07/06/13 小児薬物療法検討会議 第4回速記録                       開催日:平成19年6月13日(水)                                              場 所:厚生労働省専用第15会議室   ○事務局   それでは定刻になりましたので、ただいまより第4回小児薬物療法検討会議を開催さ せていただきます。本日はお忙しい中お集まりいただきましてまことにありがとうござ います。  本日の先生方の出欠状況でございますが、五十嵐先生、岩田先生、大濱先生、奥山先 生、横田先生から御欠席との御連絡をいただいております。  また、本日は参考人といたしまして、日本小児リウマチ学会から、横浜市立大学の森 先生にお越しいただいております。  それでは秦先生、以降の議事進行の方をお願いいたします。    ○秦座長   それでは事務局から本日の配付資料の確認をお願いいたします。    ○事務局   それではお手元の配付資料の方の確認をさせていただきます。  1枚目に議事とありまして、それ以降でございますけれども、2枚目に座席表、3枚 目に配付資料一覧とございます。  資料1といたしまして、「小児薬物療法検討会議」において検討を開始する薬物療法 としまして8品目のリスト。資料2といたしまして小児薬物療法検討会議 報告書:「メ トトレキサート」についてでございます。資料3といたしまして、日本小児リウマチ学 会によりますメトトレキサートのガイドラインを準備させていただいております。   また、参考資料1としまして、開催要項。参考資料2といたしまして、委員のリスト。 参考資料3といたしまして、メトトレキサートの添付文書。参考資料4としまして、ア セトアミノフェンに関する通知を準備させていただいております。  以上でございます。    ○秦座長   はい。どうもありがとうございました。何か資料の欠落などございましたらどうぞ事 務局の方にお知らせください。よろしいでしょうか。  それでは議題1として、ワーキンググループでの検討状況、個別医薬品のワーキング グループの検討状況について報告をお願いいたします。皆さん御存じのとおり現在参考 資料1にある8種類の医薬品について、先生方の御協力を得て報告書を作成しておりま す。   それでは座長の中村先生よろしくお願いいたします。    ○中村委員   ワーキンググループ座長の中村でございます。8品目の現在の検討状況について御報 告させていただきます。  酢酸フレカイニドにつきましては、前回の第3回のこの会議で、中川委員の方から中 間の状況について御報告いただきましたけれども、効能・効果が頻脈性不整脈、房室結 節回帰頻拍、房室回帰頻拍及び機序不明の上室頻拍を含む症候性の発作性上室頻拍、持 続型心室頻拍などの明らかな心室性不整脈ということで、用法・用量として酢酸フレカ イニドとして1〜4mg/kgを1日2回に分けて経口投与というふうな要望内容でご ざいます。  医療上の必要性としましては、本邦における小児不整脈の治療薬はジギタリス製剤の みであるということで、ジギタリス製剤では効果が見られない心室性頻拍等に用いる医 薬品は我が国には存在しないということでございます。海外では米国で小児における承 認がありまして、ワーキンググループでの検討状況ですけれども、前回の報告内容とほ ぼ一緒でございますが、基本的に十分なエビデンスは存在するであろうと。それから安 全性に関して、器質的心疾患を伴う場合には致死的な不整脈を起こす可能性があります が、投与開始時や増量時の注意深いモニターや小児不整脈の専門医の監督下での使用等 によりリスク回避が可能であろうということで、現在実施中の国内使用実態調査を踏ま え、また報告書の記載整備をしまして一部変更承認申請の方向性を検討するということ でございます。ということで、次回以降に検討予定でございます。  続きましてメチルフェニデートですけれども、これはADHD、注意欠陥及び多動性 障害の効能でございます。これにつきましては、ワーキンググループでまだ検討するま でに至っていないということでして、次回以降検討予定であるというふうに理解してお ります。  それから、シプロフロキサシンでございますが、β−ラクタム剤無効の重症感染症と いう学会からの要望でございまして、18〜30mg/kg/日の分二から分三、最大用量400 mgパードース、これは米英独仏で承認されておりますが、全体的に報告書の内容を検 討中ということで、次回以降検討予定でございます。  それから本日この検討会議で検討いただくメトトレキサートについては、後ほど森先 生から詳細を御紹介いただきますけれども、一部変更承認申請に必要なエビデンスが十 分存在すると考えられ、承認事項の一部変更の方向で議論いただくということでござい ます。実態調査の結果も本日御報告いただけるということ、それから、お手元にありま すように、学会が本剤のガイドラインも作成して、これも既に先日オフィシャルになっ たものであると理解しております。  続きましてシクロホスファミドでございますが、効能・効果、これは全身性エリテマ トーデス、若年性皮膚筋炎、血管炎症候群、全身性強皮症等の小児リウマチ性疾患。用 法・用量は500mg/m2を初めの6カ月は月1回、毎月1回ですね、その後6カ月は 2〜3カ月に1回、静脈内注射するというものでございます。これはドイツでの承認が ございます。報告書の内容をワーキンググループグループで検討しておりまして、報告 書にもうちょっとエビデンスを盛り込めないかということになっております。またドイ ツで承認されている根拠情報というのが非常に入手が難しいという状況で、そこで少し 作業がとまっているというのが実情でございますが、引き続き検討いたしまして次回以 降の検討会で検討される予定でございます。全身性エリテマトーデスについては、小児 腎臓学会と一緒に検討する必要があるかもしれないというふうなことも考えられており ます。  それから、アセトアミノフェンにつきましては、小児領域における解熱鎮痛、既に本 検討会で検討が終了しておりまして、アセトアミノフェンとして1回10〜15mg/kg を使用して、使用間隔4〜6時間以上、1日総量として60 mg/kgを限度とするとい うことで、これは本年の2月に薬事・食品衛生審議会の第1部会での事前評価を終了し まして、3月には後ほどの資料にありますけれども、一変申請の要請通知が発出されま して、4月末に当該の製薬企業全21社から一部変更承認申請が終了して、現在審査中と いうことでございます。  それからA型ボツリヌス毒素でございますが、これは効能・効果は脳性麻痺患者の2 歳以上の下肢痙縮に伴う尖足を改善するということで、用法・用量は罹患している腓腹 筋の内側及び外側頭のそれぞれ2カ所に投与する。初回推奨投与量は、片麻痺の場合は 4単位/kg体重、両麻痺では6単位/kg体重で両肢に分割投与する。それから1回 の総投与量は200単位を超えない。投与間隔は3カ月ごとより頻回であってはならない というものでございます。脳性麻痺による下肢痙縮により歩行困難、歩行不能となった 場合、本邦では治療法が存在しないということで、かなりドラマチックに下肢痙縮が軽 減され、歩行機能が改善されるということで、学会から要望されております。英独仏で 承認されておりまして、基本的には十分なエビデンスが存在するということでございま して、使用実態調査の結果の解析が今進んでおります。願わくば今回の検討会にとも思 っていたのですけれども、使用実態調査の結果をじっくりと見て間違いなくしっかり中 身を検討した上で最終的に評価をしたいということで、今回の親委員会での検討を見送 らせていただきました。記載整備を今しておりますし、海外承認の元データ等も可能な 限り集めるといった作業が今進められておりまして、次回以降検討、できれば次回には 検討できるのではないかと考えております。それから学会の方で既に本剤のガイドライ ンが作成中ということでございます。  それからアシクロビルでございますが、効能・効果は新生児単純ヘルペス感染症。用 法・用量は1回10mg/kgを1時間かけて8時間ごとの点滴静脈注射と、これは未熟児 新生児学会からの要望で、単純ヘルペスウイルスというものは全身性感染症が非常に予 後不良である一方、添付文書では新生児低出生体重児に対する安全性は確立していない とされていると、でも現場では使っているということでニーズが高いということです。 米英独で承認されていまして、第3回の検討会議では、前回の検討会で本剤については 新生児のみを対象に適応拡大を目指しているけれども、実態としては新生児以外の小児 にも幅広く使用されているということで、小児感染症学会と共同の作業で報告書を完成 し、ワーキンググループでまとめて検討すべきということで、小児感染症学会の方から は慶應大学新庄先生を推薦していただきまして、伊藤先生とともに今後の作業の方向性 についてワーキンググループで検討させていただく予定でございます。ですので、次回 以降の報告になるかと思います。  以上でございます。    ○秦座長   どうもありがとうございました。今の中村先生からの報告で何かコメントなどござい ますか。ワーキンググループの進捗状況を報告していただきましたが、よろしいでしょ うか。  それではどうもありがとうございました。また引き続きワーキンググループの方で検 討をしていただければと思います。よろしくお願いいたします。  それでは議題2、個別医薬品に関する報告で、本日はメトトレキサートに関して報告 いただくわけですが、報告書を作成していただいた森先生からどうぞよろしくお願いい たします。    ○森参考人   どうぞよろしくお願いいたします。  私は横浜市立大学の小児科の森と申します。日本小児科学会の中の分科会の中の小児 リウマチ学会の方から、御検討させていただく課題の方を持ってまいりました。それは 私たちの若年性特発性関節炎という、最も頻度が高い疾患に対するメトトレキサートと いう薬の適応拡大の御検討なのですが、一応資料2に私の方が作成してまいりましたも のを用意しております。  それから先ほどお話がありましたように、資料3に、つい最近オフィシャルになりま した若年性特発性関節炎の初期診療の手引、これも一応ガイドラインということで作成 しましたので、これもあわせてごらんになっていただきたいと思います。それでは資料 2に沿ってお話をさせていただきたいと思います。必要な部分はこの文章をそのまま読 むという形をとらせていただきますが、それ以外抜粋してもよさそうだというところは 選んでお話しさせていただきます。  それでは1番の、医療上の必要性についてということで、なぜこのメトトレキサート がこの若年性特発性関節炎に必要なのかということを述べておりますので、これについ てお話しさせていただきます。  若年性特発性関節炎、Juvenile Idiopathic Arthritis:JIA、以前は若年性関節リ ウマチ、Juvenile Rheumatoid Arthritis:JRAということで、全く同義に使われてい るのですけれども、今はこのJIAで今回はとらせていただきます。このJIAは小児 期に発症する全身性の慢性炎症性疾患であり、我が国における全国調査では16歳未満の 子供10万人に9.74人の割合で認められています。本疾患は1年間に10万人に約1人の 割合で発病するとされ、生後5カ月で発症した例も報告されています。   本症は、持続する炎症による関節の腫脹及び疼痛を主要な症状とし、時間の経過とと もに組織破壊と線維化が蓄積する疾患であり、適切な治療が施されなければ関節の破壊 に伴う変形、拘縮、さらに進行した関節では骨性強直となり、重症な機能障害を残しま す。特に年少で発症した場合は、発育途上であるため成長障害を遺す危険も伴います。  治療薬としましては、初期の炎症に対して非ステロイド性の抗炎症薬、NSAIDs と俗に言われますが、が使用されています。米国においてJIAに承認を得ている薬剤 はアスピリン、ナプロキセンとトルメチンの3剤でありまして、またイブプロフェンも 小児薬用量が設定されているため使用されています。しかし、我が国においては、残念 ながらNSAIDsではJIAの適応を得ている薬剤は1剤もなく、鎮痛目的でイブプ ロフェンが使用されているのみです。このように我が国において小児例に適用できる薬 剤はごく限られておりまして、JIAの適応がある薬剤に至ってはステロイド薬のみで あるのが現状です。  メトトレキサート、これからMTXと略しますが、MTXは欧米を中心に1980年代か ら小児の関節炎を対象とした広範な臨床試験が行われ、副作用は軽微であり、これまで ステロイド薬でしか治療効果が見られなかったJIA患児に対し、数週間で関節炎抑制 効果が得られることが報告されました。無作為比較試験でも関節型においてプラセボよ り効果的で、放射線学的な改善をもたらすことが実証されたことから、米国ではJIA に対する治療薬として承認されています。またEUにおいては各国の承認状況は異なり ますが、患児は広く恩恵を受けています。  これに対しまして、我が国では、関節リウマチ治療の専用薬として承認を得ているM TX2mg製剤においても、添付文書上は「小児等に対する安全性は確立していない(使 用経験が少ない)」と記載されており、JIAへの使用は正式には認可されておりませ ん。このため、一般臨床医がJIA患者の治療にあたっている施設の多くは従来のステ ロイド薬とNSAIDによる治療が継続されているのが現状です。また、小児リウマチ 専門施設ではMTXを第一選択薬として用いているもののMTX2mg製剤がJIAの 保険適用外であるということから、抗悪性腫瘍治療薬であるが安価でありますMTXの 2.5mg製剤も混在して使用されています。  加えて、MTXによるJIA治療においては、MTX2mg製剤が未承認であり、M TX2.5mg製剤は抗悪性腫瘍治療薬の承認であるため、薬剤の適正使用時に生じた重篤 な副作用に対する補償制度の対象外となる可能性があります。  JIAの患児と親の会は、小児リウマチ専門医のいる施設は限られていること、非専 門施設においてはMTXが用いられる機会が少ないことが患児の関節炎の寛解率に著し い地方格差を認める原因となっている点を取り上げ、治療における地方格差の是正を強 く求めています。承認及び用法・用量等を適正化することで、全国の患児が等しく恩恵 を得ることが可能となり、臨床現場への影響力は多大なものがあると考えます。  実際、小児リウマチ専門医施設でMTXを本症の治療に導入以来、この疾患の対後遺 症療法の必要性が減少してきていることから、早期にMTXを用いた積極的な治療に移 行することは必要のない医療費の抑制にも資していると考えられます。  また、最近話題になってきた問題なのですけれども、JIAに対する生物学的製剤、 これは新しいお薬ですが、が既に欧米では承認されていまして、臨床に供されてMTX 以上に関節炎を劇的に改善することが報告されており、我が国においても一部の生物学 的製剤の臨床試験が終了し承認申請が行われています。これらの生物学的製剤の効果、 特に関節破壊に対する効果を最大にするにはMTXの併用が必要とのエビデンスが示さ れています。しかしながら、これら薬剤の問題点は医療費が高額になってしまうという ことです。この点は欧米でも問題となっていますが、医療経済学的な検討により、患者 の社会貢献における費用対効果、その他の医療費に対する影響等トータルコストは軽減 することができる場合もあるとの結果を得て、承認されています。これら生物学的製剤 使用の前提として従来の治療法で十分な効果が得られない場合との制限がついています が、従来の治療の中心となるMTXが承認されないまま生物学的製剤が臨床に供された 場合、生物学的製剤が極めて安易に使用されることとなり、医療費における影響が多大 なものとなることも危惧されます。  ということで、これが医療上の必要性をまとめたものです。  次の2番目ですが、我が国で必要と考えられる具体的処方等に関する概要ということ ですが、これもそのまま読ませていただきます。  対象医療品はリウマトレックスカプセル2mg及びその同効品すべてということにな ります。  予定効能と効果は、関節症状を伴う若年性特発性関節炎ということです。  予定用法と用量ですが、通常、1週間単位の投与量をメトトレキサートとして10mg /m2とし、原則3分割したものを初日から2日目にかけて12時間間隔で3回経口投与 し、残りの5日間は休薬します。これを1週間ごとに繰り返します。なお、患者の年齢、 症状、忍容性及び本剤に対する反応性に応じて適宜増減をします。ただし、メトトレキ サートとしては1週間単位で成人最大用量を超えないものとする。これは成人の方での 制限があるということで、ここの部分を参考につくらせていただきました。  用法・用量に関連する使用上の注意ということで、ここに付加させていただきました が、服用コンプライアンスを向上させるために週1回で投与する場合には、1週間単位 の投与量を1回で服用させることもできる、という文章を入れさせてもらいました。  次は、海外の承認状況及び文献情報等ということですが、ここは少しかいつまんでお 話をさせていただきます。欧米4カ国の承認状況ということで、米国・英国・ドイツ・ フランスの現在の承認状況について述べております。  この中で米国は、多関節型若年性関節リウマチを含む関節リウマチという形でして、 こういう形で認められております。  また、英国では成人のRAのみということで、実は小児に対する有効性、安全性が確 立されていないということなのですが、こちらの方がオフィシャルに出しているガイド ラインの中に、生物学的製剤のEtanerceptという抗TNF製剤のガイドラインがあるの ですが、その中には「JIA治療のDMARDとしてMTXが一般的に使用されている が、英国ではMTXを含めDMARDの使用は認められていない。しかし生物学的製剤 を使用する際にはMTXが無効であるという場合に用いる」ということで条件をつけて おります。  ドイツですが、ドイツの方は多関節型の若年性特発性関節炎、3歳以上のJIAとい うことで入っておりますし、フランスの方では若年性特発性関節炎ということでこちら の方も認可がとれているということで、米国、ドイツ、フランスの承認が得られておりま す。  次に無作為化比較試験それから薬物動態試験等の公表論文としての報告状況ですが、 海外の文献でこちらに書きましたような形で文献の方を調べましたところ、大きくプラ セボを対象とした二重盲検無作為化比較試験というのが二つ大きなものがあります。こ れがかなり有効な成績を持っておりますので、これについて若干説明させていただきま す。  まず一つ目が、多施設の二重盲検無作為化比較試験ということで、1992年にGiannini という方によって報告されています。  概要を申し上げますと、18歳未満のACR、これはアメリカリウマチ学会なのですが、 の基準を満たすJIA127例、平均年齢が10.1年、平均罹病期間が5.1年をA郡が46 例、これがMTXの10mg/m2/週1回服用群、最大が15mg/週までです。B群は40 例で、MTXがその半分の5mg/m2/週1回群。C群の41例はプラセボ群に分けまし て、6カ月間毎週投与を行う二重盲検試験を行っております。  この結果を、最後の方になりますが3行目ぐらいになるのですけれども、いろいろ解 析した結果筆者らは、MTX10mg/m2/週、A群ですが、A群の投与は治療抵抗性の JIAに対し効果的な治療法でありまして、少なくとも6カ月の短期間の投与において は安全な治療法であると述べております。  この中に使っているガイドラインについては、その次に若干の説明を加えさせていた だいております。  もう一つ大きな試験としましては、これは英国のウーというリウマチの専門医なので すけれども、こちらの方の先生方がされた43例の進展型の小関節炎、45例の全身型関 節炎の基準を満たす16歳未満のJIA患児を対象に、多施設プラセボ対象二重盲検無作 為化クロスオーバー比較試験というのが行われました。  これも最終的に、最後のところになりますが、短期期間というのは期間を少し限って やったのですけれども、短期試験においてMTX15〜20mg/m2の週1回経口投与はい ずれの関節炎に対しても有効であったということで、試験の方は報告されています。  これ以外に、他剤を対象とした二重盲検無作為化比較試験は、一つがニューイングラ ンドジャーナルメディシンに載っておりますレフルノミドというMTXに近いお薬があ るのですが、これに対して比較した無作為化比較試験があります。これでは本試験で用 いたという形でこの文献の中に入っていた量では、MTXがレフルノミドよりも有効性 が高かったという結論でした。  それ以外には、まずMTX投与における増量効果、量が限られておりますが、それよ りもふやした場合どうなるかということが次のプラートという方の検討で述べてありま す。  こちらの方もかいつまんでお話をさせていただきますが、JIAに対するMTXの効 果というのは15mg/m2/週での非経口投与でプラトーに達するものと思われ、MTX の効果を評価するには9〜12カ月の投与が必要であると述べられております。  また、次のHuntらは、葉酸併用が臨床効果に与える影響について、治験を発表されて います。3行目ですが、JIA患者でMTXの毎週経口投与を行う際に1mgの葉酸併 用投与は臨床効果に影響を及ぼさないと考えています。ということで、これが各試験で す。  次に体内動態に関する文献ということですが、こちらの方も要点を絞ってお話をさせ ていただきます。  まずは実はこのMTXは経口投与したときの体内動態に関して、ある一定量以上を投 与した場合は吸収の飽和を考慮しなければならないということが示唆されておりまして、 まずこれはキャンサーリサーチということで、これは1例の膠原病の患者さんだけなの ですけれども、それ以外は白血病の患者さんなのですけれども、やはり量をある程度以 上投与すると飽和が見られたという、飽和のメカニズムが示唆されたと述べられていま す。  また、JIAにおける体内動態としましては、ここに書いてありますような先生方が 報告されておりまして、結局は奏功例、効いた例と効かなかった例との間、または、血 清のトランスアミナーゼ、肝機能障害を起こしたか起こさなかったかとの間でのMTX の投与量及び血漿中のMTXの濃度には差異がなかったという報告です。  それから3)のところも同じですが、小児のMTXのAUCが成人よりも低いことか ら、JIA治療には成人よりも多量のMTXを要することが報告されております。これ はMTXの体内動態が年齢とともに変化することから説明できると考えられています。  また、薬物の相互作用という面では、NSAIDとの影響について報告がなされてい ます。一般的にNSAIDが同時投与されるとMTXの消失の半減期に有意な延長が認 められたという記載もあるものですから、ここについての検討がなされておりまして、 ここも最後のところですけれども、NSAIDの量をふやす場合や、追加してNSAI Dを加える場合にはMTXの量を減らすことも考慮するように述べられています。  また、食事の影響についても、一部の小児では食事の影響は認められるため、空腹時 での投与が勧められているということもありまして、それについての根拠が5)番、6) 番に述べられております。  また最後に低用量の間歇投与を行った際の臨床薬動力学的検討ということで、こちら の方にMTXの低用量の方でなされた検討がありまして、小児の場合は年齢により薬物 動態が変動することを考慮しておくべきだと筆者らは述べられております。  また最後ですが、血中濃度と毒性の関係ということで、MTXの投与量が0.6mg/k g/週までであれば安全というふうな形で報告されております。   これ以外に、比較試験としましてはワクチン予防接種の影響というものを一つ載せさ せていただきました。これはB型肝炎の接種を受けた場合に、B型肝炎の方がこの薬に よっての免疫抑制作用に影響せず十分な予防接種としての役割を果たすということを示 させた文献になります。  (3)番になりますけれども、これらの報告にあわせましてメタ・アナリシスの報告 ということが一つ出されておりまして、このコクランレビューの方での報告では、先ほ ど申し上げました二つのウーとGianniniの報告、この二つが主に出されておりまして、 それが両方あわさった165例ということでのコクランレビューになっております。です からここでは省略させていただきます。  これ以外には、またGianniniが三つの無作為化プラセボ対照試験に登録されました 520例のJIA患者を対象にしまして、MTXの二つの低用量投与の方とか、ほかの薬 剤との関係をメタ解析で比較検討しております。この結果も彼らはJIAの第一薬物治 療としてMTXの低用量投与が有効と考えられ、最小有効量は10mg/m2/週であると 結論づけています。  また、Ravelliらのレビューでも同じような形でして、こちらはかなり総論的なこと になるのですが、詳細を要約しますと、MTXはJIA患者の治療において効果的で、 よく許容され、安価な薬剤だということ。それから、多くの小児の短期的中期的な結果 を明らかに変化させたと述べています。また、MTXを新しい抗腫瘍壊死因子製剤であ るエタネルセプトやインフリキシマブ、これ生物学製剤ですが、との併用投与を推奨す る結果が出ているということでまとめられています。  また、今度は教科書でどういうふうに記載されているかということなのですが、小児 科の中でのバイブルとされていますNelsonの第17版の方でも、実はMTXの方が関節 炎治療の中心的な役割を果たしているという文がありまして、MTXについての記載が 十分になされております。  このNelsonではMTX療法では慢性炎症を有意に改善しまして、毒性は低く高い忍用 性のために長期に改善を維持できることから、小児のリウマチ治療の基礎的薬物の一つ として確立されていると記されています。  また、もう一つリウマチの方のこちらの方も有名なテキストなのですが、Kelleyのテ キストブックの方でも同様に書かれていまして、二つ目の段落の2行目になりますが、 MTXについては現在NSAIDに反応がよくない小児に対して最も用いられている薬 剤であるということで書いてございます。最後の方では、投与中には4〜8週ごとに血 液検査と肝機能検査を行い、MTX治療は寛解が得られた後少なくとも1年間を続けて 様子を見ていくというふうな方向も書かれております。  それからもう一つ、Current Pediatric Diagnosis & Treatment第17版の方にも、3 行目になりますがアスピリンやほかのNSAIDに余り反応しないJIA患者にはMT Xが二番目に選択される薬剤となると書かれておりますし、「小児科学」の第3版、日 本の雑誌になりますが、こちらでも実際にはMTXの方が生物学的製剤の導入も含めて この位置づけについてしっかり書いております。  あとは「標準小児科学」こちらの方でも同様に多関節型、全身型には、MTX内服を 追加する必要があることが多いと記載されております。  ということがエビデンスになります。  これからは少しガイドラインを中心に少しお話をさせていただきたいと思います。  実は私たちのところのガイドラインはこれまで全くございませんで、そのガイドライ ンを実はこのMTX、メトトレキサートを認可させるためにつくったとも言えるぐらい 実はここに重点を置いておりました。このガイドラインの方は私たちの方では全身型、 関節型というふうに分けておるのですが、それについてそれぞれの初期診療の手引とい う形で、小児リウマチ委員会、リウマチ学会の方の小児リウマチ委員会と、日本小児リ ウマチ学会との共同で作成しました。  ここについても、メトトレキサートの使用方法はガイドラインで書いてありますので 抜粋して要点だけ申し上げますと、実はメトトレキサートが有用性があるということな のですけれども、投与方法に関しましては、五個目の・になるのですけれども、欧米で は本症の治療として小児例において10〜15mg/m2/週を週1回・皮下注または内服す る方法が採用されている。  我が国では、成人の使用量の上限が8mg/週であり、小児では10mg/m2/週、約 0.3mg/kgの内服が最適と考えられている。  二つ飛ばしまして、増量する場合は、メトトレキサートとして1週間単位で成人用量 を超えないものとすると、こういうガイドラインに今回つくって述べております。  また、海外のガイドラインの方が後ろの方にありますけれども、彼らのガイドライン では、NICEというイギリスの施設がJIA治療におけるEtanercept使用のガイドラ インを出しておりまして、この中でMTX治療の位置づけについて以下のように述べて います。  JIAの治療にはNSAIDsやDMARDsが使用されています。DMARDsと して使用される薬剤は主にMTXです。MTXは多関節型のJIAに対して約85%の効 果が期待できるのでまず最初に使用される薬剤であり、少なくとも3カ月間MTXを、 これはかなり多い量なのですけれどもMTX20mg/m2/週で治療を行っても効果が得 られない場合に生物学的製剤であるEtanerceptを使用すると、こういう記載がございま す。  次に、国内での使用実態ということで、実は一つは2000年に行われました小児リウマ チ専門8施設へのアンケート調査、これは対象症例が70例で、男女比が19:51という ことでした。発症年齢が平均6.9歳、罹病期間が平均で8.2年、治療開始年齢は平均13.2 歳ということでした。この結果、この解析で約73%の、約4分の3の例がMTXの併用 療法により寛解に入ることが確認されました。しかもMTXの継続使用は1〜3年が 25%、3年以上が61%に及んでおりまして、約80%が長期使用に十分対応できていたと いう報告がございます。  この報告書を作成するために、実は使用実態調査の方を行いました。それが68例の多 施設の結果なのですが、男:女ということで9:59で、MTXの体表面積当たりの1週 間の投与量は最低3.12最高が17.26mg/m2、中央値が7.19mg/m2、平均が8.73 ±3.72mg/m2でした。絶対量では最低が2mg/週、最高は20mg/週、中央値が7.5 mg/週、平均8.37±3.70mg/週で、本邦成人の最大規定量の8mg/週を超えた量を 使用していることが使用実態調査の方でわかりました。症例は68例のうち26例、超え ている例は38.2%認められました。MTXの投与期間は最短が3カ月最長は20年7カ 月、中央値が8年、平均5.11±4.12年で、有害事象は10例で認められましたが、嘔気・ 嘔吐が4例、下痢が1例、頭痛1例、倦怠例が1例、水痘感染の併発が1例、関節炎の 増悪1例、十二指腸潰瘍が1例、この最後の1例は、主治医からはNSAIDの増量後 の症状増悪により今回のMTXとの因果関係は薄いとのコメントがあります。以上のよ うに、十二指腸潰瘍例以外は非重篤例でございまして、いずれも速やかに軽快しており ます。また、週当たりの投与回数ですが、実際には1回が18例、2回が50例で平均1.74 ±0.44回で3回以上に分割して投与されている症例はございませんでした。  ということで、有害事象について少し私の方で手持ちの資料を説明させていただきま すと、先ほどお話ししたとおりなのですけれども、実際にはいろいろ検討した結果、体 表面積が小さい小児での投与量がやはり多い傾向がございまして、投与量が多いからと いいましてこのAE、有害事象の出現率が高くなるということはございませんでした。 また、用量が多いだけではなく、回数が多いということで回数に関係してサイドエフェ クトの方が影響されたということもございませんでした。  最後のところになります。次は有効性それから安全性それから用法・用量の妥当性に ついてお話をさせていただきます。ここは重要点でございますのでこの文章をまた読ま せていただきます。  有効性の総合評価。コクランレビューの評価では「JIAにおけるMTXの有効性を 示したエビデンスは少なく、そのほとんどが非比較対照臨床試験に基づくものである。 比較対照試験からのデータは統計学的に有意な臨床症状の改善効果を示したと述べてい るが、未だ問題点が残る」とされています。が、前述しましたように、国内外の代表的 な教科書、一流雑誌の総説、ガイドライン等における本剤の記載は多く存在しており、 多くの報告では奏功率を70〜90%としています。MTXは無作為対照試験でプラセボよ り効果的で、放射線学的な改善をもたらすことも既に実証されています。  米国やドイツでは効能・効果が「多関節型若年性特発性関節炎」とされておりまして、 教科書的にも「多関節型若年性特発性関節炎」についての有効性についてのみ記載され ているものもありますが、全身型や小関節型においても有効であるとの報告もあります。 また、フランスでは「多関節型」に適応が制限されていないこと、英国においてはMT X製剤に直接の承認は得られていませんが、NICEが出しています若年性特発性関節 炎治療におけるEtanercept使用のガイドラインの中で、現在最も強力な治療手段である 生物学的製剤を使用する前提はMTXによる治療で効果が得られない場合とされており まして、特に多関節型に対象が限られてはおりません。また我が国のガイドラインにも 「全身型においても関節炎症状のみが主病態と考えられる場合は投与を行う」とされて いることから、我が国における効能・効果は「関節症状を伴う若年性特発性関節炎」と するのが妥当であると判断しました。  以上のことから、我が国で承認するに足るエビデンスは十分にあると考えております。  続いて安全性の総合評価です。対象とする年齢の小児のPKデータから、経口投与に よりCmaxは0.4〜1.0μM/Lの値が報告されておりまして、MTXの毒性域である0.1 μM/L以上の濃度となりますが、Tmaxは1〜2時間で得られ、Tの半減期は1〜2時 間であることから速やかに毒性域濃度を脱すると考えています。二重盲検等の対照薬を 用いた比較試験やその他の主たる試験、副反応及び症例報告も報告検討されており、安 全性のエビデンスも確立されています。MTX投与において注意すべきこととして、N ASID、ちょっと綴りが違いますが、と併用する場合には吸収の遅延、Cmax及びAU Cの増加等も認められるとの報告もあるため慎重に行う必要がありますが、この点につ いては既に我が国の添付文書でも注意喚起されています。  JIA治療に対するMTXの副作用については、Nelson第17版に以下のように総括 されています。MTX投与は小児の忍容性が高く、投与が低用量であるため、がん治療 に用いるときと比べ副作用は軽微であり、質的にも異なっている。8つの文献から288 名のJIA患児に投与された際の副作用を調べた結果、胃腸障害13%、口内炎3%、肝 酵素異常15%、頭痛1〜2%が認められ、白血球減少症、間質性肺炎、発疹、脱毛につ いては1%未満でした。成人RAにMTXを投与する際に認められる肝毒性については 小児においても注意が必要です。しかしながら、長期のMTX投与を受けているJIA 患児に対して行われた46例の肝生検の結果、95%には異常は認められず、5%に軽度の 線維形成が認められましたが、いずれも軽微な肝障害だということがわかりました。成 人で初回のEBウイルス感染後にリンパ増殖性障害が認められた報告されていますが、 本剤と直接の関係は否定できないかもしれません。  本邦でのリウマトレックスカプセル2mgによる成人RA治療の再審査結果(2006年 12月26日付)では、安全性評価対象症例3,839例における副作用発現率は18.62%で、 器官別の分類ごとの副作用発現率は「肝臓・胆管系障害」が5.37%(206例)が最も多 く、ついで「消化管障害」4.74%(182例)、「一般的全身障害」2.27%(87例)の順 でして、重篤化が懸念される「呼吸器系障害」は1.48%(57例)、「白血球・網内系障 害」は1.38%(53例)であったとされます。Nelsonの副作用の頻度に比べますと、消 化器系及び肝機能の頻度が低いのですが、この調査で投与量が明確な患者の平均MTX 投与量は6mg/週以下(分割投与)が97.77%を占めておりまして、体表面積当たりの 投与量が小児に比べてはるかに少ないことが起因しているのではないかと推測されてい ます。重篤なより懸念される副作用である白血球減少症、間質性肺炎については、この 成人RAの国内調査と比較しましてNelsonの小児における頻度がむしろ低い結果とな っています。  今回行いました使用実態調査では、有害事象は10例(14.7%)を認められ、嘔気・嘔 吐4例、下痢1例、頭痛1例、倦怠感1例、水痘感染の併発1例、関節炎の増悪1例、 十二指腸潰瘍の1例、これは先ほど申し上げましたが、これはいずれも速やかに軽快し ておりまして、安全性上に大きな問題はないと判断しています。   これら調査結果と、添付文書・文献・教科書等に掲載された副作用について総合的に 判断しますと、国内外で安全性プロフィールに特記すべき違いは明らかではなく、本邦 小児に対して承認を行う上での安全性上の問題はないと判断しました。  次に用法・用量の妥当性です。我が国でのMTXでの成人RAにおける用法・用量は、 添付文書上は1週間単位の投与量を6mgとして12時間ごとに3回に分けて服用する のが基本となっています。小児においても1週間単位の投与量をMTXとして体表面積 当たり10mgとし、3分割した量を初日から2日目にかけて12時間間隔で3回経口投 与し、残りの5日間は休薬する投与法は周知されています。  しかし、国外での成人RAにおけるMTXの投与法は3分割投与とともに1週1回投 与も認められておりまして、1回投与の有効性・安全性のエビデンスは十分に存在して います。海外論文・教科書・添付文書等の記載を見ますと、小児の若年性特発性関節炎 についても、むしろ1週1回投与がほとんどです。小児においては、成人と比べて自己 管理が難しいことから、服薬コンプライアンスを向上させることも重要であり、1週当 たりの投与回数を1回に減少させ、1週単位の投与量を1回で服用する投与方法もあわ せて設定すべきであると判断しました。   MTXは用量依存的に効果があらわれる薬剤ですが、用量依存的にあらわれる肝機能 障害、粘膜障害や骨髄抑制等の副作用もあること、発育の程度によりMTXの排泄速度 に差異が認められることから、適宜増減を設定することが望ましいと考えます。  実際に、今回行いました使用実態調査では、MTXの1週間の平均投与量8.43±3.69 mg/m2(最大17.26mg/m2)、1週間の投与回数1.74±0.44回、投与期間は5.11 ±4.12年(最長20.2年)という結果でして、より高用量の投与が必要な症例が存在す ることは事実でして、その安全性にも大きな問題がないことが示唆されました。  以上のように、小児においてはMTXを週に1回10mg/m2を基本とする投与方法 が好ましいと考えますが、我が国では成人用量の上限が8mg/週、投与回数も原則的に 12時間ごとに3回に分けて服用と定められていることにより、小児における承認用量及 び投与方法は成人の添付文書に拠したものとしました。  ということです。それで8番に今国内の使用実態調査、これは実際に今回参考にさせ てもらって報告させていただきました。  以上報告書を中心にお話をさせていただきましたが、実際に最後にもう一度私の方か らのまとめですが、やはりこの薬がこれから生物学的製剤を子供さんに使う際にも非常 に大事な薬であるということ、それから、今もともとの若年性関節リウマチの状態を改 善させるにも必須な薬であるということ、この2点からやはり今御検討いただき承認の 方を御考慮いただければと考えております。  以上です。どうもありがとうございました。    ○秦座長   非常に詳細な報告書をどうもありがとうございました。それではただいまの報告書に 関して先生方の御意見を伺いたいと思いますがいかがでしょうか。はいどうぞ。    ○田中委員   エビデンスも非常に十分で非常に重要な薬だと思いますけれども、ちょっと質問させ ていただきたいのですけれども、これは寛解というのはかなりの率で78%ですか、ペー パーによっては。寛解のメルクマールというのはどういうふうに。こっちのガイドライ ンを見てもよくわからなかったのですけれども。    ○森参考人  寛解の定義は実は定まったものがございません。やはり血液の寛解と同じように症状が 例えばある先生方は2年間症状が出なければもうそれで寛解とするというふうにしてい ますし、あと5年という形まで待たないといけないということもあったりしますので、 私たちのガイドラインの点では、その寛解の件については実は検討がなされたのですけ れども、あえて載せませんでした。症状の方が落ちついたということでしばらく薬がや められたところで寛解というふうに考えていいのではないかと私の私見では考えており ます。 ○田中委員   そうすると、治療期間もこれには書いていないみたいなのですけれども、かなり長期 になるという。    ○森参考人   先ほども実態調査の方でお見せしましたように、やはり一例一例によってちょっと違 うのですけれども、やはり短い例でも最低3年ぐらいは使うことが多いのですので、や はり3年以上と考えていただいていいのではないかと思います。    ○田中委員  予定用量のところに「通常」と最初に書いてあるのは、そういう意味では10で効かなか ったら15ぐらいも使う可能性もあるというのを含めたような言い方での書き方なので しょうか。 ○森参考人  実際には「通常」のこの言葉は分割の方に対しての考え方でして、実はちょっと苦肉の 策でこういうふうな文章になったのですけれども、やはり成人用量を超えることは今の 段階では難しいと考えておりますので、それに準拠した量にしたいと考えております。 ○秦座長  ほかにいかがでしょうか。はいどうぞ。 ○宮坂委員  すばらしい発表で非常によくわかりました。その上で質問なのですけれども、1ページ 目の初めのところに、16歳未満の子供10万人に約10人ということなのですけれども、 次に発症は10万人に1人の割合となっています。このままですと子供の発症は少ないと いう表現になってしまいます。この10万人は上は子供の10万人ですけれども、下は全 人口10万人に対してということですね。恐らく。その辺はどうなのですか。 ○森参考人  実際にはこの辺の教科書、海外の方の報告例の発症率しか実際のところ今ございません で、やはりもう少し発症率のところを検討するにもデータがあればよろしいのですけれ ども。 ○宮坂委員  上の16歳未満に対する10万に対して10人、これで十分かなと思いました。  それから2ページ目のところで、真ん中のあたりに生物学製剤のことが先生からのお 話があったのですけれども、その4行目ぐらいからの下に、「これら薬剤の問題点は医 療費が高額になってしまう」と書いてあるのですけれども、「これら薬剤」というのは 生物学的製剤ということで、生物学製剤が今後何種類も出てくる可能性があるというふ うにとれるのですけれども、そういう意味ですか。 ○森参考人  はい。そのとおりです。生物学製剤は今小児の方での治験の段階を迎えているお薬が実 は二つございます。 ○宮坂委員   そうだとすると、この申請の過程でMTXのことが全く書かれていない、今日本では 使われていませんから書かれていないわけですが、それがかえって問題になるというふ うにお考えになりませんか。    ○森参考人  生物学製剤がこのまま認可されるようなことになった場合。 ○宮坂委員  ですよね。その生物学製剤の申請には恐らくMTXのことは書いていないのではないか と推測するので、そちらの方がむしろ問題になるのでしょうかというのが質問なのです けれども。 ○森参考人  そのとおりです。 ○宮坂委員  それから、細かなことなのですけれども、8ページのところでワクチンの予防接種の影 響というのがあるのですけれども、ここで書かれていることはワクチンのワクチン効果 に関しては影響しないということが書かれているのですけれども、一般的にもちろんM TXはがんのときと違って量は少ないですし、少ないですけれども一方で相当長期間使 うわけですからどうしても骨髄抑制は気にはなる。そういうことを考えると、ワクチン をやること自体の問題はないのでしょうか。そういう研究があるかどうかはどうでしょ うか。 ○森参考人  実は、若年性関節リウマチも含めまして、小児のリウマチ性疾患に関してのワクチンの 効果を私たちのところで検討しております。 ○宮坂委員  ワクチンそのものの効果はではなく、副反応とかそっちの方ですね。 ○森参考人  副作用ももちろん効果も副反応も。 ○宮坂委員  しかも報告の中に水痘症の併発が書あったことも書いてありますよね。その辺も含めて 教えてください。 ○森参考人  やはり生ワクチン関係はやはりこのリウマチの患者さんで、この免疫抑制薬やステロイ ドを飲んでいる方は一切使っておりません。ですからここに問題になってくるのはイン フルエンザのような不活化ワクチン、それからこのHVのような不活化ワクチン、こう いうものに対しての検討ということになります。 ○宮坂委員   今のところこのデータだけということですね。  それから12ページの真ん中のあたりなのですけれども、主たる毒性はというふうにお 書きになられていて、骨髄抑制、肝線維症、肺線維症そして肝線維症のことについては 書いてありますけれども、骨髄抑制のこともここには書かれていない。それから肺線維 症は書かれているのですけれども、実際に「メトトレキサートによる肺臓炎は」という ふうになってしまって、この辺がちょっとあいまいで、メトトレキサートによる肺線維 症が起きたことがないというふうな期待ができる内容に思えます。ここに書かれている こと以外に、やはりこういう薬を長期間投与していて気になるのは、網膜の問題がある のですけれども、その辺の記載とかデータについてはどうですか。    ○森参考人  記載はここに載せていない部分もあるかもしれませんが、骨髄抑制、肺線維症は一例も 私たちのところで経験がございません。  それから網膜に関しましては、定期的な眼科の方の診察を必ず受けるようにしており ますので、その時点で影響を受けたという患者さんも一人もございません。    ○宮坂委員   最後ですけれども、13ページの下の有効性の総合評価のところの一番最初のパラグラ フの下に「放射線学的な改善」、これは具体的に何ですか。    ○森参考人  この病気自身が関節のところでエックス線学的に滑膜の造成という形で、関節が一般的 に破壊されるような状態の像が映ります。実際にはもともと壊れたものが実際に直ると いうことも考えにくいわけだったのですが、メトトレキサートをうまく使っていくこと によってもとの状態に子供さんなら戻せるというそういう改善の記載がございました。 そういう意味合いです。 ○宮坂委員  どうもありがとうございました。 ○森参考人   どうもありがとうございました。    ○秦座長   ほかにいかがでしょう。はいどうぞ。    ○村山委員   森先生またワーキングの先生方に詳細に調べていただいたこのデータを見て、MT Xの有用性が極めて高いということ、安全性も高いということがわかりました。私の質 問は、御説明を受けて、5カ月でリウマチを発症する場合もあるし、15歳までに治療す れば状況は良くなる場合もあるのですけれども、これ発症後早い時期に治療すれば、そ の後の経過が非常によく成長にも影響が少なく、そして治療効果も極めて高いので、M TXを使えるようにした方がいいというふうに考える次第なのです。治療のタイミング が重要だと考えます。今は治療の時期を逸しているのではないかという感すら受けるの ですね。その辺をワーキング担当の先生の御経験を踏まえてお聞きしたいのです。  もう一つ、RCT等々の情報が提供されておりますが、その後の患者さんの成果、つ まりその後の結果が今どうかという例があると理解に役立ちありがたいのですけれども、 いかがでしょうか。恐らく若い時期に早い時期に治療された方が成果がいいと思うので すが、それが実績として少しでもわかると極めて早く承認していただけるということに つながるのかなと思います。    ○森参考人   御質問ありがとうございました。  最初の点の小さな子が早い時期に炎症を抑えた方がいいかということなのですけれど も、まさしくそのとおりでございまして、やはり炎症をそのまま早く抑えるほど、成長 に必ず影響が来ております。やはり子供さんの場合は成長で学校に行かなくなったりと かそういうことでのコンプレックスとかが非常に大きな問題になるのですけれども、こ ういう点も含めまして実は治療が早くいった例がメトトレキサートを早く導入した例が 早くやはりよくなっているケースが多いです。  それから、残念ながら二重盲検で出たウーそれからGiannini、私個人的に知り合いな のですけれども、その後の患者さんがどうなったかということは聞いておりませんので、 ちょっとコメントができません。申しわけありません。    ○村山委員   機会がありましたらぜひ。    ○森参考人   はい。ありがとうございます。    ○秦座長   ほかにいかがでしょうか。どうぞ。    ○伊藤委員  伊藤ですけれども、どうしても必要な薬だと思います。内科が認められていて小児科 がだめだというのはよくわかるのですけれども、ただ一つ問題点はこれカプセル外しで やっている可能性が多いですね。だから剤形を変更したときにそれをどうするかという ところは一番問題になると思うのですけれども、要するに今までのデータから、やはり カプセルのまま飲んでも外して飲んでもほとんどアベイラビリティーが変わらないとい うデータはあるのですか。    ○森参考人   実はですね、カプセルは外しておりません。カプセルのまま飲んでおります。これは 一つの方法なのでしょうけれども、実はこのリウマトレックスという薬は随分うまく溶 けるというか飲みやすいようで、大体一番小さな子で1歳半からカプセルを飲めていま す。  それからお湯に一緒にやるとすぐにすっと溶けるという特徴もありまして、そういう ことで外してという形は実際には行っていないようです。    ○伊藤委員  だから2mg、最初のところ体表面積1m2あたりの投与量を10mgというふうに限 定した場合に、投与量のところは正確にはない、できないですね。 ○森参考人   やはりぴったりという形はできないと思うのです。ですからやはり2の倍数という形 の投与になると思います。    ○伊藤委員   わかりました。外国の方のデータもそうなのですか。    ○森参考人   そうです。    ○伊藤委員   全部そのままで投与されたというデータですね。    ○森参考人   はい。そのとおりです。     ○秦座長   はいどうぞ。    ○橋本委員   橋本です。皆さんの御意見のとおり十分なエビデンスがあって承認条件を満たして いるということであろうというふうに理解しています。それでこれ大変な報告書を作成 されたと思うのですが、先ほど宮坂先生の御指摘のように少し推敲していただく必要は あるのだろうというふうに思っています。  その中の私が感じたポイントは、やはりMTXにとって不利な情報をどちらかといえ ば積極的に取り上げて、それを示していただきたいと思うのです。例えば、コクランレ ビューについての結論は最後の方でちょっと出てくるのですけれども、コクランレビュ ーの説明のところにはその結論が出てきていないのですが、コクランレビュー自身は少 なくとも問題点は残っているという結論になっているわけですよね。その辺のところが はっきり見えないし、それから、ガイドラインについてもわーっと、今一生懸命読んで いたのですが、全身型の場合に有効性が一般に有効ではないというような記載が4ペー ジの追記2のところにこういう記載がされているように思うのです。  この関係でこの辺のこともできるだけ取り上げていただいて、むしろそういう不利な 情報の中でもどうかという判断をぜひ示していただきたいと思います。    ○森参考人   よろしいですか。私自身は今回のこの報告書をつくる際に不利な条件を全く隠した覚 えはございません。実は、メトトレキサートの先生のおっしゃられたこの手引も実は私 たちがつくればもっと簡潔にもなったのかもしれませんが、初期診療という先生方が誤 りをされないような形で投与していただきたいということがありましたし、そういうも のに基づいてつくったものですから、表現の仕方がちょっと難しいところになっている かもしれません。でも、実際には、全身型の方の熱だけはどんどん出ていくというタイ プにメトトレキサートがいたずらに異常に多く投与されて、そういう方の場合はパー平 米当たり20mgとか俗にすぐ過ぎてしまうのですけれども、こういう方ではなくて今回 関節炎症状を伴うという形にとりますと、実は全身型の患者さんでもとても効くことが わかっているのです。ですからそういう面でちょっと表現の仕方が難しいかもしれませ んけれども、こういうふうに考えております。    ○橋本委員   いや、不利な情報を隠しているなんて少しも思っていなくて、そうではなくて逆に 積極的にどんどんそこを中心に考えていただきたいということを申し上げただけです。  それから今お話の点で一つ気になったのは、効能・効果、用法・用量のところで、ま ず効能・効果のところで、「関節症状を伴う」という部分が入っている。今それについ て御説明いただいたと思うのですが、そこの部分のどうしてそれがこういう効能・効果 になっていて「若年性特発性関節炎」だけになっていないという部分の説明が必ずしも この報告書の中にそれほどはっきり出てきていないような気がしたのですけれども。    ○中村委員   有効性の総合評価の後半のところに記載がされている部分はあるのですが、今の全身 型の件というのは、私はこの領域の素人ですので座長として大分森先生にお尋ねしたの ですけれども、森先生からの説明が今の13ページ5の有効性の総合評価の第二段落目の ところの説明になっています。  要は非常に単純な言い方をすると、米英独仏を見た場合に、「多関節型」と書いてい る国もあればそうでない国もある。海外のデータで見ると確かに「多関節型」の有効性 の方がはっきりしているけれども、現場の先生の御意見を聞くと、ガイドライン上も関 節炎症状のみがあった場合には効く例もあるということもあるので、というふうなこと をここに書いたつもりではあります。    ○橋本委員   はい。私もそういうふうには読んだのですが、もう少しそこのところをもうちょっ とはっきり書いていただいた方がむしろ、というふうな印象を持ったということです。   それから最後にもう一点よろしいですか。あと「成人最大用量を越えないものとする」 という記載があるのですけれども、この理由についても少し書いていただきたいなとい うふうに、もう少しはっきりと書いていただきたいなというふうに思います。大変書き にくいのだろうと思うのですが。    ○中村委員   これは学会内では成人領域の用量、海外の添付文書を見ていただくと、成人のことも ぽろっと出てきます。その中で、成人の用量は日本の小児用量よりも高いです。といい ますか、学会の先生としては本当は成人の用法・用量にする必要はないと思われている というのが日本の今の学会の現状です。  一方で、成人領域でも用法・用量の見直しが必要ではないかと学会の先生は考えてお られるので、近い将来に見直しがされる可能性がある。ということを僕が言っていいの かどうかわかりませんけれども、という動きがあるということで、あえて今の成人の最 大用量という書き方をしなかったという経緯があります。つまり、成人の上限が変わっ た場合に自動的に小児のところも上がるという、ちょっとそういう微妙なニュアンスが あります。    ○中垣審査管理課長   恐らくこの件の最大の問題というのは、用法・用量にあるのだろうと思います。森 先生いろいろなデータをもとにこういったレポートを書いていただいていますし、今中 村先生からも暗におっしゃられたのは、今までの医薬審査行政との整合性も踏まえつつ ということなのだろうと思いますが、一方におきましては、そういう意味で申し上げま すと、いろいろな配慮をしていただいただけにこのレポートで世の中に事を問うと、逆 にその点は物すごく突かれていくのだろうと思います。  先生方に御説明するまでもないのだろうと思いますが、まず成人を見てみると、海外 と日本、欧米と日本では通常用量が日本の方が低い。最高用量も低い。要するにそれを 説明するためには、日本人のPKかPDが高いというというふうな説明をせざるを得な い。  一方においては、小児についてこのレポートは、海外のRCTをもとに10というのを 通常で持ってきていただいていますから、そこは海外も日本も一緒という形にした。し かしながら、最高はいろいろなことがあって8ということにしているというところで、 では一方成人ではある程度PKだろうかPDなのかこれはデータをひっくり返してみな いとわかりませんが、あるいは恐らくはこれ2000年前後のスタディーですから国内でR CTをやったのだろうと思いますけれども、そういったデータから通常6ぐらいでいい やという話になったのだろうと思うのですけれども、そのデータとこの小児をどう考え るのか、さらには、成人においては実態としてもうこの中にもありますが98%6mg以 下だとこう書いてありますから、かなり低い用量でコントロールされている。実態とし ても。というところをどう考えるのか、まことに申しわけないのですが今までの行政と の整合性に恐らくうちの者も「先生できれば」とお願いしたのかもしれませんけれども、 それはさておき、一方においては、この文章で検討会としてこれで有効なのだ、これで 安全なのだということを世に問うことになるわけでございますから、先ほど申し上げま したような成人の通常用量の違い、最高用量の違い、さらには実態としても成人は低く コントロールされている。そういうときに小児は通常は果たして同じでいいのか、最高 はどうすればいいのかというところは、データの限界はありながらも一たん医薬行政の 整合性をこっちに置いておいて議論を賜った方がいいのかなとこう思っているところで ございます。    ○秦座長   よろしいですか。ほかに何か。     ○村山委員   医療の行政は置いておいてということで、発言させていただければと思います。何 ページか今捜せないのですが、このワーキングの先生方の調査報告書に、Vd、つまり 分布容積があるのですが、分布容積が小児の慢性患者8から18歳で大分幅があります。 けれども、こちらの方で見ると21.9±6.4というこういう数字それからマイナスNSA IDですね。    ○中村委員   ちょっとページを言っていただくと。    ○村山委員   失礼しました。7ページの4)です。こちらにVd、見かけ上の分布容積が出てお ります。21.9という数字をどう読むかということになると思います。通常この20は極 めてマージナリーで、例えばテオフィリンはもっと高いとか、あるいはもうちょっと脂 溶性の高いジアゼパム等々だともっと大きくなるということを考えると、水溶性と脂溶 性の性質が際どい位置づけになってきますので、小児の生理の条件を考え、成人よりも 水の量が多いということ、腎排泄が成人にくらべてよろしいと考えますと、10mgを患 児に投与された海外の例というのは妥当だと判断してもいいと思っております。  そして実際に副作用等々通常ですとメソの濃度が上がってくると間質性肺炎の重篤な 副作用等が現れるのが現状ですが、このデータからはほとんど間質性肺炎の発症はない、 また、肝障害、腎障害もない。むしろNSAIDとの併用がVdへ影響しますので、併 用する場合の注意を考えれば効果を高められるのではないかと考える次第です。いかが でしょうか。細かい話になるのですけれども。    ○秦座長   いかがですか。森先生、中村先生。    ○中村委員   今のNSAIDsの影響というのは血中濃度への影響といいますか半減期への影響で AUCに差が出るということですよね。これは成人でも報告されていることで、既に添 付文書上に反映されていることですので、そこはそれとして、一つは薬物動態のデータ で小児の場合ですね、バイオアベイラビリティーがどうも低そうだということと、それ から投与をふやすと吸収率も落ちそうだということは、例えば6ページの1)だと投与 量、これは海外の4歳から14歳ですけれども、投与量が6.8〜28.1mg/m2投与を見 ているのですけれども、12mg/m2以上であると吸収率が落ちますよというふうなもの があります。  実際に今回の森先生が中心になって行われた使用実態調査でも、これは成人の方のリ ウマチの適用があるせいかもしれませんけれども、小児の方が高用量の患者さんはむし ろ多いですね。使用実態調査の結果最高用量が、週当たりのパースクエアメーター当た りで17.26、明らかにお子さんでの投与量の方が低い量ですね、週当たりのスクエアメ ーターで三、四mgの患者さんから十七、八の患者さんまでばらばらとあるという状況 で、これはむしろ海外での承認されている10から20ぐらいの幅の使い方をされていて、 その中で、ちょっと今回の使用実態調査というのは過去のレトロの調査ですし、長期間 の調査で、すべての細かい有害事象は上がっていないかとは思いますけれども、集めら れたデータで見た範囲内では特に投与量が多い患者さんで有害事象が出ているような様 子とか、あるいは1回投与と2回投与を見比べた場合に1回投与の方が、1回飲む用量 というのは週1回投与の方が1回飲むより多くなりますけれども、1回飲む用量の患者 さんで特に有害事象が大きいだとかそういう傾向はないです。  ですので、ワーキンググループで議論した際に、森先生の印象としては大体10という ところであればほぼ効くという印象は持っておられるということもあって、今回の報告 書案を書きながら使用実態調査をしますと結構むしろ高用量を使っておられる患者さん もおられたということもありましたので、これをつくった段階では成人での現在の国内 の承認ということもありますねということでこういう書き方になりましたが、将来的に もっと高用量での承認は当然考えられていいのではないかというのが共通認識であった というふうに理解しています。    ○秦座長   よろしいですか。どうもありがとうございました。    ○村山委員   一つだけ。MTXの分布容積であれば小児の生理的な環境を考えれば、十分トレラ ビリティーはあると考えたものですから、10mgというのは使用範囲で考えていい範囲 ではないかと思いました。    ○中村委員   むしろ再度森先生の御意見を聞いておきたい。私は専門医ではないもので。    ○森参考人   実際にここの記載の件については、ワーキンググループでも随分話し合いがなされま して、やはり今の段階業務上のことが一番最後のところに引っかかってくるのではない かということで、私たちリウマチをやっている人間にとっては、実際に小児の方がやは り量としてかなりの量を必要としますし、決して実際のところこの8mgで患者さんが 全員うまくいくとも思っておりません。もしこれの状態でだめな場合にすぐ生物学製剤 にいくということになりますと、それだけ患者さんも生物学製剤に流れる方もいらっし ゃると思いますので、正直なところ申し上げますとやはりメトトレキサートはもう少し 上の量にしていただければいいと思うのですが、これについても全く何も成人の方の動 きが何もないようでしたらまだ考える余地もあると思ったのですけれども、つい最近、 きのうもそうだったのですが、ちょっとリウマチの方の内科の先生方とちょっとお話を させてもらう機会がありまして、どうしてもやはりふやさないと今どうしようもないと ころまで来ているということで、そういう動きを早急にするというふうなお話も実はお 聞きしました。  ですから、やはりそういう意味では、やはり小児の方の必要性は多いのですけれども、 現時点ではこういう書き方でいかがかなとそういうふうに思っております。以上です。    ○秦座長   ほかにいかがでしょう。藤村先生何か。    ○藤村座長代理   用量のこと以外でいいですか。    ○秦座長   以外のことでも結構です。    ○藤村座長代理   私が森先生に教えていただきたいのは、JRAと昔から言っているすごく大事な病 気、小児科医にとってはしょっちゅうはないけれども大変な病気ですね。  私がびっくりしたのは、無作為比較試験が引用されたのは二つしかないということ。 これはプラセボが必要だから二つしかないのですね。ちょっとその辺の事情を。    ○森参考人   はい。これはですね、実際にこの研究をなさったGianniniとそれからウーに聞いたこ とがあるのですけれども、やはり私たちもそうなのですがプラセボという形をとること がとても患者さん、小児では特に難しいですし、患者さんに与える影響が大きいという ことで、今までなされていなかったのはそういう理由だということでした。  実は、今こんなことを言っていいのかわかりませんが、私たちの方で新しい生物学製 剤の治験の方をしておりまして、そこで初めてプラセボの形をとることにしたのですけ れども、でもレスキューをきちんとした形でのプラセボというやり方をとったのですね。 ですから、そうでない限り単純にこの薬を与えて片一方はプラセボということはやはり 倫理的には小児の方はできないと考えております。それが大きな理由だったというふう でした。    ○藤村座長代理   日本でもそういう研究がもうほとんどないのは、結局もう薬が売られているからそ んな非倫理的な試験はできないという、研究ができない状態になっていたわけですね。    ○森参考人   はい。そのとおりだと思います。    ○藤村座長代理   わかりました。それは一番疑問だったのですけれども、よく普通の未承認薬でよく 見られる現象で、既に成人に承認され市販されているために小児の臨床試験を開始する ことが妨げられているという現状は非常にゆゆしいことだと思います。子供の薬で、オ フラベルでは。よく今も見られているのです。  コクランが、先ほども少し話が出ましたが、こういう結論をしているというのは、コ クランというのはある文献を評価するしかできませんので比較対象試験の数が少ないと、 何とも言いようがないわけですよね。だからこうなのだと言ってほしいのだと僕は思う のですけれども。    ○森参考人   すみません、先生どうもありがとうございました。先ほどのお話の中ではそうだと私 も考えております。  実際のところ、小児の方でのまれな疾患に対するコクランの最終的な回答、こういう ふうなまとめのところにはこういう文章がよく使われているようです。それはやはり症 例数が十分評価するに値するまでいっていないというその裏返しなのではないかと思っ ておりますので、そのとおりではないかなと考えております。ありがとうございました。    ○秦座長   ほかにいかがでしょうか。  投与方法に関して、服薬コンプライアンスを考えれば1週当たり投与回数は1回にし た方がいいという見解も成り立つわけですが、これらの点に関して櫛田先生何かありま すか。    ○櫛田委員   やはり子供の場合ですと、3回というのはやはりコンプライアンスが悪くなります ね。ですから、できれば1回で、海外でもやはり1回ということで承認されているわけ ですから、大人に合わせることは私は全くなくて、やはり小児は1回か2回というふう にするのがベストかなというふうに思っています。    ○中垣審査管理課長   使用実態調査の結果が12ページから出てくるわけですが、13ページの5の有効性 の総合評価の上を見ると、「3回以上に分割して投与されている症例はなかった」と書 いてあるわけですね。だから先ほど申し上げた点でうちの恐らく担当も成人との整合性 を勘案するようお願いしたのではないかと思うわけでございますが、ないものをリコメ ンドするというのはやはりやめた方がいいと。全くデータがないものをやるというのは やめた方がいいというのは一つ。  それともう一点、先ほどの続きで、それは1回又は3回の分割についてもそうなので すが、教えていただきたいのですけれども、この使用実態調査で見ると、13ページの上 から3行目のところですか、68例の使用実態調査で、体表面積当たり中央値で見ると 7.19だったと書いてあるわけですね。平均にすると上に引きずられますから8.73±3.7 と。最高用量の議論というのは先ほどちょっとやったわけですけれども、中央値で7.19 というのと、よくわからないのですが14ページの成人の平均投与量、14ページの枠の 下から10行目ぐらいのところですか、この調査で投与量が明確な患者の平均MTX投与 量は6mg/週以下が97.77%を占めていると。すなわち、かなり下の方で国内はコント ロールされているというのが一つあるのかなと思うわけですが、一方において、海外で 行われたのは10mg/m2のRCTのデータだと。ですから7と10と考えると1.3倍あ るいは1.4倍ぐらいにこうなるわけですけれども、そこはどういうふうに考えた方がい いのか。というのは、日本人のデータ抜きで議論している難しさは重々あると思うので すが、もしお考えがあれば教えていただければありがたいと思います。    ○森参考人   これは私のほかの先生方からお聞きした話なのでけれども、こちらの方の成人の方の RAの再審査の結果という形で、こちらの方に調査で明確な患者さんのことは書いてあ るようですけれども、実際にはこの量で投与されていない方の方が、多いとは言いませ んけれども少なからずいらっしゃるようです。それはこの統計に反映されていないので はないでしょうか。リウマチ学会でも随分大きな問題になっておりますし、実際にはこ の6mgですべて大人の方がいくとはとても思えないですし、実際に現実そのようなこ とを聞いております。    ○中垣審査管理課長   それはちゃんとしたデータとかにまとまっているのでしょうか。それとも学会内で のディスカッションというか、要するにもしそうだとすれば、そこはしっかりとした議 論をしていただいて、日本でも通常6と医薬行政上はなっているけれども、実態は例え ば10で動いているのだということが、いや皆でささやいているという話ではなかなか迫 力がないので、いろいろなデータがあって、そこは確たるものをまず固めて、要するに 海外と日本で余り差はなさそうだと、むしろ現在の承認がある面でいくとちょっと古い データに乗っているのかなというような形にして、欧米のデータを持ってこられるのだ と、成人でもこうなのだという形にして、その上で10mg/m2という外国のRCTを 承認、まず基本で適用しましょうというのが一つの筋道としてなるのだろうと思うので すが、そこは先ほどちょっと申し上げた従来の医薬審査行政との整合性というのをちょ っと横に置いて、本質的な議論をしていただけるとありがたいなと思っています。    ○中村委員   今回ワーキンググループで検討した過程でのジレンマがまさに成人領域に踏み込むと いうこと、臨床上重要で成人領域でのニーズの高い薬に限って成人領域も検討するとい うふうなことになればもうちょっとやりやすくなりますけれども、この薬に限らず成人 の用量が国内外で違うものがままあるということもあって、ちょっと遠慮がちに検討さ せていただいたところがございます。この薬について成人領域でも十分ニーズがあるの であれば、この検討と同時進行でやるかどうかは別としましても、学会側できちんと動 いていただいてアクションを起こしていただいてきちんと評価するという。その中で、 実は小児もこういう議論があって、実際使用実態調査をしてみたらもっと投与量が多い という、まさかここまで投与量が多いというのはちょっと使用実態調査をするまでは想 定していなかった結果が出てきましたので、成人領域での使用実態調査等を国内でもし っかりしていただく必要はあるのかなというふうに、これは個人的な、ワーキンググル ープの座長としてではなく、この検討会議の一メンバーとしてはそういう印象を持って います。    ○中垣審査管理課長   誤解を与えていたら非常に申しわけないのですが、私はこの会議で、このメトトレ キサートの成人用量を変更すべきだという答申をいただこうと思っているわけではあり ません。要するに小児について通常が10mg/m2で、上限をつくるかどうかというの も考えていただければいいと思うのですが、ということを妥当性を持ってどうやって説 明していくのかというときに、海外のデータを持ってこられるのだ、海外のRCTが10 で、それを持ってこられるのだということを主張しようとされれば、それに反対する人 はどう言うかといったら、成人を見てみろと、成人は海外のダブルブラインドと日本の ダブルブラインドが恐らくあると思うのですけれども、用量が違っていて同じような効 果が出ているのではないかと言われたときに、この検討会は何と答えるのだろうかと。  さらに、使用実態を見てみたら7だったと。少なくとも中央値は7だったということ でどう答えるのかという、この検討会としてのラショナルの点で成人の通常6というの をつぶさないと先に行けないのかなとこう思っているわけですけれども、それ以外に、 いや子供なら子供の世界の中で例えばPKがあるとかPDがあるとかいうようなことを、 要するに国内とか海外と比べられるということであればそれはまた一つそういった方向 もあるのかなと思うわけでございますが、恐らく反対する人から見ると今申し上げたよ うな詰め方をしていくのだろうということを危惧しているだけでございます。    ○秦座長   森先生何かコメントございますか。    ○森参考人   今の件はワーキンググループのところでも随分検討してきたところですし、一番最初 に持ってきた私のアイデアもそれに近かったことは間違いがないのですが、それをあえ て今のところでこういうふうな論議になられると、私の方としても何も申し上げること はございません。    ○中村委員   一つは成人というのを、国内での成人での臨床試験の結果、臨床試験があってという ことで論文の議論はされていますけれども、そこの詳細を海外の試験と今回ワーキング グループで並べてみるということはしておりません。これは対象疾患が違う、リウマチ という名前はついていますけれども対象疾患が違うということが一つありました。  もう一つは、ちょっとそこをほじくるというとおかしいですけれども、我々としては 小児の疾患についての用法・用量のところでエビデンスを組み立て、それから特にこれ は若年性の関節リウマチといいますか、今名前は変わっていますけれども、いわゆる成 人用域での対象疾患と違う若年性の特発性関節炎というものである。この検討会のスタ ンスをどうするかということもありますけれども、基本的には欧米4カ国で承認されて いるという中で、国内での使用実態も鑑みそれから全体のエビデンスも眺めた上でどう いう承認、どういうエビデンスを全体的に評価するという形でやっていますので、そこ を必要であれば成人の臨床試験のデータ等をもう一度眺めますが、今手元にある小児の データだけで例えば使用実態調査での結果を見ますと、むしろ実際の使用実態は20は超 えない、20mg/m2/週を超えて投与する際の安全性の検討は十分でないというふうに 海外例えば米国の添付文書にも書いてありますけれども、それに準じた使い方を国内で されていて、今回の使用実態調査の結果上は、重大な安全性上のシグナルも、危険なシ グナルは特に拾われていないということになるかと思います。    ○中垣審査管理課長   恐らく最初にお断り申し上げましたとおり、うちの担当もかなりお願いしたのでは ないかということを申し上げたわけでございますが、そういう、特に3回分割のところ だと、成人との関係をいろいろ考えていただいたのだろうと思いますし、そういう面で 申し上げると甚だ申し上げにくいことを延々と申し上げている気が私ですらするわけで ございますが、この検討会のラショナルというのはやはり大切にしていただいたら最終 的には我々としてもありがたいのではなかろうかと思っているわけでございまして、こ の間、いろいろ御苦労をかけたこともあるのだろうと思いますが、それは謝るべきは謝 った上で今少し作業をしていただけるとありがたいなというのが一点と、二点目ひとつ 教えてもらいたいのは、私が気にし過ぎなのかもしれないのですが、成人のリウマチと いうのと今ここでやろうとしている関節炎というのはもう病態として全く違うのだと、 これを比較することはできないのだというようなことなのか、やはりいろいろな面で同 じじゃないけど親戚も非常に近い親戚だということなのか、そのあたりも教えていただ けるとありがたいなと思います。    ○森参考人   後者の方に関してのお話になりますけれども、やはり小児の方がすべて成人の方のミ ニチュアという考えではなかなか病気の方を説明できないと思っています。ですが似て いる部分はあるかもしれませんが、基本的にはやはり小児に特徴的に小児に起こってく る特別な疾患だと考えて僕はいいのではないかと思っています。    ○伊藤委員   一つだけいいですか。これ実態調査のところなのですけれども、これは効果があっ た例の平均なのですか。ここがちょっとよくわからないのですけれども、例えば10の閾 値として、それを分けたときに効果はどうだったかということは出ていないですか。    ○森参考人   効果は非常に判断がとても難しいとは思うのですけれども、全員がほとんど67例の患 者さんは効果があるというふうに主治医の人間が判断して、それでのことになりますか ら全員それで薬も続けているわけですので、皆さんそれに関しては有効性は保たれた患 者さんばかりだと考えていいと思います。    ○宮坂委員   先ほど伊藤委員のおっしゃった剤形のことなのですけれども、1.5センチと結構大き なカプセルなのですけれども、小児薬物療法という視点から言うと、これでいい、もち ろん問題がなかったというのですけど、何かコメントを出す必要があるのかなという気 がするのですけれどもどうなのでしょうか。特に生後5カ月から、実際投与することは ないにしても、カプセルを飲ませたなんていうことが文章になることは余りいいと思え ませんけれども、どうでしょうか。    ○森参考人   先ほども申し上げましたように、小さなお子さんといっても特殊な子供が飲めたとい うことなのかもしれませんので、そういうところでの特殊な人たち、状況ということを 書くかどうかということにもなると思うのですが、恐らく1歳未満の方は、やはりメト トレキサートの使用という面ではかなりこちらもちゅうちょしながら使うことになりま すので、カプセル自身で今現在で特に私たちのところでは困ったような患者さんが。    ○宮坂委員   実際海外には子供用の剤形というのはないのですか。    ○森参考人   あるそうですね。    ○事務局   御指摘の点に関しましては製薬会社の方に例えばカプセルを外したときにどのような 影響があるかどうかとか、その辺のデータがないかどうかちょっと聞いてみたいと思い ます。   ○村山委員  先ほどPK、PDのお話をさせていただきましたが、薬を使っていく上で重要なこと は、患者さんあるいは患児の状態を見ながら薬の効果を確認していくことが大事だと思 いますので、何mgと断定した用量を設定するというよりも、状況に応じた適宜増減が 必要になってきますし、また特に成人でのメソの使い方で考えなければいけない腎排泄 能を確認することです。腎血流量に応じた投与設計が必要になると思います。高齢な方 の使用が多いことを配慮し、安全性をより一歩高めるため6mgと設定されたと考え、 使わせていただいている次第です。  ヒトは、二十(はたち)を過ぎれば高齢化が始まると言われていますが、腎血流量が 減少し、その減少は個人差がありますから、腎血流量、クレアチニンをモニターしなが ら適切に投与していくということが肝要と思います。投与量の平均が8mgか7mgか 用量の上限を定めることが重要であって、観点を断定的に何mgと決めるよりは、やは り患児に合わせ用量設定すると考えていただければというふうに思います。済みません、 余分なことを言ったかもしれません。 ○秦座長  今の御意見で森先生何かコメントは。 ○森参考人  実際に腎機能が悪い方とか、小さなお子さんの場合そういう点もいろいろあると思うの ですが、おしなべて私たちのところでは実際には血液のデータを肝機能と同じようにチ ェックしながら見ていることは確かなのですけれども、小さなお子さんの場合、やはり 用量をそのまま測定してクレアチニン・クリアランスを出すという操作が毎回毎回簡単 なわけではございませんので、やはり適宜そういうふうな形での、例えば入院して治療 するような場合にはそういうふうな形をとらせていただいていますが、全例ということ になると少し困難なところもあるのではないかなと考えています。要所要所では、はい。 ○秦座長  いろいろ議論していただきましたけれども、基本的にきょう森先生が提出していただい た報告書を御承認いただけるということでよろしいでしょうか。いろいろ議論がありま したけれども。 ○事務局  用法・用量の関係についてもう一度議論をしてはいかがかといったようなお話もあった かと思いますけれども。 ○中垣審査管理課長   基本的に御了解を得たと。その上でまことにワーキンググループ、特に主体になっ ていただいた森先生あるいは中村先生には申しわけないのですが、用法・用量について 今申し上げましたようにワイス社にも我々から協力を得たいと思いますし、そのような データをもとにあるべき姿というそこの点をまことに申しわけないのですが再整理して いただいて、次回御報告をいただくと。恐らくこのメトトレキサートのこの若年性特発 性関節炎に対する有効性あるいは安全性に対する御疑問というのは、先生方の間からほ とんどございませんでしたので、そういう意味では御了解を得たのだろうと。ただ、用 法・用量をどのような形にセットするのがこの検討会として一番いいのかという点につ いて、それは事務局が至らなかった点も多々あって、そういう意味でワーキンググルー プの先生方にまことに申しわけないと思うわけでございますけれども、森先生、中村先 生今一度御協力を賜りますようお願い申します。    ○中村委員   ちょっと森先生がかなりがっくりされているのですが、大丈夫だと思います、検討さ せていただきます。森先生に余り御負担をかけない範囲で、ここから先の話は幾つかの 臨床試験のデータと海外の承認された状況を見直す、小児と成人を見直す、あとは審査 管理課側でも製薬企業側に働きかけていただけるということでしたので、そこも踏まえ てということになると思いますので、森先生自体にそんなに大きい作業が発生するとは 思っていませんので。  用法・用量のところを見直すというところで、それを持ち帰らせていただきますけれ ども、それ以外のところがまた次回の検討会でまた変更と言われると非常につらい思い をしますので、「関節症状を伴う」とつけて若年性特発性関節炎としたところにつきま して、記載の内容は少し整備させていただきますけれども、基本的に先ほど御説明した ところでよろしいか、ちょっと橋本先生にコメントいただければと思います。    ○橋本委員  ワーキンググループの方で記載をさらに推敲していただけるということですので、十 分ではないかというふうに思います。   それから、使用実態調査についても、先ほど中村先生からお話がありましたけれども、 私も見せていただきましたけれども、言われたとおり明確な形での副作用と用量との関 係は見られておりませんし、そういうところでもきちんとこの中に含めていただいて整 備していただければというふうに思います。 ○森参考人  申し上げていいのかどうかわからないのでちょっとちゅうちょしましたけれども、ワー キンググループの会議を何回かさせていただいた際に、先ほどもお話をさせていただき ましたように、一番最初のときには成人の用量に関係していない形の私も量の説明書を 持ってきたのですね。それで結局はこちらの方の審査課の方の方々に、結局そこのとこ ろを調節した形の報告書をつくってほしいという形だったわけですから、それをつくっ てきて、それで実際にはまたということになりますと、ちょっと私自身もこれでかなり 戸惑うということもありますし、中村先生には、ちょっと本当に言っていいことだった のかどうかわからないのですけれども、例えばそこに出てこられている方と、今の課長 さんがきちんとやはりお話しいただいてその上で検討会をしていただかないと、何度も 来ることになりますので、私たちもそれほど時間もありませんので、最後だけ言ってい いのかわかりませんでしたがお話をさせてもらいました。 ○中垣審査管理課長   そうだろうと思いますし、そこは事務局として反省すべき点だというふうに考えて おります。  ただ、繰り返しになりますけれども、成人をどう考えるのかということをある程度出 していかないと、批判する側から見れば、この用法・用量はなかなか説明しがたいなと いうのが今の私の考えでございまして、ワーキンググループ、森先生を中心としたある いは中村先生も参加していただいているワーキンググループの先生方には不手際を陳謝 させていただきたいと思います。申しわけございません。    ○中村委員   座長としてもこういった形に持ってきてしまった責任はあるかと思うのですけれども、 ただ、もう一つはやはり抗がん剤の用量の検討会議と比べて難しい点が今回非常に露呈 したという点だと思っています。これがファーストケースなので、逆に今回御議論いた だけて非常によかったと思っていますし、小児というのはどうしても用量を考えるとき に成人で承認されていれば成人の用量に引きずられます。それをこの検討会議でどこま で見ていくかというものも含めて、もう少しこれを機会に見直しと言いますか、これを 一つのサンプルといいますか、いい材料として見直すべきだろうなと考えております。 なので、決して、森先生に非常に御苦労をかけて、実は数日前にもメールで「すみませ ん」と謝ったのですけれども、御負担をおかけしましたけれども、小児の薬全体をこれ から日本で考えていく上では今回の検討会議でのディスカッションというのは非常に重 要だと思っておりますので。    ○秦座長   大体議論をつくしたと思います。今中村先生がまとめていただいたように、用量・用 法に関してはワーキングでもう一度検討していただくということで、そして次回のこの 会議でそれをまた議論をしていくということでよろしいでしょうか。  それではどうもありがとうございました。森先生大変ありがとうございました。  きょうの議題は以上でございますが、何か事務局から。 ○事務局  最後に参考までに参考資料4といたしまして、本年3月28日付にアセトアミノフェンの 小児薬物療法に関する承認申請についてということで通知を出させていただいておりま す。これに関しましては先ほど中村先生の方からもお話があったかと思いますけれども、 本年の2月に薬食審が第一部会での事前評価を受けて、アセトアミノフェンを取り扱う 各社にこの通知を出させていただいておる。この結果、全21社必要な会社からは一変の 申請がなされておるという状況になっております。  それから次回のこの会議につきまして、また日程の調整を改めてさせていただきます のでよろしくお願いしたいと思います。以上でございます。    ○秦座長  よろしゅうございますか。それではきょうの検討会議はこれで終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。 <了> 照会先 厚生労働省医薬食品局審査管理課 03−5253−1111 4