいけない。そういう方については退院後の在宅における生活は、非 常にしっかり支える必要があり、サポートする体制が地域にできているのか、福祉の方で どれだけのサポート体制があるのか、そのあたりを十分ケアカンファレンスで関係者が集 って、たぶんそういう方は在宅医療でお医者さんもかなり行かなければいけない、しかも 特定の専門だけじゃなくて、例えば歯医者さんも行かなければいけないし、いろいろな方 が行かなければいけない、そういうときのケアカンファレンスをどうするのか。片山先生 がやっておられるのは、そういうところを1人15分ぐらいで、いろいろなお医者さんか ら、福祉の人たちから、家族、近所の人まで入ってケアカンファレンスを立てておられる。 入院時、退院時にこれをやることは非常に意味が大きい。  ですから、年齢によるのではなくて、どういうケアカンファレンスをして、どういう計 画を立てるのか。それにどれだけの人が入るのか。そしてその生活が退院後、どういうふ うに続いていくのか。ずっと続くのか、完全に復帰されるのか。そのあたりによってケア カンファレンスの意味、そして入院診療計画の意味が非常に変わってきます。そのあたり の絵を、せめて退院後の介護は必要か、そうでないかぐらいは分けて、本当はもっときめ 細かくやった方がいいと思いますが、その意味をはっきりさせて、どういうことをはっき りさせるか、そこを見極めて診療報酬をつけないと、余りにも荒っぽいと言いますか、も うお詰めになっているのかもしれませんが、そのあたりのきめ細かな詰めが要るのではな かろうか。それが私が入院診療計画等につきまして感じる基本的なことであります。  終末期医療については、鴨下先生がおっしゃったように、別の委員会で決める。そこで はっきりしない場合について、それぞれ第三者委員会というか、専門委員会、そこで決め る、こういうふうになっています。本人の意思がはっきりしている、あるいは家族がその 意思をはっきり言えるという場合は、そのはっきり言えるような仕組みをもっと精密なも のにしていかなければいけない。尊厳死協会とか、レット・ミー・ディサイドとかいった 運動ももう少しきめ細かな実用的なものにしていかなければいけないという問題はありま すが、そういうふうにしていけば割合はっきりつかめる。  問題は、本人が意思表示できないケースです。認知症の場合もありますし、意識自体が なくなってしまうという場合もあります。家族がいない、あるいは家族はいるけれども、 責任を持って判断する家族がいない。つまり、夫婦でありますとか、親子であります場合 は感覚を共有することができますので、この人は延命治療を望んでいませんとか、そうい うことを言えるわけでありますが、そういう家族でなくて、兄弟になってもちょっと遠く なるし、それ以外の家族を引っ張り出してきたら、平素一緒に生活をしていない、あるい は共同生活、共同感情がない家族が、この人は延命治療は要りませんということはまず言 えない。そういう責任ある判断というのはできないわけで、なるべく死なないようによろ しくお願いしますと、家族の関係が遠くなればなるほど、そういうことしか言えない。  ましてやそういう意思表示ができる人がいない場合には、専門委員会と言っても、これ は恐らく医療の技術の問題ではなくて、人生観、価値観の問題ですから、とにかくやれる 限りのことをやらなくてはいけないという人やら、その必要はないという人やら、医師だ って皆意見が違うでしょう。安楽死だっていいという価値観のお医者さんだっておられる わけですから、今の状況では専門委員会で判断しろと言っても、それは基本的に無理があ る。  ですから、これは全体の厚生労働省の委員会で、法律家が入ったりしても、法律家が無 責任だったりして、なかなかここのところは詰まらないのだけれども、本人に意識がなく て、回復可能性がないという状況の中で延命治療をするのか。それに当てはまる人はたく さんいますから、それだけの問いに絞ってもいいので、本人に意識回復の可能性がなくて、 そのままの状況でずっと命をつなげることが可能だというのであれば、そういう延命治療 はしないという判断、これは統一判断ですから、できるはずなので、せめてそういう判断 をして流しておかないと、現場でわからない場合は、現場の専門委員会も、その専門委員 の人もつらいでしょうし、議論のよりどころもないでしょうし、結局、ぐずぐず決定しな いで延命治療をしてしまうという、そういうことに陥ってしまうのではないか。私はそう いう点を心配しております。 ○糠谷部会長  皆さんからあった御議論の中で、私も頭が少し混乱してきているところがあるのですが、 入院医療、あるいはこの入院診療計画にしろ、あるいは終末期医療にしろ、これは別に 75歳以上であれ、以下であれ、医療として変わるところはないわけで、75歳以上でいき なり仕組みが変わりますよということではないと思うのですが、ただ、新しい後期高齢者 医療制度という中で扱うとすると、そこは違うものとしてつくろうとしているということ なのかなと私自身は理解するのですが、そこのところをどういうふうに仕分けするのか、 考え方をちょっと教えていただけますか。 ○原医療課長  先ほどの説明で、老人の点数のところの説明を省略いたしましたが、老人保健法ができ た当時、原則70歳以上の方は老人保健法に基づく医療の給付を受けておられた。そこで 老人に比較的特徴的なものに着目した診療報酬の点数がつくられました。ですが、例えば 寝たきり老人の在宅医療のための包括点数というのは、老人保健にしかなかったわけです。 ですから、例えば60歳で同じような状態になられても、若人の診療報酬にはないけれど も、老人にはあるというような、その違いはもちろん特徴的にあったわけです。そういう 意味では同じような状況が、例えばターミナルというのは、75歳以上であれ、75歳未満 であれ、当然あるわけですけれども、その割合から言って75歳以上が非常に多いとした ら、そこの中で特徴づけた診療報酬でどう考えるかということを考えていく必要があるん だろうと。  それは逆に言うと、74歳以下の保険の方にも同じものをつくる可能性もありますが、 ただ、ここで議論していただきたいのは、当然ながら医療は継続していますし、状態に急 にギャップがあるわけではありませんが、比較的多い病態、あるいは病像というものをイ メージしていただいて、それに向けてふさわしい診療報酬というものを御議論いただけた らと思います。それは若人にもあるじゃないかとしたら、それはまた若人の方の議論のと きに、それと同じようなものをつくっていくという形で進んでいくんだろうと思います。 ○川越委員  議論が深まっていく中でますます混乱してきたのですが、2〜3気づいたことをお話し させていただきたいと思います。  1つ目は、入院中に行う医療ということと退院した後のことということが当然ポイント としてあると思います。そのときに問題になってくることは、治療の連続性・継続性、ケ アということを含めてもよろしいかと思いますが、実はそれをどのような形で保障するか ということが大きな問題じゃないかと思うんです。入院したら当然、病院の医者が患者さ んと家族の方に十分説明して行うということになるわけですが、本来、後期高齢者医療の あり方について出てきた一つの重要なポイントは、本人・家族が十分納得できること、そ してその人の人生というものが医療の中に生かされる、ただ、医療のための医療であって はいけない、そういうことだったと思います。そういう点から言うと、患者さん、家族の 意思をどのように保障するかということを考えていかなければいけないのではないか。  これは一つの考え方ですが、実は今朝、別の集まりがございまして、そこでかかりつけ 医のあり方というものについて議論しました。そこで出てきたことの一つは、患者さんに 病気が出てきて入院しなければいけないといったときに、適切なアドバイス、つまりそれ は患者さんだけじゃなくて、病院に対しても、患者さんの意見の代弁と申しますか、そう いうことができる医療者がいていいのではないか。それがかかりつけ医の機能の一つでは ないかということが出てまいりました。  ですから、そういう点で、連続性・継続性ということをどうやってはかるかという中に、 病院に入ったら病院の医療者に全部任せてしまうということではなくて、ずっと診てきた 過程と言いますか、相互診療医と言いますか、かかりつけ医と言いますか、とにかくそう いう普通の開業の先生方が意見を言えるようなシステムができたらいいのではないか。こ ういうシステムの中に乗せるのは非常に難しいとは思いますが、そういう観点で考えてい ただけたらというのが1点でございます。  2つ目は、尾道の例が出てきておりまして、非常によくできた制度ではないか。だけど 現実にそれが行われていない。これはどういうことだろうかという議論が実はございます。 退院後のアレンジということで、ケア会議ということが確かに重要であることは間違いな いのですが、私自身振り返って、末期がんの方が私たちのところに相談に来られるという ときに、確かに医療的な意味でいろいろなことを在宅でやらなければいけないということ も確かにございます。そのためのアレンジというのが必要なわけでございますが、実はそ れは在宅の医療者がある程度力を持ったら、病院でやっていることはそのまま在宅でやれ るということがあるんですね。  では何が大変かというと、実は調整の中心というのはソーシャルなことなんです。一人 暮らしだけどどうするかとか、あるいは老老介護で看る人がいないんだけれどもどうだろ うかと。逆に、堀田委員がおっしゃられたように、一緒に住んでいる家族、長男夫婦は非 常によくわかっているんだけれども、遠くにいる娘が非常にわからないことを言っていて、 それをどうしたらいいかとか、あるいは経済的にどうだとか、そういったことが実は病院 から家に帰るときに、いわゆるトータル・サファリングという考え方で言いましたら、ソ ーシャル・サファリングと言いますか、社会的な問題が実は非常に大きなウエイトを占め ているということがございます。先般、ソーシャルワーカーの方々が、これからもっとそ ういう役割が必要だということをおっしゃられておりましたが、その点、僕は無視しては いけないと言いますか、重視しなければいけないということを思っております。それが2 点です。  3つ目は、これは僕の思い違いも入っているかもわからないので、後で確認して、場合 によっては発言を訂正しなければいけないのですが、患者さんが退院してくるときに一番 不安になるのはいつかと。これは当たり前の話ですが、退院した日なんですね。今の診療 報酬の建前から言いますと、退院した日に外来の診療報酬が請求できないということにな っているんです。あるいは訪問看護師さんも同じです。退院した日、患者さん、家族が一 番不安になっている日に訪問看護師が行っても、これは病院から退院した日だから、二重 に請求することになりますから、できないというような仕組みになっておりますけれども、 実は一番不安なときに医療者が本当に支えなければいけないと。そこの点について、これ はささいなことかもしれませんが、非常に大事な点ですので、ぜひ考えていただきたいと いうことでございます。  私、3つほど指摘させていただきましたが、以上で終わります。 ○野中委員  まさに今、川越委員が言われた1番目の点が本当の医療連携でして、その中で実際に今 まで診ていた患者さんが入院されたときに、我々や、その患者さんの状況とかを知ってい る人間が病院の主治医とどう話すか、あるいは看護師とか、訪問看護師と話すかどうかと いうことが本来大事なのです。その辺の部分が実際には医療というか、医療の急性という か、その辺でできていないことが大きな問題と思いますし、それが医療連携であることの 認識を、現場の私たちも考えなければいけないと思います。  3番目の話は私が解説する話ではないので、後で厚労省が言うでしょうが、私の意見と すれば、医師は行っても全然問題ありませんから、そこに医師と訪問看護師が一緒に行け ば本来は問題がないという話であって、そこに看護師だけが行くという話、川越委員が言 われたことは、それがなぜできていないかということ、さっきと同じように医療連携、正 しいことがなぜできないのかをもう一回お考えいただきたい。  もう一つ、私が現場で一番感じることは、入院が必要と思っても、現場で本当に入院が できるか。実は簡単にはできないと、東京の私が思っていますから、地域で本当にそれが できるかという話になる。片山先生がカンファレンスを始められたのは、尾道市の病院の ベッドを空ける、そして入院がきちんとできるために活動され、自然にケアカンファレン スができたと私は彼から聞いています。病院をどうやって空けるか、このことをきちんと 考えていかないと、ある意味で医療連携ができない。なぜできないかをぜひお考えいただ きたいと思います。  資料3の老人医療担当基準というところ、ここは現場からいつも言われているのですが、 施設入所者に対するみだりの往診の禁止というのがありまして、これが今後は多様な居宅 という部分の中で来年の4月以降にどう変わっていくのか、介護療養病床とか、有料老人 ホームとか、そういうところにどうなっていくのかという部分があります。施設入所者に 対するみだりの往診の禁止では、往診と訪問診療は多少違います。患者さんや御家族から 要請されて行くものが往診で、訪問診療は患者の病状に合わせて定期的に私たちが患者さ んの健康管理に行くわけです。なぜここの施設入所者に対するみだりの往診の禁止がある のかということを現状でどう考えているのかをお聞きしたいのですが。 ○原医療課長  条文をそのまま読ませていただきますと、これは保険医に対する部分で書いてあります。 その診療の具体的方針の中で診察のところに、「往診は診療上必要があると認められる場 合に行う。この場合において、施設入所者に対する往診は当該介護老人保健施設の医師と の連携に配意して行い、みだりにこれを行ってはならない」、このような表現になってい て、介護老人保健施設には当然医師がおりますので、そこの医師が基本的な診療をすべき であって、それと連携をしっかり持ちなさいと。こういうような表現で行ってはならない というふうに書いてあります。 ○野中委員  現実にこれは医療従事者としては、ある意味では理解するわけですが、例えば施設に入 った高齢者の患者さんが、みだりに往診してはいけませんというこの文章を見て、何か切 り捨てられたような気がするのではないかと思うんです。本来これは施設長に、みだりに 往診を診療所の医師とか病院の医師に要請してはならないという意味と思っています。趣 旨からすれば本来そういう話であって、医療が必要だったら医療が受けられることが、本 当はそういうふうに記載されるべきと思っています。  ちょっと細かいことで申しわけないですが、こういうふうに現実にお互いにみんなが動 けなくなって適切に医療が受けられないという状況は避けてほしいと思いますし、実際に は、先ほど村松委員が入院のところで、療養病床とか、手術・麻酔を受けているというこ との図の中で、そこに入れた人はそうだと思うのですが、私はどうも現場で診療をやって いて、入れない高齢者というのが……。多少そこには終末期とかいろいろな課題があると 思いますが、病院として、助かるのか、助からないのか、今後限界があるのかどうかとい う判断をするのも病院の大きな役割だと思うのですが、どうもその部分がその前の段階で、 どうせ高齢者だからという判断がされているような状況が医療の制度にあるのではないか と思っています。  そこはさっき堀田委員が言われていましたように、その人の人生がどうであるかという ことは、ケアカンファレンスを中心としながら、皆さんで話していくということが基本で す。最終的にはだれかが決めるということになると思いますが、必要であれば必要な医療 が現場で受けられないような状況にならないように、配慮していただきたい。よろしくお 願いいたします。 ○川越委員  今気がついたというか、入院する状況ということの中に、レスパイトという考え方が余 り反映されていないように思うのですが。これは御調町の山口先生が御指摘された点だっ たと思いますが、あれはすごく大事な点で、例えば呼吸器をつけている方とか、在宅で腹 膜透析をやっているような方、家族が疲れたときに一時的にどこかで預かってほしいんだ けれども、現実にはそういうところがないという御指摘がありましたので、在宅療養支援 診療所というのが今あるわけですが、在宅療養支援病院というようなところ、そこにそう いう機能を持たせるということを考えてもよろしいのではないかということを一つ思いま した。  もう一つ、先ほどの僕の話の中で、病院の調整の中心がソーシャルなことということを 申し上げましたが、これは今、在宅医療の担い手が未成熟な中で余り偉そうなことは言え ないのですが、退院してからの調整ということが病院中心に行われていると。それが本当 にいいのかなということを前々から感じております。  つまり、ただどこかに押しつけるとか、これはちょっと言葉が過ぎるかもわかりません が、とにかく在宅をやるというところにやるとか、あるいは患者さんの生活を余り考慮し ない調整の仕方をする。医療なんかには特にそういうことがあるのですが、そういう点で、 在宅への療養の調整ということを病院の連携室のようなところにすべて任せておいてよい のか。  そのためにケアカンファレンスがあるということがおっしゃられるかと思いますが、実 はその前に既にいろいろ業者の手配なんかされていますと、我々の方としても非常に動き づらくなるということがありまして、僕が前々から思っているのは、家に帰りたいという 方があったら、どこどこの在宅の方に、どこかそういうところへポンと行って、医療のこ ともすべてアレンジしてもらえる、相談できるという、そういうところへ持っていった方 がいいのではないか。つまり、在宅療養の退院後の調整ということは、病院でやるのでは なくて、そういう地域に持っていった方がいいのではないか。これは実現可能か、不可能 か、非常に難しいと思いますが、そういう発想も必要ではないかということを思います。 ○村松委員  きょうの検討いただきたい主な論点というところについて私の考えを言わせていただき たいと思います。まず入院診療計画、これが患者や家族に提供されることをどう考えるか。 当然これは必要なんですが、さらにその2つ目、総合的な評価についても、有効に活用す ることも必要ですが、なぜ入院したかというところがきちんとあって、それがどの程度解 決されたのか。例えば、生活に向けての努力がその病院でされているかどうかという評価 をするときに、看護師の役割というのは非常に大きいと思うんです。ところが今、看護師 は本当に高度医療に振り回されている、IT関連に振り回されている状況がありますので、 本来の看護ができて、生活に向けてこれだけ努力したよとか、管が1本抜けたよとか、こ ういう点を気をつけてくださいねとか、ナース同士で連携したり、そういうところがもっ とできるような、あるいはできることによってそこに点数がつく、その辺のところを私は ぜひ検討していただきたいと思います。  また、患者さんが有効に活用するという意味では、患者さん、家族が御自分で選択でき るような情報というのをもっと明確に打ち出していただきたいと思いますし、それによっ ては当然、有効に活用していただきたいということがありますし、終末期に関して言いま すと、患者の生前の意思、この辺はまだ非常にあいまいですので、意識改革というところ でも求められてくるかなと。家族の希望というのも、本当にばらばらです。理由もばらば らですので、もう少し医療者もですが、福祉職も、国民全体の意識というところで問うも のがあっていいのかなと。その上での尊重というところをされるのであれば、とても私は 大事なことで、ぜひ進めてほしいと思いました。 ○糠谷部会長  きょうは遅目に始まっていまして、6時近くになっておりますが、あと御意見等ござい ましたら、まだ少し時間がございますが。 ○野中委員  これは入院とか、外来とか、在宅とかということで、先ほど川越委員も言われたことは 私もそう思うのですが、介護保険との連携も一番大事な話でありまして、その辺をどうい うふうに調整していくのかはすべてにまたがるので、これから2回目、3回目のときに充 分検討して頂きたい。介護保険は老健局ですが、その辺の調整、例えば入院してから要介 護認定を受けても、要介護認定が出るのは1カ月先ですから、そうすると、どこまで退院 調整がそういうふうな部分、先には自己負担という部分もやり方を考えるとありますが、 そういう部分をどういう形でするのかの調整、局にまたがった調整をしていかないと、後 期高齢者医療制度はなかなか理解されないと思います。その辺の議論、きょうではなくて 今後の中に課題としてあると思いますので、お含みおきいただきたいと思いますので、よ ろしくお願いします。 ○糠谷部会長  もっともな御指摘だと思います。 ○村松委員  もう一点。これは退院支援の資料ですが、そこの5ページに、高齢者の総合的な評価の イメージというのがあります。この中でスクリーニング検査というのが書かれているので すが、特に入院中、意欲とか情緒や気分等というのがあるのですが、とかく認知度の検査 に非常に注目されまして、その裏にある、なぜ落ち込んでいるのかとか、意欲が出されな いのかとか、そういうところ、メンタルケアのところに対する点数というのは全くついて いないわけです。実際、高齢者の方が退院してきますと、強引に退院してきましたと。退 院してきてみたらすごく元気になったというケースもたくさんあるわけです。ですから、 何でも検査、検査ではなくて、精神面も含めて、なぜというところ、そこには看護師、ソ ーシャルワーカー、いろいろな人がいると思いますが、これだけかかわって、そして維持 できたとか、回復できたというところを退院時に外に向けても伝えていただきたいし、家 族にも言っていただけるような、そこに点数をつけてほしいと私は思います。 ○糠谷部会長  大体時間も参りましたが、よろしゅうございますか。もしよろしければ、本日は時間も 参りましたので、議論はここまでにさせていただきたいと思います。次回の特別部会につ きましては、先ほど事務局からも説明がございましたように、7月6日金曜日を予定して おります。次回は外来、在宅医療を中心にということを予定しておりますけれども、当然 のことながら、きょうの議論との連携もございますので、出入りはあろうかと思います。  私から事務局にお願いですが、きょうの委員の皆さんからの御議論の中でもございまし たが、論点のところは、紙に書く論点としてはこのレベルでよろしいのかもしれませんが、 その背景にある問題意識とか、何を考えてこういう論点が出てきているのかというのを資 料としてある部分があれば入れていただいた方がいいし、なくても考え方を少し説明の中 で話していただくというふうにしていただければもっと議論がしやすいかなという気がい たしましたので、そこのところはよろしくお願いしたいと思います。  それでは、本日はこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。     【照会先】     厚生労働省保険局医療課企画法令第1係      代表 03−5253−1111(内線3288)